JP4647048B2 - 透明導電性積層体および透明タブレット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明導電性積層体に関し、さらに詳しくは、透明導電層表面の反射率が低く、透明導電層の耐摩耗性に優れた透明導電性積層体、及びこの透明導電性積層体を少なくとも一方の透明電極基板として用いた透明タブレットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報表示用の液晶ディスプレーと情報入力用の透明タブレット(タッチスイッチ、タッチパネル、フラットスイッチとも称される)を搭載した携帯型の情報機器が広く使用され始めている。透明タブレットとして多く用いられている抵抗膜方式の透明タブレットは、透明導電層が形成された二枚の透明電極基板がおよそ10μm前後の間隔で相対させて構成されており、外力を加えた部分のみで両電極が接触してスイッチとして動作するものであり、例えばディスプレー画面上のメニューの選択あるいは図形や手書き文書の入力等を行なうことができる。
【0003】
このような透明電極基板としては、ガラスや各種の熱可塑性高分子フィルム等の基板上に、例えば酸化錫を含有するインジウム酸化物(ITO)、酸化亜鉛等の金属酸化物による透明導電層を積層したものが広く用いられている。
【0004】
さて、ここで透明タブレットは液晶表示装置、CRT等の各種のディスプレー上に配置される場合が多いが、透明タブレットを光が通過する際に光の反射が大きいとディスプレー表示画面のコントラストや輝度の低下をもたらすので好ましくない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
こうした透明電極表面の反射率を低減する方法として透明導電層の下地に適当な光学干渉性を有する層(光学干渉層)を積層する方法が、本出願人において、例えば特開平8−216327号公報、特開平10−24516号公報等にて提案されている。
【0006】
これらの提案による透明導電性積層体では透明導電層表面の反射率が低減され、タブレットやディスプレーの視認性の向上が為されている。しかしながらかかる透明導電性積層体を透明タブレット等の用途に用いる場合においては、タブレットへの筆記入力による機械的変形に対する透明導電層の耐摩耗性が不十分となる場合が観られた。すなわち透明導電性積層体の更に幅広い分野への応用においては、これらの機械特性を向上させることが望まれていた。
【0007】
本発明の目的は、優れた視認性を有し特にタブレットとして有用な、透明導電層表面の反射率と光散乱性が低く、透明導電層の耐摩耗性の良好な透明導電性積層体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、光の波長のおよそ1/2以下の大きさの光学的に微細な凹凸形状が緻密かつ一様に形成された表面上に透明導電層を設けると、透明導電層の表面の反射率が効果的に低減され、タブレット等への幅広い分野への応用が期待できることを見い出した。
【0009】
すなわち本発明は、有機高分子からなる基板の少なくとも一方の面に必要に応じて硬化樹脂層を介して透明導電層が最表面に設けられた透明導電性積層体において、透明導電層と接する該基板または硬化樹脂層における該透明導電層と接する表面には光学的に微細な凹凸が緻密に形成された透明導電性積層体であって、該光学的に微細な凹凸における凸部の高さが30〜100nm、凸部間の平均距離が50〜300nm、かつ、凸部の底部の長さが50〜200nmであり、透明導電層が設けられた面における波長450〜650nmの領域の平均反射率が5.5%以下であり、かつヘーズ値が10%以下であることを特徴とする透明導電性積層体である。
【0010】
更に本発明の透明導電性積層体の一つの構成体は、前記凹凸における凸部が平均径がおよそ50〜300nmの微粒子の少なくとも一部分を含んで形成されていることを特徴とするものであり、更に本発明の透明導電性積層体の一つの構成体は、前記微粒子がバインダにより固定されていることを特徴とするものである。
【0011】
更に本発明の透明導電性積層体の一つの構成体は、前記バインダが珪素アルコキシドの縮合体から主としてなることを特徴とするものである。
【0012】
更に本発明の透明導電性積層体の一つの構成体は、有機高分子の成形基板の片面もしくは両面に所定の耐溶剤性およびまたはハードコート性を有する保護層が積層されている事を特徴とするものである。
【0013】
更に本発明の透明導電性積層体の一つの構成体は、少なくとも透明導電層が積層される面に積層された前記の保護層が、金属アルコキシドおよび/またはその縮合体を重量比率20%以上含有していることを特徴とし、特に金属アルコキシドが珪素アルコキシドである事を特徴をするものである。
【0014】
また本発明は、二枚の透明電極基板が電極面を相対して配置される透明タブレットの少なくとも一方の透明電極基板として、前記の透明導電性積層体を用いた透明タブレットをも含むものである。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の透明導電性積層体は、有機高分子からなる基板の片側の最表面に透明導電層が設けられ、該透明導電層は波長450〜650nmの領域の平均反射率が5.5%以下であり、かつヘーズ値が10%以下である。このように平均反射率が低く、かつ低い光散乱性すなわちヘーズ値も小さいというタブレットとして好適な透明導電性積層体は、この透明導電層と接している基板もしくは硬化樹脂層の表面に、光学的に微細な大きさの凹凸が一様に緻密に形成されている。
【0016】
