JP4646343B2 - 半導体装置の作製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本明細書で開示する発明は、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜およびそれを活性層とする半導体装置に関する。特に、半導体薄膜として珪素を主成分とする材料を利用する場合の構成に関する。
【0002】
なお、本明細書中において「半導体装置」とは半導体を利用して機能する装置全てを指しており、次の様なものが半導体装置の範疇に含まれるものとする。
(1) 薄膜トランジスタ(TFT)等の単体素子。
(2) (1)の単体素子を利用した半導体回路
(3) (1)、(2)で構成される電気光学装置。
(4) (2)、(3)を具備した電子デバイス。
【0003】
【従来の技術】
近年、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜(厚さ数百〜数千・程度)を用いて薄膜トランジスタ(TFT)を構成する技術が注目されている。薄膜トランジスタはICや電気光学装置のような電子デバイスに広く応用され、特に画像表示装置のスイッチング素子として開発が急がれている。
【0004】
例えば、液晶表示装置においてはマトリクス状に配列された画素領域を個々に制御する画素マトリクス回路、画素マトリクス回路を制御する駆動回路、さらに外部からのデータ信号を処理するロジック回路(プロセッサ回路やメモリ回路など)等のあらゆる電気回路にTFTを応用する試みがなされている。
【0005】
現状においては、活性層として非晶質シリコン膜(アモルファスシリコン膜)を用いたTFTが実用化されているが、駆動回路やロジック回路などの様に、さらなる高速動作性能を求められる電気回路には、結晶シリコン膜(ポリシリコン膜、多結晶シリコン膜等)を利用したTFTが必要とされる。
【0006】
例えば、ガラス基板上に結晶性珪素膜を形成する方法としては、本出願人による特開平7-130652号公報、特開平8-78329 号公報に記載された技術が公知である。これらの公報記載の技術は、非晶質シリコン膜の結晶化を助長する触媒元素を利用することにより、500 〜600 ℃、4時間程度の加熱処理によって結晶性の優れた結晶シリコン膜を形成することを可能とするものである。
【0007】
特に、特開平8-78329 に記載された技術は上記技術を応用して基板面とほぼ平行な結晶成長を行わすものであり、発明者らは形成された結晶化領域を特に横成長領域(またはラテラル成長領域)と呼んでいる。
【0008】
しかし、この様なTFTを用いて駆動回路を構成してもまだまだ要求される性能を完全に満たすには及ばない。特に、メガヘルツからギガヘルツにかけての極めて高速な動作を要求する高速ロジック回路を従来のTFTで構成することは不可能なのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上のように、ロジック回路を内蔵したシステム・オン・パネルを実現するためには、従来にない全く新しい材料の開発が求められているのである。
【0011】
本願発明は、その様な要求に答えるものであり、従来のTFTでは作製不可能であった様な高速ロジック回路を構成しうる極めて高性能なTFTの作製方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本明細書で開示する発明の構成は、
基板上に第1半導体層を形成する工程と、
前記第1半導体層に触媒元素を添加し、熱処理により第2半導体層に変化させる工程と、
前記第2半導体層を加熱した酸性溶液中に浸す工程と、
前記第2半導体層を用いてTFTを形成する工程と、
を有することを特徴とする。
【0013】
また、他の発明の構成は、
基板上に第1半導体層を形成する工程と、
前記第1半導体層に触媒元素を添加し、第1熱処理により第2半導体層に変化させる工程と、
前記第2半導体層を加熱した酸性溶液中に浸す工程と、
前記第2半導体層を島状に加工して活性層を形成する工程と、
前記活性層を覆って絶縁膜を形成する工程と、
酸化性雰囲気中で第2熱処理を行う工程と、
を有することを特徴とする。
【0014】
また、前記構成において、前記第2熱処理は700〜1150℃の温度範囲で行われる。また、前記酸性溶液としては硫酸溶液、硝酸溶液、シュウ酸溶液、塩酸溶液またはリン酸溶液から選ばれた溶液、若しくはそれら酸性溶液を組み合わせた混合溶液を用いることができる。
【0015】
その際、前記酸性溶液は100〜400℃(代表的には250〜300℃)に加熱される。実際には酸性溶液が気化しない温度であればよく、その条件さえ満たせば400℃以上に加熱してあっても問題はない。
【0016】
以上のような本発明の構成について、以下に記載する実施例でもって詳細な説明を行うこととする。
【0017】
【実施例】
〔実施例1〕
本実施例では、本願発明を用いてNチャネル型TFTとPチャネル型TFTを同一基板上に形成し、AM−LCD(アクティブマトリクス型液晶ディスプレイ)を作製する例を示す。具体的にはドライバー回路としてCMOS回路を備え、画素マトリクス回路として画素TFTを備えたAM−LCDを例に示す。
【0018】
まず、絶縁表面を有する基板として石英基板11を準備する。石英基板の代わりに熱酸化膜を形成したシリコン基板を用いることもできる。また、石英基板上に一旦非晶質珪素膜を形成し、それを完全に熱酸化して絶縁膜とする様な方法をとっても良い。さらに、絶縁膜として窒化珪素膜を形成した石英基板、セラミックス基板またはシリコン基板を用いても良い。
【0019】
12は非晶質珪素膜であり、最終的な膜厚(熱酸化後の膜減りを考慮した膜厚)が10〜75nm(好ましくは15〜45nm)となる様に調節する。勿論、非晶質珪素膜の代わりに他の非晶質半導体膜を用いることも可能であるし、微結晶半導体膜であっても良い。なお、成膜に際して膜中の不純物濃度の管理を徹底的に行うことは重要である。
【0020】
