JP4641841B2 - 液晶光変調器およびそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

液晶光変調器およびそれを用いた液晶表示装置 Download PDF

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本発明は、液晶を用いて光を変調する、透過型および反射型の液晶光変調器および液晶表示装置に関し、特に低消費電力かつ高速な階調画像表示が必要とされるフラットパネルディスプレイやフレキシブルディスプレイに有用な液晶光変調器および液晶表示装置に関するものである。
液晶材料に電界を加えて、液晶分子の配向状態を変化させるという電気光学効果を応用すると光変調器が実現できる。液晶光変調器は、他の電気光学効果を示す光学結晶に比べて低電圧で駆動できるため、表示装置用の電気光学素子として注目されている。
今後、大型・軽量化さらにはフレキシブル化へと素子の機能性を拡張するためには、柔軟なプラスティックフィルム基板の導入が望まれる。その際、スペーサを基板上に散布し液晶層の膜厚を制御する従来の方法では、基板の変形に伴いスペーサが移動して液晶層の厚みの均一性が損なわれるため、表示画像が乱れる。
液晶層の厚みを一定に保つ技術としては、周囲に熱可塑性の合成樹脂を化学結合させたスペーサを基板上に散布し、熱処理により基板に接着する手法(例えば、特許文献1参照)や、フォトリソグラフィ法によりフォトレジスト材料を規則的に基板上に形成する手法が知られている。
しかし、前者においては、接着力が弱く、外力が加わるとスペーサが基板から剥離しやすいという問題があり、後者においては、両基板に接着された構造でないため、素子を曲げた際、厚みが変動しやすいという問題がある。
そこで、両基板に接着・固定された構造物を得るため、液晶中に合成樹脂による網目状の繊維を形成する方法が考案されている(例えば、特許文献2参照)。
樹脂繊維の形成には、液晶中での合成樹脂の不溶化に基づいた相分離現象が広く用いられる。相分離には、加熱により液晶と合成樹脂を溶液状態とし、冷却することで相分離を誘起する冷却相分離、液晶と合成樹脂を共通溶媒に溶かし、溶媒を除去することで相分離を誘起する溶媒除去相分離、液晶中に合成樹脂の原材料(モノマ、オリゴマ等)を溶解し、樹脂原材料を紫外線や熱によって重合させ相分離を誘起する重合相分離等がある。
また、樹脂繊維の表面分子を配向させることにより、厚みの保持だけでなく、液晶分子の配向も誘起される。この配向規制力は、液晶の応答速度を高めるだけでなく、強誘電性液晶のように配向欠陥が生じやすい材料に対しては、面内で一様配向を得る有効な手段となる。
その一方で、硬化した樹脂繊維表面に液晶分子が固定されるため、電圧印加による液晶分子の配向方向の変化が阻害され、光変調の駆動電圧が増大するという問題が生じる。
しかし、基板を保持するのに十分な機械強度を得るためには、一定以上の樹脂繊維の分散量を必要とする。そこで、液晶と樹脂繊維からなる複合膜中に、両基板間に介在するように、複数個の樹脂製スペーサ構造物を規則的に配置する手法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
これにより、樹脂繊維の分散量を増やすことなく、機械強度と液晶分子の配向機能の両立が可能となる。
特開平9−235527号公報 特開2000−122043号公報 H. Sato, H. Fujikake, Y. lino, M.Kawakita and H. Kikuchi:"Flexiblegrayscale ferroelectric liquid crystal device containing polymer walls andnetworks", Jpn. J. Appl. Phys., vol. 41, no. 8, pp. 5302-5306 (2002)
しかし、上述した技術によっては、樹脂繊維による液晶分子の固定化による電圧増加の抜本的な解決を図るところまでは至っていない。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、機械強度を確保しつつ駆動電圧を大幅に低減し得る、簡易な構成の液晶光変調器およびそれを用いた液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明の液晶光変調器は、
