JP4661703B2 - 絶縁被膜形成方法 - Google Patents

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本発明は、絶縁材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルをノズルから対象物に噴射し、当該対象物の表面に前記絶縁材料からなる絶縁被膜を形成する絶縁被膜形成方法に関するものである。
従来、金属を主成分とする導電体(対象物)の表面に絶縁材料からなる絶縁被膜を形成するに当たって、絶縁材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルをノズルから対象物に噴射する被膜形成方法、いわゆるエアロゾルデポジション法が採用される場合があった(例えば、特許文献1〜5参照)。
エアロゾルデポジション法とは、予め用意された微粒子原料をガスと混合してエアロゾル化し、減圧下の雰囲気でノズルを通して対象物に噴射して被膜を形成する被膜形成方法であり、ガス搬送により加速された原料粒子の運動エネルギが対象物に衝突することで局所的な熱エネルギに変換され、対象物と粒子間、粒子同士の結合を実現するものと考えられている。
特開2001−181859号公報 特開2002−20878号公報 特開2002−320879号公報 特開2003−247080号公報 特開2003−251227号公報
ところで、エアロゾルを噴射するノズルは、通常、金属(ステンレス鋼)製であり、高速で通過する絶縁材料の微粒子によって、エアロゾルが通過する流路の表面が微量ながら削り取られている。そして、削り取られた金属粒子のうちでエアロゾルデポジション法に適した粒子特性(形状、寸法、歪み量など)を有するものがエアロゾルに混入し、絶縁材料の微粒子とともに対象物の表面に被膜を形成する場合がある。その結果、本来は絶縁材料のみで形成される絶縁被膜に導電性を有する金属材料が存在することとなって、絶縁被膜の絶縁特性(絶縁耐圧)が低下してしまうという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、金属粒子の混入による絶縁被膜の絶縁特性低下を抑制することができる絶縁被膜形成方法を提供することにある。
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、絶縁材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルをノズルから対象物に噴射し、当該対象物の表面に前記絶縁材料からなる絶縁被膜を形成する絶縁被膜形成方法において、絶縁材料と同一の物質で形成されたノズルを用いてエアロゾルを対象物に噴射することを特徴とする。
請求項2の発明は、上記目的を達成するために、絶縁材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルをノズルから対象物に噴射し、当該対象物の表面に前記絶縁材料からなる絶縁被膜を形成する絶縁被膜形成方法において、エアロゾルが流入する流入口、エアロゾルを噴出する噴出口、流入口から流入するエアロゾルを噴出口に導く流路を有するノズル本体を金属材料で形成し、ノズル本体のエアロゾルに接触する前記流路の表面に、絶縁材料と同一の物質で形成された板材を配設してあるノズルを用いてエアロゾルを対象物に噴射することを特徴とする。
請求項3の発明は、上記目的を達成するために、絶縁材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルをノズルから対象物に噴射し、当該対象物の表面に前記絶縁材料からなる絶縁被膜を形成する絶縁被膜形成方法において、エアロゾルが流入する流入口と、エアロゾルを噴出する噴出口と、流入口から流入するエアロゾルを噴出口に導く流路とをノズル本体に設け、ノズル本体のエアロゾルに接触する前記流路の表面に、絶縁材料と同一の物質からなる被膜が形成されてなるノズルを用いてエアロゾルを対象物に噴射することを特徴とする。
