JP4654460B2 - 家庭用ガス燃焼器具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家庭用ガス引込口から供給された燃料ガスを燃焼する家庭用ガス燃焼器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、家庭用ガス燃焼器具へ供給するガス種としては、主に都市ガスとLPガス(プロパンを主成分とした液化石油ガスで、以下、LPGと呼ぶ)とが知られているが、LPGはやや高価である。そこで、最近、安価なジメチルエーテル(以下、DMEと呼ぶ)をLPGの代替燃料として使用することが検討されている。
また、DMEの供給は現在のところ十分なものではないので、常にDMEを使い続けることができる保障もなく、DMEの供給が滞った場合には、LPGを使う必要があり、今後LPGをDMEに置き換えるようにしても、当面の間はDMEとLPGとの並行使用をすることも考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、DMEとLPGとはウォッベ指数(WI)が大幅に異なるため、LPG用の燃焼器具にそのままDMEを供給すると、単位時間当たりの発熱量(インプット)が大幅に変化して燃焼器具の燃焼や出力などの特性が悪化してしまうので、供給ガスがDMEかLPGかを判別する必要がある。
そこで、本発明の家庭用ガス燃焼器具は上記課題を解決し、異常燃焼をさせることなく燃料ガスの種類を判別して安全と利便性を図った家庭用ガス燃焼器具を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の請求項1記載の家庭用ガス燃焼器具は、
燃焼器具本体へ供給される燃料ガスの種類を、該燃料ガスを燃焼させる前に判別するガス種判別手段と、
その判別結果を報知する報知手段とを備え、
上記ガス種判別手段は、上記燃料ガスを所定温度の冷却面に接触させ、その凝縮状態に基づいてガス種を判別することを要旨とする。
【0006】
また、本発明の請求項2記載の家庭用ガス燃焼器具は、
燃焼器具本体へ供給される燃料ガスの種類を、該燃料ガスを燃焼させる前に判別するガス種判別手段と、
上記燃料ガスの種類が上記燃焼器具本体の仕様と異なる場合に、上記燃焼器具本体の燃焼を禁止する燃焼禁止手段とを備え、
上記ガス種判別手段は、上記燃料ガスを所定温度の冷却面に接触させ、その凝縮状態に基づいてガス種を判別することを要旨とする。
【0008】
また、本発明の請求項3記載の家庭用ガス燃焼器具は、
燃焼器具本体に供給される燃料ガスの種類を、該燃料ガスを燃焼させる前に判別するガス種判別手段と、
少なくとも2種類の燃料ガスに対してそれぞれ燃焼可能な仕様を設定する仕様設定手段と、
上記ガス種判別手段で判定されたガス種に対応する仕様に自動的に切り替える自動切替手段とを備え、
上記ガス種判別手段は、上記燃料ガスを所定温度の冷却面に接触させ、その凝縮状態に基づいてガス種を判別することを要旨とする。
【0011】
また、本発明の請求項4記載の家庭用ガス燃焼器具は、上記請求項1〜3の何れかに記載の家庭用ガス燃焼器具において、
上記燃料ガスの凝縮状態を、凝縮面における電気抵抗値に基づいて判断することを要旨とする。
【0012】
また、本発明の請求項5記載の家庭用ガス燃焼器具は、上記請求項1〜3の何れかに記載の家庭用ガス燃焼器具において、
上記燃料ガスの凝縮状態を、凝縮面における光の反射状況に基づいて判断することを要旨とする。
【0013】
また、本発明の請求項6記載の家庭用ガス燃焼器具は、上記請求項1〜3の何れかに記載の家庭用ガス燃焼器具において、
上記燃料ガスの冷却は、ペルチェ素子により行なうことを要旨とする。
【0014】
また、本発明の請求項7記載の家庭用ガス燃焼器具は、上記請求項1〜6の何れかに記載の家庭用ガス燃焼器具において、
上記燃料ガスの判別は、ジメチルエーテルとLPガスとの判別であることを要旨とする。
【0015】
上記構成を有する本発明の請求項1記載の家庭用ガス燃焼器具は、燃焼器具本体に供給される燃料ガスを燃焼させる前に、ガス種判別手段で燃料ガスの種類を判別して、その判別結果を使用者に報知する。この報知を受けて使用者は、燃焼器具の仕様変更等の対応をすることができる。
