JP4665231B2 - 安全保持具 - Google Patents

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Description

本発明は、産業機械が設置される部屋の出入口などの壁面に装着され、その出入口の扉が開かれたときには産業機械等への電源供給を停止する安全スイッチに装着される安全保持具に関するものであって、より詳しくは、出入口の扉が開かれた状態で安全スイッチに装着され、安全スイッチ内の駆動カムの回転及びアクチュエータの挿入を防止する安全保持具に関するものである。
産業機械が設置された部屋や工場あるいは産業機械自体の危険ゾーンでは、作業者が機械に巻き込まれて負傷するといったトラブルの発生を防止することを目的として、部屋や危険ゾーンの出入口の扉が完全に閉まっていないときには、機械の駆動をロックするシステムを設けることが要求されており、このような要求に応じるために安全スイッチ(特開平10−69831)が提案されている。この安全スイッチは、スイッチ本体が部屋の出入口周辺の壁面に装着され、その出入口の扉を閉じたときに扉に固着された専用のアクチュエータがスイッチ本体の挿入口から挿入されると、スイッチ本体内の駆動カムが回転し、その駆動カムの回転に応じて操作ロッドが移動して接点の接続状態が切り替わる構造のスイッチであって、このような接点の切り替わり動作で回路接続が主回路(産業機械への電源供給回路)側へと切り替わって部屋内の機械が運転可能な状態となる。
ところで、このような安全スイッチは、機械の停止状態を維持したまま機械の点検等のため作業者が部屋内に入ったときに、そのことを知らない他の作業者が扉を閉めてしまうと、機械が作動してしまい、部屋内の作業者が危険に陥る虞がある。
そこで、このような事態を防止し、作業者の安全をより確保するため、図33に示す安全保持具が提案されている。この安全保持具50は、基体51と、基体51に移動自在に取付けられたスライド体52とを備えている。この安全保持具50の使用方法を、図34を参照して以下に説明する。先ず、基体51をスイッチ本体53のアクチュエータ挿入口54に差し込む。これにより、基体51の先端部下面に設けられている凸部(図示せず)がアクチュエータ挿入口54に係合する。次いで、スライド体52を基体51に沿って移動させ、アクチュエータ挿入口54に差し込む。このとき、スライド体52を最大限奥まで挿入する。これにより、スライド体52がスイッチ本体53内の駆動カムの凹部に嵌まり込み、駆動カムの回転が防止された状態となる。そして、このような状態では、基体51に形成されている鍵取付孔55と、スライド体52に形成されている鍵取付孔56とが重なり合った状態が得られており、鍵鍵取付孔55,56の1つひとつに作業者が各々南京錠57により施錠をする。これにより、アクチュエータ挿入口54を塞ぐと共に、他方のアクチュエータ挿入口58からアクチュエータが挿入されても、駆動カムの回転が防止された状態となっているので、機械が誤って作動することはなく、作業者の安全が確保されている。なお、このような安全確保状態は、作業終了後に最後の南京錠が外されるまで維持されることになり、作業者の安全が確保されている。
特開平10−69831号公報
しかしながら、上記従来技術では、以下のような課題がある。
(1)基体51とスライド体52とを同じ1つのアクチュエータ挿入口54から挿入させるだけであるので、安全保持具50の安全スイッチへの装着状態が強固ではない。従って、無理やりこじると抜け出たり、アクチュエータが他方のアクチュエータ挿入口58から挿入されたときに、安全保持具50がアクチュエータ挿入口54から抜け出す虞れがある。
(2)また、基体51及びスライド体52における鍵取付孔55,56は、整列して配置されている。そのため、スライド体52が奥まで挿入される以前の挿入途中で、基体51及びスライド体52の各鍵取付孔55,56が重なり合う状態が生じる。そのため、このような状態で誤って鍵取付孔55,56に南京錠57を施錠してしまう虞がある。このような場合、スライド体52が奥まで充分に挿入されていないので、安全スイッチへの装着状態が強固ではない。従って、アクチュエータが他方のアクチュエータ挿入口58から挿入されると、駆動カムが回転し、機械が作動してしまう。
