JP4640736B2 - せん断刃 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定刃と可動刃とが面接触状に摺接するせん断刃に関する。固定刃と可動刃とはエッチング法によって形成され、まゆ毛カッター、電気かみそりのきわぞり刃、うぶ毛カッター、バリカン刃などに適用される。
【0002】
【従来の技術】
例えば電気かみそりのきわぞり刃において、せん断刃をエッチング法で形成することは公知である(特公昭36−19556号公報)。特開平1−259891号公報には、固定刃と可動刃とをそれぞれフォトエッチング法で形成する旨の記載がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
エッチング法で形成した刃体は、プレス加工で形成した刃体に比べて、厚み寸法を薄くできるうえ、加工時の歪が残らないので高い面精度が得られる。従って、固定刃と可動刃の刃面どうしを密着させて、せん断時の切れ味を向上できる。問題は、固定刃と可動刃の双方をエッチング法で平板状に形成すると、両者の接触面積が大きくなり、その分だけ摩擦抵抗が増える点にある。こうした事態を避けるために、従来のせん断刃においては、固定刃を断面ハット形のプレス成形品で形成して、切れ刃部分と、切れ刃と平行な辺部のみが可動刃と摺接するようにしていた。
【0004】
固定刃と可動刃との摺接面積を小さくするために、エッチング処理後に固定刃を曲げ加工することは不可能ではない。しかし、曲げ加工を行うと刃面の面精度が損なわれるので現実的ではない。また、板面の多くを除去して固定刃を枠状に形成し、可動刃との接触面積を減らすことも可能ではある。この場合には、刃面の面精度が低下することはない。しかし、枠状に形成した固定刃は撓み変形しやすく、落下衝撃を受けるような場合に破損するおそれがある。板厚を増して強度を上げることはできるが、刃付のためのエッチング処理に多くの時間を要してコストが高く付く。
【0005】
本発明の目的は、エッチング法で形成した固定刃と可動刃とからなるせん断刃において、両刃体の面精度を維持しながら摺動摩擦を軽減することにある。本発明の目的は、全体を薄形化できるうえ、軽快な切れ味を発揮でき、しかも摺動摩擦が小さい分だけせん断刃の駆動に要するエネルギーを削減できるせん断を提供することにある。本発明の目的は、板厚を増す必要もなく十分な強度を維持でき、落下衝撃などを受けたような場合にも破損することのないせん断刃をより低コストで得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のせん断刃は、それぞれエッチング法によって形成した固定刃12と可動刃13とを備えていて、両刃12・13の摺動面の少なくともいずれか一方に、摺動相手との摺接を避ける減摩凹部20が形成してある。可動刃13の板面に、ガイド軸37でスライド案内されるスライドピース24と、駆動アーム10で往復駆動される駆動ピース26とが、それぞれアウトサート成形されている。固定刃12と可動刃13とを接合した状態において、スライドピース24を受け入れて、両刃12・13を密着させる逃げ穴18が、固定刃12の板面に形成してある。可動刃13の板面に、ガイド軸37用のスライド穴33と、スライド穴33に隣接する捨て穴34とが通設されている。スライドピース24が、スライド穴33と捨て穴34とを含んでアウトサート成形されている。スライドピース24は、可動刃13の一方の面側に突出する板状の第1挟持片31と、他方の面側に突出する板状の第2挟持片32とを有し、両挟持片31・32が、スライド穴33の内面に沿う長円状の筒壁35と、捨て穴34を充填する軸状部36を介して橋絡されている。
【0007】
具体的には、上記の減摩凹部20は、固定刃12の摺動面にエッチング処理を施して形成することができる。
【0009】
減摩凹部20は、固定刃12の外郭線に沿って設けられた枠状の主摺動面21で囲まれている。
【0010】
