JP4643807B2 - 超音波計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、検査対象に対し超音波を送信し、検査対象からの反射波から得られる受信信号に基づいて計測を行う超音波計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
二次元アレイ振動子は、超音波ビームをアジマス方向とエレベーション方向との二方向にステアリングすることができ、これにより、三次元空間を自由に走査することができる。
【0003】
ここで、二次元アレイ振動子を構成する振動素子のサイズは微細となるため、振動素子のインピーダンスが大きくなる。そのためアレイ振動子を駆動する本体装置とアレイ振動子とを接続するケーブル内での信号損失が大きくなる。これを改善するため、振動素子の近傍に受信用プリアンプを設け、受信信号を増幅して本体装置へ送る構成が採られている。
【0004】
さて、振動素子は微細であるため、これに送信回路からのケーブルと受信回路からのケーブルとを別個に接続することは難しい。そのため、送信回路と接続するケーブル及び受信回路と接続するケーブルを共用にする構成が採られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、振動素子に送信回路と受信回路とを接続するケーブルを共用にした場合、受信用プリアンプに対して送信回路からの高圧の送信電圧が印加される。この対応策として、プリアンプに保護回路を設けることが挙げられるが、回路規模が大きくなり、またプリアンプ自体が発生する熱雑音が多くなるといった問題がある。
【0006】
本発明は上記問題点を解消するためになされたもので、上記問題点を回避しつつ、プリアンプを用いて振動素子のインピーダンスの増加に対応することができる超音波計測装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る超音波計測装置は、複数の送信素子及び複数の受信素子からなり、超音波を送受信する二次元アレイ振動子と、前記複数の送信素子に対して送信信号を供給する送信回路とを有し、前記複数の送信素子は、内部に少なくとも1つの送信素子間隙領域を生じさせる所定パターンの送信素子領域に密集配置され、前記送信回路が、前記送信素子領域と前記送信素子間隙領域との境界への前記各送信素子の近さに応じて当該送信素子の超音波送信強度を重み付け制御するものである。
【0008】
本発明によれば、二次元アレイ振動子は、送信専用の振動素子である送信素子と受信専用の振動素子である受信素子とから構成される。これにより送信回路は送信素子にのみ接続されればよく、一方、受信回路は受信素子にのみ接続されればよい。すなわち、送信系統と受信系統とが分離されるので、受信系統に設けられるプリアンプに送信回路からの高圧の送信電圧が印加されることがない。ここで、このように送信と受信とを別々の振動素子で行うことはさらなる課題を生じる。しかし、本発明は以下に述べるとおりその課題に対しても解決している。従来は、所定の一つの送信駆動領域内全体の振動素子を用いて送信を行っていたため、送信ビームにおけるサイドローブが抑えられていたが、上述のように送信素子と受信素子とを別個のものとした場合、送信駆動領域内に受信特性上、必要とされる受信素子からは送信を行うことができない。このように送信素子領域の内部に送信素子を配置することができない送信素子間隙領域が生じると、その境界部分での高調波成分により、サイドローブが増加する。本発明では、送信素子領域内に送信素子間隙領域が生じることに起因するサイドローブを低減するために、送信素子領域内の各送信素子が当該送信素子領域と送信素子間隙領域との境界にどれだけ近いかに応じて、当該送信素子の超音波送信強度が重み付け制御される。例えば、送信回路は、送信素子と当該境界との距離が小さいほど、送信駆動電圧を低くして超音波送信強度を弱める制御を行う。
【0009】
