JP4635543B2 - 網膜走査型ディスプレイ - Google Patents

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Description

本発明は、光束を観察者の網膜に直接投影し、その投影された光束を前記網膜上において走査することにより、画像を表示する網膜走査型ディスプレイに関するものであり、特に、その網膜走査型ディスプレイの射出瞳を拡大する技術の改良に関するものである。
光束を観察者の網膜に直接投影し、その投影された光束を前記網膜上において走査することにより、画像を表示する網膜走査型ディスプレイが既に知られている。この種の網膜走査型ディスプレイは、一般に、(a)光源と、(b)その光源から出射した光束を前記網膜上において走査する走査部と、(c)その走査部によって走査された光束が当該網膜走査型ディスプレイから出射する出射部とを含むように構成される。
この種の網膜走査型ディスプレイを用いて観察者が表示画像を正常に観察し続けるためには、この網膜走査型ディスプレイの射出瞳を観察者の瞳に一致させ続けることが必要である。しかし、表示画像の観察中、観察者の眼は多少なりとも動いてしまい、その結果、瞳も移動してしまうのが通常である。そのため、網膜走査型ディスプレイの射出瞳が観察者の瞳より小さい場合には、射出瞳が観察者の瞳から外れてしまう可能性がある。すなわち、網膜走査型ディスプレイの射出瞳が観察者の瞳より小さい場合には、網膜走査型ディスプレイからの出射光が観察者の瞳孔に十分に入射しないために網膜上において結像が正常に行われない可能性があるのである。
これに対し、特許文献1には、網膜走査型ディスプレイの射出瞳を拡大するために、その網膜走査型ディスプレイにおける光源と出射部との間における光路上に、それら光源と出射部との間に存在する中間像面と同一の位置に回折素子(例えば、回折格子)を設置する技術が開示されている。
米国特許第5701132号明細書
しかしながら、この従来技術を実施する場合には、射出瞳径が拡大される代償として表示画像の画質が劣化する可能性がある。以下、その理由を具体的に説明する。
回折素子には透過型と反射型とがある。透過型の回折素子においては、透過部(例えば、スリット)と非透過部とが交互に並んでいるのに対し、反射型の回折素子においては、反射部(例えば、ブレーズド反射面)と非反射部とが交互に並んでいる。
いずれにしても、一般に、回折素子においては、複数個の透過部または反射部が所定のピッチ(以下、「回折ピッチ」という。)で周期的に並んでいる。回折素子のうち、同じ光が一度に入射する透過部または反射部の数が多いほど、各透過部または各反射部から出射した素元波が干渉によって互いに強め合う程度が増加して、入射光に対する回折素子の回折効率が向上する。回折素子への入射ビームのビーム径(以下、「入射ビーム径」という。)が大きいほど、回折素子のうち、同じ光が一度に入射する透過部または反射部の数が増加する。したがって、回折素子への入射ビームがその回折素子において効率よく回折を行うためには、回折ピッチと入射ビーム径との寸法関係を十分に適正化することが重要である。
一方、網膜走査型ディスプレイにおいては、一般に、出射部に向かって光源から出射したビームが、それのビームウエストにおいて、それら光源と出射部との間に存在する中間像面を通過する。そのため、この網膜走査型ディスプレイにおいて前述の従来技術を実施し、その結果、中間像面と同一の位置に回折素子が設置されると、光源から回折素子にビームが最小のビーム径で入射することになる。
入射ビーム径が小さいほど、回折素子における複数個の透過部または反射部のうち入射ビームが一度に入射するものの数が減少する。そのため、この従来技術を実施すると、回折素子における複数個の透過部または反射部のうち入射ビームが一度に入射するものの数が減少し、その入射ビームの回折が効率よく行われなくなる。すなわち、入射ビームが回折素子を通過する際に散乱する傾向が増加し、その入射ビームのうち回折光に変換されずに損失する比率が増加してしまうのである。
さらに、入射ビームが回折素子の入射面上において走査される場合には、入射ビーム径が回折ピッチより小さいと、回折素子のうち入射ビームが一度に入射する透過部または反射部のパターン(例えば、各瞬間における入射ビームの照射領域内に透過部または反射部が存在する数)が周期的に変動する。その結果、回折光のパターンおよび明るさも周期的に変動してしまう。
例えば、回折素子が透過型であって、透過部と非透過部とが交互に並ぶように構成されており、かつ、入射ビームが走査につれて、ある瞬間には透過部のみに入射し、別の瞬間には非透過部のみに入射する場合には、回折素子のうち入射ビームが一度に入射する部分が透過部と非透過部とに交互に変化する。その結果、この場合には、回折光のパターンおよび明るさが周期的に変動し、周期的な複数本の線像がノイズとして表示画像に発生してしまう可能性がある。
さらに、この従来技術を実施する場合には、入射ビーム径が回折ピッチに近いほど、回折素子の表面にごみが付着してしまったり、製作過程において欠陥が発生してしまった場合に、それらごみや欠陥が、回折光にとっての有害なノイズの原因になり易い。
以上の説明から明らかなように、この従来技術を実施すると、射出瞳径の拡大という利益を享受できる反面、回折ピッチと入射ビーム径との寸法関係を十分に適正化し得ないために、表示画像の画質が劣化してしまう可能性があった。
以上説明した事情を背景にして、本発明は、光束を観察者の網膜に直接投影し、その投影された光束を前記網膜上において走査することにより、画像を表示する網膜走査型ディスプレイにおいて、表示画像の画質の劣化を抑制しつつ、射出瞳を拡大することを課題としてなされたものである。
