JP4047994B2 - 安全スイッチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば産業機械が設置される部屋の出入口などの壁面に取り付けられ、その出入口の扉が開かれたときには、産業機械等への電源供給を停止する安全スイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
産業機械が設置された部屋や工場などの危険ゾーンでは、作業者が機械に巻き込まれて負傷するといったトラブルの発生を防止することを目的として、部屋や危険ゾーンの出入口の扉が完全に閉まっていないときには、機械の駆動をロックするシステムを設けることが要求される。
【0003】
そのようなロックシステムとして、以前、本件出願人は特願平10−63374号の出願明細書に記載のような安全スイッチを提案している(特願平10−63374号の出願明細書及び添付図面参照)。この安全スイッチは、図16ないし図26に示すように構成されている。
【0004】
この安全スイッチは、部屋に設置される産業機械に電気的に接続されるもので、図16ないし図18に示すように、スイッチ本体101とアクチュエータ102により構成される。スイッチ本体101は部屋の出入口周縁の壁面に固着され、またアクチュエータ102は扉103に固着される。そのアクチュエータ102の位置はスイッチ本体101の挿入孔101aに対向する位置で、扉103を閉鎖した状態のときにスイッチ本体101の操作部111内に進入する。
【0005】
そして、アクチュエータ102の進入により、スイッチ部112に内蔵の接点ブロック9の接続接点が閉に切り換わり、部屋内の機械への電源が供給されて機械が駆動可能な状態となる。一方、扉103の開放によりアクチュエータ102が操作部111から抜けたときには元の状態に復帰して接点ブロック9の接続接点が開に切り換わり、機械への電源が遮断される。
【0006】
なお、アクチュエータ102は、図16に示すように、操作部111への挿入部が先端部の押圧片121とこれを支持する一対の支持片122、123によって構成される。その押圧片121には、両端部に位置する突部押圧面121b、121bと、この間に位置する凹部押圧面121aが形成されている。
【0007】
次に、操作部111の構成について説明する。図19ないし図23に示すように、操作部111の中央には駆動カム1が設けられ、この駆動カム1は、スイッチ部112の操作ロッド8に変位を与えるためのもので、カムシャフト4を介して支持枠11に回動自在に支承されている。
【0008】
駆動カム1の外周面には、アクチュエータ102の押圧片121が嵌り込む矩形状の凹部1a、1bが、それぞれ先の挿入孔101a、101bに対応して形成されている。また、駆動カム1には、凹部1a、1bに対してカムシャフト4を挟んだ反対側となる位置に溝カム1cが形成されており、この溝カム1cにカムフォロワピン6が差し込まれている。
【0009】
カムフォロワピン6の両端は支持枠11の近傍にまで延びており、その両端部がそれぞれピンガイド体7のガイド溝7a、7aによって支持されている。各ガイド溝7a、7aは、カムフォロワピン6の移動方向を一方向に規制するための溝で、カムシャフト4の中心を通る直線で操作ロッド8の移動方向と平行な直線上に沿って形成されている。
【0010】
そして、カムフォロワピン6には、操作ロッド8の端部が連結されており、このカムフォロワピン6の移動に伴って操作ロッド8が前進・後退してスイッチ部112の接点接続が閉・開に切り換わる。
【0011】
一方、駆動カム1の左右両側にはそれぞれ規制板2、3が配置されている。この左右一対の規制板2、3は、アクチュエータ102の突部押圧面121b、121bに対応して配置される部材で、それぞれカムシャフト4に回動自在に支承されている。これら規制板2、3と支持枠11との間には、それぞれ規制板2、3を初期状態(図19、図20に示す位置)に戻すためのねじりコイルばね5、5が装着されている。このねじりコイルばね5、5の一端は支持枠11に固定され、他端は規制板2、3に固定されている。
【0012】
各規制板2、3には、カムフォロワピン6の逃げ用の穴2a、3aが形成され、その穴2a、3aにの縁部にカムフォロワピン6の移動を規制するための切欠き2b、3bが形成されている。
【0013】
その各切欠き2b、3bは、図23に示すように、カムフォロワピン6が嵌り込む半円形状に加工され、各規制板2、3が初期状態(図20、図21に示す状態)のときに、図24(A)に示すように、カムフォロワピン6の移動方向の前方側に位置する。
【0014】
そして、以上の構成において、駆動カム1と規制板2、3とは、図20、図21に示す初期状態において、その両者間に、アクチュエータ102の凹部押圧面121aと凸部押圧面121b、121bとの段差に相当する分の回転位相差が生じるような位置関係で配置されている。
【0015】
次に、動作について図24を参照して説明する。但し、図24において、操作部111の挿入孔101a側から見て左側に位置する規制板3は、図に表われないので符号を付していないが、この例において一対の規制板2、3は同様な働きをするので、以下の説明では規制板2、3と記載することにする。
【0016】
アクチュエータ102が挿入孔101aを通じて操作部111の内部に進入すると、先ずその先端の凹部押圧面121aと凸部押圧面121b、121bが、それぞれ駆動カム1と規制板2、3に接触する(図24(A)参照)。この時点では、カムフォロワピン6は移動せず駆動カム1の溝カム1cのカムシャフト4側の端部に位置する。
【0017】
続いて、アクチュエータ102が更に進入すると、これに応じて駆動カム1及び規制板2、3が共に回動して、カムフォロワピン6が溝カム1cに沿って前進し、これに伴って操作ロッド8が前進すると共に、規制板2、3の切欠き2b、3bが組むフォロワピン6の移動経路上から外れ(図24(B)参照)、その後、アクチュエータ102が更に進んで挿入端まで達した時点で接続接点が閉に切り換わると共に、図24(C)に示すように、アクチュエータ102の押圧片121が駆動カム1の凹部1aに嵌り込む。
【0018】
尚、以上の動作において、各規制板2、3が回動したときに、ねじりコイルばね5、5が回動方向にねじられた状態となり、その弾性力によって各規制板2、3には、先の回動と逆向きの回転力(復帰力)が作用する。
【0019】
