JP4666423B2 - 異形部材の製造方法および製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸線方向または高さ方向の位置における横断面形状が異なるように形成された異形部材の製造方法および製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図1は本発明の対象である異形部材を示す説明図であり、(a)は正面、(b)は平面を示し、図2は図1(a)における夫々の位置における横断面図であり、(a)ないし(e)は夫々図1(a)におけるA−A線断面、B−B線断面、C−C線断面、D−D線断面およびE−E線断面を示す。なお図2においては簡略化のためハッチングは省略して示してある。
【0003】
図1に示すような異形部材100を例えば鉄鋼材料によって製作する場合には、図2(b)(d)に示されるような円形横断面の部分は旋削加工によって加工することができるが、図2(a)(c)(e)に示されるような正方形、正六角形および擬似十字形の横断面の部分は、極めて煩雑な特殊加工が必要であると共に、加工に要する工数および時間が極めて大となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような異形部材は、無垢の丸棒若しくはブロック材から機械加工によって製作することが極めて煩雑であると共に、機械加工が全く不可能な場合もある。従って異形部材を分割して加工後、夫々の部材を組立一体化する手段が考えられるが、異形部材の寸法が小なる場合には部材の組立自体が不可能となることもある。
【0005】
一方、上記のような複雑な異形部材を製造するには、例えば鋳造手段が採用されている。しかしながら、鋳造手段によって異形部材を製造するには、模型の製作後、この模型に基づいて鋳型を成形し、溶融金属材料を注入する等の多数の工程を必要とし、これもまた多大の工数と時間を要するのである。なお上記鋳造手段による場合には、例えばロストワックス法のような精密鋳造法によっても、高精度を確保することが困難であると共に、鋳造後の表面を極度に平滑に形成することが困難であり、鋳造後の表面の仕上加工が必要であり、異形部材の製造に要するコストが高騰するという問題点がある。
【0006】
上記の問題点を解決するために、本出願人はすでに、フープ状の長尺の被加工材を長手方向に順送りすると共に、複数個のステージにおいて異形部材の夫々の横断面形状に対応する外形輪郭を有する複数種類の構成部材を打抜き、打抜いた構成部材をプッシュバックにより被加工材の打抜穴に係止させ、被加工材の順送り最終ステージにおいて構成部材を順次押抜いて積層一体化させることを内容とする発明について出願している(特願平9−39618号)。
【0007】
しかしながら、上記改良発明においても、若干の問題点があることが判明した。まず、打抜かれた構成部材は打抜穴に摩擦力のみによって係止されているため、被加工材の順送り加工中の振動その他の原因により、構成部材が打抜穴から脱落することがあり、順送り加工を中断しなければならないことがある。また打抜かれた構成部材を打抜穴にプッシュバックする際に、若干の変形または寸法の変化が起こることがある。
【0008】
本発明は、上記従来技術に存在する問題点を解決し、高さ方向における横断面形状が異なる異形部材を容易に製造できる製造方法および製造装置を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、第1の発明においては、高さ方向の位置における横断面形状が異なるように形成された異形部材の製造方法において、フープ状の長尺の被加工材を長手方向に順送りすると共に、複数個のステージにおいて異形部材の夫々の横断面形状に対応する外形輪郭を有する複数種類の構成部材を非分離押込加工により前記複数種類の構成部材の外形輪郭の少なくとも一部が前記被加工材に係止した状態に成形し、前記被加工材の順送り最終ステージにおいて前記複数種類の構成部材を順次押抜いて積層一体化させると共に、前記夫々のステージの非作動時においては順送り中の前記被加工材を前記夫々のステージに対して浮上させて前記非分離押込加工された前記複数種類の構成部材を非干渉状態に保持する、という技術的手段を採用した。
【0010】
次に上記の発明において、前記複数種類の構成部材に同軸的にダボとダボ穴とを形成し、隣接する構成部材のダボとダボ穴とを係合させることができる。この場合において、最下層を構成する構成部材には貫通した通し穴のみを形成することができる。
