JP4637982B2 - 8型脊髄小脳性運動失調及び検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野及び従来の技術】
運動失調症(ataxia)は小脳、脳幹及び脊髄小脳管を多様に冒す神経変性病の臨床的且つ遺伝学的に不均質なグループである。いく例かの運動失調症及びその他の神経学的疾患にとってトリヌクレオチドリピートの拡張(expansion)がその突然変異機構の原因であることが示されている。これらの病気に関係する病理の原因となる基礎的な分子機構は3つの広いカテゴリーに属する。第一に、トリプレットリピート疾患の最大のグループはポリグルタミントラクトに翻訳されるCAG拡張に関係するものである。ポリグルタミン拡張により惹起される病気には脊髄及び延髄筋萎縮、ハンチングトン病、並びに5種類の形態の優性遺伝脊髄小脳性運動失調症(SCA)が挙げられる。第二グループはぜい弱性X精神遅退を惹起する5’CCG拡張及びフリードリッヒ運動失調症の原因となるイントロンGAA拡張を包含する。これらは共に対応のタンパク質生成物の発現の低下をもたらす。最後に、第三のグループは筋緊張性ジストロフィー−タンパク質キナーゼコード配列の3’未翻訳領域内の拡張CTGリピートを包含する。このリピートは筋緊張性ジストロフィーを惹起するが、どのようにしてこの突然変異が分子レベル効果を発揮するかは解明されていない。
【0002】
運動失調症は優性もしくは劣性遺伝であるか、又は家系病歴なしで現れることがありうる。成人発症性優性脊髄小脳性運動失調症(SCA)のうち、7種類の遺伝子座がマッピングされている (S. GispertらNature Genet., 4, 295-299 (1993) ; Y. TakiyamaらNature Genet., 4, 300-304 (1993) ; K. Gardner らNeurology, 44, A361 (1994) ; S. Nagafuchi らNature Genet., 6, 14-18 (1994) ; L. P. W. Ranum らNature Genet., 8, 280-284 (1994) ; A. Benomar らNature Genet., 10, 84-88 (1995) ; L. G. GouwらNature Genet., 10, 89-93 (1995) ; O. ZhuchenkoらNature Genet., 15, 62-69 (1997))。優性運動失調症の約60%がSCA1,2,3,6又は7遺伝子座のトリヌクレオチドCAGリピートにおける拡張に由来する (S. NagafuchiらNature Genet., 6, 14-18 (1994) ; O. Zhuchenko らNature Genet., 15, 62-69 (1997) ; H. T. Orr らNature Genet., 4, 211-226 (1993) ; Y. Kawaguchi らNature Genet., 8, 221-228 (1994) ; R. Koide らNature Genet., 6, 9-13 (1994) ; G. Imbert らNature Genet., 14, 285-291 (1996) ; S. -M. PulstらNature Genet., 14, 269-276 (1996) ; K. Sanpei らNature Genet., 14, 277-284 (1996) ; G. DavidらNature Genet., 17, 65-70 (1997) ; M. D. KoobらNature Genet., 18, 72-75 (1988))。残り40%の遺伝子的に特定されていない優性家系間での実質的な臨床変動は、数多くの他の運動失調症コード配列が同定されずに残っていることを示唆する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
運動失調症コード配列の同定はかかる病気を患う個体の診断のための改善された方法を提供でき、そして運動失調症の出生前/発症前診断又はより良い分類の可能性を高める。
【0004】
【課題を解決するための手段】
運動失調症の症状を示す個体が脊髄小脳性運動失調症を患っているか否かを決定するために、その個体において存在するSCA1,SCA2,SCA3,SCA6又はSCA7コード配列のCAGリピートの数を決定することができる。これと同じタイプの検査を、個人が将来において脊髄小脳性運動失調症の症状を発症しうるかの発症前同定のために利用できうる。一般に、特定のSCAコード配列におけるCAGリピートの概ね多い数は個体が脊髄小脳性運動失調症を患っているか、又は将来において脊髄小脳性運動失調症の症状を発症しうるかどうかを示唆する。脊髄小脳性運動失調症の指標であるCAGリピートの数はSCAのタイプによって一般に異なる。既知のタイプのSCAのこのようなコード配列それぞれは中断のないグルタミンアミノ酸トラクト(ポリグルタミントラクト)を含むポリペプチドをコードする。しかしながら、SCA1,SCA2,SCA3,SCA6及びSCA7コード配列が原因となる優性運動失調症は約60%にすぎない。
【0005】
8番目の脊髄小脳性運動失調症、8型脊髄小脳性運動失調症のコード配列が同定及び単離された。このコード配列をSCA8と称する。驚くべきことに、SCA1,SCA2,SCA3,SCA6及びSCA7コード配列によりコードされるmRNAはリピートを含み、そしてタンパク質へと翻訳されるが、SCA8コード配列によりコードされるmRNAはリーディングクレーム全てにおいて停止コドンを有するリピートを含む。その結果、翻訳されるようなタンパク質は同定されていない。SCA8コード配列の単離は脊髄小脳性運動失調症の更なるタイプ、即ち、8型脊髄小脳性運動失調症の診断を可能にする。
【0006】
SCA8コード配列は多形性CTAリピート及びCTGリピートを含む。この2種類のリピートは約1.2kbのフラグメント内に位置し、一般にその候補領域の制限酵素EcoRIによる消化により生成される。一般に、CTAリピートは不安定であり、そして異なる家系の個体間で変動するが、典型的にはリピート領域内のCTAリピートの数は一家系内の個体間で変わらない。CTGリピートは不安定であり、そして典型的には8型脊髄小脳性運動失調症を有する個体間又は8型脊髄小脳性運動失調症の発症のおそれのある者の間で変わる(即ち、拡張しているか又は収縮している)。かかるCTGリピートの数の変動は異なる家系の個体間及び一の家系内の個体間(即ち、一の世代と次の世代との間、及び同胞間)の双方で起こりうる。例えば、これらのリピートを含む領域のPCR分析は、改変したリピートのサイズと、少なくとも一つの8型脊髄小脳性運動失調症の症状を示す危険率との間での相関を実証する。このような結果はSCA8が、例えばSCA1、ぜい弱性X症候群、筋緊縮性ジストロフィー、X−連鎖型脊髄延髄筋萎縮及びハンチング病に関連する遺伝性運動失調症と同様に、少なくとも一組の不安定なトリヌクレオチドリピートの拡張を包含する突然変異機構を示す。
【0007】
本発明は単離した8型脊髄小脳性運動失調症(SCA8)コード配列のリピート領域を含む単離された核酸分子(当該コード配列は染色体13の長腕内に位置する)及び当該核酸分子の相補体を提供する。好ましくは、この核酸はDNAであり、そしてそれはゲノムDNAでもcDNAでもよい。一定の態様において、SCA8コード配列はリピート領域が後続するSEQ ID NO:1のヌクレオチド1〜448を含んで成る。別の態様において、このSCA8コード配列はリピート領域が先行するSEQ ID NO:1のヌクレオチド726〜1,159を含んで成る。かかる核酸分子の例はSEQ ID NO:1,SEQ ID NO:2及びSEQ ID NO:3に記載されている。
【0008】
好適な態様において、本発明はSEQ ID NO:1の1〜448を含んで成る単離された核酸分子及びそれに対する相補体を提供する。別の好適な態様はSEQ ID NO:1のヌクレオチド1〜448を含んで成り、そして更にはリピート領域を含んで成る単離された核酸分子、及びその相補体を含む。更なる別の好適な態様は、SEQ ID NO:1の726〜1,159を含んで成る単離された核酸分子及びその相補体である。かかる分子は必要ならベクターに組込まれていてよい。
【0009】
本発明はプローブ及び/又はプライマーとして利用できる単離されたオリゴヌクレオチドも提供する。一の態様において、この単離されたオリゴヌクレオチドはSEQ ID NO:1のヌクレオチド1〜448に由来する少なくとも15個のヌクレオチド及びその相補性ヌクレオチドを含む。別の態様において、この単離されたオリゴヌクレオチドはSEQ ID NO:1のヌクレオチド726〜1,159由来の少なくとも15個のヌクレオチド含んで成り、その相補性ヌクレオチドも含まれる。
【0010】
別の態様において、本発明は単離されたSCA8コード配列のリピート領域を含む核酸分子にハイブリダイズする単離されたオリゴヌクレオチドを提供する。かかるオリゴヌクレオチドは少なくとも約11個のヌクレオチドを含む。更なる別の態様において、本発明は異種ベクター配列に作用可能式に連結されたSEQID NO:1のヌクレオチドを含んで成る単離された組換ベクターを提供する。
【0011】
本発明は更に方法を提供する。一の態様において、本発明はSCA8コード配列の危険性を有するアレル内に位置するDNAフラグメントの存在を検出するための方法を提供し、この方法は当該SCA8コード配列のリピート領域を含むDNAフラグメントの独立の相補DNA分子をモル過剰量の2種類のオリゴヌクレオチドで処理し;当該プライマーを伸長させて前記リピート領域を含む所望のDNAフラグメントを合成するための鋳型を担う相補プライマー伸長生成物を形成し;そしてCTGリピートを含んで成るリピート領域についてこの増幅したDNAフラグメントを分析する;ことを含んで成る。好ましくは、この2種類のオリゴヌクレオチドプライマーの第一オリゴヌクレオチドプライマーはSEQ IDNO:1のヌクレオチド1〜448から選ばれ、そしてこの2種類のオリゴヌクレオチドプライマーの第二のオリゴヌクレオチドプライマーはSEQ ID NO:1のヌクレオチド726〜1,159に相補性のヌクレオチドから選ばれ、ここで各プライマーは少なくとも11個のヌクレオチドを有するものとする。より好ましくは、この第一オリゴヌクレオチドプライマーはSEQ ID NO:5,SEQ ID NO:8及びSEQ ID NO:4から成る群より選ばれ、そしてこの第二オリゴヌクレオチドプライマーはSEQ ID NO:6,SEQ ID NO:9及びSEQ ID NO:12から成る群より選ばれる。この方法は、個体が8型脊髄小脳性運動失調症を患うか、又はそれを発症するおそれがあるかを決定するためのキットを利用して実施してよく、かかるキットも本発明により提供される。かかるキットは上記のプライマーを含む。好ましくは、この分析段階は(CTG)n リピート(ここでnは少なくとも約80である)を含んで成るリピート領域を分析することを含んで成る。より好ましくは、この分析段階は組合せ((CTG)/(CTA))n リピート(CTGとCTAリピートの合計)(ここでnは少なくとも約92である)を含んで成るリピート領域を分析することを含んで成る。
【0012】
本発明はSCA8コード配列のリピート領域を含む少なくとも一のDNA分子の存在を検出するための別の方法を提供する。この方法は:ゲノムDNAを制限エンドヌクレアーゼで消化してDNAフラグメントを得;このDNAフラグメントを変性させてDNA分子にし、そしてそのDNA分子をハイブリダイゼーション条件下で、単離されたSCA8コード配列のリピート領域を含むDNA分子にハイブリダイズする検出可能ラベル化プローブでプロービングし;当該DNA分子にハイブリダイズしたプローブを検出し;そして当該DNA分子を正常又は危険状態にあるSCA8コード配列の特徴的なリピート領域について分析する;ことを包括する。好ましくは、このプローブはSEQ ID NO:1のヌクレオチド1〜448から選ばれるか、又はSEQ ID NO:1のヌクレオチド726〜1,159又はその相補体から選ばれ、ここでこのプローブは少なくとも20個のヌクレオチドを有する。別の態様において、このプローブはSEQ ID NO:1のヌクレオチド19〜449又はその相補体を含んで成る。この方法は、個体が8型脊髄小脳性運動失調症を患うか又はその発症のおそれがあるかを検査するためのキットで実施してよく、かかるキットも本発明により提供される。このキットはSEQ ID NO:1のヌクレオチド1〜448から選ばれるプローブ又はSEQ ID NO:1のヌクレオチド726〜1,159又はその相補体から選ばれるプローブを含む。ここで各プローブは少なくとも20個のヌクレオチドを有する。好ましくは、この方法において、分析段階は(CTG)n リピート(ここでnは少なくとも約80である)を含んで成るリピート領域を分析することを含んで成る。より好ましくは、この分析段階は組合せ((CTG)/(CTA))n リピート(ここでnは少なくとも約92である)を含んで成るリピート領域を分析することを含んで成る。
