JP4646290B2 - 火力発電プラントの運転制御システム及びその方法 - Google Patents
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Description
更に、本発明は、ボイラー内の燃料が無くなることがないように且つ燃料製造段階の残留燃料が最小になるように燃料供給を制御しつつ、火力発電プラントの運転を停止する運転制御システム及びその方法を提供することを目的とする。
(PFBC複合発電設備)
図1は、本出願人の運用している発電所の概要を示す図であり、ここでは、PFBC(Pressurized Fluidized Bed Combustion加圧流動床)複合発電方式を採用している。簡単に説明すると、このPFBC複合発電プラントは、加圧流動床ボイラー4と、発電機12に連結された蒸気タービン11と、発電機7に連結されたガスタービン5とを備えている。
図2は、図1のPFBC複合発電設備の一部である燃料製造設備の詳細を示す図である。先ず、原料となる石炭が、原炭バンカ20−1,20−2に投入され、原炭供給機22から粗粉砕機23に送られて粉砕され6mm以下の粗粉炭となり、粗粉砕炭コンベア24により分級機25でふるい(篩い)にかけられ10mm以下の粗粉炭のみが選別される。この粗粉炭は、粗粉砕炭コンベア27、28により、一旦、2台の中継ホッパ29へ送られる。1台は、混練機用給炭機31からCWPを製造する混練機38に送られる粗粉炭を貯え、他の1台は、微粉砕機用給炭機30から微粉砕機32に送られる粗粉炭を貯える。
そこで、本発明者等は、プラント停止を行う際に、燃料消費計算と、これに基づきプラント停止スケジュールの策定を行い、これに従ってプラントを停止することにより、ボイラー内の燃料が無くなることがないように燃料供給を制御しつつ、各燃料保有器内の残留燃料を可能な限り低減させる火力発電プラントの運転制御システムを完成したのである。
図3は、火力発電プラントの運転制御システムの内、特に運転停止に関連する部分を簡単に説明する図である。図中左側には、各燃料保有器(図2でハッチングを付した要素。)を燃料製造工程の順に上から表示する。具体的には、燃料保有器として、原炭バンカ20、中継ホッパ29、中継タンク33、スラリサービスタンク36及びCWPタンク40を図示する。各燃料保有器には、その左側に図示するように、燃料供給停止装置と、燃料量センサと、流量センサとが夫々備えられている。
(運転制御方法)
図4は、火力発電プラントの運転制御方法の内、特に運転停止に関連する部分を示すフローチャートである。
ステップS10で、各燃料保有器に関して、燃料消費を計算する。
ステップS20で、上記燃料消費の計算結果に基づいて、運転停止スケジュールを策定する。
ステップS30で、上記策定された運転停止スケジュールに基づいて、プラント停止を実行する。
ステップS10の各燃料保有器の燃料消費計算は、基本的には、各燃料保有器に関して、燃料供給停止装置により当該燃料保有器への燃料供給が停止してから、当該燃料保有器から燃料が消費されるのみの状態で、消費すべき燃料(残留燃料)が実質的に無くなるまでの時間を算出することをいう。
第1の補正に関して説明すると、プラント停止時に予定のプラント停止時刻より先にボイラーへの燃料供給が無くなることを回避するために(即ち、安全にプラントを停止するために)、各燃料保有器に対して燃料の最低保持量(低減目標値)が規定されている。従って、上述の「残留燃料が実質的に無くなるまでの時間」の意味は、実際のプラントの停止では、保有器の残留燃料の量がこの最低保持量に達するまでの時間を意味している。従って、燃料消費計算式の分母の(残留燃料)は、この低減目標値に沿って補正する必要がある。
図7は、図4のフローチャートのステップS20の運転停止スケジュールの策定、即ち、図6の燃料消費計算結果に基づいて火力発電プラントの運転停止スケジュールを策定する方法を説明する図である。
運転停止スケジュールは、最下流の燃料保有器であるCWPタンク40から上流の保有器に向かって、算出された燃料消費時間を積み上げる(累積する)ことにより行われる。
