JP4661794B2 - 内燃機関用のピストンおよびその製造方法 - Google Patents

内燃機関用のピストンおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4661794B2
JP4661794B2 JP2007010073A JP2007010073A JP4661794B2 JP 4661794 B2 JP4661794 B2 JP 4661794B2 JP 2007010073 A JP2007010073 A JP 2007010073A JP 2007010073 A JP2007010073 A JP 2007010073A JP 4661794 B2 JP4661794 B2 JP 4661794B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piston
base metal
top surface
layer
hollow particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007010073A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008175163A (ja
Inventor
成昭 安部
学 小澤
与志彦 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2007010073A priority Critical patent/JP4661794B2/ja
Publication of JP2008175163A publication Critical patent/JP2008175163A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4661794B2 publication Critical patent/JP4661794B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)

Description

本発明は、内燃機関用のピストンとその製造方法に関するものである。
内燃機関用のピストンには、軽量で熱伝導率の高いアルミニウム合金が一般に使用されており、エンジン効率の向上とピストン上部の効率的な放熱が図られている。ピストンの放熱性は、ピストン自体の強度低下を抑制する上で重要であるが、その一方で、ピストンの放熱性が高いと内燃機関始動時等の低負荷下において、燃焼室内の温度が低下してしまい、ハイドロカーボンの増加やNOxの増加といった問題が生じ易い。
そこで、燃焼室内に対向するピストン頂面部をアルミニウム合金等の母材金属に比して相対的に低熱伝導性のチタン系合金等の焼結材で形成するといった技術もおこなわれている。これは、アルミニウム合金等の母材金属にチタン系合金等からなる焼結材を鋳ぐるんで製造するものであるが、この構造では異種合金界面強度が母材金属強度に比して著しく低下するため、ピストンの耐久性がこの界面強度で決定されるといっても過言ではなく、結果として耐久性の低いピストンとならざるを得ない。
例えば、特許文献1に開示の複合セラミックコーティング材においては、内燃機関用のピストンの頂面にメタリックボンドコートをコーティングし、その上部にメタル/セラミック層を形成し、さらにその上部に複合セラミック最上層を形成してなるピストンが開示されている。かかる構成のピストンにおいても、各層間における界面強度の相違に基づいてピストンの耐久性が低下することは否めない。
特表平8−501602号公報
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、燃焼室内の温度を低下させることなく、かつ耐久性の高い内燃機関用のピストンとその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による内燃機関用のピストンは、該ピストンの燃焼室側表面にピストン頂面部が形成されており、前記燃焼室側表面の一部を少なくとも含み、ピストンの母材金属に比して相対的に低比重の中空粒子が母材金属内に分散されてなる第1の層が前記ピストン頂面部に形成されていることを特徴とするものである。