その課題を解決するために、本発明の一側面によれば、光束を観察者の網膜に直接投影し、その投影された光束を前記網膜上において走査することにより、画像を表示する網膜走査型ディスプレイであって、光源と、その光源から出射した光束を前記網膜上において走査する走査部と、その走査部によって走査された光束が当該網膜走査型ディスプレイから出射する出射部と、それら光源と出射部との間における光路上に、それら光源と出射部との間に存在する中間像面から外れた位置に設置された回折素子とを含み、前記光束は、前記中間像面の位置においてビームウエスト径W を有し、前記中間像面から外れるにつれて拡散して、前記中間像面から外れた位置に設置された前記回折素子に、前記ビームウエスト径W より大きい入射ビーム径Dで入射し、前記回折素子の、前記中間像面からの外れ量zは、前記入射ビーム径Dが前記回折素子の回折ピッチdのn(n:3以上の整数)倍に設定される網膜走査型ディスプレイが提供される。
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈されるべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきである。
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
(1) 光束を観察者の網膜に直接投影し、その投影された光束を前記網膜上において走査することにより、画像を表示する網膜走査型ディスプレイであって、
光源と、
その光源から出射した光束を前記網膜上において走査する走査部と、
その走査部によって走査された光束が当該網膜走査型ディスプレイから出射する出射部と、
それら光源と出射部との間における光路上に、それら光源と出射部との間に存在する中間像面から外れた位置に設置された回折素子と
を含む網膜走査型ディスプレイ。
この網膜走査型ディスプレイにおいては、光源と出射部との間における光路上に、それら光源と出射部との間に存在する中間像面から外れた位置に回折素子が設置され、それにより、この網膜走査型ディスプレイの射出瞳が、そのような回折素子が設置されない場合より拡大される。
一方、それら光源と出射部との間に存在する中間像面においては、光束が最も収束した状態、すなわち、最小のビーム径を有する状態で進行するのに対し、その中間像面から外れた位置においては、光束が最も収束した状態より拡散した状態、すなわち、最小のビーム径より大きなビーム径を有する状態で進行する。
したがって、この網膜走査型ディスプレイによれば、回折素子が中間像面と同一の位置に設置される場合に比較して、回折素子に入射する光束すなわち入射ビームのビーム径が拡大され、その結果、回折素子による回折効率の向上と、入射ビームの走査中における回折光のパターンおよび明るさの安定化とを実現することが容易となる。よって、この網膜走査型ディスプレイによれば、表示画像の画質の劣化を抑制しつつ、射出瞳を拡大することが容易となる。
ところで、中間像面と同一の位置に設置された回折素子への入射ビームのビーム径を拡大するために、その中間像面を通過するビームのビーム径を拡大するという対策を講じることが可能である。しかし、中間像面でのビーム径の拡大は、単位面積当たりの画素数の減少を招来し、ひいては、解像度の低下につながる。
これに対し、本項に係る網膜走査型ディスプレイによれば、中間像面を通過するビームのビーム径を拡大することなく、回折素子への入射ビームのビーム径を拡大することが可能となるため、解像度を低下させることなく、射出瞳を拡大することができる。
なお付言するに、本項における「中間像面」は、最終的な像面である網膜上の像面と光源との間に位置する像面であることに着目し、その「最終的な像面」という用語から表現上区別するために採用された用語であり、必ずしも光源と出射部とのちょうど中央に位置する像面であることを意味しない。
さらに付言するに、本明細書中において「射出瞳が拡大される」という文言は、当該網膜走査型ディスプレイからの出射光束が1本である場合にその出射光束が拡大されることを限定的に意味するわけではなく、当該網膜走査型ディスプレイからの出射光束の本数が回折素子の設置によって増加することも、各出射光束の拡大の有無を問わず、意味する。すなわち、本明細書中において「射出瞳」という用語は、現実の出射光束を意味する場合もあれば、現実には複数本の出射光束の集まりであるがみかけ上は1本の出射光束であるみかけの出射光束を意味する場合もあるのである。
(2) 前記回折素子は、前記中間像面から前記出射部の側に外れた位置に設置された(1)項に記載の網膜走査型ディスプレイ。
この網膜走査型ディスプレイによれば、全光路のうち、回折素子が追加されることによって変化が発生する部分が、中間像面を含むことなく回折素子より下流側に位置する部分に限定される。これに対し、回折素子を、中間像面から出射部の側とは反対側に外れた位置に設置した場合には、全光路のうち、回折素子が追加されることによって変化が発生する部分が、中間像面を含む領域まで拡大される。
したがって、この網膜走査型ディスプレイによれば、光路に発生することとなる変化をできる限り抑制しつつ、回折素子を追加することが容易となる。
(3) 前記回折素子は、入射光束を2次元方向に回折する(1)または(2)項に記載の網膜走査型ディスプレイ。
前記(1)または(2)項に係る網膜走査型ディスプレイは、回折素子が入射光束を1次元方向にしか回折しない態様で実施することが可能である。この態様においては、回折素子の構成を容易に簡単化し得るが、射出瞳は1次元方向にしか拡大されない。
