JP4663045B2 - 耐衝撃性を有する易開封性容器蓋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐衝撃性に優れた易開封性容器蓋に関するもので、より詳細には倒立落下衝撃(ウオーターハンマー)による液飛びを低減させた耐衝撃性易開封性容器蓋に関する。
【0002】
【従来の技術】
清酒等の飲料は、ガラス製のカップ容器に充填されて広く市販されている。この種のカップ容器に使用されている金属キャップはタブリング付のものであり、広く使用されているものは、タブを把持してこれを引っ張ることにより、キャップ側壁に形成されたスコアを剪断してリングを取り去り、残った部分を指で押し上げることにより開封を行うものである。
【0003】
特許2632769号公報には、タブリングの中心位置から63度離れた部分と105度離れた位置にそれぞれスリットを形成したキャップが提案されている。
【0004】
実用新案登録第2556516号公報には、円形状天面と該天面周縁部から垂下した側壁とからなり、該側壁に連結片を介してタブリングが設けられている金属キャップにおいて、前記連結片の両端部から側壁を通って天面と側壁との境界部に沿ってスコアが形成されており、該スコアは、各終点と天面中心とがほぼ直線上に位置するような点で終結しており、各スコアの終点近傍のスコアが形成されていない側の側壁にスリットが設けられていることを特徴とする金属キャップが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この種のキャップは、天面の内面周囲にリング状のガスケットを設けると共に、カップの口部に設けられたビードの下側にキャップ側壁の下端部をかしめることにより密封が行われている。
また、開封を容易にするために、キャップシェルには或る程度可撓性のある比較的薄手のアルミニウムシートが使用されている。
【0006】
この密封構造やキャップシェルの可撓性にも関連して、密封カップを倒立状態で落下させたとき、ウオーターハンマーにより液飛びが発生するという問題があることが分かった。即ち、この落下衝撃により内容物の密封性が損なわれることはないが、カップと蓋との密封部を通って内容物液体が容器外に飛び出すのである。
このような液飛びが発生すると、液の量がかなり微量であっても、密封部の近傍にカビなどが発生するおそれがあり、衛生的な見地からもその低減が強く望まれている。
【0007】
したがって、本発明の目的は、倒立落下衝撃(ウオーターハンマー)による液飛びが低減された耐衝撃性易開封性容器蓋を提供するにある。
本発明の他の目的は、密封性に優れていると共に、密封性が保持されていることを目視により容易に確認できる機能をも兼ね備えた耐衝撃性易開封性容器蓋を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、天面部と短いスカート部とを有するシェルと、天面部内面側の周囲の溝に収納された密封用ガスケットとから成り、前記スカート部には、その下端から径外方に延びる開封用把持部と該把持部の両側端部から周方向に間隔をおいて下端から高さ方向に延びる少なくとも一対の開封開始用スリット乃至スコアが設けられている耐衝撃性を有する易開封性容器蓋において、前記天面部には密封用ガスケットの内周縁よりも内側に位置する円周状の付け根部を介して上に凸の撓み変形及び復元可能な部分が設けられており、前記天面部が、リング状の外周側頂面部と、この頂面部内周から下向に垂下するリム部と、このリム部の下側に接続されたフラットな中央パネル部とを備え、この中央パネル部に前記円周状の付け根部を介して前記上に凸の部分が形成されており、前記上に凸の部分は、前記円周状の付け根部よりも内側の幅の狭いリング状立ち上がり部と、リング状立ち上がり部の内周縁に接続された円錐台部と、円錐台部の内周縁に接続されたフラットな円形部とからなり、リング状立ち上がり部の傾斜角度は円錐台部の傾斜角度よりも大きく形成されており、前記シェルがアルミニウムから形成されており、該アルミニウムは25kg/mm2以上の耐力を有すると共に、前記上に凸の部分は、密封時の減圧下でフリップダウンし、且つ開封によりフリップアップする特性を有しており、前記上に凸の部分は、容器外と容器内の圧力差が12cmHg以上でフリップダウンし、且つ容器外と容器内の圧力差が8cmHg以下でフリップアップする特性を有するものである、ことを特徴とする耐衝撃性を有する易開封性容器蓋が提供される。上に凸の部分の高さH及びその投影面積Sは、高さ(H)が0.3〜0.7mmの範囲にあり、且つ面積(S)が19.5〜38.5cm2の範囲にあることが好ましい。
