JP4639856B2 - 車輌の摩擦制動装置 - Google Patents

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本発明は、車輌の制動装置に係り、更に詳細には車輪と共に回転する回転部材に対し摩擦材を押圧し、その押圧力を制御することにより制動力を制御する摩擦制動装置に係る。
自動車等の車輌の摩擦制動装置の一つとして、例えば本願出願人の出願にかかる下記の特許文献1に記載されている如く、高摩擦係数の摩擦材と低摩擦係数の摩擦材とを有し、マスタシリンダよりホイールシリンダへ供給される液圧が低いときには回転部材に対し低摩擦係数の摩擦材のみが押圧され、マスタシリンダよりホイールシリンダへ供給される液圧が増大するにつれて回転部材に対する高摩擦係数の摩擦材の押圧力を増大させるよう構成された摩擦制動装置が既に知られている。
一般に、低摩擦係数の摩擦材は高摩擦係数の摩擦材に比してブレーキ鳴きを発生し難いが、回転部材に対する摩擦材の押圧力が同一の場合について見て、低摩擦係数の摩擦材が発生する摩擦力は高摩擦係数の摩擦材が発生する摩擦力よりも低い。従って上述の如き従来の摩擦制動装置によれば、運転者の制動操作量が小さく、制動圧が低いときには、低摩擦係数の摩擦材のみが回転部材に対し押圧されるので、ブレーキ鳴きを低減することができる。
実開昭60−71738号公報
周知の如く、摩擦制動装置に於いては車輪の主要な回転エネルギーが熱エネルギーに変換されるので、摩擦制動装置の作動により熱が発生し、回転部材及び摩擦材の温度が上昇する。また摩擦材の摩擦係数はある温度域までは温度の上昇につれて増大するので、制動が比較的長い時間に亘り継続されると、制動操作量が増減されなくても摩擦材の摩擦係数の上昇に起因して制動力が増大し、車輌の減速度が不必要に増大すると共にブレーキ鳴きが発生し易くなる。
しかるに上述の如き従来の摩擦制動装置に於いては、制動の継続による摩擦材の温度及び摩擦係数の上昇に起因する車輌減速度の不必要な増大及びブレーキ鳴きについては考慮されておらず、この点の改善が必要とされている。
本発明は、摩擦材が回転部材に対し押圧される従来の摩擦制動装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、制動が比較的長い時間に亘り継続される場合に於いて制動操作量が増減されていないにも拘らず車輌の減速度が増大するのは、摩擦材の温度上昇に伴う摩擦係数の増大に起因するものであり、かかる状況に於いてはブレーキ鳴きが発生し易いことに着目することにより、制動操作量が増減されることなく制動が比較的長い時間に亘り継続される場合に於ける車輌減速度の不必要な増大を抑制し、ブレーキ鳴きを効果的に低減することである。
上述の主要な課題は、本発明によれば、制動要求量を判定する手段と、車輪と共に回転する回転部材と、摩擦材と、前記摩擦材を前記回転部材に対し押圧する押圧手段と、前記制動要求量に基づき前記押圧手段の目標押圧量を演算し、前記目標押圧量に基づき前記押圧手段の押圧量を制御する制御手段とを有する車輌の摩擦制動装置に於いて、前記摩擦材は少なくとも高摩擦係数の摩擦材及び低摩擦係数の摩擦材を含み、前記押圧手段は各摩擦材を相互に独立に前記回転部材に対し押圧し、前記制御手段は前記制動要求量に基づき各押圧手段の目標押圧量を演算し、前記制御手段は車輌の制動減速走行中に於ける前記制動要求量の変化率の大きさが基準値以下の状況に於いて車輌の減速度の増大率が基準値以上であるときには、前記高摩擦係数の摩擦材に対する前記押圧手段の目標押圧量のみを低減することを特徴とする車輌の摩擦制動装置(請求項1の構成)、又は制動要求量を判定する手段と、車輪と共に回転する回転部材と、摩擦材と、前記摩擦材を前記回転部材に対し押圧する押圧手段と、前記制動要求量に基づき前記押圧手段の目標押圧量を演算し、前記目標押圧量に基づき前記押圧手段の押圧量を制御する制御手段とを有する車