請求項1の発明によれば、高速で通過する絶縁材料の微粒子によってエアロゾルが通過するノズルの流路表面が削り取られても、ノズルが絶縁材料と同質の物質で形成されているため、金属製のノズルを用いる従来例とは違い、金属粒子の混入による絶縁被膜の絶縁特性低下を抑制することができる。
請求項2の発明によれば、ノズル本体のエアロゾルに接触する前記流路の表面に、絶縁材料と同質の物質で形成された板材を配設してあるノズルを用いてエアロゾルを対象物に噴射するため、高速で通過する絶縁材料の微粒子によって板材の表面が削り取られても、板材が絶縁材料と同質の物質で形成されているため、金属製のノズルを用いる従来例とは違い、金属粒子の混入による絶縁被膜の絶縁特性低下を抑制することができる。また、請求項1の発明のようにノズル自体を絶縁材料で形成する場合に比較してノズルの製造コストを抑えることができる。
請求項3の発明によれば、ノズル本体のエアロゾルに接触する前記流路の表面に、絶縁材料と同質の物質からなる被膜が形成されてなるノズルを用いてエアロゾルを対象物に噴射するため、高速で通過する絶縁材料の微粒子によって流路の表面(被膜)が削り取られても、被膜が絶縁材料と同質の物質で形成されているため、金属製のノズルを用いる従来例とは違い、金属粒子の混入による絶縁被膜の絶縁特性低下を抑制することができる。また、請求項1の発明のようにノズル自体を絶縁材料で形成する場合や請求項2の発明のようにノズルの流路に板材を配設する場合に比較してノズルの製造コストを抑えることができる。
以下、エアロゾルデポジション法により対象物の表面に絶縁材料たる酸化アルミニウム(アルミナ)の被膜(絶縁被膜)を形成する絶縁被膜形成方法に本発明の技術思想を適用した実施形態について説明する。但し、本発明はエアロゾルを噴射するためのノズルに特徴があり、エアロゾルデポジション法の基本構成に関しては従来周知であるから詳細な説明並びに図示を省略する。
(実施形態1)
本実施形態の絶縁被膜形成方法で使用するノズル1は、図1に示すように絶縁被膜を形成する絶縁材料と同質の物質(アルミナ)で形成された2枚の板状部材2,3を貼り合わせて構成されている。
図2に示すように、板状部材2,3は何れも扁平な六角形状であって、厚み方向に重ね合わせて接合される。片側の板状部材2は、その接合面に第1の溝部2aと第2の溝部2bとが凹設されている。第1の溝部2aは、幅寸法並びに深さ寸法が均一であり且つ一方の端部が板状部材2における幅広の側端面に開口している(図2(c)参照)。第2の溝部2bは、幅寸法並びに深さ寸法が第1の溝部2aよりも小さく且つ均一であり、さらに一方の端部が板状部材2における幅狭の側端面に開口している(図2(b)参照)。ここで、板状部材2の接合面における第1の溝部2aと第2の溝部2bとの間には両溝部2a,2bを繋ぐ緩衝溝部2cが凹設されている。この緩衝溝部2cは、一端側の幅寸法並びに深さ寸法が第1の溝部2aと同一で第1の溝部2aに連通するとともに、他端側の幅寸法並びに深さ寸法が第2の溝部2bと同一で第2の溝部2bに連通し、且つ一端から他端にかけて幅寸法と深さ寸法が直線的に変化する形状に形成されている。
一方、もう片側の板状部材3は、幅寸法並びに長さ寸法が板状部材2の第1の溝部2aと同寸法であり且つ一方の端部が板状部材3における幅広の側端面に開口する第3の溝部3aと(図2(g)参照)、幅寸法並びに長さ寸法が板状部材2の緩衝溝部2cと同寸法であり且つ第3の溝部3aと連通する緩衝溝部3bとが接合面に凹設されている。なお、これら2枚の板状部材2,3は、例えば、純度99.9%のアルミナ焼結体を研削(研磨)することで形成される。
而して、2枚の板状部材2,3を互いの接合面で接合してノズル1を構成すれば、第1の溝部2aと第3の溝部3aからなる第1の流路と、板状部材2の第2の溝部2bと板状部材3の接合面からなる第2の流路と、緩衝溝部2cと板状部材3の接合面からなる緩衝用流路とがノズル1内に形成されるとともに、第1の流路への入り口であってエアロゾルが流入する流入口がノズル1における幅広の側端面に開口し(図1(c)参照)、さらに第2の流路からの出口であってエアロゾルを噴出する噴出口がノズル1における幅狭の側端面に開口することになる(図1(b)参照)。
