以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置としてのプリンタ1の全体構成を示した図である。プリンタ1は、各色の階調データに対応して画像形成を行う画像プロセス系10、記録用紙P(シート)を搬送するシート搬送系40、プリンタ1における動作を制御する制御部50を備えている。
画像プロセス系10は、水平方向に一定の間隔を置いて並列に配置される、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の四つの画像形成ユニット11Y,11M,11C,11K、これら画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト21上に多重転写させる転写ユニット20、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kに対してレーザ光を照射する光学系ユニットであるROS(Raster Output System)30を備えている。また、プリンタ1は、転写ユニット20によって二次転写された記録用紙P上のトナー像を、熱および圧力を用いて記録用紙Pに定着させる定着器29を備えている。さらに、転写ユニット20の上部には、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kに対して各色に対応する現像剤が収容される現像剤ボトル19Y,19M,19C,19Kが設けられている。これら現像剤ボトル19Y,19M,19C,19Kは、プリンタ1に対して着脱自在に設けられており、例えばユーザによる交換も可能となっている。
転写ユニット20は、記録搬送体としての中間転写ベルト21を駆動するドライブロール22、中間転写ベルト21に一定のテンションを付与するテンションロール23、重畳された各色のトナー像を記録用紙Pに二次転写するためのバックアップロール24、中間転写ベルト21上に存在する残留トナー等を除去するベルトクリーナ25を備えている。また、転写ユニット20は、後述する一次転写ロール15(図2参照)も備えている。中間転写ベルト21は、このドライブロール22とテンションロール23とバックアップロール24との間に一定のテンションで掛け渡されている。そして、中間転写ベルト21は、定速性に優れた専用のモータによって回転駆動されるドライブロール22により、矢印方向に所定の速度で循環駆動されるようになっている。この中間転写ベルト21は、チャージアップを起こさないベルト素材(本実施の形態では熱硬化性樹脂を使用)を抵抗調整したものが使用されており、本実施の形態では例えばカーボンブラックを分散させたポリイミドが用いられている。記録搬送体クリーナとしてのベルトクリーナ25は、中間転写ベルト21に接触配置されるクリーニングブラシ25aおよびクリーニングブレード25bを備えており、トナー像の二次転写工程が終了した後の中間転写ベルト21の表面から残留トナー等を除去して、次の画像形成プロセスに備えるように構成されている。ベルトクリーナ25の内部下側には、これらクリーニングブラシ25aおよびクリーニングブレード25bによって除去された残留トナー等を、中間転写ベルト21の搬送方向に直交する方向に沿ってベルトクリーナ25の外部へと搬送する排出用オーガ25cが設けられている。そして、転写ユニット20は一体的に構成されており、例えば中間転写ベルト21の交換を行う際には転写ユニット20ごと交換することができる。
露光手段としてのROS30は、図示しないレーザダイオード、変調器の他、レーザダイオードから出射されたレーザ光(LB-Y,LB-M,LB-C,LB-K)を偏向走査するポリゴンミラー31を備えている。図2に示す例では、ROS30は、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの下側に備えられることから、トナー等の落下による汚損の危険性を有している。そこで、ROS30は、各構成部材を密閉するための直方体状のフレーム32を設け、また、レーザ光(LB-Y,LB-M,LB-C,LB-K)が通過するガラス製のウィンドウ33をこのフレーム32の上方に装着し、走査露光と共にシールド効果を高めるように構成されている。
シート搬送系40は、画像が記録される記録用紙Pを積載して供給する給紙装置41、給紙装置41から記録用紙Pを取り上げて供給するナジャーロール42、ナジャーロール42から供給された記録用紙Pを一枚ずつ分離して搬送するフィードロール43、フィードロール43により一枚ずつに分離された記録用紙Pを二次転写位置に向けて搬送する搬送路44を備えている。また、搬送路44を搬送される記録用紙Pに対し、二次転写位置に向けてタイミングを合わせて搬送するレジストロール45、二次転写位置に設けられ記録用紙Pを介してバックアップロール24に圧接して記録用紙P上に画像を二次転写する二次転写ロール46を備えている。さらに、定着器29によって画像が定着された記録用紙Pをプリンタ1の機外に排出する排出ロール47、排出ロール47によって排出された記録用紙Pを積載する排出トレイ48を有する。また、定着器29によって画像が定着された記録用紙Pを反転させて両面記録を可能とする両面用搬送ユニット49を備えている。
定着器29は、回転可能に配設される加熱ロール29aと加圧ロール29bとを備えている。加熱ロール29aは、記録用紙Pの未定着トナー像担持面に当接するように配置されている。そして、定着器29もプリンタ1に対して着脱自在となっている。また、二次転写ロール46もプリンタ1から着脱自在に取り付けられており、交換が可能となっている。
さらに、プリンタ1において、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kよりも図中手前側には、図中破線で示す回収ボトル65が取り付けられている。この回収ボトル65には、ベルトクリーナ25等によって回収された廃トナー等が収容される。そして、この回収ボトル65も、プリンタ1に対し着脱自在に取り付けられている。