本実施例の場合、非晶質珪素膜12中において代表的な不純物であるC(炭素)、N(窒素)、O(酸素)、S(硫黄)の濃度はいずれも 5×1018atoms/cm3未満(好ましくは 1×1018atoms/cm3以下)となる様に管理している。各不純物がこれ以上の濃度で存在すると、結晶化の際に悪影響を及ぼし、結晶化後の膜質を低下させる原因となりうる。
【0021】
なお、非晶質珪素膜12中の水素濃度も非常に重要なパラメータであり、水素含有量を低く抑えた方が結晶性の良い膜が得られる様である。そのため、非晶質珪素膜12の成膜は減圧熱CVD法であることが好ましい。なお、成膜条件を最適化することでプラズマCVD法を用いることも可能である。
【0022】
次に、非晶質珪素膜12の結晶化工程を行う。結晶化の手段としては本発明者による特開平7-130652号公報記載の技術を用いる。同公報の実施例1および実施例2のどちらの手段でも良いが、本願発明では同公報の実施例2に記載した技術内容(特開平8-78329 号公報に詳しい)を利用する。
【0023】
特開平8-78329 号公報記載の技術は、まず触媒元素の添加領域を選択するマスク絶縁膜13を形成する。マスク絶縁膜13は触媒元素を添加するために複数箇所の開口部を有している。この開口部の位置によって結晶領域の位置を決定することができる。
【0024】
そして、非晶質珪素膜の結晶化を助長する触媒元素としてニッケル(Ni)を含有した溶液をスピンコート法により塗布し、Ni含有層14を形成する。なお、触媒元素としてはニッケル以外にも、コバルト(Co)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、ゲルマニウム(Ge)等を用いることができる。(図1(A))
【0025】
また、上記触媒元素の添加工程は、レジストマスクを利用したイオン注入法またはプラズマドーピング法を用いることもできる。この場合、添加領域の占有面積の低減、横成長領域の成長距離の制御が容易となるので、微細化した回路を構成する際に有効な技術となる。
【0026】
次に、触媒元素の添加工程が終了したら、500℃1時間程度の水素出しの後、不活性雰囲気、水素雰囲気または酸素雰囲気中において500〜700℃(代表的には550〜650℃)の温度で4〜24時間の加熱処理を加えて非晶質珪素膜12を結晶質珪素膜に変化(結晶化)させる。本実施例では窒素雰囲気で580℃14時間の加熱処理を行う。
【0027】
この時、非晶質珪素膜12の結晶化はニッケルを添加した領域15、16で発生した核から優先的に進行し、基板11の基板面に対してほぼ平行に成長した結晶領域17、18が形成される。本発明者らはこの結晶領域17、18を横成長領域と呼んでいる。横成長領域は比較的揃った状態で個々の結晶が集合しているため、全体的な結晶性に優れるという利点がある。(図1(B))
【0028】
なお、上述の特開平7-130652号公報の実施例1に記載された技術を用いた場合も微視的には横成長領域と呼びうる領域が形成されている。しかしながら、核発生が面内において不均一に起こるので結晶粒界の制御性の面で難がある。
【0029】
結晶化のための加熱処理が終了したら、マスク絶縁膜13を除去してパターニングを行い、横成長領域17、18のみでなる島状半導体層(活性層)19〜21を形成する。本実施例では活性層19がCMOS回路のNチャネル型TFTに、活性層20がCMOS回路のPチャネル型TFTに、活性層21が画素マトリクス回路の画素TFTに用いられる。
【0030】
次に、活性層19〜21を基板ごと300℃に加熱した酸性溶液中(本実施例では硫酸溶液中)に浸し、結晶化に用いたニッケルを除去または低減する。本明細書では本プロセスは触媒元素のゲッタリング工程と呼んでいる。
【0031】
なお、本実施例では活性層を形成した後でこのゲッタリング工程を行うが、活性層を形成する前(パターニング前)に行っても良い。しかし活性層を形成した後の方が除去すべきニッケルの絶対量が少ないのでゲッタリング工程を短時間で済ませることができる。
【0032】
本工程において、加熱した硫酸溶液中でニッケルは溶解して溶けだし、表面近傍から容易に除去される。すると内部のニッケルは濃度の低い表面近傍に拡散してきてさらに多くのニッケルが溶け出す。これを繰り返して、活性層中のニッケル濃度は1×1017atoms/cm3以下(好ましくは1×1017atoms/cm3以下)にまで低減される。なお、本明細書中における元素の濃度はSIMS(質量二次イオン分析)による測定値の最小値で定義される。
【0033】
なお、硫酸溶液と活性層との接触性を高めるために、予め活性層の表面は自然酸化膜等を除去して清浄化しておくことが望ましい。こうすることでゲッタリング効率を高めることができる。
【0034】
また、この触媒元素のゲッタリング工程は。気化しない温度(具体的には沸点以下の温度)に保たれた硫酸溶液中に少なくとも活性層表面の一部を接触させることによって内部に残存するニッケルを除去することができる。硫酸溶液は温度が高いほどゲッタリング効果が高い(ニッケルが拡散しやすくなるから)が、気化しては再現性のあるプロセスが実現できないため、沸点以下の温度で処理する必要がある。
【0035】
また、処理時間は長いほど良いが、スループットとの兼ね合いを考慮して決定しなければならない。本実施例で用いる酸性溶液の場合、100〜400℃(代表的には250〜300℃)とすれば良い。本実施例では300℃に加熱した硫酸溶液に30分浸すことで十分にニッケルを除去することができる。
【0036】
なお、本工程を実施するにあたって、加熱した硫酸溶液中へ基板ごと浸す方法をとっても良いし、加熱した硫酸溶液を基板上に滴下して基板を回転させることによって均一に硫酸溶液と接するような方法としても良い。
【0037】
また、本実施例ではニッケルを例にとって説明しているが、前述した他の触媒元素でも同様の現象によってゲッタリングされる。また、さらに、硫酸溶液以外に塩酸溶液、リン酸溶液、硝酸溶液、シュウ酸溶液を用いても良いし、それらの混合溶液(例えば王水)或いはそれら酸性溶液の金属塩溶液などを用いても良い。いずれにしても処理溶液が気化しない温度で処理することが重要である。