次に、全長20mm、噴出口の寸法0.5mm×10mmのノズル1を作成し、このノズル1を用いたエアロゾルデポジション法により、対象物(黄銅製基板)の表面にアルミナの絶縁被膜を形成する方法について説明する。
まず、純度99.9%のアルミナ粒子(粒径1μm以下)を容器(以下、エアロゾル化チャンバと呼ぶ。)内に収容し、当該エアロゾル化チャンバ内を200Paまで減圧した後に窒素ガスを毎分7リットルの流量で導入し且つ撹拌してエアロゾル化させる。エアロゾル化チャンバには細径の搬送管の一端が接続され、成膜チャンバ内に導入された搬送管の他端にノズル1の流入口が接続される。成膜チャンバ内に設けられた台(以下、X−Y−Zステージと呼ぶ。)の上に対象物が載置され、X−Y−Zステージの上方に配置されたノズル1の噴出口が対象物に対向させてある。X−Y−Zステージは水平面内並びに鉛直面内で移動可能であって、対象物表面に形成する絶縁被膜の膜厚が均一になるように対象物を水平面内で往復移動させる。
成膜チャンバ内は真空ポンプ(例えば、ロータリポンプとブースタポンプ)によってエアロゾル化チャンバ内よりも低圧となるように減圧されており、両チャンバ内の圧力差によって生じるガスの流れでエアロゾルが搬送管を通して成膜チャンバへ搬送される。さらに、ガス搬送された絶縁材料(アルミナ)の微粒子は微少な径のノズル1の流路(第2の流路)を通すことで加速され、ノズル1の噴出口から対象物に噴射されて対象物表面に絶縁材料の被膜(絶縁被膜)を形成する。このとき、加速された微粒子によってノズル1の流路(第2の流路)表面が削り取られ、削り取られた粒子の一部が絶縁材料の微粒子とともに対象物表面に噴射されて被膜を形成することになるが、ノズル1が絶縁材料と同質(本実施形態では同一)の材料たるアルミナで構成されているから、対象物表面に形成される絶縁被膜に絶縁特性を低下させるような不純物(例えば、金属粒子)が混じることがない。
ここで、対象物表面に形成した絶縁被膜(膜厚が約10μm)の上にスパッタ及び電気めっきで銅箔を形成し、この銅箔と対象物との間の絶縁抵抗を測定したところ、印加電圧125Vにおいて400MΩ以上であった。
また、ステンレス鋼(SUS316L)で形成されたノズルを用いて本実施形態と同じ手順で絶縁被膜を成膜したところ、対象物の表面に形成されたアルミナの絶縁被膜中にノズルを構成するステンレス鋼の金属成分である鉄(Fe)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)からなる不純物が分散して存在していた。図3(a)は絶縁被膜の断面を表した模式図であり、約3.4×4.3μmの範囲を拡大した場合の上記金属成分の分布状況を示した図であって、図中丸印で囲まれた箇所に金属成分が存在していた。また、図3(b),(c),(d)は各々丸印で囲まれた箇所で検出された鉄、クロム、ニッケルの各金属成分を示す模式図であり、これら3種類の元素が全て同一の丸印で囲まれた箇所で検出されることから、これらの金属粒子はノズルを構成するステンレス鋼がアルミナの微粒子で削る取られたものであると考えられる。なお、これらの金属粒子は直径約200nm×厚み約20nmの平面視略円盤状であった(但し、図3(b)〜(d)は断面図を示す。)。そして、対象物表面に形成した絶縁被膜(膜厚が約8μm)の上にスパッタ及び電気めっきで銅箔を形成し、この銅箔と対象物との間の絶縁抵抗を測定したところ、印加電圧125Vにおいて150MΩとなり、明らかに絶縁被膜の絶縁特性(絶縁耐圧)が低下していた。
(実施形態2)
本実施形態の絶縁被膜形成方法で使用するノズル10は、図4に示すように金属材料(例えば、ステンレス鋼)で形成された2枚の板状部材12,13を貼り合わせてなるノズル本体11と、絶縁被膜を形成する絶縁材料と同質の物質(アルミナ)で形成された複数枚の板材(第1板材14と第2板材15)とで構成されている。
