JP4638478B2 - 量子キー分配に対する変調器タイミング - Google Patents
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Description
<双方向型QKDシステムの理想的な動作>
例示を目的として、本発明を、双方向型QKDシステムに関して説明する。図1は、2つのQKDステーション、アリスとボブとを備える双方向型QKDシステム100の概略図である。ボブは、光パルスP0を出射するレーザ12を備える。レーザ12は、時分割多重化/逆多重化(M/D)光学系104に連結される。M/D光学系104は、レーザ12から入力パルスP0を受け取り、個々のパルスを2つの時分割多重化パルス(「量子信号」)P1,P2に分割する。同様に、M/D光学系104は、(後述する)アリスから、時分割多重化パルスの組を受け取り、それらを結合し(干渉させ)、単一パルスとする。M/D光学系104は、M/D光学系104に連結された位相変調器MBを備えている。光ファイバリンクFLは、M/D光学系104に連結されており、ボブをアリスに接続する。ボブは、また、変調器MBに連結された電圧制御器44と、電圧制御器に連結された乱数発生器(RNG)ユニット46と、を備える。
アリスは、一端で光ファイバリンクFLに、そして反対側の他端でファラデーミラーFMに連結される位相変調器MA、を備える。アリスは、また、変調器MAに連結された電圧制御器14と、電圧制御器に連結された乱数発生器(RNG)ユニット16と、を備える。アリスは、さらに、RNGユニット16、そして電圧制御器14に連結された制御器20を備える。
<双方向型QKDシステムの理想化された動作>
QKDシステム100の動作の実施例の一例において、ボブの制御器50は、信号S0をレーザ12へ送信し、それに応じて、比較的強く短いレーザパルスP0を発生する。実施例の一例において、次いで、パルスP0は、オプションの可変光学的減衰器VOA13Bによって減衰される。パルスP0は、M/D光学系104に到達し、M/D光学系104は、そのパルスを、直交偏光を有する2つの弱いパルスP1,P2に分割する。パルスP1は、直接、アリスへ向かうが、P2は遅延する。パルスP1,P2の一方−例として、P2−が遅延して、MB(この時点では非作動状態のままである)を通り、一方のパルスが他方の後で、例えば、図示する通り、パルスP2がパルスP1の後で、これらパルスが光ファイバリンクFLをアリスへと進む。
パルスは、アリスの変調器MAを通り、パルスの偏光を90°変化させるファラデーミラーFMで反射して離れる。これらパルスが変調器MAを通って戻ってくるとき、アリスは第1パルスP1を未変調で通過させるが、第2パルスP2の位相を変調する(つまり、位相シフトΦAを与える)。
以下により詳しく説明する通り、アリスの変調器MAの変調のタイミングは、制御器20,50の間で共有される同期信号SSによって提供される。アリスの変調は、制御器20によって実行される。制御器20は、よくタイミングが合わされた信号S1をRNGユニット16へ出力する。RNGユニット16は、乱数を表す信号S2を電圧制御器14へ出力する。これに応じて、電圧制御器14は、1セットの基準信号(電圧)、例えば、V[+3π/4]、V[−3π/4]、V[+π/4]、V[−π/4]、からランダムに選択された作動信号(電圧)V2=VAを送信する。これにより、変調器MAの位相が、対応する基準位相、例えば、+3π/4、−3π/4、π/4、−π/4の1つにセットされる。
検出器32a,32bは、強めあう干渉(ΦA−ΦB=0)が検出器32aによって検出され、弱め合う干渉(ΦA−ΦB=π)が検出器32bによって検出されるように配置される。ボブがアリスと同じ基準位相を与えるとき、検出器32aにおけるカウントは二値で0を示し、検出器32bにおけるカウントは二値で1を示す。しかしながら、ボブの基準位相がアリスとは異なるとき、相関性はなく、カウントは、検出器32a,32bのいずれでも同じ確率となる(つまり、干渉パルスは、50:50のチャンスでいずれの検出器にも検出される)。
<変調器タイミングセットアップ>
