JP4663977B2 - 固形物品の殺菌装置、ヨウ素ガス発生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ヨウ素ガスを利用する殺菌装置に関する。
固形物品の殺菌方法としては、殺菌剤による噴霧、塗布、浸漬、コーティング処理、固形物品原材料への殺菌剤の配合処理、乾熱殺菌処理、蒸気殺菌処理、紫外線照射処理、エチレンオキサイドガス殺菌処理などなどが行われているが、各種の化合物の使用が控えられている昨今、薬剤処理以外の方法による殺菌処理が検討されている。例えば、医療器具などは加熱処理が一般的に行われているが、処理条件によっては器具が劣化および破損したり、殺菌が不充分になる恐れがある。また、薬剤浸漬処理では、処理後に残存する薬剤が器具に悪影響を及ぼす恐れがある。
一方、ヨウ素には殺菌効果があり、通常はヨウ素を溶解した液体状の殺菌剤として用いられており、浸漬・塗布等の方法で殺菌処理に供されている。ヨウ素には昇華性があるが、気体状のヨウ素にも殺菌効果があることが、例えば非特許文献1に記されている。しかしながら、実用化が可能な技術の報告は見受けられない。
また、殺菌に利用する場合に限らず、ヨウ素ガスの潜在的な需要は大きい。例えば、固形のヨウ素またはヨウ素溶液などの形態で利用している分野(化学品製造など)でのヨウ素ガス利用への転換、新規なヨウ素ガスの利用などである。このような分野では、構造および仕組みが十分に検討され、広範囲の濃度のヨウ素ガスを精密に制御しながら発生できるヨウ素ガス発生装置が要望されている。
芝崎 勲、「ヨウ素系環境殺菌剤の最近の話題」、食品工業、第29巻、第2号、第60〜71頁の特に第68頁(1986年)
以上の様な状況に鑑み、殺菌剤が残存することなく、固形物品の性能を損なうことなく、十分な殺菌を行えるヨウ素ガス殺菌装置の実現を本発明の目的とする。
また、広範囲の濃度のヨウ素ガスを精密に制御しながら発生できるヨウ素ガス発生装置の実現を本発明の目的とする。
上記目的を達成するための本発明によれば、ヨウ素ガス発生部と、
該ヨウ素ガス発生部で発生さたヨウ素ガスと固形物品とを接触させて、該固形物品を殺菌する固形物品殺菌部と
を具備する固形物品の殺菌装置であって、
該発生させたヨウ素ガスの濃度を測定するヨウ素ガス濃度測定手段と、該ヨウ素ガス濃度測定手段で測定した値に基づいて前記ヨウ素ガスの発生量を調整するヨウ素ガス濃度調節部とを有することを特徴とする固形物品の殺菌装置が提供される。
また本発明によれば、ヨウ素ガス発生部と、該ヨウ素ガス発生部で発生させたヨウ素ガスと固形物品とを接触させて、該固形物品を殺菌する固形物品殺菌部とを具備する固形物品の殺菌装置であって、該固形物品殺菌部のヨウ素ガスを該ヨウ素ガス発生部に戻すための循環経路を備えることを特徴とする固形物品の殺菌装置が提供される。
また本発明によれば、固体のヨウ素と固形物品とが容器内で混合され、該容器内の気相部にヨウ素ガスを分配させて固形物品を殺菌する装置が提供される。
また本発明によれば、気体媒体中で固体のヨウ素を昇華させるヨウ素ガス発生装置であって、ヨウ素ガス濃度を測定するヨウ素ガス濃度測定手段と、該ヨウ素ガス濃度測定手段で測定した値に基づいてヨウ素ガスの発生量を調整するヨウ素ガス濃度調節部とを備えることを特徴とするヨウ素ガス発生装置が提供される。
また本発明によれば、気体媒体中で固体のヨウ素を昇華させるヨウ素ガス発生装置であって、ヨウ素ガス発生装置本体に連通し、かつ供給先に接続可能であるヨウ素ガスの供給経路と、ヨウ素ガス発生装置本体に連通し、かつ供給先に接続可能である、該供給先のヨウ素ガスを該ヨウ素ガス発生装置本体に戻すための循環経路とを有することを特徴とするヨウ素ガス発生装置が提供される。
また本発明によれば、ヨウ素ガスを含有する媒体から該ヨウ素ガスを気相部に分配して該ヨウ素ガスを生成するヨウ素ガス発生装置であって、ヨウ素ガス濃度を測定するヨウ素ガス濃度測定手段と、該ヨウ素ガス濃度測定手段で測定した値に基づいてヨウ素ガスの発生量を調整するヨウ素ガス濃度調節部とを備えることを特徴とするヨウ素ガス発生装置が提供される。
また本発明によれば、ヨウ素を含有する媒体から該ヨウ素ガスを気相部に分配して該ヨウ素ガスを生成するヨウ素ガス発生装置であって、ヨウ素ガス発生装置本体に連通し、かつ供給先に接続可能であるヨウ素ガスの供給経路と、ヨウ素ガス発生装置本体に連通し、かつ供給先に接続可能である、該供給先のヨウ素ガスを該ヨウ素ガス発生装置本体に戻すための循環経路とを有することを特徴とするヨウ素ガス発生装置が提供される。
本発明によれば、固体ヨウ素は昇華性が高いため残存性が低く殺菌剤が残存することなく、固形物品の性能を損なうことなく、十分な殺菌を行えるヨウ素ガス殺菌装置を実現できる。
また、広範囲の濃度のヨウ素ガスを精密に制御しながら発生できるため、殺菌に利用する場合に限らず、例えば、固形のヨウ素またはヨウ素溶液などの形態で利用している分野(化学品製造など)でのヨウ素ガス利用への転換、新規なヨウ素ガスの利用などで利用できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
(ヨウ素ガス発生装置)
