JP4656318B2 - アンテナ装置 - Google Patents

Description

本発明は、人工衛星から発信された信号の受信装置に用いられ、特に、小型化かつ薄型化されるアンテナ装置に関するものである。

近時、衛星波又は地上波を受信してデジタルラジオ放送を聴取可能にしたデジタルラジオ受信機が開発され、米国において実用化されている。このデジタルラジオ受信機は、自動車等の移動局に搭載され、周波数が約２.3ＧＨz帯の電波を受信してラジオ放送を聴取することが可能である。すなわち、デジタルラジオ受信機は、モバイル放送を聴取することが可能なラジオ受信機である。受信電波の周波数が約２.3ＧＨzなので、そのときの受信波長（共振波長）λは約１２８.3ｍｍである。尚、地上波は、衛星波を一旦、地球局で受信した後、周波数を若干シフトし、直線偏波で再送信したものである。

この種の衛星波または地上波を受信する受信システムは、アンテナ装置とラジオチューナとを含む。アンテナ装置は、衛星波または地上波を受信して高周波の受信信号を出力する。ラジオチューナは受信信号を復調して音声信号を出力する。

従来のアンテナ装置としては、例えば、特開２００１−２４４２８号公報（以後、特許文献１）に開示される平面アンテナが使用できる。特許文献１に開示の平面アンテナは、アッパーケースと、このアッパーケースの裏面に所定間隔を空けて配置された平面アンテナ素子と、この平面アンテナ素子から所定間隔を空けて配置されたグランド板と、平面アンテナ素子とグランド板との間に配設された給電導体と、グランド板の下面に接合された回路基板と、この回路基板上に搭載された電子部品とを備えている。
特開２００１−２４４２８号公報（図１）

従来のアンテナ装置では、回路基板とは別に、アンテナ放射用のグランド板を備えることが必要である。一方、上述するように、回路基板は、一方の面にグランド板を接合し、他方の面に電子部品を搭載する。

回路基板は、交信する制御回路及び情報処理回路を搭載するプリントボートである。また、回路基板には、アンテナ装置全体の動作を制御するＣＰＵ、及びアンテナ線又はアンテナ面に供給する高周波発振器などが搭載されている。即ち、同一基板上にデジタル回路とアナログ回路とが混在している。

このような回路基板からは電磁ノイズが放射され空間を伝播する。一方、回路基板とアンテナ放射用グランド板との隙間に絶縁材が挿入されているが、回路基板のグランド電位とアンテナ放射用グランド板におけるグランド電位との電位差及びその変動が生じることは避けられない。この電位差の変動により、回路基板から発生した電磁ノイズがアンテナ素子に進入して、アンテナ装置としての性能劣化を招いている。

このように、従来のアンテナ装置では、アンテナ放射用グランド板と回路基板との間に電磁遮蔽シートと絶縁体シートとを配備する必要があるので、アンテナ装置の小型化及び薄型化を阻害することが避けられない。

従って、解決しようとする課題は、アンテナ素子及びその放射用グランド板を含むアンテナと回路基板との間に電磁遮蔽と絶縁との機能を配備し、かつ、小型化及び薄型化を図ることができるアンテナ装置を提供することにある。

本発明のアンテナ装置は、一方の面に電子部品を搭載する回路基板（２３）とこの他方の面側に搭載されるアンテナ素子（２１）及びその放射用グランド板（２４）を含むアンテナとで構成されるものであって、アンテナ素子（２１）に対向して回路基板側に位置するグランド板（２４）と回路基板（２３）との間に電磁遮蔽機能を有する一枚構成の薄型絶縁シート（２２）を有し、グランド板（２４）及び薄型絶縁シート（２２）及び回路基板（２３）が密着して一体とされており、薄型絶縁シート（２２）はシート状導電体（３１）の両面にシート状絶縁体（３２、３３）を積層し一枚板に形成されたラミネート構造であり、かつ回路基板（２３）から発生する電磁ノイズがアンテナ素子（２１）に進入するのを防止することを特徴としている。

シート状導電体（３１）はカーボン、金属材料、及びその複合材料のグループから選択された導電性材料よりなり、シート状絶縁体（３２、３３）はＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）、ＰＥＳ（ポリエーテルサルフォン）、ＰＶＣ（ポリ塩化ビニール）、ＰＣ（ポリカーボネイト）、ＰＰ（ポリプロピレン）、ＰＥ（ポリエチレン）などを材料とする非導電性高分子材料（有機ポリマー）よりなることが好ましい。