そして、図24(C)の状態からアクチュエータ102が抜き取られると、その押圧片121が凹部1aの内面を押して駆動カム1が挿入時とは逆に回動し、これに伴って操作ロッド8が後退して接続接点がもとの状態(開状態)に復帰すると共に、駆動カム1の凹部1aがもとの位置つまり図24(A)の位置に戻り、また各規制板2、3が、ねじりコイルばね5、5の付勢により元の状態に復帰して、ピン係止用の切欠き2b、3bがカムフォロワピン6の移動経路上に位置する。
【0020】
尚、以上の動作説明では、2つの挿入孔101a、101bのうち、操作部111の正面側に設けた挿入孔101aにアクチュエータ102を挿入した場合の動作を示したが、操作部111の上面側の挿入孔101bにアクチュエータ102を挿入した場合でも、先の図24(A)〜(C)と同様の動作で駆動カム1及び規制板2、3が回動し、これにより操作ロッド8が前進して接続接点が切り換わると共に、アクチュエータ102の押圧片121が駆動カム1の凹部1bに嵌り込む。
【0021】
このとき、専用のアクチュエータ102以外の操作板(例えばドライバ等)を用いて駆動カム1を回動させようとしても、その回動は規制板2、3によって阻止される。
【0022】
即ち、図25(A)に示すように、押圧板Dを挿入孔101a(または101b)の中央部に差し込んで駆動カム1の凹部1a(または1b)を押し付けると、同図(B)に示すように駆動カム1は少しは回動するが、押圧板Dが規制板2、3の近くにまで達した時点で、同図(C)に示すように、カムフォロワピン6の前方方向への移動が規制板2、3の切欠き2b、3bで規制されると共に、カムフォロワピン6がピンガイド体7のガイド溝7a、7aに支持されているため、回動方向への移動が規制され、カムフォロワピン6は前方方向への移動及び回動方向への移動が規制されることになり、これにより駆動カム1の回動が阻止される。
【0023】
また、押圧板Dを用いて規制板2、3の双方またはいずれか一方を回動させても駆動カム1が回動することはない。即ち、図26(A)に示すように、駆動カム1及び規制板2、3が初期状態のときには、カムフォロワピン6は規制板2、3の切欠き2b、3bとは干渉しない位置にあるので、規制板2、3を押圧板Dで押して回動させても、同図(B)に示すように、規制板2、3のみが回動するだけで、駆動カム1には何ら力が加わらず静止したままの状態が保たれる。
【0024】
このように、上記した安全スイッチでは、アクチュエータ102の凹部押圧面121aと凸部押圧面121b、121bで、駆動カム1とその両側の規制板2、3をほぼ同時に押したときに限って、駆動カム1が回動してスイッチ部112に内蔵の接点ブロック9の接続接点が切り換わるため、ドライバ等の先端が平坦なものを操作部111に差し込んで駆動カム1を回動させようとしても、駆動カム1の回動を阻止して動作部111が動作することを阻止できる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アクチュエータ102の操作部111への進入により、部屋内の機械が駆動可能な状態となり、扉103の開放によりアクチュエータ102が操作部111から抜けたときに元の状態に復帰して機械への電源供給がオフされ、部屋内への作業者の出入りが可能になるものの、部屋内に作業者が入っているにも拘わらず、第三者がそれに気づかずに扉103を閉めた場合には、アクチュエータ102が操作部111に進入して再び部屋内の機械が駆動可能な状態になり、部屋内に作業者が閉じ込められてしまうという事態を招くおそれがある。
【0026】
つまり、上記した従来の安全スイッチでは、アクチュエータ102が操作部111に進入しているか否かによって、部屋内の産業機械への電源供給をオンするかオフするかの制御を行うようにしているため、このような事態が起こり得るのである。
【0027】
この発明が解決しようとする課題は、作業者が危険ゾーンにいる状態で、扉の閉塞等により誤って産業機械に電源が供給されることを阻止し、かつ作業者が危険ゾーンに閉じ込められることを防止できるようにすることにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、本発明は、アクチュエータがスイッチ本体の操作部に進入し、これに応じてスイッチ部の操作ロッドが移動することにより接続接点が切り換わって主回路の開閉を制御する安全スイッチにおいて、周面に係止段部が形成され前記アクチュエータの進入・後退に応じて回動する駆動カムを前記操作部に設け、ロック位置またはアンロック位置に択一的に切り換わる切換部と、前記切換部を切り換え操作するために前記切換部に着脱自在に装着され前記切換部のアンロック位置では前記切換部から取り外し可能になる操作体と、前記アクチュエータが進入状態のときに、前記切換部のロック位置への切り換えに連動して前記係止段部に係止し前記駆動カムを回動不能にして前記アクチュエータの後退を阻止し、前記切換部のアンロック位置への切り換えに連動して前記係止段部から脱離し前記駆動カムを回動可能にして前記アクチュエータの後退を可能にするロック体と、から成る主ロック機構を前記スイッチ本体に並設すると共に、前記切換部がロック位置にある状態のときに外部から与えられるトリガによって動作する駆動部と、前記主回路に前記接続接点と共に直列に設けられた補助接点と、前記駆動部の非動作時には前記切換部をロック位置に保持して前記補助接点の閉を保持し、前記駆動部の動作時には前記切換部のアンロック位置への切り換えを可能にして前記補助接点を開にする作動体と、から成る補助ロック機構を前記スイッチ本体に並設し、前記補助ロック機構の前記駆動部が非動作状態で、前記主ロック機構の前記切換部がロック位置にあり、かつ前記アクチュエータが進入状態にあることを条件に、前記主回路を閉路することを特徴としている。
【0029】
このような構成によると、例えば扉が開放されてアクチュエータが進入状態になく、作業者が産業機械の設置された危険ゾーンである部屋内に入っているにも拘わらず、誤って扉が閉まってアクチュエータが進入状態になったとしても、補助ロック機構の駆動部を非動作状態にして主ロック機構の切換部をロック位置に切り換えない限り、主回路が開いた状態であり、産業機械に電源が供給されることはない。
【0030】
従って、補助ロック機構の駆動部が非動作状態で、主ロック機構の切換部がロック位置にあり、かつアクチュエータが進入状態にあるときに限って主回路が閉路するため、作業者が危険ゾーンにいる状態で、扉の閉塞等により誤って産業機械に電源が供給されたり、作業者が危険ゾーンに閉じ込められたりすることを防止できる。
【0031】
また、本発明は、前記アクチュエータが進入状態にないときには、前記ロック体を拘束して前記切換部のアンロック位置からロック位置への切り換えを阻止する拘束手段を設けたことを特徴としている。
【0032】