本発明のヨウ素ガス発生装置においては、気体媒体中で固形のヨウ素を昇華させてヨウ素ガス生成させることができる。
例えば、固体ヨウ素を充填した容器にヨウ素ガスを通気し、通気媒体およびヨウ素充填容器の温度、通気ガス量、充填ヨウ素量を任意に設定して、気体媒体中のヨウ素濃度を制御する。
充填する固形ヨウ素は、どのような形状のものでも良いが、プリル、グラニュール品などの粒径の揃ったヨウ素製品が制御条件を設定しやすく好適である。
ヨウ素の濃度を制御する因子としては通気媒体およびヨウ素充填容器の温度、通気ガス量、充填ヨウ素量で制御するが、温度調節により制御することが最も制御し易い。
ヨウ素ガスの濃度調整はヨウ素ガス発生装置で発生させたヨウ素含有気体媒体を気体媒体で希釈することで調整しても良い。この場合、両方のガス媒体の混合割合を流量調節器で調整することで特に低濃度域のヨウ素ガスをより簡単に調節できる。
一方、本発明のヨウ素ガス発生装置においては、固形ヨウ素以外のヨウ素ガス発生の媒体を用いてヨウ素ガスを発生させることもできる。
ヨウ素を含有する媒体とは、ヨウ素を吸着あるいは担持した固体、ヨウ素が溶解した液体であり、前者についてはヨウ素吸着活性炭、ヨウ素吸着樹脂などが挙げられ、後者についてはヨウ素水溶液、ヨウ素のアルコール溶液などが挙げられる。
気体媒体中のヨウ素濃度は、ヨウ素含有気体を分光光度法により測定する方法、ヨウ素含有気体を溶媒に溶解させて分光光度法で測定する方法、ヨウ素含有気体をDPD、オルトトリジンなどのようなヨウ素との反応により呈色する成分を含有する液体に接触させるか、あるいはデンプン、PVP等のようなヨウ素と錯体を形成することで呈色する成分を含有する液体に溶解させて分光光度法で測定する方法、ヨウ素含有気体を固体媒体に吸着させて色差法により測定する方法、ヨウ素含有気体を還元剤含有水溶液によりヨウ化物イオンとして還元吸収するか、酸化剤含有水溶液によりヨウ素酸イオンに酸化してからイオンクロマト分析計のようなイオン成分分析装置で測定する方法、その他起電力検出法、クロメトリ検出法、隔膜電極ポーラログラフ法、回転電極ポーラログラフ法、ガルバーニ法によりを利用した方法により測定できる。
上記方法により測定したヨウ素ガス濃度検出値を濃度調節部にフィードバックして温度、通気ガス量を制御して広範囲の濃度のヨウ素ガスを安定的に発生させることができる。
(ヨウ素ガス殺菌装置)
以上に説明したヨウ素ガス発生装置を利用して、ヨウ素ガス殺菌装置を構成できる。具体的な形態としては、(ア)第1の形態として、気体媒体中で固体のヨウ素を昇華させてヨウ素ガスを生成し、このヨウ素ガスと気体媒体との混合気体を固形物品に接触させる、(イ)第2の形態として、ヨウ素を含有する液体を固形物品に噴霧し、その液体からヨウ素を気相部に分配してヨウ素ガスを生成し、固形物品に接触させる、(ウ)第3の形態として、固体のヨウ素を固形物品と混合し、その固体ヨウ素を昇華させてヨウ素ガスを生成し、固形物品に接触させる等を採用する。以下、それぞれの形態を説明する。
(ア)第1形態
図1には、第1形態用の装置例として、ヨウ素ガス発生部110と、ヨウ素ガス発生部で発生されたヨウ素ガスと固形物品とを接触させて固形物品を殺菌する固形物品殺菌部111とを具備する殺菌装置を示した。装置全体はポンプ116により吸引されており、気体媒体113がヨウ素ガス発生部に導入される。気体媒体の流量はバルブ114で制御され、流量計115で計測される。ヨウ素ガス発生部には固体ヨウ素が充填されており、この固体ヨウ素が昇華してヨウ素ガスを生成し、このヨウ素ガスが気体媒体の気流により固形物品殺菌部111に輸送される。固形物品殺菌部には固形物品が充填されており、ヨウ素ガスが固形物品に接触することで、固形物品が殺菌される。
なお、気体媒体としては、空気、加湿空気、乾燥空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、炭素数1〜5の不飽和および飽和炭化水素などを使用し、必要に応じて、これらを併用することもできる。
また、固体ヨウ素の形状としては、フレーク品(薄片状品)、プリル品(球状品)、グラニュール品(角型粒状品)等を使用するが、ヨウ素の昇華面積が大きい、均一にヨウ素ガスが発生する等の理由から、プリルが好ましい。
更に、ヨウ素ガス発生部は固体ヨウ素が充填された交換可能なカセットが好ましい。全ての固体ヨウ素を使用した後に、新たな固体ヨウ素を、安全および簡単に装着できるからである。
固形物品殺菌部を固形物品が投入された容器としては、固形物品殺菌部において気体媒体の気流により輸送され導入されるヨウ素ガスが固形物品に均一に接触することが望ましく、固形物品が攪拌されながらヨウ素ガスと接触して殺菌される構造が好ましい。この場合、固形物品が殺菌中に攪拌されるため、殺菌が効率的で均一に進行する。また、ヨウ素ガスを含有する気体を導入する際に流速を早くし、固形物品を気流により攪拌する条件で殺菌処理を行えるものについては、攪拌手段を更に必要としないため、殺菌装置が複雑化することなく、装置の気密性などが低下することもない。
また、固形物品殺菌部において固体ヨウ素が凝結固化して固形物品上で結晶化することを抑制するために、固形物品殺菌部の温度をヨウ素ガス発生部の温度以上に制御することが好ましい。図1の殺菌装置の場合、ヨウ素ガス発生部の温度は温調器117で制御され、固形物品殺菌部の温度は温調器118で制御される。
