JP4627612B2 - 指紋検出センサおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、指紋を検出するための指紋検出センサおよびその製造方法に関し、特に指紋検出センサを小型化する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータなどにおける個人の認証装置として、指紋検出装置が注目をあびている。世界に全く同一の指紋は存在しないため、指紋検出装置によってユーザの指紋パターンを検出して、これを装置内部に予め登録された指紋パターンと照合することにより本人であることを確実に確認でき、従来問題となっていた他人によるパスワードの悪用などの不都合な事態を解消することができる。
【0003】
図10は、従来の指紋検出装置に使用される指紋検出センサ900の一例を示す斜視図であり、内部の構成が分かりやすいように上面の一部を切り欠いて示してある。
同図に示すように従来の指紋検出センサ900は、樹脂製のホールダ930の底部931にセンサ基板920を接着剤などで固定し、その上の段部932に、厚さ0.2mm程度のステンレス製のフレーム911に可撓性フィルム910の周縁部を張り合わせたものを載置してなる。なお、フレーム911は、粘着テープなどでホルダー930に固定される。
【0004】
段部932の高さは、底部931に固定されたセンサ基板920の表面より若干高くなるように設計されており、これにより可撓性フィルムの表面とセンサ基板の表面との間に100μm程度の隙間ができるように構成されている。
センサ基板920の表面には、TFT(薄膜トランジスター)からなる公知のセンサ部921(例えば、特開平8−68704号公報参照)が形成されており、これにより指紋の凹凸による面圧力分布を検出するようになっている。
【0005】
すなわち、センサ部921は、基板上に無数のTFTをマトリクス状に形成すると共に、各TFTのソース電極に微小な導電接触板を接続してなり、各TFTのゲート電極、ドレイン電極に接続された走査用の電極線は、ケーブル940のフレキシブルワイヤ941、コネクター942を介して、不図示の指紋検出装置本体に接続される。
【0006】
一方、センサ基板920に対向配置された可撓性フィルム910は、厚さ10μm前後の1枚の樹脂フィルムからなり、その基板側の面には、ITO(indium tin oxide:インジウム−すず酸化物)膜などの導電膜が形成されている。当該導電膜は、抵抗を介して接地されており、ユーザが指の先を当該フィルムの表面に押し当てると、その指紋の山の部分(以下、「隆線」という。)がフィルムを押し込んで、その隆線に沿って、裏側の導電膜が押し出されて上記導電接触板に接触し、これにより対応するTFTのドレイン電極とソース電極間に電流が通じるように構成されている。そして、各TFTの通電状態を走査していくことにより、上記指紋の隆線が検出される。
【0007】
なお、上述の指紋検出センサに使用されるような可撓性フィルムは、一方の面に当接した物体の凹凸形状をその裏面にほぼ忠実に転写させるという意味で、「形状転写フィルム」と呼ぶことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
最近の携帯端末、特に携帯電話の普及は著しいものがあり、これらにおける情報セキュリティの必要性も向上しており、携帯端末にも指紋センサを搭載する要請が増大してきている。
ところが、上述したように従来の指紋検出センサ900は、ホルダー930に、センサ基板920、形状転写フィルム910のフレーム911などを組み込む構成となっているため、サイズがどうしても大きくならざるを得ず、特に小型携帯端末への搭載を困難にしていた。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、必要最小限の大きさで、指紋を検出することが可能な指紋検出センサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、可撓性フィルムの表面に押圧された指先表面の凹凸形状を裏面に転写させて指紋を検出する指紋検出センサであって、前記可撓性フィルムの裏面に転写された凸部を検出するための基板と、前記基板の周縁部内側に沿って枠状に形成されたスペーサとを備え、前記可撓性フィルムは、それぞれ1〜15μmの厚さを有する第1と第2のフィルムを、当該第1と第2のフィルムよりも柔らかな素材からなる緩衝層を介して貼り合わせてなると共に、前記スペーサに当該可撓性フィルムの周縁部が貼着されて、前記基板の検出面と所定間隔をおいて対向配置されていることを特徴としている。
【0011】
ここで、前記スペーサは、粘着剤もしくは接着剤からなることが望ましい。
また、前記スペーサの厚さは、5〜500μmであることが望ましい。
さらに、前記可撓性フィルムは、所定の張力を有した状態で前記スペーサにより保持されている。
【0012】
ここで、前記緩衝層の厚さは、1〜50μmであることが望ましい。
また、前記緩衝層は、粘着剤からなることが望ましい。
さらに、前記検出用基板の前記可撓性フィルムと対向する側の主面には、複数のスイッチング素子がマトリクス状に設けられる共に、前記可撓性フィルムの前記緩衝層と反対側の面には、導電膜が形成されており、指紋の稜線により押圧された凸部の導電膜が前記スッチング素子に接触することにより、指紋を検出するように構成してもよい。
【0013】
また、本発明は、可撓性フィルムの表面に押圧された指先表面の凹凸形状を裏面に転写させて、検出用基板にて当該裏面に転写された指紋を検出する指紋検出センサの製造方法であって、検出用基板を用意する第1の工程と、可撓性フィルムを用意する第2の工程と、前記検出用基板の周縁部内側に沿って枠状にスペーサを設ける第3の工程と、前記スペーサに可撓性フィルムを貼着する第4の工程と、前記可撓性フィルムが貼着された基板を所定温度で加熱する第5の工程とを含み、前記可撓性フィルムを用意する第2の工程は、当該可撓性フィルムの前記スペーサの枠内となる位置に通気孔を設ける工程を含むことを特徴としている。