減摩凹部20が、固定刃12の外郭線に沿って設けられた無端枠状の主摺動面21で囲まれている。主摺動面21より内側にリブ状の摺動面22が設けてある。逃げ穴18の開口縁が無端枠状の摺動面22で囲まれている。
【0011】
逃げ穴18は固定刃12の板面を上下に貫く貫通穴で形成する。リブ状の摺動面22は、逃げ穴18の開口縁に沿って無端状に設け、その少なくとも一部を主摺動面21に連続したものとすることができる。
【0012】
【作用】
固定刃12と可動刃13とをエッチング法によって形成し、その少なくともいずれか一方の摺動面に減摩凹部20を形成すると、両刃12・13のそれぞれが平板状に形成してあるにもかかわらず、両者の接触面積を著しく小さくして、摺動摩擦を軽減できる。減摩凹部20を設けて接触面積を減少するので、両刃12・13の一方をプレス成形品で形成する場合に比べて、せん断刃の全厚寸法を小さくでき、その分だけせん断刃応力機器の小形化と薄形化に寄与できる。平面度の高い固定刃12と可動刃13とでせん断刃を構成するので、両者12・13の密着度が高く、軽快な切れ味を発揮させることができる。摺動摩擦が小さい分だけせん断刃の駆動に要するエネルギーを減少でき、これによって、せん断刃応用機器のエネルギー消費、とくに電池を電源とする機器において電池の消耗を抑止できる。
【0013】
減摩凹部20を固定刃12側にエッチング法で形成すると、固定刃12の外形、刃付などのエッチング処理に並行して減摩凹部20を同時に形成できるので、減摩凹部20の加工に要する手間やコストを最小限化して、せん断刃の製造コストを削減できる。減摩凹部20は可動刃13側に設けることもできる。しかし、その場合は可動刃13に加わる駆動力に由来するモーメントを考慮する必要がある。その点、固定刃12に減摩凹部20が設けてあると、固定刃12これ自体には駆動力が作用しないので、必要な強度を得るうえで有利となる。減摩凹部20は、0.05〜0.1mm前後の極く浅い凹みとして形成するので、減摩凹部20を設けることに伴う固定刃12の強度低下を防止でき、例えば同じ厚みの素材で固定刃を無端枠状に形成する場合に比べて、固定刃12の強度が向上し、落下衝撃を受けた場合にも破損することのない、頑丈なせん断刃が得られる。
【0014】
薄い板状体からなる可動刃13は、何らかの形でスライド自在にガイドし、駆動力を受け継ぐための構造を要する。そのために、ガイド軸37でスライド案内されるスライドピース24と、駆動アーム10の動力を受け継ぐ駆動ピース26とをアウトサート成形した場合には、スライドピース24が邪魔になって可動刃13と固定刃12を密着できなくなる。そこで、固定刃12側に逃げ穴18を通設して、スライドピース24を逃げ穴18内に収容することによって、両刃12・13を密着させている。
【0015】
主摺動面21を固定刃12の外郭線に沿って枠状に形成すると、切刃部分を含む固定刃12の周縁のみを摺動面とすることができるので、固定刃12と可動刃13との摩擦抵抗少なくしながら、固定刃12の強度を維持できる。固定刃12は、その非摺動面の側をケース壁などで受け止めることができるので、主摺動面21が囲まれる減摩凹部20を設けても、固定刃12が外力を受けて変形することもない。
【0016】
減摩凹部20を、固定刃12の外郭線に沿う無端枠状の主摺動面21で囲むと、可動刃13の湾曲変形防止効果を向上できるうえ、固定刃12の厚み方向の曲げ強度をさらに向上できる。主摺動面21で囲まれた減摩凹部20に、より多くの潤滑油を貯留して、固定刃12と可動刃13との摺動面の摩擦を長期にわたって軽減できる。
【0017】
主摺動面21に加えて、その内側にリブ状摺動面22を設けると、可動刃13を幅方向の両側縁と、幅方向の中途部との複数箇所で受け止めることができるので、例えば、可動刃13を固定刃12に対してばね14で押圧付勢するような場合に、可動刃13がばね力を受けて湾曲変形するのをよく防止でき、従って、両刃12・13の摩擦抵抗を軽減しながら密着状態を維持できる。
