JP4660963B2 - 電気的接続装置および電気的接続装置を有する電子機器 - Google Patents

電気的接続装置および電気的接続装置を有する電子機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1部材とフレキシブルな板状の第2部材を電気的に接続する電気的接続装置および電気的接続装置を有する電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機電界発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子、以下有機EL素子という)を発光素子としたディスプレイ装置が注目されている。
従来のこの種のディスプレイ装置では、透明のガラス基板の上に陽極となる透明電極をストライプ状に形成している。このストライプ状の透明電極の上には、直行する方向に有機層が形成されている。この有機層は正孔輸送層と発光層からなる。有機層の上には陰極が形成されている。このようにすることで透明電極と陰極とが交差する位置に、それぞれ有機EL素子を形成してこれらの有機EL素子が縦横に配列されることにより発光エリアを形成している。ガラス基板の周辺部には、この発光エリアを駆動回路に対して接続するための電極部を有している。
【0003】
陽極である透明電極に対して正の電圧が印加され、陰極に対して負の電圧が印加されると、透明電極から注入された正孔が正孔輸送層を経て発光層に到達する。一方陰極から注入された電子が発光層に到達する。これにより発光層内では電子−正孔の再結合が生じることから、所定の波長を持った光が発生して、透明のガラス基板からその光が外に出射するようになっている。
この種のディスプレイ装置では、ガラス基板上の電極に対して、外部への接続用のフレキシブル配線板や駆動用のドライバIC(集積回路)を、熱をかけてACF(異方性導電膜)を介して電気的に接続している。
【0004】
図20は、有機EL素子1000とドライバIC1001およびフレキシブル配線板1002の接続例を示している。有機EL素子1000のガラス基板1003およびドライバIC1001とフレキシブル配線板1002の電気的な接続例は、図21に示している。ガラス基板1003の上にはITO膜(Indium tin oxide膜)の透明電極1004が形成されている。この透明電極1004に対してドライバIC1001は、ACF1005を用いて電気的に接続されている。同様にしてフレキシブル配線板1002も、透明電極1004に対してACF1006により電気的に接続されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このように熱をかけてガラス基板上の電極部とフレキシブル配線板あるいはドライバICをACFを用いて電気的に接続すると、次のような問題がある。
有機EL素子を構成しているモノマーが80℃程度しか熱的に耐えられず、有機EL素子は熱に弱い。従って、ガラス基板上の電極部とフレキシブル配線板やドライバICを熱をかけて電気的に接続する場合には、ガラス基板上の電極部がガラス基板上の有機EL素子からかなり離れた位置にないと、このような熱を用いて電気的に接続することができないという問題がある。
そこで本発明は上記課題を解消し、第1部材と第2部材を常温で電気的に接合が可能であり、しかも第1部材と第2部材の電気的接続を取り外すことができ、小型化および薄型化が図れる電気的接続装置および電気的接続装置を有する電子機器を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、第1部材とフレキシブルな樹脂よりなる板状の第2部材を電気的に接続する電気的接続装置であり、前記第1部材は、前記第1部材の一方の面に形成され、台形状の断面を有する第1凹凸部と、前記第1凹凸部に形成された第1電極と、を有し、前記第2部材は、前記第1部材の前記一方の面に対面する一方の面で、前記第1部材の前記第1凹凸部に対応してはめ込まれる位置に形成され、台形状の断面を有する第2凹凸部と、前記第2凹凸部に形成された第2電極と、を有し、前記第1部材の前記第1凹凸部に前記第2部材の前記第2凹凸部がはめ込まれると、前記第2部材が前記フレキシブルな樹脂の弾性により変形して前記第1凹凸部の台形状部分の斜面と前記第2凹凸部の台形状部分の斜面が密着して接合され、前記第1部材の前記第1電極に対して前記第2部材の前記第2電極が電気的に接続される電気的接続装置である。