【0038】
この時、例えば処理溶液の外圧を調節することで意図的に沸点を高めることは有効である。こうして少しでも高い温度でゲッタリング処理を行うことができれば、ゲッタリング効率の向上、スループットの向上にもつながる。例えば、硫酸溶液は常圧で沸点が320℃前後であるが、外圧を高めることで沸点を400℃以上に上げることも可能である。そういう場合は400℃で硫酸溶液を加熱して用いるようなことができる。
【0039】
なお、本実施例では酸性溶液を主体として説明しているが、触媒元素を溶解して且つ珪素膜を溶解しない溶液であれば中性溶液でもアルカリ溶液でも用いることは可能である。
【0040】
次に、珪素を含む絶縁膜でなるゲイト絶縁膜22を形成する。ゲイト絶縁膜22の膜厚は後の熱酸化工程による増加分も考慮して20〜250nm の範囲で調節すれば良い。また、成膜方法は公知の気相法(プラズマCVD法、スパッタ法等)を用いれば良い。
【0041】
次に、700〜1150℃(代表的には800〜1000℃)の温度で0.1〜6時間(代表的には0.5〜1時間)の熱処理を行う。この時、処理雰囲気は酸化性雰囲気としておく。本実施例では酸素雰囲気で950℃30分の熱処理工程を行う。
【0042】
この熱処理(熱酸化)工程により活性層19〜21は酸化され熱酸化膜(酸化珪素膜)が活性層とゲート絶縁膜22との間に形成される。即ち、活性層の膜厚は減少し、ゲート絶縁膜の膜厚は増加する。本実施例では最終的に活性層19〜21の膜厚が35nmとなり、ゲート絶縁膜22の膜厚が100nmとなる様に調節している。
【0043】
また、酸素雰囲気の代わりに酸素雰囲気中に対してハロゲン元素を0.5 〜10体積%(本実施例では3体積%)の濃度で含有させた雰囲気中で熱処理を行うことも有効である。ハロゲン元素を含む化合物ガスとしては、HCl、HF、NF3、HBr、Cl2、ClF3、BCl3、F2、Br2から選ばれた一種または複数種のものを用いることが出来る。
【0044】
この工程においてハロゲン元素を含有させることで、ハロゲン元素のゲッタリング作用により活性層中に残存したニッケルをさらに低減することができる。このように硫酸溶液によるゲッタリング工程とハロゲン元素によるゲッタリング工程とを組み合わせることで、触媒元素のさらなる除去が可能となる。
【0045】
また、上記加熱処理により活性層19〜21とゲイト絶縁膜22の界面では熱酸化反応が進行し、非常に界面準位の少ない半導体/絶縁膜界面を得ることができる。また、活性層端部における熱酸化膜の形成不良(エッジシニング)を防ぐ効果もある。
【0046】
さらに、上記ハロゲン雰囲気における加熱処理を施した後に、水素または窒素雰囲気中で800〜1100℃程度の熱処理を行なうことで、ゲイト絶縁膜22の膜質の向上を図ることも有効である。
【0047】
次に、図示しないアルミニウムを主成分とする金属膜を成膜し、パターニングによって後のゲイト電極の原型23〜25を形成する。本実施例では2wt% のスカンジウムを含有したアルミニウム膜を用いる。なお、これ以外にもタンタル膜、導電性を有する珪素膜等を用いることもできる。(図2(A))
【0048】
ここで本発明者らによる特開平7-135318号公報記載の技術を利用する。同公報には、陽極酸化により形成した酸化膜を利用して自己整合的にソース領域、ドレイン領域及び低濃度不純物領域とを形成する技術が開示されている。
【0049】
まず、アルミニウム膜のパターニングに使用したレジストマスク(図示せず)を残したまま3%シュウ酸水溶液中で陽極酸化処理を行い、多孔性の陽極酸化膜26〜28を形成する。
【0050】
この多孔性の陽極酸化膜26〜28は時間に比例して膜厚が増加する。また、上面にレジストマスクが残っているのでゲイト電極の原型23〜25の側面のみに形成される。なお、特開平7-135318号公報記載の技術では、この膜厚が後に低濃度不純物領域(LDD領域とも呼ばれる)の長さになる。本実施例では膜厚が500nmとなる様な条件で陽極酸化処理を行う。
【0051】
次に、図示しないレジストマスクを除去した後、エチレングリコール溶液に3%の酒石酸を混合した電解溶液中で陽極酸化処理を行う。この処理では緻密な無孔性の陽極酸化膜29〜31が形成される。なお、多孔性の陽極酸化膜の内部にも電解溶液が浸透するので、その内側にも形成される。
【0052】
この無孔性の陽極酸化膜29〜31は印加する電圧に応じて膜厚が決定する。本実施例では、100 nm程度の膜厚で形成される様に印加電圧を80Vとして陽極酸化処理を行う。
【0053】
そして、上述の2回に渡る陽極酸化処理の後に残ったアルミニウム膜32〜34が実質的にゲイト電極として機能する。
【0054】
こうして図2(B)の状態が得られたら、次にゲイト電極23〜25、多孔性の陽極酸化膜26〜28をマスクとしてゲイト絶縁膜22をドライエッチング法によりエッチングする。そして、多孔性の陽極酸化膜26〜28を除去する。こうして形成されるゲイト絶縁膜35〜37の端部は多孔性の陽極酸化膜26〜28の膜厚分だけ露出した状態となる。(図2(C))
【0055】
次に、基板全体に対してN型を付与する不純物(本実施例ではリン)を添加する。本実施例では、まず1回目の不純物添加を高加速電圧で行い、n-領域を形成する。この時、加速電圧が80keV 程度と高いので不純物元素は活性層表面だけでなく露出したゲイト絶縁膜の端部の下にも添加される。このn-領域は不純物濃度が 1×1018〜 1×1019atoms/cm3となる様に調節する。
【0056】
さらに、2回目の不純物添加を低加速電圧で行い、n+領域を形成する。この時は加速電圧が10keV 程度と低いのでゲイト絶縁膜がマスクとして機能する。また、このn+領域はシート抵抗が 500Ω以下(好ましくは 300Ω以下)となる様に調節する。
【0057】