こうすれば、例えば扉が閉まってアクチュエータが進入状態にならない限り、拘束手段によりロック体が拘束されて切換部のロック位置への切り換えが阻止される。そのため、例えば作業者が危険ゾーンである部屋内にいる状態で、誤って扉が閉まりアクチュエータが進入状態になったとしても、主ロック機構の操作体を切換部から取り外している限り、操作体を切換部に装着して切換部をアンロック位置からロック位置に切り換えることはできず、アクチュエータが進入状態になったとしても直ちに主回路が閉路することはなく、作業者の安全性は確保される。
【0033】
また、本発明は、前記操作体がキーから成り、前記切換部が、前記キーが挿入されるキー挿入部と、このキー挿入部に挿入された前記キーを回動することにより回転する操作カムと、前記操作カムに形成されたカム溝と、このカム溝に嵌挿した嵌挿ピンと、付勢手段により前記アクチュエータの後退方向に付勢され前記操作カムの回転に伴う前記嵌挿ピンの動きに連動して前記付勢手段に抗してロック位置からアンロック位置に移動する移動体と、により構成されていることを特徴としている。
【0034】
このようにすれば、操作体がキーから成ることから取り扱いが容易で、切換部のキー挿入部にキーを挿入して回動するだけで、切換部の移動体の切り換え操作を非常に簡単に行える。また、キー毎に形状を変えてキーの互換性をなくしておけば、特定の形状を有する作業者しか危険ゾーンに出入りすることできなくなるため、作業者の限定及び装置の誤動作防止といったセキュリティ面を強化することが可能になる。
【0035】
また、本発明は、前記補助ロック機構の前記駆動部が、前記トリガにより励磁されるソレノイドから成り、前記補助ロック機構の前記作動体が、このソレノイドの励磁により吸引されて移動しソレノイドの励磁解除により付勢手段によって付勢されて復帰するプランジャから成り、前記操作カムにこのプランジャの先端が挿脱自在に嵌挿する凹部を形成し、前記プランジャの先端の凹部への嵌挿により、前記操作カムの回転を阻止して前記移動体をアンロック位置に保持し、前記プランジャの吸引によって前記プランジャの先端が前記凹部から脱離して前記操作カムの回転を可能にすることを特徴としている。
【0036】
こうすると、プランジャの先端が凹部に嵌挿することにより、操作カムの回転が阻止されて移動体がアンロック位置に保持されるため、操作体がキーか成る場合に、この状態では主ロック機構の操作体を切換部に装着しても操作体を回動できず、移動体をロック位置に切り換えることができない。従って、例えば扉が誤って閉まりアクチュエータが進入状態になっても、ソレノイドの励磁によりプランジャを吸引してプランジャの先端が操作カムの凹部から脱離させない限りは、移動体をロック位置に切り換えることができず、アクチュエータが進入状態になったとしても直ちに主回路が閉路することはない。
【0037】
また、本発明は、前記操作体が、前記主回路以外のシステムの駆動操作にも使用されるものあることを特徴としている。こうすれば、例えば危険ゾーンである部屋内に主回路以外の別システムが設けられているような場合等に、主ロック機構の操作体を切換部から取り外して部屋内に入り、その操作体を使ってその別システムを駆動操作することができ、危険ゾーン内に設けられた別システムであってもその点検作業等を安全に行うことが可能になる。
【0038】
また、本発明は、前記トリガが、手動操作または制御装置により、前記主回路に接続される電気機器の動作停止を条件に与えられるものであることを特徴としている。この場合、電気機器の動作が停止した後でなければ、補助ロック機構の駆動部を動作状態にして主ロック機構の切換部をアンロック位置に切り換えて、主ロック機構のロック体によりアクチュエータを後退可能にする(例えば部屋の扉を開放する)ことはできないため、電気機器の動作中に作業者が危険ゾーン内に入ることを防止できる。
【0039】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態について図1ないし図13を参照して説明する。但し、図1ないし図3はそれぞれ異なる状態における斜視図、図4は平面図、図5はカバーを除去した状態での平面図、図6はロック体の斜視図、図7はロック機構本体のカバーを除去した平面図、図8はロック機構本体の平面図、図9はロック機構本体のカバーの底面図、図10ないし図13はロック機構本体のカバーを除去したときのそれぞれ異なる状態における平面図である。
【0040】
本実施形態における安全スイッチは、上記した従来のものとほぼ同様に、危険ゾーンである部屋内に設置される産業機械に電気的に接続されるスイッチであり、スイッチ本体200と、このスイッチ本体200に並設された主ロック機構211及び補助ロック機構212から成るロック機構本体210と、アクチュエータ220とにより構成される。
【0041】
このとき、スイッチ本体200及びロック機構本体210は、従来のものと同様、部屋の出入口周縁の壁面に固着され、またアクチュエータ220は扉230に固着される。そのアクチュエータ220の位置はスイッチ本体200の挿入孔201a、201bのうち一方の挿入孔201aに対向する位置で、扉230を閉鎖した状態のときにスイッチ本体200の操作部202内に進入する。
【0042】
そして、アクチュエータ220が進入状態で、補助ロック機構212の後述する駆動部が非動作状態で、かつ主ロック機構211がロック位置にあれば、スイッチ本体200のスイッチ部203に内蔵の接点ブロック9の接続接点が閉に切り換わり、主回路が閉状態になり部屋内の機械への電源が供給されて機械が駆動可能な状態となる。一方、補助ロック機構212の駆動部が動作状態か、主ロック機構211がアンロック位置にあるか、扉230の開放によりアクチュエータ220が操作部202から抜けるかのいずれかの場合には、主回路が開状態になり、機械への電源が遮断される。
【0043】
ところで、アクチュエータ220は、従来のものと同様、図3に示すように、操作部202への挿入部が先端部の押圧片221とこれを支持する一対の支持片222、223によって構成される。その押圧片221には、両端部に位置する凸部押圧面221b、221bと、この間に位置する凹部押圧面221aが形成されている。
【0044】
また、スイッチ本体200の操作部202及びスイッチ部203は、基本的には従来とほぼ同様の構成である。操作部202は、駆動カム1、その両側に配設された規制板2、3、これらを支承するカムシャフト4、規制板2、3を付勢するねじりコイルばね5、カムフォロワピン6等により構成され、駆動カム1の回動によりカムフォロワピン6が移動する。これに伴い、スイッチ部203の操作ロッド8が前進・後退して、スイッチ部203の接点ブロック9の接続接点が閉・開に切り換わる。更に、アクチュエータ220の操作部202への進入により、駆動カム1と規制板2、3がほぼ同時に押されたときに限り、駆動カム1が回動する。
