しかしながら、上述した従来の薄型表示シートにおいては、以下の問題点が指摘されている。
(1)磁気ヘッド、磁気ペンの磁気ダイポールの一方を用いるため、磁力を狭い範囲にフォーカスさせることが困難で、この結果、解像度が低いものにしかならない。
(2)狭い範囲で短時間に強磁界を集中させる事が困難なため、ハニカムセル、マイクロカプセルの壁面に磁性粉を密着させることが難しく、コントラストレシオが得られない。
(3)白色液体に懸濁した磁性粉を用いているため、徐々に磁性粉が移動し、表示画像・文字の保存性が悪い。
(4)ダイポールである磁界を利用しているため、クロストークが大きく、文字等のエッジ部の表現が極度に悪くなる。
(5)ハニカムセル、マイクロカプセルの結合部が必ず生ずるため、シャドウ部の濃度を確保することが難しく、濃度を上がらせることができない。
(6)ハニカムセル、マイクロカプセルの大きさに制限があり、これ以上に解像度を上げられない。
(7)ハニカムセル、マイクロカプセルの大きさに制限があり、シートの厚みを余り薄く出来ない。
(8)ハニカムセル、マイクロカプセルの製造工程が単純コーティング作業に比較して、複雑でコスト高になり易い。
この発明は、上述した事情に鑑みなされたもので、この発明の主たる目的は、極めて簡単な構成でありながら、書換可能な状態で確実に画像を表示することのできるリライタブル薄型画像表示シート、画像表示装置、及び、画像表示システムを提供することである。
また、この発明の他の目的は、極めて簡単な構成でありながら、解像度を向上した状態で画像を確実に表示することのできるリライタブル薄型画像表示シート、画像表示装置、及び、画像表示システムを提供することである。
また、この発明の別の目的は、極めて簡単な構成でありながら、厚さを極めて薄くしつつ、画像を確実に表示することのできるリライタブル薄型画像表示シート、画像表示装置、及び、画像表示システムを提供することである。
また、この発明の更なる目的は、極めて簡単な構成でありながら、諧調性を表現した状態で画像を確実に表示することのできるリライタブル薄型画像表示シート、画像表示装置、及び、画像表示システムを提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項1の記載によれば、基層と、この基層と所定間隔を離間して配設された透明層と、前記基層と透明層の間に充填され、磁性粉が分散された媒体であって、前記磁性粉の移動が許容される第1の相及び前記磁性粉の移動が禁止される第2の相との間で相変化可能な媒体とを具備することを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項2の記載によれば、前記媒体は、高温において前記第1の相を呈し、低温において前記第2の相を呈する低温溶融体であることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項3の記載によれば、前記基層は、所定の電気抵抗値を有する抵抗層と、この抵抗層の前記透明層側の表面を覆うように配設された電極層とを備えていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項4の記載によれば、前記電極層は、ベタ電極であることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項5の記載によれば、前記基層は、所定の電気抵抗値を有する抵抗層と、この抵抗層の両面を夫々覆うように配設された一対の電極層とを備え、各電極層は、互いの交点が選択的に通電されるマトリックス状の通電パターンを備え、前記両通電パターンの選択された交点間で規定される前記抵抗層の部分に通電して、該抵抗層の通電部分を選択的に発熱させることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項6の記載によれば、前記抵抗層は、カーボンが分散されて所定抵抗値に調整され、通電により発熱するように形成された合成樹脂製シートを備えていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項7の記載によれば、前記カーボンは、カーボン粒子であることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項8の記載によれば、前記カーボンは、ナノ粒子であることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項9の記載によれば、前記電極層は、金属製電極を備えていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項10の記載によれば、前記金属製電極は、ニッケル製であることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項11の記載によれば、前記基層と透明層との間は、スペーサにより、その間隙を確保されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項12の記載によれば、前記スペーサは、ビーズ状に形成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項13の記載によれば、前記スペーサの粒径は、前記磁性粉の粒径の少なくとも5倍以上となるように設定されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項14の記載によれば、前記基層は、透明層から構成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項15の記載によれば、前記磁性粉は、任意の色に着色されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項16の記載によれば、前記低温溶融体は、60〜120℃の温度範囲で溶融する低融点ワックスを含むことを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項17の記載によれば、前記低温溶融体は、白色に着色され、前記磁性粉は、白色以外の色に着色されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項18の記載によれば、前記磁性粉は、黒色に着色されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項19の記載によれば、前記透明層は、透明樹脂製のフィルムを備えていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項20の記載によれば、前記透明層は、透明樹脂製のフィルムを備えていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項21の記載によれば、前記透明層は、可撓性を有して形成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