【0018】
逃げ穴18の開口縁に無端枠状の摺動面22を設けると、逃げ穴18部分を補強できるうえ、減摩凹部20に貯留した潤滑油が逃げ穴18から漏れ出るのを防いで、長期にわたって潤滑油を貯留し続けることができ、従って、固定刃12と可動刃13との摺動面の摩擦軽減効果を長期間にわたって発揮できる。
【0019】
ガイド軸37用のスライド穴33とは別に捨て穴34を設け、両穴33・34を含んでスライドピース24をアウトサート成形すると、両穴33・34に沿って形成される2個所の肉壁で、スライドピース24を可動刃13に対して確りと固定できるので、スライドピース24が前後左右方向へがた付くのを完全に阻止できる。また、捨て穴34に面して成形用のゲートを配置し、捨て穴34の全体を樹脂流動穴として利用すると、可動刃13を間に挟む反対側板面への樹脂流動を円滑化できるので、スライドピース24のアウトサート成形時の成形不良を一掃できる。
【0020】
逃げ穴18は減摩凹部20と同様の浅い凹みで形成することができる。しかし、板面を上下に貫く貫通穴で逃げ穴18を形成すると、切断された毛屑が両刃12・13の摺動面へ入り込んだとしても、逃げ穴18を介して固定刃12の外面へ排出できるので、毛屑の堆積による両刃12・13の密着度の低化を阻止して、軽快な切れ味を維持し続けることができる。
【0021】
逃げ穴18の開口縁に沿って無端状のリブ状摺動面22を設け、さらに、その一部を主摺動面21に連続させると、両摺動面21・22の相互補強作用によって、固定刃12の構造強度を向上できる。とくに、他より幅狭な部位や入隅部分などの構造的に弱い部分において、リブ状摺動面22を主摺動面21に連続させて脆弱部を補強することにより、固定刃12の強度が向上し、落下衝撃などの異常外力に対する耐久性が向上する。
【0022】
【実施例】
図1ないし図9は、本発明に係るせん断刃をまゆ毛カッターに適用した実施例を示す。図2においてまゆ毛カッターは、上下に長い本体ケース1を有し、その上端のヘッド部2内に本発明のせん断刃を配置し、ヘッド部2より下方のグリップを兼ねる円筒状のケース内に、モータ3および電池4などを配置してなる。ヘッド部2には鞘状のキャップ5が着脱自在に嵌着してある。本体ケース1の前面には、モータ3への通電をオンオフする起動スイッチ6が設けてある。なお、本体ケース1は、前後に分割した前ケース1aおよび後ケース1bを蓋合わせ状に接合して構成されている。
【0023】
モータ3の回転動力を上下方向の往復動作に変換してせん断刃へ伝えるために、駆動機構が設けられている。図4において、駆動機構は、モータ3の出力軸に固定した原動ギヤ7と、水平軸まわりに回転自在に軸支されて原動ギヤ7に噛み合うフェースギヤ8と、フェースギヤ8にギヤ中心軸から偏心する状態で突設したクランクピン9と、クランクピン9で上下方向へ往復操作される駆動アーム10とで構成する。
【0024】
せん断刃は、本体ケース1で固定支持される固定刃12と、先の駆動アーム10で上下操作される可動刃13と、可動刃13と本体ケース1との間に配置されて、可動刃13を固定刃12へ向かって押圧付勢する板ばね製のばね14(図3参照)とからなる。固定刃12と可動刃13とはそれぞれ焼入れ済みの鋼材、より好ましくは焼入れ済みのマルテンサイト系のステンレス板材を素材にして、エッチング法により形成する。例えば先の板材の表面に、フォトマスクを介してフィルム状感光膜を焼付現像し、パターニング形成されたレジスト膜を用いたフォトエッチング法により形成する。この場合のエッチング溶液としては、例えば塩化第二鉄を使用する。なお、パターニング形成されたレジスト膜は、フォトマスクを用いずにレーザを感光膜に直接照射して硬化形成する手法であってもよい。レジスト膜の成形方法は種々考えられる。
【0025】