これに対し、本項に係る網膜走査型ディスプレイによれば、回折素子が入射光束を2次元方向に回折するため、射出瞳も2次元方向に拡大される。その結果、表示画像の観察中、観察者の瞳が移動してその瞳から射出瞳が完全に外れてしまう可能性が、射出瞳が1次元方向にしか拡大されない場合より低下する。
(4) 前記回折素子は、入射光束を1次元方向に回折する1次元回折素子を2個、回折方向が互いに交差するように含む(3)項に記載の網膜走査型ディスプレイ。
(5) 前記回折素子は、入射光束を2次元方向に回折する2次元回折素子を1個含む(3)項に記載の網膜走査型ディスプレイ。
(6) さらに、前記光路上に一対の光学素子が並んで成るリレー光学系を含み、前記中間像面は、それら一対の光学素子の間に存在し、前記回折素子は、前記リレー光学系に、前記一対の光学素子の間において、前記中間像面から外れた位置に設置された(1)ないし(5)項のいずれかに記載の網膜走査型ディスプレイ。
(7) 前記中間像面は、前記走査部と前記出射部との間に存在し、前記回折素子は、それら走査部と出射部との間において、前記中間像面から外れた位置に設置された(1)ないし(6)項のいずれかに記載の網膜走査型ディスプレイ。
一般に、走査部は、定点に入射した時系列的な画像光を、空間的に変化する画像光に変換するように構成される。そのため、走査部より上流側に存在する光学素子にごみやほこりが付着したり欠陥が存在すると、それが原因で画像光の走査部への入射が完全に阻害され、その結果、走査部は画像光を正常に出射することができなくなる。すなわち、走査部より上流側に存在する光学素子に存在するごみ等の影響は走査部によって拡大されて、その走査部より下流側に存在する光学素子に伝達されるのである。これに対し、走査部より下流側に存在する光学素子にごみやほこりが付着したり欠陥が存在すると、それが原因で画像光の出射が阻害されるが、それらごみ等の影響は表示画像に局所的に及ぶのみで、その全体には及ばない。
これに対し、本項に係る網膜走査型ディスプレイにおいては、回折素子が走査部より下流側に設置される。したがって、この網膜走査型ディスプレイによれば、万一回折素子にごみやほこりが付着したり欠陥が存在することがあっても、その影響は表示画像の全体に波及せずに済み、よって、それらごみ等に起因した表示画像の画質の劣化が抑制される。
(8) 前記中間像面は、前記走査部と前記出射部との間に複数個存在し、前記回折素子は、それら複数個の中間像面のうち最も前記出射部に近いものとその出射部との間に設置された(1)ないし(7)項のいずれかに記載の網膜走査型ディスプレイ。
この網膜走査型ディスプレイによれば、全光路のうち、回折素子の追加によって変化が発生する部分が、他のいかなる位置に回折素子が設置される場合より少なくて済む。
(9) 前記走査部は、入射光束を主走査方向に走査する主走査部と、その主走査部から入射した光束を、前記主走査方向と交差する副走査方向に走査する副走査部とを含み、前記中間像面は、それら主走査部と副走査部との間に存在し、前記回折素子は、それら主走査部と副走査部との間において、前記中間像面から外れた位置に設置された(1)ないし(8)項のいずれかに記載の網膜走査型ディスプレイ。
この網膜走査型ディスプレイにおいては、主走査部が、定点に入射した時系列的な画像光を、線状領域内において空間的に変化する画像光に変換し、副走査部が、その変換された画像光を、面状領域内において空間的に変化する画像光に変換する。よって、主走査部による走査光は線状領域内に存在するのに対し、副走査部による走査光は面状領域内に存在する。
したがって、それら主走査部と副走査部との間に回折素子を設置する場合には、副走査部より下流側に設置する場合より狭い領域において画像光を受光するように回折素子を設計すれば足りる。すなわち、前者の場合には後者の場合より、回折素子に入射するとその回折素子において回折が有効に行われることとなる光束の入射領域を狭くすることが可能なのであり、よって、前者の場合には後者の場合より、回折素子の小型化・軽量化が容易となる。
このような知見に基づき、本項に係る網膜走査型ディスプレイにおいては、回折素子が、主走査部と副走査部との間において、それらの間に存在する中間像面から外れた位置に設置される。
(10) 前記走査部は、入射光束を主走査方向に走査する主走査部と、その主走査部から入射した光束を、前記主走査方向と交差する副走査方向に走査する副走査部とを含み、前記中間像面は、その副走査部と前記出射部との間に存在し、前記回折素子は、それら副走査部と出射部との間において、前記中間像面から外れた位置に設置された(1)ないし(8)項のいずれかに記載の網膜走査型ディスプレイ。
この網膜走査型ディスプレイにおいても、前記(9)項に係る網膜走査型ディスプレイと同様に、主走査部が、定点に入射した時系列的な画像光を、線状領域内において空間的に変化する画像光に変換し、副走査部が、その変換された画像光を、面状領域内において空間的に変化する画像光に変換する。
それら主走査部と副走査部との間に回折素子を設置する場合には、万一その回折素子にごみやほこりが付着したり欠陥が存在すると、主走査部による走査光に局所的に点像のノイズが出現してしまう。そのような走査光を入射光として副走査部は走査を行うと、この副走査部は、入射光中の点像のノイズを線像のノイズに拡大してしまう。
これに対し、副走査部より下流側に回折素子を設置する場合には、万一その回折素子にごみやほこりが付着したり欠陥が存在しても、副走査部による走査光に局所的に点像のノイズが発生するのみで、そのノイズが拡大されて最終的な表示画像に出現することはない。よって、この場合には、それらごみ等に対して表示画像の画質が容易に劣化せずに済む。