【0014】
また、さらに本発明は、可撓性フィルムの表面に押圧された指先表面の凹凸形状を裏面に転写させて、検出用基板にて当該裏面に転写された指紋を検出する指紋検出センサの製造方法であって、検出用基板を用意する第1の工程と、可撓性フィルムを用意する第2の工程と、前記検出用基板の周縁部内側に沿って枠状にスペーサを設ける第3の工程と、前記スペーサに可撓性フィルムを貼着する第4の工程と、前記可撓性フィルムが貼着された基板を所定温度で加熱する第5の工程とを含み、前記第3の工程で設けられる枠状のスペーサは、その一部に切除部もしくは溝が形成され、当該切除部もしくは溝が、通気孔となるように構成されていることを特徴としている。
【0015】
さらに、ここで、前記第5の工程以降に、前記通気孔を封止する第6の工程を含むことが望ましい。
また、本発明は、可撓性フィルムの表面に押圧された指先表面の凹凸形状をその裏面に転写させ、これを検出用基板に形成された検出部にて検出する指紋検出センサの製造方法であって、複数の検出部が形成された大判の基板を用意する第1の工程と、前記大判の基板とほぼ同じかそれよりも大きな可撓性フィルムを用意する第2の工程と、前記大判の基板における各検出部の周囲に枠状のスペーサを形成する第3の工程と、前記大判の基板に前記スペーサを介して前記可撓性フィルムを貼着する第4の工程と、前記可撓性フィルムが貼着された大判の基板を所定温度で所定時間加熱する第5の工程と、前記大判の基板を各検出用基板単位に切断する第6の工程とを含むことを特徴としている。
【0016】
なお、本明細書において、例えば「a〜b」として数値範囲を表す場合には、その下限a、上限bの値も当該範囲に含まれるものとする。
【0017】
【実施の形態】
以下、本発明に係る指紋検出センサおよびその製造方法の実施の形態について説明する。
(指紋検出センサの全体構成)
図1は、本発明に係る指紋検出センサ1の外観斜視図であり、内部構造が理解しやすいように形状転写フィルム10の一部を切り欠いて示してある。
【0018】
同図に示すように指紋検出センサ1は、センサ基板20に、スペーサ30を介して形状転写フィルム10を対向配置すると共にセンサ基板20にケーブル40を接続して構成される。
ケーブル40は、樹脂フィルムに、銅を素材とするフレキシブルワイヤ41を挟み込んで形成されると共に、各フレキシブルワイヤ41は、ケーブル40先端に取り付けられたコネクター42のピン43にそれぞれ接続され、コネクター42は、不図示の指紋検出装置本体に接続される。
【0019】
また、図2は、当該指紋検出センサ1の分解図である。同図に示すように、センサ基板20の周縁部内側に沿って枠状のスペーサ30が設けられており、その内側には、センサ部60が形成されている。
本実施の形態では、センサ基板20は、31mm×20mmで厚さ0.7mmのガラス基板が使用されており、また、センサ部60のサイズは、23mm×15mmである。
【0020】
センサ部60の各走査電極線には、センサ基板20上にパターン印刷された配線パターン(簡易化のため図示を省略。)が接続され、当該配線パターンは、ケーブル40との接合部まで延設される。一方、ケーブル40は、上記配線パターンとの接続部においてフレキシブルワイヤ41が露出されており、対応する配線パターンと異方導電接着剤などを介して接続される。なお、この異方導電接着剤は、樹脂材料に金属粉を混入させ、圧着方向のみ導電性を有するように構成されている公知の接着剤である。
【0021】
また、センサ基板20には、接地用の配線パターン(不図示)が上記センサ部60に接続される配線パターンと並んで形成されており、この接地用配線パターンが不図示の銀ペーストを介して形状転写フィルム10内側に形成される導電膜14(図4参照)に接続される。この配線パターンは、ケーブル40の1本のフレキシブルワイヤ41に接続され、コネクター42を介し指紋検出装置本体において接地される。
【0022】
また、センサ基板20の周縁部内側に沿って、外形28mm×20mm、厚さ50μm、枠の幅2mmの枠形状のスペーサ30が形成されている。このようなスペーサの素材として粘着剤もしくは接着剤が使用され、その後の形状転写フィルム10の貼着が容易なようになっている。本実施の形態においては、当該スペーサの素材として耐熱性の高いアクリル系粘着剤を使用しているがこれに限定されるものではない。但し、粘着剤の場合には型崩れのしない程度に粘度が高い必要があるし、接着剤の場合には硬化する場合に体積変化が少ないものが望ましい。さらに、後述のように形状転写フィルム10を加熱して熱収縮させる際に接着性が低下しないものが望ましい。
【0023】
このような粘着剤として上記アクリル系粘着剤のほか、シリコーン系粘着剤などがあり、また接着剤としては、エポキシ樹脂などが好適である。
スペーサの形成方法としては、公知のスクリーン印刷法を用いて、粘着剤や接着剤を上記枠形状で50μmの厚さにセンサ基板20上に印刷する方法や、離型紙に厚さ50μmの粘着剤もしくは接着剤の層を形成した後、その表面に別の離型紙を貼り付け、型抜きプレスにより他方の離型紙を残した状態で、枠形状に打ち抜き、打ち抜かれた方の離型紙を剥がして枠状の粘着剤もしくは接着剤をセンサ基板20に貼り付けた後、反対側の離型紙を剥がす方法(以下、「離型紙法」という)などが利用できる。
【0024】
このように形成されたスペーサ30の上面に形状転写フィルム10の周縁部を接着させて固定される。この形状転写フィルム10の裏面には、導電膜が形成されており、形状転写フィルム10表面に指先を押し当てると、その指紋の隆線の部分の導電膜14がセンサ部60の検出面に接触し、これにより指紋が検出される。