【0007】
請求項1では、第1部材の第1凹凸部は、第1部材の一方の面に形成されている。第1部材の第1電極はこの第1凹凸部に形成されている。第2部材の第2凹凸部は、第1部材の一方の面に対面する一方の面に形成され、第1部材の第1凹凸部に対応する位置に形成されている。第2部材の第2電極は、第2凹凸部に形成されている。この第2電極は、第1部材の第1凹凸部に第2部材の第2凹凸部がはめ込まれると、第2電極は第1部材の第1電極に対して電気的に接続されるようになっている。これにより、第1凹凸部と第2凹凸部をはめ込むことにより、第1部材の第1電極と第2部材の第2電極は、フレキシブルな第2部材の弾性により変形して、確実にかつ一体的に電気的に、しかも常温接合で接続することができる。しかも第1部材の第1電極は、第2部材の第2電極に対してはめ込むだけで取り付けることができるので、第1部材の第1電極は第2部材の第2電極から取り外すことが可能である。また、第1凹凸部と第2凹凸部が、それぞれ台形状の断面を有するので、第1部材の第1電極と第2部材の第2電極をより小さな外部からの力ではめ込み、取り外すことが可能になる。
【0009】
請求項の発明は、請求項1に記載の電気的接続装置において、前記第1部材はガラス板を有する
【0010】
請求項の発明は、請求項1に記載の電気的接続装置において、前記第2部材の前記第2凹凸部はスルーホールを有し、前記スルーホールは、前記第2部材の第2電極と、前記第2部材の他方の面の導体部の導通を得ている。
【0011】
請求項の発明は、請求項1に記載の電気的接続装置において、前記第1部材の前記一方の面側に保持部材を配置して、前記第2部材の前記第2凹凸部と前記第2電極は、前記保持部材により保持されている。
【0012】
請求項の発明は、第1部材とフレキシブルな樹脂よりなる板状の第2部材を電気的に接続する電気的接続装置を有する電子機器であり、前記電気的接続装置は、前記第1部材は、前記第1部材の一方の面に形成され、台形状の断面を有する第1凹凸部と、前記第1凹凸部に形成された第1電極と、を有し、前記第2部材は、前記第1部材の前記一方の面に対面する一方の面で、前記第1部材の前記第1凹凸部に対応してはめ込まれる位置に形成され、台形状の断面を有する第2凹凸部と、前記第2凹凸部に形成された第2電極と、を有し、前記第1部材の前記第1凹凸部に前記第2部材の前記第2凹凸部がはめ込まれると、前記第2部材が前記フレキシブルな樹脂の弾性により変形して前記第1凹凸部の台形状部分の斜面と前記第2凹凸部の台形状部分の斜面が密着して接合され、前記第1部材の前記第1電極に対して前記第2部材の前記第2電極が電気的に接続される電気的接続装置を有する電子機器である。
【0013】
請求項では、第1部材の第1凹凸部は、第1部材の一方の面に形成されている。第1部材の第1電極はこの第1凹凸部に形成されている。第2部材の第2凹凸部は、第1部材の一方の面に対面する一方の面に形成され、第1部材の第1凹凸部に対応する位置に形成されている。第2部材の第2電極は、第2凹凸部に形成されている。この第2電極は、第1部材の第1凹凸部に第2部材の第2凹凸部がはめ込まれると、第2電極は第1部材の第1電極に対して電気的に接続されるようになっている。これにより、第1凹凸部と第2凹凸部をはめ込むことにより、第1部材の第1電極と第2部材の第2電極は、フレキシブルな第2部材の弾性により第2部材が第1部材の主面に平行な方向に変形して、確実にかつ一体的に電気的に、しかも常温接合で接続することができる。しかも第1部材の第1電極は、第2部材の第2電極に対してはめ込むだけで取り付けることができるので、第1部材の第1電極は第2部材の第2電極から取り外すことが可能である。また、第1凹凸部と第2凹凸部が、それぞれ台形状の断面を有するので、第1部材の第1電極と第2部材の第2電極をより小さな外部からの力ではめ込み、取り外すことが可能になる。
【0015】
