JP4647800B2 - 造船用生産計画装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、造船用生産計画装置に関し、特に、複数の船が同時並行的に造船される場合の中日程を生成することができる、造船用生産計画装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
船の建造は、完成品である船を分割した形で行われる。その分割された各々の部品はブロックと呼ばれる。造船作業の生産計画では、各ブロックの工程が決定されると共に、その各工程が行われるときの日程が決定される。
【0003】
造船作業では、船一隻分の設計が完了する前に、その船の一部のブロック(設計が終っているブロック)の製作が開始されることがある。そのときに、その船の残りのブロック(設計が終っていないブロック)については、日程が決まっていないケースがあり、さらにそのブロックの一部は、日程のみならず工程も決まっていないケースがある。
【0004】
上記のように、造船作業では、他の製品(車など)の生産計画と異なり、製品(船)を構成する複数の部品についての生産計画を一律に立てられない場合がある。また、複数の船についての生産計画が同時に立てられる場合には、上記ケースが重なることから、一層、生産計画を立て難い状況となる。
【0005】
さらに、既に建造中の船があるときに、別の船の受注を検討するに際しては、その受注検討対象の船の設計が全く行われていない状況で、すなわち、工程および日程が未定の状態で、その船の作業量と建造中の船の作業量との兼ね合いを調べ、その上で、作業を同時進行させるとき工程および日程を決めなくてはならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
造船作業に特有の上記問題を解決して、設計状況や工程および日程の決定状況などが多様である船の各ブロックについての生産計画を立て易い、造船用生産計画装置が望まれている。
また、複数の船の各ブロックについての生産計画を立て易い、造船用生産計画装置が望まれている。
さらに、受注検討中の船を含む複数の船の各ブロックについての生産計画を立て易い、造船用生産計画装置が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、造船作業に特有の上記問題を解決して、設計状況や工程および日程の決定状況などが多様である船の各作業についての生産計画を立て易い、造船用生産計画装置を提供することである。
本発明の他の目的は、複数の船の各作業についての生産計画を立て易い、造船用生産計画装置を提供することである。
本発明の更に他の目的は、受注検討中の船を含む複数の船の各作業についての生産計画を立て易い、造船用生産計画装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の造船用生産計画装置は、第1および第2の作業のスケジュールをそれぞれ示す第1および第2のスケジュールデータを入力する入力部と、前記入力された第1および第2のスケジュールデータに基づいて、前記第1および第2の作業のスケジュールを調整する調整部とを備えた造船用生産計画装置であって、前記第1および第2の作業のスケジュールデータには、それぞれ、前記第1および第2の作業の作業量を示すデータが含まれているとともに、前記第1の作業のスケジュールの確定度が前記第2の作業のスケジュールの確定度に比べて高いことが示され、前記調整部は、前記第1の作業のスケジュールを調整可能な範囲が前記第2の作業のスケジュールを調整可能な範囲よりも低い旨の条件を設定し、前記条件の下で、設定された作業能力を超えないように、前記第1および第2の作業のスケジュールを調整する。
【0009】
本発明の造船用生産計画装置において、前記第2の作業のスケジュールでは、前記第2の作業の工程が確定され、かつその日程が未確定であるとき、前記第1の作業のスケジュールでは、前記第1の作業の工程および日程は確定され、前記第2の作業のスケジュールでは、前記第2の作業の工程およびその日程が未確定であるとき、前記第1の作業のスケジュールでは、前記第1の作業の工程が確定されている。
【0010】
