JP2002205511A - 複合強化ゴム材および空気入りタイヤ - Google Patents

複合強化ゴム材および空気入りタイヤ

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JP2002205511A JP2001002121A JP2001002121A JP2002205511A JP 2002205511 A JP2002205511 A JP 2002205511A JP 2001002121 A JP2001002121 A JP 2001002121A JP 2001002121 A JP2001002121 A JP 2001002121A JP 2002205511 A JP2002205511 A JP 2002205511A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コードとコーティングゴム間の剥離を防止
し、タイヤ周方向におけるベルトの面内剪断弾性率を高
めてショルダー部の早期摩耗を抑制して、タイヤの耐久
性を向上させる。 【解決手段】 ベルト層を構成する帯状のゴム材を、波
形コードを比較的低弾性率の第1ゴム層で直接被覆し、
これをさらに、比較的高弾性率の第2ゴム層で被覆して
構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゴムマトリックスをコ
ードで補強した複合強化ゴム材およびこれをべルトに適
用した空気入りタイヤに関し、特に、複合強化ゴム材
の、コード長手方向における剪断剛性を高めると共に、
コードとゴムマトリックスとの剥離を抑制することによ
り、これを空気入りタイヤのベルトに適用した場合に、
空気入りタイヤの周方向の剪断剛性を高めて、空気入り
タイヤの耐久性を向上させ、省資源化に寄与する技術に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ゴムホース、コンベヤベルトおよ
び空気入りタイヤ等のゴム製品は、応力等による耐久性
の低下を防止するために、一般には、ゴムマトリックス
をコード等で補強した複合体を適用してなる。例えば、
空気入りタイヤは、1対のビード部間に配置されたトロ
イド状のカーカスのクラウン部の周囲を、補強コードを
埋設してなるリボン状のゴム材を、そのコードがタイヤ
の周方向に沿う配置の下、螺旋状に巻回してベルトを形
成し、カーカスを補強している。前記リボン状のゴム材
は、1本または複数本のフィラメントからなるコード
を、これより弾性率の低いゴム等の高分子材料で個々に
被覆したものを並置配列して構成される。
【0003】上記の構造のベルトにより、タイヤの転動
に伴うショルダー部の迫り出しや歪みの集中を抑制し
て、ベルト端部における摩耗やセパレーション故障等を
回避している。なかでも、コードを波形またはジグザグ
形にくせ付けしたコードをゴムでコーティングしたゴム
材を巻回してなるベルト層(特開平02−241802
号、特開平02−141304号、特開平03−143
704号、特開平02−167736号、特開平03−
157204号等の公報参照)は、偏平のタイヤ(特に
偏平比が60%以下の偏平タイヤ)や、あるいは[使用
荷重]対[タイヤ内部の空気体積と空気圧との積]の比
が高いタイヤなどベルトに生ずる歪や温度が急激に上昇
し易いタイヤにおいて有効な手段である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
波形等にくせ付けしたコードを埋設したリボン状のゴム
材を、タイヤの周方向に螺旋巻きして形成したベルト層
には、以下のような不都合がある。すなわち、真直のコ
ードを埋設したゴム材をタイヤの周方向に螺旋巻きした
場合に比べて、タイヤ周方向の剛性がやや低下するた
め、タイヤの踏み込みと蹴り出し時に、ショルダー部
(特に低偏平比のタイヤのショルダー部)に逆方向の大
きな剪断変形が生じる。このため、ショルダー部と路面
との間で滑りが生じ、ショルダー部において早期摩耗が
生じ、その結果、タイヤの耐久性が低下する。上記不都
合を解消するためには、コードのコーティングゴムをよ
り高弾性率のものにすることが考えられるが、コードと
コーティングゴムとの間には、上記のように剪断変形に
より大きな応力がかかるため、これを緩和して、界面剥
離を抑制することも、タイヤの耐久性を高める上で重要
である。そこで、本発明は、複合強化ゴム材の剪断剛性
を高めつつ、コードと被覆ゴムとの間の剥離応力を緩和
して、耐久性の向上を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の複合強化ゴム材は以下の構成とする。 (1)ゴムマトリックスを少なくとも1本の波形コード
で補強した複合強化ゴム材であって、前記ゴムマトリッ
クスが前記波形コードを直接被覆する第1ゴム層と前記
第1ゴム層の外周のうち少なくとも一部を被覆する第2
ゴム層とからなり、前記第2ゴム層が前記第1ゴム層よ
りも高い剪断弾性率を有することを特徴とする。なお、
「波形コード」とは、ジグザグに折れ曲がった形状をも
含む。 (2)前記第2ゴム層が前記第1ゴム層の全周を被覆し
てなることを特徴とする。 (3)第1ゴム層で個々に被覆された2本以上の前記波
形コードが並置配列されて帯状体を形成し、この帯状体
の表裏面の少なくとも一方の面側が前記第2ゴム層で被
覆されてなることを特徴とする。 (4)前記第2ゴム層が前記帯状体の全周面を被覆して
なることを特徴とする。 (5)30%伸長時の剪断弾性率が、前記第2ゴム層は
前記第1ゴム層の3倍以上であることを特徴とする。
【0006】(6)前記第2ゴム層が、ゴム組成物また
はゴム組成物よりなるマトリックス中に粒子状もしくは
短繊維状の物質を分散した複合体より形成されることを
特徴とする。 (7)前記波形コードが有機材料、無機材料または金属
材料からなることを特徴とする。 (8)前記波形コードが1本または複数本のフィラメン
トからなるコードであることを特徴とする。 (9)前記第1ゴム層および前記第2ゴム層のうち少な
くともいずれか1方の表面が凹凸面であることを特徴と
する。
【0007】また、本発明の空気入りタイヤは以下の構
成とする。 (10)1対のビード部間にわたってトロイド状に延び
るカーカスを骨格とし、このカーカスの径方向外側に少
なくとも1層のベルトを具えてなる空気入りタイヤにお
いて、前記ベルトの少なくとも1層に、前記各複合強化
ゴム材を、そのコードが前記タイヤの周方向に沿う配置
にて適用してなることを特徴とする。 (11)前記複合強化ゴム材を適用したベルト層のうち
少なくとも1層は、そのタイヤの幅方向断面における幅
がタイヤの断面幅の55%以上であることを特徴とす
る。 (12)前記複合強化ゴム材を適用したベルト層は、そ
のコードのタイヤの赤道に対する傾斜角度が−5〜+5
度の範囲であることを特徴とする。
【0008】(13)タイヤの偏平比が70%以下であ
ることを特徴とする。 なお、上記各構成に対して付加的に、第1ゴム層と第2
ゴム層間に緩衝層を介挿してもよい。緩衝層を設けるこ
とにより、さらにコード周囲の歪みの勾配が緩やかにな
り、耐久性が高くなる。なお、各ゴム層を構成する材料
は、好ましくはゴム組成物であるが、広くゴム状弾性体
を包含し、必ずしも天然ゴムや合成ゴムの組成物のみに
限定するものではなく、ポリエチレン等の弾性ポリマー
よりなるものをも包含する。さらに、本明細書中、コー
ドとは撚っていないものをも包含する。
【0009】
【発明の実施の形態】上記(1)記載の構成を、コード
が1本の場合について具体的に例示すると、図1のよう
になる。すなわち、コード1を第1ゴム層2で被覆し、
その外周の一部に、第1ゴム層2より高弾性率の第2ゴ
ム層3を設けてなる。このような構成によると、コード
を直接被覆する第1ゴム層が、第2ゴム層と比べて低弾
性率を有するので、コードと第1ゴム層との界面に生じ
る剥離応力を緩和でき、このゴム材を適用したゴム製品
の耐久性を確保できる。また、第1ゴム層の少なくとも
一部に比較的に高弾性率の第2ゴム層を設けているの
で、ゴムマトリックスの剪断剛性を高めることができ
る。上記(2)の構成を、同じくコードが1本の場合に
ついて具体的に例示すると、図2のようになる。すなわ
ち、コード1を第1ゴム層2で被覆し、その全周を第1
ゴム層2より高弾性率の第2ゴム層3で被覆してなる。
このような構成によると、ゴムマトリックスの剛性をさ
らに向上できる。
【0010】上記(3)および(4)の構成を、コード
が2本の場合について具体的に例示すると、図3および
図4のようになる。すなわち、第1ゴム層2で2本のコ
ード1を個々に被覆し、これらを並置配列して帯状体を
形成し、該帯状体の表裏面のうち少なくとも一方の面
(図3)あるいは全周面(図4)に第2ゴム層3を設け
てなる。なお、図3の形態において、第2ゴム層による
被覆は、帯状体の表裏両面(図示せず)であってもよ
い。このような構成によると、上記の作用効果に加え
て、1本等、より本数の少ないコードで補強されたゴム
材からなる場合に比べて、この複合強化ゴム材を適用す
る対象が大面積の場合に、作業の効率化を図ることがで
き、生産性を高めることができる。上記(5)記載の構
成によると、すなわち、30%伸長時の剪断弾性率が、
前記第2ゴム層は前記第1ゴム層の3倍以上であるとい
う構成によると、このゴム材をタイヤの特にベルトに適
用した場合に、上記剥離耐久性と耐摩耗性との両立がよ
り良好になる。上記(6)記載の構成によると、第2ゴ
ム層が、ゴム組成物単独の場合は、第1ゴム層とゴム組
成等を変えることにより、弾性率を上げることになる
が、ゴムマトリックス中に粒子状もしくは短繊維状の物
質を分散した複合体とする場合には、第1ゴム層と同じ
ゴム組成で高弾性率化を図ることが可能となり、簡便で
ある。もちろん、この分散系の場合においても、両ゴム
組成を変えることは差し支えない。短繊維を分散させる
場合、コードの方向に一致させて配向させると、さらに
コード方向の剛性を高めることができるが、ランダムで
あってもよい。なお、分散される粒子状、短繊維状物質
としては、ナイロン等を例示できる。
【0011】上記(7)および(8)記載の構成による
と、このゴム材を適用したゴム製品の要求特性に応じ
て、補強コードの材料(有機、無機、金属材料)および
コード構成(フィラメントの本数、撚り構造等)を選択
することができ、設計の自由度が高い。また、このゴム
材がタイヤのベルトに適用された際には、ショルダー部
の早期摩耗をより抑制して、耐久性の向上を図ることが
できる。なお、コードを形成する有機材料としては、芳
香族ポリアミド等を例示できる。金属材料よりなるもの
としては、スチールコードが好ましいが、スチールコー
ドも含めて金属材料を用いた場合は、コーティングゴム
との接着性の観点から、メッキされていることが望まし
い。上記(9)記載の構成によると、コードをコーティ
ングする際に生じるコード輪郭に起因するゴム層表面の
凹凸を修正する必要がなく、作業性が良好である。な
お、この凹凸は第1ゴム層にあっても、第2ゴム層にあ
っても、加硫時の圧力等により隙間なく密着して加硫接
着される。
【0012】上記(10)記載の構成を、低偏平比で2
層のベルトを具えるラジアルタイヤについて具体的に例
示すると、図5のようになる。すなわち、1対のビード
部11間にわたって、ラジアル方向に延びる有機繊維コ
ードのプライよりなるトロイド状のカーカス12を骨格
とし、このカーカス12のクラウン部の径方向外側に2
層のベルト13を具えてなる、前記ベルトの2層に、本
発明の上記各構成の複合強化ゴム材を、そのコードが前
記タイヤの周方向に螺旋状巻きになる配置にて適用して
構成される。なお、べルトは1層でもよいが、2層以上
が剛性の点から好ましい。このようなタイヤに、上記各
複合強化ゴム材を適用すると、上記の作用効果をタイヤ
において得ることができる。さらに、一般に、コードを
周方向に配設してなるベルトは、交差ベルト、すなわち
タイヤ赤道に対して大きな傾斜角度をなす配置のコード
が複数のベルト層の積層間で相互に交差するベルトに比
べて、ベルトの面に沿う変形に対する剛性、いわゆる面
内剪断剛性、特にタイヤ周方向における面内剪断剛性が
劣り、コーナリングパワーや車両の操縦安定性が低下す
るという不都合があるが、上記構成のタイヤはベルトに
適用したゴム材の面内剛性が高められているので、この
ような不都合を解消できる。上記(11)記載の構成に
よると、ベルト層の幅がタイヤ断面幅の55%以上の場
合には、ショルダー部の早期摩耗を効果的に抑制するこ
とができる。
【0013】上記(12)記載の構成によると、赤道に
対する傾斜角度を一定範囲内に収めることにより、より
タイヤ周方向の剛性が高まり、耐久性を保証することが
可能である。上記(13)記載の構成によると、本発明
の効果が顕著に現れる。偏平比が低いタイヤ程、剪断変
形、ショルダー部の早期摩耗等の不都合をより生じ易い
からである。以下に、本発明の複合強化ゴム材をタイヤ
のベルトに適用した場合の具体例を示す。 (1)具体例1(図6参照) タイヤ周方向に螺旋巻きして構成された1層の周方向ベ
ルトを示す。波形にくせ付けされた複数(図では6本)
のコード1を直接被覆する第1ゴム層2は30%伸張時
の剪断弾性率が1.8MPaであり、これらによりコー
ドリボン4が形成される。第2ゴム層3は30%伸張時
の剪断弾性率が5.9MPaであり、これらによりスト
リップ5が形成される。剪断弾性率は、いずれも後述す
る方法により測定された加硫後の値である。このような
構成のベルトは、第2ゴム層により、箱型のモノコック
構造となるので、面内剪断剛性をより高められる。この
結果、タイヤ周方向の剛性が高められ、前記路面との滑
りが抑制され、ショルダー部の早期摩耗が抑制される。
この早期摩耗は、荷重負荷状態での走行において、ま
た、巻回方向が周方向であるベルトにおいて生じ易いの
で、これらの場合に本発明発明の効果を顕著に得られ
る。また、従来の周方向に巻かれてなるベルト層は、交
差積層構造のベルト層に比べて、路面の突起物による強
制入力に対する抵抗力が小さく、このため、突起物が鋭
利な場合、貫入により、空気圧ロスに至ることもあった
が、上記構成によると、第2ゴム層により隙間のない高
弾性面が形成されると共に、マルチセルを形成する第2
ゴム層による連続的な突起排除作用により、鋭利な突起
物の強制的な貫入に抗することが可能となり、タイヤの
耐久性をさらに高めることができる。加えて、子午線方
向の面内剪断剛性も高まるので、コーナリングフォース
を高く維持して車両の操縦安定性を確保できる。
【0014】(2)具体例2(図7参照) コード1と第1ゴム層2よりなるコードリボン4の両側
を挟んで第2ゴム層3が配置されてストリップ5を構成
した他は具体例1と同様である。 (3)具体例3(図8参照) 生産効率を高めるために、コードリボン4の2組を1つ
のストリップ5とし、第1ゴム層2と第2ゴム層3の界
面がコード輪郭を反映して波形である他は、具体例1と
同様である。 (4)具体例4(図9参照) 第1ゴム層2が剪断弾性率の異なる2種のゴム組成物2
−1、2−2(30%伸張時の剪断弾性率がそれぞれ
1.2MPaと2.1MPa)により構成された他は具
体例1と同様である。 (5)具体例5(図10参照) 2層の周方向ベルトにした例を示す。加硫により、隣接
するゴム層は一体化される。第1ゴム層2と第2ゴム層
3の物性はそれぞれ具体例1と同様である。また、2つ
の層は、並置配列されるストリップ5の隣接する境界
が、上下の層でずれるように巻回されてなる。このよう
にずらした構成のほうが、剪断剛性の観点からも、突起
物の貫入防止の観点からも、有利である。
【0015】(6)具体例6(図11参照) コードリボン4の2組を1つのストリップ5とし、第1
ゴム層2と第2ゴム層3の界面および第2ゴム層3の表
面がコード1の輪郭を反映して波形である他は、具体例
5と同様である。 (7)具体例7(図12参照) コードリボン4が部分的に重なった例を示す。第1ゴム
層2、第2ゴム層3の物性、およびコード構造は具体例
1と同様である。
【0016】さらに、本発明のゴム材の製造方として
は、特に限られるものではなく、例えば、先ず、コード
列を第1ゴム層用シートで上下から挟み込む(圧延)方
法や、高温・高圧下で直接コード周りを第1ゴム層用ゴ
ム組成物で被覆する(インシュレーション)方法等によ
り、コードを第1ゴム層で被覆し、次に、第1ゴム層の
周囲に第2ゴム層用シートの圧延を行うことにより製造
できる。
【0017】
【実施例】以下に実施例に基づいて説明する。トラック
・バスの用途に供されるタイヤ(タイヤサイズ:315
/60R22.5)のベルトに本発明のゴム材を適用し
た例を示す。本発明のゴム材を補強するコードとして、
構成1×3+9、フィラメント径0.23mmより成る
スチールコードにブラスメッキを施し、これを波形(波
高さ/波長=0.12)にくせ付けしたもの(実施例
1、2、比較例1)または真直のもの(比較例2、3)
を使用した。 (1)実施例1 前記具体例5の構成のベルトを有するタイヤを作製し
た。 (2)実施例2 前記具体例6の構成のベルトを有するタイヤを作製し
た。比較のために、比較例1、2および3を共に示す。 (3)比較例1 これは、図13に示すように、コード21およびこれを
直接被覆するゴム層22とからなるリボン状ゴム材23
をタイヤ周方向に螺旋巻きして2層のベルトを構成す
る。タイヤは上記と同様である。この図は未加硫状態の
ベルトを示しており、図14は加硫され、隣接するゴム
材23間、およびコード21とゴム材23間が、充分に
接着された状態を示す。なお、ゴム層22の30%伸張
時の剪断弾性率は1.8MPaである。 (4)比較例2 これは真直コードを埋設した4層よりなる交差ベルト
を、上記と同様のタイヤに適用した。タイヤ赤道に対す
る傾斜角度は、タイヤ半径方向の内側の層から順に、そ
れぞれ+50°、+18°、−18°、−18°であ
る。なお、赤道を挟んで右周りを+、左周りを−とす
る。このタイヤは、下記の方法で比較した場合の、タイ
ヤの半径方向の成長量が、比較例1のタイヤの約1.7
倍であり、いわゆるタガ締め効果が劣る。前記比較は、
最大付加能力に対応する空気圧(JATMA YEAR
BOOK 2000)を負荷した場合の、赤道上の点
とタイヤ幅方向接地端との中点位置におけるタイヤ径に
基づいて行った。 (5)比較例3(図15参照) 2層の周方向ベルトにし、第1ゴム層2(30%伸張時
の剪断弾性率1.0MPa)と第2ゴム層3(球形状の
ポリエチレン化合物を分散、30%伸張時の剪断弾性率
20.2MPa)の間でタイヤ半径方向の上下両側に緩
衝層6(30%伸張時の剪断弾性率4.5MPa)を設
け、さらにコード1が直線状の例を示す。この構成のベ
ルトを有するタイヤを作製した。なお、タイヤは上記と
同様である。
【0018】タイヤ特性の測定法は、以下の通りであ
る。 (1)ベルト耐久性 標準荷重の1.2倍の荷重条件下でドラム上を30,000k
m走行させて行った。評価法は、タイヤの幅断面内に見
たベルト層に沿って発生した最大セパレーション長さを
測定した。なお、タイヤ内のバラツキを考慮するため、
タイヤを周方向に12分割して実施した。従来例の値を
100として指数表示した。数値は大きい方がベルト耐
久性が高く、良好であることを示す。 (2)ショルダー部摩耗量 同様に、標準荷重の1.2倍の荷重条件下でドラム上を
30,000km走行させて行った。評価法は、走行前の状態
を基準としたトレッドゴムの最大摩耗厚さを指標とし
た。同様に従来例の値を100として指数表示した。数
値は小さい方がショルダー部摩耗量が少なく、良好であ
ることを示す。
【0019】
【表1】 なお、これら(比較例2を除く)のベルト層の厚さおよ
びコード密度、並びに巻回方向(周方向)は同一であ
る。
【0020】この結果から、比較例2の交差ベルトを除
いて、ベルト耐久性には各例とも大きな差はないが、シ
ョルダー部摩耗量に関しては実施例品は大変優れている
ことがわかる。これは、剪断剛性が高められたことによ
り、ショルダー部における接地面に対する滑りが抑制さ
れたためと考えられる。
【0021】上記各加硫ゴムの剪断弾性率の測定法は以
下の通りである。島津製作所製オートグラフ(AG−5
kNI)を使用し、引っ張り速度6〜12mm/mi
n、初期荷重10Nとした。図16に示すように、1対
のブロンズ製治具31間に試験片32(ゴム組成物:厚
さ7mm×幅10mm×長さ40mm)を挟み、この状
態で加硫(145℃×33分)する。ゴム組成物に配合
されている硫黄を介して、ブロンズとゴム組成物とは化
学結合するため、完全に接着できる。治具31の接合面
に軽くサンドペーパーをかけておき、接合をより強固な
ものとした。加硫後、図17に示すように、引っ張り試
験機の1対のチャック部33に治具31をそれぞれ固定
し、矢印の方向(タイヤの周方向と同じ)に荷重Pを負
荷し、その時の試験片の変位Δを測定し、下記の式より
剪断弾性率を算出した。 G=Pt/AΔ (式中、Aは試験片の断面積(280mm)を表し、
Δは引っ張りによる試験片の変位量(mm)を示し、P
は荷重(N)を表し、tは試験片幅(10mm)を表
す。) なお、Δ=t(10mm)のときのPより、Gを算出し
た。
【0022】
【発明の効果】本発明の複合強化ゴム材によると、ゴム
マトリックスの第1ゴム層を比較的低剪断弾性率し、第
2ゴム層を比較的高弾性率として、コードとゴムの剥離
を回避しつつ、部材としての剛性を高め、製品の耐久性
を高めることを可能にした。さらに、本発明のタイヤに
よると、上記効果に加えて、タイヤのショルダー部にお
ける路面との滑りを抑制して、この部分の早期摩耗を回
避して、タイヤの耐久性を高めることができる。また、
路面からの突起物の貫入をも回避して、タイヤの耐久性
を一段と高めることを可能にした。本発明は、高速にて
使用される乗用車用空気入りタイヤもしくは重荷重にて
使用される産業用あるいは商用車両に装着される空気入
りタイヤに好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1記載の構成のゴム材の一例を示す断
面図(a)および平面図(b)である。
【図2】 請求項2記載のゴム材構成の一例を示す断面
図である。
【図3】 請求項3記載のゴム材構成の一例を示す断面
図である。
【図4】 請求項4記載のゴム材構成の一例を示す断面
図である。
【図5】 本発明の空気入りタイヤの断面図である。
【図6】 具体例1のベルト構造を示す断面図である。
【図7】 具体例2のベルト構造を示す断面図である。
【図8】 具体例3のベルト構造を示す断面図である。
【図9】 具体例4のベルト構造を示す断面図である。
【図10】 具体例5のベルト構造を示す断面図であ
る。
【図11】 具体例6のベルト構造を示す断面図であ
る。
【図12】 具体例7のベルト構造を示す断面図であ
る。
【図13】 従来例のベルト構造(未加硫時)を示す断
面図である。
【図14】 従来例のベルト層構造(加硫時)を示す断
面図である。
【図15】 比較例3のベルト構造を示す断面図であ
る。
【図16】 剪断弾性率測定用の治具と試験片を示す図
である。
【図17】 剪断弾性率測定の原理を示す図である。
【符号の説明】
1 コード 2 第1ゴム層 3 第2ゴム層 4 コードリボン 5 ストリップ 6 緩衝層 13 ベルト

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴムマトリックスを少なくとも1本の波
    形コードで補強した複合強化ゴム材であって、前記ゴム
    マトリックスが前記波形コードを直接被覆する第1ゴム
    層と前記第1ゴム層の外周のうち少なくとも一部を被覆
    する第2ゴム層とからなり、前記第2ゴム層が前記第1
    ゴム層よりも高い剪断弾性率を有することを特徴とする
    複合強化ゴム材。
  2. 【請求項2】 前記第2ゴム層が前記第1ゴム層の全周
    を被覆してなることを特徴とする請求項1記載の複合強
    化ゴム材。
  3. 【請求項3】 前記第1ゴム層で個々に被覆された2本
    以上の前記波形コードが並置配列されて帯状体を形成
    し、この帯状体の表裏面のうち少なくとも一方の面側が
    前記第2ゴム層で被覆されてなることを特徴とする請求
    項1記載の複合強化ゴム材。
  4. 【請求項4】 前記第2ゴム層が前記帯状体の全周面を
    被覆してなることを特徴とする請求項3記載の複合強化
    ゴム材。
  5. 【請求項5】 30%伸長時の剪断弾性率が、前記第2
    ゴム層は前記第1ゴム層の3倍以上であることを特徴と
    する請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の複合強化
    ゴム材。
  6. 【請求項6】 前記第2ゴム層が、ゴム組成物またはゴ
    ム組成物よりなるマトリックス中に粒子状もしくは短繊
    維状の物質を分散した複合体により形成されてなること
    を特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の
    複合強化ゴム材。
  7. 【請求項7】 前記波形コードが有機材料、無機材料ま
    たは金属材料からなることを特徴とする請求項1〜6の
    うちいずれか1項に記載の複合強化ゴム材。
  8. 【請求項8】 前記波形コードが1本または複数本のフ
    ィラメントからなるコードであることを特徴とする請求
    項1〜7のうちいずれか1項に記載の複合強化ゴム材。
  9. 【請求項9】 前記第1ゴム層および前記第2ゴム層の
    うち少なくともいずれか一方の表面が凹凸面であること
    を特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の
    複合強化ゴム材。
  10. 【請求項10】 1対のビード部間にわたってトロイド
    状に延びるカーカスを骨格とし、このカーカスの径方向
    外側に少なくとも1層のベルトを具えてなる空気入りタ
    イヤにおいて、前記ベルトの少なくとも1層に、請求項
    1〜9のうちいずれか1項に記載の複合強化ゴム材を、
    そのコードが前記タイヤの周方向に沿う配置にて適用し
    てなることを特徴とする空気入りタイヤ。
  11. 【請求項11】 前記複合強化ゴム材を適用したベルト
    層のうち少なくとも1層は、そのタイヤの幅方向断面に
    おける幅がタイヤの断面幅の55%以上であることを特
    徴とする請求項10に記載の空気入りタイヤ。
  12. 【請求項12】 前記複合強化ゴム材を適用したベルト
    層は、そのコードのタイヤの赤道に対する傾斜角度が−
    5〜+5度の範囲であることを特徴とする請求項10ま
    たは11に記載の空気入りタイヤ。
  13. 【請求項13】 タイヤの偏平比が70%以下であるこ
    とを特徴とする請求項11〜12のうちいずれか1項に
    記載の空気入りタイヤ。
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