以上の工程でCMOS回路のNチャネル型TFTでは、ソース領域38、ドレイン領域39、低濃度不純物領域(LDD領域)40、チャネル形成領域41が形成される。また、画素マトリクス回路の画素TFT(Nチャネル型TFT)では、ソース領域42、ドレイン領域43、低濃度不純物領域(LDD領域)44、チャネル形成領域45が形成される。なお、Pチャネル型TFTとなる領域にも同様の構造が形成されているが、ここでは説明しない。
【0058】
この時、ソース領域38と42及びドレイン領域39と43は前述のn+領域で形成され、低濃度不純物領域40と44はn-領域で形成される。また、ゲイト電極直下の領域は不純物元素が添加されず、真性または実質的に真性なチャネル形成領域41と45になる。なお、実質的に真性とは、意図的に添加された不純物を含まないことを指す。ただし、ここでいう不純物にしきい値電圧の制御やパンチスルーを防止するために添加されたボロンやガリウムは含まない。
【0059】
次に、Nチャネル型TFTをレジストマスク46で覆い、P型を付与する不純物(本実施例ではボロン)の添加工程を行う。この工程では加速電圧を70keVと高めに設定し、n+領域の3倍程度のボロンを添加する。この時もシート抵抗が 500Ω以下(好ましくは 300Ω以下)となる様に調節する。
【0060】
この工程によりPチャネル型TFTのソース領域47、ドレイン領域48及びチャネル形成領域49が形成される。このように本実施例ではNチャネル型TFTのみに低濃度不純物領域を設けた構造を採用する。
【0061】
以上の様にして図3(A)の状態を得たら、ファーネスアニール、レーザーアニール、ランプアニール等の組み合わせによって不純物元素の活性化を行う。それと同時に添加工程で受けた活性層の損傷も修復される。
【0062】
次に、第1層間絶縁膜50を500 nmの厚さに形成する。第1層間絶縁膜50としては酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、有機性樹脂膜、或いはそれらの積層膜を用いることができる。
【0063】
なお、有機性樹脂膜としてはポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド等が用いられる。有機性樹脂膜の利点は、・成膜方法が簡単である点、・容易に膜厚を厚くできる点、・比誘電率が低いので寄生容量を低減できる点、・平坦性に優れている点などが挙げられる。
【0064】
次に、コンタクトホールを形成した後、チタンでアルミニウム合金膜を挟んだ三層構造でなるソース配線(ソース電極含む)51〜53、ドレイン配線(ドレイン電極含む)54、55を形成する。(図3(B))
【0065】
次に、50nm厚の窒化珪素膜56を形成し、その上に1μm厚の第2層間絶縁膜(本実施例ではアクリル膜)57を形成する。アクリル膜57は一部に開口部が設けられ、その上にチタン膜でなるブラックマスク58が形成される。なお、CMOS回路上ではブラックマスク58と同一材料で引き回し用の配線59が形成される。
【0066】
この時、画素マトリクス回路ではブラックマスク58とドレイン電極55とが窒化珪素膜56を介して重なる。本実施例の構造ではこの部分を保持容量として用いるという特徴がある。
【0067】
次に、第3層間絶縁膜(本実施例ではアクリル膜)60を1μmの厚さに形成し、コンタクトホールを開けて透明導電膜(代表的にはITO膜)でなる画素電極61を形成する。最後に、基板全体を350 ℃の水素雰囲気で1〜2時間加熱し、素子全体の水素化を行うことで膜中(特に活性層中)のダングリングボンド(不対結合手)を終端する。
【0068】
以上の工程によって、図3(C)に示す様な構造のCMOS回路と画素マトリクス回路とを作製することができる。なお、画素TFTはシングルゲート構造で図示されているが、オフ電流(TFTがオフ状態にある時に流れるドレイン電流)を低減するためにはダブルゲート構造やトリプルゲート構造と呼ばれるマルチゲート構造とした方が良い。
【0069】
〔活性層の結晶構造に関する知見〕
上記作製工程に従って形成した半導体層は、微視的に見れば複数の針状又は棒状の結晶(以下、棒状結晶と略記する)が集まって並んだ結晶構造を有する。このことはTEM(透過型電子顕微鏡法)による観察で容易に確認することができた。
【0070】
また、電子線回折及びX線回折を利用して半導体層の表面(チャネルを形成する部分)が結晶軸に多少のずれが含まれているものの主たる配向面が{110}面であることを確認した。本出願人がスポット径約1.5μmの電子線回折写真を詳細に観察した結果、{110}面に対応する回折斑点がきれいに現れているが、各斑点は同心円上に広がりを持っていることが確認された。その広がりは電子線スポットの中央と回折斑点の中央とを結ぶ線分を中心として±2°(典型的には±1.5°以内、好ましくは±0.5°以内)に収まっている。
【0071】
また、この様な回折スポットの分布は、同一の結晶軸を有する個々の結晶粒が互いに結晶軸周りに回転した配置で集合している際に現れることが知られている。即ち、ある結晶面内に含まれる特定の軸(軸Aと呼ぶ)と、隣接する他の結晶面内に含まれる軸Aと等価な軸(軸Bと呼ぶ)とがなす角を回転角と呼ぶと、その回転角に相当する分だけ回折スポットの現れる位置がずれるのである。
【0072】
従って、複数の結晶粒が互いにある回転角を持った位置関係で集合している場合、個々の結晶粒が示す回折スポットの集合体として一つの電子線回折パターンが観察される。
【0073】
即ち、本実施例の半導体層の様に±2°以内(典型的には±1.5°以内、好ましくは±0.5°以内)の範囲で回折スポットが広がりを持つ場合、隣接する結晶粒の間では等価な軸がなす回転角の絶対値が4°以内(典型的には3°以内、好ましくは1°以内)であることを意味している。
【0074】
なお、結晶軸が〈110〉軸の場合、結晶面内に含まれる等価な軸としては〈111〉軸が挙げられるが、本実施例の半導体層では〈111〉軸同士が70.5(又は70.4という説もある)の回転角をもって接した結晶粒界が多く見られる。この場合も等価な軸が70.5°±2°の回転角をもっていると言える。
【0075】
