JP4626005B2 - 血液適合性組成物およびそれを被覆した医療用具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は血液に接触して使用される医療用具に用いられる材料として、特に有用である血液適合性組成物に関する。また、従来の医療用具に該血液適合性組成物を塗布することで、医療用具本来の機能を損なうことなく優れた血液適合性を付与することのできる医療用具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、血液用回路チューブ、サンプリングモニター用チューブ、大動脈内バルーンポンプ、人工心臓用血液ポンプ、血管造影用カテーテル、人工肺、静脈リザーバー、人工腎臓、動脈フィルターなどの血液接触医療用具表面に血液が凝固しないように抗血栓性を付与する技術が開発、実用化されてきた。その中心となって検討されてきたのが抗凝血作用を有するヘパリンまたはその誘導体を医療用具の表面上になんらかの方法で固定して、抗血栓性を得る手法である。
【0003】
特開昭48-13341にはヘパリンとカチオン性界面活性剤とを作用させて水に不溶で有機溶剤に可溶なヘパリン複合体を調整した後、これを単独あるいはプラスチックとともに有機溶媒に溶解させ、それをプラスチック表面に塗布し、乾燥することによって抗血液凝固性表面を得る方法が開示されている。このなかで、界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの界面活性剤とヘパリンとのイオン複合体は血液中に容易に溶解してしまい、長期間にわたる十分な抗血栓性を得ることができなかった。
【0005】
さらにこれらを解決する手段としてベンザルコニウム塩(1本の長鎖アルキル基および2個のメチル基、および1個のベンジル基を有するアンモニウム塩)のアルキル基の炭素原子数を18としたベンジルジメチルステアリルアンモニウム塩とヘパリンの混合物が開示されている。この複合体は従来のヘパリンとカチオン性界面活性剤とヘパリンとの早期活性消失を改善するものであるが、この複合体でも、比較的短期間で抗血栓性は消失してしまう欠点は解消できなかった(比較例として使用)。
【0006】
さらにJ.Biomater.Sci.Polymer Edn,vol6 にはヘパリンとジオクタデシルアンモニウムブロミドとの複合体が記載されている。この化合物は結合しているカチオン化合物の疎水性が高いために、長時間材料表面に存在する。しかしながら、結合しているカチオン基の疎水性が高すぎ、ヘパリンの活性が抑えられすぎ、医療用具のコート剤として使用した場合、血液の滞留部や段差などに血栓が生じやすいという問題があった(比較例として使用)。
【0007】
これまで検討されてきたヘパリンと有機カチオン基の複合体における課題は、親水性の高い有機カチオン基(例えばベンザルコニウム塩)を用いた場合の早期溶出による長時間活性維持ができないことであり、疎水性の高すぎる有機カチオン基を用いた場合にはヘパリン活性が低く、十分な抗血栓性を発揮できないことによるものである。本発明者はこれらの欠点が現在まで解決できなかったのは、いままでなされてきた発明が、ヘパリンと複合体を形成させるにあたり、単独の構造を有するアンモニウム塩のみを使用したことによるものであることを見いだした。すなわちヘパリンが持っているアニオン基に、単一構造を有するアンモニウム塩を結合させると、アンモニウム塩の持っているアルキル基の鎖長の総数およびその構造が同一であることから親水性または疎水性のどちらかに偏りすぎ、結果として早期に溶出してしまうか、溶出が抑えられすぎ、期待された性能を発揮できないのである。このための解決策として本発明者が目指したのは、アルキル基の炭素数総数が異なる複数のアンモニウム塩とヘパリンとを結合させて、抗血栓性医療用具に必要とされる十分な抗血栓性を長期間にわたり維持することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記事情に鑑みて、ヘパリン化処理表面抗血栓性の高さと、長時間の活性維持の両者を併せ持つ材料について鋭意検討した結果、複数の、特定の炭素原子の総数を有するアンモニウム塩の組み合わせとヘパリンとの複合体が有用であることを見いだし、本発明に至ったものである。すなわち、本発明は、以下のような構成を有するものである。
【0009】
(1)有機カチオン化合物とヘパリンもしくはヘパリン誘導体とからなるイオン性複合体を含有してなる血液適合性組成物であって、該有機カチオン化合物が4つの脂肪族アルキル基が結合したアンモニウム塩であり、該アンモニウム塩のうち、4つの脂肪族アルキル鎖の炭素原子総数が22以上26以下であるアンモニウム塩を全アンモニウム塩の5%以上80%以下の範囲で含有することを特徴とする血液適合性組成物。