請求項の発明は、請求項に記載の電気的接続装置を有する電子機器において、前記第1部材はガラス板を有する
【0016】
請求項の発明は、請求項に記載の電気的接続装置を有する電子機器において、前記第2部材の前記第2凹凸部はスルーホールを有し、前記スルーホールは、前記第2部材の第2電極と、前記第2部材の他方の面の導体部の導通を得ている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0018】
図1は、本発明のディスプレイ装置を有する電子機器の一例を示している。
この電子機器10は、たとえばテレビジョン受像機である。電子機器10の筐体12は、ディスプレイ装置20を有している。このディスプレイ装置20は、有機電界発光素子(以下有機EL素子という)を有するディスプレイ装置であり、たとえば大型の表示面を有していて、一例としては75インチサイズ以上のサイズのディスプレイ装置である。
このディスプレイ装置20は、図2に示す有機ELユニット22を有している。
【0019】
図3は、図2の有機ELユニット22の一部分を拡大して示す分解斜視図である。
有機ELユニット22は、複数のIC(集積回路)基板30と、1枚の有機ELパネル40を有している。有機ELパネル40は、図3の図示例では表面40Aと裏面40Bを有している。
各IC基板30は、1つまたは複数個のドライバIC34を有している。これらのドライバIC34は、フレキシブル配線板50を用いて、それぞれ有機ELパネル40の裏面40B側の電気接続部分に電気的にかつ機械的に接続することができるようになっている。各IC基板30は、別のフレキシブル基板51により相互に電気的に接続することができる。
【0020】
各IC基板30のドライバIC34は、たとえば大型の有機ELパネル40を、破線で示すように区分面41に分けてそれぞれ駆動できるようにしている。このように大型の面積を有する有機ELパネル40を複数の区分面41に分けてそれぞれIC基板30のドライバIC34で駆動するのは、次の理由からである。
すなわち、大型の面積を有する有機ELパネル40を複数の区分面41に区分して駆動することにより、各IC基板30から対応する位置にある区分面41までの駆動配線の長さが短くなり、表示画面を大型化した場合でも配線抵抗による電圧降下をなくして、有機ELパネル40の表示駆動を安定して行うことができるからである。
そして、大型面積を有する有機ELパネル40の面積に合わせて、大型のIC基板30を設けた場合に比べて、区分面41に分割してIC基板30をそれぞれ配置することにより、仮にいずれかのIC基板30のドライバIC34の動作が不良になった場合でも、その該当する区分面41のIC基板30のみを取り外して交換すればよいので、メンテナンス時のコストダウンを図ることができるというメリットもある。
【0021】
図4と図5は、有機ELパネル40の構造例を示している。図5に拡大して示す有機ELパネル40は、表示部領域60と、電気的な接続領域70を有している。表示部領域60は、寸法Dと、各寸法D1,D2,D3,D4で形成される部分である。電気的な接続領域70は、寸法D5と寸法D6で形成される領域と、寸法D7と寸法D8で形成される領域を有している。
有機ELパネル40の端部には、位置決め用のアライメントマーク64が形成されており、このアライメントマーク64は、たとえば正方形の形状を有している。
電気的な接続領域70は、たとえば丸形状の複数の接続ポイントPを有している。
【0022】
ここで、図6〜図7を参照して、有機ELパネル40の有機EL素子80の構造例を説明する。
有機ELパネル40は、透明基板121の上に、陽極となる透明電極122をストライプ状に形成し、さらに、正孔輸送層と発光層とからなる有機EL膜123を透明電極122と直交するように形成し、有機EL膜123上に陰極124を形成することで、透明電極122と陰極124とが交差する位置にそれぞれ有機EL素子80を形成している。透明基板121は、図5に示すように、これら有機EL素子80を縦横に配置した発光エリアである表示部領域60と、発光エリアを駆動回路に接続させるために上述した電気的な接続領域70を形成している。
【0023】