以上説明した知見に基づき、本項に係る網膜走査型ディスプレイにおいては、回折素子が、副走査部と出射部との間において、それらの間に存在する中間像面から外れた位置に設置される。
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に従う網膜走査型ディスプレイ(以下、「RSD」と略称する。)が系統的に示されている。このRSDは、光束としてのレーザビームを観察者の眼10の瞳孔12を経て網膜14に直接投影し、その投影された光束を網膜14上において走査することにより、画像を表示するように設計されている。
図1に示すように、このRSDは光源ユニット20を備えている。この光源ユニット20は、3個のレーザ30,32,34と、3個のコリメータレンズ40,42,44と、3個のダイクロイックミラー50,52,54と、結合光学系56とを備えている。
3個のレーザ30,32,34は、赤色レーザビームを発生させるRレーザ30と、緑色レーザビームを発生させるGレーザ32と、青色レーザビームを発生させるBレーザ34とである。いずれのレーザ30,32,34も、例えば半導体レーザとして構成することが可能である。
3個のコリメータレンズ40,42,44は、3個のレーザ30,32,34から出射した3色のレーザビームをそれぞれコリメートするレンズである。3個のダイクロイックミラー50,52,54は、それら3個のコリメータレンズ40,42,44から出射した3色のレーザビームを互いに結合するために、それら3色のレーザビームに対して波長選択的に反射および透過を行う。
それら3色のレーザビームは、ダイクロイックミラー50,52,54を代表する1個の代表ダイクロイックミラーにおいて互いに結合される。本実施形態においては、その代表ダイクロイックミラーとしてダイクロイックミラー50が選定されている。このダイクロイックミラー50において結合されたレーザビームは、合成レーザビームとして結合光学系56に入射して集光される。
図1に示すように、光源ユニット20は、さらに、信号処理回路60を備えている。この信号処理回路60には、外部から映像信号が供給される。その映像信号は、Rレーザ30、Gレーザ32およびBレーザ34のぞれぞれに対応する輝度信号(R輝度信号、G輝度信号およびB輝度信号)と、後述の水平走査および垂直走査の基準となる同期信号と、奥行きを表わす奥行き信号とを含んでいる。映像信号は奥行き信号を輝度信号に関連付けて含んでいる。
この信号処理回路60は、3個のレーザドライバ70,72,74を経て3個のレーザ30,32,34にそれぞれ電気的に接続されている。この信号処理回路60は、前記輝度信号(R輝度信号、G輝度信号およびB輝度信号)に基づき、各レーザ30,32,34から出射するレーザビームの強度を、対応するレーザドライバ70,72,74を介して変調する。
図1に示すように、結合光学系56から出射したレーザビームは、光伝送媒体としての光ファイバ82によってコリメータレンズ84に伝送される。そのコリメータレンズ84においてコリメートされて出射したレーザビームは波面変調光学系88に入射する。
その波面変調光学系88は、光源ユニット20から出射したレーザビームの波面曲率を変調するために、ビームスプリッタ92と、収束レンズ94と、反射ミラー96とを同一光軸上に並んで備えている。
ビームスプリッタ92は、前記光軸に対して直角な方向にコリメータレンズ84から入射したレーザビームを90度で反射して収束レンズ94に入射させる。その収束レンズ94は、入射したレーザビームを収束させて反射ミラー96に入射させる。
波面変調光学系88は、さらに、前記光軸上において反射ミラー96を移動させるアクチュエータ98を備えている。このアクチュエータ98は、例えば圧電素子を主体として構成することが可能である。このアクチュエータ98は、信号処理回路60から供給される波面変調信号であって前記奥行き信号を反映するものに基づいて駆動される。
アクチュエータ98によって位置決めされた反射ミラー96は、収束レンズ94から出射した収束光が入射すると、その入射光を反射して収束レンズ94に入射させる。今度は収束レンズ94が、そのようにして再度入射したレーザビームを収束させてビームスプリッタ92に入射させる。
反射ミラー96と収束レンズ94との距離であるレンズ−ミラー間距離がその収束レンズ94の焦点距離に等しい場合には、収束レンズ94からビームスプリッタ92に入射するレーザビームは平行光に復元されるが、そのレンズ−ミラー間距離が焦点距離とは異なる場合には、収束レンズ94からビームスプリッタ92に入射するレーザビームは拡散光に変換される。その拡散光の波面曲率はレンズ−ミラー間距離に依存し、そのレンズ−ミラー間距離は前記波面変調信号を反映するため、結局、ビームスプリッタ92からそれの下流側に出射されるレーザビームの波面曲率が波面変調信号を反映することになる。
以上のようにして波面曲率が変調されたレーザビームは、水平走査系100に入射する。この水平走査系100は、信号処理回路60から供給された水平同期信号に基づき、入射したレーザビームを水平方向に走査する。この水平走査系100は、ポリゴンミラー104を主体として構成されているが、他の形式(例えば、ガルバノミラー)で構成することが可能である。
図1に示すように、このRSDは、ポリゴンミラー104の角度を検出するために、そのポリゴンミラー104からの反射光すなわち走査光を定点において検出するビームディテクタ108を備えている。このビームディテクタ108は、受光の有無を表す信号をBD信号として信号処理回路60に供給する。その信号処理回路60は、その供給されたBD信号に基づくタイミングで水平同期信号を水平走査系100に供給するように設計されている。