【0009】
【発明の実施形態】
[作用]
本発明の容器蓋は、天面部と短いスカート部とを有するシェルと、天面部内面側の周囲の溝に収納された密封用ガスケットとから成り、このスカート部には、その下端から径外方に延びる開封用把持部と該把持部の両側端部から周方向に間隔をおいて下端から高さ方向に延びる少なくとも一対の開封開始用スリット乃至スコアが設けられているが、天面部に、密封用ガスケットの内周縁よりも内側に位置する円周状の付け根部を介して上に凸の撓み変形及び復元可能な部分(以下ボタンと呼ぶこともある)を設けたことが特徴である。
本明細書において、上に凸の撓み変形及び復元可能な部分とは、材料力学的には部分球殻を基本とするものであるが、これを基本として、撓み変形及び復元可能性を強調するように、後述する例に示すとおり、構造的に種々の変形を加えたものも用いられる。
この特徴により、本発明によれば、倒立落下衝撃(ウオーターハンマー)による液飛びを有効に低減させることができる。
【0010】
後述する実験例を参照されたい。前述した上に凸の撓み変形及び復元可能な部分(ボタン)を備えていない以外は本発明と同様な易開封性容器蓋(比較例1)を、倒立落下試験に付した場合、液飛びの発生量は24mgに達するのに対して、本発明に従い、上に凸の撓み変形及び復元可能な部分(ボタン)を設けた易開封性容器蓋(実施例1)では、同様な落下試験において液飛びの発生量を13mg以下に抑制できるのであって、本発明による予想外の作用効果が明らかとなる。
【0011】
本発明において、上に凸の撓み変形及び復元可能な部分(ボタン)を設けることにより、ウオーターハンマーによる液飛びを低減させうるのは、次の理由によるものと思われる。
即ち、この種の包装容器では、内容物の保存性を向上させる目的で、一般に温度が60乃至90℃の内容物を熱間充填し、易開封性容器蓋を巻締した後、密封容器を放冷或いは強制的に冷却する。この冷却により、容器内は大気圧よりも 15乃至50cmHg低い減圧状態となり、前記ボタンは下向きに、即ち容器側に撓んだ状態となり、容器蓋が密封状態に維持される限り、前記ボタンは下向きに撓んだ状態に維持される。
密封状態の容器を倒立状態で落下させると、容器蓋にはウオーターハンマーによる衝撃が加わるが、この衝撃によりボタンが一瞬容器側に凸に撓んだ状態から元の外方に凸の状態に変形し、これによりウオーターハンマーによる衝撃を吸収し、緩和する。この衝撃吸収及び緩和により、密封部からの液飛びが顕著に低減されるわけである。
【0012】
本発明の易開封性容器蓋においては、前記ボタンを、天面部内面における密封用ガスケットの内周縁よりも内側の中央部に設けることも重要である。この構成により、ウオーターハンマーによる衝撃を有効に吸収し、緩和させることが可能となると共に、このボタンの上下方向への変形が生じても、この変形が容器蓋の密封性に何ら悪影響を及ぼさないようにすることが可能となる。実際に後述する例に示すとおり、本発明の容器蓋では、落下衝撃を加えた後においても、容器内の減圧の程度は、落下衝撃を加える前の状態とほぼ同様であり、優れた密封性が維持されているのである。
勿論、落下衝撃を加えた後の容器蓋では、ボタンは容器側に凸に撓んだ状態であり、減圧密封状態が維持されていることを明示している。
【0013】
本発明では、容器蓋のシェルがアルミニウムから形成されているのが易開封性の点で望ましく、このアルミニウムは25kg/mm2 以上の耐力を有することが、ウオーターハンマーによる衝撃を有効に吸収緩和させるのに望ましい。尚、アルミニウムの耐力とは、0.2%永久歪みにおける応力であり、この耐力が上記範囲を下回ると、上記範囲内にある場合に比してウオーターハンマーによる液漏れはかえって増大する傾向がある。これは、むしろ耐力が大きい方が衝撃吸収には有効であるためと考えられる。
