以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。
尚、以下では、本発明の時刻修正装置(アンテナ装置)を置き時計の電波時計に適用した場合を説明するが、本発明の適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。
[外観]
図1は、本実施形態における電波時計である置き時計1の外観図である。同図(a)は、置き時計1の正面斜視図であり、同図(b)は背面斜視図である。
同図によれば、置き時計1は、安定的に配置可能に形成された略直方体の筐体10を有し、この筐体10の正面に、現在時刻や受信周波数等を表示するディスプレイ11と、ユーザによって操作されるボタンスイッチ12とが設けられている。
また、筐体10内部には、標準電波を受信するアンテナ20と、各種回路を有するICチップが搭載された回路基板13とが備えられている。
アンテナ20は、バーアンテナであり、アモルファスやフェライト等の比透磁率が高く、且つ導電率が小さい磁性材料で形成された棒状のコアと、コアの周囲に銅等の導線を巻回させて成るコイルとを備えて構成される。このアンテナ20は、筐体10内において、コアの軸線方向が筐体10の長手方向に沿って水平に設けられている。
回路基板13に搭載されるICチップが有する回路要素としては、置き時計1の各部を制御するCPU等の制御ICと、アンテナ20のコイルと銅等のリード線で電気的に接続されてこのコイルに生じた誘導起電力を検出し、検出した電気信号を増幅・復調して標準電波に含まれるタイムコードを取り出す受信回路と、発振器を有して現在時刻を計時する計時回路とが含まれる。制御ICは、受信回路で取り出されたタイムコードに基づいて計時回路による計時時刻を修正し、修正された現在時刻をディスプレイ11に表示させる等の処理を行う。
また、筐体10の背面には、製品である腕時計が載置される載置部材14と、この載置部材14が収納される収納凹部15と、置き時計1が後方に転倒することを防止するための転倒防止部材16とが設けられている。
載置部材14は、筐体10の長手方向に垂直な方向の垂直部分と平行な方向の平行部分とからなるアーム形状(腕部)の板状部材であり、垂直部分の端部がヒンジを介して筐体10に連結されている。そして、載置部材14は、このヒンジを軸として回動自在であり、同図に示すように水平に維持された水平状態の姿勢と、垂直に維持されて収納凹部15に収納された垂直状態の姿勢とを切り替え可能に構成されている。
更に、載置部材14の上面には、腕時計の載置を検出する検出スイッチ14aが備えられている。この検出スイッチ14aは、例えば載置された腕時計の重みによって押下されてオン/オフされる機械式のスイッチであり、回路基板13の制御ICに接続されている。
収納凹部15は、載置部材14が収納される凹部であり、載置部材14と同形状に形成されているとともに、その深さが載置部材14の厚さとほぼ同じであって、載置部材14が収納凹部15に収納されて垂直状態の姿勢となった場合に、この凹部の周囲面と内部に収納した載置部材14の表面とがほぼ同一面状になるように形成されている。
転倒防止部材16は、載置部材14に腕時計が載置された際に、この腕時計の重みによって置き時計1が後方に転倒することを防止するための部材であり、筐体10に対して着脱自在に構成されている。即ち、同図(c)の側面図に示すように、転倒防止部材16には、置き時計1の筐体10背面との接触面に、下方に屈曲して形成された屈曲部16aを有しており、この屈曲部16aが置き時計1の筐体10の背面下部に形成された凹部10aに嵌ることにより、転倒防止部材16が筐体10に固定されるように構成されている。
つまり、この置き時計1は、水平状態とした載置部材14に腕時計を載置できるように構成されている。この場合、載置された腕時計の重みによって置き時計1の重心が移動して後方に転倒する可能性が有るが、置き時計1に転倒防止部材16を取り付けることにより、腕時計の重みで置き時計1が後方に転倒することが防止される。また、腕時計を載置しない場合は、載置部材14を垂直状態として収納凹部15に収納するとともに、転倒防止部材16を取り外すことにより、従来の置き時計型の電波時計と同様に使用することができる。
図2は、載置部材14に腕時計50を載置した置き時計1の状態を示す図である。ここで、腕時計50は、標準電波を受信するアンテナ60を内蔵し、アンテナ60での受信電波を基に現在時刻データを修正する電波時計である。