(3)また、基体51とスライド体52とを同じ1つのアクチュエータ挿入口54に挿入するので、他方のアクチュエータ挿入口58は塞がれていない。そのため、無理にアクチュエータを他方のアクチュエータ挿入口58に挿入すると、駆動カムが回転する可能性がある。
このように、従来例の安全保持具50は、作業者の安全確保の観点からは十分とはいえなかった。
本発明は、上記の実情を鑑みて考え出されたものであり、その目的は、全てのアクチュエータ挿入口を塞ぐと共に、安全スイッチへの装着状態を強固にして作業者の安全確保を向上するようにした安全保持具を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、箱状体からなり、その異なる2面にアクチュエータが挿入されるアクチュエータ挿入口が設けられたスイッチ本体と、そのスイッチ本体内に上記アクチュエータの挿入に応じて接続が切り替わる接点部とを備えた安全スイッチにおける上記アクチュエータの挿入を防止する安全保持具であって、上記異なる2つの面に設けられたアクチュエータ挿入口の一方のアクチュエータ挿入口に係合して当該アクチュエータ挿入口を塞ぐ基体と、上記基体が一方のアクチュエータ挿入口に係合した状態において、上記異なる2つの面に設けられたアクチュエータ挿入口の他方のアクチュエータ挿入口に係合して当該アクチュエータ挿入口を塞ぐことが可能なように上記基体に移動可能に取り付けられたスライド体とを備えたことを特徴とする。
上記構成により、一方のアクチュエータ挿入口及び他方のアクチュエータ挿入口が共に塞がれた状態となる。このように全てのアクチュエータ挿入口を塞ぐことにより、従来例のように、誤ってアクチュエータが挿入されることによって安全保持具がアクチュエータ挿入口から抜け出すという事態を完全に防止することができる。この結果、作業者の安全確保が向上した安全保持具が実現される。
なお、請求項1記載の発明においては、スライド体は基体に対して移動可能であれば充分であり、スライド体は基体に対して回転可能に構成されていてもよく、回転可能に構成されていなくてもよい。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の安全保持具であって、スライド体が他方のアクチュエータ挿入口を塞ぐ所定位置へ移動した状態でのみ、基体及びスライド体で構成され、スライド体を固定するための鍵穴が出現することを特徴とする。
上記構成により、スライド体の挿入途中の状態では鍵穴が出現しないので、施錠することを防止できる。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の安全保持金具であって、上記スライド体は基体に対して移動可能で且つ回転可能に取付けられており、基体にはスライド体が引き抜かれたときにスライド体が回転することを規制する回転規制手段が設けられていることを特徴とする。
上記の如く、スライド体が引き抜かれたときにスライド体の回転が規制されていることにより、安全保持具を使用する際の使い勝手がよいという利点がある。
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の安全保持金具であって、上記スライド体が上記他方のアクチュエータ挿入口に係合された状態で、スライド体の先端部が上記一方のアクチュエータ挿入口に係合している基体の先端部と係合することを特徴とする。
上記構成により、スライド体が他方のアクチュエータ挿入口に係合された状態で、スライド体の先端部が一方のアクチュエータ挿入口に係合している基体の先端部と係合するので、従来例に比べて安全スイッチ本体に対する安全保持具の装着状態が格段に強固なものとなる。