項22の記載によれば、前記基層と透明層とは、共に可撓性を有して形成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項23の記載によれば、前記磁性粉は、中心核磁性体と、この中心核磁性体の外周を覆うように配設された樹脂製コーティング層とを備えていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項24の記載によれば、前記中心核磁性体は、球状焼結フェライトから構成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項25の記載によれば、前記中心核磁性体は、バインダーで固化した微粉末フェライトから構成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項26の記載によれば、前記中心核磁性体は、粒状焼結フェライトを球状にまとめたものから構成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項27の記載によれば、前記中心核磁性体は、結晶フェライトを球状にまとめたものから構成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項28の記載によれば、前記樹脂製コーティング層が任意の色に着色されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項29の記載によれば、前記樹脂製コーティング層は、ソリッドに形成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項30の記載によれば、前記樹脂製コーティング層は、発泡されて形成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項31の記載によれば、第1の透明層と、この第1の透明層と所定間隔を離間して配設された第2の透明層と、これら第1及び第2の透明層の間に介設され、任意の位置で発熱可能に構成された中間発熱層と、この中間発熱層と第1の透明層の間に充填され、磁性粉が分散された第1の低温溶融体と、前記中間発熱層と第2の透明層との間に充填され、磁性粉が分散された第2の低温溶融体とを具備することを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項32の記載によれば、前記第1の透明層と前記中間発熱層との間、及び、前記第2の透明層と前記中間発熱層との間は、スペーサにより、夫々の間隙を確保されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項33の記載によれば、前記スペーサは、ビーズ状に形成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項34の記載によれば、前記スペーサの粒径は、前記磁性粉の粒径の少なくとも5倍以上となるように設定されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項35の記載によれば、前記磁性粉は、任意の色に着色されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項36の記載によれば、前記低温溶融体は、60〜120℃の温度範囲で溶融する低融点ワックスを含むことを特徴している。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項37の記載によれば、前記低温溶融体は、白色に着色され、前記磁性粉は、白色以外の色に着色されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項38の記載によれば、前記磁性粉は、黒色に着色されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項39の記載によれば、前記第1及び第2の透明層は、夫々、透明樹脂製のフィルムを備えていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項40の記載によれば、前記第1及び第2の透明層は、夫々、可撓性を有して形成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項41の記載によれば、前記磁性粉は、中心核磁性体と、この中心核磁性体の外周を覆うように配設された樹脂製コーティング層とを備えていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項42の記載によれば、前記中心核磁性体は、球状焼結フェライトから構成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項43の記載によれば、前記中心核磁性体は、バインダーで固化した微粉末フェライトから構成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項44の記載によれば、前記中心核磁性体は、粒状焼結フェライトを球状にまとめたものから構成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項45の記載によれば、前記中心核磁性体は、結晶フェライトを球状にまとめたものから構成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項46の記載によれば、前記樹脂製コーティング層が任意の色に着色されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項47の記載によれば、前記樹脂製コーティング層は、ソリッドに形成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シートは、請求項48の記載によれば、前記樹脂製コーティング層は、発泡されて形成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項49の記載によれば、基層と、この基層と所定間隔を離間して配設された透明層と、前記基層と透明層の間に充填され、磁性粉が分散され前記磁性粉の移動が許容される第1の相及び前記磁性粉の移動が禁止される第2の相との間で相変化可能な媒体とを備える画像表示シートに、リライタブルな状態で画像を表示させるための画像表示装置であって、前記画像表示シートの前記媒体において画素に相当する部分を選択的に前記第2の相から前記第1の相に相変化させる相変化手段と、前記第1の相に相変化させられた部分の媒体に分散された前記磁性粉を前記透明層側に移動させる移動手段とを具備し、前記相変化させられた部分の媒体において前記透明層まで移動させられた前記磁性粉により、前記画像表示シート上に所定の画像を表示させることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項50の記載によれば、前記媒体は、