一対の基板間に、樹脂繊維および液晶から構成されてなる複合膜と、該一対の基板間に介在するように配置された複数個の樹脂製スペーサ構造物とを有する液晶光変調器であって、
前記複合膜への電圧印加に応じて、前記液晶の分子の配向方向と、前記樹脂繊維の樹脂の側鎖の配列方向とが連動して変化するように構成されており、
前記樹脂繊維の太さが、100nm以下であることを特徴とするものである。
また、前記樹脂繊維の樹脂の側鎖は、該樹脂繊維内で一方向に配向されており、液晶分子の配向を誘起する機能を持つことが好ましい。
また、前記樹脂繊維の原材料は、棒状の分子骨格を有して液晶相を示すと共に、その一端もしくは両端に官能基を有するものであることが好ましい。
また、前記一対の基板は、各々透明基板とすることが可能である。
さらに、本発明の液晶表示装置は、上述した液晶光変調器のいずれかを備えてなることを特徴とするものである。
以上説明したように、本発明に係る液晶光変調器および液晶表示装置によれば、複合膜中の微細な樹脂繊維を構成する樹脂の側鎖が、電圧印加に応じた液晶分子の配向方向の変化に伴って協調的に動く機能を有する。これにより、液晶分子の周りの環境が液晶の配向変化を阻害するものではなくなるため、駆動電圧を大幅に低減することが可能となる。
この場合において、特に、樹脂繊維の太さを100nm以下とすることにより上記機能が良好に発揮される。
その一方、本発明に係る液晶光変調器および液晶表示装置によれば、樹脂繊維の脆弱化による素子強度の減少は、樹脂スペーサ構造物の化学結合を促進することで補うことができる。
以下に本発明の実施形態に係る液晶光変調器および液晶表示装置について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る液晶光変調器を示す模式図である。
この液晶光変調器10は、太さ100nm以下の微細な樹脂繊維1が液晶分子2中に分散されてなる複合膜と、該複合膜中で該複合膜の全厚に亘るように、複数個が規則的に配置された樹脂製スペーサ構造物3とを、配向膜4を設けた透明電極5付き透明基板6で挟んだ構造となっている(図1(a))。
ここで、樹脂繊維1を構成する合成樹脂7は、電圧を印加していない電圧OFF状態において液晶分子2の配向方向と容易に平行に配向される側鎖8を有する(図1(b):図1(a)のA部拡大図)。
また、樹脂繊維1の表面の液晶分子2は、側鎖8の配向効果によって、側鎖の配向方向(長軸方向)に固定されている。樹脂繊維1が細いため合成樹脂7は比較的動きやすく、基板間への電圧印加(電圧ON状態)により液晶分子2の配向方向が変化すると、合成樹脂7の側鎖8は液晶分子2との分子間力により協調的に動くようになる(図1(c):図1(a)のA部拡大図)。
一方、樹脂スペーサ構造物3は高密度に化学結合(重合,架橋)した合成樹脂によって形成されており、樹脂繊維1の柔軟化は構造物3を強化したことによって補強されている。
これにより、上述した変調器本体を2枚の偏光板9で挟めば、2つの基板6を保持する機械強度が保たれた状態で、低電圧での光変調動作が可能となる。その際、液晶配向は、平行配向、垂直配向、ツイスト配向等様々な配向状態を配向膜4の選択によって実現できる。
樹脂繊維1の分散構造は図1の模式図に限られるものではなく、電圧印加時に側鎖方向が液晶分子2の配向と平行であれば、合成樹脂7の延びる方向が液晶分子2の配向方向に対して垂直であってもよい。また、樹脂繊維1が基板表面に固定されていてもよい。樹脂繊維1の太さは、柔軟構造を得る上で100nm以下が望ましく、合成樹脂7の1分子によって繊維形態をとるように構成されていてもよい。樹脂繊維1の構造は、繊維同士が相互に連結された網目構造に限られるものではなく、各繊維が別個独立に配置された構造であってもよい。
上記樹脂スペーサ構造物3の形状は、1μm以上かつ200μm以下の厚みを有する壁構造であることが望ましい。その際、壁の配置を格子状やストライプ状にした場合、壁の間隔が画素ピッチと一致する場合が最適であるが、必要な素子の強度に応じて間隔を自由に定めることができる。また壁構造は直線状でなく曲線状であってもよく、さらに壁の厚みや長さは全て一定でなくてもよい。
樹脂スペーサ構造物3は上記の壁構造の他、1μm以上かつ200μm以下の円内に収まる大きさの柱状とし、島状に配置することもできる。その場合には、隣り合う樹脂スペーサ構造物の距離が、柱の直径より大きいことが望ましいが、素子強度が得られない場合はこの限りでない。樹脂スペーサ構造物3を柱状とした場合、柱の形状は対称性のよい円柱とすることが好ましいが、これに限定されるものではなく、さらに柱の幅は一定でなくてもよい。