本発明の造船用生産計画装置において、前記第1および第2のスケジュールデータは、単一作業場所での実施が予定された前記第1および第2の作業のスケジュールをそれぞれ示し、前記設定された作業能力は、前記単一作業場所に与えられている設定された時間毎の作業能力である。
【0011】
本発明の造船用生産計画装置において、前記第1の作業は、第1の船に係るものであり、前記第2の作業は、第2の船に係るものである。
【0012】
本発明の造船用生産計画装置において、前記第2の作業のスケジュールは、過去に行われた前記第2の作業に類似する作業のスケジュールに基づいて推定される。
【0013】
本発明の造船用生産計画装置において、更に、前記調整部により調整された前記第1および第2の作業のスケジュールに従って、それぞれ前記第1および第2の作業に必要な部材を発注する発注部を備えている。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の造船用生産計画装置の一実施形態が説明される。
【0015】
図1を参照して、本実施形態の造船用生産計画装置について説明する。
【0016】
図1に示されるように、本実施形態の造船用生産計画装置10は、中日程シミュレータ11と、小日程シミュレータ21とを備えている。
【0017】
中日程シミュレータ11は、造船工場において、複数の船が同時並行的に造船される場合の中日程を生成する。ここで、中日程シミュレータ11により生成される中日程には、確定中日程と決定中日程の2種類が有る。確定中日程は、概ね決められた中日程であり、若干の日程調整が可能である。決定中日程とは、日にち単位の詳細まで決められた中日程であり、原則として日程調整されることはない。
なお、中日程シミュレータ11が確定中日程を生成するときの動作については、後述する。
【0018】
上記において、「中日程」とは、工期(着工日、完工日)と作業量および作業班(Gr.)から成る工程である。中日程とは、引渡し時期を含む受注内容から決定される大日程計画に基づいて計画され、作業全体を大まかに複数の作業場所に分けたときの各作業場所における運用計画に相当する。中日程は、例えば、客船の10階にある複数の客室全体を対象として、天井施工作業、壁施工作業、床施工作業のそれぞれがいつまでに行われるかを示す。この場合、中日程では、客船の10階の複数の客室のそれぞれの天井施工作業、壁施工作業、床施工作業のそれぞれがいつまでに行われるとか、それらの各作業がどの作業員によって行われるか、という内容は含まれない。
【0019】
中日程シミュレータ11により確定中日程または決定中日程が生成されると、その確定中日程または決定中日程に基づいて、いつまでにどの部材(資材)がどれだけ必要であるかを示す資材情報が求められる。その資材情報に基づいて、業者に資材発注がなされたり、外注した中間製品の納期管理がなされる。
【0020】
小日程シミュレータ21は、中日程シミュレータ11により生成された確定中日程または決定中日程の制約の下で、小日程を生成する。
小日程シミュレータ21は、入力した確定中日程または決定中日程に基づいて、小日程を算出する。このとき、確定中日程または決定中日程に含まれる作業員数のデータに基づいて、作業進捗量を計算し、その作業進捗量に見合うように必要部材および部材投入日を逆算することができる。
【0021】
上記において、「小日程」とは、中日程を作業項目毎に、工期、場所、人、設備に分解した詳細な工程である。小日程とは、中日程としてその運用計画が決定された各作業場所で行われる複数の作業のそれぞれを対象とした計画である。小日程は、中日程を守るように計画されなければならない。上記例では、小日程は、客船の10階の複数の客室のそれぞれの天井施工作業、壁施工作業、床施工作業のそれぞれ(作業項目)がいつまでに行われるとか、それらの各作業がどの作業員によって行われるか、どの設備を用いるか、どの工法とどの材料が用いられるか、という内容に相当する。
【0022】
小日程シミュレータ21により小日程が生成されると、その小日程に基づいて作業指示が出される。小日程は、作業員のガントチャートおよび作業場所のガントチャートとして表され、これら作業員のガントチャートおよび作業場所のガントチャートとして、小日程に基づいた作業指示が出力される。作業員のガントチャートでは、縦軸が作業員で横軸が時間であり、誰がいつどこで何をするかが示される。作業場所のガントチャートでは、縦軸が作業場所で横軸が時間であり、どこで誰がいつ何をするかが示される。