【0025】
なお、形状転写フィルム10は、押圧後もとの位置に復元しやすいように一定の張力を持ってスペーサ30に保持されている。また、101は、製造工程において形状転写フィルム10に設けられた通気孔であり、50はこれを塞ぐための接着剤である。これらの意味については、後述する。
図3は、センサ基板20に形成されているセンサ部60の構成を示す概略図である。このセンサ部60の構成については公知であり、既述の特開平8−68704号公報に詳しく述べられているので、ここでは概略を述べるにとどめる。
【0026】
図3に示すように基板上の直交する方向に複数の走査電極線610、620が形成されており、この電極線の交差する位置にTFT(薄膜トランジスター)630が形成される。走査電極線610と走査電極線620の交差位置では両者が導通しないように絶縁層が設けられており、TFT630のゲート電極が走査電極線620に、ドレイン電極が走査電極線610接続されている。また、TFT630のソース電極は導電接触板631に接続される。
【0027】
走査電極線610、620は、それぞれの引き出し部611,621において上述した不図示の配線パターンに接続され、ケーブル40を介して外部に引き出される。
(形状転写フィルム10の構成)
図4は、形状転写フィルム10の積層構造を示す断面拡大図である。
【0028】
同図に示すように形状転写フィルム10は、第1フィルム11と緩衝層12と第2フィルム13と導電膜14とからなる。第1フィルム11と第2フィルム13は、それぞれ可撓性を有する薄くて破れにくいフィルムが用いられる。このような条件を満たす素材として、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルサルフォン(PES)等が使用される。それぞれのフィルムの厚さは、1μm〜15μmの範囲に設定され、より望ましくは、2μm〜8μmの厚さに設定される。1μm未満であると破れやすく、反対に15μmを超えると指紋の微細な凹凸を検出することができなくなるからである。
【0029】
なお、上記厚さの範囲内であるなら、第1と第2のフィルムの厚さが異なっても構わないし、素材も上述したものであれば必ずしも同一である必要はない。
緩衝層12は、本実施の形態においては、樹脂フィルム用粘着剤を使用している。この粘着剤として、乾いた後も、第1フィルム11,第2フィルム13よりも柔らかいものが使用される必要があり、具体的には、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤のいずれかが用いられる。
【0030】
また、第2フィルム13の裏面(センサ基板20側の面)に形成された導電膜14は、その表面抵抗が、1kΩ/□以下であればよく、金、パラジウム、白金、銅、クロム、ニッケル、チタン、モリブデンなどの金属や、酸化インジウムスズ、酸化スズなどの金属酸化物を用い、真空蒸着法もしくはスパッタ法など公知の方法により形成される。
【0031】
図5は、指紋検出センサ1の形状転写フィルム10表面を、指先80で押圧したときの様子を示す断面図である。指紋の隆線81に応じて形状転写フィルム10が変形し、導電膜14が導電接触板631に接触する。上述したようにこの導電接触板631は、対応するTFT630のソース電極に接続されていると共に、当該TFT630のドレイン電極とゲート電極は、それぞれ走査電極線610、620を介して外部装置から所定の電圧が印加されており、他方、導電膜14は抵抗Rを介して接地されているため、上記導電膜14と導電接触板631の接触により、ドレイン電極とソース電極間に電流が流れ、スイッチonの状態となる。
【0032】
不図示の指紋検出装置本体により、走査電極線610,620を順に走査して通電状態となったTFT630を検出し、指紋パターンを再現する。なお、このようなデータ処理の内容については既に公知であり、本発明の要旨とするところではないので、説明を省略する。
(形状転写フィルム10の実施例)
以下、形状転写フィルム10の具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
▲1▼構成
第1フィルム11 厚さ4.5μmのPENフィルム
緩衝層12 厚さ5μmのアクリル系粘着剤
第2フィルム13 厚さ4.5μmのPENフィルム
導電膜14 厚さ0.2μmのパラジウム層
▲2▼製造方法
4.5μmのPENフィルムの一方の面に、補強材として、表面に微粘着剤を有する厚さ25μmのPETフィルムを貼り合わせた後、スパッタ法によりPENフィルムの表面全体に厚さ0.2μmにパラジウムを堆積して導電膜を形成する。このスパッタリングは、Ar雰囲気中の動作圧0.25Paで投入電圧3W/cm2の条件で行った。次にパラジウムの導電膜を保護するため、当該面に自己粘着層を有するポリエチレンフィルムを貼り付けた後、反対側の面に貼り付けていたPETフィルムを剥離した。
【0033】
一方、他の4.5μmのPENフィルムの一方の面に、同じく、補強材として、表面に微粘着剤を有する厚さ25μmのPETフィルムを貼り合わせた後、公知のコーティング処理によりPENフィルム表面に厚さ5μmのアクリル系粘着剤を塗布し、上記導電膜を形成したPENフィルムの当該導電膜と反対側の面に貼り付けた。
【0034】
その後、導電膜14を保護していたポリエチレンフィルムを剥離し、スペーサ30に貼り付けた後、表面の補強材のPETフィルムを剥離した。
なお、フィルムの厚さなどを除き上記製造方法は、各実施例に共通なので、以下の実施例2〜4においては構成のみ記する。
(実施例2)
第1フィルム11 厚さ4.5μmのPENフィルム
緩衝層12 厚さ10μmのアクリル系粘着剤
第2フィルム13 厚さ4.5μmのPENフィルム
導電膜14 厚さ0.2μmのパラジウム層
(実施例3)
第1フィルム11 厚さ6.0μmのPENフィルム