輌の摩擦制動装置に於いて、前記摩擦材は少なくとも高摩擦係数の摩擦材及び低摩擦係数の摩擦材を含み、前記押圧手段は各摩擦材を相互に独立に前記回転部材に対し押圧し、前記制御手段は前記制動要求量に基づき各押圧手段の目標押圧量を演算し、前記制御手段は車輌の制動減速走行中に於ける前記制動要求量の変化率の大きさが基準値以下の状況に於いて車輌の減速度の増大率が基準値以上であるときには、前記高摩擦係数の摩擦材に対する前記押圧手段の目標押圧量及び前記低摩擦係数の摩擦材に対する前記押圧手段の目標押圧量の和が減少するよう、前記高摩擦係数の摩擦材に対する前記押圧手段の目標押圧量を低減すると共に、前記低摩擦係数の摩擦材に対する前記押圧手段の目標押圧量を増大させることを特徴とする車輌の摩擦制動装置(請求項3の構成)によって達成される。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記制御手段は車輌の減速度の増大率が大きいときには車輌の減速度の増大率が小さいときに比して、前記高摩擦係数の摩擦材に対する前記押圧手段の目標押圧量の低減量の大きさを大きくするよう構成される(請求項2の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項3の構成に於いて、前記制御手段は車輌の減速度の増大率が大きいときには車輌の減速度の増大率が小さいときに比して、前記押圧手段の目標押圧量の和の低減量の大きさを大きくするよう構成される(請求項の構成)。
上記請求項1の構成によれば、制御手段は車輌の制動減速走行中に於ける制動要求量の変化率の大きさが基準値以下の状況に於いて車輌の減速度の増大率が基準値以上であり、ブレーキ鳴きが発生する虞れが高いときには、高摩擦係数の摩擦材に対する押圧手段の目標押圧量のみを低減することによって押圧手段の目標押圧量を低減するので、回転部材と高摩擦係数の摩擦材との間の摩擦力を低減して車輌全体の制動力を低減し、これにより車輌の減速度が不必要に増大することを確実に抑制することができ、ブレーキ鳴きが発生する虞れを低減することができる。
また上記請求項の構成によれば、押圧手段の目標押圧量減は、高摩擦係数の摩擦材に対する押圧手段の目標押圧量のみを低減することにより達成されるので、高摩擦係数の摩擦材に対する押圧手段の目標押圧量及び低摩擦係数の摩擦材に対する押圧手段の目標押圧量の両者が低減される場合に比して、車輌全体の制動力の低減量に対する高摩擦係数の摩擦材に対する押圧量の低減量の比を高くし、これにより車輌全体の制動力の低減量が過剰になることを防止しつつブレーキ鳴きの発生を効果的に低減することができる。
また上記請求項の構成によれば、制御手段は車輌の制動減速走行中に於ける制動要求量の変化率の大きさが基準値以下の状況に於いて車輌の減速度の増大率が基準値以上であり、ブレーキ鳴きが発生する虞れが高いときには、摩擦係数の摩擦材に対する押圧手段の目標押圧量及び低摩擦係数の摩擦材に対する押圧手段の目標押圧量の和が減少するよう、高摩擦係数の摩擦材に対する押圧手段の目標押圧量を低減すると共に、低摩擦係数の摩擦材に対する押圧手段の目標押圧量を増大させるので、高摩擦係数の摩擦材に対する押圧手段の目標押圧量のみが低減される場合に比して、回転部材に対する摩擦材の押圧量の総和を過剰に低減することなく、換言すれば車輌全体の制動力を過剰に低減することなく、ブレーキ鳴きの発生を確実に防止することができる。
また上記請求項の構成によれば、車輌の減速度の増大率が大きいときには車輌の減速度の増大率が小さいときに比して、押圧手段の目標押圧量の和の低減量の大きさが大きくされるので、車輌の減速度の増大率に応じて回転部材に対する摩擦材の押圧量の低減量を過不足なく適正な値に制御することができる。
〔課題解決手段の好ましい態様〕