かかる凹凸は、球面もしくは楕円球面のようになだらかに連続した曲面であることが好ましく、その曲率はあまり小さ過ぎないことが肝要である。凸形状に著しい角ばりがあったり、曲率が非常に小さい部分があったりすると、それらの部分に積層した透明導電層が表面形状に追随できずに空隙を生じてしまったり、外力による割れを生じ易くなり、透明導電層の耐摩耗性が低下する場合が多いので好ましくない。
【0017】
このような光学的に微細な凹凸が、透明導電層が接する表面に緻密に形成されることにより、ヘーズ値を10%以下、好適には5%以下で、かつこの凹凸が緻密に設けられることにより、反射率をおよそ5.5%以下に低減することが可能になり、視認性に優れた透明タブレットを実現することができる。このような微細な凸形状が形成されていない場合には、導電層表面の可視領域、特に波長450〜650nmの領域の平均反射率は通常7%を超える高い値を示し、ヘーズ値も増大する傾向となり、前述のように透明タブレットの用途に用いた場合に視認性の悪化を招く。また緻密さを欠くと反射率も上昇してしまう。
【0018】
透明導電層が積層される表面においては、これを、光の波長のおよそ1/2以下大きさの凸形状が十分高い密度で一様に形成された表面の一つの層としてみると、光の通過する媒質内にミクロな空気層を含む不均一な混合層として見なす事ができ、層内の空気の含有率に基づいて層の屈折率の低下が見られ、これによって表面の反射率の低減がなされ、かかる層上に設けられた透明導電層の屈折率と、有機高分子からなる基板の屈折率との作用により、上記の如く低光散乱及び低反射率の透明導電性積層体となるものと推定される。
【0019】
つまり、本発明の透明導電性積層体は、導電層表面における、可視領域、特に波長450〜650nmの領域の平均反射率が5.5%以下となるような、導電層と接している光学的に微細で緻密な凹凸表面を有し、かつヘーズ値が10%以下となるような、導電層と接している光学的に微細な凹凸表面を有している。
【0020】
このような、前記凹凸形状を有する表面の形成方法には幾つかの方法が挙げられるが、例えば、(1)微粒子とバインダからなる層を基板上に設ける方法、(2)微粒子を含む成形体を基板とする方法、(3)表面凹凸を有する型を用いた熱プレス加工、(4)表面凹凸を有する鋳型による転写成形方法、等が挙げられる。ここでは、上記(1)を代表例として、上記凹凸について以下に説明する。
【0021】
上記(1)の微粒子とバインダからなる層は、例えば、(1−1)基板上に、微粒子を含む硬化性樹脂を必要に応じて適当な溶剤に分散した塗液を塗布し乾燥され樹脂を硬化させる方法、(1−2)基板上に、微粒子を含む高分子フィルムをラミネート等により積層する方法、等により作成することができるが、(1−1)の方法が簡易であり、かつ凸形状の高さや間隔等を微粒子とバインダの混合比率や塗液濃度、塗布厚み等のコントロールにより細かく制御できる特長がある。
【0022】
該方法により形成される光学的に微細で緻密な凹凸形状は、例えば、図1〜3に示すような配列形態を挙げることができる。隣り合う位置にある2つの凸部は、微粒子同士が完全に接することにより、十分に接して配列しているか(図1)、もしくは凸部の底部の長さ(近似直径と同等)もしくはそれ以下の僅かな隙間(平坦部分)を介して配列している(図2、図3)ことが好ましい。
【0023】
ここで、凸部の底部の長さとは、図4におけるcと定義する。底部cの長さの範囲としては、50〜200nmが好ましい。
【0024】
また、図4において凸部の高さa(表面から突き出している凸部の高さ)は、30〜100nmの範囲にあり、隣り合う凸部間の距離は平均して50〜300nmの範囲にあることが好ましい。ここで、凸部間の平均距離とは、凸部の頂上間の距離を指す。更に凹凸における凸部は透明導電層と接する該表面の半分以上の面積に分布形成されるように、表面にほぼ一様かつ連続的に、すなわち凸部間の平均距離が基本的に50〜300nmになるように設けられていることが好ましい。平均反射率やヘイズ値が上記特性を満たす範囲内であれば、一部の表面に凸部間距離がこの範囲外である部分が多少あってもよい。
【0025】
ここで上記の好ましい範囲を外れた場合には、前記の反射率低減効果が不十分になったり、凸部による光散乱(ヘイズ)が増加したりといった不利が生ずる場合がある。
【0026】
更に凹凸部においては、バインダ中に実質的に埋没している微粒子の体積が微粒子の全体積のおよそ40〜90%、より好ましくは50〜80%である事が好ましい。ここで「実質的に」とは、微粒子がバインダによって薄皮状に被覆されている状態を除外するという意味である。前記埋没率が90%を超えると微粒子がバインダにほぼ埋もれた形になってしまって好ましい凸形状が形成されず、埋没率が40%未満では、バインダによる微粒子の層内への固定力が不十分になり、層の耐摩耗性が低下したり、透明導電層の積層が凸形状に十分追随できず、空隙を生じる場合があるので好ましくない。
【0027】
次に代表的に、上記(1)微粒子とバインダからなる層の具体的な作成法の一つである、(1−1)基板上に、微粒子を含む硬化性樹脂を必要に応じて適当な溶剤に分散した塗液を塗布し乾燥され樹脂を硬化させる方法を以下に説明する。
【0028】
上記目的に好適な微粒子としては、平均粒径(直径)がおよそ50〜300nmの球形の微粒子が挙げられる。微粒子の粒径が50nm未満では30nm以上の高さの凸部を作成するのが困難になり、粒径が300nmを超えると凸部の中心間距離を300nm以下にする事が困難になるので好ましくない。
【0029】
