JP4649818B2 - 電圧制御発振器及びpll回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インダクタと可変容量とで構成される共振回路を備える電圧制御発振器、及び、このような電圧制御発振器を含めて構成されるPLL(phase-locked loop)回路に関する。
【0002】
情報伝送システムの分野においては、伝送情報量の飛躍的増大に対応するために、大容量情報伝送システムの構築が要請されており、伝送ビットレートは向上の一途をたどっている。このような大容量情報伝送システムにおいては、信号伝送に不可欠なクロック信号を発生する発振器を含むPLL回路は、非常に重要なコンポーネントである。
【0003】
近年、大容量情報伝送システムにおいてクロック信号を発生する発振器に要求される周波数は10GHzを越えるものとなっており、クロック信号として純度の高い、すなわち、ジッタの少ない信号が要求されている。周波数の低い領域では、リングオシレータ等で集積回路上での発振器を実現しているが、リングオシレータは、ジッタが大きく、超高周波におけるクロック信号源としては適していない。
【0004】
このため、10GHzを超える高周波のクロック信号源としては、集積回路上では、インダクタと可変容量とで構成される共振回路を備える電圧制御発振器が用いられることが多い。この場合には、製造プロセス条件のバラツキ等によって特性にバラツキが発生した場合に何らかの対策が必要となる。例えば、初期状態における制御電圧を調整することにより発振周波数を初期調整する必要がある。
【0005】
【従来の技術】
図14はインダクタと可変容量とで構成される共振回路を有する従来の電圧制御発振器の一例を示す回路図である。図14中、1は共振回路、2は高電圧側の電源電圧VDDを供給するVDD電源線、3、4はインダクタ、5、6はバラクタダイオード等の可変容量、7は制御電圧(VCONT)入力端子である。
【0006】
8は共振回路1を負荷とする増幅部であり、9、10はnMOSトランジスタ、11は電流源、12は低電圧側の電源電圧VSSを供給するVSS電源線である。本例では、インダクタ3と可変容量5とでnMOSトランジスタ9の負荷をなす1つの並列共振回路が構成され、インダクタ4と可変容量6とでnMOSトランジスタ10の負荷をなす1つの並列共振回路が構成されている。なお、SC、/SCは出力される発振信号(クロック信号)である。
【0007】
図14に示す従来の電圧制御発振器は、制御電圧VCONTを変化させることにより可変容量5、6の容量値を変化させ、発振周波数fcを変化させるというものである。発振周波数fcは、インダクタ3、4のインダクタンスをL、可変容量5、6の容量値をCとすると、fc=1/2π√LCとなるが、初期状態における発振周波数fcが所要の周波数となるように、初期状態における制御電圧VCONTの電圧値を調整する必要がある。
【0008】
図15は制御電圧VCONTの電圧値の初期調整方法を説明するための図である。図15中、W1は制御電圧VCONTの可変範囲、Q1は設計中心値での可変容量5、6の制御電圧特性、Y1は設計中心値での可変容量5、6の容量値の可変範囲、Q2は設計中心値からずれた場合の可変容量5、6の制御電圧特性の一例、Y2は可変容量5、6が制御電圧特性Q2を取る場合に使用できる容量値5、6の範囲を示している。
【0009】
可変容量5、6が制御電圧特性Q1を取る場合には、初期状態における制御電圧VCONTの電圧値は、可変容量5、6の容量値が中心容量値C0となる電圧値V1に調整される。これに対して、可変容量5、6が制御電圧特性Q2を取る場合には、初期状態における制御電圧VCONTの電圧値は、可変容量5、6が中心容量値C0となる電圧値V2に調整される。
【0010】
ここで、可変容量5、6が制御電圧特性Q2を取る場合において、初期状態における制御電圧VCONTの電圧値がV2になるように調整して所要の発振周波数を得ることができるようにすると、変化させることができる可変容量5、6の範囲は、矢印Y2で示すように狭くなってしまう。
【0011】
このような状態を予定することは、図14に示す従来の電圧制御発振器を含むPLL回路を設計する場合において、製造プロセスの条件や温度変動等の条件による特性変動を考慮した周波数制御装置を設計しようとすると、例えば、帰還制御部の利得設計が困難となり、場合によっては設計不可能となる場合が生じてしまう。なお、可変容量5、6にインダクタを直列接続した電圧制御発振器も提案されているが(例えば、特許文献1参照)、同様の問題点を有している。
【0012】
かかる問題点を解消するために、電圧制御発振器を図16に示すように構成することが考えられる。図16中、13は共振回路であり、14はVDD電源線、15、16はインダクタ、17、18は可変容量、19−1、19−2、19−n、20−1、20−2、20−nは固定容量として使用する可変容量、21は制御電圧入力端子である。なお、可変容量19−3〜19−[n−1]、20−3〜20−[n−1]は図示を省略している。
【0013】
22は共振回路13を負荷とする増幅部であり、23、24はnMOSトランジスタ、25は電流源、26はVSS電源線である。また、VAは可変容量19−1〜19−n、20−1〜20−nを固定容量として使用する場合の電圧値、VBは可変容量19−1〜19−n、20−1〜20−nの容量値を極めて小さくして実質的には固定容量としては使用しない場合の電圧値である。
【0014】
本例では、インダクタ15と可変容量17と可変容量19−1〜19−nの中の固定容量として使用される可変容量とでnMOSトランジスタ23の負荷をなす1つの並列共振回路が構成され、インダクタ16と可変容量18と可変容量20−1〜20−nの中の固定容量として使用される可変容量とでnMOSトランジスタ24の負荷をなす1つの並列共振回路が構成されている。
