以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は前面枠14と下皿ユニット15とが開放されたパチンコ機10の斜視図である。図3はパチンコ機10の遊技盤16の正面図である。ここで、図2においては、便宜上、遊技盤16及びガラスユニット17を省略して示している。
パチンコ機10は、図1及び図2に示すように、略矩形状に組み合わせた木枠20(図4(a)参照)により外殻が形成される外枠12と、その外枠12と略同一の外形形状に形成された内枠13とを備えている。内枠13は、その中央部に略円形に開口した中央窓30aを有する合成樹脂製の内枠ベース30に通路形成部材36や球発射ユニット90等を取り付けたものである。内枠13には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤16が裏面側から取り付けられ、内枠13の中央窓30aより遊技盤16の前面が視認可能となっている。この遊技盤16の前面を遊技球が流下することにより弾球遊技が行われる。
また、内枠13は、その一側(パチンコ機10においては正面視左側)の上下2箇所で外枠12に軸支され、内枠13が正面手前側へ開放可能に取り付けられている。内枠13の前面側には、その前面上側を覆う前面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられ、これら前面枠14及び下皿ユニット15は内枠13の前面を開閉可能に取り付けられている。
前面枠14は、合成樹脂製の前面枠ベース200に装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には、略円形状の開口(窓部14c)が形成されている。前面枠14の裏面側には2枚の板ガラス151を有するガラスユニット17(図13参照)が配設され、その板ガラス151を介して遊技盤16の前面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
前面枠14には、遊技球を貯留する上皿201が前方へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿201に賞球や貸出球などが排出されて上皿201の底面および側面に囲われた部位に遊技球が貯留される。上皿201の底面は、遊技球を発射するための球発射ユニット90が位置する正面視右側に下降傾斜して形成され、上皿201に投入された遊技球は球発射ユニット90へと案内される。
上皿201の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿201に貯留しきれなかった遊技球を貯留するための下皿301が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿301の右側には、遊技球を遊技盤16の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル310が配設され、かかる操作ハンドル310の内部には球発射ユニット90の発射ソレノイド92の駆動を許可するためのタッチセンサと、操作ハンドル310の回動操作量を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器とが内蔵されている。操作ハンドル310が遊技者によって右回りに回転操作されると、タッチセンサがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が操作量に対応して変化する。発射ソレノイド92は、操作ハンドル310の回動操作量に応じて変化する可変抵抗器の抵抗値に対応した強さで遊技球を発射するものであり、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤16の前面へ遊技球が打ち込まれる。
遊技盤16は、図3に示すように、正面視略正方形状に切削加工した木製のベース板60に、遊技球案内用の多数の釘およびレール61,62、一般入賞口63、並びに、液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と略す。)で構成される第1図柄表示装置81等を組み付けて構成される。遊技盤16の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤16の前面外周が囲まれ、遊技盤16とガラスユニット17(板ガラス151)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤16の前面には、遊技球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。
遊技領域には、遊技球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、第1図柄表示装置81を有する可変表示装置ユニット80が配設され、この可変表示装置ユニット80が後述する表示制御装置505によって制御されることにより、複数種類の識別情報としての図柄が予め定めた順序に従って変動する変動表示が第1図柄表示装置81の表示画面上に表示される。なお、LCDに代えて、例えば、リール等を用いて第1図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
可変表示装置ユニット80の下方には、遊技球が入球し得る第1入球口64が配設されている。この第1入球口64へ遊技球が入球すると遊技盤16の裏面側に設けられる第1入球口スイッチ524(図22参照)がオンとなり、上述した第1図柄表示装置81で図柄の変動表示が開始される。また、第1入球口64は、遊技球が入球すると5個の遊技球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。
第1入球口64の下方には可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の特定入賞口(大開放口)65aが設けられている。パチンコ機10においては、第1入球口への遊技球の入球を契機とした抽選が行われ、その抽選に当選すると大当たりとなって、第1図柄表示装置81には図柄の変動後に予め定められた図柄の組み合わせの1つが表示されて遊技者に大当たりの発生が示され、その後、遊技球が入賞し易い特別遊技状態に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、遊技球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65a内には、通常領域と、特定領域としてのVゾーンとが区分けして設けられており、特定入賞口65aの開放中に、遊技球がVゾーンを通過すると、継続権が成立して、特定入賞口65aの閉鎖後、再度、その特定入賞口65aが所定時間開放される。この特定入賞口65aの開閉動作は、最高で例えば16回(16ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置81の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、特定入賞口65aが所定時間開放され、その特定入賞口65aの開放中に、遊技球が特定入賞口65a内へ入賞することを契機として特定入賞口65aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。
次に、パチンコ機10の構成について外枠12、内枠13、遊技盤16、前面枠14、下皿ユニット15、ガラスユニット17に大別して順に説明し、その後、パチンコ機10の背面側の構成について説明する。まず、外枠12の構成について図2および図4を主に参照して説明する。ここで、図4(a)は、外枠12の斜視図であり、図4(b)は外枠12の受け金具23周辺を拡大して示した斜視図である。
図2に示すように、パチンコ機10には、その外殻を形成する外枠12が設けられ、この外枠20に対して内枠13が開閉可能に支持される。遊技場においては、外枠20の外周面が遊技場の島と呼ばれる設置箇所に固定される。内枠13、前面枠14および下皿ユニット15は、外枠12に対して前面側に開放可能に構成されるので、パチンコ機10の前面側からは触れられない裏面側や内部に対しての点検や調整は、外枠12に対して内枠13等を前面側に開放して行われる。
外枠12は、木製の板材で上下左右の四辺を構成して全体として矩形状の木枠20を形成し、その木枠20にヒンジ21,22と受け金具23,23とを取り付けたものである。木枠20の接合部は、小ネジ等の離脱可能な締結具により固定され、釘やリベットを使って固定する構造と比べて、木枠20の一部が容易に再利用できるようになっている。本実施の形態では、外枠12の上下方向の外寸は809mm(内寸約710mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸約480mm)となっている。なお、外枠12は、アルミニウム等の軽金属や樹脂により構成するようにしてもよい。
外枠12には、図4(a)に示すように、内枠13を支持するために正面視左側の上下2カ所に金属製の上ヒンジ21および下ヒンジ22が取り付けられている。このヒンジ21,22が設けられた側を開閉の軸として内枠13は開閉可能に支持される。
外枠12の受け金具23は、木枠20の内面であってヒンジ21,22から離間した側の一辺における上下2カ所にネジにより螺着されている。各受け金具23は、金属板を屈曲加工して形成され、図4(b)に示すように、外枠12の内面に密着する取付部23aと、その取付部23aから外枠12の内面側に向けて垂直に立ち上がる係合部23bと、その係合部23bの先端側にて内枠13の閉鎖方向側(図4(b)の左上側)に向けて突出して形成される突出部23cとを備えている。この受け金具23の係合部23bには、内枠13より鉤形に突出して形成される内枠用鉤部材411(図23参照)の先端部が引っ掛かり、内枠13は閉鎖される。
受け金具23の突出部23cは、外枠12に対して内枠13が閉鎖された状態にて、外枠12の内面側(図4(b)の左下側)に向かって、内枠用鉤部材411の下方に突出した先端部分に重なる長さ以上に突出して形成される。このため、内枠用鉤部材411の先端部は、突出部23cにより外枠12内面側への移動が規制され、外枠12内面側への受け金具23の突出量を少なくしつつ、内枠13のがたつきにより内枠用鉤部材411が誤って受け金具23から外れて、内枠13が不用意に開放されることが防止されている。
外枠12の下側には、横長矩形の合成樹脂、具体的にはABS樹脂の板により形成された飾り板24が、木枠20を貫通するネジにより外枠12の背面側より固定されている。この飾り板24によって、パチンコ機10の前面側に露出する外枠12の大部分は、内枠13、前面枠14および下皿ユニット15と同様に合成樹脂製となり、各部材間に一体感が生まれて外観品質の向上が図られる。また、本実施形態においては省略するが、飾り板24の前面に下皿ユニット15の形状に倣って模様を付すことにより、外枠12の木製部分である木枠20を共用しつつ異なる外観形状を有する外枠12を製造することができ、木枠20を有効的に再利用しつつパチンコ機10の外観品質を向上することができる。
飾り板24の上面には、金属製の滑り板25,26が、ヒンジ22から離間した側の端部と中央部との2カ所に設けられている。開放状態の内枠13が自重により外枠12に対して下側に落ち込んでも、内枠13が閉鎖されるときには、その下面が滑り板25,26に擦られつつ持ち上げられて、内枠13は定位置に案内される。このため、作業者がわざわざ内枠13を持ち上げながら閉鎖操作を行う必要がなく、内枠13の開閉操作の利便性が高められている。また、樹脂または木製の部分で内枠13を定位置に案内する部分が形成される場合に比べて、開閉操作の繰り返しによる擦れによって部品が削られたり、破損したりすることが防止されるので、長期にわたって内枠13の開閉操作を容易に行うことができる。
これら2つの滑り板25,26のうち一方の滑り板26は、内枠13の開閉軸となるヒンジ21,22から離間した側の端部に設けられる。このため、金属製の下ヒンジ22と滑り板26とにより内枠13の下面両端側が支持され、内枠13がより安定した状態で定位置に案内される。また、もう1つの滑り板25は、ヒンジ22と滑り板26とのほぼ中間位置に設けられ、ヒンジ22と、端部に設けた滑り板26との支持により最も落ち込み易い部分が案内されることとなる。このように、2つの滑り板25,26を飾り板24の上面におけるヒンジ22から離間した側の端部と中央部とに設けることにより内枠13を定位置により確実に案内することができ、上皿201や下皿301に遊技球が多量に入る等して内枠13に負荷される重みが増大しても、内枠の開閉操作は容易に行うことができる。
飾り板24の上面奥側には、パチンコ機10の前後方向に沿って内枠13の下端部に重なる位置まで上方に突出して形成されたリブ27が設けられている。また、リブ27の付け根部分には、飾り板24の上面に沿って背面側に窪んだ溝27aが形成され、リブ27の上端部がパチンコ機10の前面側に突出するように形成される。パチンコ機に対しては、薄板状の工具等を部材間の隙間から差し入れて行う不正行為が頻繁に報告されているが、本実施形態のパチンコ機10においては、内枠13の下側から工具等を差し入れる行為がリブ27により阻止されるので、不正行為を防止することができる。また、内枠13と飾り板24との間から差し入れた工具はリブ27の付け根部分に設けた溝27aに嵌まり易く、不正行為を一層困難なものとしている。
飾り板24上面のリブ27の高さは、飾り板24の上面に対して遊技球の半径より低く設定されている。このため、内枠13の閉鎖時に飾り板24の上面に遊技球が乗っていても、その遊技球は、内枠13の下端部とリブ27との間に挟まれた後にリブ27を乗り越える。よって、リブ27を設けることにより不正行為を防止しつつ、リブ27と内枠13との間に遊技球が挟み込まれて内枠13を閉鎖し直す手間が発生することもなく、内枠13の開閉操作に対する利便性を高く維持することができる。
次に、図2および図5を主に参照して内枠13について説明する。図5(a)は、前面枠14および下皿セット15を取り外した状態のパチンコ機10の正面図であり、図5(b)は、図5(a)のVb−Vb線における断面図である。ここで、図5(a)では、便宜上、遊技盤16面上の遊技領域内の構成の一部を空白で示し、図5(b)では球ストッパ261周辺の一部の部品のみを模式的に示している。
内枠13は、矩形状に形成されたABS樹脂製の内枠ベース30を主体に構成されており、内枠ベース30の中央部には略円形状の中央窓30aが形成されている。内枠ベース30の裏面側には遊技盤16の取付部が設けられ、遊技盤16が着脱可能に装着される。
内枠13は、前述した外枠12の上ヒンジ21および下ヒンジ22により、外枠12に対して回動可能に支持された扉状の部材である。内枠13の開閉軸線は、ヒンジ21,22が設けられるパチンコ機10の正面視左側に上下に延設され、この開閉軸線を軸心にして内枠13は前方側に開放される。内枠13の開閉軸線は、パチンコ機10の正面視右側に設けられる操作ハンドル310(図1参照)とは反対側(正面視左側)に設定され、内枠13がより大きく開放できるようになっている。通常パチンコホールでは、パチンコ機10は互いに隣接して配設されるので、開閉軸線を操作ハンドル310側に設けると、内枠13の開放と共に移動する操作ハンドル310が隣のパチンコ機10や、パチンコ機10の間に設けられるカードユニット等に当接して開放量が制限されるからである。
内枠13の外周には、前面側へ突設された外周壁30bが形成されており、その外周壁30bの内側に前面枠14および下皿ユニット15が配設される。即ち、内枠13に前面枠14および下皿ユニット15が取り付けられた状態では、前面枠14および下皿ユニット15の各側面の外周は、内枠13の外周壁30bにより囲繞される。このため、前面枠14または下皿ユニット15と、内枠13との間へ針金や薄板状の工具等を挿入する行為が困難となり、不正行為を抑制することができる。
内枠13の左上部には、図2に示すように、配線口30cが内枠ベース30を貫通して設けられている。配線口30cには、前面枠14の電飾等に使用する部品の配線が内枠13の裏面側に挿通され、遊技盤16の裏面に接続される。配線口30cの角部にはRが形成されており、配線口30c内に配線される各コードが、前面枠14の開閉により配線口30cで擦られても損傷し難くなっている。なお、遊技盤16(ベース板60)にも、内枠13の配線口30cに対応する位置(左上部)に配線口60aが設けられ、内枠ベース30に遊技盤16が取り付けられた状態にて配線が可能となっている。
内枠13の配線口30cの右上側には、パチンコ機10の前面側に円柱状に突出した押しボタン型の開閉スイッチ32が設けられている。開閉スイッチ32は、前面枠14の開閉状態を検出するためのスイッチである。前面枠14が内枠13に対して閉じられている場合には開閉スイッチ32が前面枠14の裏面に押圧されて押し込まれた状態となり、逆に、前面枠14が内枠13に対して開放されている場合には開閉スイッチ32は非押圧の突出状態となって、前面枠14の開閉状態を検出する。この開閉スイッチ32は、パチンコ機10裏面側の外部出力用の端子を介して、パチンコ機10の上側に一般に設けられるランプや、遊技場に設置される複数の遊技機を一括管理する島管理装置等に接続される。これにより、複数のパチンコ機10のうち、開放状態となっているパチンコ機10だけ、特別にランプを点灯させたり、島管理装置に信号を送って監視カメラで開放中のパチンコ機10を拡大して表示画面に表示したりして、パチンコ機10の不正開放に対する防犯性が高められる。
内枠13の中央窓30aの右下側には、略四角形状の小窓30dが内枠ベース30を貫通して設けられ、また中央窓30aの左下側にも略正方形の一部を面取りした形状の小窓30eが内枠ベース30を貫通して設けられている。遊技盤16の下側における左右の隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1,K2(図3参照)が設けられ、貼着スペースK1,K2に貼られた証紙等は、内枠13の小窓30d,30eを通じて内枠13の前面側に露出されるので、前面枠14を開放した状態において証紙等を視認することができる。又、内枠ベース30に遊技盤16が取り付けられた後にも、小窓30d,30eを通じて遊技盤16の貼着スペースK1,K2に証紙等を貼着することができる。
内枠ベース30の中央窓30aの下側は、前面側が開放した凹状に窪んで形成されており、その奥側には、平面状の取付面30fが形成されている。取付面30fには、遊技球を遊技盤16の前面に発射するための球発射ユニット90や、上皿201および下皿301に遊技球を排出する通路を形成する通路形成部材36等が取り付けられる。
内枠13の左端部には、図5(a)に示すように、前面枠14および下皿ユニット15を支持するための機構として、縦方向に沿った3カ所に3つの支持金具33〜35が取り付けられている。上側の支持金具33には図5(a)の紙面手前側にU字状に開口すると共にその入口が奥側より幅狭に形成された切欠を有する支持孔33aが設けられ、その支持孔33aに段付きの円柱状に形成された前面枠14側の支持金具33が嵌合する。
上から2番目の支持金具34には、上下方向にそれぞれ突出した円柱状の突起軸34a,34bが設けられる。2本の突起軸34a,34bのうち上側に突出した突起軸34aにより前面枠14の左下隅が回動可能に支持され、下側に突出した突起軸34bにより下皿ユニット15の左上隅が内枠13に対して回動可能に支持される。
一番下側の支持金具35は、内枠13の前面側に向けて突出した水平な金属板に上下方向に貫通する支持孔を設けて形成される。下皿ユニット15の左端部下側には、ばねにより下側に突出するように付勢力が付与される支持軸308(図19参照)が設けられ、その支持軸307が支持金具35の支持孔に軸支されて下皿ユニット15の左下隅が内枠13に対して回動可能に支持される。
次に、図3を主に参照して遊技盤16の構成を説明する。遊技盤16は、四角形状の合板で形成されたベース板60に釘や風車、入賞口63等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠ベース30の裏側に当接した状態で内枠13の裏面側に取り付けられる。遊技盤16の前面中央部分は、内枠ベース30の中央窓30aを通じて内枠13の前面側に露出される。なお、遊技盤16の上下方向の長さは約480mm、左右方向の長さは約450mmとされ、従来と同等のサイズとなっている。
遊技盤16には、上述した一般入賞口63、第1入球口64、可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80等がルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤16の前面側から木ネジ等により固定されている。また、前記した入賞口以外に、遊技盤16には、アウト口66と第2入球口(スルーゲート)67とが設けられている。いずれの入賞口63,64,65aにも入球しなかった遊技球はアウト口66を通って図示しない球排出路へと案内される。遊技盤16には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示装置ユニット80には、第2入球口67の遊技球の通過をトリガとして第2図柄(普通図柄)を変動表示する発光ダイオード(以下、「LED」と略す。)で構成される第2図柄表示装置82と、第1入球口64への入賞をトリガとして第1図柄(特別図柄)を変動表示する第1図柄表示装置81とが設けられている。第2図柄表示装置82は、第2図柄の表示部83と保留ランプ84とを有し、遊技球が第2入球口67を通過する毎に、表示部83において表示図柄(第2図柄)としての「○」の図柄と「×」の図柄とが交互に点灯して変動表示が行われ、その変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に第1入球口64が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球の第2入球口67の通過回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ84に点灯表示される。なお、第2図柄の変動表示は、本実施の形態のように、表示部83において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、保留ランプ84の点灯についても、第1図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。
また、第1図柄表示装置81にて第1図柄の変動表示が行われている間に遊技球が第1入球口64へ入球した場合、その入球回数は最大4回まで保留され、その保留回数は保留ランプ85の点灯個数にて表示される。保留ランプ85は、最大保留数分の4つ設けられ、第1図柄表示装置81の上方に左右対称に配設されている。なお、本実施形態においては、第1入球口64への入賞および第2入球口67の通過は、それぞれ最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、保留ランプ85を削除し、第1入球口64への入賞に基づく変動表示の保留回数を第1図柄表示装置81の一部に数字で、或いは、4つに区画された領域を保留回数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしても良い。
第1図柄表示装置81は、後述する表示制御装置505によって表示内容が制御され、、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成され、これらの図柄が図柄列毎に縦スクロールして第1図柄表示装置81の表示画面上にて第1図柄が可変表示されるようになっている。なお、本実施形態では、第1図柄表示装置81は8インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成され、可変表示装置ユニット80には、この第1図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
可変入賞装置65は、その中央部に横長矩形状に形成された特定入賞口65aを開閉するものである。具体的には、特定入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するためのソレノイドとを備えている。特定入賞口65aは、通常時は、遊技球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際にはソレノイドを駆動して開閉板を前面下側に傾倒し、遊技球が特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
遊技盤16に設けられる2本のレール61,62は、球発射ユニット90から発射された遊技球を遊技盤16上部へ案内するために設けられたものである。操作ハンドル310の回動操作に伴い発射された遊技球は2本のレール61,62に挟まれた通路を経由して遊技領域に案内される。両レール61,62は、ステンレス製の金属帯によって構成され、内レール61は右上側の半円分を除いた円環状に曲げられた状態でベース板60に固定されている。外レール62は、その一部(主に左側部)が内レール61に向かい合うようにしてベース板60に固定されている。これら内レール61と外レール62とにより主として誘導レールが構成され、これら各レール61,62が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により、遊技球を遊技領域へ案内する球案内通路が形成される。
内レール61の先端部分(図3の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられている。これにより、一旦、内レール61及び外レール62間の球案内通路から遊技盤16の上部へ案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。また、内レール61の右下側の先端部と外レール62の右上側の先端部との間には、レール間を繋ぐ円弧を内面側に設けて形成された樹脂製の円弧部材70がベース板60に打ち込んで固定されている。外レール62の先端部(図3の右上部)には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられている。所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
遊技盤16の右下隅部及び左下隅部には、証紙等のシールやプレートを貼着するための貼着スペースK1,K2が設けられる。遊技盤16自体に証紙等の貼着スペースK1,K2を設けているので、証紙等により遊技盤16を一義的に特定することができ、不正な遊技盤16への交換を容易に発見することができる。
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、遊技盤16の前面であって2本のレール61,62と円弧部材70とにより区画して形成される略円形状の領域である。本実施形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て、内レール61、外レール62及び円弧部材70によって囲まれる領域のうち、内レール61及び外レール62の並行部分である誘導レールを除いた領域としている。従って、遊技領域といった場合には誘導レール部分は含まず、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール62ではなく内レール61によって特定される。同様に、遊技領域の向かって右側限界位置は円弧部材62によって特定される。また、遊技領域の下側限界位置は内レール61によって特定される。また、遊技領域の上側限界位置は外レール62によって特定される。
パチンコ機10においては、遊技領域の上端(外レール62の最上部地点)から遊技領域の下端(内レール61の最下部地点)までの距離は445mm(従来品よりも58mm程度長い)、遊技領域の左端(内レール61の極左位置)から遊技領域の右端(円弧部材70内側面の極右位置)までの距離は418mm(従来品よりも50程度mm長い)となっている。つまり、パチンコ機10の遊技領域は、従来よりも左右方向および上下方向に拡張されてはるかに大きく構成されている。よって、風車、第2入球口67、複数の釘(遊技球を中央に誘導するための誘導釘等)、他の役物を種々配設することができ、遊技球の挙動を多様にして弾球遊技を一層面白くすることができる。
ここで、遊技領域の幅は、少なくとも380mm以上あることが望ましい。より好ましくは390mm以上、400mm以上、410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、更に460mm以上であることが望ましい。もちろん、470mm以上であってもよい。即ち、遊技領域の幅は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。また、遊技領域の高さは、少なくとも400mm以上あることが望ましい。より好ましくは410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、更には460mm以上であることがより望ましい。もちろん、470mm以上、480mm以上、490mm以上としてもよい。即ち、遊技領域の高さは、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。なお、上記幅及び高さの組合せについては、上記数値を任意に組み合わせたものとしてもよい。
また、本実施形態では、遊技盤16面に対する遊技領域の面積の比率は約70%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。遊技盤16面に対する遊技領域の面積比は、従来では50%程度に過ぎなかったことから、遊技盤16を共通とした前提においてはかなり遊技領域を拡大しているといえる。なお、パチンコ機10の外形は遊技場への設置の都合上製造者間でほぼ統一されており、遊技盤16の大きさも同様とせざるを得ない状況下において、上記のように遊技盤16面に対する遊技領域の面積の比率を約20%も高めたことは、遊技領域拡大の観点で非常に有意義である。ここで、前記比率は、少なくとも60%以上であることが望ましい。更に好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。また、本実施形態の場合を越えて75%以上であれば、一層望ましい。更には、80%以上であってもよい。
また、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積の比率は約40%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積比は、35パーセント以上であるのが望ましい。もちろん、40パーセント以上としてもよいし、45パーセント以上、又は50パーセント以上としてもよい。