なお、必要に応じて、廃棄されるガス中のヨウ素を除去する手段112を配設する。ヨウ素ガス除去手段としては、例えば1質量%の水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ吸収方式、チオ硫酸ナトリウム水溶液などの還元剤吸収方式、活性炭等の吸着剤を用いた吸着方式などを使用する。
また、ヨウ素ガス発生部および固形物品殺菌部の少なくとも何れか一方が、ヨウ素ガスを希釈する手段を具備していれば、より広範囲のヨウ素ガス濃度を実現できる、特に低濃度のヨウ素ガスで処理する場合は好適であり、ヨウ素ガス濃度調整の操作性が向上する。例えば、図1に示す様に、第2の気体媒体122を三方コック119を通して導入および混合し、ヨウ素ガスを希釈する。第2気体媒体の流量はバルブ121で制御され、流量計120で計測される。
更に、この様な構造を採用すれば、殺菌終了後に三方コックを操作することにより、第2気体媒体などのヨウ素ガスを含有しない気体を固形物品殺菌部に導入できる。この結果、固形物品に残存する固体ヨウ素を昇華させ除去することができる。
なお、ヨウ素ガスと接触する部位は、ヨウ素ガスによる腐蝕を抑制するために、ガラス及び非腐食性樹脂の少なくとも何れか一方により構成されることが好ましい。非腐食性樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、フッ素樹脂などを使用する。
以上で説明してきた図1に示す殺菌装置の場合、ヨウ素ガス発生部から発生したヨウ素ガスは固形物品殺菌部を通過した後、ヨウ素ガス除去手段によりヨウ素が除去され廃棄される、いわゆるワンウェイ方式である。このため、ヨウ素ガスの使用効率が不十分となる恐れがある。一方、装置中のヨウ素ガスが所定濃度に到達後は、ヨウ素ガスを含む気体媒体を固形物品殺菌部を通過する経路を循環させる、いわゆる循環方式を採用すれば、ヨウ素ガスの使用効率を向上できる。
図2には、循環方式の殺菌装置の例を示した。ヨウ素ガス発生部210、固形物品殺菌部211及びヨウ素ガス除去手段212は、それぞれ図1の場合と同様である。図2の殺菌装置の場合、先ず、耐蝕性ポンプ221を稼動して、三方コック213を操作し、気体媒体216を殺菌装置内に導入する。この際、三方コック218を操作して、気体媒体をヨウ素ガス発生部に導入し、三方コック219を操作して固形物品殺菌部に導入し、三方コック220を操作して気体媒体を耐蝕ポンプ側に輸送する。その後、三方コック213を操作して気体媒体216の導入を停止し、ヨウ素ガス発生部および固形物品殺菌部を通過する密閉経路中で気体媒体を循環させる。なお、気体媒体の流量は、流量計214及び217により制御する。
気体媒体の循環を続けると、殺菌が進行しながらヨウ素ガスの濃度が上昇する。ヨウ素ガス濃度が所定の値に達したら、三方コック218を操作して気体媒体がヨウ素ガス発生部を通過しない様にし、ヨウ素ガス発生部を通過せず固形物品殺菌部を通過する密閉経路中で気体媒体を更に循環させ、殺菌を続行する。処理途中で固形物品への吸着等で損失する場合は気体媒体の循環路をヨウ素ガス殺菌部に導入するよう切り替え気体媒体中にヨウ素を補給する。このように気流循環式で処理すれば、ヨウ素ガス発生部のヨウ素を無駄に昇華しないため、ヨウ素の消費を低減できる。
所定濃度のヨウ素ガスを含有する気体媒体を所定時間循環し、殺菌を終了する。その後、三方コック213を操作し、気体媒体216を殺菌装置内に再び導入する。この際、三方コック218を操作して、気体媒体をヨウ素ガス発生部に導入しない様にし、ヨウ素ガスを含まない気体媒体を固形物品殺菌部に導入し、三方コック220を操作して気体媒体をヨウ素ガス除去手段に導入する。ヨウ素ガスを含まない気体媒体を固形物品殺菌部に導入することにより、固形物品に残存する固体ヨウ素を昇華させ除去する。
図2の殺菌装置の場合も、ヨウ素ガス発生部の温度を温調器222で制御し、固形物品殺菌部の温度を温調器223で制御して、固形物品殺菌部の温度をヨウ素ガス発生部の温度以上とし、固形物品殺菌部においてヨウ素が凝結固化して固形物品上で結晶化することを抑制する。
また、ヨウ素ガスと接触する部位は、ヨウ素ガスによる腐蝕を抑制するために、ガラス及び非腐食性樹脂の少なくとも何れか一方により構成されることが好ましい。非腐食性樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、フッ素樹脂などを使用する。
(イ)第2形態
第2形態用の装置例としては、ヨウ素含有液体が噴霧された固形物品を容器内に投入し、この容器内の気相部にヨウ素ガスを分配させて固形物品を殺菌する装置がある。この様な装置は、バッチタイプに適すると考えられる。
なお、ヨウ素を含有する液体としては、水およびアルコール類などの揮発性が高く固形物品の性能を低下させない液体が好ましい。
また、固形物品を殺菌する部位にヨウ素が凝結することを抑制する観点から、ヨウ素ガスにより固形物品を殺菌する部位を温度調節することが好ましい。