【0023】
上記のように小日程に基づいた作業指示が出されると、各作業場所では、その作業指示に従って実作業が行われる。その実作業の実際の進捗状況を示すデータは、実績として小日程シミュレータ21にフィードバックされる。例えば、病気で休んだ作業員が出ると、その分マンパワーが減り、作業の進捗が遅れる。
【0024】
小日程シミュレータ21に上記データがフィードバックされると、小日程シミュレータ21は、そのデータに基づいて、上記確定中日程または決定中日程の制約の下に小日程を作り直すことができる。
【0025】
上記においては、小日程シミュレータ21は、中日程シミュレータ11により生成された確定中日程または決定中日程の制約の下に、小日程を生成する。このように小日程シミュレータ21が単独で小日程を生成する方法に加えて、本実施形態では、中日程シミュレータ11と小日程シミュレータ21とが、互いに連携して小日程を生成することができる。そのときの小日程生成方法の詳細は、特開平11−328276号公報のスケジューリングシステムに記載されている。
【0026】
その記載されたスケジューリングシステムの一例は、工場における生産作業等、経時的な要素を有する事象の開始からその終了に至る迄の時系列的な一連の計画をたてるスケジューラと、工場の設備能力等、スケジューラが計画したスケジュールを模擬するために必要な基礎となるデータをデータベースとして有しておりスケジューラで計画した作業日程等の事象を時間軸を考慮しながらシミュレート計算を行って模擬するシミュレータとを有するスケジューリングシステムにおいて、シミュレータは、例えば作業能率を増大させることができる場合にこれを定量化したもの等、スケジューラで計画した事象の内容を変更し得るような条件であるリ・スケジューリング条件を、データベースに有しており、シミュレーション計算の途中で、スケジューラが計画するスケジュールの実現が不可能であることが判明した場合にはリ・スケジューリング条件を用いて当該スケジュールを変更し、その後再度シミュレーション計算を行うように構成したことを特徴とするものである。
【0027】
小日程シミュレータ21に実績としてフィードバックされた上記データを用いて、小日程シミュレータ21は、中日程シミュレータ11と連携して、特開平11−328276号公報記載のスケジューリングシステムの方法を実行し、小日程(場合によってはさらに中日程までをも)を再度作り直すことができる。
【0028】
次に、本実施形態の造船用生産計画装置10に基づいて、中日程シミュレータ11が確定中日程データを生成する場合について説明する。
【0029】
前述のように、船の建造は、完成品である船を分割した形で行われる。この場合の分割された各々の部品はブロックと呼ばれ、最終的には造船所ドックにあるクレーンによって搭載されて組立てられる。
【0030】
各ブロックがドックに搬送されて、船の構成物として製作中の船に搭載される迄の各作業を作業順に矢印で表現すると以下のようになる。ブロックに相当する部分のマーキング工程→切断工程→小組工程→中組工程→大組工程→艤装工程→塗装工程→搭載工程。
【0031】
造船作業では、ブロック毎にマーキング工程→切断工程→小組工程→中組工程→大組工程→艤装工程→塗装工程→搭載工程が行われる。そして、造船工場内において、そのブロック毎の各工程が施工される場所が、特定の施工棟として決められている。ある施工棟において実施が予定されている各ブロックの工程が、ある時期に重複して行われるとき、その実施が予定されている各工程の作業量は、その実施予定時期に対応するようにグラフ(図2(a))で示すことができる。
【0032】
図2(a)においては、その実施が予定されている各工程の作業量に関して、日毎の作業量が実線で示され、その施工棟のその時期に割り当てられた日毎の作業制限が破線で示されている。
【0033】
図2(a)に示すように、実施が予定されている各作業量をその実施予定時期通りに行うとすると、作業制限(破線参照)を超える時期が生じるとする。ここで、実施が予定されている各工程の実施予定時期を調整できるとすると、図2(b)に示すように、上記作業制限を越えないように各工程の実施予定時期を調整することができる。これを作業の平準化という。