緩衝層12 厚さ15μmのアクリル系粘着剤
第2フィルム13 厚さ6.0μmのPENフィルム
導電膜14 厚さ0.2μmのパラジウム層
(実施例4)
第1フィルム11 厚さ6.0μmのPENフィルム
緩衝層12 厚さ25μmのアクリル系粘着剤
第2フィルム13 厚さ6.0μmのPENフィルム
導電膜14 厚さ0.2μmのパラジウム層
また、本発明の実施例の効果を示すため以下に示す比較例1〜4の形状転写フィルムを作成した。なお、比較例1〜3は、従来通り1枚のフィルムだけを使用したものであり、比較例4は、2枚のフィルムを粘着剤を使用せずにそのまま重ねただけのものである。
(比較例1)
▲1▼構成
フィルム 厚さ4.5μmのPENフィルム
導電膜 厚さ0.2μmのパラジウム層
▲2▼製造方法
4.5μmのPENフィルムの一方の面に、補強材として、表面に微粘着剤を有する厚さ25μmのPETフィルムを貼り合わせた後、スパッタ法によりPENフィルムの表面全体に厚さ0.2μmにパラジウムを堆積して導電膜を形成する。このスパッタリングは、Ar雰囲気中の動作圧0.25Paで投入電圧3W/cm2の条件で行った。
【0035】
その後、導電膜14側を、スペーサ30に貼り付け、表面の補強材のPETフィルムを剥離した。
この製造方法は、次の比較例2,3も同じである。
(比較例2)
フィルム 厚さ6μmのPENフィルム
導電膜 厚さ0.2μmのパラジウム層
(比較例3)
フィルム 厚さ12μmのPENフィルム
導電膜 厚さ0.2μmのパラジウム層
(比較例4)
フィルム▲1▼ 厚さ4.5μmのPENフィルム
導電膜 厚さ0.2μmのパラジウム層
フィルム▲2▼ 厚さ4.5μmのPENフィルム
フィルム▲1▼に比較例1と同様な方法で導電膜を形成した後、フィルム▲2▼を
導電膜と反対の面に重ねた。粘着剤不使用
そして、上記実施例1〜4および比較例1〜4について、腰の強さと指紋検出精度について評価を行ったところ、次の表1のような結果を得た。
【0036】
【表1】
Figure 0004627612
【0037】
ここで、腰の強さの評価は、株式会社東洋精機製作所製の「ループステフネステスタ」(商品名・登録商標)を使用してなされた。この測定器の測定原理は、所定幅のフィルムで一定長さループを形成し、そのループの直径方向にロッドを押し込んでいって、どのぐらいの力を加えれば、当該ループを規定の距離だけ押し込めるかを測定するものである。したがって、ループを潰すために加えた力(mgf)が大きいほど腰が強いと言える。本実験では、測定条件を、ループ長60mm、押し込み速度3.5mm/sec、押し込み距離15mmとした。
【0038】
また、指紋の検出精度は視認により確認し、検出された指紋パターンをモニターで再生し、その指紋の隆線が明確なものを良好(○)と判断し、隣接する隆線との境界が分かりにくいものを(×)と評価している。
表1を見ても分かるように、実施例1〜4の全てにおいて指紋検出精度が良好で、腰の強さが従来の構成における比較例1,2に比べてほぼ20倍以上となる好結果が得られた。
【0039】
また、1枚のフィルムでは指紋検出の限界に近い厚さ12μmのフィルムを使用した比較例3に対しても、実施例1〜4の腰の強さは2倍以上となっている。特に、2枚の厚さ6μmのPENフィルムを厚さ25μmの粘着剤で張り合わせた実施例4の例に到っては、2枚のPENフィルムを合わせた厚さが、比較例3の1枚のPENフィルムの厚さ12μmと同じなのにも関わらず、その腰の強さが当該比較例3の実に10倍を超えている。
【0040】
その一方で、2枚の4.5μmのPENフィルムを重ねただけの比較例4は、指紋検出精度が不良であるのみならず、同じ厚さのPENフィルムを粘着剤を介して貼り付けた実施例1に比べ腰の強さが圧倒的に低い。
以上の実験結果から、2枚のフィルムの間に介在する粘着層が腰の強さと検出精度に大きく貢献していることが分かる。
【0041】
これは、次のような理由によるものと思われる。
▲1▼腰の強さについて
実施例1〜4の場合、粘着剤により2枚のフィルムが相互に補強し合うことができるので、腰が強くなる。単に2枚重ねただけでは、重ねあった表面で相互に滑るので補強効果が弱い。また、粘着剤を介して貼り合わされた2枚のフィルム方が、そのフィルムの厚さの和と同じ厚さの1枚のフィルムに対して腰が強くなるのは、もちろん粘着剤自身の腰の強さも加わることにも起因するが、それ以上に2枚のフィルム間の距離が大きくなるため、一方のフィルムに加えられた曲げモーメントに対する他方のフィルムによる反力のモーメントが増すためであると考えられる。
【0042】
▲2▼指紋検出精度について
本実施の形態のように粘着剤を介して2枚重ねした形状転写フィルム10の全体の厚さはかなり大きくなるが、それでも指紋を良好に検出できるのは、緩衝層12が、第1フィルム11より柔らかく、かつ、第1と第2のフィルムに固着されているために、第1フィルム11の変形に追従して自己も変形し、その変形分を下の第2フィルム13に有効に伝えるためであると考えられる。厚い1枚のフィルムでは、指紋の隆線の押圧に対してそもそも変形が生じにくいし、2枚のフィルムを重ねただけのものは、両フィルム間に介在する空気層が緩衝層とはなり得ても、双方のフィルムを貼り合わせるような粘着性を有しておらず、また、十分な弾性もないので第1フィルム11の変形を第2フィルム13に伝えにくい。
液体などの流体を緩衝層として用いた場合も同様である。
【0043】
この原理から、本発明によれば、1枚のフィルムでは指紋検出の限界の厚さ(15μm)であっても、それらを粘着剤を介して重ねることによりある程度の指紋検出が可能とするものである。また、2枚のフィルムより柔らかい素材で、かつそれらのフィルムを密着させる機能を有する素材であれば、上記アクリル系粘着剤やその他の粘着剤に限られず、例えば、ウレタンゴム製の薄いフィルムを2枚のPENフィルムで挟んで圧着しても同じように良好な結果が得られるものである。