次に、時刻T6を基準として、CWPタンク40の燃料消費時間TCWP(図6参照)をとり、CWPタンクへの張り込み停止(燃料供給停止)時刻T5を決定する。
同様に、時刻T5を基準として、スラリサービスタンク36の燃料消費時間Tスラリをとり、スラリサービスタンクへの張り込み停止時刻T4を決定する。
同様に、時刻T4を基準として、中継タンク33の燃料消費時間Tタンクをとり、中継タンクへの張り込み停止時刻T3を決定する。
同様に、時刻T3を基準として、中継ホッパ29の燃料消費時間Tホッパをとり、中継ホッパへの張り込み停止時刻T2を決定する。
同様に、時刻T2を基準として、原炭バンカ20の燃料消費時間Tバンカをとり、原炭バンカへの張り込み停止時刻T1を決定する。
(実施例の効果)
(1)PFBC複合発電プラントの運転停止に関して、本実施形態による方法の効果を確認した。従来のAPSに従って運転停止を行ったところ、燃料保有器全体(原炭バンカ、中継ホッパ、中継タンク、スラリサービスタンク及びCWPタンク)で1713.4トンの残留燃料が発生した。これに対して、本実施形態に従って運転停止を行ったところ、燃料保有器全体で312.6トンの残留燃料にすぎなかった。残留燃料の、実に81.8%減少することが出来た。
本発明は、複数工程を経て製造される燃料を使用する火力発電プラントの運転制御に於いて、火力発電プラントの停止の際に、停止時前にはボイラーへの燃料の供給を絶やすことなく、中間工程の残量燃料を最小限にする装置及び方法を提供するものである。
従って、上記実施形態は、本出願人の運用している発電所のPFBC複合発電方式を採用する発電プラントに沿って説明したが、これに限定されるものでない。全ての火力発電プラントに適用される。
燃料消費時間の計算式、燃料消費時間=(残留燃料)/(燃料流量)に関して、2つの補正事項を挙げたが、これに限定されない。本質的に、この計算式の思想を採用する限り、現実の火力発電プラントに起因する種々の補正がなされても、これらは全て本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載に基づいて決定される。
Claims (10)
- 原料となる石炭が投入される原炭バンカと、当該原炭バンカから送られてきた石炭を粉砕して粗粉炭とする粗粉砕機と、粗粉砕機から送られてきた粗粉炭をふるいにかけて選別する分級機と、選別された粗粉炭を一旦貯える中継ホッパと、中継ホッパから送られてきた粗粉炭をすり潰して微粉炭とする微粉砕機と、微粉砕機から送られてきた微粉炭に水を混ぜ合わせてスラリをつくる中継タンクと、この中継タンクから送られてきたスラリを貯えるスラリサービスタンクと、このスラリサービスタンクから送られてきたスラリ、前記中継ホッパから送られてきた粗粉炭、他の原料である石灰石、及び水を混ぜ合わせてCWPを製造する混練機と、この混練機から送られてきたCWPを保管するCWPタンクと、このCWPタンクからCWPが供給されるボイラーと、を備えた火力発電プラントの運転を停止する運転制御システムにおいて、
運転停止の際に燃料が残留するおそれのある、前記原炭バンカ、中継ホッパ、中継タンク、スラリサービスタンク及びCWPタンクを含む各燃料保有器に関して、該保有器内の燃料が実質的に無くなるまでの燃料消費時間を夫々算出し、当該燃料製造工程の上流側の燃料保有器から順に、燃料の供給を停止した後当該燃料保有器の燃料消費時間の経過後に次段階の燃料保有器の燃料の供給を停止する、運転制御システム。 - 原料となる石炭が投入される原炭バンカと、当該原炭バンカから送られてきた石炭を粉砕して粗粉炭とする粗粉砕機と、粗粉砕機から送られてきた粗粉炭をふるいにかけて選別する分級機と、選別された粗粉炭を一旦貯える中継ホッパと、中継ホッパから送られてきた粗粉炭をすり潰して微粉炭とする微粉砕機と、微粉砕機から送られてきた微粉炭に水を混ぜ合わせてスラリをつくる中継タンクと、この中継タンクから送られてきたスラリを貯えるスラリサービスタンクと、このスラリサービスタンクから送られてきたスラリ、前記中継ホッパから送られてきた粗粉炭、他の原料である石灰石、及び水を混ぜ合わせてCWPを製造する混練機と、この混練機から送られてきたCWPを保管するCWPタンクと、このCWPタンクからCWPが供給されるボイラーと、を備えた火力発電プラントの運転を停止する運転制御システムにおいて、