次に、画像プロセス系10における画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kについて詳述する。図2は、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの構成を説明するための図であり、ここでは、イエロー(Y)の画像形成ユニット11Yと、マゼンタ(M)の画像形成ユニット11Mとが示されている。他の画像形成ユニット11C,11Kについても略同様に構成されている。
本実施の形態において、像担持体としての感光体ドラム12は、金属製の薄肉の円筒形ドラムからなる基材12aの表面に有機感光層12bを形成したものからなり、有機感光層は負の帯電極性を有する材料で構成されている。ここで、感光体ドラム12上に形成される有機感光層12bは、上述した中間転写ベルト21よりも強度が低くなっている。また、帯電手段としての帯電器13は、感光体ドラム12に対して回転可能に圧接配置される帯電ロール13aに負極性のバイアスを印加することで、感光体ドラム12の有機感光層12bを負極性に帯電させている。さらに、現像手段としての現像器14は、現像ハウジングの開口に面して回転可能に配設される現像ロール14aと、現像ハウジング内でトナーを含む現像剤を攪拌搬送する一対のオーガ14b、14cとを有している。そして、現像器14による現像は反転現像方式にて行われる。したがって、現像器14で使用されるトナーは負極性帯電タイプのものである。また、転写手段としての一次転写ロール15には、トナーの帯電極性とは逆極性(正極性)の一次転写バイアスが印加されており、感光体ドラム12上のトナー像を中間転写ベルト21に転移させている。さらに、像担持体クリーナとしてのドラムクリーナ16は、感光体ドラム12の回転方向に対してカウンタ方向に圧接配置されるクリーニングブレード16aを有しており、感光体ドラム12に付着する残留トナーを掻き取っている。そして、ドラムクリーナ16の内部には、クリーニングブレード16aによって掻き取られた残留トナーを、感光体ドラム12の軸方向に沿ってドラムクリーナ16の外側へと搬送する排出用オーガ16bが設けられている。そして、ドラムクリーナ16で除去された廃トナー等も、上述した回収ボトル65(図1参照)に回収されるようになっている。なお、本実施の形態では、一次転写ロール15が、上述したように転写ユニット20側に取り付けられている。
また、本実施の形態では、各画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12、帯電器13およびドラムクリーナ16を一体化し、図3に示すプロセスカートリッジ60とすることで、プリンタ1からこのプロセスカートリッジ60だけを取り外し、また、プロセスカートリッジ60だけをプリンタ1に対して取り付け可能とし、ユーザによる交換を可能としている。各プロセスカートリッジ60には、不揮発性メモリユニット(メモリ)であるプロセスカートリッジEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)61が搭載されている。このプロセスカートリッジEEPROM61には、例えば、感光体ドラム12の回転数、高圧電圧印加時間、プリント枚数など、所定の画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kにて、そのプロセスカートリッジ60が装着された際の、各々のカートリッジ使用履歴情報が格納されている。
なお、本実施の形態では、後述するように、プロセスカートリッジ60の他にも、例えば現像剤ボトル19Y,19M,19C,19K、転写ユニット20、定着器29、そして二次転写ロール46など、プリンタ1に対して着脱自在に設けられるユニット若しくは部品に、それぞれの使用履歴が格納されるEEPROM(メモリ)が取り付けられている。
また、プロセスカートリッジEEPROM61の側部には、ドラムクリーナ16のオーガ16b(図2参照)が収容される排出パイプ62が配設されている。この排出パイプ62の端部下側(図中では上側)には廃トナーの排出口62aが形成されており、排出パイプ62の端部には側部に開口63aが形成されたキャップ63が回動可能に取り付けられている。キャップ63には排出パイプ62に巻き回されて固定されたねじりばね64が装着されており、プリンタ1にプロセスカートリッジ60が装着された場合にキャップ63が回動し、排出パイプ62の排出口62aとキャップ63の開口63aとを合わせることで、外部に廃トナーを排出できるようにしている。
図4は、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの駆動系および電気系の構成を説明するための図であり、ここでは、イエロー(Y)の画像形成ユニット11Yの例が示されている。他の画像形成ユニット11M,11C,11Kについてもほぼ同様に構成されている。
感光体ドラム12には、この感光体ドラム12を回転駆動するためのドラムモータ71が取り付けられている。また、現像ロール14aには、この現像ロール14aを回転駆動するための現像モータ72が接続されている。なお、帯電ロール13aは回転駆動される感光体ドラム12に従動して回転し、一次転写ロール15は回転駆動される中間転写ベルト21に従動して回転するようになっているため、特に駆動用のモータは設けられていない。
帯電ロール13aには、帯電バイアスを印加するための帯電電源81が接続されている。この帯電電源81は、帯電ロール13aに負極性の直流バイアスおよび交流バイアスを印加する機能を有している。現像ロール14aには、現像バイアスを印加するための現像電源82が接続されている。この現像電源82は、現像ロール14aに負の直流バイアスおよび交流バイアスを印加する機能を有している。一次転写ロール15には、中間転写ベルト21を介して感光体ドラム12との間に一次転写バイアスを印加するための一次転写電源83が接続されている。一次転写電源83は、一次転写ロール15に正極性の直流バイアスを印加する機能を有している。なお、感光体ドラム12の基材12aは接地されている。