【0015】
図16に示す参考例の電圧制御発振器においては、発振周波数fcは、インダクタ15、16のインダクタンスをL、可変容量17、18の容量値をCa、可変容量19−1〜19−n、20−1〜20−nを固定容量として使用する場合の各容量値をCb、可変容量19−1〜19−n、20−1〜20−nの中の固定容量として使用する可変容量の数を2nとすると、fc=1/2π√L(Ca+nCb)となるが、共振回路13を構成する2個の並列共振回路の容量値の制御電圧特性を調整する必要がある。
【0016】
図17は共振回路13を構成する2個の並列共振回路の容量値の制御電圧特性の初期調整方法を説明するための図である。図17中、W2は制御電圧VCONTの可変範囲、Q3は設計中心値での共振回路13を構成する2個の並列共振回路の容量値の制御電圧特性を示しており、図16に示す参考例の電圧制御発振器は、例えば、可変容量17、18が制御電圧特性としてQ4を取る場合には、可変容量19−1〜19−n、20−1〜20−nの中から固定容量として使用する可変容量を選択し、共振回路13を構成する2個の並列共振回路の容量値の制御電圧特性をQ3又はこれに近い特性に調整するというものである。
【0017】
【特許文献1】
特開平11−97928号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
図16に示す参考例の電圧制御発振器においては、共振回路13を構成する容量の一部を初期調整のために固定成分として与えてしまうために、発振周波数の可変範囲、すなわち、共振回路13を構成する容量の可変範囲を制限してしまうことになる。例えば、図17に示すように、共振回路13を構成する2個の並列共振回路の容量値の制御電圧特性をQ4からQ3に調整した場合には、共振回路13を構成する2個の並列共振回路の容量値の可変範囲は、矢印Y3で示すように制限されてしまう。なお、Y4は設計中心値での共振回路13を構成する2個の並列共振回路の容量値の可変範囲を示している。
【0019】
したがって、図16に示す参考例の電圧制御発振器を含むPLL回路を設計する場合において、製造プロセスの条件や温度変動等の条件による特性変動を考慮した周波数制御装置を設計しようとすると、例えば、帰還制御部の利得設計が困難となり、場合によっては、設計不可能となる場合が生じてしまうという問題点がある。
【0020】
本発明は、かかる点に鑑み、製品ごとに可変容量に特性上のバラツキがある場合であっても、設計した周波数範囲と同一又は略同一の範囲で発振周波数を変化させることができるようにし、周波数制御装置の設計を容易に行うことができるようにした電圧制御発振器、及び、この電圧制御発振器を使用してクロック信号として、純度の高い、すなわち、ジッタの少ない信号を得ることができるようにしたPLL回路を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の電圧制御発振器は、インダクタと、制御電圧により容量値を可変とされた複数の可変容量を有する共振回路を備える電圧制御発振器であって、可変容量設定信号により選択動作を制御され、前記複数の可変容量の中から制御電圧を供給する可変容量を選択する可変容量選択部を備えるというものである。
【0022】
本発明のPLL回路は、本発明の電圧制御発振器と、本発明の電圧制御発振器の発振周波数を制御する周波数制御装置を備えるというものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図13を参照して、本発明の電圧制御発振器の第1、第2実施形態及び本発明のPLL回路の第1実施形態〜第5実施形態について説明する。
【0024】
(本発明の電圧制御発振器の第1実施形態・・図1〜図3)
図1は本発明の電圧制御発振器の第1実施形態を示す回路図である。図1中、27は共振回路であり、28はVDD電源線、29、30はインダクタ、31−i、32−iは可変容量である。但し、i=1、2、…、nであり、以下、同様である。なお、可変容量31−3〜31−(n−1)、32−3〜32−(n−1)は図示を省略している。
【0025】
また、33は可変容量設定信号S1〜Snにより制御されて可変容量31−1〜31−n、32−1〜32−nの中から使用する可変容量を選択する可変容量選択部、34は制御電圧入力端子である。35は共振回路27を負荷とする増幅部であり、36、37はnMOSトランジスタ、38は電流源、39はVSS電源線である。
【0026】
本発明の電圧制御発振器の第1実施形態においては、インダクタ29と、可変容量31−1〜31−nの中の使用される可変容量(後述するように、制御電圧VCONTが供給される可変容量)とでnMOSトランジスタ36の負荷をなす1つの並列共振回路が構成され、インダクタ30と、可変容量32−1〜32−nの中の使用される可変容量(後述するように、制御電圧VCONTが供給される可変容量)とでnMOSトランジスタ37の負荷をなす1つの並列共振回路が構成されている。
【0027】
図2は可変容量選択部33の構成を示す回路図である。図2中、40−iはnMOSトランジスタとpMOSトランジスタからなるアナログ・スイッチ、41−iは可変容量設定信号Siを反転するインバータである。但し、アナログ・スイッチ40−3〜40−(n−1)及びインバータ41−3〜41−(n−1)は図示を省略している。アナログ・スイッチ40−iは、可変容量設定信号Si=HレベルのときはON、可変容量設定信号Si=LレベルのときはOFFとなる。
【0028】
42はVDD電源線、43−iはnMOSトランジスタとpMOSトランジスタからなるアナログ・スイッチ、44−iは可変容量設定信号Siを反転するインバータである。但し、アナログ・スイッチ43−3〜43−(n−1)及びインバータ44−3〜44−(n−1)は図示を省略している。アナログ・スイッチ43−iは、可変容量設定信号Si=HレベルのときはOFF、可変容量設定信号Si=LレベルのときはONとなる。
