JP4640295B2 - 個人認証装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は生体を用いた個人認証装置に関し、特に、生体を透過した光を撮像して得られる血管パターンを利用して認証する装置に関する。
個人の所有物や情報に対するセキュリティ技術に対する関心が高まる中、盗難や紛失による不正使用の危険が少なく、利便性が高い個人認証技術として指紋、虹彩、静脈など、人間の生体情報を利用して認証を行う生体認証技術が注目されている。中でも、指の血管パターンの違いを利用して個人を識別する指静脈認証技術は、指紋のように犯罪捜査を連想させることがないため心理的抵抗感が少なく、生体内部の特徴を使うために盗難のリスクが小さいという特徴を持つ。
指静脈を利用した認証は次のように実現される。指に赤外光を照射すると、光は指内部で散乱した後、外部へ放射していく。このとき、血液中のヘモグロビンは周囲組織と比較して赤外光をより吸収するため、指を透過した光を撮像すると、指の皮下に分布する血管、すなわち指静脈が暗い影のパターンとなって可視化される。この画像から得た指静脈パターンの特徴データを事前に登録しておき、提示された指の画像から得た指静脈パターンの特徴データとの相関を求めることで登録者か否かを判定し、個人認証を行う。
従来の指静脈認証装置では、利用者が指を再現よく提示できるようにするために、認証装置に指の位置を固定するためのガイド部を設置している。このガイド部に指を提示することで、撮影される静脈の画像の再現性が高くなり、高精度な認証が可能である。また、指の提示位置が安定するため、光源の光を確実に指に照射することができ、指の周辺から強い光が漏れることがない。これにより鮮明な静脈パターン画像の撮影が可能である。しかし、従来装置は認証を行う際に指と装置を一部接触させる必要があり、衛生を重視する環境での利用が難しい。
この問題を解決する認証装置として完全非接触で静脈の画像を獲得し、認証を行う個人認証装置が特許文献1に開示されている。非接触の認証装置ではガイド部に触れて指の位置決めを行うことができないため指の提示位置が変動しやすく、撮像画像の再現性が低くなる。そのため、この認証装置では、撮像画像内の指の輪郭を用いて回転補正を行う手段と、指先の位置を基準として正規化する手段を備えている。これにより、撮像画像内での指の位置が変動する場合でも認証を可能としている。
しかし、指の提示位置の変動によって起こる問題は、撮像画像内での指位置の再現性が悪くなることだけではない。指の提示位置が安定しない認証装置では、光源からの光を確実に指のみに照射することが困難になる。そのため、本来指に照射されるはずの強い光が指の周囲へ漏れ出し、撮像部そのものに悪影響を与える。例えば、撮像部に強い漏れ光が照射されると、レンズやフィルタなどの光学部品で反射が起こり、部品そのものの影が映り込む。また、撮像素子に対するスミアノイズなどが発生することもある。このような漏れ光による撮像部への悪影響は、光源から出力する光を弱くすることで抑えられるが、その場合、指を透過する光も減少するため静脈画像を獲得できなくなる。漏れ光による悪影響を防ぐ別の方法として、入力インターフェース上に遮光手段を設置し撮像部に入射する漏れ光を遮る方法も考えられる。しかし、非接触の認証装置では指の提示位置が変動しやすく、指の位置によっては、遮光手段が漏れ光だけでなく指を透過した光も遮ってしまう場合がある。このように遮光手段は、静脈画像獲得の障害となる場合があるため設置することができない。
特開2002-83298号公報
本発明では、衛生を重視する環境下で利用でき、かつ利用者に対し装置形状による圧迫感を与えることなく個人認証を実施するために、生体の提示位置が開放的で、
かつ生体の提示位置が変動しても撮像部に光源からの強い漏れ光を照射することなく適切な光を生体に照射し、鮮明な静脈画像が獲得できる完全非接触型の静脈認証装置の実現を目的とする。
上記の目的を達成するために、赤外光を発光する光源と、該光源からの光によって生体の静脈画像を撮像する撮像部を備えた入力インターフェースと、照射する光の強さを制御する手段と、画像から特徴抽出と特徴照合を行う画像演算部と、生体を提示する位置決め手段とを設ける。特に、前記光源は前記生体の前方に設け、さらに、前記撮像部に対して悪影響を与えない向きに設置することを特徴とする。
