JP4643079B2 - 電界発光素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、電界発光素子に関する。更に詳しくは、本発明は、1,8−複素置換されたナフタレン化合物を配位子とする金属錯体を含む有機層を有し、優れた発光機能を有する電界発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
有機化合物の高い蛍光効率に注目し、有機化合物を用いた有機EL素子に代表される電界発光素子の開発が近年盛んに行われてきている。有機EL素子は、有機発光層を陽極と陰極の2つの電極で挟んだ構造であり、陽極から注入されたホールと陰極から注入された電子が有機発光層中で再結合することで光を発する。この有機EL素子には基本的には2つのタイプがあるとされている。1つはC.W.Tangらによって発表された蛍光色素を電荷輸送層中に添加したもの(J.Appl.Phys.65、3610(1989))、もう1つは、蛍光色素を単独で用いたものである(Jpn.J.Appl Phys.27、L269(1988))。
後者の素子では、蛍光色素を含む層が電荷の一つであるホールのみを輸送するホール輸送層及び/又は電子のみを輸送する電子輸送層と積層されている場合に発光効率が向上することが示されている。
【0003】
これまで有機EL素子に使用されているホール輸送材料は、トリフェニルアミン誘導体を中心に多種多様の材料が知られているにもかかわらず、電子輸送材料について知られている材料は、非常に少ない。これら電子輸送材料については発光性を有するオキシン(8−ヒドロキシキノリン)とアルミニウムから構成されるオキシネイト金属錯体が1987年に報告されて以来、ディスプレイ等への応用を目指した研究が盛んに検討されてきている。そして、高効率の発光を得るための材料開発が盛んに行われてきている。特に1987年に発表されたオキシネイト金属錯体は、優れた発光特性を有している。更に近年、駆動電圧を下げる電界発光素子材料についての開発が精力的に行われてきている。
【0004】
しかし、上記オキシネイト金属錯体は緑色の発光であり、カラー化には不十分な点が残されている。カラー化への対応が、特開平8−81472号公報に記載されている。しかし、この公報に記載されている金属錯体は、耐熱性が低く、かつ電子の輸送効率が十分でない。このためこの金属錯体を用いた電界発光素子は、発光強度及び繰り返し使用時での安定性に劣ることが予想される。
そのため、種々の色度で高輝度に発光する有機EL素子等の電界発光素子を作製するために、ガラス転移温度の大きいかつ被膜特性のよい、高蛍光性、高電子輸送性を有する材料の開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の発明者らは、種々検討を重ねた結果、特定の配位子を有する金属錯体が、高い電子輸送性及び熱安定性、それに伴って電界発光素子としての高蛍光性、高輝度、高安定性を実現できることを見出し本発明に至った。
かくして本発明によれば、陽極及び陰極、ならびにこれら電極の間に少なくとも1層の有機層を有し、該有機層が一般式(1)
【0006】
【化6】
Figure 0004643079
【0007】
(一般式(1)中、XはO、S又はNHであり、R1〜R6は、同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、ハロゲン原子、水素原子又はRlとR2、R2とR3、R3とR4はそれらが結合する炭素原子と共に互いに結合して芳香族環を形成してもよい。)
で示される化合物を配位子とする金属錯体を含み、前記配位子が構造式(1)〜(16)
【化20−1】
Figure 0004643079
【化20−2】
Figure 0004643079
【化20−3】
Figure 0004643079
から選択される金属錯体を含むことを特徴とする電界発光素子が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
上記一般式(1)に示される化合物を配位子とする金属錯体は、高いガラス転移温度、非晶性、高い電子輸送性を有している。
一般式(1)中、低級アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等が挙げられる。低級アルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。更に、RlとR2、R2とR3、R3とR4とが、それらが結合する炭素原子と共に互いに結合して形成される芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。この芳香族環は、低級アルキル基(例えば、炭素数1〜4)、低級アルコキシ基(例えば、炭素数1〜4)、ハロゲン原子等の置換基を備えていてもよい。