また、樹脂繊維1と樹脂スペーサ構造物3は、液晶と樹脂原材料からなる混合液への、紫外線の部分露光と全面露光の手法を用い、以下の手順により形成される。
まず、配向膜4を設けた透明電極5付き透明基板6を2枚用意し、一方の基板6上に液晶と樹脂原材料の混合液を塗布した後、他方の基板6を貼り合わせ、混合液の温度を、分子の配向状態にあるネマティック相またはスメクティック相を示す温度に制御する。
混合液の塗布法としては、ロールコーティング、ディッピング、スピンコーティング、キャスティング、スプレー、ドクターブレードコーティングおよびワイヤーバーコーティング等が、生産性や量産性に優れた方法として用いられる。また、2枚の基板6間にギャップを設けた後、上記混合液を注入する方法を用いてもよい。
次に、樹脂スペーサ構造物3を形成するために、長波長の紫外線により部分露光する。ここでは、透光部と遮光部を持つ光学マスクを基板上に被せ、紫外線(例えば、中心波長365nm)をマスク越しに照射する。
これにより、マスクの透光部に対応した紫外線照射部分における樹脂原材料の重合が誘起され、合成樹脂の分子量は急速に増加する。その結果、液晶と樹脂が相分離するのと同時に液晶が紫外線照射部分から排出され、樹脂スペーサ構造物3が形成される。その際、100mW/cm2以上の強い紫外線を照射すれば、樹脂原材料の重合頻度を飛躍的に高めることができる。
これにより、樹脂スペーサ構造物3を構成する合成樹脂の化学結合密度が増加し、液晶光変調器としての機械強度が高まる。
また、部分露光には上述した如き光学マスクを用いずに、レーザ光(紫外光領域波長成分を含む)を上記混合液に照射し、光走査を行うようにしてもよい。その際に用いるレーザ光には、エキシマレーザ、アルゴンレーザ、ヘリュウム・カドミウムレーザ等が有用であるが、それ以外のレーザ光を用いることもできる。また、長波長を基本波長とするレーザ光から波長変換素子を用いて紫外線領域の短波長レーザ光を得るようにしてもよい。
なお、前記液晶・樹脂複合膜の厚みを制御するための球状のスペーサが、上記液晶・樹脂混合液内または、配向膜4のいずれかに分散されるように構成されていてもよい。
樹脂スペーサ構造物3が形成された後、透明基板6を全面露光することで表示部に樹脂繊維1を分散する。その際、細い樹脂繊維1を高密度で分散するには、重合を促進し相分離を急速に進めればよいため、40mW/cm2以上の強い紫外線強度を用いることが望ましい。
また、使用する樹脂原材料(モノマ、オリゴマ、プリカーサ等)としては、側鎖8を有する合成樹脂7を得ることが可能となるように、その骨格がフェニル基やシクロヘキサン基等をコアに持つ棒状で、分子の一端もしくは両端に官能基を有するものが好ましい。また、液晶との相溶性の面から液晶相を示す材料が望ましい。また、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フッ素系樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン等)、またはそれらの共重合体等を使用することもできる。
また、使用する液晶としては、ネマティック液晶、コレステリック液晶あるいはスメクティック液晶等の種々のタイプの液晶を用いることができる。
ただし高速応答を得るには、低粘性かつ高弾性の液晶材料が適しており、化学構造としては、液晶の屈折率異方性Δn(Δn=異常光屈折率n−常光屈折率n)が大きいシアノ系、ビフェニル系、タフェニル系、ピリミジン系、トラン系あるいはフッ素系等のネマティック液晶が適している。
なお、スメクティック液晶を用いる場合、自発分極を有して高速応答を示す強誘電性液晶が有用である。例えば、シッフ塩基系強誘電性液晶、アゾ系強誘電性液晶、アゾキシ系強誘電性液晶、ビフェニル系強誘電性液晶、エステル系強誘電性液晶あるいはフェニルピリミジン系強誘電性液晶等とすることが好ましい。
また、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレートあるいはアモルファスポリオレフィン等の柔軟なプラスティックフィルムを用いることができる。このような柔軟なプラスティックフィルム基板を用いた場合、軽量で曲げることが可能な液晶光変調器を実現することができる。
また、透明電極4としては、錫をドープした酸化インジウム(ITO)を始め、酸化インジウムや酸化錫等の金属酸化物を材料として用いるとよい。これらの透明電極4は、真空蒸着、イオンプレーティング、イオンアシスト、スパッタリング等の周知の成膜技術により上記透明基板5上に形成する。