この水平走査系100によって走査された走査光は、第1リレー光学系110に入射する。この第1リレー光学系110においては、光軸上において一対のレンズ112,114が並んで配置されている。後に図4および図6を参照して説明するように、それらレンズ112,114の間に中間像面IP1が存在する。それらレンズ112,114の間に、その中間像面IP1からレンズ114の側に外れた位置に回折素子116が設置されている。この回折素子116の詳細は後述する。
第1リレー光学系110から出射したレーザビームは垂直走査系120に入射する。この垂直走査系120は、信号処理回路60から供給された垂直同期信号に基づき、水平走査系100によって水平に走査されたレーザビームを垂直方向に走査する。この垂直走査系120は、ガルバノミラー130を主体として構成されているが、他の形式(例えば、ポリゴンミラー)で構成することが可能である。
この垂直走査系120によって走査された走査光は、第2リレー光学系140に入射する。この第2リレー光学系140においては、光軸上において一対のレンズ142,144が並んで配置されている。後に図4および図6を参照して説明するように、それらレンズ142,144の間に中間像面IP2が存在する。
このRSDは、以上のようにして強度および波面曲率が変調された2次元走査光を、第2リレー光学系140のレンズ(後段レンズ)144において出射する。その出射した2次元走査光は、瞳孔12を経て網膜14に直接投影される。
図2には、回折素子116が拡大されて断面図で示されている。この回折素子116は、ハウジングとしての封止ブロック160内にガラス板162と回折格子164とが積層状態で収容されている。それらガラス板162および回折格子164の封止ブロック160からの離脱がとめ具168によって阻止されている。それらガラス板162と回折格子164とはスペーサ170によって厚さ方向に互いに離隔されているが、それらガラス板162と回折格子164との間の隙間内にごみやほこり等の異物が侵入しないように、それらガラス板162と回折格子164とは封止ブロック160によって封止されている。
本実施形態においては、回折格子164が、図3に斜視図で示すように、谷部(透過部)と山部(非透過部)とが交互に直線的に並んだ1枚の1次元回折格子として構成されている。図3に示す例においては、回折格子164が、回折面174(図2参照)に入射した光を水平方向に回折する(図7参照)。
さらに、本実施形態においては、回折素子116の有効領域、すなわち、回折素子116に入射するとその回折素子116において回折が有効に行われることとなるビームの入射領域が、水平走査系100から回折素子116に入射する走査光がその回折素子116に照射される線状領域より広いように設定されている。
図4および図6にはいずれも、図1に示すRSDにおける光路が簡略化されて示されている。具体的に説明するに、水平走査系100と垂直走査系120との間に第1リレー光学系110が存在し、この第1リレー光学系110においては、レンズ112とレンズ114とが同一光軸上において並んでいる。それらレンズ112,114の間に中間像面IP1が存在する。垂直走査系120と眼10との間に第2リレー光学系140が存在し、この第2リレー光学系140においては、レンズ142とレンズ144とが同一光軸上において並んでいる。それらレンズ142,144の間に中間像面IP2が存在する。
図4には、本実施形態に対する比較例が示されている。この比較例においては、回折素子116が第1リレー光学系110に設置されており、この点、図1に示すように、本実施形態と共通する。しかし、図4に示す比較例においては、中間像面IP1と同一の位置に回折素子116が設置されており、この点、図6に詳細に示すように、回折素子116が中間像面IP1から外れた位置、すなわち、レンズ114の側(このRSDの出射側)に外れた位置に設置された本実施形態とは異なる。
この比較例を実施すると、図4に示すように、射出瞳が回折素子(本実施形態における回折素子116と区別するために、「DE」を付して表記する。)によって拡大される。したがって、この比較例によれば、観察者の瞳孔12が多少移動しても、その瞳孔12から射出瞳が完全に外れてしまう可能性が軽減され、よって、安定した画像表示が実現される。
しかしながら、この比較例においては、図5に示すように、レンズ112から出射して回折素子DEに入射する入射ビームが、それのビームウエストにおいて、回折素子DEに入射する。そのため、その入射ビームのビーム径が、回折素子DEの回折ピッチより小さい可能性がある。その入射ビーム径が回折ピッチより小さいと、その入射ビームが回折素子DEにおいて散乱して損失が発生し、その入射ビームの回折が期待通りに行われず、回折効率が低下する可能性がある。
さらに、回折ピッチより小さいビーム径を有する入射ビームが回折素子DEの回折面上において走査されると、回折素子DEのうち、各瞬間ごとに入射ビームが一度に入射する部分が、ある瞬間には透過部(溝部)のみ、別の瞬間には非透過部(山部)のみというように、安定しない。そのため、走査について回折光の明るさが周期的に変動する。水平走査系100による走査光に、点像であるノイズが周期的に発生させられるのである。
一方、この比較例においては、回折素子DEが、水平走査系100と垂直走査系120との間に設けられているため、点像であるノイズは、垂直走査系120による垂直走査により、線像であるノイズに変換される。そのため、回折光の明るさの周期的変動により、最終的な表示画像に複数本の黒線(線像を有するノイズ)が周期的に発生してしまう。