即ち、腕時計50は、アンテナ60や、時針や分針等の指針を文字板上で運針させるアナログ指針機構、このアンテナ60やアナログ指針機構等が接続されてこれらを制御する回路基板等を内部に収納する環状の部材の底面に裏蓋が取り付けられて成る時計ケース51と、これをユーザの腕に装着するために時計ケース51に取り付けられた時計バンド52とを備えて構成されている。アンテナ60は、置き時計1に内蔵されているアンテナ20と同様なバーアンテナであり、アモルファスやフェライト等の磁性材料で形成された棒状のコアと、コアの周囲に銅等の銅線が巻回されて成るコイルとを備えて構成される。
そして、腕時計50は、内蔵するアンテナ60のコアの軸線方向が、置き時計1のアンテナ20のコアの軸線方向と平行になるよう、載置部材14に載置される。即ち、同図(a)に示すように、アンテナ60のコアの軸線方向が6時−12時方向に沿った方向である場合、腕時計50は、時計ケース51が載置部材14の上面ほぼ中央に位置し、時計バンド52の長手方向が置き時計1の長手方向に沿った向きで載置部材14に載置される。これにより、腕時計50のアンテナ60及び置き時計1のアンテナ20それぞれのコアの軸線方向が互いに平行となる。
また、同図(b)に示すように、アンテナ60のコアの軸線方向が3時−9時方向に沿った方向である場合、腕時計50は、時計ケース51が載置部材14の上面ほぼ中央に位置し、一方の時計バンド52が載置部材14と筐体10との間に形成された隙間から垂下されて、時計バンド52の長手方向が置き時計1の長手方向と垂直になる向きで載置部材14に載置される。これにより、腕時計50のアンテナ60及び置き時計1のアンテナ20それぞれのコアの軸線方向が互いに平行となる。
このように、アンテナ20及びアンテナ60それぞれのコアの軸線方向が互いに平行になるよう、載置部材14に腕時計10が載置されることで、アンテナ20,60が磁気的に結合し、アンテナ60の標準電波の受信感度が向上される。
具体的に説明する。
図3は、置き時計1の載置部材14に腕時計50が載置された際のアンテナ20,60の状態図である。
同図に示すように、アンテナ20は、バーアンテナであり、コア21と、このコア21の中央部分に銅線等を巻回して成るコイル22とにより構成され、置き時計1内部に設けられている。
コア21は、略円柱形状の棒状体であり、例えば、その中央部分の2箇所に両端部より径が小さく形成された凹部を有し、その各凹部に銅線等がコア21の両端部の表面とほぼ同じ高さになるようにほぼ均等な厚みで巻回されてコイル22、コイルLsが形成されている。ここで、コイルLsは該アンテナ20の同調ずれを検出するために用いられるコイルであり、その詳細については後述する。
また、コア21は、電波の受信感度が高い材料、例えばアモルファスやフェライト等の比透磁率が高く且つ導電率が小さい磁性材料によって形成されている。具体的には、コア21は、約1000〜10000程度の比透磁率を有する磁性材料を用いて形成される。このため、コア21内部の磁気抵抗は、アンテナ20の周辺空間のそれの約1/1000〜1/100000程度と極めて小さくなっている。
そして、このアンテナ20を標準電波による磁界中に置くと、標準電波による磁束(以下、「信号磁束」という)がコア21に集中してコイル22と鎖交し、コイル22には、コイル62の内部を通過する信号磁束の変化を妨げる向きに磁束が発生する。この発生した磁束に基づきコイル22に生じる誘導起電力を検出することにより、標準電波が受信されるようになっている。
アンテナ60は、アンテナ20と同様なバーアンテナであり、コア61と、このコア61の中央部分に銅線等を巻回して成るコイル62とにより構成され、腕時計50内部に設けられている。
コア61は、アンテナ20のコア21と同様、略円柱形状の棒状体であり、例えば、その中央部分に両端部より径が小さく形成された凹部を有し、その凹部に銅線等がコア61の両端部の表面とほぼ同じ高さになるようにほぼ均等な厚みで巻回されてコイル62が形成されている。また、コア61は、例えばアモルファスやフェライト等の電波の受信感度が高い磁性材料により形成されている。
そして、このアンテナ60を標準電波による磁界中に置くと、アンテナ20と同様に、コイル62に生じる誘導起電力を検出することで標準電波が受信されるようになっている。
このように、アンテナ20,60はそれぞれ単独で標準電波を受信可能であるが、互いに磁気的に結合する位置に配置されることで、標準電波の受信感度が更に向上する。
つまり、アンテナ20を標準電波による磁界中に置くと、信号磁束がコア21に集中してコイル22と鎖交し、コイル22には、コイル22の内部を通過する信号磁束の変化を妨げる向きに磁束が発生する。そして、発生した磁束がアンテナ20と磁気的に結合しているアンテナ60のコイル62に生じる誘導起電力をより増大させることにより、アンテナ60単独で標準電波を受信する場合に比較して受信感度が向上される。