【0045】
このように、操作部202、スイッチ部203は従来のものとほぼ同様に動作するため、これらに関する重複説明は省略することとし、以下では本実施形態の操作部202及びスイッチ部203をはじめ、従来と相違する点について主として説明する。
【0046】
図5に示すように、操作部202には、主ロック機構211の一部を成すロック体240が設けられている。このロック体240は、駆動カム1を回動不能にしてアクチュエータ220の後退を阻止し(引き抜き不能)、主ロック機構211の切換部250のアンロック位置への切り換えに連動して駆動カム1を回動可能にしてアクチュエータ220の後退を可能(引き抜き可能)にする。
【0047】
そして、ロック体240は、駆動カム1及び両規制板2、3の上方位置に配設され、図6に示すように、支持片241と、この支持片241の両端部に下方への屈曲によって形成された係合片242、242と、支持片241に一体形成された平面視コ字状の係止片243とにより構成されている。このような支持片241の一方の係合片242は、操作部202の支持枠11に形成された凹所11a内に配設され、後に詳述する主ロック機構211の移動体の一部が凹所11a内において一方の係合片242内に係合している。
【0048】
次に、ロック機構本体210の主ロック機構211及び補助ロック機構212の構成について説明する。まず、主ロック機構211は、ロック位置またはアンロック位置に択一的に切り換わる上記した切換部250と、切換部250を切り換え操作するために切換部250に着脱自在に装着され切換部250のアンロック位置への切り換え時に切換部250から取り外し可能になる操作体260と、上記したロック体240とにより構成されている。
【0049】
続いて、補助ロック機構212は、切換部250のロック位置への切り換え時に外部から与えられるトリガによって動作する駆動部270と、スイッチ部203の接点ブロック9の接続接点と共に直列回路を構成して主回路に直列に設けられ駆動部270の非動作時及び動作時にそれぞれ閉、開する補助接点280と、駆動部270の非動作時には切換部250をロック位置に保持して補助接点280の閉を保持し、駆動部270の動作時には切換部250のアンロック位置への切り換えを可能にする作動体290とにより構成されている。
【0050】
詳細には、主ロック機構211の操作体260は、図2及び図3に明確に示されるように、ロック方向・アンロック方向に回動されるキーから成る。切換部250は、図7ないし図9に示すように、ロック機構本体210のカバー210aに設けられキー(操作体)260が挿入されるキー挿入部251と、第1カム252a及び第2カム252bとから成りこのキー挿入部251に挿入されたキー(操作体)260をロック方向またはアンロック方向に回動することにより回転する操作カムと、この操作カムの第2カム252bに形成されたカム溝253と、このカム溝253に嵌挿した嵌挿ピン254と、付勢手段であるばね255によりアクチュエータ220の後退方向に付勢され操作カムの第2カム252bの回転に伴う嵌挿ピン254の動きに連動してばね255に抗してロック位置からアンロック位置に移動(前進)する移動体256とにより構成されている。
【0051】
ここで、ばね255は、図7に示すように、小室210c内において移動体256のロッド256aに巻装され、その両端が仕切壁210dと作用体256bに係止しており、これにより作用体256b及びロッド256aをアンロック位置の方向(アクチュエータ220の後退方向)に付勢している。
【0052】
ここで、操作カムの第1カム252aは、図9に示すように、キー挿入部251のカバー211aの裏面側に設けられ、キー(操作体)260の回動に連動して回動するようになっており、この第1カム252aの下面には凹部252cが形成されている。第2カム252bは、図7に示すように、その上面に凹部252cに嵌挿する凸部252dが形成され、これら凹部252cと凸部252dとの係合により、第1カム252aに連動して第2カム252bが回動する。
【0053】
また、図7に示すように、カム溝253は第2カム252bの上面に形成され、その一端部にはピン係止部253aが形成され、移動体256がアンロック位置にあるときに、嵌挿ピン254がこのピン係止部253aに係止する。
【0054】
更に図7に示すように、移動体256はロッド256aとこのロッド256aに直交して取り付けられた作用体256bと、後述するU字体256cとから成る。このロッド256aは、ロック機構本体210内を大室210bと小室210cとに仕切る仕切壁210dを貫通して小室210c内に配設され、両端部がその長尺方向に移動可能に支持されてロック位置とアンロック位置とに切り換わり、大室210b内に導出されたロッド256aの一端側に上記した嵌挿ピン254が取り付けられ、小室210c内におけるロッド256aの他端側に作用体256bが取り付けられている。
【0055】
ところで、作用体256bの一端には、拘束手段としてのU字体256cが一体形成され、このU字体256cがロック機構本体210の壁面を貫通してスイッチ本体200内まで導入され、このU字体256cに、上記したロック体240の一方の係合片242の下端部が嵌挿している。これにより、アクチュエータ220が引き抜かれて進入状態にないときには、移動体256のアンロック位置からロック位置への移動(後退)を阻止すべくロック体240が拘束される。
【0056】
即ち、移動体256がロック位置へ移動(後退)すると、ロック体240の一方の係合片242の下端部がU字体256cによって後退方向へ付勢され、これによりロック体240は支持片241を回転軸として係止片243側が駆動カム1及び規制板2、3に接近する方向に回転し、係止片243が駆動カム1及び規制板2、3の小径部分の周面に各々形成された係止段部1d及び2c、3c(図22(B)、図23参照)に係止可能になり、アクチュエータ220の後退を阻止すべく駆動カム1及び規制板2、3の回動が阻止される。
【0057】
一方、主ロック機構211の移動体256がアンロック位置へ移動(前進)すると、ロック体240の一方の係合片242の下端部がU字体256cによって先程とは逆の前進方向に付勢され、これによりロック体240は支持片241を回転軸として係止片243側が駆動カム1及び規制板2、3から離れる方向に回転し、係止片243が駆動カム1及び規制板2、3の係止段部1d及び2c、3cから脱離して駆動カム1及び規制板2、3が回動可能になり、アクチュエータ220の後退が可能になる。