(2)有機カチオン化合物が4つの脂肪族アルキル基が結合したアンモニウム塩であり、該アンモニウム塩のうち、4つの脂肪族アルキル鎖の炭素原子総数が22以上26以下であるアンモニム塩を全アンモニウム塩の5%以上80%以下の範囲で含有し、残りが炭素原子総数27以上のアンモニウム塩である上記(1)に記載の血液適合性組成物。
(3)アルキル基の炭素原子総数27以上のアンモニウム塩がトリアルキルメチルアンモニウム塩である上記(2)に記載の血液適合性組成物。
(4)アルキル基の炭素原子総数27以上のアンモニウム塩がジアルキルジメチルアンモニウム塩である上記(2)に記載の血液適合性組成物。
(5)アルキル基の炭素原子総数22以上26以下のアンモニウム塩がジアルキルジメチルアンモニム塩である上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の血液適合性組成物。
(6)上記(1)乃至(5)に記載のイオン性複合体が少なくとも血液接触面の一部にコーティングされてなることを特徴とする医療用具。
【0010】
本発明は、ヘパリンとアンモニウム塩とのイオン複合体に於いて、4つのアルキル基の総数が異なる複数のアンモニウム塩をヘパリンと複合体を形成させることによって、単独の構造を有するアンモニウム塩とヘパリン複合体では得られなかった最適な抗血栓性を得られる血液適合組成物が得られることを見いだしたことにある。
本発明において、4つの脂肪族アルキル鎖の炭素原子総数が22以上26以下であるアンモニウム塩の含有量は全アンモニウム塩の通常5%以上80%以下の範囲であり、好ましくは10%以上50%以下の範囲であり、さらに好ましくは15%以上30%以下の範囲である。
【0011】
本発明において炭素数22以上26以下の有機カチオン化合物にはジデシルアンモニウムジメチルアンモニウム塩やジドデシルジメチルアンモニウム塩等がある。
【0012】
アルキル基の炭素原子の総数が27以上のトリアルキルメチルアンモニウム塩にはトリドデシルメチルアンモニウム塩やトリデシルメチルアンモニウム塩やトリテトラデシルアンモニウム塩等がある。
【0013】
アルキル基の炭素原子の総数が27以上の有機ジアルキルジメチルアンモニウム塩にはジテトラデシルジメチルアンモニウム塩やジヘキサデシルジメチルアンモニウム塩やジオクタデシルジメチルアンモニウム塩等がある。
ヘパリン誘導体としてはヘパリンナトリウム、ヘパリンカリウム、ヘパリンリチウム、ヘパリンカルシウム、低分子ヘパリン、エポキシ化ヘパリンなどが挙げられる。
【0014】
本発明の処理方法としてはまず、上記の有機カチオン化合物の混合物とヘパリンのイオン複合体を溶媒中で混合、攪拌し、沈殿物を得る。ついで、この複合体を回収、洗浄を行い未反応能のヘパリンおよび有機カチオン化合物を洗浄する。次にヘパリン−有機カチオン複合体を有機溶媒に溶解する。この溶媒を医療用具表面に接触させ、ついで溶媒を除去することにより医療用具の表面に最適化された抗血栓性表面を得ることができる。
【0015】
有機カチオン基の溶媒としては、有機溶媒としては基材である医療用具表面にできるかぎり損傷を与えないものが選択されるが、一般的にはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン(以下THF)、1.4―ジオキサン、シクロヘキサノン、N,N―ジメチルホルムアミド、N,N―ジメチルアセトアミド、N −メチルピロリドン等が使用される。
【0016】
医療用具の表面にヘパリン−有機カチオン化合物の複合体を接触させる別な方法としては、浸漬法、スプレーを吹き付ける方法、刷毛などで塗布する方法等が用いられるが、これらに限定されるものではない。また、べつな方法としてはアンモニウム塩の混合物をあらかじめ適当な溶媒に溶解しておき、医療用具の表面に接触させ、有機溶媒を乾燥除去した後にヘパリン水溶液を接触させて、ヘパリン−有機カチオン化合物の複合体を医療用具表面で形成させる方法である。
【0017】
有機カチオン基の溶媒としては、有機溶媒としては基材である医療用具表面にできるかぎり損傷を与えないものが選択されるが、一般的にはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、THF、1.4―ジオキサン、シクロヘキサノン、N,N―ジメチルホルムアミド、N,N―ジメチルアセトアミド、N −メチルピロリドンなどが使用される。
