JP4654751B2 - 粗面化加工方法および切削工具 - Google Patents

粗面化加工方法および切削工具 Download PDF

Info

Publication number
JP4654751B2
JP4654751B2 JP2005125539A JP2005125539A JP4654751B2 JP 4654751 B2 JP4654751 B2 JP 4654751B2 JP 2005125539 A JP2005125539 A JP 2005125539A JP 2005125539 A JP2005125539 A JP 2005125539A JP 4654751 B2 JP4654751 B2 JP 4654751B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tool
cutting
processing
cylindrical member
rough surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005125539A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006297566A (ja
Inventor
岳 関川
雅彦 飯泉
崇 荻野
公男 西村
英爾 塩谷
秀夫 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2005125539A priority Critical patent/JP4654751B2/ja
Publication of JP2006297566A publication Critical patent/JP2006297566A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4654751B2 publication Critical patent/JP4654751B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Drilling And Boring (AREA)
  • Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)

Description

本発明は、円筒状部材に対し、その軸線方向に切削工具を相対的に送りつつ、軸線を中心として切削工具を相対的に回転させて、円筒状部材の内面をねじ状に切削加工して粗面化する粗面化加工方法および、この粗面化加工方法に用いる切削工具に関する。
自動車用エンジンの重量低減および排気処理対応に効果のあるライナレスアルミシリンダブロックのシリンダボア内面に対して溶射皮膜を形成する際に、その前工程として、溶射皮膜の密着性を高める目的でシリンダボア内面を粗面に形成する必要がある。
このようなシリンダボア内面など、円筒状部材の表面を粗面に形成する方法として、切削工具(粗面加工用工具)を用いて切削加工により粗面化する手法が下記特許文献1,2に記載されている。
特開2002−155350号公報 特開平10−77807号公報
ところで、上記した粗面化加工のための切削加工を行う際に、その前加工として粗面化加工に使用する切削工具とは別の切削工具によりファインボーリング加工を行う必要がある。
この場合、ファインボーリング加工専用の工具本体に設けた切削工具によりファインボーリング加工を行った後、粗面化加工専用の工具本体に設けた切削工具により粗面化加工を行う。
ところが、このような加工方法では、ファインボーリング加工を行う際の工具本体と、粗面化加工を行う際の工具本体との間で軸心ずれが発生する恐れがあり、このような場合には、粗面化加工を行う際の取り代にばらつきが発生し、その結果粗面加工用工具は、取り代が大きくなる部分を切削する際の抵抗が大きくなって破損を招くとともに、粗面化加工面が不均一となってその後の溶射皮膜の密着性が低下する。
そこで、本発明は、粗面加工用工具の高寿命化を図るとともに、粗面化加工面を均一化することを目的としている。
本発明は、円筒状部材に対し、その軸線方向に工具本体を相対的に送りつつ、軸線を中心として前記工具本体を相対的に回転させて、前記円筒状部材の内面をねじ状に切削加工して粗面化する際に、前記粗面化加工に使用する粗面加工用工具を、前記粗面化加工の前加工に使用する前加工用工具とともに同一の前記工具本体に保持させ、この工具本体を用いて、前記前加工用工具により前加工を行った後、前記粗面加工用工具により粗面化加工を行う粗面化加工方法であって、前記粗面加工用工具の送り方向後方側の前記円筒状部材の内面に残るねじ状部分の山部と山部との間の谷部の両側における斜面相互がなす角度の中心線が、前記円筒状部材の内面の法線方向に対して前記粗面加工用工具の送り方向後方側に傾斜した状態となるよう切削加工を行うことを最も主要な特徴とする。
本発明によれば、粗面化加工に使用する粗面加工用工具を、粗面化加工の前加工に使用する前加工用工具とともに同一の工具本体に保持させ、この工具本体を用いて、前加工用工具による前加工の後、粗面加工用工具により粗面化加工を行うようにしたので、前加工時とその後の粗面化加工時での工具本体の軸心ずれを防止でき、その結果粗面化加工を行う際の粗面加工用工具は、取り代が均一化して切削抵抗を小さくでき、破損を防止できるとともに、粗面化加工面が均一化してその後形成する溶射皮膜の密着性が向上する。
また、谷部の両側における斜面相互がなす角度の中心線が、円筒状部材の表面の法線方向に対して粗面加工用工具の送り方向後方側に傾斜した状態となるよう切削加工を行うようにしたので、谷部の両側の斜面相互がなす角度が、円筒状部材の内面の法線方向に対して対称的となっている場合に比較して、谷部の斜面を、法線方向により接近させた状態とすることができ、粗面化加工部分に形成する溶射皮膜の谷部への侵入部分が剥離しにくくなる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の第1の参考例に係わる粗面化加工方法を示す断面図であり、エンジンのシリンダブロック1とともに切削工具3を示している。シリンダブロック1は、粗面化加工する円筒状部材としてのシリンダボア部5を有し、そのシリンダボア内面7に対して粗面化加工を行う。