図5において固定刃12は、全厚寸法が0.254mmの短冊状の板体からなり、その一側上部に鋸刃状の主切刃15を有し、他側上部に切れ刃の数が4〜5個に限定された副切刃16を突設し、板体の上下縁のそれぞれに固定用の凹部17を設けてなる。板面の上下2個所には、後述するスライドピース24用の逃げ穴18が通設してある。主切刃15、副切刃16、凹部17などの固定刃12の外郭線および2個の逃げ穴18は、それぞれ板面の表裏を同時にエッチング液で溶解除去することにより形成される。
【0026】
固定刃12と可動刃13との摺動時の摩擦を軽減するために、固定刃12の摺動面側に減摩凹部20(図5の点描部参照)を形成する。この減摩凹部20は、先の外郭線を形成するのに並行して形成される。つまり、摺動面側のみをエッチング液でエッチング素材であるステンレス板材の板厚方向へ溶解させ、他方の板面はレジスト膜で被膜しておくのである。このように、片面からの触刻を行うと、固定刃12の外郭線が完成した時点で、その板厚の半分前後を溶解させて、浅い凹みからなる減摩凹部20が得られる。この実施例における減摩凹部20の深さは約0.1mmとした。
【0027】
減摩凹部20は、固定刃12の外郭線に沿って残された無端状の主摺動面21で囲まれており、さらに主摺動面21の内側で、先の逃げ穴18の開口縁に沿って設けた上下のリブ状摺動面22によって凹み領域が規定してある。上側のリブ状摺動面22は、その直線縁部が先の主摺動面21と面一状に連続している。下側のリブ状摺動面22は、主摺動面21から分離し独立しているが、その表面は主摺動面21と面一になっている。先に説明したように、固定刃12の板面の上部左右には、主切刃15と副切刃16とを設けるが、これらの切刃15・16の突出基端に、他より幅狭の強度的に弱い入隅部が形成されるので、この弱い部分の強度を向上することを目的として、両摺動面21・22を面一状に連続させているのである。
【0028】
可動刃13は、固定刃12と基本的に同等の外形形状に形成するが、その板面の表裏に一対のスライドピース24を設け、さらに板面下端に駆動腕部25を突設し、その表裏に駆動ピース26を設ける点が固定刃12と異なる。可動刃13における主切刃27、副切刃28、油溜り29、スライド穴33、捨て穴34、取付穴39・40および可動刃13の外郭線の全ては、エッチングによって形成されている。符号27は可動刃13の主切刃、28は同じく副切刃であり、両者の突出基端の近傍には、それぞれ油溜り29が浅い凹みとして形成してある。油溜り29を設けることにより、各切刃27・28の焼付(刃だれ)を防止できる。副切刃28は2個の鋸刃のみで構成されている。
【0029】
スライドピース24は、固定刃12との摺動面の側に突出する板状の第1挟持片31と、ばね14との摺動面側に突出する板状の第2挟持片32とを有し、可動刃13に通設したスライド穴33と、このスライド穴33に隣接して通設した捨て穴34とを含んで、両挟持片31・32を一体にアウトサート成形する。両挟持片31・32は、スライド穴33の内面に沿う長円状の筒壁35を介して橋絡されており、さらに捨て穴34を充満する軸状部36を介して橋絡されている。
【0030】
従って、第1挟持片31側の捨て穴34と対向する位置に樹脂注入用のゲートを設けておけば、溶融樹脂の第2挟持片32側への流動を円滑化して、スライドピース24の成形を常に確実に行える。また、両挟持片31・32を筒壁35と軸状部36との2個所で連続させるので、スライドピース24をぐらつきなく確りと固定保持できる。先の逃げ穴18は、第1挟持片31のスライドストロークに対応して、第1挟持片31の上下長より大きな上下長さに形成してある。なお、上下の筒壁35の内面に本体ケース1に設けた上下一対のガイド軸37が内嵌して、可動刃13の全体を上下スライドのみ可能に案内支持している(図7参照)。
【0031】
駆動ピース26も、スライドピース24と同様にして駆動腕部25の表裏にアウトサート成形され、その中央に駆動アーム10を係合するためのピン穴38が貫通形成してある。符号39・40はアウトサート成形時に、可動刃13を成形用金型に位置決めするための取付穴である。なお、駆動ピース26の四角形状の取付穴43に隣接して、先の捨て穴34を設け、この捨て穴34と対向する位置に樹脂注入用のゲートを設けておけば、溶融樹脂の流動を円滑化して、駆動ピース26の成形を常に確実に行える。