【0013】
個体が8型脊髄小脳性運動失調症を患う又はその発症の危険性があるかを決定するための別の方法は8型脊髄小脳性運動失調症のリピート領域を分析することを包含し、ここで8型脊髄小脳性運動失調症を発症する危険性のない者は当該リピート領域の中に80未満のCTGリピートしか有さない。
【0014】
本発明の更なる別の方法はSCA8コード配列の危険性のあるアレル内に位置するDNAフラグメントの存在を検出するための方法である。この方法は:SCA8コード配列のリピート領域を含むDNAフラグメントの独立の相補DNA分子をモル過剰量の第一オリゴヌクレオチドプライマーペアーで処理し;この第一プライマーペアーを伸長させて前記リピート領域を含む第一の所望のDNAフラグメントを合成するための鋳型を担う相補プライマー伸長生成物を形成し;当該リピート領域を含む第一の所望のDNAフラグメントを取り出し;当該リピート領域を含むこの第一の所望のDNAフラグメントの独立の相補鎖をモル過剰量の第二のオリゴヌクレオチドプライマーペアーで処理し、この第二のプライマーペアーを伸長させて当該リピート領域を含む第二の所望のDNAフラグメントを合成するための鋳型を担う相補プライマー伸長生成物を形成し;このようにして増幅させた第二の所望のDNAフラグメントを検出し;そしてこの増幅したDNAフラグメントをリピート領域について分析する;ことを含む。好ましくは、この第一のオリゴヌクレオチドプライマーペアーはSEQ ID NO:1のヌクレオチド1〜448から選ばれる第一オリゴヌクレオチドプライマー及びSEQ ID NO:1のヌクレオチド726〜1,159に相補性のヌクレオチドから選ばれる第二オリゴヌクレオチドプライマーを含んで成り、ここで各プライマーは少なくとも11個のヌクレオチドを有する。より好ましくは、この第一のオリゴヌクレオチドプライマーはSEQ ID NO:5,SEQ ID NO:8及びSEQ ID NO:4から成る群より選ばれ、そしてこの第二のオリゴヌクレオチドプライマーはSEQ ID NO:6,SEQ ID NO:9及びSEQ ID NO:12から成る群より選ばれる。好ましくは、この第二オリゴヌクレオチドプライマーペアーはSEQ ID NO:1のヌクレオチド449〜725から選ばれる第一オリゴヌクレオチドプライマー及びSEQ ID NO:1のヌクレオチド726〜1,159に相補性のヌクレオチドから選ばれる第二オリゴヌクレオチドプライマーを含んで成り、ここで各プライマーは少なくとも11個のヌクレオチドを有する。より好ましくは、この第二オリゴヌクレオチドプライマーペアーは、3組のCTGリピートが後続する3組のCTAリピートを有する第一オリゴヌクレオチドプライマー及びSEQ ID NO:1のヌクレオチド726〜1,159に相補性のヌクレオチドから選ばれる第二オリゴヌクレオチドプライマーを含んで成る。これらのプライマー含むかかる方法を実施するためのキットも提供する。
【0015】
定義
本明細書で用いる「コード配列」及び「コード領域」とは、適当な調節配列のコントロール下に置かれたときにポリペプチドへと翻訳されうる又はされないmRNAをコードするヌクレオチド配列を意味する。好ましくは、コード配列の発現は当該コード配列により発現されるmRNAのレベルをアッセイすることにより決定する。
【0016】
本明細書で用いる「リピート領域」及び「トリヌクレオチドリピート領域」とは、典型的に一組のトリヌクレオチド、好ましくはトリヌクレオチドCTG(即ち、CTGリピート)及び一組のトリヌクレオチドCTA(即ち、CTAリピート)を含むSCA8コード配列の領域を意味する。このSCA8コード配列によりコードされるmRNAのリピート領域は典型的には一組のCUAリピート及び一組のCUGリピートを含む。このリピート領域のCTGリピートは、トリヌクレオチドCTG以外のヌクレオチド、特にトリヌクレオチド又はその多量体を含んでよい。
【0017】
本明細書で用いる8型脊髄小脳性運動失調症の症状には、軽い呼吸及び歩行不安定性、緊張温度及び失調性搆音障害、眼振、四肢及び歩行失調、四肢痙性及び振動知覚の低下が挙げられる。重篤な個体は歩行不能となりはじめることがある。
【0018】
本明細書で用いるSCA8の「アレル」とは、染色体13の長腕上に位置するSCA8コード配列の位置を占めているヌクレオチド配列のいくつかの異なる形態の一つを意味する。染色体13の長腕上のSCA8コード配列の位置はSCA8座と呼ぶ。
【0019】
本明細書で用いる「危険性にある」とは、8型脊髄小脳性運動失調症に関連するSCA8コード配列のアレルを有する個体を意味する。ここでは、これは脊髄小脳性運動失調症の少なくとも一の症状を示しうる個体、及び将来において脊髄小脳性運動失調症の少なくとも一の症状を発症しうる個体を含む。8型脊髄小脳性運動失調症に関連するSCA8コード配列のアレルを本明細書では「危険性のある」アレルと呼んでいる。SCA8の危険性のあるアレルを有する個体はその寿命の間に少なくとも一の8型脊髄小脳性運動失調症もの症状を示しうる。SCA8の「正常」なアレルを有する個体は生きている間に8型脊髄小脳性運動失調症の症状を示さないであろう。個体が危険性にあるかどうかの検試はSCA8コード配列のリピート領域の中のトリヌクレオチドリピートの数に一般に依存する。
【0020】
本明細書で用いる「ハイブリダイズ」、「ハイブリダイズする」及び「ハイブリダイゼーション」とは、オリゴヌクレオチドが標準の条件下で標的DNA分子と非共有相互作用を形成することを意味する。標準のハイブリダイゼーション条件はオリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーが標的DNA分子にハイブリダイズすることを可能とする条件である。かかる条件は当業界に周知の技術を利用し、オリゴヌクレオチドプローブ又はプライマー及び標的DNA分子について容易に決定される。例えばSambrookら、Molecular Cloning : A Laboratory Manual ; Cold Spring Harber Laboratory : New York (1989) を参照のこと。本発明において有用な好適なプローブ及びプライマーは下記の条件下でSCA8コード配列のリピート領域を含む。DNA分子にハイブリダイズする:Express Hybe (Clontech, Cat. No. 8015-1)中でのその製造者により提唱の通りの60℃で1時間のプレハイブリダイゼーション、Express Hybe中でのDNAプローブ(その製造者により提唱の通り、Randam Primers DNA Labeling System, Gibco BRL, Cat. No. 18187-013 を利用して調製;4×107 カウント)との60℃で3時間のハイブリダイゼーション、室温にて2×のSSC,0.05%のSDSの中での15分づつ2回の洗浄、次いで50℃において0.1%のSSC,0.1%のSDSでの15分づつ2回の洗浄。標準DNA分子のヌクレオチド配列は一般にオリゴヌクレオチドプライマー又はプローブに相補性の配列である。ハイブリダイズするオリゴヌクレオチドは非共有相互作用の形成を妨害しない非ハイブリダイゼーションヌクレオチド、例えばクローニングを促進する制限酵素認識部位を含みうる。かくして、オリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーは、標準ハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイゼーションが起こる限り、標的DNA配列のヌクレオチド全体に対する相補性を有さない。
【0021】
本明細書で用いる語「DNA分子」とはヌクレオチドの一本線形鎖を意味する。
【0022】
本明細書で用いる語「DNAフラグメント」とは、互いと相補性であり、そして互いとハイブリダイゼーションし合ってDNAの二量体を形成する2本のDNA分子を意味する。本明細書で用いる語「増幅したDNAフラグメント」とはオリジナルDNAフラグメントのコピーであるDNAフラグメントを意味する。DNAフラグメントはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用して増幅できる。DNAフラグメントはオリジナルのDNAフラグメントをプラスミドにライゲーションさせ、そして得られるプラスミドを宿主細胞、例えばE.コリの中で増殖させることによっても増幅できる。増幅させたDNAフラグメントは典型的にはオリジナルDNAフラグメントの少なくとも一部に対してヌクレオチド配列同一性である。
【0023】
本明細書で用いる語「相補体」及び「相補性」とは、2本のDNA分子が互いと塩基対合する能力を意味し、ここで一方のDNA分子上のアデニンは第二DNA分子上のグアニンと塩基対合し、そして一方のDNA分子上のシトシンは第二DNA分子上のチミンと塩基対合する。2本のDNA分子は、一方のDNA分子上のヌクレオチド配列が第二DNA分子におけるヌクレオチド配列と塩基対合できるなら、互いと相補性である。例えば、2本のDNA分子5’ATGCと5’GCATは相補性であり、そしてDNA分子5’−ATGCの相補体は5’−GCATである。相補体及び相補性なる語は、2本のDNA分子であって、一方のDNA分子が第二DNA分子上に存在する少なくとも1個のヌクレオチドに対して塩基対合しない少なくとも1個のヌクレオチド含む場合も含む。例えば、2本のDNA分子5’−ATTGC及び5’−GCTATの各々の3番目のヌクレオチドは塩基対合しないが、これら2本のDNA分子は本明細書における定義に従うと相補性である。典型的には、2本のDNA分子はそれらが上記の標準条件下でハイブリダイズするなら相補性である。典型的には、2本のDNA分子はそれらが少なくとも約80%の同一性、好ましくは少なくとも約90%の配列同一性を有するなら相補性という。
【0024】
本明細書で用いる語「プライマーペアー」とは、増幅すべきDNAの領域に隣接する2本のオリゴヌクレオチドを意味する。一方のプライマーは増幅すべきDNAフラグメントの一端にあるセンス鎖上に存在するヌクレオチドに対して相補性であり、そして他方のプライマーは増幅すべきDNAフラグメントの他端にあるアンチセンス鎖上に存在するヌクレオチドに対して相補性である。増幅すべきDNAフラグメントは鋳型DNAと呼ぶことができる。プライマーが相補性であるDNAフラグメントのヌクレオチドは標的配列又は標的DNAと呼ぶ。プライマーは少なくとも約11個のヌクレオチドを有してよく、そして好ましくは約16個以上、約35個以下のヌクレオチドを有しうる。典型的には、プライマーはそのプライマーがハイブリダイズする標的DNAの少なくとも約80%の配列同一性、好ましくは少なくとも約90%の配列同一性を有する。プライマーはDNAポリメラーゼのための出発点を担うことができ、かかるポリメラーゼは必須物質の存在下で鋳型DNAに相補性のDNA分子を合成する。典型的には、プライマーペアーはPCRによりDNAフラグメントを増幅するのに利用する。
【0025】
本明細書で用いる語「単離された」とは天然DNAフラグメント、DNA分子、コード配列又はオリゴヌクレオチドがそのもとの環境から取り出されていることを意味するか、又は合成分子又はクローン化生成物を意味する。好ましくは、DNAフラグメント、DNA分子、コード配列又はオリゴヌクレオチドは精製されており、即ち、任意のその他のDNAフラグメント、DNA分子、コード配列又はオリゴヌクレオチド、及び一体化した細胞性生成物又はその他の不純物を本質的に含まない。
【0026】
本明細書で用いる語、「診断」とは運動失調症の危険性にある個体の発症前の同定であってよく、家系病歴のない個体の同定が含まれる。診断は、少なくとも一種の運動失調症を示す個体における少なくとも一種の症状の遺伝子基準の同定も意味しうる。
