JP4635582B2 - 排気浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ディーゼルエンジンの排気パティキュレートを処理する排気浄化装置に関する。
排気中のパティキュレートを捕集するフィルタであって酸化触媒を有するフィルタを備え、前記酸化触媒が劣化したときには酸化触媒が劣化していないときより前記フィルタの再生処理時の目標入口温度を高く設定する共に、フィルタの再生時期になったときに排気昇温手段を用いて前記目標入口温度まで前記フィルタを昇温させて再生処理を行うものがある(特許文献1参照)。
特開2003−155918公報
ところで、フィルタの再生中断や再生不良が生じることがある。再生中断が生じるのは、フィルタの再生処理中に排気温度がフィルタの再生に必要な温度を下回るためで、これを逆に言えばフィルタに堆積しているパティキュレートの全てを燃やしてフィルタを完全再生(フィルタに堆積しているパティキュレートの全てを燃焼除去すること)させるにはフィルタの完全再生に必要な時間、ほぼ同じ状態で連続走行が行われる必要がある。言い換えると、フィルタを完全再生させるには再生処理時にフィルタの許容温度を超えない範囲で少しでもパティキュレートの燃焼温度を高めてやる必要がある。
この対策の一つとして上記の特許文献1の技術があり、酸化触媒によりフィルタに堆積しているパティキュレートが燃焼する際の酸化反応を促進してその分フィルタのベッド温度を上昇させ、フィルタ内のパティキュレートの燃焼を促進させようというわけである。この場合、フィルタの再生処理を行うには再生時期になったとき排気昇温手段を用いて排気温度をフィルタの目標入口温度まで上昇させる必要があるが、酸化触媒による酸化反応の促進に伴う昇温効果の分だけ目標入口温度を下げることができ、これにより排気昇温手段の負担を軽減することができる。
しかしながら、上記の特許文献1の技術では、酸化触媒の劣化の度合いを車両の走行距離に基づいて検出しその劣化度合いに応じて排気温度の閾値を上方修正するもので、酸化触媒の劣化度合いは、同じ走行距離でも車両の運転状態によって異なり、上記の特許文献1の技術のように酸化触媒の劣化の度合いを車両の走行距離に基づいて検出するものでは、必ずしも正確な酸化触媒の劣化度合いを検出できるものではない。よって、検出した酸化触媒の劣化度合いを実際の酸化触媒の劣化度合いより高く判断してしまうと、フィルタの再生処理時の排気温度を上げすぎて燃費の悪化やフィルタの耐熱性能を損ねたり、逆に検出した酸化触媒の劣化度合いを実際の酸化触媒の劣化度合いより低く判断して、フィルタの再生処理時の排気温度を低くさせフィルタの再生効率を悪くする恐れがある。
そこで本発明は酸化触媒の劣化の程度を車両の走行距離とは別のパラメータに基づいて推定し得る装置を提供することを目的とする。
本発明は、排気中のパティキュレートを捕集するフィルタの再生時期になったときに排気昇温手段を用いて目標温度までフィルタを昇温させてフィルタの再生処理を行う排気浄化装置において、フィルタの再生処理時におけるフィルタの再生効率を求める。
また、排気中のパティキュレートを捕集するフィルタであって酸化触媒を有するフィルタの再生時期になったときに排気昇温手段を用いて目標入口温度(Td)までフィルタを昇温させてフィルタの再生処理を行う排気浄化装置において、このフィルタの温度(Tbed)を検出し、この検出されるフィルタの温度(Tbed)が目標フィルタ温度(Tx)以上となっている期間を加算した値を有効再生期間(te)として演算し、この有効再生期間(te)に基づいて前記フィルタに堆積しているパティキュレートの燃焼除去量であるパティキュレート再生量(PMr)を推定し、この推定されるパティキュレート再生量(PMr)と、前記再生処理開始時のパティキュレート捕集量(PMi)から、前記フィルタ内のパティキュレートがどの程度燃焼して消失したかの割合を表す前記フィルタの再生効率(ηPM)を演算し、この演算されるフィルタの再生効率に基づいて前記酸化触媒に劣化があるか否かを判定する
また、排気中のパティキュレートを捕集するフィルタであって酸化触媒を有するフィルタと、このフィルタの入口温度(T1)を検出する入口温度検出手段とを備え、パティキュレートの捕集量が目標捕集量(PMα)となったか否かを判定し、この判定結果より目標捕集量(PMα)となったときのパティキュレートの捕集量を第1捕集量(PMi)として検出し、パティキュレートの捕集量が目標捕集量(PMα)となったときに排気昇温手段を用いてフィルタを昇温させて再生処理を行い、フィルタの再生処理中に前記入口温度(T1)が所定値に達しているか否かを判定し、前記入口温度(T1)が所定値に達した後に、フィルタに残存するパティキュレートの捕集量を第2捕集量(PM)として検出し、この第2捕集量(PM)と前記第1捕集量(PMi)とから、前記フィルタ内のパティキュレートがどの程度燃焼して消失したかの割合を表すフィルタの再生効率(ηPM)を演算し、この演算されるフィルタの再生効率に基づいて前記酸化触媒に劣化があるか否かを判定する
また、排気中のパティキュレートを捕集する機能と酸化触媒機能とを有するフィルタと、このフィルタの温度(Tbed)を検出するフィルタ温度検出手段とを備え、フィルタの再生処理を実行すべきか否かを判定し、フィルタの再生処理を実行すべきときに、フィルタに流入する排気の温度が目標入口温度(Td)以上となるようにエンジンを制御し、フィルタに流入する排気の温度が目標入口温度(Td)以上となっている時間を加算して目標温度維持時間(ti)を演算し、フィルタ温度検出手段により検出されるフィルタ温度(Tbed)が所定温度(Tx)以上となっている期間を加算して有効再生期間(te)を演算し、再生処理開のパティキュレート捕集量(PMi)とこの有効再生期間(te)とに基づいてパティキュレートの燃焼除去量であるパティキュレート再生量(PMr)を演算し、前記目標入口温度維持時間(ti)とこのパティキュレート再生量(PMr)と、前記再生処理開始時のパティキュレート捕集量(PMi)とに基づいてフィルタの再生効率(ηPM)を演算する。