本発明によれば、衛生を重視する環境下で利用でき、かつ利用者に対し装置形状による圧迫感を与えずに認証を行える完全非接触型の静脈認証装置を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。尚、本実施例においては特に指の静脈認証装置について説明するが、掌等、照射された光が生体の内部を通過して生成される画像を使った認証を行う他の生体であっても適応可能である。
図1(a)は、本発明を実現する非接触型指静脈認証装置の構成の概略図である。図1(b)は図1(a)のメモリ12、記憶装置14を詳細に示したものである。
利用者が指を提示する部分である指静脈パターンの入力インターフェース2には、赤外光源3と撮像部4が備えられている。利用者が入力インターフェースに指を提示すると、光源3より指1に対して光が照射される。光は指1の内部で散乱し、指1を透過した光が撮像部4によって撮影される。光は撮像部4により電気信号に変換され、画像入力手段18を介し画像として認証処理部10に取り込まれる。取り込まれた画像はインターフェース13を介しメモリ12に記憶される。また事前に登録されている登録データ200が記憶装置14より認証処理部10のメモリ12に格納される。このとき、複数の登録者の登録データ200をメモリ12に格納してもよく、入力部16によって入力された利用者ID等の情報に対応した登録データ200のみを格納してもよい。CPU11はメモリ12に格納された認証プログラム100に従って、入力画像から認証データ250を作成し、登録データ200との照合を行う。照合処理では比較する2つのデータ間の相関を算出し、その値に応じて登録されているデータと一致するかを判定する。この結果に応じて個人を認証する。認証結果は表示部15に表示を行う、またはスピーカ17から音声を発信することで利用者に伝えられる。正しく認証された場合は認証システムの制御対象に対して認証時の処理を行う。
図2は、本発明を実現する非接触型指静脈認証装置の入力インターフェース2の一構成例である。なお、以下の説明および請求項等においては、指提示位置が撮像部よりも高い位置にあり、光源がその指提示位置よりも更に高い位置にあると説明している。しかし、これは理解の容易のための説明であり、撮像部、指提示位置、および光源の相対的な位置関係や光の入射角度関係等が保たれて所望の効果が得られれば、全体が異なる角度で(例えばユーザ側に傾けて)設置される、光源が設置される奥の壁が撮像部に対して90度以外の角度をなす、などの形態も本発明の範疇に含まれる。
入力インターフェース2は利用者が指1をかざすことで指の静脈画像を獲得する。利用者が指1をかざしたときに掌側の静脈パターンを撮影するために、撮像部4は指の提示位置の下側(手のひら側)に設置する。撮像部4には不要な光を遮断するために、赤外光のみを透過させるフィルタ6が設置されている。より鮮明な静脈画像を獲得するために、光源3は指1の提示位置よりも高い位置(手の甲側)に設置する。
このとき、光源を指の真上に設置すると、光源を設置するための構造物により指の提示位置が閉鎖的になり、利用者の心理的抵抗感が高まる。これを避けるために、指の側面上方あるいは指先側の前方上方に光源を設置する。本実施例では光源3を指の提示位置の前方上方に設置する。これにより指の上方の空間を開放的にすることができ、閉塞的な空間に指を提示する際に利用者が感じる心理的抵抗感を軽減できる。
もし、指の側面上方に設置した場合、光源から指に向けて照射された光が指の側面側の広い領域を強く照らし、その結果、透過光に含まれる静脈パターンがその光により打ち消され、静脈画像のコントラストが低下する。一方、指先側の前方に設置した場合は指先付近の狭い領域のみが照らされるだけで留まり、コントラスト低下が生じにくい。本実施例の光源の設置方法により、この問題をも解決することができる。