板状部材12,13は何れも扁平な六角形状であって、厚み方向に重ね合わせて接合される。片側の板状部材12は、図5に示すように幅寸法並びに深さ寸法が均一であり且つ一方の端部が板状部材12における幅広の側端面に開口する溝部12aと(図5(c)参照)、第1板材14が嵌合する第1嵌合溝部12bと、一対の第2板材15,15が嵌合する第2嵌合溝部12c,12cとが接合面に凹設されている。第1嵌合溝部12bは、図5(a)に示すように接合面の法線方向から見た形状が略台形であり且つ一方の端部が板状部材12における幅狭の側端面に開口している(図5(b)参照)。第2嵌合溝部12cは、第1嵌合溝部12bの両側(図5(a)における左側及び右側)に設けられ、図5(a)に示すように接合面の法線方向から見た形状が略鈎形となっており、第1嵌合溝部12bと同様に一方の端部が板状部材12における幅狭の側端面に開口している(図5(b)参照)。ここで、板状部材12の接合面における溝部12aと第1嵌合溝部12bとの間には両溝部12a,12bを繋ぐ緩衝溝部12dが凹設されている。この緩衝溝部12dは、一端側の幅寸法並びに深さ寸法が溝部12aと同一で溝部12aに連通するとともに、他端側の幅寸法並びに深さ寸法が第1嵌合溝部12bと同一で第1嵌合溝部12bに連通し、且つ一端から他端にかけて幅寸法と深さ寸法が直線的に変化する形状に形成されている。
一方、もう片側の板状部材13は、図6に示すように幅寸法並びに長さ寸法が板状部材12の溝部12aと同寸法であり且つ一方の端部が板状部材13における幅広の側端面に開口する溝部13aと(図6(c)参照)、第1板材14が嵌合する嵌合溝部13bと、幅寸法並びに長さ寸法が板状部材12の緩衝溝部12dと同寸法であり且つ溝部13aと嵌合溝部13bを繋ぐ緩衝溝部13cとが接合面に凹設されている。なお、これら2枚の板状部材12,13は、ステンレス鋼(例えば、SUS316L)で形成されている。
第1板材14並びに第2板材15は、何れも純度99.99%のアルミナ(サファイア)基板を切断して形成されるものであって、第1板材14は平面視略台形の薄板状に形成され(図7(a),(b)参照)、第2板材15は平面視略四角形の薄板状に形成されている(図7(c),(d)参照)。
而して、第1嵌合溝部12bに第1板材14を嵌合固定するとともに第2嵌合溝部12c,12cにそれぞれ第2板材15,15を嵌合固定した板状部材12と、嵌合溝部13bに第1板材14を嵌合固定した板状部材13とを互いの接合面で接合してノズル10を構成すれば、第1の溝部12aと溝部13aからなる第1の流路と、厚み方向に対向する2枚の第1板材14,14と幅方向に対向する2枚の第2板材15,15とで囲まれた空間からなる第2の流路と、緩衝溝部12d,13dからなる緩衝用流路とがノズル10内に形成されるとともに、第1の流路への入り口であってエアロゾルが流入する流入口がノズル10における幅広の側端面に開口し(図4(c)参照)、さらに第2の流路からの出口であってエアロゾルを噴出する噴出口がノズル10における幅狭の側端面に開口することになる(図4(b)参照)。
次に、全長20mm、噴出口の寸法0.5mm×10mmのノズル10を作成し、このノズル10を用いたエアロゾルデポジション法により、対象物(純アルミニウム基板)の表面にアルミナの絶縁被膜を形成する方法について説明する。
まず、純度99.9%のアルミナ粒子(粒径1μm以下)をエアロゾル化チャンバ内に収容し、当該エアロゾル化チャンバ内を200Paまで減圧した後にヘリウムガスを毎分5リットルの流量で導入し且つ撹拌してエアロゾル化させる。エアロゾル化チャンバには細径の搬送管の一端が接続され、成膜チャンバ内に導入された搬送管の他端にノズル10の流入口が接続される。成膜チャンバ内に設けられたX−Y−Zステージの上に対象物が載置され、X−Y−Zステージの上方に配置されたノズル10の噴出口が対象物に対向させてある。