【0027】
【発明の実施の形態】
A.診断方法
病気に関係するコード配列の同定はその病気の改善された診断を可能にする。かくして、本発明は8型脊髄小脳性運動失調症を発症する危険性のある個体及びかかる病気の症状を示している個体の診断方法に関連する。本発明の別の観点は危険性のない個体の診断方法に関連する。一般に、これらの方法はゲノムDNA又はcDNA内のDNAフラグメントの存在を検出できる。好ましくは、このDNAフラグメントはゲノムDNA内に存在するヌクレオチドを含んで成る。好ましくは、このDNAフラグメントは染色体13の長腕のSCA8座内に位置する。このSCA8座は危険性のあるSCA8アレル又は正常SCA8アレルを含みうる。このSCA8座は一般にリピート領域を含む。
【0028】
典型的には、SCA8アレルのリピート領域内に存在するCTGリピートの数は決定できる。一般に、SCA8の危険性のあるアレルはSCA8リピート領域内に少なくとも約80組のCTGリピートを有するアレルである。一般に、80CTGリピート未満のSCA8アレルは正常アレルであり、これは8型脊髄小脳性運動失調症の症状を発症しないであろう個体の指標である。
【0029】
好ましくは、SCA8アレルのリピート領域内に存在するCTG及びCTAリピートの数を決定することができる。危険性のあるアレルは好ましくはSCA8コード配列のリピート領域内に少なくとも約92組の組合せCTA及びCTGリピートを有するものである。組合せCTAリピート及びCTGリピートの数は((CTG)/(CTA))n と呼ぶことができ、ここでnはCTAリピートとCTGリピートの数である。SCA8コード配列のリピート領域内で約91組の組合せCTA及びCTGリピート、好ましくは約33組以下のそれを有するSCA8アレルは一般にSCA8コード配列のアレルが正常であることを示唆する。一般に、今日まで評価された正常アレルには多少のCTA及びCTGリピート、典型的には約16組のそれがある。
【0030】
このリピート領域はリピート内に中断を有してよい。例えば、CTGリピートの5’側、即ち、CTAリピートに最も近いCTGリピート側に非CTGトリヌクレオチドリピートがあってよい。CTGリピートは(i)リピートの6又は9番目のトリプレットとしてのCCG、(ii)リピートの6〜8、又は6〜9番目のトリプレットとしてのCCGトリヌクレオチド、(iii)リピートの6及び14番目のトリプレットとしてのCCGトリヌクレオチド、又は(iv)リピートの20,27,33及び38番目のトリプレットとしてのCCGトリヌクレオチドを含みうることが認められた。また、CTGリピートはリピートの3及び5番目のトリプレットとしてCTAトリヌクレオチドを含みうる。更に、CTA及びCTGリピートは6個までのヌクレオチドで隔てられていてよいこともわかった。例えば、SEQ ID NO:1はリピート領域を構成するCTAとCTGリピートとの間に6個のヌクレオチド(ヌクレオチド449〜554)を開示する。CTAリピートとCTGリピートとの間のこの領域を構成するヌクレオチドは種々のSCA8アレル間で変わり、そしていくつかのSCA8アレルには存在しない。かくして、80のリピートを有するCTGリピートが、最少数のCTGではない介在トリヌクレオチドを有するものでありうる。
【0031】
本発明の診断方法は特異的なDNAフラグメントを検出するための公知の方法、例えばDNAの直接検出又はRNAの検出を介する間接検出を包括しうる。例えば、PCR技術はSCA8コード配列のリピート領域を増幅させる新規のプライマーで利用できる。他方、ラベル化プローブを利用するサザン又はノーザンブロッティングハイブリダイゼーション技術を利用できる。その他の核酸配列決定技術もトリヌクレオチドリピートの数を決定するために利用できる。これらの方法はSCA8の症状を有する個体又は将来においてかかる症状を発症する危険性のある個体に適用できる。
【0032】
本発明の一の態様において、DNAプローブをSCA8コード配列の危険性のあるアレルのDNAフラグメント又はDNA分子を同定するために利用できる。DNAプローブは、同定しようとするコード配列に由来する相補DNA分子とハイブリダイズする又は非共有結合するラベル化一本鎖DNA分子である。このプローブは放射能及び非放射能ラベルを含む当業界周知の適当なラベルでラベルしてよい。典型的な放射能ラベルには32P,125 I,35S等が含まれる。非放射能ラベルには、例えばリガンド、例えばビオチン又はジゴキシゲニン、並びに酵素、例えばホスファターゼ又はペルオキシダーゼ、又は様々な化学発光物質、例えばルシフェリン、又は蛍光化合物、例えばフルオレセイン及びその誘導体が含まれる。プローブは分離のし易さのために異なるタイプのラベルで両端をラベルしてもよく、例えば一端をアイソトープラベル、そして他端をビオチンラベルを用いてラベルしてよい。
【0033】
本発明はリピート領域を含む少なくとも一種のDNA分子の存在を検出するための方法に関連し、これではゲノムDNAのサンプルを例えば制限エンドヌクレアーゼによる消化により分断し、そして得られるDNAフラグメントをオリゴヌクレオチドプローブでプロービングする。DNAプローブ分析を利用し、SCA8コード配列を含む染色体13の長腕由来のDNAを含む多種多様なコード配列由来のDNAを含む複合混合物を得るようにゲノムDNAを酵素消化、分断及び変性にかけることにより標的DNAを誘導することができる。好ましくは、DNAプローブは標的DNAにだけハイブリダイズする。好ましくは、この標的DNAはSCA8コード配列、即ち、SCA8コード配列の一部であるか、又は制限エンドヌクレアーゼによる消化を経たリピート領域の近くにあるDNA又は同じDNA分子であり、そして得られる複合体は当業界公知の技術により単離及び同定できる。一の態様において、この方法はゲノムDNAを制限エンドヌクレアーゼで消化してDNAフラグメントを得、そのフラグメントを分断してDNA分子を得、その分子を標準のハイブリダイゼーション条件で検出可能式にラベルされたプローブでプロービングし(このプローブは単離されたSCA8コード配列のリピート領域を含むDNA分子にハイブリダイズする)、前記DNA分子にハイブリダイズするプローブDNAを検出し、そしてこのDNAフラグメントをSCA8コード配列の正常又は危険状態の特徴的なリピート領域について分析することを包括する。
【0034】
本発明は更にプローブを提供する。このプローブはオリゴヌクレオチド又は長めのヌクレオチド配列であってよく、合成又は天然のいずれでもよく、リピート領域に隣接するDNA配列領域にハイブリダイズし、且つ任意的にリピート領域を含むDNA配列にハイブリダイズする。好ましくは、このプローブは染色体13の長腕のSCA8コード配列にハイブリダイズする。このプローブはリピート領域を有するSCA8コード配列のフラグメント(好ましくは約1.2kbのEcoRIフラグメント)の危険性のあるアレル又は正常アレルの鎖の一部に対して相補性なヌクレオチド配列を含む。このプローブは少なくとも約20個のヌクレオチドであってよく、好ましくは少なくとも30ヌクレオチドである。これらのプローブはそのヌクレオチド配列が危険性のある又は正常なSCA8アレルの鎖の一部に対し、リピート領域に直結する部分を含むリピート領域の5’側の好ましくは約450ヌクレオチド内で相補性となるように選定する。好ましくは、このプローブのヌクレオチド配列はSEQ ID NO:1のヌクレオチド1〜449から選ばれる又はそれに対して相補性である。他方、これらのプローブはそのヌクレオチド配列が危険性のある又は正常なSCA8アレルの鎖の一部に対し、リピート領域に直結している部分を含むリピート領域の3’側の好ましくは約435ヌクレオチド内で相補性となるように選定する。好ましくは、このプローブのヌクレオチド配列はSEQ ID NO:1のヌクレオチド726〜1,159から選ばれる又はそれに対して相補性である。プローブの非限定例はSEQID NO:1のヌクレオチド19〜449及びそれに対して相補性のヌクレオチドである。このプローブはニトロセルロースに転写したSCA8アレルに対して下記の条件下でハイブリダイズするであろう:Express Hybe (Clontech, Cat. No. 8015-1)中でのその製造者により提唱の通りの60℃で1時間のプレハイブリダイゼーション、Express Hybe中でのDNAプローブ(その製造者により提唱の通り、Randam Primers DNA Labeling System, Gibco BRL, Cat. No. 18187-013 を利用して調製;4×107 カウント)との60℃で3時間のハイブリダイゼーション、室温にて2×のSSC,0.05%のSDSの中での15分づつ2回の洗浄、次いで50℃において0.1%のSSC,0.1%のSDSでの15分づつ2回の洗浄。
【0035】
一般に、SCA8コード配列内に位置するDNAフラグメントの存在を検出するため、ゲノムDNAを制限エンドヌクレアーゼで消化してDNAフラグメントを得る。検査すべきゲノムDNAの起源はDNAを含む生物学的検体であってよい。その例には血液、精液、膣スワブ、組織、毛髪及び体液の検体が含まれる。制限エンドヌクレアーゼはゲノムDNAを特定のヌクレオチド配列を有する二本鎖DNAのフラグメントに切断するであろうものであってよい。数多くのエンドヌクレアーゼの特異性が周知であり、そして様々な公開物、例えばSambrookら ; Molecular Cloning : A Laboratory Manual ; Cold Spring Harbor Laboratory : New York (1989)に見い出せうる。好適な制限エンドヌクレアーゼ酵素にはEcoRI,TaqI及びBseNIが含まれる。EcoRIが特に好適である。
【0036】
病気の診断は他に新規のプライマーを利用するポリメラーゼ連鎖反応配列増幅(PCR)の利用を包括することができる。米国特許第4,683,195号(Mullisら、1987年7月28日特許)が核酸配列の増幅、検出及び/又はクローニングのための方法を述べている。この方法はSCA8コード配列のリピート領域を含むDNAフラグメントの独立の相補DNA分子をモル過剰量の2種類のオリゴヌクレオチドプライマーで処理し;これらのプライマーを伸長させて前記リピート領域を含む所望のDNAフラグメントを合成するための鋳型を担う相補プライマー伸長生成物を形成し;このようにして増幅したフラグメントを検出し;そしてこの増幅したDNAフラグメントをリピート領域について分析することを包含する。
【0037】
より詳しくは、当該DNAフラグメントをプライマーで処理し、そしてそのプライマーを伸長させる方法工程は下記の段階を含む:オリゴヌクレオチドプライマーのペアーを添加する(ここでこのペアーの一方のプライマーは当該DNAフラグメントのセンス鎖内のヌクレオチド配列の一部に対して相補性であり、そして各ペアーの他方のプライマーは当該DNAフラグメントの相補アンチセンス鎖内の同じヌクレオチド配列の別の部分に対して相補性である);この対合したプライマーをこの相補DNA分子にアニーリングする;同時に、このアニーリングしたプライマーを各プライマーの3’末端から伸長し、各プライマーにアニーリングさせた鎖に相補性な伸長生成物を合成する(ここでこの伸長生成物はその相補体から分離させた後、各プライマーの他方のプライマーについての伸長生成物の合成のための鋳型を担う);そしてこの伸長生成物を前記鋳型から分離させ、一本鎖分子を生成する。この方法の変法が米国特許第4,683,194号(Saikiら、1987年7月28日特許)に記載されている。ポリメラーゼ連鎖反応配列増幅方法はSaikiらScience, 230, 1350-1354 (1985)及びScarf ら、Science, 324, 163-166 (1986)に記載されている。PCRはSCA8リピート領域を含むヌクレオチド配列を検出するために利用できる。
【0038】