このような有機ELパネル40においては、通常、透明電極122間に絶縁層が設けられており、これによって透明電極122間の短絡と、さらには透明電極122と陰極124との間の短絡が防止されている。
【0024】
透明電極122と陰極124とが交差する位置に構成される有機EL素子としては、例えば図7(B)に示すシングルヘテロ型の有機EL素子80がある。この有機EL素子80は、ガラス基板等の透明基板121上にITO(Indium tin oxide)等の透明電極122からなる陽極が設けられ、その上に正孔輸送層123a及び発光層123bからなる有機EL膜123と陰極124が設けられている。
【0025】
有機EL素子80は、透明陽極122に正の電圧を印加し、陰極124に負の電圧を印加すると、透明陽極122から注入された正孔が正孔輸送層123aを経て発光層123bに到達し、また陰極124から注入された電子が発光層123bにそれぞれ到達し、発光層23b内で電子−正孔の再結合が生じる。このとき、所定の波長を持った光が発生し、図7(B)の矢印で示すように透明基板121側から外に出射する。
【0026】
次に、有機EL素子80とフレキシブル配線板50の断面構造例について、図8を参照して説明する。
有機EL素子80の透明基板121は第1部材に相当し、フレキシブル配線板50は第2部材に相当する。
透明基板121は、たとえばガラス基板やプラスラック基板を用いることができる。
ガラス基板の場合には、たとえば感光性ガラスや、凹凸を機械加工したソーダ硝子、無アルカリ硝子、石英硝子などである。感光性ガラスとしては、例えば重量%で、SiO2 55〜85%、Al23 2〜20%、Li2O5〜15%、SiO2+Al23+Li2O>85%を基本成分とし、Au0.001〜0.05%、Ag0.001〜0.5%、Cu2O0.001〜1%を感光性金属成分とし、さらにCeO2 0.001〜0.2%を光増感剤として含有する感光性ガラスを用いるのが好ましい。
プラスチック基板の場合には、たとえばPC(ポリカーボネート)、フッ素PI(ポリイミド)、PMMA(アクリル樹脂)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PAR(ポリアリレート)、PES(ポリエーテルスルフォン)、PEN(ポリエーテルニトリル)、シクロ・オレフィン系樹脂などを用いる。
透明基板121の表面と裏面には、ガスバリア膜140が形成されている。このガスバリア膜140は、水分や酸素等のガスの素子内への浸入を防いで、有機EL素子の劣化を防止する。ガスバリア膜140には反射防止特性が付与されていることが望ましく、これによりガスバリア膜140は、発生した光の透明基板121での反射を抑えて、透過率の高い優れた有機EL素子にすることができる。
【0027】
一方のガスバリア膜140の上には、補助電極142が形成されている。この補助電極142は、たとえばクロムにより作られておりたとえば櫛状に形成されており、この補助電極142は、抵抗値を下げるためについている。
補助電極142の上には、透明電極122が形成されている。この透明電極122は、たとえばストライプ状に形成されており、陽極であり、正の電圧を印加する部分であり、たとえばITO膜(Indium tin oxide膜)である。
【0028】
透明電極122の上には第1絶縁層150が形成されている。第1絶縁層150の上には、有機EL膜123が形成されている。この有機EL膜123は、正孔輸送層と発光層とが積層された多層構造である。第1絶縁層150と有機EL膜123の上には、陰極(カソード電極)124が形成されている。
第1絶縁層150は、たとえばSiN等により作られており、電気絶縁性ばかりでなく水分や酸素に対するガスバリア機能を有している。このガスバリア機能をもたせることで、素子内部への水分や酸素の浸入を防いで、有機EL膜123の劣化を防ぐ。
【0029】
陰極124は、有機EL膜123のカソードとなるもので、有機EL膜123よりも大きめに形成されている。陰極124は、たとえばフッ化リチウム(LiF)等からなる。
【0030】