【0029】
このように構成された可変容量選択部33においては、可変容量31−i、32−iが使用される場合には、可変容量設定信号Si=Hレベルとされ、アナログ・スイッチ40−i=ON、アナログ・スイッチ43−i=OFFとされる。この結果、可変容量31−iはインダクタ29と制御電圧入力端子34との間に接続されると共に、可変容量32−iはインダクタ30と制御電圧入力端子34との間に接続され、これら可変容量31−i、32−iには制御電圧VCONTが供給されることになる。
【0030】
これに対して、可変容量31−i、32−iが不使用とされる場合には、可変容量設定信号Si=Lレベルとされ、アナログ・スイッチ40−i=OFF、アナログ・スイッチ43−i=ONとされる。この結果、可変容量31−iはインダクタ29とVDD電源線42との間に接続されると共に、可変容量32−iはインダクタ30とVDD電源線42との間に接続され、これら可変容量31−i、32−iには電源電圧VDDが供給され、可変容量31−i、32−iの容量値は最小値とされる。
【0031】
図3は共振回路27を構成する2個の並列共振回路が取り得る容量値の制御電圧特性を示す図である。図3中、W3は制御電圧VCONTの可変範囲、Q5は設計中心値の制御電圧特性、Piは可変容量31−1〜31−n、32−1〜32−nの各々からなる2個の可変容量部から各々i個の可変容量を選択した場合の制御電圧特性を示している。但し、制御電圧特性P4〜Pm−1、Pm+1〜Pn−1は図示を省略している。なお、制御電圧特性P1〜Pmの図上、右端の部分は、厳密には若干の差をもって、P1<P2<…<Pnとなっているが、説明の都合上、P1=P2=…=Pnとしている。
【0032】
このように、本発明の電圧制御発振器の第1実施形態においては、可変容量設定信号S1〜Snを変化させることにより、共振回路27を構成する2個の並列共振回路の容量値の制御電圧特性として、傾きが順に異なるn個の制御電圧特性P1〜Pnを得ることができるので、これら制御電圧特性P1〜Pnの中から、その中心容量値が設計上での中心容量値C0と同一又は略同一となるものを選択することができる。
【0033】
したがって、本発明の電圧制御発振器の第1実施形態によれば、製品ごとに可変容量31−1〜31−n、32−1〜32−nに特性上のバラツキがある場合であっても、これら特性上のバラツキを吸収し、制御電圧VCONTの中心値で共振回路27を構成する2個の並列共振回路の中心容量値を設計上の中心容量値C0と同一又は略同一とし、発振周波数の範囲として所要の周波数範囲と同一又は略同一の範囲を得ることができるので、本発明の電圧制御発振器の第1実施形態を含むPLL回路を設計する場合において、周波数制御装置の設計を容易に行うことができる。
【0034】
(本発明の電圧制御発振器の第2実施形態・・図4〜図7)
図4は本発明の電圧制御発振器の第2実施形態を示す回路図である。本発明の電圧制御発振器の第2実施形態は、図1に示す本発明の電圧制御発振器の第1実施形態が備える共振回路27と回路構成の異なる共振回路45を設け、その他については、図1に示す本発明の電圧制御発振器の第1実施形態と同様に構成したものである。
【0035】
共振回路45において、46−i、47−iは容量値の制御電圧特性の極性(傾き)を可変容量31−i、32−iと逆方向とする可変容量である。但し、可変容量46−3〜46−(n−1)、47−3〜47−(n−1)は図示を省略している。48は可変容量設定信号S1〜Snにより制御されて可変容量46−1〜46−n、47−1〜47−nの中から使用する可変容量を選択する可変容量選択部である。
【0036】
すなわち、共振回路45は、容量値の制御電圧特性の極性を可変容量31−1〜31−n、32−1〜32−nと逆方向とする可変容量46−1〜46−n、47−1〜47−nと、可変容量設定信号S1〜Snにより制御されて可変容量46−1〜46−n、47−1〜47−nの中から使用する可変容量を選択する可変容量選択部48を設け、その他については、図1に示す共振回路27と同様に構成したものである。
【0037】
図5は可変容量選択部48の構成を示す回路図である。図5中、49−iはnMOSトランジスタとpMOSトランジスタからなるアナログ・スイッチ、50−iは可変容量設定信号Siを反転するインバータである。但し、アナログ・スイッチ49−3〜49−(n−1)及びインバータ50−3〜50−(n−1)は図示を省略している。アナログ・スイッチ49−iは、可変容量設定信号Si=HレベルのときはON、可変容量設定信号Si=LレベルのときはOFFとなる。
【0038】
51はVDD電源線、52−iはnMOSトランジスタとpMOSトランジスタからなるアナログ・スイッチ、53−iは可変容量設定信号Siを反転するインバータである。但し、アナログ・スイッチ52−3〜52−(n−1)及びインバータ53−3〜53−(n−1)は図示を省略している。アナログ・スイッチ52−iは、可変容量設定信号Si=HレベルのときはOFF、可変容量設定信号Si=LレベルのときはONとなる。
【0039】
このように構成された可変容量選択部48においては、可変容量設定信号Si=Hレベルとされると、アナログ・スイッチ49−i=ON、アナログ・スイッチ52−i=OFFとなる。この結果、可変容量46−iはインダクタ29と制御電圧入力端子34との間に接続されると共に、可変容量47−iはインダクタ30と制御電圧入力端子34との間に接続され、これら可変容量46−i、47−iには制御電圧VCONTが供給されることになる。
【0040】
