JP4665001B2 - テレスコピック構造 - Google Patents

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Description

本発明は、伸縮自在に設けられた複数の筒体を有するテレスコピック構造に関する。
従来から、複数の筒体を有し、該筒体を長手方向に沿って相対的に伸縮させることによって長さを変更自在なテレスコピック構造が知られている。
このようなテレスコピック構造は、ベースフレームに対して昇降自在に設けられた昇降枠を備え、該昇降枠は、ミドル単位昇降枠及びトップ昇降枠とから構成されると共に、前記ミドル単位昇降枠の一側面には、2本のガイド突条が設けられ、ベースフレームに設けられた溝形ガイドに嵌合されて昇降自在に支持されている。また、ミドル単位昇降枠の一側面にはラックが設けられ、駆動モータの駆動作用下に回転駆動するピニオンが噛合されると共に、前記ミドル単位昇降枠の一側面に設けられた連動ピニオンが、前記トップ昇降枠に設けられたラックに噛合している。
そして、駆動モータによってピニオンを回転させることにより、ラックを介してミドル単位昇降枠が軸線方向に沿って変位すると共に、連動ピニオンを介してトップ昇降枠が軸線方向に沿って変位する。この際、ガイド突条及び溝形ガイドの嵌合によって前記トップ昇降枠及びミドル単位昇降枠が軸線方向に沿って案内される(例えば、特許文献1参照)。
特開平4−141341号公報
上述したテレスコピック構造では、トップ昇降枠及びミドル単位昇降枠を案内可能なガイド突条及び溝形ガイドが、前記ミドル単位昇降枠の一側面側に設けられ、前記トップ昇降枠及びミドル単位昇降枠を昇降自在なピニオン、連動ピニオン及びラックも同様に、前記ミドル単位昇降枠の一側面側に設けられている。すなわち、昇降枠の駆動手段とガイド手段は、いずれも同一側面側に集中的に配置されている。
そのため、トップ昇降枠及びミドル単位昇降枠からなる昇降枠に対して側方から応力が付与された際、ガイド突条及び溝形ガイドの正面側からの負荷に対しては、該ガイド突条及び溝形ガイド、ピニオン及びラック等で支持して前記昇降枠を含むテレスコピック構造の剛性が確保されているため、変形等の発生が抑制されるが、該ガイド突条及び溝形ガイド等の側方からの負荷に対しては何ら支持する手段を備えていないため、該応力によって変形等が生じてしまう懸念がある。
すなわち、このようなテレスコピック構造においては、駆動手段及びガイド手段が一方向にしか設けられていないため、応力が付与される方向によって剛性にばらつきが生じる。換言すれば、テレスコピック構造において均一な剛性が得られないという問題がある。
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、剛性を高めると共に、様々な方向からの応力に対しても均一な剛性を得ることが可能なテレスコピック構造を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、軸線方向に沿って伸縮自在に設けられた複数の筒体を有するテレスコピック構造において、
駆動部と、
断面多角形状に形成され、外筒と、該外筒の内部に収容可能な中筒と、該中筒の内部に収容可能な内筒の少なくとも3つ以上からなる筒体と、
前記駆動部の駆動作用下に前記筒体を互いに軸線方向に沿って伸縮動作させる動力伝達部と、
前記外筒、中筒及び内筒を互いに軸線方向に沿って変位自在に案内するガイド手段と、
を備え、
前記動力伝達部とガイド機構とが、前記筒体の中心を挟んで対向配置されることを特徴とする。
本発明によれば、断面多角形状に形成され、外筒と、該外筒の内部に収容可能な中筒と、該中筒の内部に収容可能な内筒の少なくとも3つ以上からなる筒体を互いに軸線方向に沿って伸縮動作させる動力伝達部と、前記外筒、中筒及び内筒を互いに軸線方向に沿って変位自在に案内するガイド手段とを備え、前記動力伝達部とガイド機構とを、前記筒体の中心を挟んで対向するように設けている。
従って、筒体に対して外部から応力が付与された場合に、互いに対向して配置された動力伝達部とガイド機構とで応力を受けることができるため、筒体を含むテレスコピック構造に対して様々な方向から応力が付与された場合でも、その剛性にばらつきが生じることがなく安定した剛性が得られ、その結果として、前記テレスコピック構造の剛性を向上させることができる。換言すれば、テレスコピック構造において均一な剛性が得られる。