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至の構成に於いて、制動要求量を判定する手段は運転者の制動操作量に基づいて制動要求量を判定するよう構成される(好ましい態様1)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至又は上記好ましい態様1の構成に於いて、押圧量は押圧力であり、目標押圧量は目標押圧力であるよう構成される(好ましい態様2)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1又は2又は上記好ましい態様1又は2の構成に於いて、制動要求量若しくは車輌の減速度が基準値以上である状況に於いて制動要求量の変化率の大きさが基準値以下であり且つ車輌の減速度の増大率が基準値以上であるときに、高摩擦係数の摩擦材に対する押圧手段の目標押圧量を低減するよう構成される(好ましい態様3)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3又は4又は上記好ましい態様1又は2の構成に於いて、制動要求量若しくは車輌の減速度が基準値以上である状況に於いて制動要求量の変化率の大きさが基準値以下であり且つ車輌の減速度の増大率が基準値以上であるときに、押圧手段の目標押圧量の和を低減するよう構成される(好ましい態様4)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項又は上記好ましい態様1乃至の構成に於いて、制御手段は車輌の減速度の増大率が大きいほど高摩擦係数の摩擦材に対する押圧手段の目標押圧量の低減量の大きさを大きくするよう構成される(好ましい態様)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4又は上記好ましい態様1乃至4の構成に於いて、制御手段は車輌の減速度の増大率が大きいほど押圧手段の目標押圧量の和の低減量の大きさを大きくするよう構成される(好ましい態様6)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至又は上記好ましい態様1乃至の構成に於いて、押圧手段は電磁式の押圧力発生装置であるよう構成される(好ましい態様)。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施例について詳細に説明する。
図1は本発明による車輌の摩擦制動装置の一つの実施例を示す概略構成図、図2は図1の上方より見た摩擦制動装置の要部の平面図、図3はロータディスク側より見た高摩擦係数の摩擦材及び低摩擦係数の摩擦材を示す正面図である。
これらの図に於いて、10は図には示されていない車輪と共に回転する回転部材としてのロータディスクを示している。ロータディスク10の外縁部に近接した位置にはキャリパ12が配置され、キャリパ12は図には示されていないばね上部材に取り付けられている。キャリパ12はロータディスク10に対し垂直な方向に往復動可能にピストン14〜18を支持している。
図示の実施例に於いては、ピストン14〜18はロータディスク10の径方向に互いに隔置された状態で互いに平行に延在している。ピストン14〜18のロータディスク10の側の端部は三又状をなし、ピストン14〜18の各枝部はキャリパ12の当接板20を貫通してロータディスク10の側へ延在している。ピストン14の各枝部の外端は支持板22に当接し、支持板22には高摩擦係数μhの摩擦材24が固定されている。ピストン16及び18の各枝部の外端は支持板26に当接し、支持板26には低摩擦係数μlの摩擦材28が固定されている。支持板22及び26は当接板20によりロータディスク10に対し垂直な方向に往復動可能に支持されている。
ピストン14〜18はそれぞれ電磁アクチュエータ30〜34により往復動され、これにより高摩擦係数の摩擦材24及び低摩擦係数の摩擦材28はそれぞれ電磁アクチュエータ30及び32、34によりピストン14及び16、18を介してロータディスク10に対し相互に独立の押圧力にて押圧されるようになっている。電磁アクチュエータ30〜34にはピストン14〜18の軸力(押圧力)Fh、Fl1、Fl2を検出する軸力センサ36〜40が設けられている。