【0034】
図3は、船Aの確定中日程を示している。図1に示されるように、船Aの確定中日程は、生産管理システム41で定められる。船Aの確定中日程は、その生産管理システム41から中日程シミュレータ11に入力される。
【0035】
図3の確定中日程では、船Aを構成する複数のブロックのそれぞれの上記各工程の工期が示されている。図3において、符号「マ」は、切断開始を意味し、符号「小」は、小組工程を意味し、符号「中」は、中組工程を意味し、符号「大」は、大組工程を意味し、符号「ギ」は、艤装工程を意味し、符号「PT」は、塗装工程を意味し、符号「ト」は搭載工程を意味している。
【0036】
例えば、船AのブロックUD1は、2000年11月中旬に切断が開始され、11月下旬に小組工程が行われ、12月前半に中組工程が行われ、12月後半に大組工程が行われ、2001年1月上旬に艤装工程が行われ、1月中旬に塗装工程が行われ、1月下旬に搭載工程が行われる。
【0037】
また、図3に示されるように、ブロック名の隣には、そのブロックの大組工程が施工される大組施工棟が示されている。ブロックBC1、2D31、3D31、4D32、および3D41の大組工程が行われるのは、いずれもF2棟である。F2棟で行われるブロックBC1、2D31、3D31、4D32、および3D41の大組工程のそれぞれの時期は、符号42、43、44、45、46で示されている。
【0038】
中日程シミュレータ11に入力される船Aの中日程は、図3に示すように、確定中日程として、その工程およびその日程が確定されている。
【0039】
本実施形態の造船用生産計画装置10においては、上記の船Aを含む複数の船A、B、Cについての同時並行的な造船計画を立てる場合がある。
【0040】
船Bは、その受注は確定し、設計段階に入っており、2年後に建造開始予定とされている。この船Bは、工程は確定している(作り方は決まっている)が日程が未定である。ここで、船Bの日程が未定であるとは、船Bの各工程が行われる時期については決まっているものの、その日にちまでは決まっていないという意味である。この船Bの工程のみ確定された中日程データは、生産管理システム41において生成され、その生産管理システム41から中日程シミュレータ11に入力される。
【0041】
船Cは、その受注についての引き合い中であり、その工程も日程も未定である。船Cの受注を受ける場合の船Cの受注時期は、1年後である。
【0042】
本実施形態の造船用生産計画装置10に基づいて、船A、BおよびCについて同時並行的に作業を進めるときの造船計画(確定中日程)が立てられる場合、船A、BおよびCの作業を平準化して、その造船工場、施工棟にて行われる作業工数が作業制限(能力)を超えないようにする。このとき、本実施形態の造船用生産計画装置10は、可能な限り、既に確定済の日程および工程に変更を加えることがないようにする。
【0043】
本実施形態の造船用生産計画装置10を用いて、船A、BおよびCの作業を平準化したとしても、船A、BおよびCの作業がその造船工場、施工棟の作業制限を越えるようであれば、船Cについての1年後の受注を受けないこととする。
【0044】
ここで、本実施形態の造船用生産計画装置10の特徴の一つについて説明する。
通常一般の大量生産物、例えば、車は設計が完全に終了してから、その車の製作が開始される。これに対し、船は、設計が完了する前にその一部のブロックの製作が開始される。したがって、ブロックの製作が開始された後も、その船一隻分のブロックについての中日程が確定しているわけではない(図3は、船Aの一隻分のブロックではなく、一部のブロックについての確定中日程データである)。
【0045】
そのため、船の中日程は、前船と呼ばれその建造予定の船に類似する船型(大きさ・形状)が過去に建造されたときの履歴として残っている中日程データ(標準日程)51に基づいて推定される(これを推定中日程という)。
【0046】
推定中日程は、本例で示したように、その受注が検討中である船Cの中日程に限られるものではない。船Aの図3に示されていない複数のブロックのうち設計が未終了であり、その工程すら確定していないブロックについての中日程も推定中日程であることができ、その場合も、前船のデータから推定される。