また、動力伝達部及びガイド手段を複数設け、前記動力伝達部と前記ガイド手段とを、前記外筒、中筒及び内筒の周方向に沿って交互に設けることにより、前記外筒、中筒及び内筒に対して付与される応力を、前記動力伝達部及びガイド手段によってバランスよく受けることができる。そのため、テレスコピック構造における剛性の均一化が促進される。
さらに、動力伝達部は、中筒の側面に設けられ、回動自在に支持されたピニオンギアと、
外筒の側面に設けられ、該外筒の軸線方向に沿って延在すると共に、前記ピニオンギアに噛合される第1ラックと、
内筒に設けられ、該内筒の軸線方向に沿って延在すると共に、前記ピニオンギアに噛合される第2ラックと、
を備え、
前記第1及び第2ラックが、前記ピニオンギアを挟んで対向して設けられるとよい。これにより、駆動部の駆動作用下に中筒が軸線方向に沿って変位し、それに伴って、ピニオンギアが第1及び第2ラックと噛合した状態で回転しながら変位する。その結果、ピニオンギアの回転作用下に第1ラックと第2ラックとが相反する方向に変位し、外筒、中筒及び内筒を伸縮動作させることが可能となる。
さらにまた、ガイド手段には、外筒と中筒との間に設けられる第1ガイド部と、
前記中筒と内筒との間に設けられる第2ガイド部と、
を備えるとよい。
またさらに、第1及び第2ガイド部には、中筒及び内筒の外周面に設けられ、軸線方向に沿って延在するガイドレールと、
外筒及び中筒の内周面に設けられ、前記ガイドレールに臨むと共に該ガイドレールに係合されて軸線方向に沿って案内されるガイドと、
を備えるとよい。
本発明によれば、以下の効果が得られる。
すなわち、外筒、中筒及び内筒からなる筒体を互いに軸線方向に沿って伸縮動作させる動力伝達部と、前記外筒、中筒及び内筒を互いに軸線方向に沿って変位自在に案内するガイド手段とが、前記筒体の中心を挟んで対向するように設けられているため、前記筒体に対して外部から応力が付与された場合に、該応力を必ず動力伝達部及びガイド手段の組み合わせで受けることとなり、その結果、テレスコピック構造に対して様々な方向から応力が付与された場合でも、その剛性にばらつきが生じることがなく安定した剛性が得られると共に、前記テレスコピック構造の剛性を向上させることができる。
以下、本発明に係るテレスコピック構造の実施の形態を図1〜図6を参照しながら説明する。
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係るテレスコピック構造が適用されたワーク搬送装置を示す。なお、ここでは、車両用のエンジンを構成するシリンダブロックをワークWとして搬送する場合について説明する。
このワーク搬送装置10は、図1〜図6に示されるように、通電作用下に回転駆動する駆動部12と、該駆動部12の回転駆動力を直線方向への駆動力へと変換する駆動力変換部14と、前記駆動力変換部14から伝達される駆動力によって伸縮動作するテレスコピック機構16と、該テレスコピック機構16の端部に設けられ、ワークWを保持可能なワーク保持部18とを含む。
駆動部12は、例えば、ステッピングモータからなり、図示しないコントローラの制御作用下に回転駆動し、その駆動軸24がテレスコピック機構16側(矢印X1方向)へと突出し、駆動力変換部14に接続されている。これにより、駆動部12から出力された回転駆動力が駆動力変換部14へと伝達される。また、駆動部12は、取付部材20を介して基台22の上部に連結され、該取付部材20の内部に駆動軸24が挿通されている。
駆動力変換部14は、駆動部12の駆動軸24に接続される送りねじ軸26と、該送りねじ軸26を回転自在に保持する支持部材28と、前記送りねじ軸26に螺合される変位体30とを含む。
送りねじ軸26は、その一端部が連結ナット32を介して駆動軸24と接続され、駆動部12の回転作用下に一体的に回転する。この際、送りねじ軸26は、一端部側に設けられた支持部材28に挿通されることにより回転自在に支持される。
また、送りねじ軸26の外周面には、螺旋状にねじが刻設され、該ねじを介して円筒状の変位体30が螺合されている。すなわち、送りねじ軸26が駆動部12の駆動作用下に回転することにより、前記変位体30が軸線方向(矢印X1、X2方向)に沿って変位することとなる。