上記したシリンダブロック1は、アルミ合金(ADC12材)からなるダイカスト製であり、シリンダボア内面7を後述する方法でファインボーリング加工および粗面化加工した後、鉄系材料からなる溶射用材料を後述する方法でシリンダボア内面7に溶射して溶射皮膜を形成する。
上記したシリンダボア内面7に対してファインボーリング加工および粗面化加工を行う際には、切削工具3を用いる。切削工具3は、工具本体9の先端(下端)周囲に、前加工用工具としてのファインボーリング用工具11と、粗面加工用工具13とをそれぞれ設けている。
図2(a)は切削工具3の正面図、図2(b)は同平面図で、ファインボーリング用工具11は、円周方向に沿って互いに180°隔てた位置に2つ設けている。一方粗面加工用工具13は、2つのファインボーリング用工具11相互間に1つ設けてあり、かつ図2(a)に示すように、その切刃13aの先端の軸方向(図2(a)中で上下方向)位置を、ファインボーリング用工具11の切刃11aの先端の同軸方向位置より、図2(a)中で間隔Hだけ上部としている。
そして、粗面加工用工具13の切刃13aの先端の径方向位置は、ファインボーリング用工具11によりシリンダボア内面7をファインボーリング加工した後、粗面加工用工具13で粗面化加工が可能なように、ファインボーリング用工具11の切刃11aの先端位置よりも、工具本体9の中心から離れて径方向外側となっている。
上記した切削工具3を、図1に示すように、シリンダボア部5内に回転しながら挿入することで、挿入方向前方にあるファインボーリング用工具11がシリンダボア内面7をファインボーリング加工し、その加工面を挿入方向後方に位置する粗面加工用工具13が粗面化加工する。
このように、上記した参考例によれば、粗面化加工に使用する粗面加工用工具13を、粗面化加工の前加工に使用するファインボーリング用工具11とともに同一の工具本体9に保持させ、この工具本体9を用いて、ファインボーリング用工具11によるファインボーリング加工の後、粗面加工用工具13により粗面化加工を行うようにしたので、ファインボーリング加工時とその後の粗面化加工時での工具本体9の軸心ずれを防止でき、その結果粗面化加工を行う際の粗面加工用工具13は、取り代が均一化して切削抵抗を小さくでき、破損を防止できるとともに、粗面化加工面が均一化してその後形成する溶射皮膜の密着性が向上する。
また、粗面加工用工具13を、ファインボーリング用工具11に対して切削工具3の送り方向後方に位置させた状態で、切削工具3の一方向の移動により、ファインボーリング加工に追随するようにして粗面化加工を行うので、これら一連の加工を短時間で行うことができ、加工効率が向上する。
図3は、本発明の第2の参考例を示す切削工具15の断面図である。この切削工具15は、工具本体17の先端側外周に、ファインボーリング用工具19を設けるとともに、粗面加工用工具21を設けている。
ファインボーリング用工具19は、図示しないボルトなどにより工具本体17に固定した取付具23の先端外周に固定する。
一方、粗面加工用工具21は、ボルト25により工具本体17に取り付けた取付具27の先端外周に固定する。この取付具27は、例えば板ばね28をボルト25の頭部との間に介装することで、工具本体17に対し径方向(図3中で左右方向)に移動可能な構成とする。
工具本体17の中心には、工具本体17の外部に設けた駆動部29によって軸方向(図3中で上下方向)に移動可能なドローバ31を収容している。ドローバ31の先端(下端)は、先端側ほど径が大きくなるテーパ部33を備えており、テーパ部33と、粗面加工用工具21を取り付けてある取付具27の先端側との間に押圧ロッド35を介装している。
すなわち、ドローバ31を図3の状態から上方に移動させることで、テーパ部33が押圧ロッド35の一端面に対して押圧しつつ摺動し、これに伴い押圧ロッド35が図3中で右方向に移動してその他端面が、取付具27を前記した板ばね28の弾性力に抗して押圧し、粗面加工用工具21とともに図3中で右方向に移動させる。
このように粗面加工用工具21が図3中で右方向に突出した状態では、その切刃21aの先端が、ファインボーリング用工具19の切刃19aの先端よりも、工具本体17の中心から径方向外側に位置している。
逆に、上記粗面加工用工具21が図3中で右方向に突出した状態から、ドローバ31を図3中で下方に戻すことで、取付具27が板ばね28の作用によって工具本体17の中心側へ戻り、これとともに粗面加工用工具21が径方向内側へ移動する。この状態では、粗面加工用工具21の切刃21aの先端は、ファインボーリング用工具19の切刃19aの先端よりも、工具本体17の中心から径方向内側に位置している。
また、テーパ部33は、図4に示すように、工具本体17の中心軸線Sに対して偏心しており、ドローバ31の工具本体17に対する回転に伴うテーパ部33の回転により、粗面加工用工具21の径方向の突出量を調整する。
次に、第2の参考例の作用を説明する。切削工具15を、前記図1に示したものと同様にしてシリンダボア部5内に回転しながら挿入し、ファインボーリング用工具19によってシリンダボア内面7をファインボーリング加工する。このとき、粗面加工用工具21は径方向内側に位置してシリンダボア内面7に接触していない。
上記した切削工具15の一方向への移動によりシリンダボア内面7の全域をファインボーリング加工した後は、ドローバ31を図3中で上方で移動させて粗面加工用工具21を径方向外側へ突出させる。
この状態で、切削工具15を、回転させつつ、今度は上記とは逆にシリンダボア部5内から引き抜く方向へ移動させることで、粗面加工用工具21により、ファインボーリング加工後のシリンダボア内面7を粗面化加工する。このとき、ファインボーリング用工具19は粗面加工用工具21より径方向内側に位置してシリンダボア内面7に接触していない。