【0011】
また上記の発明において、前記複数種類の構成部材に貫通した複数個のガイド穴を形成し、順送り最終ステージにおいてガイドピンに前記ガイド穴を係合させて位置決めすることができる。
【0012】
更に上記の発明において、表面に接着剤を被着させた前記被加工材を使用することができる。この場合において、前記接着剤を筋状または帯状に形成することができる。
【0013】
また更に上記の発明において、潤滑剤を含有する薄膜を表面に被着させた前記被加工材を使用することができる。
【0014】
次に第1の発明においては、高さ方向の位置における横断面形状が異なるように形成された異形部材の製造装置において、フープ状の長尺の被加工材を長手方向に間欠的にピッチ送りする送り装置と、前記被加工材の送り方向に沿って配設されると共に、異形部材の夫々の横断面形状に対応する外形輪郭を有する複数種類の構成部材を非分離押込加工により前記複数種類の構成部材の外形輪郭の少なくとも一部が前記被加工材に係止した状態に成形する複数個のパンチ・ダイセットと、前記パンチ・ダイセットの前記被加工材送り方向最下流側に設けられ前記複数種類の構成部材を順次押抜いて積層一体化させる積層装置とによって構成すると共に、前記パンチ・ダイセットおよび積層装置内にそれらの非作動時においては、順送り中の前記被加工材を前記パンチ・ダイセットおよび積層装置に対して浮上させて前記非分離押込加工された前記複数種類の構成部材前記パンチ・ダイセットおよび積層装置とを非干渉状態に保持する手段を設け、かつ前記パンチ・ダイセットを選択的に作動可能に構成する、という技術的手段を採用した。
【0015】
【発明の実施の形態】
図3は本発明の実施の形態における異形部材および構成部材を示す説明図であり、(a)(b)は各々異形部材の正面および平面、(c)ないし(g)は夫々異形部材を構成する構成部材の平面を示す。図3において、異形部材100は例えば前記図1に示すものと同一の形状のものであり、高さ方向の夫々の位置における横断面形状に対応する外形輪郭を有する複数種類の構成部材101〜105を複数個宛(図3においては2個宛の例を示す)積層一体化して形成される。
【0016】
106はダボ穴(半抜穴とも称される)であり、夫々の構成部材101〜105の平面の中央部に、後述するような手段によって、同一の相対位置にかつ同一の形状寸法に形成される。なお夫々の構成部材101〜105は、1個のみとしても、また3個以上の複数個としてもよく、異形部材100の形状寸法によって適宜選定される。
【0017】
図4は本発明の実施の形態における構成部材の積層一体化の例を示す要部拡大縦断面図であり、同一部分は前記図3と同一の参照符号で示す。図4において、107はダボであり、ダボ穴106と同軸的に形成される。このようなダボ穴106とダボ107を形成するには、例えば横断面が円形のパンチおよびダイを使用し、パンチのダイへの進入深さdを構成部材103〜105(図3における構成部材101,102についても同様)の厚さ寸法tより小に形成することによって可能である。なお上記ダボ穴106およびダボ107は、図3における構成部材101〜105を、例えば鉄板からパンチ・ダイセットにより打抜き成形と同時に形成してもよく、または構成部材101〜105の打抜き成形と別個の工程で成形してもよい。
【0018】
上記のようにして成形した構成部材101〜105を、図4に示すように隣接する構成部材間において、ダボ穴106にダボ107を係合させて圧着すれば、構成部材101〜105を順次積層一体化させることができる。この場合において、ダボ穴106およびダボ107は、夫々の構成部材101〜105の中央部に、かつ同一の相対位置に同一の形状寸法に形成されて設けられているから、積層一体化における位置決めともなる。なお構成部材105の最下層のものにはダボ107を形成することなく、貫通した通し穴106aを形成することが好ましい。以上のようにして構成部材101〜105を順次積層一体化すれば、図3(a)(b)に示すような異形部材100を製造することができる。
【0019】
図5は本発明の実施の形態における他の異形部材および構成部材を示す説明図であり、(a)は異形部材の縦断面、(b)ないし(e)は夫々異形部材を構成する構成部材の平面を示す。図5において、異形部材200は前記図3に示すものと同様に、例えば鉄板からパンチ・ダイセットにより打抜き成形された構成部材201〜204により積層一体化されて構成される。
【0020】