一方、送りねじ軸26の他端部には、該送りねじ軸26の外周面に対して半径外方向に突出したリング部材34が設けられている。
テレスコピック機構16は、基台22に固定される外筒(筒体)36と、該外筒36の内部に収容可能に設けられ、駆動力変換部14を構成する変位体30に連結される中筒(筒体)38と、該中筒38の内部に収容可能に設けられ、端部にワーク保持部18が接続される内筒(筒体)40と、前記外筒36、中筒38及び内筒40を互いに軸線方向(矢印X1、X2方向)に沿って案内するガイド機構(ガイド手段)42と、前記中筒38の変位作用下に前記外筒36及び内筒40を変位させる動力伝達部44とを含む。
外筒36は、例えば、管材等から断面六角形状に形成され、駆動部12側(矢印X2方向)となる一端部が基台22に対して固定される。この外筒36の内部には、その一端部側から送りねじ軸26が挿通されると共に、支持部材28の一部も挿入される。
また、外筒36には、平面状に形成された6つの第1〜第6壁部36a〜36fを有し、前記第1壁部36a、第3壁部36c及び第5壁部36eには、前記外筒36の他端部側に軸線方向に沿って開口した第1開口部46が形成される。第1開口部46は、外筒36の軸線方向に沿って所定長を有する長方形状に開口し、該外筒36の内部と外部とを連通している。この第1開口部46には、動力伝達部44を構成する第1ラック48が中筒38に臨むように設けられる。
この6つの第1〜第6壁部36a〜36fは、外筒36が断面六角形状に形成されているため、第1壁部36aと第4壁部36dとが対向し、第2壁部36bと第5壁部36eとが対向し、第3壁部36cと第6壁部36fとが対向するように形成されている。
さらに、外筒36における第2壁部36b、第4壁部36d及び第6壁部36fには、ガイド機構42を構成する第1ガイド50が中筒38に臨むようにそれぞれ設けられる。
中筒38は、外筒36と同様に、例えば、管材等から形成され、駆動部12側となる一端部が変位体30に対して連結される。この中筒38の内部には、その一端部側(矢印X2方向)から送りねじ軸26が挿通されている。
この中筒38は、外筒36の断面に対して小さな断面六角形状に形成され、平面状に形成された6つの第1〜第6壁部38a〜38fを有する。そして、中筒38が外筒36の内部に収容された際、前記外筒36の第1〜第6壁部36a〜36fと中筒38の第1〜第6壁部38a〜38fとが互いに等間隔離間するように設けられる(図4参照)。この6つの第1〜第6壁部38a〜38fは、中筒38が断面六角形状に形成されているため、第1壁部38aと第4壁部38dとが対向し、第2壁部38bと第5壁部38eとが対向し、第3壁部38cと第6壁部38fとが対向するように形成されている。
また、中筒38を構成する第1壁部38a、第3壁部38c及び第5壁部38eには、該中筒38の軸線方向(矢印X1、X2方向)に沿った中央部に動力伝達部44を構成するピニオンユニット52(後述する)が第2開口部58を介して設けられる。
さらに、中筒38における第2壁部38b、第4壁部38d及び第6壁部38fには、ガイド機構42を構成する第1ガイドレール56が外筒36に臨むようにそれぞれ設けられると共に、内筒40に臨むようにガイド機構42の第2ガイド60が設けられている。
内筒40は、外筒36及び中筒38と同様に、例えば、管材等から形成され、その他端部がワーク保持部18側(矢印X1方向)に対して連結される。この内筒40は、中筒38の断面に対して小さな断面六角形状に形成され、平面状に形成された6つの第1〜第6壁部40a〜40fを有する。そして、内筒40が中筒38の内部に収容された際、前記中筒38の第1〜第6壁部38a〜38fと内筒40の第1〜第6壁部40a〜40fとが互いに等間隔離間するように設けられる。この6つの第1〜第6壁部40a〜40fは、内筒40が断面六角形状に形成されているため、第1壁部40aと第4壁部40dとが対向し、第2壁部40bと第5壁部40eとが対向し、第3壁部40cと第6壁部40fとが対向するように形成されている。
内筒40を構成する第1壁部40a、第3壁部40c及び第5壁部40eには、動力伝達部44を構成する第2ラック62(後述する)が設けられる。
