JP2001069984A - 第7番染色体片親性ダイソミーを検出する方法およびキット - Google Patents

第7番染色体片親性ダイソミーを検出する方法およびキット

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JP2001069984A
JP2001069984A JP24790999A JP24790999A JP2001069984A JP 2001069984 A JP2001069984 A JP 2001069984A JP 24790999 A JP24790999 A JP 24790999A JP 24790999 A JP24790999 A JP 24790999A JP 2001069984 A JP2001069984 A JP 2001069984A
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cytosine
thymine
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uracil
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Kenjiro Ozaki
健次郎 小崎
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Keio University
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便かつ迅速に、また、高い安全性で、ラッ
セルシルバー症候群に関与する、PEG1遺伝子が存在する
染色体の片親性ダイソミーを検出する方法を提供するこ
と。 【解決手段】 対象の配列のメチル化および非メチル化
を同時に検出するPCRにより、PEG1遺伝子が存在する染
色体の片親性ダイソミーを検出する方法であって、対象
の配列は、父親由来のアレルは発現するが、母親由来の
アレルは発現しないPEG1遺伝子のアイソフォームのプロ
モーター領域の配列の全部または一部である前記方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PEG1遺伝子が存在
する染色体の片親性ダイソミーを検出する方法およびそ
のキットに関する。
【0002】
【従来の技術】ラッセルシルバー症候群は、子宮内発育
遅延および出生後の低身長を主な症状とする比較的頻度
の高い疾患である。ラッセルシルバー症候群患者の約10
%が、第7番染色体の母親由来片親性ダイソミー(upd(7)
mat)を有することが示された。PEG1は第7番染色体上に
ある唯一の公知のインプリンティングされた遺伝子であ
って父親由来のアレルのみが発現し母親由来のアレルは
発現しない(Hum MolGenet, 1997, 6(5):p.781-6, Koba
yashi, et al.)、第7番染色体の母親由来片親性ダイ
ソミーではこの遺伝子の発現を欠く結果、子宮内発育遅
延が発症すると考えられている。さらに、PEG1種間相同
遺伝子の機能喪失突然変異モデルマウスで変異が父マウ
スから伝達されたときにのみ出生前および出生後発育不
全を示すことから、父由来のアレルの存在が、成長発達
の維持に不可欠であることが示唆されている。(Nat Ge
net, 1998, 20(2) 163-9, Lefebvre, et al.)。PEG1の
推定上のプロモーターは、母親由来のアレル上でメチル
化されている(ほ乳類のDNAのメチル化はCG塩基対にお
いてのみ認められる)が父親由来のアレル上ではメチル
化されていないCG塩基対を含むことが知られている(Hu
m Mol Genet, 1995,4(4) p.583-7, Riesewijk, A. M.,
et al.)。したがって、第7番染色体母親由来片親性ダ
イソミーではメチル化アレルのみ存在する。これまで、
ラッセルシルバー症候群の遺伝子診断法としては、末梢
血由来のDNAを用いたSTR(Sequence Tagged Repea
t)マーカーを用いるハプロタイプ分析(Hum Mol Genet,
1995. 4(4): p.583-7. Kotzot, D., et al.)と末梢血
由来のDNAを用いたPEG1遺伝子のサザンブロット法に
基づくメチル化分析法(Genomics, 1997, 42(2): p.236
-44. Riesewijk, A.M., et al.)が報告されている。
【0003】STRを用いるハプロタイプ分析では、子
供と両親の第7番染色体上の遺伝子マーカーを評価し、
子供が母親由来のアレルのみ受け継ぎ、父親由来のアレ
ルを受け継がなかった場合に、その子供は第7番染色体
母親由来片親性ダイソミーと診断される。この方法で
は、両親の血液が必要であり、DNA増幅法を複数回実施
する必要があった。また、生物学的父親と社会的な父親
が異なることが検査者に知らされていない場合に診断を
誤ることになるため、第7番染色体以外の染色体の分析
を用いた親子鑑定という煩雑なプロセスを平行して行う
必要があった。
【0004】末梢血由来のDNA(大部分はリンパ球由
来のDNA)を用いたサザンブロット法によるメチル化分
析には以下の二つの問題点が存在した。 1 末梢血では、他の組織とは異なり、PEG1遺伝子
は父親由来のアレルとともに母親由来のアレルも発現す
ると考えられていた。そのために、末梢血由来のDNA
を用いたサザンブロット法によるメチル化分析法の生物
学的な根拠が確立されていなかった。 2 サザンブロットを用いた方法では日数がかかる上
(1週間程度)、人間による多くの操作を必要とし、放
射性同位元素の使用が必要であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、簡便かつ迅
速に、また、高い安全性で、ラッセルシルバー症候群に
