JP4631216B2 - 排気ガス熱交換器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン駆動式空気調和機やコージェネレーションシステムで使用される排気ガス熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エンジン駆動式空気調和機やコージェネレーションシステムでは、排気ガスと共に素通りして逃げる排熱を冷却水と熱交換し排熱回収を行うために、例えば、図11に示すような排気ガス熱交換器を使用している。そこで、ここでは、先ず、図11の排気ガス熱交換器100について説明する。
【0003】
図11の排気ガス熱交換器100は、基体101と、伝熱管群103、伝熱板群104、給水管105、排水管106、排気ガス導入管107、排気ガス導出管108などから構成されている。この点、基体101は、内筒部110と、外筒部111、端部112,113からなる。そして、内筒部110の内周面で区画された空間は、円筒状のガス室114(「排気ガス室」に相当するもの)になっている。一方、内筒部110の外側には、外筒部111がほぼ同軸的に設けられているので、内筒部110の外周面と外筒部111の内周面とで区画された空間は、ガス室114の回りをリング状に覆ったリング状冷却水室115になっている。
【0004】
また、リング状仕切板116,117は、内筒部110の軸方向の端部にその径外方向に延設されており、リング状冷却水室115の軸方向における各リング状開口を塞いでいる。さらに、外筒部111と内筒部110との間には、軸方向のほぼ中央部に中間リング状仕切板118が配置されている。
【0005】
また、端部112,113は、リング状冷却水室115の軸方向の両端に固定され、給水室119及び排水室120を区画している。そして、給水室119は、下皿121でガス室114から仕切られる一方、排水室120は、上皿122でガス室114から仕切られる。
【0006】
また、図12に示すように、リング状仕切板116,117には、所要の内径をもつ多数個のオリフィス孔116a,117aが内筒部110の軸芯のまわりに間隔を隔ててリング状に配置されている。さらに、中間リング状仕切板118にも、多数個のオリフィス孔118aが内筒部110の軸芯のまわりに間隔を隔ててリング状に配置されている。従って、給水室119は、一方のリング状仕切板116のオリフィス孔116aを介してリング状冷却水室115に連通している。また、排水室120は、他方のリング状仕切板117のオリフィス孔117aを介してリング状冷却水室115に連通している。
【0007】
また、図11に示すように、伝熱板群104を形成する伝熱板(「邪魔板」に相当するもの)140は、ガス室114内において、軸方向に沿って間隔を隔てて列設されており、円筒状のガス室114を軸方向で多数の室に仕切っている。尚、伝熱板140の外周面は、内筒部110の内周面に対面して密接している。また、図13に示すように、各伝熱板140には、管挿通孔140aが同じ位相で形成されている。さらに、下皿121と上皿122にも、多数個の管挿通孔121a,122aが同じ位相で形成されている。また、各伝熱板140には、所要内径をもつガス通過孔141(「ガス通過穴」に相当するもの)が互い違いの位置に1個ずつ形成されている。従って、一の伝熱板140のガス通過孔141は、その下方の伝熱板140のガス通過孔141と反対の位置に形成されている。
【0008】
一方、伝熱管群103を形成する伝熱管130は、各伝熱板140の管挿通孔140a及び下皿121、上皿122の管挿通孔121a,122aに挿通されており、その結果、各伝熱管130は、ガス室114の軸方向に沿ってほぼ平行に配置されている。
【0009】
また、図11に示すように、給水管105は、端部112の側面部に固定されることにより、給水室119に連通している。また、配水管106は、端部113の側面部に固定されることにより、排水室120に連通している。一方、排気ガス導入管107は、外筒部111の周壁を貫通して内筒部110に接続されることにより、排水室120寄りの側でガス室114に連通している。また、排気ガス導出管108は、内筒部110の側壁を貫通して端部112に接続されることにより、給水室119寄りの側で外部に連通している。
【0010】
以上より、図11の排気ガス熱交換器100では、高温の排気ガスは、排気ガス導入管107からガス室114に流入すると、各伝熱板140のガス通過孔141を順に通過し、排気ガス導出管108から外部に導出される。このとき、多数個の各伝熱板140には、ガス通過孔141が互い違いに1個ずつ形成されているので、ガス室114内の排気ガスは逆方向に曲がりつつ進行する(図14参照)。これに対して、冷却水は、給水管105から給水室119に供給されると、リング状冷却室115と各伝熱管130とに分流し、排水室120で再び合流すると、排水管106から外部に排出される。
【0011】
従って、各伝熱管130内の低温の冷却水とガス室114内の高温の排気ガスとで熱交換が行われるとともに、リング状冷却水室115内の低温の冷却水とガス室114内の高温の排気ガスとで熱交換が行われるので、冷却水は加熱され排気ガスは冷却されることになる。この点、冷却水が加熱されることにより回収された熱は、図示しない別の熱交換器を介して、給湯・暖房などに有効に利用される。また、その一方で、排気ガスが冷却されると、排気ガスの圧力・温度が低下することから、排気ガスの排気音を減少させるマフラーの役目も果たす。
【0012】
尚、図11の排気ガス熱交換器100の構成は、本出願人の実用新案登録第2536974号に記載されたものと同じである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ガス室114内の排気ガスの流速は、内筒部110の内周側から中央部にゆくにつれて遅くなっており、内筒部110の中央部に位置する伝熱管130が熱交換に寄与することは殆どなかった。例えば、図15は、図14のX−Xの線で切断した断面図であり、図16は、図14のY−Yの線で切断した断面図であるが、図15や図16の矢印の長さで示すように、ガス室114内の排気ガスの流速A〜Hは、内筒部110の内周側のものが中央部のものよりも速くなっており、伝熱管130が熱交換に寄与する度合いが伝熱管130の位置によって異なることがわかる。従って、熱交換の観点からすれば、ガス室114の中央部は、あまり役に立たないスペースであった。
【0014】
その一方で、エンジン駆動式空気調和機やコージェネレーションシステムの排気ガス系は、図10に示すように、排気ガス熱交換器100の上流側に排気ガスを排出するエンジン200が接続され、排気ガス熱交換器100の下流側に排気ガスの圧力波を消去するサイレンサー201が接続されており、これらの機器の設置スペースを縮小したい要請が常に存在していた。
【0015】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、エンジン駆動式空気調和機やコージェネレーションシステムで使用されるものであって、従来技術の交換熱量を確保しつつも設置スペースを縮小した排気ガス熱交換器を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために成された請求項1に係る発明は、円筒状の基体と、前記基体の一方側に内設された給水室と、前記基体の他方側に内設された排水室と、前記基体に内設されるとともに前記給水室と前記排水室との間に配設された排気ガス室と、前記排気ガス室に内在するとともに前記給水室と前記排水室とを連通する複数の伝熱管と、前記排気ガス室に配設されるとともに前記伝熱管が貫入された複数の邪魔板と、前記邪魔板の各々に穿設されるとともに互い違いに配置されたガス通過穴と、を有し、前記排気ガス室を通過する排気ガスと前記伝熱管を通過する低温流体との間で熱交換を行うことにより、前記排気ガスの排熱を回収して有効利用に供する一方で、前記排気ガスの圧力・温度が低下することにより前記排気ガスの排気音が減少する排気ガス熱交換器において、前記排気ガス室の上流中央部に設けられたコア体を備え、前記コア体の外周に前記伝熱管と前記邪魔板が配設されたこと、を特徴としている。
【0017】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載する排気ガス熱交換器であって、前記排気ガス室の下流部にサイレンサーを設けたこと、を特徴としている。
【0018】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載する排気ガス熱交換器であって、前記低温流体は、前記排気ガスを排出するエンジンの冷却水であること、を特徴としている。
【0019】
このような特徴を有する本発明の排気ガス熱交換器では、排気ガス室の上流中央部に設けられたコア体の外周に、複数の邪魔板が配設されていることから、排気ガス室に流入した排気ガスは、コア体の外周に設けられた各邪魔板の間を、邪魔板のガス通過穴を介して、順に通過していく。このとき、各邪魔板の間を通過する排気ガスは、コア体の外周に設けられた複数の伝熱管に衝突するので、かかる伝熱管を通過する低温流体との間で熱交換を行うことになる。
【0020】
この点、各邪魔板の間を通過する排気ガスは、コア体の外周に沿って通過しているので、従来技術のものとは異なり、その流速は一様に速い。そのため、複数の邪魔板が設けられた距離を従来技術のものよりも短くしても、従来技術の交換熱量を確保することが可能となる。
尚、伝熱管を通過する低温流体に回収された排気ガスの排熱は、給湯・暖房などに有効利用される。
【0021】
すなわち、本発明の排気ガス熱交換器は、伝熱管を通過する低温流体に回収された排気ガスの排熱が給湯・暖房などに有効利用されることから、エンジン駆動式空気調和機やコージェネレーションシステムで使用されるものであるが、この点、複数の邪魔板と複数の伝熱管がコア体の外周に配設されており、従来技術のものとは異なって、排気ガスの流速が一様に速く、複数の邪魔板が設けられた距離を従来技術のものよりも短くしても、従来技術の交換熱量を確保することができるので、従来技術の交換熱量を確保しつつも設置スペースを縮小することが可能となる。
【0022】
また、本発明の排気ガス熱交換器では、複数の邪魔板が設けられた距離を従来技術のものよりも短くすると、排気ガス室の下流部のスペースが余るので、この余ったスペースに対しサイレンサーを設ければ、スペースの有効利用を図ることが可能となる。
【0023】
尚、本発明の排気ガス熱交換器は、伝熱管を通過する低温流体に排気ガスの排熱が回収されることにより、排気ガスの圧力・温度が低下して、排気ガスの排気音を減少させるものであり、排気ガスの排気音を減少させる観点からすれば、排気ガス室の下流部に設けられるサイレンサーと同様の働きをするが、本発明におけるサイレンサーは、排気ガスの圧力波を消去することにより、排気ガスの排気音を減少させるものであって、排気ガスの排気音を減少させる作用において異なる働きを持つものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照にして説明する。図1は、本実施の形態の排気ガス熱交換器の断面図である。また、図2は、本実施の形態の排気ガス熱交換器(図1のもの)の左側面図であり、図3は、本実施の形態の排気ガス熱交換器(図1のもの)の右側面図である。すなわち、図1〜図3に示すように、本実施の形態の排気ガス熱交換器1は、円筒状の基体2と、給水管3、排水管4、排気ガス導入管5、排気ガス導出管6などから構成されている。
【0025】
そして、基体1は、内筒部7と、外筒部8、左端部9、右端部10などから構成されている。この点、内筒部7と外筒部8は、ほぼ同軸的に設けられている。また、内筒部7の左側・右側には、仕切板11,12がそれぞれ固定されている。また、内筒部7と外筒部8との間の左側・右側には、リング状仕切板17,18がそれぞれ固定されている。さらに、外筒部8の左側には、仕切板11及びリング状仕切板17を覆うようにして、左端部9が固設され、外筒部8の右側には、仕切板12及びリング状仕切板18を覆うようにして、右端部10が固設されている。
【0026】
この構成により、仕切板11及びリング状仕切板17と左端部9との間には排水室13が区画されるとともに、仕切板12及びリング状仕切板18と右端部10との間には給水室14が区画される。また、仕切板11,12により、内筒部7の内部が排気ガス室15として区画される。さらに、リング状仕切板17,18により、内筒部7と外筒部8との間がリング状冷却水室16として区画される。
【0027】
また、リング状仕切板17,18には、図2や図3に示すように、所要の内径をもつ多数個のオリフィス19が所定のピッチでリング状に配置されている。従って、給水室14は、一方のリング状仕切板18のオリフィス孔19を介して、リング状冷却水室16に連通している。また、排水室13は、他方のリング状仕切板17のオリフィス孔19を介して、リング状冷却水室16に連通している。
また、図1に示すように、給水管3は、右端部10の側面部に固設されることにより、給水室14に連通している。また、排水管4は、左端部9の側面部に固設されることにより、排水室13に連通している。
【0028】
また、左端部9に設けられた排気ガス導入管5は、排水室13を貫通して、仕切板11に貫設されることにより、排気ガス室15に連通している。そして、排気ガス室15の上流部(図1の左側)においては、複数の邪魔板20が所定の間隔を隔てて列設されており、さらに、複数の邪魔板20の中央には、円筒状のコア体41が貫いた状態で取り付けられている。尚、コア体41の内部には、断熱材22が充填された止板23が設けられており、排気ガス導入管5から流入した排気ガスがコア体41の内部を通過しないようにしている。
【0029】
また、各邪魔板20には、所要内径をもつガス通過穴20が1個ずつ形成されており、各邪魔板20のガス通過穴20は、互い違いの位置に配設されている。さらに、各邪魔板20には、図4や図5に示すように、複数の伝熱管24がコア体41を囲い巡らすように貫いた状態で取り付けられている。そして、複数の邪魔板20は、内筒部7の内周面と、コア体41の外周面、各伝熱管24の外周面に隙間無く接続されている。尚、複数の伝熱管24は、図1に示すように、その両端が仕切板11,12に貫設されることにより、給水室14と排水室13とを連通させている。
【0030】
また、本実施の形態の排気ガス熱交換器1では、図1に示すように、排気ガス室15の下流部(図1の最右側の邪魔板20の右側)において、排気ガスの圧力波を消去することを主目的としたサイレンサー部25が設けられている。この点、サイレンサー部25は、第1膨張室26と、第2膨張室27、第1導入管28、第2導入管29、吸音管30などからなっている。
尚、第1導入管28は、第1膨張室26に排気ガスを導くものである。また、第2導入管29は、第1膨張室26から第2膨張室27に排気ガスを導くものである。また、吸音管30は、複数の穿孔31を介して、排気ガスの音波エネルギーを吸音材32に吸収させるものであり、さらに、仕切板12及び給水室14を貫通して、右端部10に設けられた排気ガス導出管6に接続されることにより、外部と連通するものである。
【0031】
そして、図1の排気ガス熱交換器1は、図6に示すように、エンジン駆動式空気調和機のエンジン200に接続される。従って、エンジン200から排出された高温の排気ガスが、図1に示すように、排気ガス導入管5から排気ガス室15に流入すると、コア体41の止板23に衝突した後、各邪魔板20のガス通過穴21を順に通過し、第1導入管28に流れ込んでいく。このとき、各邪魔板20のガス通過穴21は互い違いに配設されているので、各邪魔板20の間の排気ガスは逆方向に曲がりつつ進行する。これに対して、エンジン200の冷却水が、給水管3から給水室14に供給されると、各伝熱管24とリング状冷却室16とに分流し、排水室13で再び合流すると、排水管4から外部に排出される。
【0032】
従って、各伝熱管24のエンジン冷却水(「低温流体」に相当するもの)と排気ガス室15の排気ガス(高温流体)との間で熱交換が行われると同時に、リング状冷却水室16のエンジン冷却水と排気ガス室15の排気ガスとの間でも熱交換が行われるので、エンジン冷却水は加熱され、排気ガスは冷却されることになる。そして、エンジン冷却水が加熱されることにより回収された熱(図6のエンジン200の冷却により回収された熱も含む)は、図示しない別の熱交換器を介して、給湯・暖房などに有効に利用される。
【0033】
また、その一方で、排気ガスが冷却されると、排気ガスの圧力・温度が低下することから、本実施の形態の排気ガス熱交換器1は、排気ガスの排気音を減少させるマフラーの役目も果たしている。
【0034】
もっとも、本実施の形態の排気ガス熱交換器1では、上述したように、排気ガス室15の下流部(図1の最右側の邪魔板20の右側)において、排気ガスの圧力波を消去することを主目的としたサイレンサー部25が設けられているので、第1導入管28に流れ込んだ排気ガスは、第1膨張室26、第2導入管29、第2膨張室27の順に通過して、膨張と絞りが繰り返され、そのため、排気ガスの圧力波は、互いに干渉し合うので、その勢力は失われていくことになる。
さらに、第2膨張室27で膨張した排気ガスは、吸音管30に流れ込むので、排気ガスの音波エネルギーが吸音材32に吸収されることになる。
【0035】
すなわち、本実施の形態の排気ガス熱交換器1では、複数の伝熱管24やリング状冷却水室16を通過するエンジン冷却水に排気ガスの排熱が回収されることにより、排気ガスの圧力・温度が低下し、排気ガスの排気音が減少するので、排気ガスの排気音を減少させる観点からすれば、排気ガス室15の下流部に設けられたサイレンサー部25と同様の働きが熱交換により既に行われていることになる。しかし、本実施の形態におけるサイレンサー部25は、排気ガスの圧力波を消去することにより、排気ガスの排気音を減少させるものであるので、排気ガスの排気音を減少させる作用において異なる働きを持つものである。
【0036】
以上詳細に説明したように、本実施の形態の排気ガス熱交換器1では、図1に示すように、排気ガス室15の上流中央部に設けられたコア体41の外周に、複数の邪魔板20が配設されていることから、排気ガス室15に流入した排気ガスは、コア体41の外周に設けられた各邪魔板20の間を、邪魔板20のガス通過穴21を介して、順に通過していく。このとき、各邪魔板20の間を通過する排気ガスは、コア体41の外周に設けられた複数の伝熱管24(図4参照)に衝突するので、かかる伝熱管24を通過するエンジン冷却水との間で熱交換を行うことになる。
【0037】
この点、各邪魔板20の間を通過する排気ガスは、コア体41の外周に沿って通過しているので、従来技術の欄で説明した図11の排気ガス熱交換器100(以下、「従来技術品」という)とは異なり、その流速は一様に速い。そのため、複数の邪魔板20が設けられた距離を「従来技術品」よりも短くしても、「従来技術品」の交換熱量を確保することが可能となる。
【0038】
具体的に言えば、図7は、排気ガスの入口温度と出口温度を比較した表であり、図8は、エンジン冷却水の入口温度と出口温度を比較した表であり、図9は、外径寸法及び容積を比較した表であるが、図9によれば、本実施の形態の排気ガス熱交換器1においては、熱交換部の距離(複数の邪魔板20が設けられた距離の150mm)が、「従来技術品」の熱交換部の距離(全長の261.6mm)より短いにもかかわらず、図7及び図8によれば、本実施の形態の排気ガス熱交換器1においては、「従来技術品」と比べて、交換熱量が若干多く、「従来技術品」の交換熱量を十分に確保することができる。
尚、図7及び図8での運転条件は、エンジン200の回転数が1800rpm、エンジン200のトルクが40N・m、エンジン冷却水量が16.1L/minである。
【0039】
すなわち、本実施の形態の排気ガス熱交換器1は、上述したように、伝熱管24を通過するエンジン冷却水に回収された排気ガスの排熱が給湯・暖房などに有効利用されることから、エンジン駆動式空気調和機で使用されるものであるが(図6参照)、この点、図1に示すように、複数の邪魔板20と複数の伝熱管24がコア体41の外周に配設されており、「従来技術品」とは異なって、排気ガスの流速が一様に速く、複数の邪魔板20が設けられた距離を「従来技術品」よりも短くしても(図9参照)、「従来技術品」の交換熱量を確保することができるので(図7及び図8参照)、「従来技術品」の交換熱量を確保しつつも設置スペースを縮小することが可能となる。
【0040】
もっとも、本実施形態の排気ガス熱交換器1では、複数の邪魔板20が設けられた距離が「従来技術品」よりも短いことによって(図9参照)、排気ガス室15の下流部(図1の右側)に生じた余ったスペースに対し、サイレンサー部25を付設しており、これにより、スペースの有効利用を図っている。
【0041】
具体的に言えば、図9によれば、本実施の形態の排気ガス熱交換器1の外径(164mm)は、「従来技術品」のもの(200mm)よりも若干大きいものの、本実施の形態の排気ガス熱交換器1の容積(12.6リットル)は、従来技術の欄で説明した図11の排気ガス熱交換器100及びサイレンサー201の合計したもの(12.8リットル)よりも小さくなっており、かかる容積の差(0.2リットル)をもって、スペースの有効利用に貢献している。
【0042】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、本実施の形態の排気ガス熱交換器1では、図1に示すように、排気ガス室15の下流部(図1の右側)の余ったスペースにサイレンサー部25を付設することにより、スペースの有効利用を図っているが、この点、排気ガス室15の下流部(図1の右側)の余ったスペースについては、サイレンサー部25を設けることなく省いてしまえば、「従来技術品」の交換熱量を確保しつつも、本実施の形態の排気ガス熱交換器1の設置スペースが縮小されることになる。
【0043】
また、本実施の形態の排気ガス熱交換器1では、図6に示すように、低温流体として、エンジン200のエンジン冷却水を供給しているが、エンジン200のエンジン冷却水とは別の流体を低温流体として供給してもよい。
【0044】
【発明の効果】
本発明の排気ガス熱交換器は、伝熱管を通過する低温流体に回収された排気ガスの排熱が給湯・暖房などに有効利用されることから、エンジン駆動式空気調和機やコージェネレーションシステムで使用されるものであるが、この点、複数の邪魔板と複数の伝熱管がコア体の外周に配設されており、従来技術のものとは異なって、排気ガスの流速が一様に速く、複数の邪魔板が設けられた距離を従来技術のものよりも短くしても、従来技術の交換熱量を確保することができるので、従来技術の交換熱量を確保しつつも設置スペースを縮小することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排気ガス熱交換器の断面図である。
【図2】図1の排気ガス熱交換器の左側面図である。
【図3】図1の排気ガス熱交換器の右側面図である。
【図4】本発明の排気ガス熱交換器を図1のA−Aで切断した図である。
【図5】本発明の排気ガス熱交換器を図1のB−Bで切断した図である。
【図6】本発明の排気ガス熱交換器を使用したエンジン駆動式空気調和機の排気系のフロー図である。
【図7】本発明の排気ガス熱交換器と従来技術の排気ガス熱交換器において、排気ガスの温度を比較した表である。
【図8】本発明の排気ガス熱交換器と従来技術の排気ガス熱交換器において、エンジン冷却水の温度を比較した表である。
【図9】本発明の排気ガス熱交換器と従来技術の排気ガス熱交換器において、容積を比較した表である。
【図10】従来技術の排気ガス熱交換器を使用したエンジン駆動式空気調和機の排気系のフロー図である。
【図11】従来技術の排気ガス熱交換器の断面図である。
【図12】従来技術の排気ガス熱交換器の筒体の要部を示した斜視図である。
【図13】従来技術の排気ガス熱交換器の伝熱板と伝熱管を示した斜視図である。
【図14】従来技術の排気ガス熱交換器における排気ガスと冷却水の流れを説明するための図である。
【図15】図14の線X−Xで切断した図であって、排気ガスの流速を説明するための図である。
【図16】図14の線Y−Yで切断した図であって、排気ガスの流速を説明するための図である。
【符号の説明】
1 排気ガス熱交換器
2 基体
13 排水室
14 給水室
15 排気ガス室
20 邪魔板
21 ガス通過穴
24 伝熱管
25 サイレンサー部
41 コア体

Claims (3)

  1. 円筒状の基体と、前記基体の一方側に内設された給水室と、前記基体の他方側に内設された排水室と、前記基体に内設されるとともに前記給水室と前記排水室との間に配設された排気ガス室と、前記排気ガス室に内在するとともに前記給水室と前記排水室とを連通する複数の伝熱管と、前記排気ガス室に配設されるとともに前記伝熱管が貫入された複数の邪魔板と、前記邪魔板の各々に穿設されるとともに互い違いに配置されたガス通過穴と、を有し、前記排気ガス室を通過する排気ガスと前記伝熱管を通過する低温流体との間で熱交換を行うことにより、前記排気ガスの排熱を回収して有効利用に供する一方で、前記排気ガスの圧力・温度が低下することにより前記排気ガスの排気音が減少する排気ガス熱交換器において、
    前記排気ガス室の上流中央部に設けられたコア体を備え、
    前記コア体の外周に前記伝熱管と前記邪魔板が配設されたこと、を特徴とする排気ガス熱交換器。
  2. 請求項1に記載する排気ガス熱交換器であって、
    前記排気ガス室の下流部にサイレンサーを設けたこと、を特徴とする排気ガス熱交換器。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する排気ガス熱交換器であって、
    前記低温流体は、前記排気ガスを排出するエンジンの冷却水であること、を特徴とする排気ガス熱交換器。
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