第1絶縁層150と陰極124の上には、第2絶縁層155が形成されている。この第2絶縁層155は、素子全体に亘って形成されており、たとえばSiN、AlN等により作られている。第2絶縁層155は、絶縁性ばかりでなく、水分や酸素に対するガスバリア機能をも有しており、これにより素子内部への水分や酸素の浸入を防ぎ、有機EL膜123の劣化を防止することができる。
【0031】
図8において、電気的接続装置900は、第1部材である透明基板121側の第1凹凸部500と、第1電極200,201と、第2部材であるフレキシブル配線板50の第2凹凸部600と第2電極700を有している。図8の有機EL素子80の透明基板121は、上述したように第1部材に相当するが、この透明基板121は、複数の第1凹凸部500を有している。この第1凹凸部500は、透明基板121の一方の面側に形成されている。この第1凹凸部500には、第1電極200,201が形成されている。第1凹凸部500の凹部501は、ほぼ断面で見てたとえば台形状になっている。第1電極200は、凹部501に形成された導電性の金属膜170と電極部分182を有し、金属膜170はたとえばAuであり、電極部分182はたとえばNiである。第2電極201は、もう1つの凹部501に形成された導電性の金属膜170と電極部分183を有し、金属膜170はたとえばAuであり、電極部分183はたとえばNiである。このような構成とすることで、図8の左側は陽極を、右側は陰極の取りはずしが可能な接続を可能としている。
【0032】
図8に示すフレキシブル配線板50は、第2部材に相当するが、このフレキシブル配線板50は、たとえばPI(ポリイミド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)あるいはPA(ポリアセタール)等のような弾性を有するフレキシブルな樹脂により作られている。
フレキシブル配線板50は、第2凹凸部600を有している。この第2凹凸部600は、フレキシブル配線板50の一方の面50A側に形成されている。この一方の面50Aは、有機EL素子80の透明基板121の一方の面に対面する面である。第2凹凸部600の凸部601には、第2電極700が形成されている。
この第2電極700は、たとえばCu層701の上にNiの下地層702が形成されており、このNi下地層702を下地としてAu層703が積層されている。凸部601は、たとえば断面で見て台形状を有している。凸部601の第2電極700は、凹部501の第1電極200にはめ込まれると、図9に示すように頂点の面および斜面の面のいずれにおいても、各第2電極700は第1電極200あるいは201に対して常温で密着して電気的に接続することができる。
【0033】
このように、第1部材である透明基板121側の第1凹凸部500と、第2部材であるフレキシブル配線板50の第2凹凸部600を、フレキシブル配線板50が有する弾性力を用いてはめ込みにより接合する構成を採用することにより、第1電極200あるいは201に対して第2電極700を接続するばかりでなく、取り外すことも可能である。
【0034】
図8に示す透明基板121の上の透明電極122は、ITO、ポリピロール、ポリアニンまたはポリチオフェン等の導電性ポリマーを用いて形成することができる。またこの透明電極122は、導電性樹脂であるPDOT(Poly(3,4−ethylenedioxythiophene))およびPDOT/PSS(Poly(3,4−ethylenedioxythiophene)/Poly(styrenesulfonate))等を用いても勿論構わない。
【0035】
図8のフレキシブル配線板50の第2凹凸部600の形成は、射出成形、圧接形成、押出成形、真空成形等を用いることにより成形することができ、このように形成された第2凹凸部の凸部601に対して第2電極を形成したり、フレキシブル配線板50の他方の面50Bにパターニングにより導電性部分を形成する。
またフレキシブル配線板50は、MID(MOLDED INTERCONNECTION DEVICE)等の技術を用いて、第2電極700の形成や導電体部のパターニングを行ってもよい。
【0036】
一方、図8に示す透明基板121側の第1凹凸部500の形成は、たとえば図10に示すような凹凸部の形成方法を用いることができる。
