JP4647776B2 - ポリアミド系樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

ポリアミド系樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機ハロゲン系難燃剤を有するポリアミド系樹脂組成物およびその成形品に関する。さらに詳しくは難燃性とウエルド強度が要求される電子・電気分野のコネクター等の部品、自動車のコネクター等の電装部品に好適に用いられる有機ハロゲン系難燃剤を有するポリアミド系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミド樹脂は、機械的特性、成形加工性、耐薬品性が良好であるという特性が利用されて電気・電子部品、自動車部品、機械部品等の分野で使用されている。特に、電気・電子部品用途においては、近年ますます難燃性に対する要求レベルが高くなり、本来ポリアミド樹脂の有する自己消火性よりも更に高度な難燃性が要求され、アンダーライターズ・ラボラトリーのUL−94規格に基づく難燃性レベルの高度化検討がなされてきた。
【0003】
従来のポリアミド樹脂の難燃化技術は、一般にハロゲン系難燃剤を添加することである。例えば、ポリアミド樹脂への塩素置換多環式化合物の添加(特開昭48−29846号公報)や臭素系難燃剤、たとえば、デカブロモジフェニルエーテルの添加(特開昭47−7134号公報)、臭素化ポリスチレンの添加(特開昭51−47044号公報、特開平4−175371号公報)、臭素化ポリフェニレンエーテルの添加(特開昭54−116054号公報)、臭素化架橋芳香族重合体の添加(特開昭63−317552号公報)、臭素化スチレン−無水マレイン酸重合体の添加(特開平3−168246号公報)等の技術が用いられ、これらの難燃剤は酸化アンチモン等の難燃助剤としばしば併用されてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
最近では、電子・電気部品もその技術的進歩に伴い、急速に軽薄短小化の方向をたどり、従来にない薄肉小型製品が開発され実用化されるに至っている。この様な動きにおいて、臭素化ポリスチレンを難燃剤とするポリアミド組成物は、薄肉部にウェルド部を有する成形品を射出成形した場合、当該薄肉部の機械的強度が不足するという問題があることが判った。これは従来の通常の肉厚品では経験しないことであった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、この新たな問題に対し、鋭意検討した結果、有機ハロゲン系難燃剤を含有するポリアミド系樹脂から成形される部品のウエルド特性は、そのモルフォロジーと関係しているため、ポリアミドマトリックス中の有機ハロゲン系難燃剤の分散粒子のシェアによる変形を抑制することがウエルド特性を高めることに着目し、有機ハロゲン系難燃剤を含有するポリアミド樹脂に部分的に1価のカチオンで中和されたアイオノマー樹脂を添加する事によって、分散相である有機ハロゲン系難燃剤のウエルド部での配向を抑制でき、このことによりウエルド強度、伸度が著しく改良されることを見いだし本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明の第1の形態であるポリアミド系樹脂組成物は、
(A)ポリアミド、
(B)前記(A)成分100重量部に対して2〜80重量部の有機ハロゲン系難燃剤、
(C)前記(A)成分100重量部に対して0〜50重量部の難燃助剤、および
(D)前記(B)成分100重量部に対して4.5〜70重量部の、部分的に1価のカチオンで中和されたアイオノマー樹脂、を含有することを特徴とする。
【0007】
上記第1の形態において、(E)組成物の総重量に基づいて5〜70重量%の補強材をさらに含有することが好ましい。また、(E)補強材は、金属繊維および炭素繊維以外の無機フィラーであることが好ましい。
【0008】
上記いずれかのポリアミド系樹脂組成物において、(F)成分(A)100重量部に対して2〜60重量部のフェノール系樹脂をさらに含有することが好ましい。
【0009】
また、本発明の第2の形態であるポリアミド系樹脂成形品は、上記のいずれかのポリアミド系樹脂組成物から成形されたことを特徴とする。成形品は、薄肉部を備える射出成形品であって、その薄肉部がウェルド部を有する成形品であってもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる成分(A)はアミド結合を有するポリマーであり、有機ジアミンと有機ジカルボン酸とを重縮合して得られるポリマー、アミノカプロン酸を重縮合して得られるポリマー、ラクタム類を開環して得られるポリマー等である。
【0011】
有機ジアミンの例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2−エチルテトラメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンや、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、イソフォロンジアミン、ピペラジンなどの脂環式ジアミンや、パラフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラキシレンジアミン、メタキシレンジアミンなどの芳香族ジアミンが挙げられ、これらは単独で、または二種類以上組み合わせて用いることができるが、これらに限定されない。