なお、可変表示装置ユニット80の両側に位置する第2入球口67(スルーゲート)は、通過した遊技球を遊技領域の中央へ寄せる案内機構を有している。この案内機構は、遊技領域の中央側に向かって下降する傾斜面を第2入球口67の下側に設けて構成される。これにより、遊技領域の中央部に大型のLCDを可変表示装置ユニット80に設ける等して遊技領域が左右方向に拡張されても、遊技球を遊技領域中央側の第1入球口64や可変入賞装置65の方へと案内することができ、ひいては、遊技領域の拡張により遊技球が入賞し難くなったり、遊技球の経路が狭められて遊技球の挙動が単調となったりすることによる興趣の低下を抑制することができる。
次に、図5から図10を主に参照して内枠ベース30の前面側下部に装着されて内枠13の一部を構成する球発射ユニット90、通路形成部材36、中継基板38について説明する。ここで、図6は球発射ユニット90の正面図であり、図7はその斜視図、図8はその分解斜視図である。又、図9は球送り機構94を構成する開閉部材102を開放した状態における球発射ユニット90の斜視図であり、図10は、図9の状態に対して蓋部材103を取り外し、球送り機構94の内部構成を示した球発射ユニット90の斜視図である。
球発射ユニット90は、内枠ベース30下部の取付面30fにネジにより固定されるベース板91と、ベース板91に取り付けられる発射ソレノイド92と、発射ソレノイド92の一端側において発射ソレノイド92の長手方向に平行に延びるようにしてベース板91に取付固定される断面略M字状の発射レール93と、発射レール93の基端部(発射ソレノイド92側の端部)に1球ずつ遊技球を誘導案内する球送り機構94と、発射レール93の基端部上に載置される遊技球を支持して予め定めた発射位置に遊技球を位置決めするように配設された位置決め部材95(図9参照)とを備えている。
ベース板91は、亜鉛合金などの金属製平板をプレス加工して形成されたものであり、内枠ベース30の取付面30fに密着された状態でネジ96により固定される。図8に示すように、ベース板91には、ネジ96を挿通するための締結孔が穿設され、また、発射ソレノイド92を固定するためのボス91aおよびボルト91bと、発射レール93を固定するためのボス91cとが固定されている。
ベース板91の取付位置は、多数のパチンコ機10を製造しても内枠ベース30に対して安定するように高精度が望まれる。遊技盤16との相対位置がパチンコ機10毎に変化すると、それに伴って発射ソレノイド92により発射された遊技球の飛び量が異なるものとなり、操作ハンドルの回動操作に対応する遊技球の飛び量がパチンコ機10毎に不安定となるからである。本実施形態のパチンコ機10においては、ベース板91を従来より大型にして内枠ベース30との相対的な取付位置を安定させている。具体的には、ベース板91の下端は操作ハンドル310の回動軸心(図5(a)のAHで示す位置)より下側まで延ばし、その右端は遊技盤16の右端と略同一となるようにし、その左端は遊技領域の中央を越えるようにアウト口66より左側まで延ばし、その上端は遊技盤16の下端に近接する位置まで延ばしている。また、ベース板91を固定するためのネジ96の数を従来より多く(6つ)している。更に、各ネジ96の締結位置(図5(a)参照)を従来より離間させるようにし、例えば、下側のネジ96の締結位置は操作ハンドル310の回動軸心AHより下側にして取付位置の安定化を図っている。
発射レール93は、発射ソレノイド92により発射された直後の遊技球を案内するものであり、所定の発射角度(打ち出し角度)にしつつ直線的に延びるようにしてベース板91に固定されたボス91cにネジ(図示せず)で固定されている。操作ハンドル310の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール93に沿って斜め上方に打ち出され、その後、前述した通り2本のレール61,62の間に形成される誘導レールを通じて遊技領域に案内される。
ここで、本パチンコ機10の場合、遊技領域が従来よりも大幅に拡張されることは既に述べたが、かかる構成においては遊技球の発射位置と遊技領域との距離が近づいて発射レールが短くなりがちである。発射レール93が短いと球誘導距離が少なくなって打出球のばらつきが大きくなるので、打出球を安定化させるための工夫を要する。本実施形態では、遊技球の発射位置を低くすると共に発射レール93の傾斜角度(発射角度)を既存のものよりも幾分大きくして(即ち発射レール93を立ち上げるようにし)、発射レール93の長さを約240mmにして十分な長さの球誘導距離を確保している。これにより、発射装置から発射された遊技球をより安定した状態で誘導レールに案内できるようにしている。この場合、特に、発射レール93は、発射ソレノイド92により打撃される遊技球の発射位置から遊技領域の中央位置(アウト口66)を越える位置まで延びるよう形成している。
また、パチンコ機10においては、遊技球を発射する発射装置として、従来一般的に使用されているモータ及び発射槌の組合せではなく、リニアソレノイドをケース部材に収容した1ユニットのソレノイド(発射ソレノイド)92を採用している。発射ソレノイド92には、発射レール93と長手方向を平行にして配設される金属製のプランジャ92aと、プランジャ92aの先端を覆う樹脂製のキャップ92bとが設けられる。キャップ92bの材質としては本実施形態においてはポリエステル系熱可塑性エラストマーが採用されている。遊技者が操作ハンドル310を回動操作した状態中には、発射ソレノイド92は、所定時間(本実施形態においては0.6秒)毎に励磁と非励磁とを繰り返して行い、これに対応してプランジャ92aの出没が繰り返される。プランジャ92aが突出したときには、位置決め部材95によって発射レール93上に位置決めされた遊技球は、発射レール93の指向する斜め上方に向けて発射される。なお、操作ハンドル310に連動する可変抵抗器が発射ソレノイド92に結線されており、操作ハンドル310の操作量に基づいてプランジャ92aの突出速度が調整され(ストローク量はほぼ一定)、遊技球の発射速度ひいては飛び量が操作ハンドル310の回動量により調整される。
発射ソレノイド92は、図8に示すように、ベース板91に立設される一対のボス91aおよびボルト91bに対して、ボルト97とナット98とを取り付けて固定される。発射ソレノイド92には、ボス91aとボルト91bに対応する位置に、ボルト91b,97が挿通される締結孔92cが設けられている。球発射ユニット90においては、発射ソレノイド92の上下に設けられるボルト97及びナット98の締め具合を調整することによりベース板91に対する発射ソレノイド92の高さを異ならせてプランジャ92aと発射レール93との相対的な取付位置を調整し、遊技球の打点を調整することができるようになっている。パチンコ機10の製造時において各部品の製造上や組み付け上のばらつきがあってもパチンコ機10に球発射ユニット90を組み付けた後にボルト97とナット98とを調整して遊技球の飛び量を微調整することができる。また、発射ソレノイド92は、その全体がベース板9lの外周縁より内側に配設されており、ベース板91側から内枠ベース30に球発射ユニット90を組み付ける際に発射ソレノイド92が他の部品に引っ掛かって破損することが防止されている。
位置決め部材95は、発射レール93の右側端部(基端部)上に載置される遊技球を支持して発射位置に遊技球を位置決めするための部材であり、図9に示すように、ベース板91より発射レール93が設けられる面側に円柱状に突出するようにしてベース板91に取り付けられている。位置決め部材95には、その軸方向に沿って貫通する締結孔が設けられ、この締結孔にネジを貫挿して位置決め部材95がベース板91に固定されている。ここで、位置決め部材95の締結孔は、円柱形状の中心ではなく、偏心した位置に形成されている。このため、位置決め部材95を適宜回動させてからネジを締め込むことにより発射レール93上に載置される遊技球の発射位置を微妙に変更することができ、パチンコ機10の製造時および製造後において簡単に遊技球の飛び量を調整することができる。
球送り機構94は、上皿201から連続して案内されてくる遊技球を1球ずつ、発射レール93の基端部に送出するものである。この球送り機構94は、発射ソレノイド92の上部を被覆するようにしてベース板91に固定される樹脂製の台座部材101と、台座部材101の片側(図6の右側)に軸支されて開閉可能に構成された樹脂製の開閉部材102と、開閉部材102に被包される合成樹脂製の送出部材105と、送出部材105に取り付けられる金属片106と、金属片106を吸着して送出部材105を動作させる電磁石104とを備えている。
台座部材101には、開閉部材102が設けられる前方側へ向けて係止爪101aが一体的に突出形成され、開閉部材102には、台座部材101の前面に重なる閉鎖状態にて係止爪101aが引っ掛かる係止孔102aが形成されている。開閉部材102は、通常時には、一方側が台座部材101に軸支されると共に他方側が係止孔102aにより台座部材101に係止されて台座部材101の前面に重なって固定された閉鎖状態となる。この閉鎖状態は、台座部材101の係止爪101aを開閉部材102の係止孔102aから外すことにより解除され、開閉部材102は台座部材101に対して前方側へ開放し得る。また、開閉部材102は、台座部材101に対して最大に開放することにより、上側へスライドして台座部材101から取り外し可能となっている。
台座部材101の下部は、下皿ユニット15と内枠ベース30の取付面30fとの上部隙間を覆いつつ下皿ユニット15の前面側に向けて下降傾斜した形状に形成されている。また、この台座部材101の正面視左側には、通路形成部材36が台座部材101より左側における下皿ユニット15と内枠ベース30の取付面30fとの上部隙間を覆いつつ下皿ユニット15の前面側に向けて下降傾斜した形状に形成されている。このため、前面枠14を開放した場合に球発射ユニット90の部位に遊技球が落下しても下皿ユニット15の背面側には遊技球が入り込まずに前面側に流出するようになっている。
開閉部材102の前面には、図6に示すように、正面視左側端部に上皿201から案内されてくる遊技球を導入する導入口102bが設けられており、この導入口102bから遊技球が開閉部材102の裏面側へ導入される。また開閉部材102は、2個の遊技球が発射レール93上への送出を待機した状態で送出部材105の上流側に滞留可能な滞留部Tを形成する(図12(b)参照)。開閉部材102の裏面側には、図9に示すように蓋部材103が着脱可能に取り付けられ、その蓋部材103に電磁石104と送出部材105とが覆われている。電磁石104と送出部材105とは、遊技球を1球ずつ送り出すために動作する部材であり、図10に示すように、開閉部材102に凹設された収容空間に電磁石104を上側にして上下に並んで配置されている。
送出部材105は、ピンにより開閉部材102に対して導入口102b側の一辺側が上下に揺動可能に軸支された樹脂製の部材であり、その導入口102b側の一辺に遊技球が1個だけ収容可能に穿設(凹設)された収容部105aを備えている。また、ピンが挿通される軸部と収容部105aとを結ぶ上辺部分には、電磁石104に対向するようにして金属片106が取り付けられている。
電磁石104がオン(励磁)された場合には、金属片106が電磁石104にくっつくように引っ張られ、送出部材105が上方へ回動する。導入口102bから連続して遊技球が導入される場合、先頭の遊技球は収容部105aに収容されて上下移動が規制され、後続の遊技球は収容部105aに収容された遊技球に支えられて流下が規制される。
遊技球が収容部105aに収容された状態で電磁石104がオフ(非励磁)となると、送出部材105は自重により下方へ回動し、収容部105aに収容されていた遊技球は下側へ流下する。このとき、後続の遊技球は、送出部材105の上辺によって収容部105aへの移行が規制されるため、送出部材105の上下動により収容部105aに収容された1球だけが下方へ送り出される。下方へ送り出された遊技球は、開閉部材102と蓋部材103とにより形成される送出口102c(図9参照)を経由して発射レール93上へと案内される。このため、電磁石104の励磁と非励磁とを繰り返すと、その繰り返しに同期して遊技球は1球ずつ発射レール93上へ案内され、電磁石104のオンオフに同期して発射ソレノイド92を励磁することにより、発射レール93上の遊技球を1球ずつ遊技領域へ向けて発射することができる。
次に、図5(a)を主に参照して内枠13の前面側に設けられる通路形成部材36について説明する。通路形成部材36は、上皿201が満タンのときに遊技球を下皿301へ排出するための下皿排出通路と、ファール球を下皿301へ排出するためのファール球通路T2とを形成するための部材である。ここで、ファール球とは、発射時の打ち出し力(発射力)が弱くて戻り球防止部材68が位置する遊技領域の入口に到達せずに発射レール93側へ戻った遊技球を意味している。
発射レール93と遊技盤16前面のレール(誘導レール)61,62との間には、約40mmの隙間が形成され、この隙間の下側にファール球通路T2が設けられている。内枠13の前面であって球発射ユニット90の左隣には、透明樹脂製の通路形成部材36がネジにより内枠ベース30の取付面30fに固定される。通路形成部材36には、内枠13の取付面30f側に向いて開口した溝が設けられ、この溝と内枠ベース30の取付面30fとによりファール球通路T2が形成される。ファール球通路T2は、途中から上皿201から溢れた遊技球を下皿301へ導く下皿排出通路に合流する。この下皿排出通路の最下流部には、取付面30fより内枠ベース30の前方側に向けて筒状に突出する下皿排出口36aが設けられており、ファール球は、下皿排出通路を経由して下皿排出口36aより下皿301へ排出される。
排出通路の途中には、下皿301が遊技球で満タンとなっていることを検出するための満タンセンサ(図示せず)が通路底面の一部を形成するように設けられる。遊技球が短期間で多量に払い出されると、上皿201が一杯となった後には下皿301に遊技球が溜まり始める。その後、遊技球が払い出され続けても下皿301の遊技球を抜かないと排出通路の途中に遊技球が溜まり始めるが、満タンセンサの設置箇所まで遊技球が溜まるとそれ以降の払い出しは後述する払出発射制御装置611(図23参照)の制御により停止される。排出通路が満タンになっても遊技球が払い出され続けると、下皿301が溢れて遊技の続行が困難となったり、遊技球を払い出すためのギヤに遊技球が詰まって故障の原因となる等、問題が起こりやすいからである。また、排出通路の満タンが満タンセンサにより検出されると、払出発射制御装置611の制御によって「球を抜いて下さい」のエラーメッセージがスピーカSP(図2参照)より繰り返して出力される。遊技者には、下皿301内に遊技球が溜まったことを示すことができ、下皿301の遊技球を取り出す操作を促すことができる。
通路形成部材36の左上部には、上皿201に遊技球を排出するための上皿排出口36bが設けられ、内枠ベース30には、その上皿排出口36bへ遊技球を払い出すための払出口が設けられている。内枠ベース30の払出口は、内枠ベース30の裏面と前面とを結ぶものであり、内枠13の裏面側に設けられる払出装置658(図20参照)に繋げられている。払出口および上皿排出口36bは前面枠14を閉鎖した状態において上皿201に通じており、払出口および上皿排出口36bを介して上皿201に遊技球が排出される(払い出される)。上皿排出口36bには、開閉式のシャッタ37が取り付けられており、前面枠14を開放した状態(図2の状態)ではバネ等の付勢力によりシャッタ37は上皿排出口36bを閉鎖する。また、前面枠14を閉鎖した状態では、当該前面枠14の裏面に設けられた球通路樋241(図2参照)によりシャッタ37は内枠ベース30側へ傾倒して押し開けられる。従って、前飾り枠が省略され前面枠14に上皿201が直接設けられる構成とした本パチンコ機10において、前面枠14の開放に際し内枠ベース30の払出口を通過中の遊技球が内枠13の前面にこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できるようになっている。
通路形成部材36における下皿排出口36aの下側は、内枠13の下面に当接する長さのリブ36cが設けられており、平板状に形成された内枠ベース30の取付面30fが補強されている。また、リブ36cと取付面30fとの間には配線を通す隙間が設けられ、電気配線のホルダとしてリブ36cが活用されている。
内枠ベース30の前面左下隅には、中継基板38が収容されている。中継基板38には、下皿ユニット15に設けられる電気部品(操作ハンドル310内部のタッチセンサ及び可変抵抗器、並びに、スピーカSP)の配線と、内枠13側に設けられる制御装置(払出発射制御装置611および音声ランプ制御装置562)とを接続する部位であり、下皿ユニット13側の配線コード先端に設けられるコネクタに連結する差込口(図示せず)が設けられる。下皿ユニット15と内枠13との電気的な接続が中継基板38にまとめられているため、下皿ユニット15の組み付け及び取り外し時における配線の取り回し作業が簡易になり、パチンコ機10の組み立て及び分解が容易になっている。また、中継基板38には、スピーカSPの音量を大小2段階に調節するスイッチが設けられ、内枠13を開放しなくても簡単に音量調節を実行することができる。なお、中継基板38から内枠13の裏面側に設けられる制御装置への配線は、内枠ベース30の取付面30fの下端に沿って、また通路形成部材36のリブ36cの奥側に配置され、内枠ベース30の前面右下隅に開口形成された配線穴30hより内枠13の裏面に取り回されている。
ここで、遊技盤16に設けられる2本のレール61,62は、遊技領域の入口と球発射ユニット90とを繋ぐ通路を形成するものであり、そのレール61,62間には、図5(a)に示すように、正面視略矩形状の球ストッパ261が設けられている。球ストッパ261は、球発射ユニット90より発射された遊技球をファール球として排出するためのストッパとして設けられる部材であり、ゴムを射出成形して形成され、2本のレール61,62間に突出するように移動可能に設けられている。
球ストッパ261は、図5(b)に示すように、電磁石を内蔵するリニアソレノイド(通路開閉ソレノイド)262に接続され、通常時には2本のレール61,62の間から外れてベース板60に形成された開口内に埋没した位置(後退位置)に配置される。通路開閉ソレノイド262が励磁されると、球ストッパ261は2本のレール61,62間に突出した前進位置(図5(b)に2点鎖線で示す位置)に配置され、球発射ユニット90により遊技球が発射される発射位置と、遊技領域とを繋ぐ通路(発射通路)T1を閉鎖する。この球ストッパ261は、発射レール93と遊技盤16前面のレール(誘導レール)61,62との間にて発射通路T1の途中で下方に分岐して形成されるファール球通路T2より遊技領域に近い側(図5(a)の左上側)に配設されている。このため、通路開閉ソレノイド262が励磁されて球ストッパ261が前進位置に配置されるときには、遊技球の飛び量が少なくなるように調整される、即ち、発射通路T1を経由して遊技領域へ向かう遊技球の進行が球ストッパ261に阻止される。この球ストッパ261により進行が阻止された遊技球は、ファール球通路T2内へ流入し、下皿301へ排出される。
なお、球ストッパ261は、2本のレール61,62間において遊技球が衝突して戻った場合にファール球となる区間L1(図5(a)参照)のいずれに設けても良く、また、球ストッパ261を動作させるための装置はモータなど別の駆動力を付与するものであっても良い。また、球ストッパ261は、必ずしもベース板60から突出するように設ける必要はなく、内レール61や外レール62の一部を切り抜いて球ストッパとし、非励磁の状態においてはレールの一部を形成しつつ、励磁されたときに2本のレール61,62間に突出するようにしても良い。この場合には、遊技球の安定した跳びを確保するために遊技領域に向けて発射された遊技球が接触する外レール62より内レール61やベース板60側に設けることが好ましい。
次に、図1、図2、図11および図12を参照して前面枠14の構成について説明する。図11(a)は前面枠14の背面図であり、図11(b)は図11(a)のR−R線における断面図であり、図11(c)は、第2開閉ユニット250を模式的に示した図である。また、図12は球発射ユニット90へ遊技球を送出する上皿201の出口部を断面視して示した図であり、図12(a)は前面枠14が開放された状態を示し、図12(b)は前面枠が閉鎖された状態を示している。
前面枠14は、矩形状に形成されたABS樹脂製の前面枠ベース200を主体に構成されており、前面枠ベース30の中央部には遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。また、窓部14cの下側には、図1に示すように、球受皿部材としての上皿201が一体的に設けられている。上皿201は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら球発射ユニット90へ導出するものである。従来のパチンコ機では前面枠の下方において内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたが、本実施形態では前飾り枠が省略され、前面枠14に直接上皿201が設けられている。これは、本実施形態の前面枠14は、従来のパチンコ機より大きく形成した遊技領域を外部から視認できるように略楕円形状に大きく欠成された窓部14cを備えているので、前面枠14の強度を少しでも向上させるべく、該前面枠14に上皿201を一体化して形成しているのである。この上皿201は下皿301と同様に、少なくとも表面層が難燃性のABS樹脂にて形成されている。
前面枠14の窓部14cは、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲して縦長の楕円形状となっている。窓部14cを形成する前面枠ベース30は、上下方向の方が左右方向より長く形成されているので、窓部14cを大きく開口しつつ前面枠ベース200の上下および左右にて壊れやすい細幅となる部分を比較的広く設けることができ、強度を確保し易くしている。なお、窓部14cの左右側の略中央部を湾曲させないで直線状に形成してもよい。
本実施形態において、窓部14cの開口上端は、外レール62の最上部(遊技領域の上端)に一致し、その開口上端と前面枠14の上端との間の最短距離(いわゆる上部フレーム部分の上下幅)は約50mmとなっている。85mm〜95mm程度上部フレーム幅がある従来技術に比べて著しく短くなっており、遊技領域の上部領域を確保し易くすると共に、大型の可変表示装置ユニット80を比較的上方に配置することができる。なお、前面枠14の上端との間の距離は80mm以下であることが望ましく、より望ましくは70mm以下であり、更に望ましくは60mm以下である。もちろん、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下であっても差し支えない。
また、パチンコ機10の正面から見て窓部14cの左端と前面枠14の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅:図11(a)では右側に示される)、即ち開閉軸線側のフレーム幅は、前面枠14自体の強度及び支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。前面枠14が閉じられた状態において、外レール62の左端部が前面枠ベース200左側のフレーム部分によって覆い隠されるように、開閉軸線側のフレーム幅が広く設定されている。このため、外レール62は、パチンコ機10の正面からみて前面枠14の左側部フレーム部分と重複して覆い隠され、遊技領域の入口手前における遊技球が視認困難となる。ここで、遊技者は、遊技領域内において種々の挙動を示す遊技球を視認して弾球遊技を楽しむものであるため、遊技領域に入る前の遊技球が視認困難であっても実際の遊技に何ら支障は生じない。よって、遊技に支障を来すことなく、前面枠14の十分な強度及び支持強度を確保することができる。ちなみに、パチンコ機10の正面から見て外レール62の左端位置と外枠12の左端位置との左右方向の距離は約30mm、遊技領域の右端位置(円弧部材70の内面右端位置)と外枠12の右端位置との左右方向の距離は約45mmとなっている。
加えて、前面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。図1に示すように、窓部14cの上側およびその左右両側には、窓部14cの周縁に沿って、LED等の発光手段を内蔵した電飾部202〜204が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部202〜204が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部202〜204が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。
また、前面枠14の正面視右上部には、図1に示すように、賞球の払い出し中に点灯する賞球ランプ205が設けられ、一方、前面枠14の正面視左上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ206が設けられている。また、右側の電飾部204の下側には、前面枠14の裏面側を視認できるように前面枠ベース200の裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓207が形成され、遊技盤16前面の貼着スペースK1(図3参照)に貼付される証紙等はパチンコ機10の前面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部202〜204の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材208が取り付けられている。このクロムメッキには、従来多用されていた6価クロムではなく、生産環境面等を考慮して3価クロムが使用されている。
窓部14cの下方には、図1に示すように、貸球操作部210が配設されている。貸球操作部210には、度数表示部211と、球貸しボタン212と、返却ボタン213とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部210が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部211はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン212は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿201に供給される。返却ボタン213は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部210が不要となるが、この場合には、貸球操作部210の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
前面枠14の裏側における右上隅には、図11(a)に示すように、発光手段としてのLED用の発光基板214が前面枠ベース200の裏面にネジにより取り付けられている。また、前面枠14の裏側には、窓部14cを囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、前面枠14の裏側にあって窓部14cの上下左右の外側には金属製の補強板221〜224がそれぞれ取り付けられている。これら補強板221〜224は相互に接触して連結されて、窓部14cの形成によって低下した前面枠14の剛性および強度を高めている。また、右側の補強板221は、前記した発光基板214の裏面側に重なって配設されているが、両者の直接の接触を避けるように、或いは、発光基板214への通電を防止するために、透明な合成樹脂製のカバー板215が補強板221と発光基板214との間に介在して設けられている。補強板221〜224の帯電に基づいてその周りにノイズや磁界が発生しても、カバー板215の介在によって発光基板214への影響が低減され、誤作動や故障等の抑制が図られている。なお、補強板221〜224の一部は接地されており(図示せず)、補強板221〜224が帯電し難いようになっている。
前面枠14の裏面右側の補強板221には、その中間位置にてフック(鉤)状をなす係合爪221a(図2参照)が設けられている。係合爪221aは、前面枠14を閉じた状態で内枠13(内枠ベース30)に穿設された溝30jに進入するように構成されている。内枠ベース30には、図5(a)に示すように、その溝30jの一部を覆うようにして金属製の止め板39がネジ止めされており、内枠13に対して前面枠14が閉鎖された状態において係合爪221aの先端部が図5(a)に示す止め板39の裏面側に入り込む。これにより、パチンコ機10正面視左側の中間位置における前面枠14の浮き上がりを防止することができ、上皿201が前面枠14に設けられて前面枠14が上下に大きく構成され、上下の支持位置(支持金具33,34の位置)が大きく離間しても、前面枠14を浮かしての不正行為を抑制することができる。
前面枠14の裏面左側の補強板222には、前面枠14の背面側に突出して鉤状に形成された上下一対の前面枠鉤部14aが一体的に形成されている。この前面枠鉤部14aが内枠13の裏面側に設けられる施錠ユニット410の前面枠用鉤部材411に係合して、前面枠14は施錠される。施錠状態の前面枠14は、シリンダ錠420に対して専用鍵による所定の解錠操作が行われることにより解錠され、開放可能な状態となる。
前面枠14の裏面上側の補強板223の左右方向における中央部分には、ネジ225を挿通するネジ孔が設けられており、このネジ225の先端部は、図11(b)に示すように、前面枠14の前面側に設けられるメッキ部材208に螺着されており、メッキ部材208はネジ225と補強板223とを通じて接地された状態となる。よって、装飾用のメッキを前面枠14の前面側に施しても帯電およびこれに起因するノイズ等による不具合を抑制することができる。
前面枠14の裏面下側の補強板224には、図2に示すように、前記発射レール93に対向する位置に樹脂製のレール側壁部材226が設けられている。このレール側壁部材226は、前面枠14を閉じた際に発射レール93の側壁となって、発射レール93から遊技球がこぼれ落ちないように機能している。また、レール側壁部材226の右側には、上皿201に繋がる穴に連続するようにして前面枠14の裏面側に突出する球通路樋241が前面枠ベース200にネジで固定されている。この球通路樋241は、前面枠14の閉鎖時に内枠13側のシャッタ37(図2参照)を押し開けて上皿201への遊技球の通路を形成する。
前面枠14の裏面側においてレール側壁部材226の左隣には、図11(a)に示すように、下側の補強板224の一部を正方形状に開口して形成された球出口224aが設けられている。球出口224aの上側には、球出口224aを前面枠14の開放時に閉鎖するための第1開閉ユニット230が取り付けられている。また、球出口224aの右側には、球出口224aを遊技球の発射操作中に限って開放するための第2開閉ユニット250が取り付けられている。球出口224aは、上皿201の最下流部に設けられて球発射ユニット90側の上皿201の出口を形成するものであり、前面枠14の閉鎖時に上皿201と球発射ユニット90の導入口102b(図7参照)とを連通して上皿201に貯留された遊技球を球発射ユニット90(送出部材105)側に導出する。このため、上皿201に載置された遊技球は球出口224aを経由して球発射ユニット90へ導かれる。