また、燃料ガス種毎に凝縮点が異なることから、燃料ガスがガス種判別手段の冷却面に接触する際の凝縮状態も異なることを利用して、ガス種判別手段がこの凝縮状態に基づいてガス種を判別する。
特に、判別対象の燃料ガスが2種類のみの場合には、冷却面の温度を一方の燃料ガスの凝縮点と他方の燃料ガスの凝縮点との間の値に設定しておくと、低凝縮点の燃料ガスは凝縮しないが、高凝縮点の燃料ガスは凝縮するため、凝縮液の有無という明確な違いから容易にガス種を判別できる。
【0017】
また、本発明の請求項2記載の家庭用ガス燃焼器具は、ガス種判別手段の判別結果に基づいて、燃料ガスの種類が燃焼器具本体の仕様と異なると判断される場合には、燃焼禁止手段により燃焼器具本体の燃焼を禁止する。
また、燃料ガス種毎に凝縮点が異なることから、燃料ガスがガス種判別手段の冷却面に接触する際の凝縮状態も異なることを利用して、ガス種判別手段がこの凝縮状態に基づいてガス種を判別する。
特に、判別対象の燃料ガスが2種類のみの場合には、冷却面の温度を一方の燃料ガスの凝縮点と他方の燃料ガスの凝縮点との間の値に設定しておくと、低凝縮点の燃料ガスは凝縮しないが、高凝縮点の燃料ガスは凝縮するため、凝縮液の有無という明確な違いから容易にガス種を判別できる。
【0019】
また、本発明の請求項3記載の家庭用ガス燃焼器具は、仕様設定手段により、複数種類の燃料ガスに対してそれぞれ燃焼可能な仕様を設定しておき、自動切替手段により、ガス種判別手段で判別されたガス種に対応する仕様に自動的に切り替える。
また、燃料ガス種毎に凝縮点が異なることから、燃料ガスがガス種判別手段の冷却面に接触する際の凝縮状態も異なることを利用して、ガス種判別手段がこの凝縮状態に基づいてガス種を判別する。
特に、判別対象の燃料ガスが2種類のみの場合には、冷却面の温度を一方の燃料ガスの凝縮点と他方の燃料ガスの凝縮点との間の値に設定しておくと、低凝縮点の燃料ガスは凝縮しないが、高凝縮点の燃料ガスは凝縮するため、凝縮液の有無という明確な違いから容易にガス種を判別できる。
【0022】
また、本発明の請求項4記載の家庭用ガス燃焼器具は、凝縮面における電気抵抗値に基づいて燃料ガスの凝縮状態を判断してガス種を判別する。
例えば、凝縮面上に二つの電極を設け、この電極間の電気抵抗値の低下により、凝縮したことを検出して、ガス種を判別する。
【0023】
また、本発明の請求項5記載の家庭用ガス燃焼器具は、凝縮面で燃料ガスが凝縮していれば照射光の反射角度や反射光強度が変化することを利用して、凝縮面へ照射した光の反射状況に基づいて燃料ガスの凝縮状態を判断してガス種を判別する。
【0024】
また、本発明の請求項6記載の家庭用ガス燃焼器具は、ペルチェ素子に直流電流を流して吸熱面を所定温度まで冷却させる。その吸熱面に接触した燃料ガスの凝縮点がこの冷却温度より高い場合には、燃料ガスが凝縮するので、その凝縮状態からガス種を判別する。
【0025】
また、本発明の請求項7記載の家庭用ガス燃焼器具は、DMEとLPGとを判別する。DMEは、LPGと同様にガスボンベに液化封入して供給できるため、LPGの代替燃料として使うことができる。しかも、そのガス種を判別できるため、それに合わせてガス供給量や空気供給量を調整することで家庭用ガス燃焼器具を適切に使用できる。
【0026】
【発明の実施形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の家庭用ガス燃焼器具の好適な実施形態を説明する。
《第1実施形態》
本発明の第1実施形態としての給湯器は、屋外設置タイプで、図1に示すように、器具本体12内に燃焼室20が設けられ、その下方に設けられた給気ファン36により燃焼用空気が取り込まれる。
【0027】
燃焼室20内には、下から順に、燃料ガスと給気ファン36からの一次空気との混合ガスを燃焼するバーナ22と、バーナ22の燃焼熱により通水を加熱するフィンチューブ式熱交換器18とが設けられる。燃焼室20の上部には、熱交換器18で熱交換後の燃焼排気を器体外へ排出する排気口44が形成される。
【0028】