図5は、転写ユニット20、二次転写ロール46、および定着器29の駆動系および電気系の構成を説明するための図である。
中間転写ベルト21を張架するドライブロール22には、このドライブロール22を介して中間転写ベルト21を回転駆動するためのベルトモータ73が取り付けられている。また二次転写ロール46には、この二次転写ロール46を回転駆動するための二次転写モータ74が接続されている。さらに、定着器29の加熱ロール29aには、この加熱ロール29aを加熱するための定着モータ75が取り付けられている。なお、加熱ロール29aには、加熱源としてのハロゲンランプ29cが内蔵されている。
二次転写ロール46には、中間転写ベルト21を介してバックアップロール24との間に二次転写バイアスを印加するための二次転写電源84が接続されている。二次転写電源84は、二次転写ロール46に正極性の直流バイアスを印加する機能を有している。なお、バックアップロール24は接地されている。一方、定着器29の加熱ロール29aに設けられたハロゲンランプ29cには、ハロゲンランプ29cに給電を行うための定着電源85が接続されている。
次に、本実施の形態に係るプリンタ1における基本的な画像形成動作について説明する。この動作の制御は、上述した制御部50によってなされる。図示しない原稿読み取り装置によって読み取られた原稿の色材反射光像や、図示しないパーソナルコンピュータ等にて形成された色材画像データは、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の各8ビットの反射率データとして図示しないIPS(Image Processing System)に入力される。IPSでは、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間補正、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の四色の色材階調データに変換され、ROS30に出力される。
ROS30では、入力された色材階調データに応じて、レーザダイオード(図示せず)から出射されたレーザ光(LB-Y,LB-M,LB-C,LB-K)を、f-θレンズ(図示せず)を介してポリゴンミラー31に出射している。ポリゴンミラー31では、入射されたレーザ光を各色の階調データに応じて変調し、偏向走査して、図示しない結像レンズおよび複数枚のミラーを介して画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12に照射している。感光体ドラム12は、ドラムモータ71によって所定の移動速度(ドラム速度)VDで回転駆動されている。画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの帯電器13では、帯電電源81によって帯電ロール13aに給電が行われており、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12では、帯電器13の帯電ロール13aによって接触帯電が行われ、感光体ドラム12は所定の電位に帯電される。そして、帯電された感光体ドラム12の表面が走査露光され、静電潜像が形成される。感光体ドラム12上に形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの現像器14にて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。このとき、現像器14では、現像モータ72によって現像ロール14aが回転駆動されており、現像ロール14aには現像電源82によって所定の現像バイアスが印加される。
画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12上に形成されたトナー像は、一次転写ロール15により中間転写ベルト21上に順次転写される。なお、一次転写後に感光体ドラム12上に残留した残留トナーは、ドラムクリーナ16によって除去される。このとき、一次転写ロール15には、一次転写電源83により一次転写バイアスが印加されている。また、中間転写ベルト21は、ベルトモータ73によって所定の移動速度(以下、ベルト速度という)VBで回転駆動される。なお、画像形成動作において、制御部50は、ベルト速度VBを各感光体ドラム12のドラム速度VDよりも0.3%だけ高速に設定しており、これによって一次転写におけるバンディングの発生を抑えることと、トナー像の忠実な転写とを行っている。
一方、シート搬送系40では、画像形成のタイミングに合わせてナジャーロール42が回転し、給紙装置41から所定サイズの記録用紙Pが供給される。フィードロール43により一枚ずつ分離された記録用紙Pは、搬送路44を経てレジストロール45に移送され、一旦、停止される。その後、トナー像が形成された中間転写ベルト21の移動タイミングに合わせてレジストロール45が回転し、記録用紙Pは、バックアップロール24および二次転写ロール46によって形成される二次転写位置に搬送される。二次転写位置にて下方から上方に向けて搬送される記録用紙Pには、圧接力および所定の電界を用いて、四色が重ね転写されたトナー像が副走査方向に順次、二次転写される。一方、二次転写後に中間転写ベルト21上に残留した残留トナーは、ベルトクリーナ25によって除去される。このとき、二次転写ロール46は二次転写モータ74によって回転駆動されており、二次転写ロール46には、二次転写電源84により二次転写バイアスが印加されている。