さらに、内筒40における第2壁部40b、第4壁部40d及び第6壁部40fには、ガイド機構42を構成する第2ガイドレール64が外筒36に臨むようにそれぞれ設けられている。
また、外筒36、中筒38及び内筒40の軸線方向(矢印X1、X2方向)に沿った長さは、該外筒36が最も長く形成され、前記中筒38、内筒40の順番で徐々に短く形成される。すなわち、外筒36は、中筒38及び内筒40を内部に収容可能な長さで形成され、前記中筒38は、その内部に前記内筒40を収容可能な長さで形成される。
上述した外筒36、中筒38及び内筒40は、詳細には、断面正六角形状に形成される。
ガイド機構42は、外筒36及び中筒38に設けられ、互いを軸線方向に沿って案内する第1ガイド部66と、前記中筒38及び内筒40に設けられ、互いを軸線方向に沿って案内する第2ガイド部68からなる。
第1ガイド部66は、外筒36に設けられ、中筒38に臨んだ複数の第1ガイド50と、前記中筒38に設けられ、前記第1ガイド50に係合される複数の第1ガイドレール56とを含む。この第1ガイド部66は、外筒36及び中筒38における第2壁部36b、38b、第4壁部36d、38d及び第6壁部36f、38fにそれぞれ設けられ、該第2壁部36b、38b、第4壁部36d、38d及び第6壁部36f、38fの中央部に対し、隣接する第3壁部36c、38c側、第5壁部36e、38e及び第1壁部36a、38a側にそれぞれオフセットするように配置されている。
第1ガイド50は、その側面に凹状に窪んだガイド溝70aを有するブロック体からなる。そして、第1ガイド50は、ガイド溝70aが外筒36の内側となるように第2壁部36b、第4壁部36d及び第6壁部36fの第2開口部58に設けられ、ブラケット72を介して前記第2壁部36b、第4壁部36d及び第6壁部36fの外部から固定されると共に、その一部が前記外筒36の内部に挿入されて露呈している。
第1ガイドレール56は、軸線方向に沿って所定長を有し、ガイド溝70aに応じて断面矩形状に形成され、中筒38における第2壁部38b、第4壁部38d及び第6壁部38fの外周面に固定される。この第1ガイドレール56は、第2壁部38b、第4壁部38d及び第6壁部38fから突出するように設けられ、第1ガイド50のガイド溝70aに対してそれぞれ挿通される。すなわち、第1ガイド50と第1ガイドレール56とは対で設けられ、この場合、外筒36及び中筒38において3対設けられて第1ガイド部66を構成している。
これにより、外筒36と中筒38とが第1ガイド50及び第1ガイドレール56によって互いに軸線方向(矢印X1、X2方向)に沿って案内される。
第2ガイド部68は、中筒38に設けられ、内筒40に臨んだ複数の第2ガイド60と、前記内筒40に設けられ、前記第2ガイド60に係合される複数の第2ガイドレール64とを含む。この第2ガイド部68は、中筒38及び内筒40における第2壁部38b、40b、第4壁部38d、40d及び第6壁部38f、40fにそれぞれ設けられ、前記第2壁部38b、40b、第4壁部38d、40d及び第6壁部38f、40fの中央部に対し、隣接する第1壁部38a、40a側、第3壁部38c、40c及び第5壁部38e、40e側にそれぞれオフセットするように配置されている。
換言すれば、第1及び第2ガイド部66、68は、第2壁部36b、38b、40b、第4壁部36d、38d、40d及び第6壁部36f、38f、40fの中央部に対してそれぞれ所定間隔離間するようにオフセット配置されている。
第2ガイド60は、その側面に凹状に窪んだガイド溝70bを有するブロック体からなる。そして、第2ガイド60は、ガイド溝70bが中筒38の内側となるように第2壁部38b、第4壁部38d及び第6壁部38fに設けられ、ボルト74を介して前記第2壁部38b、第4壁部38d及び第6壁部38fの外側から固定される。すなわち、第2ガイド60は、中筒38を構成する第2壁部38b、第4壁部38d及び第6壁部38fの内側に突出するように設けられている。