かかる微粒子の素材としては、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物の微粒子、金属アルコキシドを加水分解、縮合、焼成してなる微粒子、アクリル、ポリスチレン等の微粒子、これらを適当な酸の共存下で架橋を行った微粒子等が挙げられ、必要に応じてあらかじめ水や有機溶媒等の溶剤に分散させたものが好ましく用いられる。
【0030】
かかる微粒子を固定するバインダとなる硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば多官能アクリレートや金属アルコキシドの縮合物が挙げられ、その中でも特に珪素アルコキシドを出発原料とし、これを加水分解、(部分)縮合反応を経て硬化した縮合物から主としてなるシリコーン系の熱硬化樹脂が高い硬度を得る上で最も好ましく用いられる。
【0031】
ここで珪素アルコキシドとしては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、メタアクリロイルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上の珪素アルコキシドを組み合わせて用いてもよい。これらの珪素アルコキシド樹脂は、適当な条件で一部または全部が加水分解、部分縮合させた樹脂を用いてもよい。これらの珪素アルコキシド樹脂は、触媒、溶剤の存在下または不存在下に、加水分解、(部分)縮合反応し硬化しポリシロキサン樹脂となる。
【0032】
すなわち上記微粒子を上記硬化性樹脂に、必要に応じて適当な希釈溶剤を加えて分散した塗液を準備し、これを基板や、後述する保護層上に塗布し、加熱や紫外線照射等を行い乾燥し該硬化性樹脂を硬化させることにより、透明導電層と接する前記凹凸表面を形成させることができる。
【0033】
塗布方式としては例えば、マイクログラビヤコート法、マイヤーバーコート法、ダイレクトグラビヤコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、コンマコート法、ダイコート法、ナイフコート法、スピンコート法等の各種塗工方法が用いられる。
【0034】
希釈溶剤としては、アルコール系、炭化水素系の溶剤、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、リグロイン等が好適であるが、この他にも、キシレン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、酢酸イソブチル等の極性溶媒も使用可能である。これらのものは単独あるいは二種以上の混合溶剤として用いることができる。
【0035】
こうして得られる微粒子を含む硬化樹脂層は、通常20〜200nmの厚さを有する(図4のdに相当)。この膜厚の大きさは、用いる微粒子の大きさ等を勘案して選択する。
【0036】
ところで本発明の透明導電性積層体を透明タブレットの電極基板としての用途に用いる場合には特に、透明導電層の形成される表面が所定のハードコート性と耐溶剤性を有していることが好ましい。すなわちハードコート性は透明導電層の耐摩耗性の向上に必要であり、耐溶剤性は透明導電層のパターニング工程や導電ペースト等の印刷工程等で必要になる場合が多い。また透明導電層の形成される面と反対の面に関しても、タブレットへの入力に伴う機械的変形に耐えうるハードコート性や、別の基体と接着が為される際の接着剤に用いられる有機溶剤に耐えうる耐溶剤性が必要になる場合が多い。
【0037】
これらの目的において、有機高分子からなる基板の片面もしくは両面には、以下のように所定の耐溶剤性およびまたはハードコート性を有する保護層が積層されている事が好ましい。
【0038】
耐有機溶剤性:タブレット作成時に透明導電層上に印刷が行われる銀ペーストの溶剤として代表されるトルエン(和光純薬工業社製、特級)をサンプル面に数滴滴下し、25℃で3分間放置後の表面の白濁、膨潤、溶解等の外観変化を目視にて観察し、変化が確認されない場合に耐有機溶剤性を有すると判定する。
【0039】
耐アルカリ性水溶液性:透明導電層のパターニング時のレジスト溶解に用いる3.5wt%の水酸化ナトリウム水溶液をサンプル面に数滴滴下し、25℃で3分間放置後の表面の白濁、膨潤、溶解等の外観変化を目視にて観察し、変化が確認されない場合に耐アルカリ性水溶液性を有すると判定する。
【0040】
耐酸性水溶液性:透明導電層のパターニングに用いるエッチング液(35wt%塩化第2鉄水溶液、35wt%塩酸、水を1:1:10の割合で混合したもの)をサンプル面に数滴滴下し、25℃で3分間放置後の表面の白濁、膨潤、溶解等の外観変化を目視にて観察し、変化が確認されない場合に耐酸性水溶液性を有すると判定する。
【0041】
ハードコート性:サンプル表面の日本工業規格K5400に定める所の鉛筆硬度が2B以上、より好ましくはF以上、最も好ましくは2H以上である場合に、該表面はハードコート性を有すると判定する。
【0042】
このような特性を有する保護層を形成する方法としては、例えば硬化性樹脂をコーティング等により塗布し加熱または活性光線照射により硬化する方法、及びスパッタ、真空蒸着、気相成長(CVD)等の真空プロセスによる方法が挙げられる。かかる硬化性樹脂としては例えば、アクリル系、フェノキシ系、エポキシ系の熱硬化樹脂、珪素アルコキシドの縮合硬化性樹脂、多官能(メタ)アクリレート等による活性光線硬化性樹脂を挙げることができる。これらの中で珪素アルコキシドの縮合硬化性樹脂、多官能(メタ)アクリレートによる活性光線硬化性樹脂が好ましく用いられる。かかる多官能(メタ)アクリレートによる活性光線硬化性樹脂には、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム等の金属アルコキシド(一般にカップリング剤としての機能を果たすもの)および/または珪素アルコキシドの縮合物を混合することも好ましい。このとき混合される金属アルコキシドおよび/または珪素アルコキシド縮合物の含有量は重量比率で20%以上であることが下記の化学的結合力向上の観点からより好ましい。