【0044】
このように本実施の形態に係る形状転写フィルム10は、第1と第2の可撓性フィルムを、緩衝層を介して貼り合わせて構成しているため、第1と第2の可撓性フィルムが相互に補助しあって腰が強くなって耐久性・寿命が延びると共に、第1の可撓性フィルムに生じた変形に追従して緩衝層が容易に変形し、当該緩衝層の変形がさらに第2の可撓性フィルムに伝わって変形させるため、第1の可撓性フィルムに加えられた微細な凹凸形状の変形を第2の可撓性フィルムに効果的に伝えることが可能となり、良好な形状転写性を得ることができる。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態に係る指紋検出センサ1は、センサ基板20の周縁部内側に形成された枠状のスペーサに形状転写フィルム10を直接貼着して構成されるため、従来のような大サイズのホールダ930が不要となり、検出面よりほぼスペーサ30の幅だけ大きなサイズで形成することができるので、従来に比較して非常に小型化することができる。
【0046】
そして、形状転写フィルム10を上述のように緩衝材を2枚の樹脂フィルムで挟んで形成することにより、その耐久性および寿命を飛躍的に延ばすことが可能となり、このように形状転写フィルム10をスペーサ30を介して直接センサ基板20に貼り付けても、指紋検出センサ1全体としての寿命面での不都合は生じなくなった。
【0047】
のみならず、次に述べるような製造方法を採用することにより、製造コストの点でも大きなメリットがある。
(指紋検出センサの製造方法)
図6、図7は、指紋検出センサ1の製造工程を示す概略図である。
まず、公知のTFT製造方法により、大判のガラス基板(以下。「マスターガラス」という。)200の表面に複数のセンサ部60および配線パターン(不図示)を所定のピッチで形成する(図6(a):本実施の形態では、例として4個のセンサ部60が形成されている。)。
【0048】
そして、各センサ部60の周囲を囲むような形状に、粘着剤により厚さ50μmのスペーサ300を形成する(図6(b))。この形成方法としては、上述のスクリーン印刷法もしくは離型紙法が用いられる。
別途、上記大判のマスターガラス200と同じかこれよりも大きなサイズの形状転写フィルム100を用意し、各センサ部60の外側であって、スペーサ300の枠内に該当する位置に通気孔101を設けておく。
【0049】
そして、導電膜14を接地するための適量の銀ペーストを接地用の配線パターン上に載置し(不図示)、その後、形状転写フィルム100をマスターガラス200のスペーサ300に当てて位置決めし、その上をローラ700で押しながら形状転写フィルム100をスペーサ300表面にしっかりと貼着させる。
ローラを押し当てる際に、その部分の形状転写フィルム10とセンサ基板20間の容積が減少し、形状転写フィルム10の一部が、センサ部60に接触した状態になるが、ローラ通過後に通気孔101を介して内部に外気が流入するため、形状転写フィルム10が元の状態に戻り、センサ部60との接触状態が直ぐに解消される。もし、この通気孔101がなければ、内部が負圧のまま、密閉されてしまうことになり、形状転写フィルム10の導電膜14とセンサ部60のセンサ面が接触が解除されず、不良品となってしまうので、通気孔は本発明に係る指紋検出センサの製造工程において不可欠である。
【0050】
押圧時の空気の抜けやすさを考慮すれば、図6(c)に示すように通気孔101は、スペーサ300のそれぞれの枠内であってローラの移動方向の下流側の隅に設ける方が好ましいであろう。
なお、図6(c)ではローラによる圧接の様子を極めて模式的に示しているが、実際にはフィルムを基板に貼り付けるための専用装置が利用される。この装置は、フィルムを背後から吸引保持する本体と、この本体に対し蝶番を介して開閉可能に取り付けられた蓋部材とを有し、この蓋部材の内側にもマスターガラス200を吸引保持することができるように構成されている。そして、当該蓋を閉じることにより形状転写フィルム100とマスターガラス200を対面させ、本体内に収納されたローラをガイドに沿って移動させることにより、形状転写フィルム100をマスターガラス200に押圧するように構成されるものである。
【0051】
上記形状転写フィルム100の貼着後、図7(a)に移り、マスターガラス200を加熱器710に入れて加熱する。加熱器710内部には温度センサ712とヒータ713があり、電源装置711は、温度センサ712の検出結果をモニターしながらヒータ713への通電を制御することにより、室内をほぼ120°C前後に維持するように構成されている。
【0052】
マスターガラス200は、この加熱器710により当該120°Cの温度で90分間加熱される。約15分経過すると形状転写フィルム100に熱収縮が生ずるが、当該形状転写フィルム100は、その周縁部がスペーサ300に貼着されているため、適度の張力が生じ、これにより指で押圧した後の復元力が増し、操作性を向上させることができる。
【0053】
さらに75分程度加熱することにより、接地用の銀ペーストが硬化して形状転写フィルム100の導電膜とマスターガラス上に形成された各センサ部60における接地用配線パターンとの接続を確実にする。
なお、この加熱温度は、使用する形状転写フィルム10の材質により、その材質が熱収縮を生じる温度以上の適当な温度が適宜設定されるものであり、120°Cに限定されない。
【0054】
また、熱収縮の際、形状転写フィルム10がスペーサ300から剥離してしまっては、張力を発生させるため加熱した意味がなくなるので、熱収縮時に発生する形状転写フィルム100の張力に抗して、形状転写フィルム100を接着する力を有するものが選択される。
