JP4663908B2 - 液封式ポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、円筒形のケーシングと多数の羽根枚数を持つ羽根車を有し、羽根車の回転によって生じる封液環により気体の圧送を行う液封式ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
図4及び図5(a),(b)は、従来の液封式ポンプの一例を示す図である。この従来の液封式ポンプは、円筒形のケーシング1と、その内部に偏心して取り付けられた多数の羽根4aを有する羽根車4と、羽根車4の側方に設けられた吸気ポート8及び吐出ポート9を備えた構成を有している。
【0003】
この液封式ポンプにおいては、予めケーシング1の内部に注入された液体(封液)13が、羽根車4により、図5(a)の矢印Rで示す方向に回転し、遠心力でケーシング1の内壁に押し付けられるよう回転することにより、封液環Lが形成されるとともに、羽根車4の羽根4aと、封液環Lの気液境界面10に囲まれた気室Gが形成される。そして、この気室Gは、ケーシング1と羽根車4の中心が偏っていることから、羽根車4が一回転する間に拡大、縮小することになる。
【0004】
また、羽根車4の側方(軸方向両側)に設けられた仕切板3には、吸気ポート8及び吐出ポート9が配設されており、吸気ポート8は気室Gが拡大する位相、吐出ポート9は気室Gが縮小する位相にあって、それぞれ外部の吸気口6、吐出口7に連通している。そして、気室Gの拡大に伴い、吸気口6を経て、外部の気体が吸気ポート8より吸入され、気液境界面10のピストン作用により圧縮昇圧された後、吐出ポート9からケーシング1の外部に吐き出される。上記の一連の動作により、気体が圧送され、ポンプとしての機能が発揮されることになる。
【0005】
ところで、上述の封液13は、(1)上述の封液環Lの形成による気体の吸引と圧送を行う機能、(2)気体圧送に伴って発生する気体圧縮熱を吸収する機能、(3)摺動部をシールする機能などの諸機能を発揮する。
【0006】
そして、これらの機能のうち(2)の、気体圧送に伴って発生する気体圧縮熱を吸収する工程において、封液環Lの温度が上昇する。気室Gは常に封液環Lと接しているため、封液環Lの温度が上昇すると気室Gに占める蒸気分圧の割合が増加し、ポンプ吸入性能の低下を招くことになる。そこで、液封式ポンプにおいては、封液13を常時補給し、同量を余剰封液として吐出気体とともに吐出ポート9から連続的に排出し、封液環Lの温度上昇を抑えている。
【0007】
また、回転部の羽根車4と固定部の仕切板3との間には、機能上、わずかではあるが隙間が維持されており、このわずかな隙間に、ポンプ内の圧力差により高圧側から低圧側に流体の流れが生じ、特に気体の流れは吸入性能の低下をもたらすことになる。そこで、この流れを防止するため、上記(3)のように、封液13を摺動部に導いてシールを行っている。シールに要する封液量は、運転時の圧力差と羽根車4のボス径によって概略が定まり、特に真空ポンプとしての用途では、羽根車4のボス径(羽根車外径に略比例)に依存した量となる。
【0008】
ところで、液封式ポンプは、その作動機構において気体の吸排気を羽根車の径方向に行うもの(内気口型)と、羽根車の軸方向に行うもの(側気口型)に大別される。また、羽根車が一回転する間に気体の吸排気を一回行う一作動式と、羽根車が一回転する間に気体の吸排気を二回行う二作動式があり、一作動式のケーシング断面は円形であり、二作動式のケーシング断面は楕円形であることが特徴である。一般には、構造の簡易さ、設計の自由度の高さから側気口型が多く製作されており、上述の図4及び図5(a),(b)に示した液封式ポンプは、この側気口型、一作動式の液封式ポンプである。
【0009】
また、液封式ポンプにおいて、その吸入量QはQ=2λ・π・D・N・W・Eとなる。但し、各記号λ,π,D,N,W,Eは、それぞれ、λ:係数D:羽根車外径W:羽根車幅E:偏心量(羽根車回転中心とケーシング中心との差)