これに対し、本実施形態においては、図6に示すように、中間像面IP1からレンズ114の側に外れた位置に回折素子116が設置されている。したがって、本実施形態によれば、図7に示すように、入射ビームが回折素子116に、その入射ビームのビームウエストより拡散した部分において入射するため、入射ビームのビーム径D(入射ビームの回折素子116上での直径)が、前述の比較例においてはビーム径Dと一致するビームウエスト径W(入射ビームの中間像面IP1上での直径)より増加し、回折ピッチdより長くなる。よって、本実施形態によれば、回折素子116による回折効率が安定化するため、表示画像の画質を劣化させることなく、射出瞳を拡大することが容易となる。
ここで、図7を参照することにより、回折素子116の回折面174が中間像面IP1から外れる外れ量zの設定について説明する。
回折素子116によって射出瞳を拡大しても画質が劣化しないようにするために、例えば、入射ビーム径Dが回折ピッチdの整数倍であることが望ましく、3倍以上であることがさらに望ましい。このことは、次式で表現される。
D>=3d
さらに、入射ビーム径Dと、ビームウエスト径Wと、入射ビームの波長λと、外れ量zとの間には、次式で表される関係が成立する。
D=2W(1+(λz/πW 1/2
また、回折ピッチdと回折角θと入射ビームの波長λとの間には、次式で表される関係が成立する。
d=sinθ/λ
したがって、ビームウエスト径Wと、入射ビームの波長λと、回折角θとが与えられれば、以上説明した関係を利用して外れ量zの下限値を算出することが可能である。
図8(a)には、回折素子116を使用しないために射出瞳が拡大されない場合にこのRSDのユーザである観察者によって視認される視認領域が、瞳孔12および射出瞳を示す正面図で示されている。図8(b)には、回折素子116を使用するために射出瞳が拡大される場合における視認領域が、瞳孔12および射出瞳を示す正面図で示されている。
図9には、図8(a)に示す射出瞳のもと、眼10に入射する走査光が側面図で示され、図10には、図8(b)に示す射出瞳のもと、眼10に入射する走査光が側面図で示されている。
このRSDの光路上に回折素子116を設置しない場合には、図8(a)に正面図で示すように、このRSDの射出瞳が1個のみとなる。この1個の射出瞳の直径は瞳孔12の直径より小さい。瞳孔12の直径の平均値は約3mmであり、射出瞳の直径は例えば約1.5mmである。そのため、図9に側面図で示すように、眼10の回転運動によって瞳孔12が初期位置から移動すると、射出瞳が瞳孔12からほぼ完全に外れてしまう可能性がある。
これに対し、このRSDの光路上に回折素子116を図1に示すように設置すると、図8(b)に正面図で示すように、このRSDの主要な射出瞳が3個に増加する。回折素子116は1次元回折格子を主体として構成されているため、この回折素子116からの主要な回折光として0次光と1次光と−1次光とに注目すれば、このRSDの射出瞳が、一列に並んだ3個の射出瞳として構成されることになる。
前述の外れ量zが0である場合、すなわち、中間像面IP1上に回折素子116が存在する場合には、その回折素子116によって分離された光束が最終的に、網膜14上のほぼ同位置に結像する。しかし、外れ量zが大きいほど、互いに分散して結像される傾向が強くなる。一方、それら3個の射出瞳を通った光束の結像点が互いに分散して観察される傾向が強いほど、観察者によって知覚される表示画像が多重像となりピントがぼける傾向が強くなる。
そこで、本実施形態においては、それら3個の射出瞳を通った光束が網膜14上に結像する位置が互いに十分に接近するように、外れ量zが設定される。すなわち、それら3個の射出瞳により、観察者は3個の虚像を知覚するが、それら3個の虚像がほぼ同一の位置においてほぼ完全に重ね合わせられるように、外れ量zが設定されるのである。さらに、その合体された射出瞳の最大長さ(見かけ上の射出瞳の直径に相当する。)は、瞳孔12の直径より長くなるように、回折角が設定される。
すなわち、本実施形態においては、外れ量zの上限値が、観察者によって知覚される画像が多重化せず、かつ、図10に示すように、瞳孔12が初期位置から多少移動しても走査光が瞳孔12に十分な光量で入射するように、設定される。外れ量zは、例えば、0.45mmを超えない値に設定される。外れ量zは、例えば、約0.05ないし0.25mmであることが望ましく、また、0.1ないし0.2mmであることが望ましく、また、約0.15mmであることが望ましい。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、3個のレーザ30,32,34が互いに共同して前記(1)項における「光源」の一例を構成し、水平走査系100と垂直走査系120とが互いに共同して同項における「走査部」の一例を構成し、レンズ144が同項における「出射部」の一例を構成し、回折素子116が同項における「回折素子」の一例を構成し、中間像面IP1が同項における「中間像面」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、回折素子116が前記(2)項および(6)項のそれぞれにおける「回折素子」の一例を構成し、レンズ112と114とが互いに共同して前記(6)項における「一対の光学素子」の一例を構成し、中間像面IP1が同項における「中間像面」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、水平走査系100が前記(9)項における「主走査部」の一例を構成し、垂直走査系120が同項における「副走査部」の一例を構成し、中間像面IP1が同項における「中間像面」の一例を構成しているのである。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と回折素子の構成が異なるのみで、他の要素については共通するため、異なる要素についてのみ詳細に説明し、共通する要素については、同一の符号または名称を使用して引用することにより、詳細な説明を省略する。
