JP4630043B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
なお、液滴を除去されたアノードガス(アノードオフガス)は、アノードガスの供給路に循環されて再利用される。
第1実施形態として、燃料電池で発電される発電電流値とアノードガスの温度とに基づいてドレイン弁の開閉時間を制御する燃料電池システムに本発明を適用した場合について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムを示した概略構成図である。
燃料電池システム1は、図1に示すように、燃料電池2と、アノードガスから水分を分離する気液分離器3と、分離された水の排出口を開閉するドレイン弁4と、アノードガスの温度を計測する温度センサ5と、燃料電池で発電された電流値を計測する電流センサ6と、ドレイン弁4の開閉を制御するECU7と、水素を貯蔵する水素タンク11と、エジェクタ12と、コンプレッサ13と、これらを結ぶアノードガス流路およびカソードガス流路と、燃料電池2から供給される電流で駆動する駆動装置14と、から構成されている。燃料電池システム1は、気液分離器3で分離・収集した水をドレイン弁4から排出するとともに、ドレイン弁4からアノードガスを排出するようになっている。
以下、当該燃料電池システム1の各構成要素について説明する。
燃料電池2は、図1に示すように、電解質膜21を挟んでアノード極22とカソード極23とを備えている。アノード極22は、配管11a、12aを介して水素タンク11に接続され、水素を含むアノードガス(燃料ガス)が供給されるようになっている。また、アノード極22は、配管5aを介して気液分離器3に接続されている。カソード極23は、配管13aを介してコンプレッサ13に接続されており、酸素を含むカソードガス(酸化剤ガス、例えば空気)が供給されるようになっている。また、カソード極23は、配管13bを介してカソードガスおよび生成水を放出可能となっている。
気液分離器3は、燃料電池2から排出されるアノードガスから水分を分離する装置であり、図1に示すように、配管5aを介して燃料電池2のアノード極22に接続されている。気液分離器3は、アノードガスから分離した水を貯留するタンクを備えている。また、気液分離器3は、配管3aを介してエジェクタ12に接続されており、気液分離器3で水分を分離されたアノードガスは、エジェクタ12によって吸い上げられて再び燃料電池2に供給される。さらに、気液分離器3は、排水口となる配管3bを備えており、回収した水を排出可能になっている。
ドレイン弁4は、図1に示すように、気液分離器3の排水口である配管3bの途中に設けられており、配管3bを開閉可能になっている。また、ドレイン弁4は、後記するECU7に電気的に接続されており、ECU7からの信号を受けて開閉するようになっている。ドレイン弁4としては、例えばボール式、バタフライ式の電動弁などを用いることができる。
温度センサ5は、アノード極22から排出されたアノードガスの温度を計測するセンサであり、図1に示すように、アノードガスの流路である配管5aに設置されている。また、温度センサ5は、後記するECU7に接続されており、計測したアノードガスの温度データをECU7に送信可能になっている。
電流センサ6は、燃料電池2で発電された電流値(発電電流値)を計測するセンサであり、図1に示すように、燃料電池2と駆動装置14とを接続する外部回路6a上に設けられている。また、電流センサ6は、後記するECU7に接続されており、計測した発電電流値をECU7に送信可能になっている。
図2は、ECUの構成を示したブロック図である。
ECU7は、いわゆる電子制御装置(Electrical Control Unit)であり、図1および図2に示すように、制御手段8と、データ記憶手段9とを備えている。ECU7は、温度センサ5と、電流センサ6に接続されており、各センサから送られてきたアノードガス温度と発電電流値に基づいてドレイン弁4の開弁時間(ドレイン開弁時間)を算出するようになっている。また、ECU7は、ドレイン弁4に接続されており、ドレイン開弁時間に対応した制御信号をドレイン弁4に送信するようになっている。
以下、制御手段8およびデータ記憶手段9の構成について図2を参照して詳しく説明する。
制御手段8は、例えば中央演算処理装置や記憶装置などによって構成され、図2に示すように、結露水量算出手段81と、水排出量算出手段82と、第1ドレイン開弁時間算出手段83と、要求H2排出量算出手段84と、第2ドレイン開弁時間算出手段85と、ドレイン弁開閉制御手段86と、を含んでいる。
結露水量算出手段81は、燃料電池2のアノード極22に結露する結露水量を算出する役割を果たすものである。具体的には、結露水量算出手段81は、温度センサ5および電流センサ6から受信したアノードガス温度データおよび発電電流値データに基づいて、後記する相関データ記憶手段に予め記憶されている発電電流値とアノードガス温度と結露水量との相関関係(図4(a)参照)に対応する相関データAを参照して、単位時間当りの結露水量xnを算出するようになっている。そして、結露水量算出手段81は、算出した単位時間当りの結露水量xnを計測時間tnと関連付けながら後記する結露水量記憶手段91に記憶するようになっている(図4(b)参照)。
なお、発電電流値とアノードガス温度と結露水量との相関関係については、後に詳しく説明する。
水排出量算出手段82は、気液分離器3に蓄えられた水の量から定まる水排水量Σxを
算出する役割を果たすものである。具体的には、水排出量算出手段82は、例えば前回の水排出時刻から所定時間が経過した場合に、結露水量記憶手段91に記憶された単位時間当りの結露水量を読み出してこれらを合計することにより水排水量Σxを算出するように
なっている。また、水排出量算出手段82は、算出した水排水量Σxについてのデータを
第1ドレイン開弁時間算出手段83に送信するようになっている。
第1ドレイン開弁時間算出手段83は、水排水量Σxに基づいて、水排水量Σxに対応
するドレイン開弁時間T1(以下、単に「ドレイン開弁時間T1」という場合がある。)を算出する役割を果たすものである。具体的には、第1ドレイン開弁時間算出手段83は、水排出量算出手段82から受信した水排出量Σxに基づいて、後記する相関データ記憶
手段92に予め記憶された水排出量と水排出量に対応するドレイン開弁時間との相関関係(図4(c)参照)に対応する相関データBを参照して、水排出量に対応するドレイン開弁時間T1を算出するようになっている。また、第1ドレイン開弁時間算出手段83は、算出した水排出量に対応するドレイン開弁時間T1を、ドレイン弁開閉制御手段86に送信するようになっている。
要求H2排出量算出手段84は、発電電流値に基づいて要求H2排出量を算出する役割を果たすものである。具体的には、要求H2排出量算出手段84は、例えば前回の排出終了時から所定時間が経過すると、そのときの発電電流値を電流センサから読み取り、後記する相関データ記憶手段92に予め記憶された発電電流値と要求H2排出量との相関関係(図5(a)参照)に対応する相関データCを参照して、要求H2排出量を算出するようになっている。また、要求H2排出量算出手段84は、算出した要求H2排出量についてのデータを第2ドレイン開弁時間算出手段85に送信するようになっている。
なお、第1実施形態においては、発電電流値と要求H2排出量との相関関係から要求H2排出量を求めることとしたが、要求H2排出量は固定値であってもよい。
第2ドレイン開弁時間算出手段85は、要求H2排出量とアノードガス温度とに基づいてアノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間T2(以下、単に「ドレイン開弁時間T2」という場合がある。)を算出する役割を果たすものである。具体的には、第2ドレイン開弁時間算出手段85は、要求H2排出量算出手段84から受信した要求H2排出量と、温度センサ5から受信したアノードガス温度とに基づいて、後記する相関データ記憶手段92に予め記憶された要求H2排出量とアノードガス温度とアノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間との相関関係(図5(b)参照)に対応する相関データDを参照して、アノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間T2を算出するようになっている。また、第2ドレイン開弁時間算出手段85は、算出したドレイン開弁時間T2を、ドレイン弁開閉制御手段86に送信するようになっている。
ドレイン弁開閉制御手段86は、水排出量に対応するドレイン開弁時間T1とアノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間T2とに基づいて、ドレイン弁4を開閉制御する役割を果たすものである。具体的には、ドレイン弁開閉制御手段86は、水排出量に対応するドレイン開弁時間T1とアノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間T2とを受信すると、これらの時間を合計し、合計時間に対応する制御信号を生成してドレイン弁4に送信するようになっている。
データ記憶手段9は、例えばメモリ装置から構成され、図1、図2に示すように、結露水量記憶手段91と、相関データ記憶手段92とを含んでいる。データ記憶手段9は、制御手段8と接続されており、データの読み出し、書き込みができるようになっている。
結露水量記憶手段91は、結露水量算出手段81で算出されたアノード極22における単位時間辺りの結露水量xnを記憶する役割を果たすものである。例えば、単位時間辺りの結露水量xnは、図4(b)に示すように、発電電流値の計測時間tnと関連付けられてデータベース化されて記憶される。
相関データ記憶手段92は、アノードガス温度および発電電流値に基づいてドレイン開弁時間を算出するために必要な種々の相関関係をデータとして記憶する役割を果たすものである。相関データ記憶手段92には、(A)発電電流値とアノードガス温度と結露水量との相関関係と、(B)水排出量と水排出量に対応するドレイン開弁時間との相関関係と、(C)発電電流値と要求H2排出量との相関関係と、(D)要求H2排出量とアノードガス温度とアノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間との相関関係と、に対応する4つの相関データA、B、C、Dが記憶されている。以下、これらの相関関係について図4および図5を参照して説明する。
図4(a)は、発電電流値とアノードガス温度と結露水量との相関関係を模式的に示した図である。発電電流値とアノードガス温度と結露水量とは、図4(a)に示すように、発電電流値が大きくなるほど結露水量が大きくなるとともに、アノードガス温度が高くなるほど結露水量が大きくなる関係にある。かかる関係は、次のような原理に基づいて導き出される。
なお、発電電流値とアノードガス温度と結露水量との相関関係は、例えば実験によって求めることができる。
図4(c)は、水排出量と水排出量に対応するドレイン開弁時間との相関関係を模式的に示した図である。水排出量と水排出量に対応するドレイン開弁時間とは、水排出量が多いほどドレイン開弁時間が長くなるという、いわゆる比例関係にある。当該関係は、例えば実験によって求めることができるほか、排出口となる配管3bやドレイン弁4の開口径に基づいて設定することができる。
図5(a)は、発電電流値と要求H2排出量との相関関係を模式的に示した図である。発明者らは、研究の結果、図5に示す関係に基づいて要求H2排出量を設定するのが好適であることを見出した。すなわち、発電電流値が所定値よりも小さい範囲では、発電電流値に対して比例の関係となるように要求H2排出量を設定し、発電電流値が所定値よりも大きい範囲では、安全性の観点から要求H2排出量を頭打ちにするのが好適であることを見出し、図5に示すような関係を規定した。
図5(b)は、要求H2排出量とアノードガス温度とアノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間との相関関係を模式的に示した図である。要求H2排出量とアノードガス温度とドレイン開弁時間T2との関係は、図5(b)に示すように、要求H2排出量が大きくなるほどドレイン開弁時間T2が大きく(長く)なるとともに、アノードガス温度が高くなるほどドレイン開弁時間T2が大きく(長く)なる関係にある。かかる関係は、次のような原理に基づいて導き出される。
以上のことから、図5(b)に示すような相関関係を導き出すことができる。
つづいて、燃料電池システム1の動作について図3を参照(適宜図1、図2を参照)して説明する。図3は、燃料電池システムの動作の流れを示したフロー図である。
前回の水およびアノードガスの排出が完了すると、結露水量算出手段81は、温度センサ5および電流センサ6からアノードガス温度データおよび発電電流値データを受信し、相関データ記憶手段92に予め記憶されている発電電流値とアノードガス温度と結露水量との相関関係に対応する相関データAを参照して、単位時間当りの結露水量xnを算出する。
水排出量算出手段82は、前回の排出から所定時間が経過したか否かを判定する。前回の排出から所定時間が経過していない場合(ステップS2、No)には、ステップS1に戻って再び単位時間当りの結露水量xnを算出し、結露水量記憶手段91に記憶する。
前回の排出から所定時間が経過している場合(ステップS2、Yes)には、水排出量算出手段82は、結露水量記憶手段91に記憶されている単位時間当りの結露水量xnを合計して水排出量Σxを算出する。水排出量算出手段82は、算出した水排出量Σxを第
1ドレイン開弁時間算出手段83に送信する。
第1ドレイン開弁時間算出手段83は、水排出量算出手段82から水排出量Σxについ
てのデータを受信すると、相関データ記憶手段92に予め記憶された水排出量と水排出量に対応するドレイン開弁時間との相関関係(図4(c)参照)に対応する相関データBを参照して、水排出量に対応するドレイン開弁時間T1を算出する。第1ドレイン開弁時間算出手段83は、算出したドレイン開弁時間T1をドレイン弁開閉制御手段86に送信する。
つぎに、要求H2排出量算出手段84は、発電電流値を電流センサから読み取り、相関データ記憶手段92に予め記憶された発電電流値と要求H2排出量との相関関係(図5(a)参照)に対応する相関データCを参照して、要求H2排出量を算出する。そして、要求H2排出量算出手段84は、算出した要求H2排出量についてのデータを第2ドレイン開弁時間算出手段85に送信する。
第2ドレイン開弁時間算出手段85は、要求H2排出量を受信すると、温度センサ5からアノードガス温度を読み取るとともに、相関データ記憶手段92に予め記憶された要求H2排出量とアノードガス温度とアノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間との相関関係(図5(b)参照)に対応する相関データDを参照して、アノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間T2を算出する。第2ドレイン開弁時間算出手段85は、算出したドレイン開弁時間T2をドレイン弁開閉制御手段86に送信する。
ドレイン弁開閉制御手段86は、水排出量に対応するドレイン開弁時間T1とアノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間T2とを受信すると、これらの時間を合計し、合計時間に対応する制御信号を生成してドレイン弁4に送信する。これにより、ドレイン弁4は、水排出量に対応するドレイン開弁時間T1とアノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間T2との合計時間だけ開放されることとなり、気液分離器3に溜まった水と要求H2排出量に相当するH2を含むアノードガスとが排出される。
第2実施形態として、アノードガスの温度と、アノードガスの圧力と、カソードガスの温度と、に基づいてドレイン弁の開閉時間を制御する燃料電池システム100に本発明を適用した場合について説明する。なお、第1実施形態と同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムを示した概略構成図である。
燃料電池システム100は、図6に示すように、アノード極22から排出されるアノードガスの流路である配管5aに、アノードガスの温度を計測する第1温度センサ101と、アノードガスの圧力を計測する圧力センサ102と、を備えている。また、カソード極23から排出されるカソードガスの流路である配管13bに、カソードガスの温度を計測する第2温度センサ103を備えている。
第1温度センサ101は、燃料電池2のアノード極22から排出されるアノードガスの温度を所定時間間隔で計測するものである。計測したデータは、後記する制御手段108に送信されるようになっている。
圧力センサ102は、燃料電池2のアノード極22から排出されるアノードガスの圧力を所定時間間隔で計測するものである。計測したデータは、後記する制御手段108に送信されるようになっている。
第2温度センサ103は、燃料電池2のカソード極23から排出されるカソードガスの温度を所定時間間隔で計測するものである。計測したデータは、後記する制御手段108に送信されるようになっている。
図7は、ECUの構成を示したブロック図である。
ECU107は、いわゆる電子制御装置(Electrical Control Unit)であり、図6および図7に示すように、制御手段108と、データ記憶手段109とを備えている。ECU107は、第1温度センサ101と、圧力センサ102と、第2温度センサ103とに接続されており、各センサから送られてきたアノードガス温度とアノードガス圧力とカソードガス温度とに基づいてドレイン弁4の開弁時間(ドレイン開弁時間)を算出するようになっている。また、ECU107は、ドレイン弁4に接続されており、ドレイン開弁時間に対応した制御信号をドレイン弁4に送信するようになっている。
以下、制御手段108およびデータ記憶手段109の構成について図7を参照して詳しく説明する。
制御手段108は、例えば中央演算処理装置などによって構成され、図7に示すように、アノード水蒸気分圧算出手段181Aと、カソード水蒸気分圧算出手段181Bと、水蒸気分圧差算出手段182と、結露水量算出手段183と、水排出量算出手段184と、第1ドレイン開弁時間算出手段185と、圧力比算出手段186と、アノードガス排出量算出手段187と、第2ドレイン開弁時間算出手段188と、ドレイン弁開閉制御手段189と、を含んでいる。
アノード水蒸気分圧算出手段181Aは、アノード極22から排出されたアノードガスの水蒸気分圧Pwaを計測する役割を果たすものである。具体的には、アノード水蒸気分圧算出手段181Aは、第1温度センサ101から送信されてくるアノードガス温度に関するデータに基づいて、当該アノードガス温度に対応する飽和水蒸気圧を算出するようになっている。アノード極22には結露水が豊富に存在することから、アノード極22の出口付近では、アノードガスは飽和していると考えられるので、「飽和水蒸気圧=アノードガスの水蒸気分圧Pwa」とすることができる。また、アノード水蒸気分圧算出手段181Aは、算出したアノードガスの水蒸気分圧Pwaを水蒸気分圧差算出手段182に送信するようになっている。
カソード水蒸気分圧算出手段181Bは、カソード極23から排出されたカソードガスの水蒸気分圧Pwcを計測する役割を果たすものである。具体的には、カソード水蒸気分圧算出手段181Bは、第2温度センサ103から送信されてくるカソード温度に関するデータに基づいて、当該カソード温度に対応する飽和水蒸気圧を算出するようになっている。カソード極23には生成水が豊富に存在することから、カソード極の出口付近ではカソードガスは飽和していると考えられるので、「飽和水蒸気圧=カソードガスの水蒸気分圧Pwc」とすることができる。また、カソード水蒸気分圧算出手段181Bは、算出したカソードガスの水蒸気分圧Pwcを水蒸気分圧差算出手段182に送信するようになっている。なお、飽和水蒸気圧の計算は、アノードガスの場合と同様に行うことができる。
水蒸気分圧差算出手段182は、アノードガスの水蒸気分圧Pwaとカソードガスの水蒸気分圧Pwcとの分差圧(水蒸気分圧差△Pw)を算出するものである。水蒸気分圧差算出手段182は、算出した水蒸気分圧差△Pwを結露水量算出手段183に送信するようになっている。なお、水蒸気分圧差△Pwは、次式(2)によって計算される。
△Pw=Pwc−Pwa ・・・ 式(2)
結露水量算出手段183は、燃料電池2のアノード極22に結露する結露水量を算出する役割を果たすものである。具体的には、結露水量算出手段183は、水蒸気分圧差算出手段182から送信される水蒸気分圧差△Pwに基づいて、後記する相関データ記憶手段192に予め記憶されている水蒸気分圧差△Pwと結露水量との相関関係(図9参照)に対応する相関データEを参照して、単位時間当りの結露水量xnを算出するようになっている。そして、結露水量算出手段183は、算出した単位時間当りの結露水量xnをアノードガス温度(またはカソードガス温度)の計測時間tnと関連付けながら後記する結露水量記憶手段191に記憶するようになっている。
水排出量算出手段184は、気液分離器3に蓄えられた水の量から定まる水排水量Σx
を算出する役割を果たすものである。具体的には、水排出量算出手段184は、例えば前回の水排出時刻から所定時間が経過した場合に、結露水量記憶手段191に記憶された単位時間当りの結露水量を読み出してこれらを合計することにより水排水量Σxを算出する
ようになっている。また、水排出量算出手段184は、算出した水排水量Σxについての
データを第1ドレイン開弁時間算出手段184に送信するようになっている。
第1ドレイン開弁時間算出手段185は、水排水量Σxに基づいてドレイン弁4を開放
する時間T1(水排水量Σxに対応するドレイン開弁時間T1)を算出する役割を果たす
ものである。具体的には、第1ドレイン開弁時間算出手段185は、水排出量算出手段184から送信される水排出量Σxに基づいて、後記する相関データ記憶手段192に予め
記憶された水排出量と水排出量に対応するドレイン開弁時間との相関関係(図4(c)参照)に対応する相関データFを参照して、水排出量に対応するドレイン開弁時間T1を算出するようになっている。また、第1ドレイン開弁時間算出手段185は、算出したドレイン開弁時間T1を、ドレイン弁開閉制御手段189に送信するようになっている。
圧力比算出手段186は、アノードガスの全圧Pとアノードガス中のH2の分圧PH2との圧力比P/PH2を算出する役割を果たすものである。具体的には、圧力比算出手段186は、アノード水蒸気分圧算出手段から送信されるアノードガスの水蒸気分圧Pwaと、圧力センサ102で計測されるアノードガスの全圧Pと、に基づいて、次式(3)により、アノードガスの全圧Pとアノードガス中のH2の分圧PH2との圧力比を算出するようになっている。
P/PH2=P/(P−Pwa) ・・・ 式(3)
また、圧力比算出手段186は、算出した圧力比P/PH2をアノードガス排出量算出手段187に送信するようになっている。
アノードガス排出量算出手段187は、ドレイン弁4から排出すべきアノードガスの排出量を算出する役割を果たすものである。具体的には、アノードガス排出量算出手段187は、まず、圧力比算出手段186から送信される圧力比P/PH2と、後記する要求H2排出量記憶手段193に予め記憶された0℃、1気圧における要求H2排出量VH2と、に基づいて、0℃、1気圧における要求H2排出量に対応するアノードガス排出量Va0を次式(4)により算出するようになっている。
Va0=VH2×P/PH2 ・・・ 式(4)
第2ドレイン開弁時間算出手段188は、アノードガス排出量算出手段187で算出したアノードガス排出量Vaに基づいて、アノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間T2(以下、単に「ドレイン開弁時間T2」という場合がある。)を算出する役割を果たすものである。具体的には、第2ドレイン開弁時間算出手段188は、アノードガス排出量算出手段187で算出したアノードガス排出量Vaに基づいて、後記する相関データ記憶手段192に予め記憶されたアノードガス排出量Vaとドレイン開弁時間T2との相関関係(図5(b)参照)に対応する相関データGを参照して、ドレイン開弁時間T2を算出するようになっている。また、第2ドレイン開弁時間算出手段188は、算出したドレイン開弁時間T2を、ドレイン弁開閉制御手段189に送信するようになっている。
ドレイン弁開閉制御手段189は、水排出量に対応するドレイン開弁時間T1とアノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間T2とに基づいて、ドレイン弁4を開閉制御する役割を果たすものである。具体的には、ドレイン弁開閉制御手段189は、第1ドレイン開弁時間算出手段185から送信される水排出量に対応するドレイン開弁時間T1と、第2ドレイン開弁時間算出手段188から送信されるアノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間T2とを合計し、合計時間に対応する制御信号を生成してドレイン弁4に送信するようになっている。
データ記憶手段109は、例えばメモリ装置などから構成され、図7に示すように、結露水量記憶手段191と、相関データ記憶手段192と、要求H2排出量記憶手段193と、を含んでいる。データ記憶手段109は、制御手段108と接続されており、データの読み出し、書き込みができるようになっている。結露水量記憶手段191については、第1実施形態における結露水量記憶手段91と共通することからその説明は省略することとし、ここでは、相関データ記憶手段192と要求H2排出量記憶手段193とについて説明する。
相関データ記憶手段192は、アノードガス温度、アノードガス圧力およびカソードガス温度に基づいてドレイン開弁時間を算出するために必要な種々の相関関係をデータとして記憶する役割を果たすものである。相関データ記憶手段192には、(A)水蒸気分圧差と結露水量との相関関係と、(B)水排出量と水排出量に対応するドレイン開弁時間との相関関係と、(C)アノードガス排出量とアノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間との相関関係と、の3つの相関関係に対応するデータが記憶されている。(B)水排出量と水排出量に対応するドレイン開弁時間との相関関係については、第1実施形態と共通することから、ここでは前記(A)および(C)の相関関係について図9を参照して説明する。
図9(a)は、水蒸気分圧差と結露水量との相関関係を模式的に示した図である。水蒸気分圧差と結露水量とは、水蒸気分圧差△Pwが大きいほどアノード極22に逆透過してくる生成水の量が多くなるという、いわゆる比例関係にある。当該関係は、例えば実験によって求めることができる。
図9(b)は、アノードガス排出量とアノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間との相関関係を模式的に示した図である。アノードガス排出量とドレイン開弁時間T2とは、いわゆる比例関係にある。当該関係は、例えば実験によって求めることができるほか、排出口となる配管3bやドレイン弁4の開口径に基づいて設定することができる。
要求H2排出量記憶手段193は、排出するアノードガスに含まれるべきH2の量を示す要求H2排出量を記憶する役割を果たすものである。当該要求H2排出量は、例えば、0℃、1気圧におけるH2の体積(NL、ノルマルリットル)で規定される。
つづいて、第2実施形態に係る燃料電池システム100の動作について図8を参照(適宜図6乃至図9を参照)して説明する。図8は、燃料電池システムの動作の流れを示したフロー図である。
前回の水およびアノードガスの排出が完了すると、アノード水蒸気分圧算出手段181Aは、第1温度センサ101からアノードガス温度を取得し、アノードガスの水蒸気分圧Pwaを算出する。また、カソード水蒸気分圧算出手段181Bは、第2温度センサ103からカソードガス温度を取得し、カソードガスの水蒸気分圧Pwcを算出する。アノード水蒸気分圧算出手段181Aおよびカソード水蒸気分圧算出手段181Bは、算出した水蒸気分圧Pwa、Pwcを水蒸気分圧差算出手段182に送信する。
水蒸気分圧差算出手段182は、アノードガスの水蒸気分圧Pwaと、カソードガスの水蒸気分圧Pwcとを受信すると、前記式(2)を用いて水蒸気分圧差△Pwを算出する。水蒸気分圧差算出手段182は、算出した水蒸気分圧差△Pwを結露水量算出手段183に送信する。
結露水量算出手段183は、水蒸気分圧差△Pwを受信すると、相関データ記憶手段192に記憶されている水蒸気分圧差と結露水量との相関関係(図9(a)参照)を参照して、アノード極22における単位時間辺りの結露水量xnを算出する。そして、結露水量算出手段183は、算出した単位時間辺りの結露水量xnを、アノードガス温度およびカソードガス温度の計測時間tnと関連付けながら結露水量記憶手段191に記憶する。なお、結露水量記憶手段191は、例えば前回の水とアノードガスの排出が完了した時点でリセットされている。
水排出量算出手段184は、前回の排出から所定時間が経過したか否かを判定する。前回の排出から所定時間が経過していない場合(ステップS104、No)には、ステップS101に戻って再び単位時間当りの結露水量xnを算出する。
前回の排出から所定時間が経過している場合(ステップS104、Yes)には、水排出量算出手段184は、結露水量記憶手段191に記憶されている単位時間当りの結露水量xnを合計して水排出量Σxを算出する。水排出量算出手段184は、算出した水排出
量Σxを第1ドレイン開弁時間算出手段185に送信する。
第1ドレイン開弁時間算出手段185は、水排出量算出手段184から水排出量Σxに
ついてのデータを受信すると、相関データ記憶手段192に予め記憶された水排出量と水排出量に対応するドレイン開弁時間との相関関係(図4(c)参照)に対応する相関データEを参照して、水排出量に対応するドレイン開弁時間T1を算出する。第1ドレイン開弁時間算出手段185は、算出したドレイン開弁時間T1をドレイン弁開閉制御手段189に送信する。
つぎに、圧力比算出手段186は、アノードガスの水蒸気分圧Pwaをアノード水蒸気分圧算出手段から取得するとともに、アノードガスの全圧Pを圧力センサ102から取得し、前記式(3)によって、アノードガスの全圧Pとアノードガス中のH2の分圧PH2との圧力比P/PH2を算出する。圧力比算出手段186は、算出した圧力比P/PH2をアノードガス排出量算出手段187に送信する。
アノードガス排出量算出手段187は、圧力比P/PH2を受信すると、まず、要求H2排出量記憶手段193から0℃、1気圧における要求H2排出量(NL)を取得し、前記式(4)によって、0℃、1気圧における要求H2排出量に対応するアノードガス排出量Va0を算出する。
第2ドレイン開弁時間算出手段188は、アノードガス排出量Vaを受信すると、相関データ記憶手段192に記憶されたアノードガス排出量Vaとドレイン開弁時間T2との相関関係(相関データG)を参照して、ドレイン開弁時間T2を算出する。第2ドレイン開弁時間算出手段188は、算出したドレイン開弁時間T2をドレイン弁開閉制御手段189に送信する。
ドレイン弁開閉制御手段189は、ドレイン開弁時間T1およびドレイン開弁時間T2を受信すると、これらの合計時間に対応する制御信号を生成してドレイン弁4に送信する。これにより、ドレイン弁4は、水排出量に対応するドレイン開弁時間T1とアノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間T2との合計時間だけ開放されることとなり、気液分離器3に溜まった水と要求H2排出量に相当するH2を含むアノードガスとが排出される。
2 燃料電池
3 気液分離器
4 ドレイン弁
5 温度センサ
6 電流センサ
6a 外部回路
7 ECU
8 制御手段
9 データ記憶手段
11 水素タンク
12 エジェクタ
13 コンプレッサ
14 駆動装置
21 電解質膜
22 アノード極
23 カソード極
Claims (10)
- 電解質を挟んでアノード極とカソード極とを有する燃料電池と、
前記アノード極から排出されるアノードガスの流路上に設置され、当該アノードガス内に含まれる水を分離する気液分離器と、
前記気液分離器で回収された水を排出する排出口を開閉するドレイン弁と、
アノードガス温度を計測する温度センサと、
前記燃料電池における発電電流値を計測する電流センサと、
前記ドレイン弁の開閉を制御する制御手段と、を備える燃料電池システムであって、
前記制御手段は、
前記アノードガス温度と前記発電電流値とから算出される凝縮水量に基づいて、前記気液分離器で回収される水の量から定まる水排出量に対応するドレイン開弁時間を算出し、当該ドレイン開弁時間に基づいて前記ドレイン弁を開閉することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記制御手段は、
発電電流値とアノードガス温度と結露水量との予め記憶された相関関係と、前記アノードガス温度と、前記発電電流値と、に基づいて単位時間当りの結露水量を算出する結露水量算出手段と、
前記単位時間当りの結露水量に基づいて前記気液分離器で回収される水の量から定まる水排出量を算出する水排出量算出手段と、
水排出量と前記水排出量に対応するドレイン開弁時間との予め記憶された相関関係と、前記水排出量とに基づいて、前記水排出量に対応するドレイン開弁時間を算出する第1ドレイン開弁時間算出手段と、
前記水排出量に対応するドレイン開弁時間に基づいて前記ドレイン弁の開閉を制御するドレイン弁開閉制御手段と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記制御手段は、さらに、
前記アノードガス温度と、要求H2排出量とに基づいて、アノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間を算出し、前記水排出量に対応するドレイン開弁時間と前記アノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間とに基づいて前記ドレイン弁を開閉することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。 - 前記制御手段は、
アノードガス温度と要求H2排出量とアノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間との予め記憶された相関関係と、前記アノードガス温度と、要求H2排出量と、に基づいてアノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間を算出する第2ドレイン開弁時間算出手段をさらに含み、
前記ドレイン弁開閉制御手段は、
前記アノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間と前記水排出量に対応するドレイン開弁時間とに基づいて前記ドレイン弁の開閉を制御することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。 - 電解質を挟んでアノード極とカソード極とを有する燃料電池と、
前記アノード極から排出されるアノードガスの流路上に設置され、当該アノードガス内に含まれる水を分離する気液分離器と、
前記気液分離器で回収された水を排出する排出口を開閉するドレイン弁と、
アノードガス温度を計測する第1温度センサと、
カソードガス温度を計測する第2温度センサと、
前記ドレイン弁の開閉を制御する制御手段と、を備える燃料電池システムであって、
前記制御手段は、
前記アノードガス温度と前記カソードガス温度とから算出される凝縮水量に基づいて、前記気液分離器で回収される水の量から定まる水排出量に対応するドレイン開弁時間を算出し、当該水排出量に対応するドレイン開弁時間に基づいて前記ドレイン弁を開閉することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記制御手段は、
前記アノードガス温度と、前記カソードガス温度とに基づいて、カソードガスとアノードガスの水蒸気分圧差を算出する水蒸気分圧差算出手段と、
水蒸気分圧差とアノード極における単位時間当たりの結露水量との予め記憶された相関関係と、前記水蒸気分圧差とに基づいて、アノード極における単位時間当たりの結露水量を算出する結露水量算出手段と、
前記単位時間当たりの結露水量に基づいて前記気液分離器で回収される水の量から定まる水排出量を算出する水排出量算出手段と、
水排出量とドレイン開弁時間との予め記憶された相関関係と、前記水排出量とに基づいて、前記水排出量に対応するドレイン開弁時間を算出する第1ドレイン開弁時間算出手段と、
前記水排出量に対応するドレイン開弁時間に基づいて前記ドレイン弁の開閉を制御するドレイン弁開閉制御手段と、を含むことを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。 - 前記燃料電池システムは、
アノードガス圧力を計測する圧力センサをさらに含み、
前記制御手段は、
前記アノードガス温度と、前記アノードガス圧力と、要求H2排出量とに基づいて、アノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間を算出し、前記水排出量に対応するドレイン開弁時間と前記アノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間とに基づいて前記ドレイン弁を開閉することを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。 - 前記制御手段は、
前記アノードガス温度と、前記アノードガス圧力と、要求H2排出量とに基づいてアノードガス排出量を設定するアノードガス排出量設定手段と、
アノードガス排出量とドレイン開弁時間との予め記憶された相関関係と、前記アノードガス排出量とに基づいて、前記アノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間を算出する第2ドレイン開弁時間算出手段と、をさらに含み、
前記ドレイン弁開閉制御手段は、
前記アノードガス排出量に対応するドレイン開弁時間と前記水排出量に対応するドレイン開弁時間とに基づいて前記ドレイン弁の開閉を制御することを特徴とする請求項7に記載の燃料電池システム。 - 前記アノードガス排出量設定手段は、
前記アノードガス温度に基づいてアノードガス中の水蒸気分圧を算出するアノード水蒸気分圧算出手段と、
前記アノードガス圧力と、前記水蒸気分圧とに基づいてアノードガスの全圧と水素の分圧との圧力比を算出する圧力比算出手段と、
前記圧力比算出手段で算出したアノードガスの全圧と水素の分圧との圧力比と、所定温度・所定圧力下における前記要求H2排出量と、前記アノードガス圧力と、前記アノードガス温度とに基づいて、アノードガス排出時におけるアノードガスの圧力と温度に対応したアノードガス排出量を算出するアノードガス排出量算出手段と、を含むことを特徴とする請求項8に記載の燃料電池システム。 - アノードガス湿度を計測する第1湿度センサおよび/またはカソードガス湿度を計測する第2湿度センサをさらに備え、
前記水蒸気分圧差算出手段は、前記アノードガス温度と、前記カソードガス温度と、前記アノードガス湿度および/または前記カソードガス湿度とに基づいて、カソードガスとアノードガスの水蒸気分圧の圧力差を算出することを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
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