【0014】
本発明に用いる上に凸の部分は、密封時の減圧下でフリップダウンし、且つ開封によりフリップアップする特性を有するものであるのがよい。というのは、ウオーターハンマーによる衝撃の吸収及び緩和は、上に凸の部分が内方に撓んだ状態に維持されている状態で発現されるものであるからであり、また、開封によりフリップアップする特性に欠けるものでは、衝撃の吸収及び緩和のための変形も生じにくいからである。
【0015】
本発明の容器蓋では、減圧密封状態では、フリップダウンした状態にあるため、内容物が減圧状態に密封されていることを、容器外から目視で容易に確認することができるという品質保証機能及びタンパーエビデント機能をも有している。
【0016】
【実施例】
本発明を次の実施例を挙げて説明する。
図1は本発明の容器蓋の一例を示す平面図であり、
図2は図1の容器蓋の底面図であり、
図3は図1の容器蓋の開封用把持部側からみた側面図であり、
図4は図1の容器蓋の図3の位置から90度回転した位置からみた側面図であり、
図5は図1の容器蓋の拡大側面断面図であり、
図6は図1の容器蓋の開封用スリットの詳細な構造を示す部分拡大側面図であり、
図7は減圧密封状態にある容器蓋を容器口部と共に示す断面図であり、
図8は図1の容器蓋における薄い部分球殻の寸法関係を説明する説明図であり、
図9は容器蓋部分球殻の撓み量と容器内外圧力差との関係を説明するためのグラフである。
【0017】
本発明の容器蓋は、天面部11と天面部の周囲から垂下する短いスカート部12とを有する金属製のシェル1と、天面部内面側の周囲の溝13に収納された密封用ガスケット2とから成っている。
スカート部12には、その下端から径外方に延びる開封用把持部3と該把持部の両側端部から周方向に間隔をおいて下端から高さ方向に延びる少なくとも一対の開封用スリット乃至スコア、この例では第一のスリット41、41と第二のスリット42、42とが設けられている。これらの開封用スリット41、42は容器蓋の容器口部からの取り外しに役立つものである。
【0018】
この例のキャップにおいて、図5によく示されるとおり、天面部11はスカート部12から小間隔をおいてリング状の頂面部14があり、このリング状の頂面部14の内周縁から径内方向且つ下方向に傾斜して垂下するリム部15があり、このリム部14にフラットな中央パネル部16が接続されている。かくして、スカート部12の上部、リング状頂面部14及びリム部15で囲まれた内面側の部分がガスケット収納溝部13となっていることが了解されよう。
【0019】
開封用把持部3は、樹脂製のリング31からなっており、スカート部12の下端から延びている舌片32(図5参照)に分離不能に固着されている。
開封に際して、スカート部12による容器口部61(図7参照)への巻締力を弱めるために、開封用把持部3の両側付け根部33からスカート部12を高さ方向に延び、且つ頂面部11の周縁を開封用把持部3の反対方向に短い距離だけ延びている開封開始用スコア34が形成されている。
【0020】
一方、第一のスリット41は、開封に際して、スカート部12の内開封用把持部側の部分を容器口部61から取り外しやすくするものであり、一方第二のスリット42は、開封に際して、スカート部12の内第二のスリットよりも後方の部分(開封用把持部と反対側の部分)を容器口部61から取り外しやすくするものである。かくして、第一のスリット41は、スカート部12を開封用把持部3の側とその反対側とに二分したとき、開封用把持部3の側に形成されており、一方第二のスリット42は、開封用把持部3の反対側に形成されている。
【0021】
これらのスリット41(42)の詳細な構造を示す図6において、スカート部12の下端部には切り欠き部(ノッチ)43が形成されており、この切り欠き部の最深部には下方スリット44が接続しており、この下方スリット44と一直線になるように、上方スリット45がブリッジ46を介して設けられている。スリットによる開封の動作については、後に詳述する。
【0022】
本発明の容器蓋においては、溝13の内周縁よりも内側に位置する中央パネル部16に、円周状の付け根部17を介して上に凸の撓み変形及び復元可能な部分(ボタン)5を設ける。