第2ガイドレール64は、軸線方向に沿って所定長を有し、ガイド溝70bに応じた断面矩形状に形成され、内筒40における第2壁部40b、第4壁部40d及び第6壁部40fの外周面に固定される。この第2ガイド部68は、第2壁部40b、第4壁部40d及び第6壁部40fから突出するように設けられ、第2ガイド60のガイド溝70bに対してそれぞれ挿通される。すなわち、第2ガイド60と第2ガイドレール64とは対で設けられ、この場合、中筒38及び内筒40において3対設けられて第2ガイド部68を構成している。
これにより、中筒38と内筒40とが第2ガイド60及び第2ガイドレール64によって互いに軸線方向(矢印X1、X2方向)に沿って変位自在に案内される。
すなわち、第1及び第2ガイド部66、68は、外筒36、中筒38及び内筒40の中心Aと第2壁部36b、38b、40b、第4壁部36d、38d、40d及び第6壁部36f、38f、40fの中央部とを通る仮想線L1、L2、L3を挟むように設けられている(図4参照)。
動力伝達部44は、外筒36、中筒38及び内筒40における第1壁部38a、40a、第3壁部38c、40c及び第5壁部38e、40eに設けられ、前記外筒36に設けられる第1ラック48と、前記内筒40に設けられる第2ラック62と、前記中筒38に設けられ、該第1及び第2ラック48、62に噛合されるピニオンギア76を有するピニオンユニット52とを含む。
すなわち、動力伝達部44は、図4に示されるように、外筒36、中筒38及び内筒40の第2壁部36b、38b、40b、第4壁部36d、38d、40d及び第6壁部36f、38f、40fに設けられたガイド機構42と向かい合うように設けられている。換言すれば、動力伝達部44は、外筒36、中筒38及び内筒40の中心Aを挟んでガイド機構42に対して略一直線上となるようにそれぞれ配置されている。
第1ラック48は、軸線方向に沿って所定長を有するブロック状に形成され、その一側面には歯部78aが刻設されている。そして、第1ラック48は、第1開口部46に臨むように外筒36の第1壁部36a、第3壁部36c及び第5壁部36eにそれぞれ設けられると共に、その歯部78aが、該第1開口部46を通じて中筒38と対峙するように設けられる。
第2ラック62は、第1ラック48と同様に、軸線方向に沿って所定長を有するブロック状に形成され、その一側面には歯部78bが刻設されている。そして、第2ラック62は、その歯部78bが、中筒38と対峙するように内筒40の第1壁部40a、第3壁部40c及び第5壁部40eにそれぞれ設けられる。すなわち、この第1及び第2ラック48、62は、互いの歯部78a、78bが対峙するように対向配置されている。
ピニオンユニット52は、中筒38の装着孔54に設けられ、一対の軸受80a、80bと、該軸受80a、80bにシャフト82を介して回転自在に軸支されるピニオンギア76とを有する。この軸受80a、80bは、装着孔54に対して互いに所定間隔離間して固定され、その軸線が中筒38の軸線と直交するように配設される。
ピニオンギア76は、一対の軸受80a、80bの間に設けられ、中央部に挿通されたシャフト82を介して前記軸受80a、80bに回転自在に支持される。このピニオンギア76は、外周面にギア歯84が形成され、中筒38の第1壁部38a、第3壁部38c及び第5壁部38eを通じて外筒36側に露呈するように設けられると共に、内筒40側にも露呈するように設けられる。そして、ピニオンギア76は、対向配置された外筒36の第1ラック48と内筒40の第2ラック62との間に配置され、前記第1ラック48の歯部78aに噛合されると共に、前記第2ラック62の歯部78bに噛合される。すなわち、動力伝達部44を構成する第1ラック48、第2ラック62及びピニオンギア76が、外筒36、中筒38及び内筒40の中心Aに向かってそれぞれ一直線上に配置される。
また、動力伝達部44は、外筒36、中筒38及び内筒40における第1壁部36a、38a、40a、第3壁部36c、38c、40c及び第5壁部36e、38e、40eに設けられ、前記外筒36、中筒38及び内筒40の第2壁部36b、38b、40b、第4壁部36d、38d、40d及び第6壁部36f、38f、40fに設けられたガイド機構42と対向するように配置されている。
ワーク保持部18は、テレスコピック機構16を構成する内筒40の他端部に設けられ、回転自在なホルダ86と、ベースプレート88を介して前記ホルダ86に連結されワークWを保持可能なハンド部90と、前記ホルダ86を介して前記ハンド部90を回転駆動させる回転駆動源92とを含む。