上記加熱後、マスターガラス200を加熱器710から取り出し、ファンなどで冷却して常温に戻し、その後、各通気孔101にノズル720から接着剤50を供給して封止する。このときに使用される接着剤50として、次の要件が具備される必要がある。
【0055】
▲1▼毛細管現象が生じて接着剤が内部に流入しない程度の粘度が必要である。
内部に接着剤が流入してしまえば、センサ部60表面に絶縁膜が形成され、指紋の検出が不能になるからである。
▲2▼硬化時にあまり収縮しないこと。
収縮すると、形状転写フィルム10表面に皺が発生し、見栄えが悪いだけでなく、指紋の検出制度が劣化するためのである。
【0056】
このような2つの要件を満たす接着剤として、本実施の形態では、粘度が100PaS(パスカル秒)、もしくは60PaSのシリコーン系接着剤、より具体的には液状シリコーンゴムを使用したところ大変良好な結果が得られた。
これらのシリコーン系接着剤は常温で硬化するので、取り扱いも容易である。
本実施の形態のように枠状のスペーサ30に形状転写フィルム10を密着させると共に通気孔101を封止することにより、内部が完全な密閉状態となり次のような優れた効果を得ることができる。
【0057】
(1)空気中の塵埃などが指紋検出センサ1内部に混入することを防止でき、、従来問題となっていた塵埃に起因する検出不良を防止することができる。
(2)形状転写フィルム10の復元性が向上する。すなわち、内部が密閉されているため、形状転写フィルム10を指先で押圧すると内部圧が高くなり、指先を離した瞬間に空気圧により形状転写フィルム10が押圧する前の元の状態に復帰する。
【0058】
(3)また、押圧時における内部圧の上昇により、形状転写フィルム10が指紋の凹部に押し付けられ、導電膜14上に指紋の凹凸状態をより鮮明に浮かびあがらすことができる。これにより、指紋の検出精度が向上する。
なお、この封止工程は、形状転写フィルム100をXYテーブルに載置し、これを予め決められたプログラムにより所定量X、Y方向に移動させると共に、この移動動作に同期させてノズル720から所定量の接着剤を供給することにより自動的に実行されるように構成されている。
【0059】
その後、ダイヤモンドカッターなどを備えた公知のガラス切断装置により、大判のマスターガラス200を、4つのセンサ基板20に切断し(図7(c))、その後ケーブル40を銀ペーストなどを介して接続し、図1のような完成品を得ることができる。
従来の構成では、ホルダー930にセンサ基板920を固定した後にステンレスフレーム911に貼着された可撓性フィルム910を載置するという構成をとっていたため、マスターガラスの切断時に生じたガラスの切り屑が、センサ基板920のセンサ部921表面に付着して製品不良となるおそれがあったが、本実施の形態では、マスターガラス200の表面を覆うように予め形状転写フィルム100が貼着され、しかも通気孔101が封止された後に切断するので、ガラスの切り屑が、内部に混入してセンサ部60に付着するような問題が生じない。
【0060】
さらに、図10に示すような従来の指紋検出センサ900の製造に比べて各種の点で合理化もしくは省略でき、製造コストを低減させることができる。
すなわち、従来の指紋検出センサ900では、ホルダー930を設ける工程、可撓性フィルム910をフレーム911に貼り付ける工程、センサ基板920をホルダー930に取り付ける工程、フレーム911をホルダー930に取り付ける工程など多数の工程が必要となるが、本実施の形態における指紋検出センサ1では、センサ基板20の周縁部に粘着性を有するスペーサ30を設けてこれに、形状転写フィルム10を直接貼着するので、上記従来の工程のほとんどが不要となる。また、複数個のセンサ部60を1枚の基板上に形成して、形状転写フィルム100を貼着後、最終的な段階で切断するようにしているので、大量生産に資する。これらにより従来製品に比較して、サイズを小さくできるだけでなく大幅なコストダウンが可能となる。
【0061】
なお、本実施の形態では、説明の便宜上、4個分のセンサ基板20を1枚のマスターガラスに形成する例を示したが、実際には更に大きなマスターガラスを使用し多くの個数のセンサ基板20が一度に形成される。
反対に、小さなガラス基板に1個ずつ製造するようにしても構わない。この場合には、もちろ製造の効率化は低下するが、小型で性能のよい指紋検出センサを形成できる点には変わりはない。
【0062】
<変形例>
なお、本発明の内容は、上記実施の形態に限定されないのは言うまでもなく、以下のような変形例を考えることができる。
(1)上記実施の形態においては、スペーサ30の厚さを50μmとしたが、この値に限られない。但し、5μm未満では、押圧時に形状転写フィルム10の導電膜14がセンサ部60に接触させたときに、形状転写フィルム10の変形量(伸び量)がほとんどないので、元に復元する力が小さく、そのままセンサ部60に密着した状態になるおそれがあり、反対に500μmを超えると、押圧して導電膜14をセンサ部60に接触させたときの形状転写フィルム10の変形量が大きくなり過ぎ、塑性変形が生じて元の位置に復元しないおそれがある。したがって、スペーサ30の厚さは、5〜500μmの範囲内で設定されるのが望ましい。
【0063】
(2)上記実施の形態においては、通気孔101は、形状転写フィルム10に設けているが、この場所に限定されず、例えば、図8に示すように枠状の一部が幅w(およそ1mm)だけ切除されたスペーサ31をセンサ基板20に形成し、これに形状転写フィルム10を貼着した後、図9に示すようにノズル730先端から当該切除部32に接着剤51を充填して封止する。この際の接着剤も毛細管現象によりセンサ部60方向に流れ込まないような粘度を有するものを使用することが望ましい。
【0064】
なお、スペーサ30がより厚い場合には、上記切除部32のようにスペーサ30の一部を完全に除去するのではなく、スペーサ30に通気用の溝を形成してもよい。