高温において前記第1の相としての液相を呈し、低温において前記第2の相としての固相を呈する低温溶融体であり、前記相変化手段は、前記媒体を前記高温まで加熱する加熱溶融手段であることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項51の記載によれば、前記基層は、所定の電気抵抗値を有する抵抗層と、この抵抗層の前記透明層側の表面を覆うように配設された電極層とを備えていることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項52の記載によれば、前記電極層は、ベタ電極であることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項53の記載によれば、前記加熱溶融手段は、前記抵抗層の任意に選択された部分に通電させることにより、その通電部分を選択的に発熱させる通電手段を備えることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項54の記載によれば、前記通電手段は、通電ヘッドを備え、前記抵抗層の前記通電ヘッドが接触した部分と前記電極層との間に通電して、該抵抗層の通電部分を選択的に発熱させることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項55の記載によれば、前記基層は、所定の電気抵抗値を有する抵抗層と、この抵抗層の両面を夫々覆うように配設された一対の電極層とを備え、各電極層は、互いの交点が選択的に通電されるマトリックス状の通電パターンを備え、前記画素に相当する部分を前記両通電パターンの選択された各交点で規定し、両交点間に挟まれた前記抵抗層の部分に通電して、該抵抗層の通電部分を選択的に発熱させることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項56の記載によれば、前記移動手段は、磁力により、前記磁性粉を移動させることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項57の記載によれば、前記移動手段は、前記透明層側に配設された永久磁石を備えることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項58の記載によれば、前記移動手段は、前記透明層側に配設された電磁石を有する磁気ヘッドを備えることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項59の記載によれば、前記電磁石は、通電電流値を変化させることにより、磁力を変化させることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項60の記載によれば、前記加熱溶融手段は、前記基層側に配設され、前記移動手段は、前記透明層側に配設されると共に、間に前記低温溶融体を挟んで、前記加熱溶融手段に対向するように配設されていることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項61の記載によれば、前記移動手段は、前記透明層から離間した状態で配設されることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項62の記載によれば、前記基層は、透明層から構成されていることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項63の記載によれば、前記溶融された低温溶融体を冷却して固化させるための冷却手段を更に具備することを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項64の記載によれば、前記冷却手段は、前記移動手段に隣接した状態で配設されていることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項65の記載によれば、前記冷却手段は、前記透明層に接触可能な状態で配設されていることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項66の記載によれば、前記画像表示シートに表示された画像を消去するための画像消去手段を更に具備することを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項67の記載によれば、前記画像消去手段は、前記基層側に配設された磁気消去ヘッドと、前記透明層側に配設された選択消去ヘッドとを備えることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項68の記載によれば、前記選択消去ヘッドは、前記磁気消去ヘッドと同期した状態で移動することを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項69の記載によれば、前記選択消去ヘッドは、赤外ランプと、この赤外ランプから放出された光熱を前記画像表示シートに反射させる反射鏡とを備えることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項70の記載によれば、前記反射鏡は、放物面鏡であることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項71の記載によれば、前記反射鏡は、楕円面鏡であることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項72の記載によれば、選択消去ヘッドは、前記画像表示シートに直交する方向に沿って移動可能であることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項73の記載によれば、前記加熱溶融手段は、レーザ光システムを備えることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項74の記載によれば、第1の透明層と、この第1の透明層と所定間隔を離間して配設された第2の透明層と、これら第1及び第2の透明層の間に介設され、任意の位置で発熱可能に構成された中間発熱層と、この中間発熱層と第1の透明層の間に充填され、磁性粉が分散された第1の低温溶融体と、前記中間発熱層と第2の透明層との間に充填され、磁性粉が分散された第2の低温溶融体とを具備する画像表示シートの少なくとも何れか一方の面に、リライタブルな状態で画像を表示させるための画像表示装置であって、前記画像表示シートの前記中間発熱層において画素に相当する部分を選択的に加熱して、第1の低温溶融体を溶融させる加熱溶融手段と、この溶融部分に分散された前記磁性粉を前記第1の透明層側に移動させる移動手段とを具備し、前記溶融部分において前記第1の透明層まで移動させられた前記磁性粉により、前記画像表示シートの前記第1の透明層上に所定の画像を表示させることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