そして、トナー像が二次転写された記録用紙Pは、定着器29によって熱および圧力で定着処理を受けた後、排出ロール47によってプリンタ1の上部に設けられた排出トレイ48に排出される。このとき、定着器29の加熱ロール29aは定着モータ75によって回転駆動されており、加熱ロール29aに設けられたハロゲンランプ29cには定着電源85から給電が行われている。なお、排出トレイ48にそのまま排出せずに、図示しない切り替えゲートによって記録用紙Pを両面用搬送ユニット49によって反転させることもできる。この反転された記録用紙Pをレジストロール45に搬送した後、前述と同様な流れによって、印刷されていない他の面について画像を形成することで、記録用紙Pの両面に画像を形成することが可能となる。
ところで、プリンタ1においてプロセスカートリッジ60、現像剤ボトル19Y,19M,19C,19、転写ユニット20、二次転写ロール46、定着器29、あるいは回収ボトル65が交換されると、これら新たなユニットあるいは部品に付着したカーボンファイバがプリンタ1内に侵入してくる。カーボンファイバは、例えばこのようなユニットあるいは部品のハウジング等の構成部材を製造する際に使用されるものであり、これらのユニットあるいは部品に付着した状態でプリンタ1に装着される。プリンタ1内に侵入したカーボンファイバは、機内のエアフロー等によって機内を浮遊し、その一部が中間転写ベルト21の像担持面に付着する。そして、中間転写ベルト21の像担持面に付着したカーボンファイバが感光体ドラム12と対向する一次転写部近傍に到達すると、カーボンファイバが一次転写電界によって立ち上がり、その結果感光体ドラム12の有機感光層12bに突き刺さってしまう。また、現像器14内に侵入したカーボンファイバが感光体ドラム12に現像あるいは付着して一次転写領域に到達し、一次転写電界によって立ち上がることで、カーボンファイバが有機感光層12bに突き刺さることもある。このようにしてカーボンファイバが有機感光層12bに突き刺さると、帯電ロール13aを用いて感光体ドラム12の有機感光層12bを帯電したときに、この部位にリークが発生することによって帯電不良を招き、点状の画像不良(色点という)が生じることになってしまう。
そこで、本実施の形態では、上述した画像形成動作を開始する前に、プリンタ1内で画像形成部材としてのユニットあるいは部品の交換が行われたか否かを判断し、交換が行われた場合には上記カーボンファイバを取り除くための所定のセットアップサイクルが実行されるようになっている。
図6は、装着検知手段、セットアップサイクル実行手段、駆動手段および制御手段として機能する制御部50を説明するためのブロック図である。制御部50のCPU51は、ROM52に記憶されたプログラムに従い、RAM53との間で適宜データのやりとりを行いながら処理を実行する。また、この制御部50には、入出力インタフェース54を介して、プリンタ1内の各ユニットあるいは各部品からの履歴情報が入力される。具体的には、各プロセスカートリッジ60に設けられたプロセスカートリッジEEPROM61(Y,M,C,K)、各現像剤ボトル19Y,19M,19C,19Kに設けられた現像剤ボトルEEPROM91(Y,M,C,K)、転写ユニット20に設けられた転写ユニットEEPROM92、二次転写ロール46に設けられた二次転写ロールEEPROM93、定着器29に設けられた定着器EEPROM94、そして回収ボトル65に設けられた回収ボトルEEPROM95から、それぞれの履歴情報が入力される。
また、制御部50は、入出力インタフェース54を介して、ドラムモータ71、現像モータ72、ベルトモータ73、二次転写モータ74、および定着モータ75の駆動を制御している。さらに、制御部50は、入出力インタフェース54を介して、帯電電源81、現像電源82、一次転写電源83、二次転写電源84、および定着電源85による給電を制御している。
図7は、本実施の形態におけるセットアップサイクルの実行可否を判断する処理の流れを示すフローチャートである。
この処理では、まず画像形成開始の指示が受け付けられたか否かを判断する(ステップ101)。ここで、指示を受け付けていない場合はステップ101に戻る。一方、ステップ101において指示を受け付けた場合は、次に、各プロセスカートリッジ60に設けられたプロセスカートリッジEEPROM61(Y,M,C,K)からそれぞれの使用履歴情報を読み出し、各プロセスカートリッジ60のいずれかの交換(新たなプロセスカートリッジ60の装着)が行われたか否かを判断する(ステップ102)。なお、ステップ102では、制御部50が各プロセスカートリッジEEPROM61(Y,M,C,K)から読み出した使用履歴(例えば感光体ドラム12の回転数)を参照し、その数値が0となっている場合に交換(装着)が行われたものと判断している。
また、ステップ102において各プロセスカートリッジ60の交換がなかったものと判断した場合は、次に、各現像剤ボトル19Y,19M,19C,19Kに設けられた現像剤ボトルEEPROM91(Y,M,C,K)から使用履歴情報を読み出し、各現像剤ボトル19Y,19M,19C,19Kのいずれかの交換(装着)が行われたか否かを判断する(ステップ103)。ステップ103において各現像剤ボトル19Y,19M,19C,19Kの交換がなかったものと判断した場合は、次に、転写ユニット20に設けられた転写ユニットEEPROM92から使用履歴情報を読み出し、転写ユニット20の交換(装着)が行われたか否かを判断する(ステップ104)。ステップ104において転写ユニット20の交換がなかったものと判断した場合は、次に、二次転写ロール46に設けられた二次転写ロールEEPROM93から使用履歴情報を読み出し、二次転写ロール46の交換(装着)が行われたか否かを判断する(ステップ105)。ステップ105において二次転写ロール46の交換がなかったものと判断した場合は、次に、定着器29に設けられた定着器EEPROM94から使用履歴情報を読み出し、定着器29の交換(装着)が行われたか否かを判断する(ステップ106)。ステップ106において定着器29の交換がなかったものと判断した場合は、次に、回収ボトル65に設けられた回収ボトルEEPROM95から使用履歴情報を読み出し、回収ボトル65の交換が行われたか否かを判断する(ステップ107)。そして、ステップ107において回収ボトル65の交換がなかったものと判断した場合は、上述した手順による画像形成動作を開始し(ステップ108)、処理を終了する。