【0043】
このように保護層が、前記の微粒子とバインダからなる層と同種の材料を含有することにより、両層の化学的結合力が高まり、微粒子とバインダからなる層ならびに該層に積層される透明導電層の耐摩耗性の向上が観られる。この事が本発明の大きな特長の一つである。
【0044】
ここで好適に用いられる珪素アルコキシドとしては、2〜4官能性、さらに好ましくは3〜4官能性の珪素アルコキシドを二種以上混合して用いることが好ましく、これらをあらかじめ溶液中で適度に加水分解ならびに脱水縮合を行なって適度にオリゴマー化させたものも好ましく用いられる。
【0045】
これら珪素アルコキシドの具体例としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、メタアクリロイルプロピルトリメトキシシラン、メタアクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン等が例示される。
【0046】
尚、これらの珪素アルコキシドを含む層は、必要に応じて紫外線等の活性光線を塗膜に照射する事によって、架橋度をより高めることができる。
【0047】
また活性光線硬化型樹脂は、紫外線もしくは電子線等の活性光線を照射する事によって架橋が進行する樹脂を指し、単位構造内に2個以上のアクリロイル基、もしくはメタクリロイル基を有する多官能アクリレート成分、メタクリレート成分を樹脂組成中に含有するアクリル系樹脂が挙げられる。例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート等の各種アクリレートモノマーや、ポリエステル変性もしくはウレタン変性、エポキシ変性の多官能アクリレートオリゴマー等が本用途に好ましく用いられる。
【0048】
これらの樹脂は単独の組成で用いても、数種の混合組成で用いても良いが、前述のように金属アルコキシドおよび/または珪素アルコキシドの縮合物を全組成中に20%以上の重量比率で混合することが好ましい。
【0049】
このように紫外線照射によって樹脂の架橋を行う場合には公知の光反応開始剤が適量添加される。光反応開始剤としては、例えばジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルフォリノプロパン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2、4−ジクロロチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物等が挙げられる。
【0050】
保護層の厚みは、およそ0.05〜20μm、より好ましくは1〜10μmの範囲にあることが好ましい。また、これらの保護層は場合によっては前記微粒子を含む硬化樹脂層がそのまま兼ねることもできるが、通常は前期微粒子を含む硬化樹脂層の下層として設けられる。
【0051】
またこれらの保護層は基板上に直接、もしくは適当な中間層を介して積層が為される。こうした中間層としては例えば、保護層と基板との密着性を向上させる機能を有するプライマー層や、後述するK値が負の三次元屈折率特性を有する層等の各種の位相補償層、基板に加わる応力(垂直応力、水平応力)を緩和する粘弾性特性を有する層、例えば室温付近での貯蔵弾性率がおよそ1kg/mm2以下であるような層や、水分や空気の透過を防止する機能もしくは水分や空気を吸収する機能を有する層、紫外線や赤外線を吸収する機能を有する層、基板の帯電性を低下させる機能を有する層等が好ましく挙げられる。かかる中間層の厚さはおよそ0.1〜100μmの範囲にあることが好ましい。
【0052】
上記保護層の基板への塗布方法としては、前記各種の樹脂硬化物の前駆体組成物および少量の添加剤(各種フィラー、レベリング剤等)を適当な有機溶剤に溶解した塗液を用いて、被体上に塗工後、放射線の照射や加熱処理等により層を架橋させる。保護層の表面は場合によって適度に粗面化されてもよく、これによって透明タブレットの用途におけるニュートンリングの発生を防止する機能を付与することができる。
【0053】
塗工方式としては例えば、マイクログラビヤコート法、マイヤーバーコート法、ダイレクトグラビヤコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、コンマコート法、ダイコート法、ナイフコート法、スピンコート法等の各種塗工方法が用いられる。
【0054】
希釈溶剤としては、アルコール系、炭化水素系の溶剤、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、リグロイン等が好適であるが、この他にも、キシレン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、酢酸イソブチル等の極性溶媒も使用可能である。これらのものは単独あるいは二種以上の混合溶剤として用いることができる。
【0055】
尚、本発明における透明導電層としては、主として金属酸化物からなる層が好ましく用いられ、タブレットの消費電力の低減と回路処理上の必要等から、表面抵抗値が100〜2000Ω/□、より好ましくは150〜2000Ω/□の範囲を示す透明導電層を用いることが好ましい。尚、透明導電層の膜厚は12〜30nmが好ましい。12nm未満では抵抗値の経時安定性に劣る傾向があり、また30nmを超えると透明導電層を積層した表面の反射率が増大してくるので好ましくない。