また、上記絶縁シートは、一方の面に金属材の導電膜（３１）を蒸着した有機ポリマーの第１のフィルム（３２）と、更にこの導電膜（３１）を覆って密着させた有機ポリマーの第２のフィルム（３３）とで積層したものである。又は、磁性体粉末を高分子材で固めた薄板状の電磁遮蔽シート（３１）とこの電磁遮蔽シート（３１）の両面を覆う非導電性材の絶縁シート（３２、３３）を積層して、一枚板に形成されたラミネート構造であることが好ましい。

上記括弧内の符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、これらに限定されない。

本発明によるアンテナ装置は、アンテナと回路基板との間でグランド電位の変動などが生じても回路基板の電磁ノイズがアンテナ素子に悪影響を及ぼすことがないように、アンテナ素子と回路基板との間に電磁遮蔽機能を有する一枚の絶縁シートを配備している。この構成により、小型化と薄型化とを達成できるという効果と共にこの結果、製品コストが低減するという効果を得ることができる。

アンテナ装置として小型化と薄型化とを達成するという目的を、アンテナと回路基板との間に電磁遮蔽機能を有する一枚の絶縁シートを配備することにより実現している。

本発明の実施例１について図１及び図２を併せ参照して説明する。

図１は本発明におけるアンテナ装置２０の実施の一形態を示す分解斜視図である。

図示されるアンテナ装置２０は、アンテナ素子２１、薄型絶縁シート２２、回路基板２３、給電導体を上面に搭載するグランド板２４、金属カバー２５、アッパーケース２６、ロワーケース２７、パッキング２８、及びブッシング２９で構成される。アンテナ素子２１とグランド板２４とを含み、アンテナが構成される。

本発明の特徴は薄型絶縁シート２２にある。薄型絶縁シート２２は、一枚の電磁遮蔽機能を有する薄型板であり、アンテナ素子２１のグランド板２４と回路基板２３の裏面との間でそれぞれに密着しており、アンテナ装置の全体の厚さを縮小して小型化と薄型化とを実現している。その詳細は、のちに図２を参照して説明される。

図示されるアンテナ装置２０は平面アンテナである。平面アンテナ素子２１は、矩形の金属板から成る。平面アンテナ素子２１は、衛星波又は地上波を受信する受信面を持つ。回路基板２３は、この平面アンテナ素子２１と平行、かつ、所定間隔を空けて配設されている。平面アンテナ素子２１と回路基板２３との間に、平面アンテナ素子２１側の面上に給電導体を搭載するアンテナ放射用のグランド板２４が配設されている。アンテナ素子２１と給電導体を搭載するグランド板２４とは空間を介してアンテナを形成する。

回路基板２３では、平面アンテナ素子２１と反対側の面に、ＣＰＵを含む各種電子部品が配置されている。これら各種電子部品は、電磁シールド用の金属カバー２５で覆われている。上述した各構成要素はアッパーケース２６とロワーケース２７とによって形成されるケース内に収納される。尚、符号２８はパッキング、符号２９はケーブル及びブッシングで形成されるブッシングである。

パッキング２８は、環状に溝２８１を有して設けられる。アッパーケース２６には、一体的に形成され、かつアンテナユニットの周囲に環状に突設される壁部（ケースの裏面にあり見えない）が設けられている。パッキング２８は、溝２８１にアッパーケース２６の壁部を挿入して取り付けられ、ロワーケース２７の内壁に一体形成された壁部２７１との間で押しつぶされて防水構造を形成する。

アッパーケース２６の壁部の周囲に８個の柱状部材２６４が一体的に設けられている。ロワーケース２７にもこれら柱状部材２６４と対応する位置に柱状部材２７２が設けられている。両柱状部材２６４、２７２をネジ止めすることによりアッパーケース２６とロワーケース２７とが固定される。

ロワーケース２７の壁部２７１には、ケーブルを含むブッシング２９が圧入されるＵ字状の切り欠き２７１ａが形成される。ブッシング２９は、このロワーケース２７の切り欠き２７１ａの部分が挿入されるＵ字状の溝２９１を持つ。そして、パッキング２８は、このブッシング２９の上面で押しつぶされて防水構造を形成する。

次に、図２を参照して薄型絶縁シート２２について詳細を説明する。図２は本発明における薄型絶縁シートの実施の一形態を側面図で示す説明図である。

薄型絶縁シート２２は、シート状導電体３１の両面にシート状絶縁体３２、３３を積層し一枚の薄板に形成されたラミネート構造である。一方のシート状導電体３１には、例えばカーボンが素材とされる。他方のシート状絶縁体３２、３３には、最近急激に発展中である非導電性高分子材料（ポリマー）、例えばＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）が素材とされる。