【0009】
一般式(1)で示される化合物において、Rl〜R4は、水素原子、塩素原子、低級アルキル基、フェニル基、又はRlとR2、R2とR3、R3とR4のいずれかがそれらが結合する炭素原子と共に互いに結合することからなるベンゼン環、ナフタレン環であることが好ましい。また、R5とR6は、水素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基であることが好ましい。
一般式(1)で示される化合物は2座配位子としての機能を有している。この配位子が配位する中心金属としては、2価及び3価の金属が好ましい。
2価の金属との配位は一般式(4)に示すように4座配位化合物になる。
【0010】
【化7】
Figure 0004643079
【0011】
(式中、M1は2価の金属であり、X及びR1〜R6は一般式(1)と同じ。)
3価の金属との配位は、多くが6座配とならず、4座配位化合物の状態で反応が止まってしまう。このため中心金属の最外殻電子があまってしまう。本発明では、この最外殻電子は、比較的構造の小さいアニオンとイオン性結合させることにより安定化させる。アニオンとしては水酸基、ハロゲン原子、次亜塩素酸基、過塩素酸基、チアシアナート(−SCN)基、芳香族系水酸基等が挙げられる。この内、アニオンとしては、発光強度をより大きくできる芳香族系水酸基(いわゆるフェノラート配位子)が好ましい。フェノラート配位子を有する金属錯体は、一般式(5)のようになる。
【0012】
【化8】
Figure 0004643079
【0013】
(式中、M2は3価の金属であり、Aは置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族基であり、X及びR1〜R6は一般式(1)と同じ。)
なお、フェノラート配位子を構成する芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、メチレンジオキシフェニル基、ジフェニル基、ジフェニルエーテル基、ターフェニル基、ターフェニルエーテル基、フェナントレニル基、インデニル基等が挙げられる。また、芳香族基としては、炭素数6〜14の芳香族環が適当である。炭素数18以上のものは、材料面、合成面(反応が進みにくい)より好ましくない。
更に、芳香族環は置換基を有していてもよく、置換基として、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、イソプロピル、メチレンンジオキシ基等の電子供与基、塩素、臭素等のハロゲン、シアノ基、α−トリフロロメチル基等の電子吸引基が挙げられる。
【0014】
前者の電子供与基は、それだけでも弱い発光があるが、電子供与基である関係上、電子輸送性の向上からは、好ましい置換基とはいえない。しかし電子供与作用のほとんどないオルソ位に置換させれば、これら低級アルキル基、低級アルコキシ基等は発光強度、印加電圧等の特性からみて、無置換体よりよいものを得ることができる。これらの傾向は、いわゆる機能分離型電子写真感光体の電荷発生材料の特性(ナフトールASのアニリド基の置換体効果:オルソ効果)とよく類似している(例えば、特開昭57−204042号公報から特開昭57−204053号公報)。
【0015】
後者の電子吸引基は、全般的に発光強度、印加電圧等の特性をよくするものが多い。この場合、置換基の位置は大きくは関係しない。また、電子吸引基の場合でもオルソ効果が認められる。
なお、同一元素(特に塩素)が3個以上置換したものは、発光強度が比較的低いものが多い。これは多数の置換による立体的障害が有るためと考えられる。更には、蒸気相の転化の際、塩素の脱離が一部起ったものと推測される。
また、広意での電子吸引基である、フェニル、ジフェニル置換体は非常に好ましいものが多い。これは、置換体自身が高い電子輸送性を有しているためであると考えられる。
【0016】
一般式(4)に示される金属錯体として、具体的には次のような化合物が挙げられる。
【化9】
Figure 0004643079
【0017】
【化10】
Figure 0004643079
【0018】
なお、上記例示化合物において、M1としては、亜鉛、マグネシウム、ベリリウム、ニッケル、水銀等が挙げられる。特に、ベリリウム、亜鉛は、発光強度が他の金属より強い傾向を有しているため好ましい。また配位子としては、Xが酸素原子であるオキサジン誘導体からなる金属錯体は、発光強度が強い傾向を有しているため好ましい。また、オキサジン誘導体からなる配位子(Xが酸素原子)自体も強い発光性を有している。
【0019】
次に一般式(5)で示される金属錯体として、具体的には次のような化合物が挙げられる。
【化11】
Figure 0004643079
【0020】
【化12】
Figure 0004643079
【0021】
