JP4660057B2 - カートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケース内に記録媒体を収容し、該記録媒体への記録可能状態、記録不能状態を切り替えるライトプロテクト機能を備えたカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータ等の外部記録媒体として、記録媒体をケース内に収容したカートリッジが用いられている。具体的には、カートリッジは、上ケースと下ケースとが互いに周壁を突き当てて中空に形成されたケース内に、リールに巻装された記録テープや円板状のディスクメディア等の記録媒体を回転可能に収容して構成されている。
【0003】
このようなカートリッジでは、記録媒体に記録されたデータの誤消去を防止するためのライトプロテクト部が設けられている。ライトプロテクト部としては、例えば、ケースのドライブ装置への装填側と反対側の後壁を貫通する操作孔と、下ケースの底板を貫通して設けられた透孔と、操作孔から露出した操作部がケースの外側から操作されることによって底板に沿って移動し透孔(透孔が長孔である場合は該長孔の一端部)を開閉する切替部材とを備えた構成が知られている。
【0004】
すなわち、ライトプロテクト部では、例えば切替部材が透孔を閉塞した状態でドライブ装置による記録媒体(磁気テープ等)への記録不能状態となり、切替部材が透孔を開放した状態でドライブ装置による記録媒体への記録可能状態となることで、この記録不能状態と記録可能状態と(記録可否)を択一的に切り替えるようになっている。
【0005】
また、ライトプロテクト部は、節度手段を備えている。節度手段は、ケース及び切替部材の何れか一方に設けられた当接部と、他方に設けられ弾性変形可能な節度部とで構成されている。節度部は、切替部材が透孔を閉塞した状態で当接部の一方の面に当接し、切替部材が透孔を開放した状態で当接部の他方の面に当接して切替部材の不用意な移動を阻止すると共に、操作部が操作されたときには当接部との当接状態を維持しつつ弾性変形して操作者に節度感(ノッチ感)を感得させるようになっている。
【0006】
そして、このような節度手段として、切替部材に平面視山形に形成された当接部を設けると共に、上ケースの天板から節度部としての節度ピンを立設させた構成が知られている。この節度手段について図13に基づいて説明する。
【0007】
図13に示す切替部材100は、ケース102の側壁104に設けられた操作孔106に入り込んで外部に露出された操作部108と、該操作部108とは反対側の面から突接された当接部110とを備えている。一方、ケース102の天板からは節度ピン112が下方へ向けて立設されており、節度ピン112の先端は自由状態とされている。また、この切替部材100は、操作部108及び当接部110等を含み樹脂材にて一体成形されている。
【0008】
そして、当接部110と節度ピン112とが節度手段を構成しており、該節度手段は、当接部110を節度ピン112に当接させて配置することで切替部材の不要な移動(記録可否の切替)を規制し、切替部材100がケース102の側壁104及び底板114に沿って移動するときには、当接部110が節度ピン112を弾性変形させつつこれを乗り越えることに伴う節度感を付与するようになっている。
【0009】
この構成では、底板114に沿って移動する切替部材100の移動軌跡に干渉することのない天板から節度ピン112が立設されているため、底板114側に節度部を設ける構成と比較してライトプロテクト部全体としての小型化が図られる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、切替部材に設けられる当接部は、その移動ストロークに亘り節度ピンとの当接状態を維持し、かつ節度ピンよりも高剛性である必要があるため、圧肉部として形成される。このため、切替部材おける当接部の裏面側には樹脂生計に伴うひけ(シンクマーク)等の外観不良が生じる。
【0011】
しかしながら、上記のような従来のカートリッジでは、上記記録可否の少なくとも何れか一方の切替状態において、当接部が切替部材における操作孔から露出される部分からケース内側に向けて突設されていたため、該少なくと一方の切替状態で上記外観不良の部分が操作孔から露出してしまうという問題があった。このため、カートリッジ全体として見栄えが悪化する。
【0012】
本発明は、上記事実を考慮して、切替部材側に当接部を有する節度手段の機能を維持しつつ見栄えの良好なカートリッジを得ることが目的である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係るカートリッジは、互いに対向する天板及び底板と、該天板及び底板の周囲を連結する周壁とを有し、内部に記録媒体を収容したケースと、前記ケースの周壁を貫通して設けられた操作孔と、前記操作孔から外部に露出した操作部を有し、該操作部の操作によって前記ケース内を前記操作孔形成面に沿って移動して、前記記録媒体への情報の記録不能状態と記録可能状態とを択一的に切り替える切替部材と、前記ケース内に立設された節度部と、前記切替部材から突設され前記節度部と当接して配置される当接部とを有し、前記切替部材の移動に伴って前記当接部が前記節度部を弾性変形させて節度感を付与する節度手段と、を備え、前記周壁は、前記天板と底板との対向方向に沿った立壁と、該立壁に対し傾斜されると共に該立壁に対する前記天板と底板との対向方向の一方側に連続して設けられた傾斜壁とを有し、前記操作孔は、前記傾斜壁に設けられており、前記切替部材は、前記周壁の前記立壁及び前記傾斜壁の双方の内面に対し摺動することで、前記記録媒体への情報の記録不能状態と記録可能状態とを択一的に切り替えるようになっており、前記切替部材と前記当接部とは、樹脂にて一体に形成されており、前記当接部は、その背面側にあたる前記切替部材の領域部分が、前記切替部材における前記何れの切替状態においても前記操作孔から露出されない部分に設けられている、ことを特徴としている。
【0014】
請求項1記載のカートリッジでは、ケースの操作孔から露出している切替部材の操作部を操作して切替部材をケース内で操作孔形成面に沿って移動させると、ケース内に収容した記録媒体への記録可能状態と記録不能状態と(記録可否)が択一的に切り替えられる。このとき、節度手段では、切替部材の当接部がケースの節度部に当接しつつ該節度部を弾性変形させ、操作部(切替部材)の操作者に節度感を付与する。
【0015】