関与する、PEG1遺伝子が存在する染色体(ヒトの場合、
第7番染色体)の片親性ダイソミーを検出する方法を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、1.ヒトリ
ンパ球由来の末梢血では、他の組織とは異なり、PEG
1遺伝子には異なる2つのアイソフォームが存在するこ
とを見出し、そのうち一方のアイソフォームは父親由来
のアレルが発現し、母親由来のアレルは発現しないが、
他方のアイソフォームは父親由来のアレルとともに母親
由来のアレルも発現することを世界で初めて発見した。
末梢血由来のゲノムDNAおよびmRNA の大部分がリンパ
球由来であることから、本研究の結果、末梢血由来のD
NAを用いたメチル化分析法の生物学的な根拠が確立さ
れた。さらに、発明者は、父親由来のアレルが発現し、
母親由来のアレルは発現しないアイソフォームのプロモ
ーターのメチル化をメチル化特異的PCR法を行うこと
により、第7番染色体片親性ダイソミーを検出できるこ
とを見出した。PEG1遺伝子が存在する第7番染色体
の母親由来片親性ダイソミーは、ラッセルシルバー症候
群の患者の10%程度に検出される。残る90%の患者
については分子遺伝学的な診断法が存在せず、本発明の
方法はラッセルシルバー症候群の診断において重要であ
るといえる。すなわち、本発明は、対象の配列のメチル
化および非メチル化を同時に検出するPCRにより、PEG1
遺伝子が存在する染色体の片親性ダイソミーを検出する
方法であって、対象の配列は、父親由来のアレルは発現
するが、母親由来のアレルは発現しないPEG1遺伝子のア
イソフォームのプロモーター領域の配列の全部または一
部である前記方法を提供する。
【0007】第7番染色体7q31領域に存在するPEG1
遺伝子は、成長促進作用を有し、胎児期および出生後の
広い範囲の組織で、父親由来アレルのみから発現してい
る。例外的に、1)リンパ球では両方の親由来のアレル
から発現し、2)第7番染色体母親由来片親性ダイソミ
ーの患者由来のリンパ球で発現していることから、リン
パ球においては組織特異的にPEG1遺伝子のインプリンテ
ィングが全般的に喪失していると考えられていた。本発
明者が、ヒトPEG1遺伝子のリンパ球におけるインプリン
ティングの喪失の機構を以下の方法で解明した。まず、
ESTデータベースの検索によって、6個のESTクローンの
配列がPEG1遺伝子のエキソン2に結合した新規な配列を
共有することが示された。そのcDNA配列中では、従来知
られているPEG1(以下、「アイソフォーム1」とい
う。)のエキソン1およびその上流が、新しい配列(以
下、「エキソンA」という。)で置換されていた。エキ
ソン1あるいはエキソンA内に、PCRプライマーを配置
することで、RT-PCR法を用いてアイソフォーム1あるい
はアイソフォーム2を特異的に検出することが可能であ
った。第7番染色体母親由来片親性ダイソミーの患者由
来のリンパ球ではアイソフォーム2のみが発現し、アイ
ソフォーム1は発現していなかった。この結果から、リ
ンパ球において組織特異的にインプリンティングが失わ
れているのではなく、アイソフォーム1のインプリンテ
ィングは維持され、インプリンティングの影響を受けな
いアイソフォーム2が発現していることが示された。す
なわち、アイソフォーム特異的インプリンティングが観
察された。以上の結果により、PEG1遺伝子のアイソフォ
ーム1のプロモーターのメチル化分析を、第7番染色体
の母親由来片親性ダイソミーの診断に用いる方法の生物
学的な根拠を初めて確立した。母親由来のアレルは発現
しないPEG1遺伝子のアイソフォーム(アイソフォーム
1)のプロモーター領域の配列を配列番号9に示す。
【0008】本発明の方法において、対象の配列は、PE
G1遺伝子のエキソン1の5'隣接領域のCG塩基対を2つ
(フォワードプライマー設計のための1つとリバースプ
ライマー設計のための1つの計2つ)以上含む領域の配
列であるとよい。また、対象の配列は、PEG1遺伝子のエ
キソン1の5'隣接領域のCG塩基対を2つ以上含み、15
0〜300塩基対の大きさであるとよい。例えば、配列
番号9の配列から、対象とする配列を選択することがで
きる。
【0009】本発明の方法において、PEG1のアイソフォ
ームのプロモーターがメチル化されているアレルおよび
メチル化されていない(非メチル化)アレルの同時検出
にはメチル化特異的PCRを用いるとよい。メチル化特異
的PCRの手法については、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
1996, 93:p.9821-9826, Herman, J.G. et al.に記載さ
れている。例えば、上記のような対象配列について、以
下の工程: (i) ゲノムDNAを亜硫酸塩で処理することにより、対象
とするDNA配列中のメチル化されていないシトシンをウ
ラシル(PCR反応においてDNAポリメラーゼによりチ
ミンと等価に認識される)に変換する工程、および(ii)
対象の配列のセンス鎖中のCG塩基対のシトシン以外
の全シトシンをウラシルまたはチミンに変換した配列お
よびその相補鎖ならびに対象の配列のセンス鎖中の全シ
トシンをウラシルまたはチミンに変換した配列およびそ
の相補鎖を標的とするPCRを行う工程を含むメチル化特
異的PCRを行うとよい。PCR反応に、DNAポリメラーゼ
の基質として、ウラシル塩基ではなくチミン塩基を用い
る。ゲノムDNAに含まれる変換されたウラシルは、PC
R反応の第1段で、 アデニン塩基と対をなす。第2段
では、この アデニン塩基は、チミンと対をなす。した
がって、第2段終了時、ウラシルはすべてチミンに置換
される。このメチル化特異的PCRにおいて、PCRに用いら
れるプライマー対が2組あり、そのうち、第1のプライ
マー対を構成する2つのプライマーは、それぞれ、対象