また、請求項5記載の発明は、請求項1記載の安全保持金具であって、上記一方のアクチュエータ挿入口に挿入された基体の先端部が、上記スイッチ本体内に設けられている駆動カムの凹部に嵌まり込み、駆動カムの回転を規制することを特徴とする。
上記の如く、駆動カムの回転が規制されることにより、より一層、作業者の安全が確保されることになる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
一方のアクチュエータ挿入口及び他方のアクチュエータ挿入口が共に塞がれた状態となる。このように全てのアクチュエータ挿入口を塞ぐことにより、従来例のように、誤ってアクチュエータが挿入されることによって安全保持具がアクチュエータ挿入口から抜け出すという事態を完全に防止することができる。この結果、作業者の安全確保が向上した安全保持具が実現できる。
以下、本発明に係る安全保持具を実施の形態に基づいて詳述する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
先ず、本発明に係る安全保持具が使用される安全スイッチの概略構造を図1〜図5を参照しつつ説明する。安全スイッチ1は、図1に示すように、部屋に設置される産業機械に電気的に接続されるスイッチであって、主にスイッチ本体2と、アクチュエータ3によって構成されている。スイッチ本体2は部屋の出入口の周縁の壁面に固着され、アクチュエータ3は扉4に固着されている。
スイッチ本体2は、アクチュエータ3が差し込まれる操作部5と、接点ブロック(図示せず)が内蔵されたスイッチ部6によって構成されている。操作部5には、設置場所の状況に応じてアクチュエータ挿入方向の選択が可能なように、その異なる2つの面にアクチュエータ挿入口7、8が設けられている。また、操作部5には、図4に明らかに示すように、駆動カム9が設けられている。この駆動カム9はスイッチ部6に内蔵の接点ブロック(図示せず)の操作ロッド10に変位を与えるためのもので、カムシャフト11に回転自在に支持されている。駆動カム9の外周面には、アクチュエータ挿入口7、8に対応して矩形状の凹部12、13が形成されている。
以上の構造の安全スイッチにおいて、アクチュエータ3がアクチュエータ挿入口7を通じて操作部5の内部に進入すると、アクチュエータ3の押圧片3a(図1(A)参照)が駆動カム9に当たった時点で、駆動カム9が回転し、この駆動カム9の回転に応じてスイッチ部6の操作ロッド10が操作部5の駆動カム9側に移動する。そして、アクチュエータ3が挿入端まで進んだ時点で接点ブロックの接続接点が切り換わり部屋内の機械が駆動可能な状態となるとともに、アクチュエータ3の押圧片3aが駆動カム9の凹部12(図4参照)に嵌まり込む。
次いで、この状態からアクチュエータ3が抜き取られると、そのアクチュエータ3の後退により駆動カム9が前述とは逆向きに回転し、これに伴って操作ロッド10がスイッチ部6の接続接点側に移動して、接続接点が切り換わり機械への電源供給がオフされる。
また、操作部5の他方のアクチュエータ挿入口8を通じてアクチュエータ3が操作部5の内部に進入すると、アクチュエータ3の押圧片3aが駆動カム9に当たって駆動カム9が回転し、この駆動カム9の回転に応じて、スイッチ部6の操作ロッド10が操作部5の駆動カム9側に移動して接続接点が切り換わると共に、アクチュエータ3の押圧片3aが駆動ム9の凹部13(図4参照)に嵌まり込む。この状態からアクチュエータ3が抜き取られると、駆動カム9が逆向きに回転し、操作ロッド10がスイッチ部6の接続接点側に移動して接続接点が切り換わる。
上記構造の安全スイッチにおいて、機械の点検等のため作業者が部屋内に入ったときには、扉4を開けておけば、機械の停止状態が維持されているので作業者の安全は確保されている。しかし、誤って扉4が閉められると、機械が作動してしまい、部屋内の作業者が危険に陥る虞がある。そこで、このような事態を防止し、作業者の安全を確保するため、本発明に係る安全保持具が使用されている。