【0058】
このように、ロック体240の一方の係合片242がU字体256cに嵌挿しているため、キー(操作体)260が取り外されている状態で、アクチュエータ220が進入状態にない状態であれば、キー(操作体)260が挿入されてロック方向へ回動されることで移動体256がアンロック位置からロック位置へ移動(後退)しようとしたときに、U字体256cによりロック体240の一方の係合片242の下端部が後退方向に付勢される。その結果、支持片241を回転軸として係止片243が駆動カム1及び規制板2、3に接近する方向に回転し、係止片243が駆動カム1及び規制板2、3の大径部分の周面に当接してそれ以上のロック体240の回転が不可能になり、ロック体240が拘束されて移動体のアンロック位置からロック位置への移動が阻止されるのである。つまり、キー(操作体)260を回動することができない状態になる。
【0059】
また、補助ロック機構212の駆動部270は、外部からのトリガにより励磁されるソレノイドから成り、補助ロック機構212の作動体290は、このソレノイド(駆動部)270の励磁により吸引されて付勢手段であるばね291に抗して移動(前進)しソレノイド(駆動部)270の励磁解除によりばね291によって付勢されて復帰(後退)するプランジャから成る。尚、ばね291によるプランジャ(作動体)290の付勢方向は、プランジャ(作動体)290の先端が操作カムの第1カム252aに接近する方向(後退方向)と同じである。また、上記したように主回路に直列に設けられた補助接点280は、ソレノイド(駆動部)270の励磁(動作時)及び励磁解除(非動作時)にそれぞれ開、閉する。
【0060】
このとき、ソレノイド(駆動部)270の励磁が解除されると、キー(操作体)260のロック方向への回動による第1カム252aの回転により、プランジャ(作動体)290先端が第1カム252aの大径部分から小径部分への摺接に移行するのに伴って、ばね291の付勢によりプランジャ(作動体)290がもとの後退位置まで復帰する。
【0061】
ところで、ソレノイド(駆動部)270を励磁するための外部からのトリガは、作業者の手動操作に基づく電気信号、或いは図示しない制御装置のシーケンスによる電気信号として与えればよく、少なくとも主回路に接続されている産業機器の電源が遮断されて動作が停止したことを条件に与えるようにする。
【0062】
更に、プランジャ(作動体)290の先端には突部292が形成され、この突部292は、操作カムの第1カム252aに形成された突起252e(図9参照)に係脱自在に係合する。
【0063】
このとき、キー挿入部251に挿入されたキー(操作体)260がロック方向に回動されたときに、プランジャ(作動体)290先端が操作カムの第1カム252aの周面を摺動してやがて突部292が突起252eに係合し、これにより第1カム252aの回転が阻止されてキー(操作体)260のアンロック方向への回動が阻止され、移動体256はロック位置に保持されるようになっている。このロック状態を解除するには、ソレノイド(駆動部)270を励磁してプランジャ(作動体)290を吸引し、プランジャ(作動体)290先端の突部292の突起252eとの係合状態を解除すればよい。
【0064】
次に、動作について説明する。いま、図1に示すように、扉230が閉まってアクチュエータ220がスイッチ本体200の操作部202に進入し、主ロック機構211のキー(操作体)260がキー挿入部251に挿入されてロック方向の回動されていると、この状態では、アクチュエータ220の進入により駆動カム1及び両規制板2、3が回動して操作ロッド8が前進し、スイッチ部203の接点ブロック9の接続接点は閉状態になる。このときに、ソレノイド(駆動部)270が励磁されていなければ(非動作)、補助接点280は閉状態にあるため、主回路は閉路して主回路に接続された産業機器に電源が供給され、産業機器は動作する。このように機器が動作している状態を、以下では状態▲1▼と称する。
【0065】
この状態▲1▼では、図10に示すように、主ロック機構211の移動体256がロック位置に移動(後退)しているため、ロック体240の一方の係合片242の下端部がU字体256cによって後退方向へ付勢され、これによりロック体240は支持片241を回転軸として係止片243側が駆動カム1及び規制板2、3に接近する方向に回転し、係止片243が、駆動カム1及び規制板2、3の係止段部1d及び2c、3cに係止する。
【0066】
そのため、アクチュエータ220を引き抜こうとすると、係止片243と駆動カム1及び規制板2、3の係止段部1d及び2c、3cとの係止により、駆動カム1及び規制板2、3の回動が阻止され、アクチュエータ220を引き抜くことは不可能になる。
【0067】
また、状態▲1▼では、プランジャ(作動体)290先端の突部292が突起252eに係合しているため、操作カムの第1カム252aの回転が阻止されてキー(操作体)260のアンロック方向への回動が阻止され、移動体256はロック位置に保持されることになる。
【0068】
そして、状態▲1▼からソレノイド(駆動部)270が励磁されると、図11に示すようにプランジャ(作動体)290が吸引されてばね291に抗して前進し、プランジャ(作動体)290先端の突部292の突起252eとの係合状態が解除される。このとき、ソレノイド(駆動部)270の励磁によるプランジャ(作動体)290の前進によって補助接点280は開状態となる。このようにソレノイド(駆動部)270の励磁状態を、以下では状態▲2▼と称する。
【0069】
続いて、状態▲2▼において、キー(操作体)260をアンロック方向に回動すると、図12に示すように、操作カムの第1、第2カム252a、252bが回転してカム溝253に沿って嵌挿ピン254が移動し、これに伴い移動体256がばね255に抗して前進し、その後嵌挿ピン254はピン係止部253aに係止する。このようにキー(操作体)260をアンロック方向に回動した状態を、以下では状態▲3▼と称する。
【0070】
一方、移動体256の前進によって、ロック体240の一方の係合片242の下端部がU字体256cにより前進方向に付勢され、ロック体240は支持片241を回転軸として係止片243側が駆動カム1及び規制板2、3から離れる方向に回転し、係止片243が駆動カム1及び規制板2、3の係止段部1d及び2c、3cから脱離して駆動カム1及び規制板2、3が回動可能になり、扉23を開いてアクチュエータ220を引き抜くことが可能になる。このようにアクチュエータ220を引き抜いた状態を、以下では状態▲4▼と称する。
【0071】