更に、ヨウ素ガスと接触する部位は、ヨウ素ガスによる腐蝕を抑制するために、ガラス及び非腐食性樹脂の少なくとも何れか一方により構成されることが好ましい。非腐食性樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、フッ素樹脂などを使用する。
(ウ)第3形態
第3形態用の装置例としては、固体のヨウ素と固形物品とを容器内で混合し、この容器内の気相部にヨウ素ガスを分配させて固形物品を殺菌する装置がある。この様な装置は、バッチタイプに適すると考えられる。
なお、第3形態用の場合も第2形態の場合と同様に、固形物品を殺菌する部位にヨウ素が凝結することを抑制する観点から、ヨウ素ガスにより固形物品を殺菌する部位を温度調節することが好ましい。
また、第2形態の場合と同様に、ヨウ素ガスと接触する部位は、ヨウ素ガスによる腐蝕を抑制するために、ガラス及び非腐食性樹脂の少なくとも何れか一方により構成されることが好ましい。非腐食性樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、フッ素樹脂などを使用する。
(ヨウ素ガス殺菌装置の運転条件)
ヨウ素ガス濃度、殺菌温度、殺菌時間、攪拌条件などの殺菌条件は、固形物品の性能を損なうことなく十分な殺菌を実現するよう注意深く最適化される。これらの殺菌条件の中でも、ヨウ素ガス濃度、殺菌温度、殺菌時間の最適化が重要である。
ヨウ素ガスの濃度としては、十分な殺菌効果を実現する観点から、10容量ppm以上が好ましく、100容量ppm以上がより好ましい。一方、多量のヨウ素が固形物品の表面に残存することを抑制し、万が一にヨウ素ガスが漏洩した際にも安全性を確保する観点から、10,000容量ppm以下が好ましく、5,000容量ppm以下がより好ましく、2,000容量ppm以下が更に好ましい。
なお、固形物品の種類によっては、低濃度のヨウ素ガスで十分な殺菌効果を実現できる場合や、ヨウ素が表面に残存し易い場合がある。この様な固形物品の場合、ヨウ素ガスの濃度を低くし、その下限としては、0.1容量ppm以上が好ましく、1容量ppm以上がより好ましく、10容量ppm以上が更に好ましい。
殺菌時間としては、ヨウ素ガスの濃度にもよるが、十分な殺菌効果を実現する観点から、10分以上が好ましく、60分以上がより好ましく、120分以上が更に好ましい。一方、多量のヨウ素が固形物品の表面に残存することを抑制し、また作業効率を向上する観点から、24時間以下が好ましく、12時間以下がより好ましく、6時間以下が更に好ましい。
なお、固形物品の種類によっては、短時間の処理で十分な殺菌効果を実現できる場合や、ヨウ素が表面に残存し易い場合がある。この様な固形物品の場合、殺菌時間を短くし、その下限としては、1秒以上が好ましく、10秒以上がより好ましく、1分以上が更に好ましい。
一方、固形物品の種類によっては、十分な殺菌効果のためには長時間の処理が必要な場合や、ヨウ素が表面に残存し難い場合がある。この様な固形物品の場合、殺菌時間を長くし、その上限としては、1ヶ月以下が好ましく、7日以下がより好ましく、3日以下が更に好ましい。
殺菌温度としては、十分な殺菌効果を実現する観点から、0℃以上が好ましく、10℃以上が更に好ましい。一方、固形物品の性能の低下を抑制する観点から、80℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましく、40℃以下が更に好ましい。
更に、殺菌条件の指標として、ヨウ素ガスの濃度と殺菌時間との積は、十分な殺菌効果を実現する観点から、100容量ppm・秒以上が好ましく、一方、多量のヨウ素が固形物品の表面に残存することを抑制し、また作業効率を向上する観点から、50,000容量ppm・時間以下が好ましい。
なお、殺菌方法を大別すると、低濃度のヨウ素ガスで長時間殺菌する方法と、高濃度のヨウ素ガスで短時間殺菌する方法とがあるが、これらの方法のうち、ヨウ素ガスの密封が十分であれば、固形物品の内部にまでヨウ素ガスが浸透し固形物品の性能が低下することを抑制する観点から、高濃度のヨウ素ガスで短時間殺菌する方法が好ましい。この様な条件の具体例としては、例えば3,500〜5,000容量ppmのヨウ素ガスで30〜90分処理する。また、この様な条件を採用すれば固形物品を十分殺菌できる。
(固形物品)
本発明の装置により殺菌される固形物品は特に制限されないが、固形物品としては、従来の殺菌方法では劣化したり、殺菌が不十分であったり、費用が高額であったり、殺菌方法の作業性が不十分であったり、殺菌剤が残存する等の不具合の恐れがあるものが好適である。