図6は本発明に係る安全保持具の構成部品であるスライド体を押し込んでいない状態における安全保持具の平面図、図7は本発明に係る安全保持具の構成部品であるスライド体を押し込んでいない状態における安全保持具の側面図、図8は本発明に係る安全保持具の構成部品であるスライド体を押し込んでいない状態における安全保持具の底面図、図9は図6のC−C矢視断面図、図10は本発明に係る安全保持具の構成部品であるスライド体を押し込んだ状態における安全保持具の平面図、図11は本発明に係る安全保持具の構成部品であるスライド体を押し込んだ状態における安全保持具の側面図、図12は本発明に係る安全保持具の構成部品であるスライド体を押し込んだ状態における安全保持具の底面図、図13は図10のD−D矢視断面図である。
安全保持具20は、基体21と、スライド体22とから構成されている。基体21及びスライド体22は、例えば板状の金属製部材である。なお、基体21及びスライド体22は剛性の合成樹脂製部材であってもよい。スライド体22には長手方向(図23及び図25に示す挿入方向Xに相当)に延びる案内孔23が形成されており、この案内孔23及び基体21の軸孔24(図14参照)を連結軸25が挿通してカシメ固定されている。これにより、スライド体22は、基体21に対して長手方向(挿入方向Xに相当)に移動可能であり、且つ連結軸25回りに回転可能となっている。なお、本発明に係る安全保持具は、スライド体22が基体21に対して長手方向(挿入方向Xに相当)に移動可能に取付けられていれば充分であり、スライド体22が基体21に対して回転可能である必要はない。しかしながら、本実施の形態では、案内孔23を介して連結軸25によりスライド体22と基体21とをカシメ固定するという簡単な構成によってスライド体22が基体21に対して移動可能となる構成を実現しているために、スライド体22が基体21に対して移動可能に加えて、回転可能にもなっている。
図14は基体の平面図、図15は基体の側面図、図16は基体の底面図、図17は図14のE−E矢視断面図、図18はスライド体の平面図、図19はスライド体の側面図、図20はスライド体の底面図、図21は図18のF−F矢視断面図である。これら図14〜図18に加えて、図6〜図13をも参照して、基体21及びスライド体22の構成を詳述する。
基体21は、図14〜図17に示すように、第1平坦部21aと、第1平坦部21aの先端部で垂直に立ち上がる立上部21bと、立上部21bに連なり第1本体部21aに平行な第2平坦部21cと、第2平坦部21cの先端部で垂直に立ち下がる立下部21dとを有する。第1平坦部21aには、一対の円形状の鍵取付孔30a,30bと、幅方向(図14の上下方向)に長い長円形状の鍵取付孔30cとが形成されている。鍵取付孔30a,30bは、先端部側寄り(立上部21b側寄り)で、且つ、幅方向に間隔をあけて形成されている。鍵取付孔30cは、後端部側(図14の右端部側)寄りに形成されている。そして、鍵取付孔30cの円弧状部分31Aは鍵取付孔30aの半円弧状部分32A(図14の下側半円弧状部分)よりも内方側に位置し、鍵取付孔30cの円弧状部分31Bは鍵取付孔30bの半円弧状部分32B(図14の上側半円弧状部分)よりも内方側に位置している。即ち、鍵取付孔30a,30bと鍵取付孔30cとは、幅方向(挿入方向Xに垂直な方向に相当)にずれて配置されている。
立上部21bには、スライド体の挿入腕部34(図18参照)が挿入する開口部35が形成されている。また、立下部21dは、後述するようなアクチュエータ挿入口8に進入し駆動カム9の凹部12に係合して駆動カム9の回転を規制する働きをなす。この立下部21dには、スライド体22の挿入腕部34の挿入により係合状態が得られる係合孔36が形成されている。