尚図には示されていないが、電磁アクチュエータ30〜34に駆動電流が通電されていないときには、ロータディスク10より離れる方向へピストン14〜18を付勢する圧縮コイルばねの如き付勢手段が設けられており、これにより電磁アクチュエータ30〜34に駆動電流が通電されていないときには、摩擦材24及び28がロータディスク10に押圧されないようになっている。
電磁アクチュエータ30〜34は電子制御装置42により制御され、電子制御装置42には、軸力センサ36〜40よりの押圧力Fh、Fl1、Fl2を示す信号に加えて、ブレーキペダル44に設けられた踏力センサ46よりペダル踏力Fpを示す信号、車速センサ48より車速Vを示す信号、前後加速度センサ50より車輌の前後加速度Gx(加速方向が正)を示す信号が入力される。
尚図1には詳細に示されていないが、電子制御装置42はCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータ及び駆動回路よりなっていてよい。
電子制御装置42は、ペダル踏力Fpに基づき運転者の制動要求量として車輌全体の目標制動力Fballを演算し、目標制動力Fballに基づき当技術分野に於いて公知の要領にて各車輪の目標制動力Fbti(i=fl、fr、rl、rr)を演算する。また電子制御装置42は、高摩擦係数の摩擦材24及び低摩擦係数の摩擦材28の制動力発生中心とロータディスク10の回転軸線54との間の距離をそれぞれRh、Rlとし、制動力Fbliに対する目標制動力Fbtiの配分比をK(0.5程度の正の定数)として、各車輪について下記の式1〜3を満たすFhi、Fl1i、Fl2iの値を電磁アクチュエータ30〜34の目標押圧力Fhti、Fl1ti、Fl2tiとして演算する。
Fbti=(1−K)FhiμhRh+K(Fl1i+Fl2i)μlRl ……(1)
KFhi=(1−K)(Fl1i+Fl2i) ……(2)
Fl1i=Fl2i ……(3)
電子制御装置42は、通常制動時には補正係数Kaを1に設定し、車輌が制動減速走行状態にあり且つペダル踏力Fpの変化率Fpdの絶対値が基準値Fpdo(正の定数)以下である状況に於いて、車輌の減速度Gb(=−Gx)の増大率Gbdが基準値Gbd1(正の定数)以上であるときには、車輌の減速度Gbの増大率Gbdが大きいほど補正係数Kaが小さくなるよう、増大率Gbdに応じて補正係数Kaを可変設定し、高摩擦係数の摩擦材24に対する目標押圧力FhtiをKa倍に低減補正する。
次に図4に示されたフローチャートを参照して実施例に於ける制動力制御ルーチンについて説明する。尚図4に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ10に於いては踏力センサ46により検出されたペダル踏力Fpを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いてはペダル踏力Fpに基づき当技術分野に於いて公知の要領にて車輌全体の目標制動力Fballが演算され、ステップ30に於いては当技術分野に於いて公知の配分則に従って各車輪の目標制動力Fbtiが演算され、ステップ40に於いては上記式1〜3を満たすFhi、Fl1i、Fl2iの値として電磁アクチュエータ30〜34の目標押圧力Fhti、Fl1ti、Fl2tiが演算される。
ステップ50に於いては例えば車速Vが基準値Vo(正の定数)以上であり且つペダル踏力Fpが基準値Fpo(正の定数)以上であるか否かの判別により、車輌が制動減速走行中であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ100へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ60へ進む。
