以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の第1実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は前面枠14と下皿ユニット15とが開放されたパチンコ機10の斜視図である。図3はパチンコ機10の遊技盤16の正面図である。ここで、図2においては、便宜上、遊技盤16及びガラスユニット17を省略して示している。
パチンコ機10は、図1及び図2に示すように、略矩形状に組み合わせた木枠20(図4(a)参照)により外殻が形成される外枠12と、その外枠12と略同一の外形形状に形成された内枠13とを備えている。内枠13は、その中央部に略円形に開口した中央窓30aを有する合成樹脂製の内枠ベース30に通路形成部材36や球発射ユニット90等を取り付けたものである。内枠13には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤16が裏面側から取り付けられ、内枠13の中央窓30aより遊技盤16の前面が視認可能となっている。この遊技盤16の前面を遊技球が流下することにより弾球遊技が行われる。
また、内枠13は、その一側(パチンコ機10においては正面視左側)の上下2箇所で外枠12に軸支され、内枠13が正面手前側へ開放可能に取り付けられている。内枠13の前面側には、その前面上側を覆う前面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられ、これら前面枠14及び下皿ユニット15は内枠13の前面を開閉可能に取り付けられている。
前面枠14は、合成樹脂製の前面枠ベース200に装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には、略円形状の開口(窓部14c)が形成されている。前面枠14の裏面側には2枚の板ガラス151を有するガラスユニット17(図21参照)が配設され、その板ガラス151を介して遊技盤16の前面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
前面枠14には、遊技球を貯留する上皿201が前方へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿201に賞球や貸出球などが排出される。上皿201の底面は、遊技球を発射するための球発射ユニット90が位置する正面視右側に下降傾斜して形成され、上皿201に投入された遊技球は球発射ユニット90へと案内される。
上皿201の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿201に貯留しきれなかった遊技球を貯留するための下皿301が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿301の右側には、遊技球を遊技盤16の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル310が配設され、かかる操作ハンドル310の内部には球発射ユニット90の発射ソレノイド92の駆動を許可するためのタッチセンサと、操作ハンドル310の回動操作量を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器とが内蔵されている。操作ハンドル310が遊技者によって右回りに回転操作されると、タッチセンサがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が操作量に対応して変化する。発射ソレノイド92は、操作ハンドル310の回動操作量に応じて変化する可変抵抗器の抵抗値に対応した強さで遊技球を発射するものであり、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤16の前面へ遊技球が打ち込まれる。
遊技盤16は、図3に示すように、正面視略正方形状に切削加工した木製のベース板60に、遊技球案内用の多数の釘およびレール61,62、一般入賞口63、並びに、液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と略す。)で構成される第1図柄表示装置81等を組み付けて構成される。遊技盤16の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤16の前面外周が囲まれ、遊技盤16とガラスユニット17(板ガラス151)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤16の前面には、遊技球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。
遊技領域には、遊技球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、第1図柄表示装置81を有する可変表示装置ユニット80が配設され、この可変表示装置ユニット80が後述する表示制御装置505によって制御されることにより、複数種類の識別情報としての図柄が予め定めた順序に従って変動する変動表示が第1図柄表示装置81の表示画面上に表示される。なお、LCDに代えて、例えば、リール等を用いて第1図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
可変表示装置ユニット80の下方には、遊技球が入球し得る第1入球口64が配設されている。この第1入球口64へ遊技球が入球すると遊技盤16の裏面側に設けられる第1入球口スイッチ524(図30参照)がオンとなり、上述した第1図柄表示装置81で図柄の変動表示が開始される。また、第1入球口64は、遊技球が入球すると5個の遊技球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。
第1入球口64の下方には可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の特定入賞口(大開放口)65aが設けられている。パチンコ機10においては、第1入球口への遊技球の入球を契機とした抽選が行われ、その抽選に当選すると大当たりとなって、第1図柄表示装置81には図柄の変動後に予め定められた図柄の組み合わせの1つが表示されて遊技者に大当たりの発生が示され、その後、遊技球が入賞し易い特別遊技状態に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、遊技球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65a内には、通常領域と、特定領域としてのVゾーンとが区分けして設けられており、特定入賞口65aの開放中に、遊技球がVゾーンを通過すると、継続権が成立して、特定入賞口65aの閉鎖後、再度、その特定入賞口65aが所定時間開放される。この特定入賞口65aの開閉動作は、最高で例えば16回(16ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置81の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、特定入賞口65aが所定時間開放され、その特定入賞口65aの開放中に、遊技球が特定入賞口65a内へ入賞することを契機として特定入賞口65aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。
次に、パチンコ機10の構成について外枠12、内枠13、遊技盤16、前面枠14、下皿ユニット15、ガラスユニット17に大別して順に説明し、その後、パチンコ機10の背面側の構成について説明する。まず、外枠12の構成について図2および図4を主に参照して説明する。ここで、図4(a)は、外枠12の斜視図であり、図4(b)は外枠12の受け金具23周辺を拡大して示した斜視図である。
図2に示すように、パチンコ機10には、その外殻を形成する外枠12が設けられ、この外枠20に対して内枠13が開閉可能に支持される。遊技場においては、外枠20の外周面が遊技場の島と呼ばれる設置箇所に固定される。内枠13、前面枠14および下皿ユニット15は、外枠12に対して前面側に開放可能に構成されるので、パチンコ機10の前面側からは触れられない裏面側や内部に対しての点検や調整は、外枠12に対して内枠13等を前面側に開放して行われる。
外枠12は、木製の板材で上下左右の四辺を構成して全体として矩形状の木枠20を形成し、その木枠20にヒンジ21,22と受け金具23,23とを取り付けたものである。木枠20の接合部は、小ネジ等の離脱可能な締結具により固定され、釘やリベットを使って固定する構造と比べて、木枠20の一部が容易に再利用できるようになっている。本実施の形態では、外枠12の上下方向の外寸は809mm(内寸約710mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸約480mm)となっている。なお、外枠12は、アルミニウム等の軽金属や樹脂により構成するようにしてもよい。
外枠12には、図4(a)に示すように、内枠13を支持するために正面視左側の上下2カ所に金属製の上ヒンジ21および下ヒンジ22が取り付けられている。このヒンジ21,22が設けられた側を開閉の軸として内枠13は開閉可能に支持される。
外枠12の受け金具23は、木枠20の内面であってヒンジ21,22から離間した側の一辺における上下2カ所にネジにより螺着されている。各受け金具23は、金属板を屈曲加工して形成され、図4(b)に示すように、外枠12の内面に密着する取付部23aと、その取付部23aから外枠12の内面側に向けて垂直に立ち上がる係合部23bと、その係合部23bの先端側にて内枠13の閉鎖方向側(図4(b)の左上側)に向けて突出して形成される突出部23cとを備えている。この受け金具23の係合部23bには、内枠13より鉤形に突出して形成される内枠用鉤部材411(図31参照)の先端部が引っ掛かり、内枠13は閉鎖される。
受け金具23の突出部23cは、外枠12に対して内枠13が閉鎖された状態にて、外枠12の内面側(図4(b)の左下側)に向かって、内枠用鉤部材411の下方に突出した先端部分に重なる長さ以上に突出して形成される。このため、内枠用鉤部材411の先端部は、突出部23cにより外枠12内面側への移動が規制され、外枠12内面側への受け金具23の突出量を少なくしつつ、内枠13のがたつきにより内枠用鉤部材411が誤って受け金具23から外れて、内枠13が不用意に開放されることが防止されている。
外枠12の下側には、横長矩形の合成樹脂、具体的にはABS樹脂の板により形成された飾り板24が、木枠20を貫通するネジにより外枠12の背面側より固定されている。この飾り板24によって、パチンコ機10の前面側に露出する外枠12の大部分は、内枠13、前面枠14および下皿ユニット15と同様に合成樹脂製となり、各部材間に一体感が生まれて外観品質の向上が図られる。また、本実施形態においては省略するが、飾り板24の前面に下皿ユニット15の形状に倣って模様を付すことにより、外枠12の木製部分である木枠20を共用しつつ異なる外観形状を有する外枠12を製造することができ、木枠20を有効的に再利用しつつパチンコ機10の外観品質を向上することができる。
飾り板24の上面には、金属製の滑り板25,26が、ヒンジ22から離間した側の端部と中央部との2カ所に設けられている。開放状態の内枠13が自重により外枠12に対して下側に落ち込んでも、内枠13が閉鎖されるときには、その下面が滑り板25,26に擦られつつ持ち上げられて、内枠13は定位置に案内される。このため、作業者がわざわざ内枠13を持ち上げながら閉鎖操作を行う必要がなく、内枠13の開閉操作の利便性が高められている。また、樹脂または木製の部分で内枠13を定位置に案内する部分が形成される場合に比べて、開閉操作の繰り返しによる擦れによって部品が削られたり、破損したりすることが防止されるので、長期にわたって内枠13の開閉操作を容易に行うことができる。
これら2つの滑り板25,26のうち一方の滑り板26は、内枠13の開閉軸となるヒンジ21,22から離間した側の端部に設けられる。このため、金属製の下ヒンジ22と滑り板26とにより内枠13の下面両端側が支持され、内枠13がより安定した状態で定位置に案内される。また、もう1つの滑り板25は、ヒンジ22と滑り板26とのほぼ中間位置に設けられ、ヒンジ22と、端部に設けた滑り板26との支持により最も落ち込み易い部分が案内されることとなる。このように、2つの滑り板25,26を飾り板24の上面におけるヒンジ22から離間した側の端部と中央部とに設けることにより内枠13を定位置により確実に案内することができ、上皿201や下皿301に遊技球が多量に入る等して内枠13に負荷される重みが増大しても、内枠の開閉操作は容易に行うことができる。
飾り板24の上面奥側には、パチンコ機10の前後方向に沿って内枠13の下端部に重なる位置まで上方に突出して形成されたリブ27が設けられている。また、リブ27の付け根部分には、飾り板24の上面に沿って背面側に窪んだ溝27aが形成され、リブ27の上端部がパチンコ機10の前面側に突出するように形成される。パチンコ機に対しては、薄板状の工具等を部材間の隙間から差し入れて行う不正行為が頻繁に報告されているが、本実施形態のパチンコ機10においては、内枠13の下側から工具等を差し入れる行為がリブ27により阻止されるので、不正行為を防止することができる。また、内枠13と飾り板24との間から差し入れた工具はリブ27の付け根部分に設けた溝27aに嵌まり易く、不正行為を一層困難なものとしている。
飾り板24上面のリブ27の高さは、飾り板24の上面に対して遊技球の半径より低く設定されている。このため、内枠13の閉鎖時に飾り板24の上面に遊技球が乗っていても、その遊技球は、内枠13の下端部とリブ27との間に挟まれた後にリブ27を乗り越える。よって、リブ27を設けることにより不正行為を防止しつつ、リブ27と内枠13との間に遊技球が挟み込まれて内枠13を閉鎖し直す手間が発生することもなく、内枠13の開閉操作に対する利便性を高く維持することができる。
次に、図2および図5を主に参照して内枠13について説明する。図5は、前面枠14および下皿セット15を取り外した状態のパチンコ機10の正面図である。また、図5では、便宜上、遊技盤16面上の遊技領域内の構成の一部を空白で示している。
内枠13は、矩形状に形成されたABS樹脂製の内枠ベース30を主体に構成されており、内枠ベース30の中央部には略円形状の中央窓30aが形成されている。内枠ベース30の裏面側には遊技盤16の取付部が設けられ、遊技盤16が着脱可能に装着される。
内枠13は、前述した外枠12の上ヒンジ21および下ヒンジ22により、外枠12に対して回動可能に支持された扉状の部材である。内枠13の開閉軸線は、ヒンジ21,22が設けられるパチンコ機10の正面視左側に上下に延設され、この開閉軸線を軸心にして内枠13は前方側に開放される。内枠13の開閉軸線は、パチンコ機10の正面視右側に設けられる操作ハンドル310(図1参照)とは反対側(正面視左側)に設定され、内枠13がより大きく開放できるようになっている。通常パチンコホールでは、パチンコ機10は互いに隣接して配設されるので、開閉軸線を操作ハンドル310側に設けると、内枠13の開放と共に移動する操作ハンドル310が隣のパチンコ機10や、パチンコ機10の間に設けられるカードユニット等に当接して開放量が制限されるからである。
内枠13の外周には、前面側へ突設された外周壁30bが形成されており、その外周壁30bの内側に前面枠14および下皿ユニット15が配設される。即ち、内枠13に前面枠14および下皿ユニット15が取り付けられた状態では、前面枠14および下皿ユニット15の各側面の外周は、内枠13の外周壁30bにより囲繞される。このため、前面枠14または下皿ユニット15と、内枠13との間へ針金や薄板状の工具等を挿入する行為が困難となり、不正行為を抑制することができる。
内枠13の左上部には、図2に示すように、配線口30cが内枠ベース30を貫通して設けられている。配線口30cには、前面枠14の電飾等に使用する部品の配線が内枠13の裏面側に挿通され、遊技盤16の裏面に接続される。配線口30cの角部にはRが形成されており、配線口30c内に配線される各コードが、前面枠14の開閉により配線口30cで擦られても損傷し難くなっている。なお、遊技盤16(ベース板60)にも、内枠13の配線口30cに対応する位置(左上部)に配線口60aが設けられ、内枠ベース30に遊技盤16が取り付けられた状態にて配線が可能となっている。
内枠13の配線口30cの右上側には、パチンコ機10の前面側に円柱状に突出した押しボタン型の開閉スイッチ32が設けられている。開閉スイッチ32は、前面枠14の開閉状態を検出するためのスイッチである。前面枠14が内枠13に対して閉じられている場合には開閉スイッチ32が前面枠14の裏面に押圧されて押し込まれた状態となり、逆に、前面枠14が内枠13に対して開放されている場合には開閉スイッチ32は非押圧の突出状態となって、前面枠14の開閉状態を検出する。この開閉スイッチ32は、パチンコ機10裏面側の外部出力用の端子を介して、パチンコ機10の上側に一般に設けられるランプや、遊技場に設置される複数の遊技機を一括管理する島管理装置等に接続される。これにより、複数のパチンコ機10のうち、開放状態となっているパチンコ機10だけ、特別にランプを点灯させたり、島管理装置に信号を送って監視カメラで開放中のパチンコ機10を拡大して表示画面に表示したりして、パチンコ機10の不正開放に対する防犯性が高められる。
内枠13の中央窓30aの右下側には、略四角形状の小窓30dが内枠ベース30を貫通して設けられ、また中央窓30aの左下側にも略正方形の一部を面取りした形状の小窓30eが内枠ベース30を貫通して設けられている。遊技盤16の下側における左右の隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1,K2(図3参照)が設けられ、貼着スペースK1,K2に貼られた証紙等は、内枠13の小窓30d,30eを通じて内枠13の前面側に露出されるので、前面枠14を開放した状態において証紙等を視認することができる。又、内枠ベース30に遊技盤16が取り付けられた後にも、小窓30d,30eを通じて遊技盤16の貼着スペースK1,K2に証紙等を貼着することができる。
内枠ベース30の中央窓30aの下側は、前面側が開放した凹状に窪んで形成されており、その奥側には、平面状の取付面30fが形成されている。取付面30fには、遊技球を遊技盤16の前面に発射するための球発射ユニット90や、上皿201および下皿301に遊技球を排出する通路を形成する通路形成部材36等が取り付けられる。
内枠13の左端部には、図5に示すように、前面枠14および下皿ユニット15を支持するための機構として、縦方向に沿った3カ所に3つの支持金具33〜35が取り付けられている。上側の支持金具33には図5の紙面手前側にU字状に開口すると共にその入口が奥側より幅狭に形成された切欠を有する支持孔33aが設けられ、その支持孔33aに段付きの円柱状に形成された前面枠14側の支持金具33が嵌合する。
上から2番目の支持金具34には、上下方向にそれぞれ突出した円柱状の突起軸34a,34bが設けられる。2本の突起軸34a,34bのうち上側に突出した突起軸34aにより前面枠14の左下隅が回動可能に支持され、下側に突出した突起軸34bにより下皿ユニット15の左上隅が内枠13に対して回動可能に支持される。
一番下側の支持金具35は、内枠13の前面側に向けて突出した水平な金属板に上下方向に貫通する支持孔を設けて形成される。下皿ユニット15の左端部下側には、ばねにより下側に突出するように付勢力が付与される支持軸308(図27参照)が設けられ、その支持軸307が支持金具35の支持孔に軸支されて下皿ユニット15の左下隅が内枠13に対して回動可能に支持される。
なお、パチンコ機10において、外枠12、内枠13、前面枠14、下皿ユニット15、ガラスユニット17等により構成される部分は、しばしば「枠」と称される。この「枠」部分は、メーカー毎に共通するものとして構成された場合には、遊技の種類に応じて異なる遊技盤16を付け換えて流用することができる。
次に、図3を主に参照して遊技盤16の構成を説明する。遊技盤16は、四角形状の合板で形成されたベース板60に釘や風車、入賞口63等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠ベース30の裏側に当接した状態で内枠13の裏面側に取り付けられる。遊技盤16の前面中央部分は、内枠ベース30の中央窓30aを通じて内枠13の前面側に露出される。なお、遊技盤16の上下方向の長さは約480mm、左右方向の長さは約450mmとされ、従来と同等のサイズとなっている。
遊技盤16には、上述した一般入賞口63、第1入球口64、可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80等がルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤16の前面側から木ネジ等により固定されている。また、前記した入賞口以外に、遊技盤16には、アウト口66と第2入球口(スルーゲート)67とが設けられている。いずれの入賞口63,64,65aにも入球しなかった遊技球はアウト口66を通って図示しない球排出路へと案内される。遊技盤16には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示装置ユニット80には、第2入球口67の遊技球の通過をトリガとして第2図柄(普通図柄)を変動表示する発光ダイオード(以下、「LED」と略す。)で構成される第2図柄表示装置82と、第1入球口64への入賞をトリガとして第1図柄(特別図柄)を変動表示する第1図柄表示装置81とが設けられている。第2図柄表示装置82は、第2図柄の表示部83と保留ランプ84とを有し、遊技球が第2入球口67を通過する毎に、表示部83において表示図柄(第2図柄)としての「○」の図柄と「×」の図柄とが交互に点灯して変動表示が行われ、その変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に第1入球口64が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球の第2入球口67の通過回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ84に点灯表示される。なお、第2図柄の変動表示は、本実施の形態のように、表示部83において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、保留ランプ84の点灯についても、第1図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。
また、第1図柄表示装置81にて第1図柄の変動表示が行われている間に遊技球が第1入球口64へ入球した場合、その入球回数は最大4回まで保留され、その保留回数は保留ランプ85の点灯個数にて表示される。保留ランプ85は、最大保留数分の4つ設けられ、第1図柄表示装置81の上方に左右対称に配設されている。なお、本実施形態においては、第1入球口64への入賞および第2入球口67の通過は、それぞれ最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、保留ランプ85を削除し、第1入球口64への入賞に基づく変動表示の保留回数を第1図柄表示装置81の一部に数字で、或いは、4つに区画された領域を保留回数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしても良い。
第1図柄表示装置81は、後述する表示制御装置505によって表示内容が制御され、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成され、これらの図柄が図柄列毎に縦スクロールして第1図柄表示装置81の表示画面G(図10(a)参照)上にて第1図柄が可変表示されるようになっている。なお、本実施形態では、第1図柄表示装置81は8インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成され、可変表示装置ユニット80には、この第1図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
次に、図6から図11を主に参照してセンターフレーム86について説明する。図6は、センターフレーム86の構成を示す斜視図である。図7は、センターフレーム86の分解斜視図である。図8及び図9は、それぞれ、センターフレーム86の一部を構成する前ベース枠850、後ベース枠800の分解斜視図である。図10(a)は、可変表示装置ユニット80を前方より見た正面図であり、図10(b)は、センターフレーム86を裏側から見た背面図である。図11(a)〜(c)は、それぞれ、球通路843、切欠部863b、及び、落下部863cより、遊技盤16へと導出される遊技球の一転動様態を示すステージ部材840(図6参照)周辺の部分拡大図である。なお、以下のセンターフレーム86などに関する説明では、パチンコ機10の正面から見て、即ち、図10(a)の状態で左右各方向を記載することとする。
図6及び図7に示すように、センターフレーム86は、遊技盤16の背面側に配設される後ベース枠800と、その後ベース枠800の前面に組み付けられる前ベース枠850とを備えている。後ベース枠800及び前ベース枠850は、それぞれ、中央部が開口した枠体形状に形成されており、これらのベース枠800,850が組み付けられることによって、センターフレーム86は、全体として、前後方向に貫通した枠体形状に形成されている。また、前ベース枠850の前面上部には、上飾り部890が組み付けられている。
図9に示すように、後ベース枠800の下部には、ステージ取付部810が形成されている。このステージ取付部810の前面には、前後方向に貫通した孔部811が横方向に4個形成されている。この孔部811には、保留ランプ用LED基板812に設けられたLEDランプ812aが配設される。このLEDランプ812aは、保留ランプ用LED基板812に2個設けられており、さらに、保留ランプ用LED基板812は、ステージ取付部810の左右背面に2個組み付けられる。また、ステージ取付部810の下縁部には、前方に延出する延出部813が形成されており、さらに、その演出部813の中央には、切欠部813aが形成されている。
このステージ取付部810に取り付けられるステージ部材840には、上段ステージ841と下段ステージ844とが前後方向に並ぶように形成されている。上段ステージ841の中央には、上下方向に延び、下端が遮蔽されている球通路843が形成されており、上段ステージ841の上面は球通路843に向けて、若干下方に傾斜している。一方、下段ステージ844の上面は、2個の遊技球が前後方向に並んで転道できる程度の幅を有し、滑らかな流線形状となっている。また、下段ステージ844の上面は、中央部を中心として、左右対称な形状である。具体的には、中央部が上方に盛り上がっており、その左右は、下段ステージ844の上面において最も下側に位置する谷部844aとなっており、また、左右両端は中央部よりも上方に位置する。この下段ステージ844の上面の中央部には、前方向及び後方向に向けて延び、それぞれ下方に傾斜した形状を有する前後誘導路844bが形成されている。つまり、前後誘導路844bは、前後方向に見て山形状に形成されている。一方、中央部の左右に位置する谷部844aは、前方に向けて下方に傾斜する形状を有している。谷部844aが、上記のよううな構成であることにより、谷部844aに案内された遊技球は前方へと導出される。
ステージ部材840を後ベース枠800に組み付けた際は、ステージ取付部810の上面と上段ステージ841の上面の左右両側部とがほぼ面一となり、球通路843は、切欠部813aを介して延出部813よりも下方に突出する構成となる。この際、後ベース枠800に配設されたLEDランプ812aの前方に上段ステージ841の前面が位置する。この上段ステージ841の前面には、保留ランプ84が左右にそれぞれ2個ずつ、合計4個形成されており、LEDランプ812aから発せられる光は、それぞれに対応した保留ランプ84を介して前方から視認することができる。なお、このLEDランプ812aは、遊技球が第2入球口67を通過する毎に左から順に点灯し、この第2入球口67を遊技球が4回通過すると、全てのLEDランプ812aが点灯する。また、このLEDランプ812aは、第2図柄表示装置82による変動表示が行われる毎に、右から順に消灯する。従って、保留ランプ84を介して視認される光により、第2図柄表示装置82による変動表示の保留回数が表示されるようになっている。
後ベース枠800の左右両側部には、側壁部820が形成されている。この側壁部820には、前後方向に貫通した孔部820aが縦方向に4個形成されている。この孔部820aには、側壁部820の背面側より組み付けられる装飾用LED基板822に設けられたLEDランプ822aが配設される。また、この孔部820aより内側には、前後方向に開口したネジ挿通孔820bが縦方向に2個形成されている。
両側壁部820の前面側には、側壁部820の前面部とほぼ同一形状な平面を有するLEDカバー823がそれぞれ組み付けられ、さらに、LEDカバー823の前面側には、球通路部材824がそれぞれ組み付けられる。LEDカバー823の内側には、前後に開口する挿通部823aが縦方向に2個形成されており、外側には、曲線状の凹部823bが縦方向に3個形成されている。一方、球通路部材824は、縦方向に等間隔に並ぶ4個の脚部824aと、縦長の形状を有し且つ4個の脚部824aを連結する基部824bとを備えている。脚部824aは、基部824bに対して後方に突出しており、その突出している長さは、遊技球の直径より長い。また、最上部及び最下部に位置する脚部824aの突出先端部には、後方に突出するネジ螺着部824cが形成されている。
LEDカバー823及び球通路部材824の、側壁部820への組み付けは、ネジ螺着部824cを挿通部823aに挿通させ、その状態で側壁部820の背面側からネジ挿通孔820bに挿通させたネジ825をネジ螺着部824cに螺着することにより行われる。これにより、LEDカバー823及び球通路部材824が側壁部820に組み付けられ、後ベース枠800の中央開口部を挟んで左右に側部球通路801が形成される(図10(a)参照)。なお、脚部824aの突出していない面の背面部には、図示しない凸部が形成されており、更に、上述したように、LEDカバー823には、凹部823bが形成されている。この凸部と凹部823bは、LEDカバー823と球通路部材824とを側壁部820に組み付けた際に対向する構成となっている。これにより、遊技球が側部球通路801を落下する際は、この凸部と凹部823bとに遊技球が接触し、落下速度が低減されるようになっている。また、球通路部材824は、一列の格子状に形成されているので、側部球通路801を落下する遊技球が外部から視認可能な構成となっている。このような構成とすることにより、遊技球が側部球通路801を通過する際に、遊技者が、遊技球が突然消えたと錯覚して不安になるといったこと等を抑制することができる。
後ベース枠800の上部には、上部枠830が形成されている。この上部枠830の背面側には、センターフレーム86に組み付けられる各種基板(保留ランプ用LED基板812、装飾用LED基板822、等)を中継する中継基板188が組み付けられる。また、上枠部830には、左右に略矩形状の開口部830aが形成されており、この開口部830aは、後述する扉体171,172、及び、これらの扉体171,172を作動させるための部材などをセンターフレーム86に組み付ける際に使用される。
また、後ベース枠800の外周部には、上下左右の複数箇所(本実施形態においては、5箇所)にネジ挿通孔800aが形成されている。このネジ挿通孔800aは、後ベース枠800に前ベース枠850を組み付ける際に使用される。
後ベース枠800に組み付けられる前ベース枠850の下部には、図8に示すように、下枠部860が形成されている。この下枠部860の中央部には、略U字状の凹部864が設けられている。また、下枠部860の前面側には、上下に延出する前面部863が設けられている。
凹部864の底部には、後方から前方に向けて下方に傾斜している。また、凹部864の底部の略中央部には、曲線状に凹んだ形状を有し、前後に延びる誘導路864aが設けられている。凹部864が、上記のような構成を有することにより、球通路843を通過した遊技球が凹部864の略中央部から遊技盤16に導出される。一方、前面部863の中央部には、遊技球を遊技盤16に導出するための開口部863aが形成されており、その上部には、略U字状の切欠部863bが形成されている。また、前面部863の上端の形状は、下段ステージ844の上面の前端部の形状とほぼ同一である。更に、前面部863の下部には、センターフレーム86を遊技盤16に組み付ける際に使用されるネジ挿通孔865が設けられている。
図6に示すように、ステージ部材840が前ベース枠850に組み付けられた際は、前面部863の切欠部863bと、下段ステージ844の前後誘導路844bの前方端部とが面一となる。また、前面部863の上端の最も凹んでいる落下部863cは、下段ステージ844の谷部844aの前面側に位置し、更に、この谷部844aよりも下側に位置する。下段ステージ844での転動の結果、場合によっては、落下部863cより遊技球が遊技盤16に導出される。更に、ステージ部材840の左右両端側と下枠部860の左右両端とが面一となる。これにより、上述した側部球通路801を通過してきた遊技球が、滑らかに下段ステージ844の上面へと導出される。
なお、下枠部860の下縁部の外側には、図示しないネジ螺着部が形成されており、このネジ螺着部は、後ベース枠800に、前ベース枠850を組み付ける際に使用される。具体的には、後ベース枠800の背面側から、ネジ挿通孔800aにネジを挿通した状態で、そのネジをネジ螺着部に螺着することにより、後ベース枠800への前ベース枠850の組み付けが行われる。
前ベース枠850の両側部には、側枠部870が形成されている。両側枠部870の外側の上部には、ネジ螺着部871が形成されている。このネジ螺着部871は、後ベース枠800に前ベース枠850を組み付ける際に使用される。具体的には、後ベース枠800の背面側からネジ挿通孔800aにネジ872を挿通した状態で、そのネジ872がネジ螺着部871に螺着される。
前ベース枠800の上部には、上枠部880が形成されている。この上枠部880の左右両側部には、前後方向に延びる前後球通路881が形成されている。この前後球通路881により、後述する上部球通路851を通過した遊技球が側部球通路801に導かれる。上枠部880の略中心部には、背面側からLEDランプ882aが3個設けられた装飾用LED基板882が取り付けられる。また、上枠部880の左右中央部の背面側には、それぞれ、装飾用LED基板883及びLEDカバー884が組み付けられる。装飾用LED基板883には、LEDランプ883aが3個設けられており、更に、ネジ挿通光883bが2個設けられている。ネジ885を装飾用LED基板883のネジ挿通孔883bに挿通させた状態で、LEDカバー884に設けられたネジ螺着部884aに螺着することにより、装飾用LED基板883がLEDカバー884に固定される。そして、LEDカバー884が前面側となるように、これら装飾用LED基板883及びLEDカバー884が、上枠部880に組み付けられる。また、上枠部880の外側の上縁部には、ネジ螺着部886が形成されている。このネジ螺着部886は、後ベース枠800に前ベース枠850を組み付ける際に使用される。具体的には、後ベース枠800の背面側からネジ挿通孔800aにネジ887を挿通した状態で、そのネジ887がネジ螺着部886に螺着される。
また、側枠部870及び上枠部880の前面側は、外方に延出する延出部888が形成されている。この延出部888には、前面部863と同様に、センターフレーム86を遊技盤16に組み付ける際に使用されるネジ挿通孔865が複数(本実施形態においては、5箇所)設けられている。また、上枠部880の前面及び延出部888には、ネジ挿通部889が複数(本実施形態においては、4箇所)形成されている。このネジ挿通部889は、上枠部880に上飾り部890を組み付ける際に使用される。
上枠部880の前面側には、上飾り部890が組み付けられる。この上飾り部890の上部には、背面が開放された通路形成部891が左右に形成されている。この通路形成部891の内部は、遊技球の直径よりも広く、左右の両側は、上飾り部890を上枠部880に組み付けた際に、各前後球通路881の前方に位置する。また、通路形成部891の上側壁部の中央が開口されており、それぞれ、左右方向に沿って下る構成となっている。上側壁部が開口している中央部では、それぞれの通路形成部891の下側壁部が中央部に向けて上方に急傾斜しており、左右の通路形成部891の下側壁部の繋ぎ目は、上枠部880に上飾り部890を取り付けた際に、ネジ螺着部886のほぼ前面に位置する。上飾り部890を、上枠部880に組み付けることにより、通路形成部891が、LEDカバー884の前面側に位置することとなり、通路形成部891の背面側の開放部が上枠部880及びLEDカバー884により塞がれる。これにより、上部球通路851が形成される(図10(a)参照)。また、通路形成部891の前面側には、前後に貫通した隙間891aが設けられている。この隙間891aが設けられていることにより、遊技者は、上部球通路851を通過する球を視認することができる。これにより、遊技者が、遊技球が上部球通路851を通過する際に、遊技球が突然消えたと錯覚して不安になるといったこと等を抑制することができる。更に、隙間891aは、上枠部880に組み付けられたLEDランプ883aの光の視認を可能とする視認窓としての役割も果たす。
上飾り部890の中心部には、円形状であって、前後に貫通する円形開放部892が形成されている。円形開放部892には、この円形開放部892とほぼ同一形状であって内部が空洞であるLEDカバー893が組み付けられる。上飾り部890を上枠部880に組み付けた際には、このLEDカバー893は、LEDランプ882aの前方に位置する。従って、LEDランプ882aの光は、LEDカバー893を介して前方から視認することができる。
上飾り部890の中央下側には、第2図柄の表示部83が形成されている。また、表示部83の左右両側には、保留ランプ894が、左右にそれぞれ2個ずつ形成されている。この表示部83及び保留ランプ894には、背面側からLEDカバー895が組み付けられる。また、表示部83の背面側には、LEDカバー895を介して、LEDランプ896aが2個設けられた第2図柄用LED基板896が組み付けられる。一方、各保留ランプ894の背面側には、各保留ランプ894毎に保留ランプ85が配設されるように、LEDカバー895を介して保留ランプ用LED基板897が組み付けられる。なお、この保留ランプ用LED基板897は、左右に1組ずつ組み付けられ、各保留ランプ用LED基板897には、2個ずつ保留ランプ85が設けられている。
表示部83は、上述したように、第2図柄表示装置82の表示部としての役割を果たすものであり、表示図柄(第2図柄)としての「○」の図柄と「×」の図柄とを表示するものである。遊技球が第2入球口67を通過する毎に、表示部83において表示図柄(第2図柄)が、「○」の図柄と「×」の図柄との交互の点灯によって変動表示が行われる。具体的には、遊技球が第2入球口67を通過すると、「○」の図柄及び「×」の図柄が付された部分の背面に組み付けられたLEDランプ896aが交互に点灯され、最終的に、「○」の図柄又は「×」の図柄の一方に対応するLEDランプ896aのみが点灯される。このような第2図柄の表示部83の変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、第1入球口64が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。また、表示部83の変動表示は、上述したように、保留ランプ84の点灯している数に相当する回数分行われる。
保留ランプ85は、第1図柄表示装置81に対応したLEDランプである。遊技球が、第1入球口64を通過した回数は、最大4回まで保留され、各保留ランプ85の点灯によって、その保留個数が表示されるようになっている。具体的には、遊技球が、第1入球口64を通過する毎に、左から順に、保留ランプ85が点灯し、その光がLED保護部材894を介して、前方から視認される。一方、第1図柄表示装置81の変動表示が行われる毎に、右から順に、保留ランプ85が消灯する。なお、保留ランプ85は、第1図柄表示装置81の一部において変動表示される構成であってもよい。
上飾り部890の背面には、図示しないネジ螺着部が形成されている。上飾り部890の上枠部880への組み付けは、上枠部880のネジ挿通部886に、ネジ898を挿通し、上飾り部890に形成されたネジ螺着部に、ネジ898を螺着することにより行われる。
以上のように、種々の部材などが組み付けられた後ベース枠800と前ベース枠850とは、図5に示すように、ステージ部材840を、後ベース枠800のステージ取付部810と、前ベース枠850の下枠部860とにより挟み込んだ状態で組み付けられる。この際、ステージ部材840の図示しない左右突出部が前ベース枠850の図示しない切欠部に嵌合される。このように、後ベース枠800、ステージ部材840、及び、前ベース枠850を組み付けることにより、上部球通路851及び側部球通路801が形成され、上部球通路851、前後球通路881、側部球通路801、及び、下段ステージ844の上面が連結される。
ここで、これらの各通路851,881,801及び下段ステージ844の上面における遊技球の流れを図10(a)及び図11を用いて説明する。本実施形態によれば、遊技者の操作により、遊技盤16の上部に打ち込まれた遊技球は、図10(a)の点線で示すように、センターフレーム86の上方から上部球通路851へ案内される場合がある。この遊技球は、上部球通路851を通って、前後球通路881の前方側へ案内される。そして、遊技球は、前方から後方に向かって下る前後球通路881を通って、側部球通路801の上方へと導かれる。側部球通路801の上方へと導かれた遊技球は、側部球通路801を落下し、下枠部860の上面の左右側部へに到達し、下段ステージ844の上面へと導出される。なお、上述したように、脚部824aの突出していない側の背面部には、凸部が形成されており、さらに、LEDカバー823には、凹部823bが形成されているので、側部球通路801を遊技球が落下する際には、この凸部と凹部823bとに遊技球が接触し、それによって、遊技球の落下速度が低減されるようになっている。これにより、側部球通路801を落下した遊技球が、円滑に下段ステージ844の上面に導出される。この下段ステージ844の上面に導出された遊技球は、図11に示すような転動の結果、遊技盤16に導出される。なお、図11においては、左側の側部球通路801から下段ステージ844の上面に導出される遊技球の転動の様子を示しているが、右側の側部球通路801から下段ステージ844の上面に導出される遊技球の転動の様子も同様である。また、遊技球の転動は、図11に示す転動のみではなく、その他の転動態様も当然存在する。しかし、遊技球が遊技盤16に導出されるまでの過程は種々存在しても、遊技球が遊技盤16に導出される際の導出箇所は、図11に示した3態様と類似する。
図11(a)では、点線で示すように、左側の側部球通路801から下枠部860の上面の左側に到達した遊技球は、下段ステージ844の上面へと導出される。そして、下段ステージ884の上面へと導出された遊技球は、下段ステージ844の上面に沿って右方へ移動し、下段ステージ844の上面における右側端部付近に到達する。この右側端部付近に到達した遊技球は、反転して中央部に向かって左側に移動する。そして、速度がほぼ0となった状態で、中央部に到達した遊技球は、前後誘導路844bの後方側の傾斜を下り、球通路843へ案内される。球通路843へと案内された遊技球は、球通路843に沿って、下方へ落下し、凹部864へと案内される。凹部864へと案内された遊技球は、誘導路864aに沿って、前方へ案内され、誘導路864aの前面端部より遊技盤16へと導出される。
図11(b)では、図11(a)の場合と同様に、点線で示すように、左側の側部球通路801から下枠部860の上面の左側部に到達した遊技球は、下段ステージ844の上面に沿って右方へ移動し、下段ステージ844の上面における右側端部付近で反転し、速度がほぼ0となった状態で、中央部に到達する。この中央部に到達した遊技球は、前後誘導路844bの前方側の傾斜を下り、前ベース枠850の切欠部863bから遊技盤16へ導出される。
図11(c)では、図11(a),(b)の場合と同様に、点線で示すように、左側の側部球通路801から下枠部860の上面の左側部に到達した遊技機は、下段ステージ844の上面に沿って右方へ移動し、下段ステージ844の上面における右側端部付近で反転し、中央部に到達する。この中央部に到達した遊技球は、更に、中央部を越えて左側に移動し、左側の谷部844aへと移動する。この谷部844aは、上述したように、前方に向けて下方に傾斜する形状を有しているので、左側の谷部844aに到達した遊技球は、谷部844aを中心として左右に転動しながら前方へ案内される。そして、前ベース枠850の落下部863cに到達した遊技球は、この落下部863cより遊技盤16へと導出される。なお、この場合、左側の落下部863cから遊技盤16へとい導出される態様であったが、右側の落下部863cから遊技盤16へと導出される態様もあり得る。
上記3態様のうち、図11(a)及び図11(b)の場合は、第1入球口64が誘導路864a及び切欠部863cの下方に位置するので、図11(c)の場合に比べ、第1入球口64への入球が起こりやすい。
次に、図7、図10、図12及び図13を参照し、上述したように、センターフレーム86に設けられている略矩形状の板状体である扉体171,172、及び、これらの扉体171,172を動作させる部材について説明する。図12は、扉体171,172の駆動機構を示す構成図であり、図13は、扉体171,172の作動状態を説明する図である。
センターフレーム86には、第1図柄表示装置81の表示画面上の一部に重なるようにして、左右一対の扉体171,172が設けられている。なお、以下の説明では、説明の便宜上、適宜、右の扉体171を「右扉171」と称し、左の扉体172を「左扉172」と称する。
図10(a)に示すように、右扉171及び左扉172は、いずれも、同じ大きさの略矩形状の板状体であり、第1図柄表示装置81の表示画面G上における右隅部に右扉171が設けられ、同左隅部に左扉172が設けられている。センターフレーム86は、少なくとも、表示画面Gの上側が遊技盤16よりも前方に張り出しており、その張り出した部位(張出部)の直下に右扉171及び左扉172が配置されている。これら右扉171及び左扉172は、各扉171,172とほぼ同じ大きさの間隔を隔てて離間されている。第1図柄表示装置81の表示画面Gを縦横に各々3区分して全体で9分割した場合に、右扉171及び左扉172は、概ね、その9分割したうちの1領域分の大きさを有する。つまり、第1図柄表示装置81の表示画面Gに重なるようににして、右扉171及び左扉172が配設されることによって、表示画面Gの約9分の2(2×約1/9)の領域が隠されるようになっている。
この扉体171,172(右扉171及び左扉172)の、センターフレーム86への組み付け手順について、図7を参照して説明する。
前ベース枠850の上枠部880の左右背面には、それぞれ、扉体171(右扉171)を動作させるための右扉ソレノイド177、及び、扉体172(左扉)を動作させるための左扉ソレノイド184が組み付けられる。これらの右扉ソレノイド177及び左扉ソレノイド184は、それぞれ、出力軸178,185、及び、バネ179,186を備えている。これらの出力軸178及び出力軸185には、それぞれ、2本のリンク175,176、及び、リンク182,183を備えた可動連結部174及び可動連結部180が、後ベース枠800の開口部830aを跨ぐように組み付けられる。なお、この組み付けは、各第1リンク175,182を、それぞれ、各出力軸178,185に連結することにより行われる。また、可動連結部174,185における各第2リンク175,182は、後ベース枠800の背面側にて、それぞれ、扉体171(右扉171),172(左扉172)のアーム部171b,172bに、ネジ187によって組み付けられる。これらの扉体171(右扉171)及び扉体172(左扉172)は、それぞれ、基端部に設けられた軸部171a,172aにおいて、支軸173,181により、後ベース枠800に回動可能に支持される。また、これらの扉体171(右扉171)及び扉体172(左扉172)の後方への離脱を防止するために、軸部171a及び軸部172bをそれぞれ覆う固定部材189,190が組み付けられる。なお、これらの固定部材189,190の組み付けは、各固定部材189,190に設けられたネジ挿通孔189a,190aに、それぞれ、背面側からネジ192,193を挿通させて、これらのネジ192,193を後ベース枠800に設けられた図示しないネジ螺着部に螺着させることにより行われる。これにより、扉体171(右扉171)及び扉体172(左扉172)が、それぞれ、センターフレーム86の前後方向に貫通した枠状部の右上隅部及び左上隅部に配設される。即ち、扉体171(右扉171)及び扉体172(左扉172)は、後ベース枠800の上枠部830及び前ベース枠850の上枠部880の直下に位置する。また、軸部171a,172a、アーム部171b,172b、可動連結部174,180等は、側壁部820及び上枠部830に沿って、その外方に設けられており、その結果として、これらが、第1図柄表示装置81の表示画面Gを囲むようにして配置される。右扉ソレノイド177の出力軸178、及び、左扉ソレノイド184の出力軸185は、それぞれ、バネ179及びバネ186の付勢力によって伸長状態とされ、かかる状態では、扉体171(右扉171)及び扉体172(左扉172)は、表示画面Gに対面した状態、即ち、表示画面Gの一部を隠すような状態で保持される。
次に、図10(b)及び図12を参照して、扉体171(右扉171)及び扉体172(左扉172)の駆動機構について説明する。図12は、扉体171(右扉171)及び扉体172(左扉172)の駆動機構の構成を説明するための図である。なお、図12は、基本的に、図10(b)のA−A線断面を示すが、説明の便宜上、第1図柄表示装置81の表示画面Gを取り囲む周囲壁191を省略した状態で示している。また、図12では、右扉171は閉状態であり、左扉172は開状態であるものとして図示している。更に、図12において、第1図柄表示装置81は、遊技盤16の後方のフレームカバー513に装着されており、第1図柄表示装置41の後方には、後述する表示制御装置505が設置されている。
上記構成を有する右扉171及び左扉172では、図12に示すように、例えば、左扉172側のソレノイド184が通電されることにより、バネ186の付勢力に抗して、出力軸185が縮み、それに伴い、リンク182,183が揺動する。そして、左扉172が軸部172aを中心に回動することで、表示画面Gに対して直立した状態に移行し、図12に示すような開状態となる。なお、右扉171の動作についても同様である。第1図柄表示装置81は、遊技盤16の表面よりも幾分奥まった位置に設けられており、第1図柄表示装置81の表示画面Gとパチンコ機10の前面のガラスユニット17(板ガラス151)との間には、十分な間隔が確保されている。よって、右扉171及び左扉172が動作する際、何ら支障なく前方側への回動動作を行わせることができるようになっている。
図10(b)に示すように、右扉171及び左扉172の駆動機構の間には、中継基板188が設けられている。この中継基板188を介して、右扉171を駆動する右扉ソレノイド177及び左扉172を駆動する左扉ソレノイド184に対し、それぞれ独立して駆動信号が出力される。その駆動信号に従って、右扉ソレノイド177及び左扉ソレノイド184が通電され、その結果として、右扉171及び左扉172は、それぞれ独立して開閉駆動される。
右扉171及び左扉172が、各々独立して、閉状態から開状態へ移行することにより、第1図柄表示装置81の表示画面Gにおいて、表示形態(画像表示領域の大きさ及び形状)が変更される。図13は、第1図柄表示装置81の表示画面Gにおける表示形態の例を示す図である。
図13(a)は、右扉171及び左扉172がいずれも閉状態にある場合の表示形態を図示したものである。この状態では、第1図柄表示装置81の表示画面Gの右隅部及び左隅部が、それぞれ、右扉171及び左扉172により隠され、表示画面Gにおける上部領域では、右扉171及び左扉172に挟まれた中央部分のみが露出されるようになっている。即ち、第1図柄表示装置81の表示画面Gの全画面領域のうち、約2/9の領域が右扉171及び左扉172により隠される。
図13(b)は、右扉171が開き、左扉172が閉じた状態での表示形態を図示したものである。この状態では、第1図柄表示装置81の表示画面Gの左上隅部が左扉172により隠され、表示画面Gにおける上部領域では、右側の約2/3の部分が露出されるようになっている。また、図13(c)は、右扉171が閉じ、左扉172が開いた状態での表示形態を図示したものである。この状態では、第1図柄表示装置81の表示画面Gの右上隅部が右扉171により隠され、表示画面Gにおける上部領域では、左側の約2/3の部分が露出されるようになっている。即ち、図13(b)及び図13(c)の状態では、第1図柄表示装置81の表示画面Gの全画面領域のうち、約1/9の領域が右扉171又は左扉172のいずれかにより隠される。
更に、図13(d)は、右扉171及び左扉172が共に開いた状態での表示形態を図示したものである。この状態では、第1図柄表示装置81の表示画面Gは、右扉171又は左扉172によって隠されることがないので、画像表示領域は最大となり、全画面領域を使った表示が可能となる。
以上説明したように、第1図柄表示装置81の表示画面Gは、右扉171及び左扉172の開閉の状態に応じて、その表示形態が変更されるが、いずれの表示形態においても、表示画面Gの縦方向及び横方向の最長部分の表示領域が残るようになっている。具体的には、例えば、図13(a)に示すように、右扉171及び左扉172の両方が閉じた状態にある場合であっても、これらの右扉171及び左扉172に挟まれた中央部分が隠されることなく表示領域として残るようになっている。そのため、右扉171及び左扉172が表示画面Gと重なるように設けられていても、表示画面Gが縮小化されたという印象は比較的少ない。従って、第1図柄表示装置81の表示画面Gを有効に用いつつ、効果的な表示演出をすることが可能となる。
再度、図3に戻って説明する。可変入賞装置65は、その中央部に横長矩形状に形成された特定入賞口65aを開閉するものである。具体的には、特定入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド581(図47参照)とを備えている。特定入賞口65aは、通常時は、遊技球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイド581に対して駆動信号が出力される。大開放口ソレノイド581は、その駆動信号に従って励磁電流が通電されることによって駆動し、開閉板を前面下側に傾倒し、遊技球が特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
遊技盤16に設けられる2本のレール61,62は、球発射ユニット90から発射された遊技球を遊技盤16上部へ案内するために設けられたものである。操作ハンドル310の回動操作に伴い発射された遊技球は2本のレール61,62に挟まれた通路を経由して遊技領域に案内される。両レール61,62は、ステンレス製の金属帯によって構成され、内レール61は右上側の半円分を除いた円環状に曲げられた状態でベース板60に固定されている。外レール62は、その一部(主に左側部)が内レール61に向かい合うようにしてベース板60に固定されている。これら内レール61と外レール62とにより主として誘導レールが構成され、これら各レール61,62が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により、遊技球を遊技領域へ案内する球案内通路が形成される。
内レール61の先端部分(図3の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられている。これにより、一旦、内レール61及び外レール62間の球案内通路から遊技盤16の上部へ案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。また、内レール61の右下側の先端部と外レール62の右上側の先端部との間には、レール間を繋ぐ円弧を内面側に設けて形成された樹脂製の円弧部材70がベース板60に打ち込んで固定されている。外レール62の先端部(図3の右上部)には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられている。所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
遊技盤16の右下隅部及び左下隅部には、証紙等のシールやプレートを貼着するための貼着スペースK1,K2が設けられる。遊技盤16自体に証紙等の貼着スペースK1,K2を設けているので、証紙等により遊技盤16を一義的に特定することができ、不正な遊技盤16への交換を容易に発見することができる。
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、遊技盤16の前面であって2本のレール61,62と円弧部材70とにより区画して形成される略円形状の領域である。本実施形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て、内レール61、外レール62及び円弧部材70によって囲まれる領域のうち、内レール61及び外レール62の並行部分である誘導レールを除いた領域としている。従って、遊技領域といった場合には誘導レール部分は含まず、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール62ではなく内レール61によって特定される。同様に、遊技領域の向かって右側限界位置は円弧部材62によって特定される。また、遊技領域の下側限界位置は内レール61によって特定される。また、遊技領域の上側限界位置は外レール62によって特定される。
パチンコ機10においては、遊技領域の上端(外レール62の最上部地点)から遊技領域の下端(内レール61の最下部地点)までの距離は445mm(従来品よりも58mm程度長い)、遊技領域の左端(内レール61の極左位置)から遊技領域の右端(円弧部材70内側面の極右位置)までの距離は418mm(従来品よりも50程度mm長い)となっている。つまり、パチンコ機10の遊技領域は、従来よりも左右方向および上下方向に拡張されてはるかに大きく構成されている。よって、風車、第2入球口67、複数の釘(遊技球を中央に誘導するための誘導釘等)、他の役物を種々配設することができ、遊技球の挙動を多様にして弾球遊技を一層面白くすることができる。
ここで、遊技領域の幅は、少なくとも380mm以上あることが望ましい。より好ましくは390mm以上、400mm以上、410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、更に460mm以上であることが望ましい。もちろん、470mm以上であってもよい。即ち、遊技領域の幅は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。また、遊技領域の高さは、少なくとも400mm以上あることが望ましい。より好ましくは410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、更には460mm以上であることがより望ましい。もちろん、470mm以上、480mm以上、490mm以上としてもよい。即ち、遊技領域の高さは、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。なお、上記幅及び高さの組合せについては、上記数値を任意に組み合わせたものとしてもよい。
また、本実施形態では、遊技盤16面に対する遊技領域の面積の比率は約70%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。遊技盤16面に対する遊技領域の面積比は、従来では50%程度に過ぎなかったことから、遊技盤16を共通とした前提においてはかなり遊技領域を拡大しているといえる。なお、パチンコ機10の外形は遊技場への設置の都合上製造者間でほぼ統一されており、遊技盤16の大きさも同様とせざるを得ない状況下において、上記のように遊技盤16面に対する遊技領域の面積の比率を約20%も高めたことは、遊技領域拡大の観点で非常に有意義である。ここで、前記比率は、少なくとも60%以上であることが望ましい。更に好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。また、本実施形態の場合を越えて75%以上であれば、一層望ましい。更には、80%以上であってもよい。
また、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積の比率は約40%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積比は、35パーセント以上であるのが望ましい。もちろん、40パーセント以上としてもよいし、45パーセント以上、又は50パーセント以上としてもよい。
なお、可変表示装置ユニット80の両側に位置する第2入球口67(スルーゲート)は、通過した遊技球を遊技領域の中央へ寄せる案内機構を有している。この案内機構は、遊技領域の中央側に向かって下降する傾斜面を第2入球口67の下側に設けて構成される。これにより、遊技領域の中央部に大型のLCDを可変表示装置ユニット80に設ける等して遊技領域が左右方向に拡張されても、遊技球を遊技領域中央側の第1入球口64や可変入賞装置65の方へと案内することができ、ひいては、遊技領域の拡張により遊技球が入賞し難くなったり、遊技球の経路が狭められて遊技球の挙動が単調となったりすることによる興趣の低下を抑制することができる。
次に、図5、図14から図18を主に参照して内枠ベース30の前面側下部に装着されて内枠13の一部を構成する球発射ユニット90、通路形成部材36、中継基板38について説明する。ここで、図14は球発射ユニット90の正面図であり、図15はその斜視図、図16はその分解斜視図である。又、図17は球送り機構94を構成する開閉部材102を開放した状態における球発射ユニット90の斜視図であり、図18は、図17の状態に対して蓋部材103を取り外し、球送り機構94の内部構成を示した球発射ユニット90の斜視図である。
球発射ユニット90は、内枠ベース30下部の取付面30fにネジにより固定されるベース板91と、ベース板91に取り付けられる発射ソレノイド92と、発射ソレノイド92の一端側において発射ソレノイド92の長手方向に平行に延びるようにしてベース板91に取付固定される断面略M字状の発射レール93と、発射レール93の基端部(発射ソレノイド92側の端部)に1球ずつ遊技球を誘導案内する球送り機構94と、発射レール93の基端部上に載置される遊技球を支持して位置決めするようにベース板91に取り付けられた位置決め部材95(図17参照)とを備えている。
ベース板91は、亜鉛合金などの金属製平板をプレス加工して形成されたものであり、内枠ベース30の取付面30fに密着された状態でネジ96により固定される。図16に示すように、ベース板91には、ネジ96を挿通するための締結孔が穿設され、また、発射ソレノイド92を固定するためのボス91aおよびボルト91bと、発射レール93を固定するためのボス91cとが固定されている。
ベース板91の取付位置は、多数のパチンコ機10を製造しても内枠ベース30に対して安定するように高精度が望まれる。遊技盤16との相対位置がパチンコ機10毎に変化すると、それに伴って発射ソレノイド92により発射された遊技球の飛び量が異なるものとなり、操作ハンドルの回動操作に対応する遊技球の飛び量がパチンコ機10毎に不安定となるからである。本実施形態のパチンコ機10においては、ベース板91を従来より大型にして内枠ベース30との相対的な取付位置を安定させている。具体的には、ベース板91の下端は操作ハンドル310の回動軸心(図5のAHで示す位置)より下側まで延ばし、その右端は遊技盤16の右端と略同一となるようにし、その左端は遊技領域の中央を越えるようにアウト口66より左側まで延ばし、その上端は遊技盤16の下端に近接する位置まで延ばしている。また、ベース板91を固定するためのネジ96の数を従来より多く(6個)している。更に、各ネジ96の締結位置(図5参照)を従来より離間させるようにし、例えば、下側のネジ96の締結位置は操作ハンドル310の回動軸心AHより下側にして取付位置の安定化を図っている。
発射レール93は、発射ソレノイド92により発射された直後の遊技球を案内するものであり、所定の発射角度(打ち出し角度)にしつつ直線的に延びるようにしてベース板91に固定されたボス91cにネジ(図示せず)で固定されている。操作ハンドル310の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール93に沿って斜め上方に打ち出され、その後、前述した通り2本のレール61,62の間に形成される誘導レールを通じて遊技領域に案内される。
ここで、本パチンコ機10の場合、遊技領域が従来よりも大幅に拡張されることは既に述べたが、かかる構成においては遊技球の発射位置と遊技領域との距離が近づいて発射レールが短くなりがちである。発射レール93が短いと球誘導距離が少なくなって打出球のばらつきが大きくなるので、打出球を安定化させるための工夫を要する。本実施形態では、遊技球の発射位置を低くすると共に発射レール93の傾斜角度(発射角度)を既存のものよりも幾分大きくして(即ち発射レール93を立ち上げるようにし)、発射レール93の長さを約240mmにして十分な長さの球誘導距離を確保している。これにより、発射装置から発射された遊技球をより安定した状態で誘導レールに案内できるようにしている。この場合、特に、発射レール93は、発射ソレノイド92により打撃される遊技球の発射位置から遊技領域の中央位置(アウト口66)を越える位置まで延びるよう形成している。
また、パチンコ機10においては、遊技球を発射する発射装置として、従来一般的に使用されているモータ及び発射槌の組合せではなく、リニアソレノイドをケース部材に収容した1ユニットのソレノイド(発射ソレノイド)92を採用している。発射ソレノイド92には、発射レール93と長手方向を平行にして配設される金属製のプランジャ92aと、プランジャ92aの先端を覆う樹脂製のキャップ92bとが設けられる。キャップ92bの材質としては本実施形態においてはポリエステル系熱可塑性エラストマーが採用されている。遊技者が操作ハンドル310を回動操作した状態中には、発射ソレノイド92は、所定時間毎に励磁と非励磁とを繰り返して行い、これに対応してプランジャ92aの出没が繰り返される。プランジャ92aが突出したときには、位置決め部材95によって発射レール93上に位置決めされた遊技球は、発射レール93の指向する斜め上方に向けて発射される。なお、操作ハンドル310に連動する可変抵抗器が発射ソレノイド92に結線されており、操作ハンドル310の操作量に基づいてプランジャ92aの突出速度が調整され(ストローク量はほぼ一定)、遊技球の発射速度ひいては飛び量が操作ハンドル310の回動量により調整される。
発射ソレノイド92は、図16に示すように、ベース板91に立設される一対のボス91aおよびボルト91bに対して、ボルト97とナット98とを取り付けて固定される。発射ソレノイド92には、ボス91aとボルト91bに対応する位置に、ボルト91b,97が挿通される締結孔92cが設けられている。球発射ユニット90においては、発射ソレノイド92の上下に設けられるボルト97及びナット98の締め具合を調整することによりベース板91に対する発射ソレノイド92の高さを異ならせてプランジャ92aと発射レール93との相対的な取付位置を調整し、遊技球の打点を調整することができるようになっている。パチンコ機10の製造時において各部品の製造上や組み付け上のばらつきがあってもパチンコ機10に球発射ユニット90を組み付けた後にボルト97とナット98とを調整して遊技球の飛び量を微調整することができる。また、発射ソレノイド92は、その全体がベース板9lの外周縁より内側に配設されており、ベース板91側から内枠ベース30に球発射ユニット90を組み付ける際に発射ソレノイド92が他の部品に引っ掛かって破損することが防止されている。
位置決め部材95は、発射レール93の右側端部(基端部)上に載置される遊技球を支持して打撃位置に遊技球を位置決めするための部材であり、図17に示すように、ベース板91より発射レール93が設けられる面側に円柱状に突出形成される。位置決め部材95には、その軸方向に沿って貫通する締結孔が設けられ、この締結孔にネジを貫挿することによってベース板91に位置決め部材95は螺着されている。ここで、位置決め部材95の締結孔は、円柱形状の中心ではなく、偏心した位置に形成されている。このため、位置決め部材95を適宜回動させてからネジを締め込むことにより発射レール93上に載置される遊技球の打撃位置を微妙に変更することができ、パチンコ機10の製造時および製造後において簡単に遊技球の飛び量を調整することができる。
球送り機構94は、上皿201から連続して案内されてくる遊技球を1球ずつ、発射レール93の基端部に送るものである。この球送り機構94は、発射ソレノイド92の上部を被覆するようにしてベース板91に固定される樹脂製の台座部材101と、台座部材101の片側(図14の右側)に軸支されて開閉可能に構成された樹脂製の開閉部材102とを備えている。台座部材101には、開閉部材102が設けられる前方側へ向けて係止爪101aが一体的に突出形成され、開閉部材102には、台座部材101の前面に重なる閉鎖状態にて係止爪101aが引っ掛かる係止孔102aが形成されている。開閉部材102は、通常時には、一方側が台座部材101に軸支されると共に他方側が係止孔102aにより台座部材101に係止されて台座部材101の前面に重なって固定された閉鎖状態となる。この閉鎖状態は、台座部材101の係止爪101aを開閉部材102の係止孔102aから外すことにより解除され、開閉部材102は台座部材101に対して前方側へ開放し得る。また、開閉部材102は、台座部材101に対して最大に開放することにより、上側へスライドして台座部材101から取り外し可能となっている。
台座部材101の下部は、下皿ユニット15と内枠ベース30の取付面30fとの上部隙間を覆いつつ下皿ユニット15の前面側に向けて下降傾斜した形状に形成されている。また、この台座部材101の正面視左側には、通路形成部材36が台座部材101より左側における下皿ユニット15と内枠ベース30の取付面30fとの上部隙間を覆いつつ下皿ユニット15の前面側に向けて下降傾斜した形状に形成されている。このため、前面枠14を開放した場合に球発射ユニット90の部位に遊技球が落下しても下皿ユニット15の背面側には遊技球が入り込まずに前面側に流出するようになっている。
開閉部材102の前面には、図14に示すように、正面視左側端部に上皿201から案内されてくる遊技球を導入する導入口102bが設けられており、この導入口102bから遊技球が開閉部材102の裏面側へ導入される。開閉部材102の裏面側には、図17に示すように蓋部材103が着脱可能に取り付けられ、その蓋部材103に電磁石104と送出部材105とが覆われている。電磁石104と送出部材105とは、遊技球を1球ずつ送り出すために動作する部材であり、図18に示すように、開閉部材102に凹設された収容空間に電磁石104を上側にして上下に並んで配置されている。
送出部材105は、ピンにより開閉部材102に対して導入口102b側の一辺側が上下に揺動可能に軸支された樹脂製の部材であり、その導入口側の一辺に遊技球が1個だけ収容可能に凹設されたホルダ部105aを備えている。また、ピンが挿通される軸部とホルダ部105aとを結ぶ上辺部分には、電磁石104に対向するようにして金属片106が取り付けられている。
電磁石104がオン(励磁)された場合には、金属片106が電磁石104にくっつくように引っ張られ、送出部材105が上方へ回動する。導入口102bから連続して遊技球が導入される場合、先頭の遊技球はホルダ部105aに収容されて上下移動が規制され、後続の遊技球はホルダ部105aに収容された遊技球に支えられて流下が規制される。
遊技球がホルダ部105aに収容された状態で電磁石104がオフ(非励磁)となると、送出部材105は自重により下方へ回動し、ホルダ部105aに収容されていた遊技球は下側へ流下する。このとき、後続の遊技球は、送出部材105の上辺によってホルダ部105aへの移行が規制されるため、送出部材105の上下動によりホルダ部105aに収容された1球だけが下方へ送り出される。下方へ送り出された遊技球は、開閉部材102と蓋部材103とにより形成される送出口102c(図17参照)を経由して発射レール93上へと案内される。このため、電磁石104の励磁と非励磁とを繰り返すと、その繰り返しに同期して遊技球は1球ずつ発射レール93上へ案内され、電磁石104のオンオフに同期して発射ソレノイド92を励磁することにより、発射レール93上の遊技球を1球ずつ遊技領域へ向けて発射することができる。
次に、図5を主に参照して内枠13の前面側に設けられる通路形成部材36について説明する。通路形成部材36は、上皿201が満タンのときに遊技球を下皿301へ排出するための下皿排出通路(図示せず)と、ファール球を下皿301へ排出するためのファール球通路(図示せず)とを形成するための部材である。ここで、ファール球とは、発射時の打ち出し力(発射力)が弱くて戻り球防止部材68が位置する遊技領域の入口に到達せずに発射レール93側へ戻った遊技球を意味している。
発射レール93と遊技盤16前面のレール(誘導レール)61,62との間には、約40mmの隙間が形成され、この隙間の下側にファール球通路が設けられている。内枠13の前面であって球発射ユニット90の左隣には、透明樹脂製の通路形成部材36がネジにより内枠ベース30の取付面30fに固定される。通路形成部材36には、内枠13の取付面30f側に向いて開口した溝が設けられ、この溝と内枠ベース30の取付面30fとによりファール球通路が形成される。ファール球通路は、途中から上皿201から溢れた遊技球を下皿301へ導く下皿排出通路に合流する。この下皿排出通路の最下流部には、取付面30fより内枠ベース30の前方側に向けて筒状に突出する下皿排出口36aが設けられており、ファール球は、下皿排出通路を経由して下皿排出口36aより下皿301へ排出される。
排出通路の途中には、下皿301が遊技球で満タンとなっていることを検出するための満タンセンサ(図示せず)が通路底面の一部を形成するように設けられる。遊技球が短期間で多量に払い出されると、上皿201が一杯となった後には下皿301に遊技球が溜まり始める。その後、遊技球が払い出され続けても下皿301の遊技球を抜かないと排出通路の途中に遊技球が溜まり始めるが、満タンセンサの設置箇所まで遊技球が溜まるとそれ以降の払い出しは後述する払出発射制御装置611(図31参照)の制御により停止される。排出通路が満タンになっても遊技球が払い出され続けると、下皿301が溢れて遊技の続行が困難となったり、遊技球を払い出すためのギヤに遊技球が詰まって故障の原因となる等、問題が起こりやすいからである。また、排出通路の満タンが満タンセンサにより検出されると、払出発射制御装置611の制御によって「球を抜いて下さい」のエラーメッセージがスピーカSP(図2参照)より繰り返して出力される。遊技者には、下皿301内に遊技球が溜まったことを示すことができ、下皿301の遊技球を取り出す操作を促すことができる。
通路形成部材36の左上部には、上皿201に遊技球を排出するための上皿排出口36bが設けられ、内枠ベース30には、その上皿排出口36bへ遊技球を払い出すための払出口が設けられている。内枠ベース30の払出口は、内枠ベース30の裏面と前面とを結ぶものであり、内枠13の裏面側に設けられる払出装置658(図28参照)に繋げられている。払出口および上皿排出口36bは前面枠14を閉鎖した状態において上皿201に通じており、払出口および上皿排出口36bを介して上皿201に遊技球が排出される(払い出される)。上皿排出口36bには、開閉式のシャッタ37が取り付けられており、前面枠14を開放した状態(図2の状態)ではバネ等の付勢力によりシャッタ37は上皿排出口36bを閉鎖する。また、前面枠14を閉鎖した状態では、当該前面枠14の裏面に設けられた球通路樋241(図2参照)によりシャッタ37は内枠ベース30側へ傾倒して押し開けられる。従って、前飾り枠が省略され前面枠14に上皿201が直接設けられる構成とした本パチンコ機10において、前面枠14の開放に際し内枠ベース30の払出口を通過中の遊技球が内枠13の前面にこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できるようになっている。
通路形成部材36における下皿排出口36aの下側は、内枠13の下面に当接する長さのリブ36cが設けられており、平板状に形成された内枠ベース30の取付面30fが補強されている。また、リブ36cと取付面30fとの間には配線を通す隙間が設けられ、電気配線のホルダとしてリブ36cが活用されている。
内枠ベース30の前面左下隅には、中継基板38が収容されている。中継基板38には、下皿ユニット15に設けられる電気部品(操作ハンドル310内部のタッチセンサ及び可変抵抗器、並びに、スピーカSP)の配線と、内枠13側に設けられる制御装置(払出発射制御装置611および音声ランプ制御装置562)とを接続する部位であり、下皿ユニット13側の配線コード先端に設けられるコネクタに連結する差込口(図示せず)が設けられる。下皿ユニット15と内枠13との電気的な接続が中継基板38にまとめられているため、下皿ユニット15の組み付け及び取り外し時における配線の取り回し作業が簡易になり、パチンコ機10の組み立て及び分解が容易になっている。また、中継基板38には、スピーカSPの音量を大小2段階に調節するスイッチが設けられ、内枠13を開放しなくても簡単に音量調節を実行することができる。なお、中継基板38から内枠13の裏面側に設けられる制御装置への配線は、内枠ベース30の取付面30fの下端に沿って、また通路形成部材36のリブ36cの奥側に配置され、内枠ベース30の前面右下隅に開口形成された配線穴30hより内枠13の裏面に取り回されている。
次に、図1、図2、図19および図20を参照して前面枠14の構成について説明する。図19(a)は前面枠14の背面図であり、図19(b)は図19(a)のR−R線における断面図である。また、図20は球発射ユニット90へ遊技球を送出する上皿201の出口部を断面視して示した図であり、図20(a)は前面枠14が開放された状態を示し、図20(b)は前面枠が閉鎖された状態を示している。
前面枠14は、矩形状に形成されたABS樹脂製の前面枠ベース200を主体に構成されており、前面枠ベース30の中央部には遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。また、窓部14cの下側には、図1に示すように、球受皿としての上皿201が一体的に設けられている。上皿201は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら球発射ユニット90へ導出するものである。従来のパチンコ機では前面枠の下方において内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたが、本実施形態では前飾り枠が省略され、前面枠14に直接上皿201が設けられている。これは、本実施形態の前面枠14は、従来のパチンコ機より大きく形成した遊技領域を外部から視認できるように略楕円形状に大きく欠成された窓部14cを備えているので、前面枠14の強度を少しでも向上させるべく、該前面枠14に上皿201を一体化して形成しているのである。この上皿201は下皿301と同様に、少なくとも表面層が難燃性のABS樹脂にて形成されている。
前面枠14の窓部14cは、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲して縦長の楕円形状となっている。窓部14cを形成する前面枠ベース30は、上下方向の方が左右方向より長く形成されているので、窓部14cを大きく開口しつつ前面枠ベース200の上下および左右にて壊れやすい細幅となる部分を比較的広く設けることができ、強度を確保し易くしている。なお、窓部14cの左右側の略中央部を湾曲させないで直線状に形成してもよい。
本実施形態において、窓部14cの開口上端は、外レール62の最上部(遊技領域の上端)に一致し、その開口上端と前面枠14の上端との間の最短距離(いわゆる上部フレーム部分の上下幅)は約50mmとなっている。85mm〜95mm程度上部フレーム幅がある従来技術に比べて著しく短くなっており、遊技領域の上部領域を確保し易くすると共に、大型の可変表示装置ユニット80を比較的上方に配置することができる。なお、前面枠14の上端との間の距離は80mm以下であることが望ましく、より望ましくは70mm以下であり、更に望ましくは60mm以下である。もちろん、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下であっても差し支えない。
また、パチンコ機10の正面から見て窓部14cの左端と前面枠14の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅:図19(a)では右側に示される)、即ち開閉軸線側のフレーム幅は、前面枠14自体の強度及び支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。前面枠14が閉じられた状態において、外レール62の左端部が前面枠ベース200左側のフレーム部分によって覆い隠されるように、開閉軸線側のフレーム幅が広く設定されている。このため、外レール62は、パチンコ機10の正面からみて前面枠14の左側部フレーム部分と重複して覆い隠され、遊技領域の入口手前における遊技球が視認困難となる。ここで、遊技者は、遊技領域内において種々の挙動を示す遊技球を視認して弾球遊技を楽しむものであるため、遊技領域に入る前の遊技球が視認困難であっても実際の遊技に何ら支障は生じない。よって、遊技に支障を来すことなく、前面枠14の十分な強度及び支持強度を確保することができる。ちなみに、パチンコ機10の正面から見て外レール62の左端位置と外枠12の左端位置との左右方向の距離は約30mm、遊技領域の右端位置(円弧部材70の内面右端位置)と外枠12の右端位置との左右方向の距離は約45mmとなっている。
加えて、前面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。図1に示すように、窓部14cの上側およびその左右両側には、窓部14cの周縁に沿って、LED等の発光手段を内蔵した電飾部202〜204が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部202〜204が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部202〜204が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。
また、前面枠14の正面視右上部には、図1に示すように、賞球の払い出し中に点灯する賞球ランプ205が設けられ、一方、前面枠14の正面視左上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ206が設けられている。また、右側の電飾部204の下側には、前面枠14の裏面側を視認できるように前面枠ベース200の裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓207が形成され、遊技盤16前面の貼着スペースK1(図3参照)に貼付される証紙等はパチンコ機10の前面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部202〜204の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材208が取り付けられている。このクロムメッキには、従来多用されていた6価クロムではなく、生産環境面等を考慮して3価クロムが使用されている。
窓部14cの下方には、図1に示すように、貸球操作部210が配設されている。貸球操作部210には、度数表示部211と、球貸しボタン212と、返却ボタン213とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部210が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部211はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン212は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿201に供給される。返却ボタン213は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部210が不要となるが、この場合には、貸球操作部210の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
前面枠14の裏側における右上隅には、図19(a)に示すように、発光手段としてのLED用の発光基板214が前面枠ベース200の裏面にネジにより取り付けられている。また、前面枠14の裏側には、窓部14cを囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、前面枠14の裏側にあって窓部14cの上下左右の外側には金属製の補強板221〜224がそれぞれ取り付けられている。これら補強板221〜224は相互に接触して連結されて、窓部14cの形成によって低下した前面枠14の剛性および強度を高めている。また、右側の補強板221は、前記した発光基板214の裏面側に重なって配設されているが、両者の直接の接触を避けるように、或いは、発光基板214への通電を防止するために、透明な合成樹脂製のカバー板215が補強板221と発光基板214との間に介在して設けられている。補強板221〜224の帯電に基づいてその周りにノイズや磁界が発生しても、カバー板215の介在によって発光基板214への影響が低減され、誤作動や故障等の抑制が図られている。なお、補強板221〜224の一部は接地されており(図示せず)、補強板221〜224が帯電し難いようになっている。
前面枠14の裏面右側の補強板221には、その中間位置にてフック(鉤)状をなす係合爪221a(図2参照)が設けられている。係合爪221aは、前面枠14を閉じた状態で内枠13(内枠ベース30)に穿設された溝30jに進入するように構成されている。内枠ベース30には、図5に示すように、その溝30jの一部を覆うようにして金属製の止め板39がネジ止めされており、内枠13に対して前面枠14が閉鎖された状態において係合爪221aの先端部が図5に示す止め板39の裏面側に入り込む。これにより、パチンコ機10正面視左側の中間位置における前面枠14の浮き上がりを防止することができ、上皿201が前面枠14に設けられて前面枠14が上下に大きく構成され、上下の支持位置(支持金具33,34の位置)が大きく離間しても、前面枠14を浮かしての不正行為を抑制することができる。
前面枠14の裏面左側の補強板222には、前面枠14の背面側に突出して鉤状に形成された上下一対の前面枠鉤部14aが一体的に形成されている。この前面枠鉤部14aが内枠13の裏面側に設けられる施錠ユニット410の前面枠用鉤部材411に係合して、前面枠14は施錠される。施錠状態の前面枠14は、シリンダ錠420に対して専用鍵による所定の解錠操作が行われることにより解錠され、開放可能な状態となる。
前面枠14の裏面上側の補強板223の左右方向における中央部分には、ネジ225を挿通するネジ孔が設けられており、このネジ225の先端部は、図19(b)に示すように、前面枠14の前面側に設けられるメッキ部材208に螺着されており、メッキ部材208はネジ225と補強板223とを通じて接地された状態となる。よって、装飾用のメッキを前面枠14の前面側に施しても帯電およびこれに起因するノイズ等による不具合を抑制することができる。
前面枠14の裏面下側の補強板224には、図2に示すように、前記発射レール93に対向する位置に樹脂製のレール側壁部材226が設けられている。このレール側壁部材226は、前面枠14を閉じた際に発射レール93の側壁となって、発射レール93から遊技球がこぼれ落ちないように機能している。また、レール側壁部材226の右側には、上皿201に繋がる穴に連続するようにして前面枠14の裏面側に突出する球通路樋241が前面枠ベース200にネジで固定されている。この球通路樋241は、前面枠14の閉鎖時に内枠13側のシャッタ37(図2参照)を押し開けて上皿201への遊技球の流路を形成する。
前面枠14の裏面側においてレール側壁部材226の左隣には、図19(a)に示すように、下側の補強板224の一部を正方形状に開口して形成された球出口224aが設けられると共に、その球出口224aを前面枠14の開放時に閉鎖するための開閉ユニット230が球出口224aの上側に取り付けられている。球出口224aは、上皿201の最下流部に設けられ、前面枠14の閉鎖時に上皿201と球発射ユニット90の導入口102b(図15参照)とを連通する。上皿201に載置された遊技球は球出口224aを経由して球発射ユニット90の導入口102bへ導かれる。
ここで、図19(a)および図20を参照して開閉ユニット230の構造について説明する。開閉ユニット230は、下側の補強板224にネジ止めされたケース部材としてのハウジング231と、上端がハウジング231内に収容され、それ以外の部分が下側の補強板224に沿うように下方に延びる薄板状の遮蔽板232と、遮蔽板232の上端部が巻回固定されると共にハウジング231の内面にて上下方向に回動可能に軸支された硬質樹脂製の回動レバー233とを備えている。この開閉ユニット230は、ハウジング231に、遮蔽板232、及び、回動レバー233を組み付けて一体化したものであり、前面枠14側への組み付け作業の容易化および簡素化が図られている。
回動レバー233は、下側の補強板224と略平行かつ略水平にハウジング231内面に設けられる回動軸231aを軸心としてハウジング231に回動可能に軸支される。回動レバー233には、回動軸231aより補強板224側(図20(a)の左側)に向けて延設される板支持部233aと、回動軸231aより下側に向かって延設され、前面枠14の閉鎖時に内枠13の一部に当接するようにハウジング231外に突出する接触部233bとが設けられる。内枠ベース30には、取付面30fより前面に突出形成された突起30k(図5参照)が設けられ、接触部233bは、突起30kに当接するように設けられる。この接触部233bは、回動軸231aに対して前面枠14の開閉方向(図20(a)の左右方向)とほぼ直行する方向に延設されているため、前面枠14の閉鎖時に接触部233bが内枠13に押圧された場合に回動レバー233が回動し易く、長期の使用にわたっての動作を確実なものとしている。
遮蔽板232は、弾性を有する薄板状の金属片(例えば、ステンレス薄板など)で形成され、一端が回動レバー233の板支持部233a(前面枠14側の端部)に固定される一方、他端である下端部232aは自由端となっている。遮蔽板232の下端部232aは、図19(a)に示すように、球出口224aより幅広く形成されている。このため、遮蔽板232の途中部分における弾性変形を容易にして動作抵抗を低くしつつも、遮蔽板232の下端部232aによって球出口224aを確実に覆って球出口224aからの遊技球の流出を遮蔽板232により確実に阻止することができる。なお、下端部232aの幅は、球出口224aより細くても良いが、ほぼ同一以上の幅とすることが遊技球の誤流出を防止する上で好ましく、球出口224aより遮蔽板232の下端部232aの幅を広くすることが好適である。
また、遮蔽板232の下端部232aが球出口224aより狭いと、球出口224a内に遮蔽板232が入り込んで球出口224a内の遊技球に遮蔽板232の下端が衝突し、遮蔽板232の変形や破損が生じ易い。パチンコ機10においては、遮蔽板232の下端部232aが球出口224aより広幅とされているので、球出口224a内に遮蔽板232が入り込むことがなく、遊技球への当接による遮蔽板232の変形や破損が防止されている。
ここで、球出口224aの下側には、図20(a)に示すように、上皿201から下皿301へ通じる通路と、その通路を閉鎖する閉鎖板234とが設けられ、その閉鎖板234がパチンコ機10の前面側(図20(a)の左側)へ移動可能となっている。閉鎖板234が前面側へ移動すると上皿201と下皿301とが連通し、遊技球が下皿301へ流下する。この場合に球出口224aより遮蔽板232の下端部232aが幅狭であると、その下端部232aが球出口224a内に入り込んで球詰まりが生じうる。遮蔽板232の下端部232aを球出口224aより幅広に形成することで上皿201と下皿301との連通を確実にすることができ、球詰まりの発生を抑制することできる。
開閉ユニット230の遮蔽板232は、平面状の薄板を下方に弾性変形させて曲折させた状態にして、補強板224と回動レバー233の板支持部233aとに支持されている。このため、遮蔽板232は、弾性力により元の平らな状態に復帰しようとして補強板224を押圧した状態となっている。前面枠14fの開状態(図20(a)の状態)にあっては、球出口224aが遮蔽板232に押圧されつつ塞がれた状態となり、遊技球の流出が阻止される。
前面枠14fが開状態になると、図20(a)に示すように、回動レバー233の接触部233b先端側(下端側)が前面枠14の裏側(図20(a)の右側)に向かって突出した状態となる。この状態においては、回動レバー233は、遮蔽板232が平らに復帰しようとする弾性力により、回動軸231aを中心にして接触部233bが前面枠14の裏側に突出する方向(図20(a)の左回り方向)に付勢され、ハウジング231の一部(ストッパ部231b)に当接した位置(第1の回動位置)にて静止する。
回動レバー233が第1の回動位置に配置された状態においては、遮蔽板232は、その下端部232aが球出口224aの上部を塞ぐ位置にまで垂下した状態となる。この状態においては上皿201内の遊技球は遮蔽板232によって流れが規制され、球出口224aから前面枠14の裏側へ遊技球が流出しない。よって、上皿201内に遊技球が貯留された状態で前面枠14を開放しても遮蔽板232により上皿201内の遊技球の流出を防止することができる。
また、ハウジング231には、回動レバー233に支持される遮蔽板232の一端部と下端部232aとの間部分に当接して、遮蔽板232を補強板224方向に押圧する押圧部231cが設けられている。このため、遮蔽板232がより強く補強板224側に押圧されることとなり、球出口224aに勢いよく遊技球が導かれたり上皿201内の遊技球が多量にあって遮蔽板232を開放しようとする力が大きくなった場合にも遊技球をより確実に受け止めて、球出口224aからの遊技球の流出防止を確実なものとしている。
図20(a)に示す状態から前面枠14が閉鎖されると、図20(b)に示すように、回動レバー233の接触部233bは、内枠13の突起30kに当接しつつ押圧されて前面枠14側に回動させられる。その後、回動レバー233は、前面枠14が閉鎖されるに従って図20(a)に示す第1の回動位置よりハウジング231内に入り込む方向(図20(b)の右回り方向)に回動し、前面枠14が完全に閉鎖される(即ち、施錠ユニット410の前面枠用鉤部材412に前面枠鉤部14aが係合する)とハウジング231内に最大限に押し込まれた位置(第2の回動位置)にて静止する。回動レバー233の回動に伴って回動レバー233の板支持部233aは球出口224aから離間する側(上側)へ移動する。
回動レバー233が第2の回動位置に配置された状態においては、回動レバー233の板支持部233aの上昇により遮蔽板232は、より大きく歪曲しつつ補強板224の板面に沿って上方へスライド移動する。球出口224aを覆っていた遮蔽板232の下端部232aは、球出口224aを遊技球が通過可能となる位置まで上昇する。上皿201内に遊技球がある場合には遊技球は球出口224aより球発射ユニット90の導入口102bへ向けて順次流出することとなる。このため、上皿201に遊技球を補給し続ける限り、球発射ユニット90により遊技領域へ向けて遊技球を継続して発射することができる。
前面枠14が閉状態から開放されると、回動レバー233(接触部233b)は、内枠13の突起30kによる押圧が解除され、遮蔽板232の復元力により第2の回動位置から第1の回動位置へと変位する。回動レバー233の変位に伴って遮蔽板232が補強板224の板面上を摺動しつつ下降し、遮蔽板232の下端部232aに球出口224aが閉鎖されて球出口224aからの遊技球の流出が防止される。つまり、前面枠14の開放と共に球出口224aが閉鎖されるので、遊技場の店員は、前面枠14を開放して点検等の作業を行う場合に上皿201内の遊技球の流出を心配することなく簡易に前面枠14を開放することができる。
次に、図21から図25を参照して前面枠14の裏面に取り付けられるガラスユニット17について説明する。図21は、ガラスユニット17の正面図である。また、図22は、図21のSa−Sa線における断面図であり、図23は、図21のSb−Sb線における断面図であり、図24は、図21のSc−Sc線における断面図である。図25は、図24の矢印V方向から見たガラスユニット17の部分拡大図である。
本実施形態におけるガラスユニット17は、従来のように、矩形状の板ガラスを前後対にして別々に前面枠に取り付けるものでなく、全体としては丸形をなす2枚の板ガラス151を一体化(アッセンブリ化)した上で前面枠14に取り付けるものである。このガラスユニット17は、前面枠14の窓部14c(図1参照)の形状にほぼ対応して、略円形で同一形状をなす前後一対の板ガラス151と、これら板ガラス151の周縁を囲むように設けられた保持フレーム153とを備えている。
保持フレーム153は、ABS樹脂により形成され、図22に示すように、断面略「ひ」字状にて板ガラス151の外形に沿って環状に形成されている。このため、保持フレーム153の両側(図22の上下両側)には、一対の鉤状断面に形成された板ガラス151の保持部が形成され、各板ガラス151は、保持フレーム153により外周が囲われると共に、一面側の外周縁が保持フレーム153に接触した状態に配設される。保持フレーム153と板ガラス151とは接着材によりそれぞれ接着(ホットメルト接着材等で接着)固定され、2枚の板ガラス151は、それらの間に介在する保持フレーム153によって所定間隔を隔てた状態で一体化される。
保持フレーム153は、図21に示すように、一方側(図21の左下側)において外方に膨出した形状に形成されており、板ガラス151も、その膨出部分を覆うように一部分が膨出した形状となっている。この膨出部分は、遊技盤16面における外レール62と内レール61とにより形成される誘導レールの一部(図3の左下側の部分)を覆うカバーとなり、誘導レール部分における遊技盤16前面側への遊技球の流出を規制する。
また、保持フレーム153は、一方側(図21の左下側)において外方に膨出した部分に、2枚の板ガラス151の間の領域を区画する区画壁153aが設けられている。この区画壁153aにより2枚の板ガラス151の間に収容部154が形成され、その収容部154内に水分の結露や曇りを防止するために吸湿を行う乾燥具155が設けられている。乾燥具155は、2片1組のケース部材を対向させて内部に収容空間を形成するケーシングと、そのケーシング内に多数収容された粒上の乾燥剤により構成される。ケーシング内は隔壁(図示せず)により複数の部屋に区画され、各部屋毎に乾燥剤が収容されている。乾燥剤としてはゼオライドやシリカゲル等が挙げられる。また、ケーシングには、その内外を連通する多数の小孔が形成され、2枚の板ガラス151にて密封またはほぼ密封された空間内の空気が効率的に除湿され、結露等の発生が防止されるようになっている。なお、保持フレーム153の区画壁153aおよび乾燥具155は、前面枠14の窓部14cにより形成される開口よりも外周側に配設され、パチンコ機10の装飾に不要な乾燥具155等が外部から視認されないようになっている。
保持フレーム153には、図23に示すように、2枚の板ガラス151と保持フレーム153とにより囲われる内部空間と外部とを連通する逃がし孔153bが穿設されている。この逃がし孔153bは、板ガラス151の接着固定を容易かつ確実なものとするために設けられる。逃がし孔153bの入口部には、接着剤が注入されて乾燥し、硬化した状態となっている。また、逃がし孔153bの内面形状は、保持フレーム153の外側(図21の下側)から内側へ次第に内径が縮小するテーパ状(円錐形状)に形成されており、外側からの接着剤の注入時に逃がし孔153bが完全に閉塞され易くしている。
ここで、ガラスユニット17の組み立て工程について、特に保持フレーム153に2枚の板ガラス151を接着固定する部分を中心に説明する。1枚の板ガラス151を載置した状態とし、その板ガラス151に保持フレーム153を接着固定する。次いで、収容部154に乾燥具155をセットしてから、2枚目の板ガラス151を保持フレーム153に接着固定する。
この2枚目の板ガラス151は、接着をより確実なものとするために強い力で押圧することとなるが、この押圧に際し、2枚の板ガラス151間の空気が圧縮されるおそれがある。もし空気が強く圧縮されると、空気の膨張によって接着後に板ガラス151が保持フレーム153から剥離してしまうことが懸念される。この点、本実施形態では、逃がし孔153bを介して板ガラス151の間と外部との空気の出入りが可能であるので、2枚目の板ガラス151が接着固定時に押圧されても空気が圧縮されることがなく、空気の膨張によって保持フレーム153から板ガラス151が剥離してしまうといった事態は起こらないようになっている。
2枚の板ガラス151を保持フレーム153に接着した後には、逃がし孔153bに接着剤を注入し、時間をおいて乾燥硬化させる。これにより、板ガラス151間には、密封された空間が形成され、湿気や埃等の侵入を規制し、また乾燥具155による吸湿効果を高めて遊技領域の視認性を良質なものとすることができる。
保持フレーム153には、その周縁における複数カ所にて外方に突出した取付部153cが設けられている。各取付部153cは、同一の形状に形成されており、各取付部153cには、図24に示すように、板ガラス151の面方向に沿って挿通孔153dが設けられている。また、取付部153cの一方の面(図24の上側の面)には、挿通孔153dに対応する位置に小径孔161aを有する薄肉に形成されたワッシャとしての金属板161が小ネジ162により保持フレーム153に固定されている。更に挿通孔153dと金属板161の小径孔161aとに挿通されるようにして、ガラスユニット17を前面枠14に取り付けるための取付ネジ163が設けられている。
取付ネジ163は、図24に示すように、表面が平滑な円筒状に形成された軸部163aと、軸部163aの先端側に一体形成された雄ねじ部163bと、軸部163aの基端側に設けられた操作部163cとにより形成されている。軸部163aは、金属板161の小径孔161aより小径に形成される一方、操作部163cは大きく形成される。また、雄ねじ部163bは、金属板161の小径孔161aに対してほぼ同一の外径であって、小径孔161aより外径は大きく谷の径が小さく形成されている。このため、取付ネジ163は、金属板161の小径孔161aに雄ねじ部163bをねじ込んで取り付けることができ、ほぼ軸部163aの長さ分(ストローク量)だけ移動可能な状態で金属板161を介して保持フレーム153に対して取り外し不能となっている。
取付ネジ163の操作部163cは、図25に示すように、軸部163aより大径の円筒状に形成されると共にその外周面が軸方向に沿った細かい溝163c2によりギザギザに加工されている。また、操作部163cの端面中央部には、十字状の溝163c1が設けられており、プラスドライバ等の工具により取付ネジ163の回動操作が可能となっている。このため、操作部163c外周面を指先で摘んでも、十字状の溝163c1に所定の工具を差し込んでも、取付ネジ163の回動操作が可能となっている。よって、ガラスユニット17の着脱操作は、工具がなくても実行可能であり、工具がある場合にはより簡単かつ確実に実行することができる。なお、取付ネジ163は、金属板161にねじ込まれて保持フレーム153に対して取り外し不能に構成されていたが、金属板161の小径孔161aを雄ねじ部163bの外径より大きくして取付ネジ163が容易に取り外し可能となっていても良い。また、取付ネジ163(操作部163c)と金属板162との間には、スプリングワッシャ等の緩み止め用の座金が設けられていても良い。また、操作部163cの外径形状は、上記した形状に限定されず手で回動し易い形状、例えば、軸の両側に板状に突出する部位を有するいわゆる蝶ネジのように形成しても良い。
前面枠14の裏側には、図19(a)に示すように、ガラスユニット17に設けられる取付部153cに対応する複数カ所に雌ねじが形成された被取付具227が設けられる。この被取付具227は、ボス(円筒)状に形成されると共に内面に取付ネジ163をねじ込み可能な雌ねじが形成された金属製の部材であり、前面枠ベース200の所定位置にネジまたは圧入によりそれぞれ固定されている。各被取付具227に取付部153cがそれぞれ取付ネジ163によって固定されることにより、ガラスユニット17は前面枠14の裏面に取付固定される。
また、前面枠14の裏側には、図2に示すように、保持フレーム153の外周形状の一部に沿うようにして裏面側に突出する3つのリブ200a〜200cが前面枠ベース200に一体形成されている。下側のリブ200b,200cは、前面枠ベース200の窓部14cの下側2カ所において上側のリブ200aより大きく突出して設けられており、ガラスユニット17の取付時にはその下側を支持して取付を補助する。また、上側のリブ200aおよび下側の一方のリブ200cには、各リブの突出方向側の先端部において窓部14cの中心側に突出する係止突起が一体形成されており、ガラスユニット17の取付に際しては、その係止突起が保持フレーム153の外周縁に設けられる凹部に嵌り込んでガラスユニット17を仮止めすることができる。
次に、図19(a)に戻って前面枠14の構成について説明する。前面枠14の裏面右側端部(パチンコ機10の正面視左端部)には、内枠13の支持機構として、上下2カ所に支持金具228,229が取り付けられている。内枠13側の支持金具33,34(図5参照)に前面枠14側の支持金具228,229を組み付けることで、内枠13に対して前面枠14は開放可能に装着される。
より詳しく説明すると、前面枠14の上側の支持金具228は、略棒状をなし、その上部の径が下部の径より太い段付きの円柱状に形成されている。内枠13側の上側の支持金具33には、前述したように内枠13の前面側に開口した切欠を有する支持孔33aが設けられており、その支持孔33aの切欠の幅は、前面枠14上側の支持金具228における上部の径より狭く、下部の径より広くなっている。このため、上側の支持金具228の下部(小径の部分)を支持孔33a内に嵌めてから、支持金具228を下方にスライドすると、支持金具228の大径の部分が支持孔33a内に嵌って支持孔33aから支持金具228が外れなくなる。
前面枠14の下側の支持金具229は、前面枠14の裏面側にネジで固定されており、その裏面側から下端面にわたって折り曲げて形成されている。この支持金具229には、前面枠14の下端面に上方に向けて開口した支持穴229aが設けられており、この支持穴229aには、内枠13側の支持金具34により形成される突起軸34aが嵌り込み、前面枠14が内枠13に対して回動可能に支持される。
内枠13への前面枠14の装着手順としては、まず、前面枠14上側の支持金具228の下部(小径の部分)を、切欠を介して支持孔33aに挿入する。次に、前面枠14下側の支持穴229aを、内枠13下側の支持金具34の突起軸34aに位置させてから前面枠14を下方にスライドする。前面枠14上側の支持金具228は大径の部分が支持孔33a内に嵌って外れなくなり、前面枠14下側の支持金具229も突起軸34aに回動可能に支持されて、前面枠14の装着が完了する。
次に、図26および図27を主に参照して下皿ユニット15について説明する。図26は下皿ユニット15の正面図であり、図27はその背面図である。下皿ユニット15は、横長矩形状に形成されたABS樹脂製の下皿ベース300に、下皿301や操作ハンドル310等を取り付けたものである。
下皿ユニット15には、図26に示すように、ほぼ中央部に球受皿としての下皿301が設けられ、内枠13側の下皿排出口36a(図2参照)から排出口301aを通じて排出された遊技球が下皿301内に貯留可能に構成されている。下皿301は、下皿ベース300とは別部品で形成した難燃性のABS樹脂を表面に貼り付けて形成される。下皿301のすべてを難燃性のABS樹脂で形成することは必要でないが、少なくとも下皿301の表面部分、即ち下皿301の表面層と下皿301奥方の前面パネル302とをABS樹脂で形成することが好ましい。下皿301には、火のついた煙草が放置される危険があるので、少なくともその表面部分を難燃性のABS樹脂で形成することにより、パチンコ機10の損傷や火災の発生を抑止できるからである。前面パネル302には、スピーカSPからの音を出力するための多数のスピーカ孔303が穿設されており、下皿ユニット15の裏面側には、スピーカ孔303に対応する位置にスピーカSPがネジにより固定されている。
下皿301の正面下方部には、下皿301に貯留された遊技球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー304が設けられている。この球抜きレバー304は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿301の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から遊技球が自然落下して排出される。かかる球抜きレバー304の操作は、通常、下皿301の下方に下皿301から排出された遊技球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。
下皿301の右方には、前述したように操作ハンドル310が配設され、下皿301の左方には灰皿305が取り付けられている。灰皿305は下皿ベース300に回転可能に取り付けられた軸と共に手前方向及び奥方向へ回動可能にされている。下皿ユニット15の裏面側には、その裏面全体を覆うように金属製の板金306が設けられており、下皿ユニット15自体の剛性および強度が高められている。
この下皿ユニット15は、内枠13に対して開閉可能に取り付けられており、内枠13および前面枠14と同様にパチンコ機10の正面視左側を開閉軸線として前方側に開放可能となっている。下皿ユニット15には、その正面視左上側に支持穴307が設けられると共に、その正面視左下側に支持軸308が設けられている。下皿ユニット15の支持穴307および支持軸308が内枠13側の支持金具34,35(図5参照)に対して組み付けられると、内枠13に対して下皿ユニット15が開閉可能に装着される。
支持穴307および支持軸308について、より詳しく説明すると、支持穴307は、板金306の上端部を折り返した部分に穿設された孔によって構成され、内枠13側の支持金具34において下方に突出する突起軸34bを挿通可能となっている。支持軸307は、上下方向に出没可能な略逆L字状をなす突起より構成され、板金306に覆われたばね(図示せず)によって常には下方へ突出した状態に維持される。
下皿ユニット15の装着手順としては、まず、支持穴307に内枠13側の突起軸34bを差し込んで下皿ユニット15の上側を内枠13に固定する。その後、支持軸308をばねの付勢力に抗して没入状態としてから支持軸308の先端と内枠13下側に設けられる支持金具35の支持孔との位置あわせをする。支持軸308と支持孔との位置があうと、ばねの付勢力によって支持軸308が支持孔内に嵌り込み、下皿ユニット15の装着が完了する。
下皿ユニット15の板金306には、その裏面左側に略矩形状で上下2カ所に並んで形成された下皿係合部15aが形成されている。この下皿係合部15aが内枠13の裏面側に設けられる施錠ユニット410の下皿用鉤部材413に係合することにより、下皿ユニット15は施錠される。施錠状態の下皿ユニット15は、シリンダ錠420に対して専用鍵による所定の解錠操作が行われることにより解錠され、開放可能な状態となる。
ここで、下皿ユニット15が配置されるパチンコ機10の下皿301および操作ハンドル310の部分は、従来には内枠13の一部として形成されて前方側へは開放し得ず、前面枠14により形成される上皿201の下端部までが内枠13の前面側を覆うように構成されていた。前面枠14に覆われた内枠13の前面側には、遊技領域を形成する遊技盤16と、遊技領域へ向けて遊技球を発射する球発射ユニット90とが上下に並べて配置されるが、前面枠14のみが前方へ開放し、下皿301および操作ハンドル310の部分が開放しない場合、上皿201の下端部位置に球発射ユニット90の配置位置が制限され、その上側に形成される遊技領域を大きくすることが難しかった。
本実施形態のパチンコ機10においては、前面枠14以外に下皿ユニット15も内枠13に対して開放可能に構成されるので、球発射ユニット90を下皿301や操作ハンドル310の裏面側に重なるようにして従来より下側に配置することができ、その分、遊技盤16の遊技領域を上下に大きく形成することができる。また、下皿ユニット15が開放可能であるので、内枠13の下端部における裏面側に加えて、その下端部における下皿ユニット15の裏面側と内枠13の前面側との各面に各種部品や配線を収容することができ、部品や配線の設計自由度が高められる。更に、下皿301や操作ハンドル310の裏面側に対して作業を行う場合、例えば、上皿201と下皿301とを繋ぐ通路内の球詰まりを解消する場合や下皿301の奥側に位置して満タン状態を検出する満タンセンサを確認する場合等においては、下皿ユニット15を開放することで、外枠12に内枠13が固定された状態で、内枠13の前面側から各作業を行うことができる。内枠13を開放した場合、外枠12に対して内枠13が揺れ動くために作業がし難いが、下皿ユニット15を開放して内枠13に対して行う作業は、内枠13が固定された状態で行えるので簡易なものとなる。
また、内枠13、前面枠14、及び、下皿ユニット15は、ベースとなる各部材(内枠ベース30,前面枠ベース200,下皿ベース300)に他の部材を組み付けて形成されるものであり、本実施形態においては各ベース部材30,200,300は、すべて合成樹脂、具体的にはABS樹脂により形成されている。これら各ベース部材30,200,300を合成樹脂で形成することにより、金属でベース部材を形成するより複雑な形状に対応することができ、パチンコ機10前面に文字や模様等を形成して装飾性を高めつつ、その裏面側には相手部品の取付部等を一体的に形成して生産コストの抑制を図っている。また、ABS樹脂は、一般に安価で、且つ、メッキ等ののりが良く装飾性に優れるため、低コストで表面処理を施した装飾をパチンコ機10の前面に形成し易い。更に、ABS樹脂は、耐衝撃性が大きいという利点もあり、遊技者が転倒してパチンコ機10前面に衝突したり、遊技の結果に不満を抱いた遊技者がパチンコ機10前面を殴打したりしても、樹脂が破損して遊技者が怪我してしまうことが少ないので、ベース部材30,200,300の材料としてABS樹脂は好適である。
また、各ベース部材30,200,300と外枠13の飾り板24とは、全て同一材料であるABS樹脂により形成されている。このため、ベース部材30,200,300および飾り板24の少なくとも2部材を同一色で形成した場合、経年劣化により色あせや変色の程度は同等となる。よって、長期にわたって複数の部材で構成されるパチンコ機10前面の色度の差を少なくして良質な見栄えを維持することができる。特に各ベース部材30,200,300と外枠13の飾り板24とを、同一材料であって、メーカーおよび材料グレードまで同一のものとすることが、良質な見栄えを維持する上で好ましい。
次に、図28から図33を参照して、パチンコ機10の背面側の構成を説明する。図28は、パチンコ機10の背面図であり、図29は、パチンコ機10背面の制御基板ユニットと裏パックユニットの構成を模式的に示した図である。また、図30は、内枠13に遊技盤16を組み付けた状態を示す背面図であり、図31は内枠13を後方より見た斜視図、図32は遊技盤16を後方より見た斜視図である。図33は、支持金具535の斜視図である。
パチンコ機10の背面側には、各種制御基板が上下左右に並べて、また、前後に重ねて配置されており、更に、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出ユニット)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットが個別に内枠13又は遊技盤16の裏面に装着されている。この場合、主基板と音声ランプ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット501」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット502」と称する。また、保護カバー部を形成する裏パック651および払出ユニット652も1ユニットとして一体化されており、ここではそのユニットを「裏パックユニット503」と称する。各ユニット501〜503の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット501、第2制御基板ユニット502及び裏パックユニット503は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、更にこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠13又は遊技盤16の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット501〜503やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
各ユニット501〜503は、図29に示すように、上下に並んで配置され、取り付けられている。第1制御基板ユニット501は、略L字状をなし、パチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方には、第2制御基板ユニット502が配置されている。また、第1制御基板ユニット501の上部に一部重なる領域に、裏パックユニット503が配置されている。
第1制御基板ユニット501には、パチンコ機10の背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1の軸線Aを中心に当該第1制御基板ユニット501が開閉可能となっている。また、第1制御基板ユニット501には、その右端部(即ち支軸部M1の反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら支軸部M1、締結部M2及び係止爪部M3によって第1制御基板ユニット501がパチンコ機10の本体(遊技盤16の裏面)に固定保持される。
第2制御基板ユニット502には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4の軸線Bを中心に当該第2制御基板ユニット502が開閉可能となっている。また、第2制御基板ユニット502には、その左端部(即ち支軸部M4の反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M5が設けられており、この支軸部M4および締結部M5によって第2制御基板ユニット502がパチンコ機10の本体(内枠13の裏面)に固定保持される。
裏パックユニット503には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に当該裏パックユニット503が開閉可能となっている。また、裏パックユニット503には、その左端部(即ち支軸部M6の反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M7が設けられると共に上端部及び下端部にそれぞれ回動式の係止部M8,M9が設けられており、これら支軸部M6、締結部M7及び係止部M8,M9によって裏パックユニット503がパチンコ機10の本体(内枠13の裏面)に固定保持される。
各ユニット501〜503の展開方向は同一でなく、第1制御基板ユニット501は、パチンコ機10の背面から見て左開きになるのに対し、第2制御基板ユニット502及び裏パックユニット503は、同右開きになるよう構成されている。
ここで、図30から図33を用いて、内枠13及び遊技盤16の裏面構成を説明する。遊技盤16は、図30に示すように、内枠ベース30に囲まれた四角枠状の設置領域に設置され、内枠13の左右両側に設けられた3つの係止固定具511と、内枠13の略中央下部に設けられた樹脂製の係止固定具512との計4つの係止固定具511,512によって脱落しないように固定されている。係止固定具511,512は手動で回動でき、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とを切り替え可能に構成されている。図30は、係止固定具511,512がロック位置にある状態を示している。遊技盤16の左右3カ所の係止固定具511は、金属片を折り曲げ形成したL型の金具で構成され、遊技盤16を固定した状態では内枠13の外方へ張り出さないよう構成されている。遊技盤16の下部1カ所の係止固定具512は、樹脂製のI型の留め具で構成される。
遊技盤16の裏面中央には、可変表示装置ユニット80が配置されている。可変表示装置ユニット80には、センターフレーム86(図3参照)を背後から覆う樹脂製(例えばABS製)のフレームカバー513が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー513の後端に、液晶表示装置たる第1図柄表示装置81と表示制御装置505とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー513内には、センターフレーム86に内蔵されたLED等を駆動するためのLED制御基板などが配設されている。
また、遊技盤16の裏面には、可変表示装置ユニット80を取り囲むようにして裏枠セット515が取り付けられている。この裏枠セット515は、遊技盤16の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成型品(例えばABS製)であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構が形成されている。詳しくは、裏枠セット515の下方には、前述した一般入賞口63、第1入球口64、可変入賞装置65(図3参照)への入賞球を遊技盤16裏面側に排出する排出口に対応し、且つ下流側で1カ所に集合する回収通路516が形成されている。また、遊技盤16の下方には、樹脂製(例えばポリカーボネート樹脂製)の排出通路盤517が取り付けられており、該排出通路盤517には、排出球をパチンコ機10の外部へ案内するための排出通路518が形成されている。従って、図30に仮想線で例示するように、一般入賞口63等に入賞した遊技球は何れも裏枠セット515の回収通路516を介して集合し、更に排出通路盤517の排出通路518を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口66(図3参照)も同様に排出通路518に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路518を介してパチンコ機10の外部に排出される。
上記構成では、遊技盤16の下端面を境界にして、上方に裏枠セット515(回収通路516)が、下方に排出通路盤517(排出通路518)が設けられており、排出通路盤517が遊技盤16に対して前後方向に重複(オーバーラップ)せずに設けられている。従って、遊技盤16を内枠13から取り外す際において、排出通路盤517が遊技盤16の取り外しの妨げになるといった不都合が生じることもない。
なお、排出通路盤517は、パチンコ機10前面の上皿201の丁度裏側辺りに設けられているので、上皿201に至る球排出口(図2の上皿排出口36b)より針金等を差し込み、更にその針金等を内枠13と排出通路盤517との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで本パチンコ機10の排出通路盤517には、上皿201の丁度裏側辺りに、内枠13にほぼ一体的に重なり合うようにしてパチンコ機10の前方に延びるプレート519が設けられている。従って、内枠13と排出通路盤517との隙間から針金等を侵入させようとしてもそれがプレート519にて阻害され、遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。その結果、針金等により可変入賞装置65(大開放口)を強制的に開放する等の不正行為を防止することができる。
また、遊技盤16の裏面には、各種入賞口などへの遊技球の入球(通過)を検出するための入賞感知機構などが設けられている。具体的には、遊技盤16表側の一般入賞口63に対応する位置には入賞口スイッチ521が設けられ、可変入賞装置65には、特定領域スイッチ522とカウントスイッチ523とが設けられている。特定領域スイッチ522は、大当たり状態で可変入賞装置65に入賞した遊技球が特定領域(大当たり状態継続を判定するための領域)に入ったことを判定するスイッチであり、カウントスイッチ523は入賞球をカウントするスイッチである。また、第1入球口64に対応する位置には第1入球口スイッチ524が設けられ、第2入球口67に対応する位置には第2入球口スイッチ525が設けられている。
入賞口スイッチ521及び第2入球口スイッチ525は、図示しない電気配線(ケーブルコネクタを含む)を介して盤面中継基板526に接続され、さらにこの盤面中継基板526が後述する主基板(主制御装置561)に電気配線を介して接続されている。また、特定領域スイッチ522及びカウントスイッチ523は電気配線を介して大開放口中継基板527に接続され、さらにこの大開放口中継基板527が電気配線を介して主基板に接続されている。これに対し、第1入球口スイッチ524は中継基板を介さずに直接主基板に接続されている。
その他図示は省略するが、可変入賞装置65には、特定入賞口(大開放口)65aを開放するための大開放口ソレノイド581(図47参照)と、入賞球を特定領域に導くための入賞球振分板ソレノイドが設けられ、第1入球口64には、電動役物を開放するための第1入球口ソレノイドが設けられている。また、本実施形態では、遊技球を発射させる発射装置としてソレノイド92を採用しているため、発射装置が内枠13の前面側にまとめて配置されている。このため、従来のモータ及び発射槌の組合せに比べて内枠13の裏面側には発射装置が配置されず、内枠13裏面のスペースを制御基板等の他部品のスペースとして有効に活用することができる。
上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。かかる場合、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行う従来方式(いわゆる証拠球方式)とは異なり、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる(即ち、本パチンコ機10では入賞球処理装置を廃止している)。故に、払い出す遊技球が多量にあっても、その払出をいち早く実施することが可能となる。
遊技盤16の裏面にネジで固定された裏枠セット515には、第1制御基板ユニット501を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、この取付機構として、遊技盤16の裏面左下隅部には上下方向に延びる支持金具531がネジで取り付けられ、この支持金具531には同一軸線上に上下一対の支持孔531aが形成されている。その他、遊技盤16の背面右下部には上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)532が設けられ(図30参照)、同左上部には係止爪片533が設けられている。
内枠13の裏面には、第2制御基板ユニット502や裏パックユニット503を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、図30に示すように、内枠13の背面右端部には、図33に示す長尺状の支持金具535が取り付けられている。
支持金具535は、長尺板状の金具本体536を有し、その金具本体536より起立させるようにして、下方2カ所に第2制御基板ユニット502用の支持孔部537が形成されると共に、上方2カ所に裏パックユニット503用の支持孔部538が形成されている。それら支持孔部537,538にはそれぞれ同軸の支持孔が形成されている。その他、第2制御基板ユニット502用の取付機構として、内枠13には、図30に示すように、遊技盤16の設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)539が設けられている。また、裏パックユニット503用の取付機構として、内枠13には、遊技盤16の設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)540が設けられている。なお、第2制御基板ユニット502用の支持金具と裏パックユニット503用の支持金具とを各々個別の部材で設けることも可能である。また、裏パックユニット503用の取付機構として回動式の3つの固定具541〜543が内枠13に設けられており、それら固定具541〜543と遊技盤16との間に裏パックユニット503は挟み込んで支持される。
その他、内枠13の背面側における遊技盤16の右下部には、図31に示すように、後述する払出ユニット652より払い出される遊技球を上皿201、下皿301又は排出通路518の何れかに振り分けるための遊技球分配部545が設けられている。遊技球分配部545には、3つの開口部が左右に並んで設けられ、左側の開口部545aは上皿201に通じ、中央の開口部545bは下皿301に通じ、右側の開口部545cは排出通路518に通じる構成となっている。
内枠13の下端部には、下皿ユニット15に取り付けられるスピーカSPの裏面側に重なる位置に穿孔された多数のスピーカ孔546が内枠ベース300の一部として形成されている。スピーカSPの音声出力時に振動板(コーン)が振動してもスピーカ孔546によりパチンコ機10の背面側へ振動が逃がされるので、内枠13と下皿ユニット15との間で共鳴音が生じることが抑制される。なお、スピーカ孔546により形成される開口の面積は、スピーカSPの裏面側に重なる領域にスピーカSPの振動板の面積と同一以上とすることが共鳴音を抑制する上で好ましく、共鳴音を抑制しつつ剛性強度を高めるためにスピーカ孔546の開口面積とスピーカSPの振動板の面積とを同一又はほぼ同一とすることが好適である。
次に、図34から図37を参照して、第1制御基板ユニット501を説明する。図34は第1制御基板ユニット501の正面図であり、図35は同ユニット501の斜視図であり、図36は同ユニット501の分解斜視図であり、図37は同ユニット501を裏面から見た分解斜視図である。
第1制御基板ユニット501は略L字状をなす取付台551を有し、この取付台551に主制御装置561と音声ランプ制御装置562とが搭載されている。ここで、主制御装置561は、遊技の主たる制御を司る1チップマイコンとしてのMPU701(図47参照)、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス563(被包手段)に収容されて構成されている。なお、基板ボックス563は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット564(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス563が封印されている。
封印ユニット564はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは図35等に示すように、5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結される。封印ユニット564による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度開封・封印処理を行うこと自体は可能である。即ち、封印ユニット564を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主基板の不具合などにより基板ボックス563を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス563の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス563に残しておけば、基板ボックス563を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
また、音声ランプ制御装置562は、例えば主制御装置561又は表示制御装置505からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司る1チップマイコンとしてのMPUや、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、この音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス565に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置562上には電源中継基板566が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板566を介して表示制御装置505及び音声ランプ制御装置562に出力される。
取付台551は、有色(例えば緑、青等)の樹脂材料(例えばポリカーボネート樹脂製)にて成形され、その表面に平坦状をなす2つの基板搭載面552,553が設けられている。これら基板搭載面552,553は、直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。但し、取付台551は無色透明又は半透明の樹脂成型品であっても良い。
一方の基板搭載面552上には、主制御装置561が横長の向きに配置されると共に、他方の基板搭載面553上には、音声ランプ制御装置562(音声ランプ制御基板)が縦長の向きに配置される。特に、主制御装置561は、パチンコ機10の背面視手前側に配置され、音声ランプ制御装置562はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面552,553が前後方向に段差をもって形成されているので、これら基板搭載面552,553に主制御装置561及び音声ランプ制御装置562を搭載した状態において各制御装置561,562はその一部を前後に重ねて配置されるようになる。つまり、図35等にも見られるように、主制御装置561はその一部(本実施形態では図26の左側1/3程度)が浮いた状態で配置されるようになる。故に、主制御装置561に重なる領域まで音声ランプ制御装置562を拡張することが可能となり、当該制御基板の大型化にも良好に対処できると共に、各制御装置を効率良く設置できる。また、第1制御基板ユニット501を遊技盤16に装着した状態では、基板搭載面552の後方にスペースが確保され、可変入賞装置65やその電気配線等が無理なく設置できるようになっている。
図36及び図37に示すように、主基板用の基板搭載面552には、左右2カ所に横長形状の貫通孔554が形成されている。これに対応して、主制御装置561の基板ボックス563には、その裏面の左右2カ所に回動式の固定具567が設けられている。主制御装置561を基板搭載面552に搭載する際には、基板搭載面552の貫通孔554に固定具567が通され、その状態で固定具567が回動されて主制御装置561がロックされる。従って、上述の通り主制御装置561はその一部が浮いた状態で配置されるとしても、当該主制御装置561の脱落等の不都合を回避できる。また、主制御装置561は第1制御基板ユニット501(基板搭載面552)の裏面側から固定具567をロック解除しなければ、取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が期待できる。
取付台551には、図35等に示すように、左端面に上下一対の支軸556が設けられており、この支軸556を遊技盤16側の支持金具531(図32参照)に取り付けることで、第1制御基板ユニット501が遊技盤16に対して開閉可能に支持される。また、取付台551には、右端部に締結具として上下一対のナイラッチ557が設けられると共に上端部に横長の開口558が設けられており、ナイラッチ557を遊技盤16側の被締結孔532(図30参照)に嵌め込むと共に、上端部の開口558に遊技盤16側の係止爪片533(図32参照)を係止させることで、第1制御基板ユニット501が遊技盤16に固定される。なお、支持金具531及び支軸556が図21の支軸部M1に、被締結孔532及びナイラッチ557が締結部M2に、係止爪片533及び開口558が係止爪部M3に、それぞれ相当する。
次に、図38から図40を参照して、第2制御基板ユニット502を説明する。図38は第2制御基板ユニット502の正面図であり、図39は同ユニット502の斜視図であり、図40は同ユニット502の分解斜視図である。
第2制御基板ユニット502は横長形状をなす取付台601を有し、この取付台601に払出発射制御装置611、電源装置612及びカードユニット接続基板613が搭載されている。払出発射制御装置611及び電源装置612は周知の通り制御の中枢をなす1チップマイコンとしてのMPU、各種ポート等を含む制御基板を具備している。払出発射制御装置611を構成する制御基板(払出発射制御基板)により、賞品球や貸出球の払出制御と、遊技者による操作ハンドル310の操作に従った球発射ユニット90(発射ソレノイド92および電磁石104)の制御とが行われる。電源装置612を構成する制御基板(電源基板)においては、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。
カードユニット接続基板613は、パチンコ機10前面の貸球操作部210及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出発射制御装置611に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板613は不要である。
上記払出発射制御装置611、電源装置612及びカードユニット接続基板613は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス615〜617にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出発射制御装置611では、前述した主制御装置561と同様、基板ボックス615(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット619(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス615が封印されている。
払出発射制御装置611の右端部には状態復帰スイッチ621が設けられている。例えば、払出モータ658a部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ621が押下されると、払出モータ658aが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。払出発射制御装置611の左端部には、発射ソレノイド92の発射力を調整する可変抵抗器の操作つまみ622が設けられており、その操作軸622を右回りに回転させると発射ソレノイド92に励磁される電流(又は電圧)が多くなって発射力が高められ、操作軸622を左回りに回転させると発射ソレノイド92の励磁電流(又は電圧)が低下して発射力も低下する。
電源装置612にはRAM消去スイッチ623が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、通常手順で(例えばホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されるので、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ623を押しながら電源を投入することとしている。
取付台601は例えば無色透明な樹脂成型品よりなり、その表面における左右両側に平坦状をなす基板搭載面602,603が設けられている。左側の基板搭載面602には、電源装置612が搭載され、右側の基板搭載面603にカードユニット接続基板613が搭載される。払出発射制御装置611は。その一部を電源装置612の基板ボックス616上に重ねて搭載される。
取付台601には、図38に示すように、その右端部に上下一対の支軸605が設けられており、この支軸605を、内枠13側の支持孔部538(図31参照)に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット502が内枠13に対して開閉可能に支持される。また、取付台601には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ606が設けられており、ナイラッチ606を、内枠13側の被締結孔539(図31参照)にはめ込むことで、第2制御基板ユニット502が内枠13に開閉不能に固定されるようになる。なお、支持孔部537及び支軸605が図29の支軸部M4に、被締結孔539及びナイラッチ606が締結部M5に、それぞれ相当する。
次に、図41及び図42を参照して、裏パックユニット503の構成を説明する。図41はパチンコ機10の背面から見た裏パックユニット503を示しており、図42はその分解斜視図を示している。裏パックユニット503は、樹脂成形された裏パック651と遊技球の払出ユニット652とを一体化したものである。
裏パック651は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部653と、パチンコ機10後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部654とを有する。保護カバー部654は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット80を囲むのに十分な大きさを有する(但し本実施の形態では、前述の音声ランプ制御装置562も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部654の背面には多数の通気穴654aが設けられている。この通気穴654aは各々が長細く形成され、通気穴654aの端が比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気穴654a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック651の背面を容易に開口させることができる。このため、通気穴654a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置505等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
裏パック651には、保護カバー部654を迂回するようにして払出ユニット652がネジで固定されている。払出ユニット652は、裏パック651の最上部に位置して上方に開口したタンク655と、タンク655の下方に連結され、横方向2列(2条)の球通路を有して下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール656と、タンクレール656の下流側に縦向きに連結されるケースレール657と、ケースレール657の最下流部に設けられ、払出モータ658a等の所定の電気的構成により遊技球の払出を行う払出装置658とを備えている。タンク655には、遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給され、払出装置658により必要個数の遊技球の払い出しが適宜行われる。また、払出装置658により払い出された遊技球は、裏パック651の下端部に内蔵される払出通路(図示せず)を通じて前記上皿201等に供給される。
タンクレール656には、当該タンクレール656に振動を付加するためのバイブレータ660が取り付けられている。従って、仮にタンクレール656付近で球詰まりが生じた際には、バイブレータ660を駆動することによって球詰まりを解消できるようになっている。このバイブレータ660は、ユニット化されているので、タンクレール656の横へ容易に取り付けることができる。
ここで、図43を参照してタンクレール656の構成について詳述する。図43は、タンクレール656の分解斜視図である。タンクレール656は上方に開口した長尺樋状をなすレール本体661を有し、レール本体661の始端部には一方側に円弧状に傾斜して形成された球受部662が設けられている。この球受部662により、タンク655から落下してきた遊技球は円滑にレール本体661内に取り込まれる。また、レール本体661には長手方向に延びる仕切壁663が設けられており、この仕切壁663により遊技球が二手に分流されるようになっている。仕切壁663により仕切られた2条の球通路は遊技球の直径よりも僅かに幅広となっている。仕切壁663により仕切られた各球通路の底面には、その通路の両端にて下側に開口した開口部665が設けられている。
また、レール本体661には、その下流側の天井部分を覆うようにして整流板667が配設されている。この整流板667は、下流側になるほどタンクレール656内の通路の高さを制限するよう底面に次第に近づくように傾斜して配設される。また、整流板の上流側には、高く積まれた状態で流下する遊技球のうち上側の遊技球にだけ当接して流下を制限するように流下方向に沿って振り子移動する可動式の整流錘(図示せず)が垂下して設けられる。タンクレール356の上流部より遊技球が積まれた状態で流れ込んできても、整流錘によってタンクレール656内の遊技球が整列しつつ流下するようになっている。
なお、レール本体661は、黒色の導電性ポリカーボネート樹脂により成形されるのに対し、整流板667は透明のポリカーボネート樹脂により成形して通路内部を視認し易くしている。また整流板667は着脱可能に設けられており、当該整流板667を取り外すことによりタンクレール656内のメンテナンスが容易に実施できるようになっている。
図41及び図42に戻って説明する。払出ユニット652は、払出発射制御装置611から払出装置658への払出指令の信号を中継する払出中継基板681と、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板682とを備えている。電源スイッチ基板682には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ682aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
タンク655から払出通路に至るまでの遊技球の通路を形成する部材は、何れも導電性を有する樹脂材料(例えば導電性ポリカーボネート樹脂)にて成形され、その一部にて接地(アース)されている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
また、裏パック651には、図41に示すように、その右端部に上下一対の支軸685が設けられており、この支軸685を内枠13側の支持孔部538(図31参照)に上方から挿通させることで、裏パックユニット503が内枠13に対して開閉可能に支持される。また、裏パック651には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ686が設けられると共に、上端部に係止孔687が設けられており、ナイラッチ686を内枠13側の被締結孔540(図31参照)にはめ込むと共に、係止孔687に内枠13側の固定具542(図31参照)を係止させることで、裏パックユニット503は内枠13に開閉不能に固定される。固定具542及び係止孔687の部分にナイラッチを使用しないのは、図41に示すように、係止孔687の左隣には遊技球を貯留するタンク355が設けられており、この部分を強固に固定するためである。固定具542の固定時には、内枠13の左上隅と右下隅の固定具541,543(図31参照)によっても裏パックユニット503が内枠13に固定される。なお、支持孔部538及び支軸685が図29の支軸部M6に、被締結孔540及びナイラッチ686が締結部M7に、固定具542及び係止孔687が係止部M8にそれぞれ相当する。また、固定具543が係止部M9に相当する。
次に、図44から図46を参照して外枠12に対する内枠13の施錠と、内枠13に対する前面枠14および下皿ユニット15の施錠を行うための施錠装置について説明する。図44は、施錠ユニット410の正面図であり、図45は、施錠ユニット410の前面斜視図であり、図46は施錠ユニット410の背面斜視図である。なお、図面の複雑化を避けるため、図44から図46においてコイルバネを省略して示している。
施錠装置は、内枠13の裏面であってパチンコ機10の正面視右側に縦長に配設される施錠ユニット410と、施錠ユニット410に摺動可能に設けられる鉤部材411〜413に係合して内枠13や前面枠14等を閉鎖した状態に維持する係合部とにより構成される。係合部としては、外枠12の受け金具23と、前面枠14の前面枠鉤部14aと、下皿ユニット15の下皿係合部15aとが該当する。
施錠ユニット410の正面視中央下部には、鍵穴421を有するシリンダ錠420が設けられている。内枠13の施錠と前面枠14の施錠とは、このシリンダ錠420の鍵穴421に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことにそれぞれ解除される。
施錠ユニット410は、縦長に形成された鉤基体414と、鉤基体414に摺動可能に設けられ内枠13、前面枠14および下皿ユニット15のそれぞれに係合する鉤部材411〜413とを備えている。鉤基体414は、複数の取付孔が穿設された取付板415と、取付板415に直交して鉤部材411〜413等を支持する支持板416とにより断面略L字状に形成される。施錠ユニット410は、内枠13の裏面側であって開閉軸から離間した側の端部(背面視左端部)に鉤基体414の取付板415をネジで締め付けて内枠13に固定される。
鉤基体414の取付板415には、その上部と下部に縦長略矩形状の挿入口415aが設けられている。挿入口415aには、前面枠14の閉鎖時に前面枠鉤部14aの先端部分が進入するようになっている。
鉤基体414の支持板416の内側には、支持板416に沿って縦長に形成された板状の摺動杆417が上下方向に摺動可能に配設されている。また、鉤基体414の上下2カ所には、図示しないコイルバネにより下方に常に引っ張られた状態で支持板416に摺動可能に支持される鉤部材(内枠用鉤部材)411が配設されている。内枠用鉤部材411は、その先端部分が下方に突出した鉤形に形成され、外枠12の受け金具23に引っ掛かって内枠13を施錠する。この内枠用鉤部材411は、摺動杆417が中立位置より上方へ移動したときにのみ、摺動杆417に係合して上方に摺動する。摺動杆417は、内枠用鉤部材411を付勢するコイルバネの引っ張り力とほぼ同一の大きさの反力で下方へ付勢される。
この上下2つの内枠用鉤部材411は、独立して上方へ移動可能となっており、針金などで内枠用鉤部材411を移動して解錠させようとする場合には両方の内枠用鉤部材411を上方に移動させなければならない。一方のみを上方へ移動させても他方の内枠用鉤部材411が外枠12の受け金具23に引っ掛かったままとなる。このため、不正な解錠操作が困難となって防犯性が高められる。また、内枠用鉤部材411は、摺動杆417の上方への摺動に伴って上方へ移動する。摺動杆417は、シリンダ錠420に対しての専用鍵による右回りの操作に連動して上方へ摺動するものであり、専用鍵の操作によって内枠13の施錠状態を解除することができる。
また、鉤基体414の上下2カ所には、図示しないコイルバネにより上方に常に引っ張られた状態で取付板415および支持板416に摺動可能に支持される鉤部材(前面枠用鉤部材)412が配設されている。前面枠用鉤部材412は、金属板を断面コ字状に折り曲げて形成され、取付板415側の面には縦長矩形状の係止口412aが形成されている。また、前面枠用鉤部材412は、係止口412aが取付板415に形成された挿入口415aに重なりつつ、中立状態にて係止口412aの下端が挿入口415aより上側に位置するように配置されている。
前面枠14の閉鎖時には、前面枠鉤部14aが挿入口415aに進入し、係止口412a内にも進入する。係止口412aの下端は、前面枠鉤部14a先端の突出部分に当接する位置に配置され、前面枠用鉤部材412は、前面枠鉤部14aに押し下げられて下方へ摺動する。前面枠鉤部14a先端の突出部分が係止口412a内に完全に入り込むと、コイルバネの引っ張り力で前面枠用鉤部材412は上昇して元の位置に戻り、前面枠鉤部14aに引っ掛かって前面枠14を開放不能に係止する。また、前面枠用鉤部材412は、摺動杆417の下方への摺動に伴って下方へ移動する。摺動杆417は、シリンダ錠420に対しての専用鍵による左回りの操作に連動して下方へ摺動するものであり、内枠13と同様、専用鍵の操作によって前面枠13の施錠状態が解除される。
シリンダ錠420と摺動杆417との連動機構について説明すると、図46に示すように、シリンダ錠420の錠軸には、その回動動作によって摺動杆417の切欠内に進入する2つの突起を有するカム板420aが取り付けられている。専用鍵がシリンダ錠420の鍵穴421に差し込まれた状態で右回り(図44の時計回り方向)に回動すると、カム板420aの下側の突起が摺動杆417の切欠内に進入して上方に摺動杆417を押し上げる。一方、専用鍵がシリンダ錠420の鍵穴に差し込まれた状態で左回り(図44の反時計回り方向)に回動すると、カム板420aの上側の突起が摺動杆417の切欠内に進入して下方に摺動杆417を押し下げる。このように、専用鍵の回動操作によって単一の摺動杆417を上下に自在に摺動させることにより、摺動杆417に連動する内枠用鉤部材411および前面枠用鉤部材412を作動させて各鉤部材411,412毎に施錠される内枠13および前面枠14に対する施錠状態を解除することができる。よって、複数の摺動杆をシリンダ錠の錠軸にそれぞれ連動するように構成する場合に比べて部品構成が単純になり、製造コストを低減することができる。
鉤基体414の下部には、図示しないコイルバネにより上方に常に引っ張られた状態で支持板416に摺動可能に支持される鉤部材(下皿用鉤部材)413が配設されている。下皿用鉤部材413は、下皿ユニット15に設けられる下皿係合部15a(図27参照)に係合して下皿ユニット15を施錠するためのものであり、上下方向に沿った中央部および下部より前面側に突出し、更に先端部が上方に突出して形成された上下2つの鉤部413aが下皿係合部15aに引っ掛かって下皿ユニット15の開放を規制する。
下皿用鉤部材413の上端部には、前面側に突出するように折り曲げて形成された操作部413bが設けられており、指先等で下皿用鉤部材413を下方に押下できるようになっている。この下皿ユニット15の操作部413bは、常には前面枠14に覆われる位置に配置され、前面枠14を開放した場合にのみ露出して操作可能となる。
閉鎖状態の下皿ユニット13を開放する場合、まず、前面枠14を開放して下皿ユニット15の操作部413bを操作可能にする。その後、操作部413bをコイルバネの付勢力に抗して押下し、下皿用鉤部材413を下側へ移動すると、下皿ユニット15側に設けられる下皿係合部15aと下皿用鉤部材413の鉤部413aとの係合状態が解除され、下皿ユニット15を手前に引くだけで開放可能な解錠状態とすることができる。
次に、図47を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図47は、パチンコ機10の電気的構成を示したブロック図である。主制御装置561には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU701が搭載されている。MPU701には、該MPU701により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM702と、そのROM702内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM703と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM703は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置612からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM703には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア703aと、大開放口開放フラグ703bと、ソレノイド制御データメモリ703cとが設けられている。
バックアップエリア703aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、バックアップエリア703aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア703aへの書き込みはNMI割込処理(図62参照)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア703aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理(図53参照)において実行される。なお、MPU701のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路742からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU701へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
大開放口開放フラグ703bは、特定入賞口(大開放口)65aを開放する(開状態とする)か、閉鎖するか(閉状態とするか)を示すフラグである。この大開放口開放フラグ703bは、大当たりが発生するとオンされ、その結果として、特定入賞口(大開放口)65aが開放される。そして、大当たりの発生による特定入賞口(大開放口)65aの開放後、所定の条件が満たされると、大開放口開放フラグ703bはオフされ、その結果として、特定入賞口(大開放口)65aが閉鎖される。
ソレノイド制御データメモリ703cは、大入賞口ソレノイド581を駆動するための駆動信号として、後述するソレノイド制御データ出力処理(図61参照)によって生成されるソレノイド制御データを記憶するメモリである。このソレノイド制御データメモリ703cに記憶されるソレノイド制御データが、入出力ポート705へ出力されると、その値に応じて、大開放口ソレノイド581がオン(励磁)又はオフ(非励磁)される。なお、このソレノイド制御データメモリ703cに記憶されるデータ(ソレノイド制御データ)の構造については、図48を参照して後述する。
主制御装置561のMPU701には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン704を介して入出力ポート705が接続されている。入出力ポート705には、大開放口ソレノイド581や、後述するRAM消去スイッチ回路743、払出発射制御装置611、表示制御装置505や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。
払出発射制御装置611は、払出モータ658aにより賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU711は、そのMPU711により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM712と、ワークメモリ等として使用されるRAM713とを備えている。
払出発射制御装置611のRAM713は、主制御装置561のRAM703と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置612からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM713には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア713aが設けられている。
また、払出発射制御装置611は、遊技者による操作ハンドル310の操作に従って球発射ユニット90(発射ソレノイド92および電磁石104)の発射制御を行うものであり、発射ソレノイド92および電磁石104は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル310に触れていることをタッチセンサにより検出し、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、操作ハンドル310の回動量に対応して発射ソレノイド92が励磁され、操作ハンドル310の操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
バックアップエリア713aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時には、このバックアップエリア713aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア713aへの書き込みはNMI割込処理によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア713aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置561のMPU701と同様、MPU711のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路742から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU711へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
払出発射制御装置611のMPU711には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン714を介して入出力ポート715が接続されている。入出力ポート715には、RAM消去スイッチ回路743、主制御装置561、払出モータ658a、発射ソレノイド92、電磁石104などがそれぞれ接続されている。
表示制御装置505は、第2図柄表示装置(LED)82における第2図柄(普通図柄)の変動表示と、第1図柄表示装置(LCD)81における第1図柄(特別図柄)の変動表示とを制御するものである。表示制御装置505は、MPU721と、ROM(プログラムROM)722と、ワークRAM723と、ビデオRAM724と、キャラクタROM725と、画像コントローラ726と、入力ポート727と、2つの出力ポート728,729と、バスライン730,731とを備えている。入力ポート727の入力側には主制御装置561の出力側が接続され、入力ポート727の出力側には、MPU721、ROM722、ワークRAM723、画像コントローラ726が接続されると共にバスライン729を介して出力ポート728が接続されている。出力ポート728の出力側には第2図柄表示装置82や、音声ランプ制御装置562や、右扉ソレノイド177や、左扉ソレノイド184が接続されている。また、画像コントローラ726にはバスライン731を介して出力ポート729が接続されており、その出力ポート729の出力側には第1図柄表示装置81が接続されている。
表示制御装置505のMPU721は、主制御装置561から送信される図柄表示用のコマンドに基づいて第1図柄表示装置81および第2図柄表示装置82の表示内容を制御する。ROM722は、MPU721により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、扉ソレノイド出力オフテーブル722aとソレノイドオフカウンタ指定値テーブル722bとを備えている。
扉ソレノイド出力オフテーブル722aは、後述するソレノイドオフカウンタ723dにより計数される値毎に、右扉ソレノイド177と左扉ソレノイド184とに対して、それぞれオン又はオフを指定する扉ソレノイド出力オフデータを格納するテーブルである。なお、この扉ソレノイド出力オフテーブル722aの構造については、図49(a)を参照して後述する。
ソレノイドオフカウンタ指定値テーブル722bは、第1図柄制御装置81により表示される第1図柄の変動パターンを指定するために主制御装置561から送信された種々の変動パターンコマンド毎に、それぞれ、後述するソレノイドオフカウンタ723dが起動する場合の初期値を対応づけて格納したテーブルである。具体的には、このソレノイドオフカウンタ指定値テーブル722bにおいて各変動パターンコマンド毎に対応付けられている値は、それぞれの変動パターンコマンドに基づいて表示制御装置505で実行される変動パターンに対して最も関連の低い可動部材(本実施形態では、右扉171又は左扉172)に対応するソレノイド(本実施形態では、右扉ソレノイド177又は左扉ソレノイド184)への通電が優先的に遮断されるようなソレノイドオフカウンタ723dの値である。
このソレノイドオフカウンタ指定値テーブル722bは、主制御装置561から送信された変動パターンコマンドを表示制御装置505が受信した場合に参照されて、受信した変動パターンコマンドに応じた値が、後述するソレノイドオフカウンタ指定値メモリ723hに格納される(図70参照)。そして、詳細は後述するが、扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)において、励磁電流を通電すべきソレノイドの数が、表示制御装置505に対して予め割り当てられた数を超える、特に、[(新たに通電を開始すべきソレノイドの数)−(該検出より前から通電されていたソレノイドの数)]が、表示制御装置505に対して予め割り当てられた数を超えると検出された場合に、ソレノイドオフカウンタ指定値メモリ723hに格納された値がソレノイドオフカウンタ723dの初期値として設定される。従って、この場合には、受信した変動パターンコマンドに対応する変動パターンに最も関連の低い可動部材に対応するソレノイドへの通電が遮断される値がソレノイドオフカウンタ723dの初期値として設定されることになる。その結果として、ソレノイドオフカウンタ723dの起動に伴って、受信した変動パターンコマンドに対応する変動パターンに最も関連の低い可動部材に対応するソレノイドへの通電が優先的に遮断される(オフされる)ことになる。
ワークRAM723は、MPU721による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリであり、右扉開放フラグ723aと、左扉開放フラグ723bと、ソレノイド制御データメモリ723cと、ソレノイドオフカウンタ723dと、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ723eと、右扉オンオフカウンタ723fと、左扉オンオフカウンタ723gと、ソレノイドオフカウンタ指定値メモリ723hとを備えている。
右扉開放フラグ723a及び左扉開放フラグ723bは、それぞれ、右扉171及び左扉172を開放するか(開状態とするか)、又は、閉鎖するか(閉状態とするか)を示すフラグである。これらの開放フラグ723a,723bは、その時々の変動表示の状況に応じて、各々設定される。具体的には、右扉171を開放する場合には、右扉開放フラグ723aがオンされ、一方で、右扉171を閉鎖する場合には、右扉開放フラグ723aがオフされる。また、左扉開放フラグ723bも、右扉開放フラグ723aと同様に、左扉172のを開放する場合にはオンされ、左扉172を閉鎖する場合にはオフされる。
ソレノイド制御データメモリ723cは、右扉ソレノイド177及び左扉ソレノイド184を駆動するための駆動信号として、後述する扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)によって生成されるソレノイド制御データを記憶するメモリである。このソレノイド制御データメモリ723cに記憶されるソレノイド制御データが、出力ポート728へ出力されると、その値に応じて、右扉ソレノイド177及び左扉ソレノイド184がそれぞれオン(励磁)されるか、又は、オフ(非励磁)とされる。なお、このソレノイド制御データメモリ723cについては、図49(c)を参照して後述する。
ソレノイドオフカウンタ723dは、扉ソレノイド出力オフテーブル722aから扉ソレノイド出力オフデータ722a1(図49(a)参照)を読み出すために、「0」と「1」とを計数するカウンタである。このソレノイドオフカウンタ723dは、扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)において、ソレノイドオフカウンタ設定処理(図69参照)が実行されると、右扉オンオフカウンタ723f及び左扉オンオフカウンタ723gの値に応じて、初期値として「0」又は「1」に設定される。その後、扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)の起動毎(本実施形態では、2ms毎)に、その値が「0」→「1」→「0」→「1」→「0」→…の順に更新される。詳しくは後述するが、扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)において、ソレノイドオフカウンタ723dの値に従って扉ソレノイド出力オフテーブル722aから読み出された扉ソレノイド出力オフデータ722a1の値に応じて、右扉ソレノイド177及び左扉ソレノイド184への励磁電流の通電(オン)と通電遮断(オフ)とが制御される。そして、その結果として、制御されるべきソレノイドに通電される合計消費電流量が、電源装置612の電源容量により許容される消費電流量以下(又は未満)となるように制御される。
ソレノイドオフカウンタ起動フラグ723eは、扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)においてソレノイドオフカウンタ723dの値に応じた制御が実行中であるか否かを示すフラグであり、扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)の中で設定される。具体的には、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ723eは、扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)において、表示制御装置505により制御されるソレノイドによって可動される部材(本実施形態では、右扉171及び左扉172)が所定数(本実施形態では、1)を超えて開放されたことが検出されるとオンされ、一方で、開放中の該部材の数が該所定数以下であることが検出されるとオフされる。即ち、このソレノイドオフカウンタ起動フラグ723eは、扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)において、ソレノイドオフカウンタ723dの値に応じた制御が実行中である間はオンを示し、ソレノイドオフカウンタ723dの値に応じた制御を不要とする間はオフを示す。
右扉オンオフカウンタ723f及び左扉オンオフカウンタ723gは、それぞれ、右扉171及び左扉172の開放開始からの時間的長さを計数するカウンタであり、いずれも、「0」を初期値とする。具体的には、右扉オンオフカウンタ723fは、扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)において、右扉開放フラグ723aがオンであると最初に検出された際から計数が「1」から開始され、扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)が起動する毎に、右扉開放フラグ723aがオンであれば、順次、1ずつ値が加算される。一方で、右扉開放フラグ723aがオフであると検出されると、右扉オンオフカウンタ723fの値は「0」にリセットされる。左扉オンオフカウンタ723gもまた、右扉オンオフカウンタ723fと同様に、扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)において、左扉開放フラグ723bがオンを示す毎に「1」から順次計数され、左扉開放フラグ723bがオフを示すと「0」にリセットされる。
ソレノイドオフカウンタ指定値メモリ723hは、主制御装置561から送信された変動パターンコマンドに応じて、ソレノイドオフカウンタ指定値テーブル722bから取得された値を格納するメモリである。このソレノイドオフカウンタ指定値メモリ723hに格納された値は、後述する扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)において、励磁電流を通電すべきソレノイドの数が、表示制御装置505に対して予め割り当てられた数を超える、特に、[(新たに通電を開始すべきソレノイドの数)−(該検出より前から通電されていたソレノイドの数)]が、表示制御装置505に対して予め割り当てられた数を超えると検出された場合に、ソレノイドオフカウンタ723dの初期値として設定される。
ビデオRAM724は、第1図柄表示装置81に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM724の内容を書き替えることにより、第1図柄表示装置81の表示内容が変更される。キャラクタROM725は、第1図柄表示装置81に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ726は、MPU721、ビデオRAM724、出力ポート729のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM724に記憶される表示データを、キャラクタROM725から所定のタイミングで読み出して第1図柄表示装置81に表示させるものである。
電源装置612は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部741と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路742と、RAM消去スイッチ623を有するRAM消去スイッチ回路743とを備えている。電源部741は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置561や払出発射制御装置611等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部741は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチや、ソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を主制御装置561や払出発射制御装置611等に対して供給する。
停電監視回路742は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置561のMPU701及び払出発射制御装置611のMPU711の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路742は、電源部741から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置561及び払出発射制御装置611へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置561及び払出発射制御装置611は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部741は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置561及び払出発射制御装置611は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路743は、RAM消去スイッチ623が押下された場合に、主制御装置561及び払出発射制御装置611へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。主制御装置561及び払出発射制御装置611は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップエリア703a,713aのデータをクリアする。
ここで、図48を参照して、上述したソレノイド制御データメモリ703cについて説明する。図48は、ソレノイド制御データメモリ703cに記憶されるデータ(ソレノイド制御データ)の構成をビット毎に示す図である。
ソレノイド制御データメモリ703cに記憶されるソレノイド制御データは、図48に示すような1バイトのデータである。この1バイトのデータにおける0ビット目が、大開放口ソレノイド581の駆動を制御する値を格納するビットとして割り当てられており、「1」であれば、大開放口ソレノイド581に対して励磁電流の通電(オン)を指示し、一方で、「0」であれば、大開放口ソレノイド581に対して励磁電流の通電遮断(オフ)を指示する。
このソレノイド制御データ(ソレノイド制御データメモリ703cに記憶される値)は、後述するソレノイド制御データ出力処理(図61参照)において、大開放口開放フラグ703bの値(オン又はオフ)により設定される。具体的には、ソレノイド制御データ出力処理(図61参照)の実行時に、大開放口開放フラグ703bがオンであると検出された場合には、ソレノイド制御データメモリ703cの0ビット目には「1」が格納され、一方で、大開放口開放フラグ703bがオフであると検出された場合には、ソレノイド制御データメモリ703cの0ビット目には「0」が格納される。
このソレノイド制御データ(ソレノイド制御データメモリ703cに記憶される値)が、ソレノイド制御データ出力処理(図61参照)の結果として、入出力ポート705に出力されると、0ビット目の状態に応じて、大開放口ソレノイド581に対し励磁電流が通電(オン)又は通電遮断(オフ)される。
従って、入出力ポート705へ出力されたソレノイド制御データの0ビット目が「1」である場合には、大開放口ソレノイド581がオンされ、その結果として、特定入賞口(大開放口)65aが開放する。一方で、0ビット目が「0」である場合には、大開放口ソレノイド581がオフされ、その結果として、特定入賞口(大開放口)65aが閉鎖する。
次に、図49を参照して、上述した扉ソレノイド出力オフテーブル722a及びソレノイド制御データメモリ723cについて説明する。図49(a)は、扉ソレノイド出力オフテーブル722aを示す図であり、図49(b)は、ソレノイドオフカウンタ指定値テーブル722bを示す図であり、図49(c)は、ソレノイド制御データメモリ723cに記憶されるデータ(ソレノイド制御データ)の構成をビット毎に示す図である。
扉ソレノイド出力オフテーブル722aは、図49(a)に示すように、ソレノイドオフカウンタ723dの示す各値に対して、それぞれ、扉ソレノイド出力オフデータ722a1が対応付けられている。より詳細には、ソレノイドオフカウンタ723dの示す各値に対応するアドレスに、扉ソレノイド出力オフデータ722a1が格納されている。そして、ソレノイドオフカウンタ723dが示す値に応じて、その値に対応するアドレスに記憶される扉ソレノイド出力オフデータ722a1が読み出される。
扉ソレノイド出力オフデータ722a1は、1バイトのデータであり、0ビット目722a2が、右扉ソレノイド177の励磁(オン)又は非励磁(オフ)を指示するために用いられる値を格納するビットとして割り当てられており、更に、1ビット目722a3が、左扉ソレノイド184の励磁(オン)又は非励磁(オフ)を指示するために用いられる値を格納するビットとして割り当てられている。この扉ソレノイド出力オフデータ722a1における各ビット722a2,722a3の状態と、右扉開放フラグ723a又は左扉開放フラグ723bの値(オン又はオフ)とに応じて、後述する扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)の結果として、右扉ソレノイド177及び左扉ソレノイド184に対し、励磁電流の通電(オン)又は通電遮断(オフ)が指示される。
具体的には、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ723eがオンである場合(ソレノイドオフカウンタ723dの起動中)において、扉ソレノイド出力オフデータ722a1の0ビット目722a2が「1」である場合には、右扉開放フラグ723aがオンであれば、右扉ソレノイド177に対し励磁電流の通電(オン)が指示されるが、右扉開放フラグ723aがオフであれば、右扉ソレノイド177に対し励磁電流の通電遮断(オフ)が指示される。一方で、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ723eがオンである場合(ソレノイドオフカウンタ723dの起動中)において、扉ソレノイド出力オフデータ722a1の0ビット目722a2が「0」である場合には、右扉開放フラグ723aの値(オン又はオフ)にかかわらず、右扉ソレノイド177に対し、励磁電流の通電遮断(オフ)が指示される。即ち、右扉開放フラグ723aがオンを示し、右扉171が開放中であっても、右扉ソレノイド177に対し、励磁電流の通電遮断(オフ)が指示される。
同様に、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ723eがオンである場合(ソレノイドオフカウンタ723dの起動中)において、扉ソレノイド出力オフデータ722a1の1ビット目722a3が「1」である場合には、左扉開放フラグ723aがオンであれば、左扉ソレノイド184に対し励磁電流の通電(オン)が指示されるが、左扉開放フラグ723bがオフであれば、左扉ソレノイド184に対し励磁電流の通電遮断(オフ)が指示される。一方で、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ723eがオンである場合(ソレノイドオフカウンタ723dの起動中)において、扉ソレノイド出力オフデータ722a1の1ビット目722a3が「0」である場合には、左扉開放フラグ723bの値(オン又はオフ)にかかわらず、左扉ソレノイド184に対し励磁電流の通電遮断(オフ)が指示される。
従って、この扉ソレノイド出力オフテーブル722aによれば、ソレノイドオフカウンタ723dの値が「0」である場合には、右扉ソレノイド177は、右扉開放フラグ723aの値(オン又はオフ)に関係なく、非励磁(オフ)とされるが、左扉ソレノイド184は、左扉開放フラグ723bの値(オン又はオフ)に応じて、励磁(オン)又は非励磁(オフ)とされることになる。即ち、左扉開放フラグ723bがオンであれば、左扉ソレノイド184は励磁(オン)され、一方で、左扉開放フラグ723bがオフであれば、左扉ソレノイド184は非励磁(オン)とされる。
また、ソレノイドオフカウンタ723dの値が「1」である場合には、左扉ソレノイド184は、左扉開放フラグ723bの値(オン又はオフ)に関係なく、非励磁(オフ)とされるが、右扉ソレノイド177は、右扉開放フラグ723aの値(オン又はオフ)に応じて、励磁(オン)又は非励磁(オフ)とされることになる。即ち、右扉開放フラグ723aがオンであれば、右扉ソレノイド177は励磁(オン)され、一方で、右扉開放フラグ723aがオフであれば、右扉ソレノイド177は非励磁(オン)とされる。
なお、詳細は後述するが(例えば、図71参照)、右扉171が開放中(右扉開放フラグ723aがオン)であるにもかかわらず、扉ソレノイド出力オフデータ722a1の0ビット目722a2が「0」であることによって、右扉ソレノイド177への励磁電流が通電遮断(オフ)の状態となった場合であっても、それは、通電率が(1/2)×100%である間欠的な励磁電流における通電遮断期間であるので、右扉171は閉鎖することなく開放されたまま保たれる(又は、開放される)。また、左扉172についても同様に、開放中(左扉開放フラグ723bがオン)であるにもかかわらず、扉ソレノイド出力オフデータ722a1の1ビット目722a3が「0」であることによって、左扉ソレノイド184への励磁電流が通電遮断(オフ)の状態となった場合も、左扉172は閉鎖することなく開放されたまま保たれる(又は、開放される)。
ソレノイドオフカウンタ指定値テーブル722bは、図49(b)に示すように、変動パターンコマンドX1〜Xnの各々に対して、それぞれ、ソレノイドオフカウンタ723dの初期値として設定する値が指定値として予め対応付けられている。より詳細には、変動パターンコマンドX1〜Xnの各々に対応するアドレスに、ソレノイドオフカウンタ723dを起動する際に設定される初期値とする値(指定値)が格納されている。そして、表示制御装置505が変動パターンコマンドを受信すると、後述するコマンド受信処理(図70参照)により、その変動パターンコマンドに対応するアドレスに記憶される指定値が読み出され、ソレノイドオフカウンタ指定値メモリ723hに格納される。なお、このソレノイドオフカウンタ指定値テーブル722bに格納されている指定値としては、ソレノイドオフカウンタ723dにより計数可能な範囲の中の1つの値が格納されている。例えば、本実施形態では、ソレノイドオフカウンタ723dの値は「0」又は「1」であるので、指定値として「0」又は「1」が格納されている。
なお、このソレノイドオフカウンタ指定値テーブル722bにおいて、変動パターンコマンドX1〜Xnの各々に対応付けられている指定値は、それぞれの変動パターンコマンドに基づいて表示制御装置505で実行される変動パターンに対して最も関連の低い可動部材(本実施形態では、右扉171又は左扉172)に対応するソレノイド(本実施形態では、右扉ソレノイド177又は左扉ソレノイド184)への通電が優先的に遮断されるようなソレノイドオフカウンタ723dの値である。従って、後述する扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)により、励磁電流を通電すべきソレノイドの数が、表示制御装置505に対して予め割り当てられた数を超える、特に、[(新たに通電を開始すべきソレノイドの数)−(該検出より前から通電されていたソレノイドの数)]が、表示制御装置505に対して予め割り当てられた数を超えると検出された場合には、主制御装置561から送信された変動パターンコマンドに応じて、その変動パターンコマンドに対応する変動パターンに最も関連の低い可動部材に対応するソレノイドへの通電が優先的に遮断される(オフされる)。換言すると、その場合には、受信した変動パターンコマンドに応じて優先すべき可動部材(右扉171又は左扉172)に対応するソレノイドに対して優先的に通電されることになる。
ソレノイド制御データメモリ723cに記憶されるソレノイド制御データは、図49(c)に示すような1バイトのデータである。この1バイトのデータにおける0ビット目が、右扉ソレノイド177の駆動を制御する値を格納するビットとして割り当てられており、更に、1ビット目が、左扉ソレノイド184の駆動を制御する値を格納するビットとして割り当てられている。これらの0ビット目又は1ビット目に格納される値が「1」であれば、対応するソレノイド177,184への励磁電流の通電(オン)を指示し、一方で、「0」であれば、対応するソレノイド177,184への励磁電流の通電遮断(オフ)を指示する。
このソレノイド制御データ(ソレノイド制御データメモリ723cに記憶される値)が、後述する扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)の結果として、出力ポート728に出力されると、0ビット目及び1ビット目の状態に応じて、右扉ソレノイド177及び左扉ソレノイド184が、オン又はオフされて、それによって、右扉171及び左扉172がそれぞれ独立して開放又は閉鎖される。具体的には、出力ポート728へ出力されたソレノイド制御データにおける0ビット目が「1」である場合には、右扉ソレノイド177が励磁(オン)されるので、右扉171が開放する。また、0ビット目が「0」である場合には、右扉ソレノイド177が非励磁(オフ)とされる。この場合、右扉開放フラグ723aがオフであれば、右扉171は閉鎖状態とされる(又は、閉鎖状態のままである)。一方で、右扉開放フラグ723aがオンである場合には、右扉ソレノイド177に印加される通電率(1/2)×100%の間欠的な励磁電流の通電における非励磁期間に相当するので(例えば、図70参照)、右扉171は閉鎖することなく開放されたままに保たれる(又は、開放される)。
ここで、図50および図51を参照して、第1図柄表示装置81に表示される第1図柄と、第1図柄表示装置81の表示内容とについて説明する。図50は、第1図柄を個々に示す図面であり、図51は、第1図柄表示装置81の表示画面Gを説明するための図面であり、図51(a)は、表示画面Gの領域区分設定と有効ライン設定とを模式的に示した図であり、図51(b)は、実際の表示画面Gを例示した図である。
第1図柄は、「0」から「9」の数字を付した10種類の主図柄と、この主図柄より小さく形成された花びら形状の1種類の副図柄とにより構成されている。各主図柄は、図50(a)から図50(i)に示すように、木箱よりなる後方図柄の上に「0」から「9」の数字を付して構成され、そのうち奇数番号(1,3,5,7,9)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯に大きな数字が付加されている。これに対し、偶数番号(0,2,4,6,8)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯にお守り、風呂敷、ヘルメット等のキャラクタを模した付属図柄が付加されており、付属図柄の右下側に偶数の数字が緑色で小さく、且つ、付属図柄の前側に表示されるように付加されている。
また、詳細は後述するが、本実施形態のパチンコ機10においては、同一の主図柄が揃った場合に大当たりが発生するように構成されている。この場合、奇数番号が付加された主図柄は「高確率図柄」に相当し、当該高確率図柄が揃って大当たりとなると、特別遊技状態に遷移して特定入賞口65aが所定時間にわたって所定回数開放し、さらにその後、高確率状態に移行する。一方、偶数番号が付加された主図柄は「低確率図柄」に相当し、当該低確率図柄が揃って大当たりとなると、特別遊技状態に遷移するが、かかる場合には高確率状態には移行しない。ここで、高確率状態とは、第1図柄の組合せが予め定めた確率変動図柄の組合せとなって大当たりになり、付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動(確変)の時をいう。また、通常状態(低確率状態)とは、確変でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。
次に、第1図柄表示装置81の表示画面Gについて説明する。図51(a)に示すように、第1図柄表示装置81の表示画面Gは、大きくは上下に2分割され、下側の2/3が第1図柄を変動表示する主表示領域Dm、それ以外の上側の1/3が予告演出やキャラクタを表示する副表示領域Dsとなっている。
主表示領域Dmには、左・中・右の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が表示される。各図柄列Z1〜Z3には、前述した第1図柄が規定の順序で表示される。即ち、各図柄列Z1〜Z3には、数字の昇順または降順に主図柄が配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配列されている。このため、各図柄列には、10個の主図柄と10個の副図柄の計20個の第1図柄が設定され、各図柄列Z1〜Z3毎に周期性をもって上から下へとスクロールして変動表示が行われる。特に、左図柄列Z1においては主図柄の数字が降順に現れるように配列され、中図柄列Z2及び右図柄列Z3においては主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。
また、主表示領域Dmには、各図柄列Z1〜Z3毎に上・中・下の3段に第1図柄が表示される。従って、第1図柄表示装置81には、3段×3列の計9個の第1図柄が表示される。この主表示領域Dmには、5つの有効ライン、即ち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5が設定されている。そして、毎回の遊技に際して、左図柄列Z1→右図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、その停止時にいずれかの有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示される。
副表示領域Dsは、主表示領域Dmよりも上方に横長に設けられており、さらに左右方向に3つの予告領域Ds1〜Ds3に等区分されている。ここで、左右の予告領域Ds1,Ds3は、ソレノイドで電気的に開閉される両開き式の不透明な扉で通常覆われており、時としてソレノイドが励磁されて扉が手前側に開放されることにより遊技者に視認可能となる表示領域となっている。中央の予告領域Ds2は、扉で覆い隠されずに常に視認できる表示領域となっている。
実際の表示画面では、図51(b)に示すように、主表示領域Dmに第1図柄の主図柄と副図柄とが合計9個表示される。副表示領域Dsにおいては、左右の扉が閉鎖された状態となっており、左右の予告領域Ds1,Ds3が覆い隠されて表示画面が視認できない状態となっている。変動表示の途中において、左右のいずれか一方、または両方の扉が開放されると、左右の予告領域Ds1,Ds3に動画が表示され、通常より大当たりへ遷移し易い状態であることが遊技者に示唆される。中央の予告領域Ds2では、通常は、所定のキャラクタ(本実施形態ではハチマキを付けた少年)が所定動作をし、時として所定動作とは別の特別な動作をしたり、別のキャラクタが現出する等して予告演出が行われる。なお、第1図柄表示装置81の表示画面は、原則として上下の表示領域Dm,Dsに区分されているが、各表示領域Dm,Dsを跨いでより大きく第1図柄やキャラクタ等を表示して表示演出を行うことができる。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本実施の形態では、主制御装置561内のMPU701は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や第1図柄表示装置81の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図52に示すように、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、第1図柄表示装置81の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、第1図柄表示装置81が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、第1図柄表示装置81の変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1,CS2と、左列、中列及び右列の各外れ図柄の設定に使用する左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを用いることとしている。また、第2図柄表示装置82の抽選には第2図柄乱数カウンタC4が用いられる。
このうち、カウンタC1〜C3,CINI,CS1,CS2は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、MPU701内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM703の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM703には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、第1入球口64への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜676)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第1入球口64に入賞したタイミングでRAM703の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「337,673」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は10で、その値は「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」である。
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、第1図柄表示装置81の変動停止時の図柄を決定するものであり、本実施の形態では、第1図柄表示装置81において有効ラインが5ラインであり、特定図柄(主図柄)が10通り設定されているので、50個(0〜49)のカウンタ値が用意されている。即ち、大当たり図柄カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第1入球口64に入賞したタイミングでRAM703の保留球格納エリアに格納される。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。例えば、リーチ乱数カウンタC3=0,1は前後外れリーチに該当し、リーチ乱数カウンタC3=2〜21は前後外れ以外リーチに該当し、リーチ乱数カウンタC3=22〜238は完全外れに該当する。なお、リーチの抽選は、第1図柄表示装置81の抽選確率の状態や変動開始時の作動保留球数等に応じて各々個別に設定されるものであっても良い。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第1入球口64に入賞したタイミングでRAM703の保留球格納エリアに格納される。
2つの変動種別カウンタCS1,CS2のうち、一方の変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、他方の変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS1を「第1変動種別カウンタ」、CS2を「第2変動種別カウンタ」ともいう。
第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、第1図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様が決定され、第2変動種別カウンタCS2によって、リーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。また、第1変動種別カウンタCS1だけで図柄変動態様を決定したり、第1変動種別カウンタCS1と停止図柄との組み合わせで同じく図柄変動態様を決定したりすることも可能である。変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、第1図柄表示装置81による第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCS1,CS2のバッファ値が取得される。
左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、大当たり抽選が外れとなった時に左図柄列Z1、中図柄列Z2、右図柄列Z3の外れ停止図柄を決定するためのものであり、各列の各段には主図柄及び副図柄の合わせて20の第1図柄の何れかが表示されることから、各々に20個(0〜19)のカウンタ値が用意されている。外れ図柄カウンタCLにより左図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCMにより中図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCRにより右図柄列の上・中・下段の各図柄が決定される。
本実施の形態では、MPU701に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する。即ち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算結果が最大値を超えた場合に20減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして通常処理内で更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、RAM703の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。そして、第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかのバッファ値が取得される。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、リーチ乱数カウンタC3、変動種別カウンタCS1,CS2の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
第2図柄乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。第2図柄乱数カウンタC4は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が左右何れかの第2入球口(スルーゲート)67を通過したことが検知された時に取得される。当選することとなる乱数の値の数は149あり、その範囲は「5〜153」となっている。
次に、図53から図62のフローチャートを参照して、主制御装置561内のMPU701により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU701の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2ミリ秒(以下「ms」で表す)周期で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図59は、タイマ割込処理を示したフローチャートである。タイマ割込処理は、主制御装置561のMPU701により所定の時間間隔毎(本実施の形態では2ms毎)に実行される。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S601)。即ち、主制御装置561に接続されている各種スイッチ(但し、RAM消去スイッチ623を除く)の状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。次に、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する(S602)。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM703の該当するバッファ領域に格納する。
更に、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する(S603)。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、676,49,238)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM703の該当するバッファ領域に格納する。その後は、第1入球口64への入賞に伴う始動入賞処理を実行する(S604)。
図60のフローチャートを参照して、この始動入賞処理を説明する。まず、遊技球が第1入球口64に入賞(始動入賞)したか否かを作動口スイッチ524の検出情報により判別する(S701)。遊技球が第1入球口64に入賞したと判別されると(S701:Yes)、第1図柄表示装置81の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する(S702)。第1入球口64への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であれば(S702:Yes)、作動保留球数Nを1加算し(S703)、更に、前記ステップS603で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM703の保留球格納エリアの空き保留エリアのうち最初のエリアに格納する(S704)。一方、第1入球口64への入賞がないか(S701:No)、或いは、第1入球口64への入賞があっても作動保留球数N<4でなければ(S702:No)、S703及びS704の各処理をスキップして、始動入賞処理を終了する。
なお、遊技球が第1入球口64に入賞(始動入賞)した場合、それに伴い第1図柄表示装置81による第1図柄の変動表示が開始されることとなるが、始動入賞後、第1図柄が変動し図柄停止に至るまでには所定時間(例えば5秒)が経過していなければならないという制約がある。そこで、上記始動入賞処理では、始動入賞が確認された場合、各カウンタ値の格納処理(S704)の後に、始動入賞後の経過時間を計るためのタイマをセットする。具体的には、上記始動入賞処理は2ms周期で実行されるため、例えば5秒の経過時間を計測するにはタイマに数値「2500」をセットし、始動入賞処理の都度、タイマ値を1ずつ減算する。このタイマ値は、その時々の各カウンタC1〜C3の値と共に、RAM703の保留球格納エリアに格納され管理される。そして、後述する第1図柄の変動パターン設定に際しては、上記タイマ値が参照され、残り時間に応じて(所定時間経過後に図柄変動が停止されるよう)変動パターンが設定される。
再度、図59に戻って説明する。この始動入賞処理の終了後は、大開放口ソレノイド581への駆動信号を各種状況に応じて出力するソレノイド制御データ出力処理を実行する(S605)。
ここで、図61のフローチャートを参照して、このソレノイド制御データ出力処理を説明する。このソレノイド制御データ出力処理では、まず、ソレノイド制御データメモリ703cの値をクリアする(S1401)。即ち、ソレノイド制御データメモリ703c(図48参照)を構成する全てのビットに「0」をセットする。
次に、大開放口開放フラグ703bがオンか否かを確認し(S1402)、オンであれば(S1402:Yes)、ソレノイド制御データメモリ703cの値の0ビット目に「1」をセットし(S1404)、ソレノイド制御データメモリ703cに記憶される値を、入出力ポート705へ出力し(S1403)、このソレノイド制御データ出力処理を終了する。
一方、S1402の処理により確認した結果、大開放口開放フラグ703bがオフであれば(S1402:No)、S1407の処理をスキップして、S1403の処理へ移行する。
S1403の処理により、ソレノイド制御データメモリ703cに記憶される値(ソレノイド制御データ)が入出力ポート705へ出力されると、出力されたソレノイド制御データの0ビット目の値に応じて、大開放口ソレノイド581がオン又はオフされる。従って、大開放口フラグ703bがオンされている間、即ち、特定入賞口(大開放口)65aが開放中である間は、S1403の処理において、0ビット目が「1」であるソレノイド制御データメモリ703の値が入出力ポート705へ出力される。その結果として、特定入賞口(大開放口)65aが開放中である間、大開放口ソレノイド581に励磁電流が連続的に通電される。
そして、ソレノイド制御データ出力処理の終了後は、MPU701は本タイマ割込処理を一旦終了する。
図62は、NMI割込処理を示したフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置561のMPU701により実行される。このNMI割込処理により、電源遮断時の主制御装置561の状態がRAM703のバックアップエリア703aに記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路742から主制御装置561内のMPU701のNMI端子に出力され、MPU701は実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始する。図62のNMI割込処理のプログラムは、主制御装置561のROM702に記憶されている。停電信号SG1が出力された後所定時間は、主制御装置561の処理が実行可能となるように電源部741から電源供給がなされており、この所定時間内にNMI割込処理が実行される。
NMI割込処理では、まず、使用レジスタをRAM703のバックアップエリア703aに退避し(S801)、スタックポインタの値を同バックアップエリア703aに記憶する(S802)。更に、電源遮断の発生情報をバックアップエリア703aに設定し(S803)、電源が遮断されたことを示す電源遮断通知コマンドを他の制御装置に対して送信する(S804)。RAM判定値を算出し、バックアップエリア703aに保存する(S805)。RAM判定値は、例えば、RAM703の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。その後は、RAM703のアクセスを禁止して(S806)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置611でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、停電の発生等による電源遮断時の払出発射制御装置611の状態がRAM713のバックアップエリア713aに記憶される。停電信号SG1が出力された後所定時間は、払出発射制御装置611の処理が実行可能となるように電源部741から電源供給がなされるのも同様である。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路742から払出発射制御装置611内のMPU711のNMI端子に出力され、MPU711は実行中の制御を中断して図62のNMI割込処理を開始する。その内容はステップS804の電源遮断通知コマンドの送信を行なわない点を除き上記説明と同様である。
図53は、主制御装置561内のMPU701により実行されるメイン処理を示したフローチャートである。このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。メイン処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S101)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置562、払出発射制御装置611等)が動作可能な状態になるのを待つために、ウェイト処理(例えば1秒程度)を実行する。次いで、払出発射制御装置611に対して払出許可コマンドを送信した後(S102)、RAM703のアクセスを許可する(S103)。
その後は、電源装置612に設けたRAM消去スイッチ623がオンされているか否かを判別し(S104)、オンされていれば(S104:Yes)、バックアップデータをクリア(消去)するべく、処理をS114へ移行する。一方、RAM消去スイッチ623がオンされていなければ(S104:No)、更にRAM703のバックアップエリア703aに電源遮断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S105)、記憶されていなければ(S105:No)、バックアップデータは記憶されていないので、この場合にも、処理をS114へ移行する。バックアップエリア703aに電源遮断の発生情報が記憶されていれば(S105:Yes)、RAM判定値を算出し(S106)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S107:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS114へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM703の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM703の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ623を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ623が押されていれば、RAM703の初期化処理(S114〜S116)に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM703の初期化処理(S114〜S116)に移行する。即ち、S114からのRAM703の初期化処理では、RAM703の使用領域を0にクリアし(S114)、RAM703の初期値を設定する(S115)。その後、割込みを許可し(S116)、後述する通常処理に移行する。なお、このRAM703の初期化処理(S114〜S116)がなされると、大開放口フラグ703bはオフを示し、ソレノイド制御データメモリ703cの値は0クリアされた状態となる。
一方、RAM消去スイッチ623がオンされておらず(S104:No)、電源遮断の発生情報が記憶されており(S105:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S107:Yes)、処理をS108へ移行して復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。即ち、復電時の処理では、電源遮断時のスタックポインタを復帰させ(S108)、電源遮断の発生情報をクリアする(S109)。次に、サブ側の制御装置を電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時のコマンドを送信し(S110)、使用レジスタをRAM703のバックアップエリア703aから復帰させる(S111)。更に、電源断前に割込みが許可状態にあったか否かを確認し(S112)、割込みが許可状態であれば(S112:Yes)、割込みを許可し(S113)、一方、電源断時に割込みが禁止状態にあれば(S112:No)、割込みを禁止したまま、処理を電源遮断前の番地へ戻す。
次に、図54のフローチャートを参照して通常処理を説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4ms周期の定期処理としてS201〜S207の各処理が実行され、その残余時間でS209,S210のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理においては、まず、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する(S201)。具体的には、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出発射制御装置611に対して獲得遊技球数に対応する賞球払出コマンドを送信する。また、第1図柄表示装置81による第1図柄の変動表示に際して停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等を表示制御装置505に送信する。なお、第1図柄の変動開始後において、変動パターンコマンド→左図柄列Z1の停止図柄コマンド→中図柄列Z2の停止図柄コマンド→右図柄列Z3の停止図柄コマンドの順で通常処理の都度1つずつ(即ち、4ms毎に1つずつ)コマンドが送信され、変動時間終了のタイミングで確定コマンドが送信されるようになっている。
次に、変動種別カウンタCS1,CS2の各値を更新する(S202)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM703の該当するバッファ領域に格納する。更に、外れ図柄カウンタ更新処理により、左図柄列Z1、中図柄列Z2及び右図柄列Z3の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新を実行する(S203)。
ここで、図55を参照して、外れ図柄カウンタ更新処理を説明する。まず、左図柄列Z1の外れ図柄カウンタCLの更新時期か否かを判別し(S301)、更新時期であれば(S301:Yes)、左図柄列Z1の外れ図柄カウンタCLを更新する(S303)。次に、左図柄列Z1の更新時期でなければ(S301:No)、中図柄列Z2の外れ図柄カウンタCMの更新時期か否かを判別し(S302)、更新時期であれば(S302:Yes)、中図柄列Z2の外れ図柄カウンタCMを更新する(S304)。更に中図柄列Z2の更新時期でなければ(S302:No)、右図柄列Z3の更新時期なので、右図柄列Z3の外れ図柄カウンタCRを更新する(S305)。
上記S303〜S305の各処理における外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新では、前回のカウンタ値にRレジスタの下位3ビットの値を加算すると共にその加算結果が最大値を超えた場合に20を減算し、その演算結果を外れ図柄カウンタCL,CM,CRの今回値とする。上記CL,CM,CRの更新処理によれば、左図柄列Z1、中図柄列Z2及び右図柄列Z3の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRが1回の通常処理で1つずつ順に更新されるので、各カウンタ値の更新時期が重なることはない。これにより、通常処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCL,CM,CRの1セット分が更新される。
その後、上記更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが大当たり図柄の組み合わせになっているか否かを判別し(S306)、大当たり図柄の組み合わせであれば(S306:Yes)、そのまま本処理を終了する。大当たり図柄の組み合わせでなければ(S306:No)、リーチ図柄の組み合わせになっているか否かを判別し(S307)、リーチ図柄の組み合わせであれば(S307:Yes)、更にそれが前後外れリーチであるか否かを判別する(S308)。前後外れリーチの組み合わせであれば(S308:Yes)、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM703の前後外れリーチ図柄バッファに格納する(S309)。外れ図柄カウンタCL,CM,CRが前後外れ以外リーチの組み合わせであれば(S308:No)、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM703の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納する(S310)。外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが大当たり図柄の組み合わせでなく(S306:No)、且つリーチ図柄の組み合わせでもなければ(S307:No)、外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせはリーチ図柄以外の外れ図柄の組み合わせになっているので、かかる場合には、その外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM703の完全外れ図柄バッファに格納する(S311)。
外れ図柄カウンタCL,CM,CR更新処理(S203)の終了後は、図54の通常処理へ戻って、払出発射制御装置611より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S204)、第1図柄表示装置81による第1図柄の変動表示を行うための第1図柄変動処理を実行する(S205)。この第1図柄変動処理により、大当たり判定や第1図柄の変動パターンの設定などが行われる。なお、第1図柄変動処理の詳細は図56を参照して後述する。
第1図柄変動処理の終了後は、大当たり状態である場合において可変入賞装置32の特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための大開放口開閉処理を実行する(S206)。
ここで、図58のフローチャートを参照して、大開放口開閉処理(S206)を説明する。大開放口開閉処理では、まず、その時点において大当たり中であるか否かを確認する(S1301)。なお、大当たり中としては、大当たりの際に第1図柄表示装置81で表示される大当たり遊技の最中と大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。S1301の処理により確認した結果、大当たり中であれば(S1301:Yes)、大開放口開放フラグ703bをオンする(S1302)。
S1302の処理により、大開放口開放フラグ703bがオンされると、上述したソレノイド制御データ出力処理(S605)に従って大開放口ソレノイド581への間欠的な励磁電流の印加(通電)が開始され、その結果として、特定入賞口(大開放口)65aが開放する。
S1302の処理の後、特定入賞口(大開放口)65aの最大開放時間(例えば、30秒)が経過したか否かを確認する(S1303)。この場合に、最大開放時間がまだ経過していなければ(S1303:No)、特定入賞口(大開放口)65aに遊技球が規定数(例えば、10個)入賞したか否かを確認する(S1304)。
S1303の処理により、特定入賞口(大開放口)65aの最大開放時間が経過したと確認された場合(S1303:Yes)、又は、S1304の処理により、特定入賞口(大開放口)65aに遊技球が規定数入賞したと確認された場合には(S1304:Yes)、大当たり状態の1ラウンドが終了したものとして、大開放口開放フラグ703bをオフする(S1305)。
S1305の処理により、大開放口開放フラグ703bがオフされると、上述したソレノイド制御データ出力処理(S605)に従って大開放口ソレノイド581への励磁電流の通電が遮断され、その結果として、特定入賞口(大開放口)65aが閉鎖する。
一方、S1305の処理により確認した結果、特定入賞口(大開放口)65aに、遊技球が未だ規定数入賞していなければ(S1304:Yes)には、S1305の処理をスキップして、この大開放口開閉処理を終了する。
また、S1301の処理により確認した結果、今現在大当たり中でなければ(S1301:No)、S1310の処理へ移行する。
即ち、上記の大開放口開閉処理は、大当たり状態のラウンド毎に特定入賞口65aを開放し、特定入賞口65aの最大開放時間が経過したか、又は特定入賞口65aに遊技球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると特定入賞口65aを閉鎖する。なお、このとき、遊技球が特定領域を通過したことを条件に特定入賞口65aの連続開放を許容するものとし、特定入賞口65aの開放及び閉鎖を所定ラウンド数(例えば、最高で16ラウンド)繰り返し実行する処理である。
再度、図54に戻って説明する。大開放口開閉処理の後、第2図柄表示装置82による第2図柄(例えば「○」又は「×」の図柄)の表示制御を実行する(S207)。簡単に説明すると、遊技球が第2入球口(スルーゲート)67を通過したことを条件に、その通過したタイミングで第2図柄乱数カウンタC4の値が取得されると共に第2図柄表示装置82の表示部83にて第2図柄の変動表示が実施される。そして、第2図柄乱数カウンタC4の値により第2図柄の抽選が実施され、第2図柄の当たり状態になると、第1入球口64に付随する電動役物が所定時間開放される。なお、図示は省略したが、第2図柄乱数カウンタC4も、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3と同様に、図59に示すタイマ割込処理により更新される。
その後は、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4ms)が経過したか否かを判別し(S208)、既に所定時間が経過していれば(S208:Yes)、処理をS201へ移行し、前述したS201以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、前回の通常処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S208:No)、所定時間に至るまでの、即ち次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する(S209,S210)。まず、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する(S209)。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM703の該当するバッファ領域に格納する。次に、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する(S210)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM703の該当するバッファ領域に格納する。
ここで、S201〜S207の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(即ち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1,CS2についてもランダムに更新することができる。
次に、図56及び図57のフローチャートを参照して、第1図柄変動処理(S205)を説明する。第1図柄変動処理では、まず、今現在大当たり中であるか否かを判別する(S401)。大当たり中としては、大当たりの際に第1図柄表示装置81で表示される大当たり遊技の最中と大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判別の結果、大当たり中であれば(S401:Yes)、そのまま本処理を終了する。
大当たり中でなければ(S401:No)、第1図柄表示装置81による第1図柄の変動表示中であるか否かを判別し(S402)、第1図柄の変動表示中でなければ(S402:No)、第1図柄表示装置81の作動保留球数Nが0よりも大きいか否かを判別する(S403)。作動保留球数Nが0であれば(S403:No)、そのまま本処理を終了する。作動保留球数N>0であれば(S403:Yes)、作動保留球数Nを1減算し(S404)、保留球格納エリアに格納されたデータをシフト処理する(S405)。このデータシフト処理は、保留球格納エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。データシフト処理の後は、第1図柄の変動開始処理を実行する(S406)。なお、変動開始処理については図57を参照して後述する。
S402の処理において、第1図柄の変動表示中である場合には(S402:Yes)、変動時間が経過したか否かを判別する(S407)。第1図柄の変動時間はその第1図柄の変動パターンに応じて決められており、この変動時間が経過するまで、S408の処理の実行をスキップする(S407:No)。一方、第1図柄の変動時間が経過すれば(S407:Yes)、停止図柄の確定のために設定されている確定コマンドを設定して(S408)、本処理を終了する。
次に、図57のフローチャートを参照して、変動開始処理を説明する。変動開始処理(S406)では、まず、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する(S501)。大当たりか否かは大当たり乱数カウンタ値とその時々のモードとの関係に基づいて判別される。前述した通り通常の低確率時には大当たり乱数カウンタC1の数値0〜676のうち「337,673」が当たり値であり、高確率時には「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」が当たり値である。
大当たりであると判別された場合(S501:Yes)、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり図柄カウンタC2の値に対応する図柄、即ち大当たり図柄を大当たり図柄カウンタC2の値と図柄との対応関係を表す図示しないテーブルに基づいて求め、その図柄を停止図柄コマンドに設定する(S502)。このとき、大当たり図柄カウンタC2の数値0〜49は、全5つの有効ライン上における50通りの大当たり図柄の何れかに対応しており、停止図柄コマンドには50通りの大当たり図柄の何れかが設定される。これらの大当たり図柄のうち、予め定められた特定図柄(本実施形態では、奇数番号の主図柄)で揃った場合には以後確変状態に移行するが、特定図柄でない図柄(本実施形態では、偶数番号の主図柄)で揃った場合には確変状態に移行しない。
次に、大当たり図柄で停止するまでの第1図柄の変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S503)。このとき、RAM703のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄Z2)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)等、より細かな図柄変動態様を決定する。なお、第1変動種別カウンタCS1の数値とリーチパターンとの関係、第2変動種別カウンタCS2の数値と停止図柄時間との関係は、それぞれにテーブル等により予め規定されている。但し、上記変動パターンは、第2変動種別カウンタCS2の値を使わずに第1変動種別カウンタCS1の値だけを用いて設定することも可能であり、第1変動種別カウンタCS1の値だけでパターン設定するか又は両変動種別カウンタCS1,CS2の両値でパターン設定するかは、その都度の第1変動種別カウンタCS1の値や遊技条件などに応じて適宜決められる。これは、後述する前後外れリーチ表示、前後外れ以外リーチ表示、完全外れ表示を行なう場合における変動パターンの設定でも同様である。
S501の処理で大当たりではないと判別された場合には(S501:No)、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているリーチ乱数カウンタC3の値に基づいてリーチ発生か否かを判別し(S504)、リーチ発生の場合には(S504:Yes)、同じくリーチ乱数カウンタC3の値に基づいて前後外れリーチであるか否かを判別する(S505)。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3の値は0〜238の何れかであり、そのうち「0,1」が前後外れリーチに該当し、「2〜21」が前後外れ以外リーチに該当し、「22〜238」がリーチなし(完全外れ)に該当する。
前後外れリーチ発生の場合(S505:Yes)、RAM703の前後外れリーチ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する(S506)。また、前後外れリーチ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S507)。このとき、S503の処理と同様に、RAM703のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様を決定する。
前後外れ以外リーチ発生の場合(S505:No)、RAM703の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する(S508)。また、前後外れ以外リーチ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S509)。このとき、RAM703のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値に基づいて変動パターンが決定されるのはS503の処理と同様である。
大当たりでなくリーチでもない場合には(S501:No,S504:No)、RAM703の完全外れ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する(S510)。また、完全外れ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S511)。このとき、RAM703のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値に基づいて変動パターンが決定されるのはS503の処理と同様である。上記の通り大当たり時、リーチ発生時、リーチ非発生時のいずれかで停止図柄コマンド及び変動パターンコマンドの設定が完了すると、本処理を終了する。
次に、図63を参照して、払出発射制御装置611内のMPU711により実行される払出および発射の制御について説明する。図63は、払出発射制御装置611のメイン処理を示したフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。
まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S901)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。次に、主制御装置561から送信される払出許可コマンドの受信を待機する(S902:No)。そして、払出許可コマンドを受信すると(S902:Yes)、RAMアクセスを許可すると共に(S903)、外部割込ベクタの設定を行う(S904)。
その後は、MPU711内のRAM713に関してデータバックアップの処理を実行する。具体的には、電源装置612に設けたRAM消去スイッチ623が押されているか否かを判別し(S905)、オンされていれば(S905:Yes)、バックアップデータをクリア(消去)するべく、処理をS915へ移行する。一方、RAM消去スイッチ623がオンされていなければ(S905:No)、更にRAM713のバックアップエリア713aに電源遮断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S906)、記憶されていなければ(S906:No)、バックアップデータは記憶されていないので、この場合にも、処理をS915へ移行する。バックアップエリア713aに電源遮断の発生情報が記憶されていれば(S906:Yes)、RAM判定値を算出し(S907)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S908:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS915へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM713の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM713の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S915からのRAM713の初期化処理では、RAM713の使用領域を0にクリアし(S915)、RAM713の初期値を設定する(S916)。その後、MPU711周辺デバイスの初期設定を行うと共に(S917)、割込みを許可して(S918)、後述する払出発射制御処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ623が押されておらず(S905:No)、電源遮断の発生情報が設定されており(S906:Yes)、且つRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S908:Yes)、復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。即ち、電源遮断時のスタックポインタを復帰させ(S909)、電源遮断の発生情報をクリアする(S910)。また、MPU711周辺デバイスの初期設定を行い(S911)、使用レジスタをRAM713のバックアップエリア713aから復帰させる(S912)。更に、電源断前に割込みが許可状態にあったか否かを確認し(S913)、割込みが許可状態であれば(S913:Yes)、割込みを許可し(S914)、一方、電源断時に割込みが禁止状態にあれば(S913:No)、割込みを禁止したまま、処理を電源遮断前の番地へ戻す。
次に、図64のフローチャートを参照して、払出発射制御処理を説明する。この払出発射制御処理は、払出発射制御装置611のメイン処理に続いて実行される。払出発射制御処理では、まず、主制御装置561からのコマンドを取得し、賞球の総賞球個数を記憶する(S1001)。次に、操作ハンドルのタッチセンサと回動量の状態とを検出し、必要に応じて発射ソレノイド92と電磁石104とを励磁する発射制御処理を行う(S1002)。次いで、状態復帰スイッチ621をチェックした結果、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する(S1003)。
その後、下皿301の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する(S1004)。即ち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿301の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時に、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時に、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する(S1005)。即ち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時に、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時に、タンク球無し解除状態の設定を実行する。その後、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には払出発射制御装置611に設けた7セグメントLEDにより報知する(S1006)。
次に、S1007〜S1009の各処理により、賞球払出の処理を実行する。即ち、賞球の払出不可状態でなく且つS1001の処理で記憶した総賞球個数が0でなければ(S1007:No,S1008:No)、図65に示す賞球制御処理を開始する(S1009)。一方、賞球の払出不可状態(S1007:Yes)または総賞球個数が0であれば(S1008:Yes)、貸球払出の処理に移行する。なお、賞球制御処理は後述する。
S1010〜S1012の貸球払出の処理では、貸球の払出不可状態でなく且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(S1010:No,S1011:Yes)、図66に示す貸球制御処理を開始する。一方、貸球の払出不可状態(S1010:Yes)または貸球払出要求を受信していなければ(S1011:No)、後続の球抜き処理を実行する(S1013)。なお、貸球制御処理は後述する。
球抜き処理(S1013)では、状態復帰スイッチ621をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ658aを駆動させ球抜き処理を実行する。続いて、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ660の制御(バイブモータ制御)を実行する(S1014)。その後は、本払出発射制御処理の先頭に戻り、以降は前述した処理を繰り返す。
次に、図65に示す賞球制御処理を説明する。賞球制御処理では、まず、払出モータ658aを正方向回転駆動させて賞球の払出を実行する(S1101)。払出モータ658aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別し(S1102)、正常でなければ(S1102:No)、払出モータ658aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ658aの停止処理を実行し(S1103)、その後、図64の払出発射制御処理に戻る。
また、払出モータ658aの回転が正常であれば(S1102:Yes)、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する(S1104)。遊技球のカウントが正常でなければ(S1104:No)、払出モータ658aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ658aの停止処理を実行し(S1105)、その後、図64の払出発射制御処理に戻る。
更に、遊技球のカウントが正常であれば(S1104:Yes)、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判別し(S1106)、払出が完了していれば(S1106:Yes)、払出モータ658aの停止処理を実行し(S1107)、その後、図64の払出発射制御処理に戻る。一方、払出が完了していなければ(S1106:No)、そのまま、図64の払出発射制御処理に戻る。
図66に示す貸球制御処理を説明する。貸球制御処理では、まず、払出モータ658aを逆方向回転駆動させて貸球の払出を実行する(S1201)。払出モータ658aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別し(S1202)、正常でなければ(S1202:No)、払出モータ658aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ658aの停止処理を実行し(S1203)、その後、図64の払出発射制御処理に戻る。
また、払出モータ658aの回転が正常であれば(S1202:Yes)、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する(S1204)。遊技球のカウントが正常でなければ(S1204:No)、払出モータ658aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ658aの停止処理を実行し(S1205)、その後、図64の払出発射制御処理に戻る。
更に、遊技球のカウントが正常であれば(S1204:Yes)、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が所定の貸球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判別し(S1206)、払出が完了していれば(S1206:Yes)、払出モータ658aの停止処理を実行し(S1207)、その後、図64の払出発射制御処理に戻る。一方、払出が完了していなければ(S1206:No)、そのまま、図64の払出発射制御処理に戻る。
次に、図67を参照して、表示制御装置505内のMPU721により実行される表示や演出の制御について説明する。図67は、表示制御装置505のメイン処理を示したフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。
このメイン処理では、まず、ワークRAM723及びビデオRAM724の初期化設定を行う(S1501)。なお、このS1501の初期化処理により、右扉開放フラグ723a及び左扉開放フラグ723bはいずれもオフを示し、ソレノイド制御データメモリ723c及びソレノイドオフカウンタ指定値メモリ723hの値は、それぞれ、0クリアされた状態となり、ソレノイドオフカウンタ723dの値は0を示す。また、このS1501の初期化処理により、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ723eはオフを示し、右扉オンオフカウンタ723f及び左扉オンオフカウンタ723gの値は、いずれも0を示す。
S1501の処理の後、変動表示処理を実行する(S1502)。この変動表示処理は、上述した第1図柄変動処理(図56及び図57)において設定された各種変動パターンコマンドに従う変動表示を第1図柄表示装置561で実行する。具体的には、上述した変動表示開始処理(図57参照)により設定された変動パターンコマンドに従って、第1図柄表示装置81において変動表示を開始し、上述した第1図柄変動処理(図56)により設定された確定コマンドに従って、停止図柄による確定表示を行う。また、変動表示処理では、第1図柄表示装置81における変動表示の状況に応じて、音声やランプ表示を制御する制御コマンドを音声ランプ制御装置562に送信する。
次いで、右扉開放フラグ及び左扉開放フラグ設定処理を実行する(S1503)。即ち、S1503の処理では、主制御装置561から送信された変動パターンコマンドに従ってS1501において開始された変動表示の状況に応じて、右扉開放フラグ723a、左扉開放フラグ723bを、それぞれ、オン又はオフする。
S1503の処理の後、右扉ソレノイド177及び左扉ソレノイド184への励磁電流の印加を制御する扉ソレノイド制御データ出力処理を実行する(S1504)。なお、この扉ソレノイド制御データ出力処理については、後述する。
その後は、次のS1502の処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち、S1502の処理の開始から所定時間(本実施の形態では2ms)が経過したか否かを確認し(S1505)、既に所定時間が経過していれば(S1505:Yes)、処理をS1502へ移行し、S1502〜S1504の各処理を繰り返し実行する。一方、S1505の処理により確認した結果、S1502の処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ、(S1505:No)、S1505の処理へ戻り、所定時間に到るまで、即ち、次のS1502の処理の実行タイミングに到るまで待機する。
次に、図68のフローチャートを参照して、扉ソレノイド制御データ出力処理について説明する。この扉ソレノイド制御データ出力処理では、まず、ソレノイド制御データメモリ723cの値をクリアする(S1601)。即ち、ソレノイド制御データメモリ723c(図49(c)参照)を構成する全てのビットに「0」をセットする。
次に、右扉開放フラグ723aがオンか否かを確認し(S1602)、オフであれば(S1602:No)、右扉オンオフカウンタ723fの値を「0」にリセットし(S1603)、S1604の処理へ移行する。一方で、S1602の処理により確認した結果、右扉開放フラグ723aがオンであれば(S1602:Yes)、ソレノイド制御データメモリ723cの値の0ビット目に「1」をセットし(S1613)、次いで、右扉オンオフカウンタ723fの値を+1し(S1614)、S1604の処理へ移行する。
S1601〜S1603,S1613〜S1614の処理により、この扉ソレノイド制御データ出力処理において、右扉開放フラグ723aがオフである場合には、即ち、右扉171が閉鎖している間は、右扉オンオフカウンタ723fの値は「0」に設定されるが、一度、右扉開放フラグ723aがオンを示す、即ち、右扉171の開放が開始されると、右扉オンオフカウンタ723fの値が+1されて「1」に設定される。その後、右扉開放フラグ723aがオンされている間、扉ソレノイド制御データ出力処理が起動する毎に、即ち、本実施形態では2ms毎に、右扉オンオフカウンタ723fの値が+1されていく。そして、右扉171の状態が開放から閉鎖へ移行すると、即ち、右扉開放フラグ723aのオフが検出されると、右扉オンオフカウンタ723fの値は「0」にリセットされる。従って、右扉オンオフカウンタ723fの値は、右扉171の開放されている時間の尺度を示す。
次に、S1604の処理では、左扉開放フラグ723bがオンか否かを確認する。この場合、オフであれば(S1604:No)、左扉オンオフカウンタ723gの値を「0」にリセットし(S1605)、S1606の処理へ移行する。一方で、S1604の処理により確認した結果、左扉開放フラグ723bがオンであれば(S1604:Yes)、ソレノイド制御データメモリ723cの値の1ビット目に「1」をセットし(S1615)、次いで、左扉オンオフカウンタ723gの値を+1し(S1616)、S1606の処理へ移行する。
S1601,S1604〜S1605,S1615〜S1616の処理によって、上述した右扉オンオフカウンタ723fの場合と同様に、左扉オンオフカウンタ723gの値もまた、左扉172の開放されている時間的長さを示す。従って、この左扉オンオフカウンタ723gの値と右扉オンオフカウンタ723fの値とを比較することによって、左扉172と右扉171とのいずれが先に開放されたかを知ることができる。
次に、S1606の処理では、表示制御装置505により制御される開放フラグ(本実施形態では、右扉開放フラグ723a及び左扉開放フラグ723b)の内、オンされている開放フラグの数が所定数以下(本実施形態では、1以下)であるか否かを確認する。このS1606の処理における判断基準として用いられる所定数は、電源装置612を構成する制御基板(電源基板)の電源容量に応じて、表示制御装置505に対して予め割り振られた数である。具体的には、駆動による消費電流量が、該電源容量に応じて表示制御装置505に対して許容された量以下(又は未満)となるソレノイドの数であり、本実施形態では、一例示として、その数を「1」であるとしている。なお、一方で、主制御装置561等の他の制御装置に対しても、上述した表示制御装置505と同様に、該電源容量に応じたソレノイド駆動用の最大消費電流量が割り当てられおり、各制御基板に対して割り当てられたソレノイド駆動用の最大消費電流量の総和が、該電源容量により許容される量以下(又は未満)となるように構成されている。
S1606の処理により確認した結果、オンされている開放フラグの数が所定数(本実施形態では、「1」)を超えていれば(S1606:No)、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ723eがオンであるかを確認する(S1607)。その際、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ723eがオフであることが確認された場合には(S1607:Yes)、ソレノイドオフカウンタ723dによる制御を実行中であることを示すフラグであるソレノイドオフカウンタ起動フラグ723eをオンする(S1608)。次いで、ソレノイドオフカウンタ723dの初期値を設定するソレノイドオフカウンタ設定処理を実行する(S1609)。なお、ソレノイドオフカウンタ設定処理については、図69を参照して後述する。そして、S1609の処理の後、S1610の処理へ移行する。
ここで、図69のフローチャートを参照して、ソレノイドオフカウンタ設定処理について説明する。ソレノイドオフカウンタ設定処理では、まず、各ソレノイドに対応するオンオフカウンタの値は全て同じかを確認する(S1701)。本実施形態において、表示制御装置505には、右扉オンオフカウンタ723fと左扉オンオフカウンタ723gとがオンオフカウンタとして設けられているので、S1701では、右扉オンオフカウンタ723fの値と左扉オンオフカウンタ723gの値とが同じであるかを確認する。
S1701の処理により確認した結果、右扉オンオフカウンタ723fの値と左扉オンオフカウンタ723gの値とが同じであれば(S1701:Yes)、ソレノイドオフカウンタの値を、ソレノイドオフカウンタ指定値メモリ723hに格納されている値に設定し、このソレノイドオフカウンタ設定処理を終了し、扉ソレノイド制御データ出力処理へ戻る。
従って、右扉開放フラグ273aと左扉開放フラグ273bとが同時にオンされたことによって、励磁電流を通電すべきソレノイドの数が、表示制御装置505に対して予め割り当てられた数(本実施形態では「1」)を超えると検出された場合には、S1701〜S1702の処理により、ソレノイドオフカウンタ指定値メモリ723hに格納されていた値が、ソレノイドオフカウンタ723dの初期値が設定される。即ち、その場合には、ソレノイドオフカウンタ723dの初期値が、主制御装置561から送信された変動パターンコマンドに従って行われる変動表示に対して最も関連の低い可動部材(本実施形態では、右扉171又は左扉172)に対応するソレノイドへの励磁電流の通電が遮断される(オフとなる)ような値に設定される。その結果として、変動パターンコマンドにより実行される第1図柄の変動表示とリンクして動く演出用の可動部材(右扉171又は左扉172)に自然な動きをさせることができる。
一方で、S1701の処理で確認した結果、右扉オンオフカウンタ723fの値と左扉オンオフカウンタ723gの値とが異なっていれば(S1701:No)、右扉オンオフカウンタ723fの値と左扉オンオフカウンタ723gの値とを比較し、その値が大きい方のソレノイドが、右扉オンオフカウンタ723fに対応する右扉ソレノイド177であるか、又は、左扉オンオフカウンタ723gに対応する左扉ソレノイド184であるかを確認する(S1703)。
S1703の処理で確認した結果、右扉ソレノイド177に対応する右扉オンオフカウンタ723fの値の方が大きければ(S1703:右扉ソレノイド)、ソレノイドオフカウンタの値を「0」に設定する(S1704)。一方で、S1703の処理で確認した結果、左扉ソレノイド184に対応する左扉オンオフカウンタ723gの値の方が大きければ(S1702:左扉ソレノイド)、ソレノイドオフカウンタの値を「1」に設定する(S1705)。
S1704,S1705の処理により、右扉オンオフカウンタ723f及び左扉オンオフカウンタ723gの値に応じて、ソレノイドオフカウンタ723dの値が設定されると、このソレノイドオフカウンタ設定処理を終了し、扉ソレノイド制御データ出力処理へ戻る。
従って、このソレノイドオフカウンタ設定処理によれば、右扉オンオフカウンタ723f及び左扉オンオフカウンタ723gの値に応じて、ソレノイドオフカウンタ723dの値が設定される。その際、最も早くから通電が続いているソレノイドが複数存在する場合に、第1図柄の変動パターンの種類によって規定される通電の優先度の低いソレノイドに対してまず通電が遮断されるように、ソレノイドオフカウンタ723dの値が設定される。
再度、図68に戻って説明する。S1607の処理により確認した結果、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ723eがオンであれば(S1607:Yes)、ソレノイドオフカウンタ723dの値を更新する(S1618)。具体的には、ソレノイドオフカウンタ723dの値を、「0」から「1」へ、又は、「1」から「0」へと更新する。そして、S1618の処理の後、S1610の処理へ移行する。
よって、S1607〜S1609,S1618の処理によれば、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ723eのオンが最初に検出されると、ソレノイドオフカウンタ設定処理により、右扉オンオフカウンタ723f及び左扉オンオフカウンタ723gの値に応じて、ソレノイドオフカウンタ723dの初期値が設定される。以降、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ723eがオンされている間は、ソレノイド制御データ出力処理が起動される毎、即ち、本実施の形態では、表示制御装置505で実行されるメイン処理の実行間隔である2ms毎に、ソレノイドオフカウンタ723dの値が、0〜1の範囲で順次更新される。
上述したソレノイドオフカウンタ設定処理(S1609)の実行後、又は、S1618の処理の後、扉ソレノイド出力オフテーブル722aから、ソレノイドオフカウンタ723dの値番目のデータを扉ソレノイド出力オフデータ722a1として読み出す(S1610)。具体的には、ソレノイドオフカウンタ723dの値に対応するアドレスに記憶されるデータを、扉ソレノイド出力オフデータ722a1として読み出す。
次に、S1610の処理で読み出した扉ソレノイド出力オフデータ722a1と、ソレノイド制御データメモリ723cの値との論理積をとり、その結果をソレノイド制御データメモリ723cに記憶し(S1611)、ソレノイド制御データメモリ723cに記憶される値を、出力ポート728へ出力し(S1612)、この扉ソレノイド制御データ出力処理を終了する。
S1612の処理により、ソレノイド制御データメモリ723cに記憶される値(ソレノイド制御データ)が出力ポート728へ出力されると、出力されたソレノイド制御データの0ビット目及び1ビット目の値に応じて、それぞれ、右扉ソレノイド177及び左扉ソレノイド184がオン又はオフされる。
一方、S1606の処理により確認した結果、オンされている開放フラグの数が所定数(本実施形態では、「1」)以下である場合、即ち、オンされている開放フラグの数が、電源装置612の電源容量に応じて表示制御装置505に対して予め割り振られた数以下であることが確認された場合には(S1606:Yes)、その場合は、ソレノイドオフカウンタ723dによる制御が不要であるので、ソレノイドオフカウンタ起動フラグをオフし(S1617)、S1612の処理へ移行する。
よって、S1606において、オンされている開放フラグの数が、該電源容量に応じて表示制御装置505に対して許容された消費電流量以下(又は未満)となるソレノイドの数であることが確認された場合には、S1601,S1602,S1604,S1613,S1615の処理により、右扉開放フラグ723a及び左扉開放フラグ723bの状況によって設定されるソレノイド制御データメモリ723cの値が出力ポート728へ出力される。この場合は、開放フラグ(右扉開放フラグ723a,左扉開放フラグ723b)がオンであれば、対応するビットに「1」がセットされたソレノイド制御データメモリ723cの値が、扉ソレノイド制御データ出力処理が起動する毎に(本実施形態では2ms毎に)、出力ポート728に出力される。、一方で、開放フラグ(右扉開放フラグ723a,左扉開放フラグ723b)がオフであれば、対応するビットに「0」がセットされたソレノイド制御データメモリ723cの値が、扉ソレノイド制御データ出力処理が起動する毎に(本実施形態では2ms毎に)、出力ポート728に出力される。具体的には、例えば、開放フラグのうち、右扉開放フラグ723aのみがオンされている期間は、扉ソレノイド制御データ出力処理が起動する毎に、毎回、0ビット目が「1」であるソレノイド制御データメモリ723cの値が出力ポート728へ出力され、その結果として、右扉ソレノイド177に対し、励磁電流が連続的に通電される。
一方で、S1606において、オンされている開放フラグの数が、該電源容量に応じて表示制御装置505に対して許容された消費電流量以下(又は未満)となるソレノイドの数を超えることが確認された場合には、S1612の処理により出力ポート728へ出力されるソレノイド制御データメモリ723cの値は、S1611において、ソレノイドオフカウンタ723dの値に応じた扉ソレノイド出力オフデータ722a1と、右扉開放フラグ723a又は左扉開放フラグ723bの示す値に応じてS1601,S1602,S1604,S1613,S1615の処理により設定されるソレノイド制御データメモリ723cの値とに基づいて(論理積によって)得られたものである。
よって、例えば、右扉開放フラグ723aがオンを示したことにより、S1613の処理においてソレノイド制御データメモリ723cの0ビット目に「1」がセットされた場合であっても、ソレノイドオフカウンタ723dの値が「0」である場合には、ソレノイド出力オフデータ722a1の0ビット目722a2の値は「0」であるので、S1611の処理においてこれらの値の論理積を取った結果、出力ポート728に出力される(S1612の処理により)ソレノイド制御データメモリ723cの0ビット目は「0」となる。従って、右扉開放フラグ723aがオンを示し、右扉171が開放中であっても、ソレノイドオフカウンタ723dの値が「1」である場合には、右扉ソレノイド177は非励磁の状態となる。
上述のように、ソレノイドオフカウンタ723dの値の更新は2ms毎に行われるので、右扉開放フラグ723aがオンを示す場合には、2msの励磁期間と2msの非励磁期間とを1周期とする間欠的な励磁電流、即ち、通電率が50(=(1/2)×100)%である励磁電流が右扉ソレノイド177に通電されることになる。上記のように励磁期間(2ms)と非励磁期間(2ms)とが繰り返される間欠的な励磁電流を通電した場合、非励磁期間において励磁電流の通電が遮断されても、右扉171は、閉鎖することなく、右扉開放フラグ723aがオフされるまで開放されたままに保たれる。一方、左扉ソレノイド184への励磁電流の印加(通電)も、上記した右扉ソレノイド177への励磁電流の印加(通電)と同様である。
なお、本実施の形態では、各ソレノイドに対する励磁期間及び非励磁時間を、いずれも、表示制御装置505で実行されるメイン処理の実行間隔に等しい2msとしたが、ソレノイド制御データ出力処理を所定時間毎に起動するタイマ割込処理で実行されるものとし、そのタイマ割込処理を2msより短い間隔(例えば、1msや500μsや100μs等)で起動させるようにしてもよい。この場合、例えば、タイマ割込みの間隔が500μsであれば、各ソレノイドへに対し、500μsの励磁期間と500μsの非励磁期間とを1周期とする励磁電流の通電(通電率=50%)が行われることになる。
次に、図70を参照して、表示制御装置505が主制御装置561から変動パターンコマンドを受信した場合に行われる処理について説明する。図70は、表示制御装置505のMPU721により実行されるコマンド受信処理を示したフローチャートであり、このコマンド受信処理は、表示制御装置505が、主制御装置561から送信された変動パターンコマンドを初めとする各種コマンドを受信した場合に起動する割込処理である。
このコマンド受信処理では、まず、受信したコマンドが変動パターンコマンドであるか否かを確認する(S2101)。S2101で確認した結果、受信したコマンドが変動パターンコマンドあれば(S2101:Yes)、ソレノイドオフカウンタ指定値テーブル722bを参照し、受信した変動パターンコマンドに対応する指定値を、ソレノイドオフカウンタ指定値メモリ723hに格納し(S2102)、S2103の処理へ移行する。
上述したように、ソレノイドオフカウンタ指定値テーブル722bには、主制御装置505において遊技状態に応じて設定された変動パターンコマンドと、その変動パターンコマンドに従う第1図柄表示装置81における変動表示に対して最も関連の低い可動部材対応するソレノイド(右扉ソレノイド177又は左扉ソレノイド184)への励磁電流の通電が遮断される(オフとなる)ようなソレノイドオフカウンタ723dの値とが対応付けられている。よって、S2103の処理により、ソレノイドオフカウンタ指定値テーブル722bから、受信した変動パターンコマンドに応じたソレノイドオフカウンタ723dの初期値が選択されて、ソレノイドオフカウンタ指定値メモリ723dに、指定値として格納されることになる。このようにソレノイドオフカウンタ指定値メモリ723dに格納された指定値は、扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)において、励磁電流を通電すべきソレノイドの数が、表示制御装置505に対して予め割り当てられた数を超える、特に、[(新たに通電を開始すべきソレノイドの数)−(該検出より前から通電されていたソレノイドの数)]が、表示制御装置505に対して予め割り当てられた数を超えていた場合には、ソレノイドオフカウンタ指定値メモリ723hに格納されていた値が、ソレノイドオフカウンタ723dの初期値が設定される。その結果として、第1図柄の変動パターンに応じて優先すべき可動部材(右扉171又は左扉172)に対応するソレノイドに対して優先的に通電されることになるので、演出用の可動部材(右扉171又は左扉172)と、第1図柄表示装置81への第1図柄の変動表示とをリンクさせた場合にも、可動部材(右扉171又は左扉172)に自然な動きをさせることができる。
一方で、S2101の処理により確認した結果、受信したコマンドが変動パターンコマンドでなければ(S2101:No)、S2102の処理をスキップして、S2103の処理へ移行する。
S2103の処理では、各処理として、他のコマンドに応じた処理を実行する。S2103の処理の後、このコマンド受信処理を終了する。
次に、図71を参照して、主制御装置561により実行されるソレノイド制御データ出力処理(図61参照)、及び、表示制御装置505により実行される扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)の結果として生じる、大開放口ソレノイド581、右扉ソレノイド177、左扉ソレノイド184のオン(励磁)及びオフ(非励磁)の切り換えについて説明する。図71は、本実施の形態における各種ソレノイドのオン及びオフのタイミングチャートである。
図71に示す例においては、T1のタイミングに到るまでは、大開放口ソレノイド581、右扉ソレノイド177、左扉ソレノイド184は、いずれも、非通電状態である。即ち、T1のタイミングに到るまでは、大開放口開放フラグ703b、右扉開放フラグ273a、左扉開放フラグ273bは、いずれもオフであり、そのため、特定入賞口(大開放口)65a、右扉171、左扉172は、いずれも閉鎖されている。なお、右扉開放フラグ723a及び左扉開放フラグ723bは、いずれも、T2のタイミングに到るまでオフであり、T1からT2の期間においても、右扉ソレノイド177及び左扉ソレノイド184は、いずれも非通電状態である。そのため、この期間において、右扉171及び左扉172はいずれも閉鎖状態(閉状態)となっている。
T1のタイミングにおいて、大開放口開放フラグ703bがオンされたと検出されると、主制御装置561により実行されるソレノイド制御データ出力処理(図61参照)の結果として、0ビット目が「1」であるソレノイド制御データメモリ703cの値の出力が開始され、その結果として、大開放口ソレノイド581への励磁電流の通電が開始される。そして、T1以降、大開放口ソレノイド581に対し、励磁電流が連続的に通電され続け、それによって、特定入賞口(大開放口)65aは開放中、即ち、開放された状態(開状態)に保たれる。
T2のタイミングにおいて、右扉開放フラグ273a及び左扉開放フラグ27bの両方がオンされる。この場合、励磁電流を通電すべきソレノイドの数が、表示制御装置505に対して予め割り当てられている数である「1」を超えることになる。従って、このT2のタイミングにおいて、扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)により、ソレノイドオフカウンタ723dの値に応じたソレノイド(右扉ソレノイド177、左扉ソレノイド184)への通電制御が開始される。
具体的には、図71に示すように、T2のタイミングで、右扉開放フラグ273a及び左扉開放フラグ27bの両方がオンされたと検出されると、2つのソレノイド177,184に対応する開放フラグ273a,273bがオンされたことにより、表示制御装置505により実行される扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)において、ソレノイドオフカウンタ723dが起動される(図68参照)。その結果として、ソレノイドオフカウンタ723dの値に応じたソレノイドへの通電制御が開始される。
その際、ソレノイドオフカウンタ設定処理(図69参照)において、ソレノイドオフカウンタ指定値メモリ723hに格納されている値にソレノイドオフカウンタ723dの値が初期値として設定される。ここで、ソレノイドオフカウンタ指定値メモリ723hに格納されている値は、主制御装置561から送信された変動パターンコマンドの種類に応じて、ソレノイドオフカウンタ指定値テーブル722bから読み出した値である。即ち、ソレノイドオフカウンタ設定処理(図69参照)では、第1図柄の変動パターンの種類に応じて規定される通電の優先度の低いソレノイドに対してまず通電が遮断されるように、ソレノイドオフカウンタ723dの初期値が設定される。
図71には、ソレノイドオフカウンタ指定値メモリ723hに格納されていた値が「0」であった場合を示している。即ち、ソレノイドオフカウンタ指定値テーブル722bにおいて、主制御装置561から送信された変動パターンコマンドに基づく変動表示では、重要度としては左扉172の方が右扉171より高いものとして、「0」が格納されていた場合が例示されている。そのため、ソレノイドオフカウンタ設定処理(図69参照)の結果として、T2のタイミングにおいて、ソレノイドオフカウンタ723dは「0」を初期値として起動される。それによって、T2のタイミングでは、1ビット目が「1」であるソレノイド制御データメモリ723cの値の出力が開始される。すると、左扉ソレノイド184への励磁電流の通電が開始されて、左扉172の開放が開始される。
一方で、T2のタイミングでは、このタイミングで右扉開放フラグ723aがオンされたにもかかわらず、ソレノイドオフカウンタ723dの値が「0」であるために、扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)の結果として出力されるソレノイド制御データメモリ723cの値の0ビット目は「0」のままである。よって、T2のタイミングでは、右扉ソレノイド177への励磁電流の通電は依然遮断されたままであり、この場合には、右扉171は開放されない。
T2のタイミングの2ms後に起動する扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)において、ソレノイドオフカウンタ723dの値が「1」に更新されるので、そのタイミングで、0ビット目が「1」であるソレノイド制御データメモリ723cの値が出力される。従って、右扉開放フラグ723aがオンにされてから、即ち、実際に開放指示のあったタイミングから2ms遅れて、右扉ソレノイド177に通電が開始され、それによって、右扉171の開放が開始されることになる。しかし、T2のタイミングにおいて設定されるソレノイドオフカウンタ723dの初期値は、上述したように、第1図柄の変動パターンの種類に応じて規定される通電の優先度が最も低いソレノイド、即ち、変動パターンコマンドに応じた第1図柄表示装置81での変動表示に対する関連性の最も低い可動部材(右扉171又は左扉172)に対応するソレノイド(右扉ソレノイド177又は左扉ソレノイド184)への通電が先ず遮断されるような値である。そのため、図71に示した場合において、右扉171が、実際の開放タイミングより2ms遅れて開放したとしても、遊技者はその遅れに不自然さをほとんど感じることなく遊技を続けることができる。
T2以降、2ms間隔に起動する扉ソレノイド制御データ出力処理の各実行毎に更新されるソレノイドオフカウンタ723dの値(「0」又は「1」)に応じて、右扉ソレノイド177及び左扉ソレノイド184への周期的な励磁電流の通電(オン)と通電遮断(オフ)とが開始される。即ち、2ms毎に更新されるソレノイドオフカウンタ723dの値に応じて、その値が「0」である2msの期間は、右扉ソレノイド177がオフとなり、一方で、左扉ソレノイド184がオンとなる。また、ソレノイドオフカウンタ723dの値が「1」である2msの期間は、右扉ソレノイド177がオンとなり、一方で、左扉ソレノイド184がオフとなる。それによって、右扉ソレノイド177及び左扉ソレノイド184のそれぞれに対し、2msの励磁期間と2msの通電遮断期間とを1周期とする間欠的な励磁電流が通電される。このような間欠的な励磁電流の通電が右扉ソレノイド177及び左扉ソレノイド184に対してなされている間、右扉171及び左扉172は開放中、即ち、開放された状態(開状態)に保たれる。
上述のように、本実施の形態では、表示制御装置505において、ソレノイドオフカウンタ723dの更新時間を2ms毎とし、通電率を50%として、2つのソレノイド(右扉ソレノイド177、左扉ソレノイド184)を制御したことにより、同時に通電されるソレノイドの数が最大1つとなるように構成した。しかし、ソレノイドオフカウンタ723dにより制御されるソレノイドの数は、3つに限定されるものではなく、ソレノイドオフカウンタ723dにより計数される数を増加させると共に通電率を変化させることにより、制御可能なソレノイドの数を増減させることは可能である。
例えば、制御すべきソレノイドの数をSとし、電源装置612を構成する制御基板(電源基板)により駆動可能なソレノイドの最大数、即ち、駆動による合計消費電流量が電源容量により許容される最大消費電流量以下(又は未満)となるソレノイドの数をS1とした場合には、ソレノイドオフカウンタ703d,723dにより計数される値を「0」から「n(S−1)」(nは、1以上の整数)までとすると共に、各ソレノイドへの通電率を(S1/S)×100%とすることにより、種々の数のソレノイドの合計消費電流量を制御することが可能である。
この場合、ソレノイドオフカウンタ723dの示す各値毎に、(S−S1)個のソレノイドに対して励磁電流の通電が遮断されるように出力オフデータ722a1を構成する(即ち、対応するビットに「0」を格納しておく)ことにより、励磁電流の通電されるソレノイドの数が、電源装置612の電源容量により許容される消費電流量以下(又は未満)となるように、各値に対応付けられたソレノイドに対する励磁電流の通電(オン)と通電遮断(オフ)とを制御することができる。更に、出力オフデータ722a1において、1のソレノイドに対し、ソレノイドオフカウンタ723dの示す値のうち連続するS1個の値(ただし、ソレノイドオフカウンタ723dにおける最大の値→最小の値(本実施形態では「0」)についても連続しているものとする)に対しては、そのソレノイドへ励磁電流を通電させ(即ち、対応するビットに「1」を格納しておく)、一方で、連続する(S−S1)個の値(ただし、ソレノイドオフカウンタ723dにおける最大の値→最小の値(本実施形態では「0」)についても連続しているものとする)に対しては、そのソレノイドへの励磁電流の通電を遮断させる(即ち、対応するビットに「0」を格納しておく)ようにデータを構成することにより、各ソレノイドに対し、(S1/S)×100%の通電率で間欠的な励磁電流を通電することができる。よって、上記のように出力オフデータ722a(又は、出力オフテーブル722a)を構成し、(S1/S)×100%の通電率で間欠的な励磁電流を通電することにより、ソレノイドにより駆動される部材(本実施の形態では、例えば、右扉ソレノイド177により駆動される右扉171)を開状態に保ちつつ、合計消費電流量を、電源装置612の電源容量により許容される量以下(又は未満)に制御することができる。
なお、扉ソレノイド出力オフテーブル722aは、それぞれ、1つが1バイトのデータであるために、ソレノイドオフカウンタ723dの各値毎に、それぞれ8個のソレノイドに対するデータしか管理できないが、それぞれを複数バイトで構成することにより、管理可能なソレノイド数を増加することができる。
また、本実施形態では、主制御装置561により制御されるソレノイドの数が大開放口ソレノイド581だけであるので、表示制御装置505において行なわれるようなソレノイドオフカウンタ723dによる制御を行う必要が生じない。しかし、主制御装置561により制御されるソレノイドの数が増加した場合には、ソレノイド制御データ出力処理(図61参照)において、表示制御装置505で実行される扉ソレノイド制御データ出力処理(図68)と同様のソレノイドオフカウンタを利用した合計消費電流の制御処理を実行するように構成してもよい。この場合、パチンコ機10全体におけるソレノイドの駆動による合計消費電流が電源装置612を構成する制御基板(電源基板)の電源容量により許容される量を超えないように、主制御装置561や表示制御装置505などの各制御装置に対し、それぞれ許容された消費電流量以下(又は未満)となるソレノイドの数を予め規定しておく。そして、各制御装置において、その数を超えたソレノイドを駆動する必要が生じた際に、各制御装置に設けられたソレノイドオフカウンタを利用した間欠的な励磁電流の通電を実行する。
以上説明した通り、ソレノイドへ通電される合計消費電流量を制御することによって、設計変更を施す必要がなく電源装置612を流用することができるだけでなく、内枠13に電源装置12が備え付けられている場合、その内枠13を流用することができる。その場合、第1図柄の変動パターンに応じて、優先度の高い可動部材(右扉171又は左扉172)に対応するソレノイドに対して、優先的に励磁電流が通電されるように制御されるので、演出用の可動部材を自然に動かすことができる。
また、上述したように、ソレノイド177,184に対し、合計消費電流量を制御するために励磁電流のオン及びオフが周期的に繰り返された場合であっても、各ソレノイド177,184にそれぞれ対応する右扉171、左扉172は開放状態に保持される。従って、ソレノイドオフカウンタ723dを利用して合計消費電流量を制御することにより、ソレノイドによる部材の駆動と、ソレノイドによる合計消費電流量の制御とを同時に実現することができる。
さらに、主制御装置561と表示制御装置505との間では、主制御装置561から表示制御装置505への一方向通信による制御が行われるために、主制御装置561は、表示制御装置505により制御されるソレノイド177,184の駆動状況を知ることができない。従って、パチンコ機10に設けられたソレノイド(本実施形態では、大開放口ソレノイド581、右扉ソレノイド177、左扉ソレノイド184)に対して通電される合計消費電流量が、電源装置612によってパチンコ機10全体に対して許容される最大消費電流量を超える(又は以上)になったことが検出された場合に、表示制御装置505により制御されるソレノイド(本実施形態では、右扉ソレノイド177、左扉ソレノイド184)に対して上述のような励磁電流の制御が行われる。それによって、パチンコ機10全体について、ソレノイド駆動による合計消費電流量を、電源装置612の電源容量に基づいてパチンコ機10全体に対して許容される最大消費電流量以下(又は未満)に制御することができる。
この場合、上記実施形態の扉ソレノイド制御データ出力処理(図68参照)では、S1606の処理により、オンされている開放フラグの数が、該電源容量に応じて表示制御装置505に対して許容された消費電流量以下(又は未満)となるソレノイドの数を超えることが確認された場合に、右扉オンオフカウンタ723fの値と左扉オンオフカウンタ723gの値とを比較し、その値が大きい方のオンオフカウンタに対応するソレノイド(右扉ソレノイド177又は左扉ソレノイド184)に対して、まず通電遮断期間されるようなソレノイドオフカウンタ723dの値が設定される。即ち、先に通電が開始されているソレノイドに対して優先的に通電遮断期間が設けられる。よって、パチンコ機10に設けられたソレノイド(本実施形態では、大開放口ソレノイド581、右扉ソレノイド177、左扉ソレノイド184)へ通電される合計消費電流量が電源基板612の電源容量により許容される最大消費電流量を超えた(又は以上の)場合であっても、新たに電流を通電すべきソレノイドへ通電を開始しつつ合計消費電流量を、該電源容量に応じて許容される最大消費電流以下(又は未満)に制御することができる。従って、可動部材(右扉171又は左扉172)の駆動が指示されたタイミングと実際の駆動タイミングとの間のタイムラグを0ないし小さくすることができる。
なお、上記第1実施形態では、電源装置612の電源容量に応じて表示制御装置505に対して予め割り当てられている最大消費電流量に対応するソレノイドの数が「1」であり、表示制御装置505により制御されるソレノイドの数が「2」(右扉ソレノイド177、左扉ソレノイド184)である場合を例示した。そのため、扉ソレノイド制御データ出力処理(図68)において、通電すべきソレノイドの数が、表示制御装置505に対して予め割り当てられている最大消費電流量に対応するソレノイドの数を超えると検出された場合に、それが右扉開放フラグ273aと左扉開放フラグ273bとが同時にオンされたことによるものであれば、ソレノイドオフカウンタ指定値メモリ723hに格納されていた値を、ソレノイドオフカウンタ723dの初期値に設定するように構成した。これに限らず、制御すべきソレノイドの数が増加した場合には、[(新たに通電を開始すべきソレノイドの数)−(該検出より前から通電されていたソレノイドの数)]が、表示制御装置505に対して予め割り当てられている最大消費電流量に対応するソレノイドの数を超えていれば、ソレノイドオフカウンタ指定値メモリ723hに格納されていた値を、ソレノイドオフカウンタ723dの初期値に設定するように構成してもよい。
また、上記第1実施形態では、表示制御装置505により制御される右扉ソレノイド177及び左扉ソレノイド184に対し、表示制御装置505に対して割り当てられたソレノイド駆動用の最大消費電流量以下(又は未満)であるか否かに応じて間欠的な励磁電流を通電するように構成した。主制御装置561についても、制御すべきソレノイドの数が増えて、主制御装置561に対して割り当てられたソレノイド駆動用の最大消費電流量を超えた(又は以上)場合には、上述した扉ソレノイド制御データ出力処理を行うよう構成すればよい。その場合には、主制御装置561のRAM703に、ソレノイドオフカウンタ723dと同様の機能を有するソレノイドオフカウンタと、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ723eと同様に機能を有するソレノイドオフカウンタ起動フラグとを設けるように構成すればよい。その際、主制御装置561に対して割り当てられたソレノイド駆動用の最大消費電流量と、表示制御装置505に対して割り当てられたソレノイド駆動用の最大消費電流量と、必要に応じて、他の制御装置(例えば、払出発射制御装置711など)に対して割り当てられたソレノイド駆動用の最大消費電流量との総和が、電源装置612により供給が許容される電源容量以下(又は未満)となるように構成することにより、パチンコ機10全体おいてソレノイドへ通電される合計消費電流量を制御することができる。
次に、図72から図80を参照して、パチンコ機10の第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態では、表示制御装置505にソレノイドオフカウンタ723dを設け、表示装置505に設けられた演出用の部材(右扉171及び左扉172)を駆動するソレノイド(右扉ソレノイド177及び左扉ソレノイド184)の駆動による合計消費電流量を制御することにより、パチンコ機10全体でのソレノイドの駆動による合計消費電流量を、電源装置612の電源容量により供給が許容される量以下(又は未満)に制御するものであった。これに換えて、第2実施形態では、主制御装置561において、遊技性を高めるために設けられた複数のチューリップを駆動するために各ソレノイドに通電される合計消費電流量を制御する。なお、この第2実施形態において、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図72は、第2実施形態のパチンコ機10に使用される遊技盤16の正面図である。図72に示すように、第2実施形態で使用される遊技盤16は、正面視略正方形状のベース板60に、遊技球案内用の多数の釘およびレール61,62、一般入賞口63等を上述した第1実施形態の遊技盤と同様に組み付けると共に、7セグメントLEDで構成される普通図柄A表示装置901及びLCD(液晶ディスプレイ)で構成される装飾図柄表示装置902等を組み付けて構成されている。
第2実施形態における遊技盤16においても、第1実施形態の遊技盤16と同様に、その前面には遊技球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成されている。この遊技領域の中央部には、普通図柄A表示装置901及び装飾図柄表示装置902を有する可変表示ユニット910が配設されている。この可変表示ユニット910は、表示制御装置505によって制御される。ここで、装飾図柄表示装置902は、遊技中の遊技状態に応じて、演出性を高めるための装飾図柄を表示する装置である。
また、普通図柄A表示装置901は、第1入球口905への遊技球の通過をトリガとして主制御装置561により実行される抽選である第1抽選の抽選結果を図柄によって表示する装置である。例えば、普通図柄A表示装置901では、第1抽選が当選した場合に、所定の数字が7セグメントLEDにより表示される。
第1入球口905は、第1実施形態の第1入球口64と同様に遊技球が入球し得るゲート形状の入球口である。この第1入球口905へ遊技球が入球した場合もまた、第1実施形態の場合と同様に、遊技盤16の裏面側に設けられる第1入球口スイッチ524(図30参照)がオンされて、普通図柄A表示装置901で図柄の変動表示が開始される。
なお、遊技球の第1入球口905への通過回数は最大4回まで保留することができるように構成されている。ここで、普通図柄A表示装置901の下方には4つの保留ランプ911が設けられている。各保留ランプ911の裏側にはLEDランプ(非図示)が配設されており、保留回数に対応する数のLEDランプが所定の順序で点灯及び消灯されることによって、保留ランプ911が保留回数に対応する数だけ点灯表示される。
可変表示装置ユニット910の右方には、上下方向に3つの入賞口A921、入賞口B922、入賞口C923が配設されている。このうち、最上部に位置する入賞口A921は、第1入球口905への遊技球の入球をトリガとして行われる第1抽選に当選すると、入賞口A921への遊技球の入球が可能となるように、その開口部に設けられた上段チューリップ921aが、当選1回につき、所定時間(例えば、5.8秒)開放されるように構成されている。なお、この上段チューリップ921aの開放及び閉鎖は、上段チューリップソレノイド931(図73参照)への励磁電流の通電及び通電遮断によって行われる。この上段チューリップ921aの開放中に、遊技球が入賞口A921を通過すると、遊技球の入賞口A921への通過をトリガとして、主制御装置561により第2抽選が実行される。
入賞口A921の右方には、普通図柄B表示装置925及び保留ランプ926が設けられている。普通図柄B表示装置925は、上述のように上段チューリップ921aの開放中に、遊技球が入賞口A921へ入球すると実行される第2抽選の抽選結果を表示する装置であり、裏面側に設けられた非図示の複数個(例えば、4個)のLEDランプ(例えば、三色LEDランプ)の点灯により第2抽選の抽選結果を表示する。例えば、普通図柄B表示装置925では、第2抽選が当選すると、4個のLEDランプが所定の同じ色で点灯される。なお、この普通図柄B表示装置925は、その内部がLEDランプの数に相当する数に区画されており、各LEDランプの光を区別して視認することができる。
第2実施形態のパチンコ機10では、遊技球が入賞口A921を通過すると、その通過回数を最大4回まで保留することができるように構成されている。保留ランプ926の裏側には、4個のLEDランプ(非図示)が設けられており、保留回数に対応する数のLEDランプが所定の順序で点灯及び消灯されることによって、保留ランプ926が保留回数に対応する数だけ点灯表示される。なお、この保留ランプ926は、その内部がLEDランプの数に相当する数に区画されており、4個のLEDランプの光を個々に区別して視認することができる。
入賞口A921の下方に位置する入賞口B922は、入賞口A921への遊技球の入球をトリガとして行われる第2抽選に当選すると、入賞口B922への遊技球の入球が可能となるように、その開口部に設けられた中段チューリップ922aが、当選1回につき、所定時間(例えば、5.8秒)ずつ、4回(4ラウンド)開放されるように構成されている。なお、この中段チューリップ922aの開放及び閉鎖は、中段チューリップソレノイド932(図73参照)への励磁電流の通電及び通電遮断によって行われる。この中段チューリップ922aの開放中に、遊技球が入賞口B922を通過すると、その通過をトリガとして、主制御装置561により第3抽選が実行される。
入賞口B922の右方には、普通図柄C表示装置927及び保留ランプ928が設けられている。普通図柄C表示装置927は、上述のように中段チューリップ922aの開放中に、遊技球が入賞口B922へ入球すると実行される第3抽選の抽選結果を表示する装置であり、裏面側に設けられた非図示の複数個(例えば、4個)のLEDランプ(例えば、三色LEDランプ)の点灯により第3抽選の抽選結果を表示する。例えば、普通図柄C表示装置927では、第3抽選が当選すると、4個のLEDランプが所定の同じ色で点灯される。なお、この普通図柄C表示装置927は、その内部がLEDランプの数に相当する数に区画されており、各LEDランプの光を区別して視認することができる。
第2実施形態のパチンコ機10では、遊技球が入賞口B922を通過すると、その通過回数を最大4回まで保留することができるように構成されている。保留ランプ928の裏側には、4個のLEDランプ(非図示)が設けられており、保留回数に対応する数のLEDランプが所定の順序で点灯及び消灯されることによって、保留ランプ928が保留回数に対応する数だけ点灯表示される。なお、この保留ランプ928は、その内部がLEDランプの数に相当する数に区画されており、4個のLEDランプの光を個々に区別して視認することができる。
入賞口B922の下方に位置する入賞口C923は、入賞口B922への遊技球の入球をトリガとして行われる第3抽選に当選すると、入賞口C923への遊技球の入球が可能となるように、その開口部に設けられた下段チューリップ923aが、当選1回につき、所定時間(例えば、5.8秒)ずつ、4回(4ラウンド)開放されるように構成されている。なお、この下段チューリップ923aの開放及び閉鎖は、下段チューリップソレノイド933(図73参照)への励磁電流の通電及び通電遮断によって行われる。
以上のように、第2実施形態の遊技盤16を備えるパチンコ機10では、第1入球口905への遊技球の入球を契機とした第1抽選が行われ、その抽選に当選すると、当選1回につき、入賞口A921に設けられた上段チューリップ921aが所定時間(例えば、5.8秒)開放する。そして、上段チューリップ921aの開放中に、入賞口A921に遊技球が入球すると、その入球を契機として、第2抽選が行われる。その際、第2抽選に当選すると、入賞口B922に設けられた中段チューリップ922aが所定時間(例えば、5.8秒)ずつ4ラウンド開放する。更に、中段チューリップ922aの開放中に、入賞口B922に遊技球が入球すると、その入球を契機として、第3抽選が行われる。その際、第3抽選に当選すると、入賞口C923に設けられた下段チューリップ923aが所定時間(例えば、5.8秒)ずつ4ラウンド開放する。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。よって、下段チューリップ923aの開放中における、入賞口C923への遊技球の入球数の差は、払い出される賞球数にそれ程大きな影響を与えない。その一方で、第1入球口933に遊技球が入球した後、第1抽選に当選したことにより、上段チューリップ921aが開放したにもかかわらず、入賞口A921へ遊技球を入球させることができなければ、結果的に獲得できる賞球数が大幅に減少することになる。従って、第2実施形態のパチンコ機10では、遊技球が入賞したことによる獲得期待値と遊技球が入賞しなかったことによる獲得期待値の差は、入賞口C923、入賞口B922、入賞口A921の順で大きくなる。なお、「獲得期待値」は、1の遊技球あたりに獲得できる賞球数(出球数)の平均値を意味する。
図73は、図72に示した遊技盤16を有する第2実施形態のパチンコ機10の電気的構成を示したブロック図である。図73に示すように、第2実施形態のパチンコ機10では、上段チューリップ921a、中段チューリップ922a、下段チューリップ923aをそれぞれ駆動する上段チューリップソレノイド931、中段チューリップソレノイド932、下段チューリップソレノイド933が、主制御装置561の入出力ポート705に接続されている。
また、第2実施形態のパチンコ機10における主制御装置561のROM702には、ソレノイド出力オフテーブル702aが設けられている。このソレノイド出力オフテーブル702aは、後述するソレノイドオフカウンタ703dにより計数される値に対応付けして、3つのチューリップ921a,922a,923aをオン(励磁)するか、又は、オフ(非励磁)とするかを示すソレノイド出力オフデータを格納するテーブルである。なお、このソレノイド出力オフテーブル702aについては、図74(a)を参照して後述する。
更に、第2実施形態のパチンコ機10における主制御装置561のRAM703には、バックアップエリア703a、ソレノイド制御データメモリ703c、ソレノイドオフカウンタ703dと、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ703eと、上段チューリップ開放フラグ703fと、中段チューリップ開放フラグ703gと、下段チューリップ開放フラグ703hと、上段チューリップオンオフカウンタ703iと、中段チューリップオンオフカウンタ703jと、下段チューリップオンオフカウンタ703kとが設けられている。
ソレノイドオフカウンタ703dは、ソレノイド出力オフテーブル702aからソレノイド出力オフデータ702a1(図74(a)参照)を読み出すための値を、「0」から「2」の範囲で計数するカウンタである。このソレノイドオフカウンタ703dの値は、パチンコ機10に電源が投入されると、バックアップエリア703aにバックアップデータが記憶されていない場合には、RAM703の初期化処理(図53参照)により初期値として「0」がセットされる。一方で、バックアップエリア703aにバックアップデータが記憶されている場合には、そのバックアップデータとして記憶される値が初期値としてセットされる。ソレノイドオフカウンタ703dに初期値が設定された後、ソレノイド制御データ出力処理(図76参照)が2ms間隔で実行される毎に、その値が「0」→「1」→「2」→「0」→「1」→…の順に更新される。詳しくは後述するが、ソレノイド制御データ出力処理(図76参照)において、ソレノイドオフカウンタ703dの値に従ってソレノイド出力オフテーブル702aから読み出されたソレノイド出力オフデータ702a1の値に応じて、3つのチューリップ921a,922a,923aへの励磁電流の通電(オン)と通電遮断(オフ)とが制御される。そして、その結果として、制御されるべきソレノイド(3つのチューリップソレノイド931,932,933)に通電される合計消費電流量が、電源装置612の電源容量により許容される消費電流量以下(又は未満)となるように制御される。
ソレノイドオフカウンタ起動フラグ703eは、ソレノイド制御データ出力処理(図76参照)においてソレノイドオフカウンタ703dの値に応じた制御が実行中であるか否かを示すフラグであり、ソレノイド制御データ出力処理(図76参照)の中で設定される。具体的には、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ703eは、ソレノイド制御データ出力処理(図76参照)において、主制御装置561により制御されるソレノイドによって可動される部材(本実施形態では、3つのチューリップ921a,922a,923a)が所定数(本実施形態では、2)を超えて開放されたことが検出されるとオンされ、一方で、開放中の該部材の数が該所定数以下であることが検出されるとオフされる。即ち、このソレノイドオフカウンタ起動フラグ703eは、ソレノイド制御データ出力処理(図76参照)において、ソレノイドオフカウンタ703dの値に応じた制御が実行中である間はオンを示し、ソレノイドオフカウンタ703dの値に応じた制御を不要とする間はオフを示す。
上段チューリップ開放フラグ703fは、上段チューリップ921aを開放する(開状態とする)か、閉鎖する(閉状態とする)かを示すフラグである。この上段チューリップ開放フラグ703fは、第1抽選に当選するとオンされ、その結果として、上段チューリップ921aが開放される。そして、所定の開放時間が経過すると、この上段チューリップ開放フラグ703fはオフされ、その結果として、上段チューリップ921aが閉鎖される。
中段チューリップ開放フラグ703gは、中段チューリップ922aを開放する(開状態とする)か、閉鎖する(閉状態とする)かを示すフラグである。この中段チューリップ開放フラグ703gは、第2抽選に当選するとオンされ、その結果として、中段チューリップ922aが開放される。そして、所定の開放時間が経過すると、この中段チューリップ開放フラグ703gはオフされ、その結果として、中段チューリップ922aが閉鎖される。
下段チューリップ開放フラグ703hは、下段チューリップ923aを開放する(開状態とする)か、閉鎖する(閉状態とする)かを示すフラグである。この下段チューリップ開放フラグ703hは、第3抽選に当選するとオンされ、その結果として、下段チューリップ923aが開放される。そして、所定の開放時間が経過すると、この下段チューリップ開放フラグ703hはオフされ、その結果として、下段チューリップ923aが閉鎖される。
なお、これらの開放フラグ703i,703j,703kは、いずれも、主制御装置561で実行されるメイン処理(図53参照)におけるRAM703の初期化処理(S114〜116)により、いずれもオフに初期化される。
上段チューリップオンオフカウンタ703i、中段チューリップオンオフカウンタ703j、下段チューリップオンオフカウンタ703kは、それぞれ、上段チューリップ921a、中段チューリップ922a、下段チューリップ923aの開放開始からの時間的長さを計数するカウンタである。これらのオンオフカウンタ703i,703j,703kは、いずれも「0」を初期値とする。
具体的には、上段チューリップオンオフカウンタ703iは、ソレノイド制御データ出力処理(図76参照)において、上段チューリップフラグ703fがオンであると最初に検出された際から計数が「1」から開始され、ソレノイド制御データ出力処理(図76参照)が起動する毎に、上段チューリップ開放フラグ703fがオンであれば、順次、1ずつ値が加算される。一方で、上段チューリップ開放フラグ703fがオフであると検出されると、上段チューリップオンオフカウンタ703iの値は「0」にリセットされる。
中段チューリップオンオフカウンタ703j及び下段チューリップオンオフカウンタ703gもまた、上段チューリップオンオフカウンタ703iと同様に、ソレノイド制御データ出力処理(図76参照)において、それぞれ、中段チューリップ開放フラグ703g及び下段チューリップ開放フラグ703hがオンを示す毎に「1」から順次計数される。そして、各開放フラグ703g,703hがオフを示すと「0」にリセットされる。
第2実施形態のパチンコ機10における表示制御装置505の出力ポート728の出力側には、第2図柄表示装置82の代わりに、普通図柄A表示装置901と、普通図柄B表示装置925と、普通図柄C表示装置927とが接続されている。また、第2実施形態のパチンコ機10における表示制御装置505の出力ポート729の出力側には、第1図柄表示装置81の代わりに、装飾図柄表示装置902が接続されている。
表示制御装置505のMPU721は、第1実施形態において第1図柄表示装置81及び第2図柄表示装置82に対して実施した制御と同様に、主制御装置561から送信される図柄表示用のコマンドに基づいて、普通図柄A表示装置901、普通図柄B表示装置925、普通図柄C表示装置927、装飾図柄表示装置902の表示内容を制御する。
次に、図74を参照して、第2実施形態におけるソレノイド出力オフテーブル702a及びソレノイド制御データメモリ703cについて説明する。図74(a)は、ソレノイド出力オフテーブル702aを示す図であり、図74(b)は、ソレノイド制御データメモリ703cに記憶されるデータ(ソレノイド制御データ)の構成をビット毎に示す図である。
ソレノイド出力オフテーブル702aは、図74(a)に示すように、ソレノイドオフカウンタ703dの示す各値に対して、それぞれ、ソレノイド出力オフデータ702a1が対応付けられている。より詳細には、ソレノイドオフカウンタ703dの示す各値に対応するアドレスに、ソレノイド出力オフデータ702a1が格納されている。そして、ソレノイドオフカウンタ703dが示す値に応じて、その値に対応するアドレスに記憶されるソレノイド出力オフデータ702a1が読み出される。
ソレノイド出力オフデータ702a1は、1バイトのデータであり、0ビット目702a2が、上段チューリップソレノイド931の励磁(オン)又は非励磁(オフ)を指示するために用いられる値を格納するビットとして割り当てられている。また、1ビット目702a3が、中段チューリップソレノイド932の励磁(オン)又は非励磁(オフ)を指示するために用いられる値を格納するビットとして割り当てられており、更に、2ビット目702a4が、下段チューリップソレノイド933の励磁(オン)又は非励磁(オフ)を指示するために用いられる値を格納するビットとして割り当てられている。これらの各ビット702a2〜702a4の状態と、それぞれ対応する開放フラグ703f,703g,703hの値(オン又はオフ)とに応じて、上段チューリップソレノイド931、中段チューリップソレノイド932、下段チューリップソレノイド933に対し、励磁電流の通電(オン)又は通電遮断(オフ)が指示される(図76参照)。
より具体的には、各ビット702a2〜702a4において、セットされた値が「0」である場合には、それぞれ対応するソレノイド931,932,933に対する開放フラグ703f,703g,703hの値(オン又はオフ)にかかわらず、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ703eが起動していれば(即ち、ソレノイドオフカウンタ703dによる通電制御がされている場合には)、対応するソレノイド931,932,933に対し、励磁電流の通電遮断(オフ)が指示される。例えば、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ703eが起動している場合において、ソレノイドオフカウンタ703dの値に応じて読み出されたソレノイド出力オフデータ702a1の1ビット目702a3が「0」であれば、中段チューリップ開放フラグ703gの値(オン又はオフ)に無関係に、中段チューリップソレノイド932が非励磁(オフ)とされるように指示される。
一方で、各ビット702a2〜702a4において、セットされた値が「1」であれば、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ703eが起動している場合(即ち、ソレノイドオフカウンタ703dによる通電制御がされている場合)に、それぞれ対応するソレノイド931,932,933に対する開放フラグ703f,703g,703hの値(オン又はオフ)に応じて、対応するソレノイド931,932,933に対し、励磁電流の通電(オン)又は通電遮断(オフ)が指示される。例えば、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ703eがオンである場合(ソレノイドオフカウンタ723dの起動中)において、ソレノイドオフカウンタ703dの値に応じて読み出されたソレノイド出力オフデータ702a1の1ビット目702a3が「1」であれば、中段チューリップ開放フラグ703gがオンである場合には、中段チューリップソレノイド932が励磁(オン)とされるように指示され、中段チューリップ開放フラグ703gがオフである場合には、中段チューリップソレノイド932が非励磁(オフ)とされるように指示される。なお、ソレノイド出力オフデータ702a1における0ビット目702a2の値と上段チューリップソレノイド931の励磁(オン)又は非励磁(オフ)との関係、及び、2ビット目702a4の値と下段チューリップソレノイド933の励磁(オン)又は非励磁(オフ)との関係もまた、上述した1ビット目702a3の値と中段チューリップソレノイド932の励磁(オン)又は非励磁(オフ)の関係と同様である。
また、詳細は後述するが(例えば、図80参照)、下段チューリップ923aが開放中(下段チューリップ開放フラグ703hがオン)であるにもかかわらず、ソレノイド出力オフデータ702a1の2ビット目702a4が「0」であることによって、下段チューリップソレノイド933への励磁電流が通電遮断(オフ)の状態となった場合であっても、それは、通電率が(2/3)×100%である間欠的な励磁電流における通電遮断期間である。よって下段チューリップ923aは閉鎖されることなく開放されたまま保たれる(又は、開放される)。なお、上段チューリップ921a及び中段チューリップ922aについても同様に、対応する開放フラグ703f,703gがオンであるにもかかわらず、ソレノイド出力オフデータ702a1の値に従って、対応するソレノイド931,932が非励磁(オフ)とされた場合であっても、上段チューリップ921a及び中段チューリップ922a開放されたまま保たれる(又は、開放される)。
ソレノイド出力オフテーブル702aでは、図74(a)に示すように、ソレノイドオフカウンタ703dの示す1つの値に対して、第0〜2ビットにおける2つのビットに「1」がセットされ、1つのビットに「0」がセットされたソレノイド出オフデータ702a1が対応付けられている。また、ソレノイドオフカウンタ703dが取り得る「0」〜「2」の値に対応する各ソレノイド出オフデータ702a1は、「0」がセットされたビットがそれぞれ異なる。従って、ソレノイドオフカウンタが、…→「0」→「1」→「2」→「0」→…とカウントした場合に、3つのソレノイド931,932,933のうちのいずれか1つのソレノイドが必ず非励磁となるように指示され、3つのソレノイド931,932,933が全て同時に励磁されない。即ち、ソレノイドオフカウンタ703dを使用することにより、同時に励磁されるソレノイドを、最大2つに制御することができる。
ソレノイド制御データメモリ703cに記憶されるソレノイド制御データは、図74(b)に示すような1バイトのデータである。この1バイトのデータにおける0ビット目が、上段チューリップソレノイド931の駆動を制御する値を格納するビットとして割り当てられており、1ビット目が、中段チューリップソレノイド932の駆動を制御する値を格納するビットとして割り当てられており、2ビット目が、下段チューリップソレノイド933の駆動を制御する値を格納するビットとして割り当てられている。これらの第0〜2ビットの各ビットにおいて、そのビットに格納される値が「1」であれば、対応するソレノイド931,932,933に対する励磁電流の通電(オン)を指示する。その一方で、格納される値が「0」であれば、対応するソレノイド931,932,933に対する励磁電流の通電遮断(オフ)を指示する。
このソレノイド制御データ(ソレノイド制御データメモリ703cに記憶される値)が、後述するソレノイド制御データ出力処理(図76参照)の結果として、入出力ポート705に出力されると、第0〜2ビットの状態に応じて、上段チューリップソレノイド931、中段チューリップソレノイド932、下段チューリップソレノイド933が、それぞれ独立してオン又はオフされる。そして、それによって、上段チューリップ921a、中段チューリップ922a、下段チューリップ923aが、それぞれ独立して開放又は閉鎖される。
具体的には、入出力ポート705へ出力されたソレノイド制御データにおける0ビット目が「1」である場合には、上段チューリップソレノイド931が励磁(オン)されるので、上段チューリップ921aが開放する。また、0ビット目が「0」である場合には、上段チューリップソレノイド931が非励磁(オフ)とされる。この場合、上段チューリップ開放フラグ703fがオフであれば、上段チューリップ921aは閉鎖状態とされる(又は、閉鎖状態のままである)。一方で、上段チューリップ開放フラグ703fがオンであり、且つ、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ703eが起動(即ち、ソレノイドオフカウンタ703dによる通電制御がされている)場合には、上段チューリップソレノイド931に印加される通電率(2/3)×100%の間欠的な励磁電流の通電における非励磁期間に相当するので(例えば、図80参照)、上段チューリップ921aは閉鎖することなく開放されたままに保たれる(又は、開放される)。
同様に、入出力ポート705へ出力されたソレノイド制御データにおける1ビット目及び/又は2ビット目が「1」である場合には、それぞれ、中段チューリップソレノイド932及び/又は下段チューリップソレノイド933が励磁(オン)されるので、中段チューリップ922a及び/又は下段チューリップ923aが開放する。また、1ビット目及び/又は2ビット目が「0」である場合には、中段チューリップ922a及び/又は下段チューリップ923aが非励磁(オフ)とされる。この場合には、開放フラグ703g,703hがオフであれば、対応する中段チューリップ922a,下段チューリップ923aは閉鎖状態とされる(又は、閉鎖状態のままである)。その一方で、中段チューリップ開放フラグ703g及び/又は下段チューリップ開放フラグ703hがオンであり、且つ、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ703eが起動(即ち、ソレノイドオフカウンタ703dによる通電制御がされている)場合には、中段チューリップソレノイド932及び/又は下段チューリップソレノイド933に印加される通電率(2/3)×100%の間欠的な励磁電流の通電における非励磁期間に相当するので(例えば、図80参照)、中段チューリップ922a及び/又は下段チューリップ923aは閉鎖することなく開放されたままに保たれる(又は、開放される)。
図75は、第2実施形態における主制御装置561でのタイマ割込処理のフローチャートである。第2実施形態のタイマ割込処理もまた、第1実施形態と同様に、例えば2ms毎に実行される。
第2実施形態のタイマ割込処理では、第1実施形態と同様のS601〜S604の処理を実行した後、第2抽選処理(S606)を行い、第3抽選処理(S607)を行う。第3抽選処理の実行後、ソレノイド制御データ出力処理(S605)を行う。なお、ソレノイド制御データ出力処理については、図76及び図77を参照して後述する。ソレノイド制御データ出力処理の後、MPU701はこのタイマ割込処理を一旦終了する。
なお、第2実施形態のタイマ割込処理における始動入賞処理(S604)において、図60におけるS704の処理が、第1入球口905を遊技球が通過した場合に行われる第1抽選に対応する。この第2実施形態では、S704の処理により保留球格納エリアに格納された大当たり乱数カウンタC1の値が当選を示す値であれば、その結果として、普通図柄A表示装置901に、同じ保留球格納エリアに格納されている大当たり図柄カウンタC2に応じた図柄が表示される。また、その際、装飾図柄表示装置902では、同じ保留球格納エリアに格納されている大当たり図柄カウンタC2やリーチ乱数カウンタC3の値に応じた図柄が表示される。
第2抽選処理(S606)を実行するために、第2実施形態におけるRAM703には、第2抽選の当選を決定するための第2抽選当たり乱数カウンタ及びその第2抽選当たり乱数カウンタの初期値設定に使用する第2抽選乱数初期値カウンタを備えている(いずれも非図示)。第2抽選当たり乱数カウンタ及び第2抽選乱数初期値カウンタの構造及び機能は、それぞれ、大当たり乱数カウンタC1及び乱数初期値カウンタCINIに対応する。なお、これらのカウンタの更新値は、大当たり乱数カウンタC1及び乱数初期値カウンタCINIの場合(図52参照)と同様に、RAM703の所定領域に設定された第2カウンタ用バッファ(非図示)に適宜格納される。なお、第2抽選当たり乱数カウンタの値は、図75に示したタイマ割込処理におけるS603において、大当たり乱数カウンタC1などの更新と共に更新するものとする。また、第2抽選乱数初期値カウンタの値は、通常処理(図78参照)におけるS209において、乱数初期値カウンタCINIの更新と共に更新するものとする。そして、RAM703には、図52に示した保留球数格納エリアと同様に、1つの第2実行エリアと4つの第2保留エリア(第2保留第1〜第4エリア)とからなる第2保留球格納エリアが設けられており、入賞口A921への入賞タイミングに合わせて、第2抽選当たり乱数カウンタの値が格納される。
第2抽選処理(S606)を具体的に説明すると、始動入賞処理(図60)と同様の処理がなされ、まず、入賞口A921へ遊技球が入賞したか否かを確認する。なお、入賞口A921への遊技球の入賞は、入賞口A921における所定の位置に設けられた非図示の作動口スイッチがオンされたことにより検出する。入賞口A921へ遊技球が入賞された場合には、普通図柄B表示装置926の作動保留球数N’が上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判別する。その結果として、入賞口A921への入賞があり、且つ、作動保留球数N’<4であれば、作動保留球数N’を1加算した上で、上述したようにS603において更新された第2抽選当たり乱数カウンタの値を、RAM703の保留球格納エリアの空き保留エリアのうち最初のエリアに格納する。一方、入賞口A921への入賞がないか、或いは、入賞口A921への入賞があっても作動保留球数N’<4でなければ、第2抽選処理を終了する。
更に、第3抽選処理(S607)を実行するために、第2実施形態におけるRAM703には、第3抽選の当選を決定するための第3抽選当たり乱数カウンタ及びその第3抽選当たり乱数カウンタの初期値設定に使用する第3抽選乱数初期値カウンタを備えている(いずれも非図示)。第3抽選当たり乱数カウンタ及び第3抽選乱数初期値カウンタの構造及び機能は、それぞれ、大当たり乱数カウンタC1及び乱数初期値カウンタCINIに対応する。なお、これらのカウンタの更新値は、大当たり乱数カウンタC1及び乱数初期値カウンタCINIの場合(図52参照)と同様に、RAM703の所定領域に設定された第3カウンタ用バッファ(非図示)に適宜格納される。なお、第3抽選当たり乱数カウンタの値は、図75に示したタイマ割込処理におけるS603において、大当たり乱数カウンタC1などの更新と共に更新するものとする。また、第3抽選乱数初期値カウンタの値は、通常処理(図78参照)におけるS209において、乱数初期値カウンタCINIの更新と共に更新するものとする。そして、RAM703には、図52に示した保留球数格納エリアと同様に、1つの第3実行エリアと4つの第3保留エリア(第3保留第1〜第4エリア)とからなる第3保留球格納エリアが設けられており、入賞口B922への入賞タイミングに合わせて、第3抽選当たり乱数カウンタの値が格納される。
第3抽選処理(S607)を具体的に説明すると、始動入賞処理(図60)と同様の処理がなされ、まず、入賞口B922へ遊技球が入賞したか否かを確認する。なお、入賞口B922への遊技球の入賞は、入賞口B922における所定の位置に設けられた非図示の作動口スイッチがオンされたことにより検出する。入賞口B922へ遊技球が入賞された場合には、普通図柄C表示装置928の作動保留球数N”が上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判別する。その結果として、入賞口B922への入賞があり、且つ、作動保留球数N”<4であれば、作動保留球数N”を1加算した上で、上述したようにS603において更新された第3抽選当たり乱数カウンタの値を、RAM703の保留球格納エリアの空き保留エリアのうち最初のエリアに格納する。一方、入賞口B922への入賞がないか、或いは、入賞口B922への入賞があっても作動保留球数N”<4でなければ、第3抽選処理を終了する。
次に、図76のフローチャートを参照して、第2実施形態のソレノイド制御データ出力処理(S607)について説明する。この第2実施形態のソレノイド制御データ出力処理では、まず、ソレノイド制御データメモリ703cの値をクリアする(S1901)。即ち、ソレノイド制御データメモリ703c(図74(b)参照)を構成する全てのビットに「0」をセットする。
次に、上段チューリップ開放フラグ703fがオンか否かを確認し(S1902)、オフであれば(S1902:No)、上段チューリップオンオフカウンタ703iの値を「0」にリセットし(S1903)、S1904の処理へ移行する。一方で、S1902の処理により確認した結果、上段チューリップ開放フラグ703fがオンであれば(S1902:Yes)、ソレノイド制御データメモリ703cの値の0ビット目に「1」をセットし(S1915)、次いで、上段チューリップオンオフカウンタ703iの値を+1し(S1916)、S1904の処理へ移行する。
S1901〜S1903,S1915〜S1916の処理により、このソレノイド制御データ出力処理において、上段チューリップ開放フラグ703fがオフである場合には、即ち、上段チューリップ921aが閉鎖している間は、上段チューリップオンオフカウンタ703iの値は「0」に設定されるが、一度、上段チューリップ開放フラグ703fがオンを示す、即ち、上段チューリップ921aの開放が開始されると、上段チューリップオンオフカウンタ703iの値が+1されて「1」に設定される。その後、上段チューリップ開放フラグ703fがオンされている間、ソレノイド制御データ出力処理が起動する毎に、即ち、本実施形態では2ms毎に、上段チューリップオンオフカウンタ703iの値が+1されていく。そして、上段チューリップ921aの状態が開放から閉鎖へ移行すると、即ち、上段チューリップ開放フラグ703fのオフが検出されると、上段チューリップオンオフカウンタ703iの値は「0」にリセットされる。従って、上段チューリップオンオフカウンタ703iの値は、上段チューリップ921aの開放されている時間の尺度を示す。
次に、S1904の処理では、中段チューリップ開放フラグ703gがオンか否かを確認する。この場合、オフであれば(S1904:No)、中段チューリップオンオフカウンタ703jの値を「0」にリセットし(S1905)、S1906の処理へ移行する。一方で、S1904の処理により確認した結果、中段チューリップ開放フラグ703gがオンであれば(S1904:Yes)、ソレノイド制御データメモリ703cの値の1ビット目に「1」をセットし(S1917)、次いで、中段チューリップオンオフカウンタ703jの値を+1し(S1918)、S1906の処理へ移行する。
S1901,S1904〜S1905,S1917〜S1918の処理によって、上述した上段チューリップオンオフカウンタ703iの場合と同様に、中段チューリップオンオフカウンタ703jの値もまた、中段チューリップ922aの開放されている時間的長さを示す。
次に、S1906の処理では、下段チューリップ開放フラグ703hがオンか否かを確認する。この場合、オフであれば(S1906:No)、下段チューリップオンオフカウンタ703kの値を「0」にリセットし(S1907)、S1908の処理へ移行する。一方で、S1906の処理により確認した結果、下段チューリップ開放フラグ703hがオンであれば(S1906:Yes)、ソレノイド制御データメモリ703cの値の2ビット目に「1」をセットし(S1919)、次いで、下段チューリップオンオフカウンタ703kの値を+1し(S1920)、S1908の処理へ移行する。
S1901,S1906〜S1907,S1919〜S1920の処理によって、上述した上段チューリップオンオフカウンタ703iの場合と同様に、下段チューリップオンオフカウンタ703kの値もまた、下段チューリップ923aの開放されている時間的長さを示す。
従って、上段チューリップオンオフカウンタ703iの値と、中段チューリップオンオフカウンタ703jの値と、下段チューリップオンオフカウンタ703kの値とを比較することによって、上段チューリップ921a、中段チューリップ922a、下段チューリップ923aの開放された順序を知ることができる。
次に、S1908の処理では、主制御装置561により制御される開放フラグ(本実施形態では、上段チューリップ開放フラグ703f、中段チューリップ開放フラグ703g、下段チューリップ開放フラグ703h)のうち、オンされている開放フラグの数が所定数以下(本実施形態では、2以下)であるか否かを確認する。このS1908の処理における判断基準として用いられる所定数は、電源装置612を構成する制御基板(電源基板)の電源容量に応じて、主制御装置561に対して予め割り振られた数である。具体的には、駆動による消費電流量が、該電源容量に応じて主制御装置561に対して許容された量以下(又は未満)となるソレノイドの数であり、本実施形態では、一例示として、その数を「2」であるとしている。なお、一方で、表示制御装置505等の他の制御装置に対しても、上述した主制御装置561と同様に、該電源容量に応じたソレノイド駆動用の最大消費電流量が割り当てられおり、各制御基板に対して割り当てられたソレノイド駆動用の最大消費電流量の総和が、該電源容量により許容される量以下(又は未満)となるように構成されている。
S1908の処理により確認した結果、オンされている開放フラグの数が所定数(本実施形態では、「2」)を超えていれば(S1908:No)、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ703eがオンであるかを確認する(S1909)。その際、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ703eがオフであることが確認された場合には(S1909:Yes)、ソレノイドオフカウンタ703dによる制御を実行中であることを示すフラグであるソレノイドオフカウンタ起動フラグ703eをオンする(S1910)。次いで、ソレノイドオフカウンタ703dの初期値を設定するソレノイドオフカウンタ設定処理を実行する(S1911)。なお、ソレノイドオフカウンタ設定処理については、図77を参照して後述する。そして、S1911の処理の後、S1912の処理へ移行する。
ここで、図77のフローチャートを参照して、ソレノイドオフカウンタ設定処理について説明する。ソレノイドオフカウンタ設定処理では、まず、3つのオンオフカウンタ703i,703j,703kのうち、下段チューリップオンオフカウンタ703kの値が最も大きいか否かを確認し(S2001)、下段チューリップオンオフカウンタ703kの値が最も大きい場合には(S2001:Yes)、ソレノイドオフカウンタ703dの値を「2」に設定する(S2002)。なお、S2001の処理において確認される「下段チューリップオンオフカウンタ703kの値が最も大きい」という状態は、3つのオンオフカウンタ703i,703j,703kのうち、下段チューリップオンオフカウンタ703kが単独で最大値をとる場合はもちろんであるが、3つのオンオフカウンタ703i,703j,703kが全て同じ値である場合も含まれる。更に、中段チューリップオンオフカウンタ703j又は上段チューリップオンオフカウンタ703iの一方が下段チューリップオンオフカウンタ703kと等しい値を有し、それが他方のオンオフカウンタの値より大きい場合も含まれる。よって、下段チューリップオンオフカウンタ703kの値と同じ値を有するオンオフカウンタが存在する場合であっても、下段チューリップオンオフカウンタ703kの値を優先的に大きい値とみなしている。
一方、S2001の処理により確認した結果、他のオンオフカウンタ703i,703jの方が、下段チューリップオンオフカウンタ703kの値より大きな値である場合には(S2001:No)、中段チューリップオンオフカウンタ703jが最も大きな値のオンオフカウンタであるかを確認する(S2003)。S2003の処理により確認した結果、中段チューリップオンオフカウンタ703jの値が最も大きい場合には(S2003:Yes)、ソレノイドオフカウンタ703dの値を「1」に設定する(S2004)。
なお、S2003の処理において確認される「中段チューリップオンオフカウンタ703jの値が最も大きい」という状態は、3つのオンオフカウンタ703i,703j,703kのうち、中段チューリップオンオフカウンタ703jが単独で最大値をとる場合はもちろんであるが、中段チューリップオンオフカウンタ703jの値と上段チューリップオンオフカウンタ703iの値とが等しく、それが下段チューリップオンオフカウンタ703kの値より大きい場合も含まれる。よって、中段チューリップオンオフカウンタ703jの値と上段チューリップオンオフカウンタ703iの値が同じであっても、中段チューリップオンオフカウンタ703jの値を優先的に大きい値とみなしている。
一方で、S2003の処理により確認した結果、上段チューリップオンオフカウンタ703iの値が最も大きい場合には(S2003:No)、ソレノイドオフカウンタ703dの値を「0」に設定する(S2005)。
S2002,S2004,S2005の処理により、ソレノイドオフカウンタ703dの値が設定されると、このソレノイドオフカウンタ設定処理を終了し、ソレノイド制御データ出力処理へ戻る。従って、このソレノイドオフカウンタ設定処理によれば、上段チューリップオンオフカウンタ703i、中段チューリップオンオフカウンタ703j、下段チューリップオンオフカウンタ703kの値に応じて、ソレノイドオフカウンタ703dの値が設定される。
詳しくは後述するが、このソレノイドオフカウンタ設定処理によりソレノイドオフカウンタ703dの値が設定された結果として、最も早くから開放していたチューリップ921a,922a,923aに対応するソレノイド931,932,933への励磁電流の通電が優先的に2ms遮断され、以降、ソレノイドオフカウンタ703dの値に応じた間欠的な励磁電流が各ソレノイド931,932,933に通電される。
ここで、図77に示すように、このソレノイドオフカウンタ設定処理では、3つのオンオフカウンタ703i,703j,703kの値を比較した場合に、同じ値があれば、下段チューリップオンオフカウンタ703kの値を最も優先的に大きな値とみなし、次いで、中段チューリップオンオフカウンタ703jを優先的に大きな値とみなして、それぞれ、下段チューリップソレノイド933、中段チューリップソレノイド932への励磁電流への通電が遮断されるようなソレノイドオフカウンタ703dの値が設定される。よって、励磁電流を通電すべきソレノイドの数が、主制御装置561に対して割り当てられた数(本実施形態では2)を超える、特に、[(新たに通電を開始すべきソレノイドの数)−(該検出より前から通電されていたソレノイドの数)]が、主制御装置561に対して割り当てられた数を超えると検出された場合に、該検出より前において最も早くから通電されていたソレノイドが複数存在する場合には、上段チューリップソレノイド931が最も優先的に励磁電流が通電されることになる。その一方で、下段チューリップソレノイド933が最も優先的に励磁電流が遮断されることになる。
即ち、図77によれば、ソレノイドに対する通電の優先度は、下段チューリップソレノイド933、中段チューリップソレノイド932、上段チューリップソレノイド931の順で高いことになる。本実施形態では、このようなソレノイドに対する通電の優先度の順は、対応するチューリップの設けられた各入賞口における遊技球が入賞するか否かに応じた賞球の獲得期待値の差に応じて決められている。具体的には、技球が入賞したことによる獲得期待値と遊技球が入賞しなかったことによる獲得期待値の差がより大きい入賞口に設けられたチューリップに対応するソレノイドほど、通電の優先度をより高いものとしている。一般的に、遊技者は、獲得期待値の差が大きい入賞口をより重要視する傾向にある。よって、獲得期待値の差が最も大きく、遊技者によって最も重要視される入賞口A921に設けられた上段チューリップ921aに対応する上段チューリップソレノイド931への通電の優先度を最も高くすることにより、第1抽選の当選による上段チューリップ開放フラグ703fのオンによって上段チューリップソレノイド931への通電が指示されたタイミングと、実際の駆動タイミングとの間のタイムラグを0ないし小さくすることができる。その結果として、遊技者に不信感を与えたり、遊技者の興趣を消失させたりすることを防止することができる。
再度、図76に戻って説明する。S1909の処理により確認した結果、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ703eがオンであれば(S1909:Yes)、ソレノイドオフカウンタ703dの値を更新する(S1922)。具体的には、ソレノイドオフカウンタ703dの値を、「0」から「1」へ、又は、「1」から「2」へ、又は、「2」から「0」へと更新する。そして、S1622の処理の後、S1612の処理へ移行する。
よって、S1909〜S1911,S1922の処理によれば、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ703eのオンが最初に検出されると、ソレノイドオフカウンタ設定処理により、上段チューリップオンオフカウンタ703i、中段チューリップオンオフカウンタ703j、下段チューリップオンオフカウンタ703kの値に応じて、ソレノイドオフカウンタ703dの初期値が設定される。以降、ソレノイドオフカウンタ起動フラグ703eがオンされている間は、ソレノイド制御データ出力処理が起動される毎、即ち、本実施の形態では2ms毎に、ソレノイドオフカウンタ703dの値が、0〜2の範囲で順次更新される。
上述したソレノイドオフカウンタ設定処理(S1911)の実行後、又は、S1922の処理の後、ソレノイド出力オフテーブル702aから、ソレノイドオフカウンタ703dの値番目のデータをソレノイド出力オフデータ702a1として読み出す(S1912)。具体的には、ソレノイドオフカウンタ703dの値に対応するアドレスに記憶されるデータを、ソレノイド出力オフデータ702a1として読み出す。
次に、S1912の処理で読み出したソレノイド出力オフデータ702a1と、ソレノイド制御データメモリ703cの値との論理積をとり、その結果をソレノイド制御データメモリ703cに記憶し(S1913)、ソレノイド制御データメモリ703cに記憶される値を、入出力ポート705へ出力し(S1914)、このソレノイド制御データ出力処理を終了する。
S1914の処理により、ソレノイド制御データメモリ703cに記憶される値(ソレノイド制御データ)が入出力ポート705へ出力されると、出力されたソレノイド制御データの0〜2ビット目の値に応じて、それぞれ、上段チューリップソレノイド931、中段チューリップソレノイド932、下段チューリップソレノイド933がオン又はオフされる。
一方、S1908の処理により確認した結果、オンされている開放フラグの数が所定数(本実施形態では、「2」)以下である場合、即ち、オンされている開放フラグの数が、電源装置612の電源容量に応じて主制御装置561に対して予め割り振られた数以下であることが確認された場合には(S1908:Yes)、その場合は、ソレノイドオフカウンタ703dによる制御が不要であるので、ソレノイドオフカウンタ起動フラグをオフし(S1921)、S1914の処理へ移行する。
よって、S1908において、オンされている開放フラグの数が、該電源容量に応じて主制御装置561に対して許容された消費電流量以下(又は未満)となるソレノイドの数であることが確認された場合には、S1901,S1902,S1904,S1906,S1915,S1917,S1919の処理により、各チューリップ921a,922a,923aに対応する開放フラグ703f,703g,703hの状況によって設定されるソレノイド制御データメモリ703cの値が入出力ポート705へ出力される。この場合は、開放フラグ(上段チューリップ開放フラグ703f、中段チューリップ開放フラグ703g、下段チューリップ開放フラグ703h)がオンであれば、対応するビットに「1」がセットされたソレノイド制御データメモリ703cの値が、ソレノイド制御データ出力処理が起動する毎に(本実施形態では2ms毎に)、入出力ポート705に出力される。一方で、開放フラグ(上段チューリップ開放フラグ703f、中段チューリップ開放フラグ703g、下段チューリップ開放フラグ703h)がオフであれば、対応するビットに「0」がセットされたソレノイド制御データメモリ723cの値が、ソレノイド制御データ出力処理が起動する毎に(本実施形態では2ms毎に)、入出力ポート705に出力される。具体的には、例えば、開放フラグのうち、上段チューリップ開放フラグ703f及び中段チューリップ開放フラグ703gの2つの開放フラグがオンされている期間は、ソレノイド制御データ出力処理が起動する毎に、毎回、0ビット目が「1」であり、1ビット目が「1」であるソレノイド制御データメモリ703cの値が入出力ポート705へ出力され、その結果として、上段チューリップ931及び中段チューリップ932に対し、励磁電流が連続的に通電される。
一方で、S1908において、オンされている開放フラグの数が、該電源容量に応じて主制御装置561に対して許容された消費電流量以下(又は未満)となるソレノイドの数を超えることが確認された場合には、S1914の処理により入出力ポート705へ出力されるソレノイド制御データメモリ703cの値は、S1913において、ソレノイドオフカウンタ703dの値に応じたソレノイド出力オフデータ702a1と、開放フラグ703f,703g,703hの示す値に応じてS1901,S1902,S1904,S1906,S1915,S1917,S1919の処理により設定されるソレノイド制御データメモリ703cの値との論理積をとることにより得られたものである。
よって、例えば、中段チューリップ開放フラグ703gがオンを示したことにより、S1917の処理においてソレノイド制御データメモリ703cの1ビット目に「1」がセットされた場合であっても、ソレノイドオフカウンタ703dの値が「1」である場合には、ソレノイド出力オフデータ702a1の1ビット目702a3の値は「0」であるので、S1913の処理においてこれらの値の論理積を取った結果、出力ポート705に出力される(S1914の処理により)ソレノイド制御データメモリ703cの1ビット目は「0」となる。従って、中段チューリップ開放フラグ703gがオンを示し、中段チューリップ922aが開放中であっても、ソレノイドオフカウンタ703dの値が「1」である場合には、中段チューリップソレノイド932は非励磁の状態となる。
上述のように、ソレノイドオフカウンタ703dの値の更新は2ms毎に行われるので、中段チューリップ開放フラグ703gがオンを示し、ソレノイドオフカウンタ703dによる制御を行う場合には、4msの励磁期間と2msの非励磁期間とを1周期とする間欠的な励磁電流、即ち、通電率が(2/3)×100%である励磁電流が中段チューリップソレノイド932に通電されることになる。上記のように励磁期間(4ms)と非励磁期間(2ms)とが繰り返される間欠的な励磁電流を通電した場合、非励磁期間において励磁電流の通電が遮断されても、中段チューリップ922aは、閉鎖することなく、中段チューリップ開放フラグ703gがオフされるまで開放されたままに保たれる。一方、上段チューリップソレノイド931及び下段チューリップソレノイド933への励磁電流の印加(通電)も、上記した中段チューリップソレノイド932への励磁電流の印加(通電)と同様である。
従って、このソレノイド制御データ出力処理が実行された結果として、電源基板12の電源容量に応じて主制御装置561に対して許容された消費電流量以下(又は未満)となるソレノイドの数に対応する数の各可動部材(上s段チューリップ921a、中段チューリップ922a、下段チューリップ923a)が開放状態となる場合には、各ソレノイド931,932,933には、4msの励磁期間と2msの非励磁期間とを1周期とする間欠的な励磁電流が通電される。その際、ソレノイドオフカウンタ703dにより、必ず1つのソレノイドがオフされるようになっているので、ソレノイドの駆動によって該電源容量を越えないように制御することができる。よって、電源装置612に対し設計変更を施すことなく電源装置612を流用できるだけでなく、内枠13に電源装置12が備え付けられている場合には、その内枠13を流用することができる。また、電源装置612の電源容量を無駄に大きくすることなく、流用可能な内枠13に、異なる種類(機種)の遊技盤16を取り付けることが可能となる。
なお、4msの励磁期間と2msの非励磁期間とを1周期とする間欠的な励磁電流が通電されるソレノイド(本実施の形態では、上段チューリップソレノイド931、中段チューリップソレノイド932、下段チューリップソレノイド933)は、そのような間欠的な通電が継続される間は、通電されたソレノイドに対応する部材(本実施形態では、上段チューリップ921a、中段チューリップ922a、下段チューリップ923a)が開放された状態(開状態)に保たれる。よって、ソレノイドによる部材の駆動と、ソレノイドによる合計消費電流量の制御とを同時に実現することができる。
この第2実施形態においては、励磁期間(通電期間)を4msとし、非励磁期間を2msとして例示したが、励磁期間及び非励磁期間の値はこれらの値に限定されるものではない。例えば、1msの励磁期間と500μsの非励磁期間との繰り返しによる間欠的な通電(通電率(2/3)×100%)を行ってもよい。このような通電は、ソレノイドオフカウンタ703の値の更新間隔を短くすることにより実現できる。例えば、ソレノイドオフカウンタ703dの値の更新間隔を500μsとすることにより、1msの励磁期間と500μsの非励磁期間との繰り返しによる間欠的な通電を実現することができる。
図78は、第2実施形態の通常処理のフローチャートである。第2実施形態の通常処理もまた、第1実施形態同様、遊技の主要な処理が実行される。第2実施形態の通常処理においては、まず、S201〜S204の処理を実行し、S204の処理の後、普通図柄A表示装置901及び装飾図柄表示装置902による変動表示の制御を行う普通図柄A・装飾図柄制御処理を実行する(S211)。この普通図柄A・装飾図柄制御処理により、第1抽選の抽選結果の判定や、普通図柄A表示装置901及び装飾図柄表示装置902における変動パターンの設定などが行われる。
普通図柄A・装飾図柄制御処理の実行後、普通図柄B表示装置925による変動表示の制御を行う普通図柄B制御処理を実行し(S212)、次いで、普通図柄C表示装置927による変動表示の制御を行う普通図柄C制御処理を実行する(S213)。普通図柄B制御処理により、第2抽選の抽選結果の判定や、普通図柄B表示装置925における変動パターンの設定などが行われ、一方で、普通図柄C制御処理により、第3抽選の抽選結果の判定や、普通図柄C表示装置927における変動パターンの設定などが行われる。これら普通図柄B制御処理及び普通図柄C制御処理、並びに、上述した普通図柄A・装飾図柄制御処理は、いずれも、現在の変動表示状況に応じて、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているデータに応じた変動開始処理を行うと共に、停止図柄を確定するための確定コマンドの設定を行う。なお、作動保留球数(N,N’,N”)が0を超える場合には、変動開始処理の実行前に、作動保留球数を1減算した上で、対応する保留球格納エリア(保留球格納エリア、第2保留球格納エリア、第3保留球格納エリア)における各保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせるシフト処理が行われる。
普通図柄C制御処理の後は、第1〜第3抽選の抽選結果に応じたチューリップ921a,922a,923aを開放又は閉鎖するためのチューリップ開閉処理を実行する(S214)。なお、このチューリップ開閉処理については、図79を参照して後述する。
チューリップ開閉処理の後は、S208の処理により、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否かを判別し、その実行タイミングに到達した場合には、S201の処理へ移行し、S201〜S204,S211〜S214の処理を繰り返し実行する。一方で、S208の処理により、未だ次の通常処理の実行タイミングに到らないと判定された場合には、次の通常処理の実行タイミングに到達するまでの残余時間において、S209〜S210の処理を実行する。
次に、図79のフローチャートを参照して、上述したチューリップ開閉処理(S214)を説明する。チューリップ開閉処理では、まず、その時点において、第1抽選の当選による遊技の最中であるか否かを確認する(S1801)。なお、「第1抽選の当選による遊技の最中」には、第1抽選の当選による遊技の開始時やその当選による遊技終了後の所定時間内の最中も含まれるものとする。
S1801の処理により確認した結果、第1抽選の当選による遊技の最中であれば(S1801:Yes)、上段チューリップ開放フラグ703fをオンする(S1802)。
S1802の処理により、上段チューリップ開放フラグ703fがオンされると、上述したソレノイド制御データ出力処理(S605)に従って上段チューリップソレノイド931への間欠的な励磁電流の印加(通電)が開始され、その結果として、上段チューリップ921aが開放する。
S1802の処理の後、上段チューリップ921aの最大開放時間(例えば、5.8秒)が経過したか否かを確認する(S1803)。この場合に、上段チューリップ921aの最大開放時間が経過したと確認された場合には(S1803:Yes)、第1抽選の当選による上段チューリップ921aの開放が1ラウンド終了したものとして、上段チューリップ開放フラグ703fをオフする(S1804)。
また、S1801の処理により確認した結果、第1抽選の当選による遊技の最中でない場合には(S1801:No)、S1802〜S1803の処理をスキップして、上段チューリップ開放フラグ703fをオフする(S1804)。
S1804の処理により、上段チューリップ開放フラグ703fがオフされると、上述したソレノイド制御データ出力処理(S605)に従って上段チューリップソレノイド931への励磁電流の通電が遮断され、その結果として、上段チューリップ921aが閉鎖する。
S1804の処理の後、S1805の処理へ移行する。また、S1803の処理により確認した結果、最大開放時間がまだ経過していない場合も(S1803:No)、S1804の処理をスキップして、S1805の処理へ移行する。
S1805の処理では、その時点において、第2抽選の当選による遊技の最中であるか否かを確認する。なお、「第2抽選の当選による遊技の最中」には、第2抽選の当選による遊技の開始時やその当選による遊技終了後の所定時間内の最中も含まれるものとする。
S1805の処理により確認した結果、第2抽選の当選による遊技の最中であれば(S1805:Yes)、中段チューリップ開放フラグ703gをオンする(S1806)。
S1806の処理により、中段チューリップ開放フラグ703gがオンされると、上述したソレノイド制御データ出力処理(S605)に従って中段チューリップソレノイド932への間欠的な励磁電流の印加(通電)が開始され、その結果として、中段チューリップ922aが開放する。
S1806の処理の後、中段チューリップ922aの最大開放時間(例えば、5.8秒)が経過したか否かを確認する(S1807)。この場合に、中段チューリップ922aの最大開放時間が経過したと確認された場合には(S1807:Yes)、第2抽選の当選による中段チューリップ922aの開放が1ラウンド終了したものとして、中段チューリップ開放フラグ703gをオフする(S1808)。
また、S1805の処理により確認した結果、第2抽選の当選による遊技の最中でない場合には(S1805:No)、S1806〜S1807の処理をスキップして、中段チューリップ開放フラグ703gをオフする(S1808)。
S1808の処理により、中段チューリップ開放フラグ703gがオフされると、上述したソレノイド制御データ出力処理(S605)に従って中段チューリップソレノイド932への励磁電流の通電が遮断され、その結果として、中段チューリップ922aが閉鎖する。
S1808の処理の後、S1809の処理へ移行する。また、S1807の処理により確認した結果、最大開放時間がまだ経過していない場合も(S1807:No)、S1808の処理をスキップして、S1809の処理へ移行する。
S1809の処理では、その時点において、第3抽選の当選による遊技の最中であるか否かを確認する。なお、「第3抽選の当選による遊技の最中」には、第3抽選の当選による遊技の開始時やその当選による遊技終了後の所定時間内の最中も含まれるものとする。
S1809の処理により確認した結果、第3抽選の当選による遊技の最中であれば(S1809:Yes)、下段チューリップ開放フラグ703hをオンする(S1810)。
S1810の処理により、下段チューリップ開放フラグ703hがオンされると、上述したソレノイド制御データ出力処理(S605)に従って下段チューリップソレノイド933への間欠的な励磁電流の印加(通電)が開始され、その結果として、下段チューリップ923aが開放する。
S1810の処理の後、下段チューリップ923aの最大開放時間(例えば、5.8秒)が経過したか否かを確認する(S1811)。この場合に、下段チューリップ923aの最大開放時間が経過したと確認された場合には(S1811:Yes)、第3抽選の当選による下段チューリップ923aの開放が1ラウンド終了したものとして、下段チューリップ開放フラグ703hをオフし(S1812)、このチューリップ開放処理を終了する。
また、S1809の処理により確認した結果、第3抽選の当選による遊技の最中でない場合には(S1809:No)、S1810〜S1811の処理をスキップして、下段チューリップ開放フラグ703hをオフし(S1812)、このチューリップ開放処理を終了する。
S1812の処理により、下段チューリップ開放フラグ703hがオフされると、上述したソレノイド制御データ出力処理(S605)に従って下段チューリップソレノイド933への励磁電流の通電が遮断され、その結果として、下段チューリップ923aが閉鎖する。
一方で、S1811の処理により確認した結果、最大開放時間がまだ経過していない場合には(S1811:No)、S1812の処理をスキップして、このチューリップ開放処理を終了する。
即ち、上記のチューリップ開閉処理は、第1〜第3抽選において当選した場合の各ラウンド毎に、上段チューリップ921a、中段チューリップ922a、下段チューリップ923aを開放し、各チューリップ921a,922a,923aの最大開放時間が経過したかを判定する。そして、各チューリップ921a,922a,923aが最大開放時間だけ開放すると、その条件を満たしたチューリップ921a,922a,923aを閉鎖する。なお、上記のチューリップ開閉処理では、そのような各チューリップ921a,922a,923aの開放及び閉鎖を、第1〜第3抽選の各抽選毎に所定ラウンド数(例えば、第1抽選当選の場合は1ラウンド、第2及び第3抽選当選の場合は4ラウンド)繰り返し実行する。
次に、図80を参照して、上述した第2実施形態において、主制御装置561により実行されるソレノイド制御データ出力処理(図76参照)の結果として生じる、上段チューリップソレノイド931、中段チューリップソレノイド932、下段チューリップソレノイド933のオン(励磁)及びオフ(非励磁)の切り換えについて説明する。図80は、第2実施形態における各種ソレノイドのオン及びオフのタイミングチャートである。
図80では、T3のタイミングで、上段チューリップ開放フラグ703f、中段チューリップ開放フラグ703g、下段チューリップ開放フラグ703hがオンされたと検出された場合が例示されている。この場合、励磁電流を通電すべきソレノイドの数が「3」となり、主制御装置561に対して予め割り当てられている数である「2」を超えるので、このT3のタイミングにおいて、ソレノイドオフカウンタ703dの値に応じたソレノイド(上段チューリップソレノイド931、中段チューリップソレノイド932、下段チューリップソレノイド933)への通電制御が開始される。
なお、T3のタイミングに到るまで、上段チューリップ開放フラグ703f、中段チューリップ開放フラグ703g、下段チューリップ開放フラグ703hはいずれもオフを示し、その結果として、上段チューリップソレノイド931、中段チューリップソレノイド932、下段チューリップソレノイド933はいずれも非通電状態である。よって、T3に到るまでは、上段チューリップ921a、中段チューリップ922a、下段チューリップ923aは、いずれも閉鎖状態(閉状態)である。
図80に示すように、T3のタイミングで、上段チューリップ開放フラグ703f、中段チューリップ開放フラグ703g、下段チューリップ開放フラグ703hが同時にオンされた場合には、ソレノイド制御データ出力処理(図76参照)により、対応するオンオフカウンタ(上段チューリップオンオフカウンタ703i、中段チューリップオンオフカウンタ703j、下段チューリップオンオフカウンタ703k)にはいずれも同じ値が設定されることになる。よって、この場合には、ソレノイドオフカウンタ設定処理(図77参照)において、下段チューリップオンオフカウンタ703kの値が最も大きい値であると判断され、T3のタイミングにおけるソレノイドオフカウンタ703dの初期値は「2」に設定される。
T3のタイミングで、ソレノイドオフカウンタ703dが、初期値「2」で起動したことにより、ソレノイド制御データ出力処理(図76参照)の結果として、0ビット目及び1ビット目が「1」であるソレノイド制御データメモリ703cの値の出力が開始される。それによって、上段チューリップソレノイド931及び中段チューリップソレノイド932への励磁電流の通電が開始され、上段チューリップ921a及び中段チューリップ922aの開放が開始される。
一方で、T3のタイミングでは、このタイミングで下段チューリップ開放フラグ703hがオンされたにもかかわらず、ソレノイドオフカウンタ703dの値が「2」であるために、ソレノイド制御データ出力処理(図76参照)の結果として出力されるソレノイド制御データメモリ703cの値の2ビット目は「0」のままである。よって、T3のタイミングでは、下段チューリップソレノイド933へは励磁電流の通電は依然遮断されたままであり、下段チューリップ923aは開放されない。
T3のタイミングの次に起動する、即ち、T3の2ms後に起動するソレノイド制御データ出力処理(図76参照)において、ソレノイドオフカウンタ703dの値が「0」に更新されるので、そのタイミングで、2ビット目が「1」であるソレノイド制御データメモリ703cの値が出力される。従って、下段チューリップ開放フラグ703hがオンにされてから、即ち、実際に開放指示のあったタイミングから2ms遅れて下段チューリップソレノイド933への励磁電流の通電が開始されて、それによって、下段チューリップ923aの開放が開始される。しかし、上述したように、下段チューリップ923aは、3つの入賞口(入賞口A921、入賞口B922、入賞口C933)の中で、入賞するか否かに応じた賞球の獲得期待値の差が最も小さい入賞口Cに設けられている可動部材であるので、遊技者の興趣を維持しつつ、ソレノイド駆動による合計消費電流量を効果的に制御することができる。
T3以降、2ms間隔に起動するソレノイド制御データ出力処理の各実行毎に更新されるソレノイドオフカウンタ703dの値(「0」〜「2」)に応じて、上段チューリップソレノイド931、中段チューリップソレノイド932、下段チューリップソレノイド933への周期的な励磁電流の通電(オン)と通電遮断(オフ)とが開始される。即ち、2ms毎に更新されるソレノイドオフカウンタ703dの値に応じて、その値が「0」である2msの期間は、上段チューリップソレノイド931がオフとなり、一方で、中段チューリップソレノイド932及び下段チューリップソレノイド933がオンとなる。
また、ソレノイドオフカウンタ703dの値が「1」である2msの期間は、中段チューリップソレノイド932がオフとなり、一方で、上段チューリップソレノイド931及び下段チューリップソレノイド933がオンとなる。更に、ソレノイドオフカウンタ703dの値が「2」である2msの期間は、下段チューリップソレノイド933がオフとなり、一方で、上段チューリップソレノイド931及び中段チューリップソレノイド932がオンとなる。それによって、上段チューリップソレノイド931、中段チューリップソレノイド932、下段チューリップソレノイド933のそれぞれに対し、4msの励磁期間と2msの非励磁期間とを1周期とする間欠的な励磁電流が通電される。このような間欠的な励磁電流の通電が、上段チューリップソレノイド931、中段チューリップソレノイド932、下段チューリップソレノイド933に対してなされている間、これらのソレノイド931〜933に対応する上段チューリップ921a、中段チューリップ922a、下段チューリップ923aは開放中、即ち、開放された状態(開状態)に保たれる。
上述のように、第2実施形態では、主制御装置561において、ソレノイドオフカウンタ703dの更新時間を2ms毎とし、通電率を(2/3)×100%として、遊技性を高めるために使用される3つのソレノイド(上段チューリップソレノイド931、中段チューリップソレノイド932、下段チューリップソレノイド933)を制御させ、同時に通電されるソレノイドの数が最大2つとなるように構成した。しかし、ソレノイドオフカウンタ703dにより制御されるソレノイドの数は、3つに限定されるものではなく、ソレノイドオフカウンタ703dにより計数される数を増加させると共に通電率を変化させることにより、制御可能なソレノイドの数を増減させることは可能である。
例えば、合計消費電流量を制御すべきソレノイドの数をSとし、電源装置612を構成する制御基板(電源基板)により駆動可能なソレノイドの最大数、即ち、駆動による合計消費電流量が電源容量により許容される最大消費電流量以下(又は未満)となるソレノイドの数をS1とした場合には、ソレノイドオフカウンタ703d,723dにより計数される値を「0」から「n(S−1)」(nは、1以上の整数)までとすると共に、各ソレノイドへの通電率を(S1/S)×100%とすることにより、種々の数のソレノイドの合計消費電流量を制御することが可能である。
この場合、ソレノイドオフカウンタ703dの示す各値毎に、(S−S1)個のソレノイドに対して励磁電流の通電が遮断されるように出力オフデータ702a1を構成する(即ち、対応するビットに「0」を格納しておく)ことにより、励磁電流の通電されるソレノイドの数が、電源装置612の電源容量により許容される消費電流量以下(又は未満)となるように、各値に対応付けられたソレノイドに対する励磁電流の通電(オン)と通電遮断(オフ)とを制御することができる。更に、出力オフデータ702a1において、1のソレノイドに対し、ソレノイドオフカウンタ703dの示す値のうち連続するS1個の値(ただし、ソレノイドオフカウンタ723dにおける最大の値→最小の値(本実施形態では「0」)についても連続しているものとする)に対しては、そのソレノイドへ励磁電流を通電させ(即ち、対応するビットに「1」を格納しておく)、一方で、連続する(S−S1)個の値(ただし、ソレノイドオフカウンタ723dにおける最大の値→最小の値(本実施形態では「0」)についても連続しているものとする)に対しては、そのソレノイドへの励磁電流の通電を遮断させ(即ち、対応するビットに「0」を格納しておく)ようにデータを構成することにより、各ソレノイドに対し、(S1/S)×100%の通電率で間欠的な励磁電流を通電することができる。よって、上記のように出力オフデータ702a(又は、出力オフテーブル702a)を構成し、(S1/S)×100%の通電率で間欠的な励磁電流を通電することにより、ソレノイドにより駆動される部材(本実施の形態では、例えば、上段チューリップソレノイド931により駆動される上段チューリップ921a)を開状態に保ちつつ、合計消費電流量を、電源装置612の電源容量により許容される量以下(又は未満)に制御することができる。
なお、ソレノイド出力オフテーブル702aは、それぞれ、1つが1バイトのデータであるために、ソレノイドオフカウンタ703dの各値毎に、それぞれ8個のソレノイドに対するデータしか管理できないが、それぞれ1つを複数バイトで構成することにより、管理可能なソレノイド数を増加することができる。
この第2実施形態においては、ソレノイドに対する通電の優先度の順を、技球が入賞したことによる獲得期待値と遊技球が入賞しなかったことによる獲得期待値の差がより大きい入賞口に設けられたチューリップに対応するソレノイドほど、通電の優先度をより高いものとしている。よって、獲得期待値の差が最も大きく、遊技者によって最も重要視される入賞口A921に設けられた上段チューリップ921aに対応する上段チューリップソレノイド931への通電の優先度を最も高くすることにより、第1抽選の当選による上段チューリップ開放フラグ703fのオンによって上段チューリップソレノイド931への通電が指示されたタイミングと、実際の駆動タイミングとの間のタイムラグを0ないし小さくすることができる。その結果として、遊技者に不信感を与えたり、遊技者の興趣を消失させたりすることを防止することができる。
よって、以上説明した通り、ソレノイドへ通電される合計消費電流量を制御することによって、設計変更を施す必要がなく電源装置612を流用することができるだけでなく、内枠13に電源装置12が備え付けられている場合、その内枠13を流用することができる。また、電源装置612の電源容量を無駄に大きくすることなく、異なる種類(機種)の遊技盤16を取り付けることが可能となる。
また、上述したように、3つのソレノイド931,932,933に対し、合計消費電流量を制御するために励磁電流のオン及びオフが周期的に繰り返された場合であっても、各ソレノイド931,932,933にそれぞれ対応する各チューリップ921a,922a,923aは開放状態に保持される。従って、以上説明した通り、ソレノイドオフカウンタ703dを利用して合計消費電流量を制御することにより、ソレノイドによる部材の駆動と、ソレノイドによる合計消費電流量の制御とを同時に実現することができる。
なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なり、ソレノイドオフカウンタ703dのみによって3つのソレノイド931〜933を制御するように構成されているので、第1実施形態における表示制御装置505でのメイン処理(図67参照)のS1503又はS1504の処理を不要とする。よって、第2実施形態の表示制御装置505で実行されるメイン処理では、変動表示処理(S1502)の実行後、S1505の処理を実行する。そして、S1505の処理により、次のS1502の処理の実行タイミングに至ったことが確認された場合には(S1505:Yes)、再度、S1501の処理を実行し、一方で、そうでなければ(S1505:No)、S1505の処理に戻り、次のS1505の処理の実行タイミングに到達するまで待機する。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記第1実施形態では、扉ソレノイド制御データ出力処理(S1504)を、表示制御装置505のMPU721で実行する2ms周期で実行されるメイン処理の中で実行するものとして構成したが、2ms毎に起動するタイマ割込処理として実行させるように構成してもよい。
また、上記第1実施形態では、特定入賞口(大開放口)65aの内部に、通常領域と特定領域とが区分けされて設けられているが、これを特定領域のみとしてもよい。この場合、大当たり状態における特定入賞口(大開放口)65aの開放中に、所定の条件(例えば、所定時間内に所定数の遊技球が該特定領域を通過する等)が満たされると継続権が成立して、特定入賞口(大開放口)65aの閉鎖後、再度、特定入賞口(大開放口)65aが開放するように構成することができる。あるいは、そのような条件を設けることなく、大当たり状態の発生を契機とし、特定入賞口(大開放口)65aが所定回数(例えば、16回)だけ開放されるように構成してもよい。
また、上記第2実施形態において、合計消費電流量を制御するソレノイドを、第1実施形態では、大開放口ソレノイド581、右扉ソレノイド177、左扉ソレノイド184の3つとし、一方で、第2実施形態では、上段チューリップソレノイド931、中段チューリップソレノイド932、下段チューリップソレノイド933の3つとしたが、制御するソレノイドの数は上記実施形態に示した数に限定されるものではない。なお、制御するソレノイドの数は、ソレノイドオフカウンタ703d又はソレノイドオフカウンタ723dにより計数される数を、制御するソレノイドの数(又は、制御するソレノイドの数の整数倍)だけ計数できるように構成すると共に、各ソレノイドへの通電率を変化させるようにすればよい。なお、合計消費電流量を制御すべきソレノイドの数をSとし、電源装置612を構成する制御基板(電源基板)により駆動可能なソレノイドの最大数、即ち、駆動による合計消費電流量が電源容量により許容される最大消費電流量以下(又は未満)となるソレノイドの数をS1とした場合には、通電率を(S1/S)×100%とすればよい。
また、上記実施形態では、ソレノイドオフカウンタ703d,723dは、2ms毎のタイミングで更新するように構成したが、この更新タイミングを他の値(例えば、1msや500μsなど)としてもよい。即ち、上記第1実施形態では、通電率50%の間欠的な通電を、2msの通電期間(励磁期間)と2msの通電遮断期間(非励磁期間)との繰り返しによるものとしたが、例えば、ソレノイドオフカウンタ723dの更新タイミングを500μsとすることにより、500μsの通電期間(励磁期間)と500μsの通電遮断期間(非励磁期間)との繰り返しによる間欠的な通電を行うようにしたり、あるいは、上記第2実施形態では、通電率(2/3)×100%の間欠的な通電を、4msの通電期間(励磁期間)と2msの通電遮断期間(非励磁期間)との繰り返しによるものとしたが、例えば、ソレノイドオフカウンタ703dの更新タイミングを500μsとすることにより、500μsの通電期間(励磁期間)と500μsの通電遮断期間(非励磁期間)との繰り返しによる間欠的な通電を行うように構成してもよい。
また、上記第2実施形態では、主制御装置561で実行されるメイン処理(図53参照)において、バックアップエリア703aにバックアップデータが記憶されている場合には、バックアップデータに残っているソレノイドオフカウンタ703dの値を初期値とするように構成したが、電源投入時に、バックアップエリア703aにバックアップデータが記憶されていた場合であっても、ソレノイドオフカウンタ703dの値を「0」など、所定の値に設定するように構成してもよい。
また、第1実施形態のソレノイドオフカウンタ設定処理(図69参照)及び第2実施形態のソレノイドオフカウンタ設定処理(図77参照)において、オンオフカウンタ(右扉オンオフカウンタ723f、左扉オンオフカウンタ723g、上段チューリップオンオフカウンタ703i、中段チューリップオンオフカウンタ703j、下段チューリップオンオフカウンタ703k)を利用して、対応する可動部材(右扉171、左扉172、上段チューリップ921a、中段チューリップ922a、下段チューリップ923a)の開放されていた時間の長さを、各可動部材の開放された順序の知見とした。上記のようなオンオフカウンタに換えて、各可動部材が開放されたタイミング(又は、対応するソレノイドに励磁電流の通電が開始されたタイミング)をRAM703の所定領域に記憶させ、その開放されたタイミングが早いものを優先してソレノイドオフカウンタの初期値を設定するように構成してもよい。
あるいは、各可動部材が開放されたタイミング(又は、対応するソレノイドに励磁電流の通電が開始されたタイミング、又は、対応するソレノイドに励磁電流を通電する指示がなされたタイミング)をRAM703の所定領域に記憶させ、そのタイミングが早いものから順に、制御するソレノイドの数に応じた通電率での励磁電流の通電を開始するように構成してもよい。
また、上記実施形態においては、主制御装置561により制御されるソレノイドは、遊技球の通過による賞球の獲得に関連する入賞口に設けられた可動部材(チューリップ)に対応するソレノイドについてのみ説明した。主制御装置561により制御されるソレノイドは、このように賞球の獲得に関連する可動部材に限定されず、その他の機能(例えば、演出)を有する可動部材に対応するソレノイドを含むように構成してもよい。その際、通電の優先度は、遊技球の通過による賞球の獲得に関連する入賞口に設けられた可動部材に対応するソレノイドを、その他の機能を有する可動部材に対応するソレノイドに優先させるように構成させる。それによって、遊技球の通過による賞球の獲得に関連する入賞口に設けられた可動部材に対応するソレノイドへの励磁電流の通電が最も優先されて行われることになり、遊技者の興趣の消失を防止しつつ、ソレノイド駆動による合計消費電流量を制御できる。
また、上記実施形態に示すように、動的表示の一種である変動表示は、第1図柄表示装置81の表示画面上で識別情報としての図柄を縦方向にスクロールさせるものに限定されず、横方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであっても良い。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、図柄と共に或いは図柄とは別に、識別情報として用いられる。
本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有するいわゆる第2種パチンコ遊技機などに実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球など他の遊技機として実施するようにしても良い。
本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施しても良い。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
以下に、本発明の遊技機及び変形例を示す。なお、以下においては、理解の容易のため、本発明の遊技機を構成する要件と、各括弧書きなどで示した具体的構成に各構成要件が限定されるものではない。
第1位置と第2位置との間を移動可能な複数の可動部材と、それらの可動部材の各々の位置を、遊技状態又は演出状態に応じて、前記第1位置又は前記第2位置のいずれかに指定する位置指定手段と、その位置指定手段により前記可動部材の位置が前記第1位置に指定された場合に、電流を通電することにより前記可動部材を前記第1位置に位置させ、一方で、前記位置指定手段により前記可動部材の位置が前記第2位置に指定された場合に、電流を非通電状態とすることにより前記可動部材を前記第2位置に位置させる可動部材毎に設けられた複数の駆動手段とを備えた遊技機において、前記位置指定手段により指定される前記可動部材の位置を確認する指定位置確認手段と、前記駆動手段に通電される合計消費電流量が、電流を供給する電源の容量により許容される量以下又は未満の状態から、該電源の容量により許容される量を超える又は以上になるかを検出する検出手段と、前記位置指定手段によって前記第1位置に指定されていることが前記指定位置確認手段により確認された前記可動部材に対応する前記駆動手段の中における合計消費電流量を制御すべき駆動手段への通電による前記合計消費電流量が、前記検出手段により、前記電源の容量により許容される量以下又は未満の状態から、該電源の容量により許容される量を超える又は以上になると検出されると、その合計消費電流量が、前記電源の容量により許容される量以下又は未満となるように、前記駆動手段の各々に対して予め決められている通電の優先度が最も低い駆動手段に対して、駆動情報の初期値として、電流を通電しないように指示する通電遮断指示情報を設定する駆動情報初期値設定手段と、その駆動情報初期値設定手段による駆動情報の初期値の設定がされてから、前記位置指定手段によって前記第1位置に指定されたことが前記指定位置確認手段により確認された前記可動部材に対応する前記駆動手段の中における合計消費電流量を制御すべき駆動手段への通電による前記合計消費電流量が、電流を供給する電源の容量により許容される量以下又は未満となるように、前記合計消費電流量を制御すべき駆動手段のそれぞれに対して、電流を通電するように指示する通電指示情報又は前記通電遮断指示情報を、所定時間毎に、駆動情報として設定する駆動情報設定手段と、その駆動情報設定手段又は前記駆動情報初期値設定手段により、前記合計消費電流量を制御すべき駆動手段のそれぞれに対して駆動情報が設定されると、それらの駆動情報を前記駆動手段へ出力する出力手段とを備えていることを特徴とする遊技機1。
遊技機1において、前記駆動手段の各々に対して予め決められている通電の優先度は、遊技媒体が通過可能であり、該遊技媒体が通過したことによって遊技者に対して所定の遊技価値を付与し得る入賞口における該遊技媒体の入口近傍に設けられた前記可動部材に対応する前記駆動手段であって、該遊技媒体の該入賞口の通過を可能とする(容易にする、促進する)若しくは該入賞口の入口をより広げる前記第1位置、又は、該遊技媒体の該入賞口の通過を阻止する(困難にする、抑制する)若しくは該入賞口の入口をより狭める前記第2位置に位置する前記可動部材に対応する前記駆動手段が、他の機能を有する前記可動部材に対応する前記駆動手段と比べてより高い優先度とされていることを特徴とする遊技機2。遊技球のような遊技媒体が通過すると、遊技者に対し、遊技価値として所定数の賞球が付与されるような入賞口における遊技球の入口近傍には、しばしば、可動部材が設けられている。そのような可動部材は、通常、遊技状態に応じて、該入口への遊技球の通過を阻止する(困難にする、抑制する)閉鎖状態(若しくは、該入口をより狭めた状態)と該入口への遊技球の通過を可能とする(容易にする、促進する)開放状態(若しくは、該入口をより広げた状態)とをとるように構成され、それによって、遊技者に対して興趣を付与する部材である。そのため、このような入賞口の入口近傍に設けられた可動部材が開放されるタイミングが、駆動手段の通電の遅延によって、本来のタイミングから遅れたことを遊技者が感覚的に感じた場合には、遊技者が遊技に対して不信感を感じることになる。そこで、「通電の優先度」を、遊技者に対して遊技価値を与え得る入賞口に対してより高くすることにより、遊技価値の獲得に関連する可動部材については、可動部材の駆動の指示タイミングと実際の駆動タイミングとのタイムラグを0ないし小さくすることができる。よって、遊技者に不信感を与えたり、遊技者の興趣を消失させたりすることを防止することができる。
遊技機2において、前記駆動手段の各々に対して予め決められている通電の優先度は、前記入賞口における該遊技媒体の入口近傍に設けられた前記可動部材の中で、該遊技媒体が通過したことにより生じる前記遊技価値の獲得期待値の増加の増分がより大きい入賞口に設けられた可動部材に対応する駆動手段が、より高い優先度とされていることを特徴とする遊技機3。
遊技球のような遊技媒体の通過によって遊技者に対して遊技価値として所定数の賞球が付与されるような入賞口に対し、入賞したことによって賞球数(出球数)の獲得期待値が増加する場合、遊技者は、入賞したことによって獲得期待値がより大きく増加する入賞口、即ち、遊技球が入賞した場合の獲得期待値と遊技球が入賞しなかった場合の獲得期待値との差がより大きい入賞口をより重要視する。そこで、遊技者に対して遊技価値を与え得る入賞口の中でも、遊技球が通過したことにより生じる賞球(出球)の獲得期待値の増加の増分がより大きい入賞口に設けられた入賞口を駆動する駆動手段に対して、通電の優先度をより高くすることによって、遊技者によりより重要視される可動部材の駆動の指示タイミングと実際の駆動タイミングとのタイムラグを0ないし小さくすることができる。従って、遊技者に不信感を与えたり、遊技者の興趣を消失させたりすることを防止することができる。なお、「獲得期待値」とは、1の遊技媒体(遊技球)あたりに獲得できる遊技価値(賞球、出球)の数の平均値を意味する。
遊技機1から3のいずれかにおいて、遊技の演出をするために設けられた前記可動部材に対する前記通電の優先度を、遊技状態に応じて変更する優先度変更手段を備えていることを特徴とする遊技機4。演出用に設けられた可動部材に対応する駆動手段への通電の優先度が、遊技状態に応じて変更されるので、演出用の可動部材と遊技状態に応じた表示装置への図柄の変動表示とをリンクさせた場合にも、該可動部材に自然な動きをさせることができる。
遊技機4において、遊技に関する主な制御を行う主制御手段と、その主制御手段から一方向通信によって出力された指示に基づいて遊技に関する周辺制御を行う周辺制御手段とを備え、前記優先度変更手段は、前記主制御手段から前記周辺制御手段へ出力された前記遊技状態に応じた演出を指定する情報に基づいて、前記通電の優先度を変更するものであることを特徴とする遊技機5。一般的に、遊技機は、遊技状態に応じて、主制御装置から周辺制御装置へ出力(送信)された演出(例えば、表示装置での図柄の変動表示)を指示する情報(例えば、変動パターンコマンド)の種類に応じて、演出のパターンを決定する。よって、遊技状態に応じて主制御手段から周辺制御手段へ出力された演出を指定する情報に従って、演出用に設けられた可動部材に対応する駆動手段への通電の優先度が変更されるので、演出用の可動部材と表示装置への図柄の変動表示とをリンクさせた場合にも、該可動部材に自然な動きをさせることができる。
遊技機1から5のいずれかにおいて、所定時間毎に行われる前記駆動情報設定手段は、前記位置指定手段により前記可動部材の位置が前記第1位置に指定される前記合計消費電流量を制御すべき駆動手段のそれぞれに対し、電流を通電する通電期間と電流の通電を遮断する通電遮断情報とが周期的に繰り返される間欠的な電流を、[(前記合計消費電流量が、前記電源の容量により許容される量以下又は未満となる前記駆動手段の数)/(前記合計消費電流量を制御すべき前記駆動手段の総数)]×100%の通電率で通電させるように、前記起動情報を割り当てるものであることを特徴とする遊技機6。可動部材を第1位置に位置させる(第1位置に維持させる)ために駆動手段への電流の通電が必要であっても、通電率が[(前記合計消費電流量が、前記電源の容量により許容される量以下又は未満となる前記駆動手段の数)/(前記合計消費電流量を制御すべき前記駆動手段の総数)]×100%である間欠的通電を行うことにより、可動部材の駆動と合計消費電流量の制御とを同時に実現することができる。
遊技機1から6のいずれかにおいて、前記位置指定手段による位置の指定が前記第1位置である前記可動部材に対応する前記駆動手段に対して通電を開始したタイミングを記憶する通電開始タイミング記憶手段を備え、前記駆動情報初期値設定手段は、前記検出手段により、前記指定位置確認手段によって前記位置指定手段による指定位置が前記第1位置であると確認された前記可動部材に対応する前記駆動手段の中における前記合計消費電流量を制御すべき駆動手段の通電による前記合計消費電流量が、前記電源の容量により許容される量以下又は未満の状態から、該電源の容量により許容される量を超える又は以上になると検出され、且つ、[(新たに通電を開始すべき駆動手段の数)−(前記通電開始タイミング記憶手段により、該検出より前から通電開始タイミングが記憶されていた駆動手段の数)]の数の前記駆動手段への通電による合計消費電流量が、前記電源の容量により許容される量を超える又は以上であると検出される場合に、予め決められている通電すべき優先度が最も低い駆動手段に対して、前記駆動情報として前記通電遮断指示情報を設定するものであることを特徴とする遊技機7。
可動部材を駆動する駆動手段に通電される電流の合計消費電流量が、前記電源の容量により許容される量以下又は未満の状態から、該電源の容量により許容される量を超える又は以上になると検出され、且つ、[(新たに通電を開始すべき駆動手段の数)−(通電開始タイミング記憶手段により、該検出より前から通電開始タイミングが記憶されていた駆動手段の数)]の数の駆動手段への通電による合計消費電流量が、該電源の容量により許容される量を超える又は以上になると検出された場合には、予め決められている通電すべき優先度が最も低い駆動手段に対し優先的に通電が遮断される。この場合、「通電の優先度」を、遊技に応じて遊技者が獲得できる遊技価値に関連する可動部材を駆動する駆動手段に対してより高くすることにより、少なくとも、遊技価値の獲得に関連する可動部材に対応する駆動手段については、優先的に電流が通電されるので、その可動部材の駆動が指示されたタイミングと実際の駆動タイミングとの間のタイムラグを0ないし小さくできる。よって、遊技者に不信感を与えたり、遊技者の興趣を消失させたりすることを防止できる。あるいは、「通電の優先度」を、演出用の可動部材に対応する駆動手段に対し、遊技状態に応じて決めることにより、演出用の可動部材と遊技状態に応じた表示装置への図柄の変動表示とをリンクさせた場合にも、該可動部材に自然な動きをさせることができる。
なお、通電開始タイミング記憶手段に記憶される「駆動手段に対して通電を開始したタイミング」を、位置指定手段により第1位置が指定されたことによって、可動部材を第2位置から第1位置へ移動させるために駆動手段へ通電を開始したタイミングだけとしてもよいし、位置指定手段による第1位置の指定が継続中であり、可動部材を第1位置に維持するために通電期間と通電遮断期間とを繰り返す間欠的な通電がなされている場合には、通電期間が開始される毎にその開始タイミングを更新するようにしてもよい。また、「(検出手段による)検出より前」とは、検出手段による検出時を含まない。
遊技機1から7のいずれかにおいて、前記位置指定手段による位置の指定が前記第1位置である前記可動部材に対応する前記駆動手段に対して通電を開始したタイミングを記憶する通電開始タイミング記憶手段と、その通電開始タイミング記憶手段に記憶されるタイミングからの時間的長さを記憶する通電時間記憶手段とを備え、前記駆動情報初期値設定手段は、前記検出手段により、前記指定位置確認手段によって前記位置指定手段による指定位置が前記第1位置であると確認された前記可動部材に対応する前記駆動手段の中における前記合計消費電流量を制御すべき駆動手段の通電による前記合計消費電流量が、前記電源の容量により許容される量以下又は未満の状態から、該電源の容量により許容される量を超える又は以上になると検出され、且つ、[(新たに通電を開始すべき駆動手段の数)−(前記通電時間記憶手段により、該検出より前から通電されていたことが記憶されている駆動手段の数)]の数の前記駆動手段への通電による合計消費電流量が、前記電源の容量により許容される量を超える又は以上であると検出される場合に、予め決められている通電すべき優先度が最も低い駆動手段に対して、前記駆動情報として前記通電遮断指示情報を設定するものであることを特徴とする遊技機8。
可動部材を駆動する駆動手段に通電される電流の合計消費電流量が、前記電源の容量により許容される量以下又は未満の状態から、該電源の容量により許容される量を超える又は以上になると検出され、且つ、[(新たに通電を開始すべき駆動手段の数)−(通電開始タイミング記憶手段により、該検出より前から通電されていたことが記憶されている駆動手段の数)]の数の駆動手段への通電による合計消費電流量が、該電源の容量により許容される量を超える又は以上になると検出された場合には、予め決められている通電すべき優先度が最も低い駆動手段に対し優先的に通電が遮断される。この場合、「通電の優先度」を、遊技に応じて遊技者が獲得できる遊技価値に関連する可動部材を駆動する駆動手段に対してより高くすることにより、少なくとも、遊技価値の獲得に関連する可動部材に対応する駆動手段については、優先的に電流が通電されるので、その可動部材の駆動が指示されたタイミングと実際の駆動タイミングとの間のタイムラグを0ないし小さくできる。よって、遊技者に不信感を与えたり、遊技者の興趣を消失させたりすることを防止できる。あるいは、「通電の優先度」を、演出用の可動部材に対応する駆動手段に対し、遊技状態に応じて決めることにより、演出用の可動部材と遊技状態に応じた表示装置への図柄の変動表示とをリンクさせた場合にも、該可動部材に自然な動きをさせることができる。
なお、通電時間記憶手段に記憶される「通電開始記憶手段に記憶されるタイミングからの時間的長さ」を、位置指定手段により第1位置が指定されたことによって、可動部材を第2位置から第1位置へ移動させるために駆動手段へ通電を開始したタイミングからの長さだけとしてもよいし、位置指定手段による第1位置の指定が継続中であり、可動部材を第1位置に維持するために通電期間と通電遮断期間とを繰り返す間欠的な通電がなされている場合には、通電期間が開始されたタイミングであって、該検出より前における該検出のタイミングに最も近いタイミングからの長さとしてもよい。
また、通電開始タイミング記憶手段に記憶される「駆動手段に対して通電を開始したタイミング」を、位置指定手段により第1位置が指定されたことによって、可動部材を第2位置から第1位置へ移動させるために駆動手段へ通電を開始したタイミングだけとしてもよいし、位置指定手段による第1位置の指定が継続中であり、可動部材を第1位置に維持するために通電期間と通電遮断期間とを繰り返す間欠的な通電がなされている場合には、通電期間が開始される毎にその開始タイミングを更新するようにしてもよい。また、「(検出手段による)検出より前」とは、検出手段による検出時を含まない。
遊技機1から8のいずれかにおいて、遊技に関する主な制御を行う主制御手段と、その主制御手段から一方向通信によって出力された指示に基づいて遊技に関する周辺制御を行う周辺制御手段とを備え、前記主制御手段は、該主制御手段により制御される駆動手段の駆動状況に関する情報を、前記周辺制御手段へ送信する駆動状況情報送信手段を備え、前記駆動情報初期値設定手段は、前記検出手段により、前記駆動状況情報送信手段により送信された情報に基づいて、前記指定位置確認手段によって前記位置指定手段による指定位置が前記第1位置であると確認された可動部材に対応する前記駆動手段であって、前記周辺制御手段により制御される駆動手段の中における、前記合計消費電流量を制御すべき駆動手段の通電による前記合計消費電流量が、前記電源の容量により許容される量以下又は未満の状態から、該電源の容量により許容される量を超える又は以上になると検出される場合に、予め決められている通電すべき優先度が最も低い駆動手段に対して、前記駆動情報として前記通電遮断指示情報を設定するものであることを特徴とする遊技機9。
一般的に、遊技機は、遊技に関する主な制御を行う主制御手段とその主制御手段から出力される指示に基づいて遊技に関する周辺制御を行う周辺制御手段とを備えており、これらの制御手段により遊技機全体の制御が行われる。この場合、主制御手段は、周辺制御手段に対して一方向通信を行う。即ち、主制御手段は、周辺制御手段からの指示を受信することはできない。従って、主制御手段は、周辺制御手段により制御される駆動手段の情報を知ることができない。よって、駆動手段に対して通電される合計消費電流量が、電源の容量に応じて、遊技機全体に対して許容される最大消費電流量以下(又は未満)の状態から、その量を超える(又は以上)になると検出された場合に、主制御手段から入力される指示に基づいて主制御手段の状況を知ることのできる周辺制御装置に対して、駆動手段への電流の通電又は通電遮断を制御することにより、遊技機全体における駆動手段への通電による合計消費電流量を、遊技機全体に対して許容される最大消費電流量以下(又は未満)に制御することができる。また、この場合、「通電の優先度」を、演出用の可動部材に対応する駆動手段に対し、遊技状態に応じて決めることにより、演出用の可動部材と遊技状態に応じた表示装置への図柄の変動表示とをリンクさせた場合にも、該可動部材に自然な動きをさせることができる。
遊技機1から9のいずれかにおいて、遊技に関する主な制御を行う主制御手段と、その主制御手段から一方向通信によって出力された指示に基づいて遊技に関する周辺制御を行う周辺制御手段とを備え、前記検出手段は、(1)該主制御手段により制御される前記複数の駆動手段に通電される合計消費電流量が、該主制御手段に対して予め規定された、前記電源の容量により許容される量の範囲内の量である第1所定量以下又は未満の状態から、その第1所定量を超える又は以上になるかを検出するものであり、一方で、(2)該周辺制御手段により制御される前記複数の駆動手段に通電される合計消費電流量が、該周辺制御手段に対して予め規定された、[(前記電源の容量により許容される量)−(前記第1所定量)]の範囲内の量である第2所定量以下又は未満の状態から、その第2所定量を超える又は以上になるかを検出するものであり、前記駆動情報初期値設定手段は、(1)前記検出手段により、前記指定位置確認手段によって前記位置指定手段による指定位置が前記第1位置であると確認された前記主制御手段により制御される可動部材に対応する前記駆動手段の中における合計消費電流量を制御すべき駆動手段への通電による前記合計消費電流量が、前記第1所定量以下又は未満の状態から、該第1所定量を超える又は以上になると検出された場合に、該主制御手段により制御される前記駆動手段の中で、前記予め決められている通電すべき優先度が最も低い駆動手段に対して、前記駆動情報として前記通電遮断指示情報を設定するものであり、一方で、(2)前記検出手段により、前記指定位置確認手段によって前記位置指定手段による指定位置が前記第1位置であると確認された前記周辺制御手段により制御される可動部材に対応する前記駆動手段の中における合計消費電流量を制御すべき駆動手段への通電による前記合計消費電流量が、前記第2所定量以下又は未満の状態から、該第2所定量を超える又は以上になると検出された場合に、該周辺制御手段により制御される前記駆動手段の中で、前記予め決められている通電すべき優先度が最も低い駆動手段に対して、前記駆動情報として前記通電遮断指示情報を設定するものであることを特徴とする遊技機10。
一般的に、遊技機は、遊技に関する主な制御を行う主制御手段とその主制御手段から出力される指示に基づいて遊技に関する周辺制御を行う周辺制御手段とを備えており、これらの制御手段により遊技機全体の制御が行われる。この場合、主制御手段は、周辺制御手段に対して一方向通信を行う。即ち、主制御手段は、周辺制御手段からの指示を受信することはできない。従って、主制御手段は、周辺制御手段により制御される駆動手段の情報を知ることができない。よって、主制御手段及び周辺制御手段に対し、それぞれ許容可能な消費電流量を規定することにより、それぞれの制御手段において、通電される駆動手段による合計消費電流が、各許容可能な消費電流量を超えたことが検出された場合に、各制御手段により制御される駆動手段への電流の通電又は通電遮断が、各々独立して制御される。ここで、各制御手段毎に、駆動手段への通電による合計消費電流量が制御される。この場合、各制御手段に対して規定される許容可能な消費電流量の合計を、遊技機の電源基板の電源容量に応じて許容される最大消費電流とすることにより、遊技機全体における駆動手段への通電による合計消費電流量を、遊技機全体に対して許容される最大消費電流量以下(又は未満)に制御することができる。また、この場合、「通電の優先度」を、遊技に応じて遊技者が獲得できる遊技価値に関連する可動部材を駆動する駆動手段に対してより高くすることにより、少なくとも、遊技価値の獲得に関連する可動部材に対応する駆動手段については、優先的に電流が通電されるので、その可動部材の駆動が指示されたタイミングと実際の駆動タイミングとの間のタイムラグを0ないし小さくできる。よって、遊技者に不信感を与えたり、遊技者の興趣を消失させたりすることを防止できる。あるいは、「通電の優先度」を、演出用の可動部材に対応する駆動手段に対し、遊技状態に応じて決めることにより、演出用の可動部材と遊技状態に応じた表示装置への図柄の変動表示とをリンクさせた場合にも、該可動部材に自然な動きをさせることができる。
遊技機1から10のいずれかにおいて、前記合計消費電流量を制御すべき前記駆動手段の総数のn倍(nは、1以上の整数)に等しい数を計数するカウンタと、そのカウンタの値を、前記出力手段による出力が行われる時間間隔に対応する時間毎に更新するカウンタ更新手段と、前記カウンタの各値毎に、[(前記合計消費電流量を制御すべき前記駆動手段の総数)−(前記合計消費電流量が、前記電源の容量により許容される量以下又は未満となる前記駆動手段の数)]に相当する数の前記駆動手段に対して前記通電遮断指示情報を割り当てた割当情報を記憶する割当情報記憶手段とを備え、前記駆動情報初期値設定手段は、前記指定位置確認手段によって前記位置指定手段による指定位置が前記第1位置であると確認された前記可動部材に対応する前記駆動手段の中における合計消費電流量を制御すべき駆動手段への通電による前記合計消費電流量が、前記検出手段により、前記電源の容量により許容される量以下又は未満の状態から、該電源の容量により許容される量を超える又は以上になると検出された場合に、前記駆動手段の各々に対して予め決められている通電の優先度が最も低い駆動手段に対して、前記割当情報記憶手段により記憶される前記割当情報において前記通電遮断指示情報の割り当てられている値を、前記カウンタの初期値に設定するカウンタ初期値設定手段を備えていることを特徴とする遊技機11。
カウンタの値に応じて、[(合計消費電流量を制御すべき駆動手段の総数)−(合計消費電流量が、電源の容量により許容される量以下又は未満となる駆動手段の数)]に相当する数の駆動手段に対する電流の通電が遮断される。即ち、常時、最大で、駆動手段への通電による合計消費電流量が電源の容量により許容される量以下又は未満となる数の駆動手段に対してのみ、電流を通電することができる。また、そのような合計消費電流量の制御の際、カウンタの初期値は、駆動手段の各々に対して予め決められている通電の優先度が最も低い駆動手段に対して通電遮断情報が割り当てられるような値に、割当情報記憶手段に基づいて設定される。この場合、「通電の優先度」を、遊技に応じて遊技者が獲得できる遊技価値に関連する可動部材を駆動する駆動手段に対してより高くすることにより、少なくとも、遊技価値の獲得に関連する可動部材に対応する駆動手段については、優先的に電流が通電されるので、その可動部材の駆動が指示されたタイミングと実際の駆動タイミングとの間のタイムラグを0ないし小さくできる。よって、遊技者に不信感を与えたり、遊技者の興趣を消失させたりすることを防止できる。あるいは、「通電の優先度」を、演出用の可動部材に対応する駆動手段に対し、遊技状態に応じて決めることにより、演出用の可動部材と遊技状態に応じた表示装置への図柄の変動表示とをリンクさせた場合にも、該可動部材に自然な動きをさせることができる。
遊技機1から10のいずれかにおいて、前記合計消費電流量を制御すべき前記駆動手段の総数のn倍(nは、1以上の整数)に等しい数を計数するカウンタと、そのカウンタの値を、前記出力手段による出力が行われる時間間隔に対応する時間毎に更新するカウンタ更新手段と、前記カウンタの各値毎に、[(前記合計消費電流量を制御すべき前記駆動手段の総数)−(前記合計消費電流量が、前記電源の容量により許容される量以下又は未満となる前記駆動手段の数)]に相当する数の前記駆動手段に対して前記通電遮断指示情報を割り当て、一方で、前記合計消費電流量を制御すべき前記駆動手段のうち、前記通電遮断指示情報の割り当てのない駆動手段に対しては、前記通電指示情報を割り当てた割当情報を記憶する割当情報記憶手段と、前記合計消費電流量を制御すべき駆動手段のそれぞれに対して、前記位置指定手段により指定される位置が第1位置であれば前記通電指示情報を、一方で、前記位置指定手段により指定される位置が第2位置であれば前記通電遮断指示情報を、第1駆動情報として設定する第1駆動情報設定手段とを備え、前記駆動情報初期値設定手段は、前記指定位置確認手段によって前記位置指定手段による指定位置が前記第1位置であると確認された前記可動部材に対応する前記駆動手段の中における合計消費電流量を制御すべき駆動手段への通電による前記合計消費電流量が、前記検出手段により、前記電源の容量により許容される量以下又は未満の状態から、該電源の容量により許容される量を超える又は以上になると検出された場合に、前記周辺制御手段により制御される前記駆動手段の中で、前記駆動手段の各々に対して予め決められている通電の優先度が最も低い駆動手段に対して、前記割当情報記憶手段により記憶される前記割当情報における前記通電遮断指示情報の割り当てられている値を、前記カウンタの初期値に設定するカウンタ初期値設定手段と、そのカウンタ初期値設定手段により設定された前記カウンタの初期値に応じて前記割当情報記憶手段に記憶される割当情報としての前記通電指示情報又は前記通電遮断指示情報と、前記第1駆動情報設定手段により設定された第1駆動情報とに基づいて、駆動情報を設定する第2駆動情報設定手段とを備えているものであることを特徴とする遊技機12。
位置指定手段により指定される可動部材の位置に応じた第1駆動情報が、まず、第1駆動情報設定手段により設定される。一方で、割当情報記憶手段には、カウンタの各値毎に、[(前記合計消費電流量を制御すべき前記駆動手段の総数)−(前記合計消費電流量が、前記電源の容量により許容される量以下又は未満となる前記駆動手段の数)]に相当する数の駆動手段に対して通電遮断指示情報が割り当てられ、一方で、合計消費電流量を制御すべき駆動手段のうち、通電遮断指示情報の割り当てのない駆動手段に対しては、通電指示情報の割り当てられた割り当て情報が記憶されている。そして、駆動情報初期値設定手段により、カウンタの値を参照し、該割当情報記憶手段において、そのカウンタの値に対し、各駆動手段に対して割り当てられている駆動情報(通電指示情報又は通電遮断指示情報)と、第1駆動情報設定手段により設定された第1駆動情報とに基づいて、合計消費電流量を制御すべき駆動手段のそれぞれに対する駆動情報が設定される。即ち、可動部材の位置を指定する位置指定手段に応じた第1駆動情報によれば、通電指示情報に従って通電されるべき駆動手段であっても、カウンタの値よっては、その駆動部材に対して電流の通電が遮断される。従って、カウンタの値を参照することにより、容易に、駆動手段への通電による合計消費電流量を、電源(電源基板)の電源容量に応じて許容される最大消費電流量以下(又は未満)に制御することができる。
なお、「第1駆動情報設定手段により設定された第1駆動情報と、割当情報記憶手段に記憶される割当情報としての通電指示情報又は通電遮断指示情報とに基づいて」とは、割当情報記憶手段により記憶される、カウンタの値に応じた割当情報としての通電指示情報又は通電遮断指示情報と、第1駆動情報設定手段により、位置指定手段によって指定される可動部材の位置に応じて設定された第1駆動情報としての通電指示情報又は通電遮断指示情報との論理積をとることを例示することができる。具体的には、割当情報が通電遮断指示情報である場合には、第1駆動情報が通電指示情報であっても、通電遮断指示情報であっても、割当情報と第1駆動情報との論理積をとった結果として、駆動情報は通電遮断指示情報に設定される。また、割当情報が通電指示情報であれば、第1駆動情報が通電指示情報であった場合には、論理積をとった結果として、駆動情報は通電指示情報に設定される。一方で、割当情報が通電指示情報であっても、第1駆動情報が通電遮断指示情報であった場合には、論理積をとった結果として、駆動情報は通電遮断指示情報に設定される。従って、1の可動部材に対応する駆動手段について、位置指定手段により第1位置が指定されたことにより、第1駆動情報として通電指示情報が指定される一方で、割当情報記憶手段に記憶されるカウンタの示す値従う割当情報が通電遮断指示情報であれば、この場合における第1駆動情報と割当情報との論理積を取ることにより、駆動情報として通電遮断指示情報が設定される。
また、そのような合計消費電流量の制御の際、カウンタの初期値は、前記駆動手段の各々に対して予め決められている通電の優先度が最も低い駆動手段に対して通電遮断指示情報が割り当てられるような値に設定される。この場合、「通電の優先度」を、遊技に応じて遊技者が獲得できる遊技価値に関連する可動部材を駆動する駆動手段に対してより高くすることにより、少なくとも、遊技価値の獲得に関連する可動部材に対応する駆動手段については、優先的に電流が通電されるので、その可動部材の駆動が指示されたタイミングと実際の駆動タイミングとの間のタイムラグを0ないし小さくできる。よって、遊技者に不信感を与えたり、遊技者の興趣を消失させたりすることを防止できる。あるいは、「通電の優先度」を、演出用の可動部材に対応する駆動手段に対し、遊技状態に応じて決めることにより、演出用の可動部材と遊技状態に応じた表示装置への図柄の変動表示とをリンクさせた場合にも、該可動部材に自然な動きをさせることができる。
遊技機11又は12において、前記カウンタ初期値設定手段は、前記検出手段により、前記指定位置確認手段によって前記位置指定手段による指定位置が前記第1位置であると確認された前記可動部材に対応する前記駆動手段の中における前記合計消費電流量を制御すべき駆動手段の通電による前記合計消費電流量が、前記電源の容量により許容される量以下又は未満の状態から、該電源の容量により許容される量を超える又は以上になると検出され、且つ、[(新たに通電を開始すべき駆動手段の数)−(該検出より前から通電開始タイミングが記憶されていた駆動手段の数)]の数の前記駆動手段への通電による合計消費電流量が、前記電源の容量により許容される量を超える又は以上であると検出される場合に、前記駆動手段の各々に対して予め決められている通電の優先度が最も低い駆動手段に対して、前記通電遮断情報割当手段において前記通電遮断期間が割り当てられている値に設定するものであることを特徴とする遊技機13。
指定位置が第1位置であると確認された可動部材可動部材に対応する駆動手段に通電される電流の合計消費電流量が、電源の容量により許容される量以下又は未満の状態から、該電源の容量により許容される量を超える又は以上になると検出され、且つ、[(新たに通電を開始すべき駆動手段の数)−(該検出より前から通電開始タイミングが記憶されていた駆動手段の数)]の数が、該電源の容量により許容される量を超える又は以上になると検出された場合には、予め決められている通電すべき優先度が最も低い駆動手段に対し優先的に通電が遮断されるようにカウンタの初期値が設定される。この場合、「通電の優先度」を、遊技に応じて遊技者が獲得できる遊技価値に関連する可動部材を駆動する駆動手段に対してより高くすることにより、少なくとも、遊技価値の獲得に関連する可動部材に対応する駆動手段については、優先的に電流が通電されるので、その可動部材の駆動が指示されたタイミングと実際の駆動タイミングとの間のタイムラグを0ないし小さくできる。よって、遊技者に不信感を与えたり、遊技者の興趣を消失させたりすることを防止できる。あるいは、「通電の優先度」を、演出用の可動部材に対応する駆動手段に対し、遊技状態に応じて決めることにより、演出用の可動部材と遊技状態に応じた表示装置への図柄の変動表示とをリンクさせた場合にも、該可動部材に自然な動きをさせることができる。
なお、「該検出より前から通電されていた駆動手段」は、通電開始タイミング記憶手段により記憶される駆動手段への通電が開始されたタイミングを基準として規定されてもよいし、駆動手段に対して通電の開始が指示されたタイミングを基準として規定されてもよいし、あるいは、通電時間記憶手段に記憶される通電時間を基準として規定されてもよい。また、「(検出手段による)検出より前」とは、検出手段による検出時を含まない。
遊技機11から13のいずれかにおいて、遊技に関する主な制御を行う主制御手段と、その主制御手段から一方向通信によって出力された指示に基づいて遊技に関する周辺制御を行う周辺制御手段とを備え、前記カウンタは、前記主制御手段における前記合計消費電流量を制御すべき前記駆動手段の数のn倍(nは、1以上の整数)を計数する第1カウンタと、前記周辺制御手段における前記合計消費電流量を制御すべき前記駆動手段の数のm倍(mは、1以上の整数)を計数する第2カウンタとを有し、割当情報記憶手段は、(1)前記第1カウンタの各値毎に、[(前記主制御手段における前記合計消費電流量を制御すべき前記駆動手段の総数)−(前記主制御手段により制御される前記駆動手段への通電による前記合計消費電流量が、該主制御手段に対して予め規定された、前記電源の容量により許容される量の範囲内の量である第1所定量以下又は未満となる前記駆動手段の数)]に相当する数の前記駆動手段に対して前記通電遮断指示情報を割り当てた割当情報を記憶するもの、又は、(2)前記第2カウンタの各値毎に、[(前記周辺制御手段における前記合計消費電流量を制御すべき前記駆動手段の総数)−(前記周辺制御手段により制御される前記駆動手段への通電による前記合計消費電流量が、該周辺制御手段に対して予め規定された、前記電源の容量により許容される量の範囲内の量である第2所定量以下又は未満となる前記駆動手段の数)]に相当する数の前記駆動手段に対して前記通電遮断指示情報を割り当てた割当情報を記憶するものであり、前記カウンタ初期値設定手段は、(1)前記指定位置確認手段によって前記位置指定手段による指定位置が前記第1位置であると確認された前記主制御手段により制御される前記可動部材に対応する前記駆動手段の中における合計消費電流量を制御すべき駆動手段への通電による前記合計消費電流量が、前記検出手段により、該主制御手段に対して予め規定された、前記電源の容量により許容される量の範囲内の量である第1所定量以下又は未満の状態から、その第1所定量を超える又は以上になると検出された場合に、前記主制御手段により制御される前記駆動手段の中で、予め決められている通電の優先度が最も低い駆動手段に対して、前記割当情報記憶手段により記憶される前記割当情報において前記通電遮断指示情報の割り当てられている値を、前記第1カウンタの初期値に設定するものであり、一方で、(2)前記指定位置確認手段によって前記位置指定手段による指定位置が前記第1位置であると確認された前記周辺制御手段により制御される前記可動部材に対応する前記駆動手段の中における合計消費電流量を制御すべき駆動手段への通電による前記合計消費電流量が、前記検出手段により、該周辺制御手段に対して予め規定された、[(前記電源の容量により許容される量)−(前記第1所定量)]の範囲内の量である第2所定量以下又は未満の状態から、その第2所定量を超える又は以上になると検出された場合に、前記周辺制御手段により制御される前記駆動手段の中で、予め決められている通電の優先度が最も低い駆動手段に対して、前記割当情報記憶手段により記憶される前記割当情報における前記通電遮断指示情報の割り当てられている値を、前記第2カウンタの初期値に設定するものであることを特徴とする遊技機14。
一般的に、遊技機は、遊技に関する主な制御を行う主制御手段とその主制御手段から出力される指示に基づいて遊技に関する周辺制御を行う周辺制御手段とを備えており、これらの制御手段により遊技機全体の制御が行われる。この場合、主制御手段は、周辺制御手段に対して一方向通信を行う。即ち、主制御手段は、周辺制御手段からの指示を受信することはない。従って、主制御手段は、制御手段により制御される駆動手段の情報を知ることができない。遊技機14によれば、主制御手段及び周辺制御手段に対し、それぞれ許容可能な消費電流量を規定することにより、それぞれの制御手段において、通電される駆動手段による合計消費電流が、各許容可能な消費電流量を超えた(又は、以上となった)ことが検出された場合に、各制御手段により制御される駆動手段への電流の通電又は通電遮断が、各制御手段に設けられたカウンタ(第1カウンタ、第2カウンタなど)を用いて各々独立して制御される。よって、各制御手段に対して規定される許容可能な消費電流量の合計を、遊技機の電源(電源基板)の電源容量に応じて許容される最大消費電流量(又は、それ以下若しくは未満)とすることにより、遊技機全体に対して許容される最大消費電流量以下(又は未満)に制御することができる。
また、そのような合計消費電流量の制御の際、カウンタ(第1カウンタ、第2カウンタ)の初期値は、予め決められている通電の優先度が最も低い駆動手段に対して通電遮断指示情報が割り当てられるような値に設定される。この場合、「通電の優先度」を、遊技に応じて遊技者が獲得できる遊技価値に関連する可動部材を駆動する駆動手段に対してより高くすることにより、少なくとも、遊技価値の獲得に関連する可動部材に対応する駆動手段については、優先的に電流が通電されるので、その可動部材の駆動が指示されたタイミングと実際の駆動タイミングとの間のタイムラグを0ないし小さくできる。よって、遊技者に不信感を与えたり、遊技者の興趣を消失させたりすることを防止できる。あるいは、「通電の優先度」を、演出用の可動部材に対応する駆動手段に対し、遊技状態に応じて決めることにより、演出用の可動部材と遊技状態に応じた表示装置への図柄の変動表示とをリンクさせた場合にも、該可動部材に自然な動きをさせることができる。
なお、主制御手段に設けられる第1カウンタは、1つであっても複数であってもよい。また、周辺制御手段についても、設けられる第2カウンタは1つであっても複数であってもよい。ここで、主制御手段又は周辺制御手段に設けられているカウンタ(第1カウンタ、第2カウンタ)が複数ある場合には、それらのカウンタは互いに同期されているものとする。
遊技機11から13のいずれかにおいて、遊技に関する主な制御を行う主制御手段と、その主制御手段から一方向通信によって出力された指示に基づいて遊技に関する周辺制御を行う周辺制御手段とを備え、前記カウンタは、前記主制御手段における前記合計消費電流量を制御すべき前記駆動手段の数のn倍(nは、1以上の整数)を計数する第1カウンタと、前記周辺制御手段における前記合計消費電流量を制御すべき前記駆動手段の数のm倍(mは、1以上の整数)を計数する第2カウンタとを有し、割当情報記憶手段は、(1)前記第1カウンタの各値毎に、[(前記主制御手段における前記合計消費電流量を制御すべき前記駆動手段の総数)−(前記主制御手段により制御される前記駆動手段への通電による前記合計消費電流量が、該主制御手段に対して予め規定された、前記電源の容量により許容される量の範囲内の量である第1所定量以下又は未満となる前記駆動手段の数)]に相当する数の前記駆動手段に対して前記通電遮断指示情報を割り当て、一方で、前記主制御手段において合計消費電流量を制御すべき前記駆動手段のうち、前記通電遮断指示情報の割り当てのない駆動手段に対しては、前記通電指示情報を割り当てた割当情報を記憶するもの、又は、(2)前記第2カウンタの各値毎に、[(前記周辺制御手段における前記合計消費電流量を制御すべき前記駆動手段の総数)−(前記周辺制御手段により制御される前記駆動手段への通電による前記合計消費電流量が、該周辺制御手段に対して予め規定された、前記電源の容量により許容される量の範囲内の量である第2所定量以下又は未満となる前記駆動手段の数)]に相当する数の前記駆動手段に対して前記通電遮断指示情報を割り当て、一方で、前記周辺制御手段において合計消費電流量を制御すべき前記駆動手段のうち、前記通電遮断指示情報の割り当てのない駆動手段に対しては、前記通電指示情報を割り当てた割当情報を記憶するものであり、前記カウンタ初期値設定手段は、(1)前記指定位置確認手段によって前記位置指定手段による指定位置が前記第1位置であると確認された前記主制御手段により制御される前記可動部材に対応する前記駆動手段における合計消費電流量を制御すべき駆動手段への通電による前記合計消費電流量が、前記検出手段により、該主制御手段に対して予め規定された、前記電源の容量により許容される量の範囲内の量である第1所定量以下又は未満の状態から、その第1所定量を超える又は以上になると検出された場合に、前記主制御手段により制御される前記駆動手段の中で、予め決められている通電の優先度が最も低い駆動手段に対して、前記割当情報記憶手段により記憶される前記割当情報において前記通電遮断指示情報の割り当てられている値を、前記第1カウンタの初期値に設定するものであり、一方で、(2)前記指定位置確認手段によって前記位置指定手段による指定位置が前記第1位置であると確認された前記周辺制御手段により制御される前記可動部材に対応する前記駆動手段における合計消費電流量を制御すべき駆動手段への通電による前記合計消費電流量が、前記検出手段により、該周辺制御手段に対して予め規定された、[(前記電源の容量により許容される量)−(前記第1所定量)]の範囲内の量である第2所定量以下又は未満の状態から、その第2所定量を超える又は以上になると検出された場合に、前記周辺制御手段により制御される前記駆動手段の中で、予め決められている通電の優先度が最も低い駆動手段に対して、前記割当情報記憶手段により記憶される前記割当情報における前記通電遮断指示情報の割り当てられている値を、前記第2カウンタの初期値に設定するものであり、前記第2駆動情報設定手段は、(1)前記カウンタ初期値設定手段により設定された前記第1カウンタの初期値に応じて前記割当情報記憶手段に記憶される割当情報としての前記通電指示情報又は前記通電遮断指示情報と、前記第1駆動情報設定手段により前記主制御手段により制御される駆動手段に対して設定された第1駆動情報とに基づいて、駆動情報を設定するもの、又は、(2)前記カウンタ初期値設定手段により設定された前記第2カウンタの初期値に応じて前記割当情報記憶手段に記憶される割当情報としての前記通電指示情報又は前記通電遮断指示情報と、前記第1駆動情報設定手段により前記周辺制御手段により制御される駆動手段に対して設定された第1駆動情報とに基づいて、駆動情報を設定するものであることを特徴とする遊技機15。
一般的に、遊技機は、遊技に関する主な制御を行う主制御手段とその主制御手段から出力される指示に基づいて遊技に関する周辺制御を行う周辺制御手段とを備えており、これらの制御手段により遊技機全体の制御が行われる。この場合、主制御手段は、周辺制御手段に対して一方向通信を行う。即ち、主制御手段は、周辺制御手段からの指示を受信することはない。従って、主制御手段は、制御手段により制御される駆動手段の情報を知ることができない。遊技機15によれば、主制御手段及び周辺制御手段に対し、それぞれ許容可能な消費電流量を規定することにより、それぞれの制御手段において、通電される駆動手段による合計消費電流が、各許容可能な消費電流量を超えた(又は、以上となった)ことが検出された場合に、各制御手段により制御される駆動手段への電流の通電又は通電遮断が、各制御手段に設けられたカウンタ(第1カウンタ、第2カウンタなど)を用いて各々独立して制御される。よって、各制御手段に対して規定される許容可能な消費電流量の合計を、遊技機の電源(電源基板)の電源容量に応じて許容される最大消費電流量(又は、それ以下若しくは未満)とすることにより、遊技機全体に対して許容される最大消費電流量以下(又は未満)に制御することができる。
また、そのような合計消費電流量の制御の際、カウンタ(第1カウンタ、第2カウンタ)の初期値は、予め決められている通電の優先度が最も低い駆動手段に対して通電遮断指示情報が割り当てられるような値に設定される。この場合、「通電の優先度」を、遊技に応じて遊技者が獲得できる遊技価値に関連する可動部材を駆動する駆動手段に対してより高くすることにより、少なくとも、遊技価値の獲得に関連する可動部材に対応する駆動手段については、優先的に電流が通電されるので、その可動部材の駆動が指示されたタイミングと実際の駆動タイミングとの間のタイムラグを0ないし小さくできる。よって、遊技者に不信感を与えたり、遊技者の興趣を消失させたりすることを防止できる。あるいは、「通電の優先度」を、演出用の可動部材に対応する駆動手段に対し、遊技状態に応じて決めることにより、演出用の可動部材と遊技状態に応じた表示装置への図柄の変動表示とをリンクさせた場合にも、該可動部材に自然な動きをさせることができる。
なお、主制御手段に設けられる第1カウンタは、1つであっても複数であってもよい。また、周辺制御手段についても、設けられる第2カウンタは1つであっても複数であってもよい。ここで、主制御手段又は周辺制御手段に設けられているカウンタ(第1カウンタ、第2カウンタ)が複数ある場合には、それらのカウンタは互いに同期されているものとする。
遊技機1から15のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機16。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機1から15のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機17。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機1から15のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機18。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。