即ち、本実施例の半導体層は隣接する結晶粒の間では等価な軸又は等価な軸に対して70.5°の回転関係にある軸がなす回転角の絶対値が4°以内(典型的には3°以内、好ましくは1°以内)であるとも言える。
【0076】
また、本出願人は個々の棒状結晶が接して形成する結晶粒界をHR−TEM(高分解能透過型電子顕微鏡法)により観察し、結晶粒界において結晶格子に連続性があることを確認した。これは観察される格子縞が結晶粒界において連続的に繋がっていることから容易に確認できた。
【0077】
なお、結晶粒界における結晶格子の連続性は、その結晶粒界が「平面状粒界」と呼ばれる粒界であることに起因する。本明細書における平面状粒界の定義は、「Characterization of High-Efficiency Cast-Si Solar Cell Wafers by MBIC Measurement ;Ryuichi Shimokawa and Yutaka Hayashi,Japanese Journal of Applied Physics vol.27,No.5,pp.751-758,1988」に記載された「Planar boundary 」である。
【0078】
上記論文によれば、平面状粒界には双晶粒界、特殊な積層欠陥、特殊なtwist 粒界などが含まれる。この平面状粒界は電気的に不活性であるという特徴を持つ。即ち、結晶粒界でありながらキャリアの移動を阻害するトラップとして機能しないため、実質的に存在しないと見なすことができる。
【0079】
特に結晶軸(結晶面に垂直な軸)が〈110〉軸である場合、{211}双晶粒界はΣ3の対応粒界とも呼ばれる。Σ値は対応粒界の整合性の程度を示す指針となるパラメータであり、Σ値が小さいほど整合性の良い粒界であることが知られている。
【0080】
本出願人が本実施例の作製工程によって得た半導体層を詳細にTEMを用いて観察した結果、結晶粒界の殆ど(90%以上、典型的には95%以上)がΣ3の対応粒界、即ち{211}双晶粒界であることが判明した。
【0081】
二つの結晶粒の間に形成された結晶粒界において、両方の結晶の面方位が{110}である場合、{111}面に対応する格子縞がなす角をθとすると、θ=70.5°の時にΣ3の対応粒界となることが知られている。
【0082】
本実施例の半導体層は、結晶粒界において隣接する結晶粒の各格子縞がまさに約70.5°の角度で連続しており、その事からこの結晶粒界は{211}双晶粒界であるという結論に辿り着いた。
【0083】
なお、θ= 38.9 °の時にはΣ9の対応粒界となるが、この様な他の結晶粒界も存在した。
【0084】
この様な対応粒界は、同一面方位の結晶粒間にしか形成されない。即ち、本実施例を実施して得た半導体層は面方位が概略{110}で揃っているからこそ、広範囲に渡ってこの様な対応粒界を形成しうる。
【0085】
なお、本発明者らは特開平7-321339号公報に記載した手法に従ってX線回折を行い、本願発明の結晶性珪素膜について配向比率を算出した。同公報では下記数1に示す様な算出方法で配向比率を定義している。
【0086】
【数1】
Figure 0004646343
【0087】
この測定の結果、{110}面が主たる配向であり、配向比率は0.7以上(典型的には0.9以上)であることが判明した。
【0088】
この様な結晶構造(正確には結晶粒界の構造)は、結晶粒界において異なる二つの結晶粒が極めて整合性よく接合していることを示している。即ち、結晶粒界において結晶格子が連続的に連なり、結晶欠陥等に起因するトラップ準位を非常に作りにくい構成となっている。従って、この様な結晶構造を有する結晶性半導体薄膜は実質的に結晶粒界が存在しない見なすことができる。
【0089】
またさらに、700〜1150℃という熱処理工程によって結晶粒内に存在する欠陥が殆ど消滅していることがTEM観察によって確認されている。これはこの熱処理工程の前後で欠陥数が大幅に低減されていることからも明らかである。
【0090】
この欠陥数の差は電子スピン共鳴分析(Electron Spin Resonance :ESR)によってスピン密度の差となって現れる。現状では実施例1の作製工程に従って作製された結晶性珪素膜のスピン密度は少なくとも 5×1017spins/cm3以下(好ましくは 3×1017spins/cm3以下)であることが判明している。ただし、この測定値は現存する測定装置の検出限界に近いので、実際のスピン密度はさらに低いと予想される。
【0091】
また、この熱処理工程を還元雰囲気、特に水素雰囲気で行えば僅かに残った欠陥も水素終端されて不活性化される。こうすることで結晶粒内の欠陥は実質的に存在しないと見なすことができる。
【0092】
以上の事から、本願発明を実施することで得られた半導体層は結晶粒内及び結晶粒界が実質的に存在しないため、単結晶半導体薄膜又は実質的な単結晶半導体薄膜と考えて良い。以上の様な結晶構造および特徴を有する本発明の半導体層を本出願人は連続粒界結晶シリコン(Continuous Grain Silicon:CGS)と呼んでいる。
【0093】
〔TFTの電気特性に関する知見〕
本実施例で作製したTFTは純粋な単結晶珪素を用いたMOSFETに匹敵する電気特性を示した。本発明者らが試作したTFTからは次に示す様なデータが得られている。
【0094】
(1)スイッチング性能(オン/オフ動作切り換えの俊敏性)の指標となるサブスレッショルド係数が、Nチャネル型TFTおよびPチャネル型TFTともに60〜100mV/decade(代表的には60〜85mV/decade )と小さい。
(2)TFTの動作速度の指標となる電界効果移動度(μFE)が、Nチャネル型TFTで 200〜650cm2/Vs (代表的には 300〜500cm2/Vs )、Pチャネル型TFTで100〜300cm2/Vs (代表的には 150〜200cm2/Vs )と大きい。
(3)TFTの駆動電圧の指標となるしきい値電圧(Vth)が、Nチャネル型TFTで-0.5〜1.5 V、Pチャネル型TFTで-1.5〜0.5 Vと小さい。