一方、スライド体22は、図18及び図20に示すように、本体部22aと取手部22bとから構成されている。取手部22は基体21に設けられていてもよい。本体部22aには案内孔23が形成されているとともに、先端部には細長い切欠き37によって長手方向に延びる2つの挿入腕部34が形成されている。なお、本体部22aの先端部には、アクチュエータ3の押圧片3aに相当する部分は存在していない。従って、挿入腕部34を安全スイッチのアクチュエータ挿入口8から挿入していっても、駆動カム9の側方を通過するのみで、駆動カム9を押圧することはなく、駆動カム9は回転しないようになっている。また、本体部22aには、案内孔23の両側に一対の円形状の鍵取付孔40a,40bが形成されており、また案内孔23の後方側(図18の右方側)に1つの幅方向(図18の上下方向)に長い長円形状の鍵取付孔40cが形成されている。これら鍵取付孔40a,40b,40cは、それぞれ上記鍵取付孔30a,30b,30cと対応するものであり、スライド体22が挿入されて挿入腕部34が基体21の係合孔36に係合した状態では、図10に示すように、鍵取付孔30aと鍵取付孔40a、鍵取付孔30bと鍵取付孔40b、鍵取付孔30cと鍵取付孔40cは、ぴったりと重なり合うようになり、南京錠45(図27及び図29参照)を施錠することが可能となる。
なお、鍵取付孔40a,40bと鍵取付孔40cとの配置状態は、上記した鍵取付孔30a,30bと鍵取付孔40cの配置状態と同様であり、鍵取付孔40a,40bと鍵取付孔40cとは、幅方向(挿入方向Xに垂直な方向に相当)にずれている。従って、スライド体22の挿入途中では、鍵取付孔30aと鍵取付孔40cとは部分的にしか重なり合わず、また、鍵取付孔30bと鍵取付孔40cとは部分的にしか重なり合わず、そのため、鍵取付孔30aと鍵取付孔40cを介して南京錠45を施錠することができず、また、鍵取付孔30bと鍵取付孔40cを介して南京錠45を施錠することができないようになっている。
なお、この例では、鍵取付孔30c,40cは長円であったけれども、鍵取付孔30a,30b;40a,40bと同様な円形の鍵取付孔であってもよい。但し、その場合であっても、鍵取付孔の位置を鍵取付孔鍵取付孔30a,30b;40a,40bとはずれて配置することが必要である。即ち、挿入方向Xに沿って複数の鍵取付孔を設ける場合は、各鍵取付孔は整列された配置状態とするのではなく、挿入方向Xに垂直な方向(幅方向)にずらして配置することが必要とされる。これにより、誤った鍵取付孔に施錠することが防止できる。
また、基体21の開口部35には、スライド体22の挿入腕部34が挿通しているが、スライド体22がアクチュエータ8から引き抜かれた状態においても、図22に示すように、挿入腕部34の先端部は開口部35に挿入された状態となっている。従って、挿入腕部34の先端部が開口部35の両側内壁によってその回転が規制されている。そのため、再度安全保持具20を使用する際に、挿入腕部34を開口部35に挿入する必要がなく、使い勝手がよいという利点がある。
図23は安全スイッチに安全保持具の基体を装着した状態を示す側面図、図24は安全スイッチに安全保持具の基体を装着した状態を示す平面図、図25は図23の縦断面図、図26は安全スイッチに安全保持具のスライド体を挿入した状態を示す側面図、図27は安全スイッチに安全保持具のスライド体を挿入した状態を示す平面図、図28は図26の縦断面図、図29は図26の横断面図である。
これらの図面を参照して、上記構成の安全保持具20の使用方法を説明する。
先ず、図23〜図25に示すように、スライド体22をアクチュエータ挿入口8に臨ませ、基体21の立下部21dをアクチュエータ挿入口7に挿入する。これにより、立下部21dが駆動カム9の凹部12に嵌まり込み、駆動カム9の回転が規制される。次いで、取手部22bを把持して、スライド体22を挿入方向Xに沿って押し込む。これにより、挿入腕部34がアクチュエータ挿入口8に挿入される。そして、スライド体22を最大限奥し込むと、図26〜図29に示すように、挿入腕部34は駆動カム9の両側を通過し、その先端部が立下部21cの係合孔36入り込み、係合状態が得られる(図28及び図29参照)。このため、安全保持具20がスイッチ本体3に強固に装着されることになる。