なお、上記例示化合物において、M2としては、アルミニウム、インジウム、ルテニウム、ボロン、オスミウム等が挙げられる。特に、アルミニウム、オスミウムは、発光強度が他の金属より強い傾向を有しているため好ましい。また配位子としては、Xが酸素原子である2−(2−ヒドロキシナフチル)オキサジン、2−(2−ヒドロキシアントリル)オキサジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)オキサジン等のオキサジン誘導体からなる金属錯体の発光強度が強い傾向を有しているため好ましい。これらオキサジン誘導体も強い蛍光を有している。
【0022】
例示化合物の内、Aに共役二重結合を有する例示化合物2−3、2−7、2−8、2−10、2−12、2−15等は熱安定性にも優れている。
次に、上記一般式(4)及び(5)で示される金属錯体は、以下のような方法により合成することができる。
まず、一般式(1)で示される配位子化合物を、下記合成工程1及び2を経て合成する。
【0023】
(合成工程1)
【化13】
Figure 0004643079
【0024】
(上記反応式中、Yは水素原子又はアルカリ金属である。)
上記合成工程1でのエステル化については、フェノールの代わりにアルコールを用いてもよい。また必要に応じて、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の溶剤中で反応させてもよい。反応時間及び温度は、例えば、6時間、100〜120℃程度であればよい。反応促進のために、脱水剤(オキシ塩化リン、3塩化リン等)を反応途中に加えてもよい。反応後、アルコール等を加えて析出した粉末を酢酸エチル等で再結晶することが好ましい。
【0025】
(合成工程2)
このようにして得られたエステル体を1,8−アミノナフトール、1,8−ジアミノナフタレン等と高温(150℃以上)で反応さすことにより、一般式(1)で表される配位子化合物が得られる。
【0026】
【化14】
Figure 0004643079
【0027】
合成工程2において、加熱のみで触媒なしで容易に目的物を得ることができる。反応溶剤として、ニトロベンゼン等を加えて反応を均一化さすことも必要である。この目的物はトルエン、クロロベンゼン等から再結晶することにより得られる。本反応は2段階反応であるが、ほぼ定量的に反応を進めることができる。
なお、合成過程1を経ずに直接一般式(1)で表される配位子化合物を得る方法もあるが、反応が進みにくく、そのため副生成物もできやすいため、上記のように2段階で行うことが好ましい。
【0028】
上記のようにして一般式(1)で示される金属錯体が得られる。
次いで、これら化合物を配位子として、下記合成工程3のように、2価又は3価の金属と反応させることにより金属錯体を得る。
【0029】
【化15】
Figure 0004643079
【0030】
このようにして得られた水酸基置換オキサジン誘導体(X=O)、チアジン誘導体(X=S)、ピリミジン誘導体(X=NH)を適当な溶剤(NMP、DMF、DMSO、アルコール及びこれらの混合溶剤)に溶かし、次いでこの溶液に1.5〜2.0倍程度のモルの水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムを加え、最後に2価又は3価の金属塩(通常はハロゲン塩、それ以外に酢酸塩)を徐々に加えて後、加熱攪拌を行う。反応温度は比較的高温(150℃以上)で行った方が好ましい。
【0031】
合成工程3で用いられる金属塩としては、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、塩化スカンジウム、塩化オスミウム等が挙げられる。なお、合成工程3では金属塩として、塩化物を例示したが、これに限定されるものではなく、他のハロゲン塩等も使用することができる。但し、一般的には塩化物が入手しやすいという利点がある。
【0032】
(合成工程4)
3価の金属の場合、更に合成工程4に示すように、A−OH(フェノール誘導体)を反応させることにより、一般式(5)に示される有機錯体が得られる。
【0033】
【化16】
Figure 0004643079
【0034】
この場合合成工程3の後半に上記フェノール誘導体を加えることにより得られる。フェノール誘導体はアルコール等で溶解した状態で加えた方がスムースに反応が進行する。また加える量は理論量の1.2〜1.6倍程度であることが好ましい。
このようにして得られた金属錯体は、水洗、アルコール洗を繰り返すこと(場合により、昇華精製すること)が好ましい。なお、金属錯体の合成については、米国特許5,150,006及びAnalytical Chemistry 1938P(1968)等に記載されている方法を利用することもできる。
【0035】