【0032】
固定刃12、可動刃13およびばね14を本体ケース1に組み付けた状態において、可動刃13側の主切刃27と副切刃28の先端は、図8に示すように固定刃12側の主切刃15および副切刃16の先端より僅かに内側に位置させてある。詳しくは、各切刃15・16および27・28は、摺動面の側が広幅になるようにエッチングされ、肌に触れる側、すなわち幅狭部分の先端が、引っ掛かり防止のために符合41で示すように面取り状に潰してある。この面取部41を基準にして、可動刃13側の主切刃27および副切刃28の先端を、面取部41の幅領域Eに位置させて、両切刃27・28が肌に直接触れてヒリつきの原因になるのを防いでいる。
【0033】
エッチング法で形成した固定刃12の各切刃15・16には、図9に示すようにその幅狭部分の縁に沿って表面縁よりも僅かにえぐれた触刻部が形成され、その結果、表面縁に沿ってエッジ部42が形成される。このエッジ部42は固定刃12と可動刃13とでまゆ毛を捕捉するとき、まゆ毛の中途部に引っ掛かって、まゆ毛が刃の間から滑るようにして逃げるのを防ぐのに役立つ。先の面取部41を設けた個所では、エッジ部42も潰されてしまう。従って、先に説明したように、可動刃13の主切刃27および副切刃28の切れ味が悪い先端部分を、面取部41の幅領域E内に位置させておくと、各刃の有効な重なり寸法を最大にして、せん断能率を向上できる。因みに、先の両刃27・28の先端位置が、面取部41よりも各切刃15・16の突出基端寄りにあると、エッジ部42を利用したせん断領域寸法が小さくなるので、せん断能率が減じられる。
【0034】
以上のように、エッチング法で形成した固定刃12と可動刃13とでせん断刃を構成すると、両刃12・13の平面度が高いので、両者12・13の切れ刃部分を密着させて切れ味を向上できる。しかも、固定刃12の可動刃13との摺動面に減摩凹部20を設けて、摺動時の摩擦抵抗を小さくするので、その分だけ可動刃13の駆動エネルギーを減少して、電池4の消耗を抑止できる。減摩凹部20を浅い凹みとして設けるので、減摩凹部20を設けることに伴う固定刃12の強度低下を抑止でき、さらにリブ状摺動面22によって補強作用が得られるので、平板状の固定刃12の厚みを増す必要もなく、その強度を必要かつ十分なものとすることができる。
【0035】
上記の実施例では、逃げ穴18を貫通穴で形成したが、図10に示すように減摩凹部20と同様の凹部で形成してもよい。この場合には、スライドピース24を後ケース1bの側に設けたガイド軸37でスライド案内する。
【0036】
リブ状摺動面22は、図11に示すように可動刃13のスライド方向と平行な複数の直線リブや、この直線リブと交差する向きのリブを含んで形成することができ、必ずしも無端状の周回リブで形成する必要はない。
【0037】
図12(A)・(B)に示すように主摺動面21は、無端枠に形成する必要はなく、その一部が途切れる枠状に形成することができる。但し、切刃15・16の形成部分を含むように主摺動面21を形成することが好ましい。さらに好ましくは、固定刃12の長辺部に沿って形成される左右の主摺動面21・21どうしを、短辺部に沿う横リブ、あるいは長辺部と交差する向きの横リブを介して面一状に連結させると、固定刃12の構造強度を増強して、刃面のたわみ変形をさらに効果的に防止でき、固定刃12と可動刃13の密着度を長期にわたって維持できる。先の横リブは、主切刃15および副切刃16を含む部分の主摺動面21どうしを繋ぐように形成すると、さらに効果的に固定刃12の構造強度を向上できる。なお、横リブとは、図5における主摺動面21の一部である場合と、リブ状摺動面22の一部または全部である場合と、これらの摺動面とは別途形成された専用のリブである場合などの全てを含み、必ずしも主摺動面21と面一状である必要はないが、減摩凹部20より突出していることを要す。なお、図5で示す固定刃12と、図12で示す固定刃12とは、後者の主摺動面21が、上下いずれか一方の固定用の凹部17において途切れないようにした点が異なるが、各固定用の凹部17においても主摺動面21を連続させることが望ましい。固定刃12をケース壁に対して強固に固定保持できるからである。