N:羽根車回転速度である。
【0010】
また、液封式ポンプにおいて、羽根車周速度をUとするとU=π・D・Nの関係があり、この値は真空ポンプの場合ほぼ一定の値となる。また、偏心量Eは、羽根車外径Dに比例する値で、E=a・Dで表すことができる。ここでaは定数である。以上より、吸入量Qは、羽根車外径Dと羽根車幅Wに比例した量となる。従って、吸入量Qを大きくするためには、羽根車外径Dを大きくするか、あるいは羽根車幅Wを大きくすることが必要になる。
【0011】
羽根車外径Dを大きくしようとすると、羽根車外径Dの増加に伴ってケーシングその他の部品の側断面積が大きくなり、ポンプが大型化して質量とコストの増加を招くという問題点がある。
【0012】
また、羽根車幅Wを大きくすることは、羽根車幅/羽根車外径比(W/D)が大きくなることにつながり、W/Dが1を超えると、ポンプ性能の低下を招くことになる。すなわち、上述の動作説明からも明らかなように、ポンプ内部の液体は、吸入工程では羽根車の回転方向において、ボスから径方向外側に向かって移動し、圧縮行程では逆に、径方向外側からボスの方向に向かって移動する。そして、気体の吸排気を羽根車の軸方向に行う側気口型の液封式ポンプでは、吸入気体及び封液の排出の際に、特に封液に対して、軸方向への大きな方向変化が余儀なくされる。したがって、W/Dが大きくなった場合、特に封液の排出時の損失が増加し、ポンプ性能の低下、すなわち、吸入量の低下と動力の増加を招くことになる。
【0013】
また、液封式ポンプにおいて、吐出ポートは、ケーシングの径方向には羽根車のボス径と羽根車の外径の間で、封液環の気液境界面に近い形状で形成されている。この吐出ポートを径方向に必要以上に大きくすると、気液境界面の圧力バランスが崩れ、結果として吸入量の低下を引き起こすことになる。このように、吐出ポートは、性能を維持する見地から、適切な大きさとすることが必要になる。また、通常、単位時間あたりに補給される封液量は、吸入気体量に略比例するように制御されている。これは、ポンプ動力が吸入気体量に比例することから、ポンプ内における封液の温度が、所定の温度以上に高くならないようにするための処置である。
【0014】
ところで、ある大きさの液封式ポンプの形状を変更し、吸入量を増加しようとした場合、羽根車外径Dを変更せずに、羽根車幅Wを広げることにより対応しようとしても、上述のような性能維持の見地から、吐出ポートの形状を大きく変更することはできないのが実情である。
【0015】
そのため、増量した気体と封液に対して相対的に吐出ポートは狭くなり、気体及び封液の排出速度は増加する(吐出ポートの単位面積あたりの排出速度が増大する)ことになる。吐出ポートにおける損失は、気体と液体では密度が大きく異なるため、液体における損失が主となるが、封液の排出速度が増加することにより、動力損失が増加する。また、封液排出時の損失増加とは別に、ケーシングの軸方向への流体移動距離の増加による損失の増加も生じる。
【0016】
したがって、これまでは、吸入量の増加要求に対し、動力増加による効率低下の回避を重視する見地から、吸入性能の低下を招かないように、羽根車幅W/羽根車外径D比を1程度にとどめながら、羽根車外径Dを大きくし、吐出ポートを拡大することにより、吐出流速と流体移動距離の増加を抑え、動力の増加を抑えてきた。
【0017】
しかし、上述のように、羽根車外径Dを大きくし、吐出ポートを拡大することにより、吸入量を増加させるようにした場合、製品の大型化及びコストの上昇を招くという問題点がある。
【0018】
また、羽根車幅Wを広げるようにした場合、全体のサイズをそれほど大きくすることなく、吸入量の増加を図ることが可能になるため、小型で吸入量の多い液封式ポンプを実現することが可能になるが、動力増加による効率低下など、性能特性が悪化するという問題点があり、これまで、あまり採用されることはなかった。