しかし、このように光源が指の前方に設置されていると、指の根元側ほど光が届きにくくなる。鮮明な静脈パターンを獲得するためには、指に照射される光量を均一にし、輝度むらの少ない画像を撮影することが重要である。従って、光源3を複数個設置し、照射する部位が指先に近い光源ほど光量を弱く、根元側に近いほど光量を強くすることが望ましい。本実施例では複数個の光源をそれぞれ独立に制御することで、指に届く光量が均一になるようにする。あるいは、指先側を照射する光源の光量に対して根元側を照射する光源の光量が強くなるように、予め光量を調節し、複数の光源の制御を同時に行ってもよい。これにより制御を簡略化できる。光源3は縦方向に一列のみではなく、複数個の光源を面状に配置してもよい。これにより提示位置の許容範囲を左右方向に広げることができる。光源を面状の配置にした場合は、撮像画像を用いて指の提示位置を検知し、指の前方にある光源のみを点灯するように制御してもよい。これにより認証装置の消費電力を抑えることが可能となる。
入力インターフェース2の表面には、指の提示位置を決めるためのガイドとして線21乃至23が設けられている。利用者は、線21に指の高さを、線22に指の中心軸を、線23に指先の位置を合わせることで指の提示位置を決定する。このガイドにより、認証時に自分の指の位置を確認しながら提示できるため、提示位置の再現性が高くなる。あるいは、線の代わりに該当位置に点を設けてもよい。
非接触の認証装置では、上述したように、指の位置ずれが起こったときに撮像部に光源からの強い光が入り込み、鮮明な画像を獲得できなくなることが問題となる。本実施例では、提示された指に光が照射され、かつ、撮像部に対して悪影響を与えるほどの強い光が撮像部に入らないように光源3の照射方向を調整する。具体的には、図3(a)で示すように、光源3を、撮像部4よりさらに左側を照射するような向きで設置する。
以下、指の位置ずれにより、本来指を透過してから撮像部4に届くはずの光が直接入射した場合にも十分な品質の画像を撮影できることを保証するための、光源3を設置する向きの決定方法について述べる。
まず、撮像部4に強い光が入射しない光源の向きについて説明する。撮像部4に強い光が届くと、撮像素子対してスミアノイズが発生する、またはレンズやフィルタなどの光学部品で反射が起こり部品そのものの影が映り込む。特に部品の映り込みによるノイズは光量が小さい場合にも発生しやすい。よって、撮像画像中の映り込みによるノイズの量を調べることで、悪影響を与えるほどの光が撮像部に届いているか否かを確認することが可能である。このノイズの影響度を定量的に求めるために以下のような実験を行った。
図3(a)はこの実験で使用した装置の部品の配置図である。光源には指向特性15度、定格100mw/SrのLEDを用いた。また、光源3は、撮像平面と光源の照射方向のなす角αを0度から90度の範囲で可動できる構造になっている。
まず、光源3の光量をこのLEDの定格である100mw/Srに設定した。次に、αを0度から90度に変動させながら、撮像装置4にて撮像装置上方の空間を撮影した。本実験では、指の提示位置が大きくずれたときの光の影響を調べることが目的であるため、指の位置が最も大きくずれた状態、すなわち、装置上に指を提示しない状態で撮影を行った。その後、撮影した画像に対し、後述の特徴量抽出処理S109を適用した。この処理により抽出された特徴の量をノイズの量とした。このノイズが認証にどの程度の影響を与えるかを調べるために、上記装置で実際に指静脈画像を撮影し、撮像画像に特徴抽出処理を実施し得られた静脈パターンの量とノイズの量との割合を、ノイズの影響度とした。
図3(b)は光源3の設置方向αと光源3の光によって発生するノイズの影響度との関係を示すグラフである。このグラフから、αの値が小さいときと、αが90に近いときは静脈パターンに対するノイズの割合が少なく、それ以外ではノイズの割合が多くなることがわかる。このノイズの割合が大きくなるほど、認証結果に悪影響を与える。一般に静脈認証ではノイズの量が25%程度を超えると正しい認証を行うことができない。よって光源3はノイズが25%以下に抑えられる角度に設置する。図(b)のグラフよりα=24度以下、αが81度以上であればノイズを25%以内に抑えられることがわかる。よって、図3(a)のような位置にカメラと光源を設置した場合は、αが24度以下またはαが81度以上になるように光源を設置する。これにより指の提示位置がずれた場合でも光源3からの悪影響を抑えることができ、十分な品質の画像を撮影することが可能となる。