ステップ60に於いてはペダル踏力Fpの変化率Fpdの絶対値が基準値Fpdo(正の定数)以下であるか否かの判別、即ち運転者の制動操作量が実質的に一定であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ100へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ70へ進む。
ステップ70に於いては車輌の減速度Gbの増大率Gbdが基準値Gbd1以上であるか否かの判別、即ち摩擦材の温度及び摩擦係数の上昇に起因する制動力の増大及びブレーキ鳴き発生の虞れがある状況であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ100へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ80に於いて車輌の減速度Gbの増大率Gbdに基づき図5に示されたグラフに対応するマップより補正係数Kaが演算される。
ステップ90に於いては高摩擦係数の摩擦材24に対する目標押圧力FhtiがKa倍に低減補正され、ステップ100に於いては電磁アクチュエータ30〜34の押圧力Fhi、Fl1i、Fl2iがそれぞれ目標押圧力Fhti、Fl1ti、Fl2tiになるよう電磁アクチュエータ30〜34の押圧力が制御される。
かくして図示の実施例によれば、ステップ20に於いて運転者の制動操作量に基づき車輌全体の目標制動力Fballが演算され、ステップ30に於いて目標制動力Fballに基づき各車輪の目標制動力Fbtiが演算され、ステップ40に於いて目標制動力Fbtiに基づき電磁アクチュエータ30〜34の目標押圧力Fhti、Fl1ti、Fl2tiが演算される。
そして車輌が制動減速走行中であるときにはステップ50に於いて肯定判別が行われ、運転者の制動操作量が実質的に一定であるときにはステップ60に於いて肯定判別が行われ、ステップ70に於いて摩擦材の温度及び摩擦係数の上昇に起因する制動力の増大及びブレーキ鳴き発生の虞れがあると判定されると、ステップ80及び90に於いて高摩擦係数の摩擦材24に対する目標押圧力FhtiがKa倍に低減補正される。
従って図示の実施例によれば、摩擦材の温度及び摩擦係数の上昇に起因する制動力の増大及びブレーキ鳴き発生の虞れがあるときには、目標押圧力Fhtiが低減補正されることによって高摩擦係数の摩擦材24に対する押圧力Fhiが低減されるので、車輌全体の制動力を低減して車輌の減速度が不必要に増大することを確実に防止することができると共に、ブレーキ鳴き発生の虞れを効果的に低減することができる。
例えば図6は、車輌が制動減速走行する場合であって、運転者の制動操作量が増大された後比較的長い時間に亘り実質的に一定に維持され、しかる後低減される場合に於ける車輌の減速度の変化を、従来の摩擦制動装置の場合(A)及び図示の実施例の場合(B)について示すグラフである。
図6(A)に示されている如く、従来の摩擦制動装置の場合には、制動減速走行の継続時間が長くなると、摩擦熱により摩擦材の温度が上昇し、これに伴って摩擦材の摩擦係数が上昇することに起因して制動力が増大し、そのため運転者の制動操作量が実質的に一定に維持されているにも拘らず、車輌の減速度が不必要に増大すると共にブレーキ鳴きが発生し易い。
これに対し図示の実施例によれば、図6(B)に示されている如く、制動減速走行の継続時間が長くなり、摩擦材の温度及び摩擦係数が上昇することに起因して制動力が増大し、車輌の減速度が増大し始めると、高摩擦係数の摩擦材24に対する押圧力Fhiが低減されることにより車輌全体の制動力が低減されるので、車輌の減速度が不必要に増大することを確実に防止することができると共に、ブレーキ鳴きが発生する虞れを効果的に低減することができる。