項75の記載によれば、前記移動手段は、磁力により、前記磁性粉を移動させることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項76の記載によれば、前記移動手段は、前記第2の透明層側に配設された永久磁石を備えることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項77の記載によれば、前記移動手段は、前記第2の透明層側に配設された電磁石を有する磁気ヘッドを備えることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項78の記載によれば、前記電磁石は、通電電流値を変化させることにより、磁力を変化させることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項79の記載によれば、前記移動手段は、前記第2の透明層から離間した状態で配設されることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項80の記載によれば、前記溶融された低温溶融体を冷却して固化させるための冷却手段を更に具備することを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項81の記載によれば、前記冷却手段は、間に前記画像表示シートを介して、前記移動手段に対向した状態で配設されていることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示装置は、請求項82の記載によれば、前記冷却手段は、前記透明層に接触可能な状態で配設されていることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示システムは、請求項83の記載によれば、互いに離間して配置された発熱層と透明層との間に、磁性粉を分散させた低温溶融体を挟持し、前記発熱層により、この低温溶融体の画像表示部に相当する部分を選択的に加熱して溶融させると共に、この溶融部分の前記磁性粉を前記透明層側に移動させることにより、前記透明層上に所定の画像を表示させることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示システムは、請求項84の記載によれば、前記溶融部分の前記磁性粉は、磁力により前記透明層側に移動されることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示システムは、請求項85の記載によれば、前記発熱層は、通電により発熱する抵抗層を備え、前記低温溶融体の画像表示部の画素に相当する部分は、前記抵抗層により加熱されて溶融されることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示システムは、請求項86の記載によれば、前記溶融部分は、前記磁性粉の移動により画像が表示された後、冷却されて該画像を固定されることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示システムは、請求項87の記載によれば、前記画像は、前記低温溶融体を部分的に加熱して溶融し、前記磁性粉を前記基層側に移動させることにより、部分的に消去されることを特徴としている。
また、この発明に係わる画像表示システムは、請求項88の記載によれば、前記画像は、前記低温溶融体を全面的に加熱して溶融し、前記磁性粉を前記基層側に移動させることにより、全面的に消去されることを特徴としている。
以上詳述したように、この発明によれば、極めて簡単な構成でありながら、書換可能な状態で確実に画像を表示することのできるリライタブル薄型画像表示シート、画像表示システム、及び、画像表示装置が提供されることになる。
また、この発明によれば、極めて簡単な構成でありながら、解像度を向上した状態で画像を確実に表示することのできるリライタブル薄型画像表示シート、画像表示システム、及び、画像表示装置が提供されることになる。
また、この発明によれば、極めて簡単な構成でありながら、厚さを極めて薄くしつつ、画像を確実に表示することのできるリライタブル薄型画像表示シート、画像表示システム、及び、画像表示装置が提供されることになる。
また、この発明によれば、極めて簡単な構成でありながら、諧調性を表現した状態で画像を確実に表示することのできるリライタブル薄型画像表示シート、画像表示システム、及び、画像表示装置が提供されることになる。
以下に、この発明に係わるリライタブル薄型画像表示シート、画像表示装置、及び、画像表示システムの一実施例の構成を、添付図面を参照して詳細に説明する。
先ず、リライタブル薄型画像表示シートの一実施例の構成につき、説明する。このリライタブル薄型画像表示シート(以下、単に表示シートと呼ぶ。)10は、基本構造として、基層12と、薄型を達成すべくこの基層12と所定間隔を離間して配設された透明層14と、基層12と透明層14の間に充填され、エマルジョン重合技術を用いて形成された磁性粉16が均一に分散され、磁性粉16の移動が許容される第1の相及び磁性粉16の移動が禁止される第2の相との間で相変化可能な媒体としての低温溶融体として低融点ワックス18と備えて構成されている。
ここで、基層12は、所定の電気抵抗値を有する抵抗層12Aと、この抵抗層12Aの表面を覆うように配設された電極層12Bとから構成されている。この抵抗層12Aは、カーボンが分散されて所定電気抵抗値に調整され、通電により発熱するように形成されたポリイミド樹脂製シートから構成されている。また、電極層12Bは、抵抗層12Aの内表面を全面的に覆うように被覆されたニッケル電極から構成されている。
尚、この抵抗層12Aとしては、具体的には、カーボン添加キャスト成形ポリイミド製フィルムに、カーボンを約20〜30%程度含有させて、電気抵抗率として10〜300Ω・cmに調整されたものが採用されている。しかしながら、上述したポリイミド製フィルムに限定されること無く、酢酸セルロースやポリカーボネート製であっても良い。また、導電性を担保するためにカーボンを含有させるように説明したが、このカーボンとしてはナノ粒子が好適し、例えば、カーボンナノチューブやカーボンフラーレン等を含有させるものでも良いことは言うまでもない。このようにカーボンナノチューブを含有させる場合には、約2〜5%の含有率でも、上述した電気抵抗率を達成させることが可能となる。
また、上述した電極層12Bを構成するニッケル電極は、無電解メッキや真空蒸着やスパッタリング等の技術を用いて、抵抗層12Aの内表面に付着されえるものである。
一方、基層12と透明層14との間は、スペーサ20により、その間隙を確保されており、互いに平行に設定されている。また、このスペーサ20は、この一実施例においては、球形のビーズ状に形成されていて、詳細には粒子径が中心値として10μm前後(粒度分布として5μm〜15μm)のガラスビーズから形成されている。ここで、このガラスビーズ製のスペーサ20の粒径は、磁性粉16の粒径の少なくとも5倍以上となるように設定されている。具体的には、このスペーサ20の材料としては、低融点ワックス18との比重差の少ないものが好ましく、上述したガラス製の他に、合成樹脂製、例えば、ジビニル・ベンゼン製の比重1.19のものも採用しえるものである。また、このスペーサ20の混入率は、5〜10%程度に設定されている。