【0095】
以上の様に、極めて優れたスイッチング特性および高速動作特性が実現可能であることが確認されている。
【0096】
〔回路特性に関する知見〕
次に、本願発明を実施して形成したTFTを用いて作製されたリングオシレータによる周波数特性を示す。リングオシレータとはCMOS構造でなるインバータ回路を奇数段リング状に接続した回路であり、インバータ回路1段あたりの遅延時間を求めるのに利用される。実験に使用したリングオシレータの構成は次の様になっている。
段数:9段
TFTのゲイト絶縁膜の膜厚:30nm及び50nm
TFTのゲイト長: 0.6μm
【0097】
このリングオシレータによって発振周波数を調べた結果、最大値で1GHz付近の発振周波数を得ることができた。また、実際にLSI回路のTEGの一つであるシフトレジスタを作製して動作周波数を確認した。その結果、ゲイト絶縁膜の膜厚30nm、ゲイト長0.5μm、電源電圧5V、段数50段のシフトレジスタ回路において動作周波数100MHz近くの出力パルスが得られた。
【0098】
以上の様なリングシレータおよびシフトレジスタの驚異的なデータは、本発明のTFTが単結晶シリコンを利用したIGFETに匹敵する、若しくは凌駕する性能を有していることを示している。
【0099】
〔実施例2〕
実施例1では半導体膜として珪素膜を用いる例を示したが、SiXGe1−X(0<X<1、好ましくは0.9 ≦X≦0.99)で示される様にゲルマニウムを1〜10%含有した珪素膜を用いることも有効である。
【0100】
この様な化合物半導体膜を用いた場合、N型TFTおよびP型TFTを作製した際にしきい値電圧を小さくできる。また、電界効果移動度(モビリティと呼ばれる)を大きくできる。
【0101】
〔実施例3〕
実施例1では活性層に対して意図的に不純物を添加しないのでチャネル形成領域が真性または実質的に真性となる。なお、実質的に真性であるとは、半導体層の活性化エネルギーがほぼ1/2 である(フェルミレベルが禁制体のほぼ中央に位置する)こと、スピン密度よりも不純物濃度が低いこと、意図的に不純物を添加していないこと、のいずれかを満たすことである。
【0102】
しかし、本願発明では公知のチャネルドープ技術を利用してTFTのしきい値電圧の制御やいわゆるパンチスルーを防止することも可能である。本願発明はもともとしきい値電圧が非常に小さいので不純物を添加する濃度は非常に微量なもので良い。添加濃度が微量ですむということは、キャリアの移動度を落とさずにしきい値電圧の制御が可能となるため非常に好ましい。
【0103】
本実施例の構成は実施例2を実施例1と組み合わせた場合においても同様である。
【0104】
〔実施例4〕
本実施例では本願発明を利用して液晶パネルを構成する場合の例を示す。図4に示すのはAM−LCDの断面を簡略化した図であり、ドライバー回路やロジック回路を構成する領域にはCMOS回路を、画素マトリクス回路を構成する領域には画素TFTを示している。
【0105】
なお、実施例1でCMOS回路と画素マトリクス回路の構造(TFT構造)に関する説明を既に行ったので、本実施例では必要な箇所のみを説明することにする。
【0106】
まず、実施例1に示した作製工程に従って図3(C)の状態を得る。なお、画素TFTをマルチゲイト構造とするなどの変更は実施者の自由である。
【0107】
そして、アクティブマトリクス基板の準備として配向膜65を形成する。次に、対向基板を用意する。対向基板は、ガラス基板66、透明導電膜67、配向膜68とで構成される。なお、対向基板側には必要に応じてブラックマスクやカラーフィルターが形成されるがここでは省略する。
【0108】
こうして用意したアクティブマトリクス基板と対向基板とを公知のセル組み工程によって貼り合わせる。そして、両基板の間に液晶材料69を封入して図4に示す様なAM−LCDが完成する。
【0109】
液晶材料69は液晶の動作モード(ECBモード、ゲストホストモード等)によって自由に選定することができる。
【0110】
また、図4に示した様なAM−LCDの外観を図5に簡略化して示す。図5において、70は石英基板、71は画素マトリクス回路、72はソースドライバー回路、73はゲイトドライバー回路、74は信号処理回路、75は対向基板である。
【0111】
信号処理回路74は画像表示を行うために必要な各種の信号を処理するメモリ回路、D/A(またはA/D)コンバータ回路、パルスジェネレータ回路、信号分割回路、γ補正回路等を指す。
【0112】
また、こうして形成された液晶パネルには外部端子としてFPC(Flexible Print Circuit)端子76が取り付けられる。一般的に液晶モジュールと呼ばれるのはFPCを取り付けた状態の液晶パネルである。
【0113】
本実施例の構成は、は実施例1〜3のいずれの構成とも自由に組み合わせることが可能である。
【0114】
〔実施例5〕
本実施例では、実施例1と異なる構造のTFTに本願発明を適用した場合の例について説明する。説明には図6を用いる。
【0115】
まず、石英基板601上にゲイト電極602を形成する。ゲイト電極602は後の熱酸化工程に耐えられる様にタンタル膜、タングステン膜、モリブデン膜、シリコン膜またはそれらの合金膜やシリサイド膜等の耐熱性の高い薄膜を利用することが必要である。
【0116】
次に、ゲイト電極602を覆う様にしてゲイト絶縁膜603を形成する。その上には、後に活性層となる非晶質珪素膜を50nmの厚さに形成する。そして、実施例1と同様に開口部を有するマスク絶縁膜605を形成した後、ニッケル含有層606を形成する。(図6(A))
【0117】
こうして図6(A)の状態が得られたら、結晶化のための加熱処理を行い、横成長領域でなる結晶質珪素膜607を得る。(図6(B))
【0118】
次に、マスク絶縁膜605を除去して300℃の硫酸溶液中に基板ごと浸し、結晶質珪素膜607中に残存したニッケルを除去する。詳細な説明は実施例1で説明したので省略する。(図6(C))
【0119】