このように、第2の参考例では、切削工具15を一方向に移動させることで、シリンダボア内面7をファインボーリング用工具19によりファインボーリング加工を行い、その後、粗面加工用工具21を径方向外側へ突出させた状態で、上記一方向とは逆の他方向に移動させることで、ファインボーリング加工後のシリンダボア内面7に対して粗面化加工を行う。
したがって、第2の参考例においても、第1の参考例と同様に、粗面化加工に使用する粗面加工用工具21を、粗面化加工の前加工に使用するファインボーリング用工具19とともに同一の工具本体17に保持させているので、ファインボーリング加工時とその後の粗面化加工時での工具本体17の軸心ずれを防止でき、その結果粗面化加工を行う際の粗面加工用工具21は、取り代が均一化して切削抵抗を小さくでき、破損を防止できるとともに、粗面化加工面が均一化してその後形成する溶射皮膜の密着性が向上する。
なお、上記した各参考例において、シリンダボア内面7を切削加工する際には、切削工具3,15を固定状態とし、シリンダブロック1側を軸方向移動および回転移動させるようにしてもよい。
図5は、上記図2または図3に示した粗面加工用工具13または21のより具体化した構成を示す正面図、図6は図5の平面図であり、ここでは図1の粗面加工用工具13として示している。この粗面加工用工具13は、図6に示すように、円周方向等間隔に3つの切刃13aを備え、各切刃13aは、工具本体9の側面から外方に突出している。
そして、図1に示すように、切削工具3が、シリンダボア部5の軸線方向(図1中で上下方向)に移動しつつ、軸線を中心として図6中で反時計回り方向に回転することで、上記図5,図6に示した切刃13aにより、シリンダボア内面7をねじ状に切削加工する。
上記した3つの切刃13aは、加工に使用している1つが摩耗したときに、工具本体9から取り外し、120度回転させた状態で再度工具本体9に取り付けることで、他の切刃13aを使用することができる。
そして、この切削加工時に形成したねじ状部分の凹凸部における山部を除去して破断面を形成するために、上記した粗面加工用工具13は、切刃13aの図5中で上部の傾斜した面13bに、破断面形成刃としての凸部13cを設けている。凸部13cは、切刃13aのすくい面13dからその反対側の底面13eにわたり延長して形成してある。
上記した凸部13cは、図5のA部を拡大した切刃13aによって切削加工を行っている図7に示すように、粗面加工用工具13の送り方向後方側(図7中で上部側)のシリンダボア内面7に残るねじ状部分の山部39に応力を作用させ、これにより山部39を破断して破断面41を形成する。なお、図7中で、符号42は切刃13aの切削により発生する切り屑であり、粗面加工用工具13は、図7中で紙面裏側から同表側に向かって移動(回転)するものとする。
この際、切刃13aの凸部13cは、山部39の幅方向(図7中で上下方向)における切刃13a側(図7中で下部側)の一部に前記応力を作用させることで、山部39を破断する際の起点を形成する。このような山部39を破断する際の起点を形成することで、切刃13aによる切削加工時に、山部39を容易に破断することができ、破断面41の形状を安定化させることができる。
また、山部39を凸部13cによって容易に破断できるので、切刃13aに作用する切削応力が軽減し、粗面加工用工具13の長寿命化も達成することができる。
上記したよう、破断面41の形状が安定化することで、後述するような方法により、シリンダボア内面7に溶射皮膜を形成する際に、溶射皮膜のシリンダボア内面7に対する密着力を高めることができ、信頼性の高いシリンダボア内面7とすることができる。
なお、切刃13aに設けた凸部13cは、すくい面13d付近にのみ形成するなど、山部39に対して応力が作用するものであれば、上記図5,図6に示した形状に限定されるものではない。
図8は、前記図5に示した粗面加工用工具13とは別の例を示す粗面加工用工具43の正面図である。この粗面加工用工具43は、図5のものと同様に、円周方向等間隔に3つの切刃43aを備え、この切刃43aの図8中で上部の面43bに、前記図5の粗面加工用工具43の凸部13cに代えて、上記した面43bに膨出する破断面形成刃となる膨出部43cを設けている。
図9は、図8のB矢視図である。ここで切刃43aのすくい面43dが、シリンダボア内面7に対する法線Lに対し、粗面加工用工具43の回転移動方向と逆方向に角度α傾斜している。このすくい面43dの傾斜については、前記図5に示した粗面加工用工具13も同様である。
これに対して膨出部43cのすくい面43eは、同法線Mに対し、すくい面43dとは反対の、粗面加工用工具43の回転移動方向側に角度β傾斜している。
上記した粗面加工用工具43を使用して、シリンダボア内面7に対して粗面化加工を行う場合には、前記図7に相当する図10に示すように、図7と同様にして切刃43aによりシリンダボア内面7を切削加工してねじ状部分を形成するとともに、切削加工時に形成したねじ状部分の凹凸部における山部39の幅方向(図10中で上下方向)全体を、膨出部43cによって除去して前記図7に示したものとほぼ同様な破断面41を形成する。
このとき膨出部43cは、切刃43aの先端側に位置する端面43fが、山部39を除去した後の破断面41に接触した状態となる。
このように、図8の粗面加工用工具43を使用した場合には、粗面加工用工具43の送り方向後方側のシリンダボア内面7に残るねじ状部分の山部39の幅方向全体に、膨出部43cによって応力を作用させ、山部39を破断して破断面41を形成するようにしたので、切削時に発生する切削片によって破断面を形成する場合に比較して、破断面41の形状がより安定化する。
この際、膨出部43cのすくい面43eは、図9に示すようにシリンダボア内面7に対する法線Mに対し、すくい面43dとは反対の、粗面加工用工具43の回転移動方向側に角度β傾斜しているので、山部39の除去を、すくい面43dと同方向に傾斜する場合と比較して、より確実に行うことができる。