の配列のセンス鎖中のCG塩基対中のシトシン以外の全シ
トシンをチミンに変換した配列およびその相補鎖の3'末
端側の配列に相補的な配列を含み、第2のプライマー対
を構成する2つのプライマーは、それぞれ、対象の配列
のセンス鎖中の全シトシンをチミンに変換した配列およ
びその相補鎖の3'末端側の配列に相補的な配列を含むと
よい。プライマーの長さは、最低20塩基以上であると
よく、gまたはcをあわせて12塩基程度含むとよく、
プライマー長は50塩基以下であれば、一般に言われて
いるPCRのプライマー長である20〜25塩基よりも
長くても良い。
【0010】例えば、第1のプライマー対を構成する2
つのプライマーは、それぞれ、以下の配列: 5'-tagttgcgtttcgtaaggtagtgtc-3'(配列番号1) 5'-acacaatccgctcgccta-3'(配列番号2) を含み、第2のプライマー対を構成する2つのプライマ
ーは、それぞれ、以下の配列: 5'-gtggtagttgtgttttgtaagtgtagtgtt-3'(配列番号3) 5'-cacacaatcctccactcacctaca-3'(配列番号4) を含むとよい。
【0011】対象の配列のセンス鎖中のCG塩基対のシト
シン以外の全シトシンをウラシルまたはチミンに変換し
た配列およびその相補鎖を標的とするPCRによってのみ
増幅が得られ、対象の配列のセンス鎖中の全シトシンを
ウラシルまたはチミンに変換した配列およびその相補鎖
を標的とするPCRでは増幅が得られない場合に、第7番
染色体母親由来片親性ダイソミーと判定する。両方のP
CRで増幅が得られる場合には正常と判定する。
【0012】また、本発明は、PEG1遺伝子の対象の配列
がメチル化されているアレル(メチル化アレル)および
メチル化されていないアレル(非メチル化アレル)の存
在を特異的に検出するPCRのための2組のプライマー対
を含む、PEG1遺伝子が存在する染色体の片親性ダイソミ
ーを検出するためのキットであって、対象の配列は、父
親由来のアレルは発現するが、母親由来のアレルは発現
しないPEG1遺伝子のアイソフォームのプロモーター領域
の配列の全部または一部であり、2組のプライマー対の
うち、第1のプライマー対を構成する2つのプライマー
は、それぞれ、対象の配列のセンス鎖中のCG塩基対中の
シトシン以外の全シトシンをチミンに変換した配列およ
びその相補鎖の3'末端側の配列に相補的な配列を含み、
第2のプライマー対を構成する2つのプライマーは、そ
れぞれ、対象の配列のセンス鎖中の全シトシンをチミン
に変換した配列およびその相補鎖の3'末端側の配列に相
補的な配列を含む前記キットを提供する。
【0013】本発明のキットにおいて、対象の配列は、
PEG1遺伝子のエキソン1の5'隣接領域のCG塩基対を2つ
以上含む領域の配列であるとよい。また、対象の配列
は、PEG1遺伝子のエキソン1の5'隣接領域のCG塩基対を
2つ以上含み、150〜300塩基の大きさであるとよ
い。プライマーの長さは、最低20塩基以上であるとよ
く、gまたはcをあわせて12塩基程度含むとよく、プ
ライマー長は50塩基以下であれば、一般に言われてい
るPCRのプライマー長である20〜25塩基よりも長
くても良い。本発明のキットは、さらに、対象の配列中
のメチル化されていないシトシンをウラシルに変換でき
る薬剤を含んでもよい。このような薬剤としては、亜硫
酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム)を例示することがで
きる。本発明のキットは、上記の成分に加えて、dNTP、
Mgイオン、緩衝液、Taq DNAポリメラーゼ、DNA精製のた
めのカラムなどを含んでもよい。
【0014】本発明のキットにおいて、第1のプライマ
ー対を構成する2つのプライマーは、それぞれ、以下の
配列: 5'-tagttgcgtttcgtaaggtagtgtc-3'(配列番号1) 5'-acacaatccgctcgccta-3'(配列番号2) を含み、第2のプライマー対を構成する2つのプライマ
ーは、それぞれ、以下の配列: 5'-gtggtagttgtgttttgtaagtgtagtgtt-3'(配列番号3) 5'-cacacaatcctccactcacctaca-3'(配列番号4) を含むとよい。本発明の上記の方法およびキットによ
り、PEG1遺伝子のインプリンティングの異常を検出する
こともできる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、メチル化特異的PCR(Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 1996, 93:p.9821-9826, Herma
n, J.G. et al.)の原理を適用して、PEG1遺伝子が存在
するヒト第7番染色体の片親性ダイソミーを検出する方
法について詳細に説明する。まず、被験者から、血液、
リンパ芽球、羊水細胞、絨毛膜絨毛などのサンプルを採
取する。採取したサンプルから標準的な方法でDNAを抽
出する。例えば、血液サンプルからのDNAの抽出は、QIA
amp blood kit (Qiagen)またはPuregene DNAisolation
kit (Gentra systems)を用いて行うことができる。
【0016】Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1996, 93:
p.9821-9826, Herman, J.G. et al.に記載の方法にNucl
eic Acids Res, 1994, 22:p.2990-2997, Clark, S.J, e
t al.に提案されている変更を加えた方法で、単離DNAを
亜硫酸ナトリウムで処理する。以下に簡単に説明する。
単離したDNA(1 μg)を水酸化ナトリウム(最終濃度0.