この様な固形物品の具体例としては、鳥卵、包装されたチーズ、バター、ハム、ベーコン等の畜産製品、これらの畜産製品を生産するための畜産用具、これらの畜産製品を産する家畜の飼育で使用される家畜飼育用具などの畜産物品;包装されたカマボコ、チクワ、タラコ、生食用のかき等の水産製品、これらの水産製品を生産するための水産用具、これらの水産製品を産する魚貝類の飼育で使用される魚貝類飼育用具などの水産物品;蜂卵等の昆虫関係製品、これらの昆虫関係製品を生産するための昆虫関係用具、これらの昆虫関係製品を産する昆虫の飼育に使用される昆虫飼育用具などの昆虫関係物品;タバコ等の嗜好品、パイプ等の嗜好品用品、これら嗜好品および嗜好品用品などを生産するための嗜好品生産用具などの嗜好品物品;砂場用の砂、粘土、ブロック、ツミキ、トランプ等の遊戯用品;釣具、シュラフ等のレジャー用品;シリンジ、チューブ、メス、包帯、温度計、バンソウコウなどの医療器具;歯穿孔機用部品、歯切削機用部品、ブリッジ等の歯科用品;おしゃぶり、哺乳瓶などのベビー用品;マスク、綿棒、コットン、ポータブルトイレ等の衛生用品;下着、くつした、パンティーストッキング、ハンカチ等の衣料品;かつら、手袋、帽子、履物などの装飾品;シーツ、枕カバー等のリンネル用品;筆記用具、消しゴム等の文房具;入浴用品、ブラシ、歯ブラシ、シェーバー、くし、メガネ等の生活必需品;コップ、ストロー、箸、ホーク、スプーン等の飲食用品;包丁、まな板、ふきん等の調理用品;スキー用ブーツ、ダンベル、水着などのスポーツ用品;犬、猫、鳥などのペットを飼育するためのペット関連用品;電話、掃除機、洗濯機、ヘヤードライヤー、エアーコンディショナー等の家電製品およびその部品などの家電物品;スーツケース、使い捨て下着などの旅行用品;テレフォンカード、キャッシュカード、定期乗車券などのカード類などである。
なお、以上の様な固形物品の2個以上が組合された物品も、ヨウ素ガスにより良好に殺菌できる。
ヨウ素ガス殺菌法においては病原体の組織がヨウ素ガスにより酸化等の化学的作用により致命的な損傷を受けるため、他の殺菌法と比較してヨウ素ガスにより殺菌できる病原体のスペクトルは広い。具体的には、バクテリア、カビ、真菌、ウイルス、センチュウ等の病原動物およびその卵などをヨウ素ガスにより殺菌できる。これらの病原体をヨウ素ガスにより殺菌後は、固形物品に存在する病原体の濃度が発病に必要な臨界濃度以下となる。
病原体の濃度の定量化方法としては、例えば、(ア)固形物品の単位質量(例えば1g)当たりに存在している病原体の数(個/g)、(イ)全固形物品中で病原体を保有している固形物品の割合(%)等を採用する。なお、病原体の数の計測は、(ア)固形物品が保有している病原体を抽出などし、これをプレート上などで生育し、コロニー及びプラーク等の数を計測する、(イ)固形物品を病原体が繁殖し易い環境に置き、病原体の増殖、生育した固形物品を計測する、(ウ)病原動物卵などの光学顕微鏡および電子顕微鏡で観察が可能な病原体は、光学顕微鏡および電子顕微鏡を用いて病原体を直接計測する等の方法で行う。
ヨウ素ガス殺菌法は殺菌効率が高いため、ヨウ素ガス殺菌後の固形物品の病原体濃度は、固形物品の発病に必要な病原体の臨界濃度の好ましくは1.0倍以下、より好ましく0.9倍以下、更に好ましくは0.8倍以下を実現できる。
また、ヨウ素ガス殺菌法は殺菌効率が高いため、固形物品の単位質量(例えば1g)当たりに存在している病原体の殺菌により死滅した比率(殺菌率、%)は高く、好ましくは60%以上、より好ましく80%以上、更に好ましくは90%以上を実現でき、98%以上を実現できる場合もある。
更に、ヨウ素ガス殺菌法は殺菌効率が高いため、殺菌後の全固形物品中で病原体を保有している固形物品の割合(保菌率、%)は低く、好ましくは80%以下、より好ましく70%以下、更に好ましくは60%以下を実現できる。
(種苗物品)
また、本発明の装置で殺菌される固形物品として、種苗物品を挙げることができる。
種苗物品とは各種植物類の種子、根、葉、茎、花、実および苗;これらの種子、根、葉、茎、花、実および苗を生育して得られる植物;これらの種子、根、葉、茎、花、実および苗を生育するのに使用される栽培用品などを言い、これらの種苗物品はヨウ素ガスにより良好に殺菌できる。
具体的には、キャベツ、ハクサイ、コマツナ、ブロッコリー、カリフラワー、ホウレンソウ、レタス、セロリ、ネギ、タマネギ、ニラ、ニンニク、ラッキョウ、ミョウガ、ショウガ、ワサビ、チンゲンサイ、京水菜、パセリ等の茎葉菜類の種子、根、葉、茎、苗、植物、花、実および栽培用品;ダイコン、カブ、ニンジン、ゴボウ、ビート等の根菜類の種子、根、葉、茎、苗、植物、花、実および栽培用品;トマト(台木を含む)、ミニトマト、ナス(台木を含む)、ピーマン、パプリカ、キュウリ、スイカ、メロン(台木を含む)、カボチャ(台木を含む)、ズキーニ、オクラ、スイートコーン等の果菜類の種子、根、葉、茎、苗、植物、花、実および栽培用品;インゲン、エダマメ、タイズ、アズキ、黒豆、エンドウマメ、ソラマメ、ラッカセイ等の豆類の種子、根、葉、茎、苗、植物、花、実および栽培用品;ジャガイモ、サツマイモ、長芋、里芋、小芋、ヤマトイモ等のイモ類の種子、根、葉、茎、苗、植物、花、実および栽培用品;カイワレ、モヤシ、メネギ、ミツバ、シソ等の芽物類の種子、根、葉、茎、苗、植物、花、実および栽培用品;キク、ユリ、チュウリップ、ダリア、スイセン、葉牡丹、アサガオ、ユウガオ、ユーストマ、リモニューム、デルフィニウム、カンナ、シクラメン、ストック、撫子、ニーレンベルギア、パンジー、ビオラ、ヒマワリ、ペチュニア、メランポディウム、リナリア、ルドベキア、オステオスペルマム、キンギョソウ、ロベリア、カンパニュラ、ラベンダー等の花類の球根、種子、根、葉、茎、苗、植物、花、実および栽培用品;松、梅、桜、杉、ツバキ、モクセイ、栗、茶、コーヒー、イチョウ、等の樹木類の種子、根、葉、茎、苗、植物、花、実および栽培用品;デントコーンソルゴー、ライ麦、イタリアン、エン麦、豆科牧草等の飼料作物及び芝類の種子、根、葉、茎、苗、植物、花、実および栽培用品;バナナ、パイナップル、キウイ、リンゴ、モモ、ブドウ、ナシ、カキ、アケビ、イチジク、ビワ、イチゴ、ミカン、キンカン、デカポン、レモン、オリーブ、サクランボ等の果実類の種子、根、葉、茎、苗、植物、花、実および栽培用品;稲、麦、ゴマ、ソバ、ヒエ、アワ、トウモロコシ等の穀物及び工芸作物の種子、根、葉、茎、苗、植物、花、実および栽培用品;カポック、パキュラ、クロトン、ゴム、サボテン等の観葉植物の種子、根、葉、茎、苗、植物、花、実および栽培用品などをヨウ素ガスにより良好に殺菌できる。
