JP4655174B2 - アミノ酸金属リン酸塩の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は産業の分野において、優れた脱臭機能、抗菌機能等を持ち,耐熱性にも優れた、二価金属・α−アミノ酸・リン酸を含む組性物を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、二価の金属化合物は脱臭機能にすぐれていることは知られている。
特に、二価鉄の脱臭機能は優れているが、その水溶液は空気中の酸素による酸化で水酸化鉄として沈殿し、長期間にわたり脱臭機能を維持することが難しかった。
【0003】
二価鉄を含む水溶液を安定させる方法として、アスコルビン酸等の還元性化合物や、リン酸塩を添加し、水溶液の安定を伸ばす方法もある(特開昭61−18167)が、水溶液として、繊維、紙等にスプレー塗布、浸漬、刷毛塗り、あるいは、ゼオライト、ミョウバン等の担体に吸着させた形態で、主に塗料、接着剤や樹脂に配合する方法で用いられていた。
【0004】
このようなやり方でも、長期間、二価鉄としての安定性を維持する上で十分でなく、配合した商品が水にふれたり、洗濯したりすると、二価鉄が洗い流されたり、又は、酸化され第二鉄となり、脱臭効力の低下、変色等の問題があった。
【0005】
又、アミノ酸は生命を維持するための不可欠である蛋白質の構成物質であるが、同時に脱臭、消臭機能もあることが知られている(特開昭60−129054)。
【0006】
鉄以外の二価金属の銅、マンガン、亜鉛等も脱臭機能を持ち、銅は抗菌、マンガンは塗料の乾燥等の機能も有するが、主に、その無機化合物として、又は、水溶液中にゼオライトのような担体を浸漬し担体に吸着した形態で使用されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、二価金属がもつ、優れた機能、即ち、脱臭、抗菌機能等を、生体に対し安全であるαーアミノ酸と結合させ、脱臭剤、抗菌剤として、原色系統の色からの白色に近い色の二価金属・α−アミノ酸・リン酸を含む組性物を製造する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前期目的達成のため検討した結果、第二鉄イオンが存在する強酸性水溶液に、αーアミノ酸又はその塩を加えると、第二鉄イオンの存在する水溶液の色が茶褐色から直ちに暗赤色に変色する事を見出した。このことは、第二鉄イオンがアミノ酸と反応したことと推測した。この溶液に二価金属塩化合物を加え攪拌溶解後、さらに、リン酸塩水溶液を加えたところ、加えた金属塩及びリン酸塩により特定された系統色を持つ二価金属・α−アミノ酸・リン酸を含む組性物が析出する事を見出した。この沈殿物をろ過、乾燥、粉砕すると、選択したαーアミノ酸又はその塩や二価金属化合物の種類、及び、第二鉄化合物、リン酸塩の配合割合の変化で粉末の色相は原色系から白色系まで限定された範囲内で少しずつ異なるが、どれも素晴らしい脱臭機能をもつことを発見し、本発明を完成するにいたった。
【0009】
即ち本発明は、第二鉄イオン生成化合物として、塩化第二鉄、硫酸第二鉄等水に溶解すると強酸性で第二鉄イオンを生成する化合物、αーアミノ酸又はその塩としてグリシン、アラニン、グルタミン酸、グルタミン酸ソーダ等、二価金属化合物として鉄、亜鉛、銅、マンガン、ニッケル、クロム、マグネシウム、カルシウム、コバルト、錫等の塩化物、硫酸塩、硝酸塩等、リン酸塩として、リン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、テトラポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ等である。
【00010】
本発明においてαーアミノ酸又はその塩と第二鉄化合物、及び二価金属化合物の配合比は、αーアミノ酸又はその塩1モルに対し、第二鉄化合物は0.08モルから0.66モル、二価金属化合物0.5モルから2モル。リン酸塩は0.2モルから2モルまでである。この配合を変えることで、生成物の組成が変化し得られる粉体の色が異なる。
【0011】
表1は、第二鉄イオン生成物として塩化第二鉄、αーアミノ酸としてグリシン、二価金属塩として硫酸銅、リン酸塩としてテトラポリリン酸ソーダを使い、グリシン、硫酸銅を各0.01モルとし、塩化第二鉄とリン酸塩の量を変化させて、全体で20mlとし、生成物の量とろ液の色の変化を調べた結果である。
表1
Figure 0004655174
沈殿物の量*1沈殿物の生成が最も多かったのを10とした場合の相対的な割合ろ液の色*2ろ液の着色(青)が最も濃い物を5として、もっと薄いものを1とした場合の色の比較
塩化第二鉄がグリシン1モルに対し0.16モル以下では硫酸銅の銅イオンの色がろ液に残る量が多く、沈澱物の量が少なく、乾燥して得られた生成物の色は青色が強い。0.33モル以上だと、生成物の粉末は白色系となる。0.66モル以上だとリン酸塩の添加量を増やさないと沈澱物は生成しないが、生成した沈殿物の密度が低い。この反応の詳細は不明だが、塩化第二鉄にグリシンを加え、ここにリン酸塩を加えると、直ちに乳褐色の沈殿物が生じる。この沈殿物は塩化第二鉄とグリシンが反応したリン酸塩と考えられる。この溶液に硫酸銅水溶液を加え攪拌すると、沈殿物は直ちに緑色に変色する。このことは、生成した、グリシンと反応した第二鉄が銅と置換しているものと推察される。又、第二鉄の添加量を変化させた実験結果よりみると、塩化第二鉄33部の配合が等量にみえることから、第二鉄イオン1部がアミノ酸3部とまず反応し、二価金属を添加後、アミノ酸のカルボン酸基と二価金属が塩を生成するのではないかと考えられる。又、リン酸塩水溶液の添加量を増やすと、ろ液の色が透明になってくることから、フリーの第二鉄イオンはリン酸塩と反応して、沈澱物を生ずると思われる。又、リン酸基が不足すると、フリーのアミノ酸金属化合物がろ液中に残り生成物の収率を下げる。