図11は、上記図8に示した粗面加工用工具43の変形例を示す、図10に相当する断面図である。この例は、粗面加工用工具43の膨出部43cにおける、山部39を除去した後の破断面41に接触する端面43fsに、破断面41を凹凸形状とするような凹凸形状部を設けている。
これにより、破断面41の形状がより微細なものとなり、溶射皮膜の密着力をより高めることができる。
図12は、本発明の第1の実施形態を示す粗面加工用工具45の正面図で、図13は図12の平面図である。この粗面加工用工具45は、図5のものと同様に、図13に示すように、円周方向等間隔に3つの切刃45aを備えている。
そして、図1に示すように、切削工具3が、シリンダボア部5の軸線方向(図1中で上下方向)に移動しつつ、軸線を中心として図13中で反時計回り方向に回転することで、上記図12,図13に示した切刃45aにより、シリンダボア内面7をねじ状に切削加工する。
切刃45aは、図12に示すように、図12中で上部側の面が、先端側が基端側に比べて図12中で下部側となる傾斜面45bに形成し、同下部側の面を水平面45cに形成している。また、傾斜面45bの先端側のすくい面45d近傍には突起45eを設けている。
このような3つの切刃45aは、加工に使用している1つが摩耗したときに、工具本体9から取り外し、120度回転させた状態で再度工具本体9に取り付けることで、他の切刃45aを使用することができる。
図14は、図12のC部を拡大した切刃45aによって切削加工を行っている状態を示す断面図である。なお、粗面加工用工具45は、図14中で紙面裏側から同表側に向かって移動(回転)するものとする。
上記した切削加工時、すなわち図1に示すように、切削工具3をシリンダボア部5内に回転させつつ挿入することで、シリンダボア内面7をねじ状に切削加工する際に、凹凸形状となるねじ状部分の山部39を、切刃45aの傾斜面45bまたは切削によって発生する切り屑42により破断し、破断面41を形成する。
また、傾斜面45bの先端側に設けた突起45eにより、互いに隣接する破断面41相互間に残る谷部47の工具送り方向後方側の斜面47aに凹部49を形成する。
このような切刃45aは、粗面加工用工具45の送り方向後方側のシリンダボア内面7に残るねじ状部分の山部39と山部39との間の谷部47の両側における斜面47a,47b相互がなす角度θの中心線Pが、シリンダボア内面7の法線Q方向に対して傾斜した状態となるよう切削加工する。
また、言い換えれば、切刃45aは、粗面加工用工具45の送り方向後方側のシリンダボア内面7に残るねじ状部分の山部39と山部39との間の谷部47の両側における斜面47a,47bの形状が、シリンダボア内面7の法線Q方向に対して非対称となるよう切削加工する。
したがって、切刃45aは、例えば図15に示すように、図14の水平面4cに代えて、切刃45aの先端の角度θがより鋭角的となる下部傾斜面45csとしてもよく、また図16に示すように、図14の水平面45cに代えて、切刃45aの先端の角度θがより鈍角的となる下部傾斜面45ctとしてもよい。
このように、図12の粗面加工用工具45を使用した場合には、粗面加工用工具45の送り方向後方側のシリンダボア内面7に残るねじ状部分の山部39と山部39との間の谷部47の両側における斜面47a,47b相互がなす角度θの中心線Pが、シリンダボア内面7の法線Q方向に対して傾斜した状態となるよう切削加工を行うようにしている。これにより、谷部47の両側の斜面47a,47bのうち一方側(図14〜16中で下部側の斜面47b)が、シリンダボア内面7の法線Q方向と一致し(図14)、あるいは法線Q方向により近い状態(図15,図16)となる。
このため、図17の比較例に示すような谷部470の形状、すなわち谷部470両側の斜面470a,470b相互がなす角度θが、シリンダボア内面70の法線Q方向に対して対称的となっている場合に比較して、本実施形態における谷部47の斜面47bを、法線Q方向により接近させた状態とすることができ、粗面化加工部分に形成する溶射皮膜の谷部47への侵入部分が剥離しにくくなる。なお、図17中で、符号450は粗面加工用工具、符号450aは粗面加工用工具450の切刃、符号390は山部、符号410は破断面である。
ところで、エンジン燃焼時に、図示しないピストンが燃料圧力を受けてシリンダボア内面7に対し、特に図1中で下方に向けて摺接しつつ移動する際に、シリンダボア内面7に形成する溶射皮膜を剥離しようとする力が作用する。
ところが、本実施形態では、上記した谷部47における図14〜図16中で下部側に位置する一方の斜面47bが、上部側に位置する他方の斜面47aに対してピストン下死点側に位置しており、この一方の斜面47bがシリンダボア内面7の法線Q方向により近い状態となっているので、前記したピストンが下方に摺接移動する際に溶射皮膜を剥離しようとする力が働いても、溶射皮膜の剥離を防止することができる。これは特に、図15の例ように、工具送り方向前方側に位置する一方の斜面47bが、法線Qよりも工具送り方向後方側に位置する他方の斜面47aに近づくように、法線Qに対して傾斜している場合に有効である。
このようなことからも、谷部47の両側の斜面47aのうち図14〜16中で下部側の斜面47bが、シリンダボア内面7の法線Q方向と一致し、あるいは法線Q方向により近い状態としている粗面加工用工具45を使用した場合には、粗面化加工後に形成する溶射皮膜の谷部47への侵入部分が剥離しにくくなり、溶射皮膜のシリンダボア内面7に対する密着力を高めることができ、信頼性の高いシリンダボア内面7とすることができる。
また、切刃45aの傾斜面45b上に設けた突起45eにより、谷部47の図14中で上部側の斜面47aには凹部49が形成されるので、この凹部49に溶射皮膜が入り込み、シリンダボア内面7に対する密着力をより一層高めることができる。
また、前記図15に示すように、図14の水平面45cに代えて、切刃45aの先端角度θがより鋭角的となる下部傾斜面47csとした場合には、図18に示すように、シリンダボア内面7に対して軸方向全体に切削加工を行わず、図18中で下端部に非加工部分Dを残す。