なお、栽培用品としては栽培用資材や施設を指し、栽培用資材としては培地、支持材、被覆材、および容器(鉢、トレイ、コンテナなど)などを例示できる。また、培地の様態としては培養土、わら、木、ロックウール、砂、礫、パミスサンド、パーライト、セラミック、くん炭、樹脂系培地、ピートモス、ココヤシ繊維、樹皮培地、籾殻、ニータン、ソータン、などを例示でき、培地の形態としては、固形、粘土状、ペースト状、ゲル状、ゾル状、液状などを例示できる。
以上の様な種苗物品の中でも、ヨウ素ガス殺菌法の利点を特に活かせるものは、殺菌により生長率が低下することが望ましくない物品であり、この様な物品として種子を挙げることができる。
なお、以上の様な種苗物品をヨウ素ガスにより殺菌しても、種苗物品の生長率は余り低下しないか向上する場合もある。例えば種子の場合、ヨウ素ガス殺菌により、発芽率および発芽勢は余り低下しないか向上する場合もある。また、栽培用品にあたっては、付着・混入した菌が殺菌されるため、病害発生が低減することで生長率は向上する。
ここで用いている生長率とは、一定の生育環境の中で、それぞれの生体を生育させた場合の生長度合いを示す指標であり、種子、根、葉、茎、花、実および苗;これらの種子、根、葉、茎、花、実および苗を生育して得られる植物などは、それぞれの生体ごとにその指標が異なり、例えば種子の場合においては発芽率、根の場合においては根の根量、および根張り、葉の場合においては葉長・葉幅、苗においては草丈、生体重などが生長率となる。また、栽培用品においてはそれらの用品を使用して種子、根、葉、茎、花、実および苗;これらの種子、根、葉、茎、花、実および苗を生育して得られる植物の生長度合いを示す指標であり、各生体毎の生長率指標基準に準ずる。
具体的には、種子の場合、発芽率は播種された種子のうち正常芽生を生じた種子の割合を言い、例えば発芽率(%)=(播種後その種子が発芽するに必要な日数以降に更に十分の日数を経た際の正常発芽数/播種数)×100で計算され、最終的な発芽性を評価する値であり、この数値が高いほど好ましい。ヨウ素ガス殺菌後の種子の発芽率は高いため、好ましくは70%以上、より好ましく80%以上、更に好ましくは90%以上を実現できる。また、ヨウ素ガス殺菌により種子の発芽率は余り低下しないか向上するため、ヨウ素ガス殺菌前の発芽率に対するヨウ素ガス殺菌後の発芽率は高く、好ましくは0.8倍以上、より好ましく0.9倍以上、更に好ましくは1.0倍以上、最も好ましくは1.1倍以上を実現できる。
以上で説明した発芽率に加え、発芽勢も重要である。発芽勢とは発芽締切日以前のある時期をとって、そのときまでに発芽した数の割合を言い、例えば発芽勢(%)=(播種後その種子が発芽するに必要な日数を経た際の発芽数/播種数)×100で計算され、発芽の揃いを評価する値であり、この数値が高いほど好ましい。ヨウ素ガス殺菌後の種子の発芽勢は高いため、好ましくは70%以上、より好ましく80%以上、更に好ましくは90%以上を実現できる。また、ヨウ素ガス殺菌により種子の発芽勢は余り低下しないか向上するため、ヨウ素ガス殺菌前の発芽勢に対するヨウ素ガス殺菌後の発芽勢は高く、好ましくは0.8倍以上、より好ましく0.9倍以上、更に好ましくは1.0倍以上、最も好ましくは1.1倍以上を実現できる。
なお、発芽率および生長率の関係と同様に、発芽勢の定義に準じて生長勢を定義できる。即ち、生長勢は、一定の生育環境の中で、一定の期間の間に、それぞれの生体を生育させた場合の生長の揃いを示す指標であり、種子、根、葉、茎、花、実および苗;これらの種子、根、葉、茎、花、実および苗を生育して得られる植物などは、それぞれの生体ごとにその指標が異なり、例えば種子の場合においては発芽勢、根の場合においては根の根量、および根張り、葉の場合においては葉長・葉幅、苗においては草丈、生体重などから生長勢を評価する。また、栽培用品においてはそれらの用品を使用して種子、根、葉、茎、花、実および苗;これらの種子、根、葉、茎、花、実および苗を生育して得られる植物の生長の揃いを示す指標であり、各生体毎の生長勢指標基準に準ずる。
なお、発芽率と同様に、生長率は、好ましくは70%以上、より好ましく80%以上、更に好ましくは90%以上を実現できる。また、ヨウ素ガス殺菌前の生長率に対するヨウ素ガス殺菌後の生長率は高く、好ましくは0.8倍以上、より好ましく0.9倍以上、更に好ましくは1.0倍以上、最も好ましくは1.1倍以上を実現できる。