器具本体12内に設けられる通水管は、上流から順に、燃焼室20を外側で巻回する給水管14,熱交換器18に設けられる伝熱管18a,出湯管16からなる。この給水管14には、水流センサや水ガバナを備える水側制御ユニット50と、入水温サーミスタ13とが設けられ、また、出湯管16には出湯温サーミスタ15が設けられる。
【0029】
また、器具本体12のガス接続口26からバーナ22へのガス管52には、上流から順に、燃料ガスの種類を判別するガス種判別装置70,ガスガバナ24,主電磁弁54,ガス比例弁56が設けられる。
器具本体12のガス接続口26には、屋内に配設されたガス配管51が接続され、家庭用ガス引込口53に接続されたガスボンベ60から燃料ガスが供給される。ガスボンベ60としては、LPG(本実施形態では純プロパン)が封入されたLPGボンベか、DMEが封入されたDMEボンベの何れかが使用される。
【0030】
また、水側制御ユニット50内の水流センサや、主電磁弁54、ガス比例弁56、ガス種判別装置70等は、この給湯器10の燃焼を制御する器具コントローラ58に電気的に接続されている。
また、給湯器10は、器具コントローラ58を遠隔制御するリモコン30を備え、このリモコン30には、各種設定スイッチ、表示器の他、ガス種判別装置70の判別結果を点灯により報知するLPGランプ31,DMEランプ32が設けられる。
【0031】
ガス管52に設けられたガス種判別装置70は、図3に示されるように、絶縁基板上に2本の導線71a,71bを互いに接触しない程度に接近した状態で全体に渡って配置した凝縮板72と、凝縮面の温度を検出する温度センサ78と、図2に示されるように、凝縮板72の下面に吸熱面を当接させたペルチェ素子73と、これらを収納する凝縮ケース74と、ペルチェ素子73に電力を供給する電源供給線73aと、図1に示されるように、凝縮ケース74の外面に設けられ供給ガス種を報知するLPGランプ75,DMEランプ76と、判別コントローラ77とを備える。
【0032】
判別コントローラ77は、図6に示されるように、主にマイコンにより構成される主制御部77aと、凝縮板72を冷却するためにペルチェ素子73への通電量を調整する駆動回路77bと、各ランプ75,76を点灯制御する駆動回路77cと、温度センサ78から凝縮板72の温度を検出する温度検出回路77dと、導線71a,71bのab間の電気抵抗を検出する電気抵抗検出回路77eと、器具コントローラ58の制御信号を入力し、ガス種判別信号を出力する入出力インターフェース77fと、器具コントローラ58からの電力供給を受ける電源部77gとからなる。
【0033】
こうした構成の判別コントローラ77は、導線71a,71bのab間の抵抗値を検出して、燃料ガスの種類を判別する。導線71a,71bは、互いに接触していないため、両者が短絡しない限り電流が流れず、ab間の抵抗値が非常に大きい。
また、給湯器10のフロントケースには表示窓が設けられ、LPGランプ75,DMEランプ76が表示されるようになっている。
【0034】
このように構成されたガス種判別装置70を内蔵した給湯器10の動作を図4のフローチャートを用いて説明する。
先ず、図示しない給湯栓を開くことにより給水管14に水(図中破線矢印)が流れると、水側制御ユニット50内の水流センサからの検知信号により器具コントローラ58が制御動作を行い、給気ファン36を駆動してプリパージを開始すると共に、器具コントローラ58から判別コントローラ77へガス種判別指令を出力し、温度センサ78の検出値が−30℃となるようにペルチェ素子73への直流電流を制御して凝縮板72を冷却し、凝縮ケース74内の燃料ガスを凝縮板72上で冷却させる(S1)。
【0035】
凝縮ケース74内にDMEが存在する場合には、その凝縮点が−25.1℃であることから、冷却により凝縮板72上で凝縮する。
一方、凝縮ケース74内にLPGが存在する場合には、プロパンの凝縮点が−42.0℃であることから、LPGが凝縮板72上で凝縮することはない。
従って、凝縮板72上の凝縮液の有無により、ガス種を判別することができる。
【0036】
凝縮板72上で凝縮していれば、凝縮液(つまり、DME)により導線71aと71bとが短絡して判別コントローラ77の検出する電気抵抗値が大幅に低下し、凝縮していなければ、電気抵抗値が変化しないため、この電気抵抗値に基づいて凝縮液の有無を検知する(S2)。