本発明によれば、フィルタの再生処理時におけるフィルタの再生効率を求めているので、このフィルタの再生効率に基づけば、酸化触媒の劣化の程度を精度良く推定できる。
このようにして酸化触媒の劣化の程度を推定できれば、このフィルタの再生効率に基づいてフィルタの目標温度を変更することで、酸化触媒の劣化度合いを正確に検出することができ、燃費の悪化やフィルタの耐熱性能を損ねることなく、効率的なフィルタの再生処理を行うことができる。
また、フィルタの再生効率に基づいて酸化触媒に劣化があるか否かを判定することで、特開2003−106140号公報に記載されている技術のように可燃物の発熱量を推定することなく簡素な制御で酸化触媒の劣化判定を行うことができる。
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、1はディーゼルエンジンで、排気通路2と吸気通路3のコレクタ部3aとを結ぶEGR通路4に、圧力制御弁(図示しない)からの制御圧力に応動するダイヤフラム式のEGR弁6(EGR装置)を備えている。圧力制御弁は、エンジンコントローラ31からのデューティ制御信号により駆動されるもので、これによって運転条件に応じた所定のEGR率を得るようにしている。
エンジンにはコモンレール式の燃料噴射装置10を備える。この燃料噴射装置10は、主に燃料タンク(図示しない)、サプライポンプ14、コモンレール(蓄圧室)16、気筒毎に設けられるノズル17からなり、サプライポンプ14により加圧された燃料は蓄圧室16にいったん蓄えられ、この蓄圧室16の高圧燃料が気筒数分のノズル17へと分配される。
ノズル17(燃料噴射弁)は、針弁、ノズル室、ノズル室への燃料供給通路、リテーナ、油圧ピストン、リターンスプリングなどからなり、油圧ピストンへの燃料供給通路に三方弁(図示しない)が介装されている。三方弁(電磁弁)のOFF時には、針弁が着座状態にあるが、三方弁がON状態になると針弁が上昇してノズル先端の噴孔より燃料が噴射される。つまり三方弁のOFFからONへの切換時期により燃料の噴射開始時期が、またON時間により燃料噴射量が調整され、蓄圧室16の圧力が同じであればON時間が長くなるほど燃料噴射量が多くなる。
EGR通路4の開口部下流の排気通路2に、排気の熱エネルギーを回転エネルギーに変換するタービン22と吸気を圧縮するコンプレッサ23とを同軸で連結した可変容量ターボ過給機21を備える。タービン22のスクロール入口に、アクチュエータ25により駆動される可変ノズル24(可変容量機構)が設けられ、エンジンコントローラ31により、可変ノズル24は低回転速度域から所定の過給圧が得られるように、低回転速度側ではタービン22に導入される排気の流速を高めるノズル開度(傾動状態)に、高回転速度側では排気を抵抗なくタービン22に導入させノズル開度(全開状態)に制御する。
上記のアクチュエータ25は、制御圧力に応動して可変ノズル26を駆動するダイヤフラムアクチュエータ26と、このダイヤフラムアクチュエータ26への制御圧力を調整する圧力制御弁27とからなり、可変ノズル24の実開度が目標ノズル開度となるように、デューティ制御信号が作られ、このデューティ制御信号が圧力制御弁27に出力される。
コレクタ3a入口には、アクチュエータ43により駆動される吸気絞り弁42(吸気絞り装置)が設けられている。上記のアクチュエータ43は、制御圧力に応動して吸気絞り弁42を駆動するダイヤフラムアクチュエータ44と、このダイヤフラムアクチュエータ44への制御圧力を調整する圧力制御弁45とからなり、吸気絞り弁42が目標開度まで閉じられるように、デューティ制御信号が作られ、このデューティ制御信号が圧力制御弁45に出力される。
アクセルセンサ32、エンジン回転速度とクランク角度を検出するセンサ33、水温センサ34、エアフローメータ35からの信号が入力されるエンジンコントローラ31では、これらの信号に基づいて目標EGR率と目標過給圧とが得られるようにEGR制御と過給圧制御を協調して行う。
排気通路2には排気中のパティキュレートを捕集するフィルタ41が設置される。フィルタ41のパティキュレート堆積量が所定値(閾値)に達すると、フィルタの再生処理を開始し、フィルタ41に堆積しているパティキュレートを燃焼除去する。
フィルタ41の圧力損失(フィルタ41の上流と下流の圧力差)を検出するために、フィルタ41をバイパスする差圧検出通路に差圧センサ36が設けられる。
この差圧センサ36により検出されるフィルタ41の圧力損失ΔPは、温度センサ37からのフィルタ入口温度T1、温度センサ38からのフィルタ出口温度T2と共にエンジンコントローラ31に送られ、主にマイクロプロセッサで構成されるエンジンコントローラ31では、これらに基づいてフィルタ41の再生処理を行う。
一方、フィルタ41に堆積しているパティキュレートの全てが燃焼除去される完全再生を行わせるには再生処理時にフィルタ41の許容温度を超えない範囲で少しでもパティキュレートの燃焼温度を高めてやることが必要となることから、本実施形態ではフィルタ41を構成する担体に酸化触媒をコーティングしている。酸化触媒によりパティキュレートが燃焼する際の酸化反応を促進してその分フィルタ41のベッド温度を実質的に上昇させ、フィルタ41内のパティキュレートの燃焼を促進させる。
こうした酸化触媒を担持したフィルタ41を対象として、本実施形態では、フィルタ41のベッド温度Tbedを検出し、この検出されるベッド温度が目標ベッド温度Tx以上となっている期間を積算した値を有効再生期間teとして演算し、この有効再生期間teに基づいてフィルタ41に堆積しているパティキュレートの燃焼除去量であるパティキュレート再生量PMrを推定し、この推定されるパティキュレート再生量PMrからパティキュレートの再生効率ηPMを演算し、この演算される再生効率ηPMに基づき、目標入口温度Tdを高く設定する。
エンジンコントローラ31で実行されるこれらの制御をフローチャートを参照して説明する。
図2はフィルタ41の1回分の再生処理を行うためのものである。このフローは一定の周期で繰り返し実行するものではなく、時系列的に操作を示したものである。