【0023】
この上に凸の撓み変形及び復元可能な部分5は、最も単純な形では部分球殻から成るものであり、この部分球殻の諸寸法を説明するための図8において、この部分球殻5の形状及び寸法はその曲率半径R及び半頂角θ(ラジアン)によって決定される。
即ち、部分球殻の高さHは、
H=R−Rcosθ=R(1−cosθ)
であり、一方部分球殻の垂直方向への投影面積(S)は
S=π(Rsinθ)2
である。
【0024】
一方、図1乃至7に示す実施例では、上に凸の撓み変形及び復元可能な部分5は、図8に示した部分球殻を変形した形状となっており、具体的には、円周状付け根部17よりも内側の幅の狭いリング状立ち上がり部51、このリング状立ち上がり部51の内周縁に接続された円錐台部52及び円錐台部52の内周縁に接続されたフラットな円形部53から成っている。
立ち上がり部51の傾斜角度は円錐台部の傾斜角度よりも大きく、これにより立ち上がり部51は減圧下でそれ自体も若干下方に撓み変形すると共に、円錐台部52の下方への反転変形を補助するように作用する。
フラットな円形中心部53を設けたのは、この部分に加工硬化を付与するためであり、これにより円形部53が、その形状を維持したままで、ある一定圧力以上で或いは以下で上下に移動可能としている。このような変形を可能にすることにより、例えば開封時に音を発生するようにすることも可能である。
また、立ち上がり部51と円錐台部52の間に若干のくぼみ部を設けるような形状も可能である。
【0025】
上に凸の部分の高さH及びその投影面積Sは、ウオーターハンマーの衝撃吸収及び容器蓋の強度や密封性等の機能や上に凸の部分の反転及び復元性の点から、一定の好適範囲がある。
一般に、この高さ(H)は
H=0.3〜0.7mm
の範囲にあり、一方面積(S)は
S=19.5〜38.5cm2
の範囲にあるのが望ましい。
高さ(H)が上記範囲を下回ると、減圧密封下における下方への撓み量が少なくなるため、ウオーターハンマーの衝撃吸収緩和の程度が小さくなり、液飛びが増大する傾向があり、一方高さ(H)が上記範囲を上回ると、容器蓋の機械的強度や密封性能が低下する傾向があり、更に上に凸の部分の反転及び復元作用が生じなくなる傾向があると共に、容器蓋を重ねたとき上に凸の部分が変形したり、擦られたりする可能性があるため、好ましくない。
また、面積(S)が上記範囲を下回ると、減圧密封下における下方への撓み量や変形容積が少なくなるため、ウオーターハンマーの衝撃吸収緩和の程度が小さくなり、液飛びが増大する傾向があり、一方面積(S)が上記範囲を上回ると、容器蓋の機械的強度や密封性能が低下する傾向があり好ましくない。
【0026】
本発明の容器蓋における減圧密封時における上に凸の部分5の下方向への撓み量(δ)は、上記の形状因子の他、内外気圧差(ΔP)、金属素材の弾性率(E)及び金属素材の厚み(t)にも依存する。
部分球殻における金属素材厚み当たりの撓み量の比(δ/t)と内外気圧差に比例する特性値(ΔPR2/2Et2)とは、Rθ2 /tが5 以上の大きさにある場合、図9の曲線Aに示すように、δ/tが或る程度大きい領域においてΔPR2/2Et2の値が極小値(Min)を示す領域が存在することが知られている。
上記特性値(ΔPR2/2Et2)の内、圧力差(ΔP)以外の値は、一定の部分球殻については常に一定の値をとるから、図9に示す曲線は圧力差と撓みの関係を示すものと考えて差し支えない。
【0027】
即ち、本発明の容器蓋における減圧密封時におけるフリップダウンは右向きの矢印Bで示される撓みの発生過程であり、一方減圧消失時におけるフリップアップは左向きの矢印Cで示される撓みの解消過程であること、及び撓みは前記極小値の近傍で安定していることが分かる。
【0028】
本発明の容器蓋における金属素材厚み当たりの撓み量の比(δ/t)は、ウオーターハンマーによる液飛び防止や、減圧密封保証性の明示の点で、一般的にいって、1.0乃至5.0の範囲、特に1.4乃至4.0の範囲にあることが好ましい。
また、減圧密封時における圧力差(ΔP)は、一般に10乃至60cmHg、特に15乃至50cmHgの範囲にある。