また、発芽勢と同様に、生長勢は、好ましくは70%以上、より好ましく80%以上、更に好ましくは90%以上を実現できる。また、ヨウ素ガス殺菌前の生長勢に対するヨウ素ガス殺菌後の生長勢は高く、好ましくは0.8倍以上、より好ましく0.9倍以上、更に好ましくは1.0倍以上、最も好ましくは1.1倍以上を実現できる。
ヨウ素ガス殺菌法においては病原体の組織がヨウ素により酸化等の化学的作用により致命的な損傷を受けるため、他の殺菌法と比較してヨウ素ガスにより殺菌できる病原体のスペクトルは広い。具体的には、バクテリア、カビ、真菌、ウイルス、センチュウ等の病原動物およびその卵などをヨウ素ガスにより殺菌できる。これらの病原体をヨウ素ガスにより殺菌後は、種苗物品に存在する病原体の濃度が発病に必要な臨界濃度以下となる。
病原体の濃度の定量化方法としては、例えば、(ア)種苗物品の単位質量(例えば1g)当たりに存在している病原体の数(個/g)、(イ)全種苗物品中で病原体を保有している種苗物品の割合(%)等を採用する。なお、病原体の数の計測は、(ア)種苗物品が保有している病原体を抽出などし、これをプレート上などで生育し、コロニー及びプラーク等の数を計測する、(イ)種苗物品を用いて栽培し、病害を発症した種苗物品を計測する、(ウ)病原動物、及びその卵などの光学顕微鏡および電子顕微鏡で観察が可能な病原体は、光学顕微鏡および電子顕微鏡を用いて病原体を直接計測する等の方法で行う。
ヨウ素ガス殺菌法は殺菌効率が高いため、ヨウ素ガス殺菌後の種苗物品の病原体濃度は、種苗物品の発病に必要な病原体の臨界濃度の好ましくは1.0倍以下、より好ましく0.9倍以下、更に好ましくは0.8倍以下を実現できる。
また、ヨウ素ガス殺菌法は殺菌効率が高いため、種苗物品の単位質量(例えば1g)当たりに存在している病原体の殺菌により死滅した比率(殺菌率、%)は高く、好ましくは60%以上、より好ましく80%以上、更に好ましくは90%以上を実現でき、98%以上を実現できる場合もある。
更に、ヨウ素ガス殺菌法は殺菌効率が高いため、殺菌後の全種苗物品中で病原体を保有している種苗物品の割合(保菌率、%)は低く、好ましくは80%以下、より好ましく70%以下、更に好ましくは60%以下を実現できる。
(ヨウ素ガス殺菌法の特徴)
固形物品の性能を損なうことなく十分な殺菌を行える以外に、ヨウ素ガス殺菌法は、既存の殺菌方法と比較して、以下の様な利点を有する。
(ア)薬液浸漬と比較して、殺菌後の洗浄および乾燥処理、薬液の廃棄処理などが必要ない。
(イ)浸漬すると劣化する固形物品に適する。
(ウ)乾熱殺菌、蒸気殺菌と比較して、固形物品の性能の低下が少なく、効率よく固形物品を殺菌できる。
(エ)低温プラズマ殺菌法と比較して、高価な装置を必要としない。
(オ)燻蒸処理と比較して、処理後のガス処理が容易であり、有害物質が発生せず、安全性が高い。
更に、ヨウ素ガス殺菌法は、以下の様な利点も有する。
(カ)殺菌後の固形物品に微量のヨウ素が吸着すると考えられるが、その吸着ヨウ素により殺菌性が残効する。
(キ)固形物品に吸着した残存ヨウ素は刺激性、腐蝕性を伴わない程度に僅かづつ揮発するので、安全である。
(ク)殺菌に供するヨウ素は元素であり、また、人間に対しては必須の元素であることから、人体に対する有害性は低い。
(ケ)ヨウ素ガスにより殺菌できる病原菌のスペクトルが広いため、カビ、バクテリア、ウイルス、センチュウなどを一度の処理で殺菌できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、特に断りのない限り、試薬は市販の高純度品を使用した。
ガラスカラムにヨウ素を充填し、恒温器内に設置し、エアーポンプにてヨウ素充填カラムに空気を通気してヨウ素ガスを発生させた。ヨウ素充填カラムから排出されるヨウ素含有空気を1%NaOH水溶液に導入して吸収させ、Leipert法により吸収液中のヨウ素濃度を測定し、ヨウ素充填カラムから排出された揮発ヨウ素量を算出した。揮発ヨウ素量を通気ガス量で割ってヨウ素充填カラムから排出されたガス中のヨウ素濃度を算出した。
試験条件およびヨウ素ガス濃度を表1に示す。
表1より、温度を高くすることで、ヨウ素濃度の高いガスを発生させることができることが分る。
また、ヨウ素ガス充填量/通気ガス流量の比率を高くするとヨウ素濃度の高いガスを発生させることができることが分る。
更に、ヨウ素の形状により、ヨウ素の揮発量が若干異なり、形状の揃ったプリル品を用いることで安定した濃度のヨウ素ガスを発生できることが分る。
ヨウ素は昇華性があり、各温度における平衡時の気相中のヨウ素濃度はヨウ素の蒸気圧から算出することができ、ここでの発生ガス中のヨウ素濃度は平衡濃度以下の値になっている。ヨウ素ガス充填量/通気ガス流量の比率を高くすると最大飽和蒸気圧相当のヨウ素ガスを発生させることができ、同比率を低くすると低濃度のヨウ素ガスを発生することができる。
なお、発生させたヨウ素ガスを吸収液で吸収させてガス中のヨウ素濃度を算出したが、各種のヨウ素検出方法により即座に濃度を分析し、温度、通気ガス流量を変えることで、ガス中のヨウ素濃度を制御できる。
Figure 0004663977
本発明のヨウ素ガス殺菌装置を利用することで、固形物品に殺菌剤が残存することなく、また、固形物品を劣化させることなく、非常に高い殺菌率で殺菌でき、高品質で安定した固形物品を提供できる。