【0047】
上記のように、中日程が工期と作業量から定められることから、推定中日程は、前船の工期および作業量をそれぞれ1.0としたときに、建造予定の船の工期および作業量がそれぞれ何倍に相当するかを換算して求める。
【0048】
船Cの中日程は、推定中日程である。船Cの推定中日程は、前述のように、工程も日程も未定である。船Cの推定中日程は、生産管理システム41以外で生成される。その船Cの推定中日程は、中日程シミュレータ11に入力される。
【0049】
通常一般のスケジューラでは、スケジューリングする対象が複数ある場合、それらの複数の対象の全ての時期(スケジュール)を自在に設定できるのが原則である。
これに対し、本実施形態の造船用生産計画装置10では、スケジューリングする対象が船A、BおよびCの各中日程である場合、それぞれの中日程の確定度に応じて、その時期を設定(調整)するときの自由度が異なるようになっている。
【0050】
船A、BおよびCの各中日程を入力した中日程シミュレータ11は、確定中日程を生成するに際して、以下のように動作する。
【0051】
すなわち、日程および工程が確定している船Aの中日程については、最優先のスケジュールとし、決定した中日程とする。工程が確定し日程が未定である船Bの中日程については、船Aの次に優先すべきスケジュールとし、その時期は変更できるもののその時期の設定の自由度が低くされている(変更可能な幅が小さい)。工程も日程も未定である船Cの中日程については、その時期を設定するときの自由度が大きく設定されている(変更可能な幅が大きい)。
【0052】
図4(a)は、中日程シミュレータ11に入力された、船A、船Bおよび船Cのそれぞれについての、F2棟において大組工程が行われるときのスケジュール(中日程)を示している。
【0053】
図4(a)において、先頭に船Aを示すAが付されたブロックA−BC1、A−2D31、A−3D31、A−4D32、およびA−3D41のそれぞれの時期(符号42、43、44、45、46)は、それぞれ図3のブロックBC1、2D31、3D31、4D32、および3D41の各大組工程の時期と一致している。
【0054】
図4(b)は、F2棟において船A〜Cの大組工程が行われるときの作業量(作業工数)を示している。図4(b)のグラフにおいて、横軸は、図3および図4(a)と同じく時間(日数、時期)を示し、縦軸は作業量(作業工数)を示している。図4(b)のグラフにおいて、それぞれ枠で囲まれた面積がそのブロックの作業量を示している。
【0055】
図4(b)においては、まず、図4(a)のブロックA−BC1、A−2D31、A−3D31、A−4D32、およびA−3D41の各大組工程が行われる時期(図4(a)の符号42、43、44、45、46)にそれぞれの作業量が面積として示されている。
【0056】
上述のように、その日程および工程が確定している船Aの中日程が最優先とされる。よって、中日程シミュレータ11は、入力された図4(a)のブロックA−BC1、A−2D31、A−3D31、A−4D32、およびA−3D41の時期(図4(a)の符号42、43、44、45、46)を何ら変えることなく、そのままその時期にそのブロックの大組工程を実施するように決定する。
【0057】
よって、その入力された通りの時期(図4(a)の符号42、43、44、45、46)にブロックA−BC1、A−2D31、A−3D31、A−4D32、およびA−3D41の作業量を第一に確保すべく、図4(b)に最優先にブロックA−BC1、A−2D31、A−3D31、A−4D32、およびA−3D41が書き込まれる。
【0058】
図4(a)においては、中日程シミュレータ11に入力された船BのブロックB−2D31、B−4D33およびB−3D41についてのスケジュール(中日程)が符号51、52、53の位置に示されている。また、その入力された船BのブロックB−2D31、B−4D33およびB−3D41のスケジュールの時間帯51、52、53の前後には、それぞれスケジュールが変更可能な幅が破線で示されている。
【0059】