ここで、切替部材では、その当接部が、該切替部材における上記記録可否何れの切替状態においてもその裏面側が操作孔から露出されない部分からケース内側へ向けて突設されているため、切替部材における当接部の裏面側が操作孔から外部に露出されることがない。このため、本カートリッジでは、仮に樹脂成形等によって当接部の裏面側にひけ等の外観不良が生じても、この外観不良部分が操作孔から外部に露出されることがなく、見栄えが良好である。
【0016】
なお、操作孔から露出されない部分は、ケースの操作孔形成面に沿うように延設されることが望ましく、この延設部は、切替部材の移動方向に延設されても良く、該移動方向に直交する方向に延設されても良い。
【0017】
このように、請求項1記載のカートリッジでは、切替部材側に当接部を有する節度手段の機能を維持しつつ見栄えが良好である。
【0018】
また、上記目的を達成するために請求項2記載の発明に係るカートリッジは、互いに対向する天板及び底板と、該天板及び底板の周囲を連結する周壁とを有し、内部に記録媒体を収容したケースと、前記ケースを貫通して設けられた操作孔と、前記操作孔から外部に露出した操作部を有し、該操作部の操作によって前記ケース内を前記操作孔形成面に沿って移動して、前記記録媒体への情報の記録不能状態と記録可能状態とを択一的に切り替える切替部材と、前記ケース内に立設された節度部と、前記切替部材から突設され前記節度部と当接して配置される当接部とを有し、前記切替部材の移動に伴って前記当接部が前記節度部を弾性変形させて節度感を付与する節度手段と、を備え、前記周壁は、前記天板と底板との対向方向に沿った立壁と、該立壁に対し傾斜されると共に該立壁に対する前記天板と底板との対向方向の一方側に連続して設けられた傾斜壁とを有し、前記操作孔は、前記傾斜壁に設けられており、前記切替部材は、前記周壁の前記立壁及び前記傾斜壁の双方の内面に対し摺動することで、前記記録媒体への情報の記録不能状態と記録可能状態とを択一的に切り替えるようになっており、前記切替部材と前記当接部とは、樹脂にて一体に形成されており、前記当接部は、該当接部における前記操作部に近い側の端部と、前記操作部における前記当接部に近い側の端部との前記切替部材の移動方向に沿う距離が、該切替部材の移動行程よりも大きくなるように配置されている、ことを特徴としている。
【0019】
請求項2記載のカートリッジでは、ケースの操作孔から露出している切替部材の操作部を操作して切替部材をケース内で操作孔形成面に沿って移動させると、ケース内に収容した記録媒体への記録可能状態と記録不能状態と(記録可否)が択一的に切り替えられる。このとき、節度手段では、切替部材の当接部がケースの節度部に当接しつつ該節度部を弾性変形させ、操作部(切替部材)の操作者に節度感を付与する。
【0020】
ここで、切替部材では、その移動方向において、当接部が、操作部に対しその移動行程(ストローク)よりも大きく離間して配置されているため、換言すれば、それぞれ切替部材に設けられた当接部と操作部とは、上記移動方向に沿った互いに近い方の端部間の間隔が切替部材の移動行程よりも大きく設定されているため、切替部材(操作部)が上記切替可否の何れの移動限に位置しても当接部の裏面側が操作孔から外部に露出されることがない。このため、本カートリッジでは、仮に樹脂成形等によって当接部の裏面側にひけ等の外観不良が生じても、この外観不良部分が操作孔から外部に露出されることがなく、見栄えが良好である。
【0021】
このように、請求項2記載のカートリッジでは、切替部材側に当接部を有する節度手段の機能を維持しつつ見栄えが良好である。
【0022】
請求項3記載の発明に係るカートリッジは、請求項1または請求項2記載のカートリッジにおいて、前記切替部材における前記当接部の裏面側を肉抜き部とした、ことを特徴としている。
【0023】
請求項3記載のカートリッジでは、切替部材における当接部の裏面側を肉抜き部としたため、切替部材には、厚肉部が形成されず、成形時に伴うひけ等の外観不良の発生が防止される。そして、このような肉抜き部が操作孔から露出されることがないので、カートリッジの見栄えも良好である。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態に係る記録テープカートリッジ10について、図1乃至図13に基づいて説明する。まず、記録テープカートリッジ10の概略の全体構成、開口及びドアの構成を説明し、次いで、本発明の要部であるライトプロテクト部60について説明する。なお、説明の便宜上、矢印Aで示す記録テープカートリッジ10のドライブ装置への装填方向を記録テープカートリッジ10の前方向(前側)とし、矢印Aと直交する矢印B、矢印C方向をそれぞれ右方向、左方向とする。
(記録テープカートリッジの全体構成)
図1には記録テープカートリッジ10の全体構成が斜視図にて示されており、図2には記録テープカートリッジ10の概略の分解斜視図が示されている。
【0025】
これらの図に示される如く、記録テープカートリッジ10は、平面視で略矩形状のケース12内に、情報記録再生媒体である記録テープとしての磁気テープTを巻装した単一のリール14を回転可能に収容して構成されている。
【0026】
ケース12は、ドライブ装置への装填方向先頭側の1つの角部である右前角部がそれぞれ切り欠かれた一対の上ケース16と下ケース18とを互いの周壁16A、18Aを突き合せて接合することで構成されており、内部に磁気テープTを巻装したリール14の収容空間が設けられている。そして、上ケース16及び下ケース18の周壁16A、18Aが切り取られた角部が磁気テープTの引き出し用の開口20とされている。開口20及び該開口20を開閉するドア50の詳細構成については後述する。
【0027】
この開口20から引き出される磁気テープTの自由端には、ドライブ装置の引出手段によって係止(係合)されつつ引き出し操作されるリーダピン22が接続されている。リーダピン22の磁気テープTの幅方向端部より突出した両端部には、環状溝22Aが形成されており、この環状溝22Aが引出手段のフック等に係止される。これにより、磁気テープTを引き出す際に、フック等が磁気テープTに接触して傷付けない構成である。
【0028】
また、ケース12の開口20の内側には、ケース12内においてリーダピン22を位置決め、保持する上下一対のピン台24が設けられている。ピン台24は、矢印B方向に開口する半円筒形状をしており、その凹部24Aに直立した状態のリーダピン22の両端部が保持されるようになっている。このピン台24は、後述するリブ44と連設されている。
【0029】
また、ピン台24の近傍には板ばね25が固定配置されており、この板ばね25がリーダピン22の上下端部に係合してリーダピン22をピン台24に保持するようになっている。リーダピン22がピン台24に出入りする際には、板ばね25はアーム部25Aを適宜弾性変形させてリーダピン22の移動を許容する構成である。
【0030】
さらに、下ケース18の中央部には、リール14の図示しないリールギヤを外部に露出するためのギヤ開口26が設けられており、リール14はリールギヤがドライブ装置の駆動ギヤに噛合わされてケース12内で回転駆動されるようになっている。また、リール14は、上ケース16及び下ケース18の内面にそれぞれ部分的に突設されてギヤ開口26と同軸的な円形の軌跡上にある内壁としての遊動規制壁28によってガタ付かないように保持されている。
【0031】
この遊動規制壁28の開口20近傍の端部には、内部に位置規制用孔が形成された袋部28Aが連設されている。また、ケース12の左前角部と遊動規制壁との間に挟まれた空間には、長孔である位置規制用孔が形成された袋部28Bが立設されている。袋部28A、28Bは、矢印B方向に沿った一直線上に配置されている。そして、袋部28Aが連設された端部を除いて、各遊動規制壁28は、それぞれ端部がケース12の周壁16Aまたは周壁18Aと連設されることで、その外側とリール14の設置空間とを仕切っている。
【0032】
また、下ケース18の右後部には、各記録テープカートリッジ10毎に、その各種情報を記憶されたメモリボードMが設置されるようになっており、下面側から読み取るドライブ装置と、背面側から読み取るライブラリ装置での検知が可能となるように、周壁18Aを構成する傾斜後壁18Cの一部が所定角度だけ傾斜され、メモリボードMが所定角度傾斜配置されるようになっている。
(開口及び開口近傍のケースの構成)
上ケース16の底面図である図3及び下ケース18の平面図である図4にも示される如く、開口20の前後の縁部には、それぞれ上下一対のビスボス32、36が設けられている。ビスボス32、36は、図示しない他のビスボスと共に上ケース16と下ケース18とを接合するためのビス止め用とされている。
【0033】
開口20の前縁部に位置するビスボス32は、ケース12の前壁12A(周壁16A、18Aのうち、外面が矢印A方向を向く部分)の右端部、及び該前壁12Aの右端部から開口20の開放面に沿って短く屈曲された上下一対の防塵壁30とそれぞれ連設されている。ビスボス32と防塵壁30との間には後述するドア50の先端部が入り込む凹部30Aが形成されている。
【0034】
一方、開口20の後縁部に位置するビスボス36は、ケース12の右壁12B(周壁16A、18Aのうち、矢印A方向に沿った右側の壁)の前端部が開口20の開放面に略沿って屈曲された屈曲壁38、及び該右壁12Bの内側に設けられた上下一対の円弧壁34の前端部とそれぞれ連設されている。上下の円弧壁34は、それぞれ平面視で後述するドア50の外周面(の移動軌跡)に略対応した円弧状に形成されており、それぞれビスボス36から所定長さだけ後方へ伸び、該後部において短い連結壁34Aを介して右壁12B(周壁16Aまたは周壁18A)に連設されている。
【0035】
また、ケース12の右壁12Bには、ケース12の内外を連通する窓部としての所定長さのスリット40が設けらており、後述するドア50の操作突起52の露出用とされている。スリット40は、右壁12Bを構成する周壁16Aの下部を切り欠いて形成され、上ケース16の屈曲壁38の下部をも切り欠くことで前方へも開口されている。
【0036】
このケース12を構成する上ケース16及び下ケース18には、それぞれドア50をガイドするためのガイド溝42が設けられている。各ガイド溝42は、その溝壁が、それぞれ上ケース16の天板16B、下ケース18の底板18Bから立設されたリブ44、右壁12B(周壁16Aまたは周壁18A)、遊動規制壁28によって構成されることで、それぞれ天板16Bまたは底板18Bを薄肉化することなく形成されている。リブ44はピン台24に連設されている。
【0037】
各ガイド溝42は、凹部30Aを基端としケース12の右後角部まで至る所定の円周に沿った円弧状に形成されており、この所定の円周はビスボス32の外側、ビスボス36の内側、右壁12Bと遊動規制壁28との間を通る(縫う)ように決められている。そして、この所定の円周の中心位置(後述するドア50の回転中心)は、本実施の形態では、その左右方向の位置(座標)がケース12の左端よりも外側に、その前後方向の位置(座標)がリール14の回転中心(遊動規制壁28の軸心)と略一致するように設定されている。
【0038】
また、ガイド溝42の開口20に位置する部分は、リブ44がピン台24の右方において切り欠かれることで凹部24Aと連通されると共に、板ばね25のアーム部25Aが配置されるばね溝45とも連通している。また、ガイド溝42の切欠き部分では、リーダピン22をケース12内に誘い込むテーパ開口20Aがピン台24の凹部24Aに連通している。さらに、リブ44には、テーパ開口20Aの後縁、ビスボス36の前縁、開口20の開放面にそれぞれ沿って形成されたリブ46が連設されており、ケース12の開口20廻りの強度が確保または向上されている。
【0039】
さらに、各ガイド溝42の後半部分を構成するリブ44は、その後端において略U字状に折り返されて閉じている。そして、上ケース16のリブ44は、下ケース18のリブ44よりも後方に長く形成されている。これは、下ケース18の傾斜後壁18C(周壁18A)が所定角度の傾斜面になっており、その右壁12B側に配設したメモリボードMをドア50と干渉させないためである。
【0040】
さらに、後半部分のリブ44の内側部分における長手中央部には、上下一対のばね掛けピン55が設けられている。各ばね掛けピン55は、それぞれ遊動規制壁28に連設されており、下ケース18側が長く形成され、その遊動規制壁28よりも上方に突出した部分に後述するコイルばね56の一端側環状部56Aが引掛けられる構成である。そして、この下ケース18側のばね掛けピン55に上ケース16側の短いばね掛けピン55が突き当てられることで、コイルばね56の脱落が阻止されるようになっている。
【0041】
以上説明した上ケース16と下ケース18とは、互いの周壁16A、18Aを突き当てた状態で、各ビスボス32、36及び他のビスボスに下側から図示しないビスがねじ込まれて固定(接合)されケース12を構成している。そして、開口20は、右前角部が切り欠かれて形成されることで、その開放面が矢印A方向及び矢印B方向に向くため、ドライブ装置の引出手段が、矢印A方向、矢印B方向、或いは矢印A方向と矢印B方向との間からアクセスしてリーダピン22をチャックできる。これにより、リーダピン22を保持するピン台24を設置可能なエリアが広がり、ドライブ装置の引出手段がリーダピン22をチャック可能な領域が広いため、矢印A方向または矢印B方向からチャックするドライブ装置の仕様に合わせてピン台24の設置位置を設定できる。このため、ドライブ装置の設計の自由度も広がる。
(ドアの構成)
以上説明した開口20は、遮蔽部材としてのドア50によって開閉されるようになっている。ドア50は、板厚方向に湾曲され、その平面視における曲率がガイド溝42(所定の円周)の曲率と一致する円弧状に形成されている。また、ドア50は、その前部(少なくとも開口20を閉塞する部分)における板幅(高さ)が開口20の開口高さと略同一に形成された部分が閉塞部50Aとされると共に、閉塞部50Aよりも後側の板幅が若干小さくされた部分が駆動部50Bとされている。
【0042】
このドア50の板長(湾曲した長手寸法)は、開口20の閉塞状態において駆動部50Bの後端部がケース12の右後角部内に位置するように決められている(図5(A)参照)。なお、駆動部50Bの後下部は、下ケース18の傾斜後壁18Cの傾斜面に配設されたメモリボードMを回避するために、斜めに切り欠かれている。
【0043】
このドア50は、その閉塞部50Aの先端部がビスボス32の外側に位置する凹部30Aに入り込んだ状態で開口20を閉塞し(図5(A)参照)、ガイド溝42に沿って略後方へ移動(回動)して開口20を開放し(図5(B)参照)、閉塞部50Aの先端近傍の外周面がビスボス36の内側近傍に達すると開口20を完全に開放する(図5(C)参照)構成である。また、ドア50は、開口20を開放する際と略反対方向に回動して開口20を閉塞するようになっている。
【0044】
このように、ドア50は、その移動軌跡である所定の円周をはみ出すことなく回動して開口20を開閉するように湾曲形成されている。ドア50の回転中心及び半径(ガイド溝42の形状)は、ドライブ装置からの要求により決まる開口20前後の縁部(ビスボス32、36)の位置やライブラリ装置からの要求により決まる開口20の開放面の角度等に応じて適宜決められれば良い。
【0045】
また、ドア50の上下端には、それぞれ上下のガイド溝42に入り込むそれぞれ複数の凸部51が突設されている。各凸部51は、閉塞部50Aと駆動部50Bとで突出高が異なるが、ドア50の幅方向(長手方向に沿った)中心線からそれぞれの頂部までの距離は一定とされている。これにより、上下の凸部51は、ガイド溝42の底部である天板16Bまたは底板18Bと摺動するようになっている。
【0046】
また、各凸部51におけるドア50の板厚方向両側には、その頂部がドア50板厚方向端面に沿う突起51Aが突設されており、ガイド溝42の溝壁(リブ44等)と摺動するようになっている。なお、最前に位置する凸部51は、開口20の開閉過程でガイド溝42と連通するテーパ開口20Aには入り込まないように配置されている。
【0047】
これらの凸部51及び突起51Aによって、ドア50は、開口20を開閉する際に各ガイド溝42にガイドされて上記移動軌跡からはみ出すことなく、ビスボス32の外側及びビスボス36の内側、右壁12Bと遊動規制壁28との間を縫うようにして確実に開動する構成である。
【0048】
このドア50の駆動部50Bの前端(閉塞部50A側)近傍における外周部には、操作部としての操作突起52がドア50の径方向に沿って突設されている。操作突起52は、スリット40からケース12の外側に露出されており、記録テープカートリッジ10のドライブ装置への装填(相対移動)に伴って該スリット40の前方に開口した部分から進入する係合突起88と係合することでドア50を開口20の開放方向に移動させる構成である。
【0049】
また、ドア50の駆動部50Bの後端部には、該ドア50の内面側に向けて略L字状のばね掛け部54が突設されており、ばね掛け部54は上側が自由端とされている。このばね掛け部54には、付勢手段としてのコイルばね56が係止保持用されている。具体的には、コイルばね56の端部にはそれぞれ係止用の環状部56A、56Bが設けられており、環状部56Aはケース12のばね掛けピン55を挿通させてケース12に係止保持され、環状部56Bはばね掛け部54を挿通させてドア50に係止保持される。
【0050】
これにより、ドア50は、コイルばね56の付勢力によって開口20の閉塞方向に付勢され、通常開口20を閉塞する構成である。このコイルばね56は、上記の通りドア50が開口20の閉塞状態でケース12の右後角部に至る長さであるため、該右後角部における遊動規制壁28と周壁16A、18A(傾斜後壁18C)との間の空間を有効利用して配設されている。
【0051】
また、ドア50の閉塞部50A内面には、開口20閉塞時にリーダピン22の上端部側面及び下端部側面に当接するストッパ58が突設されており、落下衝撃等によるリーダピン22のピン台24からの脱落を、確実に防止できるようになっている。
【0052】
以上説明したドア50は、記録テープカートリッジ10がドライブ装置へ装填される動作によって操作突起52がドライブ装置の係合突起88(図5(A)乃至(C)参照)に係合することでコイルばね56の付勢力に抗してケース12に対し移動し開口20を開放し、ドライブ装置から排出される際にはコイルばね56の付勢力によって開口20を閉塞する構成である。
【0053】
そして、円弧状に湾曲形成されたドア50は、その湾曲形状に沿った移動軌跡からはみ出すことなくリール14及びピン台24(リーダピン22)の外側を回り込むように回動して、矢印A方向に対し傾斜した開口20を開閉するようになっており、開口20の開閉に際してケース12の外形領域からはみ出さない構成である。
(ライトプロテクト部の構成)
図6にも示される如く、遊動規制壁28等によって仕切られたケース12の後部における左側(メモリボードM配設側とは反対側)には、ライトプロテクト部60が設けられている。以下、ケース12を構成する周壁16A、18Aのうち、外面が矢印C方向を向く部分を左壁12C、外面が矢印Aとは反対の後方向を向く(傾斜後壁18Cを除く)部分を後壁12Dとして説明する。
【0054】
図4及び図6にも示される如く、ライトプロテクト部60は、下ケース18の傾斜した傾斜後壁18Cを貫通する操作孔62、及び底板18Bを貫通する認識開口64を備えている。
【0055】
操作孔62は、矩形状に形成され、後述する誤消去防止プラグ74の操作突起78が入り込むようになっている。この操作孔62は、傾斜後壁18Cの内面側よりも外面側の方が左右方向に若干広く形成されており、操作突起78を外側から操作しやすい構成とされている。また、操作孔62のケース12内側における右縁は、遊動規制壁28と傾斜後壁18C(周壁18A)とを連結する仕切壁28Cの左端面と略一致している。
【0056】
一方、認識開口64は、操作孔62の前側に左方にオフセットして設けられており、誤消去防止プラグ74の認識部80A(後述)に対応して両端が丸められた長孔とされている。認識開口64の左縁は、ケース12の左後角部に凹部48を形成するための壁部48Aの右(内)端面と略一致している。この壁部48Aと上記仕切壁28Cとが、誤消去防止プラグ74の左右方向の移動を移動限(ストッパ)とされている。
【0057】
また、下ケース18には、ガイド手段を構成するガイド片66、68が設けられている。図7にも示される如く、ガイド片66は、認識開口64の上記丸められた左端のうち前半部分に沿って底板18Bから立設された平面(断面)視円弧状の脚部66Aの上端に設けられており、該認識開口64の前半部分に張り出した(該前半部分を覆う)扇形状に形成されている。すなわち、ガイド片66は、全体として認識開口64に臨み、底板18Bと対向する部分がない構成である。
【0058】
一方、ガイド片68は、認識開口64の長手方向中心線(図示しない)に対しガイド片66と対称に形成されている。すなわち、ガイド片68は、認識開口64の上記丸められた右端のうち前半部分に沿って底板18Bから立設された脚部68Aの上端に設けられ、該前半部分に張り出した扇形状に形成されている。そして、ガイド片68は、全体として認識開口64に臨み、底板18Bと対向する部分がない構成である。
【0059】
これらのガイド片66、68は、誤消去防止プラグ74の上下方向の移動規制(阻止)用とされている。また、ガイド片66、68の間には、誤消去防止プラグ74のアーム部80(後述)の幅Wよりも大きな隙間G(図7参照)が設けられており、該誤消去防止プラグ74組付用とされている。そして、これらのガイド片66、68は、上記の通りそれぞれ認識開口64の縁部に沿って立設された脚部66A、68Aから認識開口64上に張り出して設けられる(全体として認識開口64に臨む)ことで、アンダカット部を設けることなく下ケース18に一体成形することができる。
【0060】
また、図3及び図8にも示される如く、ライトプロテクト部60は、ガイド手段を構成するガイド壁70を備えている。ガイド壁70は、上ケース16の天板16Bから後壁12Dと略平行に立設されており、該上ケース16の仕切壁28Cが基端とされると共に壁部48Aに対応する位置が終端とされている。すなわち、ガイド壁70は、誤消去防止プラグ74の全移動範囲に亘り位置しており、該誤消去防止プラグ74の前後方向及び上下方向の移動規制(阻止)用とされている。
【0061】
さらに、上ケース16の天板16Bからは、本発明における節度手段を構成する節度部としての節度ピン72が一体に立設されている。節度ピン72は、その長さが周壁16Aの高さよりも高い細円柱状に形成されており、その下ケース18内に突出する先端がケース12の左右及び前後に揺動する方向に弾性変形可能とされている。
【0062】
さらにまた、ライトプロテクト部60は、切替部材としての誤消去防止プラグ74を備えている。なお、誤消去防止プラグ74を前後、左右、上下の方向を用いて説明するときは、基本的にケース12への組付状態における各方向に対応している。
【0063】
図9(A)及び図9(B)にも示される如く、誤消去防止プラグ74は、ケース12の後部内面に対応して屈曲された板状の本体部76を備えている。具体的には、本体部76は、底板18Bに沿った下面部76Aと、下面部76Aの後端から傾斜後壁18Cに対応して上方に傾斜(屈曲)して延設された傾斜部76Bと、傾斜部76Bの上後端から後壁12Dに沿って上方に屈曲された背面部76Cとで構成されている。
【0064】
この本体部76の傾斜部76Bの右端部には、その傾斜方向に沿って長手とされた操作部としての操作突起78が突設されている。操作突起78は、誤消去防止プラグ74のケース12への組付状態では、操作孔62に入り込んで外部に露出され、ケース12の外側(傾斜後壁18Cの外面側)から左右方向へ移動操作されるようになっている。
【0065】
また、本体部76の下面部76Aの左端部からは、アーム部80が前方に延設されており、該アーム部80の先端には下方に突出した認識部80Aが設けられている。アーム部80の幅(左右方向の幅)Wは、ガイド片66、68間の隙間Gよりも小で、かつ認識開口64の長さLの半分よりも小とされている(図7参照)。このアーム部80の先端は、認識開口64の丸められた両端部(脚部66A、68Aの内面)に略対応して丸められている。
【0066】
そして、認識部80Aは、アーム部80の先端に対応した短円柱状に形成されており、誤消去防止プラグ74のケース12への組付状態では、認識開口64に入り込むようになっている。この認識部80A(アーム部80)は、詳細は後述するが、その認識開口64における長手方向(左右方向)の位置に応じて、磁気テープTへの情報の記録可否を切り替える構成である。
【0067】
さらに、本体部76における傾斜部76Bと背面部76Cとの角部を跨ぐ前面側からは、ノッチ部82及びガイド部84が前方へ突設されている。ノッチ部82は、その左端が本体部76の左端と一致しており、その右端は本体部76に左右方向中央部に至っている。そして、ノッチ部82の略前半部分は、その先端に向けて縮幅するように平面略視台形(山形)状に形成されおり、その左側がテーパ面82A、その右側がテーパ面82Bとされている。
【0068】
このノッチ部82は、本発明における節度手段を構成する当接部に相当し、誤消去防止プラグ74のケース12への組付状態では、テーパ面82A、82Bの何れか一方の略前半部分において節度ピン72に当接するようになっている。
【0069】
さらにまた、誤消去防止プラグ74におけるノッチ部82の背面(裏面)側には、肉抜き部85が設けられている。肉抜き部85は、傾斜部76B及び背面部76Cにおいてそれぞれ後方及び下方に開口しており、ノッチ部82内に至っている(図6及び図8参照)。これにより、誤消去防止プラグ74には、厚肉部が形成されない構成である。
【0070】
一方、ガイド部84は、本体部76の右端部に位置し、その上端面がノッチ部82の上端面と同位とされ(高さが一致し)ている。そして、誤消去防止プラグ74のケース12への組付状態では、ノッチ部82及びガイド部84の各上端面がそれぞれケース12のガイド壁70の下端面に当接するようになっている。
【0071】
以上説明した誤消去防止プラグ74は、本体部76、アーム部80(認識部80A)、ノッチ部82、ガイド部84が樹脂成形によって一体に形成されており、肉抜き部85を設けることでノッチ部82が厚肉構造とならないため、樹脂成形に伴うひけ(シンクマーク)等の外観不良が生じない構成である。
【0072】
この誤消去防止プラグ74は、ケース12に組み付けられ、ライトプロテクト部60を構成する。具体的には、誤消去防止プラグ74は、図8に示される如く、本体部76が、その下面部76A(アーム部80)、傾斜部76B、背面部76Cをそれぞれケース12の底板18B、傾斜後壁18C、後壁12D(周壁16A、18A)の各内面と摺動可能に接した状態で、操作突起78が操作孔62に入り込むと共に認識部80Aが認識開口64に入り込んでいる。
【0073】
この状態では、図11(A)または図11(B)に示される如く、ガイド壁70の下端面がノッチ部82及びガイド部84の各上端面に摺動可能に略接すると共に、ガイド壁70の後面が背面部76Cの前面と摺動可能に略接しており、かつ節度ピン72がテーパ面82A、82Bの何れか一方に当接している。そして、認識部80Aは、認識開口64の左右何れかの端部に位置しており、アーム部80の上面がガイド片66またはガイド片68に摺動可能に略接している。
【0074】
すなわち、ライトプロテクト部60では、図11(A)及び図12(A)に示される如く、節度ピン72がテーパ面82Bに当接すると共に操作突起78が操作孔62の左端部に位置するときに、認識部80Aが認識開口64の左端部を閉塞するようになっており、図11(B)及び図12(B)に示される如く、節度ピン72がテーパ面82Aに当接すると共に操作突起78が操作孔62の右端部に位置するときに、認識部80Aが認識開口64の右端部を閉塞するようになっている。
【0075】
そして、ライトプロテクト部60では、認識部80Aが認識開口64の右端部を閉塞した(図11(B)及び図12(B)に示す)状態では、磁気テープTへの情報の記録が不能な記録不能状態とされる。具体的には、ドライブ装置では、機械的認識手段の認識ピン(何れも図示省略)が認識部80Aに突き当たるか、光学的認識手段(図示省略)によって認識部80Aを検出するかすると、磁気テープTへの記録不能状態となる。すなわち、誤消去防止プラグ74は、認識部80Aによって認識開口64の右端部を閉塞し、これをドライブ装置に認識させることで、該ドライブ装置による磁気テープTへの情報記録を不能とする構成である。なお、このとき操作孔62は、誤消去防止プラグ74の傾斜部76Bによって閉塞されるようになっている。
【0076】
一方、ライトプロテクト部60では、認識部80Aが認識開口64の左端部を閉塞した(図11(A)及び図12(A)に示す)状態、換言すれば、認識部80Aが認識開口64の右端部を開放した状態では、上記認識ピンまたは光学的認識手段が該認識部80Aを検出しないため、ドライブ装置による磁気テープTへの情報の記録が許容される記録可能状態となる。この状態では、操作孔62は開放されている。
【0077】
このように、誤消去防止プラグ74は、そのアーム部80の認識部80Aが認識開口64の右端部を開閉することで、上記磁気テープTへの記録不能状態と記録可能状態と(記録可否)を択一的に切り替えるようになっている。
【0078】
そして、図10に後壁12D及び傾斜後壁18Cを取り除いた背面図にて示される如く、ライトプロテクト部60では、誤消去防止プラグ74における操作突起78とノッチ部82との左右方向(移動方向)に沿う距離Lが、上記記録可否の切り替えに伴う誤消去防止プラグ74の移動ストロークSよりも大きく設定されている。
【0079】
これにより、誤消去防止プラグ74は、その全移動ストロークに亘り、換言すれば、記録可否の状態の拘わらず、ノッチ部82の背面側部分を操作孔62から露出させないようになっている。なお、ストロークSは、本実施の形態では、認識開口64の長さから認識部80Aの径を差し引いた長さ、または、操作孔62の左右方向の幅から操作突起78の厚みを差し引いた長さに略相当する。
【0080】
また、ライトプロテクト部60では、誤消去防止プラグ74が、操作突起78の操作による左右方向の移動によって、テーパ面82Aまたはテーパ面82Bにおいて当接する節度ピン72を変形させ、該節度ピン72を乗り越えるようになっている。これにより、ライトプロテクト部60では、上記操作を行う使用者にノッチ感(節度感)を感得させると共に、誤消去防止プラグ74の不用意な移動(後述する記録可否の切り替え)を阻止する構成である。
【0081】
さらに、ライトプロテクト部60では、誤消去防止プラグ74は、アーム部80が略接するガイド片66、68及びノッチ部82及びガイド部84の各上端面が略接するガイド壁70によって上方(底板18Bから離間する方向)への移動が規制されると共に、背面部76Cが略接するガイド壁70及び認識部80Aが入り込む認識開口64(アーム部80の先端に対応する脚部66A、68Aの各内面)によって前方への移動が規制されており、上記操作突起78の操作による左右方向の移動のみが許容される(左右方向に案内される)構成である。
【0082】
なお、ケース12に誤消去防止プラグ74を組付ける際には、誤消去防止プラグ74は、アーム部80が一対のガイド片66、68間の隙間Gを通るように(図7参照)、単に底板18Bに向けて下降される。すると、認識部80Aが認識開口に入り込む(挿入される)と共に、アーム部80が認識開口64上に位置する。この状態から下ケース18に上ケース16を取り付けると、誤消去防止プラグ74は、テーパ面82A、82Bの何れか一方に節度ピン72が当接することで、アーム部80がガイド片66またはガイド片68の下側に入り込み(認識部80Aが認識開口64の左右何れかの端部に位置し)、ケース12に対する組付けが完了するようになっている。
【0083】
また、ケース12の後壁12Dの外面(背面)には、ラベルエリア86が凹設されている。ラベルエリア86は、後壁12Dの長手方向略全長に亘る背面視略矩形状に形成され、その略中央部にパーティングラインPLが位置している。そして、ライトプロテクト部60が、その操作孔62を傾斜後壁18Cに設け後壁12Dに露出する部分を有しないため、大面積のラベルエリア86を得ることができる。また、この操作孔62(操作突起78)がケース12の背面側から目視可能であるため、例えば、ケース12を厚み方向に積層した状態やケース12がライブラリ装置等のホルダに収容された状態でも、上記使用者は、操作孔62の開閉状態によって磁気テープTへの記録可否を背面側から確認できる。
【0084】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0085】