他の本発明に係る超音波計測装置においては、前記受信素子が、前記二次元アレイ振動子の面内に分散配置されることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、少ない受信素子で広い受信開口を得ることができ、受信チャネル数の減少による受信回路の規模の縮小及びケーブルの接続工数の低減が図られる。受信素子は、送信素子領域を含んだ二次元アレイ振動子の面内に分散配置される。受信素子は送信素子領域の内部にも配置することができ、その配置部分が送信素子間隙領域となる。また送信素子領域が二次元アレイ振動子の一部分に密集配置される場合には、受信素子はその周辺領域にも分散配置することができる。分散配置のパターンは、受信ビームのサイドローブが低減されるように定めるのが好適である。
【0011】
本発明の好適な態様は、前記送信素子領域が、前記二次元アレイ振動子の中央部分に配置される超音波計測装置である。
【0012】
別の本発明に係る超音波計測装置は、複数の振動素子からなり、超音波を送受信する二次元アレイ振動子と、前記二次元振動子アレイの面内に少なくとも1つ配置される受信対応領域から受信信号を検出する受信回路とを有し、前記受信対応領域が、所定パターンに密集配置された複数の振動素子を含み、前記受信回路が、前記受信対応領域に含まれる前記各振動素子の当該受信対応領域の境界への近さに応じて、当該振動素子の受信利得を重み付け制御するものである。
【0013】
本発明によれば、受信対応領域に複数包含される振動素子に受信回路が接続され、これら振動素子を用いて超音波エコーの受信が行われる。なお、受信対応領域内の振動子は受信のみを行い送信を行わないものであっても、受信と送信との両方を行うものであってもよい。受信対応領域とその外側領域との境界に起因する高調波成分により、受信ビームにサイドローブが生じうる。本発明では、このサイドローブを低減するために、受信対応領域内の各振動素子が当該受信対応領域とその外側領域との境界にどれだけ近いかに応じて、当該振動素子から得られる受信信号に対する利得が重み付け制御される。例えば、受信回路は、振動素子と当該境界との距離が小さいほど、受信利得を低くして受信信号を弱める制御を行う。
【0014】
本発明に係る超音波計測装置は、前記受信対応領域を複数有し、前記受信対応領域が、前記二次元振動子アレイの面内に分散配置されることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、少ない受信素子で広い受信開口を得ることができ、受信チャネル数の減少による受信回路の規模の縮小及びケーブルの接続工数の低減が図られる。分散配置のパターンは、受信ビームのサイドローブが低減されるように定めるのが好適である。
【0016】
本発明に係る超音波計測装置は、複数の送信素子及び複数の受信素子からなり、超音波を送受信する二次元アレイ振動子を有し、前記複数の送信素子が、内部に少なくとも1つの送信素子間隙領域を生じさせる所定パターンの送信素子領域に密集配置され、前記複数の受信素子が、前記送信素子間隙領域又は前記送信素子領域の周辺領域に分散配置されるものである。
【0017】
本発明によれば、二次元アレイ振動子は、送信専用の振動素子である送信素子と受信専用の振動素子である受信素子とから構成され、送信系統と受信系統とが分離される。よって、受信系統に設けられるプリアンプに送信回路からの高圧の送信電圧が印加されることに伴う不都合が回避される。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る超音波計測装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
[実施の形態1]
図1には、本発明の実施の形態である超音波診断装置の全体構成がブロック図として示されている。この超音波診断装置は、二次元アレイ振動子を有し、被検体内の臓器等を三次元的に走査して、診断に必要な情報を計測し取得するものである。
【0020】
