JP4644997B2 - 送液ポンプシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速液体クロマトグラフ等においてキャリア液を送液するための送液ポンプシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
図3に従来のシングルシリンジ送液ポンプシステムの基本構成を示す。
図において、送液すべき液体(液体クロマトグラフのキャリア液)42を収容するリザーバ41は供給源流路4と流路切換バルブ(以下、単にバルブと略記する)3を通してポンプ1の口13に接続されている。ポンプ1はプランジャ駆動機構20によって駆動されるプランジャ12がポンプ室11内を往復運動することによりポンプ1の口13を通して吸入吐出の動作を行うもので、一般にシリンジポンプ、またはプランジャポンプと呼ばれるタイプのポンプである。
バルブ3は、円弧上に例えば60度間隔で配列された複数のポートa、b、cの隣り合う2つを連通させる連通溝31を有するロータ(特に図示せず)をバルブ駆動機構30によって所定角度だけ回転させることでポンプ1の口13を供給源流路4、または送液先流路5のいずれかに切換え接続するものである。送液先流路5は、図示しない試料導入部、カラム、検出器等に連なる流路である。
【0003】
いま、図示の状態、即ちポートa−b間が連通している状態で、プランジャ12を引き込む(図では下方に動かす)と、リザーバ41内の液体42が供給源流路4を通ってポンプ室11内に吸引される。次に、バルブ3を所定角度だけ動かしてポートb−c間が連通する状態にした後、プランジャ12を押し出す(図では上方に動かす)と、ポンプ室11内の液体は押し出され、送液先流路5へ流れる。上記過程を繰り返すことで継続的に送液が行われる。
上記のように、この送液システムではポンプ1とバルブ3は同期して駆動されることが必要であるから、プランジャ駆動機構20とバルブ駆動機構30は共通の制御部10によってコントロールされる。
【0004】
上記の動作過程で、吸入から吐出へ、或いはその逆の切換えの中間状態としてポートbがポートaまたはcのいずれにも連通しない状態がある。切換え時の圧力の急変によるショックを緩和するために、この状態、即ち、図3に示す状態からバルブ3を反時計方向に30度回した状態で、バルブ3を一時停止させ、ポンプ室11の内部の圧力をその直後に接続されるべき流路(供給源流路4または送液先流路5)の圧力に合わせて与圧、または圧抜きする行程が挿入されるのが普通である。しかし、これらの行程は本発明を説明する上で直接には必要がないので、以下においては、システムの動作行程に当然含まれるものとして説明を省略する。
【0005】
ポンプ室内の液の置換を考慮して一般のシリンジポンプでは吸入口と吐出口を別々に設ける場合がある。図4は、そのような2つの口を持つシリンジポンプを用いた場合の従来の送液ポンプシステムの一例を示す。
図においては、図3と機能的に同一の構成要素には同じ番号を付してあるので再度の説明は省く。また、図4では省略されているリザーバ41、プランジャ駆動機構20、バルブ駆動機構30、及び制御部10等も図3と同様に備えられているものとする。
図3と相異する点は、ポンプ1の口13が2つあることに対応してバルブ3の所要ポート数と連通溝の数も各1つ増えていることである。ポンプ1の2つの口13の1方は吸入口、他方は吐出口として作用するものであるが、全体の動作は図3に示すものと全く同等である。
なお、図中でバルブ3に点線で示したポートは無くてもよいものであるが、有る場合はプラグで塞いでおく。
【0006】
図3及び図4のシングルシリンジ送液ポンプシステムでは吸入と吐出の行程を交互に繰り返すので吸入行程では送液が途切れ、このため送液流量に脈動を生じる。脈動を防ぐために、2台のシリンジポンプを並べて用い、一方が吸入行程にあるときは他方から吐出するようにして、両者の合計吐出量が常に所定の一定値となるように制御するダブルシリンジ送液ポンプシステムも従来から利用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のダブルシリンジ送液ポンプシステムでは、脈動のない高精度の送液が可能であるが、シングルシリンジ送液ポンプシステムを2組並べて用いるものであるから、ポンプはもとより流路切換バルブも2台必要となるため、装置の大型化、複雑化を招きコストもかかることが問題点であった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、1台の流路切換バルブを2台のポンプで共用するダブルシリンジ送液ポンプシステムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、両者の合計吐出流量が所定値となるように制御された2台のポンプを備えると共に、第1のポンプの口が送液先流路に接続され且つ第2のポンプの口が供給源流路に接続された第1の状態と、前記第1のポンプの口が供給源流路に接続され且つ前記第2のポンプの口が送液先流路に接続された第2の状態と、上記第1及び第2の状態の中間状態として前記第1及び第2のポンプの口が共に送液先流路に接続された第3の状態とを切換える流路切換バルブを備え、この流路切換バルブを前記第1及び第2のポンプの吸入吐出動作に同期して切換えるように構成した。
【0009】
このように構成したことにより、2台のポンプで1台の流路切換バルブを共用することができるので、装置は小型化、簡素化され、低コストで従来と変わらない性能のダブルシリンジ送液ポンプシステムを実現することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1に示す。
これはダブルシリンジ送液ポンプシステムであって、同一性能のポンプ1及び2を備え、各ポンプのプランジャ12、22はプランジャ駆動機構20により駆動されて往復運動する(この往復運動における上下の折り返し点をそれぞれ上死点、下死点と呼ぶ)。プランジャ駆動機構20は図示のようにそれぞれ別個に設けてもよく、また機構の一部を共用するものでもよい。ポンプ1及び2は、図4で示したものと同様に、各2つずつの口13及び23を有するものである。