これに対して、可変容量設定信号Si=Lレベルとされると、アナログ・スイッチ49−i=OFF、アナログ・スイッチ52−i=ONとされる。この結果、可変容量46−iはインダクタ29とVDD電源線51との間に接続されると共に、可変容量47−iはインダクタ30とVDD電源線51との間に接続され、これら可変容量46−i、47−iには電源電圧VDDが供給され、可変容量46−i、47−iの容量値は最小値となる。
【0041】
したがって、本発明の電圧制御発振器の第2実施形態においては、可変容量設定信号Si=Hレベルとされると、可変容量31−i、32−i、46−i、47−iは選択され、可変容量設定信号Si=Lレベルとされると、可変容量31−i、32−i、46−i、47−iは非選択とされる。
【0042】
図6は可変容量46−1〜46−n、47−1〜47−nの各々からなる2個の可変容量部が取り得る容量値の制御電圧特性を示す図である。図6中、Riは可変容量46−1〜46−n、47−1〜47−nの各々からなる2個の可変容量部から各々i個の可変容量を選択した場合の制御電圧特性を示している。但し、制御電圧特性R3〜Rn−1は図示を省略している。
【0043】
図7は本発明の電圧制御発振器の第2実施形態の効果を説明するための図である。Q5は共振回路45を構成する2個の並列共振回路の容量値の設計中心値の制御電圧特性、Pmは可変容量31−1〜31−n、32−1〜32−nの各々からなる2個の可変容量部から各々m個の可変容量を選択した場合の2個の可変容量部の容量値の制御電圧特性であり、この例では、制御電圧特性Pmの場合の中心容量値が設計上の中心容量値C0と一致した場合を示している。
【0044】
この場合において、可変容量46−1〜46−n、47−1〜47−nがない場合には、共振回路45の容量値の制御電圧特性としてPmが選択されることになる。この場合、発振周波数を設計値通りの周波数範囲で変化させることができるが、制御電圧特性Pm、Q5の傾きは一致しないので、PLL回路を構成する場合には、発振周波数の変動に対する帰還応答特性が一定となるように、周波数制御装置を構成する帰還制御部に利得可変型の利得制御部を使用する必要があり、その分、周波数制御装置の回路構成が複雑になってしまう。
【0045】
ところが、本発明の電圧制御発振器の第2実施形態においては、容量値の制御電圧特性の極性を可変容量31−1〜31−n、32−1〜32−nと逆方向にする可変容量46−1〜46−n、47−1〜47−nを設けている。この結果、可変容量31−1〜31−n、32−1〜32−nの各々からなる2個の可変容量部の容量値の制御電圧特性がPmとなる場合には、可変容量46−1〜46−n、47−1〜47−nからなる2個の可変容量部の容量値の制御電圧特性をRmとすることができる。
【0046】
この場合、可変容量31−1〜31−n、32−1〜32−nの容量値を適当な値としておくことにより、共振回路45を構成する並列共振回路の容量値の制御電圧特性がQ5と同一又はこれと略同一の特性Q6となるようにすることができる。
【0047】
すなわち、本発明の電圧制御発振器の第2実施形態によれば、製品ごとに可変容量31−1〜31−n、32−1〜32−n、46−1〜46−n、47−1〜47−nに特性上のバラツキがある場合であっても、これら特性上のバラツキを吸収し、制御電圧VCONTの中心値で共振回路45を構成する2個の並列共振回路の中心容量値を設計上の中心容量値C0と同一又は略同一にし、発振周波数の範囲として所要の周波数範囲と同一ないし略同一の範囲を得ることができる。
【0048】
したがって、本発明の電圧制御発振器の第2実施形態を含むPLL回路を設計する場合において、周波数制御装置の設計を容易に行うことができる。しかも、周波数制御装置を構成する帰還制御部に利得可変型でない帰還制御部を設けることができ、周波数制御装置の回路構成を簡略化することができる。
【0049】
(本発明のPLL回路の第1実施形態・・図8)
図8は本発明のPLL回路の第1実施形態を示す回路図である。図8中、54は本発明の電圧制御発振器の第1実施形態、55は電圧制御発振器54の発振周波数fcを制御する周波数制御装置である。
【0050】
周波数制御装置55において、56は可変容量設定信号S1〜Snを発生する可変容量設定部、57は基準信号を発生する基準信号発生部、58は電圧制御発振器54から出力される発振信号と基準信号との位相差及び周波数差を検出する位相周波数検出部、59は位相周波数検出部58の出力に応答して制御電圧VCONTを電圧制御発振器54に供給する帰還制御部である。
【0051】
帰還制御部59は、可変容量設定信号S1〜Snに応じて帰還利得を可変する利得可変型の帰還制御部であり、これは、例えば、利得加算型の増幅回路を用いて構成することができるし、あるいは、チャージポンプの電流値を制御するような構成としても良い。
【0052】
本発明のPLL回路の第1実施形態においては、電圧制御発振器54の共振回路27を構成する2個の並列共振回路の容量値の制御電圧特性は可変容量設定部56から供給される可変容量設定信号S1〜Snにより設定される。なお、可変容量設定信号S1〜Snの値の設定は人手により行われる。
【0053】
そして、電圧制御発振器54から出力される発振信号と基準信号発生部57から出力される基準信号の位相差及び周波数差が位相周波数検出部58で検出され、その検出信号が帰還制御部59に供給され、帰還制御部59からは電圧制御発振器54から出力される発振信号と基準信号発生部57から出力される基準信号の位相差及び周波数差を一致させるような制御電圧VCONTが電圧制御発振器54に供給される。
【0054】
ここで、帰還制御部59は、制御電圧VCONTとして、電圧制御発振器54の共振回路27を構成する2個の並列共振回路の容量値の制御電圧特性の傾きが設計上の制御電圧特性に比較して大きい場合には、利得可変型でない場合に比べて絶対値が小さい電圧を出力し、電圧制御発振器54の共振回路27を構成する2個の並列共振回路の容量値の制御電圧特性の傾きが設計上の制御電圧特性に比較して小さい場合には、利得可変型でない場合に比べて絶対値が大きい制御電圧を出力し、発振周波数変動に対する帰還応答特性が一定となるように動作する。