一方、ステップ102においていずれかのプロセスカートリッジ60の交換があったと判断した場合、ステップ103においていずれかの現像剤ボトル19Y,19M,19C,19Kの交換があったと判断した場合、ステップ104において転写ユニット20の交換があったと判断した場合、ステップ105において二次転写ロール46の交換があったと判断した場合、ステップ106において定着器29の交換があったと判断した場合、およびステップ107において回収ボトル65の交換があったと判断した場合は、セットアップサイクルを実行する(ステップ109)。そして、セットアップサイクルの実行が完了した後に、上述した手順による画像形成動作を開始し(ステップ108)、処理を終了する。
次に、上記ステップ108におけるセットアップサイクルについて詳細に説明する。セットアップサイクルでは、新たなユニットまたは部品の装着によりプリンタ1内に侵入し、感光体ドラム12の有機感光層12bや中間転写ベルト21に付着したカーボンファイバを、ドラムクリーナ16およびベルトクリーナ25によって取り除くものである。この動作の制御も、上述した制御部50によってなされる。
セットアップサイクルでは、予め決められた基準画像(例えばプロコン用パッチ画像)に対応する画像データが、IPSにおいてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の四色の色材階調データに変換され、ROS30に出力される。ROS30では、入力された色材階調データに応じて、レーザダイオード(図示せず)から出射されたレーザ光(LB-Y,LB-M,LB-C,LB-K)を出射し、上述した画像形成動作時と同様に、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12に照射している。このとき、感光体ドラム12は、ドラムモータ71によって画像形成動作時と同じドラム速度VDで回転駆動されている。画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの帯電器13では、帯電電源81によって帯電ロール13aに給電が行われており、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12では、帯電器13の帯電ロール13aによって接触帯電され、感光体ドラム12は所定の電位に帯電される。そして、帯電された感光体ドラム12の表面が走査露光され、静電潜像が形成される。感光体ドラム12上に形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの現像器14にて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。このとき、現像器14では、現像モータ72によって現像ロール14aが回転駆動されており、現像ロール14aには現像電源82によって所定の現像バイアスが印加される。なお、セットアップサイクルでトナー像の形成を行っているのは、ユニットあるいは部品の交換により機内に侵入したカーボンファイバが、現像器14内に混入している可能性があるためである。このため、セットアップサイクルでは、感光体ドラム12上にトナー像の形成を行うことで、現像器14内からカーボンファイバを排出している。
画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12上に形成されたトナー像は、一次転写ロール15により中間転写ベルト21上に順次転写される。このとき、一次転写ロール15には、一次転写電源83により一次転写バイアスが印加されている。また、中間転写ベルト21は、ベルトモータ73によって上記画像形成動作時とは異なるベルト速度VBで回転駆動される。これを具体的に説明すると、セットアップサイクルにおいて、制御部50は、ベルト速度VBを各感光体ドラム12のドラム速度VDよりも3%高速に設定している。つまり、セットアップサイクルでは、画像形成動作時よりもドラム速度VDとベルト速度VBとの速度差をより大きくしている。これにより、感光体ドラム12上あるいは中間転写ベルト21上のカーボンファイバが感光体ドラム12の有機感光層12bに突き刺さるのを抑制することができる。なお、この理由については後述する。
また、一次転写後に感光体ドラム12上に残留した残留トナーは、ドラムクリーナ16によって除去される。さらに、感光体ドラム12に付着したカーボンファイバも、ドラムクリーナ16によって除去される。
一方、セットアップサイクルでは、二次転写モータ74による二次転写ロール46の駆動および二次転写電源84による二次転写バイアスの印加は行われておらず、また、記録用紙Pの搬送も行われていない。このため、中間転写ベルト21上に転写されたトナーは、二次転写されることなくそのままベルトクリーナ25との対向部まで搬送され、ベルトクリーナ25によって除去される。また、中間転写ベルト21に付着したカーボンファイバも、ベルトクリーナ25によって除去される。
なお、セットアップサイクルでは、記録用紙Pの搬送が行われていないにもかかわらず、定着モータ75による加熱ロール29aの駆動および定着電源85によるハロゲンランプ29cへの給電が行われ、定着器29は画像形成動作時と同様に動作している。セットアップサイクルにおいて定着器29を動作させているのは、定着器29によって生じるエアフローにより、機内に侵入したカーボンファイバを積極的に浮遊させ、感光体ドラム12や中間転写ベルト21に付着させるためである。