そして、このような挿入腕部34が立下部21dの係合孔36に入り込んだ状態では、鍵取付孔30aと鍵取付孔40a、鍵取付孔30bと鍵取付孔40b、鍵取付孔30cと鍵取付孔40cは、それぞれぴったりと重なり合うことで基体21に対してスライド体22を固定するための鍵穴100が構成され(図27及び図29参照)、この鍵穴100に南京錠45を施錠することが可能となっている。そこで、鍵鍵取付孔30a,40a(鍵穴100);30b,40b(鍵穴100);30c,40c(鍵穴100)の1つひとつに作業者が各々南京錠45により施錠を行なう。作業終了後は、作業者が各々南京錠45の解除を行なう。従って、最後の南京錠45が解除されるまで、安全保持具20が安全スイッチに装着された状態が保持されるので、作業者の安全が確保される。
こうして、上記構成の安全保持具20は、アクチュエータ挿入口7,8を塞ぐので、アクチュエータの挿入により駆動カム9が回転するという事態の発生を完全に防止することができる。また、挿入腕部34は立下部21dの係合孔36に入り込み係合状態が得られるようになっているので、従来例に比べて安全スイッチ本体に対する安全保持具の装着状態が格段に強固なものとなる。
(その他の事項)
(1)上記実施の形態においては、スライド体22は基体21に対して挿入方向Xに移動可能で且つ連結軸25回りに回転可能であったけれども、挿入方向Xに移動可能であるが回転可能ではない構成であってもよい。
(2)上記実施の形態においては、挿入腕部34が係合孔36に入り込んで、係合状態が得られるように構成されたけれども、係合孔に代えて、挿入腕部34が係合する切欠きを用いてよい。
(3)上記実施の形態では、鍵として南京錠を例に挙げたけれども、その他、掛け金や、ピン等を鍵の替りに使用するようにしてもよい。要するに、基体とスライド体とを連結してスライド体の移動を規制できるものであればよい。
(4)上記実施の形態では、スイッチ本体3の上面にはアクチュエータ挿入口7が1個設けられたけれども、アクチュエータ挿入口7の手前側に、駆動カム9の逆回転方向駆動用のアクチュエータ挿入口を備えた構成の安全スイッチにも本発明に係る安全保持具は適用可能である。なお、このような構成の安全スイッチであっても、基体21の立下部21dがアクチュエータ挿入口7に挿入されると、基体21の第2平坦部21cが該逆回転方向駆動用アクチュエータ挿入口を覆うことになるので、全てのアクチュエータ挿入口を塞ぐ効果は得られることになる。
(5)上記実施の形態では、南京錠45(図27,図29)を施錠するために、基体21及びスライド体22の両者に鍵取付用孔を形成し、両者がぴったりと重なり合うことで、スライド体22を固定するための鍵穴100が構成されるけれども、図30に示すように、基体21には鍵取付用孔47を形成し、スライド体22には側方に開口した鍵取付用切欠き48を形成するようにしてもよく、また、これとは逆に、図31に示すように、基体21には鍵取付用切欠き48を形成し、スライド体22には鍵取付用孔47を形成するようにしてもよい。なお、鍵取付用孔はそれぞれ独立して存在するものであってもよいが、例えば、図32に示すように、隣接する鍵取付用孔47間が連通して単独の鍵取付用孔47Aとして構成されたものであってもよい。以上のように、スライド体がアクチュエータ挿入口を塞ぐ所定位置へ移動した状態でのみ、基体及びスライド体で構成され、スライド体を固定するための鍵穴が出現する構成であればよい。
本発明は、安全スイッチの安全保持具に好適に実施することができる。
本発明に係る安全保持具が使用される安全スイッチの使用状態を示す図である。 本発明に係る安全保持具が使用される安全スイッチの平面図である。 本発明に係る安全保持具が使用される安全スイッチの正面図である。 図3のA−A矢視断面図である。 図3のB−B矢視断面図である。 本発明に係る安全保持具の構成部品であるスライド体を押し込んでいない状態における安全保持具の平面図である。 本発明に係る安全保持具の構成部品であるスライド体を押し込んでいない状態における安全保持具の側面図である。 本発明に係る安全保持具の構成部品であるスライド体を押し込んでいない状態における安全保持具の底面図である。 