【0055】
以上のように、本発明のPLL回路の第1実施形態によれば、本発明の電圧制御発振器の第1実施形態54を使用しているので、製品ごとに可変容量31−1〜31−n、32−1〜32−nに特性上のバラツキがある場合であっても、これら特性上のバラツキを吸収し、制御電圧VCONTの中心値で共振回路27を構成する2個の並列共振回路の容量値を設計上の中心容量値C0と同一又は略同一にし、発振周波数の範囲として所要の周波数範囲と同一又は略同一の範囲を得ることができる。したがって、周波数制御装置55の設計を容易に行うことができると共に、クロック信号として、純度の高い、すなわち、ジッタの少ない信号を得ることができる。
【0056】
(本発明のPLL回路の第2実施形態・・図9)
図9は本発明のPLL回路の第2実施形態を示す回路図である。本発明のPLL回路の第2実施形態は、図8に示す本発明のPLL回路の第1実施形態が備える周波数制御装置55と回路構成の異なる周波数制御装置60を設け、その他については、図8に示す本発明のPLL回路の第1実施形態と同様に構成したものである。
【0057】
周波数制御装置60は、位相周波数検出部58により得られる周波数比較信号をフィルタを通さずに可変容量設定部56に供給し、可変容量設定部56は、周波数比較信号に基づいて、電圧制御発振器54において設定する可変容量の数を発振周波数fcが所要の周波数になる方向に(発振周波数fcが基準信号の周波数frより高い場合には、可変容量値を大きくする方向に、逆であれば、小さくする方向)に制御するように動作するものとし、その他については、図8に示す周波数制御装置55と同様に構成したものである。
【0058】
本発明のPLL回路の第2実施形態によれば、本発明の電圧制御発振器の第1実施形態54を使用しているので、製品ごとに可変容量31−1〜31−n、32−1〜32−nに特性上のバラツキがある場合であっても、これら特性上のバラツキを吸収し、制御電圧VCONTの中心値で共振回路27を構成する2個の並列共振回路の中心容量値を設計上の中心容量値C0と同一又は略同一にし、発振周波数の範囲として所要の周波数範囲と同一又は略同一の周波数範囲を得ることができる。
【0059】
したがって、周波数制御装置60の設計を容易に行うことができると共に、クロック信号として、純度の高い、すなわち、ジッタの少ない信号を得ることができる。しかも、電圧制御発振器54の共振回路27の可変容量の設定を自動的に行うことができる。
【0060】
(本発明のPLL回路の第3実施形態・・図10、図11)
図10は本発明のPLL回路の第3実施形態を示す回路図である。本発明のPLL回路の第3実施形態は、図9に示す本発明のPLL回路の第2実施形態が備える周波数制御装置60と回路構成の異なる周波数制御装置61を設け、その他については、図9に示す本発明のPLL回路の第2実施形態と同様に構成したものである。
【0061】
周波数制御装置61は、可変容量設定部としてアップ・ダウン・カウンタ62を設け、位相周波数検出部58から出力されるフィルタを通した位相周波数比較信号をアップ・ダウン・カウンタ62に供給し、アップ・ダウン・カウンタ62は、その出力で電圧制御発振器54において設定する可変容量の数を発振周波数fcが所要周波数になる方向に制御するようにし、その他については、図9に示す周波数制御装置60と同様に構成したものである。
【0062】
本発明のPLL回路の第3実施形態では、電圧制御発振器54の共振回路27を構成する2個の並列共振回路は、それぞれ、n個の可変容量31−1〜31−n、32−1〜32−nを備えているが、n=2kとし、2個の並列共振回路のそれぞれにおいて、2k個の可変容量を2k-1個のグループAk-1、2k-2個のグループAk-2、2k-3個のグループAk-3、…、2個のグループA1、1個のグループA0にグループ化する。
【0063】
アップ・ダウン・カウンタ62は、その計数出力をkビットとし、2k-1の桁から20の桁に向かって順に各ビットをグループAk-1、Ak-2、…、A0に対応させ、その計数出力の2j(但し、j=0、1、…、k−1)の桁が“1”のときは、グループAjの可変容量を選択し、“0”のときは、グループAjの可変容量を選択しないように電圧制御発振器54の可変容量選択部33を制御すると共に、固定出力として、グループAk-1、Ak-2、…、A0に入らない1個の可変容量については、常に選択するように可変容量選択部33を制御するものとする。
【0064】
図11はアップ・ダウン・カウンタ62の可変容量設定動作を説明するための図である。アップ・ダウン・カウンタ62は、計数出力の初期値を[100…00]とし、2k-1の桁のみを“1”とする。この結果、電圧制御発振器54の共振回路27を構成する2個の並列共振回路では、グループAk-1のk−1個の可変容量が選択される。
【0065】
次に、位相周波数検出部58の比較出力が発振周波数fc>基準周波数frを示しているときは、アップ・ダウン・カウンタ62は、計数出力を[110…00]とし、グループAk-1、Ak-2の2k-1+2k-2個の可変容量が選択されるようにする。これに対して、位相周波数検出部58の比較出力が発振周波数fc<基準周波数frを示しているときは、アップ・ダウン・カウンタ62は、計数出力を[010…00]とし、グループAk-2の2k-2個の可変容量が選択されるようにする。以下、同様の動作を20の桁まで行う。
【0066】
例えば、n=16の場合、電圧制御発振器54の共振回路27を構成する2個の並列共振回路は、それぞれ、16個の可変容量を備えていることになるが、この場合には、2個の並列共振回路のそれぞれにおいて、16個の可変容量を8個のグループA3、4個のグループA2、2個のグループA1、1個のグループA0にグループ化する。