次に、撮像部に悪影響を与えない角度のうち、提示された指に対して光が照射される光源の向きについて述べる。αが81度以上の時は光源3からの光が撮像部よりも右側に照射されるため、撮像部上方に提示される指に静脈画像を獲得できるほどの十分な量の光が届かない。一方αが24度以下になるように光源の向きを調節すると、撮像部上方の空間にも十分な量の光が届き、指静脈画像の獲得が可能となる。
以上のことから、図3(a)のような位置関係に光源と撮像部を設置した場合はα=24度以下になるように光源を設置することが望ましく、これにより、指1には光が照射され、かつ、撮像部には強い光が入らない入力インターフェースが実現できる。特に、αが24度になるように光源の向きを調整すると、光源3から出力される光量に対して指に照射される光量の割合が最も高くなるため、消費電力を抑えることができる。
さらに別の表現によれば、光源からの光が、提示された指に入射してそこからの透過光は撮像部に入射するが、光源からの直接光(の大部分)は撮像部に入射しないように光源の向きを設定すれば、撮像部の入力が飽和することを防ぐことができる。
以下、認証プログラム100で実施される処理手順の一実施例について図4を用いて説明する。
初めに、指の提示を検知する処理を行う(S101)。入力インターフェース2で静脈画像を獲得するためには、指が光源3より低い位置に提示されている必要がある。指が適切な高さに提示されたことを検知する方法として、後述のような、複数光源を指に照射し、その照射位置に基づき高さを算出する方法や、光源3と同じ高さで撮像部に映り込むように設置した別の光源を常時わずかに点灯させておき、光が遮蔽された状態を検知する方法などが利用できる。
指の提示が検知されると、最も鮮明な画像が得られるように光源3の光量が調整される(S103)。これには、画像の平均輝度値を常に監視し、その値に応じて光量をフィードバック制御する手法、指静脈パターンの画像に対しパターンの鮮明度を判定する評価関数を施し、その結果を最適化するような光量調整を実施する手法、などを用いることができる。
次に、指の輪郭を検出する(S104)。検出方法としては、画像のエッジを強調する手法、エッジ部分を追跡する方法などがある。
輪郭検出後、平行方向または平面内の回転方向の向き補正を実施する(S106)。輪郭情報から指の長手方向の向きを推定し、その角度が一定になるように画像を回転する方法などがある。
次に、血管パターンの特徴抽出処理を実施する(S108)。この手法として、線分を強調するエッジ強調フィルタやマッチドフィルタを用いる方法、線成分を追跡することで線パターンを抽出する方法、画像の断面プロファイルにおける輝度値の局所的な窪み位置を抽出する方法などを用いることができる。
その後、抽出あるいは強調した血管パターンから特徴量を抽出する(S109)。特徴量として、画像そのものを特徴量とする方法、分岐点や端点を検出する方法などを用いることができる。
最後に、生成した特徴量と事前に登録されている特徴量とを比較照合する。(S112)。画像そのものを特徴量としている場合では、画像同士を重ね合わせ、画素値同士の比較を実施して一致率を計算する。分岐点や端点を特徴量としている場合はそれらの位置、個数、分岐線の角度、相対的な距離などの情報を比較することで一致率を算出する。ここで得られた一致率によって、同一パターンであるか別パターンであるかを判定する。判定するための閾値は事前に統計的に算出しておくことが可能である。閾値よりも高い一致率となった場合は登録者と判定し、低い場合は登録されていない指が提示されたとみなし認証を拒否する。
登録者であると判定された場合は、ドアを開ける等の認証後の処理を行う(S114)。
図5は、指の位置決めのための送風手段を設けた非接触型指静脈認証装置の入力インターフェース2の一構成例である。図5(a)は入力インターフェースの概略図、図5(b)は側面図である。