【0056】
具体的には例えば、錫酸化物やインジウム酸化物、酸化亜鉛、酸化ガリウム等による層およびそれらを適当な割合で混合した材料による層が好ましく用いられ、これらの層に更に酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の1種または2種以上を数重量%程度の割合で添加した材料による層が好ましく用いられる。
【0057】
これら透明導電層は、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、CVD法等の公知の真空製膜プロセスを用いて積層することができる。中でも幅方向、長さ方向での膜厚均一性、組成均一性の面からはスパッタリング法が好ましい。
【0058】
また本発明における有機高分子からなる基板については特に限定されるものではないが、基板の透明性は高い事が好ましく、具体的に可視域、特に波長450〜650nmの領域の透過率の平均値が少なくとも80%以上、より好ましくは85%以上ある事が好ましい。
【0059】
本発明の透明導電性積層体を透明タブレットを構成する一対の透明電極基板のうちの入力側の透明電極基板(可動電極基板)に用いる場合、ペン等の外部入力に対して適度に変形するようにある程度の可撓性がある事が好ましい。この為、有機高分子からなる基板としては、熱可塑性高分子からなるフィルム状の成形基板が好適に用いられる。具体的な有機高分子としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネートやポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、各種のポリオレフィン、およびこれらの変性物あるいはこれらと別種材料との共重合物等が好ましく例示される。これらのフィルム状の成形基板は一般的な溶融押し出し法もしくは溶液流延法等により好適に成形されるが、必要に応じて成形したフィルム状の基板に一軸延伸もしくは二軸延伸を施して機械的強度を高めたり、位相差板(1/4波長板、3次元位相差制御板など)等の光学的機能を高めたりする事も好ましく行われる。
【0060】
このようにして得られ、可動電極基板として好適な該電極基板の厚みは、およそ10〜400μm、より好ましくは20〜200μmの範囲にある事がタブレットの動作特性、軽薄性、軽量性の観点等から好ましい。
【0061】
また本発明の透明導電性積層体を前記可動電極基板と相対して用いられる透明電極基板(固定電極基板)に用いる場合には、必ずしも可撓性が高い必要はなく、タブレットの使用形態によってはむしろ外力に対する変形の少ない特性(剛直性の高さ)が必要となる場合もあることから、前記の熱可塑性高分子からなるフィルム状の成形基板の他に、同様の熱可塑性高分子もしくはエポキシ系、アクリル系等の各種材料の熱硬化樹脂および/または紫外線硬化樹脂等からなるフィルムまたはシート状の成形基板も好適に用いることができる。尚、こうした成形基板の成形方法としては、溶融押し出し法、溶液流延法、射出成形法、注型重合成形法等が挙げられる。
【0062】
また場合によっては前記フィルム状の成形基板の透明電極面と反対側の面に、該基板と別種の、透明電極が形成されていないフィルム状もしくはシート状の成形基板を貼り付けて裏打ちした構成の電極基板等も好ましく用いられる。
【0063】
このようにして得られ、固定電極基板として好適な該電極基板の厚みはおよそ10〜2000μm、より好ましくは50〜1000μm、最も好ましくは70〜700μmの範囲にある事が好ましい。
【0064】
尚、最近ではタブレットの入力側(使用者側)の面に偏光板を積層する構成の新しいタイプの透明タブレットが開発されてきている。この構成の利点は主として前記偏光板の光学作用によって、タブレット内部における外来光の反射率を半分以下に低減できる事にある。
【0065】
ここで、このようなタイプのタブレットに用いる場合には透明電極基板を偏光が通過する事から、基板として光学等方性に優れた特性を有するものを用いる事が好ましく、具体的に基板の遅相軸方向の屈折率をnx、進相軸方向の屈折率をny、基板の厚みをd(nm)とした場合にRe=(nx−ny)×d(nm)で表される面内リタデーションReが少なくとも30nm以下、より好ましくは20nm以下であることが好ましい。尚、ここで基板の面内リタデーションの値は日本分光株式会社製の多波長複屈折率測定装置(商品名「M−150」)を用いた波長590nmでの測定値に代表させている。
【0066】
このような光学等方性に優れた特性を示す基板のうち、特に上記可動電極基板として有用な基板を構成する有機高分子としては、例えば、ポリカーボネート、非晶性ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、非晶性ポリオレフィンおよびこれらの変性物もしくは別種材料との共重合物等による成型物、エポキシ系、アクリル系等の有機材料の熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂等が例示されるが、成形性や製造コスト、熱的安定性等の観点から、ポリカーボネート、非晶性ポリアリレート、非晶性ポリオレフィンおよびこれらの変性物もしくは別種材料との共重合物等が最も好ましく挙げられる。
【0067】