この状態▲4▼では、アクチュエータ220が進入状態にないため、キー(操作体)260を挿入後ロック方向に回動しようとしても、キー(操作体)260の回動により移動体256がロック位置へ後退しようとするものの、その際にU字体256cによりロック体240の一方の係合片242の下端部が後退方向へ付勢され、ロック体240は支持片241を回転軸として係止片243側が駆動カム1及び規制板2、3に接近する方向に回転し、係止片243が駆動カム1及び規制板2、3の大径部分の周面に当接することから、ロック体240はそれ以上回転することが不可能になり、ロック体240が拘束されて移動体256のロック位置への後退が阻止され、キー(操作体)260を回動させることができなくなる。
【0072】
次に、状態▲4▼においてソレノイド(駆動部)270の励磁が解除されると、図13に示すように、プランジャ(作動体)290がばね291により付勢されて後退方向に移動しようとするが、その先端が操作カムの第1カム252aの周面に当接するためにプランジャ(作動体)290の後退は阻止され、補助接点280は開状態に保持される。このようにプランジャ(作動体)290の後退阻止により補助接点280が開に保持された状態を、以下では状態▲5▼と称する。
【0073】
そして、状態▲5▼において、扉230が閉まってアクチュエータ220が操作部202に進入すると、駆動カム1及び規制板2、3が回動して操作ロッド8が前進して接点ブロック9の接続接点が閉状態となる。一方、駆動カム1及び規制板2、3の回動により、ロック体240の係止片243は駆動カム1及び規制板2、3の小径部分の周面上に位置し、ロック体240が回転可能な状態になる。このようにロック体240が回転可能な状態を、以下では状態▲6▼と称する。
【0074】
その後、状態▲6▼において、キー(操作体)206をキー挿入部251に挿入してロック方向に回動すれば、ソレノイド(駆動部)270が励磁解除されていることから、キー(操作体)260のロック方向への回動による第1カム252aの回転により、プランジャ(作動体)290先端が第1カム252aの大径部分から小径部分への摺接に移行するのに伴って、ばね291の付勢によりプランジャ(作動体)290がもとの後退位置まで復帰し、補助接点280が閉状態に切り換わって主回路は閉路して主回路に接続された産業機器に電源が供給され、上記した状態▲1▼に戻る。
【0075】
このように、上記した安全スイッチは、補助ロック機構212のソレノイド(駆動部)270が励磁解除(非動作)状態で、主ロック機構211の切換部250がロック位置の状態にあり、かつアクチュエータ220が進入状態にあるときに限って主回路が閉路するのである。
【0076】
そのため、扉230が開いてアクチュエータ220が進入状態にないときに、作業者が部屋内に入っているにも拘わらず、誤って扉230が閉まってアクチュエータ220が進入状態になったとしても、そのときに主ロック機構211のキー(操作体)260を取り外していれば、キー(操作体)260を再びキー挿入部251に挿入し、補助ロック機構212のソレノイド(駆動部)270を励磁解除(非動作)してキー(操作体)260をロック方向に回動しない限りは、主回路が閉路して産業機械に電源が供給されることはない。
【0077】
また、キー(操作体)260は取り外していればアンロック位置であり、ロック体240が解放状態(駆動カム1及び規制板2、3が回動した状態)であるため、扉230が閉じたとしてもロック状態(扉230が開かない状態)にならず、再び扉230を開くことができ、作業者が部屋内に閉じこめられることを防止できる。
【0078】
従って、上記した実施形態によれば、補助ロック機構212のソレノイド(駆動部)270が励磁解除(非動作)状態で、主ロック機構211の切換部250がロック位置にあり、かつ扉230が閉まってアクチュエータ220が進入状態にあるときに限って主回路が閉路するため、作業者が部屋内(危険ゾーン内)にいるときに、扉230の閉塞により誤って産業機械に電源が供給されたり、作業者が部屋(危険ゾーン)に閉じ込められたりすることを防止できる。
【0079】
また、例えば扉230が閉まってアクチュエータ220が進入状態にならない限り、切換部250のロック位置への切り換えを阻止してキー(操作体)260の回動を阻止できるため、作業者が部屋内(危険ゾーン内)にいる状態で、誤って扉230が閉まりアクチュエータ220が進入状態になったとしても、主回路は開いたままである。この場合、扉230を閉めてアクチュエータ220を進入させた後でなければ、キー(操作体)260をロック方向に回動できず、主回路を閉路するための一連の操作手順が一義的に限定され、一定の手順通りに操作しなければ主回路を閉路することができないこととなり、より安全性が高くなる。
【0080】
なお、本発明の他の実施形態として、図14に示すように、操作カムの第1カム252aの周面に、プランジャ(作動体)290先端の突部292が挿脱自在に嵌挿する凹部252fを形成してもよい。この場合、突部292の凹部252fへの嵌挿により、操作カムの回転つまりキー(操作体)260の回動を阻止して移動体256をアンロック位置に保持することが可能になり、ソレノイド(駆動部)270の励磁によるプランジャ(作動体)290の吸引によって、プランジャ(作動体)290先端の突部292が凹部252fから脱離し、操作カムの回転つまりキー(操作体)260の回動が可能になる。
【0081】
従って、図14の構成では、ソレノイド(駆動部)270を励磁しない限りは、キー(操作体)260の回動が阻止され、キー(操作体)260をロック方向に回動することができないため、安全性をいっそう向上することが可能になる。
【0082】
また、上記した実施形態におけるキー(操作体)260を、上記した部屋内の産業機器に電源供給するための主回路の開閉用だけでなく、これ以外のシステムの駆動操作に兼用できるようにしてもよい。このようにすると、例えば危険ゾーンである部屋内に別システムが設けられているような場合に、主ロック機構211のキー(操作体)260を取り外して部屋内に入り、その別システムの点検作業等を安全に行うことができる。
【0083】
更に、上記した実施形態では、作用体256bに拘束手段としてのU字体256cを一体形成し、ロック体240を拘束して移動体256のアンロック位置からロック位置への移動(後退)を阻止するようにした場合について説明したが、このようなU字体256cは必ずしも必要ではなく、図15に示すように、作用体256bの一端部をスイッチ本体200の凹所11a内に導入してロック体240の一方の係合片242の下端部に係合し、移動体256のロック位置からアンロック位置への移動(前進)時にだけ一方の係合片242の下端部を前進方向へ付勢するようにしても構わない。