【0037】
凝縮液有りと判断した場合には、燃料ガスがDMEであると判定し(S3,S4)、凝縮液無しと判断した場合には、燃料ガスがLPGであると判定して(S3,S5)、この判定結果を判別信号として判別コントローラ77から器具コントローラ58へ出力し(S6)、ガス種判別装置70およびリモコン30にそれぞれに設けられたランプ31,32,75,76のうち、供給ガスに対応するランプを点灯して報知する(S7)。つまり、LPGと判定されれば、LPGランプ31,75を点灯し、DMEと判定されれば、DMEランプ32,76を点灯する。
【0038】
そして、判別されたガス種に対応する空燃比制御データを選択する(S8)。この空燃比制御データは、各ガス種毎に、要求インプットIp(後述する)に対するガス比例弁電流I(図5参照)と給気ファン36の回転数との目標制御値を表すもので不揮発性メモリに記憶されている。
【0039】
次に、リモコン30で設定された出湯温度と入水温サーミスタ13で検出された入水温度との温度差に入水流量を乗じて要求インプットIpを算出し、選択された空燃比制御データに基づいてフィードフォーワード燃焼制御を開始する。この燃焼制御中に、出湯温サーミスタ15で検出される湯温と設定温度とに温度差があると、熱交換器18の出口温度を一定に保たせるように比例弁電流Iを連続的に補正すると共に、常にガス量と給気量とが所定の関係に保たれるように給気ファン36の回転数も補正するフィードバック燃焼制御を行う(S9)。
このような燃焼制御を行いつつ、ステップ2へ戻って同様の制御を繰り返し、常時ガス種を判断する。
つまり、ガス種が変更されたことを判定した場合には、自動的にその変更後のガス種に適した空燃比制御データに切り替えてフィードフォワード燃焼制御およびフィードバック燃焼制御を行う。
【0040】
上述した給湯器10では、例えば、DMEからLPGにガス種を変更するためにガスボンベ60を交換した直後には、給湯器10の使用開始時に、ガス配管51,凝縮ケース74,ガス管52内にDMEが溜まっている場合があり、凝縮ケース74内にある燃料ガス、つまりDMEが供給ガスとして判別される。そして、バーナ22の燃焼により、ガス配管51中に残存していたDMEが消費されるに伴って、新しいガスボンベ60内のLPGが、給湯器10側へ送られ、凝縮ケース74に到達して供給ガスとして判別され、LPG仕様で燃焼される。
【0041】
この場合、ガス種判別装置70が給湯器10から遠く離れた位置、例えば家庭用ガス引込口53近傍に設けられていると、給湯器10の使用中にガス種判別装置70内の燃料ガスがDMEからLPGに切り替わり、実際には残存DMEをバーナ22で燃焼しようとしているのに、給湯器10は、判別された燃料ガス(LPG)の仕様に変更してしまい、このアンマッチ(不一致)により異常燃焼してしまう。
これに対して、本実施形態では、ガス種判別装置70が給湯器10に内蔵されてバーナ22と非常に近い位置にあるため、ガス種判別装置70で判別された種類の燃料ガスは、すぐにバーナ22へ噴出され、判別されたガス種通りの仕様で正常に燃焼することができ、安全である。
【0042】
また、ガス種変更を検知すると、そのガス種の仕様に自動的に変更して燃焼制御を行うため、常に適切な仕様で燃焼できて安全である。
しかも、使用者あるいは作業者がわざわざ手動で器具の設定仕様を切り替える必要がなく便利である。
更に、手動切替の場合は、切り替え終わるまで給湯器10の燃焼を停止する必要があるが、本実施形態では自動切替であるため、給湯器10の燃焼をわざわざ停止しなくてもよく、そのまま使用できて便利である。
【0043】
また、ガス種判別を常時行っているため、上述のようにガスボンベ60の交換後に、給湯器10を使用している途中でガス配管51中のガス種が切り替わってもガス種変更を迅速に検知でき、速やかに器具の仕様を変更して対応ができる。
【0044】
DMEは、ガスボンベに液化封入できるため、ガスボンベという供給形態を採っているLPGの代替燃料として用いることができ、しかもLPGより安価である。給湯器10は、ガス種判別装置70を備えているため、LPGとこの安価なDMEを並行使用しても正常に燃焼できて安全である。また、DMEの供給事情に合わせてLPGに切り替えてもLPG用の仕様に変更されるため、給湯器10を安全に運転することができる。