図5において、205はダボ穴であり、夫々の構成部材201〜204の例えば上面に形成され、それらの下面には前記図4に示すものと同様にダボ穴205と同軸的にダボ(図示せず)が形成されている。206はガイド穴であり、夫々の構成部材201〜204に貫通して設けられ、積層圧着時において積層装置に立設されたガイドピンに係合することにより、前記構成部材201〜204の位置決め精度をより向上させるためのものである。なお207は中空穴、208はスプライン穴であり、構成部材201および構成部材202〜204の中心部に貫通して設けられる。
【0021】
上記のように成形した構成部材201〜204を図5(a)に示すように順次積層一体化すれば、夫々複数個の構成部材201〜204により異形部材200が形成される。すなわち、構成部材202,204によって歯車部が、また構成部材203によってカム部が夫々外周面に形成され、カム部と歯車部との間にスペーサー部が形成され得るのである。なお構成部材201〜204は、ダボ穴205とダボ(図示せず)との係合に加えて、ガイド穴206がガイドピンに係合することにより、位置決め精度がより向上されるから、上記のカム部および歯車部の外周表面が正確に合致し、高精度に形成され、所定の機能を充分に発揮させ得るのである。
【0022】
図6は本発明の実施の形態を示す要部正面図である。図6において、1は送り装置、2はパンチ・ダイセット、5は積層装置であり、被加工材4の送り方向に沿ってこの順に配設される。すなわち、送り装置1は、フープ状に巻き取られた被加工材4を、長手方向に間欠的にピッチ送りするように構成され、例えば被加工材4の送り方向の最上流側に設けられる。なお送り装置1の設置位置は積層装置5の下流側としてもよく、また後述するベースマシン3,3間としてもよい。
【0023】
次にパンチ・ダイセット2は後述するように構成され、被加工材4の送り方向にmP(mは任意の正の整数、Pは被加工材4の送りピッチ)の間隔に配設される。なおパンチ・ダイセット2は、例えばベースマシン3内に複数個(図6においては3個)設けられると共に、夫々のパンチ・ダイセット2は、被加工材4の送り方向に位置調整可能に、および夫々選択的に作動可能に構成されている。これらの複数個のパンチ・ダイセット2は、夫々前記図3および図5に示すような構成部材を成形可能とするため、構成部材の種類に対応して設けられる。この場合、複数個のパンチ・ダイセット2を備えたベースマシン3を、被加工材4の送り方向に沿って適宜の台数をタンデムに連結して構成することができる。
【0024】
次に積層装置5は被加工材4の送り方向の最下流側に、前記パンチ・ダイセット2とnP(nは任意の正の整数)の間隔を置いて設けられ、ベース51、保持装置52、支持装置53および圧着装置54によって構成される。まず保持装置52には被加工材4の下方移動を拘束し、かつ構成部材(図示せず、例えば図3における符号101〜105参照)の通過を許容する穴55を有する保持プレート56と、被加工材4を押圧解放可能に形成されたガイド部材57とを設ける。また保持装置52の下方に設けられる支持装置53は、前記構成部材および異形部材100を載置可能に形成される。
【0025】
更に保持装置52の上方に設けられる圧着装置54には、前記構成部材を被加工材4から押抜いて積層圧着するように、上下動可能に形成された圧着パンチ58を設ける。なお圧着パンチ58は、前記構成部材の外形輪郭と類似または対応する外形輪郭のものを複数個準備し、ホルダー59に設けられ、例えばホルダー59の垂直軸の回りの回動により、所定の圧着パンチ58が選択的に被加工材4の直上に臨むように構成されている。60は作動装置であり、例えば油圧シリンダによって構成され、ベース51上に立設されたコラム61および支持板62を介して、前記圧着パンチ58に作動部材63が当接離脱するように構成されている。
【0026】
図7は図6におけるパンチ・ダイセット2の例を示す要部側面図である。図7において、21は本体であり、例えば鉄鋼材料により略U字状に形成し、下端部に鳩尾状のあり22を一体に設け、ベース20に設けたあり溝23と係合させることによって、被加工材4の送り方向(紙面と直角方向)に移動調整可能、かつ被加工材4の送り方向と直角方向、すなわち図7における左右方向の移動を拘束するように形成する。そして本体21を位置決め後において、クランプ装置24によってベース20上に固定するのである。なおパンチ・ダイセット2としては、上型と下型とを4本のガイドバーによって連結した門型の本体を使用したものとしてもよい。