【0012】
有機ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられ、これらは単独で、または二種類以上組み合わせて用いることができるが、これらに限定されない。
【0013】
アミノカプロン酸としては、ε−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノ安息香酸等が挙げられ、これらは単独で、または二種類以上組み合わせて用いることが出来るが、これらに限定されない。
【0014】
ラクタム類としては、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
本発明に用いられるポリアミドは、これらの単独重合体、共重合体、またはこれらのブレンド物であっても良い。
【0016】
上記の具体例としては次の様なものが挙げられるが、これに限定されるものではない。たとえば、ナイロン66、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン66/6、ナイロン66/6T、ナイロン66/6I、ナイロン6T/6I、ナイロン9T、ナイロン66/6T/6I、ナイロン66/6T/612、ナイロンMXD6等があり、一種または多種のポリアミドを用いることができる。
【0017】
本発明で用いられる成分(B)難燃剤としては、塩素系難燃剤や臭素系難燃剤等が一般的である。
【0018】
塩素系難燃剤としては、ドデカクロロペンタシクロオクタデカ−7,15−ジエン等があり、具体的には、オキシデンタルケミカル社製デクロランプラス25<登録商標>がある。
【0019】
臭素系難燃剤としては臭素化ポリスチレン、臭素化架橋芳香族重合体、臭素化スチレン無水マレイン酸重合体、臭素化スチレングリシジル(メタ)アクリレート重合体、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリフェニレンオキシド、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂等があるがこれらに限定されない。
【0020】
上記の具体例としては、フェロ社製パイロチェック68PB<登録商標>、パイロチェック68PB−LM<登録商標>、グレートレークス社製PDBS−80<登録商標>、PDBS−10<登録商標>、マナック社製EBR−370FK<登録商標>、グレートレークス社製PO64P<登録商標>、マクテシム社製F2400<登録商標>、グレートレークス社製CN−2044<登録商標>、CN−2044C<登録商標>等が挙げられる。
【0021】
上記のうち、難燃性、耐熱分解性の点から臭素系難燃剤が好ましく、なかでも、耐熱性、非ブリードアウト性の点から臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリフェニレンオキサイド、臭素化スチレングリシジル(メタ)アクリレート重合体、臭素化架橋芳香族重合体が好ましく、特に臭素化ポリスチレン、臭素化スチレングリシジル(メタ)アクリレート重合体が好ましい。
【0022】
成分(B)の添加量はポリアミド100重量部に対し、10〜100重量部であり、好ましくは20〜100重量部である。これは、所定量よりも少ないと難燃効果が充分でなく、所定量を越えると薄肉ウェルド部の機械強度の著しい低下を招く。
【0023】
本発明において、上記難燃剤に加えて補助的に難燃化効果を示す成分(C)難燃助剤を添加することは有効である。こうすることにより難燃剤の添加量を少なくすることができる。使用できる難燃助剤はたとえば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等のアンチモン化合物、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化スズ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化チタン等がある。また、ホウ酸亜鉛も有効な化合物として知られている。
【0024】
成分(C)の添加量はポリアミド 100重量部に対し、0〜50重量部、好ましくは1〜30重量部程度であり、1種単独または2種以上組み合わせて用いることが出来る。多く配合しすぎると組成物全体の機械的強度が低下するため好ましくない。
【0025】
本発明で用いられる成分(D)部分的に1価のカチオンで中和されたアイオノマーは、ベースポリマーの少なくとも一部が1価のカチオンで中和されたイオン架橋重合体である。部分的に1価のカチオンで中和されたアイオノマーである限り、特に限定されずに使用することができる。
【0026】
ベースポリマーの具体例としては、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を挙げることができる。また、エチレンと不飽和カルボン酸以外にその他の不飽和モノマー成分を共重合させてもよい。さらに、総和が上記条件を満たす限り、不飽和カルボン酸成分単位の異なるものを2種以上用いてもよい。
【0027】
不飽和カルボン酸として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、無水マレイン酸、イタコン酸などが挙げられる。
【0028】