また、この実施例においては低融点ワックス18は、60〜120℃の温度範囲で溶融する石油系パラフィンから形成されていて、この一実施例においては白色顔料から白色に着色されている。この白色顔料としては、高白色度を有する高屈折率のものが好適しており、具体的には、遮蔽性の高い材料、例えば、TiO、SiO2、Al2O3、ArO2、CaCO3等の粒子径0.3μm程度の白色粉末から構成されており、重量比で30〜50%程度混入されている。
一方、磁性粉16は、低融点ワックス18と異なる色となるように設定されていて、この一実施例においては、黒色に着色されたフェライト粉から形成されている。また、この磁性粉16としては、この実施例においては、粒子径が5〜10μm程度の酸化鉄製のものが採用されており、その構造については、後に詳細に説明する。
また、透明層14は、この一実施例においては、耐熱透明合成樹脂としての塩化ビニデン製のパネルから構成されている。この透明層としては、更に具体的には、130℃程度の耐熱性を有する透明フィルムから構成され、低融点ワックス18との屈折率の差の少ないものが好ましく、上述した塩化ビニデンのほかには、例えば、メタアクリル樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、酢酸セルロース、ポリエステル等の合成樹脂が好ましいものである。また、この透明層14の外表面には、図示していないが、反射防止膜がコーティングされている。
そして、上述した基層12と透明層14とは、共に可撓性を有して形成されている。これにより、表示シート10は、全体として薄型で可撓性を呈することができることになり、ペーパー状の構成を達成するもので、従来のペーパー(紙)にとって替わる画像表示シート構造が提供されるものである。
以上のように構成される表示シート10を用いて、この表示シート10に任意の画像を書換可能(リライタブル)な状態で表示させることのできる画像表示装置30(以下、単に表示装置と呼ぶ。)の構成を、以下に詳細に説明する。
この表示装置30は、表示シート10が着脱自在に取り付けられるように構成されており、取り付けられた状態で、表示シート10上に任意の画像が書換可能な状態で書き込むことが可能となり、この表示シート10は、書き込まれた画像を定着(固定)させた状態で、この表示装置30から取り外して、自由に持ち歩きすることが可能に設定されている。
詳細には、この表示装置30は、取り付けられた表示シート10の基層12側に配設され、基層12を構成する抵抗層12Aの外面に接触可能に配設され、表示シート10の低融点ワックス18の画像表示部に相当する部分を選択的に加熱して溶融させる加熱溶融手段としての通電ヘッド32と、表示シート10の透明層14側に配設され、この透明層14の外面に非接触な状態で近接すると共に、通電ヘッド32と間に表示シート10を挟んだ状態で対向するように配置され、この溶融部分の黒色磁性粉16を透明層14側に移動させる移動手段としての磁気ヘッド34と、この通電ヘッド32と磁気ヘッド34とを一体的に、表示シート20の表面に沿って移動させる走査機構(図示せず)とを備えている。
尚、この表示装置30は、表示シート10が取り付けられた状態で、基層12を構成する電極層12Bと電気的に接続される接地端子を備えている。
ここで、上述した走査機構は、詳細は図示していないが、通電ヘッド32及び磁気ヘッド34を図中左右方向で規定される副走査方向に沿って移動させることができると共に、紙面に直行する方向で規定される主走査方向に沿って移動させることができるように構成されている。これにより、通電ヘッド32及び磁気ヘッド34は、表示シート10を全面に渡り操作することができることになる。換言すれば、通電ヘッド32により溶融された低融点ワックス18の溶融部分において、磁気ヘッド34により透明層14側に移動された黒色磁性粉16により、表示シート10上に所定の画像を表示させる事ができることになる。
また、上述した通電ヘッド32は、基層12の抵抗層12Aに接触可能に設けられた通電電極32Aと、この通電電極32Aの周囲を囲むように配設されたセラミック製の電極ガード32Bとを備えて構成されている。この通電電極32Aは、図示するように、針状に形成されていて、抵抗層12Aとの接触部における接触面積は、表示しようとする画像の解像度との関連で規定されるものであり、この一実施例においては、解像度が400dpiの場合には□60μmとなり、1200dpiの場合には□20μmとなるように設定されている。
このように通電電極32Aは、抵抗層12A都の接触部を極めて狭くなるように設定されているので、これに通電された場合には、電極層12Bとの間で電流集中が発生し、抵抗層12Aには、丁度、通電電極32Aが接触する部位に相当する領域しか通電されない状態となる。この結果、通電により抵抗層12Aにおいて発熱する部位は、通電領域に限定されて極めて狭い範囲となる。従って、図示するように、この抵抗層12Aにおいて通電電極32Aと接触する部位で規定される通電領域が発熱することとなり、この発熱領域に隣接する低融点ワックス18の部分が、選択的に加熱され、溶融されることになる。
尚、この一実施例においては、通電ヘッド32による上記通電動作により、発熱される抵抗層12Aの温度は、150〜200℃となるように設定されている。一方、上述した低融点ワックス18の融点は、60〜110℃の範囲にあり、従って、通電ヘッド32による通電動作により、これと接触する部位に相当する低融点ワックス18は、確実に溶融されることになる。
一方、上述した磁気ヘッド34は、この一実施例においては、永久磁石から構成されており、上述した通電ヘッド32への通電により加熱・溶融された低融点ワックス18の部分に含まれる黒色磁性粉16は、この永久磁石から構成される磁気ヘッド34の磁力により吸引され、透明層14側に移動することになる。この結果、透明層14の内面まで移動してきた黒色磁性粉16は、この透明層14を透かして可視できる状態となり、表示しようとする画像の1ドットを構成することができることになる。
以上のように構成される画像表示装置30における画像表示システムを,以下に説明する。
表示シート10を画像表示装置30に取り付け、電極層12Bを図示しない接地端子に接続すると、画像書き込み(書換)可能状態となる。この状態から、図示しない制御装置により、通電ヘッド32及び磁気ヘッド34は、書き込み開始位置に移動させられる。そして、この書き込み開始位置から、所定の走査動作が開始される。