特にポリカーボネートのビスフェノール成分としては例えば、ビスフェノールA、(3,3,5−)1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデン、3,3,5−トリメチル−1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデン、フルオレン−9,9−ジ(4−フェノール)、フルオレン−9,9−ジ(3−メチル−4−フェノール)等を挙げることができる。これらの成分は単独もしくは共重合またはブレンド等のため2種類以上組み合わせてもよい。平均分子量は、およそ15000〜100000の範囲のものが好ましい。これらのポリカーボネートとしては具体的には帝人化成製「パンライト」やバイエル製「Apec HT」等が好ましく例示される。
【0068】
また非晶性ポリアリレートとしては、商品として鐘淵化学製「エルメック」、ユニチカ製「Uポリマー」、イソノバ製「イサリル」等が例示される。
【0069】
また非晶性ポリオレフィンとしては、商品として日本ゼオン製「ゼオネックス」や日本合成ゴム製「アートン」等が例示される。
【0070】
またこれらの有機高分子材料からなるフィルム成型体の成形方法としては、溶融押し出し法や溶液流延法、射出成型法等の方法が例示されるが、優れた光学等方性を得る観点からは、特に溶液流延法を用いて成形を行なうことが好ましい。
【0071】
このように例示した透明導電基板を偏光が通過するタイプのタブレットの用途においては、透明導電基板の面内リタデーションの値が非常に重要であるが、これに加えて透明導電基板の三次元屈折率特性、すなわち基板の膜厚方向の屈折率をnzとした時にK={(nx+ny)/2−nz}×dで表されるK値が少なくとも−250〜+150nm、より好ましくは−200〜+100nmの範囲にある事がタブレットの視認性の高い視野角特性を得る上で好ましい。
【0072】
本発明はまた、上記透明導電性積層体を少なくとも一方の電極基板として用いた透明タブレットに関するものである。ここで本発明の透明導電性積層体をタブレットの一対の電極基板すなわち可動電極基板と固定電極基板の両方に用いた場合に本発明の意図する効果が特に著しくなるので最も好ましいが、可動電極基板と固定電極基板の一方のみに用いても効果を得ることができる。例えば可動電極基板に本発明の透明導電性積層体を用い、固定電極基板に従来の硝子板に透明電極を形成した硝子電極基板を用いたタブレットの構成等においても良好な視認性を得ることができる。
【0073】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示す。尚、以下の実施例と比較例における各種特性の評価は次の要領にて行った。
【0074】
ヘイズ:日本電色工業社製の測定器(商品名「COH−300A」)を用いて測定を行った。
【0075】
平均反射率:日立製分光光度計U3500の積分球測定モードで波長範囲450〜650nmのサンプルの反射率を測定し、その幾何平均値を平均反射率の値とした。尚、測定光のサンプルへの入射角度は10度とし、サンプルの裏面側を市販の黒色スプレーを用いて遮光層を形成し、サンプルの裏面反射や裏面側からの光の入射がほとんどない状態で測定を行った。
【0076】
耐溶剤性:明細書内の前記記載の方法にて行った。
【0077】
塗膜密着性:日本工業規格K5400に準拠し、碁盤目テープ試験を行った。
ハードコート性:日本工業規格K5400に準拠し、1kg荷重での鉛筆硬度を測定した。
【0078】
スチールウール摩耗性:#0000のスチールウールを用い、サンプル表面を100gf/cm2、10往復の条件で磨耗した際のサンプル表面の傷付き具合を下記のように評価した。
A:傷が全くつかない。B:1cm幅あたり5〜10本程度の傷がつく。C:1cm幅あたり20本程度の傷がつく。D:1cm幅あたり40本程度の傷がつく。E:1cm幅あたり60本以上の傷がつく。
【0079】
屈折率:アッベ屈折率計により測定した。
【0080】
[実施例1]
まず定法により反応させて得たポリメチルメタアクリレートとγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学KBM503)のモル比9:1のランダム共重合をメチルイソブチルケトンと酢酸イソブチルの重量比1:1の混合溶媒に溶解させて、プライマー層形成用の塗液を得た。
【0081】
次に水720重量部と2−プロパノール1080重量部と酢酸46重量部を混合した後に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製の商品名「KBM403」)480重量部とメチルトリメトキシシラン(信越化学社製の商品名「KBM13」)240重量部とN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製の商品名「KBM603」)120重量部を順次混合し、3時間攪拌して前記アルコキシシラン混合液の加水分解、部分縮合を行い、さらにイソプロピルアルコールと1メトキシ2プロパノールの重量比率1:1の混合溶媒で希釈して保護層形成用の塗液を得た。
【0082】
次に前記の保護層形成用の塗液に平均粒径160nmの球状シリカ微粒子のエチルアルコール分散液(触媒化成製)を両者の固形分の重量比率が1:1となるように混合し、さらにイソプロピルアルコールと1メトキシ2プロパノールの重量比率1:1の混合溶媒で希釈して、微粒子とバインダからなる層形成用の塗液を得た。
【0083】
厚みが約125μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人製OFW−125、面内屈折率約1.64、鉛筆硬度F)の両面に、前記のプライマー形成用の塗液をロールコーティングし、130℃で2分乾燥して膜厚が0.8μmのプライマー層を形成した。
【0084】
続いてプライマー層上に前記の保護層形成用の塗液をロールコーティングし、130℃で10分間乾燥して膜厚約5μm、屈折率約1.47の保護層を形成した。