ステップ1では、差圧センサ36により検出される圧力損失ΔPに基いてフィルタ41へのパティキュレート捕集量を演算する。
ステップ2では、このパティキュレート捕集量と目標捕集量PMαとを比較する。ここで、目標捕集量PMαはフィルタ41の再生特性に応じて実験等により予め定めておく。パティキュレート捕集量が目標捕集量PMαに達しない場合にはステップ1に戻ってパティキュレート捕集量の演算を繰り返す。このパティキュレート捕集量の演算の繰り返しによりパティキュレート捕集量が増えてゆき、やがて目標捕集量PMα以上になるとステップ3、4に進み再生処理開始時のパティキュレート捕集量を第1捕集量PMiに格納した後、再生フェーズに進むため再生フェーズフラグ(ゼロに初期設定)=1、再生終了フラグ(ゼロに初期設定)=0とする。さらにカウンタNの値を1に設定する。
ステップ5では再生フェーズフラグ=1となった直後(初回)かどうかをみる。具体的にはカウンタNの値が1であるかどうかをみる。再生フェーズフラグ=1となった直後(N=1)であればステップ6に進み第1捕集量PMiと酸化触媒の劣化係数dとから図3を内容とするマップを検索することにより、フィルタ41の目標入口温度Tdを演算する。
図3に示したように目標入口温度Tdは酸化触媒の劣化係数dが同じでも第1捕集量PMiが多くなるほど低くなっている。これは、第1捕集量PMiが増加すると、フィルタ41の再生処理中に燃焼するパティキュレートの量が多くなり、燃焼による温度上昇によってフィルタ41が過剰に高温となるので、これを防止するためである。第1捕集量PMiをもパラメータとしているのは、エンジンやフィルタ41の仕様の違いに対応するためのものである。
また、目標入口温度Tdは図3のように第1捕集量PMiが同じでも酸化触媒の劣化係数dが大きいほど高くなる値である。
ここで、酸化触媒の劣化係数dは、後述するようにこの値がゼロのとき酸化触媒に劣化がないことを、また、この値が正の値で大きくなるほど酸化触媒の劣化が進んでいることを表す。第1捕集量PMiが同じでも酸化触媒の劣化係数dが大きいほど目標入口温度Tdを高くしているのは次の理由による。フィルタ41を構成する担体には酸化触媒をコーティングしている。これは、フィルタ41に堆積しているパティキュレートが燃焼する際の酸化反応を促進してその分フィルタ41のベッド温度を実質的に上昇させ、フィルタ41内のパティキュレートの燃焼を促進させるためである。しかしながら、酸化触媒が劣化してくると、パティキュレートが燃焼する際の酸化反応を促進できなくなり、その分フィルタ41のベッド温度は実質的に上昇しない。そこで、酸化触媒の劣化が進むほど目標入口温度Tdを上昇させることで、ベッド温度が実質的に上昇しないことに対応させるようにしたものである。
なお、酸化触媒が劣化していないときには酸化触媒を有しないフィルタよりも目標入口温度Tdを低く設定している。これにより、排気昇温手段の負担を軽減することができる。これは、フィルタ41の再生処理を行うには再生時期になったとき排気昇温手段を用いてフィルタ41を目標入口温度Tdまで上昇させる必要があるが、酸化触媒による酸化反応の促進に伴う昇温効果の分だけ目標入口温度Tdを下げることで、排気昇温手段の負担が軽減されるためである。
ステップ7では、ステップ6で算出した目標入口温度Tdとなるように、排気温度を上昇させるフェーズ(排気昇温フェーズ)に移り、排気昇温手段を用いて排気温度を上昇させる。排気昇温手段としては、通常の燃料噴射後に再度燃料噴射を行うポスト噴射を実行する手段や、燃料噴射時期を遅らせる噴射時期リタード手段等、従来から用いられている手段を用いる。
ステップ7での排気昇温フェーズの実行を終了すると、ステップ8に進み入口温度センサ37により検出される入口温度T1および出口温度センサ38により検出される入口温度T2に基いて、フィルタ41のベッド温度Tbedを推定する。これは簡単には入口温度T1と出口温度T2との平均値をベッド温度Tbedして用いればよい。
ステップ9では、ステップ8で算出したフィルタ41のベッド温度Tbedが目標ベッド温度Txを超えた時間を積算し、その積算値を有効再生時間teとして演算する。目標ベッド温度txとはその温度を一定期間維持すればフィルタ41内のパティキュレートを燃え残すことなく全て燃焼し得る温度のことで、目標入口温度Tdから定まり、さらに第1捕集量PMiに応じても変化する値である。
ベッド温度Tbedは図4に示したように走行条件の変化を受けて変化するため、ベッド温度Tbedが目標ベッド温度Tx未満になっているときにはフィルタ41内のパティキュレートが完全燃焼できずに燃え残ることが考えられる。そこで、パティキュレートの完全燃焼に実際に寄与した期間を有効再生期間teとして定義する。具体的にはベッド温度Tbedが目標ベッド温度Tx以上となっている期間の積算値を有効再生期間teとする。従って、図4の場合には有効再生期間teを次式(1)により算出する。
te=tx1+tx2+tx3+tx4…(1)
このようにベッド温度が目標ベッド温度以上となっている期間である有効再生期間teを用いることによって、フィルタ41内のパティキュレートが不完全燃焼を行う期間を除くことができるので、精度良くフィルタ41内のパティキュレートの完全燃焼量(再生量)を推定することが可能となる。
有効再生時間teの演算方法はこれに限られない。すなわち、ベッド温度Tbedが目標ベッド温度Tx未満であるときにはパティキュレートの一部が燃え残ることを前述したが、これを逆に言うと、燃え残る以外の部分は完全燃焼してその分のパティキュレートは消失している。従って、ベッド温度Tbedが目標ベッド温度Tx未満であるときにこの完全燃焼して消失した部分も有効再生期間に含めて取り込むべきである。
これを図5を用いて具体的に説明すると、図5は図4と同様にベッド温度Tbedの時間的変化を表したものである。目標ベッド温度Txより低い温度域においてパティキュレートが燃焼を開始する最低の温度を第1温度Taとして、この第1温度Taと目標ベッド温度Txの間をいくつかに区切る。図示の例は4つで、その区切りの温度を第2温度Tb、第3温度Tc、第4温度Tdとし、ベッド温度Tbedが