【0067】
そして、アップ・ダウン・カウンタ62は、計数出力を4ビットとし、23の桁から20の桁に向かって順に各ビットをグループA3、A2、A1、A0に対応させ、計数出力の2j(但し、j=0、1、2、3)の桁が“1”のときは、グループAjの可変容量を選択し、“0”のときは、グループAjの可変容量を選択しないように電圧制御発振器54の可変容量選択部33を制御すると共に、固定出力として、グループA3、A2、A1、A0に入らない1個の可変容量については、常に選択するように可変容量選択部33を制御するものとする。
【0068】
ここで、アップ・ダウン・カウンタ62は、計数出力の初期値を[1000]とし、計数出力の23の桁のみを“1”とする。この結果、電圧制御発振器54の共振回路27を構成する2個の並列共振回路においては、グループA3の8個の可変容量が選択されることになる。
【0069】
次に、位相周波数検出部58の出力が発振周波数fc>基準周波数frを示しているときは、アップ・ダウン・カウンタ62は、出力を[1100]とし、グループA3、A2の8+4=12個の可変容量が選択されるようにする。これに対して、位相周波数検出部58の比較出力が発振周波数fc<基準周波数frを示しているときは、アップ・ダウン・カウンタ62は、出力を[0100]とし、グループA2の4個の可変容量が選択されるようにする。以下、同様の動作を20の桁まで行う。
【0070】
本発明のPLL回路の第3実施形態によれば、本発明の電圧制御発振器の第1実施形態54を使用しているので、製品ごとに可変容量31−1〜31−n、32−1〜32−nに特性上のバラツキがある場合であっても、これら特性上のバラツキを吸収し、制御電圧VCONTの中心値で共振回路27を構成する2個の並列共振回路の中心容量値を設計上の中心容量値C0と同一又は略同一にし、発振周波数の範囲として所要の周波数範囲と同一又は略同一の周波数範囲を得ることができる。
【0071】
したがって、周波数制御装置61の設計を容易に行うことができると共に、クロック信号として、純度の高い、すなわち、ジッタの少ない信号を得ることができる。しかも、電圧制御発振器54の共振回路27の可変容量の設定を自動的に行うことができる。
【0072】
(本発明のPLL回路の第4実施形態・・図12)
図12は本発明のPLL回路の第4実施形態を示す回路図である。本発明のPLL回路の第4実施形態は、図10に示すPLL回路の第3実施形態が備える周波数制御装置61と回路構成の異なる周波数制御装置63を設け、その他については、図10に示すPLL回路の第3実施形態と同様に構成したものである。
【0073】
周波数制御装置63は、固定電位発生部64と、極性判定部65と、切り替え部66を設け、切り替え部66の出力を電圧制御発振器54の制御電圧入力端子34に供給するようにし、その他については、図10に示す周波数制御装置61と同様に構成したものである。
【0074】
固定電位発生部64は、制御電圧VCONTの可変範囲の中心電圧VDを出力するものである。極性判定部65は、アップ・ダウン・カウンタ62の計数出力の最下位ビットの値の変化を監視し、これが初期値の後の最初の決定値から変化したときは、発振周波数fcの基準周波数frに対する高低が逆方向に遷移したと判定するものである。
【0075】
切り替え部66は、極性判定部65の出力により制御されて固定電位発生部64が出力する固定電位VD又は帰還制御部59が出力する制御電圧VCONTのいずれかを選択して電圧制御発振器54の制御電圧入力端子34に供給するものである。
【0076】
極性判定部65は、アップ・ダウン・カウンタ62の計数出力の最下位ビットの値が初期値の後の最初の決定値から変化しない間は、固定電位VDを電圧制御発振器54の制御電圧入力端子34に供給し、アップ・ダウン・カウンタ62の計数出力の最下位ビットの値が初期値の後の最初の決定値から変化したときは、制御電圧VCONTを電圧制御発振器54の制御電圧入力端子34に供給するように切り替え部66を制御する。なお、極性判定部65は、例えば、データ入力が切断されて発振信号に同期はずれが起こった場合等、所定の場合にはリセットされる。
【0077】
本発明のPLL回路の第4実施形態によれば、本発明の電圧制御発振器の第1実施形態54を使用しているので、製品ごとに可変容量31−1〜31−n、32−1〜32−nに特性上のバラツキがある場合であっても、これら特性上のバラツキを吸収し、制御電圧VCONTの中心値で共振回路27を構成する2個の並列共振回路の中心容量値を設計上の中心容量値C0と同一又は略同一にし、発振周波数の範囲として所要の周波数範囲と同一又は略同一の周波数範囲を得ることができる。
【0078】
したがって、周波数制御装置61の設計を容易に行うことができると共に、クロック信号として、純度の高い、すなわち、ジッタの少ない信号を得ることができる。しかも、電圧制御発振器54の共振回路27の可変容量の設定を自動的に行うことができる。また、発振周波数fcがある一定の範囲に入った後に、期間制御部59による制御電圧VCONTを電圧制御発振器54に供給するようにしているので、動作の安定化を図ることができる。
【0079】
(本発明のPLL回路の第5実施形態・・図13)
図13は本発明のPLL回路の第5実施形態を示す回路図である。本発明のPLL回路の第5実施形態は、図12に示すPLL回路の第4実施形態が備える周波数制御装置63と回路構成の異なる周波数制御装置67を設け、その他については、図12に示すPLL回路の第4実施形態と同様に構成したものである。
【0080】
周波数制御装置67は、制御値記憶部68を設け、制御値記憶部68にアップ・ダウン・カウンタ62の計数出力の最下位ビットの値が初期値の後の最初の決定値から変化したときのアップ・ダウン・カウンタ62の計数出力を記憶させ、発振信号に同期はずれが起こった場合等、所定の場合には、制御値記憶部68に記憶している値を再度、アップ・ダウン・カウンタ62にロードして位相比較動作に入るようにし、その他については、図12に示す周波数制御装置63と同様に構成したものである。