他の不飽和モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルのようなアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、あるいは酢酸ビニルなどが例示できる。
【0029】
1価のカチオンは、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属である。カチオンによる中和度は、特に限定されないが、平均中和度が10モル%以上、好ましくは15〜80モル%からなるものが好適である。
【0030】
成分(D)の添加量は(B)有機ハロゲン系難燃剤成分100重量部に対し4.5〜70重量部、好ましくは5.0〜40重量部程度であり、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。上記範囲より添加量が少ないとウエルド強度の向上が十分得られず、またフェノール樹脂を含む系においては難燃性が十分発揮されなくなる。また、添加量が多すぎると難燃性、機械的強度が低下するため好ましくない。
【0031】
本発明組成物を(E)補強剤で強化することは望ましい。電子・電気部品が薄肉化しているため、非補強ポリアミドでは剛性が不足するからである。また補強されたものは吸水による寸法変化も少なく、熱変形温度も高くなる傾向にある。補強剤としては、周知のナイロン用強化剤・充填剤を用い得る。たとえばガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、石膏繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミクス繊維、ボロンウィスカ繊維、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、クレー、ワラストナイト、酸化チタン、ハイドロタルサイト等の繊維状、粉状、あるいは板状の無機フィラー、または芳香族アラミド繊維などが挙げられる。
【0032】
これら充填剤は、一種もしくは二種以上組み合わせて用いても良い。特に、上記充填剤中、ガラス繊維が好ましく使用される。ガラス繊維の種類は、一般の樹脂強化用に用いるものであれば特に限定はなく、短繊維タイプや長繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバー等から選択して用いることができる。また、ガラス繊維は、エチレン/酢酸ビニル共重合体や、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系、ポリエステル系等の樹脂で被覆あるいは集束されていてもよく、またシラン系、チタネート系カップリング剤、その他の表面処理剤で処理されていても良い。
【0033】
これら(E)補強剤の添加量は、組成物の全重量に基づいて、1〜70重量%、好ましくは5〜70重量%、更に好ましくは10重量部〜50重量%である。補強剤が少なすぎるとその効果が不十分であるし、多すぎると成形加工時の流動性が悪くなり、成形品の表面肌があれたり、ショートショットになる。
【0034】
本発明において、(F)フェノール系樹脂を添加することは有効である。こうすることにより難燃性が向上するので難燃剤の添加量を少なくすることができ、その結果ウエルド強度が向上するだけでなく、耐湿性も向上するので寸法安定性が求められる用途においても使用が可能となる。
【0035】
本発明で使用される(F)フェノール系樹脂は、フェノール性水酸基を複数有する高分子であれば任意であり、例えばノボラック型、レゾール型および熱反応型の樹脂、あるいはこれらを変性した樹脂が挙げられる。これらは硬化剤未添加の未硬化樹脂、半硬化樹脂、あるいは硬化樹脂であってもよい。
【0036】
本発明の効果が最も発揮できる(F)フェノール系樹脂としては、硬化剤未添加で、非熱反応性であるフェノールノボラック樹脂を挙げることができる。これは、UL94規格における難燃性、限界酸素指数の高さ、実成形品での難燃性および機械特性、流動性、最終的に得られる成形品のウエルド部の強度および表面外観、並びに経済性の点で特に好ましい。
【0037】
また、上記の硬化剤未添加で、非熱反応性であるフェノールノボラック樹脂は、芳香族炭化水素樹脂、エポキシ樹脂およびほう酸等で変性されていてもよい。
【0038】
さらにまた、形状は特に制限されず、粉砕品、粒状、フレーク状、粉末状、針状、液状などいずれも使用できる。
【0039】
上記(F)フェノール系樹脂は必要に応じ、1種または2種以上使用することができる。(F)フェノール系樹脂は特に限定されるものではなく市販されているものを用いてもよい。フェノール系樹脂は、例えば、ノボラック型フェノール樹脂の場合、フェノール類とアルデヒド類のモル比を1:0.7〜1:0.9となるような比率で反応槽に仕込み、更にシュウ酸、塩酸、硫酸、トルエンスルホン酸等の触媒を加えた後、加熱し、所定の時間還流反応を行い、生成した水を除去するため真空脱水あるいは静置脱水し、更に残っている水と未反応のフェノール類を除去する方法により得ることができる。これらの樹脂あるいは複数の原料成分を用いることにより得られる共縮合フェノール樹脂は単独あるいは二種以上用いることができる。
【0040】