入力インターフェース2には、図5で示すように指提示位置の指先下方部に送風手段41が設置されている。指1の提示が検知されると、この送風手段41から、垂直上方に向かって送風が開始される。利用者は風が指先に当たる位置に指をかざすことで、入力インターフェースに直接触れることなく、指の提示位置を決定することができる。これにより、高い再現性を持って指の静脈画像を撮影できるため認証精度が高くなる。また、指の提示位置が触覚的に容易に分かるため利便性が向上する。
送風手段は指先の位置だけでなく、指の付け根側の下方部に設置してもよい。これにより指先と指付け根の2箇所の位置決めが可能になり、指1の回転を防ぐことができる。さらに、指を提示する高さを決めるための送風手段41を指の前方の壁面内に設置し、指先に向けて送風を行ってもよい。位置決めのための送風手段を複数個設置すると、指の提示位置の変動をさらに抑えることができるためより安定した認証を行うことができる。
図6は、指の位置決め用の送風手段を設けた非接触型指静脈認証装置の入力インターフェース2の一構成例である。 図6(a)は入力インターフェースの概略図、図6(b)は入力インターフェースの側面図である。
図6に示すように入力インターフェース2には指1の適切な提示位置を囲うように送風手段41が設置されている。指1の提示が検知されると、この送風手段41から、上方に向かって送風を行う。指1の提示位置が所定の位置からずれた場合この風が指1に当たる。利用者は風を避けるように指を移動させる。全ての送風手段からの風が当たらないように指を移動させることで、正しい提示位置へ自然に誘導することができる。このように、風を避けるという自然な動作で、指1の左右方向の位置ずれと水平面内での回転を防ぐことができる。
図7は指の位置決めのために可視光源を設けた非接触型指静脈認証装置の入力インターフェース2の一構成例である。図7(a)に入力インターフェース2の概略図、図7(b)に側面図を示す。
指前方の壁面内には指の提示位置を指示するための可視光源61が設置されている。利用者は可視光源61から照射される可視光が爪の中央や関節など、所定の指の部位に当たる位置に指を提示することで、指の位置決めを行う。このように、可視光を利用して位置決めを行うことで、入力インターフェース2に直接触れることなく、毎回安定した位置に指をかざすことができる。これにより認証精度が向上する。本実施例において可視光源61と赤外光源3は複数波長を発光できるLEDなどを利用して1つの光源とすることも可能である。
図8は指の位置決めのために複数の可視光源を設置した非接触型指静脈認証装置の入力インターフェース2の一構成例である。図8(a)は入力インターフェース2の概略図、図8(b)は側面図、図8(c)は上面図である。
図8で示すように、指の前方上方に2個の可視光源61が設置されている。それぞれの光源から出る可視光が指先の提示位置で交わるように、内側に向けて照射される。利用者は二つの光源からの光が爪や関節などの所定の部位に重なって当たるように指をかざすことで指の提示位置を決定する。指の提示位置のガイドとして複数の光源からの光を利用すると、指1の提示位置が左右方向に加え上下方向についても一意に決めることができる。これにより、指の位置ずれをより少なくすることができ認証精度が向上する。
図9は、複数の赤外光源を利用して指の高さを算出する指静脈認証装置の入力インターフェース2の一構成例である。図9(a)は入力インターフェースの概略図、図9(b)は側面図である。また、図9(c)(d)(e)は指1の上下方向の位置が変化したときの赤外光源63,64からの光の照射される位置の変化を示す図である。