【0045】
また、この給湯器10は、例えば密度等の物性がよく似たLPGとDMEとを凝縮点の違いを利用して容易に判別することができる。
特に、燃料ガスの冷却温度をLPGの凝縮点(−42℃)とDMEの凝縮点(−25.1℃)との間の温度(−30℃)にして、燃料ガスが凝縮するか否かというはっきりした事象を捉えているため、ガス種を正確に判別できる。
また、冷却面の温度を調整するという簡単な方法で様々な燃料ガスの判別に対応できる。
【0046】
しかも、凝縮面での導線71a,71b間の電気抵抗値を検出するという簡単な構成でガス種を判別できるため安価である。
加えて、ペルチェ素子73により凝縮板72を所定温度まで簡単に冷却することができるため、ガス種判別装置70のコンパクト化を図ることができる。
【0047】
特に、本実施形態では、ガス種変更を検知すると、使用者による切替操作なしで器具の仕様が自動切替されるためガス種変更に気付きにくいが、リモコン30のランプ31,32の何れかの点灯により凝縮ケース74内の燃料ガスの種類を把握できる。
【0048】
《第2実施形態》
次に、第2実施形態について図7,図8を用いて説明する。尚、第1実施形態と異なる部分について説明し、重複する部分に関しては同一符号を付してその説明を省略する。第2実施形態は、ガス種判別装置のみが第1実施形態と異なる。
【0049】
第2実施形態におけるガス種判別装置80は、図7に示すように、上面が平滑な凝縮板82と、凝縮板82の下面に吸熱面を当接したペルチェ素子83と、これらを収納する凝縮ケース84と、凝縮ケース84の外側上部に設けられ一定の強度の光Aを発する光源85と、同じく凝縮ケース84の外側上部に設けられ光を検知する光センサ86と、判別コントローラ87とを備える。
【0050】
この凝縮板82は、光源85からの光Aが当たる中央部に水平に設けられ鏡面を形成した反射部82aと、反射部82aに向かって下り傾斜をした傾斜部82bとからなる。
また、光センサ86は、光源85からの光Aが全反射した場合、つまり、凝縮板82で入射角Pと反射角Qとが等しい状態で反射した場合に、その反射光Bを最大強度として検知する位置に設けられる。
【0051】
判別コントローラ87は、図8に示されるように、主にマイコンにより構成される主制御部77aと、凝縮板82を冷却するためにペルチェ素子83への通電量を調整する駆動回路77bと、各ランプ75,76を点灯制御する駆動回路77cと、温度センサ78から凝縮板82の温度を検出する温度検出回路77dと、光源85を点灯制御する駆動回路87hと、光センサ86で反射光を検出する光検出回路87iと、器具コントローラ58からの制御信号を入力し、ガス種判別信号を出力する入出力インターフェース77fと、器具コントローラ58から電力供給を受ける電源部77gとからなる。
【0052】
こうした構成のガス種判別装置80では、図4のフローチャートのステップ2の凝縮液の有無の検知を以下のように行う。
光源85から一定強度の光Aを所定角度Pで照射させ、光センサ86によってその反射光の強度を検知する。
【0053】
燃料ガスがLPGの場合には、凝縮板82に凝縮液が生じず、光センサ86の検出する光Bの強度は、凝縮判断値以上となる。
一方、燃料ガスがDMEの場合には、ペルチェ素子83により冷却されて凝縮板82上で凝縮液となり、傾斜部82bを滑り落ちながら中央の反射部82aに溜まる。そして、光源85からの光Aが凝縮液に当たって、光の一部が凝縮液に入る時と出る時に2回屈折するため、反射角度Qが入射角度Pからずれると共に反射光強度が弱まり、光センサ86の検出する光Cの強度は、凝縮判断値を下回る。
このように反射光の強度に基づいて凝縮液の有無を判断して、燃料ガスの種類を判別する。
【0054】
上述のガス種判別装置80によれば、凝縮板82上の凝縮液により反射された光は、強度と反射角度の両方が変化するため、凝縮液の発生をより正確に捉えることができ、確実にガス種を判定できる。