ここで、感光体ドラム12のドラム速度VDと中間転写ベルト21のベルト速度VBとの速度差を変えることにより、カーボンファイバが感光体ドラム12の有機感光層12bに突き刺さるのを抑制できる理由について説明する。
図8は、感光体ドラム12上および中間転写ベルト21上に付着したカーボンファイバCFが、感光体ドラム12と中間転写ベルト21との対向部である一次転写領域TAを通過する様子を模式的に表したものである。ここで、図8(a)はセットアップサイクル時の速度設定、すなわち、ベルト速度VBを各感光体ドラム12のドラム速度VDよりも3%だけ高速に設定した場合(速度差を大きくした場合)におけるカーボンファイバCFの挙動を示している。一方、図8(b)は画像形成動作時の速度設定、すなわち、ベルト速度VBを各感光体ドラム12のドラム速度VDよりも0.3%だけ高速に設定した場合(速度差を小さくした場合)におけるカーボンファイバCFの挙動を示している。なお、感光体ドラム12と中間転写ベルト21(図示しない一次転写ロール15)との間には、所定の一次転写バイアスが印加されているものとする。
図8(a)に示すように、ドラム速度VDとベルト速度VBとの速度差がある程度以上になると、転写領域TAに突入してくるカーボンファイバCFが、一次転写バイアスによって形成される一次転写電界による影響を受けにくくなる。その結果、カーボンファイバCFは、一次転写領域TAにおいて感光体ドラム12上あるいは中間転写ベルト21上で立ち上がらなくなる。これにより、カーボンファイバCFが一次転写領域TAにおいて感光体ドラム12の有機感光層12bに突き刺さるという事態は防止される。なお、一次転写領域TAを通過したカーボンファイバCFのうち、感光体ドラム12側に担持されるものはドラムクリーナ16(図2参照)で除去され、中間転写ベルト21側に担持されるものはベルトクリーナ25で除去されることになる。このため、一次転写領域TAを通過したカーボンファイバCFが再び一次転写領域TAに到達することもない。
一方、図8(b)に示すように、ドラム速度VDとベルト速度VBとの速度差が小さいと、一次転写領域TAに突入してくるカーボンファイバCFが、一次転写バイアスによって形成される一次転写電界による影響を受けやすくなる。その結果、カーボンファイバCFは、一次転写領域TAにおいて感光体ドラム12上あるいは中間転写ベルト21上で立ち上がってしまう。これにより、一次転写領域TAにおいてカーボンファイバCFが感光体ドラム12の有機感光層12bに突き刺さってしまうことになる。
なお、この例では、セットアップサイクルを実行する際に、感光体ドラムのドラム速度VDを変えずに、中間転写ベルト21のベルト速度VBを高速化することによって感光体ドラム12のドラム速度VDとの速度差を画像形成動作時よりも大きくしているが、これに限られるものではない。すなわち、例えばベルト速度VBを変えずに、ドラム速度VDを低速化することで、両者の速度差を大きくすることも可能である。また、この例では、セットアップサイクルにおいてドラム速度VD<ベルト速度VBとしているが、ドラム速度VD>ベルト速度VBとしても特に問題はない。
図9は、ドラム速度VDおよびベルト速度VBの速度差(%)と、感光体ドラム12上に発生した色点の数(色点発生数)との関係を示したグラフ図である。図9より、1.5%未満の速度差では色点発生数が30個程度と多くなるのに対し、1.5%以上の速度差では色点発生数が5個以下と著しく減少することが理解される。したがって、色点の数を減らすこと、すなわち感光体ドラム12の有機感光層12bへのカーボンファイバCFの突き刺さりを抑制するためには、ドラム速度VDとベルト速度VBとの速度差を1.5%以上とすればよいことがわかる。
また、図10は、ドラム速度VDおよびベルト速度VBの速度差(%)と、速度エラーとの関係を示したグラフ図である。図10より、±0.5%を超える速度差では、感光体ドラム12から中間転写ベルト21に一次転写されたトナー像にバンディングが発生し、画質不良が生じてしまうことが理解される。したがって、一次転写におけるバンディングを抑制するには、ドラム速度VDとベルト速度VBとの速度差を0.5%以下とすればよいことがわかる。
このように、感光体ドラム12の有機感光層12bへのカーボンファイバCFの突き刺さりを抑制する場合と、一次転写におけるバンディングを抑制する場合とで、好ましいドラム速度VDおよびベルト速度VBの速度差は異なっている。そこで、本実施の形態では、通常の画像形成動作における速度差を0.5%以下(具体的には0.3%)とすることでバンディングの発生を抑え、また、セットアップサイクルにおける速度差を1.5%以上(具体的には3%)とすることでカーボンファイバCFの突き刺さりを抑えている。
次に、感光体ドラム12の有機感光層12bおよび中間転写ベルト21の硬度について説明しておく。本実施の形態において、中間転写ベルト21の表面層の硬度は、ダイナミック硬さで30〜40であり、有機感光層12bのダイナミック硬さは25であった。
ダイナミック硬さとは、金属材料等の硬さ測定法として広く採用されているビッカース硬さのように、圧子の荷重を除去したときに試料に形成される圧痕の対角線の平均長さを測定するのではなく、圧子が試料にどれだけ侵入したかによって求められるものである。すなわち、ダイナミック硬さは、圧子の先端を試料に押し込んでいく過程の荷重と押し込み深さから得られる硬さであって、試料の塑性変形だけでなく、弾性変形をも含んだ状態での材料の強度特性を表すものである。ここで、試料に加えられる圧子の荷重P(mN)、試料への圧子の侵入量(押し込み深さ)をd(μm)としたとき、ダイナミック硬さDHは下記の式で定義される。
DH≡α・P/d2
上式において、αは圧子の形状による定数であり、例えば対面角115°の正三角錐の場合で3.8584である。