3 M)で37℃で15分間変性させた後、10 mMハイドロキノ
ン30 μLおよび2 M亜硫酸ナトリウム520 μLとともに、
最終溶液量50 μLで、55℃で20時間インキュベートし
て、DNAのヌクレオチド配列中のシトシンをウラシルに
変換する化学修飾を行う。次いで、遊離の亜硫酸ナトリ
ウムを脱塩カラムで除去して、DNAを精製する。精製DNA
を50 μLの水で抽出した後、水酸化ナトリウム(最終濃
度0.3 M)を添加して、37℃で15分間のインキュベーシ
ョンにより化学修飾を完結させる。次いで、化学修飾し
たDNAを3 Mの酢酸アンモニウムで中和し、エタノール沈
殿を行った後、DNAを20 μLの水に懸濁させる。
【0017】上記のように化学修飾されたDNAのPCR増幅
を行う。簡単に説明すると、 0.5μLの化学修飾したDN
A(鋳型DNA)、1 μMのフォワードプライマー(表
1)、10μMのリバースプライマー(表1)、200 mMのd
NTP、1.5 mMのMgCl2、50 mMのKCl、10 mMのTris-HCl(p
H 8.3)および0.5 UのDNAポリメラーゼ(例えば、DNA P
olymerase (Perkin-Elmer)を含む20μlの反応液につい
て、94℃60秒、58℃60秒、72℃60秒のサイクルを40回繰
り返してPCR増幅を行う。
【0018】
【表1】
【0019】PCRは、例えば、Perkin Elmer model 9600
thermocycler (Perkin Elmer)を用いて行うことができ
る。PCR産物を2%アガロースゲルで電気泳動し、エチ
ジウムブロミドで染色し、紫外線照射下で可視化する。
上記のメチル化アレル特異的プライマー対(MET)およ
び非メチル化アレル特異的プライマー対(UNMET)を用
いてPCRを行った場合には、健常人のサンプルについて
は、母親由来のメチル化アレルからの290 bpのPCR産物
および父親由来の非メチル化アレルからの295 bpのPCR
産物が得られる。PEG1遺伝子が存在する染色体(第7番
染色体)の母親由来片親性ダイソミーの患者のサンプル
については、母親由来のメチル化アレルからの290 bpの
PCR産物のみが得られる。また、PEG1遺伝子が存在する
染色体(第7番染色体)の父親由来片親性ダイソミーの
患者のサンプルについては、父親由来の非メチル化アレ
ルからの295 bpのPCR産物のみが得られる。本発明のPEG
1遺伝子が存在する染色体の片親性ダイソミーおよび/
またはPEG1遺伝子のインプリンティングを検出するため
のキットの内容物の一例を以下に記載する。
【0020】 KCl 50 mM Tris‐HCl (pH8.3) 10 mM dNTP 200 μM MgCl2 1.5 mM メチル化アレル特異的プライマー対 各1 μM 非メチル化アレル特異的プライマー対 各1 μM Taq DNAポリメラーゼ 0.5 U/20μL反応液 本発明の方法およびキットを用いて、PEG1遺伝子のイン
プリンティング異常を検出することによって、PEG1遺伝
子が存在する第7番染色体の片親性ダイソミーによって
発症するラッセルシルバー症候群の診断を行うことがで
きる。
【0021】
【実施例】以下に、本発明を実施例により具体的に説明
するが、本発明の範囲はこれらに何ら限定されることは
ない。 〔実施例1〕 ヒトPEG1遺伝子のアイソフォーム特異的
インプリンティングの確認 データベースの検索によって、6個のESTクローン、す
なわちAA305098およびAA305289(結腸癌)、AA337069
(子宮内膜腫瘍)、R18211(幼児脳)、AA095601および
AA092738(8-10週齢胎児心臓)がPEG1遺伝子のエキソン
2に結合した新規な配列を共有することが示された。こ
れは、別の(alternative)アイソフォームの転写を示唆
している(図1)。最初にPEG1の別のアイソフォームを
特徴づけ、次に元のアイソフォームおよび新規なアイソ
フォームの発現を別々に検討した。以下、元のアイソフ
ォームおよび別のアイソフォームをそれぞれアイソフォ
ーム1およびアイソフォーム2と呼ぶ。これら2つのア
イソフォームを含むPEG1遺伝子転写ユニットのゲノム構
造を詳細に解明するため、University of WashingtonGe
nome Center(http://www.genome.washington.edu/UWGC
/chr-7)に寄託された第7番染色体7q31.3領域のゲノム
配列コンティグを解析し、Sequencherソフトウエア(Gen
e Codes)を用いてアイソフォーム1特異的およびアイソ
フォーム2特異的cDNA配列と対比して並べた。あるマッ
ピング研究によってPEG1遺伝子とD7S649(sWSS1203とし
ても知られている)とのゲノム距離は1 cMより小さいこ
とが示されたので(Kobayashiら,1997, Hum Mol Genet
6:781-6)、D7S649を含むPAC クローンdjs213の両側に位
置する配列コンティグを分析した。PAC djs201由来の30
kbの配列コンティグは、アイソフォーム2特異的cDNA
配列(以下、「エキソンA」と呼ぶ。)がイントロンに
よって中断されないこと、およびエキソン1の5 kb上流
に位置することを示した。アイソフォーム2において
は、アイソフォーム1のエキソン1がエキソンAによっ
て置換されている。エキソンAはエキソン-イントロン
境界から5'側にたった6塩基はなれた位置に停止コドン
を有する。アイソフォーム2の開始コドンはエキソン2
領域内にあり、エキソンAはアイソフォーム2の5'非翻
訳領域を構成しているようである。エキソンAは長さが
少なくとも57 bpである。エキソン2内の最初の開始コ
ドンはコザック共通配列(GCC)GCCA/G CCATGG(配列番号
8)と良く一致していた。
【0022】逆転写PCR (RT-PCR)アッセイを用いてリン
パ芽球様細胞におけるアイソフォーム1およびアイソフ
ォーム2の発現を検出した。エキソンA中のアイソフォ
ーム2特異的配列に基づくフォワードPCRプライマー(P
EG36: 5'-agtcctgtaggcaaggtcttacctg-3'(配列番号
5)) 、またはアイソフォーム1のエキソン1に特異的
なフォワードプライマー(PEG33: 5'-atgggataacgcggcc
atggtg-3'(配列番号6))を、2つのアイソフォームに