透明基板121として、たとえば感光性ガラスを使用する。この感光性ガラスは、たとえばHOYAオプティックス株式会社製のPEG3ガラスを採用することができる。図12はこの感光性ガラスの加工寸法と精度の例や特性値の例を示している。
【0037】
感光性ガラスは、金属イオンを増感剤とともに加えて溶解した珪酸塩ガラスである。このガラスは、紫外線に感光し、過熱現象処理により金属コロイドを生じて、その金属コロイドが核となって結晶が成長する。この結晶は非常に微細であり酸に溶け易いので、複雑な形状の孔や溝等の微細な加工が行え、この孔にはテーパを付けることもできる。
感光性ガラスは、熱処理により結晶化を進めることにより、耐摩耗性、耐熱性、誘電特性等の化学的や物理的に優れた特性を持つ。コストについては、微細で複雑な化合が一度にできることから、感光性ガラスは機械加工等による加工に比べて低コストで作ることができる。
【0038】
図10は、感光性ガラス121に対して凹部501を形成する形成例を示している。感光性ガラス121に対面するようにして、露光用のマスク990を配置する。マスク990は、感光性ガラス121に対して浮かすように配置することで、周辺の光の照射強度が落ちるために、図10(A)に示すようにテーパが付くようにして紫外線を照射する。この紫外線の照射により感光性ガラス121の中には潜像を作る。
【0039】
図10(B)に示すように、感光性ガラス121は適切な熱処理により感光した部分である潜像を結晶化させて酸に溶け易くする。
図10(C)に示すように、再び紫外線970をマスク990を用いて照射することにより、結晶化する時の前工程として未露光部分にも紫外線を照射する。
図10(D)に示すようにエッチング処理を行うことにより、結晶化した部分を酸で溶解して除去する。このエッチング時間の調整により台形状の凹部(孔とも言う)501の深さを調整することができる。
図10(E)に示すように、その後感光性ガラス121を適切な熱処理をすることにより結晶化させて、感光しない物理的かつ化学的な耐久性に優れた透明基板121を得ることができる。
【0040】
図11は、図10に示すような台形型の凹部501を形成するのとは異なり、逆の台形型の凹部501Aを形成する工程例を示している。
図11(A)では、少しデフォーカスした紫外線970がマスク980を介して感光性ガラス121に照射される。この時にマスク980は感光性ガラス121に密着している。
図11(B)に示すように感光性ガラス121は潜像を含んでおり熱処理をする。
図11(C)では、紫外線970をマスク980を用いて再露光を行う。
図11(D)ではエッチング処理を行うことにより、図10の例とは逆の形をした台形状の凹部501Aが形成される。そして図11(E)の熱処理を行うことにより物理的および化学的に耐久性の優れた透明基板121が得られる。
【0041】
このような有機EL素子80もしくは有機ELパネル40では、陽極である透明電極122と、カソード電極である陰極124の間に電流が印加されると、陰極124から注入された正孔が、有機EL膜の正孔輸送層を経て発光層に達するとともに、透明電極122から注入された電子が有機EL膜123の発光層に到達する。従って、発光層内で電子−正孔の再結合が生じる。この時に、所定の波長を持った光が発生し、この光Lは、透明基板121から外に射出することになる。
なお、導電性の金属膜170の材質としては、Auに限らず、半田やCuなどを採用することもできる。
【0042】
図13〜図17は、それぞれ本発明の別の実施の形態を示している。
図13〜図17では、図8に示す有機EL素子80および透明基板121の図示を簡単にしている。
図13の実施の形態では、ガラス基板121とフレキシブル配線板50の間にクリアランスCが設けられている。このようにクリアランスCを設けることにより、凸部601の高さ精度、凹部501とその上に形成された凹状第1電極の高さ精度にある程度のトレランスを持たせ、確実な接続を得ることができる。
【0043】
図14の実施の形態では、フレキシブル配線板50の第2電極700の頂点部分710と、第1電極200または第1電極201の内底部分209の間にクリアランスC1が形成されている。このようにすることで、電極700のテーパ部分711と第1電極200または201のテーパ部分219のみで電気的に接続することができる。
