JP4629474B2 - 反射部材付きled用実装基板およびその製造方法、ならびにledモジュール - Google Patents
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放熱性(熱伝導性)のよい基板材料として窒化アルミニウム(AlN)が知られている(特許文献1)。しかし、窒化アルミニウムは光を透過するので、これのみで反射孔付き実装基板を作製しようとすると、別途、実装基板に設けた孔に反射膜を形成する必要がある。
そこで、実装基板を窒化アルミニウムで作製し、反射孔を有する反射部材をアルミナで作って、当該実装基板に当該反射部材を接着剤で貼り付けることが考えられる。しかし、接着層から光が漏れて、光の利用効率が下がるといった問題が生じる。LEDの側方から射出される光の内、接着層に入射する光はそのまま接着層に吸収されてしまうので、この分の光が有効利用されないからである。
上記の目的を達成するため、本発明に係る反射部材付きLED用実装基板の製造方法は、反射孔が開設された反射部材付きLED用実装基板の製造方法であって、アルミナ粉末と粘結剤との混練体であって、前記反射孔となる孔が開設された反射部材素体を準備する工程と、窒化アルミニウム粉末と粘結剤との混練体であって、シート状をした絶縁基板素体を準備する工程と、窒化アルミニウム粉末、アルミナ粉末、および粘結剤の混練体であって、シート状をした緩衝層素体を準備する工程と、前記反射部材素体と前記絶縁基板素体とで前記緩衝層素体を挟んだ状態で焼結する工程とを有することを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るLEDモジュールは、上記反射部材付きLED用実装基板と、前記反射孔で囲まれる位置に実装されたLEDとを有することを特徴とする。
(実施の形態1)
図1(a)は、実施の形態1に係るLEDモジュール10の概略構成を示す斜視図である。図1(b)は、図1(a)において、平面Aで切断した断面図であり、図1(c)は、図1(b)におけるB部の拡大図である。なお、図1(a)を含むすべての図において、各構成部材間の縮尺は統一していない。
絶縁基板12は、窒化アルミニウム(AlN)の焼結体からなる。
反射板14は、アルミナ(Al2O3)の焼結体からなり、N行M列(本例では、4行4列)のマトリックス状に配された反射孔16を複数個(本例では、16個)有する。反射孔16は、その内壁面が、前記絶縁基板12とは反対側に向かって拡がった略円錐台形状に形成されている。アルミナの有する白色性から、前記内壁面がそのまま反射面として機能する。反射孔16毎に、後述するように、白色LED18が1個ずつ配される。
図1(c)、図1(d)に示すように、表面パターン22に、LEDチップ28のp電極とn電極(いずれも不図示)がバンプ30によって接合されて(機械的に接合されると共に、電気的に接続されて)、フリップチップ実装されている。LEDチップ28には、例えば、青色発光するものを用いることができる。
前記LEDチップ28と蛍光体膜32とで白色LED18が構成される。すなわち、LEDチップ28から射出される青色光は、蛍光体膜32で一部が吸収され黄緑色光と赤色光に変換される。青色光と黄緑色光と赤色光が合成されて白色光となって、蛍光体膜32から出射されるのである。
LEDチップ28が実装される表面パターン22は、前記内部パターン24とビアホール(via hole)34を介して電気的に接続されている。そして、16個のLEDチップ28は、表面パターン22、ビアホール34、および内部パターン24によって直列に接続されている。そして、直列接続されたLEDチップ28の内、高電位側末端のLEDチップのp側電極が表面パターン、ビアホール、内部パターン(いずれも、図には現れていない)を介して、アノード端子36と電気的に接続され、低電位側末端のLEDチップのn側電極が表面パターン、ビアホール、内部パターン(いずれも、図には現れていない)を介して、カソード端子38と電気的に接続されている。なお、LEDモジュール10において、白色LED18(LEDチップ28、蛍光体膜32)、バンプ30、および凸レンズ28を除いた残余の部分が、LED用実装基板40となる。
また、緩衝層20は、反射板14と絶縁基板12の両者の成分を含むセラミック材料の焼結体で形成されているので、その熱膨張係数は、反射板14と絶縁基板12の間の値となる。したがって、LEDモジュール10(LEDチップ28)の点灯・消灯の繰り返しによって、反射板14と絶縁基板12とが膨張・収縮を繰り返したとしても、緩衝層20によって両者の膨張・収縮の差が吸収されることとなり、当該両者の接合が損なわれる(反射板14と絶縁基板12が剥がれる)といった事態を可能な限り防止することができる。
先ず、窒化アルミニウム(AlN)の粉末とポリビニルブチラールなどの粘結剤の他、エタノールなどの溶剤、ジエチルフタレートなどの可塑剤をよく混練して得たスラリーから、ドクターブレード法によりグリーンシート42を作製し、これを複数枚(本例では4枚)重ねて圧着して、シート状をした絶縁基板素体44を形成する[工程A1]。
上記A1〜C1と並行して、窒化アルミニウム(AlN)の粉末、アルミナ(Al2O3)の粉末、ポリビニルブチラールなどの粘結剤の他、エタノールなどの溶剤、ジエチルフタレートなどの可塑剤をよく混練して得たスラリーから、ドクターブレード法によりグリーンシートを作製して、緩衝層素体50を形成する[工程D1]。
続いて、タングステンペースト48が印刷された絶縁基板素体44に、タングステンペースト54が充填された緩衝層素体50を重ねて圧着し、緩衝層素体50上面に、タングステン(W)ペースト56をスクリーン印刷する[工程G1]。なお、当該圧着の際、絶縁基板素体44上のタングステンペースト48は、緩衝層素体50にめり込み、図示はしないが、タングステンペースト48に対応する絶縁基板素体44部分は、若干凹むこととなる。印刷された上記タングステンペースト56は、後述する焼結工程を経て、表面パターン22、アノード端子36、およびカソード端子38となる。
工程G1で得た積層体に、テーパー孔60の開設された反射板素体58を重ねて圧着する[工程K1]。
続いて、工程K1で得た積層体を、500℃〜600℃で加熱し、有機成分を飛散させた後、窒素(N2)雰囲気中において1500℃〜1800℃で焼結する[工程M1]。このとき、反射板素体58と絶縁基板素体44との間には、両者の成分を含む緩衝層素体50が挟まれているので、収縮率や収縮速度の違いに起因する焼結時の反射板素体58と絶縁基板素体44との間のずれ(層間ずれ)が、当該緩衝層素体50によって吸収されることとなり、反射板素体58と絶縁基板素体44は緩衝層素体50によって良好に接合されることとなる。工程M1によって、反射板14付きLED用実装基板40が完成する。
最後に、インジェクションモールド法等により、エポキシ樹脂で凸レンズ26を形成して[工程Q1]、LEDモジュール10が完成する。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係るLEDモジュール70について説明する。
図4(a)は、LEDモジュール70の概略構成を示す斜視図である。図4(b)は、図4(a)において、平面Cで切断した断面図であり、図4(c)は、図4(a)において、平面Dで切断した断面図である。
緩衝層72は、実施の形態1の緩衝層20と同様、窒化アルミニウムとアルミナの混合物の焼結体からなる。
そして、各反射ブロック76は、緩衝層72によって、絶縁基板12に一体的に接合されている。緩衝層72による一体接合によってもたらされる効果は、実施の形態1の場合と同様である。なお、LEDモジュール70において、白色LED18(LEDチップ28、蛍光体膜32)、および凸レンズ26等を除いた残余の部分が、LED用実装基板81となる。
先ず、シート状をした絶縁基板素体44を作製する[工程A2]。
絶縁基板素体44に緩衝層素体50を重ねて圧着する[工程C2]。
緩衝層素体50の上面に、前記配線パターン74と同様のパターンの畝状をした凸部を有する凹凸型82を押し付けて、溝(凹部)84を形成する[工程D2]。
前記溝84に、タングステン(W)ペースト86をスクリーン印刷等によって印刷する(溝84にタングステンペースト86を充填する。)[工程E2]。なお、印刷されたタングステンペースト86が、後述する焼結工程を経て、配線パターン74、アノード端子78、およびカソード端子80となる。
上記積層体90に対し、パンチングプレス等によって、テーパー孔92を開設した後、個片に分割して、反射ブロック素体94を作製する[工程G2]。
続いて、工程H2で得た積層体を、500℃〜600℃で加熱し、有機成分を飛散させた後、窒素(N2)雰囲気中において1500℃〜1800℃で焼結する[工程J2]。このとき、緩衝層素体50の存在によって、各反射ブロック素体94と絶縁基板素体44とが良好に接合できる理由は、実施の形態1の場合と同じである。さらに、実施の形態2では、緩衝層素体50の上面とタングステンペースト86の上面が面一になっていて、実施の形態1のように緩衝層素体側に凹凸が少ないことからも、接合が良好に行われる。工程J2によって、反射ブロック76付きLED用実装基板81が完成する。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下のような形態とすることも可能である。
(1)実施の形態2では、反射部材(反射ブロック76)との接合面にある配線パターンを緩衝層に埋設し、当該配線パターンの上面と緩衝層の上面とを略面一に合わせる構成を採ったが、この構成を実施の形態1のLED用実装基板に採用することとしても構わない。
(2)上記実施の形態では、実装基板にLED(LEDチップ28)をフリップチップ実装したが、実装の形態はこれに限らない。例えば、LEDチップをフェースアップで実装し、LEDチップの電極と基板上の配線パターンとをボンディングワイヤーで電気的に接続するようにしても構わない。
(3)上記実施の形態では、LED用実装基板にベアチップ状態でLED(LEDチップ28)を実装して、LEDモジュールを構成したが、実装対象とするLEDはベアチップ形態のものに限らない。例えば、パッケージ構造化された面実装タイプのLEDでもよい。あるいは、特開2001−15817号公報(特許第3399440号公報)に記載されている、いわゆるサブマウント式のLEDを実装することとしても構わない。サブマウント式のLEDとは、LEDベアチップよりも一回り大きな主面積を有する基板(サブマウント素子)上にLEDベアチップを搭載し、当該サブマウント素子を受け皿として、LEDベアチップの周囲に蛍光体膜を形成してなるものである。サブマウント式のLEDを採用すると、実装基板に実装する前に、色むら等の検査が可能となることから、完成品(LEDモジュール)の歩留まりが向上することとなる。
12 絶縁基板
14 反射板
16 反射孔
18 白色LED
20,72 緩衝層
28 LEDチップ
40 LED用実装基板
44 絶縁基板素体
50 緩衝層素体
58 反射板素体
74 配線パターン
76 反射ブロック
81 LED用実装基板
94 反射ブロック素体
86 タングステン(W)ペースト
Claims (5)
- LEDが実装されるLED用実装基板であって、
窒化アルミニウムの焼結体からなる絶縁基板と、
アルミナの焼結体からなり、実装状態の前記LEDを取り囲む反射孔を有する反射部材とを有し、
前記絶縁基板と前記反射部材とが、窒化アルミニウムとアルミナの混合物の焼結体からなり当該絶縁基板と当該反射部材との間に挟まれた緩衝層によって一体的に接合されていることを特徴とする反射部材付きLED用実装基板。 - 前記LEDの電極が電気的に接続される配線パターンであって、前記緩衝層と略面一に形成された配線パターンを有することを特徴とする請求項1記載の反射部材付きLED用実装基板。
- 反射孔が開設された反射部材付きLED用実装基板の製造方法であって、
アルミナ粉末と粘結剤との混練体であって、前記反射孔となる孔が開設された反射部材素体を準備する工程と、
窒化アルミニウム粉末と粘結剤との混練体であって、シート状をした絶縁基板素体を準備する工程と、
窒化アルミニウム粉末、アルミナ粉末、および粘結剤の混練体であって、シート状をした緩衝層素体を準備する工程と、
前記反射部材素体と前記絶縁基板素体とで前記緩衝層素体を挟んだ状態で焼結する工程と、
を有することを特徴とする反射部材付きLED用実装基板の製造方法。 - 前記焼結の工程の前に、
前記緩衝層素体の一方の主面に、前記LED用実装基板の配線パターンに対応する凹部を形成する工程と、
前記凹部にタングステンペーストを充填する工程とを有することを特徴とする請求項3記載の反射部材付きLED用実装基板の製造方法。 - 請求項1または2に記載の反射部材付きLED用実装基板と、
前記反射孔で囲まれる位置に実装されたLEDとを有することを特徴とするLEDモジュール。
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