上述の説明は、理想化されたQKDシステム動作に対してなされた。しかしながら、実際には、QKDシステムは、自動的に理想的な状態で動作し続けることはない。さらに、商業的に実現可能なシステムは、まず、動作するよう、素早くセットアップしなければならず、次に、継続的な、理想的あるいはほぼ理想的な動作を確実に行うよう、その動作の状態の変化に対して補償可能でなければならない。
しかしながら、QKDシステムにおける変調器を較正するためには、変調器の作動の適切なタイミングを、まず確立しなければならない。詳細には、それぞれの変調器は、変調される必要のある量子パルスが特定の変調器を通る正確な瞬間に、作動されなければならない。変調器が起動される時間量を最小限にすることは、交換されたキーに関する情報を得ようとして変調器状態を割り出そうとしている盗聴者の機会を減らす。
これらの基礎的なステップを、次に、図1のQKDシステム100および図2のフローチャート200を参照して、よりに詳しく以下に説明する。なお、ここで、実施例の一例において、制御器20,50は、RNGユニット16,46を通じてではなく、変調器タイミングセットアップにおいて、それぞれの較正信号SC1,SC2を通じてそれぞれの電圧制御器14,44と直接通信することを述べておく。
<ボブの変調器のタイミング>
初めにアリスのタイミングを確立することもできるが、本実施例の一例においては、ボブの変調器MBのためのタイミングを確立する。
システム100において、変調器MA,MBからの位相変調を、P1にアリスとボブの両方によって与えることができ、P2にアリスとボブの両方によって与えることができ、P1にボブによって与えることができ、P2にアリスによって与えることができ、また、その逆も同様である。それは、最終的に測定されるのが、パルス間の全体の相対的な位相差であって、どの特定のパルスの位相でもないからである。しかしながら、変調器電圧振幅および電圧パルスタイミングを正確なレベルでセットするためには、特定の位相変調方法が、事前に、アリスとボブによって一致していなければならない。
双方向型QKDシステムでは、このプロセスが、2つの時間間隔をもたらす。この2つの時間間隔において、光子が、検出器32aではなく検出器32bで検出される。このような時間間隔の1つは、レーザ12からの光子がアリスへ向かって進む際に、変調器MBによって変調されたときに生じる。また、1つの間隔とは、アリスから戻る光子が変調器MBを通って進むときである。もし、ファイバリンクFLの長さが変更されて、往復移動時間が増加したとき、この場合、出ていくパルスは、同じ時間で変調を示すことになり、また、戻ってくるパルスは、往復移動時間の増加による遅延に対応する時間で変調する結果になる。
<アリスの変調器のタイミング>
ボブの変調器MBのタイミングが確立されると、次いで、アリスの変調のタイミングを確立する必要がある。
304において、アリスの制御器20は、信号SC2を電圧制御器14へ送信し、電圧制御器14に変調器作動(電圧)信号V2=VA=−VB=VA[−π]を変調器MAへ送信させる。これは、変調器MAの位相を(名目上)−πにセットするよう機能する。ボブの変調器MBは、アリスの変調器タイミングセットアップの際、V1=VB[π]で一定に保持される。ボブの変調器作動信号V1=VBのように、アリスの変調器作動信号VAが、V2=VA[−π]など、比較的大きな変調値にセットされ、これにより、変調が変調器MAで生じる場合、(名目上)0の全体の位相シフトによって、基本的にすべての変調された光子が、検出器32aで検出される。変調が変調器MAで生じなければ、その場合、パルスは、ボブの変調器MBによって与えられたπの位相を有することになり、その結果、基本的にすべての変調されたパルスが、検出器32bで検出される。
308において、ボブに対する208のように、制御器20は、時間変調器作動信号V2=VA[−π]が変調器MAに印加されるべき(新しい)初期時間T02、を選択する。