かくして、上記の圧力差で上記の撓み量が満足されるように、部分球殻5の曲率半径R及び半頂角θ(ラジアン)並びに部分球殻5を構成する金属素材の弾性率(E)及び厚み(t)を定めればよい。
勿論、部分球殻が変形されている場合にも、部分球殻の場合に準じればよい。
【0029】
本発明の易開封性容器蓋は、閉栓前の状態では、図5の拡大断面図に最もよく示されるように、上に凸の部分5が天面部の頂面14よりも突出しない範囲で上に凸の状態で存在していることが好ましい。
【0030】
本発明の易開封性容器蓋を、容器の密封に用いるに先立って、容器6の内部には、内容物7が熱間状態、例えば60乃至90℃の温度で充填される。次いで、この熱間充填にすぐ続いて、容器口部6に容器蓋1をガスケット3を介して一定の圧力で押圧しながら、スカート部12の下端部を径が縮小するようにかしめて、ビード上の容器口部61の外周側下部62にこのカシメ部18を係合せしめる。
この密封容器では、内容物7の冷却に伴って内部が減圧となり、その結果、上に凸の部分5は下側に凸の撓んだ状態55となる。
【0031】
この種の密封容器では、スカート部の高さを大きくして、かしめ部の面積を大きくすると、開栓力が著しく高くなり、開栓が困難となる。従って、この種のキャップではかしめ部を浅くせざるを得なくなり、このためウオーターハンマーによる液飛び現象はこの種のキャップにおける特有の現象であった。
本発明では図7に示すくぼんだ状態55から突出した状態5への変形を許容することにより、液飛びの発生量を顕著に抑制することに成功したものである。
【0032】
本発明の易開封性容器蓋における開封操作は、次のように行われる。
先ず、開封用把持部3のリング31を指で保持して、手前に引き寄せる。これにより把持部3の両側付け根33乃至その近傍に設けられている開封開始用スコア34が剪断されて、把持部側のスカート部が変形可能な状態となる。
次いで、把持部3を保持したまま、これを上方に持ち上げると、第一の開封用スリット41のブリッジ46が剪断されて、スリット41の上方端縁の部分を支点として、天面部及びスカート部は上方に屈曲乃至屈折可能となり、更に上方への持ち上げを続行することにより、第二の開封用スリット42のブリッジ46が剪断されて、スリット42の上方端縁の部分を支点として、天面部及びスカート部は上方に屈曲乃至屈折可能となり、結局、容器蓋全体が容器口部61から取り外され、開封が完了することになる。
【0033】
本発明の蓋シェルは、アルミニウム製であることが好ましい。この蓋シェルは純アルミニウムから成るものでもよいが、一般に、強度、剛性、耐腐食性等の見地から、アルミニウム合金を使用するのが好ましく、このアルミニウム中には、Si、Fe、Cu、Mn、Mg、Cr、Ti、Ni等の合金金属が含有されている。
好適なアルミニウム基体は、Cu 0 〜0.8 %、Mg 0 〜2.8 %、Mn 0 〜1.5 %、Fe 0 〜0.5 %、Si 0 〜0.5 %(%は重量基準)を含む組成を有するものであり、例えばJIS規格(H 4000)による金属番号が1070、1050、1100、1200などの純アルミニウム、2011、2014、2017、2024などのAl−Cu系合金、3003、3004、3024などのAl−Mn系合金、5005、5052、5154、5082などのAl−Mg系合金、合金番号5182、5056、5083、5086などのAl−Mn−Mg系合金、6061、6063などのAl−Mg−Si系合金、7075、7N01などのAl−Zn系合金、などが好適なものである。
アルミニウムの厚みは、一般に0.15乃至0.21、特に0.18乃至0.20の範囲にあることが望ましい。
【0034】
本発明に用いる容器蓋シェルの少なくとも内面は、それ自体公知の保護塗膜を有しているか、或いは樹脂フィルム等でラミネートされていることが好ましい。
保護塗膜としては、熱硬化性樹脂塗料、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、油性樹脂、或は熱可塑性樹脂塗料、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、アクリル重合体、飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂塗料は単独でも2種以上の組合せでも使用される。