【0019】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、装置の大型化、コストの増大を招くことなく、吸入量の増加を図ることが可能な液封式ポンプを提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明(請求項1)の羽根の幅と羽根の直径の比(羽根幅/羽根径比)が1を超える両吸込の液封式ポンプは、円筒形のケーシングと、その内部に偏心して取り付けられた多数の羽根を有する羽根車と、羽根車の両側方に設けられた、外部から気体を吸引する吸気ポート及びケーシング内の気体及び液体の一部を吐き出す吐出ポートを備え、ケーシングの内部に封じた液体を羽根車で回転させることにより生じる封液環と、羽根車の羽根間に形成される空間のピストン作用により気体の圧送を行う液封式ポンプにおいて、余剰封液の主たる排出口である吐出ポートの他に、ケーシング外周部の、前記吐出ポートの位相位置に略相当する位相位置に、余剰封液を排出するための封液排出口を設けたことを特徴としている。
【0021】
前記余剰封液の主たる排出口である吐出ポートの他に、ケーシング外周部の、吐出ポートの位相位置に略相当する位相位置に、余剰封液を排出するための封液排出口を設けることにより、ポンプ内部の余剰封液を外部に効率よく排出することが可能になり、吸入量を低下させることなく、封液排出に伴う動力損失を軽減して、小型、大容量で効率の良好な液封式ポンプを提供することが可能になる。すなわち、本発明の液封式ポンプにおいては、ケーシング外周部の、吐出ポートの位相位置に略相当する位相位置に設けた封液排出口から、余剰封液を効率よく排出できるようにして、動力の増加にかかわる余剰封液排出時の損失を抑制するようにしているので、従来の液封式ポンプに比して小型、大容量で効率の良好な液封式ポンプを提供することが可能になる。なお、本発明において、「ケーシング外周部の、前記吐出ポートの位相位置に略相当する位相位置」とは、封液排出口の、羽根車回転方向の位置(位相位置)が、羽根車側方に配設された吐出ポートの、羽根車回転方向の位置(位相位置)とほぼ同じであるような位置を意味する概念である。
【0022】
また、前記羽根の幅と羽根の直径の比(羽根幅/羽根径比)が1を超えるような大きさになると、従来の側気口型の液封式ポンプにおいては、封液の排出時に損失が増加し、ポンプ性能の低下、すなわち、吸入量の低下と動力の増加を招くという問題を生じやすいが、このような場合に、本発明を適用することにより、効率よく封液の排出を行うことができるようになり、従来の液封式ポンプに比して小型、大容量で効率の良好な液封式ポンプを提供することが可能になり、特に有意義である。
【002
また、前記請求項1を基礎とした請求項の液封式ポンプは、ケーシング外周部に余剰封液排出口を有する上記液封式ポンプにおいて、液封式ポンプの吸入圧力の変化に応じて、余剰封液の排出量が制御されるように構成されていることを特徴としている。
【002
そして、前記ケーシング外周部に余剰封液排出口を有する液封式ポンプにおいて、流量制御手段が圧力センサーの出力により開閉制御され、液封式ポンプの吸入圧力の変化に応じて、余剰封液の排出量を制御するように構成した場合、例えば、高真空域で封液の抜き出しを止めることが可能になり、高真空域での吸入性能を向上させることが可能になるなど、最も良好な運転性能を発揮させることが可能になる。
【002
また、前記請求項1又は2を基礎とした請求項の液封式ポンプは、前記封液排出口が、吸入開始位置である上死点を基準とした場合の、前記羽根車の回転方向300〜30゜の位置に配設されていることを特徴としている。
【002
そして、前記封液排出口を、吸入開始位置である上死点を基準とした場合の、羽根車の回転方向300〜30゜の位置に配設することにより、液封式ポンプの機能を損なうことなく、封液の一部を効率よくケーシングの外部に排出することが可能になり、本発明を実効あらしめることができる。