よって共有されるcDNA配列部分にアニールするリバース
プライマー(PEG34: 5'-atagtgatgtggtctcggtttgtcactg
-3'(配列番号7))と共に使用した(図1)。第7番染
色体母親由来片親性ダイソミー患者由来リンパ芽球様細
胞 (GM11496 (Spenceら,1988, Am J Hum Genet 42:217
-26))および第7番染色体の父親由来片親性ダイソミー
(upd(7)pat)リンパ芽球様細胞(Panら,1998, Am J Hum
Genet 62:1551-5)はNIGMS およびtissue culture core,
Baylor College of Medicine からそれぞれ入手した。
細胞を標準的条件下で培養し、RNA精製キット(QIAGEN)
を用いて全RNAを抽出した。Superscript preamplificat
ion system (GIBCO/BRL)を用い、1 μgの全RNAを用いて
cDNAを合成した。得られたcDNAの1%をRT-PCRに使用し
た。PCR条件は、94℃10分間を1サイクル、94℃1分
間;58℃1分間;72℃2分間を40サイクル、および72℃
10分間を1サイクルであった。RT-PCRは、上記第7番染
色体の母親由来片親性ダイソミー患者細胞がアイソフォ
ーム2を発現するがアイソフォーム1を発現しないこ
と、他方、正常なリンパ球および第7番染色体の父親由
来片親性ダイソミー患者由来細胞系がアイソフォーム1
およびアイソフォーム2の両方を発現することを明らか
にした(図2)。
【0023】本実施例により、以下のことが明らかとな
った。1)成人リンパ球およびリンパ芽球様細胞系にお
いては、PEG1遺伝子の従来から知られていたアイソフォ
ームとは別のアイソフォーム(アイソフォーム2と名付
ける)がアイソフォーム1と名付けると同時に発現され
る。2)アイソフォーム2は父親由来のアレルおよび母
親由来のアレルの両方から発現されるが、アイソフォー
ム1は父親由来のアレルからのみ発現される。これらの
結果は、リンパ球における2つのアレルからのPEG1遺伝
子発現を支持するこれまでの他の研究者たちの研究結果
をくつがえす結果である。振り返ってみると、なぜ他の
研究がこのような示差的インプリンティングを同定でき
なかったのか理解できる。以前の研究のRT-PCRに用いら
れたプライマーは、インプリンティングされたアイソフ
ォームとインプリンティングされていないアイソフォー
ムの区別を可能としなかったであろう(図1)。リンパ
球においては、アイソフォーム1がインプリンティング
されている、すなわち父親由来のアレルのみが発現する
という事実は、インプリンティングされていないすなわ
ち父親由来および母親由来のアレルが発現するアイソフ
ォーム2の存在によってこれまで、他の研究者によって
観察されることがなかった。要約すると、ヒトPEG1遺伝
子はリンパ球において組織特異的様式よりもむしろアイ
ソフォーム特異的様式でインプリンティングされてい
る。
【0024】〔実施例2〕 第7番染色体の母親由来片
親性ダイソミーの重亜硫酸塩処理メチル化特異的PCR法
を用いた診断 第7番染色体の母親由来片親性ダイソミーを有する患者
サンプルを評価した。母親由来片親性ダイソミーの分子
的診断を、多重STR (sequence-tagged repeats)を用い
たハプロタイプに基づく分析によって確認した。すなわ
ち、子供が父親から第7番染色体上の対立遺伝子(アレ
ル)を受け継がなかった場合、第7番染色体の母親由来
片親性ダイソミーと診断した。NIGMS Human Genetic Mu
tant Cell Repository (Camden, New Jersey, USA)より
細胞系GM11496を入手した。また、バンクーバー小児病
院およびベーラー医科大学から3名の第7番染色体母親
由来片親性ダイソミーの患者のDNAを得た。50名の正常
者由来のDNAサンプルと、第7番染色体の母親由来片親
性ダイソミーと第7番染色体の父親由来片親性ダイソミ
ーのDNAサンプルを盲検様式で分析した。
【0025】PEG1遺伝子(GenBank 配列番号 Y10620)の
エキソン1の5'隣接領域の公表されたゲノム配列から、
重亜硫酸塩修飾後のメチル化および非メチル化アレルの
DNA配列を推定した(図3)。修飾された非メチル化鎖
の配列は、全てのシトシンをチミンに変換することによ
って推定した。修飾されたメチル化鎖の配列は、CG塩基
対中のシトシンを除いて、全てのシトシンをチミンに変
換することによって推定した。
【0026】メチル化アレル特異的プライマー対(MET)
(5'-tagttgcgtttcgtaaggtagtgtc-3'(配列番号1); 5'
-acacaatccgctcgccta-3'(配列番号2)) および非メチ
ル化アレル特異的プライマー対(UNMET) (5'-gtggtagttg
tgttttgtaagtgtagtgtt-3'(配列番号3); 5'-cacacaat
cctccactcacctaca-3'(配列番号4))を設計した。
【0027】亜硫酸ナトリウムによるDNAの化学修飾は
下記の方法により行った。化学修飾したDNA(鋳型)
0.5μl、上記のメチル化アレル特異的プライマー対(ME
T)および非メチル化アレル特異的プライマー対(UNMET)
を各1 μM、KCl 50mM、Tris‐HCl (pH8.3) 10 mM、dNTP
s 200 mM、MgCl2 1.5 mM、およびTaqDNAポリメラーゼ
0.5 U含む反応液を、94℃で1分間、58℃で1分間およ
び72℃で1分間を40サイクルのPCRによって、アレル特
異的増幅を実施した。1X TAE緩衝液中で2%アガロースゲ
ルを用いてPCR産物を電気泳動し、臭化エチジウムで染
色し、UV照明のもとで直接可視化した(図4)。
【0028】検査の結果を表2に示す。第7番染色体の
父親由来片親性ダイソミーを有する患者由来の重亜硫酸
塩修飾DNAはUNMET プライマー対を用いた場合にのみ増
幅されたが、第7番染色体の母親由来片親性ダイソミー
を有する4人の患者由来の重亜硫酸塩修飾DNAはMETプラ
イマー対を用いた場合にのみ増幅された。50名の健常な
個人由来の修飾DNAはどちらのプライマー対を用いた場
合にも増幅された。このメチル化特異的PCR法 アッ
セイは第7番染色体の片親性ダイソミーを診断する迅速