ホルダ86は、円柱状に形成され、プレート94を介して内筒40の他端部に回転自在に保持される。このホルダ86の上部には、回転駆動源92が設けられ、前記回転駆動源92は、例えば、ステッピングモータからなり、図示しないコントローラの制御作用下に回転駆動し、図示しない取付ブラケットを介して内筒40の他端部側に固定される。
また、ホルダ86の下端部には、ベースプレート88を介してハンド部90が設けられているため、回転駆動源92の回転作用下にホルダ86及びベースプレート88を介してハンド部90が回転駆動する。
ハンド部90は、ベースプレート88に対して開閉自在に設けられた一対の保持アーム96a、96bと、前記保持アーム96a、96bを前記ベースプレート88に沿って案内する一対のアームガイド98a、98bと、前記保持アーム96a、96bの開閉動作させるシリンダ100とを含む。
保持アーム96a、96bは、断面略T字状に形成され、その上部がアームガイド98a、98bに係合されて互いに接近・離間自在に設けられている。すなわち、ワークWを保持する際に、シリンダ100の駆動作用下に一対の保持アーム96a、96bがアームガイド98a、98bに沿って変位し、該保持アーム96a、96bでワークWを挟持することによって該ワークWが保持される。
本発明の実施の形態に係るテレスコピック構造が適用されたワーク搬送装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、ここでは、図2に示すテレスコピック機構16を構成する中筒38及び内筒40が外筒36の内部に収容された状態を初期状態として説明すると共に、ワーク搬送装置10の下方に載置されているワークWを保持して搬送する場合について説明する。
この初期状態において、図示しないコントローラから駆動部12に対して制御信号を出力し、該制御信号に基づいて該駆動部12を回転駆動させることにより、その回転駆動力が駆動軸24、連結ナット32を介して送りねじ軸26へと伝達され、該送りねじ軸26が回転する。この送りねじ軸26の回転に伴って変位体30がワーク保持部18側(矢印X1方向)へと直線変位する。すなわち、駆動部12からの回転駆動力が、駆動力変換部14を構成する送りねじ軸26及び変位体30によって直線方向(矢印X1方向)への駆動力に変換される。
そして、変位体30の変位に伴って中筒38がワーク保持部18側(矢印X1方向)へと変位し、その他端部側から外筒36の外部へと徐々に突出していくと共に、該中筒38に保持されたピニオンギア76が第1ラック48の歯部78aに噛合された状態で時計回り(矢印B方向)に回転しながら前記中筒38と共に変位し、該ピニオンギア76の回転作用下に第2ラック62がワーク保持部18側(矢印X1方向)へと送り出される。
この第1ラック48と第2ラック62とは、ピニオンギア76を挟んで互いに反対側に設けられているため、該ピニオンギア76に対して前記第1ラック48と第2ラック62とが相反する方向に変位することとなる。
これにより、第2ラック62の設けられた内筒40が、ワーク保持部18側(矢印X1方向)へと変位し、その他端部側から中筒38の外部へと徐々に突出し始める。
この際、中筒38は、第1ガイド50のガイド溝70aに係合された第1ガイドレール56の案内作用下に外筒36に対して軸線方向に沿って変位すると共に、内筒40が、第2ガイド60のガイド溝70bに係合された第2ガイドレール64の案内作用下に中筒38に対して軸線方向に沿って変位する。すなわち、基台22に固定された外筒36に対して中筒38及び内筒40がガイド機構42を介して軸線方向(矢印X1方向)へと高精度に案内される。
そして、駆動部12をさらに回転駆動させることによって中筒38がさらにワーク保持部18側(矢印X1方向)へと変位し、それに伴って、内筒40がピニオンギア76と第2ラック62との噛合作用下に前記ワーク保持部18側(矢印X1方向)へとさらに送り出される。