このようにして得られた金属錯体は、蛍光特性、発光特性に優れており、これらの特性を利用した種々の商品形態に適用できる。蛍光特性を利用したものとして蛍光塗料が代表的なものであり、発光特性を利用したものとして有機EL素子等の電界発光素子が代表的なものとして挙げられる。特に電界発光素子への適用については、上記金属錯体は、低電圧で高輝度の発光が可能な電界発光素子の一成分として有効に利用できるものである。その他、光起電力装置用光電材料、映像装置用材料等の応用も考えられる。
【0036】
金属錯体を用いた電界発光素子の構成としては、陽極、少なくとも発光層を含む有機層及び陽極とをこの順で基板上に形成した構成が挙げられる。有機層には、ホール輸送層及び/又は電子輸送層を含んでいてもよい。
素子の安定性を高めるために、素子の一部又は全体を保護層で被覆してもよい。また、発光色を調整するために、カラーフィルターを組み込んでもよい。
【0037】
上記金属錯体は、発光層又は電子輸送層、あるいはその双方に含有させるのがよい。更には、金属錯体は複数種混合して用いてもよく、また他の金属錯体、例えばオキシネイト誘導体等との混合等も有効である。あるいは下記構造式の4−ジシアノメテレン−6−(p−ジエチルアミノスチリル)−2−メチル−4H−ピラン等の蛍光色素と混合してもよい。
【0038】
【化17】
Figure 0004643079
【0039】
また、金属錯体を混合(共蒸着)することにより、発光波長のパンクロ化を実現でき、更にはアモルファス化による密着性を向上させることができる。特に中心金属が同じで、配位子の違う複数の金属錯体を使用することが好ましい。例えば、2−(2−ヒドロキシナフチル)ベンゾオキサゾール、2−(2−ヒドロキシアントリル)ベンゾオキサゾール、2−(2−ヒドロキシフェナントリル)ベンゾオキサゾール、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾールを配位子とするアルミニウム金属又はベリリウム金属からなる複数の金属錯体から構成されている場合等が挙げられる。この場合、混合の割合はモル比で1:1が一番適切であるが、その使用目的によって任意に変えてもよい。更には、これら金属錯体の前駆体をドープしてもよい。その割合は等モル以下であることが好ましい。
【0040】
以下では、有機EL素子を例にとり、電界発光素子を説明する。
有機EL素子は、陽極及び陰極、これら電極の間に少なくとも発光層を備えた有機層からなる。有機層は、更に、ホール輸送層、電子輸送層等を備えていてもよい。これら各層それぞれの膜厚は、素子の動作電圧等によって適宜決定できる。また、各層の作製法は、それらを構成する材料に応じて、通常の真空蒸着法、ラングミュアーブロジェット法をはじめ、スピンコート法等の塗布方式が採用可能である。
【0041】
次に有機EL素子の構成について説明する。
図1は、本発明に基づく有機EL素子の一例を示したものである。まず、透明基板(例えばガラス基板)7上に、ITO透明電極6、ホール輸送層5、発光層4(電子輸送機能を有する)、電子障壁層2、陰極1(例えばリチウム、アルミニウム又はアルミニウム合金(リチウムイオンをドープしたものを含む)製電極)を真空蒸着法、もしくはゾル−ゲル法、溶剤での溶液での塗布法等で順次製膜することができる。そして、陽極である透明電極6と陰極1との間に電源8から直流電圧を選択的に印加することによって、透明電極6から注入されたホールが、ホール輸送層5を経て、また陰極1から注入された電子が電子障壁層2を経て、それぞれ発光層4に到達して電子−ホールの再結合が生じ、これが透明基板7の側から発光9として観察できる。
【0042】
図1では、発光層に金属錯体を含有させる。金属錯体は2種類以上混合してもよい。更には、一般的な蛍光物質をドープしてもよい。一般的な蛍光物質としては、アントラセン、フェナントレン、ビレン、ぺリレン、クマリン、アクリジン、スチルベン及びその誘導体等が挙げられる。これらのドープ量は大体2重量%以下であることが好ましい。蛍光物質の一種として、前述の4−ジシアノメテレン−6−(p−ジエチルアミノスチリル)−2−メチル−4H−ピラン等が挙げられる。これら蛍光物質の中には発光波長の変換を目的として、長波長域に強い蛍光を有する物質を含有させることが近年さかんに行われている。
【0043】
蒸着により発光層4を作製する方法としては、▲1▼単独で蒸着さす方法、▲2▼同時にアルカリ金属含有化合物(例えばリチウム−α−ナフチオレート)又は他の金属錯体(例えばAlq3)等を蒸着さす方法、▲3▼金属錯体を混合蒸着さす方法等がある。▲2▼と▲3▼の場合、金属錯体間には蒸着スピードに違いがあり、まず蒸着スピードの速い金属錯体を蒸着した後に、遅い金属錯体とアルカリ金属含有化合物を順次蒸着させ、2層構成に近くしてもよい。また、蒸着対象物の種類に応じて、蒸着方向を変えてもよく、数回に分けてもよい。