まず、図11(a)および図12を参照して第1開閉ユニット230の構造について説明する。第1開閉ユニット230は、下側の補強板224にネジ止めされたケース部材としてのハウジング231と、上端がハウジング231内に収容され、それ以外の部分が下側の補強板224に沿うように下方に延びる薄板状の遮蔽板232と、遮蔽板232の上端部が巻回固定されると共にハウジング231の内面にて上下方向に回動可能に軸支された硬質樹脂製の回動レバー233とを備えている。この第1開閉ユニット230は、ハウジング231に、遮蔽板232、及び、回動レバー233を組み付けて一体化したものであり、前面枠14側への組み付け作業の容易化および簡素化が図られている。
回動レバー233は、下側の補強板224と略平行かつ略水平にハウジング231内面に設けられる回動軸231aを軸心としてハウジング231に回動可能に軸支される。回動レバー233には、回動軸231aより補強板224側(図12(a)の左側)に向けて延設される板支持部233aと、回動軸231aより下側に向かって延設され、前面枠14の閉鎖時に内枠13の一部に当接するようにハウジング231外に突出する接触部233bとが設けられる。内枠ベース30には、取付面30fより前面に突出形成された突起30k(図5(a)参照)が設けられ、接触部233bは、突起30kに当接するように設けられる。この接触部233bは、回動軸231aに対して前面枠14の開閉方向(図12(a)の左右方向)とほぼ直行する方向に延設されているため、前面枠14の閉鎖時に接触部233bが内枠13に押圧された場合に回動レバー233が回動し易く、長期の使用にわたっての動作を確実なものとしている。
遮蔽板232は、弾性を有する薄板状の金属片(例えば、ステンレス薄板など)で形成され、一端が回動レバー233の板支持部233a(前面枠14側の端部)に固定される一方、他端である下端部232aは自由端となっている。遮蔽板232の下端部232aは、図11(a)に示すように、球出口224aより幅広く形成されている。このため、遮蔽板232の途中部分における弾性変形を容易にして動作抵抗を低くしつつも、遮蔽板232の下端部232aによって球出口224aを確実に覆って球出口224aからの遊技球の流出を遮蔽板232により確実に阻止することができる。なお、下端部232aの幅は、球出口224aより細くても良いが、ほぼ同一以上の幅とすることが遊技球の誤流出を防止する上で好ましく、球出口224aより遮蔽板232の下端部232aの幅を広くすることが好適である。
また、遮蔽板232の下端部232aが球出口224aより狭いと、球出口224a内に遮蔽板232が入り込んで球出口224a内の遊技球に遮蔽板232の下端が衝突し、遮蔽板232の変形や破損が生じ易い。パチンコ機10においては、遮蔽板232の下端部232aが球出口224aより広幅とされているので、球出口224a内に遮蔽板232が入り込むことがなく、遊技球への当接による遮蔽板232の変形や破損が防止されている。
上皿201における球出口224aの下側には、図12(a)に示すように、下皿301へ通じる排出口201aと、その排出口201aを閉鎖する閉鎖板234とが設けられ、その閉鎖板234がパチンコ機10の前面側(図12(a)の左側)へ移動可能となっている。上皿201に対して、球出口224aは略水平に開口する一方、排出口201aは球出口224aとは別の側(下側)に分岐して開口形成されており、閉鎖板234が前面側へ移動すると排出口201a側に優先して遊技球が流下し、上皿201内の遊技球が下皿301へ排出される。閉鎖板234が後方へ配置されて排出口201aが閉鎖された状態(図12(b)の状態)においては、閉鎖板234の上面によって遊技球が排出口201aへ案内される。この閉鎖板234は、図示しないリンク機構を介して上皿201の右側に設けられる球抜きボタン216(図1参照)に連結されている。この球抜きボタン216を押下操作することにより閉鎖板234が前面側に移動し、遊技球の球抜きが行われる。なお、本実施形態においては、球出口224aより下皿301へ通じる排出口201a側に遊技球が優先して流下するため、排出口201aに閉鎖板234を設けたが、必ずしも閉鎖板234は排出口201a側に設ける必要はなく、下皿301へ通じる排出口より球発射ユニット90へ通じる球出口側に遊技球が優先して流下する場合には球出口を開閉する閉鎖板を設けると共に球抜きボタン216が押下された場合に球出口が閉鎖するようにリンク機構を設けて球出口を開閉するようにしても良く、或いは、排出口と球出口との双方に閉鎖板を設けて各閉鎖板が球抜きボタンに連動して排出口および球出口が開閉するようにしても良い。
ここで、球出口224aより遮蔽板232の下端部232aが球出口224aより幅狭であると、その下端部232aが球出口224a内に入り込んで球詰まりが生じうる。本実施形態のパチンコ機10においては、遮蔽板232の下端部232aが球出口224aより幅広に形成されているので、上皿201と下皿301との連通を確実にすることができ、球詰まりの発生を抑制することできる。
第1開閉ユニット230の遮蔽板232は、平面状の薄板を下方に弾性変形させて曲折させた状態にして、補強板224と回動レバー233の板支持部233aとに支持されている。このため、遮蔽板232は、弾性力により元の平らな状態に復帰しようとして補強板224を押圧した状態となっている。前面枠14fの開状態(図12(a)の状態)にあっては、球出口224aが遮蔽板232に押圧されつつ塞がれた状態となり、遊技球の流出が阻止される。
前面枠14fが開状態になると、図12(a)に示すように、回動レバー233の接触部233b先端側(下端側)が前面枠14の裏側(図12(a)の右側)に向かって突出した状態となる。この状態においては、回動レバー233は、遮蔽板232が平らに復帰しようとする弾性力により、回動軸231aを中心にして接触部233bが前面枠14の裏側に突出する方向(図12(a)の左回り方向)に付勢され、ハウジング231の一部(ストッパ部231b)に当接した位置(第1の回動位置)にて静止する。
回動レバー233が第1の回動位置に配置された状態においては、遮蔽板232は、その下端部232aが球出口224aの上部を塞ぐ位置にまで垂下した状態となる。この状態においては上皿201内の遊技球は遮蔽板232によって流れが規制され、球出口224aから前面枠14の裏側へ遊技球が流出しない。よって、上皿201内に遊技球が貯留された状態で前面枠14を開放しても遮蔽板232により上皿201内の遊技球の流出を防止することができる。
また、ハウジング231には、回動レバー233に支持される遮蔽板232の一端部と下端部232aとの間部分に当接して、遮蔽板232を補強板224方向に押圧する押圧部231cが設けられている。このため、遮蔽板232がより強く補強板224側に押圧されることとなり、球出口224aに勢いよく遊技球が導かれたり上皿201内の遊技球が多量にあって遮蔽板232を開放しようとする力が大きくなった場合にも遊技球をより確実に受け止めて、球出口224aからの遊技球の流出防止を確実なものとしている。
図12(a)に示す状態から前面枠14が閉鎖されると、図12(b)に示すように、回動レバー233の接触部233bは、内枠13の突起30kに当接しつつ押圧されて前面枠14側に回動させられた状態となる。その後、回動レバー233は、前面枠14が閉鎖されるに従って図12(a)に示す第1の回動位置よりハウジング231内に入り込む方向(図12(b)の右回り方向)に回動し、前面枠14が完全に閉鎖される(即ち、施錠ユニット410の前面枠用鉤部材412に前面枠鉤部14aが係合する)とハウジング231内に最大限に押し込まれた位置(第2の回動位置)にて静止する。回動レバー233の回動に伴って回動レバー233の板支持部233aは球出口224aから離間する側(上側)へ移動する。
回動レバー233が第2の回動位置に配置された状態においては、球出口224aを覆っていた遮蔽板232の下端部232aが上昇し、球出口224aが開放されて遊技球が通過可能となる。上皿201内に遊技球がある場合には遊技球は球出口224aより球発射ユニット90の導入口102bへ向けて順次流出することとなる。このため、上皿201に遊技球を補給し続ける限り、球発射ユニット90により遊技領域へ向けて遊技球を継続して発射することができる。
前面枠14が閉状態から開放されると、回動レバー233(接触部233b)は、内枠13の突起30kによる押圧が解除され、遮蔽板232の復元力により第2の回動位置から第1の回動位置へと変位する。回動レバー233の変位に伴って遮蔽板232が補強板224の板面上を摺動しつつ下降し、遮蔽板232の下端部232aに球出口224aが閉鎖されて球出口224aからの遊技球の流出が防止される。つまり、前面枠14の開放と共に球出口224aが閉鎖されるので、遊技場の店員は、前面枠14を開放して点検等の作業を行う場合に上皿201内の遊技球の流出を心配することなく簡易に前面枠14を開放することができる。
次に、図11および図12を参照して第2開閉ユニット250の構造について説明する。第2開閉ユニット250は、レール側壁部材226内に配設される球出口開閉モータ251と、球出口開閉モータ251によって上下に動作する開閉蓋252とを備えている。球出口開閉モータ251は、レール側壁部材226に図示しないネジによって固定されており、後述する払出発射制御装置611によってその動作が制御される。
開閉蓋252は、鉤形に屈曲した形状に形成された合成樹脂製の板で構成されており、球出口開閉モータ251の軸に固定されている。開閉蓋252の先端部は、図11(c)に示すように、下降した状態において球出口224aを閉鎖し、上昇した状態(図11(c)の二点鎖線)において球出口224aを開放する。レール側壁部材226には、開閉蓋252の可動範囲を定めるために形成された2本の軸226aが設けられており、各軸に当接することにより、開閉蓋252の上昇位置と下降位置とが規制される。また、開閉蓋252は、上皿201の排出口201aを開閉する閉鎖板234に支持される遊技球のうち最も下流側に位置する遊技球に対向して配置される。このため、開閉蓋252により球送り機構94側への遊技球の通路が閉鎖された状態で閉鎖板234が動作して上皿201の排出口201aが開放されると、開閉蓋252より上流側の全ての遊技球が排出口201aより排出される。
ここで、第2開閉ユニット250の動作について説明する。払出発射制御装置611の制御によって球出口開閉モータ251が左回りに回動するように駆動されると開閉蓋252は下降する。開閉蓋252がレール側壁部材226の下側の軸226aに当接するまで下降すると、球出口開閉モータ251の回動が規制され、開閉蓋252が球出口224aを閉鎖した状態にて静止する。一方、球出口224aが開閉蓋252によって閉鎖された状態にて、払出発射制御装置611の制御によって球出口開閉モータ251が右回りに回動するように駆動されると開閉蓋252は上昇する。開閉蓋252がレール側壁部材226の上側の軸226aに当接するまで上昇すると、球出口開閉モータ251の回動が規制され、開閉蓋252の下端は球出口224aより上側に位置して球出口224aを開放した状態にて静止する(図12(b)の状態)。
払出発射制御装置611は、制御内容の詳細については後述するが、遊技者による発射操作、具体的には操作ハンドル310のタッチセンサのオンオフに連動するように球出口開閉モータ251を駆動する。遊技者が操作ハンドル310を握って遊技を行っている期間中には、開閉蓋252が球出口224aを開放し、操作ハンドル310に手が触れていない期間中には開閉蓋252が球出口224aを閉鎖して遊技球が球発射ユニット90の導入口102bへは流入しないようにする。このため、遊技者が遊技を行うために上皿201に遊技球を投入した後、全く遊技を行わないで別のパチンコ機10に移動したり、遊技を停止して遊技場から借りた遊技球を返却する場合、球抜きのために上皿201横の球抜きボタン216を押下操作して閉鎖板234を動作させると、上皿201に投入した遊技球は1球残らず下皿301へ流下する。操作ハンドル310のタッチセンサがオンとなるまで、即ち、遊技者が操作ハンドル310を握るまでは遊技球が球発射ユニット90側へ流下しないからである。開閉蓋252を有しない従来の遊技機においては、遊技球を上皿へ投入した後に球抜きを行う場合、球発射ユニット90側へ流下した遊技球等をわざわざ遊技領域へ打ち込んだり、ファール球にしたりするなどの面倒な操作が必要となり、この操作によって借り入れた遊技球を無駄に消費してしまっていた。これに対し、球出口224aを遊技者の発射操作に連動して開閉する開閉蓋252を設けることにより、遊技者には、投入した遊技球のうち遊技領域へ発射する前の遊技球を簡単かつ確実に返却することができ、無駄な遊技球の消費を抑えることができる。
なお、開閉蓋252は、必ずしもモータ251の駆動力により開閉動作を行うように構成する必要はない。ソレノイドなど別の駆動力を付与する装置で開閉蓋252が動作するように構成しても良く、操作ハンドル310と開閉蓋とをケーブル等で連結して開閉蓋が操作ハンドル310の操作に連動して球出口224aを開閉するようにしても良い。
次に、図13から図17を参照して前面枠14の裏面に取り付けられるガラスユニット17について説明する。図13は、ガラスユニット17の正面図である。また、図14は、図13のSa−Sa線における断面図であり、図15は、図13のSb−Sb線における断面図であり、図16は、図13のSc−Sc線における断面図である。図17は、図16の矢印V方向から見たガラスユニット17の部分拡大図である。
本実施形態におけるガラスユニット17は、従来のように、矩形状の板ガラスを前後対にして別々に前面枠に取り付けるものでなく、全体としては丸形をなす2枚の板ガラス151を一体化(アッセンブリ化)した上で前面枠14に取り付けるものである。このガラスユニット17は、前面枠14の窓部14c(図1参照)の形状にほぼ対応して、略円形で同一形状をなす前後一対の板ガラス151と、これら板ガラス151の周縁を囲むように設けられた保持フレーム153とを備えている。
保持フレーム153は、ABS樹脂により形成され、図14に示すように、断面略「ひ」字状にて板ガラス151の外形に沿って環状に形成されている。このため、保持フレーム153の両側(図14の上下両側)には、一対の鉤状断面に形成された板ガラス151の保持部が形成され、各板ガラス151は、保持フレーム153により外周が囲われると共に、一面側の外周縁が保持フレーム153に接触した状態に配設される。保持フレーム153と板ガラス151とは接着材によりそれぞれ接着(ホットメルト接着材等で接着)固定され、2枚の板ガラス151は、それらの間に介在する保持フレーム153によって所定間隔を隔てた状態で一体化される。
保持フレーム153は、図13に示すように、一方側(図13の左下側)において外方に膨出した形状に形成されており、板ガラス151も、その膨出部分を覆うように一部分が膨出した形状となっている。この膨出部分は、遊技盤16面における外レール62と内レール61とにより形成される誘導レールの一部(図3の左下側の部分)を覆うカバーとなり、誘導レール部分における遊技盤16前面側への遊技球の流出を規制する。
また、保持フレーム153は、一方側(図13の左下側)において外方に膨出した部分に、2枚の板ガラス151の間の領域を区画する区画壁153aが設けられている。この区画壁153aにより2枚の板ガラス151の間に収容部154が形成され、その収容部154内に水分の結露や曇りを防止するために吸湿を行う乾燥具155が設けられている。乾燥具155は、2片1組のケース部材を対向させて内部に収容空間を形成するケーシングと、そのケーシング内に多数収容された粒上の乾燥剤により構成される。ケーシング内は隔壁(図示せず)により複数の部屋に区画され、各部屋毎に乾燥剤が収容されている。乾燥剤としてはゼオライドやシリカゲル等が挙げられる。また、ケーシングには、その内外を連通する多数の小孔が形成され、2枚の板ガラス151にて密封またはほぼ密封された空間内の空気が効率的に除湿され、結露等の発生が防止されるようになっている。なお、保持フレーム153の区画壁153aおよび乾燥具155は、前面枠14の窓部14cにより形成される開口よりも外周側に配設され、パチンコ機10の装飾に不要な乾燥具155等が外部から視認されないようになっている。
保持フレーム153には、図15に示すように、2枚の板ガラス151と保持フレーム153とにより囲われる内部空間と外部とを連通する逃がし孔153bが穿設されている。この逃がし孔153bは、板ガラス151の接着固定を容易かつ確実なものとするために設けられる。逃がし孔153bの入口部には、接着剤が注入されて乾燥し、硬化した状態となっている。また、逃がし孔153bの内面形状は、保持フレーム153の外側(図13の下側)から内側へ次第に内径が縮小するテーパ状(円錐形状)に形成されており、外側からの接着剤の注入時に逃がし孔153bが完全に閉塞され易くしている。
ここで、ガラスユニット17の組み立て工程について、特に保持フレーム153に2枚の板ガラス151を接着固定する部分を中心に説明する。1枚の板ガラス151を載置した状態とし、その板ガラス151に保持フレーム153を接着固定する。次いで、収容部154に乾燥具155をセットしてから、2枚目の板ガラス151を保持フレーム153に接着固定する。
この2枚目の板ガラス151は、接着をより確実なものとするために強い力で押圧することとなるが、この押圧に際し、2枚の板ガラス151間の空気が圧縮されるおそれがある。もし空気が強く圧縮されると、空気の膨張によって接着後に板ガラス151が保持フレーム153から剥離してしまうことが懸念される。この点、本実施形態では、逃がし孔153bを介して板ガラス151の間と外部との空気の出入りが可能であるので、2枚目の板ガラス151が接着固定時に押圧されても空気が圧縮されることがなく、空気の膨張によって保持フレーム153から板ガラス151が剥離してしまうといった事態は起こらないようになっている。
2枚の板ガラス151を保持フレーム153に接着した後には、逃がし孔153bに接着剤を注入し、時間をおいて乾燥硬化させる。これにより、板ガラス151間には、密封された空間が形成され、湿気や埃等の侵入を規制し、また乾燥具155による吸湿効果を高めて遊技領域の視認性を良質なものとすることができる。
保持フレーム153には、その周縁における複数カ所にて外方に突出した取付部153cが設けられている。各取付部153cは、同一の形状に形成されており、各取付部153cには、図16に示すように、板ガラス151の面方向に沿って挿通孔153dが設けられている。また、取付部153cの一方の面(図16の上側の面)には、挿通孔153dに対応する位置に小径孔161aを有する薄肉に形成されたワッシャとしての金属板161が小ネジ162により保持フレーム153に固定されている。更に挿通孔153dと金属板161の小径孔161aとに挿通されるようにして、ガラスユニット17を前面枠14に取り付けるための取付ネジ163が設けられている。
取付ネジ163は、図16に示すように、表面が平滑な円筒状に形成された軸部163aと、軸部163aの先端側に一体形成された雄ねじ部163bと、軸部163aの基端側に設けられた操作部163cとにより形成されている。軸部163aは、金属板161の小径孔161aより小径に形成される一方、操作部163cは大きく形成される。また、雄ねじ部163bは、金属板161の小径孔161aに対してほぼ同一の外径であって、小径孔161aより外径は大きく谷の径が小さく形成されている。このため、取付ネジ163は、金属板161の小径孔161aに雄ねじ部163bをねじ込んで取り付けることができ、ほぼ軸部163aの長さ分(ストローク量)だけ移動可能な状態で金属板161を介して保持フレーム153に対して取り外し不能となっている。
取付ネジ163の操作部163cは、図17に示すように、軸部163aより大径の円筒状に形成されると共にその外周面が軸方向に沿った細かい溝163c2によりギザギザに加工されている。また、操作部163cの端面中央部には、十字状の溝163c1が設けられており、プラスドライバ等の工具により取付ネジ163の回動操作が可能となっている。このため、操作部163c外周面を指先で摘んでも、十字状の溝163c1に所定の工具を差し込んでも、取付ネジ163の回動操作が可能となっている。よって、ガラスユニット17の着脱操作は、工具がなくても実行可能であり、工具がある場合にはより簡単かつ確実に実行することができる。なお、取付ネジ163は、金属板161にねじ込まれて保持フレーム153に対して取り外し不能に構成されていたが、金属板161の小径孔161aを雄ねじ部163bの外径より大きくして取付ネジ163が容易に取り外し可能となっていても良い。また、取付ネジ163(操作部163c)と金属板162との間には、スプリングワッシャ等の緩み止め用の座金が設けられていても良い。また、操作部163cの外径形状は、上記した形状に限定されず手で回動し易い形状、例えば、軸の両側に板状に突出する部位を有するいわゆる蝶ネジのように形成しても良い。
前面枠14の裏側には、図11(a)に示すように、ガラスユニット17に設けられる取付部153cに対応する複数カ所に雌ねじが形成された被取付具227が設けられる。この被取付具227は、ボス(円筒)状に形成されると共に内面に取付ネジ163をねじ込み可能な雌ねじが形成された金属製の部材であり、前面枠ベース200の所定位置にネジまたは圧入によりそれぞれ固定されている。各被取付具227に取付部153cがそれぞれ取付ネジ163によって固定されることにより、ガラスユニット17は前面枠14の裏面に取付固定される。
また、前面枠14の裏側には、図2に示すように、保持フレーム153の外周形状の一部に沿うようにして裏面側に突出する3つのリブ200a〜200cが前面枠ベース200に一体形成されている。下側のリブ200b,200cは、前面枠ベース200の窓部14cの下側2カ所において上側のリブ200aより大きく突出して設けられており、ガラスユニット17の取付時にはその下側を支持して取付を補助する。また、上側のリブ200aおよび下側の一方のリブ200cには、各リブの突出方向側の先端部において窓部14cの中心側に突出する係止突起が一体形成されており、ガラスユニット17の取付に際しては、その係止突起が保持フレーム153の外周縁に設けられる凹部に嵌り込んでガラスユニット17を仮止めすることができる。
次に、図11(a)に戻って前面枠14の構成について説明する。前面枠14の裏面右側端部(パチンコ機10の正面視左端部)には、内枠13の支持機構として、上下2カ所に支持金具228,229が取り付けられている。内枠13側の支持金具33,34(図5(a)参照)に前面枠14側の支持金具228,229を組み付けることで、内枠13に対して前面枠14は開放可能に装着される。
より詳しく説明すると、前面枠14の上側の支持金具228は、略棒状をなし、その上部の径が下部の径より太い段付きの円柱状に形成されている。内枠13側の上側の支持金具33には、前述したように内枠13の前面側に開口した切欠を有する支持孔33aが設けられており、その支持孔33aの切欠の幅は、前面枠14上側の支持金具228における上部の径より狭く、下部の径より広くなっている。このため、上側の支持金具228の下部(小径の部分)を支持孔33a内に嵌めてから、支持金具228を下方にスライドすると、支持金具228の大径の部分が支持孔33a内に嵌って支持孔33aから支持金具228が外れなくなる。
前面枠14の下側の支持金具229は、前面枠14の裏面側にネジで固定されており、その裏面側から下端面にわたって折り曲げて形成されている。この支持金具229には、前面枠14の下端面に上方に向けて開口した支持穴229aが設けられており、この支持穴229aには、内枠13側の支持金具34により形成される突起軸34aが嵌り込み、前面枠14が内枠13に対して回動可能に支持される。
内枠13への前面枠14の装着手順としては、まず、前面枠14上側の支持金具228の下部(小径の部分)を、切欠を介して支持孔33aに挿入する。次に、前面枠14下側の支持穴229aを、内枠13下側の支持金具34の突起軸34aに位置させてから前面枠14を下方にスライドする。前面枠14上側の支持金具228は大径の部分が支持孔33a内に嵌って外れなくなり、前面枠14下側の支持金具229も突起軸34aに回動可能に支持されて、前面枠14の装着が完了する。
次に、図18および図19を主に参照して下皿ユニット15について説明する。図18は下皿ユニット15の正面図であり、図19はその背面図である。下皿ユニット15は、横長矩形状に形成されたABS樹脂製の下皿ベース300に、下皿301や操作ハンドル310等を取り付けたものである。
下皿ユニット15には、図18に示すように、ほぼ中央部に球受皿部材としての下皿301が設けられ、内枠13側の下皿排出口36a(図2参照)から排出口301aを通じて排出された遊技球が下皿301内に貯留可能に構成されている。下皿301は、下皿ベース300とは別部品で形成した難燃性のABS樹脂を表面に貼り付けて形成される。下皿301のすべてを難燃性のABS樹脂で形成することは必要でないが、少なくとも下皿301の表面部分、即ち下皿301の表面層と下皿301奥方の前面パネル302とをABS樹脂で形成することが好ましい。下皿301には、火のついた煙草が放置される危険があるので、少なくともその表面部分を難燃性のABS樹脂で形成することにより、パチンコ機10の損傷や火災の発生を抑止できるからである。前面パネル302には、スピーカSPからの音を出力するための多数のスピーカ孔303が穿設されており、下皿ユニット15の裏面側には、スピーカ孔303に対応する位置にスピーカSPがネジにより固定されている。
下皿301の正面下方部には、下皿301に貯留された遊技球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー304が設けられている。この球抜きレバー304は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿301の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から遊技球が自然落下して排出される。かかる球抜きレバー304の操作は、通常、下皿301の下方に下皿301から排出された遊技球を受け取る箱(一般に「ドル箱」と称される)を置いた状態で行われる。
下皿301の右方には、前述したように操作ハンドル310が配設され、下皿301の左方には灰皿305が取り付けられている。灰皿305は下皿ベース300に回転可能に取り付けられた軸と共に手前方向及び奥方向へ回動可能にされている。下皿ユニット15の裏面側には、その裏面全体を覆うように金属製の板金306が設けられており、下皿ユニット15自体の剛性および強度が高められている。
この下皿ユニット15は、内枠13に対して開閉可能に取り付けられており、内枠13および前面枠14と同様にパチンコ機10の正面視左側を開閉軸線として前方側に開放可能となっている。下皿ユニット15には、その正面視左上側に支持穴307が設けられると共に、その正面視左下側に支持軸308が設けられている。下皿ユニット15の支持穴307および支持軸308が内枠13側の支持金具34,35(図5(a)参照)に対して組み付けられると、内枠13に対して下皿ユニット15が開閉可能に装着される。
支持穴307および支持軸308について、より詳しく説明すると、支持穴307は、板金306の上端部を折り返した部分に穿設された孔によって構成され、内枠13側の支持金具34において下方に突出する突起軸34bを挿通可能となっている。支持軸307は、上下方向に出没可能な略逆L字状をなす突起より構成され、板金306に覆われたばね(図示せず)によって常には下方へ突出した状態に維持される。
下皿ユニット15の装着手順としては、まず、支持穴307に内枠13側の突起軸34bを差し込んで下皿ユニット15の上側を内枠13に固定する。その後、支持軸308をばねの付勢力に抗して没入状態としてから支持軸308の先端と内枠13下側に設けられる支持金具35の支持孔との位置あわせをする。支持軸308と支持孔との位置があうと、ばねの付勢力によって支持軸308が支持孔内に嵌り込み、下皿ユニット15の装着が完了する。
下皿ユニット15の板金306には、その裏面左側に略矩形状で上下2カ所に並んで形成された下皿係合部15aが形成されている。この下皿係合部15aが内枠13の裏面側に設けられる施錠ユニット410の下皿用鉤部材413に係合することにより、下皿ユニット15は施錠される。施錠状態の下皿ユニット15は、シリンダ錠420に対して専用鍵による所定の解錠操作が行われることにより解錠され、開放可能な状態となる。
ここで、下皿ユニット15が配置されるパチンコ機10の下皿301および操作ハンドル310の部分は、従来には内枠13の一部として形成されて前方側へは開放し得ず、前面枠14により形成される上皿201の下端部までが内枠13の前面側を覆うように構成されていた。前面枠14に覆われた内枠13の前面側には、遊技領域を形成する遊技盤16と、遊技領域へ向けて遊技球を発射する球発射ユニット90とが上下に並べて配置されるが、前面枠14のみが前方へ開放し、下皿301および操作ハンドル310の部分が開放しない場合、上皿201の下端部位置に球発射ユニット90の配置位置が制限され、その上側に形成される遊技領域を大きくすることが難しかった。
本実施形態のパチンコ機10においては、前面枠14以外に下皿ユニット15も内枠13に対して開放可能に構成されるので、球発射ユニット90を下皿301や操作ハンドル310の裏面側に重なるようにして従来より下側に配置することができ、その分、遊技盤16の遊技領域を上下に大きく形成することができる。また、下皿ユニット15が開放可能であるので、内枠13の下端部における裏面側に加えて、その下端部における下皿ユニット15の裏面側と内枠13の前面側との各面に各種部品や配線を収容することができ、部品や配線の設計自由度が高められる。更に、下皿301や操作ハンドル310の裏面側に対して作業を行う場合、例えば、上皿201と下皿301とを繋ぐ通路内の球詰まりを解消する場合や下皿301の奥側に位置して満タン状態を検出する満タンセンサを確認する場合等においては、下皿ユニット15を開放することで、外枠12に内枠13が固定された状態で、内枠13の前面側から各作業を行うことができる。内枠13を開放した場合、外枠12に対して内枠13が揺れ動くために作業がし難いが、下皿ユニット15を開放して内枠13に対して行う作業は、内枠13が固定された状態で行えるので簡易なものとなる。
また、内枠13、前面枠14、及び、下皿ユニット15は、ベースとなる各部材(内枠ベース30,前面枠ベース200,下皿ベース300)に他の部材を組み付けて形成されるものであり、本実施形態においては各ベース部材30,200,300は、すべて合成樹脂、具体的にはABS樹脂により形成されている。これら各ベース部材30,200,300を合成樹脂で形成することにより、金属でベース部材を形成するより複雑な形状に対応することができ、パチンコ機10前面に文字や模様等を形成して装飾性を高めつつ、その裏面側には相手部品の取付部等を一体的に形成して生産コストの抑制を図っている。また、ABS樹脂は、一般に安価で、且つ、メッキ等ののりが良く装飾性に優れるため、低コストで表面処理を施した装飾をパチンコ機10の前面に形成し易い。更に、ABS樹脂は、耐衝撃性が大きいという利点もあり、遊技者が転倒してパチンコ機10前面に衝突したり、遊技の結果に不満を抱いた遊技者がパチンコ機10前面を殴打したりしても、樹脂が破損して遊技者が怪我してしまうことが少ないので、ベース部材30,200,300の材料としてABS樹脂は好適である。