【0038】
上記の実施例以外に、本発明のせん断刃は電気かみそりのきわぞり刃やうぶ毛カッター、あるいはバリカン刃として適用することができ、いずれの場合にも全厚寸法が小さな、薄形でコンパクトなせん断具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】せん断刃の断面図である。
【図2】まゆ毛カッターの正面図である。
【図3】まゆ毛カッターの上半部の縦断側面図である。
【図4】せん断刃の駆動機構を示す一部破断正面図である。
【図5】固定刃と可動刃とをそれぞれ摺動面側から見た正面図である。
【図6】可動刃の正面図とB−B線断面図である。
【図7】図4におけるA−A線断面図である。
【図8】切刃部分の拡大正面図である。
【図9】図8におけるC−C線断面図である。
【図10】せん断刃の別実施例を示す断面図である。
【図11】固定刃の変形例を示す正面図である。
【図12】固定刃のさらに別実施例を示す正面図である。
【符号の説明】
12 固定刃
13 可動刃
20 減摩凹部
21 主摺動面
22 リブ状摺動面
Claims (8)
- それぞれエッチング法によって形成した平板状の固定刃(12)と可動刃(13)とを備えており、
両刃(12・13)の摺動面の少なくともいずれか一方に、摺動相手との摺接を避ける減摩凹部(20)が形成してあり、
可動刃(13)の板面に、ガイド軸(37)でスライド案内されるスライドピース(24)と、駆動アーム(10)で往復駆動される駆動ピース(26)とが、それぞれアウトサート成形されており、
固定刃(12)と可動刃(13)とを接合した状態において、スライドピース(24)を受け入れて、両刃(12・13)を密着させる逃げ穴(18)が、固定刃(12)の板面に形成してあり、
可動刃(13)の板面に、ガイド軸(37)用のスライド穴(33)と、スライド穴(33)に隣接する捨て穴(34)とが通設されており、
スライドピース(24)が、スライド穴(33)と捨て穴(34)とを含んでアウトサート成形されており、
スライドピース(24)は、可動刃(13)の一方の面側に突出する板状の第1挟持片(31)と、他方の面側に突出する板状の第2挟持片(32)とを有し、
両挟持片(31・32)が、スライド穴(33)の内面に沿う長円状の筒壁(35)と、捨て穴(34)を充填する軸状部(36)を介して橋絡されていることを特徴とするせん断刃。 - 減摩凹部(20)が、固定刃(12)の摺動面にエッチング処理を施して形成してある請求項1記載のせん断刃。
- 減摩凹部(20)が、固定刃(12)の外郭線に沿って設けられた枠状の主摺動面(21)で囲まれている請求項2記載のせん断刃。
- 減摩凹部(20)が、固定刃(12)の外郭線に沿って設けられた無端枠状の主摺動面(21)で囲まれている請求項2記載のせん断刃。
- 主摺動面(21)より内側にリブ状の摺動面(22)が設けてある請求項3または4記載のせん断刃。
- 逃げ穴(18)の開口縁が無端枠状の摺動面(22)で囲まれている請求項5記載のせん断刃。
- 逃げ穴(18)が、固定刃(12)の板面を上下に貫く貫通穴で形成してある請求項1ないし6のいずれかひとつに記載のせん断刃。
- リブ状の摺動面(22)が、逃げ穴(18)の開口縁に沿って無端に設けられていて、その少なくとも一部が主摺動面(21)に連続している請求項3ないし7のいずれかひとつに記載のせん断刃。
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