上記構成の記録テープカートリッジ10では、ライトプロテクト部60を構成する誤消去防止プラグ74の操作突起78が、必要に応じて使用者により操作され、磁気テープTへの記録可否が切り替えられる。
【0086】
具体的には、磁気テープTへの記録可能状態から記録不能状態に切り替える際には、使用者は操作突起78を操作孔62の左端部から右端部へ移動する。すると、誤消去防止プラグ74が底板18B、傾斜後壁18(操作孔62の形成面)、後壁12Dに沿って右方へ移動し、認識部80Aが認識開口64の右端部を閉塞する。このとき、ノッチ部82が節度ピン72を弾性変形させることで、使用者はノッチ感を感得する。
【0087】
また、この切り替え後にライトプロテクト部60では、誤消去防止プラグ74が、そのノッチ部82(テーパ面82B)と節度ピン72との当接状態を維持しており、その後の不用意な記録可能状態への切り替えが防止される。また、ライトプロテクト部60では、以上と逆の動作をして、磁気テープTへの記録不能状態から記録可能状態に切り替える。
【0088】
そして、誤消去防止プラグ74の認識部80Aが認識開口64の右端部を閉塞した磁気テープTへの記録不能状態では、記録テープカートリッジ10はドライブ装置に装填されても、該ドライブ装置は、上記機械的または光学的認識手段によって該記録不能状態(認識開口64の右端部に位置する認識部80A)を認識し、磁気テープTへの情報の記録不能状態となる。これにより、例えば、磁気テープTへ記録済みの情報が保護される。一方、磁気テープTへ記録された情報の再生は許容されている。
【0089】
また、誤消去防止プラグ74の認識部80Aが認識開口64の右端部を開放した磁気テープTへの記録可能状態では、記録テープカートリッジ10はドライブ装置に装填されると、該ドライブ装置は、上記機械的または光学的認識手段によって該記録不能状態(認識開口の略右半分に位置する認識部80A)を認識せず、磁気テープTへの記録可能状態となる。また、この状態においても、磁気テープTへ記録された情報の再生は許容されている。
【0090】
このドライブ装置内において、記録テープカートリッジ10は、上記装填に伴ってドライブ装置の係合突起88がドア50の操作突起52に係合することでドア50が略後方へ回動して開口20が開放されており、リーダピン22が引出手段によって引き出されてドライブ装置の巻取リールに収容される。この状態で、情報の記録指令がドライブ装置に与えられると、巻取リールとリール14とが同期して回転駆動され、磁気テープTは巻取リールに巻き取られつつケース12から順次引き出される。そして、所定のテープ経路に沿って配設された記録再生ヘッドによって、磁気テープTへの情報の記録が為される。
【0091】
一方、情報の再生指令がドライブ装置に与えられると、上記ライトプロテクト部60の切替状態(磁気テープTへの記録可否)に拘わらず、磁気テープTは、上記磁気テープTへの情報の記録の場合と同様に巻取リールに巻き取られつつケース12から順次引き出され、所定のテープ経路に沿って配設された記録再生ヘッドによって情報の再生が為される。
【0092】
また、磁気テープTの使用後(上記記録または再生の後)は、記録テープカートリッジ10はドライブ装置から排出され、該排出に伴って、ドア50がコイルばね56の付勢力によって開口20を閉塞する。
【0093】
ここで、誤消去防止プラグ74では、そのノッチ部82が、該誤消去防止プラグ74における上記記録可否の切替状態に拘わらず操作孔62から露出されない部分(図10(B)の仮想線Dよりも左側部分)に設けられているため、換言すれば、操作突起78とノッチ部82との移動方向における互いに近い方の端部間距離Lが誤消去防止プラグ74の移動ストロークSよりも大きいため、該誤消去防止プラグ74におけるノッチ部82の背面側が操作孔62から外部に露出されることがない。
【0094】
このため、記録テープカートリッジ10は、仮に誤消去防止プラグ74におけるノッチ部82の背面側に外観不良が生じても、該外観不良部が外部に露出されることはなく、見栄えが良好である。
【0095】
そして、この外部に露出されることのない誤消去防止プラグ74におけるノッチ部82の背面側に肉抜き部85を設けているため、誤消去防止プラグ74では、樹脂成形時のひけ等の発生が防止される。
【0096】
このように、本実施の形態に係る記録テープカートリッジ10では、誤消去防止プラグ74側にノッチ部82を有する節度手段の機能を維持しつつ、該ノッチ部82の背面側部分が外部に露出されず見栄えが良好である。
【0097】
なお、上記の実施の形態では、ケース12が傾斜後壁18Cを有し該傾斜後壁18Cに操作孔62を設けた構成としたが、本発明はこれに限定されず、天板16B及び底板18Bと略直交する後壁や側壁に操作孔62を設けた構成としても良い。すなわち、本発明は、操作孔62がケース12の背面側に位置する構成に限定されることはない。
【0098】
また、上記の実施の形態では、操作突起78とノッチ部82との距離Lがgp74の移動ストロークSよりも大きい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、誤消去防止プラグ74の本体部76における操作孔62よりも上側に位置する背面部76Cのみからノッチ部82を突設することで、該ノッチ部82の背面側を操作孔62から露出させない構成とすることも可能である。
【0099】
さらに、上記の実施の形態では、誤消去防止プラグ74が肉抜き部85を有する好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、誤消去防止プラグ74に肉抜き部85を設けない構成としても良い。また、ライトプロテクト部60は、節度ピン72に代えて平板状の節度部を有しても良く、節度ピン72が下ケース18に設けられても良い。さらに、本発明が誤消去防止プラグ74の形状やケース12に設けられたガイド手段の構成等によって限定されないことは言うまでもない。
【0100】
さらにまた、上記の実施の形態では、本発明におけるカートリッジの実施形態として、磁気テープTを巻装した単一のリールをケース12内に収容した記録テープカートリッジ10を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、本発明におけるカートリッジは、磁気テープTの巻出用及び巻取用の2つのリールをケース12内に収容した所謂2リール式の記録テープカートリッジや、光ディスクや磁気ディスク等の円板状のディスクメディアをケース12内に回転可能に収容したディスクカートリッジにも適用可能である。また、本発明が適用される記録テープカートリッジの構成が上記記録テープカートリッジ10に限定されないことは言うまでもない。