本発明は更にプライマーを提供する。これらのプライマーはオリゴヌクレオチドであり、合成又は天然のいずれでもよく、染色体13の長腕のSCA8コード配列のリピート領域を含むDNA配列領域に対して相補性の生成物の合成の開始点を担うことができる。好ましくは、このプライマーはリピート領域を有するSCA8コード配列のフラグメントの危険性のあるアレル又は正常アレル(好ましくは約1.2kbのEcoRIフラグメント)の鎖の一部に対して相補性なヌクレオチド配列を含む。このプライマー配列は少なくとも約11個のヌクレオチド、そして好ましくは約16以上、約35以下のヌクレオチドを有しうる。典型的には、このプライマーはそれらが約70塩基対〜約100塩基対、好ましくは約100塩基対〜約450塩基対のプライミング化生成物を供するように選ぶ。より好ましくは、これらのプライマーは危険性のあるアレル又は正常アレルの鎖の一部に対し、そのリピート領域に直結する部分を含むリピート領域のいずれかの例の約150ヌクレオチド以内に対して相補性である。
【0039】
プライマーペアーの第一プライマーはSEQ ID NO:1のヌクレオチド1〜448から選ばれ、そしてプライマーペアーの第二プライマーはSEQ ID NO:1のヌクレオチド726〜1,159に対して相補性のヌクレオチドから選ばれうる。このプライマーはSEQ ID NO:1のヌクレオチド1〜448の中の及びSEQ ID NO:1のヌクレオチド726〜1,159に対して相補性なヌクレオチドの中のどこから選んでもよい。好ましくは、第一プライマーはSCA8−F3(5’−TTTGAGAAAGGCTTGTGAGGACTGAGAATG−3’)(SEQ ID NO:5)、SCA8−F4(GTAAGAGATAAGCAGTATGAGGAAGTATG)(SEQ ID NO:8)又はSCA8−F5(TCAATTCTTTATTCATAAATTCTTAAG)(SEQ ID NO:4)である。好ましくは、第二プライマーはSCA8−R2(5’−CCTCATGTTAGAAAACTGGCTTT−3’)(SEQ ID NO:6)、P(GCCCTATCCCAATTCCTTGGCTAGA)(SEQ ID NO:12)又はSCA8−R4(GGTCCTTCATGTTAGAAAACCTGGCT)(SEQ ID NO:9)である。SCA8−F3及びSCA8−R2プライマーを利用するDNAフラグメントの増幅のための条件は例えば200μMのdNTP、10mMのTris pH9.0、50mMのKCl、0.1%のTriton X−100、1.0mMのMgCl2 、10%のDMSO、0.1UのAmpliTaq(Perkin Elmer,Norwalk,Connecticut))サイクル数35回(94℃で45秒、53℃で75秒、及び72℃で75秒)でありうる。
【0040】
他方、PCRは、センス鎖に由来する第一プライマーを含んで成る、即ち、SEQ ID NO:1のヌクレオチドの一部を含んで成り、第一プライマーがSEQ ID NO:1に相補性のヌクレオチドにハイブリダイズするプライマーペアーを利用することにより、CTAリピートではなくCTGリピートを増幅するのに利用できる。SEQ ID NO:1にはリピート領域を構成するCTAとCTGリピートとの間の6個のヌクレオチド(ヌクレオチド449〜554)を開示する。CTAリピートとCTGリピートとの間の領域を構成するヌクレオチドは異なるSCA8アレル間で変わり、そしていくつかのSCA8アレルの中にはない。第一プライマーはCTAリピートを構成するヌクレオチドの少なくとも一部を含んで成るか、又は第一プライマーはCTAリピートを構成するヌクレオチドの少なくとも一部とCTGリピートを構成するヌクレオチドの少なくとも一部を含んで成ってよい。例えば、プライマーペアーの第一プライマーは3組以下のCTAリピート、それに続く9組未満のCTGリピートを含んで成ってよく、好ましくは3組のCTAリピート、それに続く6組以下のCTGリピートを含んで成ってよく、最も好ましくは3組以下のCTAリピート、それに続く3組以下のCTGリピートを含んで成ってよい。3種超のCTGリピートを有する第一プライマーは、CTGリピートの長さが検査すべき個体のゲノムDNA内のその他の位置に存在するCTGリピートとのこの第一プライマーの結合を及ぼしてしまうようなものでないことを条件に、利用できる。多重のCTA及びCTGリピートを含んで成る第一プライマーのハイブリダイゼーションを可能にするため、ハイブリダイゼーション温度は下げてよい。例えば、ハイブリダイゼーション温度は約55℃にまで下げてよい。
【0041】
一般に、本発明のこの観点のプライマーペアーの第二プライマーはセンス鎖内のヌクレオチド配列の一部に対して相補性であり、そしてハイブリダイズする。好ましくは、このプライマーがハイブリダイズするヌクレオチド配列はSEQ ID NO:1のヌクレオチド726〜1,159、即ち、CTGリピートの3’側のヌクレオチドの短い部分(少なくとも約11ヌクレオチド、そして好ましくは約16以上、約35以下のヌクレオチド)を含んで成る。本発明のこの観点は、増幅するヌクレオチド配列が存在する全DNAのごくわずかである場合、ゲノムDNA又はcDNAのサンプルで実施してよい。
【0042】
他方、且つ好ましくは、本発明のこの観点は既に増幅したDNAのフラグメントに対して実施してよい。例えば、リピート領域、即ち、CTA及びCTGリピートの双方を含む、ヌクレオチド配列を第一プライマーペアーを利用してゲノムDNA又はcDNAのサンプルからPCR増幅することができ、そしてPCRにより増幅したヌクレオチド配列をこの第一プライマーペアーから単離し、そして任意的に増幅していないゲノムDNA配列が単離してよい。この単離した増幅ヌクレオチド配列は、CTAリピートではなくリピート領域のCTGリピートを増幅する第二プライマーペアーを利用する2回目の増幅にかけることができる。本発明のこの観点において、好ましくはこの第二プライマーペアーは第一プライマーペアーにより増幅したヌクレオチド配列の中に存在するSCA8コード配列のヌクレオチドに対してハイブリダイズし、そして第二プライマーペアーはCTAリピートではなくCTGリピートを増幅する。
【0043】
別の態様において、リピート領域、即ち、CTA及びCTGリピートの双方を含むDNAフラグメントは第一プライマーペアーを利用してゲノムDNA又はcDNAのサンプルから増幅してよく、そして増幅DNAフラグメントを第一プライマーペアーから取り出し、そして任意的に増幅していないゲノムDNA配列から取り出してよい。この増幅したDNAフラグメントを例えばポリアクリルアミドゲルで分解してDNAフラグメント内のCTA及びCTGリピートの数を決定することができる。単離した増幅DNAフラグメントはCTGリピートではなくリピート領域のCTAリピートを増幅する第二プライマーペアーを利用して2回目の増幅にかけることができる。本発明のこの観点において、好ましくは第二プライマーペアーは第一プライマーペアーにより増幅したヌクレオチド配列の中に存在するSCA8コード配列のヌクレオチドに対してハイブリダイズし、そして第二プライマーペアーはCTGリピートではなくCTAリピートを増幅する。本発明のこの観点はSCA8アレルのリピート領域内のCTAリピートの数を決定するために利用できる。CTAリピートの数が決定できたら、それはDNAフラグメント内のCTGリピートの数を決定するために利用できる。
【0044】
SCA8のリピート領域に対して5’及び3’側の領域は一般に様々なSCA8アレル間で99.9%保存されている。ポリメラーゼ連鎖反応増幅に適するオリゴヌクレオチドはリピート領域の5’及び3’側双方のリピート領域は隣接する領域から選ばれうる。オリゴヌクレオチドプライマーを選定するSCA8コード配列の領域はSEQ ID NO:2又はSEQ ID NO:3、好ましくはSEQ ID NO:1のヌクレオチドから選ばれる。好適なプライマーペアーはSEQ ID NO:5とSEQ ID NO:6,SEQ ID NO:4とSEQ ID NO:12、及びSEQ ID NO:8とSEQ ID NO:9である。これらのプライマーペアーはそれぞれPCR技術を利用して注目のリピート領域を有効に増幅する。このようなオリゴヌクレオチドは脊髄小脳性運動失調症を患う又はその危険性のあると予測される個体から採取したDNA由来のSCA8コード配列からリピート領域を増幅するために有用である。この増幅フラグメントをゲル上で泳動させ、リピート領域の長さを検定し、そしてSCA8アレルを危険又は正常に分類することができる。他方、このプライマーペアーはSCA8遺伝子を配列決定するための様々な公知技術、例えばCTGリピートの数又はCTA及びCTGリピートの数を決定する技術に利用できうる。
【0045】
本発明は更に、個体がリピート領域に関係する病気を発症する危険性を有するか否かを検査するためのキットに関連する。この個体がリピート領域に関係する病気を発症する危険性を有するか否かを検査するためのキットは上記のプローブ及び/又はプライマーを含む。典型的には、検出するリピート領域はCTGリピート、好ましくはCTG及びCTAリピートである。好ましくは、このリピート領域はSCA8コード配列の中に存在する又はそれによりコードされる。
【0046】
前述の通り、その他の診断方法を同様に利用してよい。これらはゲノムDNA、cDNA又はmRNAのリピート領域の単離及び同定を基礎としうる。これには、例えばSCA8コード配列のヌクレオチド配列内のささいな変化を検出する様々な電気泳動技術の利用が含まれる。更なる非限定例には変性勾配電気泳動、一本鎖コンホメーショナル多形態ゲル、非変性ゲル電気泳動技術、及びDNAチップ又はDNAのマイクロチップアレーが挙げられる。
【0047】
SCA8コード配列のマッピング及びクローニングは生物学的検体、例えば血液の簡易検査を利用する一のタイプの優性遺伝運動失調症の具体的な診断を可能にする。これは優性運動失調症の明確な分子分類に対する第一ステップとなる。運動失調症についての簡易且つ信頼できる分類システムは重要であり、なぜなら臨床症状はSCA8及び非SCA8疾患形態で著しく重なっているからである。更に、唯一わかっているSCA8突然変異についての分子検査は既知のSCA8家系における病気の発症前診断を可能にし、そして家系病歴のない場合、散在又は単独SCA8リピート領域拡張又は収縮の同定を可能にする。かくして、本発明は家族カウンセリング、医療処置計画、及び原因不明の運動失調症を患う患者の標準処置に利用される。
【0048】
B.リピート領域に隣接する配列を利用しての全長遺伝子のクローニング
本発明はリピート領域を含むコード配列全体及びその一部に対応する核酸分子を含むリピート領域を含む核酸分子に関する。好ましくは、このリピート領域は単離されたSCA8コード配列のリピート領域であり、そして好ましくはこの核酸分子はSCA8コード配列全体及びその一部に対応する核酸分子である。本発明は更に、異種ベクター配列に作用可能式に連結されたSEQ ID NO:1,SEQ ID NO:2又はSEQ ID NO:3のヌクレオチドを含んで成る単離された組換ベクターを含む、SCA8コード配列全体及び一部を含んで成るベクター及び単離された組換ベクターに関する。
【0049】
適当な複製可能ベクターへのDNAのクローニングはリピート領域に隣接する配列の決定及び全長コード配列のその後の単離を供する。クローニングはコード配列によりコードされるmRNAの発現を可能にする。
【0050】
1.DNAの単離
リピート領域を含むコード配列を含むDNAは当該コード配列によりコードされるmRNAを保有し、且つ検出可能なレベルにおいてそれを発現するものと信じられている組織から調製したcDNAから得たライブラリーであってよい。他に、SCA8コード配列はゲノムDNAライブラリーから、又は完全ヌクレオチド配列からのin vitroオリゴヌクレオチド合成により得られうる。
【0051】
ライブラリーは注目のコード配列を同定するためにデザインされた適当なプローブでスクリーニングする。好ましくは、これらのプローブはリピート領域の両側のヌクレオチド配列に由来する。選定のプローブによるcDNA又はゲノムライブラリーのスクリーニングは標準の手順を利用して成し遂げられうる。プローブとして合成オリゴヌクレオチドを利用するcDNAライブラリーのスクリーニングは本発明の実施の好適な方法である。プローブとして選定されるオリゴヌクレオチドは偽陽性を最小限とするのに十分な長さ及び十分な精度を有するべきである。異なる種に由来するDNAを含むライブラリーをスクリーニングする場合、プローブの実際のヌクレオチド配列は通常、最低限のコドン冗長性を有する伸長リピートに隣接するヌクレオチドの領域を基準に設計される。このオリゴヌクレオチドは1又は複数の位置において縮重していてよく、即ち、所定の位置において2種類以上のヌクレオチドがオリゴヌクレオチドに組込まれていてよく、これにより多重の合成オリゴヌクレオチドが得られる。縮重オリゴヌクレオチドの利用は、優先的なコドン用法のわかっていない種からライブラリーをスクリーニングするときに時に重要である。
