JP4629512B2 - データ圧縮装置およびデータ圧縮プログラム - Google Patents

データ圧縮装置およびデータ圧縮プログラム Download PDF

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Description

本発明は、画像データ等のデータを圧縮するデータ圧縮装置、およびコンピュータ等の情報処理装置をデータ圧縮装置として動作させるデータ圧縮プログラムに関する。
従来より、記憶容量の低減化や通信量の低減化等のために、画像データ等のデータを圧縮する技術が広く採用されている。
例えば、特許文献1には、原画像から代表色を選定しCLUT(カラールックアップテーブル)を構成する際に、連続する色番号が近い値の色データを持つように色番号を割り当て、次にCLUTに対応したビットマップを作成して隣接画素間の色番号の差分を求め、差分が大きな値を取る場合、画質劣化を起こさない範囲でビットマップの色番号を変更し、差分を小さな値に偏らせ、差分データに対してランレングス符号化を施すという技術が開示されている。
また、特許文献2には、各色に対応してそれぞれ割り当てられたデータが複数集まって構成される画像用データを非可逆圧縮して符号化し、そして、データの1つを透明色に割り当てると共に、その透明色を可逆とし、画像用データを即値(差分符号化の際の最初の値)とその即値に続く複数の差分値(差分符号化の際の前の値)とで構成し、それらの値を非可逆圧縮して符号化等する際、透明色を表す即値と差分値とを可逆とし、さらに、透明色を表す即値を、各一色のデータ値の中間の値としたり、透明色を表す差分値を「0」としたりするという技術が提案されている。
また、特許文献3には、数を予測された数(s'(j))と実際の数(s(j))との差分によって符号化することが提案されている。
さらに、特許文献4には、n列目の画素データ列に対して、副走査方向の同一画素データの分布状況を認識するとともに、主走査方向の同ー画素データの分布状況を認識し、これらの認識結果を基に、副走査方向に連続する同ー画素データを圧縮処理するか、あるいは主走査方向に連続する同一画素データを圧縮処理するかを決定する画像圧縮装置が提案されている。
ここで、データ圧縮技術を適用した1つのシステムを紹介する。
図1は、データ圧縮技術が適用されたプリントシステムの一例を示す図、図2は、プリントシステムにおけるデータ処理の流れを示す図である。
このプリントシステムは、図1に示すように、ホストコントローラ100と、インターフェース機器200と、プリンタ300とで構成されており、ホストコントローラ100とインターフェース機器200との間はSCSI等の汎用インターフェースケーブル150で接続され、さらにインターフェース機器200とプリンタ300との間は専用インターフェースケーブル250で接続されている。
ホストコントローラ100の内部では、図2に示すように、PDF,PS,TIFF等、様々な言語やフォーマットで記述された文字や画像のデータ11が、画像(CT;Continuous Tone)データと文字やライン等(LW;Line Work)のデータとに分けられて、それぞれについてRIP(Raster Image Processing)を行なうことによりビットマップデータ12A,13Aが生成され、さらにそれぞれについてデータ圧縮処理が行なわれて、CTについては非可逆の圧縮データ14、LWについては可逆の圧縮データ15が生成される。これらの圧縮データ14,15は、図1に示す汎用インターフェースケーブル150を経由して、ホストコントローラ100からインターフェース機器200に転送される。インターフェース機器200では、転送されてきた圧縮データ14,15にデータ伸長処理を施して、ホストコントローラ100でデータ圧縮処理を行なう前の状態のビットマップデータ12A,13Aに対応するビットマップデータ12B,13Bを生成する。ここで、CTデータについてはホストコントローラ100でのデータ圧縮の際非可逆圧縮処理が行なわれているため、データ伸長後のCTデータ(ビットマップデータ12B)は完全にはデータ圧縮前のCTデータ(ビットマップデータ12A)には戻らないが、ほぼ同一のビットマップデータが復元される。LWデータについては、ホストコントローラ100でのデータ圧縮の際可逆圧縮処理が行なわれているため、データ伸長後のLWデータ(ビットマップデータ13B)は、データ圧縮前のLWデータ(ビットマップデータ13A)と同一のデータに復元される。
インターフェース機器200では、データ伸長後のCTデータ(ビットマップデータ12B)とLWデータ(ビットマップデータ13B)とが合成され、さらに網点情報等がタグとして付加されてプリンタ300に送られる。プリンタ300では、インターフェース機器200から受け取ったビットマップデータとそれに付加されたタグ情報とに従って画像がプリント出力される。
ホストコントローラ100とインターフェース機器200とが例えば相互に離れている場合、あるいは、インターフェース機器200が複数台のホストコントローラから画像データを受信するシステムの場合など、ホストコントローラ100とインターフェース機器200を別々の装置として構成する必要がある場合には、図2に示すような、ホストコントローラ100でデータ圧縮を行なってインターフェース機器200にデータ転送しインターフェース機器でデータ伸長するように構成することにより、ホストコントローラ100からインターフェース機器200へのデータ転送時間を短縮することができ、プリントの生産性が向上する。
ここで、一般的には、CTデータについては、非可逆ではあるが圧縮率の高いJPEG等の圧縮方式が採用され、LWデータについてはPackBits等の可逆圧縮方式が採用される。
特開平5−328142号公報 特開平10−164620号公報 特表2001−5−20822号公報 特開平9−200540号公報
しかし、JPEG等の圧縮方式では、ソフトウェアでの圧縮処理に時間を要し、圧縮処理のシステム全体としての処理能力を劣化させる要因となっていた。
また、JPEG等は非可逆な圧縮処理であるため画質の劣化を必然的に伴うが、近年、高画質化への要求がますます高まってきており、CTデータについても画質の劣化を招かないよう可逆圧縮を行うことが検討されてきている。
本発明は上記事情に鑑み、CTデータとLWデータとを区別せずに圧縮することができる新たな好ましい圧縮処理を行うデータ圧縮装置およびデータ圧縮プログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明のデータ圧縮装置は、
所定の単位ビット数で表わされる数値の連続からなる被圧縮データにデータ圧縮処理を施すデータ圧縮装置において、
上記被圧縮データに第1の可逆圧縮処理を施す第1の可逆圧縮処理部と、
上記第1の可逆圧縮処理部によるデータ圧縮の結果が所定の目標圧縮率に達しない場合に、上記被圧縮データに第2の可逆圧縮処理を施す第2の可逆圧縮処理部と、
上記第2の可逆圧縮処理部によるデータ圧縮の結果が上記目標圧縮率に達しない場合に、上記被圧縮データに非可逆圧縮処理を施す非可逆圧縮処理部とを備え、
上記第1の可逆圧縮処理部および上記第2の可逆圧縮処理部のうちの一方が、
上記被圧縮データを構成する数値の連続について隣接する数値どうしの差分を求めることによりその差分を表わす数値の連続からなる新たな被圧縮データを生成する差分生成部と、
上記差分生成部によって生成された新たな被圧縮データを構成する各数値を所定値だけオフセットさせるオフセット部と、
上記オフセット部によって数値がオフセットされた被圧縮データの各数値を、上記単位ビット数よりも小さい所定の分割ビット数のところで上位ビット部分と下位ビット部分とに分けることによって、その被圧縮データを、各数値における上位ビット部分の連続からなる上位データと各数値の下位ビット部分の連続からなる下位データとに分割する分割部と、
上記分割部によって分割された上位データに対して可逆圧縮処理を施す上位データ圧縮部と、
上記分割部によって分割された下位データに対して可逆圧縮処理を施す下位データ圧縮部とを備えたものであり、
上記第1の可逆圧縮処理部および上記第2の可逆圧縮処理部のうちの上記一方に対する他方が、
大本の被圧縮データ中、1つもしくは複数の所定の圧縮対象数値を除く数値についてはそのまま出力するとともに、圧縮対象数値については、その圧縮対象数値と、その圧縮対象数値と同一の圧縮対象数値の連続数を表わす数値とに符号化して出力する符号化処理を含む可逆圧縮処理を施すものであり、
上記非可逆圧縮処理部が、
被圧縮データを構成する数値の連続から周期的に数値を間引くことにより、その間引きで被圧縮データから取り出された数値の連続からなる第1の被圧縮データと、残りの数値の連続からなる第の被圧縮データとを作成する間引き処理部と、
上記間引き処理部で作成された第1の被圧縮データに可逆圧縮処理を施す可逆圧縮部と、
上記間引き処理部で作成された第2の被圧縮データに非可逆圧縮処理を施す非可逆圧縮部とを備えたものであることを特徴とする。
ここで、上記の『被圧縮データを構成する数値の連続について隣接する数値どうしの差分を求めることにより』における『隣接する』とは、データストリーム上で隣接してもよいが、必ずしもそれに限定されるものではない。例えば、2次元画像データが1次元ストリーム状のデータとして扱われている場合であれば、2次元的な画像上で見て隣接してもよい。また、『隣接する数値どうしの差分』とは、1次元的な差分のみならず2次元以上の多次元的な差分も含む意である。以下においても同様である。
この本発明のデータ圧縮装置は、
上記非可逆圧縮処理部の前記可逆圧縮部が、上記第1の可逆圧縮処理部および上記第2の可逆圧縮処理部のうちの上記一方における可逆圧縮処理と同等の可逆圧縮処理を上記第1の被圧縮データに施すものであることが好ましい。
また、本発明のデータ圧縮装置は、
上記非可逆圧縮処理部の上記非可逆圧縮部が、
上記間引き処理部で作成された第2の被圧縮データを構成する数値について、上記間引き処理部の間引きによってその数値の前後それぞれで間引かれた各数値の間の値を有するものか否かを判定し、間の値を有する場合には、間の値であることを表す符号を出力し、間の値でない場合には、その数値を上記単位ビット数よりも少ない少ビット数で表現し直した数値を出力するものであるという形態であってもよいし、あるいは、
上記被圧縮データが、上記単位ビット数で表わされる数値の連続で2次元的な画像を表したものであり、
上記非可逆圧縮処理部が、上記画像中のエッジ部分を判定する判定部を備えたものであり、
上記非可逆圧縮処理部の上記非可逆圧縮部が、上記間引き処理部で作成された第2の被圧縮データを構成する数値について、上記判定部で判定されたエッジ部分でない場合には、上記単位ビット数よりも少ないビット数の所定符号を出力し、エッジ部分である場合には、その数値を上記単位ビット数よりも少ない少ビット数で表現し直した数値を出力するものであるという形態であってもよい。
ここで、上記所定符号には、0ビットの符号(即ち実質的には何も出力しない状態)も含まれる。このように0ビットの符号が用いられる場合に対する復号化は、例えば次のような手順で行われる。即ち、復号化されたTRUE画素に基づいてエッジ部分であるか否かを確認し、エッジ部分である場合には上記少ビット数の数値からFAKE画素を復号化し、エッジ部分でない場合にはTRUE画素を用いた補間処理によりFAKE画素を生成する。
上記目的を達成する本発明のデータ圧縮プログラムは、
プログラムを実行する情報処理装置内に組み込まれて該情報処理装置に、所定の単位ビット数で表わされる数値の連続からなる被圧縮データに対するデータ圧縮処理を実行させるデータ圧縮プログラムにおいて、
上記情報処理装置上に、
上記被圧縮データに第1の可逆圧縮処理を施す第1の可逆圧縮処理部と、
上記第1の可逆圧縮処理部によるデータ圧縮の結果が所定の目標圧縮率に達しない場合に、上記被圧縮データに第2の可逆圧縮処理を施す第2の可逆圧縮処理部と、
上記第2の可逆圧縮処理部によるデータ圧縮の結果が上記目標圧縮率に達しない場合に、上記被圧縮データに非可逆圧縮処理を施す非可逆圧縮処理部とを構築し、
上記第1の可逆圧縮処理部および上記第2の可逆圧縮処理部のうちの一方が、
上記被圧縮データを構成する数値の連続について隣接する数値どうしの差分を求めることによりその差分を表わす数値の連続からなる新たな被圧縮データを生成する差分生成部と、
上記差分生成部によって生成された新たな被圧縮データを構成する各数値を所定値だけオフセットさせるオフセット部と、
上記オフセット部によって数値がオフセットされた被圧縮データの各数値を、上記単位ビット数よりも小さい所定の分割ビット数のところで上位ビット部分と下位ビット部分とに分けることによって、その被圧縮データを、各数値における上位ビット部分の連続からなる上位データと各数値の下位ビット部分の連続からなる下位データとに分割する分割部と、
上記分割部によって分割された上位データに対して可逆圧縮処理を施す上位データ圧縮部と、
上記分割部によって分割された下位データに対して可逆圧縮処理を施す下位データ圧縮部とを備えたものであり、
上記第1の可逆圧縮処理部および上記第2の可逆圧縮処理部のうちの上記一方に対する他方が、
大本の被圧縮データ中、1つもしくは複数の所定の圧縮対象数値を除く数値についてはそのまま出力するとともに、圧縮対象数値については、その圧縮対象数値と、その圧縮対象数値と同一の圧縮対象数値の連続数を表わす数値とに符号化して出力する符号化処理を含む可逆圧縮処理を施すものであり、
上記非可逆圧縮処理部が、
被圧縮データを構成する数値の連続から周期的に数値を間引くことにより、その間引きで被圧縮データから取り出された数値の連続からなる第1の被圧縮データと、残りの数値の連続からなる第の被圧縮データとを作成する間引き処理部と、
上記間引き処理部で作成された第1の被圧縮データに可逆圧縮処理を施す可逆圧縮部と、
上記間引き処理部で作成された第2の被圧縮データに非可逆圧縮処理を施す非可逆圧縮部とを備えたものであることを特徴とする。
なお、本発明にいうデータ圧縮プログラムについては、ここではその基本形態のみを示すのにとどめるが、これは単に重複を避けるためであり、本発明にいうデータ圧縮プログラムには、上記の基本形態のみではなく、前述したデータ圧縮装置の各形態に対応する各種の形態が含まれる。
また、本発明のデータ圧縮プログラムがコンピュータ上に構成する差分生成部などといった要素は、1つの要素が1つのプログラム部品によって構築されるものであってもよく、1つの要素が複数のプログラム部品によって構築されるものであってもよく、複数の要素が1つのプログラム部品によって構築されるものであってもよい。また、これらの要素は、そのような作用を自分自身で実行するものとして構築されてもよく、あるいは、コンピュータに組み込まれている他のプログラムやプログラム部品に指示を与えて実行するものとして構築されても良い。
上記本発明のデータ圧縮装置ないしデータ圧縮プログラムによれば、目標圧縮率が得られるように、上述した第1の可逆圧縮処理部と第2の可逆圧縮処理部と非可逆圧縮処理部とのそれぞれによって非圧縮データが圧縮される。これら第1の可逆圧縮処理部、第2の可逆圧縮処理部、および非可逆圧縮処理部における圧縮処理は、いずれも単純な処理手順からなる高速な処理であるため、ある圧縮処理で目標圧縮率に達しないときに別の圧縮処理で圧縮をやり直すこととなっても処理時間は従来のJPEG方式などよりも短時間となる。また、第1の可逆圧縮処理部および第2の可逆圧縮処理部では、一方で、CTデータの圧縮に適した可逆圧縮処理が実行され、他方で、LWデータの圧縮に適した可逆圧縮処理が実行される。このため、多くの画像データが第1の可逆圧縮処理部および第2の可逆圧縮処理部のどちらかで大幅に圧縮され、元の画像データの画質が完全に維持されたまま目標圧縮率に達すると期待される。そして、どちらの可逆圧縮処理でも目標圧縮率に達しないような特殊なタイプの画像データが被圧縮データとなった場合や圧縮目標が特に高い場合などにのみ非可逆圧縮が実行されることとなる。
また、上記の2つの可逆圧縮処理で目標圧縮率に達しない被圧縮データは、どちらかといえばCTデータに近いタイプであると考えられ、上記非可逆圧縮処理部の可逆圧縮部が、CTデータの圧縮に適した上記の可逆圧縮処理を実行するものであると、そのようなタイプの被圧縮データが効率よく圧縮されることとなる。
以下において説明する実施形態は、図1に示す全体システムの中のホストコントローラに組み込まれる画像圧縮装置であり、さらに具体的には、図2に示すホストコントローラ内のCTのビットマップデータ12AおよびLWのビットマップデータ13Aについてデータ圧縮を行なう処理に関するものである。したがって、ここでは、図1,図2を参照して説明したCTデータおよびLWデータについてのデータ圧縮処理が以下に説明する本発明の実施形態としてのデータ圧縮処理に置き換わり、インターフェース機器内でのデータ伸長(解凍)処理もその本発明の実施形態としてのデータ圧縮処理に対応したデータ伸長(解凍)処理に置き換わるものと理解し、図1に示す全体システムおよび図2に示す処理の流れについて重複した図示および重複説明は省略する。
図3は、本発明のデータ圧縮装置の一実施形態に相当する画像圧縮装置を示すブロック構成図である。
この図3に示す画像圧縮装置500は、第1の可逆圧縮処理部501、第2の可逆圧縮処理部502、非可逆圧縮処理部503、および判定部504を備えている。各部501〜503の詳細は後述するが、この画像圧縮装置500内での画像データの流れは以下のとおりである。
入力画像ファイルD0(本実施形態では、図2に示すように、ビットマップに展開されたCTデータ12AあるいはLWデータ13Aが格納されたファイル)は、図4に示すデータ圧縮装置500の第1の可逆圧縮処理部501に入力される。この第1の可逆圧縮処理部501では、入力画像ファイルD0中の画像データに第1の可逆圧縮処理が施される。本実施形態では、この第1の可逆圧縮処理として、CTデータの圧縮に好適な可逆圧縮処理が施され、入力画像の8ライン分を1単位として圧縮処理が施される。この第1の可逆圧縮処理部501は、本発明にいう第1の可逆圧縮処理部の一例の相当する。
第1の可逆圧縮処理部501で可逆圧縮処理が施された8ライン分のデータは判定部504に入力される。この判定部504にはあらかじめ要求圧縮率が通知されており、判定部504では、入力されてきた圧縮データがその要求圧縮率を満たすレベルにまで圧縮されたデータであるか否かが判定される。この判定も入力画像8ライン分を一単位として行なわれる。8ライン分の圧縮データがその要求圧縮率を満たすデータがあったときは、この可逆圧縮処理の段階で圧縮率が満足され、これ以上圧縮する必要がなく、そのまま可逆圧縮データD10として出力される。この可逆圧縮データD10の出力にあたっては、その可逆圧縮データD10の入力画像上の位置や、後の伸長処理に必要な情報等が記述されたヘッダが付されて出力される。
判定部504において、圧縮データが要求圧縮率を満足しないデータであると判定されると、その判定結果が第2の可逆圧縮処理部502に通知され、その第2の可逆圧縮処理部502では、元々の入力画像ファイルD0中の画像データに第2の可逆圧縮処理が施される。本実施形態では、この第2の可逆圧縮処理として、LWデータの圧縮に好適な可逆圧縮処理が施され、ここでも入力画像の8ライン分を1単位として圧縮処理が施される。
第2の可逆圧縮処理部502で可逆圧縮処理が施された8ライン分のデータも判定部504に入力され、そのデータが要求圧縮率を満たすレベルにまで圧縮されたデータであるか否かが判定される。この時点における8ライン分の圧縮データがその要求圧縮率を満たすデータがあったときは、この可逆圧縮処理の段階で圧縮率が満足され、これ以上圧縮する必要がなく、そのまま可逆圧縮データD20として出力される。この可逆圧縮データD20の出力にあたってもヘッダが付されて出力される。
判定部504において、第2の可逆圧縮処理を経た圧縮データも要求圧縮率を満足しないデータであると判定されると、その判定結果が非可逆圧縮処理部503に通知され、その非可逆圧縮処理部503では、元々の入力画像ファイルD0中の画像データに非可逆圧縮処理が施される。ここでも入力画像の8ライン分を1単位として圧縮処理が施され、非可逆圧縮データD30が出力される。この非可逆圧縮データD30にも必要なヘッダが付されている。
図3に示す画像圧縮装置500において以上のようにして得られた圧縮データD10,D20,D30は、図1に示すSCSI等の汎用インターフェース150を経由してインターフェース機器200に転送される。インターフェース機器200では、その受け取った可逆圧縮データにデータ伸長処理が施されるが、このデータ伸長処理にあたっては、図3で説明した各種の符号化処理に対応する復号化処理が施されて元の入力画像ファイル中の画像データと同一の画像データ、若しくはほぼ同一の画像データが復元される。
図4は、図1に示すホストコントローラのハードウェア構成図である。
図1に示すホストコントローラ100は、図4に示す構成のコンピュータシステムで構成されている。
この図4に示す、コンピュータシステムで構成されたホストコントローラ100には、CPU111、RAM112、通信インターフェース113、ハードディスクコントローラ114、FDドライブ115、CDROMドライブ116、マウスコントローラ117、キーボードコントローラ118、ディスプレイコントローラ119、および通信用ボード120が備えられており、これらはバス110で相互に接続されている。
ハードディスクコントローラ114は、このホストコントローラ100に内蔵されているハードディスク104のアクセスを制御するものであり、FDドライブ115、CDROMドライブ116は、このホストコントローラ100に取出し自在に装填されるフレキシブルディスク(FD)130、CDROM140のアクセスを制御するものである。また、マウスコントローラ117、キーボードコントローラ118は、このホストコントローラ100に備えられたマウス107、キーボード108の操作を検出してCPU111に伝達する役割を担っている。さらに、ディスプレイコントローラ119は、このCPU111の指示に基づいて、ホストコントローラ100に備えられた画像ディスプレイ109の表示画面上に画像を表示する役割を担っている。
通信用ボード120は、SCSI等の汎用インターフェースプロトコルに準拠した通信を担っており、圧縮後の画像データをインターフェースケーブル150を介してインターフェース機器200(図1参照)に転送する役割を担っている。
さらに、通信用インターフェース113は、インターネット等の汎用の通信を担っており、このホストコントローラ100は、この通信用インターフェース113を経由して画像データを取り込むこともできる。
RAM112には、ハードディスク104に格納されているプログラムが読み出されてCPU111での実行のために展開され、CPU111では、そのRAM112に展開されたプログラムが読み出されて実行される。
図5は、本発明のデータ圧縮プログラムの一実施形態に相当する画像圧縮処理プログラムの模式構成図である。
ここでは、この画像圧縮プログラム600は、CDROM140に記憶されている。
この画像圧縮プログラム600は、第1の可逆圧縮処理部610、第2の可逆圧縮処理部620、非可逆圧縮処理部630、および判定部640から構成されている。このCDROM140には、ここに示す画像圧縮プログラム600のほか、図1に示すホストコントローラ100における一連の処理を実行するための各種プログラムが記憶されているが、それらについては従来と同様であるため図示および説明は省略する。
この図5に示すCDROM140が、図4に示すホストコントローラ100に装填されCDROMドライブ116でアクセスされてそのCDROM140に記憶されているプログラムがこのホストコントローラ100にアップロードされ、ハードディスク104に記憶される。このハードディスク104に記憶されたプログラムがそのハードディスク104から読み出されてRAM112に展開されCPU111で実行されると、このホストコントローラ100は、図3に示す画像圧縮装置500としての処理を含む、ホストコントローラとしての各種処理を実行する装置として動作する。
ここで、図5に示す画像圧縮プログラム600は、ホストコントローラ100にインストールされてCPU111で実行されることにより、そのホストコントローラ100内に図3に示す画像圧縮装置500を実現するものであり、第1の可逆圧縮処理部610、第2の可逆圧縮処理部620、非可逆圧縮処理部630、および判定部640は、CPU111で実行されることにより、そのホストコントローラ100を、図3に示す画像圧縮装置500を構成する、それぞれ、第1の可逆圧縮処理部501、第2の可逆圧縮処理部502、非可逆圧縮処理部503、および判定部504として動作させるプログラム部品である。つまり、これらのプログラム部品により、画像圧縮装置500の構成要素がホストコントローラ100上に実質的に構築されることとなる。
図5の画像圧縮プログラム600を構成する各部610〜640の、CPU111で実行されたときの作用は、それぞれ、図3の画像圧縮装置500を構成する各部501〜504の作用そのものである。したがって、図3の画像圧縮装置500の各部501〜504に関する、これまでの説明、および、以下に説明する詳細説明をもって、図5の画像圧縮プログラム600を構成する各部610〜640の説明を兼ねるものとする。
先ず、第1の可逆圧縮処理部501について説明する。
図6は、第1の可逆圧縮処理部501を示すブロック構成図である。
この第1の可逆圧縮処理部501は、差分符号化部510、オフセット部520、プレーン分割部530、Lプレーン圧縮部540、およびHプレーン圧縮部550を備えている。各部510〜550における処理の詳細については後に回し、ここでは、この第1の可逆圧縮処理部501内でのデータの流れについて説明する。
この第1の可逆圧縮処理部501に入力された入力画像ファイルD0中の画像データは差分符号化部510に入力されて、差分符号化処理、すなわち、入力されてきたデータを構成する数値の連続について隣接する数値どうしの差分を求めることによりその差分を表わす8ビットの数値の連続からなる画像データを生成する処理が行なわれる。この差分符号化部510は、本発明にいう差分生成部の一例に相当する。
差分符号化部510で生成された、差分を表わす数値の連続からなる画像データは、オフセット部520に入力されて所定値だけオフセットされる。その後、プレーン分割部530で、画像データ中の8ビットの各数値が下位4ビットと上位4ビットとに分けられることにより、画像データは、下位4ビットの数値の連続からなる下位サブプレーンD1Lと上位4ビットの数値の連続からなる上位サブプレーンD1Hに分割される。このオフセット部520は、本発明にいうオフセット部の一例に相当し、プレーン分割部530は、本発明にいう分割部の一例に相当する。また、下位サブプレーンD1Lおよび上位サブプレーンD1Hは、それぞれ、本発明にいう下位データおよび上位データの各一例に相当する。
プレーン分割部530で分割された下位サブプレーンD1Lおよび上位サブプレーンD1Hは、それぞれ、Lプレーン圧縮部540およびHプレーン圧縮部550に入力されて可逆圧縮が施される。これらLプレーン圧縮部540およびHプレーン圧縮部550は、それぞれ、本発明にいう下位データ圧縮部および上位データ圧縮部の各一例に相当する。
Lプレーン圧縮部540のハフマン符号化部541では、数値と符号とを対応づける固定的なハフマンテーブルに従って、そのハフマン符号化部541に入力されてきた下位サブプレーンD1Lを構成する数値をそのハフマンテーブルに従う符号に置き換える符号化処理が行なわれる。このハフマン符号化は、エントロピー符号化の一種である。なお、Lプレーン圧縮部540にはモード切換部542が組み込まれており、このモード切換部542は、ユーザから、高速モードと通常モードとの切り換えを指示されて、上記のハフマン符号化部541によるハフマン符号化を経る通常モードと、ハフマン符号化を省略して下位サブプレーンD1Lをそのまま出力する高速モードとを切り換える。このようなLプレーン圧縮部540からは、下位サブプレーンD1Lが圧縮された下位圧縮データD2Lが出力されるが、高速モードの場合には下位圧縮データD2Lは下位サブプレーンD1Lそのものである。
一方、Hプレーン圧縮部550には、ランレングス符号化部551と、データスキャニング部552と、ハフマン符号化部553が備えられており、上位サブプレーンD1Hはランレングス符号化部551に入力される。
ランレングス符号化部551では、先ず、入力されてきた上位サブプレーンD1Hのデータの中から1つもしくは複数の圧縮対象数値の存在及び同一の圧縮対象数値の連続数が検出される。次いで、ランレングス符号化部551では、その検出結果を受けて、上位サブプレーンD1Hのデータ中、圧縮対象数値を除く数値についてはそのまま出力すると共に、圧縮対象数値については、その圧縮対象数値と、その圧縮対象数値と同一の圧縮対象数値の連続数を表わす数値とに符号化して出力するという符号化処理が行なわれる。このランレングス符号化部551では、その符号化処理にあたっては、同一の圧縮対象数値の連続数に応じ、その連続数を異なるビット数で表現する符号化が行なわれる。ここでは、具体的には、同一の圧縮対象数値の連続数が所定数以下のときはその連続数を1単位ビット数で表現し、その連続数が所定数を越えるときは2単位ビット数で表現する符号化が行なわれる。
また、ランレングス符号化部551での符号化後のデータは、次に、データスキャニング部552とハフマン符号化部553との双方に入力される。データスキャニング部552では、ランレングス符号化部551で符号化された後のデータの全てをスキャニングして、そのデータ中に出現する全ての数値の出現頻度(ヒストグラム)が求められる。ここで、この出現頻度を求める処理は、本実施形態では、図3に示す上位サブプレーンD1Hの1つずつを単位として実行され、各上位サブプレーンD1Hの、ランレングス符号化部551で符号化された後のデータ中の数値の出現頻度が求められる。さらに、データスキャニング部552では、求められたデータヒストグラム(数値の出現頻度)に基づき、ハフマンテーブルに、出現頻度の高い数値ほど符号長の短かい符号を割り当てる。
データスキャニング部552で数値に符号が割り当てられてなるハフマンテーブルは、ハフマン符号化部553に渡され、ハフマン符号化部553では、その渡されたハフマンテーブルに従って、そのハフマン符号化部553に入力されてきたデータを構成する数値を、そのハフマンテーブルに従う符号、すなわち、出現頻度の高い数値ほど短かいビット長で表わされる符号に置き換える符号化処理が行なわれる。
ハフマン符号化部553でハフマン符号化された後のデータは、データスキャニング部552で割り当てられた数値と符号との割当テーブルを含む圧縮情報が添付され、上位サブプレーンD1Hが圧縮された上位圧縮データD2HとしてHプレーン圧縮部550から出力される。
このようにLプレーン圧縮部540およびHプレーン圧縮部550のそれぞれから出力される下位圧縮データD2Lと上位圧縮データD2Hとの組は、元々の画像データが可逆圧縮された、図3に示す可逆圧縮データD10を構成する。なお、ここではヘッダの詳細説明は省略したが、このヘッダには、例えば、ハフマン符号化に用いられたハフマンテーブル等が格納される。
この第1の可逆圧縮処理部501の各部510〜550における処理の詳細については更に後に回し、次に、図3に示す第2の可逆圧縮処理部502について説明する。
図7は、第2の可逆圧縮処理部502を示すブロック構成図である。
この第2の可逆圧縮処理部502には、差分符号化部560とランレングス符号化部570とハフマン符号化部580が備えられている。この第2の可逆圧縮処理部502の各部560〜580における処理の詳細についても、上述した第1の可逆圧縮処理部の各部における処理の詳細とともに後で説明することとし、ここでは、この第2の可逆圧縮処理部502内でのデータの流れについて説明する。
この第2の可逆圧縮処理部502に入力された入力画像ファイルD0中の画像データは差分符号化部560に入力されて、図6の差分符号化部510における差分符号化処理と同様の差分符号化処理が施される。すなわち、入力されてきたデータを構成する数値の連続について隣接する数値どうしの差分を求めることによりその差分を表わす8ビットの数値の連続からなる画像データを生成する処理が行なわれる。
差分符号化処理が施されたデータはランレングス符号化部570に入力され、図6のHプレーン圧縮部550のランレングス符号化部551における符号化処理と同様の符号化処理が施される。そして、符号化後のデータはハフマン符号化部580に入力され、予め用意されている所定のハフマンテーブルに従う符号化処理が施される。
第2の可逆圧縮処理部502では、これらの符号化により図3にも示した可逆圧縮データD20が生成されて出力される。
次に、図3に示す非可逆圧縮処理部503について説明する。
図8は、非可逆圧縮処理部503を示すブロック構成図である。
この非可逆圧縮処理部503は、間引き処理部505、差分符号化部510、オフセット部520、プレーン分割部530、Lプレーン圧縮部540、Hプレーン圧縮部550、およびFAKE画素圧縮部590を備えている。ここでも、まず、非可逆圧縮処理部503での画像データの流れについて説明する。
非可逆圧縮処理部503に入力された入力画像ファイルD0中の画像データは間引き処理部505に入力されて、画像データから、画像中の周期的な画素部分に相当するTRUE画素データが間引かれる。間引かれた残りはFAKE画素データとなる。これらTRUE画素データおよびFAKE画素データが、それぞれ、本発明にいう第1の被圧縮データおよび第2の被圧縮データの各一例に相当する。
TRUE画素データは差分符号化部510に入力され、差分符号化部510、オフセット部520、プレーン分割部530、Lプレーン圧縮部540、Hプレーン圧縮部550の各処理が施されて下位圧縮データD2Lと上位圧縮データD2Hが得られる。このTRUE画素データの流れは、図6で説明した第1の可逆圧縮処理部501における画像データの流れと全く同様である。この図8に示す要素のうち図6に示す要素と同様の要素については、図6で付されている符号と同じ符号をこの図8でも付している。下位圧縮データD2Lと上位圧縮データD2Hとの組は、TRUE画素データが可逆圧縮された可逆圧縮データを構成する。
一方、上記の間引き処理部505で得られたFAKE画素データは、FAKE画素圧縮部560に入力されて非可逆圧縮処理が施される。このFAKE画素圧縮部560には、ビット短縮部561と、ランレングス符号化部562と、ハフマン符号化部563とが備えられており、FAKE画素データを構成する数値はビット短縮部561で1ビットまたは4ビットの符号に置換される。そして、ランレングス符号化部562およびハフマン符号化部563によって、上記Hプレーン圧縮部550における処理と全く同様の処理が実行される。この結果、FAKE画素圧縮部560からは、FAKE画素データが非可逆圧縮された非可逆圧縮データD3が出力される。
TRUE画素データが可逆圧縮された可逆圧縮データを構成する下位圧縮データD2Lと上位圧縮データD2Hとの組、およびFAKE画素データが非可逆圧縮された非可逆圧縮データD3は、全体として、入力画像ファイルD0中の画像データが非可逆圧縮された、図3に示す非可逆圧縮データD30を構成している。
以下、上述した第1の可逆圧縮処理部、第2の可逆圧縮処理部、および非可逆圧縮処理部を構成している各部における処理の詳細について説明する。
まず、図6に示す第1の可逆圧縮処理部501の差分符号化部510の処理について説明する。
図9は、図6に示す第1の可逆圧縮処理部501に入力される入力画像ファイル中の画像データのデータ構造および差分符号化の概念を示す図である。
図9に示すように、図6に示す第1の可逆圧縮処理部501に入力される画像データは、所定の主走査方向に画素がM個並んでいる。その主走査方向とは直角な副走査方向に教えていったときのN番目のラインについて、主走査方向に並ぶ各画素の画素値は、その並び順に、
n,1,Dn,2,…,Dn,m-2,Dn,m-1,Dn,m
と表現される。
これと同様に、副走査方向の(N+1)番目のラインについて、主走査方向に並ぶ各画素の画素値は、その並びの順に、
n+1,1,Dn+1,2,…,Dn+1,m-2,Dn+1,m-1,Dn+1,m
と表現される。
ここで、図6に示す第1の可逆圧縮処理部501を構成する差分符号化部510には、上記のような画像データが入力され、副走査方向に隣接する画素どうしの差分が求められる。すなわち、N番目のラインと(N+1)番目のラインとの差分であって、主走査方向に並ぶj番目の画素の差分をSn,jとすると、この差分Sn,jは、
n,j=Dn+1,j−Dn,j (j=1〜m)
と表現される。
この差分演算を具体的に説明する。
図10は、図6に示す第1の可逆圧縮処理部501を構成する差分符号化部510における差分符号化処理を例示して示す図である。
ここでは、図9に示す副走査方向に並ぶある縦一列の画素値が、図10の「画像データ」
の欄に示すように、
「12 01 02 FF 64 … 40 40 3F …」
であったとする。尚、ここでは、各画素値は、16進2桁(1バイト=8ビット)で表現されている。ここでは「ライン」は主走査方向に並ぶ画素を指している。
先ず、1ライン目の画素値「12」については、そのまま出力する。
次に、2ライン目の画素値「01」から1ライン目の画素値「12」を引き算し、その結果を出力する。ここで、「01」から「12」を引き算した結果は負の数となり、9ビットで「1EF」と表わされるが、MSBの1ビットである「1」は省略し、下位8ビットである「EF」のみを出力する。
次に、3ライン目の画素値「02」から2ライン目の画素値「01」を引き算し、その結果の値「01」を出力する。
次に、4ライン目の画素値「FF」から3ライン目の画素値「02」を引き算し、その結果の値「FD」を出力する。
次に、5ライン目の画素値「64」から4ライン目の画素値「FF」を引き算し、その結果の値から、MSBの1ビットである「1」を省略し、下位8ビットである「65」を出力する。
以下、これと同じ演算を繰り返すことにより、図8の「差分エンコード(下位8ビット)」の欄に表わされている
「(12) EF 01 FD 65 … L0 00 FF …」
が出力される。
図1に示すインターフェース機器200では、この差分符号化されたデータを復号化するにあたり、図10の右側に示す演算が行なわれる。
先ず1ライン目の画素値は「12」のそのままである。
2ライン目の画素値は、差分値「EF」に1ライン目の画素値「12」を足し算した結果のうちの下位8ビットで表わされる「01」である。
3ライン目の画素値は、差分値「01」に、上記で求めた2ライン目の画素値「01」を足し算することにより求められる「02」である。
4ライン目の画素値は、差分値「FD」に、上記で求めた3ライン目の画素値「02」を足し算することにより求められる「FF」である。
5ライン目の画素値は差分値「65」に、上記で求めた4ライン目の画素値「FF」を足し算した結果のうちの下位8ビットで表わされる「64」である。
以下これと同様の演算を繰り返すことにより、差分符号化を行なう前のデータと同一のデータに復号化される。
図6の差分符号化部510では、以上説明したような差分符号化が画像データに施される。この差分符号化によって得られるデータは、図6のオフセット部520に入力され、そのデータの各数値について所定のオフセット値が加算される。
ここで、このような差分符号化およびオフセットの効果について、具体的なCTの画像データを例に用いて説明する。
図11は、CTの画像データの例を示す図である。
この図11のパート(A)には、CTの画像データが表しているCT画像の一例としてモノクロの風景画像が示されており、本実施形態では、このようなCT画像の各画素における色の濃度が8ビットの数値で表現された画像データが用いられる。図11のパート(B)には、パート(A)に示す風景画像を表す画像データにおけるデータ値のヒストグラムが示されており、このヒストグラムの横軸はデータ値、縦軸はデータ数(画素数)を表している。CT画像では一般に、ヒストグラムの幅が広く、ヒストグラム中でデータ数の山谷は生じてもヒストグラムの途中にデータ数が「0」の領域が生じることは極めてまれである。
図12は、CTの画像データに対する差分符号化およびオフセットの効果を示す図である。
この図12のパート(A)には、図11に示したCTの画像データに対して差分符号化が施されて得られるデータのヒストグラムが示されており、このヒストグラムの横軸はデータ値、縦軸は出現頻度を表している。CTの画像データに対して、図9および図10で説明した差分符号化が施されると、データのヒストグラムは、一般に、この図12のパート(A)に示すような、最小データ値と最大データ値の双方に鋭いピークを有するヒストグラムとなる。そして、このようなデータに対してオフセットが施されると、データのヒストグラムは、図12のパート(B)に示すような、オフセット値のところに鋭いピークを持つヒストグラムとなる。本実施形態ではオフセット値として「8」が用いられており、オフセットの結果、値が「16」以上となるデータの頻度はほとんど「0」となっている。
このように差分符号化およびオフセットによってヒストグラムが変形されたデータは、図6のプレーン分割部530によって下位サブプレーンと上位サブプレーンとに分割される。
図13は、プレーン分割部530によるデータ分割の効果を説明する図である。
この図13には、図12のパート(B)に示すヒストグラムがデータ値「15」とデータ値「16」との間で切り離されたヒストグラムが示されており、図6のプレーン分割部530によるデータ分割は、まさにこのようなヒストグラムの分割に相当する効果を生じる。すなわち、本実施形態では、データを構成している8ビットの各数値が上位4ビットと下位4ビットとに分割されることで、下位4ビットが表す数値の連続からなる下位サブプレーンと上位4ビットが表す数値の連続からなる上位サブプレーンとが得られる。そして、下位サブプレーンを構成する4ビットの数値が値「0」から値「15」までの各数値をそのまま表現していて、上位サブプレーンを構成する4ビットの数値の場合は、値「16」から値「256」までの、16間隔16種類の数値を表現していると解釈すると、下位サブプレーンのヒストグラムは、この図13の左側に示されたヒストグラムとほぼ同じものとなり、上位サブプレーンのヒストグラムは、図13の右側に示されたヒストグラムとほぼ同じものとなる。ただし、上位サブプレーンのヒストグラムについては、図13の右側に示されたヒストグラムのデータ値「16」のところに、図13の左側に示されたヒストグラムの面積に等しい高さのピークが付加されたものとなる。
このような上位サブプレーンは、図6に示すHプレーン圧縮部550を構成するランレングス符号化部551に入力される。
本実施形態では、処理の都合上、ランレングス符号化部551で、上位サブプレーンを構成する連続した4ビットの数値が2つで1つの8ビットの数値として取り扱われ、16進数表示で値「00」から値「FF」までの数値の連続に対して以下の符号化処理が適用される。
この符号化処理では、複数の8ビットの数値のうちの特定の数値についてのみ符号化処理が行なわれる。このため、このランレングス符号化部551では、受け取ったデータの中から、符号化処理を行なう数値(ここでは、この数値を「圧縮対象数値」と称する)と、その圧縮対象数値の連続数が検出される。
本実施形態では、一例として、「01」、「FF」および「00」の3つの数値を圧縮対象数値としている。
図14は、図6に示すランレングス符号化部551でのランレングス符号化処理の説明図である。
図14の上のラインは、上位サブプレーンを構成するデータ、下のラインは、ランレングス符号化部551でのランレングス符号化処理を行なった後のデータである。
ここでは、図14の上のラインに示すように、量子化処理部551からは、
「06 02 02 02 01 01 01 01 04 05 00 … 」
なるデータが入力されたものとする。このとき、図6のランレングス符号化部551では、先頭の「06」は圧縮対象数値ではなく、次に続く「02 02 02」も圧縮対象数値ではなく、次に、圧縮対象数値である「01」が4つ連続していること、次に、圧縮対象数値ではない「04」、「05」を間に置いて、圧縮対象数値である「00」が32767個連続していることが検出される。
図15は、ランレングス符号化部における、圧縮対象数値を対象にした符号化のアルゴリズムを示す図である。
この図15中、Zは同一の圧縮対象数値の連続数、例えば図14の上のラインの「01」についてはZ=4、「00」についてはZ=32767である。
また、図15中、「YY」は、16進2桁で表わされた圧縮対象数値自体を表わしている。その「YY」に続く、「0」又は「1」は1ビットで表現された「0」又は「1」であり、さらにそれに続く「XX…」は、1つの「X」が1ビットを表わしており、この「XX…」でZの値を表現している。
すなわち、図15は、圧縮対象数値「YY」がZ<128連続するときは、1バイト目で圧縮対象数値「YY」を表現し、それに続く1バイトで、先頭ビットが「0」、それに続く7ビットでZの値を表現すること、また、圧縮対象数値「YY」がZ≧128連続するときは、1バイト目で圧縮対象数値「YY」を表現し、それに続く2バイト(16ビット)のうちの先頭の1ビットを「1」とすることで2バイトに跨って表現されていることを表現し、それに続く15ビットで、Zの値を表現することを意味している。
この図15に示す規則に従って図14に示す符号化の例について説明する。
図6のプレーン分割部530から入力されてきた上位サブプレーンのデータ(上のライン)を構成する先頭の数値「06」は圧縮対象数値ではないため、その「06」のまま出力される。また、それに続く「02 02 02」も、「02」は圧縮対象数値ではなく、これら3つの「02」もそのまま出力される。次に、圧縮対象数値である「01」が4個連続するため、「01 04」に符号化される。次の「04」及び「05」は圧縮対象数値ではないため、そのまま「04 05」が出力される。
次に「00」が32767個連続しているため、「00」を置き、次の1バイトのうちの先頭の1ビットを「1」とし、次いで15ビットで32767−128を表現することにより、「00 FF 7F」の3バイトで「00」が32767個連続していることを表現する。すなわち、連続数128は、最初のビット「1」を除き、「00 00」と表現される。
図16は、図6のランレングス符号化部551における、連続数に応じた符号化処理の例を示す図である。
・「00」が127個連続するときは、2バイトを用いて「00 7F」に符号化され、
・「00」が32767個連続するときは、3バイトを用いて「00 FF 7E」に符号化され、
・「00」が32895個連続するときは、3バイトを用いて「00 FF FF」に符号化され、
・「00」が128個連続するときは、3バイトを用いて「00 80 00」に符号化され、
・「FF」が4096個連続するときは、3バイトを用いて「FF 8F 80」に符号化される。
図6に示すランレングス符号化部551では、上記のような符号化処理が行なわれる。
本実施形態によるランレングス符号化部551によれば、最大圧縮率は、3/32895=1/10,965にまで向上する。また、このランレングス符号化部551が符号化処理の対象としている上位サブプレーンのデータは、図13のヒストグラムで説明したように、4ビットの数値のほとんどが、データ値「16」を表現した数値「0」であり、その4ビットの数値から作られる8ビットの数値も、多くが、16進数表示で数値「00」となる。このためランレングス符号化部551における符号化処理によって大幅なデータ圧縮が期待される。
図6のランレングス符号化部551で上記の符号化処理の行なわれた後のデータは、次に図6のHプレーン圧縮部550を構成するデータスキャニング部552とハフマン符号化部553に入力される。
このデータスキャニング部552では、先ず、ランレングス符号化部551から出力されたデータの全体がスキャニングされてデータ値の出現頻度が求められる。
図17は、データスキャニング部552によるスキャニング結果の例を示す図である。
ここでは、「A1」の出現頻度が最も強く、以下順に、「A2」、「A3」、「A4」、…の順であるとする。尚、これら「A1」、「A2」等は数値を直接表わしている訳ではなく、数値を表わす符号である。すなわち、「A1」は例えば数値「00」、「A2」は数値「FF」等である。また、ここでは、簡単のため、図3のランレングス符号化部551から送られてくるデータは全てのデータ値が「A1」〜「A16」の16個の数値のうちのいずれかの数値であるものとする。そして、このような16個の数値それぞれに対して、データスキャニング部552では、出現頻度に応じた符号が割り当てられてハフマンテーブルが作成される。即ち、出現頻度の最も高い「A1」には、2ビットで表わされた符号「00」が割り当てられ、次の「A2」には、やはり2ビットで表わされた符号「01」が割り当てられ、次の「A3」、さらに次の「A4」には、3ビットで表わされる、それぞれ、符号「100」、符号「101」が割り当てられ、次の「A5」〜「A8」には、5ビットで表わされる各符号が割り当てられ、以下同様に、出現頻度が低い数値ほど多くのビット数で表わされた符号が割り当てられる。
図18は、ハフマンテーブルの一例を示す図である。
このハフマンテーブルは、図17と一致させてあり、出現頻度が高い数値ほど短かいビット数で表わされた符号に置き換えられるように並べられた、符号化前(置き換え前)の数値と符号化後(置き換え後)の数値との対応テーブルである。
図6のHプレーン圧縮部550を構成するハフマン符号化部553では、このようなハフマンテーブルに従ってデータの数値が符号化され、その結果、多くの数値が短かいビット数の符号に置き換えられることとなってデータ圧縮が実現される。
このように、図6のHプレーン圧縮部550に入力される上位サブプレーンD1Hについては、ランレングス符号化部551による符号化とハフマン符号化部553による符号化が施されることにより高い圧縮率で圧縮されて上位圧縮データD2Hとなる。
図6のLプレーン圧縮部540のハフマン符号化部541では、Hプレーン圧縮部550のランレングス符号化部551と同様に、4ビットの数値の2つ分が1つの8ビットの数値とみなされて処理される。また、このハフマン符号化部541による符号化処理では、固定的なハフマンテーブルが用いられる点を除いて、Hプレーン圧縮部550のハフマン符号化部553による符号化処理と同様な処理が実行される。この結果、下位サブプレーンD1Lは下位圧縮データD2Lとなる。
以上説明したような各種の処理が図6に示す第1の可逆圧縮処理部501の各部で実行されることにより、第1の可逆圧縮処理部501は、画像データを可逆圧縮によって圧縮することができ、特にCT画像のデータについては大幅な圧縮が実現される。また、以上説明したような各種の処理は、単純なアルゴリズムによる処理であるため高速処理が可能である。
次に、図7に示す第2の可逆圧縮処理部502の各部における処理の詳細について説明する。
この第2の可逆圧縮処理部502に入力された画像データは、図7に示す差分符号化部560に入力される。この差分符号化部560は、図6に示す差分符号化部510と全く同様のものであり、第2の可逆圧縮処理部502の差分符号化部560でも、図9および図10で説明した差分符号化処理が実行される。差分符号化処理が施されたデータは、図7に示すランレングス符号化部570に入力される。このランレングス符号化部570では、図14〜図16で説明した符号化処理と同様の符号化処理が実行される。
第2の可逆圧縮処理部502では、第1の可逆圧縮処理部とは異なり、差分符号化処理の直後にランレングス符号化処理が実行される。このような処理手順は、特にLWデータの処理に適している。即ち、LW画像では差分符号化処理後のデータは、いくつかの特定値に極めて集中したデータとなっており、このようなデータに対して上述したようなランレングス符号化処理が施されることによって大幅な圧縮が実現されると期待される。
このようにランレングス符号化処理が施されたデータは、図7のハフマン符号化部580に入力される。このハフマン符号化部580では、図17および図18で説明したデータスキャニングとハフマン符号化が実行され、データが更に圧縮される。
以上説明したように各種の処理が図7に示す第2の可逆圧縮処理部502の各部で実行されることにより、第2の可逆圧縮処理部502は、画像データを可逆圧縮によって圧縮することができ、特にLW画像のデータについては大幅な圧縮が実現される。また、第2の可逆圧縮処理部502における各種の処理も単純なアルゴリズムによる処理であり、高速処理が可能である。
最後に、図8に示す非可逆圧縮処理部503の各部における処理の詳細について説明する。
この図8に示す非可逆圧縮処理部503に入力された画像データは、間引き処理部505に入力され、間引き処理が施される。
図19は、図8に示す非可逆圧縮処理部503に入力される入力画像ファイル中の画像データのデータ構造および間引き処理の概念を示す図である。
データ構造については図9でも説明したが、ここでは、間引き処理の概念説明のために、上述した説明における画素値の表現とは別の表現を用いる。
図19に示すように、図8に示す非可逆圧縮処理部503に入力される画像データは、所定の主走査方向(図の横方向)とその主走査方向とは直角な副走査方向(図の縦方向)とに画素が並んでおり、主走査方向に並ぶ画素の列はラインと称される。ここでは8ライン分の画素が示されており、画素と画素との間隔は600dpiの解像度に相当する。
各画素の位置は、画素値を表す符号T,Fに付された添え字で表現される。例えば3番目のラインについて、主走査方向に並ぶ各画素の画素値には、その並び順に、
3_1,3_2,3_3,3_4,…
という添え字が付されている。
図8に示す非可逆圧縮処理部503を構成する間引き処理部505には、このように並んだ画素値からなる画像データが入力され、各画素を、TRUE画素とFAKE画素とに分類する。この図19に示す各画素のうちTRUE画素は画素値が符号Tで表され、FAKE画素は画素値が符号Fで表されている。TRUE画素は、画素の並びの中から周期的に間引かれた画素であり、ここでは一例として、副走査方向に1ラインおきの各ライン(奇数番目のライン)について、主走査方向に1画素おきの各画素(奇数番目の画素)がTRUE画素として間引き出されている。この結果、この図19に示す例ではTRUE画素は、元の600dpiの解像度から300dpiの解像度に低下した画像を構成する画素に相当しており、元の画像データの4分の1に相当する画素が間引き出されたこととなる。このように間引き出されたTRUE画素は、そのようなTRUE画素の連続からなるTRUE画素データを構成し、そのTRUE画素データの構造は、元の画像データと同様に、主走査方向と副走査方向に画素が並んだ構造となっている。TRUE画素の間引きによって残ったFAKE画素についても、そのFAKE画素の連続からなるFAKE画素データを構成する。
TRUE画素の間引きだしとしては、このほかに例えば、副走査方向に2ラインおきの各ラインについて、主走査方向に2画素おきの各画素を間引き出すことによって元の画像データの9分の1に相当する画素を間引き出す方式や、主走査方向と副走査方向とでは間引きだしの周期が異なる方式なども採用可能であるが、以下では、図19に示すように、奇数番ラインの奇数番画素が間引き出されたものとして説明を続ける。
このようにして得られたTRUE画素データは、図8に示す非可逆圧縮処理部503を構成する差分符号化部510に入力され、差分符号化部510、オフセット部520、プレーン分割部530、Lプレーン圧縮部540、Hプレーン圧縮部550の各処理が施される。これらの各部510〜550における処理の詳細は、図6に示す各部510〜550における処理と全く同様であるので重複説明は省略する。なお、これらの各部510〜550における処理が施されると、上述したように、CTデータが効率よく圧縮される。上述した2つの可逆圧縮処理部で目標の圧縮率に達しない場合には、画像データが表す画像がCT画像とLW画像とのどちらとも言えないタイプの画像であるという状況もあり得るが、CT画像のデータとLW画像データとでは、CT画像のデータの方が圧縮率が上がりにくいので、2つの可逆圧縮処理部で目標の圧縮率に達しない場合は、しばしば、CT画像のデータで圧縮率が不足したという状況が生じていると考えられる。このため、TRUE画素データに対する圧縮処理がCT画像のデータの圧縮に適した上記の各処理であると、TRUE画素データが効率良く圧縮されると期待される。
一方、図8に示す間引き処理部505で得られたFAKE画素データについては、FAKE画素圧縮部590に入力されて非可逆圧縮が施される。
このFAKE画素圧縮部590に入力されたFAKE画素データは、ビット短縮部591に渡され、ビット短縮部591では、まず、FAKE画素データを構成する各FAKE画素の画素値について、元の画像データ上でそのFAKE画素を挟んでいる2つのTRUE画素の画素値が求められ、FAKE画素の画素値がこれらのTRUE画素の画素値と比較される。ここで、図19に示す各FAKE画素は、TRUE画素との位置関係で3系統に区分される。すなわち、TRUE画素の画素値をTn_kと表現した場合にFAKE画素の画素値はFn_k+1,Fn+1_k,Fn+1_k+1という3種類に表現される。このような3種類のFAKE画素のうち、画素値がFn_k+1と表現されるFAKE画素の画素値については、そのFAKE画素を主走査方向に挟む2つのTRUE画素の画素値Tn_k,Tn_k+2と比較される。また、画素値がFn+1_kと表現されるFAKE画素の画素値については、そのFAKE画素を副走査方向に挟む2つのTRUE画素の画素値Tn_k,Tn+2_kと比較される。更に、画素値がFn+1_k+1と表現されるFAKE画素の画素値については、そのFAKE画素を斜め方向に挟む2つのTRUE画素の画素値Tn_k,Tn+2_k+2と比較される。
ビット短縮部591では、次に、比較結果に応じて、FAKE画素の画素値を1ビットの符号「0」または「1」から始まる4ビットの符号に符号化する。
図20は、ビット短縮部における符号化の概念を示す図である。
ここでは、上述した3種類のFAKE画素のうち、画素値がFn+1_kと表現されるFAKE画素を代表として説明する。このFAKE画素の画素値Fn+1_kが、2つのTRUE画素の画素値Tn_k,Tn+2_kの間のレギュラーFAKE画素ゾーンに存在している場合には、レギュラーFAKE画素ゾーンに存在していることを表した1ビットの符号「0」に符号化される。また、8ビットで表現可能な0〜255の数値範囲のうちレギュラーFAKE画素ゾーンを除いた残りのイレギュラーFAKE画素ゾーンにFAKE画素の画素値Fn+1_kが存在している場合には、その画素値は、以下説明するように、「1」で始まる4ビットの符号に符号化される。
図21は、4ビットの符号への第1の符号化方式を表す図である。
この第1の符号化方式では、FAKE画素の画素値Fn_k+1は、その画素値Fn_k+1を表した8ビットのビット値の下位5桁が切り捨てられ、残った上位3桁の先頭に「1」が付加されることで「1000」〜「1111」の符号に符号化される。従って、この図の表に示すように、符号化前の「0」〜「255」の数値のうち「0」〜「31」の数値は「1000」に符号化され、「22」〜「63」の数値は「1001」に符号化される。以下同様に、「64」〜「95」、「96」〜「127」、「128」〜「159」、「160」〜「191」、「192」〜「223」、「224」〜「255」の数値は、それぞれ、「1010」、「1011」、「1100」、「1101」、「1110」、「1111」に符号化される。このような第1の符号化方式は、ビット値の桁の切り捨てというごく単純な処理で実現される。
図8のビット短縮部591におけるこのような符号化によって、FAKE画素の8ビットの画素値は1ビットまたは4ビットに短縮化される。また、CT画像の場合には、隣接画素間の相関が高いので、多くのFAKE画素について画素値がレギュラーFAKE画素ゾーンに存在し、大幅な圧縮が可能であると考えられる。
なお、本実施形態では、この4ビット符号への符号化に際し、上述した第1の符号化方式が用いられているが、本発明にいうビット短縮部では、以下説明する第2の符号化方式が採用されてもよい。
図22は、4ビットの符号への第2の符号化方式を表す図である。
この第2の符号化方式では、上述したイレギュラーFAKE画素ゾーンの数値範囲を8ステップに分割し、上述した8個の4ビット符号に割り振って符号化する。例えば、レギュラーFAKE画素ゾーンが「36」〜「128」であったとすると、
{255−(128−36)}/8=20.37,INT(20.38)=20
という計算式から、ステップサイズが20となり、この図18に示すように、「0」〜「20」の数値は「1000」に符号化され、「21」〜「36」の数値は「1001」に符号化される。また、「128」〜「128+20」の数値は「1010」に符号化され、以下同様に、「128+21」〜「128+40」、「128+41」〜「128+60」、「128+61」〜「128+80」、「128+81」〜「128+100」、「128+101」〜「255」の数値は、それぞれ、「1011」、「1100」、「1101」、「1110」、「1111」に符号化される。このような第2の符号化方式では、必要な数値範囲に絞った符号化となるので精度が高い。
図8のビット短縮部591で符号化されたデータは1ビットの符号と4ビットの符号が混在したものであるが、その後の処理のために8ビット単位に区切られ(バイトパッキング)、図8のランレングス符号化部592およびハフマン符号化部593によって、図6および図8に示すHプレーン圧縮部550における処理と全く同様の処理が実行される。ここで、ハフマン符号化部593は、上述したデータスキャニング部552とハフマン符号化部553との双方の役割を兼ねている。
CT画像の場合は、ビット短縮部591の符号化によって多くの画素値が「0」に符号化されているので、その後、ランレングス符号化部592で更に大幅に圧縮されると期待される。
以上説明したような各種の処理が図8に示す非可逆圧縮処理部503の各部で実行されることにより、非可逆圧縮処理部503は、画像データを非可逆圧縮によって圧縮することができ、特にCT画像のデータについては、第1の可逆圧縮処理部における圧縮よりも大幅な圧縮が実現される。この非可逆圧縮処理部503における各種の処理も単純なアルゴリズムによる処理であり、高速処理が可能である。
このように、図3に示す画像圧縮装置500は、第1の可逆圧縮処理部501、第2の可逆圧縮処理部502、および非可逆圧縮処理部503を備えることによって、種々のタイプの画像データについて高速かつ大幅な圧縮を行うことができる。
なお、上記説明では、本発明にいう第1の可逆圧縮処理部の一例として、CTデータの圧縮に適した処理を行う第1の可逆圧縮処理部501が示され、本発明にいう第2の可逆圧縮処理部の一例として、LWデータの圧縮に適した処理を行う第2の可逆圧縮処理部502が示されているが、本発明にいう第1の可逆圧縮処理部および本発明にいう第1の可逆圧縮処理部は、第1の可逆圧縮処理部でLWデータの圧縮に適した処理を行い、第2の可逆圧縮処理部でCTデータの圧縮に適した処理を行うものであってもよい。
また、上記説明では、本発明にいう差分生成部の一例として、副走査方向の差分を求めるものが示されているが、本発明にいう差分生成部は、主走査方向の差分を求めるものであってもよい。また、上記説明では、本発明にいう差分生成部の一例として、いわば1次元的な差分演算を用いて差分を求めるものが示されているが、本発明にいう差分生成部は、画像の縦横双方の差分を複合したいわば2次元的な差分演算を用いて差分を求めるものであってもよい。
データ圧縮技術が適用されたプリントシステムの一例を示す図である。 プリントシステムにおけるデータ処理の流れを示す図である。 本発明のデータ圧縮装置の一実施形態に相当する画像圧縮装置を示すブロック構成図である。 図1に示すホストコントローラのハードウェア構成図である。 本発明のデータ圧縮プログラムの一実施形態に相当する画像圧縮処理プログラムの模式構成図である。 第1の可逆圧縮処理部を示すブロック構成図である。 第2の可逆圧縮処理部を示すブロック構成図である。 非可逆圧縮処理部を示すブロック構成図である。 図6に示す第1の可逆圧縮処理部に入力される入力画像ファイル中の画像データのデータ構造および差分符号化の概念を示す図である。 図6に示す第1の可逆圧縮処理部を構成する差分符号化部における差分符号化処理を例示して示す図である。 CTの画像データの例を示す図である。 CTの画像データに対する差分符号化およびオフセットの効果を示す図である。 プレーン分割部によるデータ分割の効果を説明する図である。 図6に示すランレングス符号化部での符号化の説明図である。 ランレングス符号化部における、圧縮対象数値を対象にした符号化のアルゴリズムを示す図である。 図6のランレングス符号化部における、連続数に応じた符号化処理の例を示す図である。 データスキャニング部によるスキャニング結果の例を示す図である。 ハフマンテーブルの一例を示す図である。 図8に示す非可逆圧縮処理部に入力される入力画像ファイル中の画像データのデータ構造および間引き処理の概念を示す図である。 ビット短縮部における符号化の概念を示す図である。 4ビットの符号への第1の符号化方式を表す図である。 4ビットの符号への第2の符号化方式を表す図である。
符号の説明
11 画像のデータ
12A,12B,13A,13B ビットマップデータ
14 非可逆の圧縮データ
15 可逆の圧縮データ
100 ホストコントローラ
140 CDROM
150 汎用インターフェースケーブル
200 インターフェース機器
250 専用インターフェースケーブル
300 プリンタ
500 画像圧縮装置
501 第1の可逆圧縮処理部
502 第2の可逆圧縮処理部
503 非可逆圧縮処理部
504 判定部
505 間引き処理部
510 差分符号化部
520 オフセット部
530 プレーン分割部
540 Lプレーン圧縮部
541 ハフマン符号化部
542 モード切換部
550 Hプレーン圧縮部
551 ランレングス符号化部
552 データスキャニング部
553 ハフマン符号化部
560 差分符号化部
570 ランレングス符号化部
580 ハフマン符号化部
590 FAKE画素圧縮部
591 ビット短縮部
592 ランレングス符号化部
593 ハフマン符号化部
600 画像圧縮プログラム
610 第1の可逆圧縮処理部
620 第2の可逆圧縮処理部
630 非可逆圧縮処理部
640 判定部

Claims (4)

  1. 所定の単位ビット数で表わされる数値の連続からなる被圧縮データにデータ圧縮処理を施すデータ圧縮装置において、
    前記被圧縮データに第1の可逆圧縮処理を施す第1の可逆圧縮処理部と、
    前記第1の可逆圧縮処理部によるデータ圧縮の結果が所定の目標圧縮率に達しない場合に、前記被圧縮データに第2の可逆圧縮処理を施す第2の可逆圧縮処理部と、
    前記第2の可逆圧縮処理部によるデータ圧縮の結果が前記目標圧縮率に達しない場合に、前記被圧縮データに非可逆圧縮処理を施す非可逆圧縮処理部とを備え、
    前記第1の可逆圧縮処理部および前記第2の可逆圧縮処理部のうちの一方が、
    前記被圧縮データを構成する数値の連続について隣接する数値どうしの差分を求めることにより該差分を表わす数値の連続からなる新たな被圧縮データを生成する差分生成部と、
    前記差分生成部によって生成された新たな被圧縮データを構成する各数値を所定値だけオフセットさせるオフセット部と、
    前記オフセット部によって数値がオフセットされた被圧縮データの各数値を、前記単位ビット数よりも小さい所定の分割ビット数のところで上位ビット部分と下位ビット部分とに分けることによって、該被圧縮データを、各数値における上位ビット部分の連続からなる上位データと各数値の下位ビット部分の連続からなる下位データとに分割する分割部と、
    前記分割部によって分割された上位データに対して可逆圧縮処理を施す上位データ圧縮部と、
    前記分割部によって分割された下位データに対して可逆圧縮処理を施す下位データ圧縮部とを備えたものであり、
    前記第1の可逆圧縮処理部および前記第2の可逆圧縮処理部のうちの前記一方に対する他方が、
    大本の被圧縮データ中、1つもしくは複数の所定の圧縮対象数値を除く数値についてはそのまま出力するとともに、圧縮対象数値については、該圧縮対象数値と、該圧縮対象数値と同一の圧縮対象数値の連続数を表わす数値とに符号化して出力する符号化処理を含む可逆圧縮処理を施すものであり、
    前記非可逆圧縮処理部が、
    被圧縮データを構成する数値の連続から周期的に数値を間引くことにより、その間引きで該被圧縮データから取り出された数値の連続からなる第1の被圧縮データと、残りの数値の連続からなる第の被圧縮データとを作成する間引き処理部と、
    前記間引き処理部で作成された第1の被圧縮データに可逆圧縮処理を施す可逆圧縮部と、
    前記間引き処理部で作成された第2の被圧縮データに非可逆圧縮処理を施す非可逆圧縮部とを備えたものであることを特徴とするデータ圧縮装置。
  2. 前記非可逆圧縮処理部の前記可逆圧縮部が、前記第1の可逆圧縮処理部および前記第2の可逆圧縮処理部のうちの前記一方における可逆圧縮処理と同等の可逆圧縮処理を前記第1の被圧縮データに施すものであることを特徴とする請求項1記載のデータ圧縮装置。
  3. 前記非可逆圧縮処理部の前記非可逆圧縮部が、
    前記間引き処理部で作成された第2の被圧縮データを構成する数値について、前記間引き処理部の間引きによってその数値の前後それぞれで間引かれた各数値の間の値を有するものか否かを判定し、間の値を有する場合には、間の値であることを表す符号を出力し、間の値でない場合には、その数値を前記単位ビット数よりも少ない少ビット数で表現し直した数値を出力するものであることを特徴とする請求項1記載のデータ圧縮装置。
  4. プログラムを実行する情報処理装置内に組み込まれて該情報処理装置に、所定の単位ビット数で表わされる数値の連続からなる被圧縮データに対するデータ圧縮処理を実行させるデータ圧縮プログラムにおいて、
    前記情報処理装置上に、
    前記被圧縮データに第1の可逆圧縮処理を施す第1の可逆圧縮処理部と、
    前記第1の可逆圧縮処理部によるデータ圧縮の結果が所定の目標圧縮率に達しない場合に、前記被圧縮データに第2の可逆圧縮処理を施す第2の可逆圧縮処理部と、
    前記第2の可逆圧縮処理部によるデータ圧縮の結果が前記目標圧縮率に達しない場合に、前記被圧縮データに非可逆圧縮処理を施す非可逆圧縮処理部とを構築し、
    前記第1の可逆圧縮処理部および前記第2の可逆圧縮処理部のうちの一方が、
    前記被圧縮データを構成する数値の連続について隣接する数値どうしの差分を求めることにより該差分を表わす数値の連続からなる新たな被圧縮データを生成する差分生成部と、
    前記差分生成部によって生成された新たな被圧縮データを構成する各数値を所定値だけオフセットさせるオフセット部と、
    前記オフセット部によって数値がオフセットされた被圧縮データの各数値を、前記単位ビット数よりも小さい所定の分割ビット数のところで上位ビット部分と下位ビット部分とに分けることによって、該被圧縮データを、各数値における上位ビット部分の連続からなる上位データと各数値の下位ビット部分の連続からなる下位データとに分割する分割部と、
    前記分割部によって分割された上位データに対して可逆圧縮処理を施す上位データ圧縮部と、
    前記分割部によって分割された下位データに対して可逆圧縮処理を施す下位データ圧縮部とを備えたものであり、
    前記第1の可逆圧縮処理部および前記第2の可逆圧縮処理部のうちの前記一方に対する他方が、
    大本の被圧縮データ中、1つもしくは複数の所定の圧縮対象数値を除く数値についてはそのまま出力するとともに、圧縮対象数値については、該圧縮対象数値と、該圧縮対象数値と同一の圧縮対象数値の連続数を表わす数値とに符号化して出力する符号化処理を含む可逆圧縮処理を施すものであり、
    前記非可逆圧縮処理部が、
    被圧縮データを構成する数値の連続から周期的に数値を間引くことにより、その間引きで該被圧縮データから取り出された数値の連続からなる第1の被圧縮データと、残りの数値の連続からなる第2の被圧縮データとを作成する間引き処理部と、
    前記間引き処理部で作成された第1の被圧縮データに可逆圧縮処理を施す可逆圧縮部と、
    前記間引き処理部で作成された第2の被圧縮データに非可逆圧縮処理を施す非可逆圧縮部とを備えたものであることを特徴とするデータ圧縮プログラム。
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