(3)上記実施の形態においては、通気孔を封止するために接着剤を使用したが、粘着剤であっても構わない。もちろんこの場合でも、毛細管現象により内部に浸透しない適度の粘度が要求されることはいうまでもない。
【0065】
(4)指紋検出センサの形状転写フィルム10に指を押し当てると、指先の皮脂により指先とシートが密着してべたついたような感触になることがあり、大変不快である。また、他人の指紋が形状転写フィルム10の表面に残っているのが見えると、心理的な抵抗感が生じる。
これらを避けるため、形状転写フィルム10の表面をある程度の粗面に仕上げることが望ましい。
【0066】
一般的にフィルム表面に粗面を形成するためには、エンボス加工やブラスト加工などの方法が公知であるが、本発明のように極めて薄いフィルムに対しては公知のマットコート処理が有効である。
このマットコート処理は、アクリル樹脂などのコーティング材に、アクリル樹脂やポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂、シリカなどを素材とするフィラーと呼ばれる粒状物を添加し、これがコーティング材中で均一に分散するように攪拌した後、ローラなどを用いてフィルム表面に均一に塗布して乾燥させる。この際、樹脂層の厚さをフィラー粒状物質の径よりも小さくなるように塗布量を調整すれば、フィラーの一部分がコーティング材の層(樹脂層)よりも突出することになり、これにより一定の粗面が形成される。
【0067】
したがって、添加するフィラーの径や添加量および樹脂層の厚さを適宜調整することにより所望の表面粗さおよび光沢を得ることができる。
但し、樹脂層をあまり厚くすると指紋の転写性が劣化することになるので、2〜8μm程度が望ましく、これに対応してフィラーの径は、3〜10μmのものが選択される。もちろん、転写性を良好に維持するため、樹脂層80と第1フィルム11の合計の厚さが15μmを超えないようにしなければならないのはいうまでもない。
【0068】
また、図3に示したようにTFT630は、一定のピッチでマトリクス状に形成されており、フィラー81は、各検出ブロック(走査電極線610、620で囲まれ、1個のTFT630の配された四角いエリア)に対して少なくとも1個が配される必要がある。
もし、1の検出ブロックに対応してフィラーが1個も配されていなければ、その部分に指紋の隆線が位置しても、指先の表面がその周囲のフィラーに先に触れてしまうので、当該隆線の部分で形状転写フィルム10を下方に押し下げることができず、導電膜14への指紋の転写が不良になるからである。
【0069】
なお、上述の条件を満たしながら、指先を形状転写フィルム10表面で滑らしたときのざらつき感をできるだけ少なくするためには、フィラーはほぼ球状であり、しかもその粒の大きさが揃っている方が望ましい。そのためフィラー径の粒度分布(粒径のばらつき)が、±2μm以下のものを使用する方が望ましい。粒度分布がそれを超える場合には、指先に引っかかりを感じてしまうため触感がよくない。
【0070】
(5)上記実施の形態においては、2枚のフィルムを緩衝層を介して貼り合わせることにより形状転写フィルム10を形成したため、指紋の形状転写制度を維持しながら、その腰を十分に向上させることができ、形状転写フィルム10の使用寿命を延ばすことを可能としたが、指紋検出センサ1のサイズを小さくするという観点のみからすれば、この形状転写フィルム10は、従来通りの1枚の可撓性フィルムを使用しても構わないのはいうまでもない。
【0071】
(6)上記実施の形態では、いわゆる面圧力分布検出型の指紋検出センサについて説明したが、本発明に係る形状転写フィルムは、光学式の指紋検出センサや静電容量型の指紋検出センサにも適用可能である。前者の構成は、例えば、特開平10−269342号公報に開示されており、後者の構成は、例えば、特開平11−155837号公報に開示されている。なお、光学式の場合は、センサ基板20の代わりに通常の透明なガラス基板が用いられ、その背後に光学センサが配されることになる。
【0072】
いずれもフィルムに転写された指紋の凹凸による光反射量もしくは静電容量の変動を検出して指紋パターンを得るものであり、本発明における形状転写フィルム10を有効に利用できるものである。従来、これらの検出方式においては、指先表面の汗や、屋外での天候(特に雨)などにより誤検出の生じるおそれが高かったが、形状転写フィルム10をセンサ面と指先との間に介在させることにより使い勝手がよく高い精度で指紋を検出することが可能となる。
【0073】
但し、光学式の場合には光源が必要となるので、上記TFTを利用した面圧力分布検出型のものに比べ若干検出部の奥行きのサイズが大きくなる傾向にあるが、それでも上記のように形状転写フィルム10を基板に直接貼り付けることにより表面部の面積は小さくできるため、従来に比較して携帯端末などの小型装置に搭載しやすくなる。
【0074】
また、光学式の指紋検出センサに用いられる場合には、導電性を有する必要がないので、導電膜14は不要である。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る指紋検出センサによれば、可撓性フィルムの裏面に転写された凸部を検出するための基板と、前記基板の周縁部内側に沿って枠状に形成されたスペーサとを備え、前記可撓性フィルムは、前記スペーサにその周縁部が貼着されて、前記基板の検出面と所定間隔をおいて対向配置するように構成しているので、従来のように基板とフィルムを保持するためのホルダー部材が一切不要となり、指紋検出に必要なサイズより枠状のスペーサの幅だけ大きくするだけの極めて小型な指紋検出センサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る指紋検出センサの斜視図である。
【図2】上記指紋検出センサの分解図である。
【図3】上記指紋検出センサにおけるセンサ部の回路構成の概略を示す図である。