この走査動作が開始されると、通電ヘッド32及び磁気ヘッド34は、一体的に直線移動を開始されることになるが、表示しようとする画像の単位ドット(画素)に対応する位置にもたらされるごとに、通電ヘッド32の通電電極32Aに、所定時間だけ通電されることになる。この通電動作により、通電電極32Aと電極層12Bとの間に通電されることになるが、抵抗層12Aには、通電電極32Aとの接触部位に対応する抵抗層12Aの領域にのみ通電され、この通電領域のみが発熱されることになる。
この結果、抵抗層12Aの通電領域が発熱領域となり、図2にシャドウを掛けた範囲で示すように、この発熱領域に対応する低融点ワックス18の部分18′が、この熱により溶融され、この低融点ワックス18の溶融部分18′に含まれる黒色磁性粉16が、磁気ヘッド34と一体に移動する磁気ヘッド34の磁力により、透明層14に向けて移動させられることになる。
このようにして、図3に示すように、移動した黒色磁性粉16は透明層14の内面に集合し、一つの画素における黒点を構成することになる。
このように、所定の画素に対応する部分において、黒点の呈色動作が完了するが、この後、隣接する次の画素に対応する部位に通電ヘッド32及び磁気ヘッド34を副走査方向に沿って移動することになる。ここで、次の画素において、黒点の呈色動作を行う場合には、上記動作が同様に実施されることになる。一方、次の画素において、黒点の呈色動作を行わずに、地色としての白色を残しておく場合には、何ら、通電動作が実行されずに、更に次に隣接する画素に対応する部位に通電ヘッド32及び磁気ヘッド34を移動する。
このように、1ライン分の表示動作を完了すると、通電ヘッド32及び磁気ヘッドを、元の開始位置に復帰させると共に、主走査方向に沿って1画素分だけ移動させる。そして、副走査方向に沿って、上記したと同様な表示動作を繰り返し実行する。このような動作を、表示シート10の全面に渡り実行することにより、表示シート10の全面に渡り、所定の画像が表示されることになる。
尚、既に所定の画像が表示された表示シート10においては、抵抗層12Aの全面に渡り通電させて発熱させ、低融点ワックス18を全面に渡り加熱することにより溶融させ、このように低融点ワックス18が全面に渡り溶融している間に、基層12側に配置した永久磁石により、黒色磁性粉16を基層12側に移動させることにより、全ての黒色磁性粉16は透明層14から取り除かれることとなり、この結果、透明層14には、何らの画像も表示されないことになる。即ち、この表示シート10上の画像は、消去されることになる。
この発明は、上述した構成及び動作に限定されることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変形可能である。尚、以下の説明において、上述した一実施例と同一部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。
例えば、上述した実施例においては、種々のの数値を示したが、これはあくまでも一例であり、この発明を何ら限定するものでないことは、言うまでもない。
また、上述した実施例においては、磁性粉は、黒色磁性粉16から構成されるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、黒色以外の色を呈するように構成してもよい。要は、着色磁性分の色は、地色を規定する低融点ワックス18と異なる色を呈するものであれば何色でもよい。
また、上述した実施例においては、基層12を構成する電極層12Bを、ベタ電極から構成されるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、図4に第1の変形例として示すように、基層12を、所定の電気抵抗値を有する抵抗層12Aと、この抵抗層12Aの両面を夫々覆う様に配設された一対の電極層12B,12Cとを備えて構成し、各電極層12B、12Cは、互いの交点が選択的に通電されるマトリックス状の通電パターンを備え、別途規定する制御信号により、画素に対応する部分を両通電パターンの選択された各交点で規定し、この選択された両交点間に挟持された抵抗層12Aの部分に通電して、この抵抗層12Aの通電部分を選択的に発熱させるように構成してもよい。
このように第1の変形例を構成することにより、上述した実施例のように通電ヘッドを用いて、これを主走査方向及び副走査方向に沿って移動させることにより、表示シート10を全面に渡り走査するようにして画像を表示させること無く、マトリックス状の電極層12B、12Cを制御信号用いて電気的に走査することにより、表示シート10の全面に渡り画像を表示ささせることが可能となる。
また、上述した実施例においては、基層12は、抵抗層12Aと電極層12Bとから構成されるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、図5に第2の変形例として示すように、表示シート10′においては、基層12自身も、透明シートから構成されるようにしてもよい。この場合、表示装置30側に、抵抗層12A及び電極層12Bを備えた基層に相当する発熱プレート40を備えておく必要がある。
このように第2の変形例を構成することにより、表示シート10′の表裏何れでも、画像を表示させることが可能となり、更に一段と、紙の使い勝手に近づくことが出来、有効性を向上することができる。また、この第2の変形例に係わる表示シート10′は、上述した実施例における基層12に相当する構成を備えていないので、即ち、抵抗層12A及び電極層12Bを備えていないので、構成が簡略化されると共に、その可撓性が上述した実施例の表示シート10と比較して更にしなやかなものになり、使い勝手が更に向上するものである。
また、この第2の変形例に係わる表示シート10′に所定の画像を表示させる手段としては、上述した発熱プレート40に限定されること無く、図示していないが周知のサーマルヘッドを用いることが出来ることは、言うまでもない。
また、上述した実施例においては、画像表示後の低融点ワックス18を冷却する手段を備えていなかったが、この発明は、このような構成に限定されることなく、例えば、図6に第3の変形例として示すように、画像表示装置30Aは、磁気ヘッド34の副走査方向に関して上流側の側面に、冷却ヘッド50を取り付け、この冷却ヘッド50により、溶融された低融点ワックス18を短時間の内に冷却して、画像の表示状態を定着(固定)するようにしてもよい。
尚、この第3の変形例においては、冷却ヘッド50は、水冷として構成されており、その先端面から規定される冷却面は、透明層14の外面に接触するように設定されている。
また、上述した実施例においては、磁気ヘッド34は、永久磁石から構成されるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、図7に第4の変形例として示すように、磁気ヘッド60は、高透磁率の材料から形成された磁心60Aと、この磁心60Aの周囲に巻回されたコイル60Bとから構成するようにしてもよい。
また、この磁気ヘッド60としては、永久磁石を磁心として用い、この永久磁石の周囲にコイルを巻回するように構成しても良い。この場合、永久磁石により規定される磁力を、コイルに通電することにより変化させるようにすることができるものである。