本発明のピストンは純アルミやアルミニウム合金などの母材金属溶湯から成形されるものであり、燃焼室内に噴射される燃料が直接照射するピストン頂面部の表層を、母材金属内に中空粒子が分散されてなる層から成形するものである。なお、ここでいう「層」とは、厳密に母材金属のみからなる部分と明確に画成される層のみならず、ピストン頂面部の表層から内部に向って徐々に中空粒子の数が減少するような場合において相対的に多数の中空粒子を有する部分を包含している。
この中空粒子が母材金属に比して相対的に低比重であることでピストン頂面部の表層に多数の中空粒子が分散した状態となる。この中空粒子(の表皮部)は、例えば鉄、タングステン、タンタル、モリブデン、イリジウム、白金、チタン、パラジウム、ニッケル、マグネシウム、ベリリウム、アルミニウムなどの金属素材のほか、セラミックスなどを適用できる。中でも、鉄を適用することで材料コストを低廉にできるとともにその製造も簡易となる。中空粒子の製造方法の一例としては、所定寸法の樹脂ビーズの外周に鉄粉をまぶし、これを鉄の溶融温度雰囲気下に置くことで内部の樹脂ビーズを溶融/蒸発させる方法などがある。
中空粒子は選定される素材に応じてその外径や内径(中空部の大きさ)が調整され、ピストンの母材金属溶湯内で該中空粒子が浮遊できるように設計される。
ピストン頂面部がピストン一般部(頂面部以外の部分)を構成する母材金属と同素材の母材金属から成形され、かつ双方が一体成形されることにより、この頂面部とピストン一般部との界面強度が母材金属強度に比して著しく低下するといった課題は完全に解消される。
さらにピストン頂面部に母材金属内に空気溜まりを有する中空粒子が分散されていることで、この層が低熱伝導層を形成することとなり、したがって燃焼室内の高温雰囲気を維持することが可能となり、燃焼効率の向上に繋がる。さらに、頂面部の表層を低熱伝導層とする一方で、その下方には母材金属からなる層が形成されていることで、低熱伝導層内の熱を熱伝導性の高い下層から効果的に逃がすことができるため、ピストン頂面部の放熱性能も十分に担保される。
また、本発明による内燃機関用のピストンの他の実施の形態は、前記ピストンの燃焼室側表面にはピストン頂面部が形成されており、前記燃焼室側表面の一部を少なくとも含み、ピストンの母材金属に比して相対的に低比重の第1の中空粒子が母材金属内に分散されてなる第1の層と、該第1の層に一体に成形され、母材金属に比して相対的に低比重で、かつ、第1の中空粒子に比して相対的に低熱伝導性を有する第2の中空粒子が母材金属内に分散されてなる第2の層と、が前記ピストン頂面部に形成されていることを特徴とするものである。
本実施の形態は、ピストン頂面部を熱伝導率の異なる2種類の層であって母材金属のみからなる層に比して相対的に低熱伝導性の層を形成し、その表層側(第1の層)を下層(第2の層)に比して相対的に高熱伝導層とするものである。
ピストン頂面部の表層側を熱伝導性のより高い層から形成し、その下方に相対的に低熱伝導層を形成することにより、燃焼室内の燃焼効率を一層高めることができる。
本実施の形態では、ピストン頂面部の表層側の第1の層を構成する中空粒子(第1の中空粒子)をその下層を構成する中空粒子(第2の中空粒子)に比して高比重とするものである。これは、例えば双方の中空粒子を同一外径に成形し、第1の中空粒子の表皮部(上記する金属素材やセラミックス素材からなる部分)の肉厚を相対的に厚くすることにより(したがって中空部の体積が相対的に少なくなる)、第2の中空粒子を相対的に低比重とすることができる。
ここで、さらに他の実施の形態として、前記第1の層の燃焼室側に中空粒子を含まない母材金属からなる層が形成されているピストンであってもよい。
ピストン頂面部の表層を中空粒子の存在しない母材金属からなる層とすることで、ピストン頂面部の表面の平坦性を担保することができる。
ここで、上記するピストンがアルミニウム合金を母材金属とする場合においては、少なくとも上記する第1の層が形成される条件(母材金属内に第1の中空粒子が分散するための条件)として、以下の式を満足するように中空粒子を設計するのが望ましい。
[式]
ρAl−3ρRt(R−t)−ρ>0
ここで、ρAl:アルミニウム合金の密度、R:中空粒子の外径、ρ:中空粒子の表皮部の密度、t:中空粒子の肉厚。