また、凝縮板82の反射部82aの周囲となる傾斜部82bが反射部82aに向かって下り勾配となっているため、反射部82aで凝縮液がすぐに発生しなくても傾斜部82bで発生すれば反射部82aに集まるため、凝縮液が有ることを迅速に検出することができる。
【0055】
《第3実施形態》
次に、第3実施形態について図9のフローチャートを用いて説明する。尚、第1実施形態と異なる部分について説明し、重複する部分に関しては同一符号を付してその説明を省略する。第3実施形態は、ガス種判別後に手動で仕様切替を行う点のみが第1実施形態と異なる。
【0056】
本実施形態の給湯器に備えられるリモコン30には、各種設定スイッチ、表示器、ランプ31,32に加えて、ガス種判別装置70で判別されたガス種が給湯器10の仕様に適合しない時に点灯報知するエラーランプ33が設けられる。
【0057】
給湯器は、第1実施形態と同様にしてガス種が判別されると(S1〜S7)、ペルチェ素子73への電力供給を停止して燃料ガスの冷却を停止し(S10)、判定された燃料ガスの種類が、設定されている器具の仕様と異なるか否かを判断する(S11)。
【0058】
仕様に適合しない場合には、燃焼制御に入らずに燃焼動作を禁止し(S13)、リモコン30のエラーランプ33を点灯して使用者に燃料ガス種と器具の仕様の不一致を報知する(S14)。
一方、判定ガス種が仕様に適合する場合には、そのガス種に適した燃焼制御を行う(S12)。
【0059】
上述した給湯器では、凝縮板73上の凝縮液の有無から燃料ガスの種類を判別して、器具コントローラ58内の不揮発性メモリ内に記憶された器具の設定仕様と異なる場合には、燃焼動作を行わない(禁止する)ため、空燃比やインプットがずれたまま燃焼することにより起きる異常燃焼を防止できる。
また、作業者は、リモコン30のエラーランプ33の点灯により仕様の不適合を把握でき、しかも、リモコン30のランプ31,32の何れかの点灯により供給された燃料ガスの種類を把握できるため、例えば、バーナ22へ供給する燃料ガス量を設定するガスノズルの交換や、一次空気量を設定するダンパーの開度の調整、また空燃比制御データの変更といった器具の仕様を手動で変更するといった対応ができる。
この場合、器具コントローラ58に記憶されている器具のガス種設定を新しいガス種に更新設定することで、次回からステップ11の判断が「NO」となり、給湯使用できるようになる。
【0060】
《第4実施形態》
次に、第4実施形態について図10を用いて説明する。尚、第1実施形態と異なる部分について説明し、重複する部分に関しては同一符号を付してその説明を省略する。第4実施形態は、ガス種判別装置を給湯器の外部に配置した点のみが第1実施形態と異なる。
【0061】
本実施形態の給湯器11では、器具本体12のガス接続口26にガス種判別装置70を取り付け、ガス種判別装置70に設けられた判別コントローラ77の信号線を器具コントローラ58に設けた入力端子58aに接続する。
また、この給湯器11は、第3実施形態で用いられた図9のフローチャートに示されるように、判定されたガス種と仕様が異なる場合に燃焼制御を禁止して(S13)、リモコン30やガス種判別装置70に設けられたランプ31,32,75,76の内、判定ガス種に対応したランプを点灯して、ガス種の判定結果を報知する。
或いは、第1実施形態で用いられた図4のフローチャートに示されるように、判定されたガス種に対応した仕様に自動的に切り替える。
【0062】
上述した給湯器11では、器具コントローラ58に判別信号の入力端子58aを設けたため、将来LPG,DMEを並行使用するようになった時に、ガス種判別装置を設けてその判別信号を入力するようにできるので、供給ガス種に仕様を切り替えて安全に燃料ガスを燃焼させることができる。しかも、ガス種判別装置のみ追加すため、コストが安価となり経済的である。
また、将来DMEだけでなく他の特殊なガスが供給されるようになっても、そのガス種に対応するガス種判別装置を追加するだけで、その新ガス種を精度よく判別できる。
【0063】
また、外付けのガス種判別装置70をガス配管51に1つ備えるだけで、複数の燃焼器具に対応でき、燃焼器具の台数だけガス種判別装置を設ける必要が無く、コストを低減できる。