【0044】
別の作製法としては、発光材料を適当な有機溶剤(例えばDMSO、NMP)に溶解させてスピンコーター等により塗布する方法が挙げられる。この方法の場合、溶解性、密着性の点より、発光材料をアモルファス状態にしたほうがよく、これによく適応さすために、非対称構造、更には長鎖のアルキル、分岐のアルキル基を有する構造の発光材料を使用することが好ましい。
アルカリ金属含有化合物の発光層中の占める割合は発光材料1当量に対して1当量以下が好ましい。これ以上になると、ガラス転移点が低くなり、熱的な劣化が起りやすくなり、更には発光開始電圧の上昇をもたらすことになる。また、ドープ効果が認められる0.01当量以上であることが好ましい。特に、0.1当量前後が大体最適なドープ量である。
【0045】
また、電子障壁層2を陰極1下に設けることにより、電子注入効果を高めることができる。電子障壁層2の膜厚は、基本的には単分子配列を構成するに必要な厚さであればよいが、通常は10Å程度の膜厚を有することが好ましい。この電子障壁層2の材料としては、イオン化傾向が大きく、ルモ準位を下げることができる金属の無機塩や有機塩等が挙げられる。ただこれらの塩の多くは水分を含有しやすく、また加水分解しやすいものが多いため、水分の少ない製造雰囲気中で形成することが好ましい。代表的な材料としては、α,α,α−トリフロロ酢酸のリチウム塩、各種リチウムフェノラート、リチウムスルホネート等が挙げられる。
【0046】
ホール輸送層5の材料として、電子写真用の機能分離型感光体のホール輸送材料がほぼ使用できる。ただ電子写真分野のホール輸送材料はアモルファスの状態でバインダー樹脂のたすけをかりて塗布することで層として構成されている。また、溶解性がよいことが知られているが、耐熱性が劣るものが含まれている。このため輸送効率が高いにもかかわらず、耐熱性の悪さから有機EL素子用として省みられなかった。しかし、本発明の発明者らは、電子写真用のホール輸送材料の中に有機EL素子用として有用な材料が存在することを見出している。例えば、多価の芳香族アミン及びエナミン化合物が代表な化合物として挙げられる。特に、N,N’型の米国特許第5,792,568号に記載のビスエナミン化合物は有用である。
【0047】
電子輸送層3を発光層4と電子障壁層2の間に設けてもよい(図2)。電子輸送層用の材料としては、テトラセン、ペンタセン、テトラフェニレン、ジフェニルオキサジアゾール、ナフチルベンゾオキサゾール等の縮合多環式炭化水素化合物、含窒素系複素環化合物等が代表的な材料として挙げられる。電子輸送層3の膜厚は発光層とほぼ同じであることが好ましい。この電子輸送層を設けた場合にはこの層中にもアルカリ金属含有化合物をドープしたほうが、より駆動開始電圧を下げる効果が認められる。そのドープの割合については30モル%以上が効果的である。更には、前述の電子性輸送物質を発光層にドープしてもよい。そのドープ量は大体2重量%以下であることが好ましい。
【0048】
図3は、本発明に基づく有機EL素子の他の例を示したものである。この素子は、電子障壁層2を備えていないこと以外は、その構成及び発光方法について、図1と同じである。図中19は発光である。また、図3の変形例として、上記電子輸送物質を電子輸送層3として陰極1と発光層4の間に設けてもよい(図4)。
【0049】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これにより本発明の要旨がなんら制限を受るものではない。
実施例1
下記条件で測定した例示化合物の金属錯体の吸収極大波長(nm)及び極大波長での分子吸光係数と、蛍光極大波長(nm)とを表1に示した。
▲1▼ジオキサンに例示化合物を溶かし、基体上に塗布及び乾燥させることで例示化合物の膜を得た。
▲2▼蛍光極大波長は、365nmの紫外光を膜に照射することで測定した。
▲3▼分子吸光係数及び極大波長は、UV−365(日立製)を使用して測定した。
【0050】
【表1】
Figure 0004643079
【0051】
例示化合物の金属錯体の溶液は、どれも青緑から黄緑色の強い蛍光を有しており、特に中心金属がアルミニウムの場合強い青緑色の蛍光を有していた。
【0052】
実施例2〜6
真空蒸着法により、ガラス基板上に、ITOからなる透明電極/下記構造式で示されるビスエナミン化合物からなるホール輸送層/表1記載の金属錯体からなる発光層/Mg−Ag合金からなる陰極を作製した。透明電極の膜厚は50nm、ホール輸送層の膜厚は60nm、発光層の膜厚は40nmであった。
【0053】
【化18】
Figure 0004643079
【0054】
なお、上記の各層の真空蒸着の条件は次のとおりである。
蒸着条件−ホール輸送層 2〜4Å/秒
発光層 2〜4Å/秒
陰極 12〜14Å/秒