混合液の分子配向を一方向に定めるための配向膜4の材料としては、ポリイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルシンナメート樹脂、アゾ系化合物等を用いることができる。
その配向処理法としては、レーヨンやナイロン布等で樹脂膜表面を摩擦するラビング配向処理、もしくは偏光紫外線の照射による露光処理を用いることができる。
また、配向膜4の塗布法としては、ロールコーティング、ディッピング、スピンコーティング、キャスティング、スプレー、ドクターブレードコーティングあるいはワイヤーバーコーティング等を用いるとよいが、それら以外の塗布法を用いることもできる。
なお、上記液晶光変調器10にバックライトを設けることにより、高コントラストの液晶表示装置を構成することができる。
さらに、上記液晶光変調器10に光反射板や光拡散板を設けることにより、バックライトが不要とされる低消費電力の反射型液晶表示装置を構成することも可能である。
このような反射型液晶表示装置を構成する場合には、上述した実施形態のものにおいて、一方の透明基板5を不透明のものとしたり、一方の透明電極4を不透明な金属電極に置き換えたりすることも可能である。
以下、本発明の液晶光変調器に係る実施例構成およびその評価手法について具体的に説明し、また、より望ましい実施例の構成について言及する。
本発明に係る実施例においては、上述したように、樹脂繊維1の側鎖8が液晶分子2の配向変化に対し協調して動くことで低電圧の駆動が可能である。しかしながら、実施例の中でも、より低電圧駆動が可能な態様が存在することから、どのような構成であればより低電圧駆動が可能であるかを検証したので、それについて以下に説明する。
ここで、樹脂繊維の側鎖と液晶分子の動きの評価には、以下のような方法を用いた。
すなわち、液晶と樹脂繊維の複合膜にレーザ光(波長:f)を照射すると、分子の熱振動により入射光が変調され散乱光の波長に変化(f−f’)が生じる(ラマン散乱)。この波長の変化量f’は分子構造に依存するため、散乱光のスペクトルを測定すれば、液晶と樹脂繊維とでは、互いに異なる波長で散乱光のピークが得られる。またその強度は、液晶と樹脂繊維の体積分布に依存するだけでなく、レーザ光の振動方向(電場ベクトルの方向)に対して液晶分子の配列方向のなす角度の変化によっても、すなわち液晶や樹脂繊維の側鎖が動くことによっても変化する(レーザ光の振動方向(電場ベクトルの方向)に対して分子の配列方向が平行となる場合に最大)。
ここでは、液晶として、シアノビフェニル系の液晶(E7 メルク社)を用い、樹脂繊維を構成する合成樹脂の原材料として、フェニル基からなるコア部が樹脂繊維の側鎖となる樹脂原材料(UCL-001 DIC社)を用いた。この場合、樹脂繊維の側鎖を構成するフェニル基の振動および液晶を構成するビフェニル基の振動によって生じる波長変化が、それぞれ1140cm-1(=1/f’)および1180cm-1(=1/f’)のラマン散乱光となるため、液晶分子と樹脂繊維の側鎖の動きを散乱ピーク強度の変化から個別に把握することができる。
さらに、電圧によって液晶分子が動いた場合、それぞれの振動によって得られる散乱光のピーク強度が減少するように、複合膜の分子配列方向とレーザ光の振動方向を互いに平行となるようにした。
なお、比較のため、太さが100nmより大とされた樹脂繊維が分散された領域(第1実施例)のほかに、太さが100nm以下とされた樹脂繊維が分散された領域(第2実施例)を作製し、これらの両者に対して測定を行った。その測定結果に基づき、電圧の印加に応じた液晶分子と樹脂繊維の側鎖の動きについて評価した。
上記測定手法により、上記実施例の各々について、電圧を印加していない場合における、液晶分子と樹脂繊維の側鎖による散乱ピークを観測した。
この後、上記測定手法により、従来よりも大幅に低い電圧である10Vを印加した場合における、液晶分子と樹脂繊維の側鎖による散乱ピークを観測した。
その結果、上記第1実施例においては、図2(a)に示すように、10Vの電圧を印加したことによっても液晶分子の動作による散乱ピーク強度の減少は確認されず、樹脂繊維の側鎖による散乱ピークにも変化は現れなかった。これは、液晶分子も樹脂繊維の側鎖も、10Vの電圧印加によって動いていないことを意味している。