特に図示の実施例1によれば、ステップ50に於いて車輌が制動減速走行中であるか否かの判別が行われ、車輌が制動減速走行中であると判定された場合にステップ60以降が実行されるので、車輌が制動減速走行中ではない状況に於いて高摩擦係数の摩擦材24に対する押圧力Fhiが不必要に低減されることを確実に防止することができる。
また図示の実施例1によれば、補正係数Kaはステップ80に於いて車輌の減速度Gbの増大率Gbdが大きいほど小さくなるよう、増大率Gbdに応じて可変設定されるので、例えばステップ70に於いて肯定判別が行われた場合には増大率Gbdに関係なく高摩擦係数の摩擦材24に対する押圧力Fhiが一定の比率又は一定の低減量にて低減される場合に比して、押圧力Fhiの急激な変化を確実に防止することができる。
以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の実施例に於いては、ステップ80に於いて補正係数Kaが演算され、ステップ90に於いて高摩擦係数の摩擦材24に対する目標押圧力FhtiがKa倍に低減補正されるようになっているが、例えば車輌の減速度Gbの増大率Gbdに基づき図7に示されたグラフに対応するマップより補正係数Ka及びKb(Ka≦1、Kb≧1)が演算され、高摩擦係数の摩擦材24に対する目標押圧力FhtiがKa倍に低減補正されると共に、低摩擦係数の摩擦材28に対する目標押圧力FltiがKb倍に増大補正され、これにより車輌全体の制動力が過剰に低減されることなく低減されると共に、ブレーキ鳴き発生の虞れが更に一層効果的に低減されるよう修正されてもよい。
また制動要求量としてのペダル踏力Fp又は車輌全体の目標制動力Fball若しくは車輌の減速度Gbが基準値以上である状況であるか否かが判定され、かかる状況であるときにステップ60及び70の判別が行われるよう修正されてもよい。
また上述の実施例に於いては、補正係数Kaはステップ80に於いて車輌の減速度Gbの増大率Gbdが大きいほど小さくなるよう、増大率Gbdに応じて可変設定されるようになっているが、高摩擦係数の摩擦材24に対する目標押圧力Fhtiの低減補正率は一定であってもよく、また高摩擦係数の摩擦材24に対する目標押圧力Fhtiが低減補正されると共に、低摩擦係数の摩擦材28に対する目標押圧力Fltiが増大補正される場合には、低摩擦係数の摩擦材28に対する目標押圧力Fltiの増大補正率も一定であってよい。
また上述の実施例に於いては、ピストン14〜18はそれぞれ三つの枝部を有し、それぞれ電磁アクチュエータ30〜34により往復動されるようになっているが、各枝部に相当する相互に独立の複数のピストン毎にそれらを往復動させるアクチュエータが設けられてもよい。
また上述の実施例に於いては、運転者の制動操作量に基づき車輌全体の目標制動力Fballが演算され、目標制動力Fballに基づき各車輪の目標制動力Fbtiが演算され、目標制動力Fbtiに基づき電磁アクチュエータ30〜34の目標押圧力Fhti、Fl1ti、Fl2tiが演算され、押圧力Fhi、Fl1i、Fl2iがそれぞれ目標押圧力Fhti、Fl1ti、Fl2tiになるよう電磁アクチュエータ30〜34が制御されるようになっているが、各車輪の目標制動力Fbtiに基づき各ピストンの目標変位量が演算され、各ピストンの変位量がそれぞれ対応する目標変位量になるよう各アクチュエータが制御されてもよい。
尚この修正例の場合には、電磁アクチュエータ30〜34の押圧力Fh、Fl1、Fl2を検出する軸力センサ36〜40は各ピストンの変位量を検出するエンコーダーの如き変位量センサに置き換えられる。
また上述の実施例に於いては、高摩擦係数μhの摩擦材24及び低摩擦係数μlの摩擦材28はロータディスク10の径方向に整合して配列されているが、例えば図8に示されている如く高摩擦係数μhの摩擦材24及び低摩擦係数μlの摩擦材28はロータディスク10の径方向に垂直な方向に整合して配列されてもよい。