また、各ベース部材30,200,300と外枠13の飾り板24とは、全て同一材料であるABS樹脂により形成されている。このため、ベース部材30,200,300および飾り板24の少なくとも2部材を同一色で形成した場合、経年劣化により色あせや変色の程度は同等となる。よって、長期にわたって複数の部材で構成されるパチンコ機10前面の色度の差を少なくして良質な見栄えを維持することができる。特に各ベース部材30,200,300と外枠13の飾り板24とを、同一材料であって、メーカーおよび材料グレードまで同一のものとすることが、良質な見栄えを維持する上で好ましい。
次に、図20から図25を参照して、パチンコ機10の背面側の構成を説明する。図20は、パチンコ機10の背面図であり、図21は、パチンコ機10背面の制御基板ユニットと裏パックユニットの構成を模式的に示した図である。また、図22は、内枠13に遊技盤16を組み付けた状態を示す背面図であり、図23は内枠13を後方より見た斜視図、図24は遊技盤16を後方より見た斜視図である。図25は、支持金具535の斜視図である。
パチンコ機10の背面側には、各種制御基板が上下左右に並べて、また、前後に重ねて配置されており、更に、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出ユニット)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットが個別に内枠13又は遊技盤16の裏面に装着されている。この場合、主基板と音声ランプ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット501」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット502」と称する。また、保護カバー部を形成する裏パック651および払出ユニット652も1ユニットとして一体化されており、ここではそのユニットを「裏パックユニット503」と称する。各ユニット501〜503の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット501、第2制御基板ユニット502及び裏パックユニット503は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、更にこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠13又は遊技盤16の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット501〜503やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
各ユニット501〜503は、図21に示すように、上下に並んで配置され、取り付けられている。第1制御基板ユニット501は、略L字状をなし、パチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方には、第2制御基板ユニット502が配置されている。また、第1制御基板ユニット501の上部に一部重なる領域に、裏パックユニット503が配置されている。
第1制御基板ユニット501には、パチンコ機10の背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1の軸線Aを中心に当該第1制御基板ユニット501が開閉可能となっている。また、第1制御基板ユニット501には、その右端部(即ち支軸部M1の反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら支軸部M1、締結部M2及び係止爪部M3によって第1制御基板ユニット501がパチンコ機10の本体(遊技盤16の裏面)に固定保持される。
第2制御基板ユニット502には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4の軸線Bを中心に当該第2制御基板ユニット502が開閉可能となっている。また、第2制御基板ユニット502には、その左端部(即ち支軸部M4の反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M5が設けられており、この支軸部M4および締結部M5によって第2制御基板ユニット502がパチンコ機10の本体(内枠13の裏面)に固定保持される。
裏パックユニット503には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に当該裏パックユニット503が開閉可能となっている。また、裏パックユニット503には、その左端部(即ち支軸部M6の反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M7が設けられると共に上端部及び下端部にそれぞれ回動式の係止部M8,M9が設けられており、これら支軸部M6、締結部M7及び係止部M8,M9によって裏パックユニット503がパチンコ機10の本体(内枠13の裏面)に固定保持される。
各ユニット501〜503の展開方向は同一でなく、第1制御基板ユニット501は、パチンコ機10の背面から見て左開きになるのに対し、第2制御基板ユニット502及び裏パックユニット503は、同右開きになるよう構成されている。
ここで、図22から図25を用いて、内枠13及び遊技盤16の裏面構成を説明する。遊技盤16は、図22に示すように、内枠ベース30に囲まれた四角枠状の設置領域に設置され、内枠13の左右両側に設けられた3つの係止固定具511と、内枠13の略中央下部に設けられた樹脂製の係止固定具512との計4つの係止固定具511,512によって脱落しないように固定されている。係止固定具511,512は手動で回動でき、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とを切り替え可能に構成されている。図22は、係止固定具511,512がロック位置にある状態を示している。遊技盤16の左右3カ所の係止固定具511は、金属片を折り曲げ形成したL型の金具で構成され、遊技盤16を固定した状態では内枠13の外方へ張り出さないよう構成されている。遊技盤16の下部1カ所の係止固定具512は、樹脂製のI型の留め具で構成される。
遊技盤16の裏面中央には、可変表示装置ユニット80が配置されている。可変表示装置ユニット80には、センターフレーム86(図3参照)を背後から覆う樹脂製(例えばABS製)のフレームカバー513が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー513の後端に、液晶表示装置たる第1図柄表示装置81と表示制御装置505とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー513内には、センターフレーム86に内蔵されたLED等を駆動するためのLED制御基板などが配設されている。
また、遊技盤16の裏面には、可変表示装置ユニット80を取り囲むようにして裏枠セット515が取り付けられている。この裏枠セット515は、遊技盤16の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成型品(例えばABS製)であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構が形成されている。詳しくは、裏枠セット515の下方には、前述した一般入賞口63、第1入球口64、可変入賞装置65(図3参照)への入賞球を遊技盤16裏面側に排出する排出口に対応し、且つ下流側で1カ所に集合する回収通路516が形成されている。また、遊技盤16の下方には、樹脂製(例えばポリカーボネート樹脂製)の排出通路盤517が取り付けられており、該排出通路盤517には、排出球をパチンコ機10の外部へ案内するための排出通路518が形成されている。従って、図22に仮想線で例示するように、一般入賞口63等に入賞した遊技球は何れも裏枠セット515の回収通路516を介して集合し、更に排出通路盤517の排出通路518を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口66(図3参照)も同様に排出通路518に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路518を介してパチンコ機10の外部に排出される。
上記構成では、遊技盤16の下端面を境界にして、上方に裏枠セット515(回収通路516)が、下方に排出通路盤517(排出通路518)が設けられており、排出通路盤517が遊技盤16に対して前後方向に重複(オーバーラップ)せずに設けられている。従って、遊技盤16を内枠13から取り外す際において、排出通路盤517が遊技盤16の取り外しの妨げになるといった不都合が生じることもない。
なお、排出通路盤517は、パチンコ機10前面の上皿201の丁度裏側辺りに設けられているので、上皿201に至る球排出口(図2の上皿排出口36b)より針金等を差し込み、更にその針金等を内枠13と排出通路盤517との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで本パチンコ機10の排出通路盤517には、上皿201の丁度裏側辺りに、内枠13にほぼ一体的に重なり合うようにしてパチンコ機10の前方に延びるプレート519が設けられている。従って、内枠13と排出通路盤517との隙間から針金等を侵入させようとしてもそれがプレート519にて阻害され、遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。その結果、針金等により可変入賞装置65(大開放口)を強制的に開放する等の不正行為を防止することができる。
また、遊技盤16の裏面には、各種入賞口などへの遊技球の入球(通過)を検出するための入賞感知機構などが設けられている。具体的には、遊技盤16表側の一般入賞口63に対応する位置には入賞口スイッチ521が設けられ、可変入賞装置65には、特定領域スイッチ522とカウントスイッチ523とが設けられている。特定領域スイッチ522は、大当たり状態で可変入賞装置65に入賞した遊技球が特定領域(大当たり状態継続を判定するための領域)に入ったことを判定するスイッチであり、カウントスイッチ523は入賞球をカウントするスイッチである。また、第1入球口64に対応する位置には第1入球口スイッチ524が設けられ、第2入球口67に対応する位置には第2入球口スイッチ525が設けられている。
入賞口スイッチ521及び第2入球口スイッチ525は、図示しない電気配線(ケーブルコネクタを含む)を介して盤面中継基板526に接続され、さらにこの盤面中継基板526が後述する主基板(主制御装置561)に電気配線を介して接続されている。また、特定領域スイッチ522及びカウントスイッチ523は電気配線を介して大開放口中継基板527に接続され、さらにこの大開放口中継基板527が電気配線を介して主基板に接続されている。これに対し、第1入球口スイッチ524は中継基板を介さずに直接主基板に接続されている。
その他図示は省略するが、可変入賞装置65には、特定入賞口(大開放口)65aを開放するための大開放口ソレノイドと、入賞球を特定領域に導くための入賞球振分板ソレノイドが設けられ、第1入球口64には、電動役物を開放するための第1入球口ソレノイドが設けられている。また、本実施形態では、遊技球を発射させる発射装置としてソレノイド92を採用しているため、発射装置が内枠13の前面側にまとめて配置されている。このため、従来のモータ及び発射槌の組合せに比べて内枠13の裏面側には発射装置が配置されず、内枠13裏面のスペースを制御基板等の他部品のスペースとして有効に活用することができる。
上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。かかる場合、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行う従来方式(いわゆる証拠球方式)とは異なり、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる(即ち、本パチンコ機10では入賞球処理装置を廃止している)。故に、払い出す遊技球が多量にあっても、その払出をいち早く実施することが可能となる。
遊技盤16の裏面にネジで固定された裏枠セット515には、第1制御基板ユニット501を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、この取付機構として、遊技盤16の裏面左下隅部には上下方向に延びる支持金具531がネジで取り付けられ、この支持金具531には同一軸線上に上下一対の支持孔531aが形成されている。その他、遊技盤16の背面右下部には上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)532が設けられ(図22参照)、同左上部には係止爪片533が設けられている。
内枠13の裏面には、第2制御基板ユニット502や裏パックユニット503を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、図22に示すように、内枠13の背面右端部には、図25に示す長尺状の支持金具535が取り付けられている。
支持金具535は、長尺板状の金具本体536を有し、その金具本体536より起立させるようにして、下方2カ所に第2制御基板ユニット502用の支持孔部537が形成されると共に、上方2カ所に裏パックユニット503用の支持孔部538が形成されている。それら支持孔部537,538にはそれぞれ同軸の支持孔が形成されている。その他、第2制御基板ユニット502用の取付機構として、内枠13には、図22に示すように、遊技盤16の設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)539が設けられている。また、裏パックユニット503用の取付機構として、内枠13には、遊技盤16の設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)540が設けられている。なお、第2制御基板ユニット502用の支持金具と裏パックユニット503用の支持金具とを各々個別の部材で設けることも可能である。また、裏パックユニット503用の取付機構として回動式の3つの固定具541〜543が内枠13に設けられており、それら固定具541〜543と遊技盤16との間に裏パックユニット503は挟み込んで支持される。
その他、内枠13の背面側における遊技盤16の右下部には、図23に示すように、後述する払出ユニット652より払い出される遊技球を上皿201、下皿301又は排出通路518の何れかに振り分けるための遊技球分配部545が設けられている。遊技球分配部545には、3つの開口部が左右に並んで設けられ、左側の開口部545aは上皿201に通じ、中央の開口部545bは下皿301に通じ、右側の開口部545cは排出通路518に通じる構成となっている。
内枠13の下端部には、下皿ユニット15に取り付けられるスピーカSPの裏面側に重なる位置に穿孔された多数のスピーカ孔546が内枠ベース300の一部として形成されている。スピーカSPの音声出力時に振動板(コーン)が振動してもスピーカ孔546によりパチンコ機10の背面側へ振動が逃がされるので、内枠13と下皿ユニット15との間で共鳴音が生じることが抑制される。なお、スピーカ孔546により形成される開口の面積は、スピーカSPの裏面側に重なる領域にスピーカSPの振動板の面積と同一以上とすることが共鳴音を抑制する上で好ましく、共鳴音を抑制しつつ剛性強度を高めるためにスピーカ孔546の開口面積とスピーカSPの振動板の面積とを同一又はほぼ同一とすることが好適である。
次に、図26から図29を参照して、第1制御基板ユニット501を説明する。図26は第1制御基板ユニット501の正面図であり、図27は同ユニット501の斜視図であり、図28は同ユニット501の分解斜視図であり、図29は同ユニット501を裏面から見た分解斜視図である。
第1制御基板ユニット501は略L字状をなす取付台551を有し、この取付台551に主制御装置561と音声ランプ制御装置562とが搭載されている。ここで、主制御装置561は、遊技の主たる制御を司る1チップマイコンとしてのMPU701(図39参照)、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス563(被包手段)に収容されて構成されている。なお、基板ボックス563は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット564(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス563が封印されている。
封印ユニット564はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは図27等に示すように、5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結される。封印ユニット564による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度開封・封印処理を行うこと自体は可能である。即ち、封印ユニット564を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主基板の不具合などにより基板ボックス563を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス563の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス563に残しておけば、基板ボックス563を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
また、音声ランプ制御装置562は、例えば主制御装置561又は表示制御装置505からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司る1チップマイコンとしてのMPUや、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、この音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス565に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置562上には電源中継基板566が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板566を介して表示制御装置505及び音声ランプ制御装置562に出力される。
取付台551は、有色(例えば緑、青等)の樹脂材料(例えばポリカーボネート樹脂製)にて成形され、その表面に平坦状をなす2つの基板搭載面552,553が設けられている。これら基板搭載面552,553は、直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。但し、取付台551は無色透明又は半透明の樹脂成型品であっても良い。
一方の基板搭載面552上には、主制御装置561が横長の向きに配置されると共に、他方の基板搭載面553上には、音声ランプ制御装置562(音声ランプ制御基板)が縦長の向きに配置される。特に、主制御装置561は、パチンコ機10の背面視手前側に配置され、音声ランプ制御装置562はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面552,553が前後方向に段差をもって形成されているので、これら基板搭載面552,553に主制御装置561及び音声ランプ制御装置562を搭載した状態において各制御装置561,562はその一部を前後に重ねて配置されるようになる。つまり、図27等にも見られるように、主制御装置561はその一部(本実施形態では図26の左側1/3程度)が浮いた状態で配置されるようになる。故に、主制御装置561に重なる領域まで音声ランプ制御装置562を拡張することが可能となり、当該制御基板の大型化にも良好に対処できると共に、各制御装置を効率良く設置できる。また、第1制御基板ユニット501を遊技盤16に装着した状態では、基板搭載面552の後方にスペースが確保され、可変入賞装置65やその電気配線等が無理なく設置できるようになっている。
図28及び図29に示すように、主基板用の基板搭載面552には、左右2カ所に横長形状の貫通孔554が形成されている。これに対応して、主制御装置561の基板ボックス563には、その裏面の左右2カ所に回動式の固定具567が設けられている。主制御装置561を基板搭載面552に搭載する際には、基板搭載面552の貫通孔554に固定具567が通され、その状態で固定具567が回動されて主制御装置561がロックされる。従って、上述の通り主制御装置561はその一部が浮いた状態で配置されるとしても、当該主制御装置561の脱落等の不都合を回避できる。また、主制御装置561は第1制御基板ユニット501(基板搭載面552)の裏面側から固定具567をロック解除しなければ、取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が期待できる。
取付台551には、図27等に示すように、左端面に上下一対の支軸556が設けられており、この支軸556を遊技盤16側の支持金具531(図24参照)に取り付けることで、第1制御基板ユニット501が遊技盤16に対して開閉可能に支持される。また、取付台551には、右端部に締結具として上下一対のナイラッチ557が設けられると共に上端部に横長の開口558が設けられており、ナイラッチ557を遊技盤16側の被締結孔532(図22参照)に嵌め込むと共に、上端部の開口558に遊技盤16側の係止爪片533(図24参照)を係止させることで、第1制御基板ユニット501が遊技盤16に固定される。なお、支持金具531及び支軸556が図21の支軸部M1に、被締結孔532及びナイラッチ557が締結部M2に、係止爪片533及び開口558が係止爪部M3に、それぞれ相当する。
次に、図30から図32を参照して、第2制御基板ユニット502を説明する。図30は第2制御基板ユニット502の正面図であり、図31は同ユニット502の斜視図であり、図32は同ユニット502の分解斜視図である。
第2制御基板ユニット502は横長形状をなす取付台601を有し、この取付台601に払出発射制御装置611、電源装置612及びカードユニット接続基板613が搭載されている。払出発射制御装置611及び電源装置612は周知の通り制御の中枢をなす1チップマイコンとしてのMPU、各種ポート等を含む制御基板を具備している。払出発射制御装置611を構成する制御基板(払出発射制御基板)により、賞品球や貸出球の払出制御と、遊技者による操作ハンドル310の操作に従った球発射ユニット90(発射ソレノイド92および電磁石104)の制御とが行われる。電源装置612を構成する制御基板(電源基板)においては、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。
カードユニット接続基板613は、パチンコ機10前面の貸球操作部210及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出発射制御装置611に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板613は不要である。
上記払出発射制御装置611、電源装置612及びカードユニット接続基板613は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス615〜617にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出発射制御装置611では、前述した主制御装置561と同様、基板ボックス615(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット619(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス615が封印されている。
払出発射制御装置611の右端部には状態復帰スイッチ621が設けられている。例えば、払出モータ658a部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ621が押下されると、払出モータ658aが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。払出発射制御装置611の左端部には、発射ソレノイド92の発射力を調整する可変抵抗器の操作つまみ622が設けられており、その操作軸622を右回りに回転させると発射ソレノイド92に励磁される電流(又は電圧)が多くなって発射力が高められ、操作軸622を左回りに回転させると発射ソレノイド92の励磁電流(又は電圧)が低下して発射力も低下する。
電源装置612にはRAM消去スイッチ623が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、通常手順で(例えばホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されるので、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ623を押しながら電源を投入することとしている。
取付台601は例えば無色透明な樹脂成型品よりなり、その表面における左右両側に平坦状をなす基板搭載面602,603が設けられている。左側の基板搭載面602には、電源装置612が搭載され、右側の基板搭載面603にカードユニット接続基板613が搭載される。払出発射制御装置611は。その一部を電源装置612の基板ボックス616上に重ねて搭載される。
取付台601には、図30に示すように、その右端部に上下一対の支軸605が設けられており、この支軸605を、内枠13側の支持孔部538(図23参照)に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット502が内枠13に対して開閉可能に支持される。また、取付台601には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ606が設けられており、ナイラッチ606を、内枠13側の被締結孔539(図23参照)にはめ込むことで、第2制御基板ユニット502が内枠13に開閉不能に固定されるようになる。なお、支持孔部537及び支軸605が図21の支軸部M4に、被締結孔539及びナイラッチ606が締結部M5に、それぞれ相当する。
次に、図33及び図34を参照して、裏パックユニット503の構成を説明する。図33はパチンコ機10の背面から見た裏パックユニット503を示しており、図34はその分解斜視図を示している。裏パックユニット503は、樹脂成形された裏パック651と遊技球の払出ユニット652とを一体化したものである。
裏パック651は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部653と、パチンコ機10後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部654とを有する。保護カバー部654は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット80を囲むのに十分な大きさを有する(但し本実施の形態では、前述の音声ランプ制御装置562も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部654の背面には多数の通気穴654aが設けられている。この通気穴654aは各々が長細く形成され、通気穴654aの端が比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気穴654a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック651の背面を容易に開口させることができる。このため、通気穴654a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置505等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
裏パック651には、保護カバー部654を迂回するようにして払出ユニット652がネジで固定されている。払出ユニット652は、裏パック651の最上部に位置して上方に開口したタンク655と、タンク655の下方に連結され、横方向2列(2条)の球通路を有して下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール656と、タンクレール656の下流側に縦向きに連結されるケースレール657と、ケースレール657の最下流部に設けられ、払出モータ658a等の所定の電気的構成により遊技球の払出を行う払出装置658とを備えている。タンク655には、遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給され、払出装置658により必要個数の遊技球の払い出しが適宜行われる。また、払出装置658により払い出された遊技球は、裏パック651の下端部に内蔵される払出通路(図示せず)を通じて前記上皿201等に供給される。
タンクレール656には、当該タンクレール656に振動を付加するためのバイブレータ660が取り付けられている。従って、仮にタンクレール656付近で球詰まりが生じた際には、バイブレータ660を駆動することによって球詰まりを解消できるようになっている。このバイブレータ660は、ユニット化されているので、タンクレール656の横へ容易に取り付けることができる。
ここで、図35を参照してタンクレール656の構成について詳述する。図35は、タンクレール656の分解斜視図である。タンクレール656は上方に開口した長尺樋状をなすレール本体661を有し、レール本体661の始端部には一方側に円弧状に傾斜して形成された球受部662が設けられている。この球受部662により、タンク655から落下してきた遊技球は円滑にレール本体661内に取り込まれる。また、レール本体661には長手方向に延びる仕切壁663が設けられており、この仕切壁663により遊技球が二手に分流されるようになっている。仕切壁663により仕切られた2条の球通路は遊技球の直径よりも僅かに幅広となっている。仕切壁663により仕切られた各球通路の底面には、その通路の両端にて下側に開口した開口部665が設けられている。