成膜チャンバ内は真空ポンプ(例えば、ロータリポンプとブースタポンプ)によってエアロゾル化チャンバ内よりも低圧となるように減圧されており、両チャンバ内の圧力差によって生じるガスの流れでエアロゾルが搬送管を通して成膜チャンバへ搬送される。さらに、ガス搬送された絶縁材料(アルミナ)の微粒子は微少な径のノズル10の流路(第2の流路)を通すことで加速され、ノズル10の噴出口から対象物に噴射されて対象物表面に絶縁材料の被膜(絶縁被膜)を形成する。このとき、加速された微粒子によってノズル10の第2の流路の表面(第1板材14及び第2板材15の表面)が削り取られ、削り取られた粒子の一部が絶縁材料の微粒子とともに対象物表面に噴射されて被膜を形成することになるが、第1板材14及び第2板材15が絶縁材料と同質(本実施形態では同一)の材料たるアルミナで構成されているから、対象物表面に形成される絶縁被膜に絶縁特性を低下させるような不純物(例えば、金属粒子)が混じることがない。なお、対象物表面に形成した絶縁被膜(膜厚が約12μm)の上にスパッタ及び電気めっきで銅箔を形成し、この銅箔と対象物との間の絶縁抵抗を測定したところ、印加電圧125Vにおいて400MΩ以上であった。
ここで、実施形態1では絶縁材料(アルミナ)と同質の物質(アルミナ)でノズル1を形成しており、金属に比べて切削等の機械加工が難しいためにノズル1の製造コストが上昇してしまう。一方、本実施形態では機械加工が相対的に容易な金属(ステンレス鋼など)でノズル本体11を形成し、エアロゾルと接触する部位(流路表面)に絶縁材料と同質の物質(アルミナ)で形成された板材14,15を配設してノズル10を構成しているため、第1板材14や第2板材15は単に材料基板を切断するだけで済むから加工が簡単であり、実施形態1におけるノズル1に比べて製造コストが低減できるという利点がある。
(実施形態3)
本実施形態の絶縁被膜形成方法で使用するノズル1は、基本的な構成が実施形態1におけるノズル1と共通であるから共通の構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
本実施形態におけるノズル1は、図8に示すように金属材料(例えば、SUS316Lのステンレス鋼)で形成された2枚の板状部材2,3を貼り合わせて構成されるものであって、第2の流路となる板状部材2の第2の溝部2bの内側面及び内底面と板状部材3の接合面に、絶縁被膜を形成する絶縁材料と同質の物質(アルミナ)からなる被膜4が形成されている。この被膜4は、第2の溝部2bの内側面及び内底面と板状部材3の接合面をブラスト処理した後にプラズマ溶射法でアルミナ粒子(純度99.9%)をコーティングすることで形成される。
而して、2枚の板状部材2,3を互いの接合面で接合してノズル1を構成すれば、第1の溝部2aと第3の溝部3aからなる第1の流路と、板状部材2の第2の溝部2bと板状部材3の接合面からなり且つその表面がアルミナの被膜4で覆われた第2の流路と、緩衝溝部2cと板状部材3の接合面からなる緩衝用流路とがノズル1内に形成されるとともに、第1の流路への入り口であってエアロゾルが流入する流入口がノズル1における幅広の側端面に開口し、さらに第2の流路からの出口であってエアロゾルを噴出する噴出口がノズル1における幅狭の側端面に開口することになる。
次に、全長20mm、噴出口の寸法0.7mm×10.1mm、第2の溝部2b底面とこれと対向する板状部材3の接合面の被膜4の厚みが約100μm、第2の溝部2bの内側面の被膜4の厚みが約50μmのノズル1を作成し、このノズル1を用いたエアロゾルデポジション法により、対象物(黄銅製基板)の表面にアルミナの絶縁被膜を形成する方法について説明する。
まず、純度99.9%のアルミナ粒子(粒径1μm以下)をエアロゾル化チャンバ内に収容し、当該エアロゾル化チャンバ内を200Paまで減圧した後にアルゴンガスを毎分10リットルの流量で導入し且つ撹拌してエアロゾル化させる。エアロゾル化チャンバには細径の搬送管の一端が接続され、成膜チャンバ内に導入された搬送管の他端にノズル1の流入口が接続される。成膜チャンバ内に設けられたX−Y−Zステージ上に対象物が載置され、X−Y−Zステージの上方に配置されたノズル1の噴出口が対象物に対向させてある。