即ち、腕時計50は単独でも標準電波の受信を可能であるが、置き時計1の載置部材14に載置し、アンテナ60を置き時計1のアンテナ20と磁気的に結合させることによって受信感度が更に向上され得る。また、このとき、腕時計50を従来の構成から何ら変更させることなく、標準電波の受信感度を向上させることが可能となる。なお、アンテナ20のコア21と、アンテナ60のコア61は、両端部より径が小さく形成された凹部を有し、その凹部に銅線等が巻回されるとして説明を行ったが、コア21,61に凹部を設けずに銅線等を巻回するようにしてもよい。
[内部構成]
図4は、置き時計1の内部構成を示すブロック図である。同図によれば、置き時計1は、CPU100と、入力部220と、表示部240と、ROM300と、RAM400と、受信回路部500と、同調ずれ検出回路部600と、計時回路部720と、発振回路部740と、腕時計検出部800とを備えて構成される。
CPU100は、所定のタイミング或いは入力部220から入力された操作信号に応じてROM300に格納されているプログラムを読み出してRAM400に展開し、該プログラムに基づいて置き時計1を構成する各部への指示やデータ転送等を行う。
特に、本実施形態では、CPU100は、ROM300の制御プログラム320に従った制御処理を実行する。この制御処理では、主に、(1)腕時計検出プログラム324に従った腕時計検出処理(図11参照)、(2)時刻修正プログラム322に従った時刻修正処理(図12参照)、(3)腕時計受信時プログラム323に従った腕時計受信時処理(図13参照)、を実行する。
(1)腕時計検出処理では、CPU100は、腕時計検出部800から入力される検出信号を基に、載置部材14に腕時計50が載置されたか否かを判断する。腕時計50が載置されたと判断すると、同調ずれ検出回路部600から入力される検出信号を基に、その載置されている腕時計50の時計ケース51が金属形成されているか否かを判断する。
また、(2)時刻修正処理では、CPU100は、計時回路部720により計時されている現在時刻が、予め定められた置き時計1における時刻修正時刻に達すると、最適な標準電波の受信周波数を判断する。ここでは、例えば受信信号の電界強度等を基に、日本における標準電波の周波数である40kHz或いは60kHzを判断する。そして、受信切換信号を同調回路520に出力して、アンテナ20を、この判断した最適な受信周波数に同調させる。
次いで、載置部材14に腕時計50が載置されているか否かを判断し、載置されている場合、更に、その載置されている腕時計50の時計ケース51が金属形成されているか否かを判断する。金属形成されていると判断した場合には、補正信号を同調ずれ補正回路540に出力して、アンテナ20の同調周波数を、予め定められたシフト周波数だけシフトさせる。
その後、受信回路部500を制御して標準電波の受信を行わせ、受信信号を基に、標準時刻コードや積算日コード、曜日コード等を含む標準タイムコードを生成する。この処理は、タイムコード変換プログラム321に従って実行される。そして、生成した標準タイムコードに基づいて、計時回路部720で計時される現在時刻データを修正し、表示部240の時刻表示を修正させる。
また、(3)腕時計受信時処理では、CPU100は、計時回路部720に計時されている現在時刻が、予め定められた腕時計50における時刻修正時刻に達すると、載置部材14に腕時計50が載置されているか否かを判断する。腕時計50が載置されている場合、同調回路520に受信切換信号を出力して、アンテナ20を、予め定められた腕時計50における受信周波数に同調させる。次いで、載置されている腕時計50の時計ケース51が金属形成されているか否かを判断し、金属形成されている場合には、同調ずれ補正回路540に補正信号を出力して、アンテナ20の同調周波数を、予め定められたシフト周波数だけシフトさせる。
入力部220は、ユーザが各種操作を入力するためのスイッチ等で構成され、これらのスイッチ等が操作された場合には、対応する操作信号をCPU100に出力する。図1では、ボタンスイッチ12がこれに該当する。
表示部240は、小型液晶ディスプレイ等で構成され、CPU100から入力される表示信号に基づいて、現在時刻や現在の受信周波数等を表示する。図1では、ディスプレイ11がこれに該当する。
ROM300は、置き時計1にかかるシステムプログラムやアプリケーションプログラム、本実施形態を実現するためのプログラムやデータ等を記憶する。特に、本実施形態を実現するためのプログラムとして制御プログラム320を記憶している。この制御プログラム320は、タイムコード変換処理を実現するためのタイムコード変換プログラム321と、時刻修正処理を実現するための時刻修正プログラム322と、腕時計受信時処理を実現するための腕時計受信時プログラム323と、腕時計検出処理を実現するための腕時計検出プログラム324とを含んでいる。
RAM400は、CPU100の作業領域として用いられ、ROM300から読み出されたプログラムやデータ等を一時的に記憶する。本実施形態では、各種データが設定される複数のレジスタから成るレジスタ群420が形成される。
図5に、レジスタ群420を構成するレジスタの一例を示す。同図によれば、RAM400には、合計8つのレジスタ[001]〜[008]が形成される。
レジスタ[001]には、置き時計1における標準電波の受信周波数が設定される。この受信周波数は、CPU100により時刻修正処理中において決定される。レジスタ[002]には、腕時計50における標準電波の受信周波数が設定される。この周波数としては、入力部220から入力されるユーザの操作入力に従った値が設定される。レジスタ[003]には、置き時計1が使用される地域(国)を表すデータが設定される。ここでは、日本を表す“1”が予め設定されていることとするが、入力部220から入力されるユーザの操作入力に従った値が設定されることとしても良い。
レジスタ[004]には、置き時計1において時刻修正を行う時刻が設定される。この時刻としては、予め定められた所定時刻、或いは、入力部220から入力されるユーザの操作入力に従った時刻が設定される。レジスタ[005]には、腕時計50において時刻修正が行われる時刻が設定される。この時刻としては、入力部220から入力されるユーザからの操作入力に従った値が設定される。レジスタ[006]には、アンテナ20の同調をシフトさせる際の周波数がシフト周波数として設定される。ここでは、所定値“1kHz”が設定されていることとするが、入力部220から入力されるユーザの操作入力に従った値が設定されることとしても良い。
レジスタ[007]には、載置部材14に腕時計50が載置されているか否か(載置有無)を示す値が設定される。この載置有無は、腕時計検出処理中において、CPU100により腕時計検出部800からの入力信号に基づいて判断される。レジスタ[008]には、載置部材14に載置されている腕時計50の時計ケース51が金属形成されているか否か(材質)を示す値が設定される。この時計ケース51の材質は、腕時計検出処理中において、CPU100により同調ずれ検出回路部600からの入力信号に基づいて判断される。
なお、レジスタ[001]〜レジスタ[008]において、CPU100が設定値を判断するとしたものについても、入力部220から入力されるユーザの操作入力に従った値が設定されることとしても良い。
受信回路部500は、同調回路520を含み、アンテナ20で受信された標準電波の不要な周波数成分をカットして該当する周波数信号を取り出し、この周波数信号を対応した電気信号に変換してCPU100に出力する。
図15に、受信回路部500のブロック構成を示す。同図によれば、受信回路部500は、アンテナ20と、同調回路520と、AGCアンプ561と、フィルタ回路562と、ポストアンプ563と、検波整流回路564と、波形整形回路565と、AGC電圧制御回路566とを備えている。
同調回路520は、同調ずれ補正回路540を含み、アンテナ20の同調周波数を、40kHz又は60kHzに切り換える。同調ずれ補正回路540は、CPU100から入力される補正信号に従って、アンテナ20の同調周波数を所定周波数だけシフト(補正)する。
AGCアンプ561は、同調回路520から入力される信号を、AGC電圧制御回路566から入力される制御信号に応じて増幅或いは減衰して出力する。フィルタ回路562は、例えば水晶フィルタにより構成される、通過帯域が極めて狭いBPFであり、AGCアンプ561から入力される信号に対して所定の周波数範囲の信号を通過させ、範囲外の周波数成分を遮断して出力する。
ポストアンプ563は、フィルタ回路562から入力される信号を、所定の信号レベルまで増幅して出力する。検波整流回路564は、ポストアンプ563から入力される信号を検波して出力する。波形整形回路565は、検波整流回路564から入力された検波信号を波形整形して出力する。波形整形回路565から出力された信号はCPU100に入力される。AGC電圧制御回路566は、検波整流回路564から入力される検波信号のレベルに応じて、AGCアンプ561の増幅度を調整する制御信号を出力する。
図6に、同調回路520の回路構成を示す。同図によれば、同調回路520は、アンテナ20のコイル22に並列接続された同調コンデンサC1,C2と、同調コンデンサC2に直列接続されたスイッチSW2と、同調ずれ補正回路540とを有して構成される。
スイッチSW2は、例えばMOSFETで構成され、CPU100から入力される受信切換信号に従ってオン/オフされる。
同調コンデンサC1,C2の容量値は、次のように設定されている。即ち、スイッチSW2がオフである場合、アンテナ20の同調周波数F1は次式(1)で与えられる。
また、スイッチSW2がオンである場合、アンテナ20の同調周波数F2は次式(2)で与えられる。
上式(1),(2)において、Lはアンテナ20のコイル22のインダクタンスである。そして、この同調周波数F1,F2が、それぞれ、F1=40kHz、F2=60kHz、となるよう、同調コンデンサC1,C2それぞれの容量値が設定されている。
このように、同調回路520は、受信切換信号によってスイッチSW2がオン/オフされることで、アンテナ20の同調周波数を40kHz又は60kHzに切り換える。
同調ずれ補正回路540は、アンテナ20のコイル22に並列接続された複数のコンデンサC3,C4,・・と、これら各コンデンサC3,C4,・・に直列接続された複数のスイッチSW3,SW4,・・とを有して構成される。
各スイッチSW3,SW4,・・は、例えばMOSFETで構成され、CPU100から入力される補正信号に従って独立にオン/オフされる。そして、スイッチSW3,SW4,・・がオンし、対応するコンデンサC3,C4,・・がアンテナ20のコイル22に並列接続するように設定されることで、アンテナ20の同調周波数がシフトされる(切替えられる)。各コンデンサC3,C4,・・の容量値は、当該コンデンサC3,C4,・・がアンテナ20のコイル22に並列接続されることでシフトされる周波数(シフト周波数)が数Hz〜数kHz程度となるよう、設定されている。
図4において、同調ずれ検出回路部600は、同調回路520により設定されたアンテナ20の同調周波数と実際の同調周波数とのずれを検出するための回路である。即ち、アンテナ20は、同調回路520により40kHz又は60kHzに同調するように制御される。しかし、アンテナ20の近傍に金属が有る場合、この近傍金属の影響を受けてインダクタンスが変化し、実際の同調周波数が設定された周波数よりずれる。同調ずれ検出回路部600は、このずれを検出するための回路である。
図7(a)に、同調ずれ検出回路部600の回路構成を示す。同図(a)によれば、同調ずれ検出回路部600は、コイルLsと、抵抗Rsと、VCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発振器)601と、電圧計602と、コンデンサCsと、スイッチSWsとを有して構成されている。
図7(a)によれば、コイルLsとアンテナ20のコイル22とはトランス結合されている。従って、このトランスに印加する信号の周波数に対して、トランスのインピーダンスが変化し、このインピーダンスの変化が印加される信号の振幅の変化となって検出される。
コイルLsは、同図(b)に示すように、アンテナ20のコア21に銅等の導線が巻回されて成り、アンテナ20のコイル22とコアを共通にして形成されている。VCO601は、抵抗Rsを介して、コイルLsの両端に所定周波数の交流電源を供給する。電圧計602は、コイルLsの両端に生じる電圧を検出する。コンデンサCs及びスイッチSWsは直列接続され、アンテナ20のコイル22に並列接続されている。
ここで、コンデンサCsの容量値は、当該コンデンサCsがアンテナ20のコイル22に並列接続された際のアンテナ20の同調周波数が、同調回路520により設定される同調周波数、即ち標準電波の周波数である40kHz又は60kHzとは異なる検出用周波数、例えば30kHzとなるように設定されている。
スイッチSWsは、例えばMOSFETで構成され、CPU100から入力される検出切換信号に従ってオン/オフされる。そして、スイッチSWsがオンし、コンデンサCsがアンテナ20のコイル22に並列接続されることで、アンテナ20の同調周波数が所定の検出用周波数に切り換えられる。
CPU100は、次のように、同調回路520により設定したアンテナ20の同調周波数と実際の同調周波数とのずれ(差)を判断し、このずれを基に、載置部材14に載置されている腕時計50の時計ケース51が金属形成されているか否かを判断する。
即ち、検出切換信号を出力してスイッチSWsをオンさせ、アンテナ20の同調周波数を検出用周波数に切り換える。次いで、VCO601の発振周波数を、この検出用周波数を中心とした所定範囲で変化させるとともに、電圧計602によりコイルLsの両端の電圧を計測する。
図8は、計測されたコイルLsの両端の電圧の一例を示すグラフである。同図では、横軸をVCO601の発振周波数とし、縦軸をコイルLsの両端の電圧としている。また、検出用周波数を30kHzとし、この30kHzを中心とした約25〜30kHzの範囲でVCO601の発振周波数を変化させた場合を示している。