【0085】
更にこの保護層が形成されたフィルム面の一方の面に、前記の微粒子とバインダからなる層形成用の塗液をロールコーティングし、130℃で5分間乾燥して、其々の微粒子がそのほぼ半球に当たる部分を表面上に突き出した状態の層を形成した。
【0086】
更にこの保護層が形成されたフィルム面の一方の面に、前記の微粒子とバインダからなる層形成用の塗液をロールコーティングし、130℃で5分間乾燥して微粒子とバインダからなる層を形成した。この層の表面および断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察したところ、層の表面に微細な凹凸が緻密に形成されており、層の厚さはおよそ80nm前後で、凸部の高さはおよそ50〜80nmの範囲にあり、凸部の底部の長さはおよそ120〜180nmの範囲にあって、凸部間の平均距離はおよそ200nmであった。
この層の表面の鉛筆硬度は2Hと優れ、耐溶剤性も良好であった。
【0087】
更にひき続いて、該層上に透明導電層を積層して透明導電性積層体を作製した。
透明導電層としてはインジウム−錫の酸化物(ITO)を用い、DCマグネトロンスパッタリング法により膜厚が約22nmとなるように層を形成した。すなわちターゲットとして酸化インジウムと酸化錫が重量比95:5の組成で充填密度が98%のITOターゲットを用い、スパッタ装置内に前記フィルムをセットした後、1.3mPaの圧力まで排気を行い、ついでArとO2の体積比98.5:1.5の混合ガスを導入し、雰囲気圧力を0.27Paにした。そしてフィルム温度を50℃、投入電力密度が1W/cm2の条件でスパッタリングを行い、前記微粒子とバインダとからなる層上にITOからなる透明導電層を積層した。この透明導電層の表面抵抗は約230Ω/□であり、屈折率はおよそ2.0であった。
【0088】
この積層体の透明導電層が積層された表面の平均反射率は約4.5%と低く、ヘイズは2.8%であった。また該表面の密着性は100/100と良好で、スチールウール摩耗試験はBで良好であった。
【0089】
[実施例2]
酢酸1重量部と水30重量部とイソプロパノール100重量部とを混合し、これにテトラメトキシシラン(信越化学KBM04)80重量部、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学KBM5103)240重量部、0℃で15分間攪拌後、25℃で3時間攪拌してアルコシキシラン混合液の加水分解、部分縮合を行った。
【0090】
更にこれにポリエステルアクリレート(東亜合成化学製M8560)400重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製DPHA)200重量部、光開始剤(チバガイギー製イルガキュア184)50重量部、レベリング剤としてシリコンオイル(東レ・ダウケミカル製SH28PA)0.3重量部、1メトキシ2プロパノールとイソマルプロパノールの重量比率1:1の混合溶媒で希釈して保護層形成用の塗液を得た。
【0091】
厚みが約188μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人製OFW−188、面内屈折率1.65前後、鉛筆硬度F)の両面に、前記の保護層形成用塗液のロールコーティングを行い、60℃で1分間溶剤を乾燥させた後にランプ強度が160W/cmの高圧水銀灯を用いて積算光量約600mJ/cm2の条件で紫外線の照射を行ってコーティング層を硬化させ、膜厚約5.2μm、屈折率約1.5の保護層を積層した。
【0092】
引き続いてこの保護層を積層したフィルム面の一方の面に実施例1と全く同じ要領で微粒子とバインダからなる層を形成した。この表面の鉛筆硬度は2Hと優れ、耐溶剤性も良好であった。
【0093】
さらに該層上に実施例1と全く同じ要領で透明導電層を積層して、透明導電性積層体を作成した。
この積層体の透明導電層が積層された表面の平均反射率は約4.4%と低く、ヘイズは2.8%であった。また該表面の密着性は100/100と良好で、スチールウール摩耗試験はBで良好であった。
【0094】
[比較例1]
実施例1において、微粒子とバインダからなる層を積層する事なく、保護層上に接して透明導電層を積層した以外は実施例1と全く同様にして透明導電性積層体を作成した。
この積層体の透明導電層が積層された表面は、光学的に微細な凹凸は見られず実質的に平坦であった。この表面の平均反射率は約8.5%と高い値であった。
【0095】
[比較例2]
実施例2において、微粒子とバインダからなる層を積層する事なく、保護層上に接して透明導電層を積層した以外は実施例1と全く同様にして透明導電性積層体を作成した。
この積層体の透明導電層が積層された表面の平均反射率は約8.2%と高い値であった。
【0096】
[比較例3]
実施例1において、微粒子とバインダからなる層の代わりに、以下の2つの層を光学干渉層として積層した以外は実施例1と全く同様にして透明導電性積層体を作成した。
【0097】
すなわちまずテトラブトキシチタネート(日本曹達社製の商品名「B−4」)をリグロイン(和光純薬工業社製の等級が一級品)とブタノール(和光純薬工業社製の等級が特級品)の混合溶媒で希釈した塗液を用いてロールコーティングし、130℃で2分間熱処理して、膜厚約41nm、屈折率約1.82の層を形成した。
【0098】