【0044】
図15の実施の形態では、たとえば図13の実施の形態に加えて、フレキシブル配線板50はスルーホール776を有している。このスルーホール776は、第2電極700と、フレキシブル配線板50の他方の面50B側の導体部分798を電気的に接続する導体部分799を収容している。
【0045】
図16の実施の形態では、ガラス基板121の上に保持部材970が貼り付けられている。この保持部材970は、フレキシブル配線板50の凸部601を挿入した状態を保持するための保持部材である。この別のピースである保持部材970は、ガラスであってもプラスチックであっても勿論構わない。保持部材970が電極700を保持する面はテーパ面769となっている。
これに対して図17の保持部材971では、電極700を保持する部分はガラス基板121の長手方向に対して傾斜するテーパ面ではなく、ガラス基板121の長手方向Nに関して垂直面759を有している。
【0046】
上述した実施の形態の電子機器は、いわゆる大型のディスプレイ装置であり、たとえば大型のテレビジョン受像機等に用いることができる。
【0047】
図18と図19は、小型の電子機器の一例として携帯電話410を示している。この携帯電話410は、アンテナ414、スピーカ422、マイク420、操作部418、筐体412を有している。操作部418は、各種の操作ボタンを有している。筐体412のフロント部424はディスプレイ装置520を有している。
このディスプレイ装置520は、携帯電話410に必要な情報等を表示する部分である。ディスプレイ装置520は、図15に示すように有機ELパネル540と、IC基板530を有しており、IC基板530と有機ELパネル540は、フレキシブル配線板50により電気的かつ機械的に接続されている。IC基板530はドライバIC34を有している。
このように大型の電子機器のみならず、小型の電子機器においても本発明の電気的接続装置を適用することができる。
【0048】
ところで本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、電子機器としては、テレビジョン受像機、携帯電話の他に、コンピュータのモニター装置、携帯情報端末、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、携帯用ゲーム機、等に適用することができる。
【0049】
上述した本発明の電気的接続装置および電気的接続装置を有する電子機器では、図8に示す電気的接続装置900は、第1部材である透明基板121もしくは有機EL素子80の第1電極200,201と、第2部材であるフレキシブル配線板50の第2電極700が、第1凹凸部500の凹部501と第2凹凸部600の凸部601をフレキシブル配線板50の弾性力を要してはめ込むことにより、電気的かつ機械的に常温で確実に電気的に接合することができる。従って、フレキシブル配線板50の第2電極700は第1電極200あるいは201から取り外すことも可能である。
このような凹凸形状をはめ込む形式で電気的接続装置900が構成されているので、半田等やACF等を用いる必要がなく、小型化および薄型化が図れ、コストダウンが図れる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、第1部材と第2部材を常温で電気的に接合が可能であり、しかも第1部材と第2部材の電気的接続を取り外すことができ、小型化および薄型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気的接続装置を有する電子機器の一例として、大型のテレビジョン受像機を示す斜視図。
【図2】図1の電子機器が有する有機ELユニットの例を示す斜視図。
【図3】図2の有機ELユニットの一部を示す有機ELパネル、IC基板およびフレキシブル配線板を示す斜視図。
【図4】有機ELパネルの電気的な接続領域の例を示す図。
【図5】図4の有機ELパネルの電気的な接続領域および表示領域の例を示す平面図。
【図6】有機ELパネルの有機EL素子の構造例を示す斜視図。
【図7】有機ELパネルの一部の構造を示す図。
【図8】本発明の電気的接続装置の好ましい構造例を示す分解図。