また、レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類のモル比を1:1〜1:2となるような比率で反応槽に仕込み、水酸化ナトリウム、アンモニア水、その他の塩基性物質などの触媒を加えた後、ノボラック型フェノール樹脂と同様の反応および処理をして得ることができる。
【0041】
ここで、フェノール類とはフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、チモール、p−tert−ブチルフェノール、tert−ブチルカテコール、カテコール、イソオイゲノール、o−メトキシフェノール、4,4’−ジヒドロキシフェニル−2,2−プロパン、サルチル酸イソアミル、サルチル酸ベンジル、サルチル酸メチル、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等が挙げられる。これらのフェノール類は一種または二種以上用いることができる。一方、アルデヒド類とはホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ポリオキシメチレン、トリオキサン等が挙げられる。これらのアルデヒド類は必要に応じて一種または二種以上用いることができる。
【0042】
(F)フェノール系樹脂の分子量は特に限定されないが、好ましくは数平均分子量で200〜2,000であり、特に400〜1,500の範囲のものが好ましい。なかでも数平均分子量が400〜1500の範囲のノボラック型フェノール樹脂が、UL94規格における難燃性、限界酸素指数の高さ、実成形品での難燃性および機械的物性、成形加工性、並びに経済性に優れ好ましい。
【0043】
本発明において(F)フェノール系樹脂の添加量は、(A)成分100重量部に対して、2〜60重量部、好ましくは5〜50重量部である。(F)フェノール系樹脂の配合量が上記範囲内である場合は、難燃性、限界酸素指数、実成形品でのウエルド強度と難燃性、流動性、表面外観が良好になる。
【0044】
また、本発明の樹脂組成物には、本発明の組成物の特性を損なわない範囲内で、ハロゲンを含有しない(F)成分以外の低吸水性の樹脂を配合することもできる。このような低吸水性の樹脂の例として、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、アタクチックポリスチレン樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリレート、液晶性樹脂等が挙げられ、これらは必要に応じて一種単独または二種以上用いてもよい。
【0045】
上記低吸水性樹脂を本発明の組成物中に本発明の組成物の特性を損なわないようにうまくアロイ化する方法としては、公知の種々のアロイ化手法を用いることができる。例えば、上記の低吸水性樹脂中に、ポリアミドと反応する官能基含有化合物を共重合またはグラフトして変性してからアロイ化する方法、またはその変性した低吸水性樹脂を相溶化剤として、同種または異種の相溶化可能な低吸水性樹脂と共にアロイ化する方法、低吸水性樹脂と反応する部位とポリアミドと反応する部位を併せ持つ低分子または高分子化合物を相溶化剤として用いる方法等が挙げられる。
【0046】
本発明組成物には、熱安定剤として、銅系化合物、ハロゲンと金属の塩、ヒンダードフェノール、イオウ含有化合物、有機燐系化合物、アミン系化合物等を添加してもよい。滑剤として、ステアリン酸金属塩、エチレンビスステアリルアミド、モンタン酸エステル、モンタン酸金属塩、ポリエチレングリコール、鉱物油等を添加してもよい。さらに、着色剤、可塑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を添加することもできる。
【0047】
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定されない。例えば、ポリアミド樹脂に、特定の難燃剤、特定の難燃助剤、特定のアイオノマー、充填剤の他、必要に応じて相溶化剤、リン系化合物、金属化合物および上記に示す添加剤等そのほかの添加剤の混合物を単軸または多軸の押出機、ニーダー、ミキシングロール、バンバリーミキサー等の公知の溶融混練機を用いて、200〜400℃の温度で溶融混練する方法を挙げることができる。特に、押出機を用いて溶融混練することができる。
【0048】
また、本発明の樹脂組成物の一部の成分からなる混合物を溶融混練した後、さらに残りの成分を含む混合物を成形前にブレンドし成形したり、本発明の樹脂組成物の一部成分を含むポリアミド樹脂からなるマスターバッチを作成してから、最終的に本樹脂組成物を作成しても良い。
【0049】
本発明の樹脂組成物の溶融混練において、およびブレンド後の成形において、成分の添加方法、順序等は限定されない。
【0050】
本発明の樹脂組成物は、慣用の溶融成形法、例えば、射出成形法、圧縮成形法、または押出成形法などを利用することにより、所望の形状の成形品を製造することができる。
【0051】
本発明の樹脂組成物は、薄肉部がウェルド部にある薄肉部品を射出成形する際に特に好適に使用される。
【0052】
【実施例】
以下実施例で本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0053】
なお、実施例および比較例に記載した諸特性は以下の方法により評価した。
【0054】
(評価方法)
(1)薄肉ウエルド部の引張強度:厚み0.8mmのダンベル型引っ張り試験片の中央部にウエルド部が形成されるような金型を用いて成形片を作成し、ウエルド部の引張強度を測定した。