【0101】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るカートリッジは、切替部材側に当接部を有する節度手段の機能を維持しつつ見栄えが良好であるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る記録テープカートリッジの全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る記録テープカートリッジの分解斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る記録テープカートリッジを構成する上ケースの底面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る記録テープカートリッジを構成する下ケースの平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る記録テープカートリッジの開口の開放過程を示す上ケースを取り除いて見た図であって、(A)はドアの操作突起へのドライブ装置の係合突起の係合初期状態を示す平面図、(B)は開口の開放途中を示す平面図、(C)は開口の開放完了状態を示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る記録テープカートリッジのライトプロテクト部を示す上ケースを取り除いて見た平面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る記録テープカートリッジのライトプロテクト部を構成する認識開口及びガイド片とアーム部との寸法関係を示す拡大斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る記録テープカートリッジのライトプロテクト部を示す側面断面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る記録テープカートリッジのライトプロテクト部を構成する誤消去防止プラグを示すであって、(A)は上前側から見た斜視図、(B)は下後側から見た斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る記録テープカートリッジのライトプロテクト部を構成する誤消去防止プラグの要部寸法を示す周壁を取り除いた背面図であって、(A)は磁気テープへの記録可能状態を示す斜視図、(B)は記録不能状態を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る記録テープカートリッジのライトプロテクト部を内側から見た図であって、(A)は磁気テープへの記録可能状態を示す斜視図、(B)は記録不能状態を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る記録テープカートリッジのライトプロテクト部を外側から見た図であって、(A)は磁気テープへの記録可能状態を示す斜視図、(B)は記録不能状態を示す斜視図である。
【図13】従来のライトプロテクト部における節度手段を示す平面断面図である。
【符号の説明】
10 記録テープカートリッジ(カートリッジ)
12 ケース
62 操作孔
72 節度ピン(節度部、節度手段)
74 誤消去防止プラグ(切替部材)
82 ノッチ部(当接部、節度手段)
85 肉抜き部
T 磁気テープ(記録媒体)
Claims (3)
- 互いに対向する天板及び底板と、該天板及び底板の周囲を連結する周壁とを有し、内部に記録媒体を収容したケースと、
前記ケースの周壁を貫通して設けられた操作孔と、
前記操作孔から外部に露出した操作部を有し、該操作部の操作によって前記ケース内を前記操作孔形成面に沿って移動して、前記記録媒体への情報の記録不能状態と記録可能状態とを択一的に切り替える切替部材と、
前記ケース内に立設された節度部と、前記切替部材から突設され前記節度部と当接して配置される当接部とを有し、前記切替部材の移動に伴って前記当接部が前記節度部を弾性変形させて節度感を付与する節度手段と、
を備え、
前記周壁は、前記天板と底板との対向方向に沿った立壁と、該立壁に対し傾斜されると共に該立壁に対する前記天板と底板との対向方向の一方側に連続して設けられた傾斜壁とを有し、
前記操作孔は、前記傾斜壁に設けられており、
前記切替部材は、前記周壁の前記立壁及び前記傾斜壁の双方の内面に対し摺動することで、前記記録媒体への情報の記録不能状態と記録可能状態とを択一的に切り替えるようになっており、
前記切替部材と前記当接部とは、樹脂にて一体に形成されており、
前記当接部は、その背面側にあたる前記切替部材の領域部分が、前記切替部材における前記何れの切替状態においても前記操作孔から露出されない部分に設けられている、
ことを特徴とするカートリッジ。 - 互いに対向する天板及び底板と、該天板及び底板の周囲を連結する周壁とを有し、内部に記録媒体を収容したケースと、
前記ケースを貫通して設けられた操作孔と、
前記操作孔から外部に露出した操作部を有し、該操作部の操作によって前記ケース内を前記操作孔形成面に沿って移動して、前記記録媒体への情報の記録不能状態と記録可能状態とを択一的に切り替える切替部材と、
前記ケース内に立設された節度部と、前記切替部材から突設され前記節度部と当接して配置される当接部とを有し、前記切替部材の移動に伴って前記当接部が前記節度部を弾性変形させて節度感を付与する節度手段と、
を備え、
前記周壁は、前記天板と底板との対向方向に沿った立壁と、該立壁に対し傾斜されると共に該立壁に対する前記天板と底板との対向方向の一方側に連続して設けられた傾斜壁とを有し、
前記操作孔は、前記傾斜壁に設けられており、
前記切替部材は、前記周壁の前記立壁及び前記傾斜壁の双方の内面に対し摺動することで、前記記録媒体への情報の記録不能状態と記録可能状態とを択一的に切り替えるようになっており、
前記切替部材と前記当接部とは、樹脂にて一体に形成されており、
前記当接部は、該当接部における前記操作部に近い側の端部と、前記操作部における前記当接部に近い側の端部との前記切替部材の移動方向に沿う距離が、該切替部材の移動行程よりも大きくなるように配置されている、
ことを特徴とするカートリッジ。 - 前記切替部材における前記当接部の裏面側を肉抜き部とした、ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のカートリッジ。
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