上式を満足するように中空粒子の外径と中空粒子の表皮部の密度および肉厚を決定することにより、中空粒子が層内に分散された低熱伝導層が確実に形成される。
また、本発明による内燃機関用のピストンの製造方法は、内燃機関用のピストンの製造方法であって、ピストンの燃焼室側表面にはピストン頂面部が形成されており、該燃焼室側表面の一部を少なくとも含み、ピストンの母材金属に比して相対的に低比重の中空粒子が母材金属内に分散されてなる第1の層が前記ピストン頂面部に形成されているピストンの製造方法において、成形されるピストン頂面部が上方に位置するように成形型を正立させ、該成形型内に母材金属溶湯を充填する第1の工程と、中空粒子が分散された母材金属溶湯を該成形型のピストン頂面部成形箇所に充填する第2の工程と、成形型を冷却した後に脱型する第3の工程と、からなるものである。
本発明では、成形型を正立させ(ピストン頂面部が上方にくるように成形型の姿勢を保持する)、該成形型内に母材金属溶湯等を流し込んでピストンを製造するものである。ここで、ピストンの製造方法として大きく2つの形態を適用できる。
一つの形態は、ピストンの一般部(頂面部以外の部分)用の母材金属溶湯を成形型内に流しこんで所定時間置き、次いでピストン頂面部用の溶湯(母材金属溶湯内に中空粒子が混入された溶湯)を成形型の頂面部成形箇所に流し込む方法である。この場合、成形型内の頂面部成形箇所に予め母材金属からなる頂面部用の無端壁(無端型)を設置しておくことで頂面部の成形がより簡易なものとなる。
一方、他の形態は、母材金属溶湯内に中空粒子が混入された溶湯を成形型内に一気に流し込む方法である。この方法は、低比重の中空粒子が成形型の上方のピストン頂面部に集まる作用を期待するものであり、ピストン上面の全面が頂面部となる場合には最も簡易な製造方法となる。
また、本発明による内燃機関用のピストンの製造方法の他の実施の形態において、ピストンの燃焼室側表面にはピストン頂面部が形成されており、燃焼室側表面の一部を少なくとも含み、ピストンの母材金属に比して相対的に低比重の第1の中空粒子が母材金属内に分散されてなる第1の層と、該第1の層に一体に成形され、母材金属に比して相対的に低比重で、かつ、第1の中空粒子に比して相対的に低熱伝導性を有する第2の中空粒子が母材金属内に分散されてなる第2の層と、が前記ピストン頂面部に形成されているピストンの製造方法において、成形されるピストン頂面部が下方に位置するように成形型を倒立させ、第1の中空粒子および第2の中空粒子が分散された母材金属溶湯を該成形型のピストン頂面部成形箇所に充填する第1の工程と、成形型内に母材金属溶湯を充填する第2の工程と、成形型を冷却した後に脱型する第3の工程と、からなるものである。
本実施の形態は、熱伝導性の異なる2つの層を有するピストンを製造する方法であり、かかる製造方法では、成形型を倒立させ(ピストン頂面部が下方にくるように成形型の姿勢を保持する)、比重の異なる2種類の中空粒子を含有する母材金属溶湯を成形型内の頂面部成形箇所に流し込み、次いで中空粒子を含まない母材金属溶湯を成形型内に流し込むものである。この方法によれば、頂面部の表層から順に相対的に比重の大きな中空粒子が分散され、結果として比重の異なる2つの層を頂面部に形成することができる。
ここで、上記する第1の層の燃焼室側に中空粒子を含まない母材金属からなる層を形成する場合には、成形型を倒立させた後、まず中空粒子を含まない母材金属溶湯を流し込み、次いで比重の異なる2種類の中空粒子を含有する母材金属溶湯を成形型内の頂面部成形箇所に流し込み、最後に中空粒子を含まない母材金属溶湯を成形型内に流し込めばよい。
以上の説明から理解できるように、本発明の内燃機関用のピストンによれば、燃焼室内の高温雰囲気を維持して燃焼効率を向上させることができるとともに、ピストン頂面部からの放熱性も確保できることでその耐久性を低下させることがない。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明のピストンの縦断面図であり、図2は本発明のピストンの平面図である。図3〜5は図1のIII部の実施の形態の拡大図であり、図6はピストン頂面部に占める中空粒子分散層の比率の最適範囲に関する検証結果を示したグラフである。
