JP4627127B2 - クリップ端子および該クリップ端子を具備する液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示素子に関するものであり、詳細には液晶表示素子に駆動のための給電を行うために、液晶表示素子のガラス基板の端部に設けられている電極部にクリップ状に狭着されるクリップ端子の構成に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のクリップ端子90の構成の例を示すものが図7および図8であり、このクリップ端子90は、液晶表示素子10のガラス基板11の端部に設けられた電極部12に接触し、前記液晶表示素子10に駆動電圧を外部から供給するための給電端子として設けられるものである。
【0003】
従って、前記クリップ端子90には接触部91とバネ部92とで略クリップ状に形成されて、前記ガラス基板11の端部へは狭着により取付けが行えるものとし、前記電極部12に接触部91が接触して電気的な導通を図るものとされている。また、このクリップ端子90にはピン端子部93が設けられ、プリント回路基板(図示せず)との機械的、電気的な接続を容易なものとされている。
【0004】
尚、前記ガラス基板11の端部へ狭着を行う際には、電気的接触を一層に確実にする目的で前記電極部12上には導電性樹脂13が塗布され、この状態でクリップ端子90を押し込むことで電極部12と接触部91との接触面積を増加させている。また、使用時における外部応力などで電極部12と接触部91との間に移動を生じて接触不良を生じることのないように熱硬化性樹脂などによる固定用樹脂14によりガラス基板11とクリップ端子90との固定も行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の構成では、電極部12上に導電性樹脂13が塗布された後にクリップ端子90を押し込むものであり、このときに、前記接触部91はこのクリップ端子90の挿入方向に対し略直交するラインで接触するものであるので、図8にも示すように接触部91の挿入方向前方に殆どの導電性樹脂13が存在するものとなっている。
【0006】
よって、クリップ端子90を引き抜く方向への外部応力が加わり、クリップ端子90が移動すると導電性樹脂13と接触部91との間には間隙を生じるなどして、両者の電気的接触は不安定な状態と成りやすく、これにより液晶表示素子10の信頼性が低下する問題点を生じている。
【0007】
この問題点を解決する手段として、特開平5−2178号には接触部91に空隙を設け、クリップ端子90の多少の移動では導電性樹脂13と接触部91との間が離れることのないように図るものが開示されているが、この場合にはクリップ端子90の挿入後に導電性樹脂13の塗布を行わなければならないものとなり作業が煩雑化すると共に、前記した空隙によりクリップ端子90としての係着力が低下するという新たな問題点を生じるものとなっている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記した従来の課題を解決するための具体的手段として、液晶表示素子の端部に設けられる電極部に接触部とバネ部とでクリップ状に狭着が行われ、前記電極部とは前記接触部により電気的導通を行うクリップ端子において、前記接触部は、この接触部の前記電極部への挿着方向に沿い第一接触部と、第二接触部とが適宜の間隔を有して設けられていると共に、前記接触部には、この接触部の前記電極部への挿着方向に沿い溝幅が設定され、且つ、このクリップ端子が形成された板材の板厚未満とする溝深さとしたスリットが前記第一接触部の側にのみ縦断して設けられていることを特徴とするクリップ端子、および、該クリップ端子を具備する液晶表示素子を提供することで課題を解決するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1および図2に符号1で示すものは本発明に係るクリップ端子1の第一実施形態であり、この第一実施形態においても前記クリップ端子1は接触部2とバネ部3とで略クリップ状の形状とされ、前記接触部2とバネ部3とで液晶表示素子10の電極部12が設けられているガラス基板11の端部11aに狭着するものであり、また、プリント回路基板(図示せず)などに取付けるためのピン端子部4も設けられている点は従来例のものと同様である。また、狭着した後のクリップ端子1は固定用樹脂14でガラス基板11に固定されるものである点も同様である。
【0010】
ここで、本発明では前記接触部2にスリット2aを設けるものであり、このスリット2aは、前記クリップ端子1の端部11aへの挿着方向に直交する方向に溝幅Wを設定されている。即ち、挿着方向と平行となる方向に沿いスリット2aは設けられている。また、前記スリット2aの溝深さDは、このクリップ端子1を形成するための板材の板厚未満とされ、前記スリット2aは前記接触部2を板厚方向に貫通することがないものとされている。
【0011】
また、前記スリット2aを形成するにあたっては、例えばネジの頭部にスリ割り溝を設けるときに使用されるカッターホイルなど適宜な加工手段を用いることで、前記接触部2の形状にかかわらず電極部12からの溝深さDを一定のものとされている。また、前記スリット2aの挿着方向に直交する断面形状は、矩形、梯形、半円形など、どの様な形状であっても良いが、挿着方向に沿っては一定の断面形状を保つものであることが好ましい。
【0012】
このようにスリット2aを設けるものとしたことで、図3に示すように本発明のクリップ端子1においては、液晶表示素子10のガラス基板11の端部11aに取付けを行う際に、電極部12上に塗布された導電性樹脂13は、接触部2により押されて全てが前方に移動することはなく、前記スリット2aに対応する部分では、このスリット2aの中が導電性樹脂13により充填する状態となる。