一方、保護用のラミネート樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、ピロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネートあるいはそれらの混合物のいずれかの樹脂でもよい。
保護用塗膜或いはフィルムの厚みは一般に4乃至8μmの範囲にあるのが適当である。
【0035】
本発明に用いる容器蓋シェルの製造は、天面部の中央に上に凸の撓み変形及び復元可能な部分を形成させる点を除けば、それ自体公知の任意の方法で行うことができ、例えば、塗装或いはラミネートアルミニウム板を図示した天面部及びスカート部の形にプレス成形し、前述したスコア乃至スリット加工を行い、樹脂の圧縮成形や射出成形でシェルと一体に把持リングの形成を行えばよい。
【0036】
ガスケットを構成する素材は、密封に必要なクッション性、柔軟性などを有するそれ自体公知の樹脂乃至ゴム、特に軟質塩化ビニル系樹脂、アクリル系エラストマー、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマー、熱可塑性スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体や、熱可塑性スチレン−イソプレン−スチレン共重合体などの熱可塑性スチレン系エラストマー、エチレン−プロピレン・ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン・ゴム、スチレン−ブタジエン・ゴム、ニトリル−ブタジエン・ゴム、ブチルゴム、天然ゴム、ポリブタジエン、クロロプレン・ゴム、ポリウレタン、アクリルゴム、シリコーン・ゴム等が挙げられる。これらの内低密度ポリエチレンやエチレン/プロピレン系共重合体ゴム、塩化ビニル樹脂のプラスチゾル、アクリル系プラスチゾル、スチレン−ブタジエン・ゴム(SBR)特にソルベントタイプのSBR等は密封性、加工性に優れるため容器ライナーに適している。これらは単独で用いることもまた必要に応じて二種類以上組み合わせて使用することも可能である。
これらの樹脂乃至エラストマー中には、それ自体公知の樹脂配合剤、例えば、可塑剤、充填剤、着色剤、熱安定剤、発泡剤、架橋剤等をそれ自体公知の処方に従って配合することができる。
ガスケットの成形は、例えば、射出成形、圧縮成型或いは樹脂やエラストマーの溶融物やプラスチゾルを容器蓋殻体内に施し、必要により型押ししてライナーに成形することにより行うことができる。
【0037】
本発明の効果を具体的に示すために以下の実験例を示す。
[実験例]
1)容器蓋の作成
表−1に示すアルミ材をプレス金型にてプレスして、図1の易開栓容器蓋シェルを成形した。
【0038】
2)キャップ性能評価
清酒用ワンカップガラス瓶に70゜Cの温水を200ml充填し、表−1に示す容器蓋を坂口式王冠打栓機でキャッピングし、自然放冷後、15゜の傾斜角を持つ鉄柱に50cmの高さから容器を倒立落下し、24Hr室温に放置後、容器内の減圧値をバキュ−ムキャンテスタ−で測定した。また、自然放冷後、容器を倒立落下しないものの容器内減圧値を同様に測定した。
充填品の重量を容器倒立落下前と容器倒立落下後に測定して、その差を液飛び量mgとした。
容器内を真空ポンプで減圧にして、比較例2、実施例1の上に凸の部分が容器側に凹むときの減圧値をフリップダウン値cmHgとした。
また、容器内の減圧値を解除し、比較例2、実施例1の上に凸の部分形状が復元するときの減圧値をフリップアップ値cmHgとした。
【0039】
3)キャップ性能評価
比較例2では上に凸の部分が容器内減圧でフリップダウンしたが減圧解除にてフリップアップが起こらず、また、容器倒立落下時の液飛び量も比較例1と差がなかった。これに対して、実施例1では上に凸の部分が容器内減圧でフリップダウンし、また、減圧解除にてフリップアップした。さらに、容器倒立落下時の液飛び量は比較例1及び2よりも明かに低下した。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
