本発明に関わるセンサー検出部を有する針一体型バイオセンサーは、シャープペンシル様構造の小型で、低コスト且つ、機能性に富む構造を応用でき、穿刺、採血、測定の一連の操作が自動的に行なわれ、測定装置の種々の機能を備えている。このバイオセンサー検出部についてさらに詳しく述べる。
バイオセンサー検出部
本発明のバイオセンサー検出部は、少くとも2個の頂部を欠く中空錐体または該中空錐体を形成し得る成形体をスペーサを用いて重ねた状態で多重配置し、多重配置された中空錐体相互間に形成される空間部分を毛細管現象による試料導入部とすると共に、少くとも一方の中空錐体面を導電体で形成せしめて電極反応部を構成させ、毛細管現象により導入された試料と接触可能とした構造を有しており、導電体で形成された各電極部材は端子によって接続されて測定装置へ電気信号が伝えられる。
上記中空錐体を2個以上、一定の間隔を置き、これらの部材を中空錐体先端が下方を向くように配置させることで、下方にある試料液を両者の間に毛細管現象で効率的に導入できる。他方、内側に配置した中空錐体先端には試料液は毛細管現象が作用しないために、試料液の液面よりも高い位置へは移動できない。従って、試料液が浸透している2個の中空錐体の間に、試料液中の測定対象成分と反応する試薬を配置させておけば、試料液と試薬との混合により反応が開始される。このときに得られた化学的および/または生化学的な変化を電気化学的な手法により計測することで、試料液中の対象成分を測定できる。なお本明細書において「Aおよび/またはB」とは、AおよびBの少なくとも1つを意味する。
実際に上記条件で電気化学反応を測定するには、試料液が浸透しうる中空錐体の表面の少なくとも2箇所の部位が導電性材料で独立して形成されている必要がある。この場合、試料液と接触しうる各中空錐体の表面の一部または全部に導電性材料が被覆されていても、一方の中空錐体に少なくとも2箇所の部位が導電性材料で被覆されていても、または各中空錐体全体が導電性材料で形成されていてもどちらでも良い。ただし、測定対象成分に基づく化学的および/または生化学的な変化を正確に捉えるためには、試料液の単位体積あたりの電極面積が大きいことが望ましい。
2つ以上の中空錐体の間隔を一定に保つ方法としては、まず、2つの中空錐体の間にスペーサーを挟む方法や、中空錐体の外側を固定できるような枠にはめ込む方法などが挙げられる。さらに、試料液の状態によって内外2つの中空錐体の位置関係が変更できるような構造をとる方法もある。一般には、縁径の異なる多段縁部を有する中空錐体状支持部材が用いられる。
中空錐体の形状は、中空円錐体、中空角錐体またはこれらの胴部湾曲状体であって、これらを重ね合せたとき、毛細管現象により試料液の導入が可能であれば同じもの同士であっても、異なっていても良い。ただし、少量の試料体積で効率的に測定を行なうには、通常同じ形状の中空錐体を使用することが好ましい。
また、内側の中空錐体の底部と外側の中空錐体の底部を同じ高さにすることで、接触角をもった試料液と、水平な液面をもった試料液の両方に適した構造となる。
さらに、内側の中空錐体の底部の高さより、外側の中空錐体の底部を上げることで、水平な液面をもった試料液に適した構造となる。
さらに、検出部の形状としては、汎用のシャープペンシルやボールペン様のペン先構造のような形状をとることが好ましい。これにより、中空錐体を2つはめ込んだバイオセンサー検出部が製作できる。また、このペン先のような形状の先端の内部またはペン先全体を導電性材料とし、外側が電極の中空錐体を1つはめ込むことでもバイオセンサーの製作が可能である。この場合、中空錐体が1つで済むので、大量生産を考慮する場合、経済的である。
電極に使用する導電性材料としては、中空錐体の表面に被覆する場合、カーボン、銀、銀/塩化銀、白金、金、ニッケル、銅、パラジウム、チタン、イリジウム、鉛、酸化錫、白金黒などから構成することができる。また、カーボンとしては、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、カーボンナノホーン、フラーレン、デンドリマーもしくはそれらの誘導体を用いることができる。こうした電極は、スクリーン印刷法、蒸着法、スパッタリング法、箔貼り付け法、メッキ法などにより中空錐体面上に形成することができる。
この場合の中空錐体材料としては、電気絶縁性であれば金属、ガラス、セラミックスなどの無機材料、プラスチック、生分解性材料、紙などを選択することができる。プラスチックの好適な例としては、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。さらに、立体的な構造が形成しやすく、変形やひび割れなどの形状変化を起こしにくい部材が好ましい。また、これらの部材の立体的な構造の形成は、射出形成法やプレス法により行なっても良い。
プラスチックとしては、硬質ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル、ポリエーテルニトリル、ポリカーボネイト、ポリアミドイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂などが挙げられる。生分解性材料としては、好ましくはポリ乳酸が挙げられる。
一方、中空錐体そのものを電極として使用する場合の導電性材料としては、同様に上記のいずれかの金属またはこれらの金属類からなる合金や上記カーボン類を使用することができる。その場合、立体的な構造が形成し易く、変形やひび割れなどの形状変化を起こし難い部材が好ましい。また、これらの部材の立体的な構造の形成は、射出形成法やプレス法により行なっても良い。
本発明に係るバイオセンサー検出部では、試料導入口から送り込まれる試料液が、反応検出部となる電極系上の試薬層と接触することにより、試薬と試料とが反応する。この反応は電極における電気的な変化としてモニタされる。このような試薬層は、2枚の中空錐体の空間内に存在する電極系上に1個存在することができる。試薬層は、+電極上および−電極上のいずれか一方または両方の表面上に存在することが好ましい。
本発明では、試薬層の表面に、界面活性剤、脂質などの試料液の移動を円滑にする化合物を被覆させることもできる。試薬層の表面に界面活性剤などが被覆されていれば、空気酸化による劣化をさらに抑制することができる。試料液が血液などの場合には、抗血液凝固剤としてヘパリンやプロリキシン−S、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸の金属塩などを被覆してもよい。
試薬層は、酵素、抗体、リボソーム、核酸、プライマー、ペプチド核酸、核酸プローブ、微生物、オルガネラ、レセプタ、細胞組織、クラウンエーテルなどの分子識別素子、メデイエーター、挿入剤、補酵素、抗体標識物質、基質、無機塩類、界面活性剤、脂質、トレハロースなどの糖、グリセリンなどの保湿剤、システインなどの安定化剤のいずれかまたはその組み合わせを、バイオセンサーによる検査対象に応じて、適宜含有させることができる。また、試薬層は塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの無機塩類とキンヒドロンとの組合せを含有させてもよい。
試薬層にはプライマー、DNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオチド三リン酸の組合せを含有させることもできる。さらに、試薬層にはプライマー、DNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオチド三リン酸に、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの無機塩類とキンヒドロンを組合せて含有させることもできる。
試料液が血液などの場合には、抗血液凝固剤を含有させてもよい。抗血液凝固剤としては、例えばヘパリン、プロリキシン−S、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸の金属塩などが挙げられる。
酵素としては、オキシダーゼ又はデヒドロゲナーゼなどの酵素、例えばグルコースオキシダーゼ、フルクトシルアミンオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、尿酸オキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、グルタミン酸オキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、ピルビン酸オキナーゼ、アセテートキナーゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、その他に、コレステロールエステラーゼ、無機ピロホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、アルカリホスファターゼ、ヌクレオチド・トリホスファターゼ、ヌクレオチド・ジホスファターゼ、ヌクレオチド・モノホスファターゼ、イノシトール・ホスファターゼ、プロテイン・ホスファターゼ、アデノシン・トリホスファターゼ、グアノシン・トリホスファターゼ、アデノシン-5'-ジホスファターゼ、カゼイン・ホスファターゼ、チロシン・ホスファターゼ、セリン・ホスファターゼ、トレオニン・ホスファターゼ、マルトースホスホリラーゼ、スクロースホスホリラーゼ、プリンヌクレオチドホスホリラーゼ、アデニル・シクラーゼ、グアニレート・シクラーゼ、グルコースイソメラーゼ、ムタロターゼ、カタラーゼ、プロテアーゼ、NADHオキシダーゼ、ジアホラーゼ、オスミウム・ペルオキシダーゼ複合体、又は、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ、DNアーゼなどの核酸連結酵素、制限酵素などが挙げられる。これらは1種単独でまたは複数を組み合わせて用いることができる。
また、試薬層は、酵素単独ではなく、メデイエーターの組合せとして含有させてもよい。このメディエーターとしてはフェリシアン化カリウム、フェロセン、ベンゾキノン、オスミウム・ペルオキシダーゼ複合体、1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチルスルフォネート(1−M−PMS)、2,6−ジクロロインドフェノール(DCIP)、9−ジメチルアミノベンゾ−α−フェナゾキソニウムクロライド、メチレンブルー、インジゴトリスルホン酸、フェノサフラニン、チオニン、ニューメチレンブルー、2,6−ジクロロフェノール、インドフェノール、アズレB、N,N,N'、N'−テトラメチル−p−フェニレンジアミンジヒドロクロリド、レゾルフィン、サフラニン、ソディウムアントラキノンβ−スルフォネート、インジゴカーミン等の色素、リボフラビン、L−アスコルビン酸、フラビンアデニンジヌクレオチド、フラビンモノヌクレオチド、ニコチンアデニンジヌクレオチド、ルミクロム、ユビキノン、ハイドロキノン、2,6−ジクロロベンゾキノン、2−メチルベンゾキノン、2,5−ジヒドロキシベンゾキノン、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、グルタチオン、パーオキシダーゼ、チトクロムC、フェレドキシン等の生体酸化還元物質又はその誘導体、その他Fe−EDTA、Mn−EDTA、Zn−EDTA、メソスルフェート、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン等などから選択される。
上記の化合物の中では、フェリシアン化カリウム、フェロセン、ベンゾキノン、オスミウム・ペルオキシダーゼ複合体、DCIP、1−M−PMS及び9−ジメチルアミノベンゾ−α−フェナゾキソニウムクロライドが好ましい。
これらのメディエーターの濃度は、40nM以上程度が好ましい。
バイオセンサーをDNAチップとして用いる場合には試薬層として核酸プローブを固定化することができる。この場合には電極をアレイ状に配置させることが好適である。
試薬層は、前記各1組の電極の近傍、あるいは電極表面の一部または全部に形成し、電極とともに反応検出部を構成することとなる。
このような試薬層は、デスペンサなどにより滴下して乾燥するデスペンサ法、粘度を調節したスクリーン印刷法などにより形成することができ、これらの内では、デスペンサ法が好ましい。この試薬層の電極表面または基板表面への固定化は乾燥を伴う吸着法または共有結合法により行うことができる。
電極からの信号を測定装置へと導くには、中空錐体の上部の電極または端子の部分を挟み込んで、接点との摩擦により信号を取り出せる、例えばクリップを使用した方法の他、半田や溶接による接合などによっても達成できる。
電極は、作用極と対極で形成される2極法または作用極と対極、参照極で形成される3極法、あるいはそれ以上の極数の電極法であってもよい。ここで、3極法を採用すると、測定対象物質の電気化学測定の他に、電極反応部に導入される採血の移動速度の計測ができ、これによりヘマトクリット値が測定できる場合がある。その形態の一例としては、例えば2つの中空錐体のうち1つが上下方向に3本の電極パターンを形成させておくことで、試料液が下方にある2本を通過した時刻と、3本目を通過した時刻を求め、その時間間隔と電極間距離から採血の移動速度を算出することができる。
また、2組以上の複数の電極系で構成されていても良い。その場合には、中空錐体に複数の電極が形成されていても、または全体の形状が中空錐体をしていれば、2枚以上の複数の部材から形成されていても、どちらでも良い。この場合、2つの中空錐体の成形物間に挟まれた空間に満たされた試料液が電極系ごとに独立して存在する場合と、1つの試料液が複数の電極系と連続的につながっている場合とがある。これらの場合、前者では各試料液がそれぞれの電極系で独立しているために、他の電極系の影響を受けないという利点がある。後者では、単一項目の測定を同時に複数回行なえるので、正確性の高い測定ができる。
2つの中空錐体の間隔を変えることで、即ち、内側の中空錐体の底部と外側の中空錐体の底部との位置関係を変えることで、試料液の状態にあったサンプル導入が可能となる。
例えば、試料液が接触角を持っている場合には、内側の中空錐体の底部の高さより外側の中空錐体の底部を下げることで、接触角に対応した試料液の導入が可能となる。この場合には、内側に配置した中空錐体の内側はすり鉢の底のような形状のため、試料液は入り込めない。一方、外側の中空錐体の底部も、被検体としっかり密着させることで、試料液は中空錐体から漏れずに済む。上記の構造は、後述する針一体型バイオセンサーに好適である。
さらに、バイオセンサー内への採血の効率的な導入のため、外側中空錐体の試料導入口と被検体液が置かれた平面との密着性を高める目的で、外側中空錐体先端に試料液導入ガイドを設けても良い。試料液導入ガイドの材質としては軟質材料が好適であり、軟質材料としては、ゲル、弾性材料、発泡性材料などを使用することが好ましい。以上に示した試料導入口への修飾は、使用者が穿刺位置を感覚的に把握するための穿刺採血口ガイドとしても役立ち、また滑り止めとしての効果も示すことができるので、試料液導入ガイドの使用は有用性が極めて高い。
また、穿刺位置を視覚的に把握するために、試料導入口および/またはその付近からの照明手段が挙げられる。照明は可視光領域の光の照射であり、好ましくは半導体レーザーまたは発光ダイオード、有機ELなどの発光体であることが望ましい。発光体が半導体レーザーまたは発光ダイオードである場合、バイオセンサーの内部にそれらを組み込むことで、上下2枚の中空錐体の開口部から穿刺部位をスポットライト式に照明できる。あるいは、有機ELをバイオセンサーの内壁に取り付けることでも、上記と同様のスポットライト式の照明効果が得られる。また、有機EL発光体の特性を活かし、試料導入口付近、即ちバイオセンサー底部の少なくとも一部または全部に有機ELを接着または表面加工により形成させることもできる。これにより、穿刺部位を中心とした周囲への照明が可能となる。さらに、これらを併用することで、暗所における操作や弱視者によるバイオセンサーの操作を容易にすることができる。
以上に示した照射手段を採る場合の電力の供給源としては、測定装置またはバイオセンサー本体などに備え付けたバッテリーを用いることができる。測定装置の場合、バイオセンサーの端子または専用の配線を通してバイオセンサーへ電力を供給することができる。
製造時におけるロットなどの条件をバイオセンサーに記憶させておき、使用時にその情報を反映させた測定を行なうことで、より正確性の高い結果を得ることができる。この場合に最も適した手段として、ICタグの使用がある。ICタグは製造時におけるロットや製品番号、酵素などの試薬の情報などが記録でき、それらの情報を反映させた校正が可能となる。さらに、超小型であるので、使い捨ての小型バイオセンサーへの応用にも十分対応できる。
本発明の検出部を用いたバイオセンサーは、測定装置にセットして使用される形態の場合、取替えを容易にするカートリッジ式を採用することで操作性の向上を図ることができる。その場合、バイオセンサーがカートリッジとなり得る測定装置との接続部を備えればよい。
本発明の検出部を用いたバイオセンサーはさらに、測定装置の機能を有することで、完全独立型のセンシングシステムとなりうる。この場合、超小型装置としてICタグをはじめアンプやディスプレイ、バッテリー、メモリ、電気化学測定用回路、スピーカー、音声認識機能、電波時計、電波発信機能などをバイオセンサーに組み込むことで、測定装置が不要な針一体型バイオセンサーが実現できる。
針一体型バイオセンサー
バイオセンサーの2本の中空錐体の部材の中心から穿刺針が突出する構造を有することで、本発明の針一体型バイオセンサーの構築が達成される。ここで述べる針一体型バイオセンサーの特徴としては、既にバイオセンサー検出部の項で述べた特徴がそのまま活用できる。従って、針を一体化するための最良の形態について以下に説明する。
本発明の針一体型バイオセンサーは、例えば外部駆動により穿刺が開始される穿刺部と、外部駆動による穿刺後に針が元の位置に戻るための反力が働く反力部およびバイオセンサー部から構成することができる。この場合、穿刺に外部駆動を要するため、バイオセンサー用の測定装置などに穿刺駆動を備える必要がある。
一方、穿刺駆動を針一体型バイオセンサーに加えることも可能である。その場合、例えば外部からの引き金の作動により穿刺が開始される穿刺駆動部を備え、さらに穿刺部とバイオセンサー部とから針一体型バイオセンサーを構成すればよい。この構成においても、穿刺駆動部には穿刺後に針が元の位置に戻るための反力部が備わっていることが望ましい。
この穿刺駆動を備えた針一体型バイオセンサーにおいては、例えばバイオセンサーの先端部を押すことで内部に備えた引き金が作動し、穿刺が開始される穿刺駆動部を備えても良い。
穿刺駆動を備えた針一体型バイオセンサーは、具体的には穿刺針駆動部が1本の巻きバネのみにより構成されることで、穿刺機構および穿刺後の穿刺針が定位置に戻る機構の両方を備えることができる。この場合、引き金は、巻きバネを引っ張った状態でセットすることができる。そして、引き金の解除は外部からの何らかの作用が必要であるので、例えば前記に示したようにバイオセンサーの先端を押すことで引き金が解除される機構を備えてもよい。
本発明の針一体型バイオセンサーは、2つの中空錐体の間隔を変えることで、採血に顕著な効果が現れる。例えば、試料液が採血のように接触角を持っている場合には、内側の中空錐体の底部の高さより、外側の中空錐体の底部を下げることで、接触角に対応した試料液の導入が可能となる。この場合には、内側に配置した中空錐体の内側はすり鉢の底のような形状のため、試料液は入り込めない。そのため、穿刺針が内側に配置した中空錐体の中心を貫いて被検体の皮膚を穿刺できる構造であれば、皮膚に外側の中空錐体の底部が均一に密着するようにして穿刺することで、穿刺部分から接触角をもった血液が出血し始め、やがて外側の中空錐体の底部全体と接触し、続いて内側の中空錐体の底部にまで血液が達すると、中空錐体の間で試料液が毛細管現象によって電極内部へと導入される。このとき、内側の中空錐体の底部、即ち2つの中空錐体の中心部には血液は導入されることがなく、外側の中空錐体の底部も、皮膚としっかり密着させることで、血液は外部に漏れずに済む。すなわち、この構造は出血した血液を無駄なく効率的に導入するのに非常に適している。
このとき、外側の中空錐体の底部に試料液導入ガイドを設けることで、皮膚との密着性が高まり、さらに効率的な採血が可能となる。試料液導入ガイドの材質としては軟質材料が好適であり、軟質材料としてはゲル、弾性材料、発泡性材料などを使用することが好ましい。さらに、以上に示した試料導入口への修飾は、使用者が穿刺位置を感覚的に把握するための穿刺採血口ガイドとしても役立ち、また滑り止めとしての効果も示すことができるので、試料液導入ガイドの使用は有用性が極めて高い。
針一体型バイオセンサーに使用する穿刺針については、被検体を穿刺する必要があるため、ある程度の強度を持ち、鋭利であることが望ましい。また、穿刺時の痛みを抑えるためには、細い穿刺針が好ましい。さらに、穿刺針は使用されるまでハウジング内に衛生的に収納されている必要があることから、抗菌・抗ウィルスに効果がある光触媒機能を針の表面に付与させても良い。その場合、二酸化チタンの膜が望ましい。
また、穿刺針による穿刺の深さを調整する機構を針一体型バイオセンサーに備えてもよい。この場合、穿刺の深さの調整が針一体型バイオセンサー部と穿刺深さ調整部との間のねじの回転によりなされ、調整がダイヤル式で行なえる機構が挙げられる。また、穿刺深さの調整用に操作性を考慮した調整窓を備えてもよい。
調整ダイヤルには操作性の向上を図るため、視認性の高い表示を設けてもよい。この場合の表示としては、文字、記号、目印、目盛、凹凸などの項目が挙げられる。さらに操作性の向上を図るため、調整ダイヤルには操作性の向上を図るための滑り止めが設けられていることが望ましい。
本発明の針一体型バイオセンサーにおいて、穿刺後のバイオセンサー内部への採血の導入を速やかに行なわせるために、針一体型バイオセンサーの内部に吸引機構を備えても良い。この場合、例えば穿刺駆動部である巻きバネの動きがシリンダー状の穿刺駆動ガイドにより保護されていれば、穿刺駆動ガイドの内壁にパッキンなどで穿刺駆動部を接触させることで、内部の気密性が保たれる。この状態で穿刺後の針が元に戻る際のバネの復元力によって、穿刺駆動ガイド内が陰圧になり、穿刺後の採血を吸引できる。
上記の吸引機構は、内部に逆流防止弁などの気圧調整機構を備えてもよい。この場合、逆流防止弁は内部気圧の上昇を抑えるように機能させることが望ましい。さらに、必要以上の吸引が生じた場合、試料液の過剰な採取を防ぐために、2つの中空錐体の間に設けた空気排出口部分に、試料液は通過できない通気性フィルムを備えてもよい。この場合、通気性フィルムは疎水性材料から構成されることが望ましい。
このようにして形成される本発明の針一体型バイオセンサーは先端部を押すだけで、穿刺、採血、測定の一連の操作が自動的になされる機構が望ましい。これにより、血糖測定において、従来からの課題であった操作性を大きく向上させることができる。
さらに、上記に述べた照明機構を応用して、穿刺駆動の引き金を引くのと連動して照明機能が作動し、採血導入部または採血導入部付近から照射された光が被検体の穿刺部分を照らす機構を備えることで、暗所における操作や弱視者によるバイオセンサーの操作を容易にすることができる。
カートリッジ
本発明の針一体型バイオセンサーは、測定装置にセットして使用される形態の場合、取替えを容易にするカートリッジ式を採用することで操作性の向上を図ることができる。その場合、本発明の針一体型バイオセンサーがカートリッジとなり得る測定装置との接続部を備えればよい。
本発明の針一体型バイオセンサーカートリッジは一回使用のみの使い捨てタイプにもできる。さらに、操作性および衛生面での向上を図るため、センサー先端部を簡易なキャップなどで簡易包装することもできる。また、キャップは再包装も可能であり、廃棄後の感染を防ぐのに役立つ。したがって、感染症患者やペットなどへの使用も可能である。
完全独立型
本発明の針一体型バイオセンサー本体が測定装置の機能を有する場合、超小型装置としてICタグを始めアンプやディスプレイ、バッテリー、メモリ、電気化学測定用回路、スピーカー、音声認識機能、電波時計、電波発信機能などをバイオセンサーに組み込むことで、測定装置が不要なシステムが実現できる。さらに、システムを使い捨てにすることで、さらなる利便性をはかることが出来る。
包装体
針一体型バイオセンサーカートリッジを複数個収納した包装体により、バイオセンサーの携帯性を向上できる。
測定装置
測定装置の機能としては、計測部においてポテンシャルステップクロノアンペロメトリー法やクーロメトリー法またはサイクリックボルタンメトリー法などの計測方法を採用できる。また、正確な時刻に基づいて、採血中の成分測定結果を記録するために電波時計を測定装置に搭載してもよい。
測定装置はさらに、温度補正やヘマトクリット値に関連した血糖値自動補正、バイオセンサー校正、暗所における表示部および穿刺部の手動照明または自動照明、音声ガイド、音声認識、表示向き自動切換え、無線通信、太陽光発電、二次電池、充電、充電状態表示などの機能を備えることで、正確な測定や操作性の向上が図れる。
また、針一体型バイオセンサーカートリッジの測定装置へのセットと連動して一定の時間、照明機能が作動し、測定装置から照射された光が被検体の穿刺部分を照らす機構を測定装置に備えることができる。
測定装置が、バイオセンサー内における試料液の移動速度を測定してヘマトクリット値の測定を求めても良い。これにより、例えば鮮血による血糖測定の値に前記ヘマトクリット値を反映させることで、より正確な測定が可能となる。
測定方法
バイオセンサーの使用時、測定が可能な状態となった状態になると、音声ガイドによる指示がなされ、その指示に従うことで測定が自動的に開始され、音声ガイドが測定完了および廃棄の指示を出し、その間測定結果が無線手段によりメモリ機能を備えた通信機に自動的に送信されるシステムを搭載してもよい。この場合、バイオセンサーは少なくとも2本の電極を備えているので、電極間に試料液が導入され、そのときの電極間の導電率の変化を捉えることで、試料液の種類や形態に関係なく、全自動での測定系が実現できる。
針一体型バイオセンサー場合、針一体型バイオセンサーに付属の引き金を引いた後、測定が可能な状態となり、音声ガイドによる指示に従って、被検体に針一体型バイオセンサーの先端を当て、押し込むことで穿刺が開始され、採血、測定の一連の操作が自動的になされるシステムが望ましい。さらに、音声ガイドが測定完了および廃棄の指示を出し、その間に測定結果が無線手段によりメモリ機能を備えた通信機に自動的に送信され、最終的に掛かり付けの医療機関または臨床機関に送られるのが望ましい。これにより、従来の血糖測定法と比較して、身体が不自由な使用者においても操作性の飛躍的な向上を図ることができる。
前記の通信手段を用いる場合、メモリ機能を備えた通信機として携帯電話やパーソナルコンピュータ、健康管理システムまたは警備・監視システムを使用できるシステムが好ましい。
さらに、針一体型バイオセンサーおよびそれらに使用される測定器装置は、使用者を限定しないユニバーサルな規格に対応し得るものとなっている。
本発明による実施態様のバイオセンサー検出部、針一体型バイオセンサー、カートリッジ及び測定装置について、それぞれ図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に制限されるものではない。
図1は本発明のバイオセンサー検出部8の構成の例を示している。図1aは先端部を下向きにした2つの中空円錐体、すなわち上部電極部材1と下部電極部材2からなる電極系3、および縁径が異なる多段縁部を有する中空錐体状支持部材よりなる電極ガイド7が示されている。図1bは、上部電極部材1および下部電極部材2と、電極ガイド7の3つの部材が順に重なって、バイオセンサー検出部8を形成している様子を示している。この図では、下部電極部材2が電極ガイド7の底部から突出しているのが分る。この形状であれば、バイオセンサー検知部の下方に設けた試料導入口4の真下に試料液が置かれているときに、試料液にバイオセンサーの先端、すなわち試料導入口4を接触させることで試料液を円滑に内部に取り込むことができる。さらに、試料液を円滑に導入するため、図示したバイオセンサーでは2本の中空錐体電極間の空間が、試料導入口では広く、空気排出口では狭い、所謂テーパー構造を採っている。これにより、重力に逆らって試料液が導入されるときの試料容積あたりの電極間の接触面積を上方へ移動するに従って大きくすることができ、毛細管現象を働き易くできる特徴がある。このような特徴から、以降に図示するバイオセンサー検出部では全てこのテーパーの構造を採っているが、本発明は何らこの条件に限定されるものではない。試料液の導入によって排出される空気は、2つの電極部材が重なっている上部の空気排出口6より排出され、3つの部材の隙間から放出される。ここで用いる電極部材は、全体が導電性材料でできていても、部分的であってもよい。後者の場合、電気絶縁性の材料に導電性材料が部分的に組み込まれる形態であっても、電極をなす部分の一部または全部が中空円錐体の表面で導電性材料によってコーティングされていても良い。但し、図1に示されている上部電極部材1および下部電極部材2は、全体が導電性材料で形成されている場合を示す。図1cは、図1bを真横から見たときの透視図である。ここで示されているように、前記電極ガイド7は上下2つの電極部材が個々の配置に置くための形状が取られており、さらに両者の間隔を一定に保ちながら配置させるスペーサとしての機能を併せ持つ形状をなしている。この図では、下部電極部材2が電極ガイド7の底部から突出しているのがより明確に分る。この形状では、試料液が電極ガイド7に接触することなく、バイオセンサー内に導入できる特徴を有していることが分る。
図2は、図1cに示したバイオセンサー検知部の透視図を用いて、試料液がバイオセンサー検出部内部へ取り込まれる様子の例を模式的に示している。図2aは、接触角を有する試料液9をバイオセンサー検知部8から導入する前の状態を示している。図2bは、試料液9がバイオセンサー検知部8の先端と接触している状態を示している。このとき、上下2つの中空円錐体は、内側の円錐体1の先端が外側の先端2に比べて少し高い位置に配置されているため、接触角を持った試料液9に対して、上下2つの円錐体の先端が同時に接触し易い形状を取っていることが分る。この状態を続けると、図2cに示すように、試料液9は2つの円錐体の間にのみ毛細管現象で導入され、内側に配置された円錐体の内側には毛細管現象が働かないために試料液が取り込まれることはない。図2dは、試料液がバイオセンサー検知部8に満遍なく取り込まれた様子を示している。この図が示すように、バイオセンサー先端の検知部8に取り込まれる試料液9は、2つの円錐体が重なる部分、すなわち電極反応部5に限られていることが分る。
図3は、図1cで示したバイオセンサー検知部8の2つの円錐体の先端の高さを揃えた場合の様子の例を示している。
図4は、図3で示したバイオセンサー検知部8の透視図を用いて、試料液9がバイオセンサー内部の電極反応部5まで取り込まれる様子の例を模式的に示している。図4aは接触角を有する試料液9をバイオセンサー検知部8から導入する前の状態を示している。図4bは、試料液9がバイオセンサー検知部8の先端と接触している状態を示している。このとき、上下2つの円錐体の先端は同じ高さにあるため、試料液9はまず内側の円錐体1の先端と接触し、次いで外側の円錐体2の先端に接触する。この状態を続けると、図4cに示すように、図2cと同様に、試料液9は2つの円錐体の間に、すなわち電極反応部5のみに毛細管現象で導入され、内側に配置された円錐体1の内側には毛細管現象は働かないために、試料液が取り込まれることはない。図4dは、試料液9がバイオセンサーの検知部8に満遍なく取り込まれた様子を示している。この図が示すように、バイオセンサー先端の検知部8に取り込まれる試料液9は、2つの円錐体が重なる部分に限られていることがわかる。
図5は、図1cで示したバイオセンサー検知部8の2つの円錐体の先端の高さを内側1が低く、外側2が高く設定した場合の様子の例を示している。
図6は、図5で示したバイオセンサー検知部8の透視図を用いて、試料液9がバイオセンサー内部の電極反応部5へ取り込まれる様子の例を模式的に示している。図6aは水平面を有する試料液9をバイオセンサー検知部8から導入する前の状態を示している。図6bは、試料液9がバイオセンサー検知部8の先端と接触している状態を示している。このとき、上下2つの円錐体の先端は高さが違うため、試料液9はまず内側の円錐体1の先端と接触し、次いで外側の円錐体2の先端に接触する。この状態を続けると、図6cに示すように、図2cおよび図4cと同様に、試料液9は2つの円錐体の間のみに毛細管現象で導入され、内側に配置された円錐体1の内側には毛細管現象は働かないために試料液9が取り込まれることはない。図6dは、試料液9がバイオセンサーの検知部8に満遍なく取り込まれた様子を示している。この図が示すように、バイオセンサー先端の検知部8に取り込まれる試料液9は、2つの円錐体が重なる部分に限られていることが分る。
これまでに示してきたようにバイオセンサー検知部8には、これまで図示してきた3種類の態様がある。図7は、各態様が自在に切り替えられる機構の例を示している。
図8は、下部の電極部材の形状を胴部湾曲状体63に置き換えた例を示す。さらに、この場合では図1に示したバイオセンサー検出部8と同様に、内側の円錐体の先端1が外側の先端2に比べて少し高い位置に配置されている。この場合、試料液の状態に応じて、2つの中空錐体先端部の高さを変更してもよく、さらに2つの中空錐体先端部の高さが試料液の状態をみて自在に変更できるような機構を備えても良い。
図9は、上部中空錐体62が2電極、下部中空錐体62′が1電極を形成している例を示している。図9aは、上部中空錐体62が電気絶縁性材料からなり、その表面を縦方向に2分するように導電性材料が被覆され、電極パターン66を形成し、下部中空錐体62については、導電性材料で電極65を形成している状態を示している。図9bは、図1bと同様に、上部中空錐体62および下部中空錐体62′と、電極ガイド7の3つの部材が順に重なって、バイオセンサーの検出部8を形成している様子を示している。図9cは、図1cと同様に、上部中空錐体62の先端の高さが下部中空錐体62′の先端の高さに比べて高い位置に配置されている場合を示しているが、この高さの関係は必要に応じて変更が可能である。図示のとおり、上部中空錐体62と下部中空錐体62′の先端が試料導入口4となり、上部中空錐体62と下部中空錐体62′の間が電極反応部5となる。このバイオセンサーでは3電極であるため、その内の一つは参照極、つまり3種の電極からなる電極系とするか、あるいは2個が作用極として、残り1個が対極(2種の電極からなる電極系)とすることができる。なお、3電極からなる電極系の場合、作用極はバイオセンサーを用いて試料中の測定対象物質を定性的、定量的に測定する際に電圧が印加されて測定試料中の生体触媒反応による変化を電気的に検知する電極、対極は作用極との間に電流を起こさせるために設けられる電極、参照電極は作用極の電位設定の基準となる電極となる。
図10は、8個の電極の組み合わせからなる単一項目同時測定用バイオセンサーの例で、上部中空錐体62が多電極系3、下部中空錐体62′が1電極を形成している場合を示している。図10aは、電気絶縁性材料からなる上部中空錐体62、電極を形成している下部中空錐体62′およびスペーサとしても機能する電極ガイド7を示している。上部中空錐体62については、その先端方向に対し、水平に溝が開けられており、各溝の間の表面部分には導電性材料64が被覆され、全体が多電極系3を形成している。図10bは、図9bと同様に、上部中空錐体62および下部中空錐体62′と、電極ガイド7の3つの部材が順に重なって、バイオセンサーの検出部8を形成している様子を示している。図10cは、図9cと同様に、上部中空錐体62の先端の高さが下部中空錐体62′の先端の高さに比べて高い位置に配置されている場合を示しているが、この高さの関係は必要に応じて変更が可能である。また、この場合、上部中空錐体62の溝を介した電極64部分と下部中空錐体62′の先端が、それぞれの試料導入口4となり、両者間がそれぞれの電極反応部5となる。この形態のバイオセンサー検出部の場合、各電極反応部5に同じ試薬を配置させておけば、例えば一つの検体から単一項目の複数測定結果を得ることができるので、再現性の高い、即ち信頼性の高い測定結果を得るのに適している。
図11は、上部中空錐体のみが電極系3(3電極系)を形成している場合を示している。図11aは、上部中空錐体62および下部中空錐体62′が電気絶縁性材料からなり、上部中空錐体62については、その表面を水平に3分割するように導電性材料が被覆され、電極パターン66、即ち3電極系3を形成している状態を示している。図11bは、図9bと同様に、上部中空錐体62および下部中空錐体62′と、電極ガイド7の3つの部材が順に重なって、バイオセンサーの検出部8を形成している様子を示している。図11cは、図9cと同様に、上部中空錐体62の先端の高さが下部中空錐体62′の先端の高さに比べて高い位置に配置されている場合を示しているが、この高さの関係は必要に応じて変更が可能である。図示のとおり、上部中空錐体62と下部中空錐体62′の先端が試料導入口4となり、上部中空錐体62と下部中空錐体62′の間が、電極反応部5となる。この場合、電極パターン66が水平方向に3本配置されているので、試料液が電極反応部5に取り込まれる際の移動速度を計測することができる。即ち、試料液がバイオセンサーの下部から取り込まれ、例えば下部の2電極間を試料液が通過した時刻と、上部2電極間を試料液が通過した時刻および各電極間距離から試料液の移動速度の計測ができる。従って、この形態のバイオセンサーを血糖センサーに応用することで、ヘマトクリット値の測定が可能となる。
図12は、上部中空錐体電極部材64が2分割された場合を示している。図12aは、上部中空錐体電極部材64および電気絶縁性材料の下部中空錐体62′、電極ガイド7を示す。ここで、上部中空錐体電極部材64については、導電性材料が2分割され、2電極からなる電極系3を形成している状態を示している。図12bは、上部中空錐体電極部材64および下部中空錐体62′と、電極ガイド7の3つの部材が順に重なって、バイオセンサーの検出部8を形成している様子を示している。図12cは、上部中空錐体電極部材64の先端の高さが下部中空錐体62′の先端の高さに比べて高い位置に配置されている場合を示しているが、この高さの関係は必要に応じて変更が可能である。図示のとおり、上部中空錐体電極部材64と下部中空錐体62′の先端が試料導入口4となり、上部中空錐体電極部材64と下部中空錐体62′の間が電極反応部5となる。
図13は、8組の電極系からなる多項目同時測定用バイオセンサーの例で、図10と同形の複数電極からなる上部中空錐体電極部材64と、同じく複数電極からなる下部中空錐体65が個々に2電極からなる電極系3をなすように重なって、全体として多電極系3を形成している様子を示している。図10aは3つの部材の構成図で、図13bは組立図、図13cは透視図を示す。図13cでは、各電極系が独立して試料液を導入するため、各電極系の試薬の混合の影響を受けないで済み、単一項目の同時測定に限らず、多項目同時測定にも向いている。
図14は、図13に示した8組の電極系からなる多項目同時測定用バイオセンサーのスペーサの役割を果たしていた電極ガイドの形状を代えた場合の例を示す。図14aは、上部が筒状で下部が中空錐体62とスペーサとしての電極ガイド7、上部が筒状で下部が中空錐体の下部電極部材2からなるバイオセンサーの部材の各構成を示している。ここでは、下部電極部材2は分解図を示しており、その上部が筒状で下部が8本の独立した電極が全体として中空錐体をなすように配置されている。そして、上部筒状部分は電気絶縁性の部材の表面に電極から延びた配線68および端子17が形成されている。この構造は、上部電極部材62も類似している。図14bは上記3つの部材を重ねてバイオセンサー検出部を組み立てた場合の様子を示している。この図が示すように、上下中空錐体の上部筒状部分の表面には配線68および端子17が形成されている。このバイオセンサー検出部の形態であれば、シャープペンシル様構造のペン先のごとく非常に微細な形状であるので、試料体積が少なくて済み、この状態で接続可能な測定装置により、取替えが可能なカートリッジ式のバイオセンサーにもなり得る特徴を有している。図14cは、バイオセンサーの透視図を示す。この図より、各電極系が独立しているのがわかる。
図15は、多項目同時測定用バイオセンサー検出部の12組の電極系の例を示す。図15aは、12個の電極が中空錐体に集まって、全体として上部中空錐体電極部材64および下部中空錐体電極部材65を形成し、それらが重なって電極系3をなしている様子を示している。図15bは、12組の電極系の手前半分を透視図で示した様子を示す。図14cと同様に、各電極系が独立しているのがわかる。これは、中空錐体を形成し得る成形体の例である。
図16は、図15に示した多電極系3の組み立ての一例を示す。図16aは、配線68を含む電極支持体67によって各電極の内側が支えられた上部中空錐体電極部材64、配線68を含む電極支持体67によって各電極の外側が支えられた下部中空錐体電極部材65および上部中空錐体電極部材64と下部中空錐体電極部材65が一定の間隔を置いて重なり合って形成されるバイオセンサー電極系3を示す。図16bからcは、この形態において、上下の中空錐体電極部材の配置を変えた場合の例を示している。
図17は、図15および図16に示したバイオセンサー検出部の上下の中空錐体電極部材の配置を変えることで、種々の形の試料液に対応できることを示す図である。図17aは接触角を持った一滴の試料液を12組の電極系へ導入する様子を、図17bは接触角を持った12滴の試料液をそれぞれ12組の電極系へ導入する様子を、図17cは平らな水面を持つ試料液を12組の電極系へ導入する様子をそれぞれ示している。
図18は、図1に示したバイオセンサー検知部において、下部電極部材の先端、即ち試料液導入口4の周囲に試料導入口ガイド55を設けた場合の一例を示す。図18aは構成図、図18bは組み立て図、図18cは透視図を示す。図18に示す形態であれば、例えば穿刺針が2つの中空錐体の中心から突出して、被検体の皮膚を突き破って出血した血液を採取するタイプの針一体型バイオセンサーに応用することで、試料導入口ガイド55が皮膚との密着性を高め、試料導入を効率的に行なうことができる。さらには、吸引機構を備えたバイオセンサーにおいても密着性が良いために効果的である。
図19は、図1に示したバイオセンサー検知部を外部からの穿刺駆動を要する針一体型バイオセンサーに応用した場合の例を透視図で示している。この針一体型バイオセンサーカートリッジ10は、バイオセンサー検知部8、測定装置固定部11、穿刺針駆動部12から構成されている。バイオセンサー検知部8には、上部電極部材1と下部電極部材2の間に電極ガイド7が配置され、さらに両電極には端子17部が設けられている。バイオセンサー検知部8と穿刺針駆動部12の境目には、中心部に穿刺針14が移動するための貫通穴21を設けた穿刺針駆動部基板16が配置されている。穿刺針駆動部12は、穿刺針固定部13で固定された穿刺針14と巻きバネ15とから構成されている。穿刺針駆動部12の上部には、外部の穿刺駆動19を受け入れる外部駆動導入部20があり、それには測定装置への端子17が設けられている。この針一体型バイオセンサーの場合、外部駆動19によって穿刺針がバイオセンサーの先端から突出した後に、もとの配置に戻る仕組みになっている。この針一体型バイオセンサーの先端に被検体の皮膚を当てて穿刺することで、血液が接触角を持ちながら皮膚の外を流れ出る。この出血が続くと、やがて電極をなす上部中空錐体1の先端に採血が接触し、その後この採血は電極反応部へと速やかに導入され、測定が開始される。
図20は、図19に示した針一体型バイオセンサーカートリッジの内、本体の先端部が下部電極部材(下部中空錐体)2を形成している例を示している。この形態をとることで、下部中空錐体2の分の部材が一つ省略できる。この場合、本体の先端部が電極材料で構成されていても、内壁部分だけが導電性材料で被服されて、それが電極を形成していても良い。
図21は、中空錐体の電極部材への端子の接続例を示している。この図が示すように、本発明の電極部材への接続は、クリップのような形状を有した端子17で行なっても良い。
図22は、本発明の外部穿刺駆動を必要としない針一体型バイオセンサーカートリッジ46の一例を示している。前記カートリッジ46は穿刺針駆動部12およびバイオセンサー検知部8から構成されており、その特徴としては、バイオセンサー検知部を押し込むことで、内部の引き金が外れ、穿刺、採血、測定の一連の操作が自動で完結できること、穿刺深さの調整が可能であることが挙げられる。バイオセンサー検知部を押し込むことで内部の引き金が外れる機構を採るため、カートリッジ46は針一体型バイオセンサーインナーハウジング35と針一体型バイオセンサーアウターハウジング36が独立して動く構造を有している。従って、インナーハウジング35内には針一体型バイオセンサー本体が収まっている。また、穿刺針駆動部基板16を含めたバイオセンサー検知部8の部分は、図19で示した針一体型バイオセンサーカートリッジのものと同等である。
穿刺針駆動部12は、1本の巻きバネ15で穿刺が完了できる構造を採っている。穿刺針駆動部12は、巻きバネ15を含む駆動系26および穿刺が開始できる状態にするための引き金部、穿刺深さ調節部から構成される。さらに、巻きバネ15を含む駆動系26は、穿刺針支持体24、穿刺針ガイド25、それらの穿刺駆動ガイド34および穿刺駆動停止部33から構成されている。引き金部は、穿刺針支持体24の上部の顎が、アウターハウジング36の上部に設けた可動式フック29に引っ掛かることで引き金がセットされる機構となっており、この場合には穿刺針支持体24の上部に設けた摘み30によって引き金がセットされる。この詳しい動作については後で詳細に述べる。穿刺深さ調節部は、インナーハウジング35の上下を2分する構造で、両者をつなぐために設けたネジの回し加減により、穿刺深さが調整できる仕組みを取っている。この詳しい動作機構についても後で詳細に述べる。
図23は、図22で示した穿刺駆動付き針一体型バイオセンサーカートリッジ46のバイオセンサー検知部8について、その構成例を示している。図23aは、図22のカートリッジ46のバイオセンサー検知部8を示している。図23bは、バイオセンサー検知部8の各構成部材を斜め前方より眺めた場合を示す。ここで、下部電極部材2は電極ガイド7、上部電極部材1、検知部用スペーサ38が下部電極部材2上で所定の位置で重なって構成できるように、円盤状の平面部分と円錐体で形成されている。図23cは、図23bで示したバイオセンサー検出部8の各構成部材を重ね合せたときの例を示している。図23dは、図23bで示したバイオセンサー検出部8の各構成部材の平面図、図23eはバイオセンサー検出部8を組み立てたときの例の平面図を示している。この図より、上部電極部材1の中央には貫通穴21が空いているのがわかる。この貫通穴21は穿刺針14の通路および試料導入口(採血口)となる。
図24は、図22で示した穿刺駆動付き針一体型バイオセンサーカートリッジ46の穿刺針駆動部26について、その構成例を示している。図24aは、穿刺針駆動部26の構成図を示している。穿刺針駆動部26は、穿刺針14とその支持体23を収める穿刺針ガイド24、穿刺駆動のための巻きバネ15、穿刺針駆動部基板16から構成されている。ここで、上部の穿刺針ガイド24は、可動式フックに引っ掛けるための顎の部分と引き金をセットするために設けた摘みのネジ式導入部(ネジ穴)39を有している。また、下部の穿刺針ガイド24は、穿刺針の移動を規制する目的で設けてある。穿刺針駆動部26は、その下に描いたバイオセンサー検出部8の上に配置される。図24bは、穿刺針14、穿刺針ガイド24の組立図を示す。図24cは、穿刺針14、穿刺針ガイド24、巻きバネ15の組立図を示す。ここでは、穿刺駆動が働き、巻きバネ15が最大限縮まり、穿刺針が下方に大きく突出している状態を示している。図24dは、図24cの穿刺駆動部26の状態で、バイオセンサー検知部8と組み合わせたときの状態を示す。このように、巻きバネ15が最大限縮まっている場合には、穿刺針14の先端がバイオセンサー検知部8の中央から少し突出することが分る。これにより、被検体の皮膚の穿刺が可能であることが分る。
図25は、図22で示した穿刺駆動付き針一体型バイオセンサーカートリッジ46の主な構成部材を示している。ここでは、バイオセンサー検知部8および穿刺駆動部26の他に、穿刺駆動ガイド34、針一体型バイオセンサーインナーハウジング35、穿刺深さ調整部27、針一体型バイオセンサーアウターハウジング36が主な構成部材となっていることが分る。ここで、穿刺駆動ガイド34はバイオセンサー検知部8の上部に配置され、穿刺駆動部26を囲い、穿刺深さ調整部27と穿刺深さ調整用ネジ部25でつながっている。続いて、穿刺駆動ガイド34は針一体型バイオセンサーインナーハウジング35内に収まる。針一体型バイオセンサーインナーハウジング35はさらに、針一体型バイオセンサーアウターハウジング36内に収まり、蓋31がされることで、図22で示したカートリッジ46が組み立てられる。最後の工程で摘み部分30が蓋31を貫通して穿刺針ガイド24にねじ込まれることで、カートリッジ46が組み立てられる(組立工程は図28を参照)。カートリッジ46がバイオセンサー検知部8を押し込み、穿刺・採血するために、インナーハウジング35はアウターハウジング36内で上下方向に鉛直移動ができる構造を採っている。インナーハウジング35の外側とアウターハウジング36の内側には位置決め用のガイド37が設けられている。また、インナーハウジング35が移動できる間隔をアウターハウジング36に設けた穿刺深さ調整窓42を介して調整することで、バイオセンサー検出部8から突出する穿刺針14の穿刺深さを調整できる仕組みになっている。具体的には、インナーハウジング35の内部では穿刺駆動ガイド34と穿刺深さ調整部27との間が穿刺深さ調整用ネジ部25で連結してあり、穿刺深さ調整部27は、穿刺駆動ガイド34とは異なり、アウターハウジング36内で水平方向の回転が可能で、それにより、穿刺駆動ガイド34と穿刺深さ調整部27とからなる連結体の長さは、穿刺深さ調整用ネジ25で調整できる。さらに、穿刺深さ調整用ネジに滑り止め32および穿刺深さ調整目盛41を設けることで、操作性の向上を図っている。穿刺深さ調整目盛41の位置を明確にするため、アウターハウジング36の外側上部にも穿刺深さ調整目盛41を備えている。
図26は、図25で示した穿刺駆動付き針一体型バイオセンサーカートリッジ46におけるアウターハウジング36の正面図(a)および背面図(b)、図26aのA-A'断面図(c)、図26aのB-B' 断面図(d)、インナーハウジング35の正面図(e)、図26eのC-C'断面図(f)を示している。図26aでは、穿刺深さ調整の操作を容易にするための大きな穿刺深さ調整窓42が設けられている。図26bでは、アウターハウジング36の背面において、カートリッジ46を測定装置に接続するためのフック44およびインナーハウジング35表面に設けた端子17が測定装置に接続するための端子窓43が設けられている様子を示している。図26cでは、アウターハウジング36のA-A'断面において、測定装置接続用フック44および端子窓43、インナーハウジング35の位置決め用ガイド37の配置が示されている。図26dでは、アウターハウジング36のB-B'断面において、測定装置接続用フック44およびインナーハウジング35の位置決め用ガイド37の配置が示されている。図26eでは、インナーハウジング35の正面図において、穿刺深さ調整部27およびアウターハウジング36との位置決め用ガイド37の配置が示されている。図26fでは、インナーハウジング35のC-C'断面において、アウターハウジング36との位置決め用ガイド37の配置が示されている。
図27は、アウターハウジング36の蓋31の例が示されている。図27aは、蓋31を斜め上から見た場合を示す。ここでは、穿刺針ガイドの引き金をセットするための可動式フック29が2箇所に設けられているのが分る。図27bは、蓋31の内部を真上から見た平面図を示す。中心の穴21は、穿刺針ガイドにつなぐ摘みをアウターハウジング36の外側から取り付けるためのものである。図27cは、図27aに図示した蓋をA-A'切断面から見た場合を示す。断面図には中央に貫通穴21と可動式フック29が配置されている様子が分る。
図28は、本発明の穿刺駆動付き針一体型バイオセンサーカートリッジ46の組み立ての順番を示す。図29は、カートリッジ46の正面側斜視図(a)および背面側斜視図(b)を示す。
図30は、本発明の穿刺駆動付き針一体型バイオセンサーカートリッジ46の断面図により、穿刺における動作の流れを示す。図30aは使用前の状態を示す。この図が示すように、本発明のバイオセンサーは未使用時においては穿刺針14がカートリッジ46の内部に収まっており、安全であることが分る。図30bは摘み30を引くことで巻きバネ15が伸び始め、引き金をセットする直前に穿刺針ガイド24の上端部が可動式フック29に接触した状態を示す。図30cは摘み30を引いて、穿刺針ガイド24の上端部が蓋31の内側に当たったときの状態を示す。図30dは摘み30を引いて、穿刺針ガイド24の顎の部分が可動式フック29に引っ掛り、引き金がセットされたときの状態を示す。図30eは、バイオセンサー検知部8先端を押すことで、アウターハウジング36が下方へスライドし、穿刺開始用引き金部28が可動式フック29の上部を押すことで引き金が自動で引かれたときの状態を示す。この状態では、今まで伸ばされていた巻きバネ15が縮むことで、バイオセンサー検知部8先端から穿刺針14が突出する。図30fは穿刺が終わり、穿刺駆動部26が元の位置に戻った状態を示している。
図31は、本発明の穿刺駆動付き針一体型バイオセンサーカートリッジ46を測定装置に接続した状態で穿刺を行なったときの断面図を示す。図31aは、引き金をセットした状態で想定装置51に接続したときを示す。図31bは、引き金が解除されて、穿刺状態にあるときを示す。この場合、測定装置51にはカートリッジ46との電気的な接続を遮らないように端子17部分が可動式となっており、カートリッジ46内のインナーハウジング35の動きに連動が可能な構造を採っている。測定装置51の端子17の可動部分には、動きが円滑になるよう回転子50をスライド内49に設けている。
図32は、本発明の穿刺駆動付き針一体型バイオセンサーカートリッジ46および測定装置の例を示す。図32aは、カートリッジ46を測定装置51に接続した時の測定装置の正面図を示す。測定装置51は、操作パネル52が設けられ、パネル52上には表示部53と操作ボタン54が設けられ、その下部には操作性の向上を図るために滑り止め32が設けられ、底部にはカートリッジ46の接続部分として針一体型バイオセンサーカートリッジ導入部47を設けてある。図32bはカートリッジ46を取り付けた測定装置51の側面を示している。この側面には、操作パネル52の反対側に携帯性を向上させるためのフック44が設けられている。図32cは、カートリッジ46および測定装置51の底部の針一体型バイオセンサーカートリッジ導入部47の構造を示してある。この図より、カートリッジ46の中心には下部電極部材2および、そのさらに中心に穿刺針14の貫通部および試料液導入口を兼ねる貫通穴21が設けられている。カートリッジ導入部47にはカートリッジ46のフック44が入り込めるフックフォルダー48およびカートリッジ46からの電気信号をとるための端子17が設けられている。さらに、カートリッジ導入部47のフックフォルダー48の下部には、穿刺・採血時における操作性の向上を図るため、滑り止め32が設けられている。図32dはカートリッジ導入部47にカートリッジ46が、はめ込まれた状態の底面図を示している。
ここで、図32に示す測定装置51について説明する。この測定装置には電波時計が搭載され、正確な時刻管理に基づいて、採血中の成分測定結果を記録でき、さらに温度補正、ヘマトクリット値に関連した血糖値自動補正、バイオセンサー校正、暗所における表示部および穿刺部の手動照明または自動照明、音声ガイド、音声認識、表示向き自動切換え、無線通信、二次電池の充電、充電状態表示等の機能を備えている。
上記の機能を搭載した測定装置51に針一体型バイオセンサーカートリッジ46を導入した時の測定例を以下に示す。予めカートリッジ46の引き金を引いた後、測定が可能な状態となり、カートリッジ46を測定装置51に導入する。測定装置51の音声ガイドによる指示に従って、被検体に該カートリッジ46の先端を当て、押し込むことで穿刺が開始され、採血、測定の一連の操作が自動的になされる。次に、音声ガイドが測定完了および廃棄の指示を出し、その間、測定結果は測定装置の表示部に表示され、さらにブルートゥース(登録商標)等の無線手段によって、メモリ機能を備えた通信機に自動的に送信され、最終的に掛かり付けの医療機関または臨床機関に送られる。また、この場合のメモリ機能を備えた通信機は、携帯電話、パーソナルコンピュータ、健康管理システムまたは警備・監視システムのいずれでも良いが、もっとも身近な携帯電話を介した通信が最適である。以上に示した測定装置51の測定方法は、使用者を制限しないユニバーサルな規格に適合している。
図33は、図32で示した本発明の穿刺駆動付き針一体型バイオセンサーカートリッジ46および測定装置51の暗所における測定例を示す。図33aにはカートリッジ46、および図33bにはカートリッジ46の引き金を引くことで照明のスイッチが入り、貫通穴21からスポットライト58が照射されている状態を示す。この場合、カートリッジ46に半導体レーザーまたは有機ELと電池が組み込まれている。この状態で測定装置51にカートリッジ46を取り付けることで、図33cに示すように、暗部においても被検体60上の穿刺部および表示部の視認性が確保され、操作性が向上されている様子が分る。ここで示してある測定装置51の底部には、穿刺箇所の周囲も明るくできるための照明およびバックライトによる表示部の点灯機構が設けられている。
図34は、本発明の測定機能を備えた完全独立型の穿刺駆動付き針一体型バイオセンサー70の測定例を示す。図34aは、針一体型バイオセンサー70の使用前の状態を示している。針一体型バイオセンサー70は、測定装置の機能を内部搭載させることで完全独立型の形態をとっている。測定装置の機能として、採血中の成分測定結果を記録でき、温度補正、ヘマトクリット値に関連した血糖値自動補正、バイオセンサー校正、暗所における穿刺部の照明、音声ガイド、音声認識、無線通信等の機能を備えている。さらに、これらの機能を行なうための電源として電池が搭載されている。ここで搭載される電池は、一次電池であり、針一体型バイオセンサー70に使用する試薬の使用期限まで電力が維持でき、測定時における電力が補えられる。図34bは、針一体型バイオセンサー70の暗所における測定例を示す。この図が示すように、摘みを引いて引き金をセットすることで照明のスイッチが入る。穿刺部の照明は内部に設けた発光体による貫通穴からのスポットライトと針一体型バイオセンサー70の底部に設けた発光体による穿刺箇所の周囲の照明によってなされる。この照明機能の作動は針一体型バイオセンサー70の外部に設けたスイッチによりON-OFFの切り替えができる。引き金をセットすると、測定の準備が整ったことを使用者に音声で伝えることができる。この場合にも、針一体型バイオセンサー70の外部に設けた作動スイッチによりON-OFFの切り替えができる。図34cは、針一体型バイオセンサー70による測定が完了した後の状態を示す。この図が示すように、針一体型バイオセンサー70からは測定が完了したことを音声で使用者に伝え、それと同時に、得られた結果の情報はブルートゥース(登録商標)等による無線手段で携帯電話60に送られ、最終的には掛かり付けの医療機関61へと転送される。上記のとおり、この図で示した針一体型バイオセンサー70の操作性は使用者を限定しないユニバーサルな規格に対応している。
図35は、本発明の穿刺駆動付き針一体型バイオセンサーカートリッジ46の包装例を示す。図35aは包装体57、図35bは包装体にカートリッジ46が収納されている状態、図35cは簡易包装キャップ56により包装されたカートリッジ46、図35dは簡易包装キャップ56を取り外したカートリッジ46の例を示す。ここで本包装体は形状が類似していれば、上記に示したバイオセンサー8および針一体型バイオセンサーカートリッジ46、測定機能を備えた完全独立型の穿刺駆動付き針一体型バイオセンサー70にも使用ができる。
図36は、図14に示した本発明のバイオセンサー8の包装例および測定例を示す。図36aは包装体57、図36bは包装体にバイオセンサー8が収納されている状態、図36cは包装体に収納されているバイオセンサー8、図36dは包装体に収納されているバイオセンサー8を測定装置51に取り付けた状態の例を示す。ここで、測定装置51は、先端の導入部71を包装体57に収納されているバイオセンサー8の端子に直接差し込んで使用できる。この形態であれば、持ち運びが可能なため、種々の測定への応用ができる。例えば、携帯が容易な形状であるため、現場における水質測定への応用に効果的である。また、この形態においても、測定装置51に穿刺針および穿刺駆動を加えることで、穿刺による体液成分の単一項目同時測定または多項目同時測定が可能となる。さらに、この図に示したバイオセンサー8を1電極系に変更して使用するなどの応用も可能である。