【0052】
このオリゴヌクレオチドは、スクリーニングするライブラリー内のDNAに対するハイブリダイゼーションにより検出できるようにラベルしてよい。ラベリングの好適な方法はオリゴヌクレオチドの5’末端を放射性ラベリングするためのATP及びポリヌクレオチドキナーゼの利用である。しかしながら、オリゴヌクレオチドをラベルするのにその他の方法、例えば限定することなく、ビオチニル化又は酵素ラベリングを利用してよい。
【0053】
リピート領域を含むコード配列を単離するための別の手段はPCR方法論を利用することにある。この方法はSCA8コード配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマープローブの利用を必要とする。PCRプライマーオリゴヌクレオチドの選択のための戦略は以下に説明する。
【0054】
2.ベクターへのDNAの挿入
リピート領域を含む当該コード配列を含む核酸(例えばcDNA又はゲノムDNA)は好ましくは更なるクローニングのため(DNAの増幅)又は当該コード配列によりコードされるmRNAの発現のための複製可能ベクターの中に挿入する。多くのベクターが有用であり、そして適当なベクターの選択は:1)それがDNA増幅のため又はmRNAの発現のために利用されるかどうか;2)このベクターの中に挿入すべき核酸のサイズ;及び3)このベクターにより形質転換すべき宿主細胞;に依存する。
【0055】
適当なベクターの構築は当業界において公知の標準のライゲーション技術を利用する。単離したプラスミド又はDNAフラグメントを切断し、仕立し、そして必須のプラスミドを構築するのに所望される形態で再ライゲーションする。典型的には、E.コリを形質転換するためにライゲーション混合物を利用し、そして有効な形質転換体は適宜アンピシリン又はテトラサイクリン耐性により選別する。形質転換体由来のプラスミドは当業界公知の方法により調製し、制限エンドヌクレアーゼ消化により分析し、及び/又は配列決定する。例えば、Messing ら、Nucl. Acids Res., 9, 309 (1981) 及びMaxam ら、Methods in Enzymology, 65, 499 (1980) を参照のこと。
【0056】
複製可能なクローニング及び発現ベクター成分は一般に、限定することなく、1又は複数の下記の成分を含む:シグナル配列、複製起点、1又は複数のマーカーコード配列、エンハンサー要素、プロモーター及び転写終止配列。現時点で、様々な有能な宿主細胞により認識されている数多くのこれらの成分各々が当業界に周知である。成分は標準の分子生物学技術を利用してその起源DNAから取り出し、そして特定の種に内因性であるその他の成分と一緒に利用できうることが当業界に周知でもある。他方、異種成分を一緒に利用し、クローン化DNAの安定な複製又はクローン化DNAによりコードされるmRNAの発現をもたらしてよい。トリヌクレオチドリピートを含むコード配列のクローニングに利用できる成分の非限定的な説明は1994年6月28日に出願された米国出願第08/267,803号に見い出うる。
【0057】
3.宿主細胞
本明細書に記載のベクターをクローニング及び発現するのに適当な宿主細胞は原核細胞、糸状菌粒、酵母、原生動物並びに高等真核細胞、例えば脊椎動物、無脊椎動物及び植物細胞である。好ましくは、この宿主細胞は最少限量のタンパク質分解酵素を分泌すべきである。宿主細胞内でのクローン化DNAを含むベクターの増殖は近年ルーチン的な手順となっており、そして当業界において周知である。
【0058】
他方、in vitroクローニング方法、例えばPCR又はその他の核酸ポリメラーゼ反応が適当である。
【0059】
4.トランスフェクション及び形質転換
宿主細胞を本発明の上述の発現又はクローニングベクターによりトランスフェクション及び好適には形質転換し、そしてプロモーターを誘導、形質転換体を選別、又は所望の配列をコードするコード配列を増幅するために適宜改良された慣用の栄養培地の中で培養する。
【0060】
クローン化DNAを含むベクターの取り込みを促進するための宿主細胞の処理の数多くの方法が当業界に知られ、例えばリン酸カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、塩化カルシウム処理、核注入、プロトプラスト融合又はマイクロプロジェクチルボンバードメインも利用されうる。
【0061】
宿主細胞の活性及びクローニングベクターの運搬を助長する適当な培地の中でのクローニングベクターを含む宿主細胞の培養が当業界に周知である。当業者に公知の任意の必須添加物を適当な濃度で含ませてもよい。培養条件、例えば温度、pH等は当業者に明らかとなるであろう。本明細書中で言及する宿主細胞はinvitro培養物及び宿主動物内のものを含む。
【0062】
【実施例】
実験
コード配列の同定された全ての優性形態の脊髄小脳性運動失調症(SCA1,2,3,6及び7)はポリグラタミントラクトとして翻訳されるCAGリピートの拡張を原因とする。その他の形質の運動失調症がこの突然変異機構を共有するかどうかを決定するため、CAGリピートについてのリピート拡張検出(RED)を未知の形態の優性遺伝運動失調症を有する運動失調症家系のコレクション由来のDNAサンプルに対して実施した(L. P. W. Ranumら、Am. J. Hum. Genet., 57, 603-608 (1995))。新規の形態の脊髄小脳性運動失調症(SCA8)の原因となる今まで発表されていないCTG拡張の同定を説明する。
【0063】
a.方法
RED,2D−RED及びRAPIDクローニング
SCA8アレルのリピート拡張検出(RED)、二次元RED(2D−RED)及びRAPIDクローニングを記載の通りに実施した(M. D. Koobら、Nature Genet., 18, 72-75 (1998))。簡単には、ゲノムDNAを家系Aのプロバンド(図2)から標準の手順を利用して単離した。この単離したDNAを、1998年8月18日に出願のL. P. W. Ranumらの米国出願第09/135,994号に記載のその後の2D−RED及びRAPIDクローニング手順に利用するため、EcoRIで消化した。RED陽性画分を約5×105 クローンから成るサブゲノムライブラリーの構築のために利用した。約5×104 クローンの内のクローンプールを個別にRED+ クローンについてスクリーニングした。これらのプールのうちの一つがRED80生成物を構築する。このプール由来のプラスミドを記載の通りにして(M. D. Koobら、前掲)(CTG)10オリゴを利用してCAG拡張を含むクローンについて濃縮し、そしてその結果得られたクローンを36の個別のクローンのプールにおいてスクリーニングした。次に、RED+ プールの一つ由来のクローンを個別にスクリーニングした。RED80生成物を構築する2つのクローンがこのプールから同定された。CTG拡張及び隣接のゲノムDNAを含む1.2kbのインサートを次に配列決定した(SEQ ID NO:1)。
【0064】
拡張SCA8リピートのPCRアッセイ
SCA8リピート拡張アッセイをSCA8−F3(5’−TTTGAGAAAGGCTTGTGAGGACTGAGAATG−3’)(SEQ ID NO:5)及びSCA8−R2(5’−CCTCATGTTAGAAAACTGGCTTT−3’)(SEQ ID NO:6)プライマーにより、PCR反応(200μMのdNTP、10mMのTris pH9.0、50mMのKCl、0.1%のTriton X−100、1.0mMのMgCl2 、10%のDMSO、0.1UのAmpliTaq(Perkin Elmer,Norwalk,Connecticut))サイクル数35回(94℃で45秒、53℃で75秒及び72℃で75秒)で実施した。EcoRI消化ゲノムDNAのサザン分析を、PCRにより確実に増幅されるには大きすぎる拡張アレルのサイズを確認するために用いた(即ち、>200リピートを有するアレル)。このプローブはCTGリピートの5’側の全てのエクソンC及びエクソンAの一部を含むSEQ ID NO:3のヌクレオチド267〜604を含んで成る約340bpのcDNA SCA8プローブであり、そしてKit Randam Prime (GIBCO BRL, Rockville, MD) でその製造者の提唱に従いラベリングした。40の Center d'Etude du Polymorphisme Humain (CEPH)対照家族(Coriell, Canden, NJ)の祖父母及び既知の形質の運動失調症を有する患者の配偶者由来のDNAをSCA8 PCRアッセイのための正常コントロールとして用いた。
【0065】
SCA8拡張のマッピング
SCA8リピートを上記のPCRアッセイによりCEPHヒトYAC DNAプール(Research Genetics, Huntsville, AL 、製品番号95011A及び95011B)のスクリーニングにより物理的にマッピングした。簡単には、PCR分析はSCA8 CTGリピートを含むYACクローンを同定するため、プライマーSCA8−F3及びSCA8−R2を利用するプールしたYACのDNAアリコートに対して実施した。3つの重複YAC(758B1,744F11及び810G9)が同定された。プライマーSCA8−F3及びSCA8−R2を利用するその後のPCR分析は重複するYACがSCA8 CTGリピートを含むことを確証した。
【0066】
これらのYACは染色体13q21にマッピングされた大型YACコンティグの一部である。染色体13の位置決めは染色体細胞ハイブリドパネルNIGMSパネル#2(Coriell,Camden,NJ)を利用して個別に確認した。簡単には、PCR分析をプライマーSCA8−F3及びSCA8−R2を利用してDNAアリコートに対して実施し、SCA8 CTGリピートを含むヒト染色体を同定した。
【0067】
連鎖分析
連鎖分析(例えばOtt. J., Analysis of Human Genetic Linkage, 改訂版、The Johns Hopkins University Press, Bultimore, 1991 参照)をLINKAGEパッケージコンピュータープログラム(バージョン5.1)を利用し、そのプログラムの開発者の提唱に従い実施した(G. M. Lathrop ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, 3443-3446 (1984))。5つの年令依存性浸透クラスがその家系の年令発症プロフィールを基準に危険性のある発症していない個体について確立された(0〜20才 10%;21〜30才 30%;31〜45才 50%;46〜60才 60%;60才超 70%)。発症した個体及び未発症の配偶者を別のクラスに分けた。一般集団の運動失調症の発症率は1/10,000と推定された。SCA8マーカーについてのアレル頻度はCEPH祖父母由来のデータを基礎とした。
【0068】
SCA8アレルのクローニング及び配列決定
PCRをPrikin Elmer由来のXL PCRキット(Norwalk,Connecticut)を利用し、供給バッファー10mMのMg(OAC)を、10%のDMSO、3UのrTth DNAポリメラーゼ、XL及びプライマーSCA8−F4(GTAAGAGATAAGCAGTATGAGGAAGTATG)(SEQ ID NO:8)及びSCA8−R4(GGTCCTTCATGTTAGAAAACCTGGCT)(SEQ ID NO:9)を用い、前述の「拡張SCA8リピートのPCRアッセイ」で述べた通りのサイクルで実施した。PCR生成物をアガロースゲル精製し、リン酸化し(33mMのトリス酢酸、pH7.8、66mMの酢酸カリウム、10mMの酢酸マグネシウム、500mMのDTT、62mMのATP及び5UのT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Edicentre,Madison,WI)、37℃で30分インキュベーション)、そしてCIP処理したSmaI消化pBluescript SK(−)(Stratagene,La Jolla,CA)にクローニングした。プラスミドを標準のミニプレップ手順を利用して精製し、そして二本鎖ジデオキシ配列決定を一のPCR生成物につき少なくとも2つの独立のクローンで実施した。