【0027】
次に25はカセットであり、例えば鉄鋼材料によって略U字状に形成し、上部にパンチ26を上下動可能に、下部にパンチ26と対をなすダイ27を設け、本体21に着脱可能に設ける。28はクランプねじであり、カセット25を本体21に固定するためのものである。29は油圧シリンダであり、本体21の上端部に設けられ、作動桿30を介してパンチ26を作動させ得るように構成する。
【0028】
図8は本発明の実施の形態における非分離押込加工手段の例を示す要部拡大断面図であり、同一部分は前記図4および図7と同一の参照符号で示す。構成部材は符号104として表示する。図8において、31はストリッパであり、パンチ26の作動前後において被加工材4をダイ27の表面に押圧保持するものである。
【0029】
32は非分離押込加工手段であり、ダイ27内に設けられ、上下動可能に形成された受け部材33と、この受け部材33を上方に付勢する圧縮コイルばね34とによって構成される。なお受け部材33の上方への付勢手段としては、油圧シリンダ等の駆動手段を使用してもよい。この場合、受け部材33の上端面は、ダイ27の上端面から(d−δ)の位置に保持する。すなわち被加工材4の厚さdに対して、被加工材4の圧縮変形分も含めて例えばδ=0.1〜0.2mm小なる値に設定する。
【0030】
上記の構成により、図8に示すようにストリッパ31によって被加工材4をダイ27の上面に押圧した状態でパンチ26を下降させると、構成部材104が押込加工され、受け部材33をその下限位置まで下降させる。この場合、構成部材104は被加工材4から完全に打抜かれることなく、その外形輪郭部分が例えばδの微小厚さの係止部104aを介して被加工材4と係止しており、所謂非分離押込加工が行なわれるのである。
【0031】
上記の係止部104aは、構成部材104の外形輪郭の全部に亘って形成してもよいが、パンチ26の先端部の形状を適宜選定することにより、構成部材104の外形輪郭の少なくとも一部に形成されるようにする。次にパンチ26が上昇した後、ストリッパ31の上昇と共に、圧縮コイルばね34の上方への付勢力により、構成部材104は被加工材4と共にダイ27から上方に押出される。そしてその後の被加工材4のピッチ送りにより、被加工材4に係止された状態で最終ステージまで搬送されるのである。
【0032】
図9は本発明の実施の形態における被加工材の加工態様を示す要部平面図であり、前記図3に示す異形部材100を製造するための構成部材101〜105を加工する場合を示している。図9において、被加工材4は前記図6に示す送り装置1により矢印方向に定ピッチP宛間欠的にピッチ送りされる。6はパイロット穴であり、前記図6に示すパンチ・ダイセット2の最上流側のものにより、被加工材4に定ピッチPの間隔で規則的に加工され、以後の加工工程における位置決めの基準穴となる。
【0033】
次に前記同様のパンチ・ダイセット2により、ダボ穴106およびこれと同軸的にダボ(図示せず、図4における符号107参照)を加工する。この場合、パンチ・ダイセット2にはパイロット穴6と係合するパイロットピンを設け、パンチ・ダイセット2による加工位置は上記パイロット穴6を基準として位置決め加工される(以後の加工工程におけるパンチ・ダイセットにおいても同様とする)。
【0034】
更に被加工材4を順次ピッチP宛送りながら、前記図8のようにして構成部材101〜105の非分離押込加工による成形を行なう。この場合には、前記図6におけるパンチ・ダイセット2として構成部材101〜105の外形輪郭に対応する5種類のパンチ・ダイを備えたものを配設し、それらのパンチ・ダイセット2を夫々選択的に作動可能に形成しておく。そして前記図3に示す異形部材100に対応する構成部材101〜105を例えば夫々2個宛成形し、図9に示すように順次加工を進め、最終ステージまで搬送される。
【0035】
上記のようにして被加工材4に非分離押込加工により成形された構成部材101〜105は、前記図6において最終ステージに設けられた積層装置5に搬送され、構成部材105→101の順に順次積層一体化される。すなわち、ガイド部材57の下降により、被加工材4のパイロット穴にパイロットピンが係合して位置決め押圧した状態で、作動装置60を作動させ、作動部材63および圧着パンチ58を介して上記構成部材101〜105を被加工材4から順次押抜いて(図8における微小厚さの係止部104aの剪断により)、支持装置53上に載置する。
【0036】