で、正確でかつ有効な方法であって、母親由来片親性ダ
イソミーを父親由来片親性ダイソミーから区別するのに
使用可能である。
【0029】ここに提示した方法は、STR マーカーを用
いる従来のハロタイプ分析と較べて以下の有利な点を有
する。1) メチル化特異的PCR法は親のDNAを検査する
必要なく結果が得られる。この点でメチル化特異的PC
R法 は両親がいなくとも問題はない。2) メチル化特異
的PCR法はPCRに基づく2セットのプライマーを必要
とするのみであるが、STR マーカーを用いるハロタイプ
分析は第7番染色体上の多数のマーカーの評価を必要と
する。なぜなら、マーカーが情報を与えてくれるかどう
かは試験してみなければ分からないからである。要約す
ると、メチル化特異的PCR法 はラッセルシルバー症
候群患者を第7番染色体の母親由来片親性ダイソミーに
ついて、有効で効率的でかつ経済的な様式で迅速にスク
リーニングするのに用いることができる。
【0030】
【表2】
【0031】電子データベース情報 本明細書中のデータのアクセス番号およびホームページ
アドレスは以下の通りである: GenBank, http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Web/GenBank NIGMS Coriell Cell Repository, http://locus.umdnj.
edu/nigms ワシントン大学ゲノムセンター (University of Washin
gton Genome Center),http://www.genome.washington.e
du/UWGC/chr-7
【0032】
【発明の効果】本発明により、患者の両親の検体を用い
ることなく、患者のみの検体を用いて、PEG1遺伝子が
存在する第7番染色体の片親性ダイソミーを検出するこ
とができ、その結果に基づいて、ラッセルシルバー症候
群の診断を迅速(2日程度)に行うことができる。ま
た、本発明の方法は、放射性同位元素を使用する必要が
ないので、安全性が高く、取り扱いも簡便である。
【0033】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Keio University <120> Method and kits for detecting uniparental disomy of chromosome on which PEG1 gene is present <130> P99-0438 <140> <141> <160> 10 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 1 tagttgcgtt tcgtaaggta gtgtc 25 <210> 2 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 2 acacaatccg ctcgccta 18 <210> 3 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 3 gtggtagttg tgttttgtaa gtgtagtgtt 30 <210> 4 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 4 cacacaatcc tccactcacc taca 24 <210> 5 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 5 agtcctgtag gcaaggtctt acctg 25 <210> 6 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 6 atgggataac gcggccatgg tg 22 <210> 7 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 7 atagtgatgt ggtctcggtt tgtcactg 28 <210> 8 <211> 13 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 8 gccgccrcca tgg 13 <210> 9 <211> 1501 <212> DNA <213> Homo sapiens <220> <221> exon <222> (479)..(721) <220><221> gene<222> (479)..(1501) <220> <221> CDS <222> (697)..(726) <220> <221> intron <222> (723)..(1501) <300> <301> M., Riesewijk A. <302> Monoallelic expression of human PEG1/MEST is paralleled by parent-specific methylation in fetuses <303> Genomics <304> 42 <305> 2 <306> 236-244 <307> 1997 <400> 9 gagggatggg agcaggcgcc acggccggca ccccagagcc ctgctgcccc ttagttcgag 60 cggccatcct cctgtggggc ttgtgggcag cctgtggggt ttgtgggcgg cctgtggggt 120 ttgtgggtgg tctaaggaaa gagttggggc actcaggggt ctgctgtttt tgcccgtggc 180 cttaactcat caggggaggg tttctgcagc agaatctcgg gctcagggtt ggcggttaac 240 gagggagcag cggggtcttg gggagggggc tcgacacccc tgaaggtgcc ccctaaagga 300 gccactgtta gaggggcacc ccatctttgt ggccatggcg gtggtagagc ggctgggagg 360 ggctctgcgg cgagcaaggg agcaggcggt aggggttttg cggcgatggg cgggctaggg 420 gcggggcgcg ggtgggctct aaaagtcggt gcccactcgc tccgcgctgc