これにより、外筒36の他端部に対して中筒38がさらに突出するように変位すると同時に、該中筒38の他端部に対して内筒40がさらに突出するように変位する。ピニオンギア76が第1ラック48の下端部近傍となるように中筒38が変位し、且つ、該ピニオンギア76に噛合された第2ラック62がその上端部近傍となる位置まで中筒38及び内筒40が変位することにより、テレスコピック機構16を構成する外筒36、中筒38及び内筒40が最も軸線方向(矢印X1、X2方向)に沿って伸長した伸長状態となる(図5及び図6参照)。そして、駆動部12に出力されていた制御信号の供給が停止され、該駆動部12の駆動が停止される。
なお、このテレスコピック機構16の伸長状態では、変位体30が、送りねじ軸26の下端部に設けられたリング部材34によって係止され、そのワーク保持部18側(矢印X1方向)へのさらなる変位が規制されているため、前記送りねじ軸26に対して脱抜してしまうことが防止される。すなわち、リング部材34は、送りねじ軸26に対する変位体30の脱抜を防止可能なストッパとして機能する。
次に、ワーク搬送装置10の下部に載置されたワークWの位置に応じて該ワークWの把持が可能となるようにハンド部90を回転駆動源92によって回転駆動させた後、予め開状態にある保持アーム96a、96bをシリンダ100によって閉動作させて前記ワークWを把持する。
さらに次に、前記ワークWを上方へと持ち上げるために、図示しないコントローラから駆動部12に対して制御信号を出力し、該制御信号に基づいて該駆動部12を前記とは逆方向に回転駆動させる。これにより、送りねじ軸26が前記とは反対方向に回転し、それに伴って、変位体30が駆動部12側(矢印X2方向)に向かって変位する。
そして、変位体30の変位に伴って中筒38が駆動部12側(矢印X2方向)に変位し、外筒36の内部に徐々に収容されていくと共に、該中筒38に保持されたピニオンギア76が第1ラック48の歯部78aに噛合された状態で反時計回り(矢印C方向)に回転しながら前記中筒38と共に変位する。そのため、ピニオンギア76の回転作用下に第2ラック62が第1ラック48に向かい合うように駆動部12側(矢印X2方向)へと徐々に変位する。その結果、第2ラック62の設けられた内筒40が、駆動部12側(矢印X2方向)へと変位し、その一端部側から中筒38の内部へと徐々に収容されていく。すなわち、内筒40が中筒38の内部に収容されていき、該中筒38が外筒36の内部に収容されていくことにより、テレスコピック機構16が徐々に軸線方向に沿って収縮していく。
これにより、内筒40の他端部に設けられたワーク保持部18がワークWを保持した状態で駆動部12側(矢印X2方向)へと変位し、該ワークWが上方へと持ち上げられた状態となる(図2参照)。
この際、ワーク保持部18が下端に設けられたテレスコピック機構16には、ワークWの重量が付与されているため、該ワークWを搬送する際に、その重心移動等に伴って外筒36、中筒38及び内筒40に対して様々な方向から押圧力が付与される場合がある。例えば、図4に示されるように、外筒36における第1壁部〜第6壁部36a〜36fのいずれかに対して該外筒36の中心Aに向かった押圧力F1〜F6が外側から付与される。
このように、第1及び第2ガイド部66、68から構成されるガイド機構42と、第1及び第2ラック48、62、ピニオンギア76を含む動力伝達部44とを、外筒36、中筒38及び内筒40の中心Aを挟んで対向するように設けているため、前記外筒36、中筒38及び内筒40に対して様々な方向から付与された押圧力F1〜F6を、いずれも3対設けられた動力伝達部44の一つとガイド機構42の一つという組み合わせで受けることができる。
そのため、テレスコピック機構16に対して様々な方向から押圧力F1〜F6が付与された場合でも、その剛性にばらつきが生じることがなく安定した剛性が得られる。換言すれば、テレスコピック機構16に対して外周側の様々な方向から押圧力(応力)が付与された場合でも、均一な剛性が確保される。
また、テレスコピック機構16における剛性を向上させることにより、外筒36、中筒38及び内筒40に対して押圧力(応力)が付与された場合でも、前記外筒36、中筒38及び内筒40の相対的な位置関係を変化させることなく維持できるため、前記外筒36、中筒38及び内筒40を円滑に伸縮動作させることが可能となる。
さらに、外筒36、中筒38及び内筒40において安定した剛性が得られることから、テレスコピック機構16の耐久性を向上させることができる。