図1は本発明のピストンの一実施の形態の縦断面図であり、図2はその平面図である。このピストン10は、アルミニウム合金からなる母材金属にて成形された一般部2と、その燃焼室側表面の一部に形成される頂面部1とから大略構成されている。なお、図示する実施の形態ではピストン上面の一部の平面範囲に頂面部1が形成されているが、ピストン上面の全面に頂面部が形成される実施の形態であってもよい。
この頂面部1は図3に示すように大きく2つの層から構成されている。燃焼室側の第1の層11は母材金属内に鉄からなる表皮31の内部に中空部32が形成された中空鉄粒子3が分散された層である。
一方、その下方(燃焼室と反対側)には、中空鉄粒子を含まない母材金属からなる層12が形成されている。層12は母材金属からなる一般部2と一体に成形されており、層11もその成分は母材金属であって層12および一般部2と一体に成形されている。
ここで、ピストン10の製造方法を概説する。まず、成形されるピストン10の頂面部1が上方に位置するように不図示の成形型を正立させ、該成形型内に母材金属溶湯を充填する。次いで中空鉄粒子3,…が分散された母材金属溶湯を該成形型の頂面部1成形箇所に充填する。ここで、中空鉄粒子3、…が分散された母材金属溶湯を流し込む前に、母材金属で成形された層11用の無端型を配設し、この型内に中空鉄粒子3、…が分散された母材金属溶湯を流し込んでもよい。最後に成形型を冷却し、脱型して図示するピストン10が製造される。
次に、上記中空鉄粒子3がアルミニウム合金からなる母材金属内で浮遊(分散)する条件を以下で検証する。中空鉄粒子の質量をMとすると、下式が成立する。
[式1]
M=MFe+MAir=4/3π{R−(R−t)}ρFe+4/3π(R−t)ρAirとなる。
ここで、MFe:鉄粒子のみの質量、MAir:中空部の空気の質量、R:中空鉄粒子の外径、t:鉄表皮の肉厚、ρFe:鉄密度で7.86×10kg/m、ρAir:空気密度で0.0012×10kg/m
ρFe>>ρAir の関係から、式1は下式2に近似することができる。
[式2]
M ≒ MFe=4/3π{R−(R−t)}ρFe
一方、無垢のアルミニウム球体の質量は下式となる。
[式3]
Al=4/3πRρAlとなる。
ここで、ρAl:アルミニウム密度で2.70×10kg/mであり、そのほとんどをアルミニウムで占めるアルミニウム合金密度とすることができる。
上記製造方法において中空鉄粒子3がアルミニウム合金内に浮遊する条件として、以下の条件を満足する必要がある。
[式4]
M < MAl
式4に式2,3を代入して整理すると、以下の式となる。
[式5]
ρAl−3ρFeRt(R−t)−ρFe>0
式5において、R=1、ρAl、ρFeに上記密度を代入して整理すると下式となる。
[式6]
t < 0.13
式6は、中空鉄粒子の外径を1に正規化した一般式であり、この場合には、鉄表皮の肉厚tが0.13未満であればアルミニウム合金母材内に中空鉄粒子が分散することになる。
次に、図示する中空鉄粒子3が母材金属内に分散してなる層11における平均熱伝導率について検証する。層11の平均熱伝導率:λAveは下式となる。
[式7]
λAve=(λFe×VFe+λAir×VAir+λAl×VAl)/(VFe+VAir+VAl
ここで、λFe:鉄の熱伝導率(で20℃、80W/mK)、λAir:空気の熱伝導率(で20℃、0.026W/mK)、λAl:アルミニウムの熱伝導率(で20℃、237W/mK)。
図3を参照し、頂面部1の層11において、中空鉄粒子3とアルミニウム合金からなる母材金属の比率を3:7、すなわち中空鉄粒子の体積比率を30%程度とすると、中空鉄粒子の表皮の鉄と、中空部の空気の体積比率がおよそ1:2より(t = 0.13Rとして)、VFe:VAir:VAlは下式となる。
[式8]
Fe:VAir:VAl=1:2:7
例えば、アルミニウム合金100%で成形された従来のピストンの頂面部温度が250℃であり、頂面部温度の目標温度を300℃とした場合、熱伝導率を80%程度に設定する必要がある。そこで、図示するピストンがこの熱伝導率を満足するか否かを式7に上記数値を代入して検証する。
λAve=(λFe×VFe+λAir×VAir+λAl×VAl)/(VFe+VAir+VAl)=(80×1+0.026×2+237×7)/(1+2+7)=174W/mKとなる。