また、外付けされたガス種判別装置70に報知ランプ75,76を設けたため、外部から容易に報知内容を確認できる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、本発明は、給湯器に限定されず、風呂釜付き給湯器や、ガステーブルこんろ、ガス暖房器等の家庭用ガス燃焼器具に適用される。
また、器具の設定仕様の自動切替の際に、一旦燃焼を停止して仕様を変更した後で再点火動作に入るようにしてもよく、この場合にはより安全となる。
また、第4実施形態において、ガス種判別装置70を給湯器11の器具本体12の外面に設けることに代えて、給湯器11から離れたガス配管51途中に設けてもよい。
【0065】
また、ガス種の判定結果の報知は、ランプ表示に限らず、音声ガイダンスや文字表示等により行ってもよい。
また、凝縮板の冷却温度を、判定したい全燃料ガスの凝縮点より低くして、各燃料ガスの凝縮液の比誘電率の違いからガス種を判別してもよい。
また、判別する燃料ガスは、LPGやDMEに限定されない。
また、器具コントローラ58に判別コントローラ77の機能を備えさせてもよい。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1記載の家庭用ガス燃焼器具によれば、燃料ガスを燃焼器具本体内で燃焼させる前に燃料ガスの種類の判別結果を報知するため、使用者は、燃料ガスの種類が燃焼器具本体の仕様と異なるか否かを知ることができて、適合しない仕様で燃焼することを未然に防ぐための対応をすることができる。
しかも、ガス種判別手段を器具本体に内蔵しているため、器具本体内に供給されたガスの種類を判別することができ、その報知が適切なタイミングで行われて安全である。
また、燃料ガスの凝縮点の違いを利用してその凝縮状態に基づいてガス種を判別するため、ガス種の判別が正確になる。
例えば、判別対象の燃料ガスが2種類のみの場合には、冷却面の温度を一方の燃料ガスの凝縮点と他方の燃料ガスの凝縮点との間の値に設定しておくことにより、凝縮液の有無でガス種を容易にかつ正確に判別できる。
【0068】
また、請求項2記載の家庭用ガス燃焼器具によれば、ガス種判別手段が判別した燃料ガスの種類が燃焼器具本体の仕様と異なる場合には、燃焼器具本体の燃焼を禁止するため、適合しない仕様で燃焼することを防止でき、安全である。
しかも、ガス種判別手段を器具本体に内蔵しているため、器具本体内に供給されたガスの種類を判別することができ、その燃焼禁止動作が適切なタイミングで行われて安全である。
また、燃料ガスの凝縮点の違いを利用してその凝縮状態に基づいてガス種を判別するため、ガス種の判別が正確になる。
例えば、判別対象の燃料ガスが2種類のみの場合には、冷却面の温度を一方の燃料ガスの凝縮点と他方の燃料ガスの凝縮点との間の値に設定しておくことにより、凝縮液の有無でガス種を容易にかつ正確に判別できる。
【0070】
また、請求項3記載の家庭用ガス燃焼器具によれば、ガス種判別手段で判別されたガス種に対応する仕様に自動的に切り替えるため、使用者がわざわざ手動で仕様を切り替えなくても、常に実際の供給ガス種と適合した仕様で燃焼でき、安全かつ便利である。
特に、ガス種判別手段を器具本体に内蔵しているため、燃料ガスを自動切替する場合に、実際に燃焼させる部位と判別する部位とを接近させることができ、判定ガス種と燃焼ガス種とのアンマッチを防止でき、判別された種類の燃料ガスに適した仕様で燃焼することができて安全である。
また、燃料ガスの凝縮点の違いを利用してその凝縮状態に基づいてガス種を判別するため、ガス種の判別が正確になる。
例えば、判別対象の燃料ガスが2種類のみの場合には、冷却面の温度を一方の燃料ガスの凝縮点と他方の燃料ガスの凝縮点との間の値に設定しておくことにより、凝縮液の有無でガス種を容易にかつ正確に判別できる。
【0073】
また、請求項4記載の家庭用ガス燃焼器具によれば、凝縮面における電気抵抗値という数値に基づいて燃料ガスの凝縮状態を判断するため、ガス種を非常に正確に判別でき、しかも、簡単な装置で判別できるため低コストである。
【0074】