【0084】
このとき、図15に示すように、駆動カム1の形状として、図12における大径部分の盛り上がりをなくしておくことにより、ロック体240の係止片243が駆動カム1の大径部分の周面に当接しないようにでき、これによりアクチュエータ220の進入、後退に関係なく、キー(操作体)260をロック方向、アンロック方向のいずれにも回動させることが可能になり、主回路を閉路するための一連の操作手順が一義的に限定されることがない。
【0085】
また、図12において、駆動カム1の形状を、図15に示すように大径部分の盛り上がりをなくせば、この場合もロック体240の係止片243が駆動カム1の大径部分の周面に当接しないようにして、アクチュエータ220の進入、後退に関係なく、キー(操作体)260をロック方向、アンロック方向のいずれにも回動させることができる。
【0086】
更に、上記した実施形態では、駆動カム1とほぼ同時に押したときにのみ操作ロッド8を前進させることができるように、駆動カム1の両側に規制板2、3を設けた場合について説明したが、必ずしもこのような規制板2、3は必要ではなく、スイッチ本体200の操作部202には駆動カム1のみが設けられている場合であっても、本発明を同様に実施することができるのは勿論である。
【0087】
また、上記した実施形態では、主ロック機構211の操作体260をキーにより構成し、切換部250をキー挿入部251、第1、第2カム252a、252bから成る操作カム、第2カム252bに形成されたカム溝253、嵌挿ピン254及びばね255により付勢された移動体256により構成した場合について説明したが、特にこのような構成に限定されるものではなく、少なくとも切換部は、ロック位置またはアンロック位置に択一的に切り換わる構成であり、操作体は、この切換部を切り換え操作するために切換部に着脱自在に装着され切換部のアンロック位置への切り換え時に切換部から取り外し可能になるような構成であればよい。
【0088】
更に、上記した実施形態では、補助ロック機構212の駆動部270をソレノイド、作動体290をこのソレノイドの励磁により吸引されるプランジャによりそれぞれ構成した場合について説明したが、これら駆動部270及び作動体290はソレノイド、プランジャに各々限定されるものではないのはいうまでもなく、要するに駆動部は、主ロック機構の切換部のロック位置への切り換え時に外部から与えられるトリガによって動作するもので、作動体は、この駆動部の非動作時に切換部をロック位置に保持して補助接点の閉を保持し、駆動部の動作時に切換部のアンロック位置への切り換えを可能にするものであればよい。
【0089】
また、危険ゾーンは、上記した特定の部屋に限定されるものではなく、扉等の開閉体により仕切られたスペースであって産業機械等の電気設備が設置される可能性のあるところであれば、本発明を同様に適用して上記した実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0090】
更に、上記した実施形態では、拘束手段としてU字体252cを移動体256の作用体252bに一体形成したが、拘束手段としてはこのようなU字体256c以外に、少なくともアクチュエータが進入状態にないときに、ロック体を拘束して切換部のアンロック位置からロック位置への切り換えを阻止し得る構成であればよい。具体的には、ロック体240の一方の係合片242に形成した孔に作用体252bの一部を挿入する構成により実現することができる。
【0091】
また、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0092】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、補助ロック機構の駆動部が非動作状態で、主ロック機構の切換部がロック位置にあり、かつアクチュエータが進入状態にあるときに限って主回路が閉路するため、作業者が危険ゾーンにいる状態で、扉の閉塞等により誤って産業機械に電源が供給されたり、作業者が危険ゾーンに閉じ込められたりすることを防止でき、危険ゾーンにおける作業者の安全確保をより確実に行うことが可能になる。
【0093】
また、請求項2に記載の発明によれば、作業者が危険ゾーンである部屋内にいる状態で、誤って扉が閉まりアクチュエータが進入状態になったとしても、主ロック機構の操作体を切換部から取り外している限り、操作体を切換部に装着して切換部をアンロック位置からロック位置に切り換えることはできず、アクチュエータが進入状態になったとしても直ちに主回路が閉路することはなく、安全性を確保できる。
【0094】
また、請求項3に記載の発明によれば、操作体がキー形状を有することから取り扱いが容易で、切換部の挿入孔にこのキー形状の操作体を挿入して回動するだけで、切換部の移動体の切り換え操作を非常に簡単に行うことができる。また、操作体毎に形状を変えてキーの互換性をなくしておけば、特定の形状を有する作業者しか危険ゾーンに出入りすることできなくなるため、作業者の限定及び装置の誤動作防止といったセキュリティ面を強化することが可能になる。
【0095】
また、請求項4に記載の発明によれば、扉が誤って閉まりアクチュエータが進入状態になっても、ソレノイドの励磁によりプランジャを吸引してプランジャの先端が操作カムの凹部から脱離させない限りは、移動体をロック位置に切り換えることができず、アクチュエータが進入状態になったとしても直ちに主回路が閉路することを防止できる。
【0096】
また、請求項5に記載の発明によれば、例えば危険ゾーンである部屋内に主回路以外の別システムが設けられているような場合等に、主ロック機構の操作体を切換部から取り外して部屋内に入り、その操作体を使ってその別システムを駆動操作することができ、危険ゾーン内に設けられた別システムであってもその点検作業等を安全に行うことが可能になる。
【0097】
また、請求項6に記載の発明によれば、電気機器の動作が停止した後でなければ、補助ロック機構の駆動部を動作状態にして主ロック機構の切換部をアンロック位置に切り換えて、主ロック機構のロック体によりアクチュエータを後退可能にする(例えば部屋の扉を開放する)ことはできないため、電気機器の動作中に作業者が危険ゾーン内に入ることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態の斜視図である。
【図2】この発明の一実施形態の異なる状態での斜視図である。
【図3】この発明の一実施形態の更に異なる状態での斜視図である。