【0081】
本発明のPLL回路の第5実施形態によれば、本発明の電圧制御発振器の第1実施形態54を使用しているので、製品ごとに可変容量31−1〜31−n、32−1〜32−nに特性上のバラツキがある場合であっても、これら特性上のバラツキを吸収し、制御電圧VCONTの中心値で共振回路27を構成する2個の並列共振回路の中心容量値を設計上の中心容量値C0と同一又は略同一にし、発振周波数の範囲として所要の周波数範囲と同一又は略同一の周波数範囲を得ることができる。
【0082】
したがって、周波数制御装置67の設計を容易に行うことができると共に、クロック信号として、純度の高い、すなわち、ジッタの少ない信号を得ることができる。しかも、電圧制御発振器54の共振回路27の可変容量の設定を自動的に行うことができる。また、発振周波数fcがある一定の範囲に入った後に、期間制御部59による制御電圧VCONTを電圧制御発振器54に供給するようにしているので、動作の安定化を図ることができる。更に、発振信号に同期はずれが生じた場合の周波数引き込みまでの時間を短縮することができる。
【0083】
なお、本発明の電圧制御発振器の第1実施形態及び第2実施形態においては、共振回路を差動負荷とした場合について説明しているが、本発明の電圧制御発振器は、インダクタと可変容量とで構成される共振回路を有する電圧制御発振器に広く適用することができる。
【0084】
また、本発明のPLL回路の第1実施形態〜第5実施形態においては、電圧制御発振器として、本発明の電圧制御発振器の第1実施形態を使用しているが、本発明の電圧制御発振器の第2実施形態を使用する場合には、帰還制御部は、利得可変型でない帰還制御部で足りる。
【0085】
また、本発明のPLL回路の第3実施形態〜第5実施形態においては、アップ・ダウン・カウンタ62は、その計数出力の2jの桁が“1”のときはグループAjの可変容量を選択し、“0”のときはグループAjの可変容量を選択しないように電圧制御発振器54の可変容量選択部33を制御するようにした場合について説明したが、計数出力の初期値を[000…01]又は[100…00]とし、位相周波数検出部58の出力に応じて1ずつインクリメント又はディクリメントさせるように構成しても良い。
【0086】
このようにする場合、本発明のPLL回路の第3実施形態〜第5実施形態においては、アップ・ダウン・カウンタ62の計数出力をデコードして可変容量設定信号S1〜Snを出力する可変容量設定信号発生部が必要となる。更に、本発明の第4実施形態及び第5実施形態においては、極性判定部65は、アップ・ダウン・カウンタ62の計数出力の全ビット又は位相周波数検出部58の出力から発振周波数fcの基準周波数frに対する高低が逆方向に遷移したか否かを判定するように構成する必要がある。
【0087】
ここで、本発明の電圧制御発振器及びPLL回路を整理すると、本発明の電圧制御発振器及びPLL回路には、以下に述べる電圧制御発振器及びPLL回路が含まれる。
【0088】
(付記1)インダクタと、制御電圧により容量値を可変とされた複数の可変容量を有する共振回路を備える電圧制御発振器であって、可変容量設定信号により選択動作を制御され、前記複数の可変容量の中から前記制御電圧を供給する可変容量を選択する可変容量選択部を備えることを特徴とする電圧制御発振器。
【0089】
(付記2)前記複数の可変容量の各々は、前記制御電圧に対する容量変化の極性が異なる2つの可変容量からなることを特徴とする付記1記載の電圧制御発振器。
【0090】
(付記3)インダクタと、制御電圧により容量値を可変とされた複数の可変容量を有する共振回路を備える電圧制御発振器と、該電圧制御発振器の発振周波数を制御する周波数制御装置を有するPLL回路であって、前記電圧制御発振器は、可変容量設定信号により選択動作を制御され、前記複数の可変容量の中から前記制御電圧を供給する可変容量を選択する可変容量選択部を備えることを特徴とするPLL回路。
【0091】
(付記4)前記周波数制御装置は、前記可変容量設定信号を発生する可変容量設定部と、基準信号を発生する基準信号発生部と、前記電圧制御発振器から出力される発振信号と前記基準信号との位相差及び周波数差を検出する位相周波数検出部と、前記可変容量設定信号に応じて帰還利得を可変とされ、前記位相周波数検出部の出力に応答して前記制御電圧を前記電圧制御発振器に供給する帰還制御部を備えることを特徴とする付記3記載のPLL回路。
【0092】
(付記5)前記可変容量設定部は、前記複数の可変容量のうち、前記制御電圧を供給する可変容量の設定に必要な情報を前記位相周波数検出部から得るようにされていることを特徴とする付記4記載のPLL回路。
【0093】
(付記6)前記可変容量設定部は、アップ・ダウン・カウンタから構成されていることを特徴とする付記5記載のPLL回路。
【0094】
(付記7)前記アップ・ダウン・カウンタは、計数出力のビット数をkビットとし、周波数比較による計数を最上位のビットから順に変化させる構成とされていることを特徴とする付記6記載のPLL回路。
【0095】
(付記8)固定電位を発生する固定電位発生部と、前記発振信号の周波数の前記基準信号の周波数に対する高低が逆方向に遷移したか否かを判定する極性判定部と、該極性判定部に制御されて前記固定電位発生部が出力する固定電位又は前記帰還制御部が出力する制御電圧のいずれかを選択して前記電圧制御発振器の制御電圧入力端子に供給する切り替え部を有し、前記極性判定部は、前記発振信号の周波数の前記基準信号の周波数に対する高低が逆方向に遷移しない間は、前記固定電位発生部が出力する固定電位を前記電圧制御発振器の制御電圧入力端子に供給し、前記発振信号の周波数の前記基準信号の周波数に対する高低が逆方向に遷移したときは、前記帰還制御部が出力する制御電圧を前記電圧制御発振器の制御電圧入力端子に供給するように、前記切り替え部を制御することを特徴とする付記7記載のPLL回路。