【図9】図8の電気的接続装置を完成した状態を示す図。
【図10】透明基板に対して凹部を形成する工程例を示す図。
【図11】透明基板に対して凹部を形成する別の工程例を示す図。
【図12】透明基板に採用される感光性ガラスの特性の例を示す図。
【図13】本発明の別の実施の形態を示す図。
【図14】本発明のさらに別の実施の形態を示す図。
【図15】本発明のさらに別の実施の形態を示す図。
【図16】本発明のさらに別の実施の形態を示す図。
【図17】本発明のさらに別の実施の形態を示す図。
【図18】本発明の電子機器の別の例を示す図。
【図19】図18の電子機器におけるフレキシブル配線板と有機EL素子を示す図。
【図20】従来の有機EL素子における接続例を示す図。
【図21】従来の一部分を拡大して示す図。
【符号の説明】
10・・・電子機器、20・・・ディスプレイ装置、40・・・有機ELパネル、50・・・フレキシブル配線板(第2部材)、80・・・有機EL素子、121・・・透明基板(第1部材)、200,201・・・第1電極、500・・・第1凹凸部、501・・・凹部、600・・・第2凹凸部、601・・・凸部、700・・・第2電極、900・・・電気的接続装置

Claims (7)

  1. 第1部材とフレキシブルな樹脂よりなる板状の第2部材を電気的に接続する電気的接続装置であり、
    前記第1部材は、
    前記第1部材の一方の面に形成され、台形状の断面を有する第1凹凸部と、
    前記第1凹凸部に形成された第1電極と、を有し、
    前記第2部材は、
    前記第1部材の前記一方の面に対面する一方の面で、前記第1部材の前記第1凹凸部に対応してはめ込まれる位置に形成され、台形状の断面を有する第2凹凸部と、
    前記第2凹凸部に形成された第2電極と、を有し、
    前記第1部材の前記第1凹凸部に前記第2部材の前記第2凹凸部がはめ込まれると、前記第2部材が前記フレキシブルな樹脂の弾性により変形して前記第1凹凸部の台形状部分の斜面と前記第2凹凸部の台形状部分の斜面が密着して接合され、前記第1部材の前記第1電極に対して前記第2部材の前記第2電極が電気的に接続される
    電気的接続装置。
  2. 前記第1部材はガラス板を有する
    請求項1に記載の電気的接続装置。
  3. 前記第2部材の前記第2凹凸部はスルーホールを有し、前記スルーホールは、前記第2部材の第2電極と、前記第2部材の他方の面の導体部の導通を得ている
    請求項1に記載の電気的接続装置。
  4. 前記第1部材の前記一方の面側に保持部材を配置して、前記第2部材の前記第2凹凸部と前記第2電極は、前記保持部材により保持されている
    請求項1に記載の電気的接続装置。
  5. 第1部材とフレキシブルな樹脂よりなる板状の第2部材を電気的に接続する電気的接続装置を有する電子機器であり、
    前記電気的接続装置は、
    前記第1部材は、
    前記第1部材の一方の面に形成され、台形状の断面を有する第1凹凸部と、
    前記第1凹凸部に形成された第1電極と、を有し、
    前記第2部材は、
    前記第1部材の前記一方の面に対面する一方の面で、前記第1部材の前記第1凹凸部に対応してはめ込まれる位置に形成され、台形状の断面を有する第2凹凸部と、
    前記第2凹凸部に形成された第2電極と、を有し、
    前記第1部材の前記第1凹凸部に前記第2部材の前記第2凹凸部がはめ込まれると、前記第2部材が前記フレキシブルな樹脂の弾性により変形して前記第1凹凸部の台形状部分の斜面と前記第2凹凸部の台形状部分の斜面が密着して接合され、前記第1部材の前記第1電極に対して前記第2部材の前記第2電極が電気的に接続される
    電気的接続装置を有する電子機器。
  6. 前記第1部材はガラス板を有する
    請求項に記載の電気的接続装置を有する電子機器。
  7. 前記第2部材の前記第2凹凸部はスルーホールを有し、前記スルーホールは、前記第2部材の第2電極と、前記第2部材の他方の面の導体部の導通を得ている
    請求項に記載の電気的接続装置を有する電子機器。
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