これら各有機EL素子の発光スペクトルの最大波長を光電子増倍管により測定した。なお、印加電圧はどれも18(V)である。更に、発光開始印加電圧(V)を測定した。これら測定値を表2に記載した。
【0055】
【表2】
Figure 0004643079
【0056】
表2の結果から、発光材料として金属錯体を用いた有機EL素子は、青色から黄緑色の幅広い発光を示し、特にアルミニウムを中心金属としたものは(例えば、例示化合物2−10)は青色発光でかつ開始電圧も低く、目視による発光強度も強かった。
【0057】
実施例7
例示化合物2−7(中心金属:Al)及び2−8(中心金属:Al)を1:1の重量比でよく均一に混練したものを、実施例2の方法に準じて発光層を作製すること以外は実施例2と同様にして、有機EL素子を作製した。この有機EL素子の印加開始電圧を測定したところ、4.2Vであり、混練することにより更なる低い開始電圧での発光が得られることが判明した。更に、印加電圧を50Vにして、2−7、2−8及び上記混練体からなる発光層を含む3種の有機EL素子の破壊時間(発光が破壊される時間、すなわち構成材料が熱分解される時間)について調べた。その結果、2−7及び2−8はそれぞれ約1時間程度であったのに対し、混練体は、1時間以上発光を保持しており、安定性の面からも優れていた。これは混練されることにより配位子間の相互作用で密着性が向上したことが主な要因と考えられる。なお、開始電圧等については、大きな相違は認められなかった。
【0058】
【発明の効果】
特定の構造を有する金属錯体は、青色から黄緑発光を有しており、この金属錯体を電界発光素子、特に有機EL素子の電子輸送性を保持した発光材料に用いた場合、高輝度、低電圧の発光素子が得られる。この要因としては、配位子が金属を中心とした同心円状に配列した比較的大きい平面構造をとっているためと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電界発光素子(有機EL素子)の概略断面図である。
【図2】本発明の電界発光素子(有機EL素子)の概略断面図である。
【図3】本発明の電界発光素子(有機EL素子)の概略断面図である。
【図4】本発明の電界発光素子(有機EL素子)の概略断面図である。
【符号の説明】
1 陰極
2 電子障壁層
3 電子輸送層
4 発光層
5 ホール輸送層
6 透明電極(陽極)
7 透明基板
8 電源
9、19 発光

Claims (10)

  1. 陽極及び陰極、ならびにこれら電極の間に少なくとも1層の有機層を有し、該有機層が一般式(1)
    Figure 0004643079
    (一般式(1)中、XはO、S又はNHであり、R1〜R6は、同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、ハロゲン原子、水素原子又はRlとR2、R2とR3、R3とR4はそれらが結合する炭素原子と共に互いに結合して芳香族環を形成してもよい。)
    で示される化合物を配位子とする金属錯体を含み、前記配位子が構造式(1)〜(16)
    Figure 0004643079
    Figure 0004643079
    Figure 0004643079
    から選択される金属錯体を含むことを特徴とする電界発光素子。
  2. 金属錯体が、2価又は3価の中心金属を備える請求項1に記載の素子。
  3. 金属錯体が、一般式(4)
    Figure 0004643079
    (式中、M1は2価の金属であり、X及びR1〜R6は一般式(1)と同じ。)
    又は一般式(5)
    Figure 0004643079
    (式中、M2は3価の金属であり、Aは置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族基であり、X及びR1〜R6は一般式(1)と同じ。)
    である請求項1又は2に記載の素子。
  4. 一般式(5)中のAが、ジフェニル基、ジフェニルエーテル基、ターフェニル基又はターフェニルエーテル基である請求項に記載の素子。
  5. 有機層が、同一の中心金属で、少なくとも2つ以上の相異なる配位子よりなる金属錯体から構成されている請求項1〜のいずれか1つに記載の素子。
  6. 3価の金属がアルミニウム、インジウム、ルテニウム又はオスミウムである請求項のいずれか1つに記載の素子。
  7. 3価の金属がアルミニウムである請求項に記載の素子。
  8. 2価の金属が、亜鉛、マグネシウム、ベリリウム、ニッケル又は水銀である請求項のいずれか1つに記載の素子。
  9. 2価の金属が、ベリリウム又は亜鉛である請求項に記載の素子。
  10. 有機層が、エナミン構造を有する芳香族化合物をホール輸送材料として含む請求項1〜のいずれか1つに記載の素子。
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