これにより、非加工部分Dより上部の切削加工部分における最下端部の谷部47が、シリンダボア内面7の下端開口部分に開口せず、閉じた状態となり、しかも最下端の谷部47の下部側の斜面47buが、図18中で右上がりとなっているので、この最下端の谷部47に入り込んだ溶射被膜が極めて剥離しにくくなり、溶射被膜全体としてシリンダボア内面7に対する密着力が向上する。
図19は、本発明の第2の実施形態を示す粗面加工用工具51の正面図で、図20は図19の平面図である。この粗面加工用工具51は、図20に示すように、円周方向等間隔に3つの切刃51aを備えている。
そして、図1に示すように、切削工具3が、シリンダボア部5の軸線方向(図1中で上下方向)に移動しつつ、軸線を中心として図20で反時計回り方向に回転することで、上記図19,図20に示した切刃51aにより、シリンダボア内面7をねじ状に切削加工する。
切刃51aは、図19に示すように、図19中で上部側の面が、先端側が基端側に比べて図19中で下部側となる上部傾斜面51bに形成するとともに、同下部側の面も、先端側が基端側に比べて図19中で下部側となる下部傾斜面51cに形成する。下部傾斜面51cは、上部傾斜面51bに対して傾斜が緩やかであり、これにより、上部傾斜面51bと下部傾斜面51cとの先端相互が交差して切刃51aの先端部を鋭角的に形成する。
また、上部傾斜面51bの先端側のすくい面51d近傍には上部突起51eを、下部傾斜面51cの先端側のすくい面51d近傍には下部突起51fを、それぞれ設けている。これら上部突起51eおよび下部突起51fは、凸状の凹部形成刃を構成している。
このような3つの切刃51aは、加工に使用している1つが摩耗したときに、工具本体9から取り外し、120度回転させた状態で再度工具本体9に取り付けることで、他の切刃51aを使用することができる。
図21は、図19のE部を拡大した切刃51aによって切削加工を行っている状態を示す断面図である。なお、粗面加工用工具51は、図21中で紙面裏側から同表側に向かって移動(回転)するものとする。
上記した切削加工時、すなわち図1に示すように、切削工具3をシリンダボア部5内に回転させつつ挿入することで、シリンダボア内面7をねじ状に切削加工し、このときねじ状部分の山部39の先端側を、切刃51aの上部傾斜面51bまたは切削によって発生する切り屑42により破断し、破断面41を形成する。
また、上部傾斜面51bの上部突起51eおよび下部傾斜面51cの下部突起51fにより、粗面加工用工具51の送り方向後方側のシリンダボア内面7に残るねじ状部分の山部39と山部39との間の谷部47の両側の斜面47a,47bに、凹部49,53をそれぞれ形成する。
このような切刃51aは、上記したねじ状部分の谷部47の両側における斜面47a,47b相互がなす角度θの中心線Pが、シリンダボア内面7の法線Q方向に対して傾斜した状態となるように切削加工する。
また、言い換えれば、切刃51は、上記したねじ状部分の谷部47の両側における斜面47a,47bの形状が、シリンダボア内面7の法線Q方向に対して非対称となるように切削加工する。
したがって、切刃51aは、例えば図22に示すように、図21の下部傾斜面51cに代えて、切刃51aの先端の角度θがより鈍角的となって法線Qと一致する水平面51csとしてもよく、また図23に示すように、図21の下部傾斜面51cに代えて、切刃51aの先端の角度θがさらに鈍角的となる下部傾斜面51ctとしてもよい。
このように、図19の粗面加工用工具51を使用した場合には、粗面加工用工具51の送り方向後方側のシリンダボア内面7に残るねじ状部分の山部39と山部39との間の谷部47の斜面47a,47bに凹部49,53をそれぞれ形成しつつ、シリンダボア内面7に対して粗面化加工を行うべく切削加工を実施している。
このため、ねじ状部分全体が、単に山部39と山部39との間に谷部47を形成する場合に比較して、凹部49,53を形成する分より微細に粗面化されるので、破断面41を形成することも相俟って、粗面化加工が充分なものとなる。この結果、粗面化加工したシリンダボア内面7に後述するような方法により形成する溶射皮膜が剥離しにくくなり、溶射皮膜のシリンダボア内面7に対する密着力を高めることができ、信頼性の高いシリンダボア内面7とすることができる。
また、図19の粗面加工用工具51を使用した場合には、図12の粗面加工用工具45を使用した場合と同様に、ねじ状部分の谷部47の両側における斜面47a,47b相互がなす角度θの中心線Pが、シリンダボア内面7の法線Q方向に対して傾斜した状態となるように切削加工を行うようにしている。これにより、谷部47の両側の斜面47a,47bのうち一方の斜面47bが、シリンダボア内面7の法線Q方向により近い状態となり(図21,23)、あるいは法線Q方向と一致する(図22)。
このため、前記図17の比較例に示すような谷部470の形状、すなわち谷部470両側の斜面470a,470b相互がなす角度θが、シリンダボア内面70の法線Q方向に対して対称的となっている場合に比較して、本実施形態における谷部47の斜面47bを、法線Q方向により接近させた状態とすることができ、粗面化加工部分に形成する溶射皮膜の谷部47への侵入部分が剥離しにくくなる。
したがって、この例では、前記図12の粗面加工用工具45を使用した場合と同様に、ピストンが下方に摺接移動する際に溶射皮膜を剥離しようとする力が働いても、溶射皮膜の剥離を防止することができるので、溶射皮膜のシリンダボア内面7に対する密着力を高めることができ、信頼性の高いシリンダボア内面7とすることができる。
図24は、前記図18に対応する断面図であり、この場合にも、図18と同様に、シリンダボア内面7における図24中で下端部に非加工部分Dを残すことで、非加工部分Dより上部の切削加工部分における最下端部の谷部47が、シリンダボア内面7の下端開口部分に開口せず、閉じた状態となり、しかも最下端の谷部47の下部側の斜面47buが、図24中で右上がりとなっているので、この谷部47に入り込んだ溶射被膜が極めて剥離しにくくなり、溶射被膜全体としてシリンダボア内面7に対する密着力がさらに向上する。