一方、上記第2実施例においては、図2(b)に示すように、10Vの電圧を印加したことによって液晶分子の動作による散乱ピーク強度が減少しただけではなく、樹脂繊維の側鎖の散乱ピークも減少した。このことから、太さが100nm以下とされた樹脂繊維が分散された領域においては、印加電圧が10Vであっても、樹脂繊維の側鎖の動きに応じて液晶分子が動くことが確認された。
すなわち、太さが100nm以下とされた細い樹脂繊維を用いることにより、より低電圧で液晶を駆動可能であることが明らかとなった。
次に、太さが100nm以下とされた細い樹脂繊維および液晶からなる複合膜と樹脂スペーサ構造物とを構成要素とした液晶光変調器を第3実施例として以下のようにして作製し、その機械強度と光学的特性について評価した。
ここでは、液晶として、チルト角が42.9°の強誘電性液晶を用い、樹脂繊維を構成する合成樹脂の原材料として、多官能基を有する液晶性の樹脂原材料(UCL-011 DIC社)を用いた。
この場合、まずポリイミド膜(AL-1254 日本合成ゴム社)をスピンコーティング法(4500rpm,90s)により、透明電極(ITO)が設けられた基板上に塗布し、180℃で2時間焼成した。配向処理は、ナイロン布でポリイミド膜表面をラビングし(毛先押し込み量0.4mm)行った。得られたラビング配向膜付きの基板間に、液晶と樹脂原材料の混合液を、ラビング方向をアンチパラレルとして挟み込んだ(膜厚:1.5μm)。混合液中のモノマ濃度は15wt%とし、温度はネマティック相を示す45℃とした。
次に、光学マスクを基板に密着させた状態で紫外線(中心波長:365nm,強度:130mW/cm2,時間:180s)を照射し、樹脂スペーサ構造物を形成した。光学マスクは格子状をなし、その格子周期および格子幅はそれぞれ250μmおよび15μmとした。
樹脂スペーサ構造物の形成後、光学マスクを取り除いて紫外線(中心波長:365nm,強度:40mW/cm2,時間:120s)を全面に照射し、未露光部の樹脂原材料によって細い樹脂繊維を液晶中に分散した。全面露光する際には、混合液の温度を45℃から55℃に加熱した。これは、樹脂スペーサ構造物の形成に伴い、液晶中への樹脂原材料の含有量が減少するため、ネマティック相を示す温度に変化が生じるためである。
上記の手法により得られた第3実施例に係る液晶光変調器は、透明基板としてプラスティックフィルム基板を用いた場合、図3に示されるように、湾曲時においても液晶層の厚みは保たれており、樹脂スペーサ構造物が十分な機械強度を持つことが確認された。
次に、上記第3実施例に係る液晶光変調器について、電圧印加に伴う光透過率の変化を測定した。その結果を図4に示す。なお、図4には、比較のため、一般的な従来技術(比較例)における電圧印加に伴う光透過率の変化が示されている。
図4に示されるように、上記第3実施例に係る液晶光変調器は比較例のものに比べ、飽和電圧値が1/3に抑えられており、5V程度の印加電圧によっても液晶が動作することが確認された。
本発明の一実施形態に係る液晶光変調器を示す模式図 複合膜によって得られたラマン散乱スペクトルを示す特性図((a)は第1実施例,(b)は第2実施例) 本発明の液晶光変調器にプラスティックフィルム基板を用いた場合の外観図 第3実施例と比較例に係る光透過率の印加電圧依存性を示すグラフ
符号の説明
1 樹脂繊維
2 液晶分子(液晶)
3 樹脂スペーサ構造物
4 配向膜
5 透明電極
6 基板
7 合成樹脂
8 側鎖
9 偏光板

Claims (4)

  1. 一対の基板間に、樹脂繊維および液晶から構成されてなる複合膜と、該一対の基板間に介在するように配置された複数個の樹脂製スペーサ構造物とを有する液晶光変調器であって、
    前記複合膜への電圧印加に応じて、前記液晶の分子の配向方向と、前記樹脂繊維の樹脂の側鎖の配列方向とが連動して変化するように構成されており、
    前記樹脂繊維の太さが、100nm以下であることを特徴とする液晶光変調器。
  2. 前記樹脂繊維の樹脂の側鎖は、該樹脂繊維内で一方向に配向されており、液晶分子の配向を誘起する機能を備えたことを特徴とする請求項1記載の液晶光変調器。
  3. 前記樹脂繊維の原材料は、棒状の分子骨格を有して液晶相を示すと共に、その一端もしくは両端に官能基を有するものであることを特徴とする請求項1または2記載の液晶光変調器。
  4. 請求項1〜3記載の液晶光変調器のいずれかを備えてなることを特徴とする液晶表示装置。
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