同様に、図4(a)においては、中日程シミュレータ11に入力された船CのブロックC−仮4D32およびC−仮3D41についてのスケジュール(推定中日程)が符号61、62の位置に示されている。また、その入力された船CのブロックC−仮4D32およびC−仮3D41のスケジュールの時間帯61、62の前後には、それぞれスケジュールが変更可能な幅が破線で示されている。
【0060】
中日程シミュレータ11がF2棟における船A、BおよびCの大組工程の作業を平準化した中日程を生成するとき、船BおよびCの各時間帯51、52、53、61、62に付された破線の長さの範囲で、各時間帯51、52、53、61、62は、スケジュール変更が可能である。
【0061】
上述のように、工程が確定している船Bの中日程は、船Aの次に優先され、スケジュール変更可能な範囲が比較的小さく設定されている。工程および日程が未定の船Cの中日程は、最も優先度が低く、スケジュール変更可能な範囲が比較的大きく設定されている。
【0062】
図4(b)に示すように、上記のように、船Aの各ブロックA−BC1、A−2D31、A−3D31、A−4D32およびA−3D41のスケジュールについては決定されている。そのため、船Aの各ブロックA−BC1、A−2D31、A−3D31、A−4D32およびA−3D41のスケジュールによって占められていない部分において、図4(b)に示される作業制限を越えないように、船BおよびCの各時間帯51、52、53、61、62を、それぞれのスケジュールが変更可能な幅の範囲で移動させつつ最適なスケジュールを決定する。
【0063】
船BおよびCの各ブロックB−2D31、B−4D33、B−3D41、ブロックC−仮4D32およびC−仮3D41の時間帯の最適な位置をそれぞれ符号51A、52A、53A、61A、および62Aで示す。図4(b)においては、符号51A、52A、53A、61A、および62Aのそれぞれの時期に設定された船BおよびCの各ブロックB−2D31、B−4D33、B−3D41、ブロックC−仮4D32およびC−仮3D41の作業量が面積として示されている。
【0064】
図4(b)に示すように、F2棟における船A、BおよびCの各ブロックの大組工程の作業は平準化した結果、いずれの日をとっても、それらの作業工数が作業制限を越えることがない。したがって、図4(b)に示される内容が中日程シミュレータ11から確定中日程として出力される。
【0065】
なお、上記例では、複数の船A、BおよびCの、工程および日程の確定度が互いに異なる中日程を調整して、単一作業場所(F2棟)での作業の平準化を行う内容について説明した。この例に代えて、生産物流制御システム10では、単一の船(例えば船A)の、工程および日程の確定度が互いに異なる中日程を調整して、単一作業場所での作業の平準化を行うことができる。
【0066】
本実施形態の生産物流制御システム10によれば、以下の効果を奏することができる。
【0067】
工程および日程が決まっているブロックと、工程のみが決まっており日程が決まっていないブロックと、工程および日程が決まっていないブロックとが混在している状況下で、これらのブロックの生産計画を立てることができる。さらに、上記のようにブロックが混在している船が同時に複数有るときの生産計画を立てることもできる。これにより、造船作業における特有の課題を解決することができる。
【0068】
この場合、そのブロックの工程および/または日程の確定度に応じて、日程調整しつつ生産計画を立てる。すなわち、確定度の高いスケジュールが変更されるときの変動幅は小さく、確定度の低いスケジュールが変更されるときの変動幅は大きい。
【0069】
さらに、既に建造中の船があるときに、別の船の受注を検討するに際しては、その受注検討対象の船の工程および日程が未定の状態で、その船の作業量と建造中の船の作業量との兼ね合いを調べ、その上で、作業を同時進行させるとき工程および日程を決める必要があるが、本実施形態の生産物流制御システム10によれば、確定度の異なる複数種類の確定中日程と、前船に基づく標準日程から求めた推定中日程とを入力し、それぞれの日程調整幅を自動生成し、その上で両船の作業を同時進行させるときの生産計画が最適な形で立てられる。
【0070】
【発明の効果】