また、レール本体661には、その下流側の天井部分を覆うようにして整流板667が配設されている。この整流板667は、下流側になるほどタンクレール656内の通路の高さを制限するよう底面に次第に近づくように傾斜して配設される。また、整流板の上流側には、高く積まれた状態で流下する遊技球のうち上側の遊技球にだけ当接して流下を制限するように流下方向に沿って振り子移動する可動式の整流錘(図示せず)が垂下して設けられる。タンクレール356の上流部より遊技球が積まれた状態で流れ込んできても、整流錘によってタンクレール656内の遊技球が整列しつつ流下するようになっている。
なお、レール本体661は、黒色の導電性ポリカーボネート樹脂により成形されるのに対し、整流板667は透明のポリカーボネート樹脂により成形して通路内部を視認し易くしている。また整流板667は着脱可能に設けられており、当該整流板667を取り外すことによりタンクレール656内のメンテナンスが容易に実施できるようになっている。
図33及び図34に戻って説明する。払出ユニット652は、払出発射制御装置611から払出装置658への払出指令の信号を中継する払出中継基板681と、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板682とを備えている。電源スイッチ基板682には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ682aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
タンク655から払出通路に至るまでの遊技球の通路を形成する部材は、何れも導電性を有する樹脂材料(例えば導電性ポリカーボネート樹脂)にて成形され、その一部にて接地(アース)されている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
また、裏パック651には、図33に示すように、その右端部に上下一対の支軸685が設けられており、この支軸685を内枠13側の支持孔部538(図23参照)に上方から挿通させることで、裏パックユニット503が内枠13に対して開閉可能に支持される。また、裏パック651には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ686が設けられると共に、上端部に係止孔687が設けられており、ナイラッチ686を内枠13側の被締結孔540(図23参照)にはめ込むと共に、係止孔687に内枠13側の固定具542(図23参照)を係止させることで、裏パックユニット503は内枠13に開閉不能に固定される。固定具542及び係止孔687の部分にナイラッチを使用しないのは、図33に示すように、係止孔687の左隣には遊技球を貯留するタンク355が設けられており、この部分を強固に固定するためである。固定具542の固定時には、内枠13の左上隅と右下隅の固定具541,543(図23参照)によっても裏パックユニット503が内枠13に固定される。なお、支持孔部538及び支軸685が図21の支軸部M6に、被締結孔540及びナイラッチ686が締結部M7に、固定具542及び係止孔687が係止部M8にそれぞれ相当する。また、固定具543が係止部M9に相当する。
次に、図36から図38を参照して外枠12に対する内枠13の施錠と、内枠13に対する前面枠14および下皿ユニット15の施錠を行うための施錠装置について説明する。図36は、施錠ユニット410の正面図であり、図37は、施錠ユニット410の前面斜視図であり、図38は施錠ユニット410の背面斜視図である。なお、図面の複雑化を避けるため、図36から図38においてコイルバネを省略して示している。
施錠装置は、内枠13の裏面であってパチンコ機10の正面視右側に縦長に配設される施錠ユニット410と、施錠ユニット410に摺動可能に設けられる鉤部材411〜413に係合して内枠13や前面枠14等を閉鎖した状態に維持する係合部とにより構成される。係合部としては、外枠12の受け金具23と、前面枠14の前面枠鉤部14aと、下皿ユニット15の下皿係合部15aとが該当する。
施錠ユニット410の正面視中央下部には、鍵穴421を有するシリンダ錠420が設けられている。内枠13の施錠と前面枠14の施錠とは、このシリンダ錠420の鍵穴421に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことにそれぞれ解除される。
施錠ユニット410は、縦長に形成された鉤基体414と、鉤基体414に摺動可能に設けられ内枠13、前面枠14および下皿ユニット15のそれぞれに係合する鉤部材411〜413とを備えている。鉤基体414は、複数の取付孔が穿設された取付板415と、取付板415に直交して鉤部材411〜413等を支持する支持板416とにより断面略L字状に形成される。施錠ユニット410は、内枠13の裏面側であって開閉軸から離間した側の端部(背面視左端部)に鉤基体414の取付板415をネジで締め付けて内枠13に固定される。
鉤基体414の取付板415には、その上部と下部に縦長略矩形状の挿入口415aが設けられている。挿入口415aには、前面枠14の閉鎖時に前面枠鉤部14aの先端部分が進入するようになっている。
鉤基体414の支持板416の内側には、支持板416に沿って縦長に形成された板状の摺動杆417が上下方向に摺動可能に配設されている。また、鉤基体414の上下2カ所には、図示しないコイルバネにより下方に常に引っ張られた状態で支持板416に摺動可能に支持される鉤部材(内枠用鉤部材)411が配設されている。内枠用鉤部材411は、その先端部分が下方に突出した鉤形に形成され、外枠12の受け金具23に引っ掛かって内枠13を施錠する。この内枠用鉤部材411は、摺動杆417が中立位置より上方へ移動したときにのみ、摺動杆417に係合して上方に摺動する。摺動杆417は、内枠用鉤部材411を付勢するコイルバネの引っ張り力とほぼ同一の大きさの反力で下方へ付勢される。
この上下2つの内枠用鉤部材411は、独立して上方へ移動可能となっており、針金などで内枠用鉤部材411を移動して解錠させようとする場合には両方の内枠用鉤部材411を上方に移動させなければならない。一方のみを上方へ移動させても他方の内枠用鉤部材411が外枠12の受け金具23に引っ掛かったままとなる。このため、不正な解錠操作が困難となって防犯性が高められる。また、内枠用鉤部材411は、摺動杆417の上方への摺動に伴って上方へ移動する。摺動杆417は、シリンダ錠420に対しての専用鍵による右回りの操作に連動して上方へ摺動するものであり、専用鍵の操作によって内枠13の施錠状態を解除することができる。
また、鉤基体414の上下2カ所には、図示しないコイルバネにより上方に常に引っ張られた状態で取付板415および支持板416に摺動可能に支持される鉤部材(前面枠用鉤部材)412が配設されている。前面枠用鉤部材412は、金属板を断面コ字状に折り曲げて形成され、取付板415側の面には縦長矩形状の係止口412aが形成されている。また、前面枠用鉤部材412は、係止口412aが取付板415に形成された挿入口415aに重なりつつ、中立状態にて係止口412aの下端が挿入口415aより上側に位置するように配置されている。
前面枠14の閉鎖時には、前面枠鉤部14aが挿入口415aに進入し、係止口412a内にも進入する。係止口412aの下端は、前面枠鉤部14a先端の突出部分に当接する位置に配置され、前面枠用鉤部材412は、前面枠鉤部14aに押し下げられて下方へ摺動する。前面枠鉤部14a先端の突出部分が係止口412a内に完全に入り込むと、コイルバネの引っ張り力で前面枠用鉤部材412は上昇して元の位置に戻り、前面枠鉤部14aに引っ掛かって前面枠14を開放不能に係止する。また、前面枠用鉤部材412は、摺動杆417の下方への摺動に伴って下方へ移動する。摺動杆417は、シリンダ錠420に対しての専用鍵による左回りの操作に連動して下方へ摺動するものであり、内枠13と同様、専用鍵の操作によって前面枠13の施錠状態が解除される。
シリンダ錠420と摺動杆417との連動機構について説明すると、図38に示すように、シリンダ錠420の錠軸には、その回動動作によって摺動杆417の切欠内に進入する2つの突起を有するカム板420aが取り付けられている。専用鍵がシリンダ錠420の鍵穴421に差し込まれた状態で右回り(図36の時計回り方向)に回動すると、カム板420aの下側の突起が摺動杆417の切欠内に進入して上方に摺動杆417を押し上げる。一方、専用鍵がシリンダ錠420の鍵穴に差し込まれた状態で左回り(図36の反時計回り方向)に回動すると、カム板420aの上側の突起が摺動杆417の切欠内に進入して下方に摺動杆417を押し下げる。このように、専用鍵の回動操作によって単一の摺動杆417を上下に自在に摺動させることにより、摺動杆417に連動する内枠用鉤部材411および前面枠用鉤部材412を作動させて各鉤部材411,412毎に施錠される内枠13および前面枠14に対する施錠状態を解除することができる。よって、複数の摺動杆をシリンダ錠の錠軸にそれぞれ連動するように構成する場合に比べて部品構成が単純になり、製造コストを低減することができる。
鉤基体414の下部には、図示しないコイルバネにより上方に常に引っ張られた状態で支持板416に摺動可能に支持される鉤部材(下皿用鉤部材)413が配設されている。下皿用鉤部材413は、下皿ユニット15に設けられる下皿係合部15a(図19参照)に係合して下皿ユニット15を施錠するためのものであり、上下方向に沿った中央部および下部より前面側に突出し、更に先端部が上方に突出して形成された上下2つの鉤部413aが下皿係合部15aに引っ掛かって下皿ユニット15の開放を規制する。
下皿用鉤部材413の上端部には、前面側に突出するように折り曲げて形成された操作部413bが設けられており、指先等で下皿用鉤部材413を下方に押下できるようになっている。この下皿ユニット15の操作部413bは、常には前面枠14に覆われる位置に配置され、前面枠14を開放した場合にのみ露出して操作可能となる。
閉鎖状態の下皿ユニット13を開放する場合、まず、前面枠14を開放して下皿ユニット15の操作部413bを操作可能にする。その後、操作部413bをコイルバネの付勢力に抗して押下し、下皿用鉤部材413を下側へ移動すると、下皿ユニット15側に設けられる下皿係合部15aと下皿用鉤部材413の鉤部413aとの係合状態が解除され、下皿ユニット15を手前に引くだけで開放可能な解錠状態とすることができる。
次に、図39を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図39は、パチンコ機10の電気的構成を示したブロック図である。主制御装置561には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU701が搭載されている。MPU701には、該MPU701により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM702と、そのROM702内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM703と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM703は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置612からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM703には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア703aが設けられている。
バックアップエリア703aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、バックアップエリア703aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア703aへの書き込みはNMI割込処理(図50参照)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア703aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理(図43参照)において実行される。なお、MPU701のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路742からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU701へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
主制御装置561のMPU701には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン704を介して入出力ポート705が接続されている。入出力ポート705には、後述するRAM消去スイッチ回路743、払出発射制御装置611、表示制御装置505や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。
払出発射制御装置611は、払出モータ658aにより賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU711は、そのMPU711により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM712と、ワークメモリ等として使用されるRAM713とを備えている。
払出発射制御装置611のRAM713は、主制御装置561のRAM703と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置612からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっている。RAM713には、バックアップエリア713aと、球出口開放フラグ713bと、発射間隔カウンタCHKと、発射励磁カウンタCHSと、球送り励磁カウンタCOSと、発射回数カウンタCHNと、球送り間隔カウンタCTKと、通路閉鎖カウンタCSSとが設けられ、更に各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアが設けられている。
また、払出発射制御装置611は、遊技者による操作ハンドル310の操作に従って球発射ユニット90(発射ソレノイド92および電磁石104)の発射制御を行うものであり、発射ソレノイド92および電磁石104は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル310に触れていることをタッチセンサにより検出し、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、操作ハンドル310の回動量に対応して発射ソレノイド92が励磁され、操作ハンドル310の操作量に応じた強さで遊技球が発射される。更に、払出発射制御装置611は、球発射ユニット90に送出された遊技球の球抜き制御を行う。
バックアップエリア713aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時には、このバックアップエリア713aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア713aへの書き込みはNMI割込処理によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア713aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置561のMPU701と同様、MPU711のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路742から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU711へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
球出口開放フラグ713bは、上皿201と球発射ユニット90の導入口102b(図7参照)とを連通する球出口224aの開閉状態を記憶するためのフラグである。操作ハンドル310のタッチセンサがオフからオンに切り替わると、後述する球出口開閉モータ駆動処理(図57、S1306参照)によって球出口開閉モータ251が駆動されて開閉蓋252が上昇し、球出口224aが開放されると共に球出口開放フラグ713bがオンとなる。一方、タッチセンサがオンからオフに切り替わると、球出口開閉モータ251が駆動されて開閉蓋252によって球出口224aが閉鎖されると共に球出口開放フラグ713bがオフとなる。このため、球出口開放フラグ713bのオフが、開閉蓋252により球出口224aが閉鎖された状態に対応し、球出口開放フラグ713bのオンが、開閉蓋252による球出口224aの閉鎖が解除された状態に対応する。
発射間隔カウンタCHKは、遊技球の発射間隔を計時するためのカウンタである。パチンコ機10は、1分間に100個の遊技球が発射されるように構成され、遊技球の発射間隔は0.6秒に設定されている。発射間隔カウンタCHKには、タッチセンサがオフからオンに切り替わったタイミングで「150」の値がセットされ、以後、4ミリ秒(以下「ms」で表す)周期で行われる発射制御処理(図55、S1002参照)の中で4ms毎に「1」ずつ減算される。この発射間隔カウンタCHKが「0」に更新されたタイミング、即ち、タッチセンサがオフからオンに切り替わってから0.6秒経過したタイミングで発射ソレノイド92が励磁されて遊技球は発射される。遊技球の発射後には、再度タッチセンサの状態が確認され、オンであれば再度「150」の値が発射間隔カウンタCHKにセットされて「0」に更新されたタイミングで繰り返して遊技球が発射される。これにより、0.6秒間隔で定期的に遊技球の発射を行うことができる。また、タッチセンサがオフからオンに切り替わった後、0.6秒が経過してから発射ソレノイド92が励磁されるので、コンデンサに電荷を蓄積する時間を確保することができる。このコンデンサは、遊技球を発射するための電流を短期間に十分に流すために発射ソレノイド92に接続したものであり、電荷の蓄積時間を確実に確保することによって発射ソレノイド92の作動の安定化が図られている。
発射励磁カウンタCHS、球送り励磁カウンタCOSおよび通路閉鎖カウンタCSSは、発射ソレノイド92、電磁石104および通路開閉ソレノイド262を励磁する時間を計時するためのカウンタである。発射励磁カウンタCHSは発射ソレノイド92に、球送り励磁カウンタCOSは球発射ユニット90(球送り機構94)の電磁石104に、通路閉鎖カウンタCSSは通路開閉ソレノイド262にそれぞれ対応する。各カウンタの値が「0」より大きい場合、そのカウンタに対応するソレノイド92,262または電磁石104が励磁されると共に、カウンタの値が「1」ずつ減算され、カウンタの値が「0」になると各ソレノイド92,262または電磁石104が非励磁となる。各カウンタには、各動作に必要な励磁時間に対応した値が、後述する発射制御処理(図55、S1002)の中で書き込まれて、ソレノイド92,262および電磁石104が適切に作動するようになっている。
発射回数カウンタCHNおよび球送り間隔カウンタCTKは、球発射ユニット90(球送り機構94)の内部に滞留する遊技球を残すことなく球抜きを行うために設けられたカウンタである。発射回数カウンタCHNは、電磁石104を励磁して球送り機構94の内部に滞留した遊技球を発射レール93上に送出する球送り動作と、発射ソレノイド92を励磁して発射レール93上の遊技球の発射動作とを行う回数(残数)を計数するものであり、基本的には「0」となっている。本実施形態においては、タッチセンサがオンからオフに切り替わると「4」の値が書き込まれる。その後、電磁石104が励磁されて球送り動作が行われると共に発射ソレノイド92が励磁されて遊技球の発射動作が行われる毎に、発射回数カウンタCNSの値は1ずつ減算される。発射回数カウンタCNSが「1」より大きいときには球送り動作と発射動作とが継続して行われ、発射回数カウンタCNSが「1」のときには発射動作のみが継続して行われる。3回の球送り動作と4回の発射動作とが行われると発射回数カウンタCNSは「0」となって球送り動作と発射動作とが停止する。ここで、本実施形態のパチンコ機10の球送り機構94には、最大2個の球が球発射ユニット90の球送り機構94の部位に滞留するものであり、タッチセンサのオフ後に3回の球送り動作と4回の発射動作とが行われると、球送り機構94内の遊技球が残らず発射レール93上に送出されて発射ソレノイド92により発射される。なお、タッチセンサがオフの場合には、遊技者による操作ハンドル310の回動操作が行われていないため、遊技球の発射力は最小となる。本実施形態のパチンコ機10は、操作ハンドル310の回動操作が行われていないときには、内蔵するコイルバネにより操作ハンドル310が左回りに付勢されて初期位置に戻され、この位置においては遊技球が遊技領域に届かないでファール球となって下皿301へ排出される設定となっている。
球送り間隔カウンタCTKは、タッチセンサがオンからオフに切り替わったときに行われる3回の球送り動作及び4回の発射動作の時間間隔を計時するためのカウンタである。球送り間隔カウンタCTKには、当該球送り動作が必要となったときに「200」の値が書き込まれ、その後、4ms毎に「1」ずつ繰り返し減算される。球送り間隔カウンタCTKが「0」となると発射励磁カウンタCHSに値が書き込まれて発射ソレノイド92による遊技球の発射動作が行われ、発射レール93上の遊技球が発射される。また、球送り間隔カウンタCTKが「0」となるときには、球送り励磁カウンタCOSに値が書き込まれて電磁石104による球送り動作が行われ、発射レール93上に遊技球が送出される。この球送り間隔カウンタCTKには、その後に発射動作が行われるときであって、1回目および2回目の球送り動作が行われたときには、再び「200」の値が書き込まれる。球送り間隔カウンタCTKが「200」から「0」に更新されるまでには0.8msに100を乗じた0.8秒を要するため、0.8秒間隔で球送り動作と発射動作とが行われる。
払出発射制御装置611のMPU711には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン714を介して入出力ポート715が接続されている。入出力ポート715には、RAM消去スイッチ回路743、主制御装置561、通路開閉ソレノイド262、払出モータ658a、発射ソレノイド92、球送り用の電磁石104、球出口開閉モータ251、操作ハンドル310のタッチセンサ(図示せず)等がそれぞれ接続されている。
表示制御装置505は、第2図柄表示装置(LED)82における第2図柄(普通図柄)の変動表示と、第1図柄表示装置(LCD)81における第1図柄(特別図柄)の変動表示とを制御するものである。表示制御装置505は、MPU721と、ROM(プログラムROM)722と、ワークRAM723と、ビデオRAM724と、キャラクタROM725と、画像コントローラ726と、入力ポート727と、2つの出力ポート728,729と、バスライン730,731とを備えている。入力ポート727の入力側には主制御装置561の出力側が接続され、入力ポート727の出力側には、MPU721、ROM722、ワークRAM723、画像コントローラ726が接続されると共にバスライン729を介して出力ポート728が接続されている。出力ポート728の出力側には第2図柄表示装置82や、音声ランプ制御装置562が接続されている。また、画像コントローラ726にはバスライン731を介して出力ポート729が接続されており、その出力ポート729の出力側には第1図柄表示装置81が接続されている。
表示制御装置505のMPU721は、主制御装置561から送信される図柄表示用のコマンドに基づいて第1図柄表示装置81および第2図柄表示装置82の表示内容を制御する。ROM722は、MPU721により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRAM723は、MPU721による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
ビデオRAM724は、第1図柄表示装置81に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM724の内容を書き替えることにより、第1図柄表示装置81の表示内容が変更される。キャラクタROM725は、第1図柄表示装置81に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ726は、MPU721、ビデオRAM724、出力ポート729のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM724に記憶される表示データを、キャラクタROM725から所定のタイミングで読み出して第1図柄表示装置81に表示させるものである。
電源装置612は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部741と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路742と、RAM消去スイッチ623を有するRAM消去スイッチ回路743とを備えている。電源部741は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置561や払出発射制御装置611等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部741は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチや、ソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を主制御装置561や払出発射制御装置611等に対して供給する。
停電監視回路742は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置561のMPU701及び払出発射制御装置611のMPU711の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路742は、電源部741から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置561及び払出発射制御装置611へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置561及び払出発射制御装置611は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部741は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置561及び払出発射制御装置611は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路743は、RAM消去スイッチ623が押下された場合に、主制御装置561及び払出発射制御装置611へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。主制御装置561及び払出発射制御装置611は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップエリア703a,713aのデータをクリアする。
ここで、図40および図41を参照して、第1図柄表示装置81に表示される第1図柄と、第1図柄表示装置81の表示画面とについて説明する。図40は、第1図柄を個々に示す図面である。図41は、第1図柄表示装置81の表示画面を説明するための図面であり、図41(a)は、表示画面の領域区分設定と有効ライン設定とを模式的に示した図であり、図41(b)は、実際の表示画面を例示した図である。
第1図柄は、「0」から「9」の数字を付した10種類の主図柄と、この主図柄より小さく形成された花びら形状の1種類の副図柄とにより構成されている。各主図柄は、図40(a)から図40(i)に示すように、木箱よりなる後方図柄の上に「0」から「9」の数字を付して構成され、そのうち奇数番号(1,3,5,7,9)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯に大きな数字が付加されている。これに対し、偶数番号(0,2,4,6,8)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯にお守り、風呂敷、ヘルメット等のキャラクタを模した付属図柄が付加されており、付属図柄の右下側に偶数の数字が緑色で小さく、且つ、付属図柄の前側に表示されるように付加されている。
また、詳細は後述するが、本実施形態のパチンコ機10においては、同一の主図柄が揃った場合に大当たりが発生するように構成されている。この場合、奇数番号が付加された主図柄は「高確率図柄」に相当し、当該高確率図柄が揃って大当たりとなると、特別遊技状態に遷移して特定入賞口65aが所定時間にわたって所定回数開放し、さらにその後、高確率状態に移行する。一方、偶数番号が付加された主図柄は「低確率図柄」に相当し、当該低確率図柄が揃って大当たりとなると、特別遊技状態に遷移するが、かかる場合には高確率状態には移行しない。ここで、高確率状態とは、第1図柄の組合せが予め定めた確率変動図柄の組合せとなって大当たりになり、付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動(確変)の時をいう。また、通常状態(低確率状態)とは、確変でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。
次に、第1図柄表示装置81の表示画面について説明する。図41(a)に示すように、第1図柄表示装置81の表示画面は、大きくは上下に2分割され、下側の2/3が第1図柄を変動表示する主表示領域Dm、それ以外の上側の1/3が予告演出やキャラクタを表示する副表示領域Dsとなっている。
主表示領域Dmには、左・中・右の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が表示される。各図柄列Z1〜Z3には、前述した第1図柄が規定の順序で表示される。即ち、各図柄列Z1〜Z3には、数字の昇順または降順に主図柄が配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配列されている。このため、各図柄列には、10個の主図柄と10個の副図柄の計20個の第1図柄が設定され、各図柄列Z1〜Z3毎に周期性をもって上から下へとスクロールして変動表示が行われる。特に、左図柄列Z1においては主図柄の数字が降順に現れるように配列され、中図柄列Z2及び右図柄列Z3においては主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。