【0012】
二価金属化合物は一種、又は二種以上の化合物を配合することも可能である。
【0013】
第二鉄化合物の配合が少ない場合、リン酸塩を加えると、ガム状の沈澱物を生じてしまうが、αーアミノ酸又はその塩1モルに対し、塩化第二鉄が0.16モル以上含まれる強酸性水溶液中ではガム状沈澱物の生成を抑制する事ができる。
【0014】
本発明の二価金属・α−アミノ酸・リン酸を含む組性物は、リン酸塩にポリリン酸塩を使用すると、乾燥した粉体は水に難溶な白色系の粉体となる。
【0015】
本発明の二価金属・α−アミノ酸・リン酸を含む組性物は、単独で、あるいは各種の添加剤を含むマスターバッチに配合し、塗料、樹脂、合成繊維等に配合させる事が可能である。
【0016】
【実施例1】
塩化第二鉄として0.5グラムを水40ml中に溶解し、グルタミン酸ソーダ1.9グラムを加え攪拌すると、液は直ちに赤褐色に変色しグルタミン酸ソーダは溶解する。この溶液に、硫酸第一鉄7水塩2.8グラムを加え攪拌溶解後、ヘキサメタリン酸ソーダ0.2モル水溶液10mlを加え攪拌していくと、赤褐色の沈殿物を析出した。この沈殿物をろ過し、乾燥後粉砕し、淡褐色粉末を得た。
【0017】
【実施例2】
実施例1でグルタミン酸ソーダに替えてグリシンを使用し、同様に配合したところ淡褐色沈殿物が生成した、沈澱物をろ過し乾燥後粉砕すると、白色粉末を得た。
【0018】
実施例で作成した生成物につき、脱臭試験を行なった。
実施例1,2の試料各0.1グラムを煮亜麻仁油10グラムに加え、十分に攪拌後、すばやく、この0.2グラムを4x10cmの木片にとり、表面に塗布する。室温で24時間乾燥した後この木片をテストピースとする(テストピース1,2)。
【0019】
アンモニア試験法500mlのガラスビンに0.1%アンモニア水0.1mlを入れ、中央部に穴の空けた中蓋で、その穴をシールした中蓋をはめ込み、ガラスビンを良く振る。中蓋のシールを剥がし、穴より検知管(ガステック製)を差込み、初期の濃度を検知管で測定後、前期テストピース1枚を入れ、中蓋をはめ込み、穴をシールし、10分後再度シールを取り検知管で濃度を測定(単位ppm)。
【0020】
トリメチルアミン試験法500mlのガラスビンに0.1%トリメチルアミン水溶液0.1mlを入れ、前期テストピースを1枚いれ、上記と同様に濃度測定(単位ppm)。
【0021】
タバコ臭試験法500mlガラスビンをさかさまにし、火をつけたタバコの先端をビンの中に差込、副流煙を30秒とる。ガラスビンを元にもどし、ビンの中の臭いを嗅ぐ。ガラスビンに前期テストピースを入れ、中蓋をし、10分後、テストピースをとりだし、ガラスビンの中の臭いをかぐ(官能試験6段階区分)。0.全く臭いなし。1.ほとんど臭いなし。2.臭いが残る。3.タバコ臭が残っている。4.かなり刺激臭がある。5.タバコの刺激臭が強い
表2
Figure 0004655174
【0022】
【実施例3】
塩化第二鉄0.33モル水溶液10ml(第二鉄0.19g)とグリシン1モル水溶液10ml(グリシン0.75g)の混合液を5個の100mlビーカーにとり、攪拌する。このビーカー5つに、次の5種類の二価金属塩水溶液の1モル水溶液10mlを1種類ずつ入れる、硫酸第一鉄(二価鉄0.56g)、硫酸銅(二価銅0.64g)、硫酸マンガン(マンガン0.55g)、硫酸マグネシウム(マグネシウム0.24g)、塩化亜鉛(亜鉛0.65g)。混合した溶液を攪拌後、ヘキサメタリン酸ソーダ0.1モル水溶液12ml(リン酸基0.57g)を各々のビーカーに加え攪拌すると、直ちに沈殿物を析出した。この沈殿物をろ過し、乾燥後重量を測定する。
表3
Figure 0004655174
【0023】
実施例3で生成した5種類の粉体を厚み0.5mmの鉄板の上にのせ、ライターの火で真下より30秒間加熱するが、粉体の外観に変化は見止められなかった。

Claims (3)

  1. (A)αーアミノ酸又はその塩を1モルと、(B)塩化第二鉄又は、硫酸第二鉄から選ばれた第二鉄化合物を0.33モルと、
    を水に溶解し撹拌しながら、
    (C)、二価金属塩の塩化物、硫酸塩、硝酸塩より選択した1種又は2種以上を合計1モル加え攪拌し溶解させた溶液に、
    (D)リン酸塩1モルを含む水溶液を加え、生成した沈殿物をろ過、乾燥し、二価金属・α−アミノ酸・リン酸を含む組性物を製造する方法。
  2. αーアミノ酸又はその塩としてグリシン、アラニン、グルタミン酸または、グルタミン酸ソーダより選択され、二価金属化合物として鉄、亜鉛、銅、マンガン、ニッケル、クロム、マグネシウム、カルシウム、コバルトまたは錫より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の二価金属・α−アミノ酸・リン酸を含む組性物を製造する方法。
  3. リン酸塩がポリリン酸塩である、請求項1に記載二価金属・α−アミノ酸・リン酸を含む組性物を製造する方法。
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