この数値はアルミニウムの熱伝導率の80%以下の数値となっており、したがって、層11をその表層に形成した頂面部1を具備するピストン10によれば、ピストン頂面部の温度を目標温度以上に維持することができる。
次に、本発明のピストンの他の実施例について説明する。図4に示すピストンの頂面部1Aは、熱伝導率の異なる2種類の中空鉄粒子3A,…,3,…が母材金属であるアルミニウム合金内に分散されてなる層13,14と、中空鉄粒子を含まないアルミニウム合金からなる層12とから成形されたものである。
ここで、中空鉄粒子3A、3はともにほぼ同程度の外径を有しているが、中空鉄粒子3Aは相対的に表皮31Aの厚みが厚く成形されており(したがって中空部32Aが小体積となる)、中空鉄粒子3に比して高熱伝導率の粒子となっている。したがって、層13は層14に比して熱伝導率の高い層となっており、層14の下層である層12は最も高い熱伝導層となっている。
このようにピストン頂面部を2つの低熱伝導層から構成し、燃焼室側の層を相対的に高熱伝導層とすることで燃焼室内の昇温効率を一層高めることができ、さらに、それらの下方に母材金属層が形成されていることでピストンの放熱性も十分に担保することができる。
次に、頂面部1Aを有するピストンの製造方法を概説する。成形される頂面部1Aが下方に位置するように不図示の成形型を倒立させておき、この状態で中空鉄粒子3、…,3A,…が分散されたアルミニウム合金からなる母材金属溶湯を成形型のピストン頂面部成形箇所に充填する。時間の経過に伴って相対的に比重大の中空鉄粒子3Aが下方に移動し、中空鉄粒子3が上方に移動していく。より詳細に説明すると、中空鉄粒子3は、上式6のt < 0.13を満足するようにその表皮厚が設定されており、中空鉄粒子3Aではその表皮厚がt > 0.13を満足するように設定されている。この比重差によって中空鉄粒子3Aが分散された層13が下方に形成され(成形型が倒立した姿勢において)、その上方に中空鉄粒子3が分散された層14が形成されるものである。次いで、成形型内のピストン一般部成形箇所に母材金属溶湯を充填し、所定時間経過させた後に該成形型を反転させて冷却し、脱型することで頂面部1Aを有するピストンが製造される。
また、図5に示すピストンの頂面部1Bは、図4に示すピストン頂面部1Aの層13のさらに燃焼室側に中空鉄粒子を含有しない母材金属層15を有するものである。この実施例によれば、中空鉄粒子がピストン頂面部の表面に露出することにより、該表面に微小な凹凸が生じてその平坦性が阻害されるといった問題を解消することができる。
[ピストン頂面部に占める中空粒子分散層の比率の最適範囲に関する検証結果]
発明者等は、頂面部における中空鉄粒子分散層の最適な厚みについて検証し、その結果を図6に示している。ここで、最適な厚みとは、トレードオフの関係にあるピストンの断熱度と高温強度の双方をともに所定の性能とできるように決定されるものである。例えば分散層の厚みが厚くなる(中空鉄粒子を含まない層厚が薄くなる)と熱伝導性が低くなることで断熱性能は向上する一方で、ピストン(の頂面部)内における高温が維持され易い結果、ピストンの高温強度は低下することになる。
図6は、図1に示す層11と層12の総厚:Tと層11の厚み:tの比率に応じた断熱度(実線)と高温強度(点線)を示しており、層11内における中空鉄粒子3の体積比率が30%程度の場合のグラフを示している。
ピストンの断熱性能と高温強度双方を満足する中空鉄粒子分散層の厚みとして、頂面部全体の1/3程度が最も望ましいと結論付けることができる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
本発明のピストンの縦断面図である。 本発明のピストンの平面図である。 図1のIII部の一実施の形態の拡大図である。 図1のIII部の他の実施の形態の拡大図である。 図1のIII部のさらに他の実施の形態の拡大図である。 ピストン頂面部に占める中空粒子分散層の比率の最適範囲に関する検証結果を示したグラフである。
符号の説明
1,1A,1B…頂面部、2…一般部、3,3A…中空鉄粒子、31,31A…表皮、32,32A…中空部、10…ピストン、11,12,13,14,15…層