cgcggcaacc 480 agcacacccc ggcacctcct ctgcggcagc tgcgcctcgc aagcgcagtg ccgcagcgca 540 cgccggagtg gctgtagctg cccggcgcgg cgccgccctg cgcgggctgt gggctgcggg 600 ctgcgccccc gctgctggcc agctctgcac ggctgcgggc tctgcggcgc ccggtgctct 660 gcaacgctgc ggcgggcggc atgggataac gcggcc atg gtg cgc cga gat cgc 714 Met Val Arg Arg Asp Arg 1 5 ctc cgc agg tga gtgtgcggtg ggaacgaggg ggtgtggctg gcggccctgg 766 Leu Arg Arg 10 gactagggcg caggcgagcg gaggactgtg tgcccgtgtc cgagctgggg ctgcctctgg 826 gccgaaactc taccgacagg cggcacgcat tccgcgcccg ctctgcctac ttgaggaggg 886 ggtgtcactc ctgcccgcaa tggaatgttc agaacgcggg acctccttgg gttaggattt 946 ctagaccccg ggatcgtcgt ggtgagattt aggatttctg gaccccagcg tcatcttgat 1006 atgacttagg atccataatg accctggtct caccctgatg cgaattggga tttttagatc 1066 ctggcatcac cctggtgcga tttaggattt ttatactcag tcattgctgc agcatgattt 1126 aggatttcta acccccagca tcgccctggt ttgatttagg atatttagac tccggcttcc 1186 ctctggtgcg attcaggatt cttagactcc gccgttgccg tggcgcgatt taggatttat 1246 agatcccggc aaagccctgg tgcgatgtag gatttttaga accccagcat cgctctggtg 1306 cgacttaaag gataggcccc agcatcgccc tggtgcgatg taggattttt agaaccccgg 1366 tatctccgtg gcgcacctta ggatttcaag aacgggataa tcgcagtgcc gagatcgccg 1426 cggtgcagct taggatttca agacccaggt atcacggtgg cgggagtcac cgcagtgact 1486 agaactcgca gtgcc 1501 <210> 10<211> 9<212> PRT<213> Homo sapiens <400> 10 Met Val Arg Arg Asp Arg Leu Arg Arg 1 5
【0034】
【配列表フリーテキスト】[配列番号1〜7]配列番号
1〜7は、プライマーの塩基配列を示す。 [配列番号8]配列番号8は、コザック共通配列を示
す。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒトPEG1遺伝子の代替的スプライシングを示
す。矢印はRTPCRによる発現試験に用いたプライマ
ーを示す。逆転写の後、エキソン特異的プライマーを用
いてPCR増幅を実施した。別のアイソフォーム(アイソ
フォーム2)のエキソンAと一致するEST 配列を図の上
部に示す。図の下部に、2個のアイソフォームを転写す
るPEG1遺伝子転写ユニットのエキソン構造を示す。実施
例1においては、アイソフォーム2およびアイソフォー
ム1を検出するため、それぞれPEG36-PEG34およびPEG33
-PEG34 を用いた。Poly TsおよびAflII は、以前に記述
されている、3'非翻訳領域内の多型部位に対応する。Ri
esewijkら(Genomics 42:236-44)およびKobayashiら(199
7, Hum Mol Genet 6:781-6)は、それぞれR4-R10およびH
P1F-HP1R というプライマー対を用いた。こららのプラ
イマー対はインプリンティングを受けていないアイソフ
ォーム2をも増幅するので、アイソフォーム1のインプ
リンティングを検出することが出来ない。
【図2】PEG1アイソフォームの発現パターンを示す。正
常、第7番染色体の母親由来片親性ダイソミー、および
第7番染色体の父親由来片親性ダイソミー患者由来リン
パ芽球様細胞系におけるアイソフォーム1および2の発
現をRT-PCRによって分析した。アイソフォーム1は第7
番染色体の父親由来片親性ダイソミー患者由来細胞系に
おいて発現されるが、第7番染色体の母親由来片親性ダ
イソミーにおいては発現されない。アイソフォーム2は
両方の細胞系において発現される。したがって、アイソ
フォーム1はインプリンティングされているが、アイソ
フォーム2はインプリンティングされていない。
【図3】PEG1遺伝子(GenBank 配列番号 Y10620)のエキ
ソン1の5'隣接領域の公表されたゲノム配列(塩基番号
481-840:WT)から、重亜硫酸塩修飾後のメチル化アレ
ル(MET)および非メチル化アレル(UNMET)のDNA配列を推
定した。修飾された非メチル化鎖の配列は、全てのシト
シンをチミンに変換することによって推定した。修飾さ
れたメチル化鎖の配列は、CG 塩基対中のシトシンを除
いて、全てのシトシンをチミンに変換することによって
推定した。METF-METRプライマー対およびUNMET-UNMETR
プライマー対はそれぞれメチル化アレルあるいは非メチ
ル化アレルを特異的に増幅するプライマー対である。
【図4】第7番染色体母親由来片親性ダイソミーまたは
第7番染色体父親由来片親性ダイソミー片親性ダイソミ
ーを有する患者および正常対照者に対して実施したメチ
ル化特異的PCR法による検査結果。METプライマーに
より得られたPCR産物(第1段)およびUNMETプライ
マー対により得られたPCR産物(第2段)をアガロー
ス中で電気泳動し、臭化エチジウムで染色し、UV照明の
もとで直接可視化した。正常対照者では、METプライマ