成膜チャンバ内は真空ポンプ(例えば、ロータリポンプとブースタポンプ)によってエアロゾル化チャンバ内よりも低圧となるように減圧されており、両チャンバ内の圧力差によって生じるガスの流れでエアロゾルが搬送管を通して成膜チャンバへ搬送される。さらに、ガス搬送された絶縁材料(アルミナ)の微粒子は微少な径のノズル1の流路(第2の流路)を通すことで加速され、ノズル1の噴出口から対象物に噴射されて対象物表面に絶縁材料の被膜(絶縁被膜)を形成する。このとき、加速された微粒子によってノズル1の流路(第2の流路)の表面に形成されている被膜4が削り取られ、削り取られた被膜4の粒子の一部が絶縁材料の微粒子とともに対象物表面に噴射されて被膜を形成することになるが、この被膜4が絶縁材料と同質(本実施形態では同一)の材料たるアルミナで構成されているから、対象物表面に形成される絶縁被膜に絶縁特性を低下させるような不純物(例えば、金属粒子)が混じることがない。なお、対象物表面に形成した絶縁被膜(膜厚が約15μm)の上にスパッタ及び電気めっきで銅箔を形成し、この銅箔と対象物との間の絶縁抵抗を測定したところ、印加電圧125Vにおいて400MΩ以上であった。
而して、本実施形態においても実施形態2と同様にステンレス鋼からなる板状部材2,3の機械加工が容易であるだけでなく、実施形態2における第1板材14,第2板材15のように板状部材2,3以外の部材が必要でないから、部品点数の削減によるコストダウンや、組立による寸法精度の低下防止が図れるという利点がある。
(実施形態4)
本実施形態の絶縁被膜形成方法で使用するノズル1は、基本的な構成が実施形態1,3におけるノズル1と共通であるから共通の構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
本実施形態におけるノズル1は、図9に示すように金属材料(例えば、SUS316Lのステンレス鋼)で形成された2枚の板状部材2,3を貼り合わせて構成されるものであって、第2の流路となる板状部材2の第2の溝部2bの内側面及び内底面と板状部材3の接合面に、炭化チタンの被膜(保護膜)5を介して、絶縁被膜を形成する絶縁材料と同質の物質(アルミナ)からなる被膜4が形成されている。この被膜4は、第2の溝部2bの内側面及び内底面と板状部材3の接合面にプラズマCVD法で形成された炭化チタンの保護膜5上にアルミナをコーティングすることで形成される。
而して、2枚の板状部材2,3を互いの接合面で接合してノズル1を構成すれば、第1の溝部2aと第3の溝部3aからなる第1の流路と、板状部材2の第2の溝部2bと板状部材3の接合面からなり且つその表面が炭化チタンの保護膜5を介してアルミナの被膜4で覆われた第2の流路と、緩衝溝部2cと板状部材3の接合面からなる緩衝用流路とがノズル1内に形成されるとともに、第1の流路への入り口であってエアロゾルが流入する流入口がノズル1における幅広の側端面に開口し、さらに第2の流路からの出口であってエアロゾルを噴出する噴出口がノズル1における幅狭の側端面に開口することになる。
次に、全長20mm、噴出口の寸法0.5mm×10mm、第2の流路表面の炭化チタンの保護膜5の厚みが約5μm、被膜4の厚みが約10μmのノズル1を作成し、このノズル1を用いたエアロゾルデポジション法により、対象物(タフピッチ銅製基板)の表面にアルミナの絶縁被膜を形成する方法について説明する。
まず、純度99.9%のアルミナ粒子(粒径1μm以下)をエアロゾル化チャンバ内に収容し、当該エアロゾル化チャンバ内を200Paまで減圧した後に窒素ガスを毎分7リットルの流量で導入し且つ撹拌してエアロゾル化させる。エアロゾル化チャンバには細径の搬送管の一端が接続され、成膜チャンバ内に導入された搬送管の他端にノズル1の流入口が接続される。成膜チャンバ内に設けられたX−Y−Zステージ上に対象物が載置され、X−Y−Zステージの上方に配置されたノズル1の噴出口が対象物に対向させてある。
成膜チャンバ内は真空ポンプ(例えば、ロータリポンプとブースタポンプ)によってエアロゾル化チャンバ内よりも低圧となるように減圧されており、両チャンバ内の圧力差によって生じるガスの流れでエアロゾルが搬送管を通して成膜チャンバへ搬送される。さらに、ガス搬送された絶縁材料(アルミナ)の微粒子は微少な径のノズル1の流路(第2の流路)を通すことで加速され、ノズル1の噴出口から対象物に噴射されて対象物表面に絶縁材料の被膜(絶縁被膜)を形成する。このとき、加速された微粒子によってノズル1の流路(第2の流路)の表面に形成されている被膜4が削り取られ、削り取られた被膜4の粒子の一部が絶縁材料の微粒子とともに対象物表面に噴射されて被膜を形成することになるが、この被膜4が絶縁材料と同質(本実施形態では同一)の材料たるアルミナで構成されているから、対象物表面に形成される絶縁被膜に絶縁特性を低下させるような不純物(例えば、金属粒子)が混じることがない。なお、対象物表面に形成した絶縁被膜(膜厚が約10μm)の上にスパッタ及び電気めっきで銅箔を形成し、この銅箔と対象物との間の絶縁抵抗を測定したところ、印加電圧125Vにおいて400MΩ以上であった。