Ta〜Tbの温度範囲にある期間をta1、ta2、
Tb〜Tcの温度範囲にある期間をtb1、tb2、tb3、
Tc〜Tdの温度範囲にある期間をtc1、tc2、tc3、
Td〜Txの温度範囲にある期間をtd1、td2
Tx以上の温度範囲にある期間をtx1
と設定する。区切る数は4つに限定されるものではない。
このとき次式により有効再生期間teを算出する。
te=Ka×(ta1+ta2)+Kb×(tb1+tb2+tb3)
+Kc×(tc1+tc2+tc3)+Kd×(td1+td2)
+Kx×(tx1)…(2)
ただし、Ka,Kb,Kc,Kd,Kx;有効再生期間の温度係数、
ここで、有効再生期間の温度係数は、フィルタ41内のパティキュレートが完全燃焼する部分を有効再生期間として重み付けするための値で、ベッド温度Tbedが目標ベッド温度Tx以上であるときにはフィルタ41内のパティキュレートの全てが完全燃焼して消失するので、温度係数Kxは1.0である。ベッド温度Tbedが目標ベッド温度Tx未満であるときに例えばフィルタ41内のパテキュレートの1割が燃え残り残り9割が完全燃焼して消失するとすれば温度係数は0.9である。同様にしてフィルタ41内のパテキュレートの5割が燃え残り残り5割が完全燃焼して消失するとすれば温度係数は0.5である。ベッド温度Tbedが目標ベッド温度Tx未満であるときにベッド温度が低いほど完全燃焼して消失するパティキュレートの割合が小さくなるので、5つの温度係数Ka,Kb,Kc,Kd,Kxについての大小関係はKa<Kb<Kc<Kd<Kxとなる(図6参照)。
このようにすれば、ベッド温度Tbedが目標ベッド温度Tx未満にある温度域で部分的に完全燃焼して消失するパティキュレートの量を有効再生時間teとして織り込むことができるので、フィルタ41内のパティキュレート再生量をより精度良く推定できることになる。
ステップ10では有効再生時間teと第1捕集量PMiとから図7を内容とするマップを検索することによりフィルタ41に堆積しているパティキュレートのうち完全燃焼して消失した量であるパティキュレート再生量PMrを算出する。図7に示すようにパティキュレート再生量PMrは第1捕集量PMiが同じであれば有効再生時間teが長いほど多くなり、また有効再生時間teが同じであれば第1捕集量PMiが多くなるほど多くなる値である。
ステップ11では、第1捕集量PMiとステップ10で求めたフィルタ41内のパティキュレート再生量PMrとから次式により、フィルタ41に燃えずに残っているパティキュレートの量であるパティキュレート残存量PMxを算出する。
PMx=PMi−PMr…(3)
ステップ12ではパティキュレート再生量PMrと目標再生量ΔPMを比較する。ここで、目標再生量ΔPMとしては例えば図8に示したように目標捕集量PMαを4g/Lとしたとき、その4分の1である1g/Lを設定している。もちろん目標再生量ΔPMは目標捕集量PMαの1/4に限定されるものでなく、エンジンやフィルタ41の仕様に応じて適合する。フィルタ41内のパティキュレート再生量PMrがこの目標再生量ΔPM未満である場合にはステップ9に戻りステップ9〜12の操作を繰り返す。この繰り返しによりパティキュレート再生量PMrが増えてゆき、パティキュレート残存量PMxは減ってゆく。
やがてパティキュレート再生量PMrが目標再生量ΔPMに達するとステップ12よりステップ13に進む。パティキュレート再生量PMrが目標再生量ΔPMに一致した時刻では図8においてパティキュレート残存量PMxはPMi−PMr=PMα−ΔPM=4−1=3[g/L]となっている。
ステップ13では、パティキュレート残存量PMxと目標残存量PMdとを比較する。ここで、目標残存量PMdは渋滞走行時や高速走行時といった各走行条件に応じて再生フェーズの終了時にフィルタ41に残存することを許容するパティキュレートの量である。連続高速走行時のように完全再生を行うことのできる走行条件での目標残存量PMdを0g/Lとすれば、渋滞走行時のように部分的にしか再生を行うことのできない走行条件での目標残存量PMdは、図8に示したように再生処理開始時のパティキュレート捕集量を4g/Lとしたときその半分の2g/Lを設定している。つまり、渋滞走行時にはフィルタ41に堆積しているすべてのパティキュレートを燃焼させて消失させるのではなく、高速走行時の半分のパティキュレートを燃焼し消失させた時点で再生処理を一旦終了し、再びどういう走行条件にあるか否かを判定する。その結果、走行条件が高速走行に移っており、その状態で再生フェーズに移ったときに目標残存量PMdを0g/Lに切換えて再生処理を実行する。
ただし、以下ではステップ13でパティキュレート残存量PMxが目標残存量PMd(=2g/L)を超えていると判定された後も渋滞走行が継続しているものとして述べると、このときには再生処理を続けなければならないためステップ5に戻る。このとき、ステップ22でカウンタNの値を1だけ増加させる。ステップ5では初回でない(N≠1)と判定されるのでステップ5よりステップ14に進み、第1捕集量PMiではなく、ステップ11で算出したパティキュレート残存量PMxを用い、この残存量PMxと酸化触媒の劣化係数dとから再び図3を内容とするマップを検索して目標入口温度Tdを算出し、この目標入口温度Tdとなるようにステップ15で排気昇温手段を用いて排気温度を上昇させる。ステップ11で算出したパティキュレート残存量PMxは第1捕集量PMiより小さくなっているので、図3によればパティキュレート残存量PMxから得られる目標入口温度Tdは第1捕集量PMiから得られる目標入口温度Tdより高くなる。すなわち、再生処理開始時の目標入口温度を変えることなく目標残存量PMdまでフィルタ41内のパテキュレートを燃焼させて消失させるのではなく、パティキュレート再生量PMrが目標再生量ΔPMになる毎に目標入口温度Tdを高くしてゆくことで、フィルタ41のベッド温度を高めてフィルタ41のパティキュレートの燃焼を促進する。
そして、ステップ16〜19の操作を、前述のステップ8〜11と同じに実行する。