アンテナ20の近傍に金属がない場合、コイルLsの両端の電圧は、図中破線で示すように、検出用周波数でピーク値をとる、上に凸形状の曲線を描く。しかし、アンテナ20の近傍に金属がある場合、コイル22の両端の電圧は、図中実線で示すように、ピーク値となる周波数が検出用周波数からずれる。尚、この周波数のずれは、同図に示すように周波数が高い方向へではなく、低い方へずれることもある。また、この周波数のずれは、近傍金属の種類や形状等にもよるが、概ねその金属との距離が近い程、大きくなる。
そして、この周波数のずれが所定値以上である場合、近傍に金属がある、即ち載置部材14に載置されている腕時計50の時計ケース51が金属形成されている、より詳細には、アンテナ20の同調周波数にずれを生じさせ得る程度の金属材料が時計ケース51に含有されていると判断される。また、同調周波数のずれが所定値未満である場合、近傍に金属がない、即ち載置部材14に載置されている腕時計50の時計ケース51が金属形成されていない、詳細には、アンテナ20の同調周波数にずれを生じさせ得る程度の金属材料が時計ケース51には含有されていないと判断する。
計時回路部720は、発振回路部740から入力されるクロック信号を計数して現在時刻を計時し、現在時刻データをCPU100に出力する。発振回路部740は、常時一定周波数のクロック信号を出力する。
腕時計検出部800は、載置部材14に腕時計50が載置されているか否かを検出し、検出信号をCPU100に出力する。図9に、腕時計検出部800の回路構成を示す。同図によれば、腕時計検出部800は、検出スイッチ14aと、抵抗Rcと、反転アンプとしてのインバータ801とを有して構成される。
検出スイッチ14a及び抵抗Rcは直列接続され、検出スイッチ14a側の端部が接地されているとともに、抵抗Rc側の端部に所定電圧VDDが印加されている。インバータ801は、入力端子が検出スイッチ14aと抵抗Rcとの接続点に接続され、この接続点の電位(電圧レベル)を反転し、信号aとして出力する。
即ち、検出スイッチ14aがオフの場合、インバータ801には、所定電圧VDDが抵抗Rを介して印加され、信号aはロウレベルとなる。一方、検出スイッチ14aがオンの場合、インバータ801には接地電位(GND)が印加され、信号aはハイレベルとなる。
そして、CPU100は、信号aを基に、載置部材14に腕時計50が載置されているか否かを判断する。即ち、信号aがハイレベルである場合、検出スイッチ14aはオンされているので、載置部材14に腕時計50が載置されていると判断する。一方、信号aがロウレベルである場合、検出スイッチ14aがオフされているので、載置部材14に腕時計50は載置されていないと判断する。
[処理の流れ]
図10は、本実施形態にかかるCPU100の処理を説明するためのフローチャートである。この処理は、CPU100がROM300の制御プログラム320を実行することで実現される。
同図によれば、CPU100は、先ず、腕時計検出処理を実行する(ステップA1)。
図11は、腕時計検出処理の流れを説明するためのフローチャートである。この処理は、CPU100が腕時計検出プログラム324を実行することで実現される。
同図によれば、CPU100は、腕時計検出部800から入力される信号aのレベル変化を判断し、変化したならば(ステップB1:YES)、次いで、変化後の信号aのレベルを判断する。
信号aがハイレベルであるならば(ステップB3:YES)、載置部材14に腕時計50が載置されていると判断し、レジスタ[007]に載置有りを示す“1”を設定する(ステップB5)。続いて、同調ずれ検出回路部600に検出切換信号を出力し、アンテナ20を所定の検出用周波数に同調させる(ステップB7)。次いで、同調ずれ検出回路部600のVCO601の発振周波数を、この検出用周波数を中心とする所定範囲内で徐々に変化させ、電圧計602によりコイルLsの両端の電圧を計測する(ステップB9)。
そして、計測した電圧値のうち、ピーク値に対応する周波数をアンテナ20の実際の同調周波数であると判断し(ステップB11)、この判断した実際の同調周波数とアンテナ20の検出用周波数との差(ずれ)を算出する。
算出した周波数の差が所定値以上であるならば(ステップB13:YES)、CPU100は、載置部材14に載置されている腕時計50の時計ケース51が金属形成されていると判断し、レジスタ[008]に金属形成されていることを示す“1”を設定する(ステップB15)。算出した周波数の差が所定値未満であるならば(ステップB13:NO)、載置部材14に載置されている腕時計50の時計ケース51は金属以外の材料で形成されていると判断し、レジスタ[008]に金属形成されていないことを示す“0”を設定する(ステップB17)。