第1実施形態においては、回折素子116が、入射光を1次元方向にしか回折しないように構成されている。これに対し、本実施形態においては、図11に示すように、回折素子190が、入射光を2次元方向に回折する2次元回折格子192を主体として構成されている。回折素子190は、図2に示す回折素子116と同様な構成を有しており、その回折素子116において1次元回折格子164を2次元回折格子192に置換したものに相当する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、回折素子190が前記(3)項における「回折素子」の一例を構成し、2次元回折格子192が前記(5)項における「2次元回折素子」の一例を構成しているのである。
次に、本発明の第3実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第2実施形態と回折素子の構成が異なるのみで、他の要素については共通するため、異なる要素についてのみ詳細に説明し、共通する要素については、同一の符号または名称を使用して引用することにより、詳細な説明を省略する。
第2実施形態においては、1枚の2次元回折素子192が、入射光を2次元方向に回折する。これに対し、本実施形態においては、図12に示すように、回折素子210が、入射光を1次元方向に回折する1次元回折素子212,214を2個、回折方向が互いに交差するように含んでいる。回折素子210は、図2に示す回折素子116と同様な構成を有しており、その回折素子116においてガラス板162は1次元回折格子212に、1次元回折格子164は1次元回折格子214にそれぞれ置換したものに相当する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、回折素子210が前記(3)項における「回折素子」の一例を構成し、2個の1次元回折格子212,214が前記(4)項における「2個の1次元回折素子」の一例を構成しているのである。
次に、本発明の第4実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と回折素子の配置が異なるのみで、他の要素については共通するため、異なる要素についてのみ詳細に説明し、共通する要素については、同一の符号または名称を使用して引用することにより、詳細な説明を省略する。
第1実施形態においては、回折素子116が水平走査系100と垂直走査系120との間に設置されている。これに対し、本実施形態においては、図13に示すように、回折素子230が、垂直走査系120とレンズ144(このRSDの最終的な出射部)との間に設置され、具体的には、レンズ142と144との間に設置されている。さらに具体的には、本実施形態においては、回折素子230が、図6に示す中間像面IP2から、レンズ144の側に外れた位置に設置されている。
回折素子230は、回折素子116と共通の構成を有するが、回折が有効に行われることとなるビームの入射領域は、回折素子116より広く設定されている。回折素子230は、回折素子116とは異なり、垂直走査系120による走査光を受けて回折を行うからである。
本実施形態においては、第1実施形態とは異なり、回折素子230が垂直走査系120より上流側に設置されず、水平走査系100による走査光が回折を受けずに垂直走査系120に入射するため、垂直走査系120の入射領域(例えば、ガルバノミラー130のミラー面)の面積を、第1実施形態とは異なり、回折素子230から切り離して決定することが可能である。すなわち、回折素子230を設置するために垂直走査系120の入射領域を拡大したり垂直走査系120を大型化することが必要にならずに済むのである。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、レンズ142と144とが互いに共同して前記(6)項における「一対の光学素子」の一例を構成し、中間像面IP2が同項における「中間像面」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、中間像面IP2が前記(7)項および(8)項のそれぞれにおける「中間像面」の一例を構成し、回折素子240がそれら(7)項および(8)項のそれぞれにおける「回折素子」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、中間像面IP2が前記(10)項における「中間像面」の一例を構成し、回折素子230が同項における「回折素子」の一例を構成しているのである。
以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の開示]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