図9(a)で示すように、入力インターフェース2には指先の提示位置を検知するために、指先側の下方部に赤外光源63、指の付け根側の下方に赤外光64が設置されている。2つの光源63、64は、図9(b)で示すように、それぞれの光源からの光が指先の適切な提示位置で交わるような向きに設置されている。利用者が入力インターフェース上に指をかざすと、2つの光源63、64は指先の掌側を強く照射する。このとき撮像部4で指を撮影すると、照射された部分が点となって現れる。指1が正しい位置に提示されていた場合、図9(c)で示すように、二つの光源からの光は、掌側表面の同じ位置に照射されるため2つの点が重なる。指1が正しい提示位置よりも高い位置に提示された場合は、図9(d)で示すように、光源64からの光は、光源63からの光に対して指先側に照射される。逆に、指1が低い位置に提示された場合、図9(e)で示すように、光源64の光は、光源63の光と比べて指の付け根側に照射される。よって、2つの光が反射する点の位置を画像処理によって検出することで、指の提示されている高さを自動的に算出することができる。
このとき、指表面の点が2つの光源のどちらから発せられたものなのかを区別する必要がある。これは、光源63と光源64から異なる大きさや形状の光を照射する方法や、光源63と光源64を点灯させるタイミングをずらす方法などで実現できる。
このように複数の光源を利用することで指の提示位置を知ることができる。これにより指が正しい位置に提示されたことを確認して認証を行うことができる。また、算出された指の提示位置の情報を用いて利用者に対してガイドを行ってもよい。
ガイドの方法は、上下どちらに移動させればよいかを示すLEDを入力インターフェース2に設置する方法や、表示部15に移動させる方向を表示する方法などがある。これにより利用者が再現良く指の提示を行えるようになり認証制度が向上する。
図10は指の位置と回転を検知するための撮像部を設置した非接触型指静脈認証装置の入力インターフェース2の一構成例である。図10のように指の前面と側面に設置された壁面内には、指1を正面から撮影するための撮像部121−1と指1の側面を撮影するための撮像部121−2、が設置されている。
本実施例に示す認証装置では、利用者が入力インターフェース上に指1を提示する際、指の提示位置の変動や回転が起こる場合がある。その中で撮像部4の撮像平面内の位置ずれと回転については、輪郭情報を用いた回転補正処理を行うことで、補正することができる。しかし、入力インターフェース上に指をかざす際には、撮像部4の撮像平面内の回転だけではなく、指の長軸、短軸に対する軸回転や指の上下、左右、前後方向の位置ずれが起こりうる。そこで、利用者が再現よく指の提示を行えるようにするために、撮像部4に加えて撮像部121−1、121−2を設置する。利用者が指を提示すると、撮像部121−1と撮像部121−2によって指の正面の画像300−1と指の側面画像300−2が撮影される。このときに得られる複数の画像を利用して指1の3次元的な位置ずれや回転の検知を行い、それを基に利用者に対してガイドを行う。以下、指の位置、回転の検知方法の一例を示す。
まず、指の正面からの撮像画像300−1を用いて、指1の左右、上下方向の位置と、指の長軸に対する軸回転を検出する。指の上下、左右方向の位置を求めるために、撮像画像300−1から指の領域の抽出を行う。これには画像のエッジを強調する手法、エッジ部分を追跡する方法などを用いることができる。求めた指領域の中心位置を算出し、指の提示位置とする。次に、指の回転を検出する。これは、撮像画像300−1に映る手の向きを検出する方法、爪の向きを検出する方法を用いることができる。爪領域は光源3からの光が当たっていてより鮮明に撮影できるため、本実施例では、爪の向きを検出する方法を用いる。まず、上記の手順で求めた指領域の中から、爪領域の検出を行う。これには、エッジを強調する方法や、指先に光を当ててその反射率の違いから検出する方法が利用できる。次に、求めた爪領域の回転を検出する。撮影画像300−1のように指を正面から撮影した場合、爪領域は横長の楕円状の形に撮影される。よって、爪領域の長軸方向の向きを推定し、長軸と撮像画像内の水平方向に対する角度を計算することで爪の回転量を算出できる。これにより指の長軸に対する軸回転を検出することができる。
撮像画像300−2に対しても同様の処理を行い、指の短軸の軸回転、前後方向の位置の検出を行う。撮像画像300−2から指の輪郭を抽出し、抽出した指領域の中心位置を指の位置として求める。さらに、指領域の長手方向の向きを調べることで、指の短軸に対する軸回転を検知する。