また、主表示領域Dmには、各図柄列Z1〜Z3毎に上・中・下の3段に第1図柄が表示される。従って、第1図柄表示装置81には、3段×3列の計9個の第1図柄が表示される。この主表示領域Dmには、5つの有効ライン、即ち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5が設定されている。そして、毎回の遊技に際して、左図柄列Z1→右図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、その停止時にいずれかの有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示される。
副表示領域Dsは、主表示領域Dmよりも上方に横長に設けられており、さらに左右方向に3つの予告領域Ds1〜Ds3に等区分されている。ここで、左右の予告領域Ds1,Ds3は、ソレノイドで電気的に開閉される両開き式の不透明な扉で通常覆われており、時としてソレノイドが励磁されて扉が手前側に開放されることにより遊技者に視認可能となる表示領域となっている。中央の予告領域Ds2は、扉で覆い隠されずに常に視認できる表示領域となっている。
実際の表示画面では、図41(b)に示すように、主表示領域Dmに第1図柄の主図柄と副図柄とが合計9個表示される。副表示領域Dsにおいては、左右の扉が閉鎖された状態となっており、左右の予告領域Ds1,Ds3が覆い隠されて表示画面が視認できない状態となっている。変動表示の途中において、左右のいずれか一方、または両方の扉が開放されると、左右の予告領域Ds1,Ds3に動画が表示され、通常より大当たりへ遷移し易い状態であることが遊技者に示唆される。中央の予告領域Ds2では、通常は、所定のキャラクタ(本実施形態ではハチマキを付けた少年)が所定動作をし、時として所定動作とは別の特別な動作をしたり、別のキャラクタが現出する等して予告演出が行われる。なお、第1図柄表示装置81の表示画面は、原則として上下の表示領域Dm,Dsに区分されているが、各表示領域Dm,Dsを跨いでより大きく第1図柄やキャラクタ等を表示して表示演出を行うことができる。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本実施の形態では、主制御装置561内のMPU701は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や第1図柄表示装置81の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図42に示すように、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、第1図柄表示装置81の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、第1図柄表示装置81が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、第1図柄表示装置81の変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1,CS2と、左列、中列及び右列の各外れ図柄の設定に使用する左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを用いることとしている。また、第2図柄表示装置82の抽選には第2図柄乱数カウンタC4が用いられる。
このうち、カウンタC1〜C3,CINI,CS1,CS2は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、MPU701内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM703の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM703には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、第1入球口64への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜676)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第1入球口64に入賞したタイミングでRAM703の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「337,673」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は10で、その値は「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」である。
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、第1図柄表示装置81の変動停止時の図柄を決定するものであり、本実施の形態では、第1図柄表示装置81において有効ラインが5ラインであり、特定図柄(主図柄)が10通り設定されているので、50個(0〜49)のカウンタ値が用意されている。即ち、大当たり図柄カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第1入球口64に入賞したタイミングでRAM703の保留球格納エリアに格納される。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。例えば、リーチ乱数カウンタC3=0,1は前後外れリーチに該当し、リーチ乱数カウンタC3=2〜21は前後外れ以外リーチに該当し、リーチ乱数カウンタC3=22〜238は完全外れに該当する。なお、リーチの抽選は、第1図柄表示装置81の抽選確率の状態や変動開始時の作動保留球数等に応じて各々個別に設定されるものであっても良い。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第1入球口64に入賞したタイミングでRAM703の保留球格納エリアに格納される。
2つの変動種別カウンタCS1,CS2のうち、一方の変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、他方の変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS1を「第1変動種別カウンタ」、CS2を「第2変動種別カウンタ」ともいう。
第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、第1図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様が決定され、第2変動種別カウンタCS2によって、リーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。また、第1変動種別カウンタCS1だけで図柄変動態様を決定したり、第1変動種別カウンタCS1と停止図柄との組み合わせで同じく図柄変動態様を決定したりすることも可能である。変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、第1図柄表示装置81による第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCS1,CS2のバッファ値が取得される。
左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、大当たり抽選が外れとなった時に左図柄列Z1、中図柄列Z2、右図柄列Z3の外れ停止図柄を決定するためのものであり、各列の各段には主図柄及び副図柄の合わせて20の第1図柄の何れかが表示されることから、各々に20個(0〜19)のカウンタ値が用意されている。外れ図柄カウンタCLにより左図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCMにより中図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCRにより右図柄列の上・中・下段の各図柄が決定される。
本実施の形態では、MPU701に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する。即ち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算結果が最大値を超えた場合に20減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして通常処理内で更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、RAM703の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。そして、第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかのバッファ値が取得される。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、リーチ乱数カウンタC3、変動種別カウンタCS1,CS2の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
第2図柄乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。第2図柄乱数カウンタC4は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が左右何れかの第2入球口(スルーゲート)67を通過したことが検知された時に取得される。当選することとなる乱数の値の数は149あり、その範囲は「5〜153」となっている。
次に、図43から図50のフローチャートを参照して、主制御装置561内のMPU701により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU701の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2ms周期で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図48は、タイマ割込処理を示したフローチャートである。タイマ割込処理は、主制御装置561のMPU701により例えば2ms毎に実行される。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S601)。即ち、主制御装置561に接続されている各種スイッチ(但し、RAM消去スイッチ623を除く)の状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。次に、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する(S602)。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM703の該当するバッファ領域に格納する。
更に、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する(S603)。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、676,49,238)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM703の該当するバッファ領域に格納する。その後は、第1入球口64への入賞に伴う始動入賞処理を実行する(S604)。
図49のフローチャートを参照して、この始動入賞処理を説明する。まず、遊技球が第1入球口64に入賞(始動入賞)したか否かを作動口スイッチ524の検出情報により判別する(S701)。遊技球が第1入球口64に入賞したと判別されると(S701:Yes)、第1図柄表示装置81の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する(S702)。第1入球口64への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であれば(S702:Yes)、作動保留球数Nを1加算し(S703)、更に、前記ステップS603で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM703の保留球格納エリアの空き保留エリアのうち最初のエリアに格納する(S704)。一方、第1入球口64への入賞がないか(S701:No)、或いは、第1入球口64への入賞があっても作動保留球数N<4でなければ(S702:No)、S703及びS704の各処理をスキップして、始動入賞処理を終了する。始動入賞処理の終了後は、MPU701は本タイマ割込処理を一旦終了する。
なお、遊技球が第1入球口64に入賞(始動入賞)した場合、それに伴い第1図柄表示装置81による第1図柄の変動表示が開始されることとなるが、始動入賞後、第1図柄が変動し図柄停止に至るまでには所定時間(例えば5秒)が経過していなければならないという制約がある。そこで、上記始動入賞処理では、始動入賞が確認された場合、各カウンタ値の格納処理(S704)の後に、始動入賞後の経過時間を計るためのタイマをセットする。具体的には、上記始動入賞処理は2ms周期で実行されるため、例えば5秒の経過時間を計測するにはタイマに数値「2500」をセットし、始動入賞処理の都度、タイマ値を1ずつ減算する。このタイマ値は、その時々の各カウンタC1〜C3の値と共に、RAM703の保留球格納エリアに格納され管理される。そして、後述する第1図柄の変動パターン設定に際しては、上記タイマ値が参照され、残り時間に応じて(所定時間経過後に図柄変動が停止されるよう)変動パターンが設定される。
図50は、NMI割込処理を示したフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置561のMPU701により実行される。このNMI割込処理により、電源遮断時の主制御装置561の状態がRAM703のバックアップエリア703aに記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路742から主制御装置561内のMPU701のNMI端子に出力され、MPU701は実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始する。図50のNMI割込処理のプログラムは、主制御装置561のROM702に記憶されている。停電信号SG1が出力された後所定時間は、主制御装置561の処理が実行可能となるように電源部741から電源供給がなされており、この所定時間内にNMI割込処理が実行される。
NMI割込処理では、まず、使用レジスタをRAM703のバックアップエリア703aに退避し(S801)、スタックポインタの値を同バックアップエリア703aに記憶する(S802)。更に、電源遮断の発生情報をバックアップエリア703aに設定し(S803)、電源が遮断されたことを示す電源遮断通知コマンドを他の制御装置に対して送信する(S804)。RAM判定値を算出し、バックアップエリア703aに保存する(S805)。RAM判定値は、例えば、RAM703の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。その後は、RAM703のアクセスを禁止して(S806)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置611でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、停電の発生等による電源遮断時の払出発射制御装置611の状態がRAM713のバックアップエリア713aに記憶される。停電信号SG1が出力された後所定時間は、払出発射制御装置611の処理が実行可能となるように電源部741から電源供給がなされるのも同様である。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路742から払出発射制御装置611内のMPU711のNMI端子に出力され、MPU711は実行中の制御を中断して図50のNMI割込処理を開始する。その内容はステップS804の電源遮断通知コマンドの送信を行なわない点を除き上記説明と同様である。
図43は、主制御装置561内のMPU701により実行されるメイン処理を示したフローチャートである。このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。メイン処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S101)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置562、払出発射制御装置611等)が動作可能な状態になるのを待つために、ウェイト処理(例えば1秒程度)を実行する。次いで、払出発射制御装置611に対して払出許可コマンドを送信した後(S102)、RAM703のアクセスを許可する(S103)。
その後は、電源装置612に設けたRAM消去スイッチ623がオンされているか否かを判別し(S104)、オンされていれば(S104:Yes)、バックアップデータをクリア(消去)するべく、処理をS114へ移行する。一方、RAM消去スイッチ623がオンされていなければ(S104:No)、更にRAM703のバックアップエリア703aに電源遮断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S105)、記憶されていなければ(S105:No)、バックアップデータは記憶されていないので、この場合にも、処理をS114へ移行する。バックアップエリア703aに電源遮断の発生情報が記憶されていれば(S105:Yes)、RAM判定値を算出し(S106)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S107:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS114へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM703の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM703の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ623を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ623が押されていれば、RAMの初期化処理(S114〜S116)に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM703の初期化処理(S114〜S116)に移行する。即ち、S114からのRAMの初期化処理では、RAM703の使用領域を0にクリアし(S114)、RAM703の初期値を設定する(S115)。その後、割込みを許可して(S116)、後述する通常処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ623がオンされておらず(S104:No)、電源遮断の発生情報が記憶されており(S105:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S107:Yes)、処理をS108へ移行して復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。即ち、復電時の処理では、電源遮断時のスタックポインタを復帰させ(S108)、電源遮断の発生情報をクリアする(S109)。次に、サブ側の制御装置を電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時のコマンドを送信し(S110)、使用レジスタをRAM703のバックアップエリア703aから復帰させる(S111)。更に、電源断前に割込みが許可状態にあったか否かを確認し(S112)、割込みが許可状態であれば(S112:Yes)、割込みを許可し(S113)、一方、電源断時に割込みが禁止状態にあれば(S112:No)、割込みを禁止したまま、処理を電源遮断前の番地へ戻す。
次に、図44のフローチャートを参照して通常処理を説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4ms周期の定期処理としてS201〜S207の各処理が実行され、その残余時間でS209,S210のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理においては、まず、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する(S201)。具体的には、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出発射制御装置611に対して獲得遊技球数に対応する賞球払出コマンドを送信する。また、第1図柄表示装置81による第1図柄の変動表示に際して停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等を表示制御装置505に送信する。なお、第1図柄の変動開始後において、変動パターンコマンド→左図柄列Z1の停止図柄コマンド→中図柄列Z2の停止図柄コマンド→右図柄列Z3の停止図柄コマンドの順で通常処理の都度1つずつ(即ち、4ms毎に1つずつ)コマンドが送信され、変動時間終了のタイミングで確定コマンドが送信されるようになっている。
次に、変動種別カウンタCS1,CS2の各値を更新する(S202)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM703の該当するバッファ領域に格納する。更に、外れ図柄カウンタ更新処理により、左図柄列Z1、中図柄列Z2及び右図柄列Z3の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新を実行する(S203)。
ここで、図45を参照して、外れ図柄カウンタ更新処理を説明する。まず、左図柄列Z1の外れ図柄カウンタCLの更新時期か否かを判別し(S301)、更新時期であれば(S301:Yes)、左図柄列Z1の外れ図柄カウンタCLを更新する(S303)。次に、左図柄列Z1の更新時期でなければ(S301:No)、中図柄列Z2の外れ図柄カウンタCMの更新時期か否かを判別し(S302)、更新時期であれば(S302:Yes)、中図柄列Z2の外れ図柄カウンタCMを更新する(S304)。更に中図柄列Z2の更新時期でなければ(S302:No)、右図柄列Z3の更新時期なので、右図柄列Z3の外れ図柄カウンタCRを更新する(S305)。
上記S303〜S305の各処理における外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新では、前回のカウンタ値にRレジスタの下位3ビットの値を加算すると共にその加算結果が最大値を超えた場合に20を減算し、その演算結果を外れ図柄カウンタCL,CM,CRの今回値とする。上記CL,CM,CRの更新処理によれば、左図柄列Z1、中図柄列Z2及び右図柄列Z3の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRが1回の通常処理で1つずつ順に更新されるので、各カウンタ値の更新時期が重なることはない。これにより、通常処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCL,CM,CRの1セット分が更新される。
その後、上記更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが大当たり図柄の組み合わせになっているか否かを判別し(S306)、大当たり図柄の組み合わせであれば(S306:Yes)、そのまま本処理を終了する。大当たり図柄の組み合わせでなければ(S306:No)、リーチ図柄の組み合わせになっているか否かを判別し(S307)、リーチ図柄の組み合わせであれば(S307:Yes)、更にそれが前後外れリーチであるか否かを判別する(S308)。前後外れリーチの組み合わせであれば(S308:Yes)、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM703の前後外れリーチ図柄バッファに格納する(S309)。外れ図柄カウンタCL,CM,CRが前後外れ以外リーチの組み合わせであれば(S308:No)、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM703の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納する(S310)。外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが大当たり図柄の組み合わせでなく(S306:No)、且つリーチ図柄の組み合わせでもなければ(S307:No)、外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせはリーチ図柄以外の外れ図柄の組み合わせになっているので、かかる場合には、その外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせをRAM703の完全外れ図柄バッファに格納する(S311)。
外れ図柄カウンタCL,CM,CR更新処理(S203)の終了後は、図44の通常処理へ戻って、払出発射制御装置611より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S204)、第1図柄表示装置81による第1図柄の変動表示を行うための第1図柄変動処理を実行する(S205)。この第1図柄変動処理により、大当たり判定や第1図柄の変動パターンの設定などが行われる。なお、第1図柄変動処理の詳細は図46を参照して後述する。
第1図柄変動処理の終了後は、大当たり状態である場合において可変入賞装置32の特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための大開放口開閉処理を実行する(S206)。即ち、大当たり状態のラウンド毎に特定入賞口65aを開放し、特定入賞口65aの最大開放時間が経過したか、又は特定入賞口65aに遊技球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると特定入賞口65aを閉鎖する。このとき、遊技球が特定領域を通過したことを条件に特定入賞口65aの連続開放を許容し、これを所定ラウンド数繰り返し実行する。
次に、第2図柄表示装置82による第2図柄(例えば「○」又は「×」の図柄)の表示制御を実行する(S207)。簡単に説明すると、遊技球が第2入球口(スルーゲート)67を通過したことを条件に、その通過したタイミングで第2図柄乱数カウンタC4の値が取得されると共に第2図柄表示装置82の表示部83にて第2図柄の変動表示が実施される。そして、第2図柄乱数カウンタC4の値により第2図柄の抽選が実施され、第2図柄の当たり状態になると、第1入球口64に付随する電動役物が所定時間開放される。なお、図示は省略したが、第2図柄乱数カウンタC4も、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3と同様に、図48に示すタイマ割込処理により更新される。
その後は、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4ms)が経過したか否かを判別し(S208)、既に所定時間が経過していれば(S208:Yes)、処理をS201へ移行し、前述したS201以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、前回の通常処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S208:No)、所定時間に至るまでの、即ち次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する(S209,S210)。まず、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する(S209)。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM703の該当するバッファ領域に格納する。次に、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する(S210)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM703の該当するバッファ領域に格納する。
ここで、S201〜S207の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(即ち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1,CS2についてもランダムに更新することができる。
次に、図46及び図47のフローチャートを参照して、第1図柄変動処理(S205)を説明する。第1図柄変動処理では、まず、今現在大当たり中であるか否かを判別する(S401)。大当たり中としては、大当たりの際に第1図柄表示装置81で表示される大当たり遊技の最中と大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判別の結果、大当たり中であれば(S401:Yes)、そのまま本処理を終了する。
大当たり中でなければ(S401:No)、第1図柄表示装置81による第1図柄の変動表示中であるか否かを判別し(S402)、第1図柄の変動表示中でなければ(S402:No)、第1図柄表示装置81の作動保留球数Nが0よりも大きいか否かを判別する(S403)。作動保留球数Nが0であれば(S403:No)、そのまま本処理を終了する。作動保留球数N>0であれば(S403:Yes)、作動保留球数Nを1減算し(S404)、保留球格納エリアに格納されたデータをシフト処理する(S405)。このデータシフト処理は、保留球格納エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。データシフト処理の後は、第1図柄の変動開始処理を実行する(S406)。なお、変動開始処理については図47を参照して後述する。
S402の処理において、第1図柄の変動表示中である場合には(S402:Yes)、変動時間が経過したか否かを判別する(S407)。第1図柄の変動時間はその第1図柄の変動パターンに応じて決められており、この変動時間が経過するまで、S408の処理の実行をスキップする(S407:No)。一方、第1図柄の変動時間が経過すれば(S407:Yes)、停止図柄の確定のために設定されている確定コマンドを設定して(S408)、本処理を終了する。