本発明の第1実施形態に従う網膜走査型ディスプレイを示す系統図である。 図1における回折素子116を示す側面断面図である。 図2における回折格子164を示す斜視図である。 第1実施形態に対する比較例である網膜走査型ディスプレイの光学的構成を説明するための光路図である。 図4における回折素子による回折を説明するための光路図である。 第1実施形態に従う網膜走査型ディスプレイの光学的構成を説明するための光路図である。 図6における回折素子116による回折を説明するための光路図である。 図6における回折素子116によって拡大された射出瞳を従来の射出瞳と対比して説明するための正面図である。 図8(a)に示す従来の射出瞳と観察者の瞳孔12との相対位置関係を説明するための光路図である。 図8(b)に示す拡大された射出瞳と観察者の瞳孔12との相対位置関係を説明するための光路図である。 本発明の第2実施形態に従う網膜走査型ディスプレイにおける回折素子190に使用される1枚の2次元回折格子192を示す斜視図である。 本発明の第3実施形態に従う網膜走査型ディスプレイにおける回折素子210に使用される2枚の1次元回折格子212,214を示す斜視図である。 本発明の第4実施形態に従う網膜走査型ディスプレイを示す系統図である。
符号の説明
10 眼
12 瞳孔
14 網膜
30,32,34 レーザ
100 水平走査系
110 第1リレー光学系
112,114 レンズ
116,190,210,230 回折素子
120 垂直走査系
140 第2リレー光学系
142,144 レンズ
164 1次元回折格子
192 2次元回折格子
212,214 1次元回折格子

Claims (12)

  1. 光束を観察者の網膜に直接投影し、その投影された光束を前記網膜上において走査することにより、画像を表示する網膜走査型ディスプレイであって、
    光源と、
    その光源から出射した光束を前記網膜上において走査する走査部と、
    その走査部によって走査された光束が当該網膜走査型ディスプレイから出射する出射部と、
    それら光源と出射部との間における光路上に、それら光源と出射部との間に存在する中間像面から外れた位置に設置された回折素子と
    を含み、
    前記光束は、前記中間像面の位置においてビームウエスト径W を有し、前記中間像面から外れるにつれて拡散して、前記中間像面から外れた位置に設置された前記回折素子に、前記ビームウエスト径W より大きい入射ビーム径Dで入射し、
    前記回折素子の、前記中間像面からの外れ量zは、前記入射ビーム径Dが前記回折素子の回折ピッチdのn(n:3以上の整数)倍に設定される網膜走査型ディスプレイ。
  2. 前記外れ量zの下限値は、次の2式、すなわち、
    D>=3d
    D=2W (1+(λz/πW 1/2
    ただし、
    λ:前記光束の波長
    が同時に成立するように設定される請求項1に記載の網膜走査型ディスプレイ。
  3. さらに、前記光路上に一対の光学素子が並んで成るリレー光学系を含み、前記中間像面は、それら一対の光学素子の間に存在し、前記回折素子は、前記リレー光学系に、前記一対の光学素子の間において、前記中間像面から外れた位置に設置された請求項1または2に記載の網膜走査型ディスプレイ。
  4. 前記光束は、前記回折素子を通過すると、複数の回折光に分離され、それら回折光により、複数の射出瞳が形成され、
    前記複数の射出瞳を通過した前記光束が前記網膜上の複数の結像点においてそれぞれ結像することにより、複数の虚像が観察者によって知覚され、
    前記外れ量zは、前記複数の虚像がほぼ同一の位置においてほぼ完全に重ね合わせられ、それにより、前記複数の虚像によって観察者が知覚する前記画像が多重化しないように設定される請求項1ないし3のいずれかに記載の網膜走査型ディスプレイ。
  5. 前記回折素子は、前記中間像面から前記出射部の側に外れた位置に設置された請求項1ないし4のいずれかに記載の網膜走査型ディスプレイ。
  6. 前記回折素子は、入射光束を2次元方向に回折する請求項1ないし5のいずれかに記載の網膜走査型ディスプレイ。
  7. 前記回折素子は、入射光束を1次元方向に回折する1次元回折素子を2個、回折方向が互いに交差するように含む請求項6に記載の網膜走査型ディスプレイ。
  8. 前記回折素子は、入射光束を2次元方向に回折する2次元回折素子を1個含む請求項6に記載の網膜走査型ディスプレイ。
  9. 前記中間像面は、前記走査部と前記出射部との間に存在し、前記回折素子は、それら走査部と出射部との間において、前記中間像面から外れた位置に設置された請求項1ないし8のいずれかに記載の網膜走査型ディスプレイ。
  10. 前記中間像面は、前記走査部と前記出射部との間に複数個存在し、前記回折素子は、それら複数個の中間像面のうち最も前記出射部に近いものとその出射部との間に設置された請求項1ないし9のいずれかに記載の網膜走査型ディスプレイ。
  11. 前記走査部は、入射光束を主走査方向に走査する主走査部と、その主走査部から入射した光束を、前記主走査方向と交差する副走査方向に走査する副走査部とを含み、前記中間像面は、それら主走査部と副走査部との間に存在し、前記回折素子は、それら主走査部と副走査部との間において、前記中間像面から外れた位置に設置された請求項1ないし10のいずれかに記載の網膜走査型ディスプレイ。
  12. 前記走査部は、入射光束を主走査方向に走査する主走査部と、その主走査部から入射した光束を、前記主走査方向と交差する副走査方向に走査する副走査部とを含み、前記中間像面は、その副走査部と前記出射部との間に存在し、前記回折素子は、それら副走査部と出射部との間において、前記中間像面から外れた位置に設置された請求項1ないし10のいずれかに記載の網膜走査型ディスプレイ。
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