【0096】
(付記9)前記極性判定部は、前記アップ・ダウン・カウンタの計数出力の最下位ビットの値が初期値の後の最初の決定値から変化したときは、前記発振信号の周波数の前記基準信号の周波数に対する高低が逆方向に遷移したと判定することを特徴とする付記8記載のPLL回路。
【0097】
(付記10)前記アップ・ダウン・カウンタの計数出力を記憶する制御値記憶部を設け、前記アップ・ダウン・カウンタに、所定の条件下において前記制御値記憶部の記憶値を強制的に入力することを特徴とする付記9記載のPLL回路。
【0098】
【発明の効果】
以上のように、本発明の電圧制御発振器によれば、製品ごとに可変容量に特性上のバラツキがある場合であっても、この特性上のバラツキを吸収し、制御電圧の中心値で共振回路の中心容量値を設計上の中心容量値と同一ないし略同一にし、発振周波数の範囲として所要の周波数範囲と同一又は略同一の周波数範囲を得ることができるので、本発明の電圧制御発振器の第1実施形態を含むPLL回路を設計する場合において、周波数制御装置の設計を容易に行うことができる。
【0099】
本発明のPLL回路によれば、本発明の電圧制御発振器を使用しているので、周波数制御装置の設計を容易に行うことができると共に、クロック信号として、純度の高い、すなわち、ジッタの少ない信号を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電圧制御発振器の第1実施形態を示す回路図である。
【図2】本発明の電圧制御発振器の第1実施形態が備える可変容量選択部の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の電圧制御発振器の第1実施形態が備える共振回路を構成する2個の並列共振回路が取り得る容量値の制御電圧特性を示す図である。
【図4】本発明の電圧制御発振器の第2実施形態を示す回路図である。
【図5】本発明の電圧制御発振器の第2実施形態が備える第1、第2の可変容量選択部の中の第2の可変容量選択部の構成を示す回路図である。
【図6】本発明の電圧制御発振器の第2実施形態において新たに付加された可変容量部の容量値の制御電圧特性を示す図である。
【図7】本発明の電圧制御発振器の第2実施形態の効果を説明するための図である。
【図8】本発明のPLL回路の第1実施形態を示す回路図である。
【図9】本発明のPLL回路の第2実施形態を示す回路図である。
【図10】本発明のPLL回路の第3実施形態を示す回路図である。
【図11】本発明のPLL回路の第3実施形態が備えるアップ・ダウン・カウンタの可変容量設定動作を説明するための図である。
【図12】本発明のPLL回路の第4実施形態を示す回路図である。
【図13】本発明のPLL回路の第5実施形態を示す回路図である。
【図14】従来の電圧制御発振器の一例を示す回路図である。
【図15】図14に示す従来の電圧制御発振器の制御電圧の電圧値の初期調整方法を説明するための図である。
【図16】参考例の電圧制御発振器を示す回路図である。
【図17】図16に示す参考例の電圧制御発振器が備える共振回路を構成する2個の並列共振回路の容量値の制御電圧特性の初期調整方法を説明するための図である。
【符号の説明】
VCONT…制御電圧
SC、/SC…発振信号
Claims (3)
- インダクタと、
制御電圧により容量値を可変とされた第1の可変容量群と、
前記制御電圧により容量値を可変とされ、前記第1の可変容量群の各可変容量と対をなす可変容量を有する第2の可変容量群と、
可変容量設定信号により選択動作を制御され、前記第1の可変容量群の中から前記制御電圧を供給する可変容量を選択する第1の可変容量選択部と、
前記可変容量設定信号により選択動作を制御され、前記第2の可変容量群の中から前記制御電圧を供給する可変容量を選択する第2の可変容量選択部と
を有する共振回路を備え、
前記第2の可変容量群の各可変容量は、前記第1の可変容量群中の対をなす可変容量と前記制御電圧に対する容量変化の極性を逆とし、
前記第2の可変容量選択部は、前記第1の可変容量選択部が選択する可変容量と対をなす可変容量を選択する
ことを特徴とする電圧制御発振器。 - インダクタと、
制御電圧により容量値を可変とされた第1の可変容量群と、
前記制御電圧により容量値を可変とされ、前記第1の可変容量群の各可変容量と対をなす可変容量を有する第2の可変容量群と、
可変容量設定信号により選択動作を制御され、前記第1の可変容量群の中から前記制御電圧を供給する可変容量を選択する第1の可変容量選択部と、
前記可変容量設定信号により選択動作を制御され、前記第2の可変容量群の中から前記制御電圧を供給する可変容量を選択する第2の可変容量選択部と
を有する共振回路を備える電圧制御発振器と、
該電圧制御発振器の発振周波数を制御する周波数制御装置とを有し、
前記第2の可変容量群の各可変容量は、前記第1の可変容量群中の対をなす可変容量と前記制御電圧に対する容量変化の極性を逆とし、
前記第2の可変容量選択部は、前記第1の可変容量選択部が選択する可変容量と対をなす可変容量を選択する
ことを特徴とするPLL回路。 - 前記周波数制御装置は、
前記可変容量設定信号を発生する可変容量設定部と、
基準信号を発生する基準信号発生部と、
前記電圧制御発振器から出力される発振信号と前記基準信号との位相差及び周波数差を検出する位相周波数検出部と、
前記可変容量設定信号に応じて帰還利得を可変とされ、前記位相周波数検出部の出力に応答して前記制御電圧を前記電圧制御発振器に供給する帰還制御部を備える
ことを特徴とする請求項2記載のPLL回路。
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