【0018】
ここで医療用具の基材の材料としては通常使用される全ての材料が含まれる。すなわち、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、熱可塑性ポリエーテルポリウレタン、熱硬化性ポリウレタン、架橋部を有するポリジメチルシロキサン等のシリコーンゴム、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化ポリエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアセタール、ポリスチレン、ABS樹脂およびこれらの樹脂の混合物、ステンレス、チタニウム、アルミニウム等の金属などが挙げられる。
【0019】
【実施例】
以下に本発明を実施形態に基づいて説明する。
〔比較例5〕ジドデシルジメチルアンモニムブロミド14部(東京化成製)およびトリドデシルメチルアンモニウムブロミド6部(Polyscience, Inc製)をメチルアルコール200部に溶解した。つづいてヘパリン10部をイオン交換水100部に溶解し、アンモニウム塩を溶解したメタノール溶液を攪拌しながら滴下した。白色の沈殿物が滴下直後より精製するので、溶液滴下が完了したら、濾過して余分な液を除く。この後、沈殿物より未反応のヘパリンおよびジドデシルジメチルアンモニウムブロミドおよびトリドデシルメチルアンモニウムブロミドを除去するため、水とメタノールによる洗浄を数回繰り返す。この後、凍結乾燥を行い、本発明のヘパリンとアンモニウム塩の複合体(比較例5)を得た。
【0020】
〔比較例6〕ジデシルジメチルアンモニムブロミド2部(東京化成製)およびトリドデシルメチルアンモニウムブロミド18部(Polyscience,Inc 製)をメチルアルコール200部に溶解した。つづいてヘパリン10部をイオン交換水100部に溶解し、アンモニウム塩を溶解したメタノール溶液を攪拌しながら滴下し、得られた沈殿物を実施例1と同様な方法にて精製し、本発明のヘパリンとアンモニウム塩の複合体(比較例6)を得た。
【0021】
〔実施例3〕
ジドデシルジメチルアンモニムブロミド5部(東京化成製)およびジステアリルジメチルアンモニウムブロミド15部(Polyscience,Inc 製)をメチルアルコール200部に溶解した。つづいてヘパリン10部をイオン交換水100部に溶解し、アンモニウム塩を溶解したメタノール溶液を攪拌しながら滴下し、得られた沈殿物を実施例1と同様な方法にて精製し、本発明のヘパリンとアンモニウム塩の複合体(実施例3)を得た。
【0022】
〔実施例4〕
ジデシルジメチルアンモニムブロミド6部(東京化成製)およびジパルミチルジメチルアンモニウムブロミド14部(Polyscience,Inc 製)をメチルアルコール200部に溶解した。
つづいてヘパリン10部をイオン交換水100部に溶解し、アンモニウム塩を溶解したメタノール溶液を攪拌しながら滴下し、得られた沈殿物を実施例1と同様な方法にて精製し、本発明のヘパリンとアンモニウム塩の複合体(実施例4)を得た。
【0023】
〔比較例1〕
ジドデシルジメチルアンモニムブロミド20部(東京化成製)をメチルアルコール200部に溶解した。つづいてヘパリン10部をイオン交換水100部に溶解し、アンモニウム塩を溶解したメタノール溶液を攪拌しながら滴下し、得られた沈殿物を実施例1と同様な方法にて精製し、本発明のヘパリンとアンモニウム塩の複合体(比較例1)を得た。
【0024】
〔比較例2〕
ジオクタデシルジメチルアンモニムブロミド20部(東京化成製)をメチルアルコール200部に溶解した。つづいてヘパリン10部をイオン交換水100部に溶解し、アンモニウム塩を溶解したメタノール溶液を攪拌しながら滴下し、得られた沈殿物を実施例1と同様な方法にて精製し、本発明のヘパリンとアンモニウム塩の複合体(比較例2)を得た。
【0025】
〔比較例3〕
トリドデシルメチルアンモニウムブロミド20部(Polyscience,Inc 製)をメチルアルコール200部に溶解した。つづいてヘパリン10部をイオン交換水100部に溶解し、アンモニウム塩を溶解したメタノール溶液を攪拌しながら滴下し、得られた沈殿物を実施例1と同様な方法にて精製し、本発明のヘパリンとアンモニウム塩の複合体(比較例3)を得た。
【0026】
〔比較例4〕
ベンジルジメチルステアリルアンモニムブロミド20部(東京化成製)をメチルアルコール200部に溶解した。つづいてヘパリン10部をイオン交換水100部に溶解し、アンモニウム塩を溶解したメタノール溶液を攪拌しながら滴下し、得られた沈殿物を実施例1と同様な方法にて精製し、本発明のヘパリンとアンモニウム塩の複合体(比較例4)を得た。