図25は、前記したシリンダブロック1のシリンダボア内面7に対して粗面化加工した後に溶射皮膜を形成するための溶射装置の概略を示す全体構成図である。この溶射装置は、シリンダボア内の中心に、ガス溶線式の溶射ガン55を挿入し、その溶射口55aから溶射用材料として溶融した鉄系金属材料を溶滴57として溶射してシリンダボア内面7に溶射皮膜59を形成する。
溶射ガン55は、溶線送給機61から溶射用材料として鉄系金属材料の溶線63の送給を受けるとともに、アセチレンまたはプロパンあるいはエチレンなどの燃料を貯蔵した燃料ガスボンベ65および酸素を貯蔵した酸素ボンベ67から、配管69および71を介して燃料ガスおよび酸素の供給をそれぞれ受ける。
上記した溶線63は、溶射ガン55に対し、中央部の上下に貫通する溶線送給孔73の上端から下方に向けて送給する。また、燃料および酸素は、溶線送給孔73の外側の円筒部75に、上下方向に貫通して形成してあるガス案内流路77に供給する。この供給した燃料および酸素の混合ガスは、ガス案内流路77の図25中で下端開口部77aから流出し、点火されることで燃焼炎79が形成される。
前記円筒部75の外周側には、アトマイズエア流路81を設けてあり、さらにその外周側には、いずれも円筒形状の隔壁83と外壁85との間に形成したアクセラレータエア流路87を設けてある。
アトマイズエア流路81を流れるアトマイズエアは、燃焼炎79の熱を前方(図25中で下方)へ送って周辺部に対する冷却を行うとともに、溶融した溶線63を同前方へ送る。一方、アクセラレータエア流路87を流れるアクセラレータエアは、上記前方へ送られ溶融した溶線63を、この送り方向と交差するように前記シリンダボア内面7に向けて溶滴57として送り、シリンダボア内面7に溶射皮膜59を形成する。
アトマイズエア流路81には、アトマイズエア供給源89から、減圧弁91を備えたエア供給管93を通してアトマイズエアを供給する。一方、アクセラレータエア流路87には、アクセラレータエア供給源95から、減圧弁97およびマイクロミストフィルタ99をそれぞれ備えたエア供給管101を通してアクセラレータエアを供給する。
アトマイズエア流路81とアクセラレータエア流路87との間の隔壁83は、図25中で下部側の先端部に、外壁85に対しベアリング103を介して回転可能となる回転筒部105を備えている。この回転筒部105の上部外周に、アクセラレータエア流路87に位置する回転翼107を設けてある。回転翼107に、アクセラレータエア流路87を流れるアクセラレータエアが作用することで、回転筒部105が回転する。
回転筒部105の先端(下端)面105aには、回転筒部105と一体となって回転する先端部材109を固定してある。先端部材109の周縁の一部には、前記したアクセラレータエア流路87にベアリング103を通して連通する噴出流路111を備えた突出部113を設けてあり、噴出流路111の先端に、溶滴57を噴出させる前記した溶射口55aを設けている。
溶射口55aを備える先端部材109が回転筒部105と一体となって回転しつつ溶射ガン55をシリンダボア部5の軸方向に移動させることで、シリンダボア内面7のほぼ全域に溶射皮膜59を形成する。
本発明の第1の参考例に係わる粗面化加工方法を示す断面図である。 (a)は図1の粗面化加工方法に使用する切削工具の正面図、(b)は同平面図である。 本発明の第2の参考例を示す切削工具の断面図である。 (a)は図3の切削工具内に収容するドローバ先端に形成したテーパ部の正面図、(b)は(a)の底面図である。 図2または図3に示した粗面加工用工具の具体化した構成を示す正面図である。 図5の平面図である。 図5のA部を拡大した切刃によって切削加工を行っている状態を示す断面図である。 図5の粗面加工用工具とは別の例を示す粗面加工用工具の正面図である。 図8のB矢視図である。 図8の粗面加工用工具によって切削加工を行っている状態を示す、図7に相当する断面図である。 図8の粗面加工用工具の変形例を示す、図10に相当する断面図である。 本発明の第1の実施形態を示す粗面加工用工具の拡大した正面図である。 図12の平面図である。 図12のC部を拡大した切刃によって切削加工を行っている状態を示す断面図である。 図14に対して他の例の切刃により切削加工を行っている状態を示す断面図である。 図14に対してさらに他の例の切刃によって切削加工を行っている状態を示す断面図である。 図14の例に対する比較例を示す断面図である。 図15の切刃によってシリンダボア内面に対して非加工部分を残す例を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態を示す粗面加工用工具の拡大した正面図である。 図19の平面図である。 図19のE部を拡大した切刃によって切削加工を行っている状態を示す断面図である。 図19に対して他の例の切刃により切削加工を行っている状態を示す断面図である。 図19に対してさらに他の例の切刃によって切削加工を行っている状態を示す断面図である。 図21の切刃によってシリンダボア内面に対して非加工部分を残す例を示す断面図である。 粗面化加工したシリンダボア内面に溶射皮膜を形成するための溶射装置の概略を示す全体構成図である。
符号の説明
3,15 切削工具
5 シリンダボア部(円筒状部材)
7 シリンダボア内面(円筒状部材の内面)
9,17 工具本体
11,19 ファインボーリング用工具(前加工用工具)
13,21,43,45,51 粗面加工用工具
13a,43a,45a,51a 切刃
13c 凸部(破断面形成刃)
39 ねじ状部分の山部
41 山部を破断して形成した破断面
43c 膨出部(破断面形成刃)
47 ねじ状部分の谷部
47a,47b 谷部の斜面
49,53 谷部の斜面に形成した凹部
51e 上部突起(凸状の凹部形成刃)
51f 下部突起(凸状の凹部形成刃)
θ 谷部の斜面相互がなす角度
P 谷部の斜面相互がなす角度の中心線
Q シリンダボア内面の法線

