JP4660516B2 - 抗菌水生成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、銀イオンが有する抗菌効果を利用した抗菌水生成装置に関する。
抗菌という言葉は、広義には「滅菌」(全ての微生物を殺滅)、「殺菌」(微生物を一部でも殺せば殺菌)、「消毒」、「除菌」、「制菌」(微生物の増殖防止)、「静菌」(微生物の増殖抑制)、「防カビ」、「防腐」という言葉を全て含む。抗菌・防黴剤は、無機系(Ag、銅、亜鉛系、酸化チタン系)と有機系(合成系、天然系)とに大別される。
これら抗菌性化合物の利用は、産業分野では、紙・パルプ用スライムコントロール剤、木材防腐分野の他、水処理、分離の分野にも広がっている。生活分野では、冷蔵庫、洗濯機、浄水器、加湿器、掃除用ごみフィルタなど、あらゆる家電製品に広がっている。また、便器、バス、化粧室などの水周り生活用品、まな板などの水周り台所用品、生理用ナプキン、歯ブラシなどトイレタリー用品、鉛筆、定規などの文房具用品、タンス、机、カーペット、カーテンなどの家具・装飾品など、非常に広い範囲で利用されている。医療分野では、白衣、カーテンなどの繊維製品、また壁材などの建材、プラスチック類をはじめとする医療用器具などへ利用されている。
かつては抗菌性化合物といえば、農薬や医薬品の流れを汲む有機系化合物が用いられてきた。しかし、(1)選択性の高い抗菌スペクトル、(2)有機系化合物は即効性の面では優れるものの人や環境に対する安全性が懸念されること、などの観点から、近年では銀、銅、亜鉛といった抗菌性を有する金属を含んだものや、酸化チタンに代表される光触媒などの無機系抗菌性化合物が、その優れた耐熱性とあいまって主流となってきている。これら無機系抗菌性化合物において、細菌の増殖抑制の能力に着目すると、特に銀(より詳しくは銀イオン)の活性が高く、亜鉛イオン、銅イオン、カドミウムイオンがこれに続く。より具体的には銀の抗菌活性は、銅の抗菌活性の200倍、亜鉛の抗菌活性の1,000倍となっており、無機系抗菌性化合物は銀を用いるものが殆どである。
特に、銀は抗菌活性の高さ故、爆発的に上述したような様々な用途で利用されてきているが、未だ十分な抗菌効果が得られているとは限らない。先行技術として、銀イオンを利用した殺菌水製造装置、加湿器などの応用製品は既に知られているが、依然として十分な抗菌作用を発揮しつつ、銀イオン抗菌技術の持つ人体への安全性の高さを兼ね備えた技術の創出は見あたらない。
たとえば、特許文献1には、銀イオンを電気分解で生成し殺菌水を製造する装置が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載された装置を実際に水道水に繋いだ場合、水道水中の塩素イオンに対する検討も必要となり、2.0ppmの銀含有殺菌水を得る場合には、電解タンク中に塩化銀からなる沈殿を生じ、必要としている銀イオン濃度と実際に得られる銀イオン濃度とは整合しない。また300mAもの高い消費電力を要することになれば、経済的にも負担を強いられる。またこの装置で製造された殺菌水は、原核生物への応用に関する効果については定かではない。
また、たとえば特許文献2には、銀イオン以外の抗菌効果として、超微細な気泡(マイクロバブル)であって10〜20ミクロン単位の気泡を用いて、静菌効果を狙った技術が開示されている。特許文献2は、洗浄効果を目指しており、微細な大量の気泡により、繊維の奥深くまで気泡が浸透し易くなるため、汚れ落ち効果が得られ、さらに上記大量のマイクロバブルは繊維および洗浄水との表面接触が多く、洗濯物とマイクロバブルが衝突して気泡が破裂する際の微小振動によって洗浄効果が得られるようにしている。しかし、この特許文献2に開示された技術は、上述のように、洗濯機として汚れ分解能力を高めた洗浄効果を得るためにマイクロバブルを利用していることに主眼を置いており、その効果も静菌に止まり、マイクロバブルを積極的に利用した抗菌効果については言及していない。
特開2001−62458号公報 特開2004−313296号公報
上述した従来技術では、効果的な銀イオン抗菌効果が確認されておらず、オゾン、塩素系洗剤のような人体にとっても有害な溶液で抗菌作用を発揮するものが殆どであった。したがって、銀イオン抗菌効果を利用したより高い抗菌作用を発揮し得る応用技術の開発が求められている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、銀イオン抗菌効果を利用し、より高い抗菌作用をより低い消費電力にて発揮させることができる、新規な抗菌水生成装置を提供することである。
本発明は、マイクロバブルを発生し、マイクロバブル含有水を製造するマイクロバブル発生部と、水またはマイクロバブル含有水と銀含有材料との接触により銀イオンを溶出させる銀イオン発生部と、マイクロバブル含有水と銀イオンとを含むマイクロバブル含有銀イオン水に光照射する光照射部とを少なくとも備える抗菌水生成装置に関する。
上記銀含有材料は、銀ゼオライト、銀含有水溶性ガラス、銀含有セラミックスおよび銀化合物微粒子からなる群より選ばれる少なくとも1の材料を含むことが好ましい。
上記銀イオン発生部は、マイクロバブル含有水と銀含有材料との接触により銀イオンを溶出させることが好ましく、また、マイクロバブル発生部の下方に銀イオン発生部を設けることが好ましい。
上記銀イオン発生部は複数個設置されていることが好ましい。
また、本発明の抗菌水生成装置は、マイクロバブル発生部で発生されたマイクロバブル含有水を収容するための水槽を備えることが好ましい。
上記銀イオン発生部は上記水槽内に設置する形態をとることができ、その場合、水槽内の底面部分または側面部分に設置されていることがより好ましい。
また本発明の抗菌水生成装置において、上記水槽内に攪拌部を備えることが好ましい。