このようにして求めた指の位置、回転の情報を基に指が適切な位置に提示されているかを判定する。これは、登録時の指の位置や回転と、認証時の提示位置、回転を比較することで行う。登録時と認証時の位置ずれや回転角の違いが、事前に定義しておいた許容範囲よりも大きい場合は、指を提示しなおすように利用者に対してガイドを行う。
なお、撮像部121−1、121−2には広角レンズを利用することで、指と撮像部の距離が近い場合でも広範囲での位置ずれを捕らえることが可能になる。
図11は指先の静脈で認証を行う小型の非接触指静脈認証装置の入力インターフェース2の一構成例である。図11(a)は入力インターフェースの概略図であり、図11(b)は入力インターフェースの側面図である。
本実施例では、指先から第一関節付近の掌側の静脈を非接触に提示し、認証を行う。指全体の静脈を利用して認証を行う場合、指が曲がることによって撮像画像が変化し認証精度が低下する場合があるが、指先部分を利用すると、そのような指形状の変化の影響を小さくすることができ、安定した認証を行うことができる。また、撮影する範囲が狭いので入力インターフェースの小型化が可能になる。さらに照射する範囲も狭くなるため、光源3の数を減らすことができる。
図11で示すように、入力インターフェース側面には外光を遮断するための遮光板111が設置されている。遮光板は指先から第一関節部分までを遮光できる大きさのもので十分であるため、別の指や指の付け根が接触しにくく、利用者にとって使いやすい認証装置が実現できる。
装置の前方上部の壁面内には、指の提示位置を指示するための可視光源61と静脈画像を撮影するための赤外光源3が設置されている。これらの光源は複数波長を発光できるLEDなどを利用して1つの光源としてもよい。これによりさらに入力インターフェースが小型化できる。利用者は図11(b)のように、可視光源61の光が爪の中央に当たるように指を提示し、認証を行う。このとき光源3が指の爪皮部分を照射するように設置されていると、より鮮明な画像を撮影することができる。
図12は本実施例の認証装置を折りたたみ式の携帯電話機に適用した例である。図12(a)は携帯電話機を上面から見た図、図12(b)は側面図である。
携帯電話機のボタン設置面と同じ面に撮像装置4が設置され、それと対向する位置に光源3が設置されている。本認証装置が備わっている携帯電話端末は、端末を閉じると、自動でロックがかけられる。ロック状態では、電話帳やメール、画像等全てのデータにロックがかかり、電源のON、OFF以外の操作ができなくなっている。携帯電話機を利用する場合、利用者は、図のように指を提示する。このとき携帯電話機のボタンに指先の位置と指の中心軸を合わせるようにして指を提示すると、図2で示した位置決め用の線22、23と同様の効果を得ることができる。また、携帯電話機のディスプレイ125には図12で示すような線を表示する。利用者はこの位置に指の高さを合わせることで指の提示する高さを決めることができる。指が提示されると、光源3から光が照射され、撮像部4で静脈パターンの画像が撮影される。この画像を用いて、携帯電話機の正しい利用者であるか否かを判定する。正しく認証された場合、携帯電話のロックが解除される。この認証機能は、メール機能のロック解除、ダイヤル発信制限の解除、ICカード機能のロック等にも利用できる。
本認証装置は、携帯電話機やノートPC、ATM、PDAなどL字型の構造になっているあらゆる機器に搭載することが可能である。
本発明を実現する指静脈認証装置の構成の一例。 本発明を実現する指静脈認証装置の入力インターフェースの一構成例。 光源の設置方法を示す説明図。 認証処理のフローチャートの一例。 指の位置決め用の送風手段を備えた入力インターフェースの一構成例。 指の位置決め用の送風手段を備えた入力インターフェースの一構成例。 指の位置決め用の可視光源を備えた入力インターフェースの一構成例。 指の位置決め用の可視光源を複数個備えた入力インターフェースの一構成例。 指の高さを検知するための光源を備えた入力インターフェースの一構成例。 複数個の撮像部を設置した入力インターフェースの一構成例。 指先の静脈で認証を行う小型の入力インターフェースの一構成例。 本発明を応用した装置の一例。