Claims (20)

  1. 円筒状部材に対し、その軸線方向に工具本体を相対的に送りつつ、軸線を中心として前記工具本体を相対的に回転させて、前記円筒状部材の内面をねじ状に切削加工して粗面化する際に、前記粗面化加工に使用する粗面加工用工具を、前記粗面化加工の前加工に使用する前加工用工具とともに同一の前記工具本体に保持させ、この工具本体を用いて、前記前加工用工具により前加工を行った後、前記粗面加工用工具により粗面化加工を行う粗面化加工方法であって、前記粗面加工用工具の送り方向後方側の前記円筒状部材の内面に残るねじ状部分の山部と山部との間の谷部の両側における斜面相互がなす角度の中心線が、前記円筒状部材の内面の法線方向に対して前記粗面加工用工具の送り方向後方側に傾斜した状態となるよう切削加工を行うことを特徴とする粗面化加工方法。
  2. 円筒状部材に対し、その軸線方向に工具本体を相対的に送りつつ、軸線を中心として前記工具本体を相対的に回転させて、前記円筒状部材の内面をねじ状に切削加工して粗面化する際に、前記粗面化加工に使用する粗面加工用工具を、前記粗面化加工の前加工に使用する前加工用工具とともに同一の前記工具本体に保持させ、この工具本体を用いて、前記前加工用工具により前加工を行った後、前記粗面加工用工具により粗面化加工を行う粗面化加工方法であって、前記粗面加工用工具の送り方向後方側の前記円筒状部材の内面に残るねじ状部分の山部と山部との間の谷部の両側における斜面の形状が、前記円筒状部材の内面の法線方向に対して非対称でかつ、前記谷部の両側における斜面のうち前記法線から遠い側にある斜面が前記粗面加工用工具の送り方向後方側となるように切削加工を行うことを特徴とする粗面化加工方法。
  3. 前記粗面加工用工具は、前記前加工用工具よりも、前記工具本体の軸心に対して径方向外側でかつ、前記工具本体の前記軸線方向への工具送り方向後方側に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の粗面化加工方法。
  4. 前記粗面加工用工具は、前記工具本体に対して径方向に移動可能であり、前記前加工時には、前記前加工用工具よりも前記工具本体の軸心寄りに位置する一方、前記粗面化加工時には、前記前加工用工具よりも前記工具本体の軸心から離れた位置にあることを特徴とする請求項1または2に記載の粗面化加工方法。
  5. 前記前加工用工具により前加工を行う際には、前記工具本体を前記円筒部材に対してその軸線に沿って一方側に向けて相対移動させ、前記粗面化加工用工具により粗面化加工を行う際には、前記工具本体を前記円筒部材に対してその軸線に沿って前記一方側とは逆の他方側に向けて相対移動させることを特徴とする請求項に記載の粗面化加工方法。
  6. 円筒状部材に対し、その軸線方向に工具本体を相対的に送りつつ、軸線を中心として前記工具本体を相対的に回転させて、前記円筒状部材の内面をねじ状に切削加工して粗面化する粗面加工用工具を、前記粗面化加工の前加工に使用する前加工用工具とともに同一の前記工具本体に保持させた切削工具であって、前記粗面加工用工具の送り方向後方側の前記円筒状部材の内面に残るねじ状部分の山部と山部との間の谷部の両側における斜面相互がなす角度の中心線が、前記円筒状部材の内面の法線方向に対して前記粗面加工用工具の送り方向後方側に傾斜した状態となるよう切削加工する切刃を有することを特徴とする切削工具。
  7. 円筒状部材に対し、その軸線方向に工具本体を相対的に送りつつ、軸線を中心として前記工具本体を相対的に回転させて、前記円筒状部材の内面をねじ状に切削加工して粗面化する粗面加工用工具を、前記粗面化加工の前加工に使用する前加工用工具とともに同一の前記工具本体に保持させた切削工具であって、前記粗面加工用工具の送り方向後方側の前記円筒状部材の内面に残るねじ状部分の山部と山部との間の谷部の両側における斜面の形状が、前記円筒状部材の内面の法線方向に対して非対称でかつ、前記谷部の両側における斜面のうち前記法線から遠い側にある斜面が前記粗面加工用工具の送り方向後方側となるよう切削加工する切刃を有することを特徴とする切削工具。
  8. 前記粗面加工用工具は、前記前加工用工具よりも、前記工具本体の軸心に対して径方向外側でかつ、前記工具本体の前記軸線方向への工具送り方向後方側に位置することを特徴とする請求項6または7に記載の切削工具。
  9. 前記粗面加工用工具は、前記工具本体に対して径方向に移動可能であり、前記前加工時には、前記前加工用工具よりも前記工具本体の軸心寄りに位置する一方、前記粗面化加工時には、前記前加工用工具よりも前記工具本体の軸心から離れた位置にあることを特徴とする請求項6または7に記載の切削工具。
  10. 前記粗面加工用工具の送り方向後方側の前記円筒状部材の内面に残るねじ状部分の山部に前記粗面加工用工具により応力を作用させ、前記山部を破断して破断面を形成することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の粗面化加工方法。
  11. 前記山部の幅方向における前記粗面加工用工具側の一部に前記応力を作用させることで、この応力作用部を、前記山部を破断する際の起点とすることを特徴とする請求項10に記載の粗面化加工方法。
  12. 前記山部の幅方向における山部全体に前記応力を作用させることで、前記山部の幅方向全体を破断させることを特徴とする請求項10に記載の粗面化加工方法。
  13. 前記ねじ状部分の谷部に凹部を形成しつつ切削加工を行うことを特徴とする請求項1ないし10ないし12のいずれか1項に記載の粗面化加工方法。
  14. 前記凹部が、前記ねじ状部分の谷部の両側における斜面に形成されるよう切削加工することを特徴とする請求項13に記載の粗面化加工方法。
  15. 前記粗面加工用工具は、前記円筒状部材の内面をねじ状に切削加工する切刃と、この切刃に設けられ、前記粗面加工用工具の送り方向後方側の前記円筒状部材の内面に残るねじ状部分の山部に応力を作用させてこの山部を破断して破断面を形成する破断面形成刃とを、それぞれ有することを特徴とする請求項ないしのいずれか1項に記載の切削工具。
  16. 前記破断面形成刃は、前記山部の幅方向における前記粗面加工用工具側の一部に前記応力を作用させることで、この応力作用部を起点として前記山部を破断することを特徴とする請求項15に記載の切削工具。
  17. 前記破断面形成刃は、前記山部の幅方向における山部全体に前記応力を作用させることで、前記山部の幅方向全体を破断させることを特徴とする請求項15に記載の切削工具。
  18. 前記破断面形成刃は、前記山部の幅方向全体を破断して形成する破断面に対して凹凸形状とするための凹凸形状部を備えていることを特徴とする請求項17に記載の切削工具。
  19. 前記円筒状部材の内面をねじ状に切削加工する切刃と、この切刃に設けられ、前記粗面加工用工具の送り方向後方側の前記円筒状部材の内面に残るねじ状部分の山部と山部との間の谷部に凹部を形成する凸状の凹部形成刃とを、それぞれ有することを特徴とする請求項ないし,15ないし18のいずれか1項に記載の切削工具。
  20. 前記切刃は、前記凸状の凹部形成刃が、前記ねじ状部分の谷部の両側における斜面に前記凹部を形成することを特徴とする請求項19に記載の切削工具。
JP2005125539A 2005-04-22 2005-04-22 粗面化加工方法および切削工具 Active JP4654751B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005125539A JP4654751B2 (ja) 2005-04-22 2005-04-22 粗面化加工方法および切削工具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005125539A JP4654751B2 (ja) 2005-04-22 2005-04-22 粗面化加工方法および切削工具