【図4】上記指紋検出センサの押圧部に使用される形状転写フィルムの積層構造を示す縦断面図である。
【図5】形状転写フィルムを指紋の隆線部で押圧した状態を示す指紋検出センサの概略断面図である。
【図6】本発明に係る指紋検出センサの製造工程を説明するための図である。
【図7】 図6の製造工程の続きを説明するための図である。
【図8】枠状のスペーサの一部を切除して通気孔とする場合の説明図である。
【図9】上記スペーサに設けられた通気孔を接着剤で封止する様子を示す図である。
【図10】従来の指紋検出センサの構成を示す図である。
【符合の説明】
1 指紋検出センサ
10 形状転写フィルム
20 センサ基板
30,31 スペーサ
32 切除部
40 ケーブル
41 フレキシブルワイヤ
50,51 接着剤
50 通気孔
60 センサ部
100 形状転写フィルム
101 通気孔
200 マスターガラス
300 スペーサ
610,620 走査電極線
630 TFT
700 ローラ
710 加熱室
711 電源装置
712 温度センサ
713 ヒータ
720,730 ノズル

Claims (11)

  1. 可撓性フィルムの表面に押圧された指先表面の凹凸形状を裏面に転写させて指紋を検出する指紋検出センサであって、
    前記可撓性フィルムの裏面に転写された凸部を検出するための基板と、
    前記基板の周縁部内側に沿って枠状に形成されたスペーサと
    を備え、
    前記可撓性フィルムは、それぞれ1〜15μmの厚さを有する第1と第2のフィルムを、当該第1と第2のフィルムよりも柔らかな素材からなる緩衝層を介して貼り合わせてなると共に、前記スペーサに当該可撓性フィルムの周縁部が貼着されて、前記基板の検出面と所定間隔をおいて対向配置されていることを特徴とする指紋検出センサ。
  2. 前記スペーサは、粘着剤もしくは接着剤からなることを特徴とする請求項1記載の指紋検出センサ。
  3. 前記スペーサの厚さは、5〜500μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の指紋検出センサ。
  4. 前記可撓性フィルムは、所定の張力を有した状態で前記スペーサにより保持されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の指紋検出センサ。
  5. 前記緩衝層の厚さは、1〜50μmであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の指紋検出センサ。
  6. 前記緩衝層は、粘着剤からなることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の指紋検出センサ。
  7. 前記検出用基板の前記可撓性フィルムと対向する側の主面には、複数のスイッチング素子がマトリクス状に設けられる共に、前記可撓性フィルムの前記緩衝層と反対側の面には、導電膜が形成されており、
    指紋の稜線により押圧された凸部の導電膜が前記スッチング素子に接触することにより、指紋を検出するように構成されていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の指紋検出センサ。
  8. 可撓性フィルムの表面に押圧された指先表面の凹凸形状を裏面に転写させて、検出用基板にて当該裏面に転写された指紋を検出する指紋検出センサの製造方法であって、
    検出用基板を用意する第1の工程と、
    可撓性フィルムを用意する第2の工程と、
    前記検出用基板の周縁部内側に沿って枠状にスペーサを設ける第3の工程と、
    前記スペーサに可撓性フィルムを貼着する第4の工程と、
    前記可撓性フィルムが貼着された基板を所定温度で加熱する第5の工程と
    を含み、
    前記可撓性フィルムを用意する第2の工程は、当該可撓性フィルムの前記スペーサの枠内となる位置に通気孔を設ける工程を含む
    ことを特徴とする指紋検出センサの製造方法。
  9. 可撓性フィルムの表面に押圧された指先表面の凹凸形状を裏面に転写させて、検出用基板にて当該裏面に転写された指紋を検出する指紋検出センサの製造方法であって、
    検出用基板を用意する第1の工程と、
    可撓性フィルムを用意する第2の工程と、
    前記検出用基板の周縁部内側に沿って枠状にスペーサを設ける第3の工程と、
    前記スペーサに可撓性フィルムを貼着する第4の工程と、
    前記可撓性フィルムが貼着された基板を所定温度で加熱する第5の工程と
    を含み、
    前記第3の工程で設けられる枠状のスペーサは、その一部に切除部もしくは溝が形成され、当該切除部もしくは溝が、通気孔となるように構成されている
    ことを特徴とする指紋検出センサの製造方法。
  10. 前記第5の工程以降に、前記通気孔を封止する第6の工程を含むことを特徴とする請求項又はに記載の指紋検出センサの製造方法。
  11. 可撓性フィルムの表面に押圧された指先表面の凹凸形状をその裏面に転写させ、これを検出用基板に形成された検出部にて検出する指紋検出センサの製造方法であって、
    複数の検出部が形成された大判の基板を用意する第1の工程と、
    前記大判の基板とほぼ同じかそれよりも大きな可撓性フィルムを用意する第2の工程と、
    前記大判の基板における各検出部の周囲に枠状のスペーサを形成する第3の工程と、
    前記スペーサに前記可撓性フィルムを貼着する第4の工程と、
    前記可撓性フィルムが貼着された大判の基板を所定温度で加熱する第5の工程と
    前記大判の基板を各検出用基板単位に切断する第6の工程と
    を含むことを特徴とする指紋検出センサの製造方法。
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