而して、本実施形態においても実施形態2と同様にステンレス鋼からなる板状部材2,3の機械加工が容易であるだけでなく、実施形態2における第1板材14,第2板材15のように板状部材2,3以外の部材が必要でないから、部品点数の削減によるコストダウンや、組立による寸法精度の低下防止が図れるという利点がある。
実施形態1におけるノズルを示し、(a)は平面図、(b)は上面図、(c)は下面図、(d)は右側面図である。 同上のノズルを構成する板状部材を示し、(a)〜(d)は片側の板状部材の平面図、上面図、下面図、右側面図であり、(e)〜(h)はもう片側の板状部材の平面図、上面図、下面図、右側面図である。 (a)〜(d)は従来例における絶縁被膜の説明図である。 実施形態2におけるノズルを示し、(a)は平面図、(b)は上面図、(c)は下面図、(d)は右側面図である。 同上のノズルを構成する片側の板状部材を示し、(a)は平面図、(b)は上面図、(c)は下面図、(d)は右側面図、(e)は第1板材と第2板材を取り付けた状態の平面図、(f)は第1板材と第2板材を取り付けた状態の右断面図である。 同上のノズルを構成するもう片側の板状部材を示し、(a)は平面図、(b)は上面図、(c)は下面図、(d)は右側面図、(e)は第1板材と第2板材を取り付けた状態の平面図、(f)は第1板材と第2板材を取り付けた状態の右断面図である。 (a),(b)は同上における第1板材の平面図と右側面図、(c),(d)は同上における第2板材の平面図と右側面図である。 実施形態3におけるノズルの要部断面図である。 実施形態4におけるノズルの要部断面図である。
符号の説明
1 ノズル
2 板状部材
2a 第1の溝部
2b 第2の溝部
3 板状部材
3a 第3の溝部

Claims (3)

  1. 絶縁材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルをノズルから対象物に噴射し、当該対象物の表面に前記絶縁材料からなる絶縁被膜を形成する絶縁被膜形成方法において、
    絶縁材料と同一の物質で形成されたノズルを用いてエアロゾルを対象物に噴射することを特徴とする絶縁被膜形成方法。
  2. 絶縁材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルをノズルから対象物に噴射し、当該対象物の表面に前記絶縁材料からなる絶縁被膜を形成する絶縁被膜形成方法において、
    エアロゾルが流入する流入口、エアロゾルを噴出する噴出口、流入口から流入するエアロゾルを噴出口に導く流路を有するノズル本体を金属材料で形成し、ノズル本体のエアロゾルに接触する前記流路の表面に、絶縁材料と同一の物質で形成された板材を配設してあるノズルを用いてエアロゾルを対象物に噴射することを特徴とする絶縁被膜形成方法。
  3. 絶縁材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルをノズルから対象物に噴射し、当該対象物の表面に前記絶縁材料からなる絶縁被膜を形成する絶縁被膜形成方法において、
    エアロゾルが流入する流入口と、エアロゾルを噴出する噴出口と、流入口から流入するエアロゾルを噴出口に導く流路とをノズル本体に設け、ノズル本体のエアロゾルに接触する前記流路の表面に、絶縁材料と同一の物質からなる被膜が形成されてなるノズルを用いてエアロゾルを対象物に噴射することを特徴とする絶縁被膜形成方法。
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