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010165818A Division JP4985832B2 (ja) 2010-07-23 2010-07-23 粗面化加工方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006297566A JP2006297566A (ja) 2006-11-02
JP4654751B2 true JP4654751B2 (ja) 2011-03-23

Family

ID=37466261

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005125539A Active JP4654751B2 (ja) 2005-04-22 2005-04-22 粗面化加工方法および切削工具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4654751B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104972182A (zh) * 2015-06-15 2015-10-14 烟台旺远液压有限公司 一种新式的螺塞孔复合刀
CN106346047A (zh) * 2016-08-25 2017-01-25 张家港清研再制造产业研究院有限公司 一种发动机缸体缸孔表面粗化方法

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2957541B1 (fr) * 2010-03-18 2012-06-08 Peugeot Citroen Automobiles Sa Procede et dispositif d'usinage d'un fut cylindrique et procede de fabrication utilisant ce procede d'usinage
JP6853677B2 (ja) * 2017-01-24 2021-03-31 清水建設株式会社 水処理システム及び水処理方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000176716A (ja) * 1998-12-11 2000-06-27 Nissan Motor Co Ltd シリンダボア加工装置およびこれを用いた加工方法
JP2002155350A (ja) * 2000-11-16 2002-05-31 Nissan Motor Co Ltd 円筒内面の溶射前処理形状および溶射前処理方法
JP2002276662A (ja) * 2001-03-15 2002-09-25 Toshiba Corp 軸受およびその製造方法
JP2003328108A (ja) * 2002-05-02 2003-11-19 Tocalo Co Ltd 円筒内面への溶射方法及びこの溶射方法により製造したシリンダブロック
JP2005088091A (ja) * 2003-09-12 2005-04-07 Nissan Motor Co Ltd 切削工具の切刃構造

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5427480A (en) * 1994-04-25 1995-06-27 Valenite Inc. Boring tool having an adjustable cutter element

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000176716A (ja) * 1998-12-11 2000-06-27 Nissan Motor Co Ltd シリンダボア加工装置およびこれを用いた加工方法
JP2002155350A (ja) * 2000-11-16 2002-05-31 Nissan Motor Co Ltd 円筒内面の溶射前処理形状および溶射前処理方法
JP2002276662A (ja) * 2001-03-15 2002-09-25 Toshiba Corp 軸受およびその製造方法
JP2003328108A (ja) * 2002-05-02 2003-11-19 Tocalo Co Ltd 円筒内面への溶射方法及びこの溶射方法により製造したシリンダブロック
JP2005088091A (ja) * 2003-09-12 2005-04-07 Nissan Motor Co Ltd 切削工具の切刃構造

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104972182A (zh) * 2015-06-15 2015-10-14 烟台旺远液压有限公司 一种新式的螺塞孔复合刀
CN106346047A (zh) * 2016-08-25 2017-01-25 张家港清研再制造产业研究院有限公司 一种发动机缸体缸孔表面粗化方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006297566A (ja) 2006-11-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4059247B2 (ja) 粗面化加工方法および切削工具
JP4059246B2 (ja) 粗面化加工方法および切削工具
JP4093228B2 (ja) 粗面化加工方法および切削工具
JP4645468B2 (ja) シリンダボア内面の加工方法およびシリンダブロック
JP4617806B2 (ja) 溶射前処理方法
TW201741075A (zh) 機械加工工具之刃前緣部構造及其表面處理方法
JP2002155350A (ja) 円筒内面の溶射前処理形状および溶射前処理方法
JP4654751B2 (ja) 粗面化加工方法および切削工具
JP2007277607A (ja) 円筒内面の溶射前下地加工方法および円筒内面の溶射前下地処理形状
JP2019526458A (ja) 一体形成されたクーラント偏向部および工具本体を備えたクーラントチャンバを有する切削工具
WO2013133118A1 (ja) 溶射被膜面の仕上げ加工方法、及び、加工用工具
JP4985832B2 (ja) 粗面化加工方法
JP4051996B2 (ja) 円筒内面への溶射方法及びシリンダブロックの生産方法
JP4617807B2 (ja) 溶射前処理方法
JPH0825109A (ja) 切削工具
JP6389205B2 (ja) ドリルを用いた加工方法およびクーラント噴出穴付きドリル
US10155268B2 (en) Cutting edge configuration of cutting tool
JP2007313574A (ja) 穴あけ工具
JP4379277B2 (ja) 溶射前処理形状および溶射方法
JP2011001614A (ja) 溶射前処理方法及び溶射前処理形状並びに溶射前処理装置
JP2005169590A (ja) ドリル
JP4103745B2 (ja) 切削工具の切刃構造および円筒部材の切削加工方法
JP2014039963A (ja) クーラント噴出穴付きドリル
JP4507795B2 (ja) 溶射前処理方法
JP4412687B2 (ja) 仕上用エンドミル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080325

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100527

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100601

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100723

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101124

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101207

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140107

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4654751

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150