図6のC−C矢視断面図である。 本発明に係る安全保持具の構成部品であるスライド体を押し込んだ状態における安全保持具の平面図である。 本発明に係る安全保持具の構成部品であるスライド体を押し込んだ状態における安全保持具の側面図である。 本発明に係る安全保持具の構成部品であるスライド体を押し込んだ状態における安全保持具の底面図である。 図10のD−D矢視断面図である。 基体の平面図である。 基体の側面図である。 基体の底面図である。 図14のE−E矢視断面図である。 スライド体の平面図である。 スライド体の側面図である。 スライド体の底面図である。 図18のF−F矢視断面図である。 スライド体が最大限引き抜かれた状態における挿入腕部先端付近の状態を示す平面図である。 安全スイッチに安全保持具の基体を装着した状態を示す側面図である。 安全スイッチに安全保持具の基体を装着した状態を示す平面図である。 図23の縦断面図である。 安全スイッチに安全保持具のスライド体を挿入した状態を示す側面図である。 安全スイッチに安全保持具のスライド体を挿入した状態を示す平面図である。 図26の縦断面図である。 図26の横断面図である。 基体に鍵取付用孔が形成され、スライド体に鍵取付用切欠きが形成された状態を示す平面図である。 基体には鍵取付用切欠きが形成され、スライド体に鍵取付用孔が形成された状態を示す平面図である。 鍵取付用孔の変形例を示す平面図である。 従来例の安全保持具の斜視図である。 従来例の安全保持具を安全スイッチに装着した状態を示す斜視図である。
符号の説明
1:安全スイッチ 2:スイッチ本体
7,8:アクチュエータ挿入口 9:駆動カム
10:操作ロッド 12,13:凹部
20:安全保持具 21:基体
21a:第1平坦部 21b:立上部
21c:第2平坦部 21d:立下部
22:スライド体 22a:本体部
22b:取手部 23:案内孔
25:連結軸
30a,30b,30c;40a,40b,40c,47,47A:鍵取付用孔
34:挿入腕部 35:開口部
36:係合孔 45:南京錠
48:鍵取付用切欠き
X:スライド体22の挿入方向
100:鍵穴

Claims (5)

  1. 箱状体からなり、その異なる2面にアクチュエータが挿入されるアクチュエータ挿入口が設けられたスイッチ本体と、そのスイッチ本体内に上記アクチュエータの挿入に応じて接続が切り替わる接点部とを備えた安全スイッチにおける上記アクチュエータの挿入を防止する安全保持具であって、
    上記異なる2つの面に設けられたアクチュエータ挿入口の一方のアクチュエータ挿入口に係合して当該アクチュエータ挿入口を塞ぐ基体と、
    上記基体が一方のアクチュエータ挿入口に係合した状態において、上記異なる2つの面に設けられたアクチュエータ挿入口の他方のアクチュエータ挿入口に係合して当該アクチュエータ挿入口を塞ぐことが可能なように上記基体に移動可能に取り付けられたスライド体と、
    を備えたことを特徴とする安全保持具。
  2. スライド体が他方のアクチュエータ挿入口を塞ぐ所定位置へ移動した状態でのみ、基体及びスライド体で構成され、スライド体を固定するための鍵穴が出現する請求項1記載の安全保持具。
  3. 上記スライド体は基体に対して移動可能で且つ回転可能に取付けられており、基体にはスライド体が引き抜かれたときにスライド体が回転することを規制する回転規制手段が設けられている請求項1又は2記載の安全保持金具。
  4. 上記スライド体が上記他方のアクチュエータ挿入口に係合された状態で、スライド体の先端部が上記一方のアクチュエータ挿入口に係合している基体の先端部と係合する請求項1記載の安全保持金具。
  5. 上記一方のアクチュエータ挿入口に挿入された基体の先端部が、上記スイッチ本体内に設けられている駆動カムの凹部に嵌まり込み、駆動カムの回転を規制する請求項1記載の安全保持金具。
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