また、本発明のヨウ素ガス発生装置は、例えば、以下の様な用途で好適に使用できる。
(ア)乾式での固体の表面酸化処理、ヨウ素含浸処理、吸着処理
液体と接触すると形状変化してしまう、液体成分と基材が反応してしまう場合であっても、固体状態で反応できれば、脱水、乾燥処理が不用で効率化が図れる。
(イ)気体同士の反応(酸化、ヨウ素付加、ヨウ素置換、有害ガスの無害化)
特定気体について液体に吸収させるか、固体に担持させてから液相にて反応させていた場合に使用する。
(ウ)固体媒体上での反応
固体表面上に反応資材を担持させてヨウ素を反応させる場合に使用する。
(エ)ヨウ素通気による液体溶媒中でのヨウ素付加、ヨウ素置換反応
ヨウ素誘導体の合成反応において、水、有機溶媒に、固形ヨウ素を添加して溶解させながら液相反応させる場合が多く、ヨウ素ガスを液相に通気しながら反応させることで、液中の溶解ヨウ素濃度を一定に保ちながら反応させることができるので、効率化、安定した反応が可能となる。
ヨウ素ガス殺菌装置を説明するための模式的断面図である。 ヨウ素ガス殺菌装置を説明するための模式的断面図である。
符号の説明
110 ヨウ素ガス発生部
111 固形物品殺菌部
112 ヨウ素ガス除去手段
113 気体媒体
114 バルブ
115 流量計
116 ポンプ
117 温調器
118 温調器
119 三方コック
120 流量計
121 バルブ
122 第2気体媒体
210 ヨウ素ガス発生部
211 固形物品殺菌部
212 ヨウ素ガス除去手段
213 三方コック
214 流量計
215 バルブ
216 気体媒体
217 流量計
218 三方コック
219 三方コック
220 三方コック
221 ポンプ
222 温調器
223 温調器

Claims (6)

  1. ヨウ素ガス発生部と、
    該ヨウ素ガス発生部で発生させたヨウ素ガスと固形物品とを接触させて、該固形物品を殺菌する固形物品殺菌部と
    を具備する固形物品の殺菌装置であって、
    該発生させたヨウ素ガスの濃度を測定するヨウ素ガス濃度測定手段と、
    該ヨウ素ガス濃度測定手段で測定した値に基づいて該ヨウ素ガスの発生量を調整するヨウ素ガス濃度調節部と
    該ヨウ素ガス発生部で発生させたヨウ素ガスを該固形物品殺菌部に通し、固形物品殺菌部から排出されたヨウ素ガスをヨウ素ガス発生部に供給して、ヨウ素ガス発生部から固形物品殺菌部を通りヨウ素ガス発生部に戻るヨウ素ガスの第一の循環経路と、
    固形物品殺菌部から排出されたヨウ素ガスを固形物品殺菌部にそのまま戻す第二の循環経路と、
    を有し、
    第一の循環経路と第二の循環経路が固形物品殺菌部内のヨウ素濃度を調整するために切り換え可能に設けられている
    ことを特徴とする固形物品の殺菌装置。
  2. 前記ヨウ素ガスは気体媒体中で固体のヨウ素を昇華させて生成され、該ヨウ素ガスと該気体媒体との混合気体を固形物品に接触させて行われる請求項1に記載の固形物品を殺菌する装置。
  3. 前記固形物品殺菌部およびヨウ素ガスの経路の温度を、前記ヨウ素ガス発生装置の温度以上に保持する温度保持手段を有する請求項1または2に記載の固形物品を殺菌する装置。
  4. 気体媒体中で固体のヨウ素を昇華させるヨウ素ガス発生装置であって、
    ヨウ素ガス濃度を測定するヨウ素ガス濃度測定手段と、該ヨウ素ガス濃度測定手段で測定した値に基づいてヨウ素ガスの発生量を調整するヨウ素ガス濃度調節部と
    ヨウ素ガス発生装置本体に連通し、かつ供給先に接続可能であるヨウ素ガスの供給経路と、
    ヨウ素ガス発生装置本体に連通し、かつ供給先に接続可能である、該供給先のヨウ素ガスを該ヨウ素ガス発生装置本体に戻すための第一の循環経路と、
    該第一の循環経路と接続され、かつ該供給先に接続可能である、第二の循環経路と、
    を有し、
    第一の循環経路と第二の循環経路がヨウ素濃度を調整するために切り換え可能に設けられている
    ことを特徴とするヨウ素ガス発生装置。
  5. ヨウ素を含有する媒体から該ヨウ素ガスを気相部に分配して該ヨウ素ガスを生成するヨウ素ガス発生装置であって、
    ヨウ素ガス濃度を測定するヨウ素ガス濃度測定手段と、該ヨウ素ガス濃度測定手段で測定した値に基づいてヨウ素ガスの発生量を調整するヨウ素ガス濃度調節部と
    ヨウ素ガス発生装置本体に連通し、かつ供給先に接続可能であるヨウ素ガスの供給経路と、
    ヨウ素ガス発生装置本体に連通し、かつ供給先に接続可能である、該供給先のヨウ素ガスを該ヨウ素ガス発生装置本体に戻すための第一の循環経路と、
    該第一の循環経路と接続され、かつ該供給先に接続可能である、第二の循環経路と、
    を有し、
    第一の循環経路と第二の循環経路がヨウ素濃度を調整するために切り換え可能に設けられている
    ことを特徴とするヨウ素ガス発生装置。
  6. 請求項4または5に記載のヨウ素ガス発生装置と、
    該ヨウ素ガス発生装置で発生されたヨウ素ガスと固形物品とを接触させて、該固形物品を殺菌する固形物品殺菌部と、
    を具備する固形物品の殺菌装置。
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