この場合、構成部材101〜105は前記図8に示すように微小厚さの係止部104aを介して被加工材4に係止しているのみであるから、圧着パンチ58によって容易に押抜かれて積層され、隣接する構成部材間は前記図4に示すようにダボ穴106にダボ107が係合するから、一体化が可能となるのである。なお保持装置52上の保持プレート56に設けられる穴55は、構成部材101〜105の最大外形輪郭より大に形成されているため、構成部材101〜105の何れをも支障なく通過させることができる。また構成部材101〜105を支持する支持装置53は、圧着パンチ58による構成部材101〜105の積層圧着毎に、それらの厚さ寸法相当量だけ下降し、その位置で停止するように構成することが好ましい。以上のようにして図3に示す異形部材100が形成された後、これを支持装置53から排出し、次の積層圧着を繰返すのである。
【0037】
図10は被加工材4の支持態様を示す要部拡大断面図である。本発明においては、前記図8に示すように、非分離押込加工によって成形される構成部材104が、被加工材4の下面に少なくともd−δだけ突出するため、被加工材4の搬送中に装置の構成部分と干渉するおそれがあるので、図10に示すように浮上させた態様で搬送する必要がある。
【0038】
図10において、40はベース板であり、パンチ・ダイセットまたは積層装置等の被加工材4と対面する構成部分を代表して示してある。41はガイドピンであり、ベース板40内に上下動可能に介装され、ばね42により上方に付勢されている。ガイドピン41の上端部近傍には溝43を設けると共に、この溝43の幅寸法を被加工材4の厚さ寸法より若干大に形成し、被加工材4の移動を容易とする。上記の構成により、被加工材4の搬送時においては図10に示すように浮上状態を確保し、一方装置の作動時には装置の作動部材の下降によりガイドピン41が下降し、作動後においてはばね42により上方に復帰するのである。
【0039】
図11は本発明の実施の形態における被加工材の他の例による構成部材の積層状態を示す要部拡大縦断面図である。図11において10は接着剤であり、例えば構成部材101,101間に介在され、積層圧着時において、または積層後の加熱処理により、構成部材相互間を強固に接着することができる。このような積層状態を形成するには、被加工材の表面に予め例えば厚さ10〜50μmの接着剤または熱圧着シート材を被着させたものを使用すればよい。
【0040】
図12は本発明の実施の形態における被加工材の更に他の例を示す要部平面図である。図12においてハッチングした部位は、被加工材4の表面に接着剤10を筋状または帯状に被着したものを示す。このような被加工材4を使用して例えば前記図5に示すような異形部材200を成形した場合に、筋状または帯状の接着剤10,10間に微小隙間が形成され、この微小隙間に潤滑剤を浸透または貯留することができ、異形部材200の歯車部、カム部その他に潤滑剤を供給することができる。この他に被加工材4の表面に、例えば微粉状のカーボン粉末のような潤滑剤を含有する薄膜を被着させたものを使用することも、異形部材200の潤滑のために有用である。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、以上記述するような構成および作用であるから、下記の効果を奏することができる。
(1)通常の機械加工では不可能であるような異形部材であっても、比較的容易に製造することができる。
(2)異形部材の局部的仕様変更に対しても、構成部材の一部を変更することにより迅速に対応でき、多品種少量生産も可能である。
(3)板材を積層したものに拘らず、夫々の構成部材間の固着強度が大であり、高機能の異形部材の製造が可能である。
(4)複数種類の構成部材を打抜くことなく非分離押込加工によって順送り成形した後、長尺状の被加工材と共に搬送するため、工程管理および部品管理が容易であり、素材からの一貫生産により高効率かつ低コストの生産が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象である異形部材を示す説明図であり、(a)は正面、(b)は平面を示す。
【図2】図1(a)における夫々の位置における横断面図であり、(a)ないし(e)は夫々図1(a)におけるA−A線断面、B−B線断面、C−C線断面、D−D線断面およびE−E線断面を示す。
【図3】本発明の実施の形態における異形部材および構成部材を示す説明図であり、(a)(b)は各々異形部材の正面および平面、(c)ないし(g)は夫々異形部材を構成する構成部材の平面を示す。