【0027】
(評価試験1)
実施例および比較例で得られた複合体を各々THF に濃度0.2%になるように溶解する。この後、内径3mm のポリ塩化ビニル製チューブにコーティングした。
【0028】
上記チューブの両端をクランプして試験管状に加工した(長さ5cm )。このチューブにクエン酸三ナトリウムを加えて凝固停止した牛血1.5mlを加えて37℃にてインキュベートする。これに1/40規定の塩化カルシウム溶液を加えて血液の凝固を開始させる。3 分間インキュベートした後に、再度クエン酸三ナトリウム水溶液を添加して、血液の凝固を停止させる。次にチューブの内部で生成した血栓を採取して重量を測定する。対象としてコーティングしていないPVCチューブを用いて同様の試験を実施した。結果を表1に示す。表1における数値は、同一径のガラス製試験管に生成した血栓の重量を1として求められた値を示すものである。
【0029】
(評価試験2)
血液適合性の耐久性を観察するために本チューブを4規定の濃厚食塩水中で1週間浸漬した後に同様の評価を実施した。結果を同じく表1に示す。また医療用のPVCチューブについても対象として同様な評価を行った。結果を表2に示す。
【0030】
(評価試験3)
比較例および実施例で得られた複合体をTHFの1%溶液とし、内径3mm、長さ1mのチューブに同様にコーティングして片方を3方活栓に接続する。3方活栓の片方よりウサギ(日本白色種)より脱血したクエン酸加新鮮血を通す。同時に、もう片方より1/40規定の塩化カルシウム溶液を通す。塩化カルシウム溶液は5ml/min にて、新鮮血は50ml/minでシリンジポンプより注入した。血液はチューブ内で再活性化されて凝固を開始する。血液の通過が完了した後に血栓がどこで発生したかを観察し、その長さを計測する。結果を表3に示す。
【0031】
(評価試験4)
また、抗血栓性の耐久性を観察するために37℃に加温した4規定の食塩水を1週間循環させた後、評価3と同様な方法にて抗血栓性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0032】
(評価試験5)
実施例および比較例で得られた複合体をTHFに1%濃度になるように溶解し、医療用の血液バックに使用されるポリ塩化ビニルシートにスプレーにて噴霧してコーティングした。このシートを裁断し、試験管に中に入れて、シート表面のヘパリン活性をテストチームヘパリンS(第一化学薬品)にて測定した。
一辺が約5mm の正方形状にシートを切断し、これを細胞培養用24穴マイクロプレートに入れ、37℃の恒温容器中にて攪拌しながら、アンチトロンビンIII液とファクターXa を添加し、2分後に、基質S-2222を添加し、10分後に酢酸を添加したものを分光光度計にて405nm の吸収を測定する。
【0033】
(評価試験6)
また、抗血栓性の耐久性を調べるため、試験管内に生理食塩水を入れて24時間インキュベートした後に、評価試験5と同様な評価方法にてシート表面のヘパリン活性を測定した。結果を表6に示す。
【0034】
これらの評価結果から判明するように、本発明が見いだした複数の、特定の炭素原子の総数を有するアンモニウム塩の組み合わせとヘパリンとの複合体が従来技術である単独のアンモニウム塩とヘパリンとの複合体と比較して、良好な抗血栓性を有することが明らかである。
【0035】
【発明の効果】
本発明の、複数の、特定の炭素原子の総数を有するアンモニウム塩の組み合わせとヘパリンとの複合体は良好な血液適合性を有しており、特に血液と接触して用いられる医療用具のコーティング材として優れた適性を有している。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
Claims (2)
- 有機カチオン化合物とヘパリンもしくはヘパリン誘導体とからなるイオン性複合体を含有してなる血液適合性組成物であって、該有機カチオン化合物が4つの脂肪族アルキル基が結合したアンモニウム塩であり、該アンモニウム塩のうち、4つの脂肪族アルキル鎖の炭素原子総数が22以上26以下であるジアルキルジメチルアンモニウム塩を全アンモニウム塩の15%以上30%以下の範囲で含有し、残りが炭素原子総数34〜38のジアルキルジメチルアンモニウム塩であることを特徴とする血液適合性組成物。
- 請求項1に記載の血液適合性組成物が少なくとも血液接触面の一部にコーティングされてなることを特徴とする医療用具。
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