ステップ20では再びパティキュレート再生量PMrと、N倍された目標再生量ΔPMとを比較し、パティキュレート再生量PMrが目標再生量ΔPM×N未満である間はステップ17〜20の操作を繰り返し、パティキュレート再生量PMrが目標再生量ΔPM×N以上になるとステップ13に進む。すなわち、目標入口温度Tdの再設定(ステップ14)が行われてからのパティキュレート再生量PMrの増加量が目標再生量ΔPMに達したらステップ13に進む。ステップ20でパティキュレート再生量PMrが目標再生量ΔPM×Nに一致した時刻では図8においてパティキュレート残存量PMxはPMi−PMr=PMi−ΔPM×2=4−2=2[g/L]となっている。
このため、ステップ20よりステップ13に進んでパティキュレート残存量PMx(=2g/L)と渋滞走行時の目標残存量PMd(=2g/L)を比較すると、両者が一致するので、渋滞走行時の再生処理を終了して次回の再生処理に備えるためステップ21に進み再生フェーズフラグ=0、再生終了フラグ(ゼロに初期設定)=1とする。再生終了フラグは後述する酸化触媒の劣化係数dを演算するために必要となるフラグである(図9のステップ38参照)。
これで1回の再生処理を終了するので、再びステップ1からの操作を繰り返す。
図9は酸化触媒の劣化係数dを演算するためのものである。このフローも一定の周期で繰り返し実行するものではなく、時系列的に操作を示したものである。
ステップ31、32では再生フェーズフラグ=1かつ排気昇温フェーズを終了しているか否かをみる。再生フェーズフラグ=1かつ排気昇温フェーズを終了しているときにはステップ33に進み、温度センサ37により検出されるフィルタ41の入口温度T1がフィルタ41の目標入口温度Td(図2のステップ5で求めている)を維持する時間tiを演算する。例えば、図10に示したように目標入口温度Tdに対して許容幅εを設けておき、実際の入口温度T1がこの許容幅内(Td≦T1≦Td+ε)にある時間t1、t2、t3を次式のように積算した値を目標入口温度維持時間ti(期間)として算出する。
ti=t1+t2+t3…(5)
ステップ34ではこの目標入口温度維持時間tiと所定時間Xを比較する。ここで、所定時間Xは完全再生が終了する時間で例えば10分程度を設定する。目標入口温度維持時間tiが所定時間Xに達するまではステップ33の操作を繰り返す。
目標入口温度維持時間tiが所定時間Xに達したときにはステップ34よりステップ35、36に進み所定時間X経過後のパティキュレート再生量PMr(図2のステップ10またはステップ18で求めている)と第1捕集量PMiを読み込みステップ37において次式により再生効率ηPM[%]を算出する。
ηPM=(PMr/PMi)×100…(6)
ここで、(6)式の再生効率ηPMは再生処理開始時(正確には排気昇温フェーズ終了時)より目標入口温度維持時間tiが所定時間Xと一致する時刻までが経過したときにフィルタ41内のパティキュレートがどの程度燃焼して消失したのかの割合を表す。この割合にフィルタ41を構成するハニカム状の担体にコーティングしている酸化触媒が影響し、酸化触媒が劣化すると酸化反応が弱まってベッド温度が実質的に上昇しなくなるので、パティキュレート再生量PMrは、酸化触媒が劣化していないときより小さくなる。すなわち、(6)式の再生効率ηPMは酸化触媒の劣化が進むほど小さくなる。再生効率ηPMから酸化触媒の劣化の程度を推定しようというのである。
再生効率ηPMの演算は1回の再生処理に1度だけでよいので、ステップ38では再生終了フラグをみる。再生終了フラグ=0であるときにはまだ再生処理が済んでいないためそのまま待機し、再生終了フラグ=1となれば再生処理が終了したと判断してステップ39に進み次式により再生効率積算値SUMηを算出する。
SUMη=SUMη(前回値)+ηPM…(7)
ただし、SUMη(前回値);SUMηの前回値、
ここで、再生効率積算値SUMηの初期値はゼロである。
ステップ40では積算回数(初期値はゼロ)を1だけインクリメントし、この積算回数と所定値Yとをステップ41で比較する。積算回数が所定値Yに満たない場合にはステップ31〜41の操作を繰り返す。
積算回数が所定値Yに達したとき、つまり1回の再生処理に1度だけの再生効率ηPMの演算をY回繰り返して再生効率積算値SUMηを求めたときにはステップ42に進み次式によりY回当たりの再生効率平均値ηPMdを演算する。
ηPMd=SUMη/Y…(8)
ステップ43では次回の再生効率平均値ηPMdの演算に備えて、積算回数=0、SUMη=0とする。
ステップ44では次式により前回からの再生効率の変化量ΔηPMを算出する。
△ηPM=ηPMd(前回値)−ηPMd…(9)
ただし、ηPMd(前回値);ηPMdの前回値、
再生効率ηPM(つまり再生効率平均値SUMη)は酸化触媒の劣化が進むほど小さくなる。従って(9)式右辺第1項のほうが(9)式右辺第2項より大きく、ΔηPMは正の値である。(9)式の再生効率の変化量ΔηPMは再生処理を連続Y×2回行った後に求まる。
ステップ45ではこの再生効率の変化量△ηPMから図11を内容とするテーブルを検索して酸化触媒の劣化係数dを算出する。図11に示したように再生効率の変化量ΔηPM=0、つまり酸化触媒が劣化していないとき劣化係数d=0である。また、再生効率の変化量ΔηPMが大きくなるほど(つまり酸化触媒の劣化が進むほど)劣化係数dは正の値で大きくなる。
これで今回の劣化係数の演算を終了するので、再びステップ31からの操作を繰り返す。

図12は触媒の劣化判定を行うためのものである。同図は図9のフローに続けて一回の運転時に一回程度実行する。ステップ51では再生効率ηPM(図9のステップ37で得ている)を読み込み、ステップ52でこの再生効率ηPMと所定値とを比較する。ここで、所定値は触媒が劣化したか否かを判定するための判定値で、予め適合しておき、再生効率ηPMが所定値以上であるときステップ54に進んで酸化触媒は劣化していないと、また再生効率ηPMが所定値を下回ったときにはステップ52よりステップ53に進んで酸化触媒が劣化したと判定する。ここで、再生効率ηPMに代えて、Y回当たりの再生効率平均値ηPMdあるいは劣化係数dを用いてもかまわない。
ここで、本実施形態の作用を説明する。
本実施形態(請求項1に記載の発明)によれば、温度センサ37、38により検出されるフィルタ41のベッド温度Tbedがパティキュレートを燃焼除去させるのに必要な温度である目標ベッド温度Tx以上となっている期間を積算した値を有効再生期間teとして演算し、この有効再生期間teに基づいてフィルタ41内のパティキュレート再生量PMrを推定し(図2のステップ9、17)、この推定されるパティキュレート再生量PMrからパティキュレートの再生効率ηPMを演算している(図2のステップ10、18、図9のステップ35〜37)。
また、本実施形態(請求項8に記載の発明)によれば、排気中のパティキュレートを捕集するフィルタであって酸化触媒を有するフィルタ41と、このフィルタ41の入口温度T1を検出するセンサ37(入口温度検出手段)とを備え、パティキュレートの捕集量が目標捕集量PMαとなったか否かを判定し(図2のステップ2)、この判定結果より目標捕集量PMαとなったときのパティキュレートの捕集量を第1捕集量PMiとして検出し(図2のステップ3)、パティキュレートの捕集量が目標捕集量PMαとなったときに排気昇温手段を用いてフィルタ41を昇温させて再生処理を行い(図2のステップ7、15)、フィルタ41の再生処理中に入口温度T1が所定値に達しているか否かを判定し(図9のステップ32)、入口温度T1が所定値に達した後に、フィルタ41に残存するパティキュレートの捕集量を第2捕集量PMrとして検出し(図9のステップ35)、この第2捕集量PMrと第1捕集量PMiとからフィルタ41の再生効率ηPMを演算する(図9のステップ36、37)。
また、本実施形態(請求項14に記載の発明)によれば、排気中のパティキュレートを捕集する機能と酸化触媒機能とを有するフィルタ41と、このフィルタ41の温度(Tbed)を検出するフィルタ温度検出手段(37、38)とを備え、フィルタ41の再生処理を実行すべきか否かを判定し、フィルタの再生処理を実行すべきときに、フィルタ41に流入する排気の温度が目標入口温度Td以上となるようにエンジンを制御し、フィルタ41に流入する排気の温度が目標入口温度Td以上となっている時間を積算して目標温度維持時間tiを演算し(図9のステップ33)、フィルタ温度検出手段により検出されるフィルタ温度(Tbed)が目標ベッド温度Tx(所定温度)以上となっている期間を積算して有効再生期間teを演算し(図2のステップ9、17)、フィルタ41の再生処理を開始したときのパティキュレート捕集量PMiとこの有効再生期間teとに基づいてパティキュレートの燃焼除去量であるパティキュレート再生量PMrを演算し(図2のステップ10、18)、目標入口温度維持時間tiとこのパティキュレート再生量PMrとに基づいてフィルタ41の再生効率ηPMを演算する(図9のステップ33〜37)。
こうして求めたフィルタ41の再生効率に基づけば、車両の走行距離に関係なく酸化触媒の劣化の程度を精度良く推定できる。
このようにして酸化触媒の劣化の程度を推定できれば、フィルタ41の再生効率に基づいてフィルタの目標温度を変更し(請求項17に記載の発明)、例えばフィルタ41の再生効率PMrに基づき、目標入口温度Tdを高く設定することで(請求項2に記載の発明)、燃費の悪化やフィルタの耐熱性能を損ねることなく、効率的なフィルタの再生処理を行うことができる。
本実施形態(請求項7に記載の発明)によれば、パティキュレートが燃焼を開始する最低のベッド温度Taから目標ベッド温度Txまでを4つ(複数)の温度域に分割し、温度センサ37、38により検出されるベッド温度Tbedがその各温度域にある期間を別々に積算し、その積算した各期間に、温度に応じた重み付けを行った値を総和した値を有効再生期間teに含めるようにしたので、ベッド温度Tbedが目標ベッド温度Tx未満にある温度域で部分的に完全燃焼して消失するパティキュレートの量を有効再生時間teとして織り込むことができ、これによりパティキュレート再生量PMrをより精度良く推定できる。
また、本実施形態(請求項に記載の発明)によれば、フィルタ41の再生効率ηPMに基づいて酸化触媒に劣化があるか否かを判定する(図12のステップ52〜54)ので、特開2003−106140号公報に記載されている技術のように可燃物の発熱量の推定をすることなく簡素な制御で酸化触媒(フィルタ41)の劣化判定を行うことができる。
実施形態では、酸化触媒の劣化を再生効率ηPMから推定する場合で説明したが、これに限られるものでない。他の酸化触媒の劣化判定方法を次に示す。
(1)酸化触媒の第2の劣化判定方法;
再生処理回数が増えるほど酸化触媒の劣化が進むと判定する。このときには再生処理回数が増えるほど酸化触媒の劣化係数dが大きくなるように設定する。
(2)酸化触媒の第3の劣化判定方法;
再生処理回数が所定値を超えるまでは酸化触媒は劣化しておらず、再生処理回数が所定値を超えたとき酸化触媒劣化したと判定させる。このときには再生処理回数が所定値を超えるまでは酸化触媒の劣化係数d=0、再生処理回数が所定値を超えたとき酸化触媒の劣化係数dに正の所定値を設定する。
実施形態では、目標再生量ΔPMを再生処理開始時のパティキュレート捕集量PMiの複数分の1に設定すると共に、パティキュレート再生量PMrに基づいて再生処理時のパテキュレート残存量PMxを演算し、パティキュレート再生量PMrが目標再生量ΔPMと一致する毎に目標入口温度Tdを再生処理開始時の目標入口温度より高くしてゆき、再生処理時のパテキュレート残存量PMxが目標残存量PMdと一致したとき再生処理を終了する場合で説明したが、目標再生量ΔPMを再生処理開始時のパティキュレート捕集量PMiに設定し、パティキュレート再生量PMrが目標再生量ΔPMと一致したとき再生処理を終了させるようにしてもかまわない。