また、ステップB3において、信号aのレベルがロウレベルならば(ステップB3:NO)、CPU100は、載置部材14には腕時計50が載置されていないと判断し、レジスタ[007]に載置無しを示す“0”を設定する(ステップB19)。
以上の処理を行うと、腕時計検出処理を終了する。
腕時計検出処理を終了すると、CPU100は、続いて、時刻修正処理を実行する(ステップA3)。
図12は、時刻修正処理の流れを説明するためのフローチャートである。この処理は、CPU100が時刻修正プログラム322を実行することで実現される。
同図によれば、CPU100は、計時回路部720により計時されている現在時刻が、レジスタ[004]に設定されている置き時計1の時刻修正時刻に達したか否かを判断し、達したならば(ステップC1:YES)、例えば受信信号の電界強度等に基づいて最適な受信周波数を決定し、判断した受信周波数をレジスタ[001]に設定する(ステップC3)。
続いて、CPU100は、レジスタ[001]に記憶されている受信周波数に基づく受信切換信号を同調回路520に出力し、アンテナ20をこの受信周波数に同調させる(ステップC5)。
次いで、レジスタ[007]の設定値を判断し、その設定値が“1”、即ち載置部材14に腕時計50が載置されているならば(ステップC7:YES)、更に、レジスタ[008]の設定値を判断する。レジスタ[008]の設定値が“1”、即ち載置されている腕時計50の時計ケース51が金属形成されているならば(ステップC9:YES)、レジスタ[006]に記憶されているシフト周波数に基づく補正信号を同調ずれ補正回路540に出力し、アンテナ20の同調周波数を、このシフト周波数だけシフトさせる(ステップC11)。
次いで、CPU100は、受信回路部500を制御して標準電波を受信させる標準電波受信処理を実行する(ステップC13)。そして、受信回路部500からの入力信号(検波信号)を基に標準タイムコードを生成し、生成した標準タイムコードに基づいて計時回路部720により計時されている現在時刻データを修正するとともに、表示部240の現在時刻表示を修正後の時刻に更新させる時刻修正処理を実行する(ステップC15)。
以上の処理を行うと、時刻修正処理を終了する。
時刻修正処理を終了すると、CPU100は、続いて、腕時計受信時処理を実行する(ステップA5)。
図13は、腕時計受信時処理の流れを説明するためのフローチャートである。この処理は、CPU100が腕時計受信時プログラム323を実行することで実現される。
同図によれば、CPU100は、計時回路部720により計時されている現在時刻が、レジスタ[005]に設定されている腕時計50における時刻修正時間に達したか否かを判断し、達したならば(ステップD1:YES)、レジスタ[007]の設定値を判断する。
レジスタ[007]の設定値が“1”、即ち載置部材14に腕時計50が載置されているならば(ステップD3:YES)、表示部240における時刻表示を消去する(ステップD5)。続いて、レジスタ[002]に設定されている、腕時計50における受信周波数に基づく受信切換信号を同調回路520に出力し、アンテナ20を、この受信周波数に同調させる(ステップD7)。
次いで、レジスタ[008]の設定値を判断し、設定値が“1”、即ち載置されている腕時計50の時計ケース51が金属形成されているならば(ステップD9:YES)、レジスタ[006]に記憶されているシフト周波数に基づく補正信号を同調ずれ補正回路540に出力し、アンテナ20の同調周波数を、このシフト周波数だけシフトさせる(ステップD11)。
その後、CPU100は、腕時計50における時刻修正は終了したかを判断する、即ち、腕時計50の時刻修正時刻から所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間が経過したならば、腕時計50における時刻修正が修了したと判断する。腕時計50における時刻修正が終了したと判断したならば(ステップD13:YES)、表示部240の時刻表示を再表示する(ステップD15)。
以上の処理を行うと、腕時計受信時処理を終了する、
腕時計受信時処理を終了すると、CPU100は、本処理を終了するか否かを判断し、終了しないならば(ステップA7:NO)、ステップA1に戻り、終了するならば(ステップA7:YES)、本処理を終了する。
[作用・効果]