本発明の造船用生産計画装置によれば、造船作業に特有の上記問題を解決しつつ生産計画を立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の造船用生産計画装置の一実施形態の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の造船用生産計画装置の一実施形態における、作業の平準化を説明するための図であり、図2(a)は、ある施工棟において実施が予定されている作業の作業予定時期と作業工数とを示す図であり、図2(b)は、図2(a)の状態が作業制限内に収まるように作業の平準化を行った後の図である。
【図3】図3は、本発明の造船用生産計画装置の一実施形態において、造船予定の単一の船の各ブロックの各工程が行われるときの中日程のスケジュールを示す図である。
【図4】図4(a)は、本発明の造船用生産計画装置の一実施形態において、造船予定の3隻の船の各ブロックの工程が単一の作業場所にて行われるときの中日程のスケジュールを示す図であり、図4(b)は、図4(a)の単一の作業場所において3隻の船の各ブロックの工程が行われるときの作業量と日数の関係を示す図である。
【符号の説明】
10 生産物流制御システム
11 中日程シミュレータ
21 小日程シミュレータ
41 生産管理システム
51 標準日程
マ 切断開始
小 小組工程
中 中組工程
大 大組工程
ギ 艤装工程
PT 塗装工程
ト 搭載工程
Claims (6)
- 船の引渡し時期を含む受注内容から決定される大日程計画に基づいて計画され、作業全体を複数の作業場所に分けたときの各作業場所における作業計画を示す中日程計画として、複数の船の各々について、工程及び日程の確定度が互いに異なる未定中日程計画を生成し、前記未定中日程計画の工程及び日程を調整して確定中日程計画として出力する中日程シミュレータと、
前記確定中日程計画の工程及び日程に基づいて、当該中日程を作業項目毎に工期、作業場所、人、設備に分解し作業員及び作業場所を指示する詳細な工程として小日程計画を生成し、作業員のガントチャート及び作業場所のガントチャートとして、前記小日程計画に基づいた作業指示を出力する小日程シミュレータと
を具備し、
前記中日程計画は、前記複数の作業場所のそれぞれにおける個別の作業の実施予定時期及び作業担当者を示さず、前記複数の作業場所全体を対象として個別の作業の実施予定時期を示す計画であり、
前記小日程計画は、前記中日程計画に準拠して、前記複数の作業場所のそれぞれにおける個別の作業の実施予定時期を示す計画である
造船用生産計画装置。 - 請求項1に記載の造船用生産計画装置であって、
前記中日程シミュレータは、前記中日程計画に基づいて、必要な資材の種類及び数量を示す資材情報を生成し、前記資材情報に基づいて、資材発注、及び外注した中間製品の納期管理を行う
造船用生産計画装置。 - 請求項1又は2に記載の造船用生産計画装置であって、
前記小日程シミュレータは、前記小日程計画に基づいた作業指示を出力し、前記作業指示に従って行われた実作業の進捗状況を示すデータがフィードバックされた際に、前記データに基づいて前記小日程計画を作り直す
造船用生産計画装置。 - 請求項3に記載の造船用生産計画装置であって、
前記中日程シミュレータは、前記小日程シミュレータと連携し、前記小日程シミュレータに前記データがフィードバックされると、前記データに基づいて前記中日程計画を作り直す
造船用生産計画装置。 - 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の造船用生産計画装置であって、
前記中日程シミュレータは、建造予定の船に類似する船型の建造履歴に基づいて、前記船の工期及び作業量が前記建造履歴の工期及び作業量の何倍に相当するかを換算し、前記中日程計画を生成する
造船用生産計画装置。 - 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の造船用生産計画装置であって、
前記中日程シミュレータは、複数の船の各々の工程及び日程の設定の自由度に応じて前記未定中日程計画を調整し、単一作業場所での作業の平準化を行い、所定の作業場所にて行われる作業工数が作業能力を超えないように制限し、前記確定中日程計画として出力する
造船用生産計画装置。
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