本発明の容器蓋は、天面部と短いスカート部とを有するシェルと、天面部内面側の周囲の溝に収納された密封用ガスケットとから成り、このスカート部には、その下端から径外方に延びる開封用把持部と該把持部の両側端部から周方向に間隔をおいて下端から高さ方向に延びる少なくとも一対の開封開始用スリット乃至スコアが設けられているが、天面部に、密封用ガスケットの内周縁よりも内側に位置する円周状の付け根部を介して上に凸の撓み変形及び復元可能な部分(ボタン)を設けたことが特徴であり、これにより、倒立落下衝撃(ウオーターハンマー)による液飛びを顕著に低減させることが可能となる。
即ち、本発明は、内容物が減圧状態で密封される容器に適用されるものであるが、この状態では上に凸の部分は逆に下向きに撓んだ状態に維持される。密封状態の容器を倒立状態で落下させると、容器蓋にはウオーターハンマーによる衝撃が加わるが、この衝撃によりボタンが容器側に凸に撓んだ状態から元の外方に凸の状態に復元し、これによりウオーターハンマーによる衝撃を吸収し、緩和する。この衝撃吸収及び緩和により、密封部からの液飛びが顕著に低減されるのである。
本発明の容器蓋では、減圧密封状態では、下にくぼんで撓んだ状態にあるため、内容物が減圧状態に密封されていることを、容器外から目視で容易に確認することができるという品質保証機能及びタンパーエビデント機能をも有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の容器蓋の一例を示す平面図である。
【図2】図1の容器蓋の底面図である。
【図3】図1の容器蓋の開封用把持部側からみた側面図である。
【図4】図1の容器蓋の図3の位置から90度回転した位置からみた側面図である。
【図5】図1の容器蓋の拡大側面断面図である。
【図6】図1の容器蓋の開封用スリットの詳細な構造を示す部分拡大側面図である。
【図7】減圧密封状態にある容器蓋を容器口部と共に示す断面図である。
【図8】上に凸の部分が部分球殻である場合の寸法関係を説明する説明図である。
【図9】容器蓋の部分球殻の撓み量と容器内外圧力差との関係を説明するためのグラフである。
Claims (2)
- 天面部と短いスカート部とを有するシェルと、天面部内面側の周囲の溝に収納された密封用ガスケットとから成り、前記スカート部には、その下端から径外方に延びる開封用把持部と該把持部の両側端部から周方向に間隔をおいて下端から高さ方向に延びる少なくとも一対の開封開始用スリット乃至スコアが設けられている耐衝撃性を有する易開封性容器蓋において、
前記天面部には密封用ガスケットの内周縁よりも内側に位置する円周状の付け根部を介して上に凸の撓み変形及び復元可能な部分が設けられており、
前記天面部が、リング状の外周側頂面部と、この頂面部内周から下向に垂下するリム部と、このリム部の下側に接続されたフラットな中央パネル部とを備え、この中央パネル部に前記円周状の付け根部を介して前記上に凸の部分が形成されており、
前記上に凸の部分は、前記円周状の付け根部よりも内側の幅の狭いリング状立ち上がり部と、リング状立ち上がり部の内周縁に接続された円錐台部と、円錐台部の内周縁に接続されたフラットな円形部とからなり、リング状立ち上がり部の傾斜角度は円錐台部の傾斜角度よりも大きく形成されており、
前記シェルがアルミニウムから形成されており、該アルミニウムは25kg/mm2以上の耐力を有すると共に、前記上に凸の部分は、密封時の減圧下でフリップダウンし、且つ開封によりフリップアップする特性を有しており、
前記上に凸の部分は、容器外と容器内の圧力差が12cmHg以上でフリップダウンし、且つ容器外と容器内の圧力差が8cmHg以下でフリップアップする特性を有するものである、
ことを特徴とする耐衝撃性を有する易開封性容器蓋。 - 上に凸の部分の高さH及びその投影面積Sは、高さ(H)が0.3〜0.7mmの範囲にあり、且つ面積(S)が19.5〜38.5cm2の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の耐衝撃性を有する易開封性容器蓋。
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