プローブ10は、超音波パルスの送信及びエコーの受信を行う超音波探触子であり、このプローブ10に二次元アレイ振動子が格納され、その二次元アレイ振動子の電子走査によって超音波ビームが電子的に走査される。その電子走査方式としては例えば電子リニア走査や電子セクタ走査などを挙げることができる。二次元アレイ振動子には振動素子が二次元マトリクス状に配列される。その振動素子の数は通常、非常に多いため、送信回路、受信回路、信号線などの数の制約から全ての振動素子を送受信に用いることは困難である。そこで二次元アレイ振動子内の一部のみを用いて送受信を行うように構成される。本装置では特に送信と受信とが別々の振動素子で行われるように構成される。すなわち、一部の振動素子が送信素子に、また他の一部の振動素子が受信素子に割り当てられる。
【0021】
送信素子、受信素子にはそれぞれ信号線が接続され、この信号線を介して各送信素子には送信系の回路が、一方、各受信素子には受信系の回路が接続される。
【0022】
送信回路系は、送信ドライバ12、送信電圧制御部14、送信電圧重み記録部16、送信トリガ発生部20、送信遅延回路22を含んで構成される。送信ドライバ12はトリガ信号を入力されると、送信電圧制御部14により制御される送信電圧に応じたパルス高を有する電圧パルスを生成し、当該パルスを送信素子である振動素子30に印加する。
【0023】
送信電圧制御部14は、送信電圧重み記録部16にあらかじめ設定されている送信電圧重み値のうち各送信素子それぞれに対応する値を読み出し、その値に基づいて各送信ドライバ12それぞれへの供給電圧を個々に制御する。これにより、各送信素子に印加される電圧パルスの電圧値が重み付けされる。
【0024】
トリガ信号は送信トリガ発生部20から発生され、送信遅延回路22によって各送信素子ごとに遅延されて各送信ドライバ12に入力される。送信素子ごとの遅延量は、各送信素子から送信される超音波が合成されてビームを形成するように制御される。
【0025】
一方、受信回路系は、受信増幅回路(プリアンプ)40、A/D変換器(analog-to-digital converter)42、受信遅延回路44、加算回路46、受信信号処理部48、表示部50を含んで構成される。受信素子である振動素子60はエコーに応じた電気的な受信信号を出力し、各チャネルの受信信号は受信増幅回路40で増幅される。また、A/D変換器42は、受信増幅回路40から出力されるアナログの受信信号を各チャネルごとにデジタル信号に変換する。さらに、デジタル信号に変換された各チャネルの受信信号は、受信遅延回路44でチャネル間の位相を調整された後、加算回路46で互いに加算される。受信遅延回路44及び加算回路46により各受信素子からの受信信号は互いに整相加算され、受信フォーカスが実現される。各受信遅延回路44における遅延量は、図示しない制御部によって受信ビームの方向に応じて可変制御される。
【0026】
整相加算された受信信号は、受信信号処理部48へ入力される。受信信号処理部48は、例えば、被検体の3次元エコー画像や設定された断面でのBモード断層像の生成処理、またドプラ信号処理などを行う。表示部50は受信信号処理部48で生成された画像信号に基づいて画像表示を行う。
【0027】
図2は、本装置の二次元アレイ振動子における送信素子と受信素子との配置例を示す模式図である。図において、マトリクス状に配列された各升目それぞれが振動素子を表し、そのうち送信素子である振動素子30には“●”印を付し、また受信素子である振動素子60には“×”印を付している。この図から明らかなように、送信素子は二次元アレイ振動子の中央部分に設けられる送信開口に密集配置され、受信素子はその送信素子の密集領域を含んでアレイ全体に分散配置される。送信素子を中央部分に密集配置することにより、基本的にサイドローブが低減される。受信素子は二次元アレイ振動子の面内に広く分散配置されることにより、受信回路の数が少なくて済む一方、大きな受信開口が確保され、シャープな受信ビームを形成することができる。つまり、この構成では、送信に際しては、ビームは絞られずに太く形成され、受信におけるフォーカスによって、細いビームでの走査が実現される。
【0028】