そして、有機感光層12bおよび中間転写ベルト21の表面層のダイナミック硬さは、具体的には以下に示す測定法にしたがって求めた。有機感光層12bおよび中間転写ベルト21より5mm角の試料を切り出し、この試料片を主観接着剤でガラス板に固着した。次いで、超微小硬度計(DUH−201S:(株)島津製作所製)を用いて、試料片に押し込まれた圧子の侵入量(d)を測定することにより、ダイナミック硬さを算出した。その測定条件は以下の通りである。
測定環境:23℃、55%RH
使用圧子:対面角115°のダイアモンド製正三角錐(先端部)
試験荷重:0.70gf
負荷速度:0.0145gf/sec
保持時間:5sec
本実施の形態では、このように、中間転写ベルト21が感光体ドラム12の有機感光層12bよりも高硬度に設定されているために、有機感光層12bにカーボンファイバCFが突き刺さりやすい構成になっているといえる。ここで、図11は、中間転写ベルト21のダイナミック硬さ(中間転写ベルト硬度)と、感光体ドラム12の有機感光層12bに発生する色点の数との関係を示したグラフ図である。同図より、表面ゴムベルトや有機感光層12b自身など、ダイナミック硬さが小さい材料を中間転写ベルト21として使用した場合と比較して、本実施の形態のようにポリイミド(PI)を中間転写ベルト21として使用した場合に、色点発生数が著しく多くなっていることが理解される。
このように、中間転写ベルト21を有機感光層12bよりも低硬度すなわち柔らかくすることで、有機感光層12bに対するカーボンファイバCFの突き刺さりを抑制することは可能である。しかしながら、この場合には、中間転写ベルト21の寿命が短くなってしまう。本実施の形態では、セットアップサイクルを実行することで、有機感光層12bにカーボンファイバCFが突き刺さらないようにしつつ除去を行っているので、有機感光層12bが中間転写ベルト21よりも低硬度であったとしても、有機感光層12bへのカーボンファイバCFの突き刺さりを抑制することができる。
以上説明したように、本実施の形態では、画像形成動作の開始前に、例えばプロセスカートリッジ60などプリンタ1を構成するユニットまたは部品が交換(装着)されたことが検知された場合に、感光体ドラム12のドラム速度VDと中間転写ベルト21のベルト速度VBとの速度差を大きくする第2の速度モードでセットアップサイクルを実行するようにした。これにより、感光体ドラム12と中間転写ベルト21とが接する一次転写領域TAにおいて感光体ドラム12および中間転写ベルト21に付着したカーボンファイバCFが一次転写電界によって立ち上がり、感光体ドラム12の有機感光層12bに突き刺さるという事態を抑制することができる。また、一次転写領域TAを通過したカーボンファイバCFのうち、感光体ドラム12に付着したものはドラムクリーナ16で除去され、また、中間転写ベルト21に付着したものはベルトクリーナ25で除去される。したがって、一次転写領域TAを一度通過したカーボンファイバCFが再び一次転写領域TAに到達することはほとんどない。その結果、本実施の形態では、感光体ドラム12の有機感光層12bにカーボンファイバCFが突き刺さることに伴う色点の発生を防止することができる。
特に、本実施の形態では、感光体ドラム12に設けられる感光層として柔らかい有機感光層12bを用い、中間転写ベルト21として非常に硬いポリイミドを用いているため、有機感光層12bにカーボンファイバCFが突き刺さりやすい。しかしながら、上述したセットアップサイクルを実行することにより、このようなカーボンファイバCFの突き刺さりを防止することができる。
また、本実施の形態では、セットアップサイクルを実行する際に、ただ単に感光体ドラム12および中間転写ベルト21を回転させるのではなく、感光体ドラム12上にトナー像を形成し、現像器14からトナーを吐き出させるようにした。これにより、ユニット交換に伴って現像器14内に侵入したカーボンファイバCFを感光体ドラム12側へと転移させることができる。さらに、本実施の形態では、セットアップサイクルを実行する際に、定着器29の加熱および駆動も行うようにした。これにより、ユニット交換に伴ってプリンタ1内に侵入したカーボンファイバCFを機内で浮遊させることができ、セットアップサイクル実行中の感光体ドラム12あるいは中間転写ベルト21へと付着させることができる。なお、このようにして感光体ドラム12あるいは中間転写ベルト21に付着したカーボンファイバCFは、感光体ドラム12のドラム速度VDと中間転写ベルト21のベルト速度VBとの大きな速度差により、感光体ドラム12に突き刺さることなく、ドラムクリーナ16あるいはベルトクリーナ25で除去されることになる。
一方、本実施の形態では、感光体ドラム12のドラム速度VDと中間転写ベルト21のベルト速度VBとの速度差を上記セットアップサイクルよりも小さくする第1の速度モードで通常の画像形成動作を行うようにした。その結果、バンディングによる一次転写不良の発生を防止することができる。ここで、本実施の形態では、画像形成動作における中間転写ベルト21のベルト速度VBを感光体ドラム12のドラム速度VDよりわずかに高速にしたので、一次転写における忠実な転写が可能となる。
<実施の形態2>
本実施の形態は、実施の形態1と略同様であるが、例えばプロセスカートリッジ60などプリンタ1を構成するユニットまたは部品の着脱を検知するセンサを設け、このセンサによる着脱検知時にセットアップサイクルを実行するようにしたものである。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
図12は、本実施の形態における制御部50を説明するためのブロック図である。制御部50には、入出力インタフェース54を介して、プリンタ1内の各ユニットあるいは各部品の着脱を検知するセンサからの着脱情報が入力される。具体的には、各プロセスカートリッジ60の着脱を検知するセンサとしてのプロセスカートリッジ着脱検知センサ101(Y,M,C,K)、各現像剤ボトル19Y,19M,19C,19Kの着脱を検知する現像剤ボトル着脱検知センサ102(Y,M,C,K)、転写ユニット20の着脱を検知する転写ユニット着脱検知センサ103、二次転写ロール46の着脱を検知する二次転写ロール着脱検知センサ104、定着器29の着脱を検知する定着器着脱検知センサ105、そして回収ボトル65の着脱を検知する回収ボトル着脱検知センサ106から、それぞれの着脱情報が入力される。