【図4】本発明の実施の形態における構成部材の積層一体化の例を示す要部拡大縦断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における他の異形部材および構成部材を示す説明図であり、(a)は異形部材の縦断面、(b)ないし(e)は夫々異形部材を構成する構成部材の平面を示す。
【図6】本発明の実施の形態を示す要部正面図である。
【図7】図6におけるパンチ・ダイセット2の例を示す要部側面図である。
【図8】本発明の実施の形態における非分離押込加工手段の例を示す要部拡大断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における被加工材の加工態様を示す要部平面図である。
【図10】被加工材4の支持態様を示す要部拡大断面図である。
【図11】本発明の実施の形態における被加工材の他の例による構成部材の積層状態を示す要部拡大縦断面図である。
【図12】本発明の実施の形態における被加工材の更に他の例を示す要部平面図である。
【符号の説明】
2 パンチ・ダイセット
4 被加工材
5 積層装置
101〜105 構成部材

Claims (8)

  1. 高さ方向の位置における横断面形状が異なるように形成された異形部材の製造方法において、
    フープ状の長尺の被加工材を長手方向に順送りすると共に、
    複数個のステージにおいて異形部材の夫々の横断面形状に対応する外形輪郭を有する複数種類の構成部材を非分離押込加工により前記複数種類の構成部材の外形輪郭の少なくとも一部が前記被加工材に係止した状態に成形し、
    前記被加工材の順送り最終ステージにおいて前記複数種類の構成部材を順次押抜いて積層一体化させると共に、
    前記夫々のステージの非作動時においては順送り中の前記被加工材を前記夫々のステージに対して浮上させて前記非分離押込加工された前記複数種類の構成部材を非干渉状態に保持することを特徴とする異形部材の製造方法。
  2. 前記複数種類の構成部材に同軸的にダボとダボ穴とを形成し、隣接する構成部材のダボとダボ穴とを係合させたことを特徴とする請求項1に記載の異形部材の製造方法。
  3. 最下層を構成する構成部材に貫通した通し穴を形成したことを特徴とする請求項2に記載の異形部材の製造方法。
  4. 前記複数種類の構成部材に貫通した複数個のガイド穴を形成し、順送り最終ステージにおいてガイドピンに前記ガイド穴を係合させて位置決めすることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の異形部材の製造方法。
  5. 表面に接着剤を被着させた前記被加工材を使用することを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の異形部材の製造方法。
  6. 前記接着剤を筋状または帯状に形成したことを特徴とする請求項5に記載の異形部材の製造方法。
  7. 潤滑剤を含有する薄膜を表面に被着させた前記被加工材を使用することを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の異形部材の製造方法。
  8. 高さ方向の位置における横断面形状が異なるように形成された異形部材の製造装置において、
    フープ状の長尺の被加工材を長手方向に間欠的にピッチ送りする送り装置と、
    前記被加工材の送り方向に沿って配設されると共に、異形部材の夫々の横断面形状に対応する外形輪郭を有する複数種類の構成部材を非分離押込加工により前記複数種類の構成部材の外形輪郭の少なくとも一部が前記被加工材に係止した状態に成形する複数個のパンチ・ダイセットと、
    前記パンチ・ダイセットの前記被加工材送り方向最下流側に設けられ前記複数種類の構成部材を順次押抜いて積層一体化させる積層装置と
    によって構成すると共に、
    前記パンチ・ダイセットおよび積層装置内にそれらの非作動時においては、順送り中の前記被加工材を前記パンチ・ダイセットおよび積層装置に対して浮上させて前記非分離押込加工された前記複数種類の構成部材前記パンチ・ダイセットおよび積層装置とを非干渉状態に保持する手段を設け、かつ前記パンチ・ダイセットを選択的に作動可能に構成したことを特徴とする異形部材の製造装置。」
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