符号の説明
1・・・指、2・・・入力インターフェース、3・・・光源、4・・・撮像部、10・・・認証処理部、11・・・CPU、12・・・メモリ、13・・・インターフェース、14・・・記憶装置、15・・・表示部、16・・・入力部、17・・・スピーカ、18・・・画像入力手段、100・・・認証プログラム、200・・・登録データ、250・・・認証データ、21・・・位置決め用の線、22・・・位置決め用の線、23・・・位置決め用の線、41・・・送風手段、61・・・可視光源、111・・・遮光板、121−1・・・撮像部、121−2・・・撮像部、63・・・光源、64・・・光源、125・・ディスプレイ。

Claims (12)

  1. 認証に用いる血管の画像を撮像させるための赤外光を発光する光源と、該光源からの光によって生体の血管の画像を撮像する撮像部を備えた入力インターフェースと、前記撮影された画像から特徴抽出と特徴照合を行う画像演算部と、生体を提示する位置決め手段とを備える個人認証装置において、
    前記生体の提示位置が前記撮像部よりも高い位置に設定され、
    前記光源が、ユーザ側から見て前記生体の提示位置よりも奥、かつ該生体の提示位置よりも高い位置に設置されることを特徴とする個人認証装置。
  2. 前記生体を指とする請求項1記載の個人認証装置。
  3. 前記位置決め手段は前記入力インターフェース表面に記された印であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の個人認証装置。
  4. 前記印が指の高さを合わせるための線と、指先の位置を合わせるための線または点と、指の提示方向を合わせるための線または点とで構成されることを特徴とする請求項3記載の個人認証装置。
  5. 前記位置決め手段として、該生体の提示位置の境界に送風する送風手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の個人認証装置。
  6. 前記位置決め手段として、該生体が正しく提示位置に提示された場合に特定の視覚効果を生ずる位置または角度に設置された可視光源を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の個人認証装置。
  7. 前記撮影部は該生体である指先を透過する透過光により撮像を行い、該画像演算部は指先の血管パターンを利用して認証を行うことを特徴とした請求項2乃至6のいずれかに記載の個人認証装置。
  8. 前記光源は、該生体の提示位置のうち、該光源に近い位置よりも遠い位置に強い光が届くように設定されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の個人認証装置。
  9. 前記光源は、該光源からの直接光が前記撮像部に入射せず、かつ、該生体が提示位置に提示された場合には該生体に直接光が照射されるような角度に設置されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の個人認証装置。
  10. 前記生体の提示位置は、前記撮像部に接触しない上空に位置することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の個人認証装置。
  11. 前記画像演算部は、前記撮影された生体の画像の回転補正を行う手段を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の個人認証装置。
  12. 前記入力インターフェースは第1の部品と第2の部品とが折り畳めるように構成された筐体であり、前記光源は前記第1の部品に、前記撮像部は前記第2の部品に設置され、前記光源がユーザ側から見て前記撮像部よりも奥、かつより高い位置になる形状に該筐体を設定して撮影を行なうことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の個人認証装置。
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