【002
また、前記請求項1〜3のいずれかを基礎とした請求項の液封式ポンプは、前記封液排出口が、ケーシングの軸方向両端側を除いた中央よりの位置に配設されていることを特徴としている。
【002
そして、前記封液排出口を、吸気ポート及び吐出ポートが配設されている羽根車側方ではなく、ケーシング外周部の軸方向の中央よりの位置に設けることにより、吸気ポート及び吐出ポートからの本来の吸気及び吐出を円滑に行わせつつ、封液の一部を封液排出口から効率よく排出することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
【0029
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【003
図1及び2は本発明の実施形態にかかる液封式ポンプの構成を示す図である。この両吸込の液封式ポンプは、円筒形ケーシング1と、その内部に偏心して取り付けられた多数の羽根4aを有する羽根車4と、羽根車4の側方に設けられた吸気ポート8及び吐出ポート9を備えており、羽根の幅と羽根の直径の比(羽根幅/羽根径比)が1を超えるように構成されている。
【003
前記液封式ポンプにおいては、予めケーシング1の内部に注入された液体(封液)13が、シャフト5の回転にともなって回転する羽根車4により、図2の矢印Rで示す方向に回転し、遠心力でケーシング1の内壁に押し付けられるよう回転することにより、封液環Lが形成されるとともに、羽根車4の羽根4aと、封液環Lの気液境界面10に囲まれた気室Gが形成されるように構成されている。そして、ケーシング1と羽根車4の中心が偏っていることから、気室Gは、羽根車4が一回転する間に拡大、縮小する。
【003
また、羽根車4の側方に設けられた仕切板3には、吸気ポート8及び吐出ポート9が配設されており、吸気ポート8は、気室Gが拡大する位相、吐出ポート9は気室Gが縮小する位相にあって、それぞれ外部の吸気口6、吐出口7に連通しており、気室Gの拡大に伴って両端の吸気口6を経て、外部の気体(吸入気体Gin)が吸気ポート8より吸入され、気液境界面10のピストン作用により圧縮昇圧された後、この圧縮気体(吐出気体Gout)が両端の吐出ポート9から吐き出されるように構成されている。したがって、上記の一連の動作により、気体が圧送され、ポンプとしての機能が発揮されることになる。
【003
そして、この実施形態の液封式ポンプにおいては、ケーシング1の外周部の、仕切板3に形成された吐出ポート9の開口位置に相当する位相角度の位置に、ケーシング1の軸方向に所定の間隔をおいて2つの封液排出口11が設けられている。すなわち、この液封式ポンプにおいては、2つの封液排出口11が、吸気ポート8及び吐出ポート9の配設されたケーシング1の軸方向両端側を除いた中央よりの位置に配設されている。
【003
また、前記封液排出口11は、吸入開始位置である上死点Aを基準(0゜)とした場合の、羽根車4の回転方向300〜330゜の位相位置に(図2のB〜Cの範囲)配設されている。なお、前記封液排出口11には、配管が接続され、流量制御手段12が組み込まれている。なお、流量制御手段12の二次側は、ポンプサイドカバー2の気体出口圧力領域や吐出配管に接続され、大気に開放されることになる。
【003
また、この実施形態の液封式ポンプにおいては、流量制御手段12が、圧力センサー14の出力により開閉制御され、液封式ポンプの吸込圧力にしたがって、流量(封液排出量)の制御が行われるように構成されている。
【003
この実施形態の液封式ポンプは、上述のように、吐出ポート9の他に、ケーシング1の外周部の、吐出ポート9の位相位置に略相当する位相位置に、前記封液排出口11を設けているので、羽根4aの幅Wと羽根4aの直径Dの比(羽根幅/羽根径比)が1以上である場合にも、ポンプ内部の余剰封液を外部に効率よく排出することが可能になり、吸入量を低下させることなく、封液排出に伴う動力損失を軽減して、液封式ポンプの小型化、大容量化、効率の向上を図ることができる。