本発明の抗菌水生成装置は、上記水槽内のマイクロバブル含有銀イオン水をマイクロバブル発生部に循環させる循環機構を備えることが好ましい。
また本発明の抗菌水生成装置は、上記光照射部を水槽部内に備えることが好ましい。さらに、本発明において上記マイクロバブル発生部で発生させたマイクロバブルは、水中の溶存酸素濃度を高める効果を持つことが好ましい。
本発明によれば、電気分解を用いずに、特定の銀イオン発生部を設けることにより、従来に比べ消費電力を抑えることが可能であり、また、より高い銀イオン抗菌効果を発揮する抗菌水生成装置を提供ことができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明では、図面を用いて説明しているが、本願の図面において同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示している。
<抗菌水生成装置>
図1〜図5は本発明の抗菌水生成装置の好ましい実施態様を模式的に示す図である。
本発明の抗菌水生成装置は、図1〜図5に示されるように、銀イオンが有する抗菌効果を最大限に利用するため、マイクロバブルを発生し、マイクロバブルを含有する水(マイクロバブル含有水)を製造するマイクロバブル発生部103と、水またはマイクロバブル含有水と銀含有材料との接触により銀イオンを溶出させる銀イオン発生部102と、上記マイクロバブル含有水と上記銀イオンとを含むマイクロバブルを含む銀イオン水(マイクロバブル含有銀イオン水)に光照射する光照射部113とを少なくとも備える。なお、参照符号は図1に対応するものであるが、図2〜図5においても同様の構成である。以下の説明において、特に断りのない限り、参照符号は代表的なものであり、特定の図面を指定するものではない。
本発明の抗菌水生成装置は、望ましくは、得られたマイクロバブルを含む銀イオン水を受けるための水槽104を備える。水槽104は、得られたマイクロバブル含有銀イオン水や抗菌水を取り出すための取り出し口105と、マイクロバブルを含む銀イオン水を光照射する光照射部113が、通常設けられてなる。
本発明の抗菌水生成装置は、図1に示す例のように、マイクロバブル発生部の下方に水槽104が設けられていてもよい。水槽の形状等は、目的に応じて適宜選択することができる。
また、上記水槽内のマイクロバブル含有銀イオン水を攪拌することが好ましく、たとえば図1に示すような攪拌部110または図2に示すような循環機構112により攪拌することができる。攪拌部により水槽内のマイクロバブル含有銀イオン水を攪拌することで、銀化合物の沈殿を防ぎ、抗菌水の銀イオン濃度を一定に保持することができる利点がある。上記攪拌部は、従来公知の適宜の手段にて実現することができ、具体的には、攪拌羽根のついた攪拌機などを挙げることができる。攪拌部の設置の仕方に特に制限はなく、たとえば図1に示すように水槽104の底面部分に設けるようにしてもよいし、後述する図3に示す例のように水槽304の側面部分に設けるようにしてもよい。また、水槽に攪拌部が設けられる代わりに、図2に示すように、水槽内の水をマイクロバブル発生部203に循環させる循環機構212を設けてもよい。循環機構212は、たとえば水槽204内の水を汲み出すためのポンプと、ポンプにより水槽204から汲み出されたマイクロバブル含有銀イオン水をマイクロバブル発生部203に連結するための管路214とを有するように実現される。このような循環機構212が設けられてなることで、繰り返し水槽204にマイクロバブルを供給することができ、常に高濃度のマイクロバブルを供給することができるという利点がある。
なお、本発明の抗菌水生成装置における、銀イオン発生部の位置については、特に制限されるものではないが、マイクロバブル発生部の下側に配置され、銀イオン発生部にマイクロバブル含有水が流入するように設置することで、銀含有材料がマイクロバブル含有水と接触することが好ましい。図1および図2には、その一例として、マイクロバブル発生部と水槽との間を連結する管路に銀イオン発生部が設けられた場合を示す。銀イオン発生部は、図1および図2に示した場合以外にも、たとえば図3および図4示すように、銀イオン発生部が水槽の底面部分に設置されていてもよい。このように銀イオン発生部を水槽の底面部分に設置することで、銀イオン発生部を必ず水またはマイクロバブルを含む水と接触させることができるという利点がある。また、銀イオン発生部は、水槽の側面部分に設置されても勿論よい(図示せず)。
<マイクロバブル発生部>
本発明におけるマイクロバブル発生部は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を適宜用いることができる。上記特許文献2に記載されているように、直径がマイクロメートルオーダーであるバブル(マイクロバブル)に関しては広く研究されている。たとえば、キャビテーションによって直径が10μm程度の気泡を発生させて、このマイクロバブルの気泡溶解および浮上分離などの機能性を利用した油の汚濁促進効果などに利用する技術が公知である。本発明の抗菌水生成装置においては、このうち、マイクロバブルが有する帯電効果を利用することで、銀ゼオライトに代表される銀イオン発生機構からの銀イオン溶出促進を実現するものである。
上記マイクロバブルの直径(マイクロバブル径)は、電荷密度および銀イオン溶出効果の点から10〜100μmであることが好ましく、より好ましくは、20〜50μmである。また、発生時にこのような範囲の直径を有するマイクロバブルはバブルの崩壊が少ないので、銀イオンによる抗菌をより効率的に行なうことが可能となる。また、本発明においては、マイクロバブル発生時および得られる抗菌水において上記サイズのマイクロバブルであることが好ましい。
上記マイクロバブルを発生させる方法としては、上述のように従来公知の方法を適宜選択し用いることができる。たとえば、マイクロバブル発生部にコンプレッサを備え、コンプレッサから多孔質フィルタを介して、マイクロバブル発生部に存在させる水に圧縮空気を送り込むことにより発生させることができる。圧縮空気が多孔質フィルタを通して送り込まれると、圧縮空気は、分断された状態で小さな空気流を複数発生してマイクロバブル発生部に流入する。このような状態の圧縮空気がマイクロバブル発生部内で、流水と混合することによって、マイクロバブルを含む水(マイクロバブル含有水)が発生する。
具体的には、たとえば図1に示すように、マイクロバブル発生部103に、蛇口取り付け口106を介して水道蛇口107から水が流入するよう構成とし、コンプレッサ108から圧縮空気が多孔質フィルタ109を介して送り込まれる構成とすることで、マイクロバブルを発生させることができる。また、たとえば、マイクロバブル発生部103として、水道蛇口107とコンプレッサ108とが接続された、三方弁からなるアスピレータを用いる構成としてもよい。
マイクロバブル発生部に流入させる水の流速は特に限定されず、マイクロバブル発生部に水が存在すればよいが、マイクロバブルの発生効率の点からは0.5l/min〜10l/minとすることが好ましい。
上記コンプレッサにより多孔質フィルタを介してマイクロバブル発生部に送り込まれる圧縮空気の流速は、特に制限されるものではないが、バブル径の大きさを制御する観点から、8ml/min以下であることが好ましく、3ml/min以下であることがより好ましい。圧縮空気の流速が8ml/minを超える場合には、バブル径が大きくなり過ぎ、マイクロバブルを作製できないという傾向にある。また、上記圧縮空気の流速は、バブル径の制御の点からは小さいほど好ましいが、マイクロバブルを発生させる点から0.1ml/min以上であることが好ましい。
上記多孔質フィルタとしては、特に制限されるものではないが、たとえばコーディエライト(2MgO・2AlO3・5SiO2)などの材質で形成されたフィルタを例示することができる。また、多孔質フィルタの空隙率は、50〜95%であることが好ましく、50〜80%であることがより好ましい。空隙率が上記範囲を満足する場合は、銀イオンの溶出効率を向上させるサイズのマイクロバブルを安定して生成させることができる。
また、多孔質フィルタのセルサイズは、一辺が0.7mm〜10mmの範囲内であることが好ましく、0.9mm〜1.2mmの範囲内であることがより好ましい。このような多孔質フィルタとしては、具体的には、ハニセラム(日本ガイシ製)などを挙げることができる。
上記のように発生させたマイクロバブルの単位体積あたりの発生頻度は、0.1〜0.5%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜0.4%である。
なお、本発明において、マイクロバブル径、マイクロバブルの単位体積あたりの発生頻度は、水槽にマイクロバブルを発生させ、ガラスを水面と平行に設置しマイクロバブルを吸着させ、デジタルマイクロスコープで観察して、測定し求めることができる。
本発明の抗菌水生成装置において、マイクロバブル発生部から発生するマイクロバブルは、水などの媒体中の溶存酸素濃度を高める効果を併せ持つため、銀イオンとマイクロバブルとを混合することで、たとえば8〜12mg/lという高い溶存酸素濃度のマイクロバブル含有銀イオン水を生成することができる。銀イオンは触媒効果を有するため、本発明で得られたマイクロバブルを含む銀イオン水では、溶存酸素から酸素ラジカルを発生させ、そのラジカルが細菌やカビなどに抗菌作用を示すことが期待される。これにより、銀イオン、マイクロバブルの各々単独では殺菌できない微生物に対しても殺菌能力を発揮し得る抗菌水を生成することができるようになる。
ここで、本発明の抗菌水生成装置に適用され抗菌される「水」は、不純物として塩素、金属イオンなどを含んでいてもよく、水道水のほか、工業用水などに適用することが可能である。また、上記抗菌される水のマイクロバブル発生部への流入速度は特に限定されるものではない。
本発明においては、水、または上記方法により発生したマイクロバブル含有水を直接銀イオン発生部に流入させて銀イオンを溶出させたり、後述のようにマイクロバブル発生部の下方に水槽を設け、水槽内に流入させたマイクロバブル含有水を銀イオン発生部に接触させたりすることによりマイクロバブル含有水と銀イオンとを混合することができる。
<銀イオン発生部>
本発明における銀イオン発生部は、水またはマイクロバブル含有水との接触により銀イオン(Ag)を溶出し得る銀含有材料を含む。銀含有材料と水またはマイクロバブル含有水との接触により銀イオンを溶出させるための方法としては、たとえば、図1および図2に示すように、銀イオン発生部に含まれる銀含有材料を水またはマイクロバブル含有水の流路に設置された管路を設けて、銀イオン発生部内を水またはマイクロバブル含有水を通過させる方法が挙げられる。また、図3および図4に示すように、後述のマイクロバブル含有水が流入する水槽に、上記銀イオン発生部を設置することも可能である。このように、銀イオン発生部は、銀含有材料から溶出した銀イオンがマイクロバブル含有水に混合されるように構成される。
上記銀イオン発生部において、銀イオンは水またはマイクロバブル含有水に銀含有材料が接触すればよい。マイクロバブルの表面は帯電しており、マイクロバブル含有水は導電性がよいので、図1に示す実施態様のようにマイクロバブル含有水が銀イオン発生部を通過するような場合に、マイクロバブル含有水との接触による銀イオン発生部に備えた銀含有材料からの銀イオンの自然溶出が促進されるため、より短時間での抗菌効果が得られる。
銀イオン発生部に水またはマイクロバブル含有水を直接流入させる場合には、水またはマイクロバブル含有水の流速は、銀イオンを溶出させ得るならば特に制限されるものではないが、0.1l/min〜100l/minとすることが好ましく、0.5l/min〜10l/minであるのがより好ましい。上記水またはマイクロバブル含有水の流速が0.1l/min未満である場合には、バブル発生量が少なくなる傾向にあり、また100l/minを超える場合には、大型ポンプが必要となり、装置動作時に発生するコスト的な問題、またはスペース的な問題が生じる使用環境制限が出てくる傾向がある。
本発明の抗菌水生成装置において、銀イオン発生部は図1〜図4に示すように、少なくとも1個設けられるものである。銀イオン発生部は複数個設けられてもよく、銀イオンの発生効率の点からは2〜3個設けられることが好ましい。複数個の銀イオン発生部が設けられる場合、たとえば、図1および図2に示すように、銀イオン発生部を形成した管路をマイクロバブル発生部と水槽との間に連続して複数設けてもよいし、複数個の銀イオン発生部の一部または全部を水槽内に設けてもよい。銀イオン発生部を複数個設けることで、水またはマイクロバブル含有水との接触により溶出される銀イオンの濃度を高くすることができ、抗菌効果を増加できるなどの利点がある。
銀イオン発生部が図1に例示するように管路として設けられる場合は、管路に直接銀含有材料を設置し、銀イオン発生部からの銀イオンを含む水またはマイクロバブル含有水の流出口を網目状のフィルタなどを設ければよい。
また、銀イオン発生部を水槽内に設ける場合、銀イオン発生部は、たとえば銀含有材料を網目状のプラスチック容器に入れた構造とすることができる。またこの場合、マイクロバブル発生部と水槽との間には、銀イオン発生部に換えて通常の管路(たとえば図3の管路315)が設けられ、マイクロバブル発生部で発生させたマイクロバブル含有水が、直接当該通常の管路を通過して水槽内に注ぎ込まれるように構成とすることができる。上記プラスチック容器の網目の大きさなどは特に限定されず、銀含有材料自体が容器内に保持され、銀イオンが溶出するものであれば、いずれの形状も採用することができる。また、プラスチック容器それ自体の形状構造も特に限定されるものではない。
本発明の抗菌水生成装置において、銀イオン発生部は、図1〜図4に示す例のように装置と一体的に設けられていてもよいが、図5に示す例のように装置とは別体として設けられていてもよい。この場合、マイクロバブル発生部は、蛇口取り付け口を介して水道蛇口から水が流入されるよう構成される代わりに、別体として設けられた銀イオン発生部で生成された銀イオン水を注入するための注入口516がマイクロバブル発生部503に設けられている。このような構成でも、溶存酸素を高めたマイクロバブルを含む銀イオン水を生成することができる。この場合、銀含有材料を用いて作製された銀イオン発生部に水を接触させて銀イオンを溶出させて得た銀イオン水などを注入することができる。この場合、高濃度の銀イオン水が作製でき、抗菌効果の高いマイクロバブル含有高濃度銀イオン水を容易に生成することができるという利点がある。
<銀含有材料>
銀イオン発生部に用いられる上記銀含有材料としては、水またはマイクロバブル含有水との接触により銀イオンを溶出し得るような材料であれば特に制限されるものではなく、従来公知の適宜の材料を挙げることができる。入手が容易であり、また銀イオンの溶出効率に優れる点から、銀ゼオライト、銀含有水溶性ガラス、銀含有セラミックスおよび銀化合物微粒子(銀化合物ナノ粒子)からなる群より選ばれる少なくとも1の材料を含むことが好ましい。本発明における銀化合物微粒子としては、たとえば、硝酸銀が挙げられる。
上記銀含有材料を複数組み合わせて用いる場合、それらの組み合わせおよび配合比等は特に限定されるものではなく、所望の銀濃度で銀イオンの溶出させるよう適宜調整して用いることができる。これらの銀含有材料のなかでも、反応性の高い銀イオンを安定した状態でその系内に保持することができ、また、水またはマイクロバブル含有水と接触させた際の銀イオンの流出効率が良好であることから、特に銀ゼオライトを用いることが好ましい。
上記銀含有材料の形状は特に限定されるものではなく、公知の製造方法で得られる粒子を適宜選択し使用すればよい。
<銀イオン>
本発明において得られるマイクロバブル含有銀イオン水における銀イオンは、その濃度が(銀濃度)好ましくは1〜6000ppbであり、より好ましくは10〜100ppbである。銀濃度が1ppb未満の場合には、抗菌効果が得られない傾向にあり、また、銀濃度が6000ppbを超える場合は、銀イオンが水道水中の塩化物イオンと反応し、抗菌効果を下げる傾向にある。マイクロバブル含有銀イオン水中の銀濃度は、たとえば日立製作所製の原子吸光度計、Z−5010を用いて測定することができる。
<光照射部>
本発明における抗菌水生成装置において、銀イオンの抗菌効果は、上述のようにその媒体(例えば水やマイクロバブル含有水など)に含まれる溶存酸素濃度の高さに比例することを利用したものである。この抗菌効果は、本発明の抗菌水生成装置における光照射部113により、マイクロバブル含有銀イオン水に光照射することによりさらに向上させることができる。この抗菌効果の向上は、最近の本発明者らによる実験結果からの知見に基づくものである。該実験結果は、具体的には、菌体として大腸菌をモデルとして、銀イオンの抗菌効果における溶存酸素濃度依存性および光照射有無を確認した結果である。該実験結果の詳細は実験例として後述する。この銀イオンの抗菌効果の溶存酸素濃度依存性および光照射有無を示すメカニズムの詳細は不明であるが、金属イオンの触媒作用による極微量の活性酸素の発生や、溶存酸素の光反応による抗菌作用の高いオゾンの発生が銀イオン抗菌作用の向上に寄与している可能性がある。つまり、銀イオンと菌体とが接触することで銀イオンが菌体に取り込まれて起こる抗菌作用と、さらに上述のマイクロバブル含有銀イオン水中の銀イオンにより活性酸素種が生成し、溶存酸素がオゾンに変化し、抗菌作用を捕捉する可能性が考えられる。
ここで、本発明においては上記光照射部において光照射されたマイクロバブル含有銀イオン水を抗菌水と称する。
本発明の抗菌水生成装置における光照射部としては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを適宜用いることができ、具体的には、LEDなどの固体照明や蛍光灯、電球、ブラックライトのような管球などを挙げることができる。光照射部113から照射される光の波長は、254〜600nmの範囲とすることが好ましく、254〜400nmの範囲とすることが特に好ましい。600nmを越える波長では、殺菌効果の低下が起こる虞があるためである。
照射の強度は1〜100mWであることが好ましく、1〜50mWであることが特に好ましい。1mW未満の強度では、光照射部としての効果を生じない虞があり、100mWを越える強度では、消費電力の観点から好ましくない。
上記光照射部の配置は、マイクロバブル含有銀イオン水に光照射が可能な装置上の配置であれば、特に限定されず、たとえば、上記水槽内の上部に設けたり、水槽外部に別体として設けたりすることができる。このように、本発明の抗菌水生成装置により、マイクロバブル発生部においてマイクロバブルを発生することによりマイクロバブル含有水を製造する工程、銀イオン発生部において水またはマイクロバブル含有水と銀含有材料との接触により銀イオンを溶出させる工程、および光照射部において上記マイクロバブル含有水と上記銀イオンとを含むマイクロバブル含有銀イオン水に光照射する工程を少なくとも経ることにより抗菌水を生成することができる。
本発明の抗菌水生成装置は、ユニット化されて洗濯機、食器洗浄器などの公知の適宜の製品に搭載することもできる。当該ユニットは、適用する製品に応じて適宜変更することができる。たとえば、洗濯機に搭載する場合、給水口と洗濯槽との間に設置することが考えられる。このように製品に搭載するユニット化された抗菌水生成装置は、一定期間使用した後に交換可能であるように実現されることが好ましい。
以下、実施例、比較例および実験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
図1に示した例の本発明の抗菌水生成装置100を用いて、光照射したマイクロバブル含有銀イオン水(抗菌水)を製造した。本実施例においては、光照射部113としてナイトライドセミコンダクター社製LEDを用い、予め365nm、照射強度50mWの条件で光照射しておく。
まず、マイクロバブル発生部103として三方弁からなるアスピレータを取り付け、一方から水道水を5l/minの流速で流し込み、他方から、多孔質フィルタ109(ハニセラム、日本ガイシ製;1インチ四方あたりに1cm口の細孔が600個形成されたもの)を介してコンプレッサ108により0.1MPaの圧縮空気を1ml/minの速度で流し込んだ。
このような構成により、マイクロバブル発生部103内で、水道水と圧縮空気とが混合され、溶存酸素濃度の高いマイクロバブルを含む水(マイクロバブル含有水)が生成される。
次に、このマイクロバブル含有水を、管路の内壁に全体に銀ゼオライト(エヌ・エフ・ジー製)100gを50mmの厚みの層として形成した銀イオン発生部102を5l/minの流速で通過させてマイクロバブル含有銀イオン水として水槽104内に流入させた。次いで、上記のように予め作動させた光照射部113のLEDにより356nm、照射強度50mWの条件で光照射して、抗菌水を生成した。このようにして得られた抗菌水について、原子吸光度計(日立製作所製、Z−5010)を用いて測定した銀濃度は100ppbであった。また、デジタルマイクロスコープを用いて500倍で観察したところ、マイクロバブルの発生頻度は単位体積あたり0.3〜0.4%であり、マイクロバブルの直径は20〜50μmであった。
<実施例2>
図2に示した例の本発明の抗菌水生成装置200を用いて、光照射したマイクロバブル含有銀イオン水(抗菌水)を製造した。まず、光照射部213としてLED(ナイトライドセミコンダクター社製、365nm)を用い、照射強度50mWにして照射し、マイクロバブル発生部203(最も単純には水道水に三方弁からなるアスピレータを取り付けることで作成され、この場合アスピレータがマイクロバブル発生部に該当する)に三方弁からなるアスピレータを取り付け、一方から水道水を5l/minの流速で流し込み、他方からコンプレッサ208より0.1MPaの圧縮空気を、多孔質フィルタ209(ハニセラム、日本ガイシ製;1インチ四方あたりに1cm口の細孔が600個形成されたもの)を介して1ml/minの速度で流し込んだ。このような構成により、マイクロバブル発生部203内で、水道水と圧縮空気とが混合され、溶存酸素濃度の高いマイクロバブル含有水が生成される。このマイクロバブル含有水を、実施例1と同様に管路の内壁に銀ゼオライトを設置して形成した銀イオン発生部202を流速5l/minで通過させて水槽204内に流入させ、約2分後、マイクロバブル含有銀イオン水が水槽204に循環機構として設けられた循環ポンプの入り口に覆うくらいに供給された後、フローセンサにより循環ポンプのスイッチが入った。5〜30分間循環させた後、マイクロバブル含有銀イオン水を生成した。これらの発生したマイクロバブル含有銀イオン水は、順次光照射部により光照射され抗菌水となる。このようにして得られた抗菌水について、原子吸光度計(日立製作所製、Z−5010)を用いて測定された銀濃度は100ppbであった。また、実施例1と同じ条件でデジタルマイクロスコープを用いた観察により測定されたマイクロバブルの発生頻度は0.3〜0.4%であり、バブル径は20〜50μmであった。
<実施例3>
図3に示した例の本発明の抗菌水生成装置300を用いて、光照射したマイクロバブル含有銀イオン水(抗菌水)を製造した。まず、光照射部313に設置したLED(ナイトライドセミコンダクター社製、365nm)を照射強度50mWにして照射し、マイクロバブル発生部303(最も単純には水道水に三方弁からなるアスピレータを取り付けることで作成され、この場合アスピレータがマイクロバブル発生部に該当する)に三方弁からなるアスピレータを取り付け、一方から水道水を5l/minの流速で流し込み、他方からコンプレッサ308より0.1MPaの圧縮空気を、多孔質フィルタ309(ハニセラム、日本ガイシ製;1インチ四方あたり1cm口の細孔が600個形成されたもの)を介して1ml/minの速度で流し込んだ。このような構成により、マイクロバブル発生部303内で、水道水と圧縮空気とが混合され、溶存酸素濃度の高いマイクロバブルを含む水が生成される。
水槽304の底面部分に銀ゼオライト100gを網目状のプラスチック容器内に収容して作製された銀イオン発生部302を設け、得られたマイクロバブル含有水を流入させ、5〜30分間攪拌した後、マイクロバブル含有銀イオン水を生成した。この生成したマイクロバブル含有銀イオン水は、上述の光照射部313による光照射により順次抗菌水となる。このようにして得られた抗菌水について、原子吸光度計(日立製作所製、Z−5010)を用いて測定された銀濃度は100ppbであった。また、実施例1と同条件でデジタルマイクロスコープを用いた観察により測定されたマイクロバブルの発生頻度は0.3〜0.4%であり、バブル径は20〜50μmであった。
<実施例4>
図4に示した例の本発明の抗菌水生成装置400を用いて、光照射したマイクロバブル含有銀イオン水(抗菌水)を製造した。まず、光照射部413にLED(ナイトライドセミコンダクター社製、365nm)を備え、照射強度50mWにして照射し、マイクロバブル発生部403(最も単純には水道水に三方弁からなるアスピレータを取り付けることで作成され、この場合アスピレータがマイクロバブル発生部に該当する)に三方弁からなるアスピレータを取り付け、一方から水道水を5l/minの流速で流し込み、他方からコンプレッサ408より0.1MPaの圧縮空気を、多孔質フィルタ409(ハニセラム、日本ガイシ製;1インチ四方当たり1cm口の細孔が600個形成されたもの)を介して1ml/minの速度で流し込んだ。このような構成により、マイクロバブル発生部403内で、水道水と圧縮空気とが混合され、溶存酸素濃度の高いマイクロバブル含有水が生成される。このマイクロバブル含有水を、実施例3と同様に銀ゼオライトを網目状のプラスチック容器内に収容して作製された銀イオン発生部402を底面部分に設けた水槽404内に流入させ、約2分後、マイクロバブルを含む銀イオン水が水槽に循環機構として設けられた循環ポンプの入り口に覆うくらいに供給された後、フローセンサにより循環ポンプのスイッチが入った。5〜30分間循環させた後、マイクロバブル含有銀イオン水を生成した。この生成したマイクロバブル含有銀イオン水は、上述の光照射部413による光照射により順次抗菌水とされる。このようにして得られた抗菌水について、原子吸光度計(日立製作所製、Z−5010)を用いて測定された銀濃度は100ppbであった。また、実施例1と同様にデジタルマイクロスコープを用いた観察により測定されたマイクロバブルの発生頻度は0.3〜0.4%であり、バブル径は20〜50μmであった。
<実施例5>
図5に示した例の本発明の抗菌水生成装置500を用いて、光照射したマイクロバブル含有銀イオン水(抗菌水)を製造した。まず、光照射部513にLED(ナイトライドセミコンダクター社製、365nm)を取り付け、照射強度50mWにして照射した。
別体に設けられた銀ゼオライトを用いて作製された銀イオン発生部502に水を接触させて銀イオンを溶出させて得た銀イオン水を、注入口516よりマイクロバブル発生部503に注入した。水槽内の循環ポンプの入り口に覆うくらいに供給された後、フローセンサにより循環ポンプのスイッチが入った。5〜30分間循環させた後、マイクロバブル含有銀イオン水を生成した。この生成したマイクロバブル含有銀イオン水は、上述の光照射部513による光照射により順次抗菌水とされる。このようにして得られた抗菌水について、原子吸光度計(日立製作所製、Z−5010)を用いて測定された銀濃度は200ppbであった。また、実施例1と同じ条件で、デジタルマイクロスコープを用いた観察により測定されたマイクロバブルの発生頻度は0.3〜0.4%であり、バブル径は20〜50μmであった。
<参考例1>
水道水の入った容器内で2枚の銀プレートの電極間に50Vの電界をかけ20mAの電流を得るように電気分解を2分間行ない、銀イオン水を別途生成させた。このようにして得られた銀イオン水を、図5に示した例の構成を有する抗菌水生成装置500の注入口516よりマイクロバブル発生部503に注入した。水槽内の循環ポンプの入り口に覆うくらいに供給された後、フローセンサにより循環ポンプのスイッチが入った。5〜30分間循環させた後、マイクロバブル含有銀イオン水を生成した。この生成したマイクロバブル含有銀イオン水は、上述の光照射部513による光照射により順次抗菌水とされる。このようにして得られた抗菌水について、原子吸光度計(日立製作所製、Z−5010)を用いて測定された銀濃度は200ppbであった。また、デジタルマイクロスコープを用いた観察により測定されたマイクロバブルの発生頻度は0.3〜0.4%であり、バブル径は20〜50μmであった。
<比較例1>
マイクロバブルを発生させなかった以外は実施例1と同様にして、銀ゼオライトからの銀イオン溶出により、マイクロバブルを含まない銀イオン水(銀濃度:50ppb)を生成した。
<比較例2>
マイクロバブルを発生させなかった以外は実施例2と同様にして、銀ゼオライトからの銀イオン溶出により、マイクロバブルを含まない銀イオン水(銀濃度:50ppb)を生成した。
<比較例3>
マイクロバブルを発生させなかった以外は実施例3と同様にして、銀ゼオライトからの銀イオン溶出により、マイクロバブルを含まない銀イオン水(銀濃度:50ppb)を生成した。
<比較例4>
マイクロバブルを発生させなかった以外は実施例4と同様にして、銀ゼオライトからの銀イオン溶出により、マイクロバブルを含まない銀イオン水(銀濃度:50ppb)を生成した。
<比較例5>
実施例5と同様に装置とは別体に設けられた銀ゼオライトを用いて、200ppbの銀イオン水を生成した。
<比較例6>
CO2雰囲気の中、120℃、15分間、1気圧の高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)処理を行なった水道水を用いて、比較例1と同様の操作で銀イオン水を生成した。
<比較例7>
CO2雰囲気の中、120℃、15分間、1気圧の高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)処理を行なった水道水を用いて、比較例2と同様の操作で銀イオン水を生成した。
<比較例8>
CO2雰囲気の中、120℃、15分間、1気圧の高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)処理を行なった水道水を用いて、比較例3と同様の操作で銀イオン水を生成した。
<比較例9>
CO2雰囲気の中、120℃、15分間、1気圧の高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)処理を行なった水道水を用いて、比較例4と同様の操作で銀イオン水を生成した。
<比較例10>
CO2雰囲気の中、120℃、15分間、1気圧の高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)処理を行なった水道水を用いて、比較例5と同様の操作で銀イオン水を生成した。
<実験例1>
光照射した銀イオン効果における溶存酸素濃度の依存性を確認する目的で、マイクロバブルによる高い溶存酸素濃度を有する銀イオン水、通常の好気性環境における銀イオン水、嫌気性環境における銀イオン水について、銀イオンによる抗菌効果の溶存酸素濃度依存性を確認した。
実施例1、比較例1、6でそれぞれ得られた抗菌水および銀イオン水について、溶存酸素濃度をウインクラー(アジ化ナトリウム)法にて測定した。この方法は、試料水に硫酸マンガン溶液と水酸化ナトリウム溶液を加え、水酸化マンガン(II)の沈殿を生成させ、その沈殿のマンガンが、水中の溶存酸素と反応して溶存酸素に対応する量だけ酸化される。
溶存酸素と反応しない場合:Mn2 ++2OH-→Mn(OH)2(白色沈殿)
溶存酸素と反応する場合:Mn(OH)2+1/2O2→Mn(OH)2(褐色沈殿)
この沈殿をヨウ素イオンの存在下で酸を加えて溶解すると、溶存酸素量に対応してヨウ素を遊離するので、遊離したヨウ素をチオ硫酸ナトリウムで滴定し、定量することで溶存酸素濃度を求める。
MnO(OH)2+2I-+4H+→Mn2 ++I2+3H2
2+2S23 2-→2I-+S4O6 2-
上記方法による結果、実施例1で得られたマイクロバブルを含む銀イオン水の溶存酸素濃度は10.4mg/lであり、これを高好気性環境銀イオン水とした。また、比較例1で得られたマイクロバブルを含まない銀イオン水の溶存酸素濃度は6.67mg/lであり、これを好気性環境銀イオン水とした。なお、比較例6の水は、参照用の嫌気性環境とするため、水面に流動パラフィンを10mm敷き詰め、外気遮断後、再度オートクレーブ処理を行ない、直ちに急冷し、そのままCO2でパージした容器の中に移動させた後に、溶存酸素濃度を測定するようにした。結果、溶存酸素濃度は1.98mg/lであった。
実施例1、比較例1、6で得られた水について、大腸菌をモデルとして用いて、37℃で24時間インキュベート後平板寒天培地上に形成されるコロニー数から菌の生存の様子を観察することで、抗菌作用を評価した。結果を表1に示す。表1に示すように、銀イオン水は、溶存酸素濃度の高さに比例して、高い抗菌効果を示すことが分かる。実施例2〜4、比較例2〜4、7〜9も表1の結果と同じく、溶存酸素濃度の高さに比例して、高い抗菌効果を示した。
Figure 0004660516
表1において、「高好気性」、「好気性」、「嫌気性」は、それぞれ高好気性環境銀イオン水、好気性環境銀イオン水、嫌気性環境銀イオン水のことであり、順に実施例1、比較例1、比較例6で得られたものに対応する。
実施例2〜5、比較例2〜5、および比較例7〜10で得られた水について実験例1と同様に実験を行なった。各水の溶存酸素濃度は、実施例2〜5は10.1〜10.8mg/l、比較例2〜5は6.69〜7.4mg/l、比較例7〜10は1.9〜2.28mg/lを示す結果が得られ、表1と同様に、銀イオン水は溶存酸素濃度の高さに比例して、高い抗菌効果を示すことが分かった。また、実施例5、比較例5、比較例10については、菌数を増やして実験を行なった。結果を表2に示す。
Figure 0004660516
表2において、「高好気性」、「好気性」、「嫌気性」は、表1と同様それぞれ高好気性環境銀イオン水、好気性環境銀イオン水、嫌気性環境銀イオン水のことであり、順に実施例5、比較例5、比較例10で得られたものに対応する。
<比較例11>
光照射しない他は実施例1と同様にして、マイクロバブルを含む銀イオン水を生成した。
<比較例12>
光照射しない他は実施例2と同様にして、マイクロバブルを含む銀イオン水を生成した。
<比較例13>
光照射しない他は実施例3と同様にして、マイクロバブルを含む銀イオン水を生成した。
<比較例14>
光照射しない他は実施例4と同様にして、マイクロバブルを含む銀イオン水を生成した。
<比較例15>
光照射しない他は実施例5と同様にして、マイクロバブルを含む銀イオン水を生成した。
<比較例21>
光照射しない他は比較例1と同様にして、マイクロバブルを含まない銀イオン水を生成した。
<比較例22>
光照射しない他は比較例2と同様にして、マイクロバブルを含まない銀イオン水を生成した。