次に、図47のフローチャートを参照して、変動開始処理を説明する。変動開始処理(S406)では、まず、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する(S501)。大当たりか否かは大当たり乱数カウンタ値とその時々のモードとの関係に基づいて判別される。前述した通り通常の低確率時には大当たり乱数カウンタC1の数値0〜676のうち「337,673」が当たり値であり、高確率時には「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」が当たり値である。
大当たりであると判別された場合(S501:Yes)、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり図柄カウンタC2の値に対応する図柄、即ち大当たり図柄を大当たり図柄カウンタC2の値と図柄との対応関係を表す図示しないテーブルに基づいて求め、その図柄を停止図柄コマンドに設定する(S502)。このとき、大当たり図柄カウンタC2の数値0〜49は、全5つの有効ライン上における50通りの大当たり図柄の何れかに対応しており、停止図柄コマンドには50通りの大当たり図柄の何れかが設定される。これらの大当たり図柄のうち、予め定められた特定図柄(本実施形態では、奇数番号の主図柄)で揃った場合には以後確変状態に移行するが、特定図柄でない図柄(本実施形態では、偶数番号の主図柄)で揃った場合には確変状態に移行しない。
次に、大当たり図柄で停止するまでの第1図柄の変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S503)。このとき、RAM703のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄Z2)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)等、より細かな図柄変動態様を決定する。なお、第1変動種別カウンタCS1の数値とリーチパターンとの関係、第2変動種別カウンタCS2の数値と停止図柄時間との関係は、それぞれにテーブル等により予め規定されている。但し、上記変動パターンは、第2変動種別カウンタCS2の値を使わずに第1変動種別カウンタCS1の値だけを用いて設定することも可能であり、第1変動種別カウンタCS1の値だけでパターン設定するか又は両変動種別カウンタCS1,CS2の両値でパターン設定するかは、その都度の第1変動種別カウンタCS1の値や遊技条件などに応じて適宜決められる。これは、後述する前後外れリーチ表示、前後外れ以外リーチ表示、完全外れ表示を行なう場合における変動パターンの設定でも同様である。
S501の処理で大当たりではないと判別された場合には(S501:No)、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているリーチ乱数カウンタC3の値に基づいてリーチ発生か否かを判別し(S504)、リーチ発生の場合には(S504:Yes)、同じくリーチ乱数カウンタC3の値に基づいて前後外れリーチであるか否かを判別する(S505)。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3の値は0〜238の何れかであり、そのうち「0,1」が前後外れリーチに該当し、「2〜21」が前後外れ以外リーチに該当し、「22〜238」がリーチなし(完全外れ)に該当する。
前後外れリーチ発生の場合(S505:Yes)、RAM703の前後外れリーチ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する(S506)。また、前後外れリーチ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S507)。このとき、S503の処理と同様に、RAM703のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様を決定する。
前後外れ以外リーチ発生の場合(S505:No)、RAM703の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する(S508)。また、前後外れ以外リーチ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S509)。このとき、RAM703のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値に基づいて変動パターンが決定されるのはS503の処理と同様である。
大当たりでなくリーチでもない場合には(S501:No,S504:No)、RAM703の完全外れ図柄バッファに格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する(S510)。また、完全外れ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S511)。このとき、RAM703のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値に基づいて変動パターンが決定されるのはS503の処理と同様である。上記の通り大当たり時、リーチ発生時、リーチ非発生時のいずれかで停止図柄コマンド及び変動パターンコマンドの設定が完了すると、本処理を終了する。
次に、図51を参照して、払出発射制御装置611内のMPU711により実行される払出および発射の制御について説明する。図51は、払出発射制御装置611のメイン処理を示したフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。
まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S901)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。次に、主制御装置561から送信される払出許可コマンドの受信を待機する(S902:No)。そして、払出許可コマンドを受信すると(S902:Yes)、RAMアクセスを許可すると共に(S903)、外部割込ベクタの設定を行う(S904)。
その後は、MPU711内のRAM713に関してデータバックアップの処理を実行する。具体的には、電源装置612に設けたRAM消去スイッチ623が押されているか否かを判別し(S905)、オンされていれば(S905:Yes)、バックアップデータをクリア(消去)するべく、処理をS915へ移行する。一方、RAM消去スイッチ623がオンされていなければ(S905:No)、更にRAM713のバックアップエリア713aに電源遮断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S906)、記憶されていなければ(S906:No)、バックアップデータは記憶されていないので、この場合にも、処理をS915へ移行する。バックアップエリア713aに電源遮断の発生情報が記憶されていれば(S906:Yes)、RAM判定値を算出し(S907)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S908:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS915へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM713の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM713の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S915からのRAMの初期化処理では、RAM713の使用領域を0にクリアし(S915)、RAM713の初期値を設定する(S916)。このS916の処理により、各カウンタCHK,CHN,CTKの値は「0」とされる。その後、MPU711周辺デバイスの初期設定を行うと共に(S917)、割込みを許可して(S918)、後述する払出発射制御処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ623が押されておらず(S905:No)、電源遮断の発生情報が設定されており(S906:Yes)、且つRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S908:Yes)、復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。即ち、電源遮断時のスタックポインタを復帰させ(S909)、電源遮断の発生情報をクリアする(S910)。また、MPU711周辺デバイスの初期設定を行い(S911)、使用レジスタをRAM713のバックアップエリア713aから復帰させる(S912)。更に、電源断前に割込みが許可状態にあったか否かを確認し(S913)、割込みが許可状態であれば(S913:Yes)、割込みを許可し(S914)、一方、電源断時に割込みが禁止状態にあれば(S913:No)、割込みを禁止したまま、処理を電源遮断前の番地へ戻す。
次に、図52のフローチャートを参照して、払出発射制御処理を説明する。この払出発射制御処理は、払出発射制御装置611のメイン処理に続いて実行される。払出発射制御処理では、まず、主制御装置561からのコマンドを取得し、賞球の総賞球個数を記憶する(S1001)。次に、操作ハンドルのタッチセンサと回動量の状態とを検出し、必要に応じて発射ソレノイド92や電磁石104等を励磁する発射制御処理を行う(S1002)。発射制御処理(S1002)については、図55以降を参照して後述する。
次いで、状態復帰スイッチ621をチェックした結果、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する(S1003)。その後、下皿301の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する(S1004)。即ち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿301の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時に、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時に、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する(S1005)。即ち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時に、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時に、タンク球無し解除状態の設定を実行する。その後、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には払出発射制御装置611に設けた7セグメントLEDにより報知する(S1006)。
次に、S1007〜S1009の各処理により、賞球払出の処理を実行する。即ち、賞球の払出不可状態でなく且つS1001の処理で記憶した総賞球個数が0でなければ(S1007:No,S1008:No)、図53に示す賞球制御処理を開始する(S1009)。一方、賞球の払出不可状態(S1007:Yes)または総賞球個数が0であれば(S1008:Yes)、貸球払出の処理に移行する。なお、賞球制御処理は後述する。
S1010〜S1012の貸球払出の処理では、貸球の払出不可状態でなく且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(S1010:No,S1011:Yes)、図54に示す貸球制御処理を開始する。一方、貸球の払出不可状態(S1010:Yes)または貸球払出要求を受信していなければ(S1011:No)、後続の球抜き処理を実行する(S1013)。なお、貸球制御処理は後述する。
球抜き処理(S1013)では、状態復帰スイッチ621をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ658aを駆動させ球抜き処理を実行する。続いて、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ660の制御(バイブモータ制御)を実行する(S1014)。その後、次の払出発射制御処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち前回のS1001の処理開始から所定時間(本実施の形態では4ms)が経過したか否かを判別し(S1015)、所定時間が経過するまでS1015の処理を繰り返す。所定時間が経過すると(S1015:Yes)、処理をS1001へ移行し、前述したS1001以降の各処理を繰り返し実行する。
次に、図53に示す賞球制御処理を説明する。賞球制御処理では、まず、払出モータ658aを正方向回転駆動させて賞球の払出を実行する(S1101)。払出モータ658aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別し(S1102)、正常でなければ(S1102:No)、払出モータ658aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ658aの停止処理を実行し(S1103)、その後、図52の払出発射制御処理に戻る。
また、払出モータ658aの回転が正常であれば(S1102:Yes)、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する(S1104)。遊技球のカウントが正常でなければ(S1104:No)、払出モータ658aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ658aの停止処理を実行し(S1105)、その後、図52の払出発射制御処理に戻る。
更に、遊技球のカウントが正常であれば(S1104:Yes)、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判別し(S1106)、払出が完了していれば(S1106:Yes)、払出モータ658aの停止処理を実行し(S1107)、その後、図52の払出発射制御処理に戻る。一方、払出が完了していなければ(S1106:No)、そのまま、図52の払出発射制御処理に戻る。
図54に示す貸球制御処理を説明する。貸球制御処理では、まず、払出モータ658aを逆方向回転駆動させて貸球の払出を実行する(S1201)。払出モータ658aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別し(S1202)、正常でなければ(S1202:No)、払出モータ658aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ658aの停止処理を実行し(S1203)、その後、図52の払出発射制御処理に戻る。
また、払出モータ658aの回転が正常であれば(S1202:Yes)、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する(S1204)。遊技球のカウントが正常でなければ(S1204:No)、払出モータ658aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ658aの停止処理を実行し(S1205)、その後、図52の払出発射制御処理に戻る。
更に、遊技球のカウントが正常であれば(S1204:Yes)、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が所定の貸球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判別し(S1206)、払出が完了していれば(S1206:Yes)、払出モータ658aの停止処理を実行し(S1207)、その後、図52の払出発射制御処理に戻る。一方、払出が完了していなければ(S1206:No)、そのまま、図52の払出発射制御処理に戻る。
次に、図55を参照して、払出発射制御処理の中で実行される発射制御処理(S1002)について説明する。図55は発射制御処理(S1002)のフローチャートである。発射制御処理(S1002)では、操作ハンドル310の状態に基づいて、発射ソレノイド92、球送り用の電磁石104および球出口開閉モータ251の動作を制御する処理である。
まず発射間隔カウンタCHKの値が「0」より大きいか確認し(S1301)、「0」より大きくない(S1301:No)、即ち「0」であれば操作ハンドル310のタッチセンサがオンであるか否かを確認する(S1302)。タッチセンサがオンであれば(S1302)、発射間隔カウンタCHKに「150」をセットし(S1303)、0.6秒後に発射ソレノイド92を励磁して遊技球の発射が行われるようにする。
また、球送り間隔カウンタCTKと、発射回数カウンタCHNと、通路閉鎖カウンタCSSの各値を「0」にする(S1304)。パチンコ機10においては、遊技者が遊技を停止したタイミングで球発射ユニット90内の遊技球を全て排出するための制御が行われるものであり、この場合には、各カウンタCTK,CHN,CSSに予め定めた値が書き込まれて球発射ユニット90内の遊技球を発射レール93上に送り出す送出動作と発射レール93上の遊技球を発射する発射動作と発射された遊技球をファール球にするために球ストッパ261を突出させて発射通路T1を閉鎖する閉鎖動作とが行われ、球発射ユニット90内の遊技球が排出される。これらの動作中にタッチセンサがオンとなるときには、遊技者が再度遊技を開始しようと操作ハンドル310を握ったと想定されるため、遊技球を排出する動作を停止して通常の遊技球の発射動作が開始されるように各カウンタCTK,CHN,CSSの値を「0」クリアする。
S1304の処理後、発射ソレノイド92、電磁石104および通路開閉ソレノイド262の励磁状態を制御するソレノイド励磁処理を行い(S1305)、更に球出口開閉モータ251の駆動を制御する処理(球出口開閉モータ駆動処理、S1306)を行って、発射制御処理(S1002)を終了する。
ここで、図56および図57を参照して、ソレノイド励磁処理(S1305)と球出口開閉モータ駆動処理(S1306)とを説明する。図56はソレノイド励磁処理(S1305)のフローチャートであり、図57は球出口開閉モータ駆動処理(S1306)のフローチャートである。
ソレノイド励磁処理(S1305)では、まず、発射励磁カウンタCHSの値が「0」より大きいか否かを判断し(S1401)、「0」より大きければ(S1401:Yes)、発射ソレノイド92を励磁状態とし(S1402)、発射励磁カウンタCHSの値を「1」減算して(S1403)、処理をS1411へ移行する。一方、S1401の処理において発射励磁カウンタCHSの値が「0」であれば(S1401:No)、発射ソレノイド92を非励磁にして(S1404)、処理をS1411へ移行する。S1401からS1404の処理によって発射励磁カウンタCHSの値が「0」より大きい期間中に限って発射ソレノイド92の励磁状態を継続することができる。また、ソレノイド励磁処理(S1305)は、4ms毎に1回ずつ行われる発射制御処理(S1002)の1つであるので、発射励磁カウンタCHSに書き込まれる値に4msを乗じた所定時間分だけ発射ソレノイド92を励磁して遊技球の発射制御を行うことができる。
S1411の処理では、球送り励磁カウンタCOSの値が「0」より大きいか否かを判断し(S1411)、「0」より大きければ(S1411:Yes)、球送り用の電磁石104を励磁状態とし(S1412)、球送り励磁カウンタCOSの値を「1」減算して(S1413)、処理をS1421へ移行する。一方、S1411の処理において球送り励磁カウンタCOSの値が「0」であれば(S1411:No)、球送り用の電磁石104を非励磁にして(S1414)、処理をS1421へ移行する。S1411からS1414の処理によって球送り励磁カウンタCOSの値が「0」より大きい期間中に限って電磁石104の励磁状態を継続し、また、球送り励磁カウンタCOSに書き込まれる値に4msを乗じた所定時間分だけ球送り用の電磁石104を励磁して遊技球を発射レール93上に送出する制御を行うことができる。
S1421の処理では、通路閉鎖カウンタCSSの値が「0」より大きいか否かを判断し(S1421)、「0」より大きければ(S1421:Yes)、通路開閉ソレノイド262を励磁状態とし(S1422)、球ストッパ261(図5(a)参照)を突出して発射通路T1を閉鎖する。更に、通路閉鎖カウンタCSSの値を「1」減算して(S1423)、ソレノイド励磁処理(S1305)を終了する。一方、S1421の処理において通路閉鎖カウンタCSSの値が「0」であれば(S1421:No)、通路開閉ソレノイド262を非励磁にして(S1424)、ソレノイド励磁処理(S1305)を終了する。S1421からS1424の処理によって通路閉鎖カウンタCSSの値が「0」より大きい期間中に限って通路開閉ソレノイド262の励磁状態を継続し、また、通路閉鎖カウンタCSSに書き込まれる値に4msを乗じた所定時間分だけ通路開閉ソレノイド262を励磁して発射通路T1を閉鎖する制御を行うことができる。
球出口開閉モータ駆動処理(S1306)では、図57に示すように、まず、球出口開放フラグ713bがオンか否かを判断する(S1501)。球出口開放フラグ713bがオフであれば(S1501:No)、操作ハンドル310のタッチセンサの状態を確認し(S1502)、タッチセンサがオンであれば(S1502:Yes)、球出口開閉モータ251を右回りに回転するように駆動して(S1503)、球出口224aを開放し、更に、球出口開放フラグ713bをオンして(S1504)、本処理(S1306)を終了する。S1502の処理においてタッチセンサがオフであれば(S1502:No)、S1503およびS1504の処理をスキップして本処理(S1306)を終了する。このS1502からS1504の処理により、タッチセンサがオフからオンとなったタイミングで球出口開閉モータ251により開閉蓋252を駆動して球出口224aを開放し、遊技球を球発射ユニット90の導入口102bへ導入することができ、その後には、球発射ユニット90の動作によって遊技球を継続して発射することができる。
S1501の処理において、球出口開放フラグ713bがオンであれば(S1501:Yes)、操作ハンドル310のタッチセンサの状態を確認し(S1505)、タッチセンサがオフであれば(S1505:No)、球出口開閉モータ251を左回りに回転するように駆動して(S1506)、開閉蓋252を下降させて球出口224aを閉鎖し、更に、球出口開放フラグ713bをオフして(S1507)、本処理を終了する。S1505の処理においてタッチセンサがオンであれば(S1505:Yes)、S1506およびS1507の処理をスキップして本処理を終了する。このS1505からS1507の処理により、タッチセンサがオンからオフとなったタイミングで球出口224aを閉鎖して上皿201と球発射ユニット90の導入口102bとを遮断して球発射ユニット90への遊技球の導入を停止することができる。
このように、球出口開閉モータ駆動処理(S1306)によって、操作ハンドル310のタッチセンサにより出力されるオンオフの信号に基づいて球出口開閉モータ251が駆動される。よって、遊技者の発射操作に対応して開閉蓋252を電気的に動作させて球出口224aを開閉することができる。
図55に戻って説明する。S1301の処理において発射間隔カウンタCHKの値が「0」より大きいと判断されると(S1301:Yes)、発射間隔カウンタCHKの値を「1」減算し(S1311)、その減算後の発射間隔カウンタCHKの値が「0」より大きいか確認する(S1312)。S1312の処理にて発射間隔カウンタCHKの値が「0」より大きいと判断された場合には(S1312:Yes)、処理をS1305へ移行してソレノイド励磁処理(S1305)と球出口開閉モータ駆動処理(S1306)とを行い、発射制御処理(S1002)を終了する。
S1312の処理において、発射間隔カウンタCHKの値が「0」より大きくない、即ち「0」と判断された場合には(S1312:No)、発射励磁カウンタCHSに「25」を書き込み(S1313)、発射ソレノイド92を0.1秒間励磁するようにして遊技球を発射する。また、球送り励磁カウンタCOSに「50」を書き込み(S1314)、球送り励磁カウンタCOSを励磁して球送り機構94により次に発射が行われる遊技球を発射レール93上へ送出する。発射間隔カウンタCHKの値が「0」となるのは、S1303の処理にて「150」の値が書き込まれてから、S1311の処理が150回繰り返されたタイミングであり、発射制御処理(S1002)が4ms毎に行われる処理であるためS1303の処理の実行から0.6秒経過したタイミングで発射動作が行われることとなる。
その後、S1315の処理にてタッチセンサがオンか否かを判断し(S1315)、オンであれば(S1315:Yes)遊技者が遊技を継続中であるので、処理をS1305へ移行する。タッチセンサがオンである場合には、4ms後に再び実行される発射制御処理(S1002)にて発射間隔カウンタCHSの値が「0」(S1301:No)、タッチセンサがオン(S1302:Yes)となっており、S1303の処理にて発射カウンタCHSに再度「150」が書き込まれて0.6秒後に遊技球が発射され、以降、タッチセンサがオフとなるまで遊技球の発射動作が継続して行われる。
S1315の処理において、タッチセンサがオフであれば(S1315:No)、遊技者は操作ハンドル310から手を離して遊技を停止した状態となっている。この場合には、発射回数カウンタCHNに「4」を、通路閉鎖カウンタCSSには「1000」を、球送り間隔カウンタCTKには「200」をそれぞれ書き込んで(S1316,S1317,S1328)、処理をS1305へ移行する。
S1302の処理において、タッチセンサがオフであれば(S1302:No)、発射回数カウンタCHNの値を確認し(S1321)、その値が「0」より大きくない、即ち「0」であれば(S1321:No)、S1322からS1328の処理をスキップして、処理をS1305へ移行する。遊技者が操作ハンドル310に触れてなく遊技が行われていない状態においては、タッチセンサはオフ、発射間隔カウンタCHKと発射回数カウンタCHNとは共に「0」となっており、S1301、S1302、S1321の順に処理が行われた後、S1305およびS1306の処理が行われる流れで、処理が繰り返される。
S1321の処理において発射回数カウンタCHNの値が「0」より大きいと判断されると(S1321:Yes)、球送り間隔カウンタCTKの値が「0」より大きいか確認する(S1322)。球送り間隔カウンタCTKの値が「0」より大きければ(S1322:Yes)、球送りカウンタCTKの値を「1」減算し(S1323)、処理をS1305へ移行する。球送り間隔カウンタCTKの値が「0」より大きい間は、4ms毎に繰り返してS1323の処理が行われ、球送り間隔カウンタCTKの値が「0」となると(S1322:No)、発射励磁カウンタCHSに「25」を書き込み(S1324)、発射ソレノイド92に遊技球の発射動作を行わせてから発射回数カウンタCHNの値を「1」減算する(S1325)。
S1325の処理後、発射回数カウンタCHNの値を再度確認し(S1326)、その値が「0」より大きければ(S1326:Yes)、球送り励磁カウンタCOSに「50」をセットして(S1327)、球送り用の電磁石104を0.2秒間励磁して球送り動作が行われるようにし、更に、球送り間隔カウンタCTKに「200」をセットして(S1328)、0.8秒後に再びS1324の処理が実行されるようにする。S1327の処理により球送り用の電磁石104が0.2秒間励磁されてから、その後0.6秒間非励磁の状態があって、再度球送り用の電磁石104が0.2秒間励磁されることとなる。このため、球送り機構94の送出部材105が0.8秒を1周期として上下に揺動する送出動作が行われ、球発射ユニット90内の遊技球が発射レール93上に順次送出される。また、S1328の処理によって、発射ソレノイド92を励磁して遊技球を発射する処理(S1324)が0.8秒後に実行されることにより、遊技球が0.8秒間隔で発射されることとなる。
S1326の処理において発射回数カウンタCHNの値が「0」と判断されると(S1326:No)、球送り励磁カウンタCOSと球送り間隔カウンタCTKの各値を「0」としたままで処理をS1305へ移行する。発射回数カウンタCHNには、S1316の処理によって「4」の値が書き込まれるため、S1325の処理により4回の更新が行われた後、即ち、発射ソレノイド92が4回励磁されて4回の発射動作が行われると発射回数カウンタCHNの値が「0」となってS1327の処理は行われず、その後の発射レール93上への遊技球の送出が行われなくなる。このため、遊技球の送出動作は、S1325の処理により4回の更新が行われるうちの4回目には行われなくなり、球送り用の電磁石104が3回励磁されて3回の送出動作が行われる。
次に、上述した発射制御処理(S1002)により、タッチセンサがオンからオフに切り替わったときに行われる球発射ユニット90内の遊技球の排出について説明する。タッチセンサがオンからオフに切り替わると、球出口開閉モータ駆動処理(S1306)により球出口開閉モータ251がタッチセンサのオフに連動して開閉蓋252により球出口224aが閉鎖される。このため、球発射ユニット90の導入口102bへ遊技球が続けては流入しないようになり、もともと球発射ユニット90内に進入した遊技球だけが球発射ユニット90(滞留部T、図12(b)参照)内に滞留した状態となる。
また、発射回数カウンタCHNには、S1316の処理により「4」が書き込まれることにより、S1321からS1328の処理により球発射ユニット90の球送り用の電磁石104が3回励磁されて、球発射ユニット90の導入口102b内へ進入した遊技球に対して3回の送出動作が0.8秒間隔で行われ、また、発射ソレノイド92が0.8秒間隔で4回励磁されて4回の発射動作が行われる。本実施形態のパチンコ機10は球発射ユニット90における送出部材105と導入口102bとの間の滞留部Tに遊技球が2球だけ滞留するようになっており、球送り用の電磁石104が3回励磁されると、全ての遊技球が発射レール93上に送出されて発射ソレノイド92により発射される。よって、遊技者が遊技を終えて操作ハンドル310から手を離した後、球発射ユニット90内の全ての遊技球が発射ソレノイド92により発射される。
また、タッチセンサがオンからオフに切り替わったときには、S1317の処理により、通路閉鎖カウンタCSSには「1000」の値が書き込まれる。通路閉鎖カウンタCSSに「1000」の値が書き込まれると、ソレノイド励磁処理(S1305)により、通路開閉ソレノイド262は「1000」に4msを乗じた4秒間励磁される。通路開閉ソレノイド262が励磁されると、球ストッパ261は2本のレール61,62間に突出した前進位置(図5(b)参照)に配置され、遊技領域へ向かう遊技球の進行が球ストッパ261に阻止され、ファール球となってファール球通路T2を経由して排出される。このため、タッチセンサがオンからオフになった後、4秒以内に発射された遊技球はファール球となって排出される。発射ソレノイド92は、タッチセンサのオフ後に0.8秒間隔で4回励磁されるため、遊技者が遊技を終えて操作ハンドル310から手を離した後、0.8秒に4を乗じた3.2秒にわたって発射ソレノイド92の発射動作が行われる。よって、タッチセンサのオフ後に発射ソレノイド92により発射される遊技球は全て球ストッパ261に進行が阻止され、ファール球通路T2を経由して排出される。
このように、球発射ユニット90内の遊技球は、操作ハンドル310から手が離れてタッチセンサがオンからオフに切り替わると全てファール球となって下皿301へ排出される。従って、遊技者が操作ハンドル310から手を離し、上皿201横の球抜きボタン216を押下操作して上皿201内の遊技球を抜き取ると、パチンコ機10に滞留する遊技球であって遊技領域に打ち込んでいない未使用のものを全て抜き取ることができる。
ここで、従来、発射レール上に送出された遊技球が発射位置に残されたままとなったり、球送り機構部に遊技球が滞留するパチンコ機があり、この種のパチンコ機を製造した後の出荷検査時に発射動作の確認を行うと、上皿201の球抜き操作をしても発射レール上や球発射ユニット内に遊技球が残ってしまうことがあった。遊技場では店名や系列名などを付した独自の遊技球を使用するものであり、発射レール93上に残された遊技球が遊技場にそのまま持ち込まれると異種の遊技球が混在して好ましくない。また、遊技場への搬送中に発射レール上の遊技球がこぼれ落ちると、作業者が遊技球を踏む危険性も生じる。更に、遊技場にパチンコ機が新品で持ち込まれた状態においては、遊技場の店員はパチンコ機内に遊技球が入っていないことを前提にして作業を行うため、遊技球が残されていると前面枠14の開閉時に遊技球がガラスユニット17と遊技盤16との間に挟まってガラスが割れてしまうこともあった。
本実施形態のパチンコ機10によれば、上皿201に投入された遊技球のうち球出口224aを経由して開閉部材102の滞留部Tに送出された遊技球は、払出発射制御装置611により送出部材105の送出動作と発射ソレノイド92の発射動作とが行われて発射ソレノイド92により発射され、ファール球通路T2を経由してファール球として排出される。払出発射制御装置611は、発射制御処理(S1002)により操作ハンドル310のタッチセンサがオフであって操作ハンドル310に対する発射操作が行われていない状態にて送出部材105の送出動作と発射ソレノイド92の発射動作とを行わせるので、遊技者による発射操作を要せずに滞留部Tに送出された遊技球がファール球通路T2より下皿301に排出される。また、送出部材105の送出動作と発射ソレノイド92の発射動作とは、球発射ユニット90(開閉部材102の滞留部T)内に滞留可能な2球の遊技球より多く行われる。よって、払出発射制御装置611により遊技者の発射操作を必要としないで球送り機構94や発射レール93上の発射位置に遊技球を残すことなく簡単に球抜き操作を行うことができる。従って、球抜き操作後に、発射レール93上や球発射ユニット90内に遊技球が残されて生じ得る遊技場への異種の遊技球の流入や搬送中等の危険性を簡単かつ確実に回避することができる。
また、遊技球の発射操作の実行を検出する操作ハンドル310のタッチセンサがオンからオフに切り替わると、払出発射制御装置611は、送出部材105の送出動作と発射ソレノイド92の発射動作とを行わせて遊技球を排出する制御を行うので、遊技者の発射操作と発射位置に送出された遊技球の排出とを連動させることができる。遊技者が遊技を停止してパチンコ機10から移動する場合には、必ず発射操作を停止する(辞める)ので、このタイミングで発射位置等に遊技球が残らないように排出することにより、遊技機から移動する遊技者には、遊技球をより確実に返却することができる。ここで、必ずしもタッチセンサのオンオフに基づいて遊技者の発射操作を検出する必要はなく、可変抵抗器より検出される操作ハンドル310の回動操作量が所定量以下となることによって発射操作の停止を検出する等、別の方法であっても良い。
更に、払出発射制御装置611は、タッチセンサがオンのときには開閉蓋252が球出口224aを開放し、発射操作が未実行(タッチセンサがオフ)のときには開閉蓋252が球出口224aを閉鎖して遊技球が球発射ユニット90の導入口102bへは流入しないようにする。操作ハンドル310に対する発射操作の実行期間中にはタッチセンサがオンとなる一方、発射操作が未実行の期間中にはタッチセンサがオフとなるため、遊技者が遊技を開始する前は、開閉蓋252が球出口224aを閉鎖して遊技球が球発射ユニット90の導入口102bへは流入しない状態となっている。このため、遊技者が遊技を行うために上皿201に遊技球を投入した後、全く遊技を行わないで別のパチンコ機10に移動したり、遊技を停止して遊技場から借りた遊技球を返却する場合、球抜きのために上皿201横の球抜きボタン216を押下操作して閉鎖板234を動作させると、上皿201に投入した遊技球は1球残らず下皿301へ流下する。よって、遊技者には、投入した遊技球のうち遊技領域へ発射する前の遊技球を簡単かつ確実に返却することができ、無駄な遊技球の消費を抑えることができる。
更に、操作ハンドル310のタッチセンサがオンとなる発射操作の実行中には、遊技球の通路を開放して上皿201と球送り機構94とを連通して遊技球の発射を許容する。一方、タッチセンサがオフである発射操作の停止中には、遊技球の通路を遮断して球送り機構94へ遊技球が導入されずに2個の遊技球だけが球送り機構94側へ導入された状態となり、その後の球送り機構94側への遊技球の流入を規制することができる。よって、球送り機構94側に予め滞留した2個の遊技球および発射位置に待機された遊技球に対象を絞って球抜きを実行すれば開閉部材102(滞留部T)内および発射レール93上の遊技球を抜き取ることができる。従って、上皿201に遊技球が入っている場合に継続して遊技球が球送り機構94側に導入される場合に比較して払出発射制御装置611の制御を簡易にすることができる。
また、上皿201と球送り機構94とを連通する遊技球の通路を遮断する開閉蓋252は、上皿201の排出口201aを閉鎖する閉鎖板234に支持される遊技球のうち最も下流側に位置する遊技球に対向して配置されている。よって、開閉蓋252により遊技球の通路が閉鎖されつつ閉鎖板234が上皿201の排出口201aを開放した状態となると、開閉蓋252より上流側の全ての遊技球が排出口201aより下皿301に排出される。よって、発射操作を停止した後に上皿201の球抜き操作を行うと、上皿201内の遊技球をも全て抜き取ることができる。従って、遊技を終えた遊技者には、球抜き操作をするだけで未発射の遊技球を1球残らず全て返却することができ、簡単かつ確実な遊技球の返却を実現することができる。
また、払出発射制御装置611は、タッチセンサがオンからオフに切り替わると発射制御処理(S1002)により3回の送出動作と4回の発射動作とを行わせて遊技球を発射する制御を行う。開閉部材102の滞留部T内に滞留可能な遊技球は2個であるため、上皿201の遊技球を排出するための閉鎖板234を開放して排出口201aより上皿201の遊技球を排出した状態においては、発射制御処理(S1002)によって開閉部材102内に滞留した遊技球を全て発射位置側へ送出することができ、発射位置側へ送出された遊技球は、ファール球通路T2を経由して排出される。よって、球送り機構94と上皿201の排出口201aとを離間した位置に配置して球送り機構94の上流側に遊技球が滞留する設計レイアウトであっても、球送り機構94や発射レール93上の発射位置に遊技球を残すことなく球抜きを行うことができる。なお、遊技球の送出動作と発射動作とは、少なくとも開閉部材102内に滞留可能な個数以上とすることが好ましく、開閉部材102内に3個以上の遊技球が滞留する場合にはその個数以上とすることが好ましい。また、開閉部材102内に滞留可能な遊技球数より1回でも多く送出動作を行わせることが、製造上のばらつきが生じても確実に滞留部T内の遊技球を全て送出することができるので好適である。
また、払出発射制御装置611の制御により、発射制御処理(S1002)のS1321からS1328の処理による発射動作の実行期間中には通路開閉ソレノイド262により球ストッパ261が前進位置に配置されるので、発射通路T1を経由して遊技領域へ向かう遊技球の進行が球ストッパ261に阻止されて、遊技球の飛び量がファール球となるように調整される。よって、発射制御処理(S1002)による制御により発射される遊技球を確実にファール球にして遊技者に返却することができる。
ここで、必ずしも球ストッパ261および通路開閉ソレノイド262並びに通路開閉ソレノイド262を駆動する払出発射制御装置611の各処理を設ける必要はない。遊技者が発射操作を停止したタイミングで3回の送出動作と4回の発射動作とを行わせて遊技球をファール球として排出する場合に、4回の発射動作によって発射される遊技球がファール球となるように発射ソレノイド92の発射力を調整する別の手段を設けても良い。例えば、操作ハンドル310の初期位置において遊技球の飛び量がファール球通路との分岐位置を越えるものの遊技領域には届かない範囲内、即ち、遊技球の飛び量が発射通路T1上であってファール球通路T2との分岐位置と遊技領域との間(図5(a)の区間L1)となるように操作ハンドル310に内蔵される可変抵抗器の抵抗値が設定されて発射ソレノイド92の発射力が調整されていても良い。遊技者が操作ハンドル310から手を離すと操作ハンドル310が初期位置に配置され、発射通路T1を経由して遊技領域へ向かう遊技球は遊技領域に届かないファール球となる。操作ハンドル310は、従来より遊技球の飛び量が最小となる初期位置側へ付勢されるものであるので、従来の構造を利用して低コストで、球発射ユニット90内の遊技球を遊技者に返却することができる。
また、発射制御処理(S1002)の中にソフトウェア制御により発射ソレノイド92の発射力を調整する制御を設けても良く、発射ソレノイド92の発射力(具体的には、発射ソレノイド92の励磁電流)を制御して遊技球の飛び量がファール球通路との分岐位置を越えるものの遊技領域には届かない範囲内となる発射力に制御装置(例えば、払出発射制御装置611)で制御する構成としても良い。制御装置で発射力を制御することにより、遊技領域に届く発射力となる位置に操作ハンドル310が配置(又は固定等)されていても遊技者が操作ハンドル310から手を離した後に発射される遊技球は確実にファール球にして遊技者に返却することができる。
また、発射制御処理(S1002)においては、遊技者による発射操作の実行中における通常の遊技球の発射間隔である0.6秒より長い0.8秒の時間間隔を隔てて遊技球を排出するための発射ソレノイド92の発射動作を行わせる。これは、発射操作実行中の発射間隔ではファール球通路T2内へ遊技球が流入する前に、次の遊技球が発射されて遊技球同士が衝突し、発射レール93上に遊技球が戻ってくる等、発射通路T1内に遊技球が残されることを防止するためである。この時間間隔の設定によって、ファール球通路T2へ遊技球が流入する前に、次の遊技球が発射されて遊技球同士が衝突して、発射通路T1内に遊技球が残されることを未然に防止することができる。
ここで、発射制御処理(S1002)においては、S1328の処理によってS1324の処理が実行される間隔、即ち、発射ソレノイド92を励磁して遊技球を発射させる時間間隔(発射間隔)を設定するが、この発射間隔は、後に発射された遊技球がその直前に発射された遊技球に発射通路内で衝突して遊技球が発射通路T1(発射レール93)上に残されることがないようにする必要がある。このため、S1324の処理により遊技球を排出するときの遊技球の発射間隔は、遊技球が発射されてからファール球通路T2に流入するまでの時間間隔より長く設定しても良いし、又は、遊技球が発射されてからファール球通路T2に流入する前であっても次に発射された遊技球が発射通路T1とファール球通路T2との分岐位置に到達するまでには前に発射された遊技球がファール球通路T2に流入し得る時間間隔に設定しても良い。
なお、発射通路T1とファール球通路T2との配置位置によっては、遊技者による発射操作の実行中における遊技球の発射間隔より短い時間間隔(例えば、0.4秒)を隔てて発射ソレノイド92の発射動作を行わせても、遊技球同士が衝突しないことがある。この場合には発射間隔を短くすることが好ましく、これにより、遊技球の排出をスムースに行わせることができる。また、遊技者による発射操作の実行中における通常の遊技球の発射間隔と同一の時間間隔を隔てて発射ソレノイド92の発射動作を行わせても良く、この場合には発射ソレノイド92の動作が一定となるため発射ソレノイド92に無理な負担をかけることがなく、パチンコ機10としての信頼性を高めることができる。
また、ファール球通路T2上にファール球通路T2を通過する遊技球を検出するフォトセンサを設けて、そのフォトセンサを払出発射制御装置611に接続し、払出発射制御装置611は、ファール球通路T2上のフォトセンサがファール球を検出することを契機として発射ソレノイド92の発射動作を行わせて次の発射を行わせても良い。フォトセンサによるファール球の検出時期に基づいて払出発射制御装置611が発射ソレノイド92の発射動作を行わせるので、遊技球がファール球通路T2へ入った後に発射ソレノイド92による遊技球の発射動作を行わせることができる。よって、ファール球通路T2へ遊技球が流入するまでの時間間隔にばらつきがあっても、発射通路T1内で遊技球同士が衝突して発射通路T1内に遊技球が残されることを確実に防止することができる。なお、ファール球通路を通過する遊技球を検出するのはフォトセンサに限らず、機械的に可動する可動片を有するマイクロスイッチや、磁気センサ等のいずれのものであっても良い。
次に、図58を参照して、上述した実施形態とは異なる第2の実施形態について説明する。第2の実施形態におけるパチンコ機は、第1の実施形態におけるパチンコ機10に対し、遊技球の発射操作中に限って球出口224aを開放するための第2開閉ユニットの構成が異なるものである。第1の実施形態におけるパチンコ機10では、第2開閉ユニット250は操作ハンドル310のタッチセンサのオンオフに連動する球出口開閉モータ251によって電気的に開閉蓋252を動作させて球出口224aの開閉を行った。これに対し、第2の実施形態におけるパチンコ機は、第2開閉ユニット910として操作ハンドル310に連結された機構によって開閉蓋911が操作ハンドル310の回動動作に連動するように構成されている。以下、第2の実施形態の説明にあたり、第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
図58(a)は第2の実施形態におけるパチンコ機の前面枠901および下皿ユニット902の背面図であり、図58(b)は操作ハンドル310が未操作の状態における第2開閉ユニット910の状態を示した図であり、図58(c)は操作ハンドル310が回動された状態における第2開閉ユニット910の状態を示した図である。
下皿ユニット902の裏面側には、遊技球の発射操作中に限って球出口224aを開放するための第2開閉ユニット910が設けられている。第2開閉ユニット910は、図58(a)に示すように第1開閉ユニット230の遮蔽板232に重なって球出口224aを開閉する合成樹脂製の薄板で形成された開閉蓋911と、開閉蓋911の下端に一端が連結されたケーブル912と、ケーブル912の他端に設けられたキャップ913と、キャップ913を一方側(図58(a)の左側)に付勢するコイルバネ914と、操作ハンドル310(図1参照)に固定されて操作ハンドル310と共に回動してキャップ913を押圧可能に構成された連結板915とを備えている。開閉蓋911には、略正方形に開口形成された開口穴911aが設けられており、開口穴911aが球出口224aに重なって配置されると球出口224aが開放された状態となる。
ケーブル912は、筒状のアウター912a内に、両端部が屈曲しない金属棒で構成され、中間部分が屈曲可能に構成されたインナー912bが挿通されたものである。アウター912aは、下皿ユニット902の板金921にネジ(図示せず)で固定され、アウター912aに対してインナー912bが可動可能に支持される。下皿ユニット902の板金921は、第1の実施形態におけるものに対して開閉蓋911の部位が上方に突出し、更に、開閉蓋911の左右両側にて断面コの字形に折り返して形成され、開閉蓋911の左右両側を支持している。開閉蓋911は、板金921により左右両側が支持されて上下方向にスライド移動可能とされている。
次に、第2開閉ユニット910の動作について説明する。遊技者が操作ハンドル310に触れていないときには、操作ハンドル310に内蔵されるコイルバネによって操作ハンドル310は初期位置に付勢されている。このとき、第2開閉ユニット910のキャップ913は操作ハンドル310に固定される連結板915によってケーブル912側(図58(b)の右側)に押圧され、第2開閉ユニット910のコイルバネ914が圧縮される。コイルバネが圧縮された分だけケーブル912のインナー912bは、開閉蓋911側に押し出された状態となり、開閉蓋911が上昇した位置に配置される。開閉蓋911が上昇位置に配置されるときには、開閉蓋911の開口穴911aが球出口224aの上側にずれて配置され、球出口224aが開閉蓋911によって閉鎖される。
遊技者が遊技球を発射するときには、遊技者は操作ハンドル310を右回りに回動操作する。操作ハンドル310の回動に連動して連結板915も同方向(図58(b)の左回り)に回動し、連結板915がキャップ913から離間する方向へ移動する。キャップ913はコイルバネ914によって連結板915側へ押し出され、その押し出し動作に伴って開閉蓋911が下降する。操作ハンドル310(連結板915)が更に回動されると、ケーブル912のアウター912aに開閉蓋911が当接して開閉蓋911が最も下降した状態となり、その後は、キャップ913から連結板915が離間して連結板915のみが操作ハンドル310の回動動作に連動する。開閉蓋911が最も下降した下降位置に配置されると、球出口224aと開閉蓋911の開口穴911aとが一致した状態となり、球出口224aが開放される。
このように、開閉蓋911は、ケーブル912、キャップ913および連結板915を介して操作ハンドル310の回動動作に連動するように構成されている。このため、第1の実施形態における球出口開閉モータ251と球出口開閉モータ251の動作を制御する球出口開閉モータ駆動処理(図55、S1306)とが不要となる。つまり、駆動源となる装置やその装置の動作の制御が不要となるため、パチンコ機の構成を単純にして低コストで操作ハンドル310に連動する開閉蓋911を有するパチンコ機を製造することができる。なお、必ずしもケーブル912や連結板915を用いて開閉蓋911を開閉する構成に限定するものではなく、ケーブル912を用いずにリンク機構やカムを使用する等、遊技者の回動操作によって開閉蓋911を開閉する別の構造を用いても良い。
以上、一実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態に示すように、動的表示の一種である変動表示は、第1図柄表示装置81の表示画面上で識別情報としての図柄を縦方向にスクロールさせるものに限定されず、横方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであっても良い。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、図柄と共に或いは図柄とは別に、識別情報として用いられる。
本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有するいわゆる第2種パチンコ遊技機などに実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球など他の遊技機として実施するようにしても良い。
以下に本発明の遊技機および変形例を示す。遊技球を貯留すると共に遊技者の操作によって球抜きが行われる球受部を形成する球受皿部材と、その球受皿部材に貯留される遊技球を1球ずつ所定の発射位置へ送出する送出部材と、その送出部材により送出された遊技球を発射する発射手段と、その発射手段により遊技球を発射するための発射操作が行われる操作手段と、前記発射手段を駆動して発射された遊技球が自重により流下して遊技が行われる遊技領域と、その遊技領域と前記発射位置とを繋ぐ発射通路と、その発射通路より分岐して形成され前記発射手段により発射された遊技球のうち前記遊技領域に届かない遊技球をファール球として排出するファール球通路とを備えた遊技機において、前記球受皿部材の球受部に貯留された遊技球を前記送出部材側に導出する球出口と、その球出口とは別の側に分岐して形成され前記球受皿部材の球受部に貯留された遊技球を排出する貯球排出口と、その貯球排出口を遊技者の操作に対応して開閉する閉鎖部材と、前記球出口と前記送出部材との間に少なくとも1以上の遊技球が滞留可能な滞留部を形成する滞留部形成部材と、前記球出口を閉鎖して前記球受皿部材の球受部と前記送出部材とを連通する遊技球の通路を遮断するものであって前記閉鎖部材に支持される遊技球のうち最も下流側に位置する遊技球に対向して配置される遮断部材と、前記操作手段に対する発射操作の実行有無を検出する発射操作検出手段と、その発射操作検出手段により検出される発射操作の実行有無に対応して前記遮断部材を駆動する遮断部材駆動手段と、前記発射操作検出手段により発射操作が実行中から非実行に切り替わったことを検出した場合に少なくとも前記滞留部に滞留可能な遊技球の数分以上前記送出部材の送出動作と前記発射手段の発射動作とを行わせて遊技球を発射する制御を行う非入力発射手段と、その非入力発射手段の制御により発射される遊技球が前記遊技領域に届かないように遊技球の飛び量を調整する飛び量調整手段とを備えていることを特徴とする遊技機1。
なお、請求項1記載の遊技機および遊技機1における球受皿部材の球受部としては、上記実施形態における上皿201の底面および側面に囲われた部位が例示され、発射通路としては上記実施形態における発射レール93と誘導レール61,62とにより形成される遊技球の通路(発射通路T1)が例示される。また、ファール球通路は、発射時の打ち出し力(発射力)が弱くて戻り球防止部材が位置する遊技領域の入口に到達せずに発射レール側へ戻った遊技球を排出する通路をいい、上記実施形態における通路形成部材36により形成されて発射レール93と誘導レール61,62との間の隙間と下皿排出口36aとを繋ぐ通路(ファール球通路T2)が例示される。また、滞留部形成部材としては上記実施形態における開閉部材102が例示され、滞留部としては、上記実施形態における開閉部材102によって形成され、2個の遊技球が発射レール93上への送出を待機した状態で送出部材105の上流側に滞留する滞留部Tが例示される。
また、請求項1記載の遊技機および遊技機1における発射操作検出手段としては、発射操作の実行中又は非実行(停止中)のいずれか一方の状態である場合に限って信号を出力し(即ち信号出力をオンし)、他方の状態である場合に信号を出力しない(即ち信号出力をオフする)ものであっても良く、発射操作の実行中と非実行とのそれぞれにおいて電圧値や複数の入力端子に入力する信号の組み合わせが異なる等の別々の信号を出力するものであっても良い。この発射操作検出手段としては、発射操作が行われる操作部に接触しているか否かを検出するタッチセンサや、発射操作として発射力を調整する操作ハンドルの回動操作の操作量を検出する可変抵抗器等が例示される。
また、請求項1記載の遊技機および遊技機1における遮断部材駆動手段としては、上記第1の実施形態における球出口開閉モータ251および払出発射制御装置611、並びに、上記第2の実施形態における操作ハンドル310と開閉蓋911とを連結するケーブル912、キャップ913および連結板915で構成される機構が例示される。非入力発射手段としては、上記実施形態における払出発射制御装置611が例示される。
遊技機1において、前記飛び量調整手段は、前記発射通路上であって前記ファール球通路との分岐位置と前記遊技領域との間に突出した前進位置と前記発射通路から外れた後退位置とを移動可能に配設されるストッパ部材と、そのストッパ部材に駆動力を付与するストッパ駆動手段と、そのストッパ駆動手段を制御して前記非入力発射手段による発射動作の実行期間中には前記ストッパ部材を前記前進位置に配置するストッパ制御手段とを備えていることを特徴とする遊技機2。
遊技機2によれば、ストッパ制御手段の制御により、非入力発射手段による発射動作の実行期間中にはストッパ駆動手段によりストッパ部材が前進位置に配置されるので、発射通路を経由して遊技領域へ向かう遊技球の進行がストッパ部材に阻止されて、遊技球の飛び量が調整される。よって、非入力発射手段の制御により発射される遊技球を確実にファール球にして遊技者に返却することができる。
遊技機1において、前記飛び量調整手段は、遊技球の飛び量が前記ファール球通路との分岐位置を越えるものの前記遊技領域には届かない範囲内となる発射力に前記発射手段の発射力を調整するものであることを特徴とする遊技機3。
遊技機3によれば、飛び量調整手段によって、ファール球通路との分岐位置を越えるものの遊技領域には届かない遊技球の飛び量となる発射力に発射手段の発射力が調整される。このため、発射通路上にわざわざストッパ部材等の障害物が突出するように構成する場合に比べて、遊技領域に遊技球が届かないようにするために必要な構成部品を簡略化することができる。よって、低コストで非入力発射手段の制御により発射される遊技球をファール球にして遊技者に返却することができる。
なお、遊技機3における飛び量調整手段は、遊技者により遊技球の飛び量を調整するために回動操作されると共に遊技球の飛び量が最小となる初期位置に付勢される操作ハンドルであって、遊技球の飛び量がファール球通路との分岐位置を越えるものの遊技領域には届かない範囲内となるように初期位置が設定された操作ハンドルであっても良い。遊技者が操作ハンドルから手を離すと操作ハンドルが初期位置に配置され、発射通路を経由して遊技領域へ向かう遊技球は遊技領域に届かないでファール球となる。操作ハンドルの初期位置により遊技球の飛び量が調整されるのである。一般に操作ハンドルは、遊技球の飛び量が最小となる初期位置側へ付勢されるものであるので、従来の構造を利用して飛び量調整手段を構成することができ、低コストで、非入力発射手段の制御により発射される遊技球を確実にファール球にして遊技者に返却することができる。
また、発射手段としてのソレノイドやモータ等に励磁される電流や励磁されるタイミング等を制御して遊技球の発射力が調整される場合には、遊技機3における飛び量調整手段は、発射手段の動作を制御して遊技球の飛び量がファール球通路との分岐位置を越えるものの遊技領域には届かない範囲内となる発射力にする発射制御手段であっても良い。
遊技機1から3のいずれかにおいて、前記非入力発射手段は、遊技者による発射操作の実行中における遊技球の発射間隔より長い時間間隔であって後に発射された遊技球がその直前に発射された遊技球に発射通路内で衝突しない時間間隔を隔てて前記発射手段の発射動作を行わせるものであることを特徴とする遊技機4。
遊技機4によれば、遊技者による発射操作の実行中における遊技球の発射間隔より長い時間間隔であって後に発射された遊技球がその直前に発射された遊技球に発射通路内で衝突しない時間間隔を隔てて非入力発射手段が発射手段の発射動作を行わせる。このため、発射操作実行中の発射間隔ではファール球通路内へ遊技球が流入する前に次の遊技球が発射されて遊技球同士が衝突し、発射通路内に遊技球が残されるという構造の遊技機であっても、非入力発射手段の制御により遊技球をファール球通路内へ順次流入させることができる。よって、ファール球通路へ遊技球が流入する前に、次の遊技球が発射されて遊技球同士が衝突して、発射通路内に遊技球が残されることを未然に防止することができる。
なお、遊技機4における「後に発射された遊技球がその直前に発射された遊技球に発射通路内で衝突しない時間間隔」とは、遊技球が発射されてからファール球通路に流入するまでの時間間隔はもちろん、遊技球が発射されてからファール球通路に流入する前であって次に発射された遊技球が発射通路とファール球通路との分岐位置に到達するまでにはファール球通路に流入し得る時間間隔をも含む。
遊技機1から3のいずれかにおいて、前記非入力発射手段は、遊技者による発射操作の実行中における遊技球の発射間隔より短い時間間隔を隔てて前記発射手段の発射動作を行わせるものであることを特徴とする遊技機5。
遊技機5によれば、遊技者による発射操作の実行中における遊技球の発射間隔より短い時間間隔を隔てて発射手段の発射動作を行わせるので、遊技球の排出をスムースに行わせることができる。
遊技機1から3のいずれかにおいて、前記非入力発射手段は、遊技者による発射操作の実行中における遊技球の発射間隔と同一の時間間隔を隔てて前記発射手段の発射動作を行わせるものであることを特徴とする遊技機6。
遊技機6によれば、遊技者による発射操作の実行中における遊技球の発射間隔と同一の時間間隔を隔てて発射手段の発射動作を行わせるので、発射手段の動作が一定となるため発射手段に無理な負担をかけることがなく、遊技機の信頼性を高めることができる。
遊技機1から3のいずれかにおいて、前記ファール球通路上に設けられて前記ファール球通路を通過する遊技球を検出するファール球検出手段を備え、前記非入力発射手段は、1の遊技球の発射後に前記ファール球検出手段により前記ファール球通路を通過する遊技球を検出した場合に前記発射手段により次の遊技球の発射動作を行わせるものであることを特徴とする遊技機7。
遊技機7によれば、ファール球検出手段によるファール球の検出時期に基づいて非入力発射手段が発射手段の発射動作を行わせるので、先に発射した遊技球がファール球通路へ入ってから発射手段によって次の遊技球の発射動作を行わせることができる。よって、ファール球通路へ遊技球が流入する前に、次の遊技球が発射されて遊技球同士が衝突して、発射通路内に遊技球が残されるという不具合を防止することができる。
遊技機1から7のいずれかにおいて、前記非入力発射手段は、少なくとも前記滞留部に滞留する最大数より多く前記送出部材の送出動作と前記発射手段の発射動作とを行わせて遊技球を発射する制御を行うものであることを特徴とする遊技機8。
遊技機8によれば、非入力発射手段は、排出駆動手段により第2状態が形成される場合に少なくとも滞留部に滞留する最大数より多く送出部材の送出動作と発射手段の発射動作とを行わせるので、設計上よりも多くの遊技球が滞留してもより確実に滞留部内の遊技球を全て送出することができる。このため、滞留部を形成する部材自体やその配置位置等の精度を低く抑えることができ、遊技球の送出に影響する寸法精度や材料の制限を緩和して低コストで遊技機を製造することができる。
遊技機1から8のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機9。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて遊技球を所定の遊技領域へ発射し、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、所定の遊技価値が付与される時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて遊技球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。