また、請求項5記載の家庭用ガス燃焼器具によれば、凝縮面における光の反射状況に基づいて燃料ガスの凝縮状態を判断するため、ガス種を非常に正確に判別できる。特に、反射状況は、反射角度や反射光の強度を反映するため、凝縮液の発生をより正確に捉えることができる。
【0075】
また、請求項6記載の家庭用ガス燃焼器具によれば、ペルチェ素子を用いることにより簡単な方法で冷却でき、更にガス種判別手段のコンパクト化も図ることができる。
【0076】
また、請求項7記載の家庭用ガス燃焼器具によれば、LPGと同様にガスボンベに液化封入できるDMEを将来LPGと並行使用するようになっても、ガス種を判別できるため、判別したガス種に適した仕様に切り替えることで安全に燃焼させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の強制燃焼式給湯器の概略図である。
【図2】第1実施形態のガス種判別装置を側面からみた断面図である。
【図3】第1実施形態のガス種判別装置を上面からみた断面図である。
【図4】第1実施形態の給湯器の作動制御を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態の給湯器のインプットに対する比例弁電流の関係を示すグラフである。
【図6】第1実施形態のガス種判別装置を示す概略構成図である。
【図7】第2実施形態のガス種判別装置を側面からみた断面図である。
【図8】第2実施形態のガス種判別装置を示す概略構成図である。
【図9】第3実施形態の給湯器の作動制御を示すフローチャートである。
【図10】第4実施形態の強制燃焼式給湯器の概略図である。
【符号の説明】
10,11…給湯器、20…燃焼室、22…バーナ、30…リモコン、31,32,33,75,76…ランプ、52…ガス管、54…主電磁弁、56…ガス比例弁、58…器具コントローラ、60…ガスボンベ、70、80…ガス種判別装置、71a,71b…導線、72,82…凝縮板、73,83…ペルチェ素子、74,84…凝縮ケース、85…光源、86…光センサ。
Claims (7)
- 燃焼器具本体へ供給される燃料ガスの種類を、該燃料ガスを燃焼させる前に判別するガス種判別手段と、
その判別結果を報知する報知手段とを備え、
上記ガス種判別手段は、上記燃料ガスを所定温度の冷却面に接触させ、その凝縮状態に基づいてガス種を判別することを特徴とする家庭用ガス燃焼器具。 - 燃焼器具本体へ供給される燃料ガスの種類を、該燃料ガスを燃焼させる前に判別するガス種判別手段と、
上記燃料ガスの種類が上記燃焼器具本体の仕様と異なる場合に、上記燃焼器具本体の燃焼を禁止する燃焼禁止手段とを備え、
上記ガス種判別手段は、上記燃料ガスを所定温度の冷却面に接触させ、その凝縮状態に基づいてガス種を判別することを特徴とする家庭用ガス燃焼器具。 - 燃焼器具本体に供給される燃料ガスの種類を、該燃料ガスを燃焼させる前に判別するガス種判別手段と、
少なくとも2種類の燃料ガスに対してそれぞれ燃焼可能な仕様を設定する仕様設定手段と、
上記ガス種判別手段で判定されたガス種に対応する仕様に自動的に切り替える自動切替手段とを備え、
上記ガス種判別手段は、上記燃料ガスを所定温度の冷却面に接触させ、その凝縮状態に基づいてガス種を判別することを特徴とする家庭用ガス燃焼器具。 - 上記燃料ガスの凝縮状態を、凝縮面における電気抵抗値に基づいて判断することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の家庭用ガス燃焼器具。
- 上記燃料ガスの凝縮状態を、凝縮面における光の反射状況に基づいて判断することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の家庭用ガス燃焼器具。
- 上記燃料ガスの冷却は、ペルチェ素子により行なうことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の家庭用ガス燃焼器具。
- 上記燃料ガスの判別は、ジメチルエーテルとLPガスとの判別であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の家庭用ガス燃焼器具。
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