【0069】
cDNA末端の迅速増幅(RACE)
5’RACEシステム(バージョン2.0)(Gibco BRL Life Technologies, Rockville, MD, Cat. No. 18374-041)をcDNA 5’末端の迅速増幅のために用いた。5’RACEシステムを利用する反応のため、第一鎖合成はHuman Brain Carebellum mRNA(ヒト脳小脳mRNA)(Clontech,Cat.No.6543−1)及び2.5pmdeのcDNA特異的プライマー(以下参照)を利用してその製造者の提唱に従い実施した。cDNAの精製及びTdTテーリングは5’RACEシステムの製造者のプロトコールに記載の通りに実施した。
【0070】
第一ラウンドのPCRはcDNAプライマーの5’側の配列からデザインした入れ子式プライマー及びこのキットに供与されている5’RACE省略型アンカープライマーで実施した。反応はAdvantage cDNAポリメラーゼキット(Clontech)で実施し、そしてサイクル数は35回とした(94℃で50秒、65℃で4分)。
【0071】
第二ラウンドPCRは1:20の希釈率の第一ラウンド生成物で実施した。この反応に用いたプライマーは第二の入れ子式プライマー及び5’RACEシステムに供与されている省略型万能増幅プライマー(AUAP)とした。Gene Amp XL PCR(Perkin Elmer)成分を下記のPCRプロフィールで用いた:94℃でのホットスタート、次いでサイクル数5回(94℃で30秒、72℃で2分);サイクル数5回(94℃で30秒、70℃で2分);そして最後にサイクル数32回(94℃で30秒、68℃で2分)。
【0072】
第一の5’RACE反応において、第一鎖合成は製造者の提唱に従いHuman Brain Cerebellum mRNA(Clontech)及び2.5pmoleのcDNA−特異的プライマーF5(TCAATTCTTTATTCATAAATTCTTAAG)(SEQ ID NO:4)を利用して実施した。第一PCRは製造者供給のAAPプライマー及びF4プライマー(GTAAGAGATAAGCAGTATGAGGAAGTATG)(SEQ ID NO:8)を利用した。第二の入れ子式PCRは製造者供給のAAUPプライマー並びにI−longプライマー(GTCTAGCCAAGGAATTGGGATAGGGCTTC)(SEQ ID NO:13)及びC25プライマー(GACTCCGCTGGAAACTCTTCAGCCA)(SEQ ID NO:14)の双方を利用した。この結果はSCA8転写物の5’末端となった。
【0073】
第二の5’RACE反応においては、第一鎖は製造者の提唱に従いHumanBrain Cerebellum mRNA(Clontech)及び2.5pmoleのcDNA−特異的プライマーF27R(TCCATCTTTCTGAAGGTTTGCTCAGCA)(SEQ ID NO:15)を利用して実施した。第一PCRは製造者供給のAAPプライマー及びF23Rプライマー(TTGAATGGCCGGTTGATGACAG)(SEQ ID NO:16)を利用した。第二の入れ子式PCRは製造者供給のAAUPプライマー及びE22Rプライマー(CTGCTGAGTGCCCTGCCCAGGAG)(SEQ ID NO:17)を利用した。その結果はBKRP転写物の5’末端であった。
【0074】
Marathon−Ready cDNA(小脳cDNA,Cat.no.7401−1)(Clontech,polo Alto,CA)を5’及び3’cDNA端の双方のために用いた。Marathon−Ready cDNA反応に関しては、2ラウンドの入れ子式PCRラセットを上記の通り、そのキットに供与されているプライマーAP1及びAP2、並びに別のSCA8−特異的プライマー(下記参照)を利用して実施したが、ただし双方の反応は下記のPCRプロフィールを利用した:94℃でのホットスタート、次いでサイクル数5回(94℃で30秒、72℃で2分);サイクル数5回(94℃で30秒、70℃で2分);そして最後にサイクル数25回(94℃で30秒、68℃で2分)。
【0075】
第一のMarathon cDNA反応において、第一のPCRはAPIプライマー及びF4プライマーを利用した。第二の入れ子式PCRはAPIプライマー及びNプライマー(GTAGTAGTAGTAGTAAAGCCAGGTT)(SEQ ID NO:18)を利用した。この結果はSCA8転写物の第一部であった。
【0076】
第二のMarathon cDNA反応においては、第一PCRはAPIプライマー及びPプライマー(GCCCTATCCCAATTCCTTGGCTAGA)(SEQ ID NO:12)を利用した。第二の入れ子式PCRはAPIプライマー及びR4プライマー(GGTCCTTCATGTTAGAAAACCTGGCT)(SEQ ID NO:9)を利用した。その結果はSCA8転写物の3’−ポリA末端であった。
【0077】
第三のMarathon cDNA反応においては、第一PCRはAPIプライマー及びD23プライマー(ACCCAGCCAGAGTCGCCTGCTCA)(SEQ ID NO:7)を利用した。第二の入れ子式PCRはAPIプライマー及びD24プライマー(CTTCATCGTCCTCCCCGTCCTCTT)(SEQ ID NO:11)を利用した。その結果はSCA8転写物の3’−ポリA末端であった。
【0078】
生成物を1.2%のSeu Plaque GTG(FMC BioProducts Chicago,IL)低融点アガロースゲル上で1×のTAEバッファー(40mMのトリス酢酸、1mMのEDTA)で分解した。分解したPCR生成物のバンドを無菌レーザーブレードで切り出し、そしてアガロースをAgarACE(0.2U;Promega Madison,WI)により供給者の説明書に従い酵素的に除去した。DNAはEtOH沈殿により濃縮し、乾かし、そして10μlの10mMのトリス、1mMのEDTA(pH7.5)バッファーに再懸濁した。そのPCR生成物をプラスミドベクターpBS SK(−)(Stratagene,La Jolla,CA)のSmaI部位の中にクローニングした。PCRインサートのヌクレオチド配列を標準技術を利用して決定した。配列分析はNational Center for Biotechnology Information ウェブページ(www. ncbi. nlm. nih. gov)を通じて入手できるインターネットソフトウェアを利用して実施した。
【0079】
ノーザン及びポリA+ RNAドットブロット分析
Human Brain Multiple Tissue Northern (Clontech) 及びRNA Master Blot (Clontech)をノーザン分析のために用いた。最初に、BKRP転写物の3’未翻訳領域由来の約700bpのcDNAプローブ(SEQ ID NO:10)をRandam Prime (GIBCO BRL, Rockville, MD) を利用してラベリングし、そしてExpress Hybe (Clontech) を利用して双方のブロットにハイブリダイズさせた。製造者の推奨はハイブリダイゼーション及び洗浄に関して利用した。次いでブロットをストリッピングし、そしてRandam Prime (GIBCO BRL)を利用してラベルしたSEQ ID NO:3のヌクレオチド267〜604を含んで成る340bpのcDNA SCA8プローブと再ハイブリダイズさせた。
【0080】
B.結果
運動失調症患者由来の拡張CTGリピートのRAPIDクローニング
未知の形態の優性遺伝運動失調症を有する運動失調症家族の集団からの一の家系由来の疾患を有する母及び疾患を有する娘由来のDNAサンプルは80組のCAGリピートを有するRED生成物を構築した(RED80)。娘由来のEcoRI消化ゲノムDNAの2D−RED分析はRED80生成物が既知のCAG拡張により構築されないことを示した(図1a)。このCAG拡張を更に特性決定するため、拡張を含む約1.2kbのEcoRIフラグメントをRAPIDクローニング手順を利用してクローニングし、そして得られるクローン内のゲノムインサートのヌクレオチド配列を決定した。
【0081】
配列分析はこの拡張が80組の中断のないCAGリピート、それに続く10組のTAGリピートのストレッチから成ることを示した(図7a:CTG及びCTAリピートを含む相補鎖をこの図に示す)。この拡張に広がっている有意義なオープンリーディングフレームはなく、そして特にポリグルタミン拡張を供するであろうリーディングフレームは反復したTAG停止コドンを含む。PCRプライマーはゲノム配列からリピートをまたいで増幅するようにデザインされ、そして染色体ハイブリドパネルのPCR分析及びCEPH YACライブラリーはこの拡張を多形態マーカーD13S275及びD13S135付近の染色体13q21に物理的にマッピングした。今までこの座において運動失調症コード配列はマッピングされていない。
【0082】
新規の優先運動失調症(SCA8)を有する拡張したCTGリピートの共分離CTGリピートのPCR分析は家系A由来のゲノムサンプルに対して実施した(図2)。疾患を有する個体及び2人の危険性を有する個体の双方がこのアレルの一つにおいて拡張を有することが見い出され、そしてその拡張は3回の遺伝のうち2回においてサイズが大きくなった。運動失調症家族集団をこのPCRアッセイでスクリーニングし、そしてこの拡張を有する運動失調症患者のいる別の7つの家系が同定された。図2は5組のこれらの家系の個体において見い出されたCTG拡張のサイズを示す。これらの家族のうちの最大の家族(家系E,図2)は7世代家系であり、その構成員89人を臨床的に評価し、そして拡張について試験した。PCR分析はこれらの家系における疾患を有する個体全員がこの遺伝子座に拡張アレルを有することを示した。家系Eについての運動失調症と拡張との間での連鎖分析(表I)は6.6の最大LOD点を示した。この結果は、この遺伝子座での拡張が新規の形態の優性遺伝脊髄小脳性運動失調症(SCA8)の原因でありうることを示唆する。
【0083】
これらのSCA8家系由来の家族構成員を診断した神経学者はこの遺伝子試験結果について目かくした。全員で25人の臨床的に疾患を有する個体を同定した。発症年令は10〜60才に範囲した(35±17の平均±SD)、疾患を有する家族構成員の初期検査時の年令は37〜68才(平均48±12)に範囲し、検査時の疾患期間は0〜35年であった。搆音障害、軽い呼吸及び歩行不安定性は一般に初期症状であった。検査発見には痙性及び運動失調症障害、眼振、四肢及び歩行運動失調症、回復痙性及び低下振動認知が挙げられる。SCA8拡張についてホモ接合性である患者及びそのヘテロ接合同胞(図2、家系E、VI:24−26)は同程度の疾患を有し、発症及び病気の進行速度は同程度であった。
【0084】
拡張リピートを有するが評価時に臨床的に疾患を有さない21人の個体がいた。無症候キャリヤーの評価時の年令は14〜74才であり、その平均(44±17才)であり、疾患を有する家族構成員の年齢と同程度であった。この不完全な浸透度を理由に、SCA8形態の運動失調症を有する個体は常に明確な運動失調症の優性家系歴を有するものではなかった。我々のコレクションにおいて同定した8組のSCA8家族のうち6組が優性運動失調症を有する家系歴として、1組(家系D)はおそらくは劣性形態の運動失調症として(即ち、多発的に疾患を有する同胞及び疾患のない親)、そして1組は(示していない)は運動失調症病歴のない疾患を有する個体(散発的)として分類された。後者の2家系を除くと、SCA8は我々の家系コレクション中の優性遺伝運動失調症の3.4%(6/175)を占め、SCA1(10/175)及びSCA7(8/175)と似た頻度であった。
【0085】
SCA8病原性拡張は大きく、且つ不安定である