そして、最後に、図示しない移送手段によってワーク搬送装置10の設けられた基台22を移送させることにより、ワークWが所望の位置へと搬送される。
なお、上述した本実施の形態に係るテレスコピック構造では、テレスコピック機構16を構成する外筒36、中筒38及び内筒40が、それぞれ断面六角形状の筒体から形成される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、断面八角形状等の断面が多角形状に形成されるものであればよい。
なお、本発明に係るテレスコピック構造は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
本発明の実施の形態に係るテレスコピック構造が適用されたワーク搬送装置の外観斜視構成図である。 図1のワーク搬送装置においてテレスコピック機構が収縮した状態を示す全体縦断面図である。 図2に示すテレスコピック機構近傍を示す拡大断面図である。 図3のIV−IV線に沿った断面図である。 図2のワーク搬送装置においてテレスコピック機構が伸長した状態を示す全体縦断面図である。 図5に示すテレスコピック機構近傍を示す拡大断面図である。
符号の説明
10…ワーク搬送装置 12…駆動部
14…駆動力変換部 16…テレスコピック機構
18…ワーク保持部 26…送りねじ軸
30…変位体 36…外筒
36a、38a、40a…第1壁部 36b、38b、40b…第2壁部
36c、38c、40c…第3壁部 36d、38d、40d…第4壁部
36e、38e、40e…第5壁部 36f、38f、40f…第6壁部
38…中筒 40…内筒
42…ガイド機構 44…動力伝達部
48…第1ラック 50…第1ガイド
52…ピニオンユニット 56…第1ガイドレール
60…第2ガイド 62…第2ラック
64…第2ガイドレール 66…第1ガイド部
68…第2ガイド部 76…ピニオンギア
80a、80b…軸受 90…ハンド部
96a、96b…保持アーム

Claims (3)

  1. 軸線方向に沿って伸縮自在に設けられた複数の筒体を有するテレスコピック構造において、
    駆動部と、
    断面多角形状に形成され、外筒と、該外筒の内部に収容可能な中筒と、該中筒の内部に収容可能な内筒の少なくとも3つ以上からなる筒体と、
    前記駆動部の駆動作用下に前記筒体を互いに軸線方向に沿って伸縮動作させる動力伝達部と、
    前記外筒と中筒との間に設けられる第1ガイド部と、前記中筒と内筒との間に設けられる第2ガイド部とを有し、前記外筒、中筒及び内筒を互いに軸線方向に沿って変位自在に案内するガイド手段と、
    を備え、
    前記動力伝達部とガイド手段とが、複数設けられ、前記筒体の中心を挟んで対向配置され、且つ、前記筒体の周方向に沿って互いに等間隔離間し、該筒体を構成する各壁部に対して一つずつそれぞれ交互に設けられると共に、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部とが前記筒体の中心に対して前記外筒、中筒及び内筒の周方向に互いにオフセットして設けられることを特徴とするテレスコピック構造。
  2. 請求項1記載のテレスコピック構造において、
    前記動力伝達部は、前記中筒の側面に設けられ、回動自在に支持されたピニオンギアと、
    前記外筒の側面に設けられ、該外筒の軸線方向に沿って延在すると共に、前記ピニオンギアに噛合される第1ラックと、
    前記内筒に設けられ、該内筒の軸線方向に沿って延在すると共に、前記ピニオンギアに噛合される第2ラックと、
    を備え、
    前記第1及び第2ラックが、前記ピニオンギアを挟んで対向して設けられることを特徴とするテレスコピック構造。
  3. 請求項1又は2記載のテレスコピック構造において、
    前記第1及び第2ガイド部は、前記中筒及び内筒の外周面に設けられ、軸線方向に沿って延在するガイドレールと、
    前記外筒及び中筒の内周面に設けられ、前記ガイドレールに臨むと共に該ガイドレールに係合されて軸線方向に沿って案内されるガイドと、
    を有することを特徴とするテレスコピック構造。
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