以上、本実施形態によれば、腕時計50に内蔵されるアンテナ60及び置き時計1に内蔵されるアンテナ20それぞれのコア軸線方向が平行となるよう、置き時計1の筐体10背面に設けられた載置部材14に腕時計50が載置されると、このコア軸線方向が互いに平行となったアンテナ20,60が磁気結合することにより、アンテナ60の受信性能が、アンテナ60単独の場合と比較して向上される。また、この置き時計1では、筐体10背面であって載置部材14の下方に設けられた転倒防止部材16により、載置部材14に載置された腕時計50の重みによって後方に転倒することが防止される。即ち、置き時計1を、本来の電波時計として使用可能であるとともに、載置部材14に載置された腕時計50の受信感度を向上させる補助アンテナとしての役割を成す時刻修正装置、又はアンテナ装置としても使用可能となる。
また、置き時計1では、載置部材14に載置されている腕時計50における標準電波の受信時刻になると、その腕時計50の時計ケース51が金属形成されている場合、アンテナ20を、その腕時計50における標準電波の受信周波数から所定の周波数だけシフトさせたシフト周波数に同調させ、金属形成されていない場合には、上記受信周波数に同調させる。これにより、載置されている腕時計50における標準電波の受信を妨げず、受信性能を更に向上させることが可能となる。
ここで、金属形成された時計ケース51は、この時計ケース51に含有される金属材料の種類や量等が該時計ケース51の材質や種類によって異なる。このため、配置される腕時計50は、該腕時計50の種類や機種によって受信しようとする周波数と実際の同調周波数とのずれの程度が異なる。そこで、例えば実験等により、予め製品の種類や機種毎に、当該製品に含有される金属材料によって生じ得る同調周波数のずれの程度を求めておき、この求めた値に基づいてずれの程度を予測し、この予測したずれの程度と製品の種類とを対応付けて記憶しておく。そして、選択された製品の種類に応じて同調周波数のずれを補正することで、より正確なずれの補正が可能となる。
更に、置き時計1では、当該置き時計1における時刻修正の際、載置部材14に腕時計50が載置され、且つその腕時計50の時計ケースが金属形成されている場合、アンテナ20の同調周波数を所定の周波数(シフト周波数)だけシフトさせる。これによって、より正確な時刻修正が可能となる。
[変形例]
尚、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
(A)配置部
例えば、上述した実施形態では、腕時計50を配置する配置部として、置き時計1の背面に載置部材14を設けることとしたが、例えば図14に示すように、載置部材14を設けず、筐体10上面に腕時計50を載置する凹部を形成することとしても良い。同図によれば、置き時計1Aの筐体10上面に、腕時計50を載置する載置凹部17が形成されている。この載置凹部17は、腕時計50の外形に合わせた形状を成しており、詳細には、腕時計50を、筐体10の長手方向に平行な向きと垂直な向きとの何れでも配置可能な形状に形成されている。
また、腕時計50を配置する配置部として、置き時計の筐体10上面に、載置する腕時計50の模式図を印刷等によって標示し、これによって腕時計50の配置位置や配置向きを指示するように構成しても良い。
(B)シフト周波数
また、上述した実施形態では、アンテナ20の同調周波数をシフトする(切替える)際のシフト周波数を所定値としたが、同調ずれ検出回路部600によって検出された検出用周波数と実際の同等周波数との差を基に、設定することとしても良い。この場合、例えば周波数のずれが大きい程、シフト周波数を大きく設定する。
また、載置された腕時計50の型番等に基づく腕時計50の種類に応じてシフト周波数を設定することとしても良い。即ち、腕時計50が載置部材14に載置されることによるアンテナ20の同調周波数のずれは、その腕時計50の配置位置や時計ケース51の大きさ、時計ケース51を形成する金属の種類や割合等によって大凡決まる。そこで、予め実験等により判明した載置され得る腕時計50の型番毎に予測される同調周波数のずれを、置き時計10の製造時にメーカ側が記憶させておき、例えばユーザによって入力された型番に基づいてシフト周波数を設定することとしても良い。
更にこの場合、入力される腕時計50の型番により、載置部材14に載置される腕時計50の時計ケース51が金属形成されているか否かを判断することとしても良い。
(C)腕時計50の受信周波数
また、上述した実施形態では、載置部材14に載置された腕時計50における標準電波の受信周波数をユーザの操作入力に従って設定することとしたが、これを、置き時計1における標準電波の受信周波数と等しいこととしても良い。
(D)時刻修正装置及び製品
また、上述した実施形態では、時刻修正装置(アンテナ装置)を置き時計型の電波時計に適用し、製品として腕時計型の電波時計が配置されることとしたが、例えばラジオや無線受信機といった、電波を受信するアンテナを備えた他の装置に適用することとしても良いし、配置される製品もこれに限らない。