受信素子は二次元アレイ振動子内にまばらに配置されるが、その配置パターンは不規則性を持たせることにより、高調波成分の低減が図られている。受信は二次元アレイ振動子の中央部分においても行う必要があるため、送信素子が密集する送信開口内にも受信素子が分散配置される。本装置では、受信素子と送信素子とは共用されない。つまり、受信素子には送信回路系は接続されない。これにより、受信増幅回路40に送信電圧パルスが印加されないので、受信増幅回路40の耐圧を大きくする特別の設計が不要であり、また回路を小さく構成することができる。
【0029】
送信開口内に受信素子が配置されることにより、当該送信素子が密集配置された領域内に送信素子が配置されない間隙領域が生じる。この送信素子の配置領域と間隙領域との境界、つまりエッジは高い空間周波数成分を有する。そのため、送信素子が配置される中央部分の空間周波数成分における高周波成分が増加し、サイドローブ増加の原因となる。
【0030】
この様子を模式的に示したものが図3〜図6である。これら各図(a)は横軸Xで表される一次元方向に配列された振動素子に対する送信電圧の空間的な分布(以下、空間電圧分布と称する)を表しており、縦軸Vは送信電圧を表す。また各図(b)は、それぞれに対応する空間電圧分布をフーリエ変換した結果(以下、空間周波数分布と称する)を示すものである。空間周波数分布の横軸は、本来、周波数を表すが、この空間周波数分布は、アレイ振動子から放射される超音波が空間に形成するビームの指向特性と相似形になることが知られており、ここではビーム中心軸から測った角度θを横軸に設定している。一方、縦軸Iは角度θの方向に送信される超音波の強度を表す。
【0031】
図3は、空間電圧分布が矩形の分布形状70を有する場合のサイドローブの様子を示す模式図である。この場合、送信開口内の全ての振動素子に一様強度の送信電圧パルスが印加される(同図(a))。この場合の空間周波数分布は、公知のジンク関数(図では絶対値表示されている)になることが知られている(例えば、宮川洋、今井秀樹共著「高速フーリエ変換」科学技術出版社)。同図(b)に示すように、ジンク関数は、中心方向に存在する1個のメインローブ72と中心以外の方向に存在する複数個のサイドローブ74から形成される。このサイドローブは超音波画像を形成する際に疑似物体を生む要因となり好ましからざる現象である。
【0032】
このサイドローブを低減させる一手法を示すものが図4である。図4は、図3の場合と同じく送信開口内の全ての振動素子を送信駆動する場合において、超音波診断装置の分野にて「アポタイゼーション」と呼ばれる技術を適用した場合のサイドローブの様子を示す模式図である。このアポタイゼーションによれば、送信開口内の振動素子に印加される送信電圧は、送信開口の端部に近い素子ほど小さくなるような重み付けが行われる。この場合の空間周波数分布は、図3の場合に比べサイドローブが低減される。
【0033】
さて、本装置では、上述したように、送信開口内に送信を行わない受信素子が配置される。図5は、送信開口内の振動素子を図3に示す矩形の空間電圧分布で駆動する場合において、その送信開口内に受信素子を配置した場合のサイドローブの様子を示す模式図である。図5(a)は、送信開口80内に受信素子が配置される送信素子間隙領域82が生じ、空間電圧分布に溝が生じることを示している。この場合、上述したように、送信素子が密集した領域と送信素子間隙領域とのエッジに起因してサイドローブが図3の場合より増加する(図5(b))。
【0034】
また図6は、図4に示す送信開口の端部においてアポタイゼーションが行われる場合において、その送信開口内に受信素子を配置した場合のサイドローブの様子を示す模式図である。この場合においても空間電圧分布に溝が生じ、図4の場合よりサイドローブが増加する(図6(b))。なお、送信開口の端部でアポタイゼーションが行われている分、図5に示す場合よりはサイドローブは低減されるが、依然として大きなサイドローブが残る。
【0035】