疾患を有する及びその危険性のある個体の多大なSCA8PCR分析を実施し(図3)、そして692の疾患のないアレルを代表するコントロールゲノムDNAサンプルのパネルを分析した。この分析の結果を図4にまとめる。CTG及びCTAリピートは共に多形性であるため、我々のPCRアッセイはこれら2種類のリピートの組合さったサイズを決定するものであり、そしてこれが図4に示している値である。16〜91組の組合せCTG/CTAリピートを有する正常SCA8アレルが見つかったが、正常アレルの>99%が19〜34の総リピートを有していた。SCA8拡張を有する運動失調症患者の間で、92〜179組の範囲の組合せCTG/CTAリピートが見つかった。疾患を有するアレルの配列決定はCTAが3〜17組のリピートのサイズで変動することを示したが、CTGリピートのみが一の世代から次の世代との間で拡張し、又はサイズ変化することがわかった。疾患を有する個体におけるCTG拡張のみのサイズは80〜170組の中断のないリピートに範囲した。このように疾患を有するアレルのサイズはその他SCAを及ぼすどのCAG拡張について一般に認められるものよりも相当大きいが、成人発症DM患者間で見い出せるCTG拡張とサイズにおいて似かよっている(T.Ashizawaら、Neurology,42,1877−83(1992))。疾患を有さない最大のアレルの一つ(81組の組合せリピート)も配列決定し、そして68組の中断のないCTGリピートが見つかった。中断のないCTG及びCTAリピートトラクトの間に見い出せたCTG/CTAリピートに対するささいな単一ヌクレオチド変化の数及び位置は配列決定したアレルの多くの間で幅広く変動した。
【0086】
CTGリピート数の世代間変化は一般にその他の優性SCAよりもSCA8に関して大きいが、一般にDMほどは大きくない。SCA8拡張の母方及び父方遺伝におけるCTGリピート数の変化の棒グラフを図5に示す。ほとんどの父方遺伝はCTGリピート(−36〜+7)の収縮をもたらし(即ち、この拡張は最大36リピートの消失から最大7リピートの増加で変化した)、そしてほとんどの母方遺伝は拡張をもたらした(−7〜+575)。筋緊張性ジストロフィーにおいて認められるものとサイズにおいて似かよったリピートの長さの3通りの非常に大きい増加(+250,+350,+575)は全て母方遺伝に由来する。拡張の母方遺伝への片寄りはその他のSCA(SCA1,SCA2,SCA3,SCA8及びSCA7)については報告されていないが、筋緊張性ジストロフィーについては似ている。
【0087】
疾患浸透度の母方への片寄り
驚くべきことに、症候性SCA8の27の記録遺伝のうちの25が母方であった(図2)。リピート拡張を有する18の無症候個体のうち3人が母方遺伝であり、15人が父方遺伝であった。家系D(図2)がSCA8の記録父方遺伝子を有する唯一の家系である。父は、臨床学的に疾患を有さないが、異常に大きいSCA8拡張を有し(200リピート)、そして彼の臨床学的に疾患を有する子供はそれよりは小さいにしても大きいCTG拡張を受け継いでいた(164及び170リピート)。
【0088】
SCA8拡張のサイズは発症年令及び症度とは相関しない
その他の優性脊髄小脳性運動失調症とは異なり、SCA8の発症年令はCTG拡張のサイズと有意に相関しないようである(図6)。図6の分析の中に含まれていない4人の発症前個体は更に、リピート長が発症年令を予測するのに利用できないことを示した。見つけられた最大のSCAP拡張(約400,500及び700リピート)は運動失調症徴候を示さない15〜24才の危険性のある個体に存在し、そして家系Dの無症候キャリヤー(図2)は200のCTGリピートを有したが、>2式でもまだ発症していない。発症年令とリピート長との間での相関の似たような欠如が約500未満のCTGリピートを有するDM患者についても認められている。
【0089】
SCA8患者間で幅広く変動する疾患の間の症度も患者のリピート長又は発症年令と有意な相関がないことがわかる。しかしながら、SCA8疾患の期間は疾患を有する同胞間で似かよっており、このことはリピート長以外の環境的又は遺伝的要因がSCA8の病因に強い影響を有することを示唆しうる。
【0090】
SCA8トリヌクレオチドリピートは天然のアンチセンス転写物における非翻訳CTGである
SCA8 CAGリピートを含むcDNAを同定するため、小脳mRNAから構築したラムダcDNAライブラリーをスクーニングし、そしてたった一つのcDNAクローンが同定された。このクローン由来のインサートの配列決定はcDNAが明らかに、CTG方向においてSCA8リピートを通じて転写されたポリアデニル化mRNAに由来することを示した。この結果はゲノムSCA8配列の更なる分析を裏付けし、その分析はCTGリピートの104bp3’側の共通ポリアデニル化シグナル及びCTAリピートの112bp5’側の推定スプライシングアクセプター部位の存在を示した(図7)。
【0091】
RACEの反復ラウンドを実施して全長プロセシング化SCA8転写物を同定し、それを図8に模式的に示す。連鎖したcDNAの3’又は5’末端の両側を同定するMarathon RACE手順(CLONTECH)を利用した。ゲノム配列分析から予測の通り、多重スプライス変異体の配列決定は、CTGリピートが予測のスプライシングアクセプター部位で始まる3’末端エキソンの中に存在することを確証した。同定された最長の転写物はCTG/CTAリピートを除くと長さ1200ntであり、そして4つのエクソンから成る。エクソンBを有さない短めの変異体も同定された。これらの転写物は有意義なオープンリーディングフレームを有さず、また公知のコード配列との有意義な相同性を有さない。
【0092】
驚くべきことに、長さ3kbまでの転写物の独立のセットが、MarathonRACE手順をSCA8転写物の5’エキソンD由来のプライマーを利用して実施したときに同定された。配列決定はこれらのポリアデニル化cDNAが長いオープンリーディングフレームを有するが、SCA8転写物とは反対方向で転写されたmRNAに由来することを示した。これらの転写物に特異的なプライマーを利用する反復した5’RACE分析はエキソンD及びCの接点に非常に近いSCA8転写物のエクソンD内に属する5’末端を同定した(図7参照のこと)。これらのデーターはSCA8転写物が、そのプロセシングされた形態において3.4kbのmRNAと516bpの重複を有する点で天然のアンチセンスRNAであることを示唆する。516塩基対の重複はSEQ ID NO:2の最初の516ヌクレオチドに対応する。SCA8 CTGリピートはアンチセンスの中にあるが、センス転写物の中にはない。
【0093】
センスmRNA内のオープンリーディングフレームは長さが547個のアミノ酸であり、且つ環抗管のアクチン結合成分であるドロソフィラ・ケルヒ(Drosophila kelch)タンパク質(D.N.Robinsonら、J.Cell Biol.,138,799−810(1997))との高い相同性を有するタンパク質をコードする。この新しいコード配列を脳ケルヒ−関連タンパク質(Brain Kelch−Related Protein:BKRP)と命名する。BKRPは配列分析からケルヒ及び多数のジンクフィンガータンパク質の中に存在するPOZ/BTBタンパク質:タンパク質相互作用ドメインを有することが予測され、そしてケルヒのアクチン結合ドメインを構成するものと考えられる6つの「ケルヒモチーフ」リピートも有するものと予測される。BKRPは環状管に対するケルヒの局在化の時期を担うケルヒのアミノ末端に対する相同性を有さない。BKRPのドメイン組織は最近発表されたケルヒ関連神経特異的ヒトコード配列NRP/B(T.A.Kimら、J.Cell Biol.141,553−66(1998))及び本質的に同一のマウスコード配列ENC−1(M.C.Hernandezら、J.Neurosci.,17,3038−51(1997))のそれと非常に似ている(BKRPはこれらのタンパク質と同一性28%及び類似性48%である)。脊椎動物における神経誘導の特異的な分子マーカーとして同定されたENC−1タンパク質はアクチン細胞骨格の構造に関与するものと仮定され、そして神経過程情報に関与することの示されているNRP/Rは核マトリックスタンパク質であると信じられている。
【0094】
50人の成人及び胎児組織由来の標準化量のmRNAで作った多重組織ブロット(RNA Master Blot,Clontech)及び8の脳式組織から作ったノーザンブロット(Human Brain MTN Blot II,Clontech)から作ったノーザンブロットをBKRP mRNA及びSCA8アンチセンス転写物に特異的なプローブで順次プロービングした。
【0095】
SCA8プローブはドットブロット上に示されているほとんどの組織から非常に弱いシグナルを検出したが、このシグナルのレベルの低さはその他の転写物とのバックグランドハイブリダイゼーションから明確に区別できなかった。SCA8 cDNAが小脳mRNAからPCRベース法により作られたという事実とは関係なく、SCA8プローブはノーザンブロット上の転写物を明確に検出できなかった。ポリA+ ドットブロットのBKRPプロービングは黒質由来のmRNAにおける最大レベルの転写物、小脳、前葉及び視床下部核における低めのレベルの発現、そして延髄、腎臓及び肺における更に低いレベルを検出した。全胎児脳由来のmRNAは全成人脳由来のmRNAよりも有共に高いレベルのBKRP転写物を含んだ。長さ約3.5kbの単一のBKRP転写物がノーザンブロット上で、小脳、延髄及び前葉由来のmRNAの中で検出され、大脳皮質、骨髄、後頭極、側頭葉及び被殻由来のmRNAでは検出されなかった。
【0096】
配列表の説明
SEQ ID NO:2はエクソンD,C,B及びAを含んで成る人工配列:cDNAである。
SEQ ID NO:3はエクソンE,C及びAを含んで成る人工配列:cDNAである。
SEQ ID NO:4〜9及び11〜18は人工配列:プライマーである。
SEQ ID NO:10はBKRP転写物由来の人工配列:cDNAである。
【図面の簡単な説明】
【図1】SCA8拡張CTGリピートのRAPIDクローニングを示す。
a)優性遺伝運動失調症を有する個体から単離したEcoRI消化ゲノムDNAの2D−RED分析(星付きの個体は図2の家系A)。構築されたRED生成物のサイズをパネルの横に示し、そしてRED生成物を構築した4つの画分をパネルの下に示す。RED30,RED70及びRED40生成物を構築したゲノムDNAサイズ画分は多くの疾患を有する個体に存在する大きな非病理性「バックグランド」CTGリピートを含む。RED80 CTG拡張を含むサイズ分画(星印で示す)はこの運動失調症患者に固有であり、従って記載の通りにクローニングした。
b)RED陽性一次クローンプールに由来するCTG濃厚クローンプールのRED分析(方法の欄参照のこと)。各プールは36人の個体のクローンに由来するDNAを含む。プール9の中の個別のクローン由来のプラスミドDNAのRED分析は拡張CTGリピートを含む2つのクローンを同定した。これらのクローンの配列分析は80組の中断のないリピートを有する拡張したCTGトラクトを示した。
【図2】SCA8 CTGリピート拡張についての5組の運動失調症家系を示す。べた塗り記号は運動失調症を有する個体を示し、点付き記号はCTG拡張が遺伝されているが運動失調症の臨床的に発症していない個体を示す。拡張したアレルのCTGリピート長は記号の下に示す。拡張CTGの単離された患者を家系Aの中で黒を付けて示す。家族E内で見つかったCTGリピート拡張の配列の中断は、V:15及びV:16により寄与される拡張アレルをその子孫から区別することを可能にする。「M」又は「P」はCTG拡張を含むアレルが母方又は父方遺伝のそれぞれであることを示す。
【図3】危険性のあるアレル及び正常アレルのSCA8 CTGのPCR分析。疾患を有する及び危険性のある個体におけるSCA8アレルのPCRサイズ決定。拡張(E)及び正常(E)アレルはパネルの核に示す。M13のサイズのはしごをサイズ対比のために含ませている。
【図4】図3と同様、危険性のあるアレル及び正常アレルのSCA8 CTGのPCR分析。コントロール染色体(n=692)とSCA8アレルとの間でのリピート領域長の分布を示す。安定に遺伝した多形態CTA(3〜17リピート)はCTGストレッチの5’末端に位置する。
【図5】母方及び父方遺伝についてのリピート数の世代間変動。リピート変異をCTGリピート単位の減少(−)又は増加(+)で示す。母方遺伝は灰色の棒で示し、そして父方遺伝は黒色の棒で示す。
【図6】発症年令と拡張アレルのCTGリピート長との関係の相関係数r=−0.33165が計算され、発症分の変動のわずか11%(r2 =0.11)が疾患染色体上のCTGリピート長に原因しうることを示す。
【図7】SCA8リピート領域のゲノム(a)及びmRNA(b)の内容を模式的に示す。