更に上述の実施例に於いては、摩擦材は高摩擦係数μhの摩擦材24及び低摩擦係数μlの摩擦材28の二種類であるが、摩擦材は摩擦係数が互いに異なる三種類以上の摩擦材であってもよい。
本発明による車輌の摩擦制動装置の一つの実施例を示す概略構成図である。 図1の上方より見た摩擦制動装置の要部の平面図である。 ロータディスク側より見た高摩擦係数の摩擦材及び低摩擦係数の摩擦材を示す正面図である。 実施例に於ける制動力制御ルーチンを示すフローチャートである。 車輌の減速度Gbの増大率Gbdと補正係数Kaとの間の関係を示すグラフである。 車輌が制動減速走行する場合であって、運転者の制動操作量が増大された後比較的長い時間に亘り実質的に一定に維持され、しかる後低減される場合に於ける車輌の減速度の変化を、従来の摩擦制動装置の場合(A)及び図示の実施例の場合(B)について示すグラフである。 車輌の減速度Gbの増大率Gbdと補正係数Ka及びKbとの間の関係を示すグラフである。 高摩擦係数の摩擦材及び低摩擦係数の摩擦材がロータディスクの径方向に垂直な方向に整合して配列された例を示す正面図である。
符号の説明
10 ロータディスク
12 キャリパ
14〜18 ピストン
24 高摩擦係数の摩擦材
28 低摩擦係数の摩擦材
30〜34 電磁アクチュエータ
36〜40 軸力センサ
42 電子制御装置
44 ブレーキペダル
46 踏力センサ
48 車速センサ
50 前後加速度センサ

Claims (4)

  1. 制動要求量を判定する手段と、車輪と共に回転する回転部材と、摩擦材と、前記摩擦材を前記回転部材に対し押圧する押圧手段と、前記制動要求量に基づき前記押圧手段の目標押圧量を演算し、前記目標押圧量に基づき前記押圧手段の押圧量を制御する制御手段とを有する車輌の摩擦制動装置に於いて、前記摩擦材は少なくとも高摩擦係数の摩擦材及び低摩擦係数の摩擦材を含み、前記押圧手段は各摩擦材を相互に独立に前記回転部材に対し押圧し、前記制御手段は前記制動要求量に基づき各押圧手段の目標押圧量を演算し、前記制御手段は車輌の制動減速走行中に於ける前記制動要求量の変化率の大きさが基準値以下の状況に於いて車輌の減速度の増大率が基準値以上であるときには、前記高摩擦係数の摩擦材に対する前記押圧手段の目標押圧量のみを低減することを特徴とする車輌の摩擦制動装置。
  2. 前記制御手段は車輌の減速度の増大率が大きいときには車輌の減速度の増大率が小さいときに比して、前記高摩擦係数の摩擦材に対する前記押圧手段の目標押圧量の低減量の大きさを大きくすることを特徴とする請求項1に記載の車輌の摩擦制動装置。
  3. 制動要求量を判定する手段と、車輪と共に回転する回転部材と、摩擦材と、前記摩擦材を前記回転部材に対し押圧する押圧手段と、前記制動要求量に基づき前記押圧手段の目標押圧量を演算し、前記目標押圧量に基づき前記押圧手段の押圧量を制御する制御手段とを有する車輌の摩擦制動装置に於いて、、前記摩擦材は少なくとも高摩擦係数の摩擦材及び低摩擦係数の摩擦材を含み、前記押圧手段は各摩擦材を相互に独立に前記回転部材に対し押圧し、前記制御手段は前記制動要求量に基づき各押圧手段の目標押圧量を演算し、前記制御手段は車輌の制動減速走行中に於ける前記制動要求量の変化率の大きさが基準値以下の状況に於いて車輌の減速度の増大率が基準値以上であるときには、前記高摩擦係数の摩擦材に対する前記押圧手段の目標押圧量及び前記低摩擦係数の摩擦材に対する前記押圧手段の目標押圧量の和が減少するよう、前記高摩擦係数の摩擦材に対する前記押圧手段の目標押圧量を低減すると共に、前記低摩擦係数の摩擦材に対する前記押圧手段の目標押圧量を増大させることを特徴とする車輌の摩擦制動装置。
  4. 前記制御手段は車輌の減速度の増大率が大きいときには車輌の減速度の増大率が小さいときに比して、前記押圧手段の目標押圧量の和の低減量の大きさを大きくすることを特徴とする請求項3に記載の車輌の摩擦制動装置。
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