312において、ボブに対する212のように、検出器32a,32bの光子カウントが測定される。変調器MAのタイミングが正確でないとき、この場合、変調器を通ってボブへと戻る途中のパルスP2はアリスで変調されることなく、そして、検出器32bの光子カウントは高くなる。一方、検出器32aの光子カウントは低くなり、ほとんど暗電流および他のスプリアス効果に起因するものとなろう。
けれども、また、ファイバ長が変更された場合(例えば、新しいファイバリンクFLへの連結、あるいは新しい光学パスへの光学的な切り換え)、あるいは、qbit最新レートが変わる場合、変調器タイミングセットアッププロセスが繰り返される必要があるわけではない。これは、商業的に実行可能なQKDシステムに対して、このような変調器タイミングセットアップ手順を有することが重要であるという他の理由でもある。
さらに、変調器タイミングを再確立するために、光子カウントがQKDシステムの通常動作の際に低下する場合、あるいは、光子カウントにおける低下が変調器タイミングに起因するものかどうかを判定する診断の場合に、本発明の方法を周期的に実行することができる。変調器の周期再タイミングは、QKDシステムが理想あるいはほぼ理想的な条件で動作することを確実とするのに役立つ。
前述の実施形態においては、理解を簡単にするために様々な実施例において様々な特徴をまとめた。本発明の特徴及び効果の多くは詳細な明細書から明らかであり、それ故、添付の明細書は、本発明の真の趣旨及び範囲に従う開示された装置のそのような特徴及び効果を全て網羅することを意図している。さらに、当技術分野の技術者ならば多くの修正や変更を容易に思いつくであろうから、本発明は、ここで述べた構成、動作、及び実施例に厳密に限定されるものではない。従って、他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に含まれる。
Claims (11)
- 量子キー分配(QKD)システムにおいて第1QKDステーション(ボブ)の第1変調器及び第2QKDステーション(アリス)の第2変調器のタイミングを確立する方法であって、
前記第2変調器の変調を固定又は第2の変調器をオフにし、
前記第1変調器に対する作動信号をタイミング値の範囲にわたってインクリメンタルに走査して、前記第1変調器に対する作動信号タイミングを交換された非量子信号に含まれる光子の検出器カウントにおける変化のタイミングに設定することにより前記第1変調器に対する作動信号タイミングを決定し、
前記第1変調器の変調を固定し、
前記第2変調器に対する作動信号をタイミング値の範囲にわたってインクリメンタルに走査して、前記第2変調器に対する作動信号を交換された非量子信号に含まれる光子の検出器カウントにおける変化のタイミングに設定することにより前記第2変調器に対する作動信号タイミングを決定する、方法。 - 前記QKDシステムは双方向型システムであり、前記第1および前記第2変調器は位相変調器である、請求項1に記載の方法。
- 前記第1変調器は、前記非量子信号を生成する第1QKDステーション(ボブ)にあり、前記第2変調器は、前記非量子信号を反射して前記第1QKDステーションに戻す第2QKDステーション(アリス)にあり、前記方法は、さらに、
光子が前記第2QKDステーションに向かう間に第1変調器によって変調されるときに生じる第1時間間隔と、前記第2QKDステーションから戻る光子が第1変調器を通過するときに生じる第2時間間隔とを判別し、前記第2QKDステーションから前記第1QKDステーションに戻る非量子あるいは量子信号のみが前記第1変調器によって変調されることを確実に行う、
請求項2に記載の方法。 - 前記第1および前記第2変調器に対する前記作動信号は、それぞれ、量子キーの確立のため前記QKDシステムによって行われる基準変調ではない変調をそれぞれ提供する、請求項1に記載の方法。
- 強め合うよう干渉された非量子信号が前記第1検出器において検出され、弱め合うよう干渉された非量子信号が前記第2検出器に検出されるように配置された第1および第2検出器において、光子のカウントを行う、請求項1に記載の方法。
- 前記第1及び第2の変調器それぞれに対して、
粗いタイミング間隔を確立し、
前記粗いタイミング間隔を、ある数の細分間隔に分割し、