実施形態では、酸化触媒を担持したフィルタを対象とする場合で説明したが、これに限られるものでない。例えば、排気中のパティキュレートを捕集するフィルタの再生時期になったときに排気昇温手段を用いて目標温度までフィルタを昇温させてフィルタの再生処理を行う排気浄化装置において、フィルタの再生処理時におけるフィルタの再生効率を求め、この再生効率に基づいてフィルタの目標温度を変更するように構成することができる。このように構成することで、酸化触媒の劣化のみならず、様々なフィルタの劣化についても検出が可能となり、フィルタ自体の劣化度合いに応じて、効率的なフィルタ再生処理を行うことができる。
本発明は、実施形態に限られない。例えば、排気中のパティキュレートを捕集するフィルタと、このフィルタの再生時期になったときに排気昇温手段を用いてフィルタを昇温させてフィルタの再生処理を行う排気浄化装置において、前記フィルタの再生処理時におけるフィルタの再生効率を求め、この再生効率に基づいて前記フィルタに劣化があるか否かを判定するように構成することでも、可燃物の発熱量の推定をすることなく簡素な制御で酸化触媒のみならずフィルタ自体の劣化判定を行うことができる。
この場合にフィルタの再生効率はパティキュレート再生量に関連するパラメータから求めればよい。ここで、パティキュレート再生量に関連するパラメータは、パティキュレート再生量の増加率、フィルタに残存するパティキュレート残存量の減少率、フィルタの再生処理開始時のパティキュレート堆積量に対するパティキュレート再生量の割合、フィルタの再生処理開始時のパティキュレート堆積量に対するパティキュレート残存量の割合である。
また、フィルタの再生効率はフィルタの入口温度T1が所定値(目標入口温度Td)以上であるときのパティキュレートの再生量に関連するパラメータ(例えば目標入口温度維持時間ti)からあるいはフィルタの入口温度T1が所定値以上である状態の時間を積算し、その積算時間(目標入口温度維持時間ti)に基づくパティキュレートの再生量に関連するパラメータから求められる。
実施形態では第2捕集量としてフィルタ41の再生処理中におけるパティキュレート再生量PMrを採用する場合で説明したが、第2捕集量としてフィルタ41の再生処理中におけるパティキュレート残存量PMxを採用してもかまわない。
実施形態ではパティキュレート再生量PMrからパティキュレート残存量PMxを求めているが、パティキュレート残存量を直接に求めてもよい。
請求項1に記載の再生処理手段の機能は図2のステップ4、7、15により、有効再生期間演算手段の機能は図2のステップ9、17により、パティキュレート再生量推定手段の機能は図2のステップ10、18により、パティキュレート再生効率演算手段の機能は図9のステップ35〜37によりそれぞれ果たされている。
請求項8に記載の第1判定手段の機能は図2のステップ2により、第1捕集量検出手段の機能は図2のステップ3により、再生処理手段の機能は図2のステップ4、7、15により、第2判定手段の機能は図9のステップ32により、第2捕集量検出手段の機能は図9のステップ35により、フィルタ再生効率演算手段の機能は図9のステップ36、37によりそれぞれ果たされている。
請求項14に記載の第1判定手段の機能は図2のステップ2により、エンジン制御手段の機能は図2のステップ4、7、15により、目標入口温度維持時間演算手段の機能は図9のステップ33により、有効再生期間演算手段の機能は図2のステップ9、17により、パティキュレート再生量演算手段の機能は図2のステップ10、18により、フィルタ再生効率手段の機能は図9のステップ35〜37によりそれぞれ果たされている。
本発明の一実施形態を示す概略構成図。 再生処理を説明するためのフローチャート。 目標入口温度の特性図。 第1実施形態の有効再生期間を説明するためのベッド温度時間変化図。 第2実施形態の有効再生期間を説明するためのベッド温度時間変化図。 有効再生時間の温度係数の特性図。 パティキュレート再生量の特性図。 有効再生時間とのパティキュレート残存量の関係を示す特性図。 酸化触媒の劣化係数の演算を説明するためのフローチャート。 目標ベッド温度維持時間を説明するための入口温度時間変化図。 酸化触媒の劣化係数の特性図。 酸化触媒の劣化判定を説明するためのフローチャート。
符号の説明
1 エンジン
31 エンジンコントローラ
37、38 温度センサ(ベッド温度検出手段)
41 フィルタ

Claims (21)

  1. 排気中のパティキュレートを捕集するフィルタであって酸化触媒を有するフィルタと、
    このフィルタの再生時期になったときに排気昇温手段を用いて目標入口温度までフィルタを昇温させてフィルタの再生処理を行う排気浄化装置において、
    このフィルタの温度を検出するフィルタ温度検出手段と、
    この検出されるフィルタの温度が目標フィルタ温度以上となっている期間を加算した値を有効再生期間として演算する有効再生期間演算手段と、
    この有効再生期間に基づいて前記フィルタに堆積しているパティキュレートの燃焼除去量であるパティキュレート再生量を推定するパティキュレート再生量推定手段と、
    この推定されるパティキュレート再生量と、前記再生処理開始時のパティキュレート捕集量から、前記フィルタ内のパティキュレートがどの程度燃焼して消失したかの割合を表す前記フィルタの再生効率を演算するフィルタ再生効率演算手段と
    この演算されるフィルタの再生効率に基づいて前記酸化触媒に劣化があるか否かを判定する酸化触媒劣化判定手段と
    を備えることを特徴とする排気浄化装置。
  2. 前記フィルタの再生効率の変化量から正の値で大きくなるほど酸化触媒の劣化が進んでいることを表す劣化係数を算出する劣化係数算出手段と、
    この劣化係数が大きいほど前記目標入口温度を高く設定する目標入口温度設定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
  3. 前記このパティキュレート再生量が目標再生量と一致したときに前記再生処理を終了する再生処理終了手段を備える請求項1に記載の排気浄化装置。