(2)薄肉ウエルド部の曲げ強度:厚み0.8mmの短冊形曲げ試験片の中央部にウエルド部が形成されるような金型を用いて成形片を作成し、ウエルド部の曲げ強度を測定した。
(3)難燃性:米国UNDER WRITERS LABORATORIESで定められたUL−94の規格に従って測定した。厚みが1/32インチの試験片で実施した。
(4)吸水率:射出成形により厚さ4mmのISO型引っ張り試験片を成形し、成形直後に重量を測定した。この平板を60℃、95%湿度下で192時間放置した後、取り出し、乾燥した布で拭きあげ、再び重量を測定し吸水率を求めた。
【0055】
また、以下の実施例及び比較例における各成分は以下に示す通りである。
(ポリアミド)
PA−1:ナイロン66
PA−2:ナイロン66/6T(45/55モル%)
(有機ハロゲン難燃剤)
FR−1:臭素化ポリスチレン、フェロー社製 パイロチェック68PB(臭素含有量67%)
FR−2:臭素化ポリスチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、グレートレークス社製 CN−2044C(臭素含有量65%)
FR−3:臭素化ポリスチレン、フェロー社製セイテックス HP−7010G(臭素含有量67%)
FR−4:臭素化ポリスチレン、グレートレークス社製 PDBS−80(臭素含有量59%)
(難燃助剤)
SY−1:三酸化アンチモン80%含有ポリエチレンマスターバッチ、PPC社製 FSPO405
(アイオノマー)
IO−1:エチレン/メタクリル酸共重合体のNaアイオノマー、
三井デュポンポリケミカル社製 ハイミラン 1707
IO−2:エチレン/メタクリル酸共重合体のLiアイオノマー、
三井デュポンポリケミカル社製 サーリン 7930
IO−3:エチレン/メタクリル酸共重合体のZnアイオノマー、
三井デュポンポリケミカル社製 ハイミラン 1706
IO−4:エチレン/メタクリル酸共重合体のMgアイオノマー、
三井デュポンポリケミカル社製 ハイミラン AM7311
(エチレン/メタクリル酸共重合体)
EMA:三井デュポンポリケミカル社製 ニュクレル N1560
(ガラス繊維)
GF:日本板硝子社製 TP64
(フェノール樹脂)
PN:未硬化フェノールノボラック樹脂、スケネクタディ社製 HRJ12700
(潤滑剤)
LB−1:アルミニウムステアレート
【0056】
(実施例1〜8、比較例1〜9)表1に示す割合(重量)で各成分を配合し、2軸押出機(東芝社製TEM−35)で溶融混練し、水冷後ペレットを製造した。得られたペレットを樹脂温度295℃、金型温度80℃で射出成形し、各評価用の試験片を作成した。結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0004647776
【0058】
【表2】
Figure 0004647776
【0059】
【表3】
Figure 0004647776
【0060】
この結果から部分的に1価のカチオンで中和されたアイオノマー樹脂を添加することによってウエルド強度が向上することがわかる。
【0061】
(実施例9〜13、比較例10)
表2に示す割合(重量)で各成分を配合し、2軸押出機(W&P社製ZSK−40)で溶融混練し、水冷後ペレットを製造した。得られたペレットを樹脂温度330℃、金型温度80℃で射出成形し、各評価用の試験片を作成した。結果を表2に示す。
【0062】
【表4】
Figure 0004647776
【0063】
フェノール樹脂とアイオノマー樹脂の2成分を添加することによって、片方の成分の添加だけでは得られないウエルド強度、難燃性、耐湿性を発揮することがわかる。
【0064】
【発明の効果】
本発明により、難燃性が要求され、薄肉のウエルド部を有する射出成形品などの用途に好適な難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供することができる。

Claims (6)

  1. 下記(A)〜(D)成分を含有することを特徴とするポリアミド系樹脂組成物。
    (A)ポリアミド、
    (B)前記(A)成分100重量部に対して2〜80重量部の有機ハロゲン系難燃剤、
    (C)前記(A)成分100重量部に対して0〜50重量部の難燃助剤、および
    (D)前記(B)成分100重量部に対して4.5〜70重量部の、部分的に1価のカチオンで中和されたアイオノマー樹脂
  2. (E)組成物の総重量に基づいて5〜70重量%の補強材をさらに含有することを特徴とする請求項1記載のポリアミド系樹脂組成物。
  3. (E)補強材は、金属繊維および炭素繊維以外のフィラーであることを特徴とする請求項2記載のポリアミド系樹脂組成物。
  4. (F)前記成分(A)100重量部に対して2〜60重量部のフェノール系樹脂をさらに含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド系樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド系樹脂組成物から成形されたことを特徴とするポリアミド系樹脂成形品。
  6. 前記ポリアミド系樹脂成形品が薄肉部を備える射出成形品であって、該薄肉部がウェルド部を有することを特徴とする請求項5に記載の成形品。
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