2台のポンプ1及び2で共用されるバルブ3は、周辺に60度間隔で配列された6つのポートb、b’、c、d、d’、e(但し、ポートeは実際には使用しない)とセンターポートaを持ち、120度隔てた周辺のポート間を連通する連通溝31と、センターポートaと周辺のポートの1つの間を連通する連通溝33とを備えたものであり、図示の状態から左右に所定回転角(この場合60度)だけ回転させることで流路の接続状態を3通りに切換えることができる。
その他、図中で図3におけると同一の符号を付したものは先に説明済みであるから、再度の説明は省略する。
【0011】
図1に示す送液システムは以下のように動作する。
(1)図示の状態、即ちポートb−c−d間が連通する状態では、ポンプ1は吐出行程の初期にあり、そのプランジャ12は下死点から押し出し速度を加速しながら上昇し、吐出量は漸増する。一方、ポンプ2は吐出行程の終期にあり、そのプランジャ22は押し出し速度を減速しながら上死点に近づいており、その吐出量は漸減する。両ポンプ1、2から吐出される液体はポートcで合流して送液先流路5へ送液され、両ポンプ1、2の合計吐出量は所定の一定値を保つように制御部10により制御されている。
(2)プランジャ22が上死点に達し、その吐出量がゼロになった時点で、バルブ3を反時計方向に60度回転し、ポートc−b−b’間、及びポートa−d’間が連通する状態とする。この状態では、ポンプ1は引き続き吐出行程にあり、ポンプ1のみで所定流量を送液する。このとき、ポンプ1の2つの口13は共に吐出口として働く。一方、ポンプ2のプランジャ22は上死点から反転して下降に移り吸引行程となり、リザーバ41から供給源流路4及び連通溝33を通して液体42をポンプ2に吸引する。
(3)プランジャ22が下死点に達した後、バルブ3を戻し(時計方向に60度回転)、ポートb−c−d間が連通する状態とする。この状態では、ポンプ1はまだ吐出行程にあるがその吐出量は漸減、代ってポンプ2が吐出行程に入り、両ポンプ1、2の合計吐出量が所定の一定値を保ちながらポンプ2の吐出量は漸増する。
(4)ポンプ1のプランジャ12が上死点に達した時点で、バルブ3を時計方向に更に60度回転し、ポートc−d−d’間、及びポートa−b’間が連通する状態とする。この状態では、ポンプ1は反転して吸引行程に移り、ポンプ2は引き続き吐出行程にあり、ポンプ2のみで所定流量を送液する。
(5)プランジャ12が下死点に達した後、バルブ3を戻し(反時計方向に60度回転)、上記(1)の状態とする。以下、(1)〜(5)の過程を繰り返す。
上記各行程において、バルブ3を切換える中間過程で、先述した圧力急変によるショックを避けるための与圧または圧抜きを行うことは従来と同様に可能である。
なお、上記説明中の上、下、は図1中での位置関係や運動方向を表す。
【0012】
図2は、本発明の別の実施形態を示す。
同図に示すシステムでは、バルブ3は、45度間隔で配列された8つのポートを持ち(但し、そのうち2つのポートe、fは塞がれているものとし、実質的には6ポートである)、2つの連通溝31及び32は90度隔てた3つのポートをそれぞれ連通させることができる。図では省略されているリザーバ41、プランジャ駆動機構20、バルブ駆動機構30、及び制御部10等は図1と同様に備えられているものとする。
図2の送液システムの動作は、所定回転角が45度となる点を除けば上記図1の場合と全く同様であって、バルブにセンターポートを必要としないことが図1の場合に比較しての利点である。
【0013】
上記は本発明の幾つかの実施形態を例示したものであって、本発明をこれに限定するものではなく、例えば、ポンプについては、上記のシリンジポンプに限らず、プランジャの往復運動により液体を吸入吐出するポンプは全て本発明に適用できる。また、上記説明中のバルブのポート数や回転角度の数値についても本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、ダブルシリンジ送液ポンプシステムにおいて1台の流路切換バルブを2台のポンプで共用することができるので、装置は小型化、簡素化され、低コストで従来と変わらない性能の送液ポンプシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】本発明の他の実施形態を示す図である。
【図3】従来の送液ポンプシステムの一例を示す図である。
【図4】従来の送液ポンプシステムの他の一例を示す図である。
【符号の説明】
1、2…ポンプ
3…バルブ
4…供給源流路
5…送液先流路
10…制御部
20…プランジャ駆動機構
30…バルブ駆動機構
31、33…連通溝
Claims (1)
- プランジャの往復運動により液体を吸入吐出するポンプと、該ポンプの口を前記液体の供給源流路と送液先流路とに切換接続する流路切換バルブと、前記ポンプの吸入動作時は当該ポンプの口を供給源流路に接続し吐出動作時は当該ポンプの口を送液先流路に接続するように前記流路切換バルブを切換制御するバルブ駆動部を備えて成る送液ポンプシステムにおいて、
前記ポンプとして吸入吐出の各行程において両者の合計吐出流量が所定値となるように制御された第1及び第2のポンプを備え、
前記流路切換バルブとして
前記第1のポンプの出口が前記送液先流路に接続され且つ前記第2のポンプの入口が前記供給源流路に接続された第1の状態と、
前記第1のポンプの入口が前記供給源流路に接続され且つ前記第2のポンプの出口が前記送液先流路に接続された第2の状態と、
上記第1及び第2の状態の中間状態として前記第1及び第2のポンプの出口が共に前記送液先流路に接続された第3の状態と
を切換えるように流路溝が設けられた1つの流路切換バルブ
を備えたことを特徴とする送液ポンプシステム。
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