  4. 前記目標再生量を前記再生処理開始時のパティキュレート捕集量の複数分の1に設定すると共に、前記パティキュレート再生量に基づいて再生処理時のパテキュレート残存量を演算し、前記パティキュレート再生量が前記目標再生量と一致する毎に前記目標入口温度を再生処理開始時の目標入口温度より高くしてゆき、再生処理時のパテキュレート残存量が目標残存量と一致したとき前記再生処理を終了することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
  5. 前記フィルタの再生処理開始時の目標入口温度を前記フィルタの再生処理開始時のパティキュレートの捕集量に応じても設定することを特徴とする請求項に記載の排気浄化装置。
  6. 前記パティキュレート再生量が前記目標再生量と一致した後の前記目標入口温度を前記パティキュレート残存量に応じても設定することを特徴とする請求項4に記載の排気浄化装置。
  7. 前記フィルタ内のパティキュレートが燃焼を開始する最低のフィルタ温度から前記目標フィルタ温度までを複数の温度域に分割し、前記検出されるフィルタ温度がその各温度域にある期間を別々に加算し、その加算した各期間に温度に応じた重み付けを行った値を総和した値を前記有効再生期間に含めることを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
  8. 排気中のパティキュレートを捕集するフィルタであって酸化触媒を有するフィルタと、
    このフィルタの入口温度を検出する入口温度検出手段と、
    前記パティキュレートの捕集量が目標捕集量となったか否かを判定する第1判定手段と、
    この判定結果より目標捕集量となったときのパティキュレートの捕集量を第1捕集量として検出するパティキュレートの第1捕集量検出手段と、
    前記判定結果よりパティキュレートの捕集量が目標捕集量となったときに排気昇温手段を用いて前記フィルタを昇温させて再生処理を行う再生処理手段と、
    前記フィルタの再生処理中に前記入口温度が所定値に達しているか否かを判定する第2判定手段と、
    この判定結果より前記入口温度が所定値に達した後に、前記フィルタに残存するパティキュレートの捕集量を第2捕集量として検出する第2捕集量検出手段と、
    この第2捕集量と前記第1捕集量とから、前記フィルタ内のパティキュレートがどの程度燃焼して消失したかの割合を表す前記フィルタの再生効率を演算する再生効率演算手段と
    この演算されるフィルタの再生効率に基づいて前記酸化触媒に劣化があるか否かを判定する酸化触媒劣化判定手段と
    を備えることを特徴とする排気浄化装置。
  9. 前記入口温度が所定値に達した後のパティキュレートの再生量を検出することで前記第2捕集量を検出するものとみなすことを特徴とする請求項8に記載の排気浄化装置。
  10. 前記排気昇温手段により前記フィルタを目標入口温度まで昇温させる場合に、前記所定値をこの目標入口温度と一致させることを特徴とする請求項8に記載の排気浄化装置。
  11. 前記目標入口温度を前記第1捕集量に基づいて求めることを特徴とする請求項10に記載の排気浄化装置。
  12. 前記目標入口温度を前記第1捕集量が多くなるほど低く設定することを特徴とする請求項11に記載の排気浄化装置。
  13. 前記第2捕集量を検出するタイミングは、前記入口温度が所定値に達したタイミングより所定時間が経過したタイミングとすることを特徴とする請求項に記載の排気浄化装置。
  14. 排気中のパティキュレートを捕集する機能と酸化触媒機能とを有するフィルタと、
    このフィルタの温度を検出するフィルタ温度検出手段と、
    前記フィルタの再生処理を実行すべきか否かを判定する再生処理判定手段と、
    この判定結果よりフィルタの再生処理を実行すべきときに、フィルタに流入する排気の温度が目標入口温度以上となるようにエンジンを制御するエンジン制御手段と、
    前記フィルタに流入する排気の温度が目標入口温度以上となっている時間を加算して目標温度維持時間を演算する目標入口温度維持時間演算手段と、
    前記フィルタ温度検出手段により検出されるフィルタ温度が所定温度以上となっている期間を加算して有効再生期間を演算する有効再生期間演算手段と、
    前記再生処理開始時のパティキュレート捕集量とこの有効再生期間とに基づいてパティキュレートの燃焼除去量であるパティキュレート再生量を演算するパティキュレート再生量演算手段と、
    前記目標入口温度維持時間とこのパティキュレート再生量と、前記再生処理開始時のパティキュレート捕集量とに基づいて、前記フィルタ内のパティキュレートがどの程度燃焼して消失したかの割合を表す前記フィルタの再生効率を演算するフィルタ再生効率手段と、
    この演算されるフィルタの再生効率に基づいて前記酸化触媒に劣化があるか否かを判定する酸化触媒劣化判定手段と
    を備えることを特徴とする排気浄化装置。
  15. 前記目標入口温度はフィルタの温度を所定温度以上に上昇させることが可能な温度であることを特徴とする請求項14に記載の排気浄化装置。
  16. 前記所定温度はフィルタに捕集されているパティキュレートが燃焼する温度であることを特徴とする請求項15に記載の排気浄化装置。
  17. 前記フィルタの再生効率に応じてフィルタの目標温度を変更する目標温度変更手段を備えることを特徴とする請求項14に記載の排気浄化装置。
  18. 前記目標入口温度維持時間が所定時間に達したときのパティキュレート再生量とパティキュレート再生量の基準値とに基づいて前記フィルタの再生効率を演算することを特徴とする請求項14に記載の排気浄化装置。
  19. 前記フィルタの再生処理を開始したときのパティキュレート堆積量を前記パティキュレート再生量の基準値とすることを特徴とする請求項18に記載の排気浄化装置。
  20. 前記フィルタの温度が高くなるほど大きくなる温度係数を設定し、温度係数によって重み付けられた期間を加算した値を前記有効再生期間として演算することを特徴とする請求項14に記載の排気浄化装置。
  21. 前記フィルタは酸化触媒を担持したものであることを特徴とする請求項1から20までのいずれか一つに記載の排気浄化装置。
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