次に該層上に下記組成からなる塗液を用いてロールコーティングし、130℃で5分間熱処理して、膜厚約51nm、屈折率約1.47の層を形成した。すなわち水720重量部と2−プロパノール1080重量部と酢酸46重量部を混合した後に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製の商品名「KBM403」)480重量部とメチルトリメトキシシラン(信越化学社製の商品名「KBM13」)240重量部とN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製の商品名「KBM603」)120重量部を順次混合し、3時間攪拌して前記アルコキシシラン混合液の加水分解、部分縮合を行い、さらにイソプロピルアルコールと1メトキシ2プロパノールの重量比率1:1の混合溶媒で希釈して該層形成用の塗液とした。この層の表面は光学的に微細な凹凸はなく、平坦であった。
【0099】
このフィルムの透明導電層が積層された表面の平均反射率は約3.9%と低く、ヘーズ値も0.8%と低いものであった。しかしながらスチールウール磨耗試験の結果はDであり、実施例対比劣っていた。
【0100】
[比較例4]
実施例2において、微粒子とバインダからなる層の代わりに、比較例3で用いた2つの層を光学干渉層として積層した以外は実施例2と全く同様にして透明導電性積層体を作成した。
このフィルムの透明導電層が積層された表面の平均反射率は約4.1%と低く、ヘイズも1.0%と低いものであった。しかしながらスチールウール磨耗試験の結果はEであり、実施例対比劣っていた。
【0101】
【発明の効果】
本発明の透明導電性積層体は、透明導電層表面の反射率及び光散乱性が低く、かつ透明導電層の耐摩耗性に非常に優れる特長を有し、この透明導電性積層体を用いて作成した透明タブレットでは非常に優れた視認性と機械的耐久性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明導電性積層体の一例の模式断面図である。
【図2】本発明の透明導電性積層体の一例の模式断面図である。
【図3】本発明の透明導電性積層体の一例の模式断面図である。
【図4】本発明の透明導電性積層体の一例の模式断面図である。
【符号の説明】
1 透明導電層
2 微粒子
3 バインダ
4 保護層
5 有機高分子の成形基板
6 微粒子とバインダからなる層
a 凸部の高さ
b 凸部間の距離
c 凸部の底部
d 微粒子とバインダからなる層の厚さ
Claims (13)
- 有機高分子からなる基板の少なくとも一方の面に必要に応じて硬化樹脂層を介して透明導電層が最表面に設けられた透明導電性積層体において、透明導電層と接する該基板または硬化樹脂層における該透明導電層と接する表面には光学的に微細な凹凸が緻密に形成された透明導電性積層体であって、
前記光学的に微細な凹凸における凸部の高さが30〜100nm、凸部間の平均距離が50〜300nm、かつ、凸部の底部の長さが50〜200nmであり、
透明導電層が設けられた面における波長450〜650nmの領域の平均反射率が5.5%以下であり、かつヘーズ値が10%以下であることを特徴とする透明導電性積層体。 - 透明導電層と接する該基板または硬化樹脂層は、平均径が50〜300nmの微粒子を含んで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性積層体。
- 前記微粒子は、シリカ微粒子である請求項2に記載の透明導電性積層体。
- 凹凸部におけるバインダ中に実質的に埋没している前記微粒子の体積が該微粒子の全体積の40〜90%である、請求項2又は3に記載の透明導電性積層体。
- 前記硬化樹脂層の厚さは、20〜200nmである請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性積層体。
- 透明導電層と接する硬化樹脂層は、珪素アルコキシドの縮合体から主としてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電性積層体。
- 透明導電層の膜厚が12〜30nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の透明導電性積層体。
- 透明導電層は酸化インジウムから主としてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の透明導電性積層体。
- 有機高分子からなる基板と硬化樹脂層との間に、耐溶剤性およびまたはハードコート性を有する保護層が設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の透明導電性積層体。
- 保護層が、金属アルコキシドおよび/またはその縮合体を重量比率20%以上含有していることを特徴とする請求項9記載の透明導電性積層体。
- 金属アルコキシドが珪素アルコキシドから主としてなることを特徴とする請求項10記載の透明導電性積層体。
- 有機高分子からなる基板の少なくとも一方の面に硬化樹脂層を介して透明導電層が最表面に設けられた透明導電性積層体において、硬化樹脂層の該透明導電層と接する表面には光学的に微細な凹凸が緻密に形成され、該光学的に微細な凹凸における凸部の高さが30〜100nm、凸部間の平均距離が50〜300nm、かつ、凸部の底部の長さが50〜200nmであり、透明導電層が設けられた面における波長450〜650nmの領域の平均反射率が5.5%以下であり、ヘーズ値が10%以下であり、かつ硬化樹脂層は、平均径が50〜300nmの微粒子を含む珪素アルコキシドの縮合体から主としてなることを特徴とする透明導電性積層体。
- 二枚の透明電極基板が電極面を相対して配置される透明タブレットにおいて、少なくとも一方の透明電極基板として請求項1〜12のいずれかに記載の透明導電性積層体を用いた透明タブレット。
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