【003
また、前記封液排出口11が、吸気ポート8及び吐出ポート9が配設されている羽根車4の側方ではなく、ケーシング1の外周部の軸方向の中央よりの位置に配設されているので、吸気ポート8及び吐出ポート9からの吸気及び吐出を円滑に行わせつつ、前記封液排出口11から封液13を効率よくケーシング1の外部に排出することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
【003
また、流量制御手段12により、液封式ポンプの吸込圧力にしたがって、流量(封液排出量)の制御を行うようにしているので、例えば、高真空域で封液の抜き出しを止めることが可能になり、高真空域での吸入性能を向上させることが可能となるなど、最も良好な運転性能を発揮させることができる。
【0039
なお、図3は、本発明の実施形態にかかる液封式ポンプと、従来の液封式ポンプの性能を示す線図である。図3より、本発明の液封式ポンプの方が、従来の液封式ポンプよりも、軸動力が小さいのに、大きな吸入量を達成することができており、効率が向上していることがわかる。これは、羽根車幅/羽根車外径比>1である場合においても、封液13が効率よく封液排出口11から排出されるため、低真空域において、従来技術でのポンプ所要動力以下で同量気体を吸入することが可能になることによるものである。
【004
なお、上記実施形態では、2つの封液排出口11が、ケーシング1の軸方向両端側を除いた中央よりの位置に配設されている場合を例にとって説明したが、封液排出口の具体的な配設位置及び配設個数は、上記実施形態に限定されるものではなく、液封式ポンプの具体的な構造などを考慮して、適当な位置に、任意の個数の封液排出口を配設することが可能である。
【004
本発明は、さらにその他の点においても、上記実施形態に限定されるものではなく、ケーシングの具体的な形状、吸気ポート及び吐出ポートの具体的な形状や配設位置、羽根の幅と羽根の直径の比(羽根幅/羽根径比)、液封式ポンプの吸入圧力の変化に応じて余剰封液の排出量を制御するため制御手段の構成などに関し、発明の要旨の範囲において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【004
【発明の効果】
上述のように、本発明(請求項1)羽根の幅と羽根の直径の比(羽根幅/羽根径比)が1を超える両吸込の液封式ポンプは、余剰封液の主たる排出口である吐出ポートの他に、ケーシング外周部の、吐出ポートの位相位置に略相当する位相位置に、余剰封液を排出するための前記封液排出口を設けるようにしているので、ポンプ内部の余剰封液を外部に効率よく排出することが可能になり、吸入量を低下させることなく、封液排出に伴う動力損失を軽減して、小型、大容量で効率の良好な液封式ポンプを提供することが可能になる。すなわち、本発明の液封式ポンプにおいては、ケーシング外周部の、吐出ポートの位相位置に略相当する位相位置に設けた前記封液排出口から、余剰封液を効率よく排出できるようにして、動力の増加にかかわる余剰封液排出時の損失を抑制するようにしているので、低真空域で従来技術でのポンプ所要動力以下で同量気体を吸入することが可能で、従来の液封式ポンプに比して小型、大容量で効率の良好な液封式ポンプを提供することができる。
【004
更に、羽根の幅と羽根の直径の比(羽根幅/羽根径比)が1を超えるような大きさになると、従来の側気口型の液封式ポンプにおいては、封液の排出時に損失が増加し、ポンプ性能の低下、すなわち、吸入量の低下と動力の増加を招くという問題を生じやすいが、本発明(請求項1)を適用することにより、効率よく封液の排出を行うことができるようになり、従来の液封式ポンプに比して小型、大容量で効率の良好な液封式ポンプを提供することが可能になり、特に有意義である。
【004