こうしてゲッタリング工程が完了したら、酸化珪素膜でなるチャネル保護膜608を形成する。このチャネル保護膜608の形成には裏面露光法を用いることで必要なマスク枚数を減らすことができる。
【0120】
そして、レジストマスク(図示せず)を形成してN型またはP型を付与する不純物を添加することによってソース領域609、ドレイン領域610を形成する。次に、レジストマスクを除去して保護膜611を形成する。この保護膜611は0〜70nmとする。この膜厚が厚すぎると次の不純物添加工程のスループットが悪くなってしまう。
【0121】
保護膜611を形成したら、チャネル保護膜608をマスクとして用いることのできる加速電圧で活性層に対して前述の不純物添加工程と同一の不純物を添加する。この工程により低濃度不純物領域612が形成される。また、チャネル保護膜608の下はチャネル形成領域613となる。
【0122】
図6(D)の状態が得られたら、結晶質珪素膜をパターニングして島状の活性層とし、層間絶縁膜614、ソース配線615、ドレイン配線616を形成する。最後に、素子全体に対して水素雰囲気中で加熱処理を行い、図6(E)に示す様な構造の逆スタガ型TFTが完成する。
【0123】
なお、本実施例に示した構造は逆スタガ型TFTの一例であり、本実施例の構造に限定されるものではない。また、他のボトムゲイト型TFTに適用することも可能である。
【0124】
また、本実施例の構成は、実施例1〜4のいずれの実施例に記載された構成とも自由に組み合わせることが可能である。
【0125】
〔実施例6〕
本実施例では、実施例1とは異なるTFT構造を採用した場合の例について説明する。具体的には、図7に示すように低濃度不純物領域を形成するにあたってサイドウォールを利用した場合について説明する。
【0126】
本実施例ではゲート電極701〜703としてタングステンとモリブデンを1:1に混合した合金膜を用いる。なお、ゲート電極703は二つあるかのように図示しているが、本実施例ではダブルゲート構造を採用しているため、実際には二つのTFTが直列に接続されて一つの画素TFTを形成している。
【0127】
本実施例の場合、まずゲート電極701〜703をマスクにして、活性層に対してボロンを添加し、Pチャネル型TFTのソース領域またはドレイン領域となるp+領域を形成する。その際、Nチャネル型TFTはレジストマスクで隠しておく。この時、後に添加されるリンよりも高い濃度でボロンを添加しておく必要がある。
【0128】
次に、Pチャネル型TFTをレジストマスクで隠してリンを添加し、n-領域を形成する。添加条件は実施例1に従えば良い。この添加工程が終了したらレジストマスクは除去しておく。
【0129】
-領域を形成したら、ゲート電極701〜703を覆って珪素膜(非晶質でも結晶質でも良い)を形成し、ドライエッチング法による異方性エッチングを行ってサイドウォール704〜706を形成する。
【0130】
次に、レジストマスクによってPチャネル型TFTを隠し、Nチャネル型TFTのゲート電極701、703及びサイドウォール704、706をマスクにして再びリンを添加する。添加条件は前述のリンの添加工程と同じで良いが、添加する濃度は前回よりも高くする。こうしてNチャネル型TFTのソース領域またはドレイン領域となるn+領域を形成する。
【0131】
その後の工程は実施例1に従えば良いので説明は省略する。TFT構造は本実施例に限定されるものではない。
【0132】
なお、本実施例ではゲート絶縁膜を最後まで残しているが、途中でサイドウォールをマスクにしてゲート絶縁膜をエッチングし、ソース領域またはドレイン領域となる部分を露呈させることもできる。このような技術を用いると、公知のサリサイド技術との組み合わせが可能となる。
【0133】
また、本実施例ではゲート電極としてタングステンとモリブデンの合金膜を用いているが、他の金属や導電性を有する珪素膜をゲート電極として用いることも可能である。その場合、Nチャネル型TFTとPチャネル型TFTとでゲート電極の導電型を異ならせるデュアルゲイト型TFTとすることも可能である。
【0134】
なお、本実施例の構成は、実施例1〜5のいずれの実施例に記載された構成とも自由に組み合わせることが可能である。
【0135】
〔実施例7〕
本実施例では、画素マトリクス回路を構成する画素TFTの構造について説明する。本実施例の画素TFTの断面構造を図8(A)に示す。図8(A)において、801は活性層、802はソース配線、803はゲート配線、804はドレイン電極、805はブラックマスク、806はドレイン電極804と画素電極807とを接続するためのコンタクトホールである。
【0136】
本実施例の特徴は、画素TFTの上方においてドレイン電極804とブラックマスク805との間で保持容量を形成する点にある。
【0137】
また、図8(A)をA−A’で示される破線で切断した時の断面図を図8(B)に示す。なお、図8(A)と図8(B)には共通の符号を用いる。
【0138】
この様に、ゲート配線803と重なる様な配置でドレイン電極805が形成され、誘電体層808を挟んで対向するブラックマスク805との間に保持容量が形成されている。なお、本実施例ではドレイン電極805としてチタン膜をアルミニウム膜で挟んだ三層構造を採用している。
【0139】
本実施例の場合、ドレイン電極805を形成した後で窒化珪素膜/酸化珪素膜/アクリル膜の三層構造でなる層間絶縁膜を形成し、その上にブラックマスク805を形成する。
【0140】
この時、ブラックマスク805の形成前に、後に保持容量となる領域のアクリル膜のみを除去して開口部を形成しておく。すると、開口部の底には酸化珪素膜と窒化珪素膜しか残らず、この二層構造でなる絶縁層が保持容量の誘電体層808として機能するのである。
【0141】
〔実施例8〕
本願発明は図5に示した液晶表示装置以外にも、アクティブマトリクス型のEL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、EC(エレクトロクロミクス)表示装置またはイメージセンサ等の他の電気光学装置を作製することも可能である。
【0142】
勿論、本実施例の電気光学装置を作製する際に、実施例1〜実施例7のいずれの実施例に記載された構成を用いても良い。
【0143】
〔実施例9〕
本願発明を実施して形成されたTFTは様々な電気光学装置や半導体回路に適用することができる。即ち、それら電気光学装置や半導体回路を部品として組み込んだ電子機器全てに本願発明は適用できる。
【0144】
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、プロジェクター、プロジェクションTV、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を図9に示す。
【0145】
図9(A)は携帯電話であり、本体2001、音声出力部2002、音声入力部2003、表示装置2004、操作スイッチ2005、アンテナ2006で構成される。本願発明を音声出力部2002、音声入力部2003、表示装置2004やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0146】
図9(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示装置2102、音声入力部2103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106で構成される。本願発明を表示装置2102、音声入力部2103やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0147】
図9(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体2201、カメラ部2202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示装置2205で構成される。本願発明は表示装置2205やその他の信号制御回路に適用できる。
【0148】
図9(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体2301、表示装置2302、アーム部2303で構成される。本発明は表示装置2302やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0149】
図9(E)はリア型プロジェクターであり、本体2401、光源2402、表示装置2403、偏光ビームスプリッタ2404、リフレクター2405、2406、スクリーン2407で構成される。本発明は表示装置2403やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0150】
図9(F)はフロント型プロジェクターであり、本体2501、光源2502、表示装置2503、光学系2504、スクリーン2505で構成される。本発明は表示装置2502やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0151】
以上の様に、本願発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜8のどのような組み合わせからなる構成を用いても実現することができる。
【0152】
【発明の効果】
本明細書で開示する発明によれば、実質的に単結晶半導体に匹敵する結晶性を有する半導体薄膜を実現することができる。そして、その様な半導体薄膜を用いることで単結晶上に作製したIGFET(MOSFET)に匹敵する、或いは凌駕する高い性能を有したTFTを実現することができる。
【0153】
以上の様なTFTを用いて構成される半導体回路や電気光学装置およびそれらを部品として組み込んだ電子デバイスは、極めて高い性能を有し、機能性、携帯性、信頼性の面で非常に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 AM−LCDの作製工程を示す図。
【図2】 AM−LCDの作製工程を示す図。
【図3】 AM−LCDの作製工程を示す図。
【図4】 AM−LCDの断面構造を示す図。
【図5】 AM−LCDの外観を示す図。
【図6】 AM−LCDの作製工程を示す図。
【図7】 AM−LCDの断面構造を示す図。
【図8】 画素の断面構造を示す図。
【図9】 電子デバイスの一例を示す図。

Claims (3)

  1. 基板上に非晶質または微結晶の半導体層を形成し、
    前記半導体層にニッケルを添加し、
    第1熱処理により、前記半導体層を結晶化させ、
    前記結晶化させた半導体層を島状に加工して島状半導体層を形成し、
    硫酸溶液、硝酸溶液、または塩酸溶液から選ばれたいずれかの溶液中に、前記島状半導体層が形成された前記基板ごと浸すことにより、前記島状半導体層中の前記ニッケル前記溶液へ溶解させることで低減し、
    前記島状半導体層を覆ってゲート絶縁膜を形成し、
    雰囲気中に対してハロゲン元素を0.5体積%乃至10体積%の濃度で含有させた雰囲気中で、700℃乃至1150℃の温度で第2熱処理を行うことにより、前記島状半導体層と前記ゲート絶縁膜との間に熱酸化膜を形成するとともに、前記ハロゲン元素のゲッタリング作用により前記島状半導体層中の前記ニッケルを低減し、
    前記島状半導体層を用いてTFTを形成する
    ことを特徴とする半導体装置の作製方法。
  2. 請求項1において、
    前記硫酸溶液、前記硝酸溶液、または前記塩酸溶液から選ばれたいずれかの溶液は、前記溶液が気化しない温度で加熱されていることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記硫酸溶液、前記硝酸溶液、または前記塩酸溶液から選ばれたいずれかの溶液中に前記島状半導体層が形成された前記基板ごと浸す前に、前記島状半導体層表面の自然酸化膜を除去することを特徴とする半導体装置の作製方法。
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