【0013】
従って、液晶表示素子10の使用途上などで、外部応力が加わるなどして前記クリップ端子1に移動を生じたときにも、前記スリット2a内に位置している導電性樹脂13は位置ズレを生じるものの、接触面積は初期値とそれ程に変化することはなく、依然として電極部12とクリップ端子1との電気的接触は保たれるものとなる。
【0014】
よって、本発明の構成によれば、液晶表示素子10を例えば携帯用機器の表示部として採用した場合には、移動時に加わる振動、衝撃などで前記クリップ端子1に外部応力による移動を生じる可能性が高いものとなるが、その場合にも上記したように接触部2に設けられたスリット2aにより電極部12との接触不良の発生は防止され液晶表示素子10は必要とされる動作を継続できるものとなり、液晶表示素子10、および、この液晶表示素子10が採用された機器の信頼性の向上に有効である。
【0015】
尚、前記クリップ端子1の移動は、前記接触部2とバネ部3とでガラス基板11の端部11aを挟む力に大きく左右されるものとなるが、本発明では接触部2に設けるスリット2aを、このクリップ端子1を形成するための板材の板厚未満として接触部2を分断することのないものとしているので、上記の挟む力にはそれ程に影響を与えることがなく、ほぼ従来通りの取付強度が得られるものとしている。
【0016】
図4、図5に示すものは本発明に係るクリップ端子5であり、前の第一実施形態においては接触部は一個所で端部11aに接触するものとされていたが、この第二実施形態においては第一接触部6と第二接触部7との二個所で端部11に接触するものとされ、第一接触部6と第二接触部7とはクリップ端子5の端部11への挿入方向に対して第一接触部6が前方となり、第二接触部7が後方となるように縦列に配置されている。
【0017】
そして、スリット6aは先端側に位置する第一接触部6に設けられている。このようにしたことで、この第二実施形態のクリップ端子5では、図6に示すように端部11への狭着は大部分を第二接触部7が受け持つものとなり、電極部12に対する電気的接続は大部分を第一接触部6が受け持つものとなる。
【0018】
よって、前の第一実施形態ではクリップ端子1の接触部2にスリット2aが設けられたことで、多少とは言え端部11aに対する係着力が低下する恐れを生じるものとなっていたが、この第二実施形態のクリップ端子5においては、係着力低下の恐れは回避できるものとなる。
【0019】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明により、液晶表示素子の端部に設けられる電極部に接触部とバネ部とでクリップ状に狭着が行われ、前記電極部とは前記接触部により電気的導通を行うクリップ端子において、前記接触部には、この接触部の前記電極部への挿着方向に沿い溝幅が設定され、且つ、このクリップ端子が形成された板材の板厚未満とする溝深さとしたスリットがこの接触部を縦断して設けられていることを特徴とするクリップ端子、または、前記接触部は、この接触部の前記電極部への挿着方向に沿い第一接触部と、第二接触部とが適宜の間隔を有して設けられ、前記スリットは前記第一接触部の側にのみ設けられているクリップ端子としたことで、万一に外部応力などにより液晶表示素子の電極部とクリップ端子とにズレを生じた場合にも、スリットと導電性樹脂は接触面積を維持して摺動を行うものとなり、従来例のように両者が分離することはない。よって、電気的接続は維持されるものとなるので、表示不良などは生ぜず、この種の液晶表示素子の信頼性の向上に極めて優れた効果を奏するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るクリップ端子の第一実施形態を示す正面図である。
【図2】 図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】 第一実施形態における本発明に係るクリップ端子の液晶表示素子への取付状態を示す説明図である。
【図4】 本発明に係るクリップ端子の第二実施形態を示す正面図である。
【図5】 図4のB−B線に沿う断面図である。
【図6】 第二実施形態における本発明に係るクリップ端子の液晶表示素子への取付状態を示す説明図である。
【図7】 従来例を示す斜視図である。
【図8】 従来例の取付状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1、5……クリップ端子
2……接触部
2a……スリット
3……バネ部
4……ピン端子部
6……第一接触部
6a……スリット
7……第二接触部
10……液晶表示素子
11……ガラス基板
11a……端部
12……電極部
13……導電性樹脂
14……固定用樹脂
Claims (2)
- 液晶表示素子の端部に設けられる電極部に接触部とバネ部とでクリップ状に狭着が行われ、前記電極部とは前記接触部により電気的導通を行うクリップ端子において、前記接触部は、この接触部の前記電極部への挿着方向に沿い第一接触部と、第二接触部とが適宜の間隔を有して設けられていると共に、前記接触部には、この接触部の前記電極部への挿着方向に沿い溝幅が設定され、且つ、このクリップ端子が形成された板材の板厚未満とする溝深さとしたスリットが前記第一接触部の側にのみ縦断して設けられていることを特徴とするクリップ端子。
- 前記請求項1記載のクリップ端子を具備することを特徴とする液晶表示素子。
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