a)CTG拡張のゲノムの内容。CTA及びCTGリピートのコンホメーションをRAPIDクローニングにより単離されたリピート拡張について示す(「リピート領域」)。CTG鎖のみ示す。スプライシングアクセブター部位はCTG拡張の5’側のゲノム配列の中にあり、そして共通ポリアデニル化シグナルはリピートの3’側の配列にある。SCA8リピートはCTG方向で転写され、そして完全にプロセシングされたアンチセンス転写物の中にある。水平線分はcDNA配列を示し、そして鉛直線分はおよそのスプライシング接点を示す。SCA8転写物を4つのエクソン(A〜D)と一緒に示すが、エクソンD,B及びA、又はエクソンE,C及びAのみを含むスプライス変異体も単離された(エクソンEは示さない)。エクソンDは反対方向で転写されたmRNAの5’UTRに対して相補性である。
【図8】ヌクレオチド配列を示す。
A)SCA8のリピート領域を含むゲノムDNAのEcoRIフラグメントである(SEQ ID NO:1)。
B)SCA8コード配列のmRNAである(SEQ ID NO:2)。これらのmRNAはエクソンD,C,B及びAを含む。
【図9】図8の続きである。
C)SCA8コード配列のmRNAである(SEQ ID NO:3)。このmRNAはエクソンE,C及びAを含む。
【図10】図9の続きである。
D)BKRP転写物の3’非翻訳領域由来の約700bpのcDNAプローブを示す(SEQ ID NO:10)。
【配列表】
Claims (31)
- 8型脊髄小脳性運動失調(SCA8)コード配列の危険性のあるアレル内に位置するDNAフラグメントの存在を検査するための方法であって、
(a)前記SCA8コード配列のリピート領域を含むDNAフラグメントの独立の相補DNA分子をモル過剰量の2種類のオリゴヌクレオチドプライマーで処理し、ここで前記2種類のオリゴヌクレオチドプライマーの第一オリゴヌクレオチドプライマーが配列番号:1のヌクレオチド1〜448の連続したオリゴヌクレオチドから選ばれ、そして当該2種類のオリゴヌクレオチドプライマーの第二オリゴヌクレオチドプライマーが配列番号:1の連続したヌクレオチド726〜1,159に相補性のヌクレオチドから選ばれ、ここで各プライマーが少なくとも15個のヌクレオチドを有し;
(b)当該プライマーを伸長させて前記リピート領域を含む所望のDNAフラグメントを合成するための鋳型を担う相補プライマー伸長生成物を形成し;
(c)このようにして増幅した前記フラグメントを検出し;そして
(d)この増幅したDNAフラグメントを少なくとも80組のCTGリピート又は少なくとも92組の組合せCTA及びCTGリピートを含んで成るリピート領域について分析する;
ことを含んで成る方法。 - 前記第一オリゴヌクレオチドプライマーが配列番号:5,配列番号:8及び配列番号:4から成る群より選ばれ、そして前記第二オリゴヌクレオチドプライマーが配列番号:6,配列番号:9及び配列番号:12から成る群より選ばれる、請求項1記載の方法。
- 請求項1記載の方法において使用されるキットであって、配列番号:1の連続したヌクレオチド1〜448から選ばれる第一オリゴヌクレオチドプライマー及び配列番号:1の連続したヌクレオチド726〜1,159に相補性のヌクレオチドから選ばれる第二オリゴヌクレオチドプライマーを含んで成り、ここで各プライマーが少なくとも15個のヌクレオチドを有する、キット。
- 前記分析の段階が、(CTG)n リピート(式中、nは少なくとも80である)を含んで成るリピート領域を分析することを含んで成る、請求項1記載の方法。
- 前記分析の段階が、少なくとも92組の組合せCTA及びCTGリピートを含んで成るリピート領域を分析することを含んで成る、請求項1記載の方法。
- SCA8コード配列のリピート領域を含む少なくとも一種のDNA分子の存在を検出するための方法であって:
(a)ゲノムDNAを制限エンドヌクレアーゼで消化してDNAフラグメントを得る;
(b)当該DNAフラグメントを変性させてDNA分子を得、そしてこのDNA分子をハイブリダイゼーション条件下で検出可能式にラベルされたプローブでプロービングする、ここで当該プローブはSCA8コード配列のリピート領域を含むDNA分子にハイブリダイズする;
(c)前記DNA分子にハイブリダイズした前記プローブを検出する;そして
(d)当該DNA分子を正常なSCA8コード配列又は危険性のある状態のSCA8コード配列を特徴とするリピート領域について分析する;
ここで、正常な状態のSCA8コード配列を特徴とするリピート領域は80組より少ないCTGリピートと91組以下の組合せCTA及びCTGリピートから成り、及びここで、危険性のある状態のSCA8コード配列を特徴とするリピート領域は少なくとも80組のCTGリピート又は少なくとも92組の組合せCTA及びCTGリピートから成ることを含んで成る方法。 - 前記プローブが配列番号:1のヌクレオチド1〜448もしくは配列番号:1のヌクレオチド726〜1,159、又はそれらの相補体から選ばれ、ここで当該プローブが少なくとも20個のヌクレオチドを有する、請求項6記載の方法。
- 前記プローブが配列番号:1のヌクレオチド19〜449、又はその相補体を含んで成る、請求項6記載の方法。
- 請求項6記載の方法において使われるキットであって、配列番号:1のヌクレオチド1〜448もしくは配列番号:1のヌクレオチド726〜1,159、又はその相補体から選ばれるプローブを含んで成り、ここで各プローブは少なくとも20個のヌクレオチドを有するキット。
- 前記分析の段階が、(CTG)n リピート(式中、nは少なくとも80である)を含んで成るリピート領域を分析することを含んで成る、請求項6記載の方法。
- 前記分析の段階が、少なくとも92組の組合せCTG及びCTAリピートを含んで成るリピート領域を分析することを含んで成る、請求項6記載の方法。
- 個体が8型脊髄小脳性運動失調症を患っているか又はそれを発症する危険性があるか否かを決定するための方法であって、8型脊髄小脳性運動失調症コード配列のリピート領域を分析することを含んで成り、ここで8型脊髄小脳性運動失調症の発症の危険性のない個体は80組より少ないCTGリピートと91組以下の組合せCTA及びCTGリピートを含んで成るリピート領域を有し、及びここで8型脊髄小脳性運動失調症の発症の危険性のある個体は少なくとも80組のCTGリピート又は少なくとも92組の組合せCTA及びCTGリピートを含んで成る、方法。
- SCA8コード配列の危険性のあるアレル内に位置するDNAフラグメントの存在を検出するための方法であって:
(a)前記SCA8コード配列のリピート領域を含むDNAフラグメントの独立の相補DNA分子をモル過剰量の第一オリゴヌクレオチドプライマーペアーで処理する;
(b)当該第一プライマーペアーを伸長させて、前記リピート領域を含む第一の所望のDNAフラグメントを合成するための鋳型を担う相補プライマー伸長生成物を形成する;
(c)当該リピート領域を含む第一の所望のDNAフラグメントを取り出す;
(d)当該リピート領域を含む第一の所望のDNAフラグメントの独立の相補鎖をモル過剰量の第二オリゴヌクレオチドプライマーペアーで処理する;
(e)当該第二プライマーペアーを伸長させて、前記リピート領域を含む第二の所望のDNAフラグメントを合成するための鋳型を担う相補プライマー伸長生成物を形成する;
(f)このようにして増幅した当該第二の所望のDNAフラグメントを検出する;そして
(g)この増幅したDNAフラグメントをリピート領域について分析し、ここでリピート領域は少なくとも80組のCTGリピート又は少なくとも92組の組合せCTA及びCTGリピートから成る;
ことを含んで成る方法。 - 前記第一オリゴヌクレオチドプライマーペアーが、配列番号:1の連続したヌクレオチド1〜448から選ばれる第一オリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号:1の連続したヌクレオチド726〜1,159に相補性のヌクレオチドから選ばれる第二オリゴヌクレオチドプライマーとを含んで成り、ここで各プライマーが少なくとも15個のヌクレオチドを有する、請求項13記載の方法。
- 前記第一オリゴヌクレオチドプライマーが配列番号:5,配列番号:8及び配列番号:4から成る群より選ばれ、そして前記第二オリゴヌクレオチドプライマーが配列番号:6,配列番号:9及び配列番号:12から成る群より選ばれる、請求項14記載の方法。
- 前記第二オリゴヌクレオチドプライマーペアーが配列番号:1の連続したヌクレオチド449〜725から選ばれる第一オリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号:1の連続したヌクレオチド726〜1,159に相補性のヌクレオチドから選ばれる第二オリゴヌクレオチドプライマーとを含んで成り、ここで各プライマーは少なくとも15個のヌクレオチドを有する、請求項13記載の方法。
- 請求項13記載の方法において使われるキットであって、配列番号:1の連続したヌクレオチド1〜448から選ばれる第一オリゴヌクレオチドプライマーと配列番号:1の連続したヌクレオチド726〜1,159に相補性のヌクレオチドから選ばれる第二オリゴヌクレオチドプライマーとを含んで成る第一オリゴヌクレオチドプライマーペアー、及び配列番号:1の連続したヌクレオチド449〜725から選ばれる第一オリゴヌクレオチドプライマーと配列番号:1の連続したヌクレオチド726〜1,159に相補性のヌクレオチドから選ばれる第二オリゴヌクレオチドプライマーとを含んで成る第二オリゴヌクレオチドプライマーペアーを含んで成り、ここで各プライマーは少なくとも15個のヌクレオチドを有する、キット。
- 前記第二オリゴヌクレオチドプライマーペアーが3組のCTGリピートが後続する3組のCTAリピートを有する第一オリゴヌクレオチドプライマーと、配列番号:1のヌクレオチド726〜1,159に相補性のヌクレオチドから選ばれる少なくとも15個の連続したヌクレオチドを含んでなる第二オリゴヌクレオチドプライマーとを含んで成る、請求項13記載の方法。
- 前記分析段階が(CTG)n リピート(式中、nは少なくとも80である)を含んで成るリピート領域を分析することを含んで成る、請求項13記載の方法。
- 染色体13の長腕内に位置する8型脊髄小脳性運動失調症(SCA8)コード配列のリピート領域を含む核酸分子及び当該核酸分子の相補体であり、ここで前記核酸がDNAを含んで成り、且つ前記cDNAが配列番号:2を含んで成る、核酸分子。
- 染色体13の長腕内に位置する8型脊髄小脳性運動失調症(SCA8)コード配列のリピート領域を含む核酸分子及び当該核酸分子の相補体であり、ここで前記核酸がDNAを含んで成り、且つ前記cDNAが配列番号:3を含んで成る、核酸分子。
- 染色体13の長腕内に位置する8型脊髄小脳性運動失調症(SCA8)コード配列のリピート領域を含む核酸分子及び当該核酸分子の相補体であり、ここで前記核酸が配列番号:1を含んで成る、核酸分子。
- 配列番号:1のヌクレオチド1〜448を含んで成る核酸分子又はその相補体。
- 配列番号:1のヌクレオチド726〜1,159を含んで成る核酸分子又はその相補体。
- 染色体13の長腕内に位置する8型脊髄小脳性運動失調症(SCA8)コード配列のリピート領域を含む核酸分子及び当該核酸分子の相補体であり、ここで前記SCA8コード配列が、リピート領域の後続する配列番号:1のヌクレオチド1〜448を含んで成る、核酸分子。
- 染色体13の長腕内に位置する8型脊髄小脳性運動失調症(SCA8)コード配列のリピート領域を含む核酸分子及び当該核酸分子の相補体であり、ここで前記SCA8コード配列が、リピート領域の先行する配列番号:1のヌクレオチド726〜1,159を含んで成る、核酸分子。
- ベクターの中に配列番号:1のヌクレオチド1〜448を含んで成る核酸分子。
- 配列番号:1のヌクレオチド1〜448及びリピート領域を含んで成る核酸分子、又はその相補体。
- 配列番号:1のヌクレオチド1〜448由来の少なくとも連続した15個のヌクレオチドを含んで成るオリゴヌクレオチド、又はその相補ヌクレオチド。
- 配列番号:1のヌクレオチド726〜1,159由来の少なくとも連続した15個のヌクレオチドを含んで成るオリゴヌクレオチド、又はその相補ヌクレオチド。
- 異種ベクター配列に作用可能式を連結された配列番号:1のヌクレオチドを含んで成る組換ベクター。
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