Claims (7)

  1. 内燃機関用のピストンであって、
    前記ピストンの燃焼室側表面にはピストン頂面部が形成されており、
    前記燃焼室側表面の一部を少なくとも含み、ピストンの母材金属に比して相対的に低比重の中空粒子が母材金属内に分散されてなる第1の層が前記ピストン頂面部に形成されており、前記中空粒子が中空金属粒子からなることを特徴とする内燃機関用のピストン。
  2. 内燃機関用のピストンであって、
    前記ピストンの燃焼室側表面にはピストン頂面部が形成されており、
    前記燃焼室側表面の一部を少なくとも含み、ピストンの母材金属に比して相対的に低比重の第1の中空粒子が母材金属内に分散されてなる第1の層と、該第1の層に一体に成形され、母材金属に比して相対的に低比重で、かつ、第1の中空粒子に比して相対的に低熱伝導性を有する第2の中空粒子が母材金属内に分散されてなる第2の層と、が前記ピストン頂面部に形成されており、前記中空粒子が中空金属粒子からなることを特徴とする内燃機関用のピストン。
  3. 請求項1または2に記載の内燃機関用のピストンにおいて、
    前記第1の層の燃焼室側に中空粒子を含まない母材金属からなる層が形成されていることを特徴とする内燃機関用のピストン。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関用のピストンにおいて、
    前記母材金属はアルミニウム合金からなり、
    少なくとも前記第1の層が下式を満たすことを特徴とする内燃機関用のピストン。
    ρAl−3ρRt(R−t)−ρ>0
    ここで、ρAl:アルミニウム合金の密度、R:中空粒子の外径、ρ:中空粒子の表皮部の密度、t:中空粒子の肉厚
  5. 内燃機関用のピストンの製造方法であって、ピストンの燃焼室側表面にはピストン頂面部が形成されており、該燃焼室側表面の一部を少なくとも含み、ピストンの母材金属に比して相対的に低比重で中空金属粒子からなる中空粒子が母材金属内に分散されてなる第1の層が前記ピストン頂面部に形成されているピストンの製造方法において、
    成形されるピストン頂面部が上方に位置するように成形型を正立させ、該成形型内に母材金属溶湯を充填する第1の工程と、
    中空粒子が分散された母材金属溶湯を該成形型のピストン頂面部成形箇所に充填する第2の工程と、
    成形型を冷却した後に脱型する第3の工程と、からなる内燃機関用のピストンの製造方法。
  6. 内燃機関用のピストンの製造方法であって、ピストンの燃焼室側表面にはピストン頂面部が形成されており、燃焼室側表面の一部を少なくとも含み、ピストンの母材金属に比して相対的に低比重で中空金属粒子からなる第1の中空粒子が母材金属内に分散されてなる第1の層と、該第1の層に一体に成形され、母材金属に比して相対的に低比重で、かつ、第1の中空粒子に比して相対的に低熱伝導性を有し、かつ、中空金属粒子からなる第2の中空粒子が母材金属内に分散されてなる第2の層と、が前記ピストン頂面部に形成されているピストンの製造方法において、
    成形されるピストン頂面部が下方に位置するように成形型を倒立させ、第1の中空粒子および第2の中空粒子が分散された母材金属溶湯を該成形型のピストン頂面部成形箇所に充填する第1の工程と、
    成形型内に母材金属溶湯を充填する第2の工程と、
    成形型を冷却した後に脱型する第3の工程と、からなる内燃機関用のピストンの製造方法。
  7. 内燃機関用のピストンの製造方法であって、ピストンの燃焼室側表面にはピストン頂面部が形成されており、中空粒子を含まない母材金属からなる表層と、該表層に一体に成形され、ピストンの母材金属に比して相対的に低比重で中空金属粒子からなる第1の中空粒子が母材金属内に分散されてなる第1の層と、該第1の層に一体に成形され、母材金属に比して相対的に低比重で、かつ、第1の中空粒子に比して相対的に低熱伝導性を有し、かつ、中空金属粒子からなる第2の中空粒子が母材金属内に分散されてなる第3の層と、が前記ピストン頂面部に形成されているピストンの製造方法において、
    成形されるピストン頂面部が下方に位置するように成形型を倒立させ、母材金属溶湯を成形型のピストン頂面部成形箇所の一部に充填する第1の工程と、
    第1の中空粒子および第2の中空粒子が分散された母材金属溶湯を前記ピストン頂面部成形箇所の残部に充填する第2の工程と、
    成形型内に母材金属溶湯を充填する第3の工程と、
    成形型を冷却した後に脱型する第4の工程と、からなる内燃機関用のピストンの製造方法。
JP2007010073A 2007-01-19 2007-01-19 内燃機関用のピストンおよびその製造方法 Expired - Fee Related JP4661794B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007010073A JP4661794B2 (ja) 2007-01-19 2007-01-19 内燃機関用のピストンおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007010073A JP4661794B2 (ja) 2007-01-19 2007-01-19 内燃機関用のピストンおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008175163A JP2008175163A (ja) 2008-07-31
JP4661794B2 true JP4661794B2 (ja) 2011-03-30