これに対し、本装置は、送信を行わない受信素子を送信開口内に設けつつも、図5、図6に示す場合には生じたサイドローブの増加を防止する。図7はこの本装置の原理を説明するための空間電圧分布と空間周波数分布との模式図である。本装置では、送信開口の端部において上述したアポタイゼーションが行われると共に、送信素子が送信素子密集領域と送信素子間隙領域との境界に近いほど、当該送信素子に印加される送信電圧が小さくなるような重み付け制御が行われる(図7(a))。この結果、図6(b)に示す場合よりも、空間周波数分布の高調波成分が低減され、サイドローブが低減される(図7(b))。
【0036】
図8は、送信素子間隙領域である受信素子との境界近傍において行われる送信電圧の重み付けを二次元アレイ振動子面内にて示した模式図である。当該境界から十分に離れた送信素子90に印加される送信電圧を100%とする。受信素子92は送信を行わないので送信電圧の重みは0%である。矩形の受信素子92の各辺に接する4個の送信素子94は、例えば40%の送信電圧で駆動される。またその4個の送信素子94に辺を接する8個の送信素子96は、例えば80%の送信電圧で駆動される。
【0037】
また図9は、受信素子92からの距離に応じた送信電圧の重み付けの一例を示すグラフである。横軸は振動素子の一次元的な位置を示しており、縦軸が送信電圧の大きさを相対値で表している。
【0038】
この送信電圧の重み付けの制御は図1に示す送信電圧制御部14及び送信電圧重み記録部16により行われる。送信電圧重み記録部16に記録されている各送信素子の送信電圧重み値は、各送信素子の送信電圧を最大送信電圧の何%にするかを表す。送信電圧制御部14は各送信素子に対応する送信電圧重み値を読み出し、それらに応じた電圧を生成して、各送信素子ごとに設けられる送信ドライバ12それぞれへ供給する。各送信ドライバ12は送信電圧制御部14から供給された電圧に応じた送信電圧のパルスを生成するので、これにより、各送信素子の送信電圧の重み付け制御が行われる。
【0039】
図10は、本装置における送信ビームの指向性に関する計算機シミュレーションの結果を示すグラフである。図10(a)は、空間電圧分布を示すグラフであり、横軸が振動素子の位置、縦軸が送信電圧の相対値を表す。この空間電圧分布は、送信開口内に受信専用の振動素子を有し、その受信専用素子と送信素子との境界部分の送信素子に対して送信電圧の重み付けを行ったものである。同図(b)はこの空間電圧分布に対する空間周波数分布を示すグラフであり、横軸は指向方向に対応する周波数であり、縦軸が超音波の強度である。
【0040】
図11は、送信電圧の重み付けを行わない場合における送信ビームの指向性に関する計算機シミュレーションの結果を示すグラフであり、図10との対比のために示す。図11(a)に示す空間電圧分布は、図10(a)と同じ位置に受信専用素子を有するが、図10(a)とは異なり、境界部分での重み付けを行わない場合の分布を示している。同図(b)はこの空間電圧分布に対する空間周波数分布を示すグラフである。
【0041】
図10(b)と図11(b)とを対比すると理解されるように、送信電圧の重み付けを行った図10に示す本装置の場合は、重み付けを行わない図11に示す場合よりもサイドローブが低減される。
【0042】
[実施の形態2]
図12には、本発明の第2の実施の形態である超音波診断装置の全体構成がブロック図として示されている。この図において、上記第1の実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明の簡略化を図る。
【0043】
上記第1の実施の形態の装置が送信素子に対して送信電圧の重み付けを行ってサイドローブの低減を図るものであったのに対し、本装置は受信を行う振動素子に対して重み付けを行ってサイドローブの低減を図るものである。
【0044】
プローブ10に格納される二次元アレイ振動子は、第1の実施の形態と同様、中央部に設けられた送信開口内の振動素子から超音波を送信し、送信開口より大きく設定される受信開口内の振動素子でそのエコーを受信する。送信には送信開口内の全ての振動素子が用いられ、受信には受信開口内にまばらに選択される振動素子が用いられる。すなわち、送信開口内の全ての振動素子には信号線を介して送信回路系が接続され、また受信開口内の振動素子には、受信に用いるように選択された振動素子にのみ受信回路系が接続される。受信に用いられる振動素子は送信開口内にも分散配置され、この送信開口内で受信に用いられる振動素子には、送信回路系と受信回路系との両方が接続される。図12において、振動素子200は送信専用素子であり、送信回路系のみが接続される。また振動素子202は送信と受信との両方を行う送受信共用素子であり、送信回路系と受信回路系との両方が接続される。振動素子204は受信専用素子であり、受信回路系のみが接続される。
【0045】
受信回路系は、上記第1の実施の形態の受信回路系の構成に加えて、受信遅延回路44と加算回路46との間に設けられる受信利得制御部210と、受信利得制御部210で利用される受信利得重み値をあらかじめ設定された受信利得重み記録部212とを含んで構成される。
【0046】
二次元アレイ振動子内には、それぞれ一群の受信専用素子又は送受信共用素子からなる受信ポイント(受信対応領域)が分散配置される。例えば、各受信ポイントは、その中心に位置する振動素子である中心振動素子とその各辺に接する4個の振動素子である周辺振動素子とを一群の振動素子として含む。二次元アレイ振動子では、受信開口内に含まれる振動素子は非常に多数になり得るが、本装置のように受信開口内に分散配置された限られた個数の振動素子で受信を行うことにより、受信回路数を低減することができる。その反面、受信を行う振動素子が、連続配置されず、分散した受信ポイントごとに配置されることにより、空間周波数分布の高調波成分が増加し、受信ビームのサイドローブが増加する。受信ポイントの配置に不規則性を持たせる等の配慮を行うことにより、その高調波成分は幾分は低減されるが必ずしも十分ではない。そこで本装置では、各受信ポイント内にて受信利得の重み付けを行って、その高調波成分の一層の低減を図っている。
【0047】
この各受信ポイント内での受信利得の重み付け処理は、受信利得重み記録部212に設定された受信利得重み値を用いて、受信利得制御部210によって行われる。受信利得重み記録部212には、例えば、各受信ポイントそれぞれの中心振動素子に対して100%の受信利得重み値、また周辺振動素子に対して60%の受信利得重み値があらかじめ設定される。各振動素子の受信利得制御部210は、当該振動素子に設定された受信利得重み値を受信利得重み記録部212から読み出す。そして受信利得制御部210は、受信遅延回路44から入力された受信信号の利得を、当該受信利得重み値に応じて重み付けし、その重み付けした受信信号を加算回路46へ出力する。
【0048】
このような重み付けにより、上記第1の実施の形態での送信電圧に対する重み付けと同様の原理により、整相加算された受信信号に含まれる高調波成分が低減する。これにより受信ビームにおけるサイドローブの低減が図られる。
【0049】
本装置は、送信開口内の全ての振動素子は送信を行うことができ、上記第1の実施の形態では生じた送信素子間隙領域は生じない。よって、それによるサイドローブの増加は生じず、送信素子間隙領域と送信素子領域との境界での重み付けは不要である。本装置における送信電圧制御部14、送信電圧重み記録部16は送信開口の端部でのアポタイゼーションを行うために用いられる。
【0050】
なお、受信ポイントは密集配置された、より多くの振動素子で構成することができ、受信利得重み値は受信ポイントの外縁に近いほど小さく設定される。
【0051】
【発明の効果】
本発明の超音波計測装置によれば、送信回路を接続する送信素子と受信回路を接続する受信素子とを別個にする。これにより、受信素子にプリアンプを設けることが容易となる。また、送信素子の送信電圧は、送信素子領域の境界に近いほど低くする重み付けを行うことにより送信素子と受信素子との分離によるサイドローブの増加を抑えることができる。
【0052】
また、本発明の超音波計測装置によれば、二次元アレイ振動子に分散配置される受信対応領域を密集配置された複数の振動素子で構成し、それらの外縁に近いほど受信利得を低くする重み付けを行う。これにより、受信回路を接続する振動素子を少なくしつつ、サイドローブを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態である超音波診断装置の概略のブロック図である。