より正確な変調器タイミングを確立するために、インクリメンタルに前記細分間隔を走査する、請求項1に記載の方法。 - 前記第1及び第2変調器それぞれに対する前記変調器作動信号の幅を低減する、請求項6に記載の方法。
- 非量子パルスの交換によりQKDシステムにおける2つの変調器間のタイミングを確立する方法であって、前記2つの変調器それぞれに対して、
a)前記2つの変調器のうちの1つの変調器の変調を固定し、又は前記1つの変調器をオフにし、
b)前記2つの変調器それぞれを通る非量子信号を交換し、
c)第1の幅を有する第1変調器作動信号を、可能な変調器タイミングの範囲にわたってインクリメンタルに走査して粗いタイミング調整を行うことにより、前記非量子信号の変調の変化に起因して検出される光子カウントの変化に対応する粗いタイミングを確立し、
d)前記第1の幅よりも狭い第2の幅を有する第2変調器作動信号を、b)において決定された前記粗いタイミングに合わせられたタイミング間隔にわたって、インクリメンタルに走査して細かいタイミング調整を行うことにより、前記非量子信号の変調の変化に起因して検出される光子カウントの変化に対応する細かいタイミングを確立する、
方法。 - d)における前記タイミング間隔は、c)における前記第1変調器作動信号の第1の幅と同じである、請求項8に記載の方法。
- 第1および第2の光学的にリンクされたQKDステーションを有する量子キー分配(QKD)システムにおいて、前記第1のQKDステーションであるボブにおける第1変調器MBおよび前記第2のQKDステーションであるアリスにおける第2変調器MAに対する、第1および第2変調器作動信号V1,V2のタイミングをそれぞれ確立する方法であって、
a)第2変調器MAを固定し、又は第2変調器MAをオフにし、
b)前記第1作動信号V1を初期幅W1Cにセットし、
c)前記第1作動信号タイミングを、初期タイミングT10に関する粗いインクリメントΔT1で変化させて、前記第1作動信号の粗いタイミングT1Cを、交換された非量子パルスに含まれる光子の検出器カウントにおける変化を検出し前記粗いタイミングT1Cをその変化のタイミングに設定することによって確立し、
d)前記第1作動信号を低減された幅W1R<W1Cにセットし、
e)前記第1作動信号タイミングを、前記粗いタイミングTC1に関する低減されたタイミング間隔ΔTR<ΔT1で変化させて、前記第1作動信号の細かいタイミングT1Fを、交換された非量子パルスに含まれる光子の検出器カウントにおける変化を検出し前記細かいタイミングT1Fをその変化のタイミングに設定することによって確立し、
f)前記第1変調器MBの変調を固定し、
g)前記第2作動信号V2を比較的大きな初期幅W2Cにセットし、
h)前記第2作動信号タイミングを初期タイミングT20に関する粗いタイミング間隔ΔT2で変化させて、前記第2作動信号の粗いタイミングT2Cを、交換された非量子パルスに含まれる光子の検出器カウントにおける変化を検出し前記粗いタイミングT2Cをその変化のタイミングに設定することによって確立し、
i)前記第2作動信号を低減された幅W2R<W2Cにセットし、
j)前記第1作動信号タイミングを、前記粗いタイミングTC2に関する低減されたタイミングインクリメントΔT2R<ΔT2で変化させて、前記第2作動信号の細かいタイミングT2Fを、交換された非量子パルスに含まれる光子の検出器カウントにおける変化を検出し前記細かいタイミングT2Fをその変化のタイミングに設定することによって確立する、方法。 - 前記QKDシステムが、「ボブ」としての前記第1のQKDステーションを有する双方向型システムであって、前記方法は、さらに、
光子が前記第2のQKDステーションに向かう間に第1変調器によって変調されるときに生じる第1時間間隔と、前記第2のQKDステーションから戻る光子が第1変調器を通過するときに生じる第2時間間隔とを判別し、量子鍵を確立するために前記量子パルスを交換する前記QKDシステムの動作の間に、前記第2のQKDステーションから前記第1のQKDステーションに戻る量子パルスのみが、変調されることを確実に行う、
請求項10に記載の方法。
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