Family

ID=39702349

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007010073A Expired - Fee Related JP4661794B2 (ja) 2007-01-19 2007-01-19 内燃機関用のピストンおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4661794B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20180369954A1 (en) * 2015-11-30 2018-12-27 Hitachi Automotive Systems, Ltd. Piston for internal combustion engine and method of manufacturing piston for internal combustion engine

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101452508B1 (ko) * 2008-10-28 2014-10-21 엘지전자 주식회사 밀폐형 압축기
JP2013204443A (ja) * 2012-03-27 2013-10-07 Toyota Motor Corp 内燃機関とその製造方法
US9822728B2 (en) * 2012-08-10 2017-11-21 Aisin Seiki Kabushiki Kaisha Engine and piston
JP5976941B2 (ja) * 2013-08-01 2016-08-24 日立オートモティブシステムズ株式会社 内燃機関用ピストンの製造方法
JP5928419B2 (ja) * 2013-08-22 2016-06-01 トヨタ自動車株式会社 遮熱膜とその形成方法
JP2015140703A (ja) * 2014-01-28 2015-08-03 マツダ株式会社 断熱層構造及びその製造方法
JP6337764B2 (ja) * 2014-12-17 2018-06-06 アイシン精機株式会社 ピストンの製造方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61149754U (ja) * 1985-03-08 1986-09-16
JPS62131771U (ja) * 1986-02-14 1987-08-20

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61149754U (ja) * 1985-03-08 1986-09-16
JPS62131771U (ja) * 1986-02-14 1987-08-20

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20180369954A1 (en) * 2015-11-30 2018-12-27 Hitachi Automotive Systems, Ltd. Piston for internal combustion engine and method of manufacturing piston for internal combustion engine

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008175163A (ja) 2008-07-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4661794B2 (ja) 内燃機関用のピストンおよびその製造方法
JP6178303B2 (ja) 内燃機関
JP5261369B2 (ja) 多層加熱要素
US9840982B2 (en) Spray coating film, engine having the spray coating film and film-forming method of the spray coating film
JP5136629B2 (ja) 遮熱膜とその形成方法
CN105473521B (zh) 隔热膜和形成隔热膜的方法
TWI819148B (zh) 放熱構件
JP2008267158A (ja) 内燃機関用のピストンおよびその製造方法
JP6827749B2 (ja) 封入材
JP4113971B2 (ja) 低膨張材料及びその製造方法
JP2002066724A (ja) 複合材及びその製造方法
WO2000024039A1 (fr) Lampe et enveloppe de lampe fabriquee dans un materiau a gradient fonctionnel
JP6760812B2 (ja) 内燃機関用ピストンおよび内燃機関用ピストンの製造方法
KR100480659B1 (ko) 복합 재료
JP7267809B2 (ja) ベースメタル一体型の規則性オープンポーラスメタルの製造方法
JP5267577B2 (ja) 中空鋳物の製造方法及び内燃機関のピストンの製造方法
JP2001240902A (ja) 低熱伝導率アルミニウム焼結材料及びその製造方法並びにピストン頂面材
CN113692198B (zh) 一种硅铝合金内置冷却结构及其成型方法
WO2019187273A1 (ja) 内燃機関用ピストンおよび内燃機関用ピストンの製造方法
CN211605136U (zh) 封装器件的封装结构及封装器件
KR102138324B1 (ko) 엔진용 피스톤의 단열 구조물
WO2020170635A1 (ja) 内燃機関のピストンおよびその製造方法
KR102297170B1 (ko) 수축결합용 주철재 인써트 및 이를 이용한 이종금속 부품의 주조방법
CN111446215A (zh) 封装器件的封装结构、方法及封装器件
JP2021131019A (ja) 内燃機関のピストンおよび内燃機関のピストンの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090922

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100819

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100824

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101007

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101207

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101220

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4661794

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140114

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees