JP4629207B2 - マスク検査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスクの検査を行うマスク検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、フォトマスクの欠陥の検査は、光学顕微鏡を用いて欠陥を観察することで行っていた。ウェハの高集積化、微細化が進むに伴い、フォトマスク上のパターンもますます微細化し、光学顕微鏡ではもはやその分解能を越えてしまい欠陥の観察が不可となってきた。このため、より波長の短かい電子ビームを用いた走査型電子顕微鏡によるフォトマスクの欠陥の検査が行われるようになってきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、フォトマスクの材質は電気絶縁性の石英ガラスが通常用いられ、静電気を帯びやすい性質のものである。そのため、走査型電子顕微鏡では、二次電子の発生率は1に近い加速電圧を使用することにより、電子ビームによる帯電を抑えて、像観察を行う。しかし、前工程のエッチングなどの際に、フォトマスク表面に電荷が付着し帯電する。
【0004】
このような帯電は、フォトマスクを大気中に取り出すことによって、部分的に緩和されるが、一部は残る。このようなフォトマスクを走査型電子顕微鏡で(フォトマスクを)高分解能で観察するときにドリフトやコントラストの変化が生じてしまい、正確に検査したり測長したりすることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、これらの問題を解決するため、マスクがチャンバーに搬送される直前のサブチャンバーでプラズマを発生させて静電気の除去を行った後にチャンバーに搬入し、マスクなどの静電気を除去してドリフトがなくかつコントラスト変動のない良質の画像の生成を実現することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
図1を参照して課題を解決するための手段を説明する。
図1において、サブチャンバー1は、マスク13を搬送して予備排気する容器であって、ここでは、ベルジャー2を真空的に接続したものである。
【0007】
ベルジャー2は、非導電性の真空容器であって、外部に設けたコイルあるいは電極から内部に高周波電力を供給して残留ガスをプラズマ化するためのものである。
メインチャンバー11は、マスク13を搬入して電子ビームを照射しつつ面走査してその拡大像を生成させるための容器である。
【0008】
次に,動作を説明する。
フォトマスク13を大気中から搬送して予備排気するサブチャンバー1を設け、当該サブチャンバー1に真空的に接続したベルジャー2の外側にコイルあるいは電極を設けて内部に高周波電力を放射して残留ガスをプラズマ化し、サブチャンバー1に搬送されているマスク13上の電荷を中和した後に、マスク13をサブチャンバー1からメインチャンバー11に搬入して観察位置に設定するようにしている。
【0009】
この際、プラズマを発生させる容器であるベルジャー2は、非導電性の真空容器で作成してサブチャンバー1に真空的に接続した構造を持ち、当該真空容器の外側に設けたコイルあるいは電極から高周波電力を当該真空容器の内部に放射して残留気体をプラズマ状態に励起するようにしている。
【0010】
従って、マスク13がメインチャンバ11に搬入される直前のサブチャンバー1でプラズマを発生させて静電気の除去を行った後にメインチャンバー11に搬入することにより、マスク13の静電気を除去してドリフトがなくかつコントラスト変動のない良質の画像(走査型電子顕微鏡像)の生成を実現することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、図1から図3を用いて本発明の実施の形態および動作を順次詳細に説明する。
図1は、本発明のシステム構成図を示す。
【0012】
図1において、サブチャンバー1は、マスク13を搬送して予備排気する容器であって、ここでは、ベルジャー2を真空的に接続したりするものである。
ベルジャー2は、非導電性の真空容器であって、外部に設けた電極4から内部に高周波電力を供給して残留ガスをプラズマ化するためのものである。電極4は、コイルや平板上の電極であって、非導電性の真空容器(例えばガラス容器)の外部から内部に高周波電力を放射するためのコイルあるいは電極である。
【0013】
高周波電源3は、電極4に高周波電流を流してベルジャー2の内部に高周波電力を放射して残留ガスをプラズマ化するための電源である。
バルブ5は、大気とサブチャンバー1との間の真空仕切り弁である。
バルブ6は、サブチャンバー1内に大気を導入したり,遮断したりするバルブである。
【0014】
バルブ7は、ロータリポンプ15とサブチャンバー1との間に設け、サブチャンパー1とロータリポンプ15とを接続して予備排気するためのバルブである。
バルブ8は、ターボポンプ9とロータリポンプ15との間に設け、ターボポンプ9で圧縮された気体を排気するためのものである。
【0015】
ターボポンプ9は、サブチャンバー1を高真空に排気するポンプである。
バルブ10は、サブチャンバー1とターボポンプ9との間に設け,サブチャンバー1を高真空に排気するためのものである。
メインチャンバ−11は、マスク13を観察位置に搬入し、図示外の電子銃から放出されて縮小された電子ビームで面走査し、そのときに放出された2次電子を検出して2次電子像を表示させるための容器である。
【0016】
バルブ12は、サブチャンバー11とメインチャンバー11との間の仕切り弁である。
プラズマ13は、高周波電極によって残留ガスがプラズマ化されたものであって、マスク13上の電荷を中和するためのものである(図2参照)。
【0017】
搬送アーム14は、マスク13を搬送するものである。
ロータリポンプ15は、予備排気するポンプである。
次に、動作を説明する。
(1) バルブ12およびバルブ10を閉状態、バルブ6を開状態にして大気をサブチャンバー1内に導入した後(大気状態にした後)、バルブ5を開いてマスク13を搬送アーム14に載せてサブチャンバー1内の図示の位置に搬送する。
【0018】
(2) バルブ5およびバルブ6を閉状態にし、バルブ7を開状態にして、ロータリポンプ15でサブチャンバー1およびベルジャー2内を予備排気する。
(3) 圧力が1Torr以下になったら、バルブ7を閉状態にして、バルブ8とバルブ10を開状態にして、ターボポンプ9で更にサブチャンバー1内を真空排気する。
【0019】
(4) (3)の状態で圧力が20mmTorr位になったら、高周波電源3をONにして、電極4からベルジャー2内に高周波電力を放射して残留ガスをプラズマ化してプラズマ18を発生させる。
(5) (4)で発生されたプラズマ18は、しばらくしてサブチャンパー1内に広がる。約1秒間、圧力は約5mmTorr位になったときに、高周波電源3をOFFにする。これにより、マスク13の表面にプラズマが覆って当該マスク13上の電荷を中和して当該電荷を消去する(図2の説明参照)。
【0020】
(6) 次に、バルブ12を開状態にし、メインチャンバー11に電荷を消去した後のマスク13を搬入して図示外の試料移動台に固定して観察位置に配置し、搬送アーム14をサブチャンバー1に戻してバルブ12を閉状態にする。
(7) (6)の状態でメインチャンバー11を高真空排気しつつ、細く絞った電子ビームでマスク13を平面走査してそのときに放出された2次電子を検出してマスク13の高分解能の2次電子画像を表示し、マスク13の欠陥などを検査する。
【0021】
以上のように、マスク13をサブチャンバー1内で予備排気している最中のプラズマ化に適した圧力になったときに高周波電源3をONにしてプラズマ18を発生させてマスク13の表面を覆って当該マスク13の表面の電荷を中和して消去した後、メインチャンバー11に電荷を中和した後のマスク12を搬入して試料移動台に固定して拡大した2次電子像を観察することにより、マスク13の交換操作の途中で自動的にマスク13の電荷をプラズマ18で中和して消去した直後にメインチャンバーに搬入して2次電子像を形成させるため、マスク13の電荷を確実かつ観察の直前に中和して消去でき、従来のマスク13の帯電による2次電子観察時の2次電子像のドリフトやコントラストの変動を除去することが可能となる。
【0022】
図2は、本発明のプラズマによる静電気除去の説明図を示す。
図2において、マスク13上の静電気16は、マスク13上に細く絞った電子ビームを平面走査してそのときに当該マスク13の表面から放出された2次電子を検出して表示した2次電子像について、ドリフトの発生やコントラストの変動の原因となるものである。
【0023】
荷電粒子17は、既述した残留ガスがプラズマ化されて発生したプラズマ18であって、ここでは、正電気を帯びた○+(例えば正イオン)および負電気を帯びた○−(例えば電子)の両者の混在したものである。
以上のように、マスク13の表面に静電気16があると、プラズマ化された荷電粒子17を構成する正電気を帯びた○+(例えば正イオン)あるいは負電気を帯びた○−(例えば電子)のうちの、当該静電気16の反対の極性のものが図示の矢印のように結合し、中和されて静電気16が消去される。図中では、マスク13上の静電気16として、正の電気のみが示されているが、負の電気が帯電したときは荷電粒子17中の正の電気のものによって中和される。これらにより、マスク13の表面に正の電荷あるいは負の電荷を持つ静電気16のいずれが帯電しても荷電粒子17によって中和されて消去されることとなる。
【0024】
また、高周波電源3をONにするのは、サブチャンバー11が排気され、ある真空エリアを通過するときだけであって、この間のみプラズマが発生されてマスク13上の電荷の除電(中和)を行うため、スループットに全く影響しない(電荷の除電のために特別の時間を必要としなく、スループットに全く影響しない)。
【0025】
また、電極4は大気中に設け、当該電極4からベルジャー2内の低圧の残留ガスを高周波電力で励起してプラズマを発生させるため、当該電極4からコンタミの発生がなく、更に、低圧で短かい時間でマスク13上の静電気の除去を行うたため、マスク13にダメージを与えることを避けることができる。
【0026】
図3は、本発明の説明図を示す。
図3の(a)はプラズマによる静電気除去(有)の2次電子画像を示し、図3の(b)はプラズマによる静電気除去(無)の2次電子画像を示す。試料は、フォトマスクであって、”H”は、石英上のクロムパターンである。図3の(b)の2次電子画像は静電気により生じたドリフトのある写真で、”H”形状の測長は困難である。図3の(a)の2次電子画像は静電気を除去した画像であって、シャープ、かつ一様なエッジが見える正常な画像である。両者の写真を見て判明するように、本願発明によるマスク13上の静電気の除去(中和)を行うことで、図3の(a)のような帯電によるドリフトやコントラストの変動のないシャープ、かつ一様なエッジの2次電子画像を確実に得ることが可能となる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、マスク13がメインチャンバ11に搬入される直前のサブチャンバー1でプラズマを発生させて静電気の除去を行った後にメインチャンバー11に搬入して観察する構成を採用しているため、マスク13の静電気を除去してドリフトがなくかつコントラスト変動のない良質の画像を確実に生成することが可能となる。これにより、スループットに全く影響を与えることなく、観察の直前のサブチャンバー1でマスク13上の静電気を確実に除去(中和)してドリフトやコントラスト変動のないシャープかつエッジの綺麗な画像を生成できると共に、測長を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシステム構成図である。
【図2】本発明のプラズマによる静電気除去の説明図である。
【図3】本発明の説明図である。
【符号の説明】
1:サブチャンバー
2:ベルジャー
3:高周波電源
4:電極
5,6,7,8,10,12:バルブ
9:ターボポンプ
11:メインチャンバー
13:マスク(フォトマスク)
14:搬送アーム
15:ロータリポンプ
16:静電気
17:荷電粒子

Claims (1)

  1. マスクの検査を行うマスク検査装置において、
    マスクを大気中から搬送して予備排気するサブチャンバーと、
    上記予備排気されたサブチャンバーに設け、非導電性の真空容器で作成して上記サブチャンバーに真空的に接続した構造を持ち、当該真空容器の外側に設けたコイルあるいは電極から高周波電力を当該真空容器の内部に放射して残留気体をプラズマ状態に励起し
    プラズマを発生させて当該サブチャンバーに搬送されているマスク上の電荷を中和するプラズマ発生装置と、
    上記マスク上の電荷を中和した後に、当該マスクを上記サブチャンバーからチャンバーに搬送して観察位置に設定する搬送手段と
    を備えたことを特徴とするマスク検査装置。
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