ー対およびUNMETプライマー対の両方により増幅が認め
られる(左から第1レーン)。第7番染色体母親由来片
親性ダイソミーの患者(upd(7)mat)では、METプライマー
対のみにより増幅が認められる(第2、3レーン)。第7
番染色体父親由来片親性ダイソミーの患者(upd(7)pat)
では、UNMETプライマー対のみにより増幅が認められる
(第4レーン)。第5レーンには、患者由来DNAを入れず
にPCRをおこなった産物を電気泳動した。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対象の配列のメチル化および非メチル化
    を同時に検出するPCRにより、PEG1遺伝子が存在する第
    7番染色体の片親性ダイソミーを検出する方法であっ
    て、対象の配列は、父親由来のアレルは発現するが、母
    親由来のアレルは発現しないPEG1遺伝子のアイソフォー
    ムのプロモーター領域の配列の全部または一部である前
    記方法。
  2. 【請求項2】 対象の配列が、PEG1遺伝子のエキソン1
    の5'隣接領域のCG塩基対を2つ以上含む領域の配列であ
    る請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 対象の配列が、CG塩基対を2つ以上含
    み、150〜300塩基対の大きさである請求項2記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 以下の工程: (i)ゲノムDNAを亜硫酸塩で処理することにより、対象と
    するDNA配列中のメチル化されていないシトシンをウラ
    シルに変換する工程、(ii) 対象の配列のセンス鎖中
    のCG塩基対のシトシン以外の全シトシンをウラシルまた
    はチミンに変換した配列およびその相補鎖ならびに対象
    の配列のセンス鎖中の全シトシンをウラシルまたはチミ
    ンに変換した配列およびその相補鎖を標的とするPCRを
    行う工程、および(iii) 対象の配列のセンス鎖中のC
    G塩基対のシトシン以外の全シトシンをウラシルまたは
    チミンに変換した配列およびその相補鎖を標的とするPC
    Rによってのみ増幅が得られ、対象の配列のセンス鎖中
    の全シトシンをウラシルまたはチミンに変換した配列お
    よびその相補鎖を標的とするPCRでは増幅が得られない
    場合に、第7番染色体母親由来片親性ダイソミーと判定
    し、両方のPCRで増幅が得られる場合には正常と判定
    する工程を含む請求項2または3のいずれかに記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 PCRに用いられるプライマー対が2組あ
    り、そのうち、第1のプライマー対を構成する2つのプ
    ライマーは、それぞれ、対象の配列のセンス鎖中のCG塩
    基対中のシトシン以外の全シトシンをチミンに変換した
    配列およびその相補鎖の3'末端側の配列に相補的な配列
    を含み、第2のプライマー対を構成する2つのプライマ
    ーは、それぞれ、対象の配列のセンス鎖中の全シトシン
    をチミンに変換した配列およびその相補鎖の3'末端側の
    配列に相補的な配列を含む請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 第1のプライマー対を構成する2つのプ
    ライマーが、それぞれ、以下の配列: 5'-tagttgcgtttcgtaaggtagtgtc-3'(配列番号1) 5'-acacaatccgctcgccta-3'(配列番号2) を含み、第2のプライマー対を構成する2つのプライマ
    ーが、それぞれ、以下の配列: 5'-gtggtagttgtgttttgtaagtgtagtgtt-3'(配列番号3) 5'-cacacaatcctccactcacctaca-3'(配列番号4) を含む請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 対象の配列のメチル化および非メチル化
    を同時に検出するPCRのための2組のプライマー対を含
    む、PEG1遺伝子が存在する第7番染色体の片親性ダイソ
    ミーを検出するためのキットであって、対象の配列は、
    父親由来のアレルは発現するが、母親由来のアレルは発
    現しないPEG1遺伝子のアイソフォームのプロモーター領
    域の配列の全部または一部であり、2組のプライマー対
    のうち、第1のプライマー対を構成する2つのプライマ
    ーは、それぞれ、対象の配列のセンス鎖中のCG塩基対中
    のシトシン以外の全シトシンをチミンに変換した配列お
    よびその相補鎖の3'末端側の配列に相補的な配列を含
    み、第2のプライマー対を構成する2つのプライマー
    は、それぞれ、対象の配列のセンス鎖中の全シトシンを
    チミンに変換した配列およびその相補鎖の3'末端側の配
    列に相補的な配列を含む前記キット。
  8. 【請求項8】 対象の配列が、PEG1遺伝子のエキソン1
    の5'隣接領域のCG塩基対を2つ以上含む領域の配列であ
    る請求項7記載のキット。
  9. 【請求項9】 対象の配列が、CG塩基対を2つ以上含
    み、150〜300塩基の大きさである請求項8記載の
    キット。
  10. 【請求項10】 さらに、対象の配列中のメチル化され
    ていないシトシンをウラシルに変換できる薬剤を含む請
    求項8または9のいずれかに記載のキット。
  11. 【請求項11】 第1のプライマー対を構成する2つの
    プライマーが、それぞれ、以下の配列: 5'-tagttgcgtttcgtaaggtagtgtc-3'(配列番号1) 5'-acacaatccgctcgccta-3'(配列番号2) を含み、第2のプライマー対を構成する2つのプライマ
    ーが、それぞれ、以下の配列: 5'-gtggtagttgtgttttgtaagtgtagtgtt-3'(配列番号3) 5'-cacacaatcctccactcacctaca-3'(配列番号4) を含む請求項7〜10のいずれかに記載のキット。
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