このように第4の変形例を構成することにより、コイル60Bへの通電量を制御することにより、磁性粉16の移動力を変化させることができることになる。これにより、例えば、磁性粉16の粒径を、複数種類に整理することにより、例えば、弱い通電量では粒径の大きな磁性粉16が先ず、透明層14に向けて移動し、通電量を増すごとに、順次、粒径が小さいものが透明層14に向けて移動することになる。このようにして、通電量を制御することにより、表示する画像の階調性を表現させることができることになる。
また、この第4の変形例において、磁性粉16の色を変化させておくことにより、通電量を制御することにより、表示する画像の色を変化させることができることになり、画像の多色化(カラー化)が達成されることになる。
また、上述した実施例においては、画像表示シート10の片面に画像が表示されるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、例えば、図8に第5の変形例として示すように、両面に画像が表示されるように構成してもよいものである。
具体的には、図8に示すように、この第5の変形例に係わるリライタブル薄型画像表示シート70は、上述した実施例の基層12に相当する位置に下側の透明層72と、透明層14に相当する位置に上側の透明層74とを備え、上下の透明層74,72の間に、上述した第1の変形例において備えた基層12と同様に構成された中間発熱層76を備えている。そして、中間発熱層76と下方の透明層72との間には、磁性粉16Aが分散された低融点ワックス18Aが充填され、また、中間発熱層76と上方の透明層74との間にも、磁性粉16Bが分散された低融点ワックス18Bが充填されている。
即ち、この第5の変形例の中間発熱層76においては、マトリックス状の電極層12B、12Cにおいて表示しようとする画素に対応した位置が、互いに直交する電極線の所定の交点により規定され、この交点の間の抵抗層12Aの部分にピンポイントで電流が流されて、この交点に対応する抵抗層12Aの部分で発熱することになる。このために、この抵抗層12Aの発熱部分に対応する上下の低融点ワックス18A、18Bは、夫々、溶融されることになる。
このように構成された画像表示シート70に画像を表示させる画像表示装置78は、電極層12B、12Cと接続される制御端子(図示せず)を備えると共に、画像表示シート70の下方に配設された状態で冷却ヘッド80を、また、画像表示シート70の上方に配設された状態で、移動手段としての磁気ヘッド82を備えている。
この様に構成される画像表示装置78においては、表示シート70の上側の透明層74において画像を表示する場合には、中間発熱層76により所定の画素に対応した部分が通電されて発熱されることにより、上側の低融点ワックス18Bと共に、下側の低融点ワックス18Aも溶融されることになる。この結果、上側の低融点ワックス18Bで溶融された部分18B′に分散されている磁性粉16Bは、磁気ヘッド82により上側の透明層74まで移動される事となり、このようにして、上側の透明層74において、画像が表示されることになる。
尚、上述したように、中間発熱層76の発熱により、下側の低融点ワックス18Aも溶融されることになる。ここで、仮に、この下側の低融点ワックス18Aに分散されている磁性粉16Aが、既に、画像表示のために下側の透明層72まで移動させられている状態が想定されるが、その場合でも、この溶融部分18A′の下側の透明層72近傍の部分は、冷却ヘッド80により冷却されているため、中間発熱層76により発熱された熱は、下方の透明層72付近に移動された磁性粉16Aの周囲の低融点ワックス18Aにまで及ばないことになる。
この結果、下方の透明層72付近まで移動させられていて、下方の透明層72において画像を構成してる磁性粉16Aは、磁気ヘッド82により中間発熱層76に向けて移動させられることなく、下方の透明層72付近に留め置かれることになる。即ち、下方の透明層72で表示されている画像は、磁気ヘッド82により何ら乱される恐れは無いものである。
このように第5の変形例を構成することにより、表示シート70の表裏何れでも、また、両面において同時に画像を表示させることが可能となり、更に一段と、紙の使い勝手に近づくことが出来、有効性を向上することができることになる。また、上述した実施例においては、低融点ワックス18は、石油パラフィンから構成されるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、例えば、融点が73℃の低融点樹脂ポリエステル(PET)から構成されるように構成してもよいし、PETと上述した石油パラフィンとを混合させて構成してもよいことは言うまでもない。
また、上述した実施例においては、加熱手段として抵抗層に通電することにより発熱させる技術を用いるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、サーマルヘッドを用いて発熱させることや、光吸収層を有するシートにレーザ光を照射することにより微細に発熱させることも可能であることは言うまでもない。
また、上述した実施例においては、磁性粉は黒色に着色されたフェライトから構成されるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、例えば、着色された鉄粉でもよいし、酸化第1鉄粉から構成してもよいことは言うまでもない。特に、酸化第1鉄粉の場合には、固有色として黒色を呈しているので、黒色として用いる場合には、別段、着色する必要は無く、地色をそのままの形で用いることができるものである。また、磁性粉を磁性流体から構成するようにしてもよい。
また、上述した実施例のいては、スペーサ20としてビーズ状のものから構成されるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、例えば、円柱状に形成したものから構成されるようにしてもよいことは言うまでもない。
また、磁性粉16が分散される媒体18としては、磁性粉16の移動が許容される第1の相及び磁性粉16の移動が禁止される第2の相との間で相変化可能なものであればよく、高温において第1の相を呈し、低温において第2の相を呈する低温溶融体であっても良い。この場合、第1の相は、液相であり、第2の相は固相となる。このような媒体としては、低融点ワックスで代表されるような低温溶融体のほかに、グリセリン脂肪酸エステル等のコロイドや、ゾル−ゲル相変化(光・超音波・磁気振動・加熱電界・電解等による流動化も利用)を利用した寒天、ゼラチン、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、ベントナイト等の不安定又は準安定ゲルを用いることも出来るものである。
また、上述した実施例においては、低温溶融体として用いられる低融点ワックス18を、石油系パラフィンから構成されるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、例えば、天然ロウやカルナバワックス(ロウ)から構成されるようにしてもよいことは言うまでもない。