更に、導電体材料としては、カーボン以外に合金などの金属材料又はこれらの複合材料が含まれる。また、絶縁体材料としての有機ポリマーには、ＰＥＴ以外に、ＰＥＳ（ポリエーテルサルフォン）、ＰＶＣ（ポリ塩化ビニール）、ＰＣ（ポリカーボネイト）、ＰＰ（ポリプロピレン）、ＰＥ（ポリエチレン）などが含まれる。

これら導電体材料及び絶縁体材料それぞれは、フィルム状又は膜状に容易に形成され、積層（ラミネート）可能なので、導電性シートによる電磁遮蔽機能を有する絶縁シートとして一枚に形成することができる。

このように、アンテナ放射用グランド板２４と回路基板２３との間の薄型絶縁シートは、シート状導電体の両面にシート状絶縁体を積層し一枚の薄板に形成されたラミネート構造を有するので、アンテナ放射用グランド板と回路基板との間で両者を密着させることにより、アンテナ装置の小型化と薄型化とを実現することができる。

［その他の実施例］
また、薄型絶縁シートは、非導電性高分子材料による一枚のフィルムの一面に金属材の導電膜を蒸着し、更にこの導電膜を非導電性高分子材料による他のフィルムで覆って密着させ積層することにより一枚のラミネート構造シートに形成することができる。

また、磁性体粉末を高分子材で固めた薄板状の電磁遮蔽シートの両面に非導電性材の絶縁シートを積層して、一枚板のラミネート構造に形成することもできる。

上記説明では、材料を限定して導電体と絶縁体とを説明したが、ラミネート構成可能な材料であればよく、上記説明に限定されるものではない。

本発明は、アンテナを構成する放射用グランド板と回路基板との間に電磁遮蔽機能を有する一枚の薄型絶縁シートを配備し一体化できるので、アンテナの放射用グランド板と回路基板との間を絶縁体で形成する構造のアンテナ装置で、小型化及び薄型化が必要かつ不可欠な用途に適用できる。

本発明によるアンテナ装置の実施の一形態を示した分解斜視図である。 本発明による電磁遮蔽機能を有する薄型絶縁シートの実施の一形態を側面図で示した説明図である。

符号の説明

２０ アンテナ装置
２１ アンテナ素子
２２ 薄型絶縁シート
２３ 回路基板
２４ グランド板
２５ 金属カバー
２６ アッパーケース
２７ ロワーケース
２８ パッキング
２９ ブッシング２９
３１ シート状導電体
３２、３３ シート状絶縁体

Claims (4)

1. 一方の面に電子部品を搭載する回路基板と、この回路基板の他方の面側に搭載され、金属板からなるアンテナ素子及びグランド板からなるアンテナとを有するアンテナ装置において、
   前記グランド板と前記回路基板との間に配置されて、電磁遮蔽機能を有する薄型絶縁シートを有し、
   前記グランド板及び前記薄型絶縁シート及び前記回路基板が密着して一体とされており、
   前記薄型絶縁シートは、シート状導電体の両面にシート状絶縁体を積層して一枚板に形成されたラミネート構造であり、かつ、前記回路基板から発生する電磁ノイズが前記アンテナ素子に進入するのを防止することを特徴とするアンテナ装置。
2. 請求項１に記載のアンテナ装置において、前記シート状導電体はカーボン、金属材料、及びその複合材のグループから選択される導電性材料よりなり、前記シート状絶縁体はＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）、ＰＥＳ（ポリエーテルサルフォン）、ＰＶＣ（ポリ塩化ビニール）、ＰＣ（ポリカーボネイト）、ＰＰ（ポリプロピレン）、及びＰＥ（ポリエチレン）のグループから選択される有機ポリマーよりなることを特徴とするアンテナ装置。
3. 請求項１に記載のアンテナ装置において、前記薄型絶縁シートは、一方の面に前記シート状導電体としての金属材の導電膜を蒸着した、前記シート状絶縁体の一方である非導電性高分子材料の第１のフィルムと、更に前記導電膜を覆って密着させた、前記シート状絶縁体の他方である非導電性高分子材料の第２のフィルムとを積層して一枚板に形成されたラミネート構造であることを特徴とするアンテナ装置。
4. 請求項１に記載のアンテナ装置において、前記薄型絶縁シートは、磁性体粉末を高分子材で固めた、前記シート状導電体としてのシート状の電磁遮蔽板と、当該電磁遮蔽板の両面を覆う非導電性材の前記シート状絶縁体としてのシート状の絶縁板とを積層して一枚板に形成されたラミネート構造であることを特徴とするアンテナ装置。

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