【図4】この発明の一実施形態の平面図である。
【図5】この発明の一実施形態のカバーを除去した平面図である。
【図6】この発明の一実施形態のロック体の斜視図である。
【図7】この発明の一実施形態のロック機構本体のカバーを除去した平面図である。
【図8】この発明の一実施形態のロック機構本体の平面図である。
【図9】この発明の一実施形態のロック機構本体のカバーの底面図である。
【図10】この発明の一実施形態のロック機構本体のカバーを除去したときの平面図である。
【図11】この発明の一実施形態のロック機構本体のカバーを除去したときのある状態における平面図である。
【図12】この発明の一実施形態のロック機構本体のカバーを除去したときの他の状態における平面図である。
【図13】この発明の一実施形態のロック機構本体のカバーを除去したときの異なる状態における平面図である。
【図14】この発明の他の実施形態のロック機構本体のカバーを除去した平面図である。
【図15】この発明の更に他の実施形態のロック機構本体のカバーを除去した平面図である。
【図16】この発明の背景となる例のある状態における斜視図である。
【図17】この発明の背景となる例のカバーを除去した平面図である。
【図18】この発明の背景となる例のカバーを切欠いた側面図である。
【図19】この発明の背景となる例の一部におけるカバーを切欠いた平面図である。
【図20】この発明の背景となる例の一部におけるカバーを切欠いた側面図である。
【図21】この発明の背景となる例の一部の中央縦断面図である。
【図22】この発明の背景となる例の他の一部の動作説明図である。
【図23】この発明の背景となる例の異なる一部の側面図である。
【図24】この発明の背景となる例の動作説明図である。
【図25】この発明の背景となる例の動作説明図である。
【図26】この発明の背景となる例の動作説明図である。
【符号の説明】
1 駆動カム
1d 係止段部
2、3 規制板
2b、3b 切欠き
6 カムフォロワピン
8 操作ロッド
9 接点ブロック
200 スイッチ本体
202 操作部
203 スイッチ部
210 ロック機構本体
211 主ロック機構
212 補助ロック機構
220 アクチュエータ
221 押圧片
221a 凹部押圧面
221b 凸部押圧面
222、223 支持片
230 扉
240 ロック体
250 切換部
251 キー挿入部
252a 第1カム(操作カム)
252b 第2カム(操作カム)
252f 凹部
253 カム溝
254 嵌挿ピン
255 ばね(付勢手段)
256 移動体
256a ロッド
256b 作用体
256c U字体(拘束手段)
260 操作体(キー)
270 駆動部(ソレノイド)
280 補助接点
290 作動体(プランジャ)
291 ばね(付勢手段)
292 段部

Claims (6)

  1. アクチュエータがスイッチ本体の操作部に進入し、これに応じてスイッチ部の操作ロッドが移動することにより接続接点が切り換わって主回路の開閉を制御する安全スイッチにおいて、
    周面に係止段部が形成され前記アクチュエータの進入・後退に応じて回動する駆動カムを前記操作部に設け、
    ロック位置またはアンロック位置に択一的に切り換わる切換部と、前記切換部を切り換え操作するために前記切換部に着脱自在に装着され前記切換部のアンロック位置では前記切換部から取り外し可能になる操作体と、前記アクチュエータが進入状態のときに、前記切換部のロック位置への切り換えに連動して前記係止段部に係止し前記駆動カムを回動不能にして前記アクチュエータの後退を阻止し、前記切換部のアンロック位置への切り換えに連動して前記係止段部から脱離し前記駆動カムを回動可能にして前記アクチュエータの後退を可能にするロック体と、から成る主ロック機構を前記スイッチ本体に並設すると共に、
    前記切換部がロック位置にある状態のときに外部から与えられるトリガによって動作する駆動部と、前記主回路に前記接続接点と共に直列に設けられた補助接点と、前記駆動部の非動作時には前記切換部をロック位置に保持して前記補助接点の閉を保持し、前記駆動部の動作時には前記切換部のアンロック位置への切り換えを可能にして前記補助接点を開にする作動体と、から成る補助ロック機構を前記スイッチ本体に並設し、
    前記補助ロック機構の前記駆動部が非動作状態で、前記主ロック機構の前記切換部がロック位置にあり、かつ前記アクチュエータが進入状態にあることを条件に、前記主回路を閉路することを特徴とする安全スイッチ。
  2. 前記アクチュエータが進入状態にないときには、前記ロック体を拘束して前記切換部のアンロック位置からロック位置への切り換えを阻止する拘束手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の安全スイッチ。
  3. 前記操作体がキーから成り、前記切換部が、前記キーが挿入されるキー挿入部と、このキー挿入部に挿入された前記キーを回動することにより回転する操作カムと、前記操作カムに形成されたカム溝と、このカム溝に嵌挿した嵌挿ピンと、付勢手段により前記アクチュエータの後退方向に付勢され前記操作カムの回転に伴う前記嵌挿ピンの動きに連動して前記付勢手段に抗してロック位置からアンロック位置に移動する移動体と、により構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の安全スイッチ。
  4. 前記補助ロック機構の前記駆動部が、前記トリガにより励磁されるソレノイドから成り、前記補助ロック機構の前記作動体が、このソレノイドの励磁により吸引されて移動しソレノイドの励磁解除により付勢手段によって付勢されて復帰するプランジャから成り、前記操作カムにこのプランジャの先端が挿脱自在に嵌挿する凹部を形成し、前記プランジャの先端の凹部への嵌挿により、前記操作カムの回転を阻止して前記移動体をアンロック位置に保持し、前記プランジャの吸引によって前記プランジャの先端が前記凹部から脱離して前記操作カムの回転を可能にすることを特徴とする請求項3に記載の安全スイッチ。
  5. 前記操作体が、前記主回路以外のシステムの駆動操作にも使用されるものあることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の安全スイッチ。
  6. 前記トリガが、手動操作または制御装置により、前記主回路に接続される電気機器の動作停止を条件に与えられるものであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の安全スイッチ。
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