また、上述した実施例においては、冷却ヘッド50を水冷式から構成されるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されることなく、例えば、電動ファンを用いた強制空冷式や、フィンを用いた自然空冷式や、ヒートパイプも用いた冷却方式等、種々の冷却方式を用いることができることは言うまでもない。
また、上述した第1乃至第5の変形例においては、説明の便宜上、画像の消去手段については何ら説明をしていなかったが、この発明に係わる画像表示装置30は、画像消去機構を備える構造が好適することは言うまでもない。以下の変形例において、画像消去機構84を備える構成を説明する。
即ち、図9には、第6の変形例に係わる画像表示装置30Bが示されており、上述の画像表示装置30と異なる点は、画像消去機構84を備える点と、通電ヘッド32の替わりに、書き込み・消去ヘッド86を備える点の2点である。
先ず、書き込み・消去ヘッド86は、上述した通電ヘッド32よりも操作方向に沿って幅広に構成されており、具体的には、互いに隣接するスペーサ20の離間距離よりも長く設定されている。これにより、この書き込み・消去ヘッド86を書き込み時や消去時に操作する際に基層12の抵抗層12Aに強く押し付けたとしても、必ず少なくとも1つのスペーサ20が介在する状態が達成され、基層12と透明層14との間の間隙が、確保されることになる。
また、このように強く押し付けることにより、所謂アイロン効果が奏せられ、書き込み時や消去時に発生する熱による基層12の変形が仮にあったとしても、この書き込み・消去ヘッド86により強制的に押し広げられて、平坦化される効果が、更に達成されることになる。
また、この書き込み・消去ヘッド86は、これの操作方向に関して下流側に、上述した通電ヘッド32に対応する書き込みヘッド部86Aとしてのライン電極ヘッドを備え、中央部分にライン磁気消去ヘッド86Bを備え、上流側には上述した実施例の冷却ヘッド80と同様な冷却ヘッド86Cを備えている。また、ライン磁気消去ヘッド86Bの表示シート10側の表面は、低摩擦性の断熱部材86Dで覆われている。以上の構成から明白なように、この書き込み・消去ヘッド86に備えられたライン磁気消去ヘッド86Bは、画像消去機構84の一部を構成するものである。
一方、この書き込み・消去ヘッド86が設けられた側とは反対側には、画像消去機構84の他部を構成する選択消去ヘッド88が配設されている。この選択消去ヘッド88は、赤外ランプ88Aと、この赤外ランプ88Aを覆い、これから発生した赤外線による熱を表示シート10の画像を消去しようとする部位に集中させる楕円面鏡88Bとを備えて構成されている。
この選択消去ヘッド88は、上述した書き込み・消去ヘッド86と同期した状態で走行されるように、図示しない移動機構に連結されている。また、この選択消去ヘッド88は、詳細は図示していないが、表示シート10に直交する方向(即ち、離接する方向)に沿って移動可能に設定されていて、楕円面鏡88Bの焦点位置を調整して、表示シート10の透明層14の厚みに応じて低融点ワックス18を確実に加熱することが出来るようになされている。また、このように選択消去ヘッド88が表示シート10に直交する方向に移動可能であることにより、表示シート10の単位面積当たりに付与されるエネルギーを調節して、これの操作方向に沿う速度(即ち、消去速度)に対応させることが出来、消去動作の確実性を担保することが出来ることになる。
尚、この画像消去機構84の画像消去動作時において、表示シート10の画像の不形成部分(即ち、白地部分)を検出する検出器(図示せず)を設けておくことにより、この検出器からの検出結果に基づき、表示シート10の白地部分が検出された場合には、その白地部分に対応する範囲の消去速度を上げることにより、消去時間の短縮化を図ることが出来るものである。
次に、図10を参照して、第7の変形例に係わる画像表示装置30Cの構成を説明する。
この画像表示装置30Cにおいては、上述した第6の変形例に係わる画像表示装置30Bと選択消去ヘッド88の構成が異なるものである。即ち、この画像表示装置30Cの選択消去ヘッド88は、楕円面鏡88Bではなく、放物面鏡88Cを備えている。このように選択消去ヘッド88は、放物面鏡88Cを備えることにより、赤外ランプ88Aから放出された光は、平行光として表示シート10に照射されることとなる。この結果、この第7の変形例においては、第6の変形例の場合よりも、より広い範囲で加熱される態様が実現されることになる。
また、上述した各変形例においては、表示シート10(10′)に画像を表示させる手段として、通電ヘッド32やマトリックス電極12B,12Cや発熱プレート40や図示していないがサーマルヘッド等を用いるように説明したが、この発明は、このような構成に限定されること無く、図11に第8の変形例として示すように、レーザ光システム90を用いても良いものである。
即ち、この第8の変形例において、画像書き込み手段としてのレーザ光システム90は、出力源としてのハイパワー半導体レーザ90Aと、この半導体レーザ90Aから出力されたレーザ光を平行光とするためのコリメータレンズ90Bと、このコリメータレンズ90Bからのレーザ光を所定のスポット径に収束させるフォーカスレンズ90Cと、フォーカスレンズ90からのレーザ光を走査するためのポリゴンミラー90Dとを備えて構成されており、これにより、任意の画像を表示シート10(10′)上に書き込むことが出来るものである。
ここで、表示シート10′の場合には、上下両面が透明層12,14であるので、いずれかの方向からでもレーザ光を照射することが可能となるが、表示シート10の場合には、透明層14側からの照射に限定されることになることは、言うまでもない。
尚、その他の構成については、上述した実施例及び種々のの変形例で説明した部分と同一部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。
更に、図12を参照して、上述した磁性粉16の構成を、詳細に説明する。この磁性粉16は、図12に拡大して示すように、中心核磁性体16aと、この中心核磁性体16aの外周を覆うように配設されたカラーコーティング層16bとから構成されている。ここで、この中心核磁性体16aは、この実施例では、球状焼結フェライトから構成されており、カラーコーティング層16bは、厚さ1〜3μm程度のシリコーン樹脂から構成されている。このシリコーン樹脂は、ソリッドでも良いし、比重を調整する必要がある場合には、発泡剤により発泡させてスポンジ状にしても良いものである。
尚、中心核磁性体16aとしては、球状焼結フェライトの他に、バインダーで固化させた微粉末フェライトであっても良いし、また、カラーコーティング層16bとしては、上述したシリコーン樹脂のほかに、TFEやPTFEを用いることが出来るものである。
また、図13は、図12に示す磁性粉16の他の構成例を示している。即ち、図13に拡大して示すように、磁性粉16の中心核磁性体16aは、粒状焼結フェライトを球状にまとめた構成や、結晶フェライトを球状にまとめた構成っても良いものである。