また、前記請求項1を基礎とした請求項の液封式ポンプのように、ケーシング外周部に余剰封液排出口を有する液封式ポンプにおいて、流量制御手段が圧力センサーの出力により開閉制御され、液封式ポンプの吸入圧力の変化に応じて、余剰封液の排出量を制御するように構成した場合、例えば、高真空域で封液の抜き出しを止めることが可能になり、高真空域での吸入性能を向上させることが可能になるなど、最も良好な運転性能を発揮させることが可能になる。
【004
また、前記請求項1又は2を基礎とした請求項の液封式ポンプのように、封液排出口を、吸入開始位置である上死点を基準とした場合の、羽根車の回転方向300〜30゜の位置に配設することにより、液封式ポンプの機能を損なうことなく、封液の一部を効率よくケーシングの外部に排出することが可能になり、本発明を実効あらしめることができる。
【004
また、前記請求項1〜3のいずれかを基礎とした請求項の液封式ポンプのように、封液排出口を、吸気ポート及び吐出ポートが配設されている羽根車の両側方ではなく、ケーシング外周部の軸方向の中央よりの位置に設けるようにした場合、吸気ポート及び吐出ポートからの本来の吸気及び吐出を円滑に行わせつつ、封液の一部を封液排出口から効率よく排出することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる液封式ポンプの構造を示す一部断面正面図である。
【図2】図1の液封式ポンプの要部構成を示す側面断面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる液封式ポンプと、従来の液封式ポンプの性能を比較した線図である。
【図4】従来の液封式ポンプの構造を示す一部断面正面図である。
【図5】(a)は図4の従来の液封式ポンプの要部構成を示す側面断面図、(b)図4の従来の液封式ポンプの要部構成を示す正面図である。
【符号の説明】
1.ケーシング
2.ポンプサイドカバー
3.仕切板
4.羽根車
4a.羽根
5.シャフト
6.吸気口
7.吐出口
8.吸気ポート
9.吐出ポート
10.気液境界面
11.封液排出口
12.流量制御手段
13.液体(封液)
14.圧力センサー
R.インペラ回転方向(封液回転方向)
G.気室及びその回転方向
L.封液環及びその回転方向
Gin.吸入気体
Gout.吐出気体
A.上死点(吸入開始点)
B.上死点より300°回転した位置
C.上死点より330°回転した位置

Claims (4)

  1. 羽根の幅と羽根の直径の比(羽根幅/羽根径比)が1を超える両吸込の液封式ポンプにおいて、円筒形のケーシングと、その内部に偏心して取り付けられた多数の羽根を有する羽根車と、羽根車の両側方に設けられた、外部から気体を吸引する吸気ポート及びケーシング内の気体及び液体の一部を吐き出す吐出ポートを備え、ケーシングの内部に封じた液体を羽根車で回転させることにより生じる封液環と、羽根車の羽根間に形成される空間のピストン作用により気体の圧送を行う液封式ポンプにおいて、余剰封液の主たる排出口である吐出ポートの他に、ケーシング外周部の、前記吐出ポートの位相位置に略相当する位相位置に、余剰封液を排出するための封液排出口を設けたことを特徴とする液封式ポンプ。
  2. ケーシング外周部に余剰封液排出口を有する上記液封式ポンプにおいて、流量制御手段が圧力センサーの出力により開閉制御され、液封式ポンプの吸入圧力の変化に応じて、余剰封液の排出量が制御されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の液封式ポンプ。
  3. 前記封液排出口が、吸入開始位置である上死点を基準とした場合の、前記羽根車の回転方向300〜30゜の位置に配設されていることを特徴とする請求項1又は2記載の液封式ポンプ。
  4. 前記封液排出口が、ケーシングの軸方向両端側を除いた中央よりの位置に配設されていることを特徴する請求項1〜のいずれかに記載の液封式ポンプ。
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