【図2】 本装置の二次元アレイ振動子における送信素子と受信素子との配置例を示す模式図である。
【図3】 空間電圧分布が矩形の分布形状を有する場合のサイドローブの様子を説明する模式図である。
【図4】 送信開口内の全ての振動素子を送信駆動する場合において、アポタイゼーションを適用した場合のサイドローブの様子を説明する模式図である。
【図5】 送信開口内に受信素子を配置した場合のサイドローブの様子を説明する模式図である。
【図6】 送信開口内に受信素子を配置した場合において、送信開口の端部にアポタイゼーションを適用した場合のサイドローブの様子を説明する模式図である。
【図7】 本装置の原理を説明するための空間電圧分布と空間周波数分布との模式図である。
【図8】 受信素子との境界近傍の送信素子に対して行われる送信電圧の重み付けを二次元アレイ振動子面内にて示した模式図である。
【図9】 受信素子からの距離に応じた送信電圧の重み付けの一例を示すグラフである。
【図10】 本装置における送信ビームの指向性に関する計算機シミュレーションの結果を示すグラフである。
【図11】 受信素子との境界において送信電圧の重み付けを行わない場合における送信ビームの指向性に関する計算機シミュレーションの結果を示すグラフである。
【図12】 本発明の第2の実施の形態である超音波診断装置の概略のブロック図である。
【符号の説明】
10 プローブ、12 送信ドライバ、14 送信電圧制御部、16 送信電圧重み記録部、20 送信トリガ発生部、22 送信遅延回路、30,60,200,202,204 振動素子、40 受信増幅回路、42 A/D変換器、44 受信遅延回路、46 加算回路、48 受信信号処理部、50 表示部、210 受信利得制御部、212 受信利得重み記録部。
Claims (5)
- 複数の送信素子及び複数の受信素子からなり、超音波を送受信する二次元アレイ振動子と、
前記複数の送信素子に対して送信信号を供給する送信回路と、
を有し、
前記複数の送信素子は、内部に少なくとも1つの送信素子間隙領域を生じさせる所定パターンの送信素子領域に密集配置され、
前記送信回路は、前記送信素子領域と前記送信素子間隙領域との境界への前記各送信素子の近さに応じて当該送信素子の超音波送信強度を重み付け制御すること、
を特徴とする超音波計測装置。 - 請求項1記載の超音波計測装置において、
前記受信素子は、前記二次元アレイ振動子の面内に分散配置されることを特徴とする超音波計測装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の超音波計測装置において、
前記送信素子領域は、前記二次元アレイ振動子の中央部分に配置されることを特徴とする超音波計測装置。 - 複数の振動素子からなり、超音波を送受信する二次元アレイ振動子と、
前記二次元振動子アレイの面内に1つだけ配置される受信対応領域から受信信号を検出する受信回路と、
を有し、
前記受信対応領域は、所定パターンに密集配置された、受信に用いられる複数の振動素子を含み、
前記受信回路は、前記受信対応領域に含まれる前記受信に用いられる各振動素子の当該受信対応領域の境界への近さに応じて、当該振動素子の受信利得を重み付け制御すること、
を特徴とする超音波計測装置。 - 複数の振動素子からなり超音波を送受信する二次元アレイ振動子と、
前記二次元振動子アレイの面内に分散配置される複数の受信対応領域から受信信号を検出する受信回路と、
を有し、
前記各受信対応領域は、所定パターンに密集配置された、受信に用いられる複数の振動素子を含み、
前記受信回路は、前記各受信対応領域ごとに、その受信対応領域に含まれる前記受信に用いられる各振動素子の当該受信対応領域の境界への近さに応じて、当該振動素子の受信利得を重み付け制御すること、
を特徴とする超音波計測装置。
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