<比較例23>
光照射しない他は比較例3と同様にして、マイクロバブルを含まない銀イオン水を生成した。
<比較例24>
光照射しない他は比較例4と同様にして、マイクロバブルを含まない銀イオン水を生成した。
<比較例25>
光照射しない他は比較例5と同様にして、マイクロバブルを含まない銀イオン水を生成した。
<実験例2>
実施例1、比較例1、11、21で得られた各水を用いて、抗菌作用試験を行なった。まず、培養したクロカワカビにそれぞれ0、10分、1時間、24時間作用させた。その後、平板寒天培地法で菌数を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0004660516
表3に示されるように、抗菌効果の高かったものは、光照射済みマイクロバブル含有銀イオン水(抗菌水)(実施例1)、マイクロバブル含有銀イオン水(比較例11)の順となり、光照射済み銀イオン水(比較例1)、銀イオン水(比較例21)は同程度の結果となった。
実施例5については、菌数を増やして実験を行ない、初期の菌数にあわせた後、実施例5、比較例5、比較例15、比較例25で得られた水について実験例2と同様に実験を行なったが、表3と同様に、光照射済みマイクロバブル含有銀イオン水(実施例5)、マイクロバブル含有銀イオン水(比較例15)の順で抗菌効果が高く、光照射済み銀イオン水(比較例5)、銀イオン水(比較例25)は同程度の結果が得られた。結果を表4に示す。
Figure 0004660516
今回開示された実施の形態、実施例および比較例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本発明により、人体にとって安全性の高い銀イオンを応用した抗菌技術が開発され、さらに、マイクロバブルを水中で発生させることで、溶存酸素濃度の高い銀イオン水が作製され、銀イオン、マイクロバブルのみでは殺菌できない微生物への殺菌効果を高めることができる。また、従来にはなかった高い抗菌作用を、電気分解を用いないことで消費電力を抑えることを可能とした銀ゼオライトに代表される銀イオン発生機構を用いた銀イオン水が作製される。そして、光照射をもおこなうことで溶存酸素の一部がオゾンに変化し、抗菌効果の高いマイクロバブルを含む銀イオン水となる。これらの技術を応用して、銀イオン水とマイクロバブル供給装置と光照射部とを備えた銀イオン水抗菌水生成装置が開発される。
本発明の第1の実施態様の抗菌水生成装置100を模式的に示す図である。 本発明の第2の実施態様の抗菌水生成装置200を模式的に示す図である。 本発明の第3の実施態様の抗菌水生成装置300を模式的に示す図である。 本発明の第4の実施態様の抗菌水生成装置400を模式的に示す図である。 本発明の第5の実施態様の抗菌水生成装置500を模式的に示す図である。
符号の説明
100,200,300,400,500 抗菌水生成装置、102,202,302,402,502 銀イオン発生部、103,203,303,403,503 マイクロバブル発生部、104,204,304,404,504 水槽、105,205,305,405,505 取り出し口、106,206,306,406,506 蛇口取り付け口、107,207,307,407,507 水道蛇口、108,208,308,408,508 コンプレッサ、109,209,309,409,509 多孔質フィルタ、110,310 攪拌部、212,412,512 循環機構、113,213,313,413,513 光照射部、214,315,414,415,514,515 管路。

Claims (12)

  1. マイクロバブルを発生することによりマイクロバブル含有水を製造するマイクロバブル発生部と、
    水またはマイクロバブル含有水と銀含有材料との接触により銀イオンを溶出させる銀イオン発生部と、
    前記マイクロバブル含有水と前記銀イオンとを含むマイクロバブル含有銀イオン水に光照射する光照射部と、を少なくとも備える抗菌水生成装置。
  2. 前記銀含有材料は、銀ゼオライト、銀含有水溶性ガラス、銀含有セラミックスおよび銀化合物微粒子からなる群より選ばれる少なくとも1の材料を含む請求項1に記載の抗菌水生成装置。
  3. 前記銀イオン発生部は、マイクロバブル含有水と銀含有材料との接触により銀イオンを溶出させる請求項1または2に記載の抗菌水生成装置。
  4. 前記銀イオン発生部は、マイクロバブル発生部の下方に設けられる請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌水生成装置。
  5. 前記銀イオン発生部は、複数個設けられる請求項1〜4のいずれかに記載の抗菌水生成装置。
  6. 前記抗菌水生成装置は、前記マイクロバブル発生部で発生したマイクロバブル含有水を収容するための水槽をさらに備える請求項1〜5のいずれかに記載の抗菌水生成装置。
  7. 前記銀イオン発生部は、前記水槽内の底面部分に設けられる請求項6に記載の抗菌水生成装置。
  8. 前記銀イオン発生部は、前記水槽内の側面部分に設けられる請求項6に記載の抗菌水生成装置。
  9. 前記抗菌水生成装置は、前記水槽内に攪拌部を備える請求項6〜8のいずれかに記載の抗菌水生成装置。
  10. 前記抗菌水生成装置は、前記水槽内のマイクロバブル含有銀イオン水を前記マイクロバブル発生部に循環させる循環機構を備える、請求項6〜8のいずれかに記載の抗菌水生成装置。
  11. 前記光照射部は、前記水槽内に設けられる請求項6〜9のいずれかに記載の抗菌水生成装置。
  12. 前記マイクロバブル発生部で発生させたマイクロバブルは、水中の溶存酸素濃度を高める効果を持つ請求項1〜11のいずれかに記載の抗菌水生成装置。
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