図13は、本実施の形態におけるセットアップサイクルの実行可否を判断する処理の流れを示すフローチャートである。なお、本実施の形態では、制御部50が各着脱検知センサからの着脱情報を常時監視しており、着脱すなわち新たなユニットあるいは部品の装着が検知されたときに、セットアップサイクルを実行するようになっている。
この処理では、まず、各プロセスカートリッジ60に対応するプロセスカートリッジ着脱検知センサ101において着脱検知があったか否かすなわちプロセスカートリッジ60の交換(装着)があったか否かを判断する(ステップ201)。ステップ201において各プロセスカートリッジ60の交換がなかったものと判断した場合は、次に、各現像剤ボトル19Y,19M,19C,19Kに対応する現像剤ボトル着脱検知センサ102において着脱検知があったか否かすなわち各現像剤ボトル19Y,19M,19C,19Kの交換(装着)が行われたか否かを判断する(ステップ202)。ステップ202において各現像剤ボトル19Y,19M,19C,19Kの交換がなかったものと判断した場合は、次に、転写ユニット20に対応する転写ユニット着脱検知センサ103において着脱検知があったか否かすなわち転写ユニット20の交換(装着)があったか否かを判断する(ステップ203)。ステップ203において転写ユニット20の交換がなかったものと判断した場合は、次に、二次転写ロール46に対応する二次転写ロール着脱検知センサ104において着脱検知があったか否かすなわち二次転写ロール46の交換(装着)が行われたか否かを判断する(ステップ204)。ステップ204において二次転写ロール46の交換がなかったものと判断した場合は、次に、定着器29に対応する定着器着脱検知センサ105において着脱検知があったか否かすなわち定着器29の交換(装着)が行われたか否かを判断する(ステップ205)。ステップ205において定着器29の交換がなかったものと判断した場合は、次に、回収ボトル65に対応する回収ボトル着脱検知センサ106において着脱検知があった否かすなわち回収ボトル65の交換(装着)が行われたか否かを判断する(ステップ206)。そして、ステップ206において回収ボトル65の交換がなかったものと判断した場合は、処理を終了する。
一方、ステップ201においていずれかのプロセスカートリッジ60の交換があったと判断した場合、ステップ202においていずれかの現像剤ボトル19Y,19M,19C,19Kの交換があったと判断した場合、ステップ203において転写ユニット20の交換があったと判断した場合、ステップ204において二次転写ロール46の交換があったと判断した場合、ステップ205において定着器29の交換があったと判断した場合、およびステップ206において回収ボトル65の交換があったと判断した場合は、実施の形態1と同様のプロセスによってセットアップサイクルを実行し(ステップ207)、実行後に処理を終了する。
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、ユニットや部品の交換(装着)があった場合には感光体ドラム12と中間転写ベルト21との速度差が大きく設定されたセットアップサイクルが実行されるので、交換に伴ってプリンタ1内に侵入してきたカーボンファイバCFを除去することができる。また、本実施の形態では、ユニットや部品の交換があった直後にセットアップサイクルを実行することが可能となるため、画像形成動作開始の指示があった場合には、直ちに画像形成動作を開始することができ、ユーザの待ち時間を減らすことができる。
なお、実施の形態1および2では、ポリイミド製の中間転写ベルト21を用いていたが、表面に感光層を形成した中間転写ベルト21が用いられることもある。この感光層は、中間転写ベルト21の抵抗値を制御するためのものであるが、このような中間転写ベルト21を用いた場合には、導電性異物(カーボンファイバ)への電荷注入がなく中間転写ベルト21への保持力が大きいために、感光体ドラム12だけでなく中間転写ベルト21にもカーボンファイバCFの突き刺さりが生じやすくなってしまう。実施の形態1および2で説明したセットアップサイクルを実行する手法を採用することで、中間転写ベルト21に対するカーボンファイバCFの突き刺さりも抑制することができる。
また、実施の形態1および2では、各感光体ドラム12上に形成されたトナー像を中間転写ベルト21に一次転写した後に記録用紙Pに二次転写する画像形成装置を例に説明を行ったが、これに限られるものではない。例えば各感光体ドラム12と対向する位置を循環搬送される用紙搬送ベルトを配設し、この用紙搬送ベルトに記録用紙Pを担持搬送しながら各感光体ドラム12上に形成されたトナー像を順次転写するタイプの画像形成装置にも、同様に適用できる。さらに、実施の形態1および2では、所謂タンデム型の画像形成装置を例に説明を行ったが、1つの感光体ドラムに各色成分トナー像を順次形成するとともに、中間転写ベルト上で重ね合わせる所謂4サイクル型の画像形成装置にも同様に適用できる。さらにまた、実施の形態1および2では、感光体ドラム12を用いていたが、感光体ベルトであってもよい。
1…プリンタ、10…画像プロセス系、12…感光体ドラム、12a…基材、12b…有機感光層、13…帯電器、14…現像器、15…一次転写ロール、16…ドラムクリーナ、19Y,19M,19C,19K…現像剤ボトル、20…転写ユニット、21…中間転写ベルト、25…ベルトクリーナ、29…定着器、50…制御部、60…プロセスカートリッジ、61…プロセスカートリッジEEPROM、65…回収ボトル、VB…ベルト速度、VD…ドラム速度、TA…一次転写領域、CF…カーボンファイバ