運転停止の際に燃料が残留するおそれのある、前記原炭バンカ、中継ホッパ、中継タンク、スラリサービスタンク及びCWPタンクを含む各燃料保有器に関して、該保有器内の燃料が実質的に無くなるまでの燃料消費時間を計算する燃料消費計算手段と、
前記燃料保有器の各々に関する前記燃料消費時間に基づいて、前記燃料保有器の各々に関して、製造工程の最初の方から順に、当該燃料保有器の燃料消費時間経過時に残留燃料は消費されたものとして該燃料保有器からの燃料の流出を停止する運転停止スケジュールを策定する運転停止スケジュール策定手段と、
前記運転停止スケジュールに沿って、前記火力発電プラントの運転を停止する運転停止手段とを備える、運転制御システム。 - 請求項2に記載の運転制御システムにおいて、
前記燃料消費計算手段では、燃料消費時間=(残留燃料)/(燃料流量)から、前記燃料保有器の各々の燃料消費時間が決定される、運転制御システム。 - 請求項3に記載の運転制御システムにおいて、
前記残留燃料は、前記燃料保有器の各々の燃料の最低保持量に基づいて補正されている、運転制御システム。 - 請求項3に記載の運転制御システムにおいて、
前記燃料流量は、前記火力発電プラントの停止時の負荷低減特性に基づいて補正されている、運転制御システム。 - 原料となる石炭が投入される原炭バンカと、当該原炭バンカから送られてきた石炭を粉砕して粗粉炭とする粗粉砕機と、粗粉砕機から送られてきた粗粉炭をふるいにかけて選別する分級機と、選別された粗粉炭を一旦貯える中継ホッパと、中継ホッパから送られてきた粗粉炭をすり潰して微粉炭とする微粉砕機と、微粉砕機から送られてきた微粉炭に水を混ぜ合わせてスラリをつくる中継タンクと、この中継タンクから送られてきたスラリを貯えるスラリサービスタンクと、このスラリサービスタンクから送られてきたスラリ、前記中継ホッパから送られてきた粗粉炭、他の原料である石灰石、及び水を混ぜ合わせてCWPを製造する混練機と、この混練機から送られてきたCWPを保管するCWPタンクと、このCWPタンクからCWPが供給されるボイラーと、を備えた火力発電プラントの運転を停止する運転制御システムにおいて、
運転停止の際に燃料が停留するおそれのある、前記原炭バンカ、中継ホッパ、中継タンク、スラリサービスタンク及びCWPタンクを含む各燃料製造工程の複数個の燃料保有器と、
前記燃料保有器の各々に対して設けられた燃料供給停止装置、燃料量センサ及び流量センサと、
前記燃料量センサ及び流量センサから残留燃料データ及び流量データを夫々受け取り、前記燃料供給停止装置に対して前記燃料保有器への燃料供給停止を指令する運転制御装置とを備え、
前記運転制御装置は、前記残留燃料データと前記流量データに基づいて前記燃料保有器の各々の燃料消費時間を決定し、該燃料消費時間に基づいて、燃料製造工程の後段から前段に向かって各燃料保有器の前記燃料消費時間を当てはめて、運転停止スケジュールを策定する、運転制御システム。 - 請求項6に記載の運転制御システムにおいて、
前記運転制御装置は、前記燃料保有器の各々の燃料消費時間を、燃料消費時間=(残留燃料)/(燃料流量)に基づき決定する、運転制御システム。 - 請求項6に記載の運転制御システムにおいて、
前記残留燃料は、前記燃料保有器の各々の燃料の最低保持量に基づいて補正されている、運転制御システム。 - 請求項6に記載の運転制御システムにおいて、
前記燃料流量は、前記火力発電プラントの停止時の負荷低減特性に基づいて補正されている、運転制御システム。 - 請求項1〜9のいずれか一項記載の運転制御システムを備えた、火力発電プラント。
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