JP4627886B2 - 複合強化ゴム材および空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ゴムマトリックスをコードで補強した複合強化ゴム材およびこれをべルトに適用した空気入りタイヤに関し、特に、複合強化ゴム材の、コード長手方向における剪断剛性を高めると共に、コードとゴムマトリックスとの剥離を抑制することにより、これを空気入りタイヤのベルトに適用した場合に、空気入りタイヤの周方向の剪断剛性を高めて、空気入りタイヤの耐久性を向上させ、省資源化に寄与する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ゴムホース、コンベヤベルトおよび空気入りタイヤ等のゴム製品は、応力等による耐久性の低下を防止するために、一般には、ゴムマトリックスをコード等で補強した複合体を適用してなる。
例えば、空気入りタイヤは、1対のビード部間に配置されたトロイド状のカーカスのクラウン部の周囲を、補強コードを埋設してなるリボン状のゴム材を、そのコードがタイヤの周方向に沿う配置の下、螺旋状に巻回してベルトを形成し、カーカスを補強している。前記リボン状のゴム材は、1本または複数本のフィラメントからなるコードを、これより弾性率の低いゴム等の高分子材料で個々に被覆したものを並置配列して構成される。
【0003】
上記の構造のベルトにより、タイヤの転動に伴うショルダー部の迫り出しや歪みの集中を抑制して、ベルト端部における摩耗やセパレーション故障等を回避している。
なかでも、コードを波形またはジグザグ形にくせ付けしたコードをゴムでコーティングしたゴム材を巻回してなるベルト層(特開平02−241802号、特開平02−141304号、特開平03−143704号、特開平02−167736号、特開平03−157204号等の公報参照)は、偏平のタイヤ(特に偏平比が60%以下の偏平タイヤ)や、あるいは[使用荷重]対[タイヤ内部の空気体積と空気圧との積]の比が高いタイヤなどベルトに生ずる歪や温度が急激に上昇し易いタイヤにおいて有効な手段である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような波形等にくせ付けしたコードを埋設したリボン状のゴム材を、タイヤの周方向に螺旋巻きして形成したベルト層には、以下のような不都合がある。
すなわち、真直のコードを埋設したゴム材をタイヤの周方向に螺旋巻きした場合に比べて、タイヤ周方向の剛性がやや低下するため、タイヤの踏み込みと蹴り出し時に、ショルダー部(特に低偏平比のタイヤのショルダー部)に逆方向の大きな剪断変形が生じる。このため、ショルダー部と路面との間で滑りが生じ、ショルダー部において早期摩耗が生じ、その結果、タイヤの耐久性が低下する。
上記不都合を解消するためには、コードのコーティングゴムをより高弾性率のものにすることが考えられるが、コードとコーティングゴムとの間には、上記のように剪断変形により大きな応力がかかるため、これを緩和して、界面剥離を抑制することも、タイヤの耐久性を高める上で重要である。
そこで、本発明は、複合強化ゴム材の剪断剛性を高めつつ、コードと被覆ゴムとの間の剥離応力を緩和して、耐久性の向上を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の複合強化ゴム材は以下の構成とする。
(1)ゴムマトリックスを少なくとも1本の波形コードで補強した複合強化ゴム材であって、前記ゴムマトリックスが前記波形コードを直接被覆する第1ゴム層と前記第1ゴム層の全周を被覆する第2ゴム層とからなり、前記第2ゴム層が前記第1ゴム層よりも高い剪断弾性率を有することを特徴とする。
なお、「波形コード」とは、ジグザグに折れ曲がった形状をも含む。
(2)第1ゴム層で個々に被覆された2本以上の前記波形コードが並置配列されて帯状体を形成していることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の空気入りタイヤは以下の構成とする。
(3)1対のビード部間にわたってトロイド状に延びるカーカスを骨格とし、このカーカスの径方向外側に少なくとも1層のベルトを具えてなる空気入りタイヤにおいて、前記ベルトの少なくとも1層に、前記各複合強化ゴム材を、そのコードが前記タイヤの周方向に沿う配置にて適用してなることを特徴とする。
(4)前記複合強化ゴム材を適用したベルト層のうち少なくとも1層は、そのタイヤの幅方向断面における幅がタイヤの断面幅の55%以上であることを特徴とする。
(5)前記複合強化ゴム材を適用したベルト層は、そのコードのタイヤの赤道に対する傾斜角度が−5〜+5度の範囲であることを特徴とする。
【0008】
(6)タイヤの偏平比が70%以下であることを特徴とする。
なお、上記各構成に対して付加的に、第1ゴム層と第2ゴム層間に緩衝層を介挿してもよい。緩衝層を設けることにより、さらにコード周囲の歪みの勾配が緩やかになり、耐久性が高くなる。
なお、各ゴム層を構成する材料は、好ましくはゴム組成物であるが、広くゴム状弾性体を包含し、必ずしも天然ゴムや合成ゴムの組成物のみに限定するものではなく、ポリエチレン等の弾性ポリマーよりなるものをも包含する。
さらに、本明細書中、コードとは撚っていないものをも包含する。
【0009】
【発明の実施の形態】
上記(1)記載の構成を、コードが1本の場合について具体的に例示すると、図1のようになる。すなわち、波形のコード1を第1ゴム層2で被覆し、その全周に、第1ゴム層2より高弾性率の第2ゴム層3を設けてなる。
このような構成によると、コードを直接被覆する第1ゴム層が、第2ゴム層と比べて低弾性率を有するので、コードと第1ゴム層との界面に生じる剥離応力を緩和でき、このゴム材を適用したゴム製品の耐久性を確保できる。また、第1ゴム層の全周に比較的に高弾性率の第2ゴム層を設けているので、ゴムマトリックスの剪断剛性を高めることができる。
【0010】
上記(2)の構成を、コードが2本の場合について具体的に例示すると、図2のようになる。すなわち、第1ゴム層2で2本のコード1を個々に被覆し、これらを並置配列して帯状体を形成し、該帯状体の全周面に第2ゴム層3を設けてなる。
このような構成によると、上記の作用効果に加えて、1本等、より本数の少ないコードで補強されたゴム材からなる場合に比べて、この複合強化ゴム材を適用する対象が大面積の場合に、作業の効率化を図ることができ、生産性を高めることができる。
また、30%伸長時の剪断弾性率が、前記第2ゴム層は前記第1ゴム層の3倍以上であるという構成によると、このゴム材をタイヤの特にベルトに適用した場合に、上記剥離耐久性と耐摩耗性との両立がより良好になる。
更に、第2ゴム層が、ゴム組成物単独の場合は、第1ゴム層とゴム組成等を変えることにより、弾性率を上げることになるが、ゴムマトリックス中に粒子状もしくは短繊維状の物質を分散した複合体とする場合には、第1ゴム層と同じゴム組成で高弾性率化を図ることが可能となり、簡便である。もちろん、この分散系の場合においても、両ゴム組成を変えることは差し支えない。短繊維を分散させる場合、コードの方向に一致させて配向させると、さらにコード方向の剛性を高めることができるが、ランダムであってもよい。
なお、分散される粒子状、短繊維状物質としては、ナイロン等を例示できる。
【0011】
また、波形のコードが有機材料、無機材料または金属材料からなる構成、および波形のコードが1本または複数本のフィラメントからなる構成の場合、このゴム材を適用したゴム製品の要求特性に応じて、補強コードの材料(有機、無機、金属材料)およびコード構成(フィラメントの本数、撚り構造等)を選択することができ、設計の自由度が高い。また、このゴム材がタイヤのベルトに適用された際には、ショルダー部の早期摩耗をより抑制して、耐久性の向上を図ることができる。
なお、コードを形成する有機材料としては、芳香族ポリアミド等を例示できる。金属材料よりなるものとしては、スチールコードが好ましいが、スチールコードも含めて金属材料を用いた場合は、コーティングゴムとの接着性の観点から、メッキされていることが望ましい。
更に、第1ゴム層および第2ゴム層のうち少なくともいずれか1方の表面が凹凸面である構成の場合、コードをコーティングする際に生じるコード輪郭に起因するゴム層表面の凹凸を修正する必要がなく、作業性が良好である。なお、この凹凸は第1ゴム層にあっても、第2ゴム層にあっても、加硫時の圧力等により隙間なく密着して加硫接着される。
【0012】
上記(3)記載の構成を、低偏平比で2層のベルトを具えるラジアルタイヤについて具体的に例示すると、図3のようになる。すなわち、1対のビード部11間にわたって、ラジアル方向に延びる有機繊維コードのプライよりなるトロイド状のカーカス12を骨格とし、このカーカス12のクラウン部の径方向外側に2層のベルト13を具えてなる、前記ベルトの2層に、本発明の上記各構成の複合強化ゴム材を、そのコードが前記タイヤの周方向に螺旋状巻きになる配置にて適用して構成される。なお、ベルトは1層でもよいが、2層以上が剛性の点から好ましい。
このようなタイヤに、上記各複合強化ゴム材を適用すると、上記の作用効果をタイヤにおいて得ることができる。
さらに、一般に、コードを周方向に配設してなるベルトは、交差ベルト、すなわちタイヤ赤道に対して大きな傾斜角度をなす配置のコードが複数のベルト層の積層間で相互に交差するベルトに比べて、ベルトの面に沿う変形に対する剛性、いわゆる面内剪断剛性、特にタイヤ周方向における面内剪断剛性が劣り、コーナリングパワーや車両の操縦安定性が低下するという不都合があるが、上記構成のタイヤはベルトに適用したゴム材の面内剛性が高められているので、このような不都合を解消できる。
上記(4)記載の構成によると、ベルト層の幅がタイヤ断面幅の55%以上の場合には、ショルダー部の早期摩耗を効果的に抑制することができる。
【0013】
上記(5)記載の構成によると、赤道に対する傾斜角度を一定範囲内に収めることにより、よりタイヤ周方向の剛性が高まり、耐久性を保証することが可能である。
上記(6)記載の構成によると、本発明の効果が顕著に現れる。偏平比が低いタイヤ程、剪断変形、ショルダー部の早期摩耗等の不都合をより生じ易いからである。
以下に、本発明の複合強化ゴム材をタイヤのベルトに適用した場合の具体例を示す。
(1)具体例1(図4参照)
タイヤ周方向に螺旋巻きして構成された1層の周方向ベルトを示す。波形にくせ付けされた複数(図では6本)のコード1を直接被覆する第1ゴム層2は30%伸張時の剪断弾性率が1.8MPaであり、これらによりコードリボン4が形成される。第2ゴム層3は30%伸張時の剪断弾性率が5.9MPaであり、これらによりストリップ5が形成される。剪断弾性率は、いずれも後述する方法により測定された加硫後の値である。
このような構成のベルトは、第2ゴム層により、箱型のモノコック構造となるので、面内剪断剛性をより高められる。
この結果、タイヤ周方向の剛性が高められ、前記路面との滑りが抑制され、ショルダー部の早期摩耗が抑制される。この早期摩耗は、荷重負荷状態での走行において、また、巻回方向が周方向であるベルトにおいて生じ易いので、これらの場合に本発明の効果を顕著に得られる。
また、従来の周方向に巻かれてなるベルト層は、交差積層構造のベルト層に比べて、路面の突起物による強制入力に対する抵抗力が小さく、このため、突起物が鋭利な場合、貫入により、空気圧ロスに至ることもあったが、上記構成によると、第2ゴム層により隙間のない高弾性面が形成されると共に、マルチセルを形成する第2ゴム層による連続的な突起排除作用により、鋭利な突起物の強制的な貫入に抗することが可能となり、タイヤの耐久性をさらに高めることができる。
加えて、子午線方向の面内剪断剛性も高まるので、コーナリングフォースを高く維持して車両の操縦安定性を確保できる。
【0014】
(2)具体例2(図5参照)
生産効率を高めるために、コードリボン4の2組を1つのストリップ5とし、第1ゴム層2と第2ゴム層3の界面がコード輪郭を反映して波形である他は、具体例1と同様である。
(3)具体例3(図6参照)
第1ゴム層2が剪断弾性率の異なる2種のゴム組成物2−1、2−2(30%伸張時の剪断弾性率がそれぞれ1.2MPaと2.1MPa)により構成された他は具体例1と同様である。
(4)具体例4(図7参照)
2層の周方向ベルトにした例を示す。加硫により、隣接するゴム層は一体化される。第1ゴム層2と第2ゴム層3の物性はそれぞれ具体例1と同様である。また、2つの層は、並置配列されるストリップ5の隣接する境界が、上下の層でずれるように巻回されてなる。このようにずらした構成のほうが、剪断剛性の観点からも、突起物の貫入防止の観点からも、有利である。
【0015】
(5)具体例5(図8参照)
コードリボン4の2組を1つのストリップ5とし、第1ゴム層2と第2ゴム層3の界面および第2ゴム層3の表面がコード1の輪郭を反映して波形である他は、具体例4と同様である。
(6)具体例6(図9参照)
コードリボン4が部分的に重なった例を示す。第1ゴム層2、第2ゴム層3の物性、およびコード構造は具体例1と同様である。
【0016】
さらに、本発明のゴム材の製造方としては、特に限られるものではなく、例えば、先ず、コード列を第1ゴム層用シートで上下から挟み込む(圧延)方法や、高温・高圧下で直接コード周りを第1ゴム層用ゴム組成物で被覆する(インシュレーション)方法等により、コードを第1ゴム層で被覆し、次に、第1ゴム層の周囲に第2ゴム層用シートの圧延を行うことにより製造できる。
【0017】
【実施例】
以下に実施例に基づいて説明する。
トラック・バスの用途に供されるタイヤ(タイヤサイズ:315/60R22.5)のベルトに本発明のゴム材を適用した例を示す。
本発明のゴム材を補強するコードとして、構成1×3+9、フィラメント径0.23mmより成るスチールコードにブラスメッキを施し、これを波形(波高さ/波長=0.12)にくせ付けしたもの(実施例1、2、比較例1)または真直のもの(比較例2、3)を使用した。
(1)実施例1
前記具体例4の構成のベルトを有するタイヤを作製した。
(2)実施例2
前記具体例5の構成のベルトを有するタイヤを作製した。
比較のために、比較例1、2および3を共に示す。
(3)比較例1
これは、図10に示すように、コード21およびこれを直接被覆するゴム層22とからなるリボン状ゴム材23をタイヤ周方向に螺旋巻きして2層のベルトを構成する。タイヤは上記と同様である。この図は未加硫状態のベルトを示しており、図11は加硫され、隣接するゴム材23間、およびコード21とゴム材23間が、充分に接着された状態を示す。なお、ゴム層22の30%伸張時の剪断弾性率は1.8MPaである。
(4)比較例2
これは真直コードを埋設した4層よりなる交差ベルトを、上記と同様のタイヤに適用した。タイヤ赤道に対する傾斜角度は、タイヤ半径方向の内側の層から順に、それぞれ+50°、+18°、−18°、−18°である。なお、赤道を挟んで右周りを+、左周りを−とする。このタイヤは、下記の方法で比較した場合の、タイヤの半径方向の成長量が、比較例1のタイヤの約1.7倍であり、いわゆるタガ締め効果が劣る。前記比較は、最大付加能力に対応する空気圧(JATMA YEAR BOOK 2000)を負荷した場合の、赤道上の点とタイヤ幅方向接地端との中点位置におけるタイヤ径に基づいて行った。
(5)比較例3(図12参照)
2層の周方向ベルトにし、第1ゴム層2(30%伸張時の剪断弾性率1.0MPa)と第2ゴム層3(球形状のポリエチレン化合物を分散、30%伸張時の剪断弾性率20.2MPa)の間でタイヤ半径方向の上下両側に緩衝層6(30%伸張時の剪断弾性率4.5MPa)を設け、さらにコード1が直線状の例を示す。
この構成のベルトを有するタイヤを作製した。なお、タイヤは上記と同様である。
【0018】
タイヤ特性の測定法は、以下の通りである。
(1)ベルト耐久性
標準荷重の1.2倍の荷重条件下でドラム上を30,000km走行させて行った。評価法は、タイヤの幅断面内に見たベルト層に沿って発生した最大セパレーション長さを測定した。なお、タイヤ内のバラツキを考慮するため、タイヤを周方向に12分割して実施した。従来例の値を100として指数表示した。数値は大きい方がベルト耐久性が高く、良好であることを示す。
(2)ショルダー部摩耗量
同様に、標準荷重の1.2倍の荷重条件下でドラム上を30,000km走行させて行った。評価法は、走行前の状態を基準としたトレッドゴムの最大摩耗厚さを指標とした。同様に従来例の値を100として指数表示した。数値は小さい方がショルダー部摩耗量が少なく、良好であることを示す。
【0019】
【表1】
なお、これら(比較例2を除く)のベルト層の厚さおよびコード密度、並びに巻回方向(周方向)は同一である。
【0020】
この結果から、比較例2の交差ベルトを除いて、ベルト耐久性には各例とも大きな差はないが、ショルダー部摩耗量に関しては実施例品は大変優れていることがわかる。これは、剪断剛性が高められたことにより、ショルダー部における接地面に対する滑りが抑制されたためと考えられる。
【0021】
上記各加硫ゴムの剪断弾性率の測定法は以下の通りである。
島津製作所製オートグラフ(AG−5kNI)を使用し、引っ張り速度6〜12mm/min、初期荷重10Nとした。
図13に示すように、1対のブロンズ製治具31間に試験片32(ゴム組成物:厚さ7mm×幅10mm×長さ40mm)を挟み、この状態で加硫(145℃×33分)する。ゴム組成物に配合されている硫黄を介して、ブロンズとゴム組成物とは化学結合するため、完全に接着できる。治具31の接合面に軽くサンドペーパーをかけておき、接合をより強固なものとした。
加硫後、図14に示すように、引っ張り試験機の1対のチャック部33に治具31をそれぞれ固定し、矢印の方向(タイヤの周方向と同じ)に荷重Pを負荷し、その時の試験片の変位Δを測定し、下記の式より剪断弾性率を算出した。
G=Pt/AΔ
(式中、Aは試験片の断面積(280mm2)を表し、Δは引っ張りによる試験片の変位量(mm)を示し、Pは荷重(N)を表し、tは試験片幅(10mm)を表す。)
なお、Δ=t(10mm)のときのPより、Gを算出した。
【0022】
【発明の効果】
本発明の複合強化ゴム材によると、ゴムマトリックスの第1ゴム層を比較的低剪断弾性率し、第2ゴム層を比較的高弾性率として、コードとゴムの剥離を回避しつつ、部材としての剛性を高め、製品の耐久性を高めることを可能にした。
さらに、本発明のタイヤによると、上記効果に加えて、タイヤのショルダー部における路面との滑りを抑制して、この部分の早期摩耗を回避して、タイヤの耐久性を高めることができる。
また、路面からの突起物の貫入をも回避して、タイヤの耐久性を一段と高めることを可能にした。
本発明は、高速にて使用される乗用車用空気入りタイヤもしくは重荷重にて使用される産業用あるいは商用車両に装着される空気入りタイヤに好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1記載のゴム材構成の一例を示す断面図である。
【図2】 請求項2記載のゴム材構成の一例を示す断面図である。
【図3】 本発明の空気入りタイヤの断面図である。
【図4】 具体例1のベルト構造を示す断面図である。
【図5】 具体例2のベルト構造を示す断面図である。
【図6】 具体例3のベルト構造を示す断面図である。
【図7】 具体例4のベルト構造を示す断面図である。
【図8】 具体例5のベルト構造を示す断面図である。
【図9】 具体例6のベルト構造を示す断面図である。
【図10】 従来例のベルト構造(未加硫時)を示す断面図である。
【図11】 従来例のベルト層構造(加硫時)を示す断面図である。
【図12】 比較例3のベルト構造を示す断面図である。
【図13】 剪断弾性率測定用の治具と試験片を示す図である。
【図14】 剪断弾性率測定の原理を示す図である。
【符合の説明】
1 コード
2 第1ゴム層
3 第2ゴム層
4 コードリボン
5 ストリップ
6 緩衝層
13 ベルト
Claims (6)
- ゴムマトリックスを少なくとも1本の波形コードで補強した複合強化ゴム材であって、前記ゴムマトリックスが前記波形コードを直接被覆する第1ゴム層と前記第1ゴム層の全周を被覆する第2ゴム層とからなり、前記第2ゴム層が前記第1ゴム層よりも高い剪断弾性率を有することを特徴とする複合強化ゴム材。
- 前記第1ゴム層で個々に被覆された2本以上の前記波形コードが並置配列されて帯状体を形成していることを特徴とする請求項1記載の複合強化ゴム材。
- 1対のビード部間にわたってトロイド状に延びるカーカスを骨格とし、このカーカスの径方向外側に少なくとも1層のベルトを具えてなる空気入りタイヤにおいて、前記ベルトの少なくとも1層に、請求項1または2に記載の複合強化ゴム材を、そのコードが前記タイヤの周方向に沿う配置にて適用してなることを特徴とする空気入りタイヤ。
- 前記複合強化ゴム材を適用したベルト層のうち少なくとも1層は、そのタイヤの幅方向断面における幅がタイヤの断面幅の55%以上であることを特徴とする請求項3に記載の空気入りタイヤ。
- 前記複合強化ゴム材を適用したベルト層は、そのコードのタイヤの赤道に対する傾斜角度が−5〜+5度の範囲であることを特徴とする請求項3